説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】現像剤収容容器内の現像剤の重量を一定に維持して、印刷動作を停止することなく、トナー濃度を所望の値に調整容易とする。
【解決手段】補給口21と排出口22を有する現像剤収容容器11と、現像剤収容容器11内の現像剤を攪拌しながら循環移動させるための搬送スクリュー12、13、及び、現像剤収容容器11から現像剤を排出するための搬送スクリュー12、13とは逆巻きの羽根を有する排出スクリュー14を備えた現像剤搬送手段と、現像剤搬送手段を軸方向に往復移動させる搬送駆動手段と、現像剤収容容器11内の現像剤重量を検出する現像剤重量検出手段20、6と、現像剤重量検出手段20、6で検出される現像剤重量に基づいて搬送駆動手段を駆動制御して、排出口22に対する現像剤搬送手段の排出スクリュー14の距離を制御する排出制御手段6と、を備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トナーとキャリアを含む2成分現像剤を供給・排出するようにした、いわゆるトリクル方式の現像装置が公知である。トリクル方式の現像装置では、トナーのみを補給するものと比較して、トナー濃度の高い現像剤が補給される補給直後と、余剰の現像剤が排出される排出直後とで現像剤重量が大きく変動する。このため、透磁率センサで鉄分を含むキャリアの透磁率を検出し、その検出結果に基づいて現像剤重量を算出していたのでは、正確な現像剤重量を得ることは不可能である。
【0003】
そこで、特許文献1に記載の発明では、磁気センサによる検出範囲内の現像剤重量を周期的に増減させ、磁気センサの出力波形の下限近傍値に依存する値から現像剤重量を算出し、出力波形の振幅からこの値を補正することにより、適正な現像剤重量を算出するようにしている。
【0004】
また、特許文献2に記載の発明では、トナー濃度センサでの検出信号の平均値、振幅、画像濃度センサでの検出信号から現像剤重量を推定して現像剤の補充、排出動作を行うようにしている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−31327号公報
【特許文献2】特開2006−3682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載の発明では、磁気センサの出力波形の下限近傍値に依存する値から現像剤重量を算出するようにしている。つまり、磁気センサでの検出信号を補正して現像剤重量を正確に得ようとするものでしかなく、現像剤重量自体は変動する。この場合、トナー濃度の制御が非常に困難となり、良好な画質を維持できない。
【0007】
また、前記特許文献2に記載の発明では、現像剤重量を推定するために画像濃度センサを利用している。このため、画像濃度センサでの検出信号を読み込むために、一時的に印刷動作を停止する必要がある。
【0008】
そこで、本発明は、現像剤収容容器内の現像剤の重量を一定に維持して、印刷動作を停止することなく、トナー濃度を所望の値に調整容易とする現像装置及び画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
現像装置を、
トナーとキャリアを含む現像剤が補給される補給口と、排出される排出口を有する現像剤収容容器と、
前記現像剤収容容器に補給口を介して現像剤を補給するための現像剤補給手段と、
前記現像剤収容容器に収容した現像剤を攪拌しながら循環移動させるための、回転軸に形成した螺旋状の羽根からなる搬送スクリュー、及び、前記現像剤収容容器から現像剤を排出するために、前記回転軸に形成した、搬送スクリューとは逆巻きの羽根を有する排出スクリューを備えた現像剤搬送手段と、
前記現像剤搬送手段を軸方向に往復移動させる搬送駆動手段と、
前記現像剤収容容器内の現像剤の重量を検出するための現像剤重量検出手段と、
前記現像剤重量検出手段で検出される現像剤の重量に基づいて、現像剤補給手段による現像剤の補給量を決定する補給量決定手段と、
前記現像剤重量検出手段で検出される現像剤重量に基づいて搬送駆動手段を駆動制御して、排出口に対する現像剤搬送手段の排出スクリューの距離を制御する排出制御手段と、
を備えた構成としたものである。
【0010】
この構成により、現像剤重量検出手段によって検出された現像剤重量が大きければ、排出口に対する排出スクリューの距離を大きくして現像剤を排出しやすくし、逆に、検出される現像剤重量が小さければ、排出口に対する排出スクリューの距離を小さくして現像剤を排出しにくくすることができる。この結果、現像剤収容容器内の現像剤の重量を一定に維持して、トナー濃度の調整を容易に行うことが可能となる。
【0011】
前記現像剤収容容器は、排出スクリューが往復移動する領域に、他の領域に比べて流路断面積の小さな流路制限部を備え、
前記排出スクリューは、前記流路制限部の入口を開閉可能な仕切羽根を有するのが好ましい。
【0012】
この構成により、より一層、的確に、現像剤の排出量を調整して、現像剤収容容器内の現像剤重量を一定に維持することが可能となる。
【0013】
前記現像剤搬送手段は、回転軸の周囲に螺旋状の羽根を備えたスクリューからなり、
前記現像剤重量検出手段は、現像剤の透磁率を検出する透磁率センサと、該透磁率センサから入力される信号波形の振幅の違いに基づいて、現像剤収容容器内の現像剤の重量を推測する重量推測部と、を備えるようにすればよい。
【0014】
この構成により、スクリューを回転させて現像剤を搬送すると、透磁率センサの検出範囲での現像剤の重量は周期的に変動するが、現像剤収容容器内の現像剤の重量の違いに応じて、透磁率センサでの検出信号の振幅が変動するので、トナー濃度の検出に利用可能な透磁率センサにより、現像剤収容容器内の現像剤の重量をも推測することができる。
【0015】
前記現像剤搬送手段は、回転軸の周囲に螺旋状の羽根を備えたスクリューからなり、
前記現像剤重量検出手段は、現像剤の透磁率を検出する透磁率センサと、該透磁率センサから入力される信号波形の周期の違いに基づいて、現像剤収容容器内の現像剤の重量を推測する重量推測部と、を備えるようにしてもよい。
【0016】
この構成により、スクリューを回転させて現像剤を搬送すると、透磁率センサの検出範囲での現像剤の重量は周期的に変動するが、現像剤収容容器内の現像剤の重量の違いに応じて、スクリューを回転させるのに必要なトルクが変動する。そして、現像剤の重量が多ければ多いほど、スクリューの負荷が大きくなって回転周期が遅くなる一方、現像剤の重量が少なければ少ないほど、スクリューの負荷が小さくなって回転周期が速くなる。したがって、スクリューの回転速度の変動に伴う透磁率センサでの検出波形の周期の変化に基づいて、トナー濃度の検出に利用可能な透磁率センサにより、現像剤収容容器内の現像剤の重量を推測することが可能となる。
【0017】
前記現像剤重量検出手段は、現像剤から作用する圧力を検出する圧力センサと、該圧力センサから入力される検出信号に基づいて現像剤収容容器内の現像剤の重量を推測する重量推測部と、を備えるようにしてもよい。
【0018】
この構成により、現像剤収容容器内の現像剤の重量の違いにより直接変化する圧力センサでの検出信号に基づいて、より一層正確に現像剤収容容器内の現像剤の重量を推測することが可能となる。
【0019】
前記重量推測部は、さらに前記透磁率センサでの検出信号から算出したトナー濃度をも加味して、現像剤収容容器内の現像剤の重量を補正するのが好ましい。
【0020】
この構成により、検出されるトナー濃度の違いによる現像剤の嵩密度の変化をも考慮して、より一層正確に現像剤の重量を推測することができる。
【0021】
また、本発明は、前記課題を解決するための手段として、画像形成装置を、前記いずれかの現像装置を備えた構成としたものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、排出口に対する排出スクリューの位置を調整することにより、現像剤の排出量を制御するようにしたので、現像剤収容容器内の現像剤重量を一定に維持して、トナー濃度の調整を容易に行うことが可能となる。これにより、良好な画像形成が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「側」、「端」及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0024】
(構成)
図1は、2成分現像剤を用いた電子写真方式のうち、特に、トナーのみではなく少量のキャリアをも含んだ現像剤を補給するようにした、いわゆるトリクル方式の画像形成装置を示す。この画像形成装置は、大略、画像形成ユニット1、転写ユニット2、露光ユニット3、給紙ユニット4、クリーニングユニット5、制御ユニット6(図6参照)、等を備える。但し、本発明は、この種の画像形成装置1にのみ適用されるものではなく、例えば、いわゆる4サイクル方式のカラー画像形成装置やモノクロ出力の画像形成装置にも適用できる。また、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの機能を複合的に備えた複合機にも適用可能である。
【0025】
画像形成ユニット1は、転写ユニット2の中間転写ベルト27に沿って4箇所に配置され、それぞれ左側よりイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の画像形成を行なうことにより、中間転写ベルト27の表面にカラー画像を形成する。各画像形成ユニット1は、図2に示すように、感光体ドラム7の周囲に、帯電装置8、現像装置9、クリーニング装置10、等を備える。
【0026】
帯電装置8は、感光体ドラム7の表面に所定の表面電位を形成する。この表面電位は、露光ユニット3によって露光されることにより静電潜像となる。
【0027】
現像装置9は、図2及び図3に示すように、現像剤収容容器11内に、攪拌スクリュー12、供給スクリュー13、排出スクリュー14、及び、現像ローラ15をそれぞれ収容したものである。
【0028】
現像剤収容容器11は、図3に示すように、一端側から他端側へと延びる長尺な箱形状で、内部は仕切壁16によって長手方向に沿って第1収容部17と第2収容部18とに2分割されている。但し、第1収容部17と第2収容部18の両端側は連通部19a、19bによってそれぞれ連通され、現像剤を現像剤収容容器11内で循環移動させることが可能となっている。
【0029】
第1収容部17には、単位体積当たりのトナー量を検出するための手段として、トナー濃度センサ20が設けられている。トナー濃度センサ20は、現像剤(キャリアに含まれる鉄分)の透磁率の違いを周波数として出力させ、図7に示すグラフに従ってトナー濃度(現像剤に対するトナーの重量比率)を演算する従来周知のものである。
【0030】
第1収容部17の一端側には現像剤補給口21が形成され、後述するように、対応する現像剤補給容器25から現像剤が補給される。ここでは、現像剤には、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤が使用されている。但し、現像剤にはさらに外添剤等を含めるようにしても構わない。
【0031】
第2収容部18の一端側には、現像剤排出口22が形成され、適宜、現像剤を排出することにより劣化したキャリアが長期間に亘って現像剤収容容器11内に残留しないようにしている。また、現像剤排出口22に至るまでの所定範囲に、第2収容部18の他の領域に比べて流路断面積の小さな流路制限部41が形成されている。連通部19bは、流路制限部41の入口41aから、流路制限部41とは反対側に所定寸法離れた位置に形成されている。
【0032】
攪拌スクリュー12は、回転軸12aの周囲に螺旋状の羽根12bを備えた構成で、第1収容部17に配置されている。攪拌スクリュー12は、回転駆動することにより、一端側から他端側へと現像剤を搬送しながら撹拌する。これにより、攪拌スクリュー12が1回転する毎にトナー濃度センサ20の検出範囲での現像剤重量が変動し、トナー濃度センサ20での検出信号は、図6のグラフで示す出力波形となる。より具体的に説明すると、トナー濃度センサ20の出力は、図7(a)に示すように、攪拌スクリュー12が回転してトナー濃度センサ20の検出範囲内の現像剤重量が最大量となることにより出力が最小値となり、逆に、図7(b)に示すように、検出範囲内の現像剤重量が最小量となることにより出力が最大値となる。
【0033】
供給スクリュー13及び排出スクリュー14は、図4及び図5に示すように、同一回転軸40に形成され、第2収容部18内に配置されて、軸方向に往復移動可能となっている。供給スクリュー13は、回転駆動することにより、現像剤を連通部19b側から連通部19a側へと移送すると共に、現像ローラ15へと供給する。排出スクリュー14と、この排出スクリュー14に隣接する供給スクリュー13の一部とは、羽根の外径寸法が、供給スクリュー13の他の部分に比べて小さくなるように形成され、排出スクリュー14は流路制限部41内を往復移動可能となっている。また、排出スクリュー14は、逆巻き羽根42と、順巻き羽根43とで構成されている。両羽根の境界位置には、両羽根よりも大径の仕切羽根44が設けられ、流路制限部41の入口41aを開閉可能となっている。また、逆巻き羽根42は順巻き羽根43に比べてピッチが小さくなるように形成されている。排出スクリュー14の逆巻き部42は、連通部19と流路制限部41の入口41aとの間の調整領域に往復移動可能に配置されている。また、供給スクリュー13の小径羽根13Aは、連通部19の近傍を往復移動可能に配置されている。
【0034】
攪拌スクリュー12と供給スクリュー13とは、現像剤収容容器11から突出する各回転軸12a、13aの端部にそれぞれ設けたギア12c、13c同士が互いに噛合し、図示しないモータからの駆動力により同期して回転するようになっている。
【0035】
現像ローラ15は、図2に示すように、円筒状のスリーブ23内に複数の永久磁石24を収容したものである(ここでは、5つの永久磁石S2,N2,S1,N1,S3を、この順で時計回り方向に配置している。)。スリーブ23は、図示しないスリーブ駆動手段によって図中矢印方向に回転するように構成されている。
【0036】
現像装置9の上方には、図1に示すように、トナーとキャリアからなる補給用2成分現像剤(以下、単に現像剤と記載する。)を補給する現像剤補給容器25が着脱可能となっている。なお、予め現像剤収容容器11に収容する現像剤のトナー濃度は7%、現像剤補給容器25から補給する現像剤のトナー濃度は80%(キャリア濃度は20%、通常10〜20%)である。
【0037】
クリーニング装置10は、感光体ドラム7の表面への転写後、この表面に残留するトナーを回収してクリーニングする。
【0038】
転写ユニット2は、一対の支持ローラ26に中間転写ベルト27を架け渡し、図示しない駆動手段により支持ローラ26を駆動させ、中間転写ベルト27を矢印方向に循環移動させるようにしたもので、1次転写部28、及び、2次転写部29を備える。
【0039】
露光ユニット3は、前記感光体ドラム7に対してレーザ光を照射し、図示しないスキャナで読み取った画像データに対応する静電潜像を形成する。
【0040】
給紙ユニット4は、カセット30に収容した記録媒体31を、順次、搬送ローラ32を介して2次転写部29へと搬送する。2次転写部29に搬送された記録媒体31には、トナー像が転写され、定着ユニット33で転写させたトナー像が定着された後、排出トレイ34へと搬出される。
【0041】
クリーニングユニット5は、中間転写ベルト27に接離可能で、接近することにより中間転写ベルト27に残留するトナーを回収してクリーニングする。
【0042】
制御ユニット6は、トナー濃度センサ20から入力される検出電圧に基づいて、後述するようにして、現像剤の補給処理を実行する。
【0043】
(動作)
次に、前記構成からなる画像形成装置の動作について説明する。
【0044】
画像形成時には、画像を読み取って得られたカラープリントデータ、又はパーソナルコンピュータ等から出力された画像データは、所定の信号処理が施された後、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色の画像信号として、各画像形成ユニット1に送信される。
【0045】
各画像形成ユニット1では、それぞれの感光体ドラム7上に画像信号で変調されたレーザ光を投射して画像潜像を形成する。そして、現像装置9から感光体ドラム7にトナーを供給する。
【0046】
現像装置9では、攪拌スクリュー12及び供給スクリュー13を回転駆動することにより、現像剤収容容器11内に収容された現像剤を攪拌しながら循環させる。そして、供給スクリュー13から現像ローラ15にトナーを供給し、規制部材11aによって掻き落として一定量とした後、感光体ドラム7へと搬送する。
【0047】
これにより、各感光体ドラム7上にはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー画像がそれぞれ形成される。形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー画像は、1次転写部28で、移動する中間転写ベルト27上に順次重ね合わせて1次転写される。このようにして中間転写ベルト27上に形成された重ね合わせトナー画像は、中間転写ベルト27の移動に従って2次転写部29へと移動する。
【0048】
また、給紙ユニット4から記録媒体31が供給される。供給された記録媒体31は、搬送ローラ32によって2次転写部29と中間転写ベルト27の間へと搬送され、中間転写ベルト27に形成されたトナー画像が転写される。トナー画像を転写された記録媒体31は、さらに定着ユニット33へと搬送され、そこで、転写されたトナー画像が定着された後、排出トレイ34へと排出される。
【0049】
ところで、前記現像装置9では、図11に示すフローチャートに従って次のようにして現像剤収容容器11内に収容されている現像剤重量を推測し、排出量を調整することにより、現像剤の補給処理を実行するようにしている。
【0050】
(現像剤重量の推測方法)
印刷処理が開始されると(ステップS1)、攪拌スクリュー12及び供給スクリュー13を同期して回転させながら、トナー濃度センサ20での検出信号を読み込む(ステップS2)。読み込まれた検出信号は、図8のグラフに示すようなリップル波形となる。これは、攪拌スクリュー12の回転によって、図9(a)、(b)に示すように、トナー濃度センサ20の検出範囲内での現像剤重量の変動に伴い、検出される透磁率が周期的に変化するからである。
【0051】
そこで、検出範囲での現像剤重量が最小値となった図9(b)に示す状態での検出値に基づいて、図7のグラフに従ってトナー濃度を算出する(ステップS3)。そして、トナー濃度センサ20での検出信号に基づいて、検出範囲での現像剤重量が最大値となった図9(a)に示す状態での検出値と、検出範囲での現像剤重量が最小値となった図9(b)に示す状態での検出値とから信号波形の振幅(最大振幅)を算出する(ステップS4)。
【0052】
続いて、算出された振幅と、トナー濃度センサ20で検出されるトナー濃度とに基づいて、図12に示すデータテーブルに従って現像剤重量を推測する(ステップS5)。すなわち、振幅が小さくなれば小さくなるほど、現像剤重量が多いと判断する。これは、現像剤収容容器11内の現像剤重量が多いと、攪拌スクリュー12を回転させたとしても、トナー濃度センサ20の検出範囲内に於ける現像剤重量がそれほど変化せず、透磁率がそれほど変動しないと考えられるからである。また、振幅が大きくなれば大きくなるほど、現像剤重量が少ないと判断する。これは、現像剤収容容器11内の現像剤重量が少ないと、攪拌スクリュー12の回転により、検出範囲内の現像剤重量が変化しやすく、透磁率が大きく変動すると考えられるからである。さらに、トナー濃度が低ければ低いほど、現像剤重量は多いと判断する。これは、現像剤収容容器11内の現像剤重量が多いと、現像剤に含まれるキャリアがトナー濃度センサ20の検出範囲に集まりやすくなり、相対的に検出範囲でのトナー濃度が低くなるからである。さらにまた、トナー濃度が高ければ高いほど、現像剤重量は少ないと判断する。これは、現像剤収容容器11内の現像剤重量が少ないと、現像剤が十分に攪拌され、相対的にトナー濃度が高くなると考えられるからである。なお、ここでは、現像剤重量の推測を、重量小2、重量小1、適正、重量大1、重量大2の5段階で行っている。
【0053】
また、トナー濃度センサ20での検出トナー濃度と、予め記憶してある目標トナー濃度との差に基づいて、現像剤の補給量を算出する(ステップS6)。そして、現像剤補給容器25から算出された補給量の現像剤の補給処理を開始する(ステップS7)。
【0054】
(排出量の調整方法)
その後、印刷処理が終了すれば(ステップS8)、推測された現像剤重量のレベルに応じて図10のデータテーブルに従って供給スクリュー13及び排出スクリュー14(仕切羽根44の基準位置から)の移動寸法を決定する(ステップS9)。
【0055】
ここでは、調整領域の軸方向の長さを14mm、調整領域内の仕切羽根44の基準位置を、流路制限部41の入口から3mmとしている。また、仕切羽根44は、適量であれば図4(a)に示す基準位置とし、供給スクリュー13の小径羽根13Aを連通部19との対向位置に位置させる。また、適量から外れることにより、その外れ度合いに応じて、仕切羽根44を次の通り移動させる。推測結果が重量小2であれば、仕切羽根44を基準位置から、図4(c)に示すように、右側に5mm(+5mm)の位置に移動させ、仕切羽根44で流路制限部41の入口を(ほぼ)閉鎖する。これにより、現像剤排出口22からの現像剤の排出が阻止され、補給される現像剤によって現像剤収容容器11内の現像剤重量を迅速に標準値へと復帰させることが可能となる。また、推測結果が重量小1であれば、図4(b)に示すように、右側に2.5mm(+2.5mm)の位置とし、現像剤の排出量を抑制する。さらに、推測結果が重量大1であれば、図5(a)に示すように、左側に2.5mm(−2.5mm)の位置とし、現像剤排出口22から現像剤を排出しやすくする。さらにまた、推測結果が重量大2であれば、図5(b)に示すように、左側に5mm(−5mm)の位置とし、排出スクリュー14を連通部19と調整領域の境界位置まで移動させ、現像剤を流路制限部41へと最も流動しやすい状態とする。
【0056】
このように、前記実施形態によれば、現像剤収容容器11内の現像剤の重量を推測し、その推測結果と、検出されるトナー濃度とに基づいて現像剤の補給及び排出を制御するようにしている。したがって、現像剤収容容器11内の現像剤重量を一定に維持してトナー濃度の調整を適切に行うことができ、良好な画像形成が可能となる。
【0057】
(他の実施形態)
本発明は、前記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。なお、以下の説明では、前記実施形態と同様な構成についてはその説明を省略し、又、図示した部材であっても同様な部材については同一符号を付してその説明を省略する。
【0058】
前記実施形態では、現像剤収容容器11内の現像剤重量をトナー濃度センサ20から入力される信号波形の振幅とトナー濃度とに基づいて推測するようにしたが、次のようにして推測することも可能である。
【0059】
例えば、トナー濃度センサ20から入力される信号波形の周期と、トナー濃度とに基づいて、図13のデータテーブルに従って現像剤収容容器11内の現像剤重量を推測するようにしてもよい。すなわち、現像剤収容容器11内の現像剤重量が増大すると、排出スクリュー14に作用する負荷が大きくなり、回転速度が低下する。このため、トナー濃度センサ20から出力される信号波形の周期が長くなる。一方、現像剤収容容器11内の現像剤重量が減少すると、排出スクリュー14に作用する負荷が小さくなり、回転速度が上昇する。このため、トナー濃度センサ20から出力される信号波形の周期が短くなる。そこで、信号波形の周期の違いと、検出されるトナー濃度とから図13のデータテーブルに従って現像剤収容容器11内の現像剤重量を推測すればよい。
【0060】
また、トナー濃度センサ20とは別に圧力センサ35(図3の2点鎖線参照)を設け、この圧力センサ35で、現像剤収容容器11内の現像剤から直接受ける圧力を検出し、その検出結果と、トナー濃度とに基づいて、図14のデータテーブルに従って現像剤収容容器11内の現像剤重量を推測するようにしてもよい。
【0061】
前記各実施形態では、トナー濃度センサ20から入力される信号波形の振幅あるいは周期と、トナー濃度とから現像剤重量を推測するようにしたが、多少精度は落ちるものの、現像剤重量は、信号波形の振幅のみ、周期のみ、あるいは、圧力のみから推測するようにしてもよい。
【0062】
前記各実施形態で推測した現像剤重量のレベルは5段階に限らず、必要に応じて3又は4段階、あるいは、6段階以上としてもよく、場合によっては無段階とすることも可能である。
【0063】
なお、図4及び図5では、供給スクリュー13と排出スクリュー14とを同軸で回転させるように構成したが、供給スクリュー13と排出スクリュー14を別体として別駆動可能な構成としてもよい。この場合、まず、排出スクリュー14を軸方向に移動させ、それによっても現像剤収容容器11内の現像剤重量が所定時間内に適量に調整できない場合、排出スクリュー14の回転速度を変更するようにすればよい。また逆に、排出スクリュー14の回転速度を変更し、それによっても現像剤収容容器11内の現像剤重量が所定時間内に適量に調整できない場合、排出スクリュー14を軸方向に移動させるようにしてもよい。勿論、排出スクリュー14の回転速度と軸方向への移動は同時に行うようにしても構わない。要は、現像剤収容容器11内の現像剤重量が一定に維持されるように制御すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略図である。
【図2】図1の現像装置を示す横断面図である。
【図3】図1の現像装置を示す縦断面図である。
【図4】図1の現像装置を示す部分断面図である。
【図5】図1の現像装置を示す部分断面図である。
【図6】本実施形態に係る画像形成装置のブロック図である。
【図7】トナー濃度センサの出力とトナー濃度との関係を示すグラフである。
【図8】攪拌スクリューの回転に伴うトナー濃度センサの出力値の変化を示すグラフである。
【図9】トナー濃度センサの近傍での攪拌スクリューの回転に伴う現像剤の状態を示す横断面図である。
【図10】推測された現像剤重量のレベルに応じて仕切羽根を移動させる位置を決定するためのデータテーブルである。
【図11】図1の現像装置での制御内容を示すフローチャートである。
【図12】トナー濃度センサでの検出される信号波形の振幅とトナー濃度とに基づいて現像剤収容容器内の現像剤重量を推測するためのデータテーブルである。
【図13】トナー濃度センサでの検出される信号波形の周期とトナー濃度とに基づいて現像剤収容容器内の現像剤重量を推測するためのデータテーブルである。
【図14】圧力センサでの検出結果に基づいて現像剤収容容器内の現像剤重量を推測するためのデータテーブルである。
【符号の説明】
【0065】
1…画像形成ユニット
2…転写ユニット
3…露光ユニット
4…給紙ユニット
5…クリーニングユニット
6…制御ユニット(現像剤重量検出手段、補給量決定手段)
7…感光体ドラム
8…帯電装置
9…現像装置
10…クリーニング装置
11…現像剤収容容器
12…攪拌スクリュー(搬送スクリュー、現像剤搬送手段)
13…供給スクリュー(搬送スクリュー、現像剤搬送手段)
14…排出スクリュー(排出スクリュー、現像剤排出手段)
15…現像ローラ
16…仕切壁
17…第1収容部
18…第2収容部
19a、19b、19c…連通部
20…トナー濃度センサ
21…現像剤補給口
22…現像剤排出口
23…スリーブ
24…永久磁石
25…現像剤補給容器(現像剤補給手段)
26…支持ローラ
27…中間転写ベルト
28…1次転写部
29…2次転写部
30…カセット
31…記録媒体
32…搬送ローラ
33…定着ユニット
34…排出トレイ
35…圧力センサ
40…回転軸
41…流路制限部
42…逆巻き部
43…順巻き部
44…仕切羽根

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリアを含む現像剤が補給される補給口と、排出される排出口を有する現像剤収容容器と、
前記現像剤収容容器に補給口を介して現像剤を補給するための現像剤補給手段と、
前記現像剤収容容器に収容した現像剤を攪拌しながら循環移動させるための、回転軸に形成した螺旋状の羽根からなる搬送スクリュー、及び、前記現像剤収容容器から現像剤を排出するために、前記回転軸に形成した、搬送スクリューとは逆巻きの羽根を有する排出スクリューを備えた現像剤搬送手段と、
前記現像剤搬送手段を軸方向に往復移動させる搬送駆動手段と、
前記現像剤収容容器内の現像剤の重量を検出するための現像剤重量検出手段と、
前記現像剤重量検出手段で検出される現像剤の重量に基づいて、現像剤補給手段による現像剤の補給量を決定する補給量決定手段と、
前記現像剤重量検出手段で検出される現像剤重量に基づいて搬送駆動手段を駆動制御して、排出口に対する現像剤搬送手段の排出スクリューの距離を制御する排出制御手段と、
を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤収容容器は、排出スクリューが往復移動する領域に、他の領域に比べて流路断面積の小さな流路制限部を備え、
前記排出スクリューは、前記流路制限部の入口を開閉可能な仕切羽根を有することを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像剤重量検出手段は、現像剤の透磁率を検出する透磁率センサと、該透磁率センサから入力される信号波形の振幅の違いに基づいて、現像剤収容容器内の現像剤の重量を推測する重量推測部と、を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記現像剤重量検出手段は、現像剤の透磁率を検出する透磁率センサと、該透磁率センサから入力される信号波形の周期の違いに基づいて、現像剤収容容器内の現像剤の重量を推測する重量推測部と、を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項5】
前記現像剤重量検出手段は、現像剤から作用する圧力を検出する圧力センサと、該圧力センサから入力される検出信号に基づいて現像剤収容容器内の現像剤の重量を推測する重量推測部と、を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項6】
前記重量推測部は、さらに前記透磁率センサでの検出信号から算出したトナー濃度をも加味して、現像剤収容容器内の現像剤の重量を補正することを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項7】
請求項1から6に記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−128082(P2010−128082A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301023(P2008−301023)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】