説明

現像装置

【課題】被駆動ギヤの駆動ギヤとの噛み合いが変動しにくく、現像ギャップが変動したり長手方向に不均一になったりしにくい信頼性の高いものとする。
【解決手段】現像器2〜5は非現像位置にて潜像担持体1との干渉なしに現像ローラ2a〜5aと平行な方向にて容易に着脱できるようにしながら、支持体25への装着最終段階にて少なくとも駆動側の固定支点107が軸直角方向に支持されることにより、駆動負荷が変動しても駆動側および固定支点107は変位せず、被駆動ギヤ106が支持体25の駆動ギヤ105と一定位置にて噛み合い続けられるようにし、また、現像器2〜5は駆動側および非駆動側の固定支点107まわりの回動で潜像担持体1への間隔保持部材103、104を介した圧接を固定支点107を結ぶ軸線と現像ローラ2a〜5aとの平行度を確保して像担持体1への馴染み性よく達成しながら、駆動ギヤ105側の回転を固定支点107が変位せずに被駆動ギヤ106の回転に効率よく変換されるようにして、上記のような目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は潜像担持体が担持している潜像を複数の現像器を切替え使用して現像し、単色画像や複数の色の合成画像、カラー画像が形成できるようにする現像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現像器はその現像ローラと潜像担持体との間の距離を一定にする技術として、図11に示すように現像ローラaの両端部に設けた間隔保持ローラbを介して現像器cを潜像担持体である感光体ドラムdに圧接させることにより高精度に位置決めできるようにすることが知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。また、複数の現像器cを切替え使用するため、必要数の現像器を往復移動させるものや、別に回転する支持体により支持し(例えば、特許文献3参照。)、支持体の往復移動や回転によりその時々に必要な現像器cを感光体ドラムdと対向する現像位置に切替え位置させて使用するようにしている。
【0003】
一方、現像器cは、現像剤を消費し切ったときに交換をしたり、あるいは必要なメンテナンスをしたりするのに、支持体に対し着脱できるように支持されるが、ユーザでも容易に着脱できるようにすることが望まれ、特許文献3に開示のように、支持体の現像器cを駆動する駆動機構を持たない非駆動側となる機体の側面において、現像器cを現像ローラaに平行な方向に出し入れして着脱することが知られている。
【0004】
複数の現像器cを切替え使用する場合、非使用位置にて着脱すると感光体ドラムdとの間で干渉することはない。そこで、このような着脱できる支持構造において、使用位置とされた現像器cが感光体ドラムdとの間で間隔保持ローラbを介し高精度に位置決めされるようにするため、従来、現像器cの駆動側の固定支点eを感光体ドラムdと離接するx方向に可動なように長孔fなどで支持しておき、現像器cを感光体ドラムdの側にばねgで付勢することが第1の方法として行われている。
【0005】
しかし、駆動側の固定支点eを感光体ドラムdと離接するx方向に可動にすることは、現像器cの被駆動ギヤhの前記駆動ギヤjに対する噛み合い向きが、前記離接方向xと直角なy方向の向きとされ、x方向に互いに相対移動できるようにする必要がある。
【0006】
このような駆動機構では、駆動ギヤjから被駆動ギヤhへの駆動伝達において、その回転方向に従った駆動ギヤjと被駆動ギヤhとのx方向の相対移動に伴い現像器cを感光体ドラムdに押圧しあるいは感光体ドラムdから引き離す方向の力として影響しやすく、現像器cの現像剤の残量の変化などによる駆動トルクの変動によって現像器cの感光体ドラムdへの圧接力に変化をもたらし、現像ギャップkが変動して現像むら、画像濃度むらの原因になる。また、このとき、被駆動ギヤhが駆動ギヤjに対しx方向に移動する分だけ駆動ギヤjとの噛み合いピッチが変化し、噛み合い周波数が変動するので画像ノイズが発生する。
【0007】
これを解消するのに従来、現像器の駆動側の固定支点を軸直角方向に支持して固定し、非駆動側の固定支点を像担持体と離接する方向に支持して、現像器を潜像担持体の側に付勢することが、第2の方法として行われている。
【特許文献1】特開平8−272180号公報
【特許文献2】特開平9−281800号公報
【特許文献3】特開平10−301463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記のような第2の方法でも、現像器を支持する支持体のフレームに振動などによる歪が生じたり、現像器の駆動側および非駆動側の固定支点位置や、支持体のフレームの前記固定支点を支持する孔などの製造上の精度が低い場合に、駆動側および非駆動側の固定支点を結ぶ線と現像ローラとが平行にならず、現像ギャップが駆動側と非駆動側とで異なり画像濃度差としてあらわれることがあるので問題となる。これは第1の方法の場合も同様に生じ得る。
【0009】
本発明の目的は、被駆動ギヤの駆動ギヤとの噛み合いが変動しにくく、かつ現像器の潜像担持体との間の現像ギャップが変動したり長手方向に不均一になったりしにくい信頼性の高い現像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の現像装置は、潜像担持体と現像ローラとの間の距離を一定にする間隔保持部材を介して現像器を潜像担持体に圧接させたものであり、
上記のような目的を達成するために、特に、一端側にのみ配置され、駆動ギヤと噛み合って駆動の伝達を受ける被駆動ギヤ、この被駆動ギヤを持った駆動側と反対の非駆動側とに配置された現像ローラと平行な軸線上にある2つの固定支点、非駆動側の固定支点を軸直角方向に支持するように嵌り合う支持部材を有した複数の現像器と、複数の現像器をそれらの被駆動ギヤが駆動ギヤに噛み合うようにして支持し、それら現像器を潜像担持体と現像ローラが対向する現像位置に切替え位置させるとともに、各現像器を駆動ギヤを持たない非駆動側から駆動ギヤを持った駆動側に現像ローラに平行な方向で受入れ着脱できるようにするガイド、現像器の装着最終段階で現像器を現像位置での潜像担持体との対向側に付勢する付勢手段、を有し、現像器の装着最終段階でその駆動側の固定支点および支持部材を軸直角方向に支持し、現像器が駆動側および非駆動側の固定支点のまわりの回動で間隔保持部材を介し潜像担持体に圧接されるようにする支持体と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
このような構成では、現像器は非現像位置にて潜像担持体との干渉なしに現像ローラと平行な方向にて容易に着脱できるようにしながら、支持体への装着最終段階にて少なくとも駆動側の固定支点が軸直角方向に支持されることにより、駆動負荷が変動しても駆動側および固定支点は変位せず、被駆動ギヤが支持体の駆動ギヤと一定位置にて噛み合い続けられるようにして、噛み合いピッチが変化し噛み合い周波数が変動するのを防止するとともに、現像器は駆動側および非駆動側の固定支点まわりの回動で潜像担持体への間隔保持部材を介した圧接を固定支点を結ぶ軸線と現像ローラとの平行度を確保して像担持体への馴染み性よく達成しながら、駆動ギヤ側の回転を固定支点が変位せずに被駆動ギヤの回転に効率よく変換されるようにして、前記駆動負荷が変動してもこれが固定支点まわりの回動により潜像担持体に圧接される現像器の圧接状態に影響するのを防止しやすくするので、被駆動ギヤの駆動ギヤとの噛み合いの変動による画像ノイズや現像器の潜像担持体との間の現像ギャップが変動したり長手方向に不均一になったりすることによる画像の濃度変化や濃度むらが生じにくく、信頼性の高いものとなる。
【0012】
本発明の現像装置は、上記発明において、さらに、現像器の非駆動側の固定支点は、現像器が現像位置にて対向する潜像担持体とのほぼ離接方向の遊びを持って支持するようにすると、駆動側および非駆動側の固定支点を結ぶ軸線と現像ローラとの平行度を保ったまま、非駆動側の固定支点につき現像器が現像位置で対向する潜像担持体との離接方向に限って自由度を与えることにより、圧接による間隔保持部材を介した潜像担持体との馴染み性を向上して、非駆動側の固定支点やこれを支持する側の部材の製造上の精度や歪の影響をさらに防止し、間隔保持部材により規制する現像ギャップがさらに適正に確保されやすくすることができる。
【0013】
本発明の現像器は、また、上記各発明において、さらに、駆動側の固定支点は駆動ギヤと同軸上にあると、現像器が駆動側の固定支点まわりに回動して潜像担持体に圧接されるのに圧接位置が仮に変動して被駆動ギヤが移動してもそれは駆動ギヤと同心上の動きとなるので駆動ギヤとの噛み合いピッチなど噛み合い状態が変化することを回避でき、噛み合いの変動による画像ノイズを発生させない利点がある。しかも、駆動ギヤは現像器の回動中心となる駆動側の固定支点と同軸上で回転して現像器上の被駆動ギヤに動力を伝達するため、そのときに被駆動ギヤに伝達する駆動トルクは、被駆動ギヤを現像器の駆動側の固定支点まわりの回動を伴い駆動ギヤまわりに移動させる負荷と、被駆動ギヤをその支持軸まわりに回動させる負荷との格段の相違により、軽負荷となる被駆動ギヤの駆動力として優先的に消費されて、現像器を駆動側の固定支点まわりに回動させる力にはならないので、駆動負荷に変動があってもこれが現像器の潜像担持体への圧接状態に影響して現像ギャップが変動するようなことをより回避して、画像の濃度が変化したり不均一になるのをさらに防止することができる。
【0014】
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面の記載によって明らかになる。本発明の各特徴は、できる限りにおいてそれ単独で、あるいは種々な組み合わせで複合して用いることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上記の説明から明らかなように、駆動負荷が変動しても駆動側の固定支点は変位せず、被駆動ギヤが支持体の駆動ギヤと一定位置にて噛み合い続けられるとともに、駆動負荷が変動してもこれが固定支点まわりの回動により潜像担持体に圧接される現像器の圧接状態に影響するのを防止しやすくするので、被駆動ギヤの駆動ギヤとの噛み合いの変動による画像ノイズや現像器の潜像担持体との間の現像ギャップが変動したり長手方向に不均一になったりすることによる画像の濃度変化や濃度むらが生じにくく、信頼性の高いものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の幾つかの実施の形態についてその実施例とともに図1〜図10を参照しながら詳細に説明し、本発明の理解に供する。
【0017】
本実施の形態は、図9に示すように、電子写真方式で潜像担持体としてのドラムタイプの感光体1、4つの現像器2〜5、および像担持体ベルトとしての中間転写ベルト7aを用いカラー画像を形成するカラープリンタに本発明を適用した場合の一例である。しかし、本発明はこれに限られることはなく、複数の現像器をその現像ローラに平行な方向で着脱できるように支持体に支持して切替え使用するものであれば、プリンタのほか複写機やファクシミリ、マイクロフィルムリーダプリンタなど、各種用途の画像形成装置全般に適用して有効である。また、現像器による像担持体上への画像の形成も、粉体や液体、あるいは双方を含む各種のトナーを用いた各種の現像方式で行うものでもよい。また、潜像担持体はドラムタイプのものに限定されることはなくベルトタイプのものであってもよい。
【0018】
本実施の形態のカラープリンタは図9に示すように、画像形成のために例えば回転移動される像担持体の一例としてのドラム型の感光体1と、複数の、例えば4つの現像器2〜5を感光体1の移動面まわりに設定される現像位置Aに切り替え位置させるように例えば回転移動させて感光体1の移動面上に現像によりトナー像を形成する現像ユニット6と、感光体1と同期した例えば周回移動して感光体1の移動面まわりに設定される一次転写位置Bにて前記感光体1の移動面上に順次形成されるトナー像を順次に積層して転写される中間転写ユニット7とを備えている。
【0019】
感光体1はレーザプリントヘッド8からの画像信号により変調されたレーザ光9による画像露光、つまり光学的な印字を受けて画像信号通りの電気的な潜像、つまり静電潜像を色ごとに形成し、これが前記現像によって顕像化したトナー像に形成される。電気的な潜像を現像することに関連して、感光体1上のトナー像は中間転写ユニット7の中間転写ベルト7a上に一次転写器としての転写ローラ11からの電荷付与によって静電的な吸引により静電転写するようにしている。また、中間転写ベルト7aに順次に積層して静電転写され合成し終わったトナー像は、その移動面まわりに設定される二次転写位置Cに給紙部12a、12bなどから給送されてくる転写材13の上に二次転写器としての転写ローラ14からの静電的な吸引によって静電的に一括して二次転写し、二次転写後の転写材13を定着器15を通して画像形成を終了し排紙トレー16上に排出する。
【0020】
一次転写および二次転写の双方とも画像形成に採用する現像方式に対応して静電転写以外の転写方式で転写されてもよい。また、定着器15も現像方式に対応したものを用いればよく、不要な場合もある。カラー画像形成のために複数の現像器2〜5のそれぞれはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色トナーで静電潜像を現像し、本実施の形態では粉体樹脂トナーを用いることに関連して加熱または加圧、あるいはそれら双方を採用した定着器15を用いる。なお、ブラックの現像器5の使用は必須ではない。また、カラー画像は4つ以上の現像器を用いて形成するものでもよい。さらにカラー画像を形成するものに限られることはなく、2以上の現像器を切り替え使用するものであれば本発明を適用して有効である。
【0021】
感光体1は帯電チャージャ34、クリーナ35を有したプロセスユニット36をなし、ガイドレール21aなどを利用した第1の案内機構21により案内されて、装置本体45に対し軸線方向、つまり紙面に直角な方向の手前側から出し入れして着脱できるようにしている。
【0022】
中間転写ユニット7は、感光体1と離接するように例えば一点を中心とした回動方向に案内する回転中心軸22aなどを利用した第2の案内機構22によって感光体1の着脱の際に干渉し合わない位置に退避しておけるようにされるとともに、感光体1の取り外し後に回転中心軸22aまわりに下動されたとき、左右一対のガイドレール29a、29bなどを利用した第3の案内機構29により案内して装置本体45に対し紙面に直角な方向の手前側から出し入れして着脱できるようにしている。
【0023】
現像ユニット6は支持体としての現像ラック25を軸24などを利用した第4の案内機構23により感光体1と平行な軸線まわりに回動させるように案内して、各現像器2〜5を現像位置Aとこれから外れた非現像位置との間で切り替え移動させ、その都度必要な現像器を現像位置Aに位置させて選択使用できるようにしてある。現像器2〜5の選択使用は現像ラック25の回転方式に限らず直線往復移動など各種に移動して選択使用できるようなものも本発明の範疇に属する。
【0024】
現像ラック25は、図4、図5、図7、図9に示すように、レールタイプのガイド101a、101bなどを利用した第5の案内機構101により各現像器2〜5のそれぞれを現像ローラ2a〜5aに平行な方向、つまり紙面に直角な方向の手前側から個別に出し入れして着脱されるようにしている。
【0025】
図1〜図6、図8〜図10に示す現像器2〜5は、非現像位置の1つである感光体1から外れた例えば図10に示す左側回転位置にて、装置本体45の正面板87に設けられた着脱窓88に対向し、この着脱窓88を通じて着脱されるようにしている。
【0026】
なお、現像ラック25を各現像器2〜5が感光体1と対向する各現像位置Aに、係止レバー49と係止ピン51との係合によって係止する係止状態とこの係止を解除する係止解除状態とに切り替えできる係止機構26と、中間転写ユニット7を第2の案内機構22の案内のもとに図9に示すように感光体1と離間する回動方向に付勢するのと連動して、前記係止機構26が係止解除状態にあり、かつ現像器2〜5の1つである例えば現像器5が現像位置Aに位置する際に、その現像器5をその現像位置Aから図9に示すように少し外れた非現像位置に移動するよう第4の案内機構23を介して付勢する操作入力機構27とが設けられている。
【0027】
一方、操作入力機構27が中間転写ユニット7を感光体1から離間させない非操作入力状態にあり、係止機構26が現像器2〜5の1つを現像位置Aに係止しているとき、操作レバー61は図10に示すようにプロセスユニット36の引き出し経路上に位置することにより、そのような状態でプロセスユニット36の引き出しを阻止し、プロセスユニット36を引き出すには操作入力機構27により中間転写ユニット7が感光体1から離間され、これに連動して現像位置Aにあった現像器5などが非現像位置に移動されていることが条件になるようにして、感光体1とそのまわりの機構との干渉を防止するようにしてある。
【0028】
さらに、中間転写ユニット7もまたクリーナ37を持ち二次転写後の移動面をクリーニングする。プロセスユニット36および中間転写ユニット7の各クリーナ35、37は感光体1および中間転写ベルト7aの移動面から除去した残留トナーを回収する回収容器41、42を持ち、それぞれの底部に設けられたスクリュウ41a、42aにより排出される。それぞれの図10に示す排出口41b、42bには共通の廃トナー容器43が着脱できるように接続され、接続状態では前記排出される廃トナーを収容し貯留する。満杯になれば取り外して廃棄し新しいものを接続しなおす。あるいは収容した廃トナーを廃棄して空にし再度接続して使用する。排出口41b、42bには図示しないシャッタが設けられ、廃トナー容器43を接続するとシャッタは開かれ排出される廃トナーを廃トナー容器43に受け入れ、廃トナー容器43を外すとシャッタは閉じられ排出口41b、42bから回収トナーが漏れでるのを防止する。
【0029】
廃トナー容器43は図10に示すように、前記操作レバー61の作業者が対面する手前側を覆うように配置されている。つまり、図示しない前カバーの直ぐ内側に廃トナー容器43が位置していて、感光体1を着脱すべく前カバーを開放しても、操作レバー61は廃トナー容器43のさらに内側に隠れているので操作できない。
【0030】
そこで、邪魔な廃トナー容器43を中間転写ユニット7およびプロセスユニット36との接続を外して取り外さないと、操作入力機構27の操作レバー61は操作できないので、廃トナー容器43を取り外さずに操作入力機構27が操作されることによって、中間転写ユニット7が感光体1から離間される際に接続した状態のままの廃トナー容器43が従動せず邪魔になったり、無理な力が働いて各部が損傷するようなことが解消する。
【0031】
ところで、複数の現像器2〜5のうち、ブラックのトナーを収容した現像器5の使用頻度が高く、装置停止時はブラックの現像器を現像位置Aに位置決めして係止機構26により係止しておき、カラー画像はそのブラックの現像器5の次のイエローの現像器2による現像から開始し、最終にブラックの現像器5による現像を行って形成し、画像形成終了後はブラックの現像器5が現像位置Aにあるまま係止機構26により係止しておく。従って、モノクロの画像、特に頻度の高いブラックのモノクロ画像形成時は、ブラックの現像器5が現像位置Aに位置しているので、現像器2〜5の切り替え移動なくそのまま即座に画像形成ができる。
【0032】
本実施の形態は特に図1〜図6に示す現像器2〜5のそれぞれにおいて、感光体1と現像ローラ2a〜5aとの間の距離、つまり現像ギャップGを一定にする間隔保持部材としての現像ローラ2a〜5aの両端部外側に設ける一対のスペーサローラ103、104を介して現像器2〜5を感光体1に圧接させる構成を採用し、図3に示すように一端側にのみ配置され、駆動ギヤ105と噛み合って駆動の伝達を受ける被駆動ギヤ106、この被駆動ギヤ106を持った駆動側に配置された固定支点107、現像器2〜5の非駆動側の固定支点112と長孔113でその長手方向に遊びを持って嵌り合って支持する可動支持部材114上に一体に設けられるなどして、非駆動側に配置され現像ローラ2a〜5aとの間の距離が可変な可動支点108を有している。
【0033】
可動支点108の現像ローラ2a〜5aに対する可動範囲は前記固定支点112と長孔113との間の遊びと、図4に示すような可動支持部材114上のストッパ114aと現像器2〜5の非駆動側に設けた図4、図5に示すような位置規制凹部109との間の遊びで規定されている。しかし、可動支点108を設ける意味では固定支点112と長孔113との間の遊びは省略することができる。
【0034】
これに対し現像ユニット6は、図4、図5に示すように複数の現像器2〜5をそれらの被駆動ギヤ106が駆動ギヤ105に噛み合うようにして支持し、それら現像器2〜5を感光体1と現像ローラ2a〜5aが対向する現像位置Aに切替え位置させるとともに、各現像器2〜5を駆動ギヤ105を持たない非駆動側から駆動ギヤ105を持った駆動側に現像ローラ2a〜5aに平行な方向で受入れ着脱できるようにするガイドである前記第5の案内機構101、現像器2〜5の装着最終段階で現像器2〜5を現像位置Aでの感光体1との対向側に付勢する付勢手段としてのばね111を有し、現像器2〜5の装着最終段階でその駆動側の固定支点107および非駆動側の可動支点108を、支点受け100、102により軸直角方向に支持する支持体である前記現像ラック25を備えている。
【0035】
このようにして、現像器2〜5は非現像位置にて感光体1との干渉なしに現像ローラ2a〜5aと平行な方向にて容易に着脱できるようにしながら、現像ラック25への装着最終段階にて駆動側の固定支点107が軸直角方向に支持されることにより、駆動負荷が変動しても駆動側の固定支点107は変位せず、被駆動ギヤ106が現像ラック25の駆動ギヤ105と一定位置にて噛み合い続けられるようにして、噛み合いピッチが変化し噛み合い周波数が変動するのを防止するとともに、前記駆動負荷が現像器2〜5の感光体1への圧接状態に影響するのを抑えることができ、しかも、現像器2〜5の非駆動側は可動支点108が支点受け102に軸直角方向に支持されながら現像ローラ2a〜5aとの間の距離が、上記のように可変であることにより、この可変な範囲で現像器2〜5の非駆動側を現像ラック25への支持から遊びを持たせて、現像器2〜5の固定支点107や現像ラック25の支点受け100、102などに製造上の位置誤差や現像ラック25のフレームに振動などによる歪みがあっても、現像器2〜5は前記遊びの範囲でそのような位置誤差や歪みを吸収して感光体1に馴染みよく圧接されてスペーサローラ103、104による設定通りの現像ギャップGを確保しやすくするので、被駆動ギヤ106の駆動ギヤ105との噛み合いの変動による画像ノイズや現像器2〜5の感光体1との間の現像ギャップGが変動したり長手方向に不均一になったりすることによる濃度変化や濃度むらが生じにくく、信頼性の高いものとなる。なお、可動支点108の現像ローラ2a〜5aに対し可動とする具体的な設け方は特に限定されない。
【0036】
以上述べた実施の形態とは別に、図4に示すような可動支持部材114上のストッパ114aと現像器2〜5の非駆動側に設けた位置規制凹部109との間による遊びを規定せず、現像器2〜5の装着最終段階にて可動支持部材114を、現像ラック25に対しそれ自体ないしはそれに設けた支点部を軸直角方向に支持し、可動支持部材114により固定支点112を回動のみできるように単に支持する構造を利用するようにしても有効であり、この場合、駆動側および非駆動側の固定支点107、112を結ぶ軸線121が現像ローラ2a〜5aに平行とし、かつこのような関係を利用してさらに、現像器2〜5が駆動側および非駆動側の固定支点107、112を結ぶ軸線121のまわりの回動でスペーサローラ103、104を介し感光体1に圧接されるようにする
このような図示しない実施の形態では、前述の場合と同様に、現像器2〜5は非現像位置にて感光体1との干渉なしに現像ローラ2a〜5aと平行な方向にて容易に着脱できるようにしながら、現像ラック25への装着最終段階にて少なくとも駆動側の固定支点107が支点受け100によって軸直角方向に支持されることにより、駆動負荷が変動しても駆動側の固定支点は変位せず、被駆動ギヤ106が現像ラック25の駆動ギヤ105と一定位置にて噛み合い続けられるようにして、噛み合いピッチが変化し噛み合い周波数が変動するのを防止するのに加え、特に、現像器2〜5は駆動側および非駆動側の固定支点107、112まわりの回動で感光体1へのスペーサローラ103、104を介した圧接を固定支点107、112を結ぶ軸線121と現像ローラ2a〜5aとの平行度を確保して感光体1への馴染み性よく達成しながら、駆動ギヤ105側の回転を固定支点107、112が変位せずに被駆動ギヤ106の回転に効率よく変換されるようにして、前記駆動負荷が変動してもこれが固定支点107、112まわりの回動により感光体1に圧接される現像器2〜5の圧接状態に影響するのを防止しやすくするので、被駆動ギヤ106の駆動ギヤ105との噛み合いの変動による画像ノイズや現像器2〜5の感光体1との間の現像ギャップGが変動したり長手方向に不均一になったりすることによる濃度変化や濃度むらが生じにくく、信頼性の高いものとなる。
【0037】
ここで、図に示す実施例では、上記のような2つの実施の形態における構成を複合して持っていることにより、上記2つの実施の形態が奏する双方の作用効果を併せ発揮することができる。しかも、この場合の実施の形態において、さらに、図示する実施例のように現像器2〜5の非駆動側の固定支点112は、可動支持部材114の長孔113により現像器2〜5が現像位置Aにて対向する感光体1とのほぼ離接方向の遊びを持って支持するようにしてあるので、駆動側および非駆動側の固定支点107、112を結ぶ軸線121と現像ローラ2a〜5aとの平行度を保ったまま、非駆動側の固定支点112につき現像器2〜5が現像位置Aで対向する感光体1とのほぼ離接方向に限って自由度を与えることにより、圧接によるスペーサローラ103、104を介した感光体1との馴染み性を向上して、非駆動側の固定支点112やこれを支持する側の部材である可動支持部材114や現像ラック25などの製造上の精度や歪の影響をさらに防止し、スペーサローラ103、104により規制する現像ギャップGがさらに適正に確保されやすくすることができる。
【0038】
また、駆動側の固定支点107は駆動ギヤ105と同軸上にある。これにより、現像器2〜5が駆動側の固定支点107まわりに回動して感光体1に圧接されるのに圧接位置が仮に変動して被駆動ギヤ106が移動してもそれは駆動ギヤ105と同心上の動きとなるので駆動ギヤ105との噛み合いピッチなど噛み合い状態が変化することを回避でき、噛み合いの変動による画像ノイズを発生させない利点がある。
【0039】
しかも、駆動ギヤ105は現像器2〜5の回動中心となる駆動側の固定支点107と同軸上で回転して現像器2〜5上の被駆動ギヤ106に動力を伝達するため、そのときに被駆動ギヤ106に伝達する駆動トルクは、被駆動ギヤ106を現像器2〜5の駆動側の固定支点107まわりの回動を伴い駆動ギヤ105まわりに移動させる負荷と、被駆動ギヤ106をその支持軸142まわりに回動させる負荷との格段の相違により、軽負荷となる被駆動ギヤ106の駆動力として優先的に消費されて、現像器2〜5を駆動側の固定支点107まわりに回動させる力にはならないので、駆動負荷に変動があってもこれが現像器2〜5の感光体1への圧接状態に影響して現像ギャップGが変動するようなことをより回避して、画像の濃度が変化したり不均一になるのをさらに防止することができる。
【0040】
なお、図に示す実施例では駆動側の固定支点107は孔タイプとして駆動ギヤ105と同軸の軸タイプの支点受け100と嵌め合わせてある。また、非駆動側の固定支点112、非駆動側の可動支点108のそれぞれは軸タイプとして、前記のように固定支点112は孔タイプの支点受けとしての長孔113と嵌め合わせ、可動支点108は孔タイプの支点受け102と嵌め合わせてある。しかし、どちらの側を軸タイプにし、孔タイプにしてもよい。被駆動ギヤ106は現像器2〜5の側面に前記支持軸142により支持されて、現像ローラ2a〜5aに直結のギヤ143に噛み合っており、現像器2〜5の装着最終段階で被駆動ギヤ106が駆動ギヤ105に噛み合って駆動力の伝達が受けられ、受けた駆動力はギヤ143を介して現像ローラ2a〜5aに伝達できるようにしている。
【0041】
ばね111は図5、図6に示すように、現像ラック25の各現像器2〜5を受け入れる部分の現像器2〜5と対向する壁面に、現像器2〜5を出し入れする方向の前後、つまり駆動側と非駆動側とに、軸145により軸支して設けた一対のレバー部材146a、146bに働かせ、各レバー部材146a、146bが装着最終段階にある現像器2〜5に対してほぼ同時に働くようにしてある。このため、現像器2〜5のレバー部材146a、146bの押動を受ける受動壁147は、駆動側の受動面147aに対し非駆動側の受動面147bを感光体1との対向方向における後方側に寄って形成されている。同時に駆動側のレバー部材146aに対し非駆動側のレバー部材146bを感光体1との対向方向における後方側に寄って配置され、ストッパ148a、148bにより待機位置に係止されている。これにより、現像器2〜5の装着最終段階で受動壁147の駆動側の受動面147aと非駆動側の受動面147bとは、図6(a)に示す段階から図6(b)に示す段階に変化して、斜面147a1、147b1を経てレバー部材146a、146bと同時に当接し合うことにより感光体1の側に押動されて、固定支点107、112まわりに回動し、スペーサローラ103、104を介して感光体1に圧接されるようにする。
【0042】
第5の案内機構101は、図4に示すように受け入れる現像器2〜5との間に遊びSを持ち、それらを現像ラック25に対し出し入れしやすくしている。しかし、前記駆動側の固定支点107と支点受け100、非駆動側の可動支点108と支点受け102の、それぞれの組は軸タイプの側である支点受け100および非駆動側の可動支点108の先端にテーパ状のガイド部151を設け、前記遊びSを持った現像ラック25へ嵌め合わせて装着するのに、この遊びS内において支点受け100および非駆動側の可動支点108が固定支点107および支点受け102に対し、装着最終段階で確実に嵌り合えるようにしている。これにはガイド部151を孔タイプの側に設けても同様な働きが得られる。もっとも、軸タイプ側と孔タイプ側との双方にテーパを形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、被駆動ギヤを持った現像器が外部の駆動ギヤに噛み合って駆動を伝達される現像装置に実用して、互いの噛み合いの変動を抑え、現像器の潜像担持体との現像ギャップの変動や長手方向に不均一になるのを抑えて信頼性を高められる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の代表的な1つの実施の形態に係る現像装置の現像位置にある現像器と感光体との関係を非駆動側から見て示す非駆動側側面図である。
【図2】図1の現像装置の駆動側から見て示す駆動側側面図である。
【図3】図1、図2の現像装置を模式的に示す斜視図である。
【図4】図1、図2の現像装置における現像器の着脱できる支持構造を非駆動側から見て示す側面図である。
【図5】図4の現像器の着脱できる支持構造での横断面図である。
【図6】図4の現像器の押圧機構の平面状態図で、その(a) は装着最終段階より少し手前の未押圧状態、その(b)は装着最終段階での押圧状態をそれぞれ示している。
【図7】図1、図2の現像装置に係る現像ラックの駆動側部分を示す斜視図である。
【図8】図1、図2の現像器の非駆動側部分の斜視図である。
【図9】図1、図2の現像装置を装備したカラープリンタを示す全体構成図である。
【図10】図9のカラープリンタの正面パネルを開放した状態で示す正面図である。
【図11】従来の現像装置を示す駆動側側面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 感光体
2〜5 現像器
2a〜5a 現像ローラ
6 現像ユニット
23 第4の案内機構
24 軸
25 現像ラック
88 着脱窓
100、102 支点受け
101a、101b ガイド
101 第5の案内機構
103、104 スペーサローラ
105 駆動ギヤ
106 被駆動ギヤ
107 駆動側の固定支点
108 非駆動側の可動支点
109 位置規制凹部
111 ばね
112 非駆動側の固定支点
113 長孔
114 可動支持部材
114a ストッパ
A 現像位置
G 現像ギャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体と現像ローラとの間の距離を一定にする間隔保持部材を介して現像器を潜像担持体に圧接させた現像装置において、
一端側にのみ配置され、駆動ギヤと噛み合って駆動の伝達を受ける被駆動ギヤ、この被駆動ギヤを持った駆動側と反対の非駆動側とに配置された現像ローラと平行な軸線上にある2つの固定支点、非駆動側の固定支点を軸直角方向に支持するように嵌り合う支持部材を有した複数の現像器と、
複数の現像器をそれらの被駆動ギヤが駆動ギヤに噛み合うようにして支持し、それら現像器を潜像担持体と現像ローラが対向する現像位置に切替え位置させるとともに、各現像器を駆動ギヤを持たない非駆動側から駆動ギヤを持った駆動側に現像ローラに平行な方向で受入れ着脱できるようにするガイド、現像器の装着最終段階で現像器を現像位置での潜像担持体との対向側に付勢する付勢手段、を有し、現像器の装着最終段階でその駆動側の固定支点および支持部材を軸直角方向に支持し、現像器が駆動側および非駆動側の固定支点のまわりの回動で間隔保持部材を介し潜像担持体に圧接されるようにする支持体と、
を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
現像器の非駆動側の固定支点は、現像器が現像位置にて対向する潜像担持体とのほぼ離接方向の遊びを持って支持する請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
駆動側の固定支点は駆動ギヤと同軸上にある請求項1、2のいずれか1項に記載の現像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−133815(P2006−133815A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−42391(P2006−42391)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【分割の表示】特願平11−263005の分割
【原出願日】平成11年9月17日(1999.9.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】