説明

燃料タンクを製造する方法

2つのキャビティとコアとを備える型(14)を使用してパリソン(16)を成形することにより、構成要素を備えたプラスチック燃料タンクを製造する方法であって、前記方法が、コアに取り付けられたニードル又は長方形の物体(12)の周囲に構成要素(18)を取り付けるステップと、ニードル又は長方形の物体を移動させ、パリソンを変形させて、それへの開口部を穿孔するステップであって、ニードル又は長方形の物体が、開口部内に構成要素を位置決めするように、ニードル又は長方形の物体を有する構成要素を支持するステップと、ニードル/長方形の物体を引き抜いて、開口部に打ち込まれた構成要素から離すステップとを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構成要素を備えたプラスチック燃料タンクを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の種類の乗用車の燃料タンクは、一般に、それらが構成される使用の種類と、燃料タンクが満たさなければならない環境要件とに関するシール基準及び透過率基準を満たす必要がある。現在、欧州及び世界中の両方において、一般に大気への及び環境への汚染物質エミッションの制限に関する要求がかなり厳しくなっている。
【0003】
これらのエミッションを制限するために、特に、タンク及び/又は充填パイプの内部における構成要素(通気ライン、弁、整流装置、強化材等)の配置に注意が払われる(特に、本出願人名義の(特許文献1)参照)。しかし、これらの構成要素が、成形後のタンクに締結される場合、一般には、これらの構成要素をタンクに導入して、それらの構成要素をそのタンクに締結することができるように、タンクには少なくとも1つの開口部を形成する必要がある。したがって、この開口部に関するシールの問題が潜在する可能性がある。
【0004】
そのため、数年前、本出願人は、タンクの実際の成形中に、構成要素をパリソンに導入して締結し、したがって、開口部を穿孔することを回避することができるように、切断された(2つの部分に切断された)パリソンを最初に成形する方法を開発した(本出願人名義の(特許文献2)参照)。
【0005】
その後、この方法には、これらの構成要素を締結するための特定の手段に向けて複数の改良が施された。特に、(特許文献3)(リベット打ち込みによる構成要素の締結)、(特許文献4)(これらの通気ラインをパリソンに取り付ける間に伸びる湾曲部が存在することによって変形させることができる部分を有する通気ラインの締結)、及び(特許文献5)(サイホンの形成を回避しながらの、理想的な配置による、特に通気ラインに関する構成要素の締結)を参照されたい。
【0006】
これらの改良は、コアを使用することにより、すなわち、パリソンがキャビティ内に配置される場合に型のキャビティの間に挿入することができるような、及びパリソンの縁部を溶接することなく(その理由は、タンクの最終成形、すなわち、パリソン部の溶接が行われるステップの前に、コアを取り出さなければならないからである)、タンクの内部の構成要素をパリソンに締結することができるような適切なサイズ及び形状の部分を使用することにより、行えることができるようになった。このような部分(コア)は、例えば、(特許文献6)に記載されている(このため、その内容は、参照により本出願に援用される)。
【0007】
構成要素を設置することは、いくつかの状況において(例えば、それらの構成要素が、外部との連通を可能にするように壁を通過する構成要素である場合には)、壁が多層である場合にバリヤ層が損傷し、及び/又は全く気密性がない接続部が生じ得る困難な作業である可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2004/024487号パンフレット
【特許文献2】欧州特許第1110697号明細書
【特許文献3】国際公開第2006/008308号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2006/095024号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2007/000454号パンフレット
【特許文献6】英国特許第1410215号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、構成要素が、タンクの壁を通過するように及びタンクの内部容積と外部との間の接続を確立するように意図される場合でも、構成要素の設置が迅速に、正確に及び気密に行われる、燃料タンクを製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このため、本発明は、2つのキャビティとコアとを備える型を使用してパリソンを成形することにより、構成要素を備えたプラスチック燃料タンクを製造する方法であって、
A)パリソンを型キャビティに導入するステップと、
B)最初に構成要素が設けられているコアをパリソンの内部に導入するステップと、
C)キャビティがコアと気密接触するように、型を閉じるステップと、
D)コアを介してブロー成形することによって及び/又はキャビティを介して真空引きすることによって、パリソンをキャビティに押し付けるステップと、
E)コアに取り付けられた装置を使用して、構成要素をパリソンの内壁に設置するステップと、
F)型を開いてコアを取り出すステップと、
G)ブロー成形によって(パリソンの内部に加圧流体を噴射することによって)及び/又は熱成形によって(キャビティを介して真空引きすることによって)、パリソンを最終成形するステップと
を含む方法に関する。
【0011】
さらに、本発明の重要な一態様によれば、本方法は、ステップBにおいて、コアに取り付けられたニードル、又は切断装置を備える他の長方形の物体の周囲に構成要素を取り付けるステップと、ステップEにおいて、
E1)ニードル又は切断装置を移動させ、最初に、パリソンを変形させ、その後、それへの開口部を穿孔するステップであって、ニードル又は長方形の物体が、開口部内に構成要素を位置決めするように、ニードル又は長方形の物体を有する構成要素を支持するステップと、
E2)ニードル又は長方形の物体を引き抜いて、開口部に打ち込まれた構成要素から離すステップと
を含む。
【0012】
簡単にするために、「ニードル」は、一般に、明細書の残部に用いられ、さらに、この用語が、明細書に以下に規定されるように、他の長方形の物体を示すことが理解される。
【0013】
このような「ニードル」を使用して構成要素を取り付けることにより、パリソンの成形中に、構成要素の設置が迅速かつ正確に行われ得る。製造された燃料タンクの品質を向上させつつ、製造コストを低減することが可能であり、得られた接続部は、特に、多層タンクの壁を通過する構成要素の場合でも気密である。この利点は、主に、パリソンが最初に構成要素によって変形され(伸ばされ)、次に、単に切断/穿孔され、これにより、パリソンに対する(より具体的には、多層パリソンの場合におけるバリヤ層に対する)損傷を低減することが見出されたという事実によって得られる。さらに、このことは、内部プラスチック構成要素の周囲のタンク壁のより優れた制御及びより優れた突起成形を可能にする。その上、多層パリソンの場合、この構造により、透過が低減されるようにバリヤ層がさらにフィラーネックの外面に位置決めされる。
【0014】
「燃料タンク」という用語は、種々の及び多様な環境条件及び使用条件下で燃料を貯蔵することができる不透過性タンクを意味すると理解される。このタンクの例は、自動車に備えられるタンクである。
【0015】
本発明による燃料タンクはプラスチックからなる。「プラスチック」という用語は、少なくとも1つの合成樹脂ポリマーを含む任意の材料を意味する。
【0016】
全ての種類のプラスチックが適切であり得る。熱可塑性プラスチックのカテゴリに属するプラスチックが特に適切である。
【0017】
「熱可塑性プラスチック」という用語は、熱可塑性エラストマーを含む任意の熱可塑性ポリマー、及びそれらのブレンドを意味すると理解される。「ポリマー」という用語は、ホモポリマー及びコポリマー(特に二元又は三元コポリマー)の両方を意味すると理解される。このようなコポリマーの例は、ランダムコポリマー、線状ブロックコポリマー、他のブロックコポリマー及びグラフトコポリマーであるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
融点が分解温度未満である任意の種類の熱可塑性ポリマー又はコポリマーが適切である。少なくとも10度にわたる融解範囲を有する合成熱可塑性プラスチックが特に適切である。このような材料の例は、分子量が多分散を示す材料を含む。
【0019】
特に、ポリオレフィン、熱可塑性ポリエステル、ポリケトン、ポリアミド及びそれらのコポリマーを使用することが可能である。ポリマー又はコポリマーのブレンドを使用することも可能であり、同様に、ポリマー材料と、例えばカーボン、塩及び他の無機誘導体、及び天然繊維又はポリマー繊維(しかしこれらに限定されるものではない)等の無機充填剤、有機充填剤及び/又は天然充填剤とのブレンドを使用することも可能である。さらに、上記ポリマー又はコポリマーの少なくとも1つを含む積層結合層からなる多層構造を使用することが可能である。
【0020】
頻繁に使用される1つのポリマーはポリエチレンである。高密度ポリエチレン(HDPE)で優れた結果が得られている。
【0021】
タンクの壁は、単一の熱可塑性プラスチック層、又は2つの層からなり得る。1つ以上の可能な他の追加の層は、有利には、液体及び/又は気体に対するバリヤ層である材料製の層からなり得る。好ましくは、タンクの内面と接触する液体及び気体の透過率を最小にするように、バリヤ層の性質及び厚さが選択される。好ましくは、この層は、バリヤ樹脂、すなわち、燃料に対して不透過性である樹脂、例えばEVOH(部分的に加水分解されたエチレン/ビニルアセテートコポリマー)等に基づく。代わりに、タンクには、燃料に対して不透過性にするための表面処理(フッ素化又はスルホン化)を施してもよい。
【0022】
本発明によるタンクは、好ましくは、HDPEベースの外層の間に配置されたEVOHベースのバリヤ層を備え、EVOH層及びHDPE層は、(一般に、例えば、無水マレイン酸のような酸又は無水物と重合した修正されたPEを含む)接着剤層によって接合される。
【0023】
本発明による方法の利用は、タンクが、液体及び/又は気体に対するバリヤ層であるこのような層を含むと特に有利であることに留意されたい。構成要素が設置され、ある種のフランジ(固定領域)を形成するようにパリソンをタンクの外側に向かって変形させているときに、「ニードル」がパリソンの開口部を穿孔/切断する。外側に向かうパリソンのこの変形中に、組立体(「ニードル」のフランジ及び構成要素)は、好ましくは、型キャビティの1つの適切なサイズ及び形状の孔に収容され、この孔は、好ましくは、ステップE中に(又はステップEの直前に、ステップDが行われた後に)、一般には前記孔内への移動部の後退によって形成される。パリソンへの構成要素の締結中、パリソンの構造は変化せず、すなわち、締結中、種々の材料層は損傷しない。したがって、液体及び/又は気体に対するバリヤ層である層は、さらに締結点を越えて延び、このようにして、構成要素の領域におけるタンクの不透過性を保証することを可能にする。
【0024】
このことは、上記変形中に、バリヤ層を備えるある種のフランジが構成要素の表面に成形され、これにより、さらに、孔への固定を非常に気密かつ不透過性にすることによるものである。
【0025】
本発明によれば、パリソンを成形することによってタンクが形成される。「パリソン」という用語は、一般に、必要な形状及び寸法に成形した後に、押出成形され、かつタンクの壁を形成するように意図される予備成形物を意味すると理解される。この予備成形物は、必ずしも、一体の予備成形物である必要はない。したがって有利には、パリソンは、実際に、例えば2つのシートであり得る2つの別々の部分からなる。さらに、これらの部分は、上記の欧州特許第1110697号明細書に記載されているように、好ましくは、押出成形された全く同じ管状パリソンを切断することにより得られる(このため、その内容は、参照により本出願に援用される)。この変形例によれば、単一のパリソンが押出成形されると、このパリソンがその全長にわたって、直径方向に正反対の2つの線に沿って切断されて、2つの別々の部分(シート)が得られる。
【0026】
別々に押出成形された、一定の厚さの2つのシートの成形と比較して、この方法は、可変の厚さ(すなわち、パリソンの長さにわたって一定ではない厚さ)を有するパリソンの使用を可能にし、これらのパリソンは、適切な押出装置(一般に、位置調整可能なマンドレルを有するダイが設けられた押出機)によって得られる。このようなパリソンでは、型内の材料の変形のレベルが一定でないことによる、パリソンのいくつかの箇所における成形中に生じる厚さの低減が考慮される。
【0027】
パリソンが2つの部分に成形された後、これらの部分は、一般に、燃料タンクの下壁及び上壁のそれぞれを形成し、それらの各々は、(タンクの内側に向いている)内面と(タンクの外側に向いている)外面とを有する。
【0028】
本発明による方法に使用される型は、上記のようなコアと、パリソンの外面に接触するように意図される2つのキャビティとを備え、パリソンは、ブロー成形によって(パリソン内に噴射された加圧ガスを使用してパリソンをこれらのキャビティに押し付けることによって)及び/又は熱成形によって(型キャビティを介して真空引きすることによって)成形される。前に既述したように、キャビティの少なくとも1つは、好ましくは、穿孔ニードルを中に収容するように構成された中空起伏部を備え、さらに、選択的に、(本文献に添付した図に示したような)パリソンの部分で覆っても覆わなくてもよい構成要素の少なくとも1つの部分を備える。
【0029】
好ましくは、成形は、ブロー成形によって行われるが、型が閉じられず、加圧されない場合には、型内にパリソンを保持するために、好ましくは、キャビティを介した吸引(真空引き)も行われる。したがって、その成形は、好ましくは、ステップ(F)の前にガス抜きステップを含む。一般に、このことを行うために、最初に、(例えばニードルでパリソンを穿刺することによって)パリソンが穿孔され、次に、流体が(例えば弁を使用して)型から放出される。この変形例において、上記キャビティの中空起伏部には少なくとも1つのプラグを設けることが有利であり、そのプラグは、タンクを効果的にブロー成形することができるように、ニードルが引き抜かれるときに、適切ならば、パリソン及び構成要素の開口部を閉塞することを可能にする。
【0030】
「構成要素」という用語は、本発明の内容の範囲では、燃料タンクの内部に、燃料タンクの内壁に取り付けられた要素を意味すると理解される。より詳しくは、構成要素は、有利には、構成要素が設置されるときに燃料タンクの壁を通過する通路を備える。本発明は管又はパイプによって優れた結果をもたらす。本発明による構成要素は、通気パイプ、燃料をポンプ供給するための又は(ディーゼルエンジンの場合)燃料をエンジンからタンクに戻すためのライン、フィラーネック、電気ライン(この場合、パイプが一般に電気ケーブルの被覆である)等であり得る。好ましくは、このような構成要素を使用して、あるもの(流体、電力等)を送る。したがって、より好ましくは、構成要素は、フィラーネック、通気パイプ、OBD(オンボード診断)ライン又は電気コネクタである。
【0031】
この変形例において、ニードル/切断装置が、構成要素の通路を通ってその構成要素を穿孔/切断し、一方、外側に向かうパリソンの変形が主に構成要素自体によって生じ、したがって、この構成要素は、穿孔/切断が行われる前に前記変形を実現するように、ニードル/切断装置を「保護する」。さらに、構成要素をタンクに締結するために、この開口部を介して、構成要素が、コアに取り付けられたニードル/長方形の物体に収容される。本発明による方法は、ネックに、特にタンクのフィラーネックに最も特に適切に適用される。この場合、構成要素の通路は流体用の通路に対応し、ニードル/長方形の物体は、少なくともそのベースにおいて、この通路の直径にほぼ等しい直径を有する。
【0032】
本発明の好ましい実施形態によれば、融解したプラスチック材料がパリソンから、「ニードル」を収容している構成要素の開口部に入ることを防止するために、構成要素が「ニードル」に取り付けられるときに、事実上、前記開口部が閉じられ、「ニードル」がパリソンを穿孔/切断するときにのみ、開口部を穿孔/切断する。このため、構成要素の壁の厚さ及び/又は強度が、好ましくは、前記穿孔/切断を可能にするように当該領域に適合される。
【0033】
「ニードル」という用語は、本発明の内容の範囲では、設置されるべき構成要素を一時的に支持するために及びパリソンの開口部を穿孔/切断するために、コアに取り付けられた要素を意味すると理解される。このため、パリソンの方向に及びそれを介してニードルを移動させることができるように、例えば、アクチュエータを用いて、「ニードル」が、好ましくは、コアに対して移動可能に取り付けられる。さらに、パリソンが十分に変形するまで、「ニードル」を移動させて、それを有する構成要素を支持し、次に、開口部が穿孔/切断され、構成要素が留まってパリソンの内面と接触する。ここで、ニードル/切断装置を有する長方形の物体がコアの方向に移動され、すなわち、ニードル/切断装置を有する長方形の物体が、穿孔された開口部から引き抜かれ、外側に向かって変形した穿孔開口部に打ち込まれかつその部分に固定された構成要素から離される。
【0034】
本発明の好ましい実施形態によれば、構成要素は、フラッパードアとして形成されるICV(入口逆止弁)を一体化するフィラーネックである。
【0035】
この実施形態において、前記フィラーネックのフラッパードアが開いているときに、後退位置の切断装置を有するプランジャが前記フィラーネックに導入され、そしてフィラーネックを復元する一体化されたフランジを圧縮成形するために、型キャビティの1つの孔の内部において、組立体がコアによってパリソンに押し付けられる。次に、切断装置が前方に移動され、フィラーネックの端部を通る及びフィラーネックの頂部のパリソンを通る開口部を切断する。最後に、パリソンから切り離された部分を有するプランジャを後退させる。
【0036】
好ましくは、本発明による方法でプランジャ及びその切断装置を再使用することができるように、パリソンから切り離された部分が切断装置から除去される。
【0037】
本発明による方法において、パリソンが本質的にステップD中にタンクの形状及び寸法に成形され、その結果、構成要素がタンクの正確な位置に締結され、引き続く変形が制限されてパリソンを損傷させないことに留意されたい。
【0038】
好ましくは、コアにより、複数の構成要素をタンクの内部に締結することが可能になり、パリソンにおける型の対応する位置において、コアが型に挿入される前に、これらの構成要素が、好ましくはコアに予め組み立てられる(上記の国際公開第2007/000454号パンフレット参照)。
【0039】
本発明の特に有利な一変形例によれば、複数の構成要素は、最初に、コアを載せるために使用される共通の支持体(フレーム)に取り付けられる。したがって、コア内に載せる直前に、構成要素をこのフレームに位置決めして組み立てることが可能であり、このことは、構成要素のX、Y、Z位置における優れた再現性を可能にし、時に複雑であり、すなわち、全く人間工学的でない組立体(例えば換気システム)の取扱いを容易にする。
【0040】
当該部分の重量に応じて、オペレータにより又はロボットにより、フレームを操作することが可能である。コアの搭載に関して、その搭載は、事実上、構成要素をパリソンに締結しかつコアに取り付けられる装置(例えばアクチュエータによって作動されるクランプ)の反対側に配置された構成要素で、フレームをコアに直接締結することによって行われる。この方法は、サイクル時間に関する節約を行うことを可能にするが、その理由は、成形方法に関係なく、支持体に対して種々の構成要素の組立を行うことができるからである。
【0041】
本発明による方法に使用されるコアを使用して、パリソンのブロー成形に必要な加圧ガスを吹き込むことも可能であり、ブロー成形されるべきパリソンが2つの部分にあるときに、本方法の少なくともステップ(C)〜(E)の間に、コアを使用して、これらの2つの部分の縁部を高温に保持することも可能である。
【0042】
最後に、コアを使用して、本方法を少なくとも部分的に監視することも可能である。このため、例えばカメラをコア内に組み込んで、構成要素の取り付けの品質を表示し、画像分析によってチェックすることが可能である。さらに、力、移動、圧力及び温度等の量を測定するための少なくとも1つのセンサをコアに取り付けて、パリソンへの構成要素の締結をより良く監視することが可能である。
【0043】
本発明によれば、構成要素はタンクに(又はより正確にはパリソンに)締結される(「タンク」という用語は、完成した成形物品を意味する)。
【0044】
「締結される」という用語は、構成要素が、タンクの壁と直接接触するか、又は中間の締結手段自体がタンクの壁と直接接触するその中間の締結手段に取り付けられることを意味すると理解される。「接触する」という用語は、(解除することができる)機械的締結又は溶接(又は分子透過)を意味すると理解される。溶接は、成形中にパリソンが融解/軟化されるときに、透過率の観点から優れた結果をもたらし、本発明の内容の範囲における使用に実用的である。(さらに好ましくはパリソンが融解/軟化されるという事実を利用する)他の技術、例えばリベット打ち込み等を用いてもよいことに留意されたい。これは、本出願人名義の仏国特許出願公開第04/08196号明細書に記載されている技術であり、その内容は参照により本出願に援用される。
【0045】
構成要素が締結フランジを備える場合に、開口部の全周で行われる溶接によって、その構成要素をタンクに締結することが可能であり、このようにして、締結部の優れた不透過性が保証される。これらの目的のために、パリソンに向いているフランジの面において、構成要素には、開口部の周囲全体を囲むリブが設けられ得る。
【0046】
構成要素はその機能に適切な任意の材料から製造され得る。周囲に近い温度で流体を搬送するパイプ((一般に、燃料蒸気を吸着するための装置又はキャニスタにタンクの頂部を接続するための)タンク用の通気パイプ、(タンクが充填されているときに、いくらかの蒸気を充填パイプの頂部に送る)蒸気通気ライン、(燃料レベルによる妨害によりノズルを移動させてしまうような)最大燃料レベルを調整するためのライン等)の場合、このパイプは、一般に、プラスチック、特にHDPEベースである。さらに、そのパイプはバリヤ層であるか、又はその全体がバリヤ材料からなり得る。
【0047】
構成要素が(少なくとも表面において)燃料タンクの内面と同じ材料(一般にHDPE)に基づいている場合、(このため一般に、アクチュエータ、例えば油圧アクチュエータを備える)コアに取り付けられる装置を使用して、単に構成要素を表面に押し付けて溶接することにより、タンクへの構成要素の締結を実現することが可能である。
【0048】
本発明の他の特定の態様及び特徴は、添付図面を参照しつつ、実施例によって及びそれほど好ましくない固定方法と比較して、以下に示す少数の有利な実施形態の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】ステップBの間に本発明による方法を行うための装置の概略断面図である。
【図2】ステップCの間における図1の装置の概略断面図である。
【図3】ステップEの間における図1の装置の概略断面図である。
【図4】ステップEの間における図1の装置の変形例の概略断面図である。
【図5】ステップEの間における図1の装置の他の変形例の概略断面図である。
【図6】「ニードル」の代わりの切断装置(2)を有し、フラッパードア(4)を有する構成要素(3)を有する長方形の物体(支持体又はプランジャ)(5)を使用する本発明の好ましい実施形態による方法の概略図である。
【図7】「ニードル」の代わりの切断装置(2)を有し、フラッパードア(4)を有する構成要素(3)を有する長方形の物体(支持体又はプランジャ)(5)を使用する本発明の好ましい実施形態による方法の概略図である。
【図8】「ニードル」の代わりの切断装置(2)を有し、フラッパードア(4)を有する構成要素(3)を有する長方形の物体(支持体又はプランジャ)(5)を使用する本発明の好ましい実施形態による方法の概略図である。
【図9】「ニードル」の代わりの切断装置(2)を有し、フラッパードア(4)を有する構成要素(3)を有する長方形の物体(支持体又はプランジャ)(5)を使用する本発明の好ましい実施形態による方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明による方法の基本サイクルは、コア10、それに取り付けられたニードル12、及び型のキャビティ14を見ることができる図1〜図3に基づいて例示され得る。ステップAの間に、パリソン16が型のキャビティ14に導入される。しかし、前記図は、本発明の核心を正確に反映していないが、その理由は、ステップBが実行された後に、ニードル12が構成要素18から延び、その結果、ステップEの間に、パリソンが外側に向かって変形する前にパリソンの穿孔が行われるからである。さらに、図は、主に、本発明の固定方法が適合する基本的な成形方法を説明するために用いられる。
【0051】
ステップCにおいて、キャビティ14がコア10と気密接触するように、型が閉じられ、その結果、図2に示したようなステップDにおいて、パリソンを型に押し付けることができる。図3を参照して、パリソン16の内面への構成要素18の設置(ステップE)について説明する。パリソン16の内面のその締結要素によって、及びパリソン内に穿孔された開口部によって、構成要素18が型14内へのキャビティの内部に位置するまで、アクチュエータ20を使用して、ニードル12がパリソン16の方向に移動される。次に、ニードル12が引き抜かれ、ニードル12による穿孔によってパリソン16に形成された開口部に打ち込まれた構成要素18から離される。
【0052】
図4には、装置の変形例が示されている。この図は、パリソン16を通過する円筒部22と、パリソンの内面26に接触するフランジ24とを有するフィラーネックを構成要素18として示している。さらに、図示したフランジ24はその周囲全体にわたってリブ28を備える。このリブ28は溶接縁部として役立つ。通路30は、タンクへの充填を行うことができるように、タンクへの接触部として使用されるべき構成要素18にわたって形成される。この通路30の直径はニードル12のベース(円筒部)の直径にほぼ一致する。さらに、構成要素は弁32を備え、この弁は、通路30を閉塞すること、一般には、充填パイプの事故及び/又は抜き取りの場合における燃料損失を回避することを可能にする。
【0053】
さらに、図4には、閉塞装置34が示されている。この閉塞装置34は、移動可能なプラグ38を有するキャビティ部36を備え、移動可能なプラグ38は、タンクの引き続くブロー成形中にタンクからの空気の排出を防止するために、プラグ38が通路30に導入されるときに構成要素18の通路30を閉塞するように移動することが可能である。
【0054】
図5には、図4の変形例と同様の他の変形例が示されている。この図は通路30のその位置のプラグ38を示している。プラグ38が構成要素18の通路30に導入されるときに、移動可能な支持装置40を使用して、構成要素18を所定位置に保持することが可能である。ニードル12によって移動されたパリソンの部分が、スリーブを接続するための末端部42を形成するように、型のキャビティ14が形成される。ここで、プラグ38は、空気がキャビティ14とパリソンの外面との間に吹き込まれることを防止するのにも役立つ。
【0055】
図6は、切断装置(2)と、フラッパードア(4)を有する構成要素(3)とを有するプランジャ(5)を示している。次の図(図7〜図9)には、パリソンの内部に構成要素(3)を固定することが示されている。これらの図に示した構成要素は充填パイプであり、フラッパードアは、ICV(入口逆止弁)の部分であり、シール(図示せず)に当接する(それに向かって押し付けられる)。
【0056】
前記図には、図1及び図2に示したのと同様の方法でステップA〜Dが施された後であると共に、図3及び図4とは異なるステップEも施されているパリソンが示されている。実際に、図7に示したように、プランジャ(5)に収容された構成要素(3)は、型プリント(1)内へのキャビティの内部でパリソンを圧縮成形している。この圧縮成形の終了まで、切断装置(2)は引っ込められたままである。
【0057】
次に、図8に示したように、開口部がパリソン内に切断されるように、前記切断装置(2)が前方に移動される。
【0058】
最後に、図9に示したように、構成要素(3)の及びパリソンの(損失(廃棄)部分(6)を構成する)部分を切断装置(2)から除去することができるように(実際に図9に示したように)、プランジャ(5)及び切断装置(2)が取り外され、その結果、プランジャ及びその切断装置が、本発明による他の方法で再び使用することができるような状態になっている。当該実施形態において、(図4及び図5の一方のような)プラグを使用して、フィラーネック内に切断されている開口部を閉じ、したがって、空気がキャビティとパリソンの外面との間に吹き込まれることを防止することができる。
【0059】
図示していない他の実施形態において、内部プラスチック構成要素を融解材料の内部に押し付けるために使用されるプランジャは、予備切断のみを行い、フィラーネックの先端は、単に、二次動作としてタンクの送風後に完全に開かれる。この実施形態の主な利点は、本方法の第2の送風ステップ中にプラグが緊密性の問題に対処する必要がないことである。
【0060】
さらに、当該実施形態において、フラッパードアが閉じられるとき(このことは、もちろん、最後の送風中に行われるが、その理由は、前記ドアが、この位置において、例えばばねを使用することによりデフォルト状態に(停止状態に)あるからである)、送風サイクルの第2のステップ中に、異なる送風圧力を有するキャビティが形成される。
【0061】
シールが過剰に圧縮されること/損傷されることを防止するために、構成要素の構造は、有利には、(例えば、シールが配置される溝であることができ、シールの圧縮を制限するように適合されている高さを有する機械的なストッパを設けることによって)シールの圧縮に対する限界を予測することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのキャビティとコアとを備える型を使用してパリソンを成形することにより、構成要素を備えたプラスチック燃料タンクを製造する方法であって、
A)パリソンを前記型キャビティに導入するステップと、
B)最初に構成要素が設けられているコアを前記パリソンの内部に導入するステップと、
C)前記キャビティが前記コアと気密接触するように、前記型を閉じるステップと、
D)前記コアを介してブロー成形することによって及び/又は前記キャビティを介して真空引きすることによって、前記パリソンを前記キャビティに押し付けるステップと、
E)前記コアに取り付けられた装置を使用して、前記構成要素を前記パリソンの内壁に設置するステップと、
F)前記型を開いて前記コアを取り出すステップと、
G)ブロー成形及び/又は熱成形によって、前記パリソンを最終成形するステップと
を含み、
ステップBが、前記コアに取り付けられたニードル、又は切断装置を備える長方形の物体の周囲に前記構成要素を取り付けるステップを含み、ステップEが、
E1)前記ニードル又は切断装置を移動させ、最初に、前記パリソンを変形させ、その後、前記パリソンへの開口部を穿孔するステップであって、前記ニードル又は長方形の物体が、前記開口部内に前記構成要素を位置決めするように、前記ニードル又は長方形の物体を有する前記構成要素を支持するステップと、
E2)前記ニードル又は長方形の物体を引き抜いて、前記開口部に打ち込まれた前記構成要素から離すステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記パリソンの前記変形により、前記タンクの外側に向かうフランジが形成され、前記フランジ、前記構成要素及び前記ニードル/長方形の物体が、前記型キャビティの1つにおける適切なサイズ及び形状の孔に収容され、前記孔が前記孔内への移動部の後退によって形成される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パリソンが、押出成形された全く同じ管状パリソンから生じる2つの別々の部分からなり、前記管状パリソンがその全長にわたって、直径方向に正反対の2つの線に沿って切断されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ニードル又は長方形の物体が前記コアに対して移動可能に取り付けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記構成要素がフィラーネック、通気パイプ、OBDライン又は電気コネクタであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記構成要素が、前記ニードル又は前記長方形の物体のベースの直径と同様の直径を有する通路を備え、前記通路を介して、前記ニードル/切断装置が前記パリソンを穿孔し、一方、前記パリソンの前記変形が主に前記構成要素自体によって生じることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記構成要素が前記ニードル/長方形の物体に取り付けられるときに、前記通路が閉じられること、及び前記ニードル/長方形の物体が前記パリソンを穿孔するときにのみ、前記通路が穿孔されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記構成要素が、フラッパードアを備えるICV(入口逆止弁)を一体化するフィラーネックであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ステップEが、
−前記フィラーネックのフラッパードアが開いている間に、後退位置に切断装置を有するプランジャが前記フィラーネックに導入されるステップと、
−前記フィラーネックを復元する一体化されたフランジを圧縮成形するように、組立体が、前記型キャビティの1つの孔の内部において、前記コアにより前記パリソンに押し付けられるステップと、
−前記切断装置が前方に移動され、前記フィラーネックの端部を通る及び前記フィラーネックの頂部の前記パリソンを通る開口部を切断するステップと、
−前記パリソンから切り離された部分を有する前記プランジャを後退させるステップと
を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記パリソンから切り離された前記部分が前記切断装置から除去されること、及び前記プランジャ及びその切断装置が、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法で再使用されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ブロー成形動作であるステップGの間に、プラグを使用して、前記フィラーネック内に切断されている前記開口部を閉じる請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記プランジャが予備切断のみを行い、前記フィラーネックの先端が、単に、二次的な(仕上げの)動作中、前記タンクの成形後に完全に開かれる請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記フラッパードアが、前記ICVに成形された溝に配置されるシールに当接し、前記溝の高さが、ステップG中における前記シールの圧縮を制限するように適合される請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−525439(P2011−525439A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515355(P2011−515355)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057832
【国際公開番号】WO2010/006900
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(507383057)イナジー・オートモーティブ・システムズ・リサーチ・(ソシエテ・アノニム) (65)
【Fターム(参考)】