説明

熱処理炉及び熱処理装置

【課題】断熱材の断熱性能を向上させるとともに断熱材の厚みの増加を抑える。
【解決手段】熱処理炉2は被処理体Wを収容して熱処理するための処理容器3と、該処理容器3の周囲を覆う断熱材16と、断熱材16の内周面に設けられ被処理体Wを加熱するヒータ5とを備えている。断熱材16は通常の断熱材料からなる内側断熱材16aと、圧縮された微粉シリカ材からなる外側断熱材16bとを有し、外側断熱材16bの外面は飛散防止材16cにより覆われている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理炉及び該熱処理炉を備えた熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造においては、被処理体である半導体ウエハに酸化、拡散、CVD(Chemical Vapor Deposition)などの処理を施すために、各種の熱処理装置が用いられている。そして、その一般的な熱処理装置は、半導体ウエハを収容して熱処理するための処理容器と、この処理容器の周囲を覆う円筒状の断熱材と、断熱材の内周面に設けられ処理容器内のウエハを加熱するヒータとを含む熱処理炉を備えている。上記ヒータは、円筒状の断熱材の内周面に設けられたヒータエレメントからなる。
【0003】
上記ヒータエレメントとしては、例えばバッチ処理が可能な熱処理装置の場合でいうと、円筒状の断熱材の内壁面に沿って配置され支持体によって支持される材料が用いられ、炉内を例えば800〜1000℃程度に高温に加熱することができる。また、上記断熱材としては、例えばセラミックファイバ等からなる断熱材料を円筒状に焼成してなるものが用いられ、輻射熱および伝導熱として奪われる熱量を減少させて効率のよい加熱を助長することができる。上記支持体としては、例えばセラミック製のものが用いられ、上記ヒータエレメントを熱膨張および熱収縮可能に所定のピッチで支持するようになっている。
【0004】
ところで熱処理炉の断熱材は例えばシリカ、アルミナあるいは珪酸アルミナを含む無機質繊維からなっているが、断熱材からの放熱を抑制するための種々の手法が採用されている。
【0005】
例えば断熱材からの放熱を抑制するため断熱材の層厚を大きくすることも考えられるが、この場合、断熱材の厚みをかなり大きくする必要があり、かつ断熱材の熱容量の増加に伴って昇温、降温性能が低下するとともに、ヒータ容量を大きくする必要がある。
【0006】
また断熱材の断熱性を高めるため、真空断熱体を利用することも考えられるが、金属製の真空容器を使用した真空断熱体では、耐熱性の問題があり、高温領域では使用できない。また大型の真空断熱体は重量の増加や製造コストの増加にもつながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−263170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、断熱材の総厚を過度に大きくすることなく、放熱を可能な限り抑制することができる熱処理炉および熱処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、被処理体を収容して熱処理する処理容器と、該処理容器の周囲を覆う断熱材と、該断熱材の内周面に沿って配置されたヒータとを備え、断熱材は内側断熱材と、内側断熱材と別体に設けられた外側断熱材とを有し、外側断熱材は圧縮された微粉シリカ材を含み、外側断熱材の少なくとも外面は微粉シリカ材の飛散を防止する飛散防止材により覆われていることを特徴とする熱処理炉である。
【0010】
本発明は、外側断熱材は、更に微粉炭化ケイ素又は微粉チタニアを含むことを特徴とする熱処理炉である。
【0011】
本発明は、外側断熱材の外面を覆う飛散防止材の外側に、飛散防止材との間で強制冷却用の流路を形成する外皮が設けられ、飛散防止材、外側断熱材および内側断熱材を貫通して強制冷却用冷却媒体吹出し孔が設けられていることを特徴とする熱処理炉である。
【0012】
本発明は、外側断熱材の内面を覆って飛散防止材が設けられ、内側断熱材と外側断熱材の内面側の飛散防止材との間に強制冷却用の流路が形成され、内側断熱材を貫通して強制冷却用冷却媒体吹出し孔が設けられていることを特徴とする熱処理炉である。
【0013】
本発明は、外側断熱材は縦方向に分割され、境界面を介して互いに接する複数の分割部分からなり、各分割部分は短冊形状を有することを特徴とする熱処理炉である。
【0014】
本発明は、外側断熱材の分割部分の境界面は、放射状に延びることを特徴とする熱処理炉である。
【0015】
本発明は、外側断熱材の分割部分の境界面は、放射方向に対して傾斜して延びることを特徴とする熱処理炉である。
【0016】
本発明は、外側断熱材の分割部分の境界面に、圧縮された微粉シリカ材からなる充てん材が介在されていることを特徴とする熱処理炉である。
【0017】
本発明は、外側断熱材は内面側から外面側に向って多層に配置された複数の円周状薄板からなり、各円周状薄板は平板状の薄板を湾曲させて形成されていることを特徴とする熱処理炉である。
【0018】
本発明は、各円周状の薄板は、上下方向に分割され境界面を介して互いに接する複数の薄板分割部分からなることを特徴とする熱処理炉である。
【0019】
本発明は、強制冷却用の流路は、仕切り部材により縦方向に区画された複数の環状流路を含み、各環状流路毎に強制冷却用冷却媒体吹出し孔が設けられていることを特徴とする熱処理炉である。
【0020】
本発明は、強制冷却用の流路の各環状流路毎に、強制冷却用の冷却媒体の流量が調整されることを特徴とする熱処理炉である。
【0021】
本発明は、強制冷却用の冷却媒体吹出し孔のうち、外側断熱材に対応する部分は、飛散防止材により覆われていることを特徴とする熱処理炉である。
【0022】
本発明は、外側断熱材の内周面に、縦方向に延びるスリットが設けられていることを特徴とする熱処理炉である。
【0023】
本発明は、内側断熱材は縦方向に分割され境界面を介して互いに接する複数の分割部分からなり、内側断熱材の境界面は外側断熱材の境界面に対して円周方向にずれていることを特徴とする熱処理炉である。
【0024】
本発明は、下部が炉口として開放され被処理体を収納して熱処理するための熱処理炉と、上記炉口を閉塞する蓋体と、該蓋体上に載置され被処理体を多段に保持する保持具と、蓋体および保持具を昇降させて蓋体の開閉と上記処理容器内への保持具の搬入搬出を行なう昇降機構とを備え、前記熱処理炉は、被処理体を収容して熱処理する処理容器と、該処理容器の周囲を覆う断熱材と、該断熱材の内周面に沿って配置されたヒータとを備え、断熱材は内側断熱材と、内側断熱材と別体に設けられた外側断熱材とを有し、外側断熱材は圧縮された微粉シリカ材を含み、外側断熱材の少なくとも外面は微粉シリカ材の飛散を防止する飛散防止材により覆われていることを特徴とする熱処理装置である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、断熱材は、内側断熱材と、圧縮された微粉シリカ材を含む外側断熱材とを含み、外側断熱材の外面が微粉シリカ材の飛散を防止する飛散防止材により覆われているため、微粉シリカ材の高断熱性能を利用して断熱材の厚みを小さく抑えることができる。また外側断熱材の外面を飛散防止材で覆うことにより、微粉シリカ材が外方へ飛散することを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は本発明の実施の形態である熱処理装置を概略的に示す縦断面図。
【図2】図2は熱処理炉の断熱材を示す斜視図。
【図3】図3は熱処理炉の断熱材及び強制空冷用の流路を示す図。
【図4】図4は断熱材の厚さと側面放熱量比率との関係を示す図。
【図5】図5(a)−(c)は断熱材の変形例を示す図。
【図6】図6(a)−(e)は断熱材の外側断熱材の変形例を示す横断面図。
【図7】図7(a)−(e)は断熱材の更なる変形例を示す横断面図。
【図8】図8(a)−(d)は断熱材の更なる変形例を示す横断面図。
【図9】図9(a)−(b)は断熱材の更なる変形例を示す縦断面図。
【図10】図10は熱処理装置の変形例を示す縦断面図。
【図11】図11は熱処理装置の変形例を示す縦断面図。
【図12】図12(a)は外側断熱材と外皮との間に環状流路を形成した構造を示す図、図12(b)は内側断熱材と外側断熱材との間に環状流路を形成した構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態
以下に、本発明を実施するための形態について、図1乃至図4により詳述する。図1は本発明の実施の形態である熱処理装置を概略的に示す縦断面図、図2は熱処理炉の断熱材を示す斜視図、図3は熱処理炉の断熱材および強制冷却用の流路を示す図、図4は断熱材の厚さと側面放熱量比率との関係を示す図である。
【0028】
図1において、符号1は半導体製造装置の一つである縦型の熱処理装置であり、この熱処理装置1は、被処理体例えば半導体ウエハWを一度に多数枚収容して酸化、拡散、減圧CVD等の熱処理を施すことができる縦型の熱処理炉2を備えている。この熱処理炉2は、ウエハWを収容して熱処理するための処理容器3と、該処理容器3の周囲を覆う円筒状の断熱材16と、断熱材16の内周面に沿って設けられたヒータ5とを備えている。
【0029】
このうち断熱材16は、シリカ、アルミナあるいは珪酸アルミナを含む無機質繊維からなる内側断熱材16aと、内側断熱材16aとは別体に設けられた外側断熱材16bとを有している。内側断熱材16aは、上述のように無機質繊維からなる断熱材の材料から構成されるが、外側断熱材16bは圧縮された微粉シリカ材を含み、外側断熱材16bの外面は、緩衝材16dを介して微粉シリカ材の飛散を防止する飛散防止材16cにより覆われている(図2参照)。なお、断熱材16の詳細については後述する。
【0030】
また上記熱処理装置1は、断熱材16を設置するためのベースプレート6を備えている。このベースプレート6には処理容器3を下方から上方に挿入するための開口部7が形成されており、この開口部7にはベースプレート6と処理容器3との間の隙間を覆うように図示しない断熱材が設けられている。
【0031】
上記処理容器3は、石英製で、上端が閉塞され、下端が炉口3aとして開口された縦長の円筒状に形成されている。処理容器3の開口端には外向きのフランジ3bが形成され、該フランジ3bが図示しないフランジ押えを介して上記ベースプレート6に支持されている。図示例の処理容器3は、下側部に処理ガスや不活性ガス等を処理容器3内に導入する導入ポート(導入口)8及び処理容器3内のガスを排気するための図示しない排気ポート(排気口)が設けられている。導入ポート8にはガス供給源が接続され、排気ポートには例えば10〜10−8Torr程度に減圧制御が可能な真空ポンプを備えた排気系が接続されている。
【0032】
処理容器3の下方には、処理容器3の下端開口部(炉口)3aを閉塞する上下方向に開閉可能な蓋体10が図示しない昇降機構により昇降移動可能に設けられている。この蓋体10の上部には、炉口の保温手段である例えば保温筒11が載置され、該保温筒11の上部には例えば直径が300mmのウエハWを多数枚例えば100〜150枚程度上下方向に所定の間隔で搭載する保持具である石英製のボート12が載置されている。蓋体10には、ボート12をその軸心回りに回転する回転機構13が設けられている。ボート12は、蓋体10の下降移動により処理容器3内から下方のローディングエリア15内に搬出(アンロード)され、ウエハWの移替え後、蓋体10の上昇移動により処理容器3内に搬入(ロード)される。
【0033】
上記ヒータ5は、円筒状の断熱材16の内周面に軸方向(図示例では上下方向)に多段に形成された溝状の棚部17に配置されたヒータエレメント18を有している。
【0034】
断熱材16は、縦方向に二分割されていることがヒータエレメント18の組付上好ましい。
【0035】
ヒータエレメント18は、帯状の材料を波形に成形(折り曲げ加工)して成る。このコルゲートタイプ(波形)のヒータエレメント18は、例えば鉄(Fe)、クロム(Cr)およびアルミニウム(Al)の合金からなっている。このヒータエレメント18は、例えば肉厚が1〜2mm程度、幅が14〜18mm程度、波形部分の振幅が11〜15mm程度、波形部分のピッチpが28〜32mm程度とされている。また、ヒータエレメント18の波形部分の頂角θは90度程度とされ、各頂点部(凸部または山部ともいう)はR曲げ加工が施されていることが断熱材16の棚部17上におけるヒータエレメント18の周方向のある程度の移動を許容し得ると共に屈曲部の強度の向上が図れる点で好ましい。
【0036】
上記断熱材16には上記ヒータエレメント18を適宜間隔で径方向に移動可能に且つ棚部17から脱落ないし脱出しないように保持するピン部材20が配設されている。上記円筒状の断熱材16の内周面にはこれと同心の環状の溝部21が軸方向に所定ピッチで多段に形成され、隣り合う上部の溝部21と下部の溝部21との間に周方向に連続した環状の上記棚部17が形成されている。上記溝部21におけるヒータエレメント18の上部と下部、及び溝部21の奥壁とヒータエレメント18との間にはヒータエレメント18の熱膨張収縮及び径方向の移動を許容し得る十分な隙間が設けられており、またこれらの隙間により強制冷却時の冷却媒体がヒータエレメント18の背面に回り込み、ヒータエレメント18を効果的に冷却できるようになっている。
【0037】
断熱材16の内周面に設けられたヒータエレメント18は、断熱材16の縦方向において複数、例えば5つに区分されている。
【0038】
そしてこのように区分されたヒータエレメント18は、断熱材16の棚部17ないし溝部21に沿って環状に配置されていても良いが、二分割された断熱材16に対応して半割り状(円弧状)に形成されることが組付上好ましい。上記のように区分されたヒータエレメント18に関し、その接続(結線)パターンとしては、各段のヒータエレメント18の両端が径方向外方に突出するように折り曲げられており、上下に隣接する発熱抵抗体18を直列に接続すべく端部同士例えば一段目の終端と二段目の始端とが接続板を介して接続され、二段目の終端と三段目の始端とが接続板を介して接続される。
【0039】
なお、縦方向に区分されたヒータエレメント18毎に、その両端部には外部電源に接続される端子部22a、22bが接続されている。
【0040】
なお、ヒータ5を構成するヒータエレメント18としては、上記の構成に限定されるものではなく、種々の構成をとることができる。
【0041】
またヒータエレメント18を断熱材16の溝部21内に収納し、断熱材16の棚部17によって支持するとともに、ピン部材20により保持する例を示したが、これに限らず他の手法によりヒータエレメント18を支持してもよい。
【0042】
また断熱材16と処理容器3との間の空間33には、温度センサ50が設けられ、温度センサ50からの信号は制御部51に送られる。そして制御部51が温度センサ50からの信号に基づいて、電源(図示せず)を作動させ、この電源からヒータエレメント18に対して必要な電力を供給して、空間33内の温度制御を行なうようになっている。
【0043】
断熱材16の形状を保持すると共に断熱材16を補強するために、図1および図3に示すように、断熱材16の飛散防止材16cの外周面は金属製例えばステンレス製の外皮(アウターシェル)28で覆われている。また、ヒータ外部への熱影響を抑制するために、外皮28の外周面は水冷ジャケット30で覆われている。断熱材16の頂部にはこれを覆う上部断熱材31が設けられ、この上部断熱材31の上部には外皮28の頂部(上端部)を覆うステンレス製の天板32が設けられている。
【0044】
熱処理後にウエハWを急速降温させて処理の迅速化ないしスループットの向上を図るために、断熱材16には断熱材16と処理容器3との間の空間33内の雰囲気を外部に排出する排熱系35と、上記空間33内に冷却媒体を導入して強制的に冷却する強制冷却手段36とが設けられている。上記排熱系35は、例えばヒータ5の上部に設けられた排気口37と、該排気口37と図示しない工場排気系とを結ぶ図示しない排熱管とから主に構成されている。排熱管には図示しない排気ブロワ及び熱交換器が設けられている。
【0045】
ここで冷却媒体としては、空気、不活性ガス(窒素ガス)または水を使用することができる。
【0046】
上記強制冷却手段36は、上記断熱材16の飛散防止材16cと外皮28の間に上下方向に複数形成された環状流路38と、各環状流路38から断熱材16の中心斜め方向へ冷却媒体を吹き出して上記空間33の周方向に旋回流を生じさせるべく断熱材16に設けられた強制冷却用冷却媒体吹出し孔40とを有している。上記環状流路38は、断熱材16の外周面に帯状又は環状の断熱性仕切り部材41を貼り付けることにより形成されている。上記冷却媒体吹出し孔40は、上記のように各環状流路に対応して設けられ、断熱材16における上下に隣接するヒータエレメント18の間である棚部17にこれを径方向の内外に貫通するように形成されている。このように冷却媒体吹出し孔40を棚部17に設けることにより、ヒータエレメント18に邪魔されることなく冷却媒体を上記空間33に噴出することができる。
【0047】
図1、図3および図12(a)に示すように、上記外皮28の外周面には、各環状流路38に冷却媒体を分配供給するための共通の1本の供給ダクト49が高さ方向に沿って設けられ、外皮28には供給ダクト49内と各環状流路38とを連通する連通口28aが形成されている。供給ダクト49には、圧送供給する図示しない冷却媒体供給源(例えば送風機)が開閉バルブ49Aを介して接続されている。
【0048】
本実施の形態において、複数の環状流路38に接続された共通の1本の供給ダクト49に開閉バルブ49Aを接続することにより、環状流路38内を流れる冷却媒体の流量を一括して調整することができる。この場合、供給ダクト49内を各環状流路38毎に区画し、各環状流路38に対応する供給ダクト49の区画された領域毎に開閉バルブ49Aを接続してもよい。このように各環状流路38に対応して、各々開閉バルブ49Aを接続することにより、各環状流路38内に流れる冷却媒体の流量を個別に調整することができる。
【0049】
次に断熱材16について、以下詳述する。上述のように、断熱材16はアルミナ、シリカからなる内側断熱材16aと、圧縮された微粉シリカ材を含む外側断熱材16bと、外側断熱材16bの外面に緩衝材16dを介して設けられた飛散防止材16cとを有している(図1および図2参照)。
【0050】
このうち外側断熱材16bは、少なくとも圧縮された微粉シリカ材を含み、その断熱性能がきわめて高くなっている。このため断熱材16を一般的な断熱材の材料からなる内側断熱材16aのみから構成する場合に比べて、断熱材16の全体の厚みの増加を抑えて断熱材の断熱性能を向上させることができる。
【0051】
さらに外側断熱材16bの内面は、一般的な断熱材の材料からなる内側断熱材16aにより覆われ、外側断熱材16bの外面は緩衝材16dを介して設けられた飛散防止材16cにより覆われているため、飛散し易い外側断熱材16bの微粉シリカ材が外側断熱材16bの内面側から外方へ飛散することはなく、かつ外側断熱材16bの外面側から外方へ飛散することも防止することができる。
【0052】
なお外側断熱材16bは、少なくとも圧縮された微粉シリカ材を含んでいるが、その他微粉シリカ材に微粉炭化ケイ素を加えてもよく、あるいは微粉チタニアを加えてもよい。このように外側断熱材16bは少なくとも微粉シリカ材を含み、更に微粉炭化ケイ素あるいは微粉チタニアを加えた材料を圧縮することにより得られる。
【0053】
次に外側断熱材16bの構造について詳述する。
【0054】
(構造・成分)
無機質ファイバーで補強したセラミック粉末成形体であって0.1μm以下の非閉鎖セル構造物。
【0055】
主成分は粉径5〜30nm程のSiOであって、ここに赤外線の不透過材としてSiC、ZrO、TiO、Al等が所望により加えられている。
【0056】
(伝熱特性)
・固体の伝熱特性
極めて小さい材料を使用しているため接触部分が非常に小さく熱伝導度が小さい。
【0057】
・気体の伝熱特性
形成セルが0.1μmであり、これは空気の平均自由工程よりも小さいため分子間の衝突が阻止され熱伝導度が小さい。
【0058】
・赤外透過特性
SiC、ZrO、TiO、Al等の赤外線の不透過材を加えることにより、幅射熱を遮断して透過を最小限におさえることができる。
【0059】
以上より静止空気の熱伝導度をも下まわる優れた断熱特性を有する。
【0060】
ここで圧縮された微粉シリカ材の熱伝導度をアルミナ、シリカ等の無機質繊維と静止空気と比較して、表1に示す。
【表1】

【0061】
また外側断熱材16bの外面に設置される緩衝材16dは、材料の熱膨張を吸収するために設置することが望ましく、例えば柔軟性と耐熱性に優れたブラケット(繊維化したセラミックファイドを積層してブラケット状にしたもの)のような材料が考えられるが、外側断熱材16bの外面に緩衝材16dを設けることなく飛散防止材16cを直接設けてもよく、外側断熱材16bの外面に緩衝材16dを設けることなく、外側断熱材16bと飛散防止材16cとの間に空気層を介在させてもよい。
【0062】
また、飛散防止材16cは、微粉シリカ材の飛散を防止するものであり、ステンレスのような金属製の飛散防止材を用いることができ、その他飛散防止材16cとして、石英、もしくはアルミナ等のセラミック製の飛散防止材、あるいは内側断熱材16aと同様のシリカ、アルミナを含む無機質繊維からなる飛散防止材を用いることができる。
【0063】
ところで、上述のように断熱材16の飛散防止材16cと外皮28との間に、環状流路38が高さ方向に複数形成されて、断熱材16の内側断熱材16a、外側断熱材16b、および飛散防止材16cを貫通して環状流路38と内部空間33とを連通する冷却媒体吹出し孔40が形成されている(図3参照)。この場合、冷却媒体吹出し孔40内面のうち、外側断熱材16bに対応する部分は飛散防止材16cにより覆われている。
【0064】
このように冷却媒体吹出し孔40内面のうち外側断熱材16bに対応する部分が飛散防止材16cにより覆われているため、外側断熱材16bが冷却媒体吹出し孔40内側に露出することはなく、外側断熱材16b中の微粉シリカ材が冷却媒体吹出し孔40内へ飛散して内部空間33側へ送られることを防止できる。
【0065】
なお、図3および図12(a)において、断熱材16の飛散防止材16cと外皮28との間に環状流路38が形成されているが、これに限らず、断熱材16の内側断熱材16aと外側断熱材16bとの間に空間を形成し、この内側断熱材16aと外側断熱材16bとの間を強制冷却用の環状流路38として用いてもよい(図12(b)参照)。
【0066】
この場合、外側断熱材16bの外面を飛散防止材16cで覆うとともに外側断熱材16bの内面も飛散防止材16eで覆う必要があり、内側断熱材16aを貫通して冷却媒体吹出し孔40が形成される。
【0067】
このように本実施の形態によれば、断熱材16は一般的な断熱材の材料からなる内側断熱材16aと、圧縮された微粉シリカ材からなる外側断熱材16bと、外側断熱材16bの外面に緩衝材16dを介して設けられた微粉シリカ材の飛散を防止する飛散防止材16cとを有するので、外側断熱材16bの断熱性能を利用することにより、断熱材16の厚みを過度に増加させることなく、断熱材16全体の断熱性能を向上させることができる。
【0068】
ここで、図4に厚み35mmの通常の材料からなる断熱材(内側断熱材に相当)に対し、圧縮された微粉シリカ材を設けた場合の本発明による側面放熱量比率Aと、厚み35mmの通常の材料からなる断熱材(内側断熱材に相当)に加え、同様に通常の材料からなる断熱材を設けて通常の材料からなる断熱材の厚みを単に大きくした場合の比較例による側面放熱量比率Bを示す。
【0069】
図4において、横軸に断熱材の厚さを示し、縦軸に側面放熱量比率を示す。ここで側面放熱量比率は、断熱材の外面と内面の温度差から測定した断熱材の側面放熱量比率である。
【0070】
図4からわかるように、厚み35mmの通常の材料からなる断熱材に対して圧縮された微粉シリカ材を設けた場合(本発明)、圧縮された微粉シリカ材の厚みが40mmまでは側面放熱量比率が大きく減少し、断熱材16の断熱性能が向上する。また圧縮された微粉シリカ材の厚みを40mm以上に大きくしても、側面放熱量比率の変動は小さいため、圧縮された微粉シリカ材の厚みは40mm程度が好ましい。
【0071】
圧縮された微粉シリカ材の厚みを40mm程度にすると、断熱材16の全体としての厚みは75mmとなる。
【0072】
図4に示すように、比較例において通常の材料からなる断熱材の厚みを全体として75mmとして場合の側面放熱量比率(45%)に比べると、本発明によれば、圧縮された微粉シリカ材の厚みを40mmとし断熱材16の全体としての厚みを75mmとした場合の側面放熱量比率は20%となり、側面放熱量比率を格段に減少させることができる。
【0073】
また本発明によれば、圧縮された微粉シリカ材を含む外側断熱材16bは飛散防止材16cにより覆われているため、外側断熱材16b中の微粉シリカ材が外方へ飛散することはない。
【0074】
本発明の変形例
次に本発明の変形例について図5乃至図11により説明する。
【0075】
なお図5乃至図11に示す変形例において、図1乃至図4に示す実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0076】
図5(a)−(c)に示すように、断熱材16は通常の材料からなる内側断熱材16aと、圧縮された微粉シリカ材を含む外側断熱材16bと、飛散防止材16cとを有している。
【0077】
このうち外側断熱材16bは縦方向に分割され放射状に延びる境界面61を介して互いに接する複数の分割部分60からなっている。また内側断熱材16aの内周面には、縦方向に延びる断面矩形状のスリット80が形成されている(図5(a))。このように外側断熱材16bが境界面61を介して互いに接する複数の分割部分60からなり、内側断熱材16aの内周面にスリット80を設けることにより、加熱、冷却の際、外側断熱材16bおよび内側断熱材16aが熱膨張あるいは熱収縮しても、この熱膨張あるいは熱収縮を外側断熱材16bの境界面61および内側断熱材16aのスリット80により吸収することができる。
【0078】
ここで外側断熱材16bの各分割部分60は、圧縮された微粉シリカ材からなりある程度の厚みをもつ原材料を短冊状に切り出すことにより得られる(図5(c)参照)。
【0079】
なお、内側断熱材16aの内周面に断面矩形状のスリット80を形成した例を示したが、内側断熱材16aの内周面に断面三角状のスリット80を形成してもよい(図5(b)参照)。
【0080】
次に外側断熱材16bの変形例について図6(a)−(e)により説明する。
【0081】
図6(a)に示すように、外側断熱材16bは縦方向に分割され放射状に延びる境界面61を介して互いに接する複数の分割部分60からなっている。
【0082】
図6(a)において、横断面からみて境界面61は段部61aを有しており、このため隣り合う分割部分60同士をこの段部61aにおいて嵌め合い結合させることができる。
【0083】
また図6(b)に示すように、外側断熱部16bは縦方向に分割され、放射状に延びる境界面61を介して互いに接する複数の分割部分60からなり、境界面61の外側に外側断熱部16bと同様の材料、すなわち圧縮された微粉シリカ材からなる充てん材63が介在されている。このように境界面61の外側に充てん材63を介在させることにより、分割部分60同士がわずかに離間しても境界面61を通過する熱をこの充てん材63により遮へいすることができ、外側断熱部16bの断熱性能を向上させることができる。
【0084】
さらに図6(c)に示すように、外側断熱部16bは縦方向に分割され境界面61を介して互いに接する複数の分割部分60からなっている。また境界面61は放射方向に対して傾斜している。
【0085】
このように境界面61が放射方向に対して傾斜しているため、分割部分60同士がわずかに離間しても、外側断熱材16bの内面から外面に放熱される熱量を小さく抑えることができる。
【0086】
次に図6(d)(e)に示すように、外側断熱材16bは内面側から外面側に向って多層に配置された複数の円周状薄板65、65を有していてもよい。この場合、各円周状薄板65は圧縮された微粉シリカ材からなっている。
【0087】
また図6(d)において、各円周状薄板65は、縦方向に分割され段部を有する境界面66を介して互いに接する複数の薄板分割部分65aからなっている。各薄板分割部分65aは圧縮された微粉シリカ材からなる平板状の原材料を湾曲することにより形成されている。各円周状薄板65は段部を有する境界面61を介して互いに接する複数の薄板分割部分65aからなるので、隣り合う薄板分割部分65a同士を境界面の段部において嵌め合い結合することができる。
【0088】
また内層側の円周状薄板65の境界面66と、外層側の円周状薄板65の境界面66は、円周方向に互いにずれており、このため外側断熱部16bの内面から外面へ放熱される熱量を小さく抑えることができる。
【0089】
なお、図6(d)に示すように、各円周状薄板65に段部を有する境界面66を設ける代わりに、図6(e)に示すように、各円周状薄板65に放射状に直線状に延びる境界面66を設けてもよい。
【0090】
次に図7(a)−(e)により、断熱材16の更なる変形例について説明する。
【0091】
図7(a)に示すように、断熱材16は通常の断熱材料からなる内側断熱材16aと、圧縮された微粉シリカ材からなる外側断熱材16bと、外側断熱材16bの外面を覆う飛散防止材16cとを有している。
【0092】
このうち、内側断熱材16aは縦方向に分割され境界面71を介して互いに接する複数の分割部分70、70からなる。外側断熱材16bは縦方向に分割され境界面61を介して互いに接する複数の分割部分60、60からなる。
【0093】
この場合、内側断熱材16a、外側断熱材16bおよび飛散防止材16cは、各々断面八角形状をなしている。
【0094】
図7(b)に示すように、断熱材16は通常の断熱材料からなる内側断熱材16aと、圧縮された微粉シリカ材からなる外側断熱材16bと、外側断熱材16bの外面を覆う飛散防止材16cとを有している。
【0095】
このうち、内側断熱材16aは縦方向に分割され境界面71を介して互いに接する複数の分割部分70、70からなる。外側断熱材16bは縦方向に分割され境界面61を介して互いに接する複数の分割部分60、60からなる。
【0096】
この場合、内側断熱材16a、外側断熱材16bおよび飛散防止材16cは、各々多角筒状、例えば八角筒状をなし、各々の断面はこのため多角形状、例えば八角形状となっている。
【0097】
また内側断熱材16aの境界面71と外側断熱材16bの境界面61は円周方向に互いにずれて、断熱材16の内面側から外面側への熱の放出を抑えている。
【0098】
図7(c)に示すように、断熱材16は通常の断熱材料からなる内側断熱材16aと、圧縮された微粉シリカ材からなる外側断熱材16bと、外側断熱材16bの外面を覆う飛散防止材16cとを有している。
【0099】
このうち、外側断熱材16bは縦方向に分割され境界面61を介して互いに接する複数の分割部分60、60からなる。
【0100】
この場合、内側断熱材16aは断面円筒形をなし、外側断熱材16bおよび飛散防止材16cは、各々断面多角形状、例えば八角形状をなし、外側断熱材16bの内面は断面円形状となっている。
【0101】
図7(d)に示すように、断熱材16は通常の断熱材料からなる内側断熱材16aと、圧縮された微粉シリカ材からなる外側断熱材16bと、外側断熱材16bの外面を覆う飛散防止材16cとを有している。
【0102】
このうち、内側断熱材16aは縦方向に分割され境界面71を介して互いに接する複数の分割部分70、70からなる。外側断熱材16bは縦方向に分割され境界面61を介して互いに接する複数の分割部分60、60からなる。
【0103】
この場合、外側断熱材16bおよび飛散防止材16cは、各々断面多角形状、例えば八角形状をなし、また内側断熱材16aは外面が断面多角形状、例えば八角形状をなし内面が断面円形状をなしている。また内側断熱材16aの境界面71と外側断熱材16bの境界面は円周方向に互いにずれて、断熱材16の内面側から外面側への熱の放出を抑えている。
【0104】
図7(e)に示すように、断熱材16は通常の断熱材料からなる内側断熱材16aと、圧縮された微粉シリカ材からなる外側断熱材16bと、外側断熱材16bの外面を覆う飛散防止材16cとを有している。
【0105】
このうち、内側断熱材16aは縦方向に分割され境界面71を介して互いに接する複数の分割部分70、70からなる。外側断熱材16bは縦方向に分割され境界面61を介して互いに接する複数の分割部分60、60からなる。
【0106】
この場合、内側断熱材16a、外側断熱材16bおよび飛散防止材16cは、各々断面多角形状、例えば四角形状をなしている。
【0107】
次に図8(a)−(d)により、断熱材16の更なる変形例について説明する。
【0108】
図8(a)に示すように、断熱材16は通常の断熱材料からなる内側断熱材16aと、圧縮された微粉シリカ材からなる外側断熱材16bと、外側断熱材16bの外面を覆う飛散防止材16cとを有している。
【0109】
このうち、外側断熱材16bは縦方向に分割され境界面61を介して互いに接する複数の分割部分60、60からなる。
【0110】
この場合、内側断熱材16a、外側断熱材16bおよび飛散防止材16cは、各々断面多角形状、例えば八角形状をなしている。
【0111】
図8(b)に示すように、断熱材16は通常の断熱材料からなる内側断熱材16aと、圧縮された微粉シリカ材からなる外側断熱材16bと、外側断熱材16bの外面を覆う飛散防止材16cとを有している。
【0112】
このうち、外側断熱材16bは縦方向に分割され段部61aを有する境界面61を介して互いに接する複数の分割部分60、60からなる。
【0113】
この場合、内側断熱材16a、外側断熱材16bおよび飛散防止材16cは、各々断面多角形状、例えば八角形状をなしている。
【0114】
図8(c)に示すように、断熱材16は通常の断熱材料からなる内側断熱材16aと、圧縮された微粉シリカ材からなる外側断熱材16bと、外側断熱材16bの外面を覆う飛散防止材16cとを有している。
【0115】
このうち、外側断熱材16bは縦方向に分割され境界面61を介して互いに接する複数の分割部分60、60からなる。
【0116】
この場合、内側断熱材16aは断面円筒状をなし、外側断熱材16bおよび飛散防止材16cは、各々断面多角形状、例えば八角形状をなすとともに、外側断熱材16bの内面は断面円形となっている。
【0117】
図8(d)に示すように、断熱材16は通常の断熱材料からなる内側断熱材16aと、圧縮された微粉シリカ材からなる外側断熱材16bと、外側断熱材16bの外面を覆う飛散防止材16cとを有している。
【0118】
このうち、外側断熱材16bは縦方向に分割され境界面61を介して互いに接する複数の分割部分60、60からなる。
【0119】
また外側断熱材16bの境界面61外方には、圧縮された微粉シリカ材からなる充てん材63が設けられている。
【0120】
この場合、内側断熱材16a、外側断熱材16bおよび飛散防止材16cは、各々断面多角形状、例えば八角形状をなしている。
【0121】
次に図9(a)(b)により断熱材16の更に他の変形例について説明する。
【0122】
図9(a)(b)は断熱材16を示す縦断面図である。
【0123】
図9(a)に示すように、断熱材16は通常の断熱材料からなる内側断熱材16aと、圧縮された微粉シリカ材からなる外側断熱材16bと、外側断熱材16bの外面を覆う飛散防止材16cとを有している。
【0124】
このうち内側断熱材16aは境界面66を介して多段に積層された複数の分割部分65を有し、外側断熱材16bは境界76を介して多段に積層された複数の分割部分65を有している。
【0125】
図9(b)に示すように、断熱材16は通常の断熱材料からなる内側断熱材16aと、圧縮された微粉シリカ材からなる外側断熱材16bと、外側断熱材16bの外面を覆う飛散防止材16cとを有している。
【0126】
このうち内側断熱材16aは段部66aを有する境界面66を介して多段に積層された複数の分割部分65を有し、外側断熱材16bは段部76aを有する境界76を介して多段に積層された複数の分割部分65を有している。
【0127】
次に図10により熱処理装置1の変形例について説明する。
【0128】
図10に示すように熱処理装置1は断熱材16と、断熱材16の上部に設けられた上部断熱材31とを有する熱処理炉2を備えている。
【0129】
このうち断熱材16は通常の断熱材料からなる内側断熱材16aと、圧縮された微粉シリカ材からなる外側断熱材16bと、外側断熱材16bの外面を覆う飛散防止材16cとを有している。
【0130】
また上部断熱材31は、通常の断熱材料からなる上部内側断熱材31aと、圧縮された微粉シリカ材からなる上部外側断熱材31bと、上部外側断熱材31bの外面を覆う飛散防止材31cとを有している。
【0131】
さらに断熱材16の下部には、処理容器3側へ延びる下部内側断熱材16eが設けられている。
【0132】
次に図11により熱処理装置1の他の変形例について説明する。
【0133】
図11に示すように熱処理装置1は断熱材16と、断熱材16の上部に設けられた上部断熱材31とを有する熱処理炉2を備えている。
【0134】
このうち断熱材16は通常の断熱材料からなる内側断熱材16aと、圧縮された微粉シリカ材からなる外側断熱材16bと、外側断熱材16bの外面を覆う飛散防止材16cとを有している。
【0135】
また上部断熱材31は、通常の断熱材料からなる上部内側断熱材31aと、圧縮された微粉シリカ材からなる上部外側断熱材31bと、上部外側断熱材31bの外面を覆う飛散防止材31cとを有している。
【0136】
さらに断熱材16の下部には、処理容器3側へ延びる下部内側断熱材16eが設けられている。
【0137】
また処理容器3の下方を覆って蓋体10が設けられており、この蓋体10は通常の断熱材料からなる蓋体用内側断熱材10aと、圧縮された微粉シリカ材からなる蓋体用外側断熱材10bと、蓋体用外側断熱材10bの外面を覆う飛散防止材10cとを有している。
【符号の説明】
【0138】
W 半導体ウエハ(被処理体)
1 熱処理装置
2 熱処理炉
3 処理容器
3a 炉口
16 断熱材
16a 内側断熱材
16b 外側断熱材
16c 飛散防止材
16d 緩衝材
18 ヒータエレメント
38 環状流路
40 強制冷却用冷却媒体吹出し孔
60 分割部分
61 境界面
63 充てん材
65 円周状薄板
65a 薄板分割部分
66 境界面
70 分割部分
71 境界面
80 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理体を収容して熱処理する処理容器と、
該処理容器の周囲を覆う断熱材と、
該断熱材の内周面に沿って配置されたヒータとを備え、
断熱材は内側断熱材と、内側断熱材と別体に設けられた外側断熱材とを有し、
外側断熱材は圧縮された微粉シリカ材を含み、外側断熱材の少なくとも外面は微粉シリカ材の飛散を防止する飛散防止材により覆われていることを特徴とする熱処理炉。
【請求項2】
外側断熱材は、更に微粉炭化ケイ素又は微粉チタニアを含むことを特徴とする請求項1記載の熱処理炉。
【請求項3】
外側断熱材の外面を覆う飛散防止材の外側に、飛散防止材との間で強制冷却用の流路を形成する外皮が設けられ、飛散防止材、外側断熱材および内側断熱材を貫通して強制冷却用冷却媒体吹出し孔が設けられていることを特徴とする請求項1記載の熱処理炉。
【請求項4】
外側断熱材の内面を覆って飛散防止材が設けられ、内側断熱材と外側断熱材の内面側の飛散防止材との間に強制冷却用の流路が形成され、内側断熱材を貫通して強制冷却用冷却媒体吹出し孔が設けられていることを特徴とする請求項1記載の熱処理炉。
【請求項5】
外側断熱材は縦方向に分割され、境界面を介して互いに接する複数の分割部分からなり、各分割部分は短冊形状を有することを特徴とする請求項1記載の熱処理炉。
【請求項6】
外側断熱材の分割部分の境界面は、放射状に延びることを特徴とする請求項5記載の熱処理炉。
【請求項7】
外側断熱材の分割部分の境界面は、放射方向に対して傾斜して延びることを特徴とする請求項5記載の熱処理炉。
【請求項8】
外側断熱材の分割部分の境界面に、圧縮された微粉シリカ材からなる充てん材が介在されていることを特徴とする請求項5記載の熱処理炉。
【請求項9】
外側断熱材は内面側から外面側に向って多層に配置された複数の円周状薄板からなり、各円周状薄板は平板状の薄板を湾曲させて形成されていることを特徴とする請求項5記載の熱処理炉。
【請求項10】
各円周状の薄板は、縦方向に分割され境界面を介して互いに接する複数の薄板分割部分からなることを特徴とする請求項9記載の熱処理炉。
【請求項11】
強制冷却用の流路は、仕切り部材により上下方向に区画された複数の環状流路を含み、各環状流路毎に強制冷却用冷却媒体吹出し孔が設けられていることを特徴とする請求項3または4記載の熱処理炉。
【請求項12】
強制冷却用の流路の各環状流路毎に、強制冷却用の冷却媒体の流量が調整されることを特徴とする請求項11記載の熱処理炉。
【請求項13】
強制冷却用の冷却媒体吹出し孔のうち、外側断熱材に対応する部分は、飛散防止材により覆われていることを特徴とする請求項3記載の熱処理炉。
【請求項14】
外側断熱材の内周面に、縦方向に延びるスリットが設けられていることを特徴とする請求項1記載の熱処理炉。
【請求項15】
内側断熱材は縦方向に分割され境界面を介して互いに接する複数の分割部分からなり、内側断熱材の境界面は外側断熱材の境界面に対して円周方向にずれていることを特徴とする請求項5記載の熱処理炉。
【請求項16】
下部が炉口として開放され被処理体を収納して熱処理するための熱処理炉と、
上記炉口を閉塞する蓋体と、
該蓋体上に載置され被処理体を多段に保持する保持具と、
蓋体および保持具を昇降させて蓋体の開閉と上記処理容器内への保持具の搬入搬出を行なう昇降機構とを備え、
前記熱処理炉は、
被処理体を収容して熱処理する処理容器と、
該処理容器の周囲を覆う断熱材と、
該断熱材の内周面に沿って配置されたヒータとを備え、
断熱材は内側断熱材と、内側断熱材と別体に設けられた外側断熱材とを有し、
外側断熱材は圧縮された微粉シリカ材を含み、外側断熱材の少なくとも外面は微粉シリカ材の飛散を防止する飛散防止材により覆われていることを特徴とする熱処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−7549(P2013−7549A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142102(P2011−142102)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】