説明

画像形成装置

【課題】 表裏で光沢度の異なる用紙を用いた場合でも、用紙両面の画像品質の差異が小さく、高品位な両面画像を得ることのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 用紙各面の光沢度を検出する検知手段(図示せず)によって、用紙各面の光沢度Ga、Gbを検知する(S1)。次に、印刷が両面印刷か否かを判断し(S2)、両面印刷でない場合はS7に進んで通常の画像形成を行う。、両面印刷の場合には用紙各面の光沢度GaとGbが等しいか否かを判断する(S3)。両面の光沢度が等しい場合(Ga=Gb)にはS7に進んで通常の画像形成を行う。各面の光沢度が異なる場合にはS4にてa面の光沢度Gaがb面の光沢度Gbより低いかどうかが判断される。。b面の光沢度が高い場合にはa面側の作像条件はトナー付着量が小さくなるように設定される(S5)。一方、a面の光沢度が高い場合にはb面側の作像条件はトナー付着量が小さくなるように設定される(S6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関し、さらに詳しく言えば、両面記録可能な画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2002−202638号公報
【特許文献2】特開2000−352889号公報
【0003】
従来の両面記録可能な画像形成装置では、像担持体上に形成した一方の面の画像(顕画像)を用紙に転写して定着し、その用紙を反転路等により反転させ、再度給送して用紙の裏面にもう一方の面の画像(顕画像)を転写して定着させる方式が広く用いられてきた。
【0004】
この方式による両面記録の場合、次のような課題を有している。
1)一度定着装置を通して画像形成を行った用紙はカールがおきやすく、反転や再給送時にジャムを起こしやすい。よって生産性が低下する。
2) 剛性の高い用紙は装置内で反転することが困難であるため、使用できる用紙の種類が限定されてしまう。
3)二度の定着を行った画像面は画像品質が劣化してしまう。特に2回定着を行った画像面では粒状性の悪化が著しい。
4)二度の定着を行った画像面は一度の定着のみの画像面に対し過剰に光沢が出てしまう。
【0005】
このような課題を解決するものとして、例えば上記特許文献1には、第1の中間転写ベルトと第2の中間転写ベルトから用紙両面に画像を転写することで、1回の通紙で両面記録を可能とした画像形成装置が開示されている。
【0006】
また、上記特許文献2には、各色の作像ユニットと中間転写ベルトからなる作像ステーションを2セット備え、各作像ステーションで形成した画像を用紙両面に転写することで、1回の通紙で両面記録を可能とした画像形成装置が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記各特許文献に記載のものでは、用紙表裏で画像品質に差が生じるという問題がある。特に、画像の光沢感が用紙の表面と裏面で大きく異なるという現象が見られる。本願発明者はこの現象について解析したところ、以下のようなことが判った。
1)不具合の起こる画像の用紙は表裏の表面特性である光沢度が異なっており、光沢度の低い面で画質光沢が劣化している。
2)用紙の光沢度が低い面において、画像光沢が過剰に高くなってぎらつき、視認性の悪い画像となることで不良となってしまうことがある。
3)用紙の表面特性は従来公知技術であるメディアセンサのような光センサにて検知されているが、従来用紙片面のみしか行われていない。
4)前記の表面特性の検知は片面のみの結果によって画像形成条件が決定されており、各面で光沢度が異なる用紙を想定した制御がなされていない。
【0008】
ところで、各面で光沢度のような表面特性が異なる用紙は、次のような用途で多く使われる。それは、軽印刷分野における製本印刷において、例えば冊子の表紙や写真画像の挿絵のページなどである。通常、その裏面(特に光沢度の低い面)にも画像を形成することが多い。
【0009】
通常のオフセット印刷等のインクを用いる場合には用紙光沢に応じた画像光沢が得られるため低光沢面の画像光沢は低光沢な仕上がりとなり、用紙に近いマットで自然な画像光沢が得られる。一方、電子写真でトナーを用いる場合にはその画像厚みのため、画像光沢は用紙光沢とは一致しなくなる。特に表面がラフで低光沢な用紙を用いた場合に画像部のみが高光沢になってぎらついてしまうようなときがある。この用紙内での大きな光沢差は不自然な光沢感として人間には認識されるため、画像の品位が損なわれるとともに視認性に欠けた画像となり、不良画像となることがある。このことは電子写真方式に特有の大きな問題となっていた。
【0010】
本発明は、従来の画像形成装置における上述の問題を解決し、表裏で光沢度の異なる用紙を用いた場合でも、用紙両面の画像品質の差異が小さく、高品位な両面画像を得ることのできる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の課題は、本発明により、1回の通紙で用紙両面に画像を転写して両面記録が可能な画像形成装置において、用紙の一方側の面と他方側の面それぞれの光沢度を検知する光沢度検知手段を備え、該光沢度検知手段の検知結果に基づいて作像部における像担持体上のトナー付着量を制御することにより解決される。
【0012】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記光沢度検知手段は発光部と受光部を有する光センサであり、用紙に反射させた反射光により用紙光沢度を算出することを提案する。
【0013】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記光センサの受光部が受光する光が正反射光であり、用紙垂線と正反射光のなす角度が60度以上85度以下であることを提案する。
【0014】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、用紙の一方側の面の光沢度を検知する光沢度検知手段と他方側の面の光沢度を検知する光沢度検知手段が用紙を挟んで対向しないように配置されていることを提案する。
【0015】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記光沢度検知手段で検知した用紙各面の光沢度を比較し、光沢度が低い方の用紙面に転写させる画像のトナー付着量を光沢度が高い方の用紙面に転写させる画像のトナー付着量よりも小さくなるように制御することを提案する。
【0016】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記像担持体に対するトナー付着量が異なる複数の画像形成モードを有し、前記光沢度検知手段で検知した用紙各面の光沢度に応じて、用紙各面に転写させる画像を形成する際の画像形成モードが前記複数の画像形成モードから独立して適用可能なことを提案する。
【0017】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記トナー付着量の制御は、作像部における現像ポテンシャルを変化させて行うことを提案する。
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記現像ポテンシャルの制御は、作像部における露光装置の露光エネルギーを変化させて行うことを提案する。
【0018】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記現像ポテンシャルの制御は、作像部における現像バイアスとしての直流電圧を変化させて行うことを提案する。
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記トナー付着量の制御は、作像部における現像バイアスとしての交流電圧波形を変化させて行うことを提案する。
【0019】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記トナー付着量の制御は、作像部における現像装置内のトナー濃度を変化させて行うことを提案する。
また、前記の課題を解決するため、本発明は、第1の中間転写体の周囲に少なくとも1つの作像ユニットを付設した第1作像ステーションと、第2の中間転写体の周囲に少なくとも1つの作像ユニットを付設した第2作像ステーションを有し、前記2つの作像ステーションで形成した各画像を前記第1及び第2中間転写体から1回の通紙で用紙各面に転写して両面記録が可能なことを提案する。
【0020】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、第1の中間転写体の周囲に少なくとも1つの作像ユニットを付設した作像ステーションと、前記第1の中間転写体に担持させた画像を転写可能な第2の中間転写体を有し、前記第1及び第2中間転写体が担持する各画像を1回の通紙で用紙各面に転写して両面記録が可能なことを提案する。
【0021】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記光沢度検知手段は、前記中間転写体から用紙への画像転写位置に対し、用紙搬送経路に沿って前記中間転写体外周の4分の1の距離よりも上流側に配置されることを提案する。
【0022】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、片面記録時に、前記光沢度検知手段で検知した用紙各面の光沢度が高い方の面に画像を転写させることを提案する。
また、前記の課題を解決するため、本発明は、用紙の片面がカラー画像で他方の片面がモノクロ画像である両面印刷時に、前記光沢度検知手段で検知した用紙各面の光沢度が高い方の面に前記カラー画像を転写させることを提案する。
【0023】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、単色ベタ画像の単位面積あたりのトナー付着量が0.7mg/cm以下であることを提案する。
また、前記の課題を解決するため、本発明は、重量平均粒径が3〜7μmかつ重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)が1.00〜1.30の範囲にあるトナーを用いることを提案する。
【0024】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、形状係数SF−1が100〜160の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜160の範囲にあるトナーを用いることを提案する。
【0025】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤からなり、ガラス転移温度が45〜65℃、流出開始温度が90〜115℃のトナーを用いることを提案する。
【0026】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記光沢度検知手段で検知した用紙各面の光沢度をそれぞれG1,G2(G1>G2)とし、該G1,G2に対応する用紙各面の単位面積当たりのトナー付着量をそれぞれm1、m2としたとき、
m2/m1≦1−α×ΔG/G2
ただしΔG=G1−G2、α=0.1
の関係を満たすことを提案する。
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記G1とG2の差が20%以上である用紙を用いることを提案する。
【0027】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、用紙面に形成すべき画像の面積率を検知する画像面積率検知手段を有し、両面記録時に用紙各面に形成すべき画像の面積率を前記画像面積率検知手段で検知するとともに、該検知した画像のうち面積率の低い方の画像を、前記光沢度検知手段で光沢度を検知した用紙各面のうちの光沢度の低い方の用紙面に記録することを提案する。
【0028】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、用紙面に形成すべき画像の種類を検知する画像種類検知手段を有し、両面記録時に用紙各面に形成すべき画像の種類を前記画像種類検知手段で検知するとともに、該検知した用紙各面の画像種類がそれぞれ文字画像とイメージ画像である場合、文字画像である方の画像を、前記光沢度検知手段で光沢度を検知した用紙各面のうちの光沢度の低い方の用紙面に記録することを提案する。
【発明の効果】
【0029】
本発明の画像形成装置によれば、用紙各面の光沢度に基づいて作像部における像担持体上のトナー付着量を制御するので、両面画像を形成する画像形成装置において、表裏で光沢度が異なる用紙を用いた場合に低光沢の用紙面の画像光沢が過剰に増加してしまう不具合が防止でき、用紙面に応じた適正な光沢感を持つ高品位な両面画像が得られる画像形成装置を提供することができる。
【0030】
請求項2の構成により、光センサを用いて反射光から用紙の光沢度を算出することで、非接触での検知を行うことができ、検知手段の配置の自由度が高くなる。また用紙の搬送中に高速に検知を行うことができる。よって高速出力の画像形成装置への適用も可能となる。
【0031】
請求項3の構成により、反射光として60度から85度の角度の正反射光を用いることで、用紙各面での光沢度との相関が簡易的に得られやすく、各面で光沢性に優れた良質な両面画像を得ることができる。また光沢度の算出が容易であるため高速出力の画像形成装置に対しても有利となる。
【0032】
請求項4の構成により、光沢度検知手段を用紙を挟んで対向しないように配置することで、光センサは他方の光センサの発光による用紙透過光の影響を受けることがなくなるため、光センサの検知精度を向上させることができ、各面で光沢性に優れた良質な両面画像を常に得ることができる。
【0033】
請求項5の構成により、用紙光沢度が低い場合には、トナー付着量を減らすことで画像光沢度が減少することを用い、検知された用紙各面の光沢度を比較し、光沢度の低い方の用紙面のトナー付着量を光沢度の高い方の用紙面のそれよりも小さくするように制御することにより、低光沢面での過剰な画像光沢が出現するのを抑制することができるとともに、高光沢面では用紙面に応じた適正な画像光沢を得ることができるため、各面にて用紙と画像との光沢の差異が少ない良質な両面画像を簡易的にかつ高速に得ることができる。
【0034】
請求項6の構成により、トナー付着量の異なる画像形成モードを複数備える構成において、検知された用紙各面の光沢度に応じて、用紙第一面と第二面とは独立に画像形成モードが選択されることにより、用紙の光沢度に応じた最適なトナー付着量が用紙に転写されるので、用紙各面で光沢性に優れた良質な両面画像を常に得ることができる。
【0035】
請求項7の構成により、トナー付着量の制御は現像ポテンシャルを変化させて行うことにより、直接的にトナーの付着量を変化させることができるので、各面で光沢性に優れた良質な両面画像を確実に得ることができる。
【0036】
請求項8の構成により、トナー付着量の制御は露光装置の露光エネルギーを変化させて行うことにより、現像条件を変更せずに安定に保ったままトナー付着量のみを変化させることができるので、各面で光沢性に優れた良質な両面画像を常に安定に得ることができる。
【0037】
請求項9の構成により、トナー付着量の制御は現像ローラに印加する直流電圧を変化させて行うことにより、簡易的かつ高速にトナー付着量を変化させることができるので、各面で光沢性に優れた良質な両面画像を得ることができる。
【0038】
請求項10の構成により、トナー付着量の制御は現像ローラに印加する交流電圧波形(例えば、ピークツウピーク電圧、周波数、デューティーなどの少なくとも一つ以上のパラメータ)を変化させて行うことにより、よりダイナミックにトナー付着量を変化させることができるので、各面で光沢性に優れた良質な両面画像を得ることができる。
【0039】
請求項11の構成により、トナー付着量の制御は現像装置へのトナー補給量を変えて現像器中の現像剤のトナー濃度を変化させることで行うことにより、簡易的な方法にてトナー付着量を変化させることができる。また現実的に頻繁に行われる連続的な同一用紙の作像に関しては安定したトナー付着量の増加を図ることができる。よって各面で光沢性に優れた良質な両面画像を得ることができる。
【0040】
請求項12の構成により、二つの作像ステーションを備えているので、用紙光沢度の検知結果を各用紙面におけるトナー付着量の制御に高速に行うことができ、画像形成の生産性を落とすことなく光沢性の良い良質な両面画像を形成することが可能となる。また用紙面ごとにトナー付着量を制御する際の現像器を別々に備えているため、安定したトナー付着量制御が可能となる。
【0041】
請求項13の構成により、用紙光沢度の検知結果をトナー付着量の制御に正確にフィードバックでき、各面にて光沢性の良い良質な両面画像を得ることができるとともに、画像形成装置の大きさをコンパクトにすることができる。
【0042】
請求項14の構成により、用紙両面の光沢度検知手段の配置位置を転写位置に対して中間転写体の4分の1周分の距離よりも上流側にすることで、検知した光沢度を遅延することなく確実に作像条件にフィードバックすることが可能となり、生産性を損なうことなく、安定して各面にて光沢性の良い良質な両面画像を得ることができる。
【0043】
請求項15の構成により、片面画像を印刷する際に、光沢度の高い方の用紙面にトナー像が転写されるように画像形成方法が選択されることで、ユーザーが意識することなく自動的かつより簡易的に高光沢で見栄えの良い良質な画像を得ることができるとともに低光沢面での画像のギラツキが発生することがない。
【0044】
請求項16の構成により、トナー付着量の多いカラー画像を光沢度の高い方の用紙面で印刷することにより、ユーザーが意識することなく自動的かつより簡易的に光沢性の良い良質なカラー画像を得ることができる。また付着量の少ないモノクロ画像を光沢度の低いほうのよう紙面で印刷することで、過剰な画像光沢であるギラツキの発生を抑制することができる。
【0045】
請求項17の構成により、単色ベタ画像の単位面積あたりの付着量を0.7[mg/cm]以下に規定することで、用紙上で多色が重なった状態においても十分な定着性を確保でき、トナー付着量による光沢制御幅が広がる。また画像厚み(パイルハイト)が小さいので、画像の境界での光沢の差が目立つこともない。
【0046】
請求項18の構成により、重量平均粒径が3〜7μmで、重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)が1.00〜1.30の範囲にあるトナーを用いることにより、ミクロなトナー間の空隙が小さくなりトナー画像中のトナー密度が上がる(いわゆるベタ埋まりがよくなる)ため、より少ない付着量で十分な画像濃度を得ることができる。よってトナー付着量による画像光沢の幅広い制御が可能となる。また、小粒径化に伴うドット再現性の向上や粒径分布のシャープ化による帯電量の安定化、パイルハイトの低下による転写率の向上等、高画質化を達成することも可能となる。
【0047】
請求項19の構成により、形状係数SF−1が100〜160の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜160の範囲にあるトナーを用いることで画質の劣化を防ぐことができる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが160を超えると、転写率が低下し著しく画質が劣化するため好ましくない。
【0048】
請求項20の構成により、少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤からなり、ガラス転移温度が45〜65℃、流出開始温度が90〜115℃のトナーを用いることで良好な定着性が得られる。
【0049】
トナー定着性に関して一般的には1/2流出温度(軟化点)が関連することが知られているが、本発明においては、1/2流出温度(軟化点)定着性には関連が見られず、ガラス転移温度が45〜65℃で、流出開始温度が90〜115℃である両特性を満足するトナーを用いることで、良好な定着性が得られることが明らかになった。それによりトナー付着量による光沢制御を幅広く行うことが可能となった。
【0050】
請求項21の構成により、用紙光沢度に応じたトナー付着量を設定することが可能となり、様々な用紙に対して適正な画像光沢を得ることができる。その際に、低光沢面におけるトナー付着量は、低光沢面の光沢度G2が小さい場合ほど小さく、また用紙面の光沢度差が大きいほど小さく設定することで、用紙の低光沢面側の画像において過剰な光沢の発生を防止することが可能となる。
請求項22の構成により、用紙各面の光沢度の差が20%以上である用紙を用いるので、低光沢面における過剰な光沢の発生を効果的に防止することが可能となる。
【0051】
請求項23の構成により、低光沢面の用紙では総トナー付着量が少ないため自動的に画像光沢を抑制することができる。また画像面積率が低いために色再現性の低下も目立ちづらく、過剰光沢によるギラツキの抑制と色再現性の確保を同時に満たすことのできる両面画像を得ることが可能となる。
【0052】
請求項24の構成により、両面画像作像時に文字画像を多く含む画像を自動的に光沢度の低い方の用紙面に作像することにより、文字画像においては優先的に画像光沢度を抑制することができるので、視認性に優れた画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
まず、トナー付着量と画像光沢度の関係について図20に示すが、ここでは光沢の異なる用紙2種類を用い、その用紙光沢は点線で示すようにそれぞれGa,Gbであった。各用紙それぞれにおいて、トナー付着量の増加に伴い画像光沢度は実線で示すように増加していき、ある程度の付着量にて光沢度は飽和する傾向が見られる。画像光沢度を用紙光沢度に近づけるためには上記の関係から最適なトナー付着量を設定する必要がある。特に低光沢な用紙の場合にはより少ないトナー付着量にする必要があることが分かった。このことを踏まえて、以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0054】
図1は、本発明に係る画像形成装置の一例における概略構成を示す断面図である。この図に示す画像形成装置は、本体100の内部に第1作像ステーション11及び第2作像ステーション12の二つの作像ステーションを有している。各作像ステーション11,12は、共に中間転写ベルトの1辺に沿って複数の(本例では4つの)作像ユニットを並べて配置したいわゆる4連タンデム型の作像ステーションである。したがって、本例の画像形成装置は、1回の通紙で用紙両面にフルカラー画像の記録が可能な1パス両面型のカラー画像形成装置である。
【0055】
第1作像ステーション11において、複数の支持ローラに張架された中間転写ベルト21は、図中時計回りに回転駆動される。そのベルト上辺部に沿って、4つの作像ユニット30Y,30C,30M,30Bkが等間隔でベルト回動方向に並設されている。各作像ユニット30は、扱うトナーの色が異なるのみでその構成は同じであるので、1つを代表して図2により説明する。
【0056】
図2に示すように、像担持体としての感光体ドラム1の周囲には、帯電手段であるスコロトロンチャージャ3、露光装置4、現像装置5、クリーニング装置2、光除電装置6、電位センサ7、画像センサ8等が配設されている。
【0057】
感光体ドラム1は、例えば直径30〜120mm程度のアルミニウム円筒表面に光導電性物質である有機感光層(OPC)を形成したものを用いることができる。また、アモルファスシリコン(a−Si)層を形成した感光体等も採用可能である。あるいはベルト状の感光体を採用することもできる。
【0058】
感光体ドラム1の表面を一様に帯電させる帯電手段3としては、本例のスコロトロンチャージャのほかに、感光体表面に接触するタイプ、たとえば帯電ローラを採用することもできる。
【0059】
露光装置4は、各色毎の画像データに対応した光を感光体ドラム1の表面に走査して静電潜像を形成する。図示例の露光装置4は、発光素子としてLED(発光ダイオード)アレイと結像素子からなる露光装置であるが、レーザ光源、ポリゴンミラー等を用い、形成すべき画像データに応じて変調したビーム光によるレーザスキャン方式の露光装置も採用できる。
【0060】
現像装置5は、現像ローラ5a、層厚規制ブレード5b、攪拌・搬送用スクリュー5c及び5d、トナー検知手段5eを備えており、本例ではトナーとキャリヤからなるニ成分現像剤を用いる現像方式である。また本例では、負荷電の感光体1に対し露光装置4により各色感光体1の表面に形成された色毎の静電潜像は、感光体帯電極性と同極性(マイナス極性)の所定の色のトナーで現像され、顕像となる、いわゆる反転現像がおこなわれる。
【0061】
イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色トナーは、各色を扱う現像装置5で消費されると、透磁式のトナー検知手段5eにより検知され、画像形成装置のトナーカートリッジ収納部85(図1)に備えるトナーカートリッジ86から、不図示の供給手段により、各色のトナーを各現像装置5に供給される。そのトナー供給手段として公知のモーノポンプを用いる方式のものが採用できる。このモーノポンプによればトナーカートリッジの設置場所の制約が少ないため、画像形成装置内部のスペース配分に対し有利である。またトナーが適時補給できるため、現像装置に大きなトナー貯留スペースを設けなくてすみ、現像装置の小型化がはかれる。
【0062】
現像装置5が画像形成装置100に装着されているとき、トナー補給手段の一端が、スクリュー5dの一部に接続されている。スクリュー5cによりトナーは、図中時計回り方向に回転する現像ローラ5aに供給されるが、ブレード5bにより現像ローラ5a表面のトナー層の厚みが所定の厚みになるように規制される。現像ローラ5aは、ステンレスやアルミニュウム製の円筒で、回転可能にかつ感光体との距離が正規に確保されるように現像装置5のフレームに支持され、内部には所定の磁力線が構成されるようにマグネットが備えてある。
【0063】
そして、中間転写ベルト21の内側には、ベルト21を挟んで感光体ドラム1に対向する位置に一次転写手段の一例である転写ローラ22が配置されている。この転写ローラ22が中間転写ベルト21の裏面に当接し、感光体ドラム1と中間転写ベルト21との適正な転写ニップが確保されている。転写ローラ22は、芯金たる金属ローラの表面に導電性ゴム材料を被覆したもので、芯金部に不図示の電源からバイアスが印加される。導電性ゴム材料はウレタンゴムにカーボンが分散され、体積抵抗10E5Ωcm程度に抵抗が調整されている。この転写ローラ22には感光体ドラム1上に形成されたトナー像のトナー帯電極性と逆極性、本例ではプラス極性の転写電圧が印加される。これにより、感光体ドラム1と中間転写ベルト21との間に転写電界が形成され、感光体ドラム1上のトナー像が、その感光体ドラムと同期して回転駆動される中間転写ベルト21上に静電的に転写される。このように、一次転写手段22は、感光体ドラム1上のトナー像を中間転写ベルト21の表面に静電転写する用をなす。
【0064】
トナー像を中間転写ベルト21に転写したあとの感光体ドラム1表面に付着する転写残トナーはクリーニング装置2によって除去され、感光体ドラム1の表面が清掃される。クリーニング装置2は、クリーニングブラシ2a、クリーニングブレード2b及び回収部材2cを備え、感光体ドラム1表面に残留するトナー等の異物を除去し、そして回収する。
【0065】
各色作像ユニット30Y,30C,30M,30Bkにおいて、各感光体ドラム1に形成された静電潜像に対し、各色作像ユニットの現像装置5からイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色トナーが付与され、互いに異なった色のトナー像を形成する。その各色感光体ドラム1上に形成された各色のトナー像は、各色作像ユニットの各感光体ドラム1に対向配置された転写ローラ22によって、中間転写ベルト21上に順次重ねて静電転写される。
【0066】
像担持体としての中間転写ベルト21は、複数のローラ24,25,26(2個),27,28,29により支持されて図中時計回り方向に走行する。支持ローラ28と29の間のベルト走行辺には、ベルト21の表面に残留する不要なトナーや紙粉などの異物を拭い去るためのベルトクリーニング装置23が設けられている。そのベルトクリーニング装置23のブレードに対向する位置のベルトループ内には、対向ローラが設けられている。
【0067】
また、中間転写ベルト21に関連する部材(支持ローラ24〜29,各転写ローラ22,ベルトクリーニング装置23等)は、第1ベルトユニット20として一体的に構成してあり、装置本体100に対して着脱可能に構成されている。
【0068】
次に、第2作像ステーション12について説明する。第2作像ステーション12の構成は基本的に第1作像ステーション11と同様であり、中間転写ベルト41の張り方や各色作像ユニット50Y,50C,50M,50Bkの向きが第1作像ステーション11と異なるだけである。したがって、第1作像ステーション11と異なる部分を中心に説明する。
【0069】
図1に示すように、複数の支持ローラに張架された中間転写ベルト41は、図中反時計回りに回転駆動される。2つの支持ローラ46,46間のベルト斜辺部に沿って、4つの作像ユニット50Y,50C,50M,50Bkが等間隔でベルト回動方向に並設されている。各作像ユニット50は、扱うトナーの色が異なるのみでその構成は同じである。各作像ユニット50は、図2で説明した第1作像ステーションの作像ユニット30と左右対称形に構成されていること以外は作像ユニット30と同じである。各作像ユニット50の現像装置5には、第1作像ステーション11の場合と同様、トナーカートリッジ収納部13(図1)に備えるトナーカートリッジ14からトナーが供給される。用いるトナー及びキャリアも同一である。
【0070】
そして、中間転写ベルト41の内側には、ベルト41を挟んで感光体ドラム1に対向する位置に一次転写手段の一例である転写ローラ42が配置されていることも、第1作像ステーション11の場合と同様である。転写ローラ42の構成も第1作像ステーション11の一次転写手段である転写ローラ22と同じである。第2作像ステーション12では、支持ローラ49に対向する位置にベルトクリーニング装置43が設けられている。
【0071】
また、中間転写ベルト41に関連する支持ローラ44〜49,各転写ローラ42,ベルトクリーニング装置43等の各部材は、第2ベルトユニット40として一体的に構成してあり、装置本体100に対して着脱可能に構成されている。
【0072】
第1及び第2作像ステーション11,12の中間転写ベルト21,41は、例えば基体の厚さが50〜600μmの樹脂フィルムあるいはゴムを基体とするベルトであって、各作像ユニットの感光体1が担持するトナー像を一次転写ローラ22,42に印加するバイアスにより静電的にベルト表面に転写を可能とする抵抗値を有する。具体的に一例を挙げると、ポリアミドにカーボンを分散し、その体積抵抗値は10E6〜10E12Ωcm程度に抵抗が調整されたものである。また、ベルトの走行を安定させるためのベルト寄り止めリブを、ベルト片側あるいは両側端部に設けてある。なお、ベルト周長は1500mmである。
【0073】
一次転写手段である転写ローラ22,42は、例えば、芯金である金属ローラの表面に導電性ゴム材料を被覆したもので、芯金部に不図示の電源からバイアスが印加される。具体的に一例を挙げると、導電性ゴム材料はウレタンゴムにカーボンが分散され体積抵抗10E5〜10E8Ωcm程度に抵抗が調整されている。
【0074】
本実施形態の画像形成装置はフルカラー画像の形成が可能であるが、もちろん、ブラックトナーだけによるモノクロ記録も可能である。モノクロ記録時には、使用されない作像ユニットが存在する。そこで使用されない作像ユニット(Y,C,M)の感光体ドラム1及び現像装置5を稼動させないだけでなく、これら使用されない感光体1と中間転写ベルト21及び41とを非接触に保つための機構を備えている。本実施の形態では、ベルトユニット20及び40において、ブラック作像ユニット(Bk)側の支持ローラ26(46)と一次転写ローラ22(42)を支持する内部フレーム(不図示)を設けておき、ある点を中心に回動可能に支持し、感光体から遠ざかる方向に回動させることにより、ブラック作像ユニットの感光体だけが像担持ベルト21(41)と接触して作像工程を実行することにより、ブラックトナーによるモノクロ画像を作成する。この構成により、感光体の寿命向上の点で有利である。
【0075】
さらに、第1作像ステーション11の最下部に位置して中間転写ベルト21の外側で、支持ローラ28に対向して第1の二次転写手段である転写ローラ51が設けてある。この二次転写ローラ51は芯金たる金属ローラの表面に導電性ゴムを被覆したもので、芯金部に不図示の電源からバイアスが印加される。上記ゴムにはカーボンが分散されており、体積抵抗は10E7Ωcm程度に抵抗が調整されたものである。中間転写ベルト21と二次転写ローラ51の間に記録媒体(以下用紙P)を通過させながら二次転写ローラ51にバイアスを印加することで、中間転写ベルト21が担持するトナー画像が用紙に転写される。
【0076】
また、第2作像ステーション12の最上部に位置して中間転写ベルト41の外側で、支持ローラ44に対向して第2の二次転写手段である転写チャージャ52が設けてある。この転写チャージャ52は公知のタイプのものを使用可能で、タングステンや金の細い線を放電電極とし、ケーシングで保持し、放電電極に不図示の電源から転写電流が印加される。中間転写ベルト41と転写チャージャ52の間に用紙Pを通過させながら転写電流を印加することで、中間転写ベルト41が担持するトナー画像が用紙Pに転写される。二次転写手段である転写ローラ51と転写チャージャ52に印加される転写電流の極性は、ともにトナーの極性と逆極性(本例ではプラス)である。
【0077】
装置本体100の右側には用紙を供給可能に収納した給紙装置80が配備されている。この給紙装置80は複数段の給紙部を備えており、本例では上段に大量の用紙を収納した給紙トレイ81、その下方に3段の給紙カセット82a〜cが配設されている。これらの給紙トレイ81及び給紙カセット82a〜cは、それぞれ紙面に対し直角手前側(操作面側)に引出し可能に構成されている。給紙トレイ81や給紙カセット82a〜c内に収納された用紙のうち、最上位置の用紙は、対応する給紙・分離手段83a〜dにより選択的に分離給送され、確実に一枚だけが複数の搬送ローラ対84により記録紙搬送経路85や86に送られる。
【0078】
装置本体100内の記録紙搬送経路86には、二次転写位置へ用紙を送り出す給送タイミングをとるため、一対のレジストローラ53が設けられている。さらに用紙の搬送方向に対し直角方向の位置を正規の位置にするためのジョガー54が記録紙搬送経路86に設けてある。ジョガー54は、用紙の搬送方向に対し両側から用紙の端部に向け移動するガイド部材を備えていて、走行中の用紙の両側からガイドが用紙を一瞬押しつけることで用紙を所定の位置に整合させる。
【0079】
用紙はレジストローラ対53から、第1作像ステーションの中間転写ベルト21と二次転写ローラ51で構成される第1の転写ステーションたる転写領域に向けて搬送される。その後、第2作像ステーションの中間転写ベルト41と転写チャージャ52で構成される第2の転写ステーションたる転写領域に向けて搬送される。なお、給紙装置80の上部に形成された記録紙搬送路88には複数の搬送ローラ対84が備えられており、その搬送方向上流に設置した別の給紙装置90から用紙が供給可能となっている。
【0080】
給紙装置80では、給紙トレイ81の最上位の用紙が給紙され、その後曲げられることなく、ほぼ水平に真直ぐ搬送されるように、給紙トレイ81の上部給紙面が配備してある。そのため厚い用紙、剛性の高い板紙でも確実に給紙できる。なお給紙トレイ81には、多様な特性の用紙が収納されても確実に給紙できるよう、バキューム機構からなるエアー給紙を採用すると好都合である。図示していないが、記録紙搬送路の要所には用紙を検知するためのセンサが具備されていて、用紙の存在を基準とする各種信号のトリガーとしている。また、給紙装置80の最上部には、自動原稿給送装置を備えた原稿読取装置89が装備されている。
【0081】
ところで、本実施形態の画像形成装置では、用紙両面の光沢度を検知する光沢度検知手段(図1には示さず)を給紙装置80内に備えている。この光沢度検知手段の構成については後述するが、用紙搬送途中にて用紙表面と裏面それぞれの光沢度を検知することができる。光沢度検知手段の設置位置が転写装置に近すぎると、検知してから作像へのフィードバックが間に合わない可能性があるため、光沢度検知手段は給紙装置内など作像部からある程度はなれた位置に配置することが必要となる。具体的には光沢度検知手段は転写位置に対して用紙搬送経路に沿って中間転写ベルト21,41の周長の4分の1の距離以上に上流側に配置することが好ましい。
【0082】
図3に、光沢度検知手段の一例を示す。この図に示す光沢度検知手段200は反射光センサを用いたもので、一対の投光素子201と受光素子202からなり、用紙Pへの垂線からそれぞれ同じ角度θになるように配置されている。この角度θは60度から75度の範囲に設定することが望ましい。投光素子201から発光された光は用紙表面で図4のように反射される。ここで、反射光はAを正反射光(鏡面反射光)成分、Bを拡散反射光成分という。受光素子では正反射光成分が受光されるため、正反射光の強度を検知することができる。用紙の表面状態を表す光沢度が低くなるにつれて、この正反射光の成分はより小さくなるため、受光素子で受光される正反射光の強度レベルを用いて用紙の光沢度を判別することが可能となる。
【0083】
次に光沢度検知手段の配置を図5に示す。図5に示すように、用紙表面用の光沢度検知手段200aと用紙裏面用の光沢度検知手段200bは用紙P(用紙搬送路)を挟んで対向しない位置にそれぞれが配置されている。また用紙を挟んで各光沢度検知手段200a,bに対向する位置には表層が黒いガイド203a,bがそれぞれ設けられており、用紙位置を安定させるとともに反射光の検知精度を上げている。なお、光沢度検知手段200a,bを対向して配置すると、反射光センサの投光素子の光が用紙を透過してしまうために逆の面の反射光分布に影響してしまい、独立に用紙各面の光沢度を検知することができなくなり、好ましくない。
【0084】
なお、図5における符号84は搬送ローラ対を示すが、光沢度検知手段200a,bは水平搬送路、垂直搬送路あるいは傾斜搬送路のいずれにも配置可能である。
装置本体100に戻り、記録紙搬送路86の延長上に、上記第2の転写ステーションを通過した用紙を、記録紙搬送方向下流に備えた定着装置15における定着ニップまで平面状態を保って搬送させるための、記録紙移送手段55を備えている。記録紙移送手段55は、矢印方向に無端移動する搬送ベルト56を支持する複数のローラを有し、搬送ベルト56の外側には、クリーニング装置57,記録紙をベルトに吸着させるための吸着用チャージャ58、除電・分離チャージャ59を備えている。
【0085】
未定着のトナー画像と接触しながら記録紙とともに移動する搬送ベルト56は、吸着用チャージャ58によりトナーの帯電極性と同極性のマイナス帯電が施される。搬送ベルト56として、金属ベルト、ポリイミドベルト、ポリアミドベルトなどが採用できる。表面にトナーとの離型性を与えるとともに、帯電可能の抵抗値を備える。このベルト56の走行速度は、定着装置における記録体の走行速度と合わせてある。
【0086】
記録紙搬送手段60の用紙搬送方向下流側には、加熱手段を有する定着装置15が設けられている。定着装置15としては、ローラ内部にヒータを備えるタイプ、加熱されるベルトを走行させるベルト定着装置、また加熱の方式に誘導加熱を採用した定着装置などが採用できる。用紙両面の画像の色合い、光沢度を同じにするため、定着ローラ、定着ベルトの材質、硬度、表面性などを上下同等にしてある。また、フルカラーとモノクロ画像、あるいは片面か両面かにより定着条件を制御したり、用紙の種類に応じて最適な定着条件となるよう、不図示の制御手段により制御される。定着の終了した用紙を冷却し、不安定なトナーの状態を早期に安定させるため、冷却機能を有した冷却ローラ対16を定着後の搬送路に備えている。冷却ローラ対には放熱部を有するヒートパイプ構造のローラが採用できる。冷却された用紙は、排紙ローラ対17により、装置本体100の左側に設けた排紙スタック部19に排紙、スタックされる。
【0087】
この排紙スタック部19は、大量の用紙をスタック可能にするため、不図示のエレベータ機構により、スタックレベルに応じて、受け部材が上下する機構を採用している。なお排紙スタック部15を通過させ、別の後処理装置に向けて用紙を搬送させることもできる。別の後処理装置としては、穴あけ、断裁、折、綴じなど製本のための装置などを装着可能である。
【0088】
装置本体100の上部に設けられたトナーカートリッジ収納部13には、未使用のトナーが収納された各色のトナーカートリッジ14Y,14C,14M、14Bkが、着脱可能に収納されている。このトナーカートリッジ14から不図示のトナー搬送手段により、各作像ユニットの現像装置5に必要に応じトナーを供給するようになっている。本例の構成は、上下に配された第1及び第2作像ステーション11,12に対し、トナーカートリッジは共通にしているが、別々にすることもできる。消耗の多いブラックトナー用のトナーカートリッジ14Bkを、特に大容量としておくことも可能である。この収納部13は、画像形成装置上面で操作方向から見て奥側にあって、画像形成装置上面の手前側は平面部分が確保されているため、作業台として利用できる。
【0089】
トナーカートリッジ収納部13に隣接して、操作・表示ユニット33が設けられている。この操作・表示ユニット33にはキーボード等が備えてあり、画像形成のための条件などがインプットできるし、装置の状態等を表示部に表示させ、操作者と画像形成装置との情報交換を容易なものとする。
【0090】
装置本体100の内部には廃トナー収納部31が備えられており、各作像ユニットのクリーニング装置2、中間転写ベルト21,41のクリーニング装置23,43、および搬送ベルト56のクリーニング装置57と連結されており、一括して廃トナーや紙粉等の異物を回収して収納する。上記の各クリーニング装置は大容量の廃トナー収納部を備えないため、各クリーニング装置が小型にでき、さらに廃トナーの廃棄の操作性も良好となっている。廃トナー収納部31には満杯センサ(不図示)が設けられ、これを使って廃トナー収納部31内のトナー廃棄、あるいは容器交換などの警告を発する。
【0091】
また、廃トナー収納部31に隣接して電装・制御装置32が設けられている。この電装・制御装置32には、各種電源や制御基板などが板金フレームに保護され収納されている。
【0092】
そして、定着装置15による熱や電装装置32からの発熱により、画像形成装置内部は高温になるが、その対策としてファン18を設けて、内部の熱による機能低下を防止している。またこのファン18は冷却ローラ対16の放熱部と結合してあり、冷却ローラ対16の冷却効果を確実にしている。
【0093】
次に、本実施形態の画像形成装置における作像動作について、片面記録と両面記録に分けて説明する。
まず、片面記録動作について説明するが、本例の装置では第1作像ステーション11あるいは第2作像ステーション12のどちらを使用しても片面記録が可能であり、操作部33から指示選択できるようになっている。本例の画像形成装置の構成では、第1作像ステーションの中間転写ベルト21に担持させた画像を用紙の片面に転写すると画像が用紙の上面に、第2作像ステーションの中間転写ベルト41に担持させた画像を用紙の片面に転写すると画像が用紙の下面に形成される。記録するべきデータが複数ページになるケースでは、排紙スタック部19上でページが揃うように作像順序を制御するのが好都合である。ここでは、最後のページの画像データから順に(逆ページ順に)記録してページ揃えをするよう、第1作像ステーションを用いて片面記録を行なう動作について説明する。
【0094】
画像形成の開始が指示されると、第1作像ステーション11において中間転写ベルト21と各作像ユニット30Y〜30Bkにおける感光体1が回動する。同時に第2作像ステーション12において中間転写ベルト41が回動するが、こちらの各作像ユニット50Y〜50Bkにおける感光体1は中間転写ベルト41から離間状態とされるとともに不回転状態にされる。フルカラー画像ではイエローの作像ユニット30Yから作像が開始される。LED(発光ダイオード)アレイと結像素子からなる露光装置4の作動により、LEDから出射されたイエロー用の画像データ対応の光が、帯電装置3により一様帯電された感光体1Yの表面に照射されて静電潜像が形成される。この静電潜像は現像ローラ5aによりイエロートナーで現像されて可視像となり、一次転写ローラ22の作用により感光体1Yと同期して移動する中間転写ベルト21上に静電的に一次転写される。このような潜像形成、現像、一次転写動作が他の作像ユニット30C,30M,30Bkでもタイミングをとって順次同様に行われる。
【0095】
この結果、中間転写ベルト21上には、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの各色トナー画像が、順次重なり合ったフルカラートナー画像として担持され、中間転写ベルト21とともに移動される。
【0096】
一方、給紙装置40のなかの給紙トレイ81あるいは給紙カセット82a〜cから、記録に使われる用紙がその供給のための分離給送手段83a〜dの一つにより繰り出され、搬送ローラ対84等により記録紙搬送路86に搬送される。用紙の先端がレジストローラ対53に咥えられない前に、ジョガー55は、用紙の搬送方向に対し両側の横方向から用紙両辺を押すように作動し、用紙横方向の位置整合がはかられる。レジストローラ対53はまだ静止しており、用紙の先端はレジストローラ対53のニップに入り込んだ状態で静止するが、中間転写ベルト21上の画像との位置が正規なものとなるよう、タイミングをとってレジストローラ対53が回転し、用紙を転写領域に送り出す。
【0097】
上記のように中間転写ベルト21上に担持されたフルカラートナー画像は、中間転写ベルト21と同期して搬送される用紙の上面に、二次転写ローラ51による作用を受けて転写される。二次転写ローラ51に与えられるバイアスは、本例ではトナーの帯電極性と逆のプラス極性である。
【0098】
その後、中間転写ベルト21の表面はベルトクリーニング装置23によりクリーニングされる。また一次転写を終了した各作像ユニット30Y〜30Bkにおける感光体ドラム1の表面に残留するトナー等の異物はクリーニング装置2のクリーニングブラシ2a、クリーニングブレード2bにより、各感光体の表面から除去される。各感光体1の表面は除電装置6による残留電位の除電作用がおこなわれて次の作像・転写工程に備える。除去されたトナー等の異物は、回収手段2cにより、回収部31に送られる。なおセンサ7,8は、感光体表面の露光後の表面電位と、現像工程後の感光体表面に付着しているトナーの濃度が適切なものであるかを検知し、適宜作像条件の設定、制御のために不図示の制御手段に情報を出力する。
【0099】
中間転写ベルト21に重ねられてベルト上のトナー像が転写された用紙は、搬送装置55の搬送ベルト56により定着装置15に向け移送される。用紙を確実に搬送ベルト56とともに移送できるよう、あらかじめ移送ベルト56の表面を用紙吸着用チャージャ58により帯電する。また、用紙が搬送ベルト56から分離され、確実に定着装置15に送られるように、除電・分離チャージャ59が設けられている。
【0100】
用紙上に転写された各色トナー像は定着装置15の熱と圧力による定着作用を受け、溶融・混色されて完全にカラー画像となる。用紙の片面(ここでは上面)だけにトナーを有しているので、両面にトナーを有している両面記録時に比べ、定着に要する熱エネルギは少なくて済む。不図示の制御手段が画像に応じて定着装置の使用する電力を最適に制御する。定着されたトナーも用紙上で完全に固着するまでは、搬送路のガイド部材等にこすられると画像が欠落したり乱れたりするので、冷却手段である冷却ローラ対16が作動し、トナーと用紙を冷却する。その後、排紙ローラ17により排紙スタック部19に、画像面が上向きとなって排紙される。排紙スタック部19では若いページの記録物が順次上に重ねられるようにスタックされるよう、作像順序がプログラムされているのでページ順が揃うようになっている。
【0101】
第2作像ステーション12を用いた片面記録動作は、排紙スタック部19にページ順で排紙されるように先頭ページから(ページ順に)画像形成を行うことが異なっているが、基本的には上記した第1作像ステーションでの作像動作と同様であるので、説明を省略する。
【0102】
次に、用紙の両面に画像を形成する両面記録時の動作について説明する。
画像形成の開始が指示されると、上記の片面記録動作で説明したと同様に第1作像ステーション11での各色ごとの画像形成動作を行ない(以下、第1作像ステーション11で作成した画像を第1画像と呼ぶ)、これとほぼ平行して、第2作像ステーション12の各作像ユニット50Y〜50Bkで順次形成した各色ごとのトナー画像を中間転写ベルト41に順次一次転写させ、第2画像として担持させる工程がおこなわれる。図1に示すような装置構成なので、上記第1画像と第2画像が、用紙の搬送方向先端で位置的に合致するためには、第1画像の形成開始より遅れて第2画像の形成が開始される。また用紙はレジストローラ対53で静止と再送がおこなわれるので、その時間も見込んで給紙され、ジョガー54で整合される。レジストローラ対53は、タイミングをとって用紙を第1の二次転写手段である転写ローラ51と中間転写ベルト21で構成された第1転写部に搬送する。ここで転写ローラ51にプラス極性の転写電流が印加され、中間転写ベルト21から用紙の片面(ここでは上面)に第1画像が転写される。
【0103】
片面(上面)に画像(第1画像)を転写されたた用紙は、転写ローラ51の搬送作用により、引き続き第2の二次転写手段である転写チャージャ52のある第2転写部に送られる。そしてチャージャにプラス極性の転写電流が印加されることにより、中間転写ベルト41にあらかじめ担持されているフルカラーの第2画像が、一括して用紙の下面に転写される。
【0104】
このようにして両面にフルカラートナー像が転写された用紙は、搬送ベルト56により定着装置15へと搬送される。吸着用チャージャ58により、搬送ベルト56の表面はトナーの極性と同じマイナス極性で帯電される。したがって用紙下面の未定着のトナーがベルトに移らないようにされている。そして除電・分離チャージャ59に交流電圧が印加され、用紙はベルト56から分離され、定着装置15へと移送される。定着装置15の熱と圧力による定着処理を受け、用紙両面のトナー画像が溶融・混合される。用紙は引き続いて冷却ローラ対16を通過し、排紙ローラ17により排紙スタック部19上に排紙される。
【0105】
複数ページの両面記録を行なう場合、若いページの画像が下面となって排紙スタック部19にスタックされるように作像順序を制御すると、そこから用紙束を取り出して上下を逆にしたときに記録物は上から順に1頁、その裏に2頁、2枚目が3頁、その裏が4頁となり頁順が揃う。このような作像順序の制御や、定着装置の電力を片面記録時より増やすなどの制御は、図示しない制御手段により実行される。なお、ここでは片面記録、両面記録動作に関して、フルカラー記録の例で説明したが、ブラックトナーだけによるモノクロ記録も可能である。
【0106】
ここで、各作像ユニットにおける、現像パラメータと感光体上のトナー付着量の関係について説明する。
静電潜像が形成された感光体の表面電位は本例では図6のようになり、静電潜像である露光された画像部のみ電位が変化している形となる。ここでは簡単に画像はベタ画像として、そのときの感光体表面電位をVL、非画像部の電位をVdとする(図の矢印はマイナス方向とした)。次に、この静電潜像が現像領域(現像ローラに対向する位置)にくる。現像ローラ5aは感光体線速よりも速い速度にて回転しながらトナーを含む現像剤を現像領域に搬送するとともに、現像ローラには現像バイアスとして直流または交流の電圧が印加されることで現像が行われ、感光体上の静電潜像部にトナーが付着し可視像となる。
【0107】
このとき、図6で示した現像バイアスVBと潜像電位VLの差の絶対値である現像ポテンシャル|VB−VL|の大きさにより感光体上のトナー付着量を変化させることができる。その様子を図7に示す。図7のグラフは現像能力をあらわし、横軸が上記現像ポテンシャル、縦軸は感光体上トナー付着量M/Aを表す。ここでは現像バイアスとして直流電圧の場合を示した。
【0108】
感光体上のトナー付着量(M/A)を変化させる方法として、1):露光装置での露光時に露光エネルギーを増加させて、露光部電位VLを下げる(0方向に近づける)、2):現像バイアスVBを上げる(VLから遠ざける)、3):1)と2)の両方を実施する、があげられる。
【0109】
方法1)としては、例えば露光装置(LDおよびLED)の点灯時間を長くしたり、発光強度を上げたりすることで実現でき、現像条件を変更する必要はないというメリットがある。方法2)としては、非画像部電位と現像バイアス電位の差を適性に保ちながら行うことで、地肌汚れを起こすことなくトナー付着量を増加できる。
【0110】
一方、現像バイアスには直流電圧に交流電圧を重畳した交流現像バイアスを用いることもできる。交流現像バイアスの一例としてその波形を図8に示す。この例での波形の各パラメータは平均直流電圧VB0=−500V、ピークツウピーク電圧Vpp=0.8kV、周波数f=4.5kHz、デューティー(1周期を100%としたときのトナーを現像させる方向へ電圧を印加する時間の割合)Duty=35%である。ここで平均直流電圧は波形の平均的な電圧を表し、以下の式(1)で表される。
【0111】
【数1】

【0112】
ここで、V0は波形の中心値である。この例のような非対称矩形波の場合には、VB0以外のパラメータとしてVpp、Dutyを変えることでトナー付着量を大きく変化することが可能となる。なお、この値は交流現像バイアスの波形を規定するものでなく、他の値を用いてもよい。また非対称矩形波以外にも正弦波や三角波、パルス波などを用いてもよい。
【0113】
現像能力を増加させる他の方法としては、現像装置内のトナー濃度を増加させることでも可能である。トナー濃度とは現像装置内の二成分現像剤であるトナーとキャリアのうち、現像剤重量に対するトナー重量の割合を表す。前述したトナー補給装置によりトナーを補給することで、現像剤中のトナーの割合を増加させて現像領域におけるトナーの量を増やすことで、現像能力を向上させることができる。例えば図7において、線Aから線Bのように現像能力が向上する。なお、ここでのトナー濃度の増加は現像器でのトナー飛散という不具合が発生しない範囲で行っている。
【0114】
さて、本発明の特徴である、用紙両面の光沢度検知手段200の検知結果に応じたトナー付着量の制御方法について以下に説明する。
まず、上述した用紙両面の光沢度検知手段200a,bにて検知された用紙各面の光沢度を比較し、光沢度が低い方の用紙面に対応するトナー付着量を、光沢度が高い方の用紙面のそれよりも小さくするような制御について、図9のフローチャートを参照して説明する。
【0115】
図9において、まず用紙両面光沢度検知手段によって、用紙各面(a面、b面とする)の光沢度Ga、Gbが検知される(S1)。次に、印刷が両面印刷か否かを判断し(S2)、両面印刷でない場合はS7に進んで通常の画像形成を行う。一方、両面印刷である場合には、検知された用紙各面の光沢度GaとGbが等しいか否かを判断する(S3)。ここで、用紙両面の光沢度が等しい場合(Ga=Gb)には、S7に進んで通常の画像形成を行う。一方、用紙各面の光沢度が異なる場合にはS4にてa面の光沢度Gaがb面の光沢度Gbより低い(Ga<Gb)かどうかが判断される。。b面の光沢度が高い(Yes)場合には、S5に進んでa側の作像条件はトナー付着量が小さくなるように設定される。一方、a面の光沢度が高い(No)場合には、S6に進んでb側の作像条件はトナー付着量が小さくなるように設定される。このようにして、画像形成が行われる。作像条件によるトナー付着量の設定は、前述したように、潜像および現像条件のパラメータを変化させたり、それらを組み合わせた付着量の異なる画像形成条件のテーブルにより選択させてもよい。
【0116】
次に、画像形成装置がトナー付着量の異なる複数の画像形成モードを備えており、用紙両面の光沢度検知手段200にて検知された用紙各面の光沢度それぞれにおいて、独立に前記画像形成モードが適用される制御方法について、図10のフローチャートを参照して説明する。
【0117】
まず、用紙両面光沢度検知手段にて用紙各面の光沢度を検知する(S11)。つぎに、印刷が両面印刷か否かを判断し(S12)、両面印刷でない場合はS14に進んで通常の画像形成を行う。一方、両面印刷である場合にはS13に進み、印刷面各面(a面、b面)それぞれにおいて、あらかじめ定めておいたトナー付着量のテーブルが適用され、a面の付着量テーブルTa(Ga)、およびb面の付着量テーブルTb(Gb)がそれぞれ選択される。このように各面の作像条件が独立に設定されて両面画像形成が行われる。
【0118】
次に、片面印刷時において、光沢度が高い方の用紙面に画像形成が行われるような制御方法について、図11のフローチャートを参照して説明する。
まず、片面印刷か否かが判断され(S21)、片面印刷でない場合はS24に進んで通常の両面印刷が行われる。一方、片面印刷である場合、用紙両面光沢度検知手段にて用紙各面の光沢度Ga,Gbを検知する(S22)。次に、その各面の光沢度を比較し(S23)、Ga≧Gbの場合にはS25に進んで用紙のa面で片面作像するように画像形成が行われる。一方、Ga<Gbの場合にはS26に進み、用紙b面で片面作像するように画像形成が行われる。
【0119】
次に、両面印刷時において、用紙片面がカラー画像で、他方の面がモノクロ画像である場合、光沢度の高い方の用紙面でカラー画像の形成を行なうような制御方法について、図12のフローチャートを参照して説明する。この制御はカラー画像の画質を優先して画像出力したい際に用いることができる。
【0120】
まず、片面がカラー画像で片面がモノクロ画像である両面印刷であるか否かを判断する(S31)。そうでない場合はS34に進み通常の画像形成が行われる。一方、そうである場合には、用紙両面光沢度検知手段にて用紙各面の光沢度Ga,Gbを検知する(S32)。次にその各面の光沢度を比較し(S33)、Ga≧Gbの場合にはS35に進んで用紙のa面でカラー画像を作像するように画像形成が行われる。一方、Ga<Gbの場合にはS36に進み、用紙b面でカラー画像を作像するように画像形成が行われる。
【0121】
以上の図9〜12のフローチャートで説明した制御は、各用紙面側に対応する第1又は第2の画像ステーション中の画像形成ユニット群がトナー付着量を変化させるように各用紙面で独立に作動が可能となる。
【0122】
なお、単色ベタ画像の単位面積あたりの付着量を0.7[mg/cm]以下と規定すると好適である。このように規定することで、用紙上で多色が重なった状態においても十分な定着性を確保でき、トナー付着量による光沢制御幅が広がる。また画像厚み(パイルハイト)が小さいので、画像の境界での光沢の差が目立つこともない。一方、単色ベタ付着量が0.7mg/cmより大きいと、色重ね時の最大付着量において定着性が確保できない恐れがあるとともに十分な光沢が得られない。またパイルハイトが目立つため画像の品位が損なわれてしまう。
【0123】
次に、装置構成の異なる画像形成装置に本発明を適用したものについて説明する。
図13に示す画像形成装置においては、フルカラー画像の形成が可能な画像形成部PUを装置本体のほぼ中央部に配設している。その画像形成部PUは、4個の回転ローラ61,62,63,64に張架した中間転写ベルト60の上辺に沿って4つの作像ユニットSUをベルト60に接触させて並設している。その上方には露光装置65が配設されている。各作像ユニットSUの構成は同じであり、扱うトナーの色が異なるのみであるので、1つを代表として図14により説明する。
【0124】
図14に示すように、作像ユニットSUにおいては、感光体ドラム1の周囲にクリーニング装置2,帯電装置3,現像装置5,除電装置6等が配設されている。各作像ユニットSUの現像装置5は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのトナーをそれぞれ収納しており、感光体ドラム1上に形成された静電潜像に各色トナーを付与する。帯電装置3と現像装置5の間は書き込み位置となっており、露光装置65より発せられるレーザ光Lが感光体1に照射される。なお、露光装置65は公知のレーザ方式であり、本実施例では、色分解され、現像するトナーの色に対応した光情報を、一様に帯電された感光体1表面に潜像として照射する。LEDアレイと結像手段から成る露光装置も採用できる。また、中間転写ベルト60を挟んで感光体ドラム1と対向するように、転写ローラ66が配設されている。符号67は裏当てローラである。感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、転写ローラ66の作用により中間転写ベルト60に転写される。なお、ベルト60のループ内の各機器は、転写手段以外は、適宜、装置フレームに接地されている。
【0125】
フルカラー画像の形成にあたり、4つの作像ユニットSUにて感光体ドラム1上に形成されたシアン,マゼンタ,イエロー,ブラックの各色トナー像は順次中間転写ベルト60上に重ね転写され、ベルト60上にフルカラー画像が形成される。モノクロ画像を形成する場合は、ブラックトナーを扱う作像ユニットSUのみでトナー像を形成し、中間転写ベルト60上にモノクロ画像を転写する。
【0126】
画像形成部PUの下方にはベルト状の中間転写体110が配置されている。中間転写体110は図示矢印の如く図中反時計回りに回動可能に、回転ローラ111,112,113,114に張架・支持されている。中間転写体110のベルトループ内において、転写手段である転写ローラ121が画像形成部PUの中間転写ベルト60を支持するローラ63に対向して配置されている。ベルトループの外側には、ベルトクリーニング装置125、転写チャージャ122が配置されている。前記転写ローラ121、従動ローラ114、中間転写ベルト60を支持するローラ63により、中間転写ベルト60と中間転写体110は接触し、あらかじめ定められた転写ニップを形成する。なお、中間転写体110のベルトループ内の各機器は、転写手段以外は、適宜、装置フレームに接地されている。
【0127】
装置の下部位置には、3段の給紙装置(給紙カセット)126-1,126-2,126−3が配設されている。各カセット内に収納された用紙の最上位の用紙が、給紙ローラ127により1枚ずつ給紙され、レジストローラ対128に送られる。
【0128】
中間転写体110の左方には定着装置130が設けられている。
本実施例では、画像形成部PUで作成されたトナー像は中間転写ベルト60上に担持され、そのベルト60上のトナー像は、中間転写体110のベルト表面またはレジストローラ対128により送出された用紙の片面に転写される。
【0129】
本例において用紙両面に画像を得る場合は、まず画像形成部PUで作成した第1面画像を中間転写ベルト60から中間転写体110に転写し、続いて画像形成部PUで第2面画像を作成する。レジストローラ対128より送出した用紙の第2面に対して中間転写ベルト60から第2面画像を転写する。この第2面画像の転写は中間転写体110のベルトループ内に配置した転写ローラ121の作用による。このとき、先に中間転写体110に転写されている第1面画像は中間転写体110に担持されて1周してきており、用紙の第1面と重ねられる。第2面画像を片面に転写され、他面に第1面画像が重ねられた用紙は中間転写体110によって左方向に搬送され、転写チャージャ122の位置で中間転写体110上のトナー像(第1面画像)が転写チャージャ122の作用により用紙第1面に転写される。
【0130】
このようにして用紙両面に画像を転写された用紙はローラ111部で曲率分離され、定着装置30Bによってトナー像が用紙上に定着される。トナー像定着後の用紙は、装置上面の排紙スタック部40または装置側面の排紙トレイ44に排出される。
【0131】
一方、本例において用紙片面に画像を得る場合は、中間転写体110に画像を転写する必要はなく、画像形成部PUで形成した画像を中間転写ベルト60から直接用紙上に転写する。ただし、装置側面の排紙トレイ144にページ揃えで排出する場合、片面プリントにおいて中間転写体110を介して用紙下面に画像を転写するようにもできる。このように、本例においては、画像形成部PUで作成したトナー像を、中間転写ベルト60から用紙または中間転写体110に転写している。
【0132】
フルカラー画像の両面プリントが可能な本例においても、腰の強い用紙を使用する場合は手差しトレイ135から給紙して排紙トレイ144に排紙することによって、厚く剛性の高い用紙においても搬送性を損なうことなく、頁揃えされた両面印刷を得ることができる。通常の用紙の場合は給紙カセット126又は手差しトレイ135のどちらからでも給紙することができ、排紙部もスタック部140または排紙トレイ144のどちらでも指定することができる。もちろん、その場合にも、頁揃えされた両面印刷を得ることができる。片面印刷においても、腰の強い用紙、例えば厚紙やOHPフィルムなどに記録する場合には、手差しトレイ135を用いて排紙トレイ144を指定することによって、用紙面が反転されず、厚く剛性が高い記録媒体の場合でも、搬送性を損なうことなく、頁揃えされた片面印刷を得ることができる。
【0133】
本例の画像形成装置においては、厚紙や封筒などの特殊紙の場合には、転写電流(中間転写ベルト60から用紙へトナー像を転写する場合の転写手段に印加する転写バイアスの出力、中間転写体110から用紙へトナー像を転写する場合の転写手段に印加する転写バイアスの出力)を通常用紙時から10〜30%程度増やすようにしている。また、厚紙や封筒などの特殊紙の場合には、定着ローラ118,119の温度を通常用紙時から10〜30%程度増やすようにしている。さらに、定着温度については、両面印刷の場合と片面印刷の場合とで、用紙各面に対する定着ローラを個別に温度制御することで、より適切な定着性を得ることができる。また、温度検知手段を各定着ローラ118,119に付設し、その温度検知手段の検知出力に基づいて各定着ローラ(の定着ヒータ)を制御することができる。
【0134】
そして、本例の画像形成装置においても、用紙両面の光沢度を検知する光沢度検知手段200(図3)をレジストローラ128手前の用紙搬送路の両側に配置している(図示せず)。そして、その光沢度検知手段200の検知結果に応じたトナー付着量の制御を図9〜12のフローチャートで説明したと同様に行なう。その説明は重複するので省略する。なお、図13の構成においては、作像ステーションが一つであるため、上記トナー付着量の制御は、各用紙面ごとに作像ユニットSU群の作像条件を切り替えて画像形成を行うようにしている。
【0135】
上記2例の画像形成装置で説明したように、光沢度検知手段200の検知結果に応じたトナー付着量の制御を行なうことにより、両面画像を形成する画像形成装置において、表裏で光沢度が異なる用紙を用いた場合に低光沢の用紙面の画像光沢が過剰に増加してしまう不具合が防止でき、用紙面に応じた適正な光沢感を持つ高品位な両面画像が得られる画像形成装置を提供することができる。
【0136】
すなわち、トナー付着量によって光沢特性が制御可能であることを用いて、用紙面それぞれの光沢度を検知し、その用紙面に応じた適正な画像光沢度になるように最適なトナー付着量を設定して用紙に転写することで、各面で適正な光沢性を持つ良質な両面画像を得ることができる。ここで適正な光沢性とは用紙内の光沢の最大値と最小値の差が小さく、用紙に応じた自然な光沢感があり、かつ部分的なギラツキ感の少ない状態をいう。
【0137】
また、1パス両面転写の構成の画像形成装置であることで、定着装置に複数回の通紙を行わないために画像光沢が過剰に増加するのを防止することができる。さらに、画質不良によって廃棄となる印刷用紙数を大幅に減らすことができるとともに、両面画像を1回で定着するために定着での熱エネルギーを効率的に利用でき、資源の有効活用と二酸化炭素排出量の減少が図れるので、環境負荷低減にもつながる。
【0138】
また、複数の光センサを用いて反射光から用紙の光沢度を算出することで、非接触での検知を行うことができ、検知手段の配置の自由度が高くなる。また用紙の搬送中に高速に検知を行うことができる。よって高速出力の画像形成装置への適用も可能となる。
【0139】
また、光センサに用いる反射光として60度から85度の角度の正反射光を用いることで、用紙各面での光沢度との相関が簡易的に得られやすく、各面で光沢性に優れた良質な両面画像を得ることができる。また光沢度の算出が容易であるため高速出力の画像形成装置に対しても有利となる。
【0140】
また、光沢度検知手段を用紙を挟んで対向しないように配置することで、光センサは他方の光センサの発光による用紙透過光の影響を受けることがなくなるため、光センサの検知精度を向上させることができ、各面で光沢性に優れた良質な両面画像を常に得ることができる。
【0141】
そして、用紙光沢度が低い場合には、トナー付着量を減らすことで画像光沢度が減少することを用い、検知された用紙各面の光沢度を比較し、光沢度の低い方の用紙面のトナー付着量を光沢度の高い方の用紙面のそれよりも小さくするように制御することにより、低光沢面での過剰な画像光沢が出現するのを抑制することができるとともに、高光沢面では用紙面に応じた適正な画像光沢を得ることができるため、各面にて用紙と画像との光沢の差異が少ない良質な両面画像を簡易的にかつ高速に得ることができる。
【0142】
また、トナー付着量の異なる画像形成モードを複数備える構成において、検知された用紙各面の光沢度に応じて、用紙第一面と第二面とは独立に画像形成モードが選択されることにより、用紙の光沢度に応じた最適なトナー付着量が用紙に転写されるので、用紙各面で光沢性に優れた良質な両面画像を常に得ることができる。
【0143】
また、トナー付着量の制御は現像ポテンシャルを変化させて行うことにより、直接的にトナーの付着量を変化させることができるので、各面で光沢性に優れた良質な両面画像を確実に得ることができる。
【0144】
また、トナー付着量の制御は露光装置の露光エネルギーを変化させて行うことにより、現像条件を変更せずに安定に保ったままトナー付着量のみを変化させることができるので、各面で光沢性に優れた良質な両面画像を常に安定に得ることができる。
【0145】
また、トナー付着量の制御は現像ローラに印加する直流電圧を変化させて行うことにより、簡易的かつ高速にトナー付着量を変化させることができるので、各面で光沢性に優れた良質な両面画像を得ることができる。
【0146】
また、トナー付着量の制御は現像ローラに印加する交流電圧波形(例えば、ピークツウピーク電圧、周波数、デューティーなどの少なくとも一つ以上のパラメータ)を変化させて行うことにより、よりダイナミックにトナー付着量を変化させることができるので、各面で光沢性に優れた良質な両面画像を得ることができる。
【0147】
また、トナー付着量の制御は現像装置へのトナー補給量を変えて現像器中の現像剤のトナー濃度を変化させることで行うことにより、簡易的な方法にてトナー付着量を変化させることができる。また現実的に頻繁に行われる連続的な同一用紙の作像に関しては安定したトナー付着量の増加を図ることができる。よって各面で光沢性に優れた良質な両面画像を得ることができる。
【0148】
また、図1の構成では二つの作像ステーションを備えているので、用紙光沢度の検知結果を各用紙面におけるトナー付着量の制御に高速に行うことができ、画像形成の生産性を落とすことなく光沢性の良い良質な両面画像を形成することが可能となる。また用紙面ごとにトナー付着量を制御する際の現像器を別々に備えているため、安定したトナー付着量制御が可能となる。
【0149】
また、図13の構成では、用紙光沢度の検知結果をトナー付着量の制御に正確にフィードバックでき、各面にて光沢性の良い良質な両面画像を得ることができるとともに、画像形成装置の大きさをコンパクトにすることができる。
【0150】
また、用紙両面の光沢度検知手段の配置位置を転写位置に対してトナー担持ベルトの4分の1周分の距離よりも上流側にすることで、検知した光沢度を遅延することなく確実に作像条件にフィードバックすることが可能となり、生産性を損なうことなく、安定して各面にて光沢性の良い良質な両面画像を得ることができる。
【0151】
また、片面画像を印刷する際に、光沢度の高い方の用紙面にトナー像が転写されるように画像形成方法が選択されることで、ユーザーが意識することなく自動的かつより簡易的に高光沢で見栄えの良い良質な画像を得ることができるとともに低光沢面での画像のギラツキが発生することがない。
【0152】
また、付着量の多いカラー画像を光沢度の高い方の用紙面で印刷することにより、ユーザーが意識することなく自動的かつより簡易的に光沢性の良い良質なカラー画像を得ることができる。また付着量の少ないモノクロ画像を光沢度の低いほうのよう紙面で印刷することで、過剰な画像光沢であるギラツキの発生を抑制することができる。
【0153】
次に、検出した用紙各面の光沢度に基づき、それに対応する用紙各面における単位面積当りのトナー付着量を所定の関係を満たすように設定する実施形態について説明する。本実施の形態は、上記2例の画像形成装置で実施可能である。
【0154】
本実施の形態は、両面記録を行う際に表裏で光沢度が異なる用紙を用いた場合に低光沢の用紙面の画像光沢が過剰に増加してしまう不具合を防止し、用紙面に応じた適正な光沢感を持つ高品位な両面画像を得られるようにしたものである。
【0155】
本願発明者は、用紙の各面で光沢度の異なる複数種類の用紙について、トナー付着量を変えて画像を出力し、用紙各面における画像の光沢感についての視認性を評価する実験を行った。その結果を次の表1に示す。なお、ここでは、A〜Gの7種類の用紙について評価した
【0156】
【表1】

【0157】
該評価実験において、高光沢面側の用紙光沢度をG1、単位面積あたりのトナー付着量をm1とし、低光沢面側のそれらをG2、m2とした。トナー付着量はm2を変化させ、比率(m2/m1)を1から0.5まで4段階に変化させた。
【0158】
視認性ランクとは両面を比べた際の光沢の違和感を示すものであり、用紙面と画像光沢との差異や、低光沢用紙面における画像のギラツキなどに注目している。ここでは○,△,×の3段階評価とし、○をOK(良好)とした。その際にOKであるトナー付着量比率をデータから算出し、推奨トナー付着量比率とした。
【0159】
そして、用紙両面での光沢度差ΔGの増加に伴い推奨トナー付着量比率が低下すること(実施例3、4等)、および、低光沢面側の用紙光沢度の低下に伴い推奨トナー付着量比率が低下すること(実施例4、5等)により、以下の式を導出した。
m2/m1=1−α’×ΔG/G2
上式を変形して、
α’=G2/ΔG×(1−m2/m1)
とし、求めたα’を表1に記載した。すると用紙A〜E(実施例1〜5)でαは約0.11となった。
【0160】
よって、α=0.1として以下の式(2)に示すように(m2/m1)を設定することで視認性が良く適正な光沢感の画像を得ることができる条件を得た。

m2/m1≦1−α×ΔG/G2………式(2)
ただしΔG=G1−G2、α=0.1

【0161】
また、表1の比較例1、2に示すように用紙光沢度差ΔGが小さい場合においてはトナー付着量比率を変えずとも良好な両面画像の視認性が得られた。つまり用紙光沢度差ΔGがある程度小さい場合にはトナー付着量比率を変える必要はなく、用紙光沢度差が20以上の場合にトナー付着量の制御を行うことが有効であることがわかった。また、不必要にトナー付着量を低下させることは、制御の複雑化や画像の色再現性を損なうことなどにより好ましくない。
【0162】
このように、上記式(2)で示す条件を満たすように(m2/m1)を設定することで、用紙光沢度に応じたトナー付着量を設定することが可能となり、様々な用紙に対して適正な画像光沢を得ることができる。その際に、低光沢面におけるトナー付着量は、低光沢面の光沢度G2が小さい場合ほど小さく、また用紙面の光沢度差が大きいほど小さく設定することで、用紙の低光沢面側の画像において過剰な光沢の発生を防止することが可能となる。
【0163】
また、用紙の第一面と第二面の光沢度の差が20%以上である用紙を用いて上記式(2)で示す条件を満たすように(m2/m1)を設定し画像形成を行うことで、低光沢面における過剰な光沢の発生を効果的に防止することが可能となる。なお、光沢度差が20%未満の用紙を用いた場合、低光沢面においてトナー付着量を低下させても画像部光沢の差異が小さいために有効な効果が得られない。またトナー付着量の低下による色再現性の低下も懸念される。よって、制御の簡素化および色再現性の確保のため、表裏で20%以上の光沢度差がある用紙にてトナー付着量制御を行うことが望ましい。
【0164】
次に、用紙各面に形成すべき画像の面積率を求めて、両面記録時に画像面積率の低い方の画像を光沢度の低い方の用紙面に作像するようにした実施形態について説明する。本実施の形態は、上記2例の画像形成装置で実施可能である。また、上記式(2)に基づく(m2/m1)の設定と合わせて実施することが可能である。
【0165】
本実施の形態は、両面記録を行う際に表裏で光沢度が異なる用紙を用いた場合に低光沢の用紙面の画像光沢が過剰に増加してしまう不具合を防止し、用紙面に応じた適正な光沢感を持つ高品位な両面画像を得られるようにしたものである。
【0166】
画像面積率算出方法としては、書込みドット数より画像の面積率を算出する方法が挙げられる。その際の処理について図15のブロック図にて説明する。各色ごと(C,M,Y,Bk)に色分解された画像信号71はドット変調部72に入力される。ドット変調部72は、露光装置における1ドットの発光を画像信号に応じて変調処理をして露光制御部73に渡す部分であり、具体的には発光時間や露光強度を変化させる処理をする。これによりレーザー等を有する露光部74において1ドットの発光が変調されて発光する。また、ドット変調部72に入力される画像信号のうちドット発光時の画素をカウンタ部75にてカウントし、あるタイミングで積算し、メモリ部76にて記憶する。このタイミングとは用紙1枚分のタイミングでも良いし、1ジョブあたりのタイミングでも良い。画像面積率計算部77にてその期間における全画素数と発光ドット数の比より入力の画像面積率を計算することができる。
【0167】
図16は、両面記録時に画像面積率の低い方の画像を光沢度の低い方の用紙面に作像する制御を示すフローチャートである。
図16のフローチャートにおいて、まず用紙各面の光沢度を光沢度検知手段200a,bによって検知し、光沢度の高い面をG1面、低い面をG2面とする(S41)。次に上記の画像面積率計算部77によって各面の画像面積率を算出する。ここでG1面の画像面積率をA1、G2面のそれをA2とする(S42)。次に、A1とA2を比較し(S43)、A2がA1以下である場合にはG2面にそのまま画像面積率がA2の画像を、G1面にはA1画像をそれぞれ作像する命令をし(S44)、画像出力を行う(S46)。一方、A2がA1より大きい場合にはG2面に画像面積率がA1の画像を、G1面にはA2画像をそれぞれ作像する命令をし(S45)、画像出力を行う(S46)。この場合、図示しない定着後の用紙反転装置を用いて画像の反転を行えば、複数枚数のジョブにおいても印刷順序が変わることはない。
【0168】
このように、両面画像作像時に画像面積率の低い方の画像を光沢度の低い方の用紙面に作像することにより、低光沢面の用紙では総トナー付着量が少ないため自動的に画像光沢を抑制することができる。また画像面積率が低いために色再現性の低下も目立ちづらく、過剰光沢によるギラツキの抑制と色再現性の確保を同時に満たすことのできる両面画像を得ることが可能となる。
【0169】
次に、用紙各面に形成すべき画像がそれぞれ文字画像とイメージ画像である場合に、文字画像である方の画像を光沢度の低い方の用紙面に作像するようにした実施形態について説明する。本実施の形態は、上記2例の画像形成装置で実施可能である。また、上記式(2)に基づく(m2/m1)の設定と合わせて実施することが可能である。
【0170】
本実施の形態は、両面記録を行う際に表裏で光沢度が異なる用紙を用いた場合に低光沢の用紙面の画像光沢が過剰に増加してしまう不具合を防止し、用紙面に応じた適正な光沢感を持つ高品位な両面画像を得られるようにしたものである。なお、ここでは、文字情報の比率の高いものを文字画像とし、イメージ画像の比率の高いものをイメージ画像とする。すなわち、文字画像及びイメージ画像は、文字情報のみ、あるいはイメージ画像のみとして限定するものではない。
【0171】
画像種類を検知する方法としては、予め用意されている複数の画像形成モードのうちから選択された画像モードから画像種類を検出方法がある。画像形成装置に予め用意されている複数の画像形成モードから、操作者は操作パネル(図1の符号33)や外部パソコン上のプリンタドライバーソフトウエアからそれらのモードの一つを選択することが可能となっている。画像形成モードとは印刷物の種類や仕上がりに応じて複数用意されている印刷設定であり、文字モードや写真モード、文字・写真混在モード、などが適宜用意されている。選択された画像形成モードに応じて画像処理のパラメータや画像形成プロセスの条件を変化させることで印刷種類に適した仕上がりの効果を得ることができる。これらの画像形成モードは印刷種類に応じたものであるため、その原稿がどの程度の文字情報を含むかはおおよそは予測可能である。例えば文字情報の多さを、文字モード>文字・写真混在モード>写真モード、のように画像形成モードに対応付けて比較することが可能となる。これにより毎回の画像情報を画素カウントすることなく簡易的にトナー付着量を検知することが可能となる。
【0172】
画像種類に基づく制御について図17のフローチャートを参照して説明する。
まず用紙各面の光沢度を光沢度検知手段200a,bによって検知し、光沢度の高い面をG1面、低い面をG2面とする(S51)。次に上記したような画像種類の検知方法(画像種検知手段)によって各面の画像種類を検知する。ここで、G1面の画像種類をB1、G2面のそれをB2とする(S52)。そして、文字情報の多さについてB1とB2を比較し(S53)、B2がB1以上である場合にはG2面にそのままB2の画像を、G1面にはA1画像をそれぞれ作像する命令をし(S54)、画像出力を行う(S56)。一方、文字情報についてB1がB2より大きい場合にはG2面にB1の画像を、G1面にはB2画像をそれぞれ作像する命令をし(S55)、画像出力を行う(S56)。この場合、図示しない定着後の用紙反転装置を用いて画像の反転を行えば、複数枚数のジョブにおいても印刷順序が変わることはない。
【0173】
このように、両面画像作像時に文字画像を多く含む画像を自動的に光沢度の低い方の用紙面に作像することにより、文字画像においては優先的に画像光沢度を抑制することができるので、視認性に優れた画像を得ることができる。
【0174】
最後に、本発明を適用した画像形成装置に好適に使用できるトナーについて説明する。
600dpi以上の微少ドットを再現するために、トナーの重量平均粒径は3〜7μmが好ましい。この範囲では、微小な潜像ドットに対して、十分に小さい粒径のトナー粒子を有していることからドット再現性に優れる。
【0175】
重量平均粒径(D4)が3μm未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった現象が発生しやすい。重量平均粒径(D4)が7μmを超えると、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しい。
【0176】
また、重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)は1.00〜1.30の範囲にあることが好ましい。(D4/D1)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
【0177】
次に、トナー粒子の粒度分布の測定方法について説明する。
コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。以下に測定方法について述べる。
【0178】
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの重量、個数を測定して、重量分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
【0179】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
【0180】
トナーの形状係数SF−1は100〜160、形状係数SF−2は100〜160の範囲にあることが好ましい。図18は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記数式(3)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
【0181】
SF−1={(MXLNG)/AREA}×(100π/4)…数式(3)
上記SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0182】
また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記数式(4)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100/4πを乗じた値である。
【0183】
SF−2={(PERI)/AREA}×(100/4π)…数式(4)
上記SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
【0184】
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
【0185】
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが160を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
【0186】
トナー定着性に関連するトナーの特性は多く知られ、特に1/2流出温度(軟化点)が関連することが知られているが、本発明の定着装置に対しては、1/2流出温度(軟化点)定着性は関連が見られず、ガラス転移温度(後述)が45〜65℃で、流出開始温度(後述)が90〜115℃である両特性を満足するトナーを用いることで、良好な定着性が得られることが明かになった。
【0187】
ガラス転移温度が45℃よりも低い場合は、定着時にオフセットが発生する場合があり、逆に65℃よりも高い場合は、十分な定着性が得られず、画像が転写紙から剥がれやすくなる場合がある。
【0188】
流出開始温度が90℃よりも低い場合は、定着時にオフセットが発生する場合があり、逆に115℃よりも高い場合は、十分な定着性が得られず、画像が転写紙から剥がれやすくなる場合がある。
【0189】
ガラス転移点(Tg)について
Tgの測定方法について概説する。Tgを測定する装置として、理学電機社製TG−DSCシステムTAS−100を使用した。
【0190】
まず試料約10mgをアルミ製試料容器に入れ、それをホルダユニットにのせ、電気炉中にセットする。そして、室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10分間放置、室温まで試料を冷却して10分放置、窒素雰囲気下で再度150℃まで昇温速度10℃/minで加熱してDSC測定を行った。Tgは、TAS−100システム中の解析システムを用いて、Tg近傍の吸熱カーブの接線とベースラインとの接点から算出した。
【0191】
流出開始温度について
トナーの流出開始温度は、フローテスターを用いて測定することが出来る。フローテスターとしては、例えば島津製作所製の高架式フローテスターCFT500D型がある。このフローテスターのフローカーブは図19(a)および(b)に示されるデータになり、そこから各々の温度を読み取ることができる。図中、TGbは流出開始温度であり、1/2法における溶融温度とあるのはT1/2温度のことである。なお、測定条件は、荷重:5kg/cm、昇温速度:3.0℃/min、ダイ口径:1.00mm、ダイ長さ:10.0mmである。
【0192】
また、トナーに用いる結着樹脂としては、上記トナーの特性を満足するものであれば、以下の組成のものを使用することができる。
例えば、ポリエステル、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、 スチレン−アクリロニトリル共重合体、 スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレンーイソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体が挙げられる。
【0193】
また、下記の樹脂を混合して使用することもできる。
ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。
【0194】
この中で特に、ポリエステル樹脂が十分な定着性を得るために、好ましい。ポリエステル樹脂は、アルコールとカルボン酸との縮重合によって得られるが、用いられるアルコールとはポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等のジオール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリエキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のエーテル化ビスフェノル類、これらを炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した2価のアルコール単体、その他の2価のアルコール単体を挙げることができる。
【0195】
また、ポリエステル樹脂を得るために用いられるカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、これらを炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した2価の有機酸単量体、これらの酸無水物、低級アルキルエステルとリノレイン酸の2量体、その他の2価の有機酸単量体を挙げることができる。
【0196】
バインダー樹脂として用いるポリエステル樹脂を得るためには、以上の2官能性単量体のみによる重合体のみでなく、3官能以上の多官能性単量体による成分を含有する重合体を用いることも好適である。かかる多官能性単量体である3価以上の多価アルコール単量体としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−サルビタン、ペンタエスリトール、ジペンタエスリトール、トリペンタエスリトール、蔗糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1.3.5−トリヒドロキシメチルベンゼン、その他を挙げることができる。
【0197】
また3価以上の多価カルボン酸単量体としては、例えば1,2,4−ペンゼントリカルボン酸、1,2,5−ペンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンボール3量体酸、これらの酸無水物、その他を挙げることができる。
【0198】
また、トナーには、定着時の定着ベルト表面でのトナーの離型性を向上する目的で、離型剤を含有させることが出来る。離型剤として、公知のものが全て使用できるが、特に脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス、モンタンワックス及び酸化ライスワックス、エステルワックスを単独又は組み合わせて使用する事ができる。
【0199】
カルナウバワックスとしては、微結晶のものが良く、酸価が5以下であり、トナーバインダー中に分散した時の粒子径が1μm以下の粒径であるものが好ましい。モンタンワックスについては、一般に鉱物より精製されたモンタン系ワックスを指し、カルナウバワックス同様、微結晶であり、酸価が5〜14であることが好ましい。酸化ライスワックスは、米ぬかワックスを空気酸化したものであり、その酸価は10〜30が好ましい。
【0200】
各ワックスの酸価が各々の範囲未満であった場合、低温定着温度が上昇し低温定着化が不十分となる。逆に酸価が各々の範囲を超えた場合、コールドオフセット温度が上昇し低温定着化が不十分となる。ワックスの添加量としてはバインダー樹脂100重量部に対して1〜15重量部、好ましくは3〜10重量部の範囲で用いられる。1重量部未満では、その離型効果が薄く所望の効果が得られにくい。また15重量部を超えた場合はキャリアへのスペントが顕著になる等の問題が生じた。
【0201】
また、トナーに帯電を付与する目的で、帯電制御剤を含有させることができる。帯電制御剤としては、従来公知のものが全て使用できる。正帯電制御剤としては、ニグロシン、塩基性染料、塩基性染料のレーキ顔料、四級アンモニウム塩化合物他等が挙げられ、負帯電制御剤としては、モノアゾ染料の金属塩、サリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の金属錯体他等が挙げられる。
【0202】
本極性制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、バインダー樹脂100重量部に対して0.01〜8重量部、好ましくは0.1〜2重量部の範囲で用いられる。0.01重量部未満では、環境変動時における帯電量Q/Mの変動に対しその効果が小さく、7重量部を超えると低温定着性が劣る結果となる。
【0203】
また、使用される含金属モノアゾ染料としては、含クロムモノアゾ染料、含コバルトモノアゾ染料、含鉄モノアゾ染料を単独もしくは組み合わせて使用する事ができる。これらを添加する事により、現像剤中における帯電量Q/Mの立ち上がり(飽和までの時間)がより優れたものとなる。
【0204】
使用量としては、前記極性制御剤同様にバインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、バインダー樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは1〜7重量部の範囲で用いられる。0.1重量部未満では、その効果が薄く、10重量部を超えると帯電量の飽和レベルが低下する等の欠点が生じる。
【0205】
また、カラートナーには、サリチル酸誘導体の金属塩を用いる事が特に好ましいが、必要に応じてカラートナーの色調を損なう事のない透明もしくは白色の物質を添加して、トナーの帯電性を安定的に付与する事が出来る。具体的には、有機ホウ素塩類、含フッ素四級アンモニウム塩類、カリックスアレン系化合物等が用いられるが、これらに限られるものではない。
【0206】
また、トナーには更に磁性材料を含有させ、磁性トナーとしても使用し得る。磁性トナー中に含まれる磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれら金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金およびその混合物などが挙げられる。
【0207】
これらの強磁性体は平均粒径が0.1〜2μm程度のものが望ましく、トナー中に含有させる量としては樹脂成分100重量部に対し約20〜200重量部、特に好ましくは樹脂成分100重量部に対し40〜150重量部である。
【0208】
着色剤としては、トナー用として公知のものがすべて使用できる。
黒色の着色剤としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック等が使用できる。シアンの着色剤としては、例えば、フタロシアニンブルー、メチレンブルー、ビクトリアブルー、メチルバイオレット、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー等が使用できる。マゼンタの着色剤としては、例えば、ローダミン6Gレーキ、ジメチルキナクリドン、ウォッチングレッド、ローズベンガル、ローダミンB、アリザリンレーキ等が使用できる。イエローの着色剤としては、例えば、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、ハンザイエロー、ナフトールイエロー、モリブデンオレンジ、キノリンイエロー、タートラジン等が使用できる。
【0209】
本発明のトナーに用いられる着色剤は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック各色のトナーを得ることが可能な染料および顔料が使用できる。例えば、カーボンブラック、ランプブラック、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローグミン6G、レーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料などの染顔料など、従来公知のいかなる染顔料をも単独あるいは混合して使用できる。
【0210】
また、外添加剤として、トナーの流動性を向上させる目的で、疎水性のシリカ、酸化チタン、アルミナ、など、更に必要に応じて脂肪酸金属塩類やポリフッ化ビニリデン等を添加しても良い。
【0211】
さらに、トナーを2成分現像剤として用いる場合に、使用し得るキャリアとしては公知のものがすべて使用可能であり、例えば鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉のごとき磁性を有する粉体、ガラスビーズ等及びこれらの表面を樹脂などで処理した物などが挙げられる。
【0212】
キャリアにコーティングし得る樹脂粉末としては、スチレン−アクリル共重合体、シリコーン樹脂、マレイン酸樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル樹脂エポキシ樹脂等がある。スチレン−アクリル共重合体の場合は、30〜90重量%のスチレン分を有するものが好ましい。この場合スチレン分が30重量%未満だと現像特性が低く、90重量%を越えるとコーティング膜が硬くなって剥離しやすくなり、キャリアの寿命が短くなるからである。
【0213】
また、本発明におけるキャリアの樹脂コーティングは、上記樹脂の他に接着付与剤、硬化剤、潤滑剤、導電材、荷電制御剤等を含有してもよい。
シリコーン樹脂で被覆するキャリア核体粒子としては従来より公知のもので良く、例えば鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属;マグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの合金や化合物;ガラスビーズ等が挙げられる。これら核体粒子の平均粒径は通常10〜1000μm、好ましくは30〜500μmである。なお、シリコーン樹脂の使用量としては、通常キャリア核体粒子に対して1〜10重量%である。
【0214】
また、シリコーン樹脂としては従来より知られるいずれのシリコーン樹脂であってもよく、例えば市販品として入手できる信越シリコーン社製のKR261、KR271、KR271、KR272、KR275、KR280、KR282、KR285、KR251、KR155、KR220、KR201、KR204、KR205、KR206、SA−4、ES1001、ES1001N、ES1002T、KR3093や東レシリコーン社製のSR2100、SR2101、SR2107、SR2110、SR2108、SR2109、SR2115、SR2400、SR2410、SR2411、SH805、SH806A、SH840等が用いられる。シリコーン樹脂層の形成法としては、従来と同様、キャリア核体粒子の表面に噴霧法、浸漬法等の手段でシリコーン樹脂を塗布すればよい。キャリヤの粒径として、体積平均粒径が25μmから60μm程度である。
【0215】
上記したように、重量平均粒径が3〜7μmで、重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)が1.00〜1.30の範囲にあるトナーを用いると好適である。このようなトナー特性を持つことにより、ミクロなトナー間の空隙が小さくなりトナー画像中のトナー密度が上がる(いわゆるベタ埋まりがよくなる)ため、より少ない付着量で十分な画像濃度を得ることができる。よってトナー付着量による画像光沢の幅広い制御が可能となる。また、小粒径化に伴うドット再現性の向上や粒径分布のシャープ化による帯電量の安定化、パイルハイトの低下による転写率の向上等、高画質化を達成することも可能となる。
【0216】
一方、トナー特性が上記以外の範囲である場合にはトナー付着量による光沢の制御が困難になる。また(D4)が3μm未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった不具合が発生しやすい。また(D4)が7μmを超えると、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しい。また、(D4/D1)が1.30を超えると、トナーの帯電量分布がブロードとなり、地肌かぶりなどの問題が発生しやすい。
【0217】
また、形状係数SF−1が100〜160の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜160の範囲にあるトナーを用いると好適である。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが160を超えると、転写率が低下し著しく画質が劣化するため好ましくない。
【0218】
また、少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤からなり、ガラス転移温度が45〜65℃、流出開始温度が90〜115℃のトナーを用いると好適である。
トナー定着性に関して一般的には1/2流出温度(軟化点)が関連することが知られているが、本発明においては、1/2流出温度(軟化点)定着性には関連が見られず、ガラス転移温度が45〜65℃で、流出開始温度が90〜115℃である両特性を満足するトナーを用いることで、良好な定着性が得られることが明らかになった。それによりトナー付着量による光沢制御を幅広く行うことが可能となった。
【0219】
一方、ガラス転移温度が45℃よりも低い場合は、定着時にオフセットが発生する場合があり、逆に65℃よりも高い場合は、十分な定着性が得られず、画像が転写紙から剥がれやすくなる場合がある。また、流出開始温度が90℃よりも低い場合は、定着時にオフセットが発生する場合があり、逆に115℃よりも高い場合は、十分な定着性が得られず、画像が転写紙から剥がれやすくなる場合がある。
【0220】
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、作像ステーションにおける作像ユニットの数は任意であり、3つの作像ユニットによるカラー画像形成装置や、単数の作像ユニットによるモノクロ装置も可能である。また、光沢度検知手段の構成も図示例に限らず、適宜な方式のものを採用しえるものである。
【図面の簡単な説明】
【0221】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例における概略構成を示す断面図である。
【図2】その画像形成装置の作像ユニットの概略構成を示す断面図である。
【図3】光沢度検知手段の一例を示す断面構成図である。
【図4】その光沢度検知手段における反射光成分を説明するための模式図である。
【図5】光沢度検知手段の配置を示す模式図である。
【図6】静電潜像が形成された感光体の表面電位を示す模式図である。
【図7】現像能力を説明するためのグラフである。
【図8】交流現像バイアスの一例を示す波形図である。
【図9】用紙光沢度に基づくトナー付着量制御の一例を示すフローチャートである。
【図10】用紙光沢度に基づくトナー付着量制御の別例を示すフローチャートである。
【図11】用紙光沢度に基づくトナー付着量制御のさらに別の例を示すフローチャートである。
【図12】用紙光沢度に基づくトナー付着量制御のさらに別の例を示すフローチャートである。
【図13】本発明を適用した構成の異なる画像形成装置を示す断面構成図である。
【図14】その作像ユニットを示す側面図である。
【図15】画像面積率算出部の構成を示すブロック図である。
【図16】両面記録時に画像面積率の低い方の画像を光沢度の低い方の用紙面に作像する制御を示すフローチャートである。
【図17】文字情報を多く含む画像を光沢度の低い方の用紙面に作像する制御を示すフローチャートである。
【図18】形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【図19】トナーの流出開始温度を測定するテスターのフローカーブを示すグラフである。
【図20】トナー付着量と画像光沢度の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0222】
1 感光体ドラム
11,12 作像ステーション
20,40 ベルトユニット
21,41 中間転写ベルト
22,42 一次転写ローラ
30,50 作像ユニット
33 操作部
51 二次転写ローラ
52 二次転写チャージャ
60 第1中間転写ベルト
80 給紙装置
100 装置本体
110 第2中間転写ベルト
200 光沢度検知手段
201 発光部
202 受光部
203 ガイド部材
PU 画像形成部
SU 作像ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1回の通紙で用紙両面に画像を転写して両面記録が可能な画像形成装置において、
用紙の一方側の面と他方側の面それぞれの光沢度を検知する光沢度検知手段を備え、該光沢度検知手段の検知結果に基づいて作像部における像担持体上のトナー付着量を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記光沢度検知手段は発光部と受光部を有する光センサであり、用紙に反射させた反射光により用紙光沢度を算出することを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記光センサの受光部が受光する光が正反射光であり、用紙垂線と正反射光のなす角度が60度以上85度以下であることを特徴とする、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
用紙の一方側の面の光沢度を検知する光沢度検知手段と他方側の面の光沢度を検知する光沢度検知手段が用紙を挟んで対向しないように配置されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記光沢度検知手段で検知した用紙各面の光沢度を比較し、光沢度が低い方の用紙面に転写させる画像のトナー付着量を光沢度が高い方の用紙面に転写させる画像のトナー付着量よりも小さくなるように制御することを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記像担持体に対するトナー付着量が異なる複数の画像形成モードを有し、前記光沢度検知手段で検知した用紙各面の光沢度に応じて、用紙各面に転写させる画像を形成する際の画像形成モードが前記複数の画像形成モードから独立して適用可能なことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記トナー付着量の制御は、作像部における現像ポテンシャルを変化させて行うことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記現像ポテンシャルの制御は、作像部における露光装置の露光エネルギーを変化させて行うことを特徴とする、請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記現像ポテンシャルの制御は、作像部における現像バイアスとしての直流電圧を変化させて行うことを特徴とする、請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記トナー付着量の制御は、作像部における現像バイアスとしての交流電圧波形を変化させて行うことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記トナー付着量の制御は、作像部における現像装置内のトナー濃度を変化させて行うことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項12】
第1の中間転写体の周囲に少なくとも1つの作像ユニットを付設した第1作像ステーションと、第2の中間転写体の周囲に少なくとも1つの作像ユニットを付設した第2作像ステーションを有し、前記2つの作像ステーションで形成した各画像を前記第1及び第2中間転写体から1回の通紙で用紙各面に転写して両面記録が可能なことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項13】
第1の中間転写体の周囲に少なくとも1つの作像ユニットを付設した作像ステーションと、前記第1の中間転写体に担持させた画像を転写可能な第2の中間転写体を有し、前記第1及び第2中間転写体が担持する各画像を1回の通紙で用紙各面に転写して両面記録が可能なことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記光沢度検知手段は、前記中間転写体から用紙への画像転写位置に対し、用紙搬送経路に沿って前記中間転写体外周の4分の1の距離よりも上流側に配置されることを特徴とする、請求項12又は13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
片面記録時に、前記光沢度検知手段で検知した用紙各面の光沢度が高い方の面に画像を転写させることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項16】
用紙の片面がカラー画像で他方の片面がモノクロ画像である両面印刷時に、前記光沢度検知手段で検知した用紙各面の光沢度が高い方の面に前記カラー画像を転写させることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項17】
単色ベタ画像の単位面積あたりのトナー付着量が0.7mg/cm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項18】
重量平均粒径が3〜7μmかつ重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)が1.00〜1.30の範囲にあるトナーを用いることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項19】
形状係数SF−1が100〜160の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜160の範囲にあるトナーを用いることを特徴とする、請求項1又は18に記載の画像形成装置。
【請求項20】
少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤からなり、ガラス転移温度が45〜65℃、流出開始温度が90〜115℃のトナーを用いることを特徴とする、請求項1,18,19のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項21】
前記光沢度検知手段で検知した用紙各面の光沢度をそれぞれG1,G2(G1>G2)とし、該G1,G2に対応する用紙各面の単位面積当たりのトナー付着量をそれぞれm1、m2としたとき、
m2/m1≦1−α×ΔG/G2
ただしΔG=G1−G2、α=0.1
の関係を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項22】
前記G1とG2の差が20%以上である用紙を用いることを特徴とする、請求項21に記載の画像形成装置。
【請求項23】
用紙面に形成すべき画像の面積率を検知する画像面積率検知手段を有し、
両面記録時に用紙各面に形成すべき画像の面積率を前記画像面積率検知手段で検知するとともに、該検知した画像のうち面積率の低い方の画像を、前記光沢度検知手段で光沢度を検知した用紙各面のうちの光沢度の低い方の用紙面に記録することを特徴とする、請求項1,21,22のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項24】
用紙面に形成すべき画像の種類を検知する画像種類検知手段を有し、
両面記録時に用紙各面に形成すべき画像の種類を前記画像種類検知手段で検知するとともに、該検知した用紙各面の画像種類がそれぞれ文字画像とイメージ画像である場合、文字画像である方の画像を、前記光沢度検知手段で光沢度を検知した用紙各面のうちの光沢度の低い方の用紙面に記録することを特徴とする、請求項1,21,22のいずれか1項に記載の画像形成装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−30978(P2006−30978A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−173596(P2005−173596)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】