説明

現像器、現像装置及び画像形成装置

【課題】現像ロールに現像剤を供給することと、現像ロールへの現像剤の供給を遮断することとを、簡易な構成で生産性を低下させることなく行う。
【解決手段】現像剤収容器80が現像剤収容器切り換え経路上に移動し、第1の攪拌搬送部材86及び第2の攪拌搬送部材88の回転が停止すると、または逆回転することにより現像剤収容器80に収容された現像剤の上面の傾斜がなくなる、または逆に傾斜することにより、上述した磁石90の引付極から現像剤の上面までの距離L2が、現像剤を引き付けるように引付極の磁力が作用する距離L0よりも長くなる。距離L2が距離L0よりも長くなると、現像剤収容器80内の現像剤に対して磁石90の引付極の磁力が作用しないので、現像剤収容器80から現像ロール68への現像剤の供給が遮断される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像器、現像装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、1つの現像スリーブと独立的に制御可能な複数の現像粉供給装置を備えた磁気ブラシ現像装置を開示する。特許文献2は、潜像担持体に近接させて配置した現像スリーブと、複数個の現像粉収納容器と、各容器毎にマグネットロールを配設された磁気ブラシ現像装置を開示する。特許文献3は、現像剤収容タンクが複数の種類の現像剤を収容し、現像スリーブと搬送スリーブがそれぞれ1つずつ設けられた多色現像装置を開示する。特許文献4は、回転することによって現像スリーブへ現像剤を送り出すローラと、このローラが停止した場合に現像スリーブのまわりの現像剤を回収する回収部材を有する現像装置を開示する。特許文献5は、現像器に現像液と洗浄液とを交互に循環可能とした液体現像装置を開示する。
【0003】
【特許文献1】特開昭54−73646号公報
【特許文献2】特開昭54−124733号公報
【特許文献3】特開昭61−020961号公報
【特許文献4】特開昭61−201271号公報
【特許文献5】特開平5−158321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、現像ロールに現像剤を供給することと、現像ロールへの現像剤の供給を遮断することとを、簡易な構成で生産性を低下させることなく行うことができる現像器、現像装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1に係る本発明は、スリーブ内に磁石を具備し、前記磁石の磁力によって保持する現像剤を像保持体に供給する現像ロールと、この現像ロールに供給する現像剤を収容する現像剤収容部と、この現像剤収容部が収容する現像剤を前記磁石の磁力作用範囲内へ移動させることにより、前記現像ロールに現像剤を供給する現像剤供給手段と、前記現像剤収容部が収容する現像剤と前記磁石との距離を、前記磁石の磁力が作用する距離よりも長くすることにより、前記現像ロールへの現像剤の供給を遮断する供給遮断手段とを有する現像器である。
【0006】
請求項2に係る本発明は、前記供給遮断手段は、前記現像剤収容部が収容する現像剤を前記磁石の磁力作用範囲外へ移動させることにより、前記現像ロールへの現像剤の供給を遮断する請求項1記載の現像器である。
【0007】
請求項3に係る本発明は、前記供給遮断手段は、前記現像剤収容部を移動させることにより、前記現像剤収容部が収容する現像剤と前記磁石との距離を、前記磁石の磁力が作用する距離よりも長くする請求項1又は2記載の現像器である。
【0008】
請求項4に係る本発明は、前記供給遮断手段は、前記現像剤供給手段が現像剤を移動させることを停止させることにより、前記現像剤収容部が収容する現像剤と前記磁石との距離を、前記磁石の磁力が作用する距離よりも長くする請求項1乃至3いずれか記載の現像器である。
【0009】
請求項5に係る本発明は、現像剤を退避させるための現像剤退避部をさらに有し、前記供給遮断手段は、前記現像剤退避部に現像剤を退避させることにより、前記現像ロールへの現像剤の供給を遮断する請求項1乃至4いずれか記載の現像器である。
【0010】
請求項6に係る本発明は、前記供給遮断手段は、現像剤の自重によって前記現像剤退避部に現像剤を退避させる請求項5記載の現像器である。
【0011】
請求項7に係る本発明は、前記供給遮断手段は、前記現像ロールの軸方向に略直交する方向に現像剤を退避させる請求項5又は6記載の現像器である。
【0012】
請求項8に係る本発明は、前記供給遮断手段は、前記現像ロールを移動させることにより、前記現像ロールへの現像剤の供給を遮断する請求項1記載の現像器である。
【0013】
請求項9に係る本発明は、前記供給遮断手段は、前記現像ロールが前記像保持体に現像剤を供給した後に残留する現像剤を前記現像剤収容部に回収可能な方向に、前記現像ロールを移動させる請求項8記載の現像器である。
【0014】
請求項10に係る本発明は、スリーブ内に磁石を具備し、前記磁石の磁力によって保持する現像剤を像保持体に供給する現像ロールと、回転軸を中心にして回転する回転体と、この回転体に設けられ、前記現像ロールに供給する現像剤を収容する複数の現像剤収容部と、該複数の現像剤収容部が収容する現像剤を前記磁石の磁力作用範囲内へ移動させることにより、前記現像ロールに現像剤を供給する現像剤供給手段と、前記複数の現像剤収容部が収容する現像剤と前記磁石との距離を、前記磁石の磁力が作用する距離よりも長くすることにより、前記現像ロールへの現像剤の供給を遮断する供給遮断手段とを有する現像装置である。
【0015】
請求項11に係る本発明は、前記供給遮断手段は、前記現像剤収容部が収容する現像剤を前記磁石の磁力作用範囲外へ移動させることにより、前記現像ロールへの現像剤の供給を遮断する請求項10記載の現像装置である。
【0016】
請求項12に係る本発明は、前記供給遮断手段は、前記現像剤収容部を移動させることにより、前記現像剤収容部が収容する現像剤と前記磁石との距離を、前記磁石の磁力が作用する距離よりも長くする請求項10又は11記載の現像装置である。
【0017】
請求項13に係る本発明は、前記供給遮断手段は、前記回転体を回転又は移動させることにより、前記現像剤収容部が収容する現像剤と前記磁石との距離を、前記磁石の磁力が作用する距離よりも長くする請求項10乃至12いずれか記載の現像装置である。
【0018】
請求項14に係る本発明は、前記供給遮断手段は、前記回転体の回転又は移動に連動して、前記現像剤供給手段が現像剤を移動させることを停止、または逆方向に移動させることにより、前記現像剤収容部が収容する現像剤と前記磁石との距離を、前記磁石の磁力が作用する距離よりも長くする請求項13記載の現像装置である。
【0019】
請求項15に係る本発明は、前記現像ロールは、前記回転体と対向する位置で前記回転体と異なる方向に回転する部分を有し、前記回転体は、前記現像ロールに残留する現像剤を前記現像剤収容部が回収可能な位置で停止する請求項10乃至14いずれか記載の現像装置である。
【0020】
請求項16に係る本発明は、前記現像剤収容部は、前記現像ロールから回収する現像剤を該現像剤収容部に案内するよう変形する変形案内部を有する請求項15記載の現像装置である。
【0021】
請求項17に係る本発明は、現像剤を退避させるための現像剤退避部をさらに有し、前記供給遮断手段は、前記現像剤退避部に現像剤を退避させることにより、前記現像ロールへの現像剤の供給を遮断する請求項10乃至16いずれか記載の現像装置である。
【0022】
請求項18に係る本発明は、前記供給遮断手段は、現像剤の自重によって前記現像剤退避部に現像剤を退避させる請求項17記載の現像装置である。
【0023】
請求項19に係る本発明は、前記供給遮断手段は、前記現像ロールの軸方向に略直交する方向に現像剤を退避させる請求項17又は18記載の現像装置である。
【0024】
請求項20に係る本発明は、前記回転体は、前記現像剤退避部に退避した現像剤が自重によって復帰するよう回転する請求項17乃至19いずれか記載の現像装置である。
【0025】
請求項21に係る本発明は、前記供給遮断手段は、前記現像ロールを移動させることにより、前記現像ロールへの現像剤の供給を遮断する請求項10記載の現像装置である。
【0026】
請求項22に係る本発明は、前記供給遮断手段は、前記回転体の回転方向上流側に前記現像ロールを移動させる請求項21記載の現像装置である。
【0027】
請求項23に係る本発明は、像保持体と、スリーブ内に磁石を具備し、前記磁石の磁力によって保持する現像剤を前記像保持体に供給する現像ロールと、この現像ロールに供給する現像剤を収容する現像剤収容部と、この現像剤収容部が収容する現像剤を前記磁石の磁力作用範囲内へ移動させることにより、前記現像ロールに現像剤を供給する現像剤供給手段と、前記現像剤収容部が収容する現像剤と前記磁石との距離を、前記磁石の磁力が作用する距離よりも長くすることにより、前記現像ロールへの現像剤の供給を遮断する供給遮断手段とを有する画像形成装置である。
【0028】
請求項24に係る本発明は、像保持体と、スリーブ内に磁石を具備し、前記磁石の磁力によって保持する現像剤を前記像保持体に供給する現像ロールと、回転軸を中心にして回転する回転体と、この回転体に設けられ、前記現像ロールに供給する現像剤を収容する複数の現像剤収容部と、該複数の現像剤収容部が収容する現像剤を前記磁石の磁力作用範囲内へ移動させることにより、前記現像ロールに現像剤を供給する現像剤供給手段と、前記複数の現像剤収容部が収容する現像剤と前記磁石との距離を、前記磁石の磁力が作用する距離よりも長くすることにより、前記現像ロールへの現像剤の供給を遮断する供給遮断手段とを有する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0029】
請求項1に係る本発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、現像ロールに現像剤を供給することと、現像ロールへの現像剤の供給を遮断することとを、簡易な構成で生産性を低下させることなく行うことができる。
【0030】
請求項2に係る本発明によれば、請求項1に係る本発明の効果に加えて、現像剤が移動しない場合に比較して、現像ロールに現像剤を供給することと、現像ロールへの現像剤の供給を遮断することとを、簡易な構成で生産性を低下させることなく行うことができる。
【0031】
請求項3に係る本発明によれば、請求項1又は2に係る本発明の効果に加えて、現像剤収容部が移動しない場合に比較して、生産性を低下させることなく、現像ロールに現像剤を供給することと、現像ロールへの現像剤の供給を遮断することとを行うことができる。
【0032】
請求項4に係る本発明によれば、請求項1乃至3いずれかに係る本発明の効果に加えて、現像剤供給手段が現像剤を移動させることを停止させない場合に比較して、生産性を低下させることなく、現像ロールに現像剤を供給することと、現像ロールへの現像剤の供給を遮断することとを行うことができる。
【0033】
請求項5に係る本発明によれば、請求項1乃至4いずれかに係る本発明の効果に加えて、現像剤退避部を有しない場合に比較して、生産性を低下させることなく、現像ロールに現像剤を供給することと、現像ロールへの現像剤の供給を遮断することとを行うことができる。
【0034】
請求項6に係る本発明によれば、請求項5に係る本発明の効果に加えて、本構成を有していない場合に比較して、現像ロールに現像剤を供給することと、現像ロールへの現像剤の供給を遮断することとを、簡易な構成で生産性を低下させることなく行うことができる。
【0035】
請求項7に係る本発明によれば、請求項5又は6に係る本発明の効果に加えて、本構成を有していない場合に比較して、現像ロールに現像剤を供給することと、現像ロールへの現像剤の供給を遮断することとを、簡易な構成で生産性を低下させることなく行うことができる。
【0036】
請求項8に係る本発明によれば、請求項1に係る本発明の効果に加えて、本構成を有していない場合に比較して、現像ロールに現像剤を供給することと、現像ロールへの現像剤の供給を遮断することとを、簡易な構成で生産性を低下させることなく行うことができる。
【0037】
請求項9に係る本発明によれば、請求項8に係る本発明の効果に加えて、本構成を有していない場合に比較して、現像ロールに現像剤を供給することと、現像剤を回収することとを、簡易な構成で行うことができる。
【0038】
請求項10に係る本発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、現像ロールに現像剤を供給することと、現像ロールへの現像剤の供給を遮断することとを、簡易な構成で生産性を低下させることなく行うことができる。
【0039】
請求項11に係る本発明によれば、請求項10に係る本発明の効果に加えて、現像剤が移動しない場合に比較して、現像ロールに現像剤を供給することと、現像ロールへの現像剤の供給を遮断することとを、簡易な構成で生産性を低下させることなく行うことができる。
【0040】
請求項12に係る本発明によれば、請求項10又は11に係る本発明の効果に加えて、現像剤収容部が移動しない場合に比較して、生産性を低下させることなく、現像ロールに現像剤を供給することと、現像ロールへの現像剤の供給を遮断することとを行うことができる。
【0041】
請求項13に係る本発明によれば、請求項10乃至12いずれかに係る本発明の効果に加えて、本構成を有していない場合に比較して、現像ロールに現像剤を供給することと、現像ロールへの現像剤の供給を遮断することとを、簡易な構成で生産性を低下させることなく行うことができる。
【0042】
請求項14に係る本発明によれば、請求項13に係る本発明の効果に加えて、本構成を有していない場合に比較して、現像ロールに現像剤を供給することと、現像ロールへの現像剤の供給を遮断することとを、簡易な構成で生産性を低下させることなく行うことができる。
【0043】
請求項15に係る本発明によれば、請求項10乃至14いずれかに係る本発明の効果に加えて、本構成を有していない場合に比較して、現像ロールに現像剤を供給することと、現像剤を回収することとを、簡易な構成で行うことができる。
【0044】
請求項16に係る本発明によれば、請求項15に係る本発明の効果に加えて、本構成を有していない場合に比較して、回転体の停止位置に対する制限を小さくして、現像剤を回収することができる。
【0045】
請求項17に係る本発明によれば、請求項10乃至16いずれかに係る本発明の効果に加えて、現像剤退避部を有しない場合に比較して、生産性を低下させることなく、現像ロールに現像剤を供給することと、現像ロールへの現像剤の供給を遮断することとを行うことができる。
【0046】
請求項18に係る本発明によれば、請求項17に係る本発明の効果に加えて、本構成を有していない場合に比較して、現像ロールに現像剤を供給することと、現像ロールへの現像剤の供給を遮断することとを、簡易な構成で生産性を低下させることなく行うことができる。
【0047】
請求項19に係る本発明によれば、請求項17又は18に係る本発明の効果に加えて、本構成を有していない場合に比較して、現像ロールに現像剤を供給することと、現像ロールへの現像剤の供給を遮断することとを、簡易な構成で生産性を低下させることなく行うことができる。
【0048】
請求項20に係る本発明によれば、請求項17乃至19いずれかに係る本発明の効果に加えて、本構成を有していない場合に比較して、現像ロールに現像剤を供給することと、現像ロールへの現像剤の供給を遮断することとを、簡易な構成で生産性を低下させることなく行うことができる。
【0049】
請求項21に係る本発明によれば、請求項10に係る本発明の効果に加えて、本構成を有していない場合に比較して、現像ロールに現像剤を供給することと、現像ロールへの現像剤の供給を遮断することとを、簡易な構成で生産性を低下させることなく行うことができる。
【0050】
請求項22に係る本発明によれば、請求項21に係る本発明の効果に加えて、本構成を有していない場合に比較して、現像ロールに現像剤を供給することと、現像ロールへの現像剤の供給を遮断することとを、簡易な構成で生産性を低下させることなく行うことができる。
【0051】
請求項23に係る本発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、現像ロールに現像剤を供給することと、現像ロールへの現像剤の供給を遮断することとを、簡易な構成で生産性を低下させることなく行うことができる。
【0052】
請求項24に係る本発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、現像ロールに現像剤を供給することと、現像ロールへの現像剤の供給を遮断することとを、簡易な構成で生産性を低下させることなく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
次に本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1において、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置10の概要が示されている。画像形成装置10は、画像形成装置本体12を有し、この画像形成装置本体12の背面側(図1において右側)に例えば1段の給紙ユニット14が配置されている。
【0054】
給紙ユニット14は、用紙が収容される給紙カセット16を有する。給紙カセット16の上部には、給紙カセット16から用紙を取り出す取り出しロール18が配置され、この取り出しロール18の前方に供給ロール20及び捌きロール22が配置されている。
【0055】
供給ロール20は、図示しない駆動部によって駆動され、用紙を後述する搬送路24に向けて供給するように回転する。捌きロール22は、供給ロール20に対して圧接され、供給ロール20の回転に応じて回転可能にされており、供給ロール20とともに用紙を1枚ずつ後述する搬送路24に向けて供給するように回転する。
【0056】
搬送路24は、供給ロール20から排出口26までの用紙通路であり、この搬送路24は、画像形成装置本体12の上部にあって、給紙ユニット14から排出口26まで略水平に形成されている。この搬送路24の定着装置28の上流側に後述する二次転写ロール60と二次転写バックアップロール54とが配置され、二次転写ロール60と二次転写バックアップロール54の上流側にレジストロール30が配置されている。また、搬送路24の排出口26の近傍には排出ロール32が配置されている。
【0057】
したがって、給紙ユニット14の給紙カセット16から取り出しロール18により取り出された用紙は、供給ロール20及び捌きロール22により捌かれて最上部の用紙のみ搬送路24に導かれ、レジストロール30により一時停止され、タイミングをとって後述する二次転写ロール60と二次転写バックアップロール54との間を通って現像剤像が転写され、この転写された現像剤像が定着装置28により定着され、排出ロール32により排出口26から排出される。
【0058】
画像形成装置本体12には、例えば略中央部に現像装置34が配置されている。現像装置34は、イエロー(Yellow)、マゼンタ(Magenta)、シアン(Cyan)及び黒(Black)の4色の現像剤により、後述する像保持体36が保持する静電潜像を可視化する。
【0059】
現像装置34には、例えば感光体からなる像保持体36が画像形成装置10の正面側(図1において左側)の上方から当接するように配置されている。像保持体36の背面側には、該像保持体36を一様帯電する例えば帯電ロールからなる帯電装置38が設けられている。つまり像保持体36には、現像バイアスがかけられている。また、像保持体36には、該像保持体36の回転方向の帯電装置38よりも上流側に像保持体用クリーナ40が当接している。像保持体用クリーナ40は、例えば一次転写後に像保持体36に残留する現像剤を掻き取る。
【0060】
現像装置34の上方には、帯電装置38により帯電された像保持体36に、レーザ光などの光線により潜像を書き込む露光装置42が配置されている。また、像保持体36の正面側には、現像装置34によって可視化された現像剤像を一次転写位置で一次転写され、後述する二次転写位置まで搬送する中間転写装置44が設けられている。
【0061】
中間転写装置44は、例えば中間転写ベルトなどの中間転写体46、一次転写ロール48、支持ロール50,52、二次転写位置で二次転写ロール60に対向し、中間転写体46を支持する二次転写バックアップロール54、テンションロール56,58から構成される。中間転写体46は、一次転写ロール48の上流に配置された支持ロール50と、一次転写ロール48の下流に配置された支持ロール52との間で像保持体36にラップ状に当接する一次転写部を有し、像保持体36に所定の範囲だけ巻きついて、像保持体36の回転に従って回転する。テンションロール56,58は、中間転写体46に所定の張力を与えている。そして、中間転写体46は、一次転写ロール48によって像保持体36上の現像剤像を例えばイエロー、マゼンタ、シアン、黒の順に重ねて一次転写され、この一次転写された現像剤像を後述する二次転写ロール60に向けて搬送する。
【0062】
中間転写装置44の二次転写バックアップロール54には、搬送路24を挟んで二次転写ロール60が配置されている。つまり、二次転写ロール60と二次転写バックアップロール54との間が二次転写位置となっており、二次転写ロール60は、二次転写バックアップロール54の補助により、中間転写体46に一次転写された現像剤像を二次転写位置で用紙に二次転写する。ここで、二次転写ロール60は、中間転写体46が3回転する間、すなわちイエロー、マゼンタ、シアンの3色の現像剤像を搬送する間は中間転写体46から離間しており、黒の現像剤像が転写されると中間転写体46に当接するようにされている。なお、二次転写ロール60と二次転写バックアップロール54との間には、所定の電位差が生じるようにされており、例えば二次転写ロール60を高電圧にした場合には、二次転写バックアップロール54はグランド(GND)などに接続される。
【0063】
搬送路24の二次転写位置の下流には、定着装置28が配置されている。定着装置28は、加熱ロールと加圧ロールとを有し、二次転写ロール60及び二次転写バックアップロール54により用紙に二次転写された現像剤像を用紙に定着させ、排出ロール32に向けて搬送する。
【0064】
また、画像形成装置10の内部には、画像形成装置10を構成する各部を制御する制御部62が設けられている。
【0065】
次に現像装置34について詳述する。
図2において、現像装置34が示されている。現像装置34は、現像装置本体66、現像ロール68及び層厚規制部材70を有する。
【0066】
現像装置本体(回転体)66は、イエロー(Yellow)、マゼンタ(Magenta)、シアン(Cyan)及び黒(Black)の現像剤をそれぞれ収容する現像剤収容器80a〜80dが設けられており、回転軸82を中心として例えば反時計回り(図2において左回り)に回転可能にされ、現像剤収容器80a〜80dが回転軸82を中心とした現像剤収容器切り換え経路に沿って順次に現像ロール68に対向する位置に移動するようにされている。
【0067】
現像剤収容器80a〜80dは、開口部84a〜84d、第1の攪拌搬送部材86a〜86d及び第2の攪拌搬送部材88a〜88dが設けられており、現像ロール68に供給する上述した4色の現像剤を個別に収容する。また、現像剤収容器80a〜80dは、例えば、現像装置本体66の回転に応じて、開口部84a〜84dが正面側(図2において左側)の上方を向いたまま現像剤収容器切り換え経路に沿って移動するようにされている。さらに、現像剤収容器80a〜80dは、現像ロール68に対向する位置に移動した場合に、上述した現像剤収容器切り換え経路から例えば上方へ外れた現像剤供給回収位置へ移動可能にされている。
【0068】
第1の攪拌搬送部材86は、例えば螺旋形状の部材であって反時計回り(図2において左回り)に回転し、現像剤を攪拌しつつ第2の攪拌搬送部材88へ搬送する。第2の攪拌搬送部材88は、例えば螺旋形状の部材であって反時計回りに回転し、現像剤を攪拌するとともに、現像剤供給回収位置に現像剤収容器80が移動した場合に現像剤を現像ロール68に供給する。また、第1の攪拌搬送部材86及び第2の攪拌搬送部材88は、現像剤を攪拌しつつ搬送し、現像剤収容器80内で循環させている。そして、現像剤収容器80が現像剤供給回収位置に移動すると、現像剤収容器80内の現像剤が現像ロール68に供給されるとともに、現像ロール68に残留する現像剤が現像ロール68から現像剤収容器80に回収されるようになっている。
【0069】
なお、現像剤収容器80a〜80dが収容している現像剤は、例えば非磁性トナー及び磁性キャリアを有する2成分現像剤であり、第1の攪拌搬送部材86a〜86d及び第2の攪拌搬送部材88a〜88dによって攪拌されることにより、磁性キャリアの周囲に非磁性トナーが付着するようにされている。
以下、現像剤収容器80a〜80dなど複数ある構成部分のいずれかを特定せずに示す場合には、単に「現像剤収容器80」などと略記することがある。
【0070】
現像ロール68は、軸方向に延びたN極及びS極を複数備えて固定された略円柱状の磁石90と、この磁石90を内部に収容して例えば反時計回り(図2において左回り)に回転し、該磁石90の磁力に応じて現像剤を周方向に搬送するスリーブ92とを有する。磁石90には、像保持体36に対向して配置されて現像ロール68上の現像剤を像保持体36へ供給する磁極(現像極)と、現像剤収容器80側上部に配置されて現像剤収容器80から現像剤を引き付ける磁極(引付極)と、現像剤収容器80側下部に配置されて現像剤を反発させる磁極(剥離極:例えば隣接する2つのS極)とが設けられている。
層厚規制部材70は、現像ロール68の表面に付着した(現像ロール68が保持した)現像剤の層厚を規制する。
【0071】
次に、現像ロール68への現像剤の供給と、現像ロール68からの現像剤の回収について説明する。
図3は、現像剤収容器80が現像剤供給回収位置へ移動した状態を示す拡大図である。現像剤収容器80の現像剤供給回収位置は、上述したように、現像剤収容器80が現像装置本体66の回転に応じて移動する現像剤収容器切り換え経路上で現像ロール68に対向する位置に移動した場合に、さらに現像剤収容器80が現像剤収容器切り換え経路から上方に移動した位置である。
【0072】
現像剤収容器80が現像剤供給回収位置に移動した場合に、上述した磁石90の引付極から現像剤の上面までの距離L1が、現像剤を引き付けるように引付極の磁力が作用する距離L0以下になり、現像剤収容器80内の現像剤が引付極の磁力によってスリーブ92の表面に付着する。つまり、現像剤収容器80に収容された現像剤が現像ロール68に供給される。
【0073】
現像ロール68に供給された現像剤は、上述した磁石90の現像極の作用によって像保持体36へ供給される。また、スリーブ92の表面に残留する現像剤は、上述した磁石90の剥離極の作用によって剥離され、現像剤収容器80に回収される。
【0074】
次に、現像ロール68への現像剤供給の遮断について説明する。
図4は、現像剤収容器80から現像ロール68への現像剤の供給を遮断するために、下方へ移動した状態の現像剤収容器80及びその周辺を示す概略図であって、(A)は側面図であり、(B)は正面図である。
現像ロール68が像保持体36に対して現像剤を供給し、像保持体36が保持する静電潜像が可視化されると、制御部62は、現像ロール68への現像剤の供給を遮断する。
現像剤収容器80から現像ロール68への現像剤の供給を遮断する場合、制御部62は、現像剤収容器80を現像剤供給回収位置から上述した現像剤収容器切り換え経路へ向けて下降させる。現像剤収容器80が下降すると、図4(B)に示すように、画像形成装置本体12に設けられた駆動伝達部100と、現像剤収容器80に設けられた駆動伝達部102との連結が解除されるようになっている。第1の攪拌搬送部材86及び第2の攪拌搬送部材88は、駆動伝達部100と駆動伝達部102との連結が解除されると、回転が停止するようにされている。
【0075】
図4(A)に示すように、現像剤収容器80が現像剤収容器切り換え経路上に移動し、第1の攪拌搬送部材86及び第2の攪拌搬送部材88の回転が停止すると、または逆回転することにより現像剤収容器80に収容された現像剤の上面の傾斜がなくなる、または逆に傾斜することにより、上述した磁石90の引付極から現像剤の上面までの距離L2が、現像剤を引き付けるように引付極の磁力が作用する距離L0よりも長くなる。距離L2が距離L0よりも長くなると、現像剤収容器80内の現像剤に対して磁石90の引付極の磁力が作用しないので、現像剤収容器80から現像ロール68への現像剤の供給が遮断される。
【0076】
なお、現像装置34は、現像剤収容器80を現像剤供給回収位置から現像剤収容器切り換え経路へ向けて下降させること、又は、第1の攪拌搬送部材86及び第2の攪拌搬送部材88の回転を停止させることのいずれかによって、距離L2が距離L0よりも長くなるように構成されてもよい。
【0077】
次に、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置10の作用について説明する。
画像形成信号が送られると、像保持体36が帯電装置38により一様に帯電され、この帯電された像保持体36には、画像信号に基づいて露光装置42から光線が出射される。露光装置42からの光線は、像保持体36の表面を露光し、静電潜像が形成される。
【0078】
像保持体36に保持された静電潜像は、現像剤の色ごとに現像装置34により現像され、中間転写体46に一次転写される。そして、中間転写体46上で各色の現像剤像が重ね合わされて、カラー画像が形成される。
ここで、現像ロール68には、現像剤収容器80a〜80dからイエロー、マゼンタ、シアン及び黒の現像剤がそれぞれ供給される。そして、現像ロール68に過剰に供給された現像剤は、現像ロール68に次の色の現像剤が供給される前に同じ色の現像剤収容器80に回収される。また、現像剤収容器80a〜80dは、現像ロール68による1つの色の現像が終わるごとに、現像ロール68への現像剤の供給を遮断する。一次転写において、像保持体36に残留する廃現像剤は、像保持体用クリーナ40によって掻き取られ、回収される。
【0079】
一方、給紙信号等により、給紙カセット16に収容された用紙は、取り出しロール18により取り出され、供給ロール20及び捌きロール22により捌かれて最上部の用紙のみ搬送路24に導かれ、レジストロール30により一次停止され、タイミングをとって二次転写ロール60と二次転写バックアップロール54との間に導かれる。用紙が二次転写ロール60と二次転写バックアップロール54との間に導かれると、中間転写体46に一次転写されている現像剤像が二次転写ロール60と二次転写バックアップロール54とによって用紙に二次転写される。
【0080】
現像剤像を転写された用紙は、定着装置28に導かれ、加熱ロールと加圧ロールとによって現像剤像を定着される。現像剤像が定着した用紙は、排出ロール32により排出口26から排出される。
【0081】
なお、画像形成装置10は、例えばモノクロ画像のみを形成するものであってもよく、例えば、現像装置34が、1つの現像剤収容器80、現像ロール68及び層厚規制部材70を具備し、1色の現像剤で静電潜像を可視化する現像器として構成されてもよい。
【0082】
次に、現像装置34の変形例について説明する。
図5は、現像装置34の第1の変形例における現像剤収容器80及びその周辺を示す側面図である。以下、現像装置34の変形例において、図2乃至図4に示した現像装置34を構成する部分と実質的に同一のものには、同一の符号が付してある。
図5に示した現像剤収容器80は、現像剤供給回収位置から現像剤収容器切り換え経路へ向けて移動する場合に、鉛直方向下方に限定されることなく移動するようにされている。ただし、現像剤収容器80は、収容している現像剤(又は開口部84)が移動する方向に、磁石90の周方向で引付極に近づく方向の成分が含まれないように移動するようにされている。
【0083】
図6は、現像装置34の第2の変形例における現像剤収容器80及びその周辺を示す側面図である。
図6に示した現像剤収容器80は、現像剤供給回収位置から現像剤収容器切り換え経路へ向けて移動する場合に、現像ロール68から回収する現像剤を現像剤収容器80に案内するよう変形する変形案内部104が設けられている。変形案内部104は、例えば現像剤収容器80が現像剤供給回収位置から現像剤収容器切り換え経路へ向けて移動する場合にスライドするスライド部106を含み、このスライド部106が移動することによって変形する。
なお、現像剤収容器80が移動する方向は、図5に示した第1の変形例のように、収容している現像剤(又は開口部84)が移動する方向に、磁石90の周方向で引付極に近づく方向の成分が含まれないように移動するようにされている。
【0084】
図7は、現像装置34の第3の変形例における現像剤収容器80及びその周辺を示す側面図である。
図7に示した現像剤収容器80は、現像剤収容器80から現像ロール68への現像剤の供給を遮断する場合、例えば第2の攪拌搬送部材88の回転軸を中心に下方へ揺れ動くことにより、磁石90の引付極から現像剤の上面までの距離L2を上述した距離L0よりも長くするようにされている。
【0085】
図8は、現像装置34の第4の変形例における現像剤収容器80及びその周辺を上方から見た断面図であって、(A)は現像剤収容器80から現像ロール68へ現像剤を供給している状態を示す断面図であり、(B)は現像剤収容器80から現像ロール68への現像剤の供給を遮断している状態を示す断面図である。
図8に示した現像剤収容器80は、第2の攪拌搬送部材88の軸方向に設けられた空間である現像剤退避部110を有する。
【0086】
図8(A)に示すように、現像剤収容器80から現像ロール68へ現像剤を供給する場合、第1の攪拌搬送部材86及び第2の攪拌搬送部材88が正回転し、現像剤退避部110には現像剤が流れ込まないようにされている。
【0087】
一方、図8(B)に示すように、現像剤収容器80から現像ロール68への現像剤の供給を遮断する場合、制御部62は、第1の攪拌搬送部材86の回転を停止させ、第2の攪拌搬送部材88を逆回転させることによって、第2の攪拌搬送部材88の周辺の現像剤を現像剤退避部110へ退避させる。
【0088】
なお、現像剤収容器80から現像ロール68への現像剤の供給を遮断した状態から、現像ロール68へ現像剤を供給するように変更する場合、制御部62は、第2の攪拌搬送部材88を正転させることによって、現像剤退避部110へ退避させた現像剤を第2の攪拌搬送部材88の周辺に移動させる。
【0089】
図9は、現像装置34の第5の変形例における現像剤収容器80及びその周辺を示す側面図であって、(A)は現像剤収容器80から現像ロール68へ現像剤を供給している状態を示す側面図であり、(B)は現像剤収容器80から現像ロール68への現像剤の供給を遮断している状態を示す側面図である。
図9に示した現像剤収容器80には、第1の攪拌搬送部材86が搬送する現像剤の上面の高さと、第2の攪拌搬送部材88が搬送する現像剤の上面の高さとに差を生じさせることが可能なように、現像剤収容器80内を仕切る仕切板114が設けられている。
【0090】
図9(A)に示すように、現像剤収容器80から現像ロール68へ現像剤を供給する場合、仕切板114は、制御部62の制御により、第1の攪拌搬送部材86が搬送する現像剤の上面の高さと、第2の攪拌搬送部材88が搬送する現像剤の上面の高さとに差を生じさせ、磁石90の引付極から第2の攪拌搬送部材88が搬送する現像剤の上面までの距離L1が、現像剤を引き付けるように引付極の磁力が作用する距離L0以下になるようにしている。
【0091】
一方、図9(B)に示すように、現像剤収容器80から現像ロール68への現像剤の供給を遮断する場合、第1の攪拌搬送部材86が搬送する現像剤の上面の高さと、第2の攪拌搬送部材88が搬送する現像剤の上面の高さとが略同じになるように、仕切板114は、制御部62の制御によって下方へ下げられる。仕切板114が下方へ下げられると、磁石90の引付極から第2の攪拌搬送部材88が搬送する現像剤の上面までの距離L3が、現像剤を引き付けるように引付極の磁力が作用する距離L0よりも長くなる。距離L3が距離L0よりも長くなると、現像剤収容器80内の現像剤に対して磁石90の引付極の磁力が作用しないので、現像剤収容器80から現像ロール68への現像剤の供給が遮断される。
【0092】
なお、現像剤収容器80から現像ロール68への現像剤の供給を遮断した状態から、現像ロール68へ現像剤を供給するように変更する場合、制御部62は、仕切板114を上方に上げて、第1の攪拌搬送部材86が搬送する現像剤の上面の高さと、第2の攪拌搬送部材88が搬送する現像剤の上面の高さとに差を生じさせ、磁石90の引付極から第2の攪拌搬送部材88が搬送する現像剤の上面までの距離が距離L1になるようにする。
【0093】
図10は、現像装置34の第6の変形例における現像剤収容器80及びその周辺を示す側面図であって、(A)は現像剤収容器80から現像ロール68へ現像剤を供給している状態を示す側面図であり、(B)は現像剤収容器80から現像ロール68への現像剤の供給を遮断している状態を示す側面図である。
図10に示した現像剤収容器80には、制御部62の制御に応じて支点116を中心に現像剤収容器80の第2の攪拌搬送部材88側の下部を開閉する開閉部材118と、第2の攪拌搬送部材88の下方に位置する現像剤退避部120とが設けられている。開閉部材118は、閉じられることによって第2の攪拌搬送部材88が搬送する現像剤を下方から支持し、開かれることによって現像剤を現像剤退避部120に退避させる。
【0094】
図10(A)に示すように、現像剤収容器80から現像ロール68へ現像剤を供給する場合、開閉部材118が現像剤収容器80の第2の攪拌搬送部材88側の下部を閉じており、磁石90の引付極から第2の攪拌搬送部材88が搬送する現像剤の上面までの距離L1が、現像剤を引き付けるように引付極の磁力が作用する距離L0以下になるようにされている。
【0095】
一方、図10(B)に示すように、現像剤収容器80から現像ロール68への現像剤の供給を遮断する場合、開閉部材118が下方に開かれることにより、第2の攪拌搬送部材88が搬送しつつ現像ロール68に供給していた現像剤が現像剤退避部120へ落下(退避)する。現像剤が現像剤退避部120へ退避すると、磁石90の引付極から退避した現像剤の上面までの距離L4が、現像剤を引き付けるように引付極の磁力が作用する距離L0よりも長くなる。距離L4が距離L0よりも長くなると、現像剤に対して磁石90の引付極の磁力が作用しないので、現像剤収容器80から現像ロール68への現像剤の供給が遮断される。
【0096】
なお、現像剤収容器80から現像ロール68への現像剤の供給を遮断した状態から、現像ロール68へ現像剤を供給するように変更する場合、制御部62は、開閉部材118を閉じることによって現像剤退避部120に退避している現像剤を第2の攪拌搬送部材88の周囲へ移動させ、磁石90の引付極から第2の攪拌搬送部材88が搬送する現像剤の上面までの距離が距離L1になるようにする。
【0097】
図11は、現像装置34の第7の変形例における現像剤収容器80及びその周辺を示す側面図である。
図11に示した現像剤収容器80には、制御部62の制御に応じて現像剤収容器80の第2の攪拌搬送部材88側の下部を開閉する第1の開閉部材122と、開口部84を開閉する第2の開閉部材124と、第2の攪拌搬送部材88の下方に位置する現像剤退避部126が設けられている。
【0098】
第1の開閉部材122は、スライドして閉じられることによって第2の攪拌搬送部材88が搬送する現像剤を下方から支持し、開かれることによって現像剤を現像剤退避部120に退避させる。
例えば、現像剤収容器80から現像ロール68へ現像剤を供給する場合、第1の開閉部材122が現像剤収容器80の第2の攪拌搬送部材88側の下部を閉じることにより、磁石90の引付極から第2の攪拌搬送部材88が搬送する現像剤の上面までの距離が、現像剤を引き付けるように引付極の磁力が作用する距離以下になるようにされている。つまり、現像剤に対して磁石90の引付極の磁力が作用し、現像剤収容器80から現像ロール68へ現像剤が供給される。
また、現像剤収容器80から現像ロール68への現像剤の供給を遮断する場合、第1の開閉部材122が下方に開かれることにより、第2の攪拌搬送部材88が搬送しつつ現像ロール68に供給していた現像剤が現像剤退避部126へ落下(退避)する。現像剤が現像剤退避部126へ退避すると、磁石90の引付極から退避した現像剤の上面までの距離が、現像剤を引き付けるように引付極の磁力が作用する距離よりも長くなる。つまり、現像剤に対して磁石90の引付極の磁力が作用しないので、現像剤収容器80から現像ロール68への現像剤の供給が遮断される。
なお、現像剤収容器80から現像ロール68へ現像剤を供給する場合、及び現像剤収容器80から現像ロール68への現像剤の供給を遮断する場合には、第2の開閉部材124は開かれている。
【0099】
一方、現像剤収容器80から現像ロール68への現像剤の供給を遮断した状態から、現像ロール68へ現像剤を供給するように変更する場合、制御部62は、まず第2の開閉部材124を閉じて現像装置本体66を例えば180度回転させる。現像剤収容器80が現像ロール68から離れるように現像装置本体66が180度回転すると、現像剤退避部126は第2の攪拌搬送部材88よりも上方に位置することとなり、現像剤退避部126に退避していた現像剤が第2の攪拌搬送部材88の周囲に自重で落下する。現像剤退避部126に退避していた現像剤が第2の攪拌搬送部材88の周囲に自重で落下すると、現像剤退避部126が空になるので、制御部62は、第1の開閉部材122を閉じることにより、現像剤が現像剤退避部126へ移動しないようにする。このように、制御部62は、現像剤退避部126に退避していた現像剤を現像装置本体66の回転によって第2の攪拌搬送部材88の周囲に戻す。
現像剤が第2の攪拌搬送部材88の周囲に戻されて、第1の開閉部材122が閉じられると、制御部62は、現像装置本体66を180度回転させて、現像剤収容器80から現像ロール68へ現像剤を供給することができる状態に戻す。
【0100】
図12は、現像装置34の第8の変形例において、現像ロール68へ現像剤を供給する状態から、現像ロール68への現像剤の供給を遮断する状態へ変化する場合の現像ロール68、現像剤収容器80及びその周辺を示す側面図である。
図12に示すように、現像装置34は、現像ロール68へ現像剤を供給する状態から、現像ロール68への現像剤の供給を遮断する状態へ変化する場合、現像剤収容器80ではなく現像ロール68が現像装置本体66の回転方向とは逆方向に移動する。現像ロール68が現像装置本体66の回転方向とは逆方向に移動すると、磁石90の引付極から現像剤収容器80内の現像剤の上面までの距離L5が、現像剤を引き付けるように引付極の磁力が作用する距離L0よりも長くなる。距離L5が距離L0よりも長くなると、現像剤に対して磁石90の引付極の磁力が作用しないので、現像剤収容器80から現像ロール68への現像剤の供給が遮断される。
【0101】
なお、現像剤収容器80から現像ロール68への現像剤の供給を遮断した状態から、現像ロール68へ現像剤を供給するように変更する場合、制御部62は、現像ロール68を所定の位置(現像位置)に戻し、磁石90の引付極から第2の攪拌搬送部材88が搬送する現像剤の上面までの距離が上述した距離L1になるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の概要を示す側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る現像装置を示す側面図である。
【図3】現像剤収容器が現像剤供給回収位置へ移動した状態を示す拡大図である。
【図4】現像剤収容器から現像ロールへの現像剤の供給を遮断するために、下方へ移動した状態の現像剤収容器及びその周辺を示す概略図であって、(A)は側面図であり、(B)は正面図である。
【図5】現像装置の第1の変形例における現像剤収容器及びその周辺を示す側面図である。
【図6】現像装置の第2の変形例における現像剤収容器及びその周辺を示す側面図である。
【図7】現像装置の第3の変形例における現像剤収容器及びその周辺を示す側面図である。
【図8】現像装置の第4の変形例における現像剤収容器及びその周辺を示す上方から見た断面図であって、(A)は現像剤収容器から現像ロールへ現像剤を供給している状態を示す断面図であり、(B)は現像剤収容器から現像ロールへの現像剤の供給を遮断している状態を示す断面図である。
【図9】現像装置の第5の変形例における現像剤収容器及びその周辺を示す側面図であって、(A)は現像剤収容器から現像ロールへ現像剤を供給している状態を示す側面図であり、(B)は現像剤収容器から現像ロールへの現像剤の供給を遮断している状態を示す側面図である。
【図10】現像装置の第6の変形例における現像剤収容器及びその周辺を示す側面図であって、(A)は現像剤収容器から現像ロールへ現像剤を供給している状態を示す側面図であり、(B)は現像剤収容器から現像ロールへの現像剤の供給を遮断している状態を示す側面図である。
【図11】現像装置の第7の変形例における現像剤収容器及びその周辺を示す側面図である。
【図12】現像装置の第8の変形例において、現像ロールへ現像剤を供給する状態から、現像ロールへの現像剤の供給を遮断する状態へ変化する場合の現像ロール、現像剤収容器及びその周辺を示す側面図である。
【符号の説明】
【0103】
10 画像形成装置
14 給紙ユニット
24 搬送路
28 定着装置
34 現像装置
36 像保持体
38 帯電装置
42 露光装置
44 中間転写装置
54 二次転写バックアップロール
60 二次転写ロール
62 制御部
66 現像装置本体
68 現像ロール
70 層厚規制部材
80a〜80d 現像剤収容器
82 回転軸
84a〜84d 開口部
86a〜86d 第1の攪拌搬送部材
88a〜88d 第2の攪拌搬送部材
90 磁石
92 スリーブ
100,102 駆動伝達部
104 変形案内部
110 現像剤退避部
114 仕切板
118 開閉部材
120 現像剤退避部
122 第1の開閉部材
124 第2の開閉部材
126 現像剤退避部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリーブ内に磁石を具備し、前記磁石の磁力によって保持する現像剤を像保持体に供給する現像ロールと、
この現像ロールに供給する現像剤を収容する現像剤収容部と、
この現像剤収容部が収容する現像剤を前記磁石の磁力作用範囲内へ移動させることにより、前記現像ロールに現像剤を供給する現像剤供給手段と、
前記現像剤収容部が収容する現像剤と前記磁石との距離を、前記磁石の磁力が作用する距離よりも長くすることにより、前記現像ロールへの現像剤の供給を遮断する供給遮断手段と
を有する現像器。
【請求項2】
前記供給遮断手段は、前記現像剤収容部が収容する現像剤を前記磁石の磁力作用範囲外へ移動させることにより、前記現像ロールへの現像剤の供給を遮断する請求項1記載の現像器。
【請求項3】
前記供給遮断手段は、前記現像剤収容部を移動させることにより、前記現像剤収容部が収容する現像剤と前記磁石との距離を、前記磁石の磁力が作用する距離よりも長くする請求項1又は2記載の現像器。
【請求項4】
前記供給遮断手段は、前記現像剤供給手段が現像剤を移動させることを停止させることにより、前記現像剤収容部が収容する現像剤と前記磁石との距離を、前記磁石の磁力が作用する距離よりも長くする請求項1乃至3いずれか記載の現像器。
【請求項5】
現像剤を退避させるための現像剤退避部をさらに有し、
前記供給遮断手段は、前記現像剤退避部に現像剤を退避させることにより、前記現像ロールへの現像剤の供給を遮断する請求項1乃至4いずれか記載の現像器。
【請求項6】
前記供給遮断手段は、現像剤の自重によって前記現像剤退避部に現像剤を退避させる請求項5記載の現像器。
【請求項7】
前記供給遮断手段は、前記現像ロールの軸方向に略直交する方向に現像剤を退避させる請求項5又は6記載の現像器。
【請求項8】
前記供給遮断手段は、前記現像ロールを移動させることにより、前記現像ロールへの現像剤の供給を遮断する請求項1記載の現像器。
【請求項9】
前記供給遮断手段は、前記現像ロールが前記像保持体に現像剤を供給した後に残留する現像剤を前記現像剤収容部に回収可能な方向に、前記現像ロールを移動させる請求項8記載の現像器。
【請求項10】
スリーブ内に磁石を具備し、前記磁石の磁力によって保持する現像剤を像保持体に供給する現像ロールと、
回転軸を中心にして回転する回転体と、
この回転体に設けられ、前記現像ロールに供給する現像剤を収容する複数の現像剤収容部と、
該複数の現像剤収容部が収容する現像剤を前記磁石の磁力作用範囲内へ移動させることにより、前記現像ロールに現像剤を供給する現像剤供給手段と、
前記複数の現像剤収容部が収容する現像剤と前記磁石との距離を、前記磁石の磁力が作用する距離よりも長くすることにより、前記現像ロールへの現像剤の供給を遮断する供給遮断手段と
を有する現像装置。
【請求項11】
前記供給遮断手段は、前記現像剤収容部が収容する現像剤を前記磁石の磁力作用範囲外へ移動させることにより、前記現像ロールへの現像剤の供給を遮断する請求項10記載の現像装置。
【請求項12】
前記供給遮断手段は、前記現像剤収容部を移動させることにより、前記現像剤収容部が収容する現像剤と前記磁石との距離を、前記磁石の磁力が作用する距離よりも長くする請求項10又は11記載の現像装置。
【請求項13】
前記供給遮断手段は、前記回転体を回転又は移動させることにより、前記現像剤収容部が収容する現像剤と前記磁石との距離を、前記磁石の磁力が作用する距離よりも長くする請求項10乃至12いずれか記載の現像装置。
【請求項14】
前記供給遮断手段は、前記回転体の回転又は移動に連動して、前記現像剤供給手段が現像剤を移動させることを停止、または逆方向に移動させることにより、前記現像剤収容部が収容する現像剤と前記磁石との距離を、前記磁石の磁力が作用する距離よりも長くする請求項13記載の現像装置。
【請求項15】
前記現像ロールは、前記回転体と対向する位置で前記回転体と異なる方向に回転する部分を有し、前記回転体は、前記現像ロールに残留する現像剤を前記現像剤収容部が回収可能な位置で停止する請求項10乃至14いずれか記載の現像装置。
【請求項16】
前記現像剤収容部は、前記現像ロールから回収する現像剤を該現像剤収容部に案内するよう変形する変形案内部を有する請求項15記載の現像装置。
【請求項17】
現像剤を退避させるための現像剤退避部をさらに有し、
前記供給遮断手段は、前記現像剤退避部に現像剤を退避させることにより、前記現像ロールへの現像剤の供給を遮断する請求項10乃至16いずれか記載の現像装置。
【請求項18】
前記供給遮断手段は、現像剤の自重によって前記現像剤退避部に現像剤を退避させる請求項17記載の現像装置。
【請求項19】
前記供給遮断手段は、前記現像ロールの軸方向に略直交する方向に現像剤を退避させる請求項17又は18記載の現像装置。
【請求項20】
前記回転体は、前記現像剤退避部に退避した現像剤が自重によって復帰するよう回転する請求項17乃至19いずれか記載の現像装置。
【請求項21】
前記供給遮断手段は、前記現像ロールを移動させることにより、前記現像ロールへの現像剤の供給を遮断する請求項10記載の現像装置。
【請求項22】
前記供給遮断手段は、前記回転体の回転方向上流側に前記現像ロールを移動させる請求項21記載の現像装置。
【請求項23】
像保持体と、
スリーブ内に磁石を具備し、前記磁石の磁力によって保持する現像剤を前記像保持体に供給する現像ロールと、
この現像ロールに供給する現像剤を収容する現像剤収容部と、
この現像剤収容部が収容する現像剤を前記磁石の磁力作用範囲内へ移動させることにより、前記現像ロールに現像剤を供給する現像剤供給手段と、
前記現像剤収容部が収容する現像剤と前記磁石との距離を、前記磁石の磁力が作用する距離よりも長くすることにより、前記現像ロールへの現像剤の供給を遮断する供給遮断手段と
を有する画像形成装置。
【請求項24】
像保持体と、
スリーブ内に磁石を具備し、前記磁石の磁力によって保持する現像剤を前記像保持体に供給する現像ロールと、
回転軸を中心にして回転する回転体と、
この回転体に設けられ、前記現像ロールに供給する現像剤を収容する複数の現像剤収容部と、
該複数の現像剤収容部が収容する現像剤を前記磁石の磁力作用範囲内へ移動させることにより、前記現像ロールに現像剤を供給する現像剤供給手段と、
前記複数の現像剤収容部が収容する現像剤と前記磁石との距離を、前記磁石の磁力が作用する距離よりも長くすることにより、前記現像ロールへの現像剤の供給を遮断する供給遮断手段と
を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−198977(P2009−198977A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43016(P2008−43016)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】