説明

画像形成装置

【課題】画像内の副走査方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動を補正することを簡易な構成で実現する。
【解決手段】製造誤差等に起因する回転軸の偏心や傾き等により感光体ドラムの周速は周期的に変動し((A)参照)、多数のLEDが主走査方向に配列された露光ヘッドを一定周期で発光させてライン単位で露光した場合、感光体ドラムの周速の変動が画像の副走査方向に沿った濃度(倍率)の変動として現れる((B)参照)。このため、周速の変動に応じて画像形成中に露光ヘッドの発光周期を変更する((C)参照)ことで濃度(倍率)の変動を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に係り、特に、第1方向に沿って配列された複数の発光部を備えた露光手段を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式で画像を形成する画像形成装置では、像担持体としての感光体の偏心による感光体の周速の周期的な変動、或いは装置各部の経時的な変化(例えば感光体表面の膜厚の変化や現像処理性能の経時変化、転写効率の経時変化等)により、感光体上に形成される画像に副走査方向に沿った濃度の周期的な変動や副走査方向に沿った倍率の周期的な変動が生ずるという問題がある。
【0003】
上記に関連して特許文献1には、ポリゴンミラーの面倒れ(各反射面の傾きの差)やポリゴンミラーの面毎のばらつき、複数本の光ビームを同時に走査する場合の各光ビームの間隔のばらつき等に起因する副走査方向のライン間隔ずれ(副走査方向の濃度むら)を、光ビームの光量を補正することによって抑制する技術が開示されている。
【0004】
また特許文献2には、複数個のLEDチップによって1回の主走査で複数ラインを形成して画像を露光記録する際に、n回目及びn+1回目に主走査で重複露光される領域に対応するLEDチップの輝度を露光インターバルに応じて変更することで、前記重複露光領域の筋状の濃度むらを抑制する技術が開示されている。
【0005】
また特許文献3には、ポリゴンミラーの面倒れに伴うレーザビームの走査線間隔の変動を検出し、レーザビームの走査線間隔の変動に応じてレーザビームの光量を変化させることで、レーザビームの走査線間隔の変動に起因する副走査方向に沿った濃度むらを補正する技術が開示されている。
【0006】
更に特許文献4には、画像の拡大/縮小倍率として一律の画素補間/間引きによる拡大縮小が行えない倍率が指定された場合に、一律の画素補間/間引きによって画像データの拡大/縮小を行った後に、画像データの拡大/縮小倍率と指定された拡大/縮小倍率との差に応じて画像データの読出クロックを変化させると共にポリゴンミラーの回転速度を変化させることで、指定された拡大/縮小倍率での画像の拡大/縮小を実現する技術が開示されている。
【0007】
また特許文献5には、LEDヘッドによって記録媒体の両面に画像を形成する画像形成装置において、画像形成における記録媒体の定着処理前の媒体長と定着処理後の媒体長から定着処理における媒体長収縮量を算出し、記録媒体の反対面に画像を形成する際のLEDヘッドの発光周期を算出した媒体収縮量に応じて変更することで、最初の面の画像の位置と反対面の画像の副走査方向についての位置ずれを補正する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2001−281589号公報
【特許文献2】特開平10−181082号公報
【特許文献3】特開2000−238330号公報
【特許文献4】特開平11−014920号公報
【特許文献5】特開2005−193615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1〜特許文献3に記載の技術は、何れも露光光量を補正することで副走査方向に沿った濃度むらを抑制しているが、装置各部の経時的な変化に伴う副走査方向に沿った濃度の周期的な変動も、露光光量を補正することで抑制するためには、露光光量を非常に広い光量範囲内で変化させる必要があり、高出力の光源が必須となりコストが嵩むという問題が生ずる。特に一定方向に配列された複数の発光部を備えたLPH(LED Print Head)等の露光ヘッドを露光光源として用いる場合、個々の発光部の発光光量のばらつきを補正する制御(第1の制御)を行うことが前提となるので、当該制御に加えて副走査方向に沿った濃度むらを抑制する制御(第2の制御)を行うには個々の発光部の発光光量のレンジが不足する可能性が高く、また第1の制御及び第2の制御を各々行うためには、非常に複雑な構成の回路が必要となるので回路規模が増大するという欠点もある。
【0009】
また、特許文献4及び特許文献5に記載の技術を適用すれば、副走査方向に沿った画像の全体倍率の変動は補正できるものの、これらの技術は画像内の副走査方向に沿った倍率の周期的な変動を補正することは考慮されていない。また、特許文献4に記載の技術のようにポリゴンミラーの回転速度を変化させようとすると、制御回路の構成が複雑になるという問題もある。
【0010】
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、画像内の副走査方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動を補正することを簡易な構成で実現できる画像形成装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る画像形成装置は、第1方向に沿って配列された複数の発光部を備えた露光手段と、前記露光手段と像担持体を前記第1方向と交差する第2方向へ相対移動させる移動手段と、前記像担持体上に形成すべき画像を表す画像データに応じて前記露光手段の前記複数の発光部を周期的に発光させて前記像担持体上に前記画像を形成させると共に、前記像担持体上に形成される画像内の前記第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動が補正されるように、前記画像の形成中に前記複数の発光部の発光周期を変更する発光制御手段と、を含んで構成されている。
【0012】
請求項1記載の発明では、第1方向に沿って配列された複数の発光部を備えた露光手段が設けられており、露光手段と像担持体は移動手段によって第1方向と交差する第2方向へ相対移動される。なお、露光手段としては、複数の発光部としての複数のLEDが第1方向に沿って配列されたLEDヘッドが好適である。また発光制御手段は、像担持体上に形成すべき画像を表す画像データに応じて露光手段の複数の発光部を周期的に発光させて像担持体上に画像を形成させる。これにより、像担持体上には、複数の発光部が1回発光することで露光形成される第1方向(主走査方向)に沿ったドット列が、第2方向(副走査方向)に沿って複数配列されて成る画像が露光形成されることになる。
【0013】
ここで、請求項1記載の発明に係る発光制御手段は、像担持体上に形成される画像内の第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動が補正されるように、画像の形成中に複数の発光部の発光周期を変更する。複数の発光部の発光周期の変更に伴い、像担持体上に形成される画像を構成する各ドット列の間隔が部分的に変化することになり、発光周期が長くされることでドット列の間隔が大きくされた部分では、ドットの密度の低下に伴って濃度が低下しかつ倍率が増大し、発光周期が短くされることでドット列の間隔が小さくされた部分では、ドットの密度の増大に伴って濃度が増大しかつ倍率が低下する。
【0014】
このように、画像の形成中に複数の発光部の発光周期を変更することで、画像中の濃度及び倍率を第2方向(副走査方向)に沿って部分的に変化させることができるので、像担持体上に形成される画像内の第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動が補正されるように、画像の形成中に複数の発光部の発光周期を変更することで、画像内の副走査方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動を補正することを実現することができる。また、請求項1記載の発明では、画像内の第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動を補正することを、複数の発光部の発光光量を制御したり、ポリゴンミラー等の回転部材の回転速度を変化させる等の制御を行うことなく実現できるので、構成が複雑化することも回避することができる。
【0015】
なお、請求項1記載の発明において、像担持体が、移動手段によって回転され外周面に画像が形成される回転体である場合、像担持体の外周面に形成される画像内の副走査方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方は、像担持体の回転方向に沿った像担持体の位置によって変化するので、例えば請求項2に記載したように、像担持体の回転方向に沿った像担持体の位置を検出する位置検出手段を更に設け、発光制御手段を、位置検出手段によって検出された像担持体の現在の位置に応じた補正量で補正した発光周期で複数の発光部を発光させることを繰り返すことで、像担持体上に形成される画像内の第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動を補正するように構成することができる。
【0016】
また請求項2記載の発明において、より詳しくは、例えば請求項3に記載したように、像担持体上に形成される画像内の第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動を予め測定した結果に基づいて、像担持体の回転方向に沿った像担持体の各位置毎に設定された、前記濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動を補正するための複数の発光部の発光周期に対する補正量を各々記憶する記憶手段を更に設け、発光制御手段を、位置検出手段によって検出された像担持体の現在の位置に対応する補正量を記憶手段から読み出すことで、像担持体の現在の位置に応じた補正量を取得するように構成することができる。
【0017】
また請求項1記載の発明において、発光制御手段は、より詳しくは、例えば請求項4に記載したように、露光手段による像担持体上の露光箇所が、像担持体上に形成される画像内の第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方における濃度がより高い箇所になるか又は倍率がより低い箇所になるに従って複数の発光部の発光周期が長くなるように、前記画像の形成中に前記複数の発光部の発光周期を変更するように構成することができる。
【0018】
更に、請求項1記載の発明において、発光制御手段を、例えば請求項5に記載したように、像担持体上に形成される画像内の第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動が補正され、かつ像担持体上に1頁分の画像を形成させるために複数の発光部を周期的に発光させている間の複数の発光部の平均発光周期が前記濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動の補正に伴って変化しないように、複数の発光部の発光周期の変更を行うように構成することが好ましい。これにより、像担持体上に形成される画像内の第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動が補正されるように複数の発光部の発光周期を変更することに伴って、第2方向に沿った画像のサイズが変化したり、1頁分の画像を構成するドット列(複数の発光部が1回発光することで露光形成される第1方向(主走査方向)に沿ったドット列)の数が変化することを防止することができる。
【0019】
また、請求項1記載の発明において、像担持体が移動手段によって回転され外周面に画像が形成される回転体である場合、当該像担持体の偏心等によって像担持体の周速が周期的に変動し、像担持体の外周面に形成される画像内の第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動は、この像担持体の周速の周期的な変動と相関があるので、例えば請求項6に記載したように、発光制御手段を、像担持体の周速の変動に伴って生ずる画像内の第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動が補正されるように、周速検知手段によって像担持体の周速の周期的な変動が検知された結果に基づいて、画像の形成中に複数の発光部の発光周期を変更するように構成することができる。これにより、画像内の第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動のうち、像担持体の周速の周期的な変動と相関を有する成分を補正することができる。
【0020】
なお請求項6記載の発明において、より詳しくは、例えば請求項7に記載したように、像担持体の回転方向に沿った前記像担持体の位置を検出する位置検出手段を更に設け、発光制御手段は、周速検知手段によって像担持体が1回転する間の像担持体の周速の変動が検知された結果に基づいて、像担持体の回転方向に沿った像担持体の各位置毎に設定された濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動を補正するための複数の発光部の発光周期に対する補正量のうち、位置検出手段によって検出された像担持体の現在の位置に対応する補正量で補正した発光周期で複数の発光部を発光させることを繰り返すことで、像担持体上に形成される画像内の第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動を補正することができる。
【0021】
また、スクリーン処理が施された画像において副走査方向に沿ったドット間隔が変化した場合の濃度変化の大きさは、画像に適用されたスクリーンの種別によって相違する。上記を考慮すると、請求項1記載の発明において、複数の発光部の発光に用いる画像データがスクリーン処理を経た画像データである場合、例えば請求項8に記載したように、前記補正量を複数種のスクリーンについて各々設定しておき、発光制御手段は、画像データに対して適用されたスクリーンの種別に対応する補正量を用いて複数の発光部の発光周期を補正することが好ましい。これにより、画像データに対して適用されたスクリーンの種別に応じて、像担持体上に形成される画像内の第2方向に沿った濃度の周期的な変動をより高精度に補正することができる。
【0022】
また、請求項1記載の発明において、像担持体上に形成される画像内の第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動は、例えば請求項9に記載したように、像担持体上に形成された所定のパターン画像を読取手段によって読み取るか、像担持体上に形成された画像が一次転写される中間転写体上に一次転写された所定のパターン画像を読取手段によって読み取るか、像担持体上又は中間転写体上から記録媒体上に転写形成された所定のパターン画像を画像形成装置の内部で読取手段によって読み取るか、画像形成装置から排出された記録媒体上に転写形成されている所定のパターン画像をスキャナによって読み取ることで測定することができる。なお、上記の所定のパターン画像としては、第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動を容易に測定可能なように、第2方向に沿った長さが所定値以上(例えば像担持体が回転体であれば像担持体の周長以上)で領域内の濃度が一定の長尺領域を含む画像を適用することができる。
【0023】
また、請求項9記載の発明において、例えば請求項10に記載したように、所定のパターン画像の形成は、自動的かつ定期的に実行されるか、指示手段を介して所定のパターン画像の形成が指示される毎に実行されることが好ましい。画像形成装置の各部の経時的な変化に伴い、像担持体上に形成される画像内の第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動における変動パターン自体も変化するが、上記のように、所定のパターン画像の形成を自動的かつ定期的に実行するか、指示される毎に実行することで、像担持体上に形成される画像内の第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動におけるパターン画像形成時点での最新の変動パターンを得ることができ、この最新の変動パターンに基づいて発光制御手段が画像の形成中に複数の発光部の発光周期を変更することで、画像内の第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動のうち、画像形成装置の各部の経時的な変化に伴って生じた成分も補正することができる。
【0024】
また、請求項9記載の発明において、像担持体が移動手段によって回転され外周面に画像が形成される回転体である場合、画像内の第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動のうち、画像形成装置の各部の経時的な変化に伴って生じた成分についても、像担持体の回転方向に沿った像担持体の位置によって濃度及び倍率の少なくとも一方が変化するので、例えば請求項11に記載したように、所定のパターン画像に所定のパターン画像の各箇所の像担持体上での形成位置を識別するためのマークを付加しておき、読取手段又はスキャナによって所定のパターン画像が読み取られることで測定された、所定のパターン画像内の第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動と、読取手段又はスキャナによって前記マークが読み取られることで識別された、所定のパターン画像の各箇所の像担持体上での形成位置に基づいて、像担持体上に形成される画像内の第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動を補正するための複数の発光部の発光周期に対する補正量を、像担持体の回転方向に沿った像担持体の各位置毎に設定する設定手段を設けることが好ましい。これにより、画像内の第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動のうち、画像形成装置の各部の経時的な変化に伴って生じた成分も補正できる補正量を得ることができる。
【0025】
また、請求項1記載の発明において、像担持体上に順次形成された画像を同一の記録媒体の表面及び裏面に順次転写形成させる転写形成手段が設けられている場合、例えば請求項12に記載したように、発光制御手段は、予め測定された、転写手段によって記録媒体の表面に転写形成された表面画像と記録媒体の裏面に転写形成された裏面画像の第2方向に沿った全体倍率の差、又は、表面画像及び裏面画像の第2方向に沿った長さの基準値に対する差に基づき、全体倍率の差又は基準値に対する第2方向に沿った長さの差が補正されるように、像担持体上に形成される画像が転写形成される面が記録媒体の表面か記録媒体の裏面かに応じて、複数の発光部の平均発光周期を切り替えるように構成することが好ましい。これにより、個々の画像内における第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動に加えて、記録媒体の表面及び裏面に転写形成された画像の第2方向(副走査方向)に沿った全体倍率の差、又は、表面画像及び裏面画像の第2方向に沿った長さの基準値に対する差も補正することができる。
【0026】
なお、請求項12記載の発明において、表面画像と裏面画像の第2方向に沿った全体倍率の差、又は、表面画像及び裏面画像の第2方向に沿った長さの基準値に対する差は、例えば請求項13に記載したように、転写手段によって記録媒体の表面及び裏面に各々転写形成された所定のパターン画像を、画像形成装置の内部で読取手段によって各々読み取るか、画像形成装置から排出された記録媒体の表面及び裏面に各々転写形成されている所定のパターン画像をスキャナによって各々読み取ることで測定することができる。
【0027】
また、請求項13記載の発明において、例えば請求項14に記載したように、記録媒体の表面及び裏面に形成された所定のパターン画像が読取手段又はスキャナによって読み取られることで測定された、表面画像と裏面画像の第2方向に沿った全体倍率の差、又は、表面画像及び裏面画像の第2方向に沿った長さの基準値に対する差に基づき、全体倍率の差又は前記基準値に対する第2方向に沿った長さの差が補正されるように、像担持体上に形成される画像が記録媒体の表面に転写形成される場合及び前記記録媒体の裏面に転写形成される場合の前記複数の発光部の平均発光周期を各々演算する演算手段を更に設けることが好ましい。
【0028】
これにより、請求項10記載の発明と同様に、記録媒体の表面及び裏面への所定のパターン画像の形成及び読み取りを自動的かつ定期的に実行するか、指示される毎に実行するようにすれば、パターン画像形成時点での前記全体倍率の最新の差又は前記第2方向に沿った長さの基準値に対する最新の差を得ることができ、このデータに基づき演算手段によって画像が記録媒体の表面及び裏面に転写形成される場合の複数の発光部の平均発光周期が各々演算されるので、発光制御部が、像担持体上に形成される画像が転写形成される面が記録媒体の表面か記録媒体の裏面かに応じて、複数の発光部の平均発光周期を演算手段によって演算された平均発光周期に切り替えることで、前記全体倍率の差又は第2方向に沿った長さの基準値に対する差が経時的に変化した場合にも、これを補正することが可能となる。
【0029】
なお、記録媒体の表面画像と裏面画像の第2方向に沿った全体倍率の差は、例えば定着処理時の加熱等の温度変化に伴う記録媒体の伸縮が主因であるが、この記録媒体の伸縮量は記録媒体の種類によって相違していることを考慮すると、請求項12記載の発明において、例えば請求項15に記載したように、像担持体上に形成される画像が記録媒体の表面に転写形成される場合及び記録媒体の裏面に転写形成される場合の複数の発光部の平均発光周期を、複数種の記録媒体について各々記憶する記憶手段を更に設け、発光制御手段は、像担持体上に形成される画像が転写形成される記録媒体の種類に対応する平均発光周期を記憶手段から読み出し、複数の発光部の平均発光周期の切り替えを行うように構成することが好ましい。これにより、画像が転写形成される記録媒体の種類に応じて、表面画像と裏面画像の第2方向に沿った全体倍率の差、又は、表面画像及び裏面画像の第2方向に沿った長さの基準値に対する差をより高精度に補正することができる。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように本発明は、像担持体上に形成すべき画像を表す画像データに応じて第1方向に沿って配列された複数の発光部を周期的に発光させて像担持体上に画像を形成させると共に、像担持体上に形成される画像内の第1方向と交差する第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動が補正されるように、画像の形成中に複数の発光部の発光周期を変更するので、画像内の副走査方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動を補正することを簡易な構成で実現できる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図1には本実施形態に係る画像形成装置10が示されている。画像形成装置10は、LAN等のネットワーク96を介して各々パーソナル・コンピュータ(PC)等から成る複数台のクライアント端末98に接続されていると共に、プラテンガラス上に載置された原稿を露光走査して読み取る原稿読取装置12を備えており、クライアント端末98からネットワーク96経由で受信したデータ(例えばページ記述言語で記述されたデータ)が表す画像を用紙等の記録媒体上に転写・形成させる、プリンタとしての機能と、原稿読取装置12が原稿を読み取ることで得られたデータが表す画像を記録媒体上に転写・形成させる複写機としての機能を兼ね備えている。なお、画像形成装置10の上部には、メッセージ等を表示するディスプレイと各種コマンド等を入力可能なキーボードを含んで構成された操作パネル14が設けられており、原稿読取装置12は操作パネル14を介して入力された指示に応じて原稿読み取りを行う。
【0032】
画像形成装置10は複数の駆動ローラ16に巻き掛けられた無端の中間転写ベルト18を備えており、中間転写ベルト18は複数の駆動ローラ16によって図1における反時計回りに循環移動される。また、中間転写ベルト18の上側には、中間転写ベルト18の循環搬送方向に沿って、Y色のトナー像を形成する画像形成部20、M色のトナー像を形成する画像形成部22、C色のトナー像を形成する画像形成部24、K色のトナー像を形成する画像形成部26及びCCDセンサ28が順に設けられている。画像形成部20〜26は略同一構成であるので、各部に同一の符号を付し、以下、画像形成部20についてのみ説明する。
【0033】
画像形成部20は、略円筒状で軸線を中心として回転可能とされ中間転写ベルト18に外周面が接するように配置された感光体ドラム30を備えている。感光体ドラム30は本発明に係る像担持体に対応しており、感光体ドラム回転駆動部60(図3参照)によって図1における時計回りに回転される。なお、感光体ドラム回転駆動部60は本発明に係る移動手段に対応している。図2に示すように、感光体ドラム30の側面には、感光体ドラム30の周方向に沿った特定位置にマーク62が付与されており、当該マーク62を光学的に検出可能な位置には、回転方向に沿った感光体ドラム30の位置(回転位置)を検出するための回転位置検出センサ64が設けられている。回転位置検出センサ64は画像形成部コントローラ68の信号処理回路70を介してCPU72に接続されており(図3参照:詳細は後述)、信号処理回路70は回転位置検出センサ64から入力される信号に対して分周等の信号処理を行うことで、感光体ドラム30の現在の回転位置をCPU72が認識可能な回転位置信号を生成し、CPU72へ出力する。
【0034】
一方、感光体ドラム30の外周には、感光体ドラム30の外周面を所定の電位に帯電させる帯電器32が設けられており、感光体ドラム30の回転方向に沿って帯電器32よりも下流側には、帯電された感光体ドラム30の周面に光ビームを照射して静電潜像を形成する露光ヘッド34が設けられている。なお、露光ヘッド34は本発明に係る露光手段に対応している。露光ヘッド34は発光部としての多数個のLEDが一列に配列されて成り、LEDの配列方向が感光体ドラム30の軸線(感光体ドラム30の周面上に形成する静電潜像の主走査方向:第1方向)と平行になるように、感光体ドラム30と間隔を隔てて配置されている。また、LEDの光ビーム射出側にはブラケットに支持されたセルフォックレンズアレイが配置されており(何れも図示省略)、個々のLEDから射出された光ビームはセルフォックレンズアレイを透過して感光体ドラム30の周面上の互いに異なる位置に照射される。
【0035】
露光ヘッド34には、後述する画像形成部コントローラ68からY色用の出力画像データが1ラインを単位として供給され、当該出力画像データに基づき、露光ヘッド34のLEDは後述する露光周期信号(同期信号)に同期した周期で繰り返し発光されると共に、各回の露光周期で発光するLEDが前記出力画像データに応じて選択される。露光ヘッド34のLEDが1回発光する度に感光体ドラム30の周面上に1ライン分の静電潜像が露光記録され、この間に感光体ドラム30が一定方向に回転駆動されて副走査が成されることで、感光体ドラム30の周面上には、出力画像データが表す画像の静電潜像が露光記録されることになる。
【0036】
また感光体ドラム30の外周には、感光体ドラム30の回転方向に沿って露光ヘッド34よりも下流側に、感光体ドラム30の周面上の静電潜像が形成された部位にY色のトナーを供給して静電潜像を現像することで、感光体ドラム30の周面上にトナー像を形成させる現像器36、感光体ドラム30の周面上に形成されたトナー像を中間転写ベルト18のベルト面上へ転写させる転写部38及び感光体ドラム30に残されたトナーを除去するための清掃器(図示省略)が順に配置されており、画像形成部20では、感光体ドラム30の周面に形成された静電潜像がY色のトナーで現像され、感光体ドラム30の周面にY色のトナー像が形成された後に、当該Y色のトナー像が中間転写ベルト18のベルト面上へ転写される。
【0037】
また、他の画像形成部22〜26では、感光体ドラム30の周面に形成された静電潜像が互いに異なる色(M,C,K)のトナーで現像され、感光体ドラム30の周面に各色のトナー像が形成された後に、中間転写ベルト18のベルト面上に既に転写されている他の色のトナー像と互いに重なり合うように、中間転写ベルト18のベルト面上に各々転写される。これにより中間転写ベルト18のベルト面上にフルカラーのトナー像が形成される。また、CCDセンサ28は画像形成部コントローラ68の信号処理回路70を介してCPU72に接続されており、中間転写ベルト18のベルト面上のトナー像の濃度を検出して検出結果をCPU72へ出力する。なお、図2ではCCDセンサ28を中間転写ベルトの幅方向に沿って配置されたラインセンサとして示しているが、CCDセンサ28は、少なくとも中間転写ベルト18のベルト面上に転写されたトナー像の副走査方向(中間転写ベルト18の移動方向)に沿った各位置の濃度を検出可能な構成であればよく、他の構成を採用してもよい。
【0038】
一方、中間転写ベルト18配設位置の下方には、多数枚の記録媒体を積層状態で収容するトレイ40が設けられている。なおトレイ40には、トレイ40に収容されている記録媒体のサイズ及び種類を検出する記録媒体センサ42(図3参照)が配設されている。記録媒体センサ42は画像形成部コントローラ68の信号処理回路70を介してCPU72に接続されており、記録媒体のサイズ及び種類の検出結果をCPU72へ出力する。トレイ40に収容されている記録媒体は、引出しローラ44の回転に伴ってトレイ40から引出され、複数の搬送ローラ対46によって転写位置(最下方に配置された搬送ローラ16と転写ローラ48が中間転写ベルト18を挟んで対向配設された位置)へ向けて搬送される。そして、転写位置へ搬送された記録媒体は、転写ローラ48と中間転写ベルト18に挟持されることにより、中間転写ベルト18のベルト面上に形成されたフルカラーのトナー像が転写される。トナー像が転写された記録媒体は定着装置50へ搬送され、定着装置50によって定着処理が施されてトナー像が定着された後、搬送ローラ対52A,52Bによって機体外の排出トレイ54上へ排出される。
【0039】
また、トレイ40の上方には記録媒体反転搬送路56が設けられており、この記録媒体反転搬送路の途中には記録媒体反転装置(図示省略)が配設されている。両面への画像記録を行う記録媒体は、搬送ローラ対52Aと搬送ローラ52Bとの間から記録媒体反転搬送路56へ送り込まれ、記録媒体反転装置によって表裏が反転された後に転写位置へ再度搬送される。そして、転写位置で裏面にもトナー像が転写され、定着装置50によって裏面に転写されたトナー像も定着された記録媒体は排出トレイ54上へ排出される。また、記録媒体の搬送方向に沿って定着装置50の下流側には、記録媒体に転写定着された画像を検出可能な画像センサ58が配設されている。画像センサ58は画像形成部コントローラ68の信号処理回路70を介してCPU72に接続されており、記録媒体に転写定着された画像の検出結果をCPU72へ出力する。
【0040】
また図1に示すように、画像形成装置10は画像処理コントローラ66及び画像形成部コントローラ68を備えている。画像処理コントローラ66は、ネットワーク96を介してクライアント端末98とデータを送受する機能を備えていると共に、図3にも示すように原稿読取装置12と接続されている。画像処理コントローラ66は、クライアント端末98からネットワーク96経由で受信したデータや、原稿読取装置12が原稿を読み取ることで得られた原稿読取装置12から入力されたデータに対し、色空間変換、階調変換、フォーマット変換、圧縮・伸張、画像形成装置10固有の階調や濃度のキャリブレーション、二値化(スクリーン処理)等の画像処理を行い、画像処理後の画像データを画像形成部コントローラ68へ出力する。
【0041】
図3に示すように、画像形成部コントローラ68のCPU72には、フラッシュメモリやEEPROM等から成る不揮発性のメモリ74と、画像形成部20〜26に対応する4個の露光制御回路76〜82が各々接続されている。メモリ74には、画像形成装置10の製造時に各色毎の補正データ及び基準周期補正値(何れも後述)が各々記憶されると共に、メモリ74に記憶された各色毎の補正データは後述する補正データ設定処理によって定期的に更新され、基準周期補正値は後述する基準周期補正値設定処理によって定期的に更新される。また、メモリ74には上記各処理及び画像形成処理(後述)をCPU72で行うためのプログラムも予め記憶されている。
【0042】
一方、各色用の露光制御回路76〜82は互いに同一の構成であるので、Y色用の露光制御回路76を例に構成を説明すると、露光制御回路76はバッファメモリ84と補正データメモリ86を備えており、バッファメモリ84には画像処理コントローラ66によってY色用の画像データが書き込まれ、補正データメモリ86にはCPU72によってY色用の補正データが書き込まれる。補正データメモリ86のデータ出力端はセレクタ88の2個の入力端の一方に接続されており、セレクタ88の他方の入力端には「無補正」に相当するデータ"0"が常に入力される。セレクタ88の制御信号入力端には露光ヘッド34の発光周期の補正を行うか否かを意味する補正オンオフデータがCPU72から入力され、セレクタ88は、入力された補正オンオフデータが「補正オン」の場合は補正データメモリ86から入力された補正データを、「補正オフ」の場合は「無補正」に相当するデータ"0"を出力する。
【0043】
なお詳細は後述するが、補正データメモリ86に書き込まれる補正データは感光体ドラム30の回転方向に沿った各位置毎に各々設定され、個々の補正データは、補正データメモリ86のうち、個々の補正データに対応する位置を表すアドレスの記憶領域に各々記憶される。また、補正データメモリ86のアドレス端子はCPU72と接続されており、CPU72は、回転位置検出センサ64から信号処理回路70を介して入力される回転位置信号に基づき、感光体ドラム30の回転方向に沿った各位置のうち、露光制御回路76から出力画像データが供給される画像形成部20の露光ヘッド34による露光位置に対応している位置を判断し、判断した位置を表すアドレスを補正データメモリ86に入力する処理を繰り返す。これにより、補正データメモリ86に入力されるアドレスが感光体ドラム30の回転に伴って順次切り替わることになり、補正データメモリ86からは、感光体ドラム30の回転方向に沿った各位置のうち画像形成部20の露光ヘッド34からの光ビームが照射される位置に対応する補正データが出力され、該補正データも感光体ドラム30の回転に伴って順次切り替わることになる。
【0044】
セレクタ88の出力端は加算器90の2個の入力端の一方に接続されており、セレクタ88の出力端から出力されたデータは発光周期補正値として加算器90に入力される。加算器90の他方の入力端には、画像形成部20の露光ヘッド34の発光周期の基準値を表す基準周期データが入力され、加算器90は発光周期の基準値と発光周期補正値を加算したデータ(発光周期値)を出力する。加算器90の出力端は比較器92の2個の入力端の一方に接続され、加算器90から出力された発光周期値は比較器92に入力される。比較器92の他方の入力端にはカウンタ94の出力端が接続されており、カウンタ94のクロック信号入力端CKには一定周波数のクロック信号が入力され、カウンタ94のリセット端子SRは比較器92の出力端に接続されている。カウンタ94はクロック信号入力端CKを介して入力されたクロック信号のパルス数をカウントし、カウント値を比較器92へ出力する。また、比較器92は2個の入力端を介して入力された値が一致すると一致信号(パルス)を出力する。この一致信号はカウンタ94のリセット端子SRに入力され、カウンタ94が保持しているカウント値がリセットされる。
【0045】
従って比較器92からは、カウンタ94が保持しているカウント値が加算器90から入力された発光周期値に達する毎に一致信号が出力されることになる。また比較器92の出力端はバッファメモリ84に接続されており、比較器92から出力される一致信号は露光周期信号(同期信号)としてバッファメモリ84に入力される。そしてバッファメモリ84は、比較器92から露光周期信号(同期信号)としてパルスが入力される毎に、1ライン分の画像データを出力画像データとして露光ヘッド34へ出力する。これにより、露光ヘッド34のLEDは露光周期信号(同期信号)に同期した周期、すなわち加算器90から比較器92に入力される発光周期値に相当する周期で繰り返し発光されると共に、各回の露光周期で発光するLEDがバッファメモリ84から出力された出力画像データに応じて選択されることになる。
【0046】
次に本実施形態の作用を説明する。画像形成装置10の感光体ドラム30には製造誤差等に起因する回転軸の偏心や傾き等が生じていることが一般的であり、感光体ドラム30が回転駆動された際の周速は、感光体ドラム30の回転軸の偏心や傾き等により感光体ドラム30の1回転を1周期として周期的に変動する(一例を図4(A)に示す)。一方、露光ヘッド34における発光周期は通常は一定であるので、露光ヘッド34が一度発光してから次に発光する迄の間の露光位置における感光体ドラム30の周面の移動距離が感光体ドラム30が1回転する間に変動し、この変動が記録媒体に転写形成した画像中における副走査方向に沿った濃度(倍率)の変動として視認されることになる(図4(A)に示す周速変動に伴う濃度変動の一例を図4(B)に示す)。また、感光体ドラム30の回転軸の偏心や傾きの度合いは個々の感光体ドラム30毎に相違している。このため、本実施形態に係る画像形成装置10の製造時(出荷前)には、以下で説明する補正データ設定作業が行われる。
【0047】
この補正データ設定作業では、まず感光体ドラム回転駆動部60によって特定の画像形成部の感光体ドラム30を回転駆動させた状態で、前記感光体ドラム30が1回転する間の感光体ドラム30の周速の変動を周速測定装置によって測定する。なお、周速測定装置は請求項6,7に記載の周速検知手段に対応している。そして、周速測定装置によって測定した感光体ドラム30の周速の変動に基づき、露光ヘッド34が一度発光してから次に発光する迄の間(露光インターバルの間)の露光位置における感光体ドラム30の周面の移動距離を一定とするための発光周期の補正量(時間値)を、感光体ドラム30の回転方向に沿った各位置について各々求める。これにより、例として図4(C)に示すように、感光体ドラム30の回転方向に沿った各位置における発光周期の補正量が得られる。なお、上記作業によって得られた補正量は、発光周期の補正に伴って画像の副走査方向長さが変化することを防止するため、平均値が0となるように(図4(C)において、基準周期に対する補正量の符号が正の領域と補正量の符号が負の領域の面積が等しくなるように)、必要に応じて値が調整される。
【0048】
そして、上記処理によって得られた補正量をカウンタ94のクロック信号入力端CKに入力されるクロック信号の周期で除すことで、感光体ドラム30の回転方向に沿った各位置における補正データを各々導出し、導出した個々の補正データを、感光体ドラム30の回転方向に沿った各位置のうち対応する位置を識別するための位置情報と対応付けてメモリ74に記憶させる。上記の補正データ設定作業は、個々の画像形成部20〜26の感光体ドラム30について各々行われ、これにより、例として図3にも示すように、メモリ74には、感光体ドラム30の周速変動に起因する画像中の副走査方向に沿った濃度(倍率)の変動を補正するための補正データが、Y,M,C,K各色について各々記憶される。
【0049】
また、画像形成装置10において片面への画像の形成(転写定着)が完了した記録媒体は、定着装置50による定着処理時に加熱され、含有していた水分が蒸発することにより、定着処理前の記録媒体と比較してサイズが若干小さくなる。なお、記録材料の種類によっては定着処理を経ることでサイズが若干大きくなるものもある。そして、記録媒体の両面に画像を形成する場合、記録媒体の第1面(最初に画像が形成される面:以下表面と称する)に転写された画像が、記録媒体が画像形成装置10から排出される迄の間に定着処理を2回経る一方で、記録媒体の第2面(第1面の裏面:以下単に裏面と称する)に転写された画像は、1回の定着処理を経て記録媒体が画像形成装置10から排出されるので、画像形成装置10から排出された記録媒体の表面に形成されている画像と裏面に形成されている画像のサイズが相違する。
【0050】
このため本実施形態では、画像形成装置10によって特定種の記録媒体の両面に同一の画像を形成し、特定種の記録媒体の表面及び裏面に形成された画像の副走査方向長さ(副走査方向に沿った画像の全体倍率)を各々測定し、測定した副走査方向長さの差に基づき、特定種の記録媒体の表面及び裏面に形成された画像の副走査方向長さが等しくなるように、特定種の記録媒体の表面及び裏面について露光ヘッド34の基準周期に対する補正量を各々設定する基準周期補正量設定作業が、各種の記録媒体について予め各々行われる。そして上記作業によって各種の記録媒体の表面/裏面毎に設定された基準周期補正量は、例として図3にも示すように、出荷前の画像形成装置10のメモリ74に記憶される。
【0051】
なお、露光ヘッド34の基準周期に対する補正量の設定は、例えば記録媒体の表面に形成された画像の副走査方向長さを基準として、同記録媒体の裏面に形成された画像の副走査方向長さが上記基準に等しくなるように設定することができる。この場合、記録媒体の表面に画像を形成する際の基準周期補正量は「0(無補正)」となり、記録媒体の裏面に画像を形成する際の基準周期補正量は、記録媒体の裏面に画像を形成する際の基準周期が、裏面に形成された画像の副走査方向長さに対する表面に形成された画像の副走査方向長さの比率に応じて変化するように設定することができる。具体的には、例として図5(A)に示すように、記録媒体の表面に形成した画像の副走査方向長さがL1、裏面に形成した画像の副走査方向長さがL2で、偏差(L2−L1)がΔLであった場合、記録媒体の裏面に画像を形成する際の基準周期補正量は、補正後の基準周期が補正前の基準周期に対してL1/L2倍となるように設定することができる。これにより、図5(B)に示すように、記録媒体の裏面に形成される画像の副走査方向長さを、記録媒体の表面に形成される画像の副走査方向長さと一致させることができる。
【0052】
また、例えば記録媒体の裏面に形成された画像の副走査方向長さを基準として、同記録媒体の表面に形成された画像の副走査方向長さが上記基準に等しくなるように基準周期補正量を設定してもよい。この場合、記録媒体の裏面に画像を形成する際の基準周期補正量は「0(無補正)」となり、記録媒体の表面に画像を形成する際の基準周期補正量は、記録媒体の表面に画像を形成する際の基準周期が、表面に形成された画像の副走査方向全長に対する裏面に形成された画像の副走査方向長さの比率に応じて変化するように設定することができる。具体的には、例えば前述した図5(A)に示す例において、記録媒体の表面に画像を形成する際の基準周期補正量は、補正後の基準周期が補正前の基準周期に対してL2/L1倍となるように設定することができる。これにより、図5(C)に示すように、記録媒体の表面に形成される画像の副走査方向長さを、記録媒体の裏面に形成される画像の副走査方向長さと一致させることができる。
【0053】
更に、例えば記録媒体の表裏面に形成された画像の本来の副走査方向長さ(絶対倍率)を基準値(請求項12に記載の基準値に相当)とし、記録媒体の表面及び裏面に形成された画像の副走査方向長さが上記基準値に各々等しくなるように、記録媒体の表面及び裏面に画像を形成する際の基準周期補正量を各々設定してもよい。記録媒体の表面に画像を形成する際の基準周期補正量は、記録媒体の表面に画像を形成する際の基準周期が、表面に形成された画像の副走査方向全長に対する上記基準値の比率に応じて変化するように設定することができ、記録媒体の裏面に画像を形成する際の基準周期補正量についても、記録媒体の裏面に画像を形成する際の基準周期が、裏面に形成された画像の副走査方向全長に対する上記基準値の比率に応じて変化するように設定することができる。具体的には、例えば前述した図5(A)に示す例において、上記基準値をLrefとすると、記録媒体の表面に画像を形成する際の基準周期補正量は、補正後の基準周期が補正前の基準周期に対してLref/L1倍となるように設定することができ、記録媒体の裏面に画像を形成する際の基準周期補正量は、補正後の基準周期が補正前の基準周期に対してLref/L2倍となるように設定することができる。これにより、図5(D)に示すように、記録媒体の表面及び裏面に形成される画像の副走査方向長さを基準値Lrefと各々一致させることができる。
【0054】
次に、画像形成装置10で記録媒体への画像の形成を行う際に、画像形成部コントローラ68のCPU72で実行される画像形成処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。この画像形成処理では、画像形成部20〜26における画像形成に先立ち、まずステップ120で各色用の補正データをメモリ74から読み出し、読み出したY色用の補正データを露光制御回路76の補正データメモリ86に、読み出したM色用の補正データを露光制御回路78の補正データメモリ86に、読み出したC色用の補正データを露光制御回路80の補正データメモリ86に、読み出したK色用の補正データを露光制御回路82の補正データメモリ86に各々書き込む。なお、露光制御回路76〜82の補正データメモリ86に書き込まれる補正データは、感光体ドラム30の回転方向に沿った各位置毎の補正データの集まりであり、前記各位置毎の補正データは、補正データメモリ86のうち、対応する位置を表すアドレスの記憶領域に各々書き込まれる。
【0055】
また、ステップ122ではトレイ40に収容されている記録媒体、すなわち画像を転写形成する記録媒体の記録媒体種を記録媒体センサ42から取得する。そしてステップ124では、ステップ122で取得した記録媒体種に対応する表面用の基準周期補正値をメモリ74から取り込み、予め固定的に設定されている基準周期値をメモリ74から取り込んだ表面用の基準周期補正値で補正した後に、補正後の基準周期値を基準周期データとして露光制御回路76〜82へ各々出力する。この基準周期データは個々の露光制御回路76〜82の加算器90に各々入力される。上記のように、露光制御回路76〜82の補正データメモリ86への補正データの書き込み、露光制御回路76〜82への基準周期データの出力を完了すると、露光制御回路76〜82及び画像形成部20〜26に対して画像形成を指示した後にステップ126へ移行する。
【0056】
ステップ126では印刷(記録媒体への画像の転写形成)が完了したか否か判定する。判定が否定された場合はステップ128へ移行し、記録媒体の両面への画像形成が指示されているか否か判定する。記録媒体の片面への画像形成が指示されている場合には、判定が否定されてステップ126へ戻り、ステップ126の判定が肯定される迄ステップ126,128を繰り返す。また、記録媒体の両面への画像形成が指示されている場合はステップ130へ移行し、記録媒体の片面(表面)への画像形成が終了したか否か判定する。判定が否定された場合は判定が肯定される迄ステップ130を繰り返す。
【0057】
一方、CPU72は、ステップ126以降の処理と並行して、回転位置検出センサ64から信号処理回路70を介して入力される回転位置信号に基づき、感光体ドラム30の回転方向に沿った各位置のうち、露光ヘッド34による露光位置に対応している位置を判断し、判断した位置を表すアドレスを補正データメモリ86に入力する処理を繰り返すことを、露光制御回路76〜82(画像形成部20〜26)に対して各々行う。これにより、個々の露光制御回路76〜82の補正データメモリ86からは、感光体ドラム30の回転方向に沿った各位置のうち画像形成部20の露光ヘッド34からの光ビームが照射される位置に対応する補正データが出力されると共に、該補正データが感光体ドラム30の回転に伴って順次切り替わる。
【0058】
また、CPU72は露光制御回路76〜82に対し、補正オンオフデータとして「補正オン」を意味するデータを各々出力する。これにより、露光制御回路76〜82では、補正データメモリ86から出力される補正データが、セレクタ88を介して加算器90に入力された後にCPU72から入力された基準周期データと加算され、加算結果が発光周期値として比較器92に入力され、露光ヘッド34のLEDは当該発光周期値に相当する周期で繰り返し発光される。また、補正データメモリ86から出力される補正データは感光体ドラム30の回転に伴って順次(画像形成中に)切り替わるので、露光ヘッド34のLEDの発光周期も、感光体ドラム30が1回転する間に図4(C)に示すように変化する。
【0059】
より詳しくは、露光ヘッド34から射出された光ビームが、感光体ドラム30の回転方向に沿った各位置のうち周速が設計値に一致する位置に照射されるときの発光周期(図7(A)参照)に対し、露光ヘッド34から射出された光ビームが、感光体ドラム30の回転方向に沿った各位置のうち周速が増大する位置(この位置に露光記録された部分は低濃度・高倍率の部分として視認される)に照射されるときの発光周期は、図7(B)に示すように短くされ、露光ヘッド34から射出された光ビームが、感光体ドラム30の回転方向に沿った各位置のうち周速が低下する位置(この位置に露光記録された部分は高濃度・低倍率の部分として視認される)に照射されるときの発光周期は、図7(C)に示すように長くされる。
【0060】
これにより、感光体ドラム30の周速の周期的な変動に拘わらず、露光ヘッド34のLEDが繰り返し発光されることで感光体ドラム30の周面上に形成される多数本の主走査ラインの副走査方向に沿った間隔が一定となり、製造誤差等に起因する回転軸の偏心や傾き等が感光体ドラム30に生じている場合にも、感光体ドラム30の周速の周期的な変動が、記録媒体に転写形成された画像中に副走査方向に沿った濃度や倍率の周期的な変動として現れる(視認される)ことを防止することができる。なお、補正データメモリ86から出力される補正データによって規定される補正量は、前述のように平均値が0となるように必要に応じて値が調整されているので、画像の副走査方向長さは上記の補正データに基づいて発光周期を補正しても変化せず、CPU72から入力される基準周期データのみに応じて変化する。
【0061】
また、記録媒体の片面(表面のみ)への画像形成が指示されている場合には、指示された枚数の記録媒体の片面への画像形成を完了すると、ステップ126の判定が肯定されて画像形成処理を終了するが、記録媒体の両面(表面及び裏面)への画像形成が指示されている場合には、記録媒体の裏面への画像形成を行うタイミングが到来すると、ステップ130の判定が肯定されてステップ132へ移行し、ステップ122で取得した記録媒体種に対応する裏面用の基準周期補正値をメモリ74から取り込み、予め固定的に設定されている基準周期値をメモリ74から取り込んだ裏面用の基準周期補正値で補正した後に、補正後の基準周期値を基準周期データとして露光制御回路76〜82へ各々出力する。
【0062】
これにより、記録媒体の裏面へ転写形成するための画像を形成する際の露光ヘッド34のLEDの発光周期が、記録媒体の表面へ転写形成するための画像を形成する際の露光ヘッド34のLEDの発光周期と比較して、表面用の基準周期補正値に対する裏面用の基準周期補正値の差分だけ増加又は減少されることになり、図5(B)又は(C)又は(D)に示すように、記録媒体の裏面に転写形成した画像の副走査方向長さが、同一の記録媒体の表面に転写形成した画像の副走査方向長さと一致されることになる。なお、図6に示す画像形成処理では、ステップ132の処理を行うとステップ134へ移行し、印刷(記録媒体への画像の転写形成)が完了したか否か判定する。判定が否定された場合はステップ136へ移行し、記録媒体の裏面への画像形成が終了したか否か判定する。記録媒体の裏面への画像形成後に新たな記録媒体への画像形成を行う必要があれば、ステップ136の判定が肯定されてステップ124へ戻り、ステップ124以降の処理を繰り返す。また、指示された枚数の記録媒体の両面への画像形成を完了すると、ステップ134の判定が肯定されて画像形成処理を終了する。
【0063】
ところで、感光体ドラム30の回転軸の偏心や傾き等に起因する画像中の副走査方向に沿った濃度や倍率の周期的な変動は、上記のように画像形成装置10の製造時に画像形成部コントローラ68のメモリ74に書き込まれた補正データ及び基準周期補正値を用いて露光ヘッド34のLEDの発光周期を補正し、図8(A)に示すように、感光体ドラム30の周面上に形成される多数本の主走査ラインの副走査方向に沿った間隔を一定にすることで解消することができる。しかし、画像形成装置10の使用を継続すると、例えば感光体ドラム30の表面の膜厚の経時変化や、現像器36における現像処理性能の経時変化、転写部38における転写効率の経時変化等の各種の経時変化が生じる。そして、この各種の経時変化により、感光体ドラム30の周面上に形成される多数本の主走査ラインの副走査方向に沿った間隔が一定であったとしても、図8(B)に示すように、画像中の副走査方向に沿った濃度等の周期的な変動が生ずるという問題がある。
【0064】
このため、本実施形態に係る画像形成装置10では、画像形成部コントローラ68のCPU72により、図9に示す補正データ設定処理が定期的に実行される。なお、補正データ設定処理の実行タイミングは、当該処理を前回実行してからの画像形成装置10の稼働時間の積算値が所定値に達する毎であってもよいし、当該処理の実行が操作パネル14を介して指示される毎であってもよい。
【0065】
この補正データ設定処理では、まずステップ140において、メモリ74に予め記憶されている濃度/倍率変動測定用パターン画像を形成するためのデータを読み出す。なお、本実施形態では、濃度/倍率変動測定用パターン画像として、図2にも示すように、副走査方向に沿った長さが感光体ドラム30の周長以上で領域内の濃度が一定の長尺状のパターン画像を用いている。次のステップ142では、Y,M,C,K各色のうち以降の処理を未実行の色の中から測定対象色を選択した後に、選択した測定対象色に対応する露光制御回路に対し、ステップ140で読み出した濃度/倍率変動測定用パターン画像のデータをバッファメモリ84に書き込み、補正オンオフデータとして「補正オフ」を意味するデータを、発光周期値として発光周期の基準値を各々出力した後に、濃度/倍率変動測定用パターン画像の形成を指示する。これにより、測定対象色に対応する露光制御回路及び画像形成部によって感光体ドラム30の周面上に濃度/倍率変動測定用パターン画像のトナー像が形成され、形成されたトナー像が中間転写ベルト18に転写される。
【0066】
中間転写ベルト18のうち、濃度/倍率変動測定用パターン画像(のトナー像)が転写された部分がCCDセンサ28の配設位置に到達すると、次のステップ144において、中間転写ベルト18上の濃度/倍率変動測定用パターン画像をCCDセンサ28によって順次読み取る。またCPU72では、測定対象色に対応する露光制御回路に対して濃度/倍率変動測定用パターン画像の形成を指示した後に、濃度/倍率変動測定用パターン画像が形成される感光体ドラム30の回転量を、前記感光体ドラム30の回転位置を検出する回転位置検出センサ64から信号処理回路70を経由して入力される回転位置信号をモニタする(パルス数をカウントする等)ことで検知しており、次のステップ146では、CCDセンサ28によって濃度/倍率変動測定用パターン画像の読み取りが開始されたタイミング、及び、濃度/倍率変動測定用パターン画像の形成を指示してから濃度/倍率変動測定用パターン画像の読み取りが開始される迄の間の感光体ドラム30の回転量に基づいて、CCDセンサ28によって読み取られた濃度/倍率変動測定用パターン画像の副走査方向に沿った各部分が、感光体ドラム30の回転方向に沿った何れの位置で形成されたかを判定する。
【0067】
ここで、濃度/倍率変動測定用パターン画像の形成に際して露光ヘッド34のLEDの発光周期の補正を行っていないので、濃度/倍率変動測定用パターン画像の副走査方向に沿った各部の濃度及び倍率は、感光体ドラム30の回転軸の偏心や傾き等に起因する感光体ドラム30の周速の周期的な変動を原因として変動しており、更に画像形成装置10の各種の経時変化に起因する変動分も加わっている。このため、次のステップ148では、CCDセンサによる濃度/倍率変動測定用パターン画像の読取結果に基づいて、濃度/倍率変動測定用パターン画像の副走査方向に沿った各部分の濃度変動を演算し、演算した濃度変動に基づき、濃度/倍率変動測定用パターン画像の副走査方向に沿った各部分の濃度を一定とするための発光周期の補正量(時間値)を、感光体ドラム30の回転方向に沿った各位置について各々設定する。
【0068】
具体的には、例えば図10に示すように、濃度/倍率変動測定用パターン画像のうち濃度が平均濃度よりも高い高濃度部分については、感光体ドラム30の回転方向に沿った各位置のうち前記高濃度部分が形成された位置に対し、平均濃度からの偏差が大きくなるに従って発光周期が長くなるように発光周期の補正量を設定し、濃度/倍率変動測定用パターン画像のうち濃度が平均濃度よりも低い低濃度部分については、感光体ドラム30の回転方向に沿った各位置のうち前記低濃度部分が形成された位置に対し、平均濃度からの偏差が大きくなるに従って発光周期が短くなるように発光周期の補正量を設定する。また、感光体ドラム30の回転方向に沿った各位置に対する発光周期の補正量の設定が一旦完了した後に、発光周期の補正に伴って画像の副走査方向長さが変化することを防止するため、補正量の平均値が0となるように必要に応じて補正量の大きさを調整する。
【0069】
そしてステップ150では、ステップ148で感光体ドラム30の回転方向に沿った各位置について各々設定した発光周期の補正量から、感光体ドラム30の回転方向に沿った各位置における補正データを各々導出し、導出した補正データを、メモリ74に既に記憶されている測定対象色の補正データに上書きして記憶させる。次のステップ152では、ステップ142以降の処理をY,M,C,K各色に対して各々行ったか否か判定する。判定が否定された場合はステップ142に戻り、ステップ152の判定が肯定される迄ステップ142〜ステップ152を繰り返す。そして、ステップ152の判定が肯定されると補正データ設定処理を終了する。
【0070】
これにより、感光体ドラム30の周速変動及び画像形成装置10の各種の経時変化に起因する画像中の副走査方向に沿った濃度(倍率)の変動を補正するための新たな補正データが、Y,M,C,K各色についてメモリ74に各々記憶されることになる。そして、画像形成時に上記の新たな補正データを用いて露光ヘッド34のLEDの発光周期が補正されることで、感光体ドラム30の周速変動に加えて、画像形成装置10の各種の経時変化に起因する画像中の副走査方向に沿った濃度(倍率)の変動も補正されることになる。
【0071】
また、画像形成装置10の各種の経時変化は、記録媒体の表面及び裏面に転写形成される画像の副走査方向長さの変化として現れる場合もある。このため、本実施形態に係る画像形成装置10では、画像形成部コントローラ68のCPU72により、図11に示す基準周期補正値設定処理が定期的に実行される。なお、基準周期補正値設定処理の実行タイミングは、トレイ40に収容されている特定記録媒体種の記録媒体に対して当該処理を前回実行してからの画像形成装置10の稼働時間の積算値が所定値に達する毎であってもよいし、当該処理の実行が操作パネル14を介して指示される毎であってもよい。
【0072】
この基準周期補正値設定処理では、まずステップ140において、メモリ74に予め記憶されている表裏倍率変動測定用パターンを形成するためのデータを読み出す。なお、表裏倍率変動測定用パターン画像としては前述の画像濃度/倍率変動測定用パターン画像を用いることができるが、専用のパターン画像を別途用意してもよい。次のステップ162では、特定の露光制御回路に対し、ステップ160で読み出した表裏倍率変動測定用パターン画像のデータをバッファメモリ84に書き込み、補正オンオフデータとして「補正オフ」(「補正オン」でもよい)を意味するデータを、発光周期値として発光周期の基準値を各々出力した後に、記録媒体の表面への表裏倍率変動測定用パターン画像の形成を指示する。これにより、特定の露光制御回路及び対応する画像形成部によって感光体ドラム30の周面上に表裏倍率変動測定用パターン画像のトナー像が形成され、形成されたトナー像が中間転写ベルト18に転写された後に特定記録媒体種の記録媒体の表面に転写され、定着装置50によって定着される。そしてステップ164では、記録媒体の表面に転写定着された表裏倍率変動測定用パターン画像の副走査方向長さを画像センサ58によって検出する。
【0073】
また、ステップ166では、特定の露光制御回路に対し、ステップ160で読み出した表裏倍率変動測定用パターン画像のデータをバッファメモリ84に書き込み、補正オンオフデータとして「補正オフ」(「補正オン」でもよい)を意味するデータを、発光周期値として発光周期の基準値を各々出力した後に、記録媒体の裏面への表裏倍率変動測定用パターン画像の形成を指示する。これにより、特定の露光制御回路及び対応する画像形成部によって感光体ドラム30の周面上に表裏倍率変動測定用パターン画像のトナー像が再度形成され、再度形成されたトナー像が中間転写ベルト18に転写された後に特定記録媒体種の記録媒体の裏面に転写され、定着装置50によって定着される。そしてステップ168では、記録媒体の裏面に転写定着された表裏倍率変動測定用パターン画像の副走査方向長さを画像センサ58によって検出する。
【0074】
ステップ170では、記録媒体の表面に転写定着された表裏倍率変動測定用パターン画像の副走査方向長さと、記録媒体の裏面に転写定着された表裏倍率変動測定用パターン画像の副走査方向長さの比率に基づいて、表面用及び裏面用の基準周期補正値を各々設定する。この基準周期補正値の設定は、先に説明した基準周期補正量設定作業と同様に、記録媒体の表面に転写定着された画像の副走査方向長さを基準とする場合には、表面用の基準周期補正量を「0(無補正)」、裏面用の基準周期補正量を、補正後の基準周期が補正前の基準周期に対してL1/L2倍となるように設定し(図5(B)参照)、記録媒体の裏面に転写定着された画像の副走査方向長さを基準とする場合には、裏面用の基準周期補正量を「0(無補正)」、表面用の基準周期補正量を、補正後の基準周期が補正前の基準周期に対してL2/L1倍となるように設定することができる(図5(C)参照)。また、画像本来の副走査方向長さ(絶対倍率)を基準とする場合には、表面用の基準周期補正量を補正後の基準周期が補正前の基準周期に対してLref/L1倍となるように設定し、裏面用の基準周期補正量を、補正後の基準周期が補正前の基準周期に対してLref/L2倍となるように設定することができる(図5(D)参照)。
【0075】
そしてステップ172では、ステップ170で設定した表面用及び裏面用の基準周期補正値を、記録媒体種及び表裏種別と対応付けてメモリ74に記憶させ、基準周期補正値設定処理を終了する。これにより、画像形成装置10の各種の経時変化に起因する、記録媒体の表面及び裏面に転写形成される画像の副走査方向長さの変動を補正するための新たな基準周期補正値がメモリ74に記憶されることになる。そして、記録媒体の両面への画像形成時に上記の新たな基準周期補正値を用いて露光ヘッド34のLEDの発光周期が補正されることで、画像形成装置10の各種の経時変化が記録媒体の表面及び裏面に転写形成される画像の副走査方向長さの変化として現れた場合にも、記録媒体の表面及び裏面に転写形成される画像の副走査方向長さが一致するように記録媒体の表面及び裏面に転写形成される画像の副走査方向長さを補正することができる。
【0076】
なお、副走査方向に沿った画像の濃度(倍率)の変動を検知するための濃度/倍率変動測定用パターン画像の読み取りをCCDセンサ28によって行うと共に、記録媒体の表面及び裏面に転写形成される画像の副走査方向長さの相違を検知するための表裏倍率変動測定用パターン画像の副走査方向長さの検出を画像センサ58によって行う態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、原稿読取装置12や画像形成装置10と別体のスキャナによって上記各パターン画像の読み取りを行うようにしてもよい。なお、濃度/倍率変動測定用パターン画像を読み取る場合には、当該パターン画像を読み取ることで濃度を検知した当該パターン画像の副走査方向に沿った各部分が、感光体ドラム30の回転方向に沿った何れの位置で形成されたかを判定する必要があるが、例として図12に示すように、前記パターン画像の各部分の感光体ドラム30上での形成位置を識別するためのマーク100(請求項11に記載のマークに相当)を前記パターン画像に付加しておけば、原稿読取装置12や画像形成装置10と別体のスキャナによって前記パターン画像を読み取る場合であってもマーク100に基づいて前記判定を行うことができる。
【0077】
また、図9に示す補正データ設定処理では、濃度/倍率変動測定用パターン画像の形成時に「補正オフ」を意味する補正オンオフデータを露光制御回路へ出力することで、感光体ドラム30の回転軸の偏心や傾き等に起因する感光体ドラム30の周速の周期的な変動、及び、画像形成装置10の各種の経時変化を原因として副走査方向に沿った各部の濃度及び倍率が変動している濃度/倍率変動測定用パターン画像を形成させ、この濃度/倍率変動測定用パターン画像から求めた新たな補正データでそれ迄の補正データを上書きしているが、これに限定されるものではなく、濃度/倍率変動測定用パターン画像の形成時に「補正オン」を意味する補正オンオフデータを露光制御回路へ出力することで、前回の補正データ設定時からの画像形成装置10の各種の経時変化のみを原因として副走査方向に沿った各部の濃度及び倍率が変動している濃度/倍率変動測定用パターン画像を形成させ、当該濃度/倍率変動測定用パターン画像から求めた補正データ(前回の補正データ設定時からの画像形成装置10の各種の経時変化による濃度等の変動を補正する補正データ)をそれ迄の補正データに重畳することで、新たな補正データを得るようにしてもよい。
【0078】
また、上記では記録媒体に形成する画像の内容に拘わらず同一の補正データを用いる態様を説明したが、これに限定されるものではなく、スクリーン処理が施された画像において主走査ラインの副走査方向に沿った間隔が変化した場合の視覚的な濃度変化の大きさが、画像に適用されたスクリーンの種別(スクリーンの角度やスクリーンの種類(線状かドット状か等))によって相違することを考慮し、特に倍率の変動よりも濃度の変動を高精度に補正することを重視している等の場合に、スクリーンの種別毎(或いは、各種のスクリーンを視覚的な濃度変化の大きさに応じて複数のグループに分けたときのスクリーン種別の各グループ毎)に補正データを設定しておき、画像データの二値化時に適用されたスクリーンの種別を画像処理コントローラ66から取得し、取得したスクリーンの種別に応じて補正データを切り替えるようにしてもよい。
【0079】
スクリーン種別毎(又はスクリーン種別の各グループ毎)の補正データは、以下のようにして設定することができる。例えば補正データ設定作業において、感光体ドラム30の周速の変動から発光周期の補正量(補正データ)を求める場合には、感光体ドラム30の周速の変動量と視覚的な濃度変化を抑制できる発光周期の補正量との関係を、スクリーン種別毎(又はスクリーン種別の各グループ毎)に補正係数として求めておき、周速測定装置によって測定した感光体ドラム30の周速の変動に基づき、上記の補正係数を乗ずることで、例として図13に示すように、発光周期の補正量が互いに異なるスクリーン種別毎(又はスクリーン種別の各グループ毎)の補正データを得ることができる。
【0080】
また、濃度/倍率変動測定用パターン画像を形成し、これを読み取って発光周期の補正量(補正データ)を求める場合には、上記と同様にスクリーン種別毎(又はスクリーン種別の各グループ毎)の補正係数(例えば濃度/倍率変動測定用パターン画像上での濃度変動と対応するスクリーン種別の画像における視覚的な濃度変動との関係を表す補正係数)を求めておき、この補正係数を用いてスクリーン種別毎(又はスクリーン種別の各グループ毎)の補正データを得るようにしてもよいし、濃度/倍率変動測定用パターン画像として、例として図14に示すように、互いに異なるスクリーン種別のスクリーンを用いてスクリーン処理が行われた複数の領域(図14では、この複数の領域を「スクリーン種A」〜「スクリーン種C」と表記して示している)を含む画像を用い、各領域毎に副走査方向に沿った各部分の濃度変動を演算して補正データを求めることで、スクリーン種別毎(又はスクリーン種別の各グループ毎)の補正データを得ることも可能である。
【0081】
また、画像中の文字部分に対しては、例えば600線や300線等のように比較的線数が高いスクリーンが用いられ、イメージ部分に対しては、例えば175線程度の低線数のスクリーンが用いられることが多く、互いに異なるスクリーン種別のスクリーンを用いてスクリーン処理が行われた画像領域が単一の画像内に混在していることも多い。これを考慮すると、例えば個々の露光制御回路に補正データメモリ86を各々複数設けておくと共に、複数設けた補正データメモリ86とセレクタ88の間に補正データ選択用の新たなセレクタを設けておき、CPU72は、それぞれの露光制御回路に設けられた複数の補正データメモリ86に、互いに異なるスクリーン種別(又はスクリーン種別のグループ)に対応する補正データを各々書き込み、補正データ選択用のセレクタは、複数の補正データメモリ86から各々入力される補正データの中から、画像処理コントローラ66から逐次入力される画像データのスクリーン種別に対応する補正データを選択的にセレクタ88へ出力するように構成することが好ましい。
【0082】
これにより、例えば線状のスクリーンが適用された画像領域を露光する際には発光周期に対する補正量が比較的小さくされる一方、ドット状のスクリーンが適用された画像領域を露光する際には発光周期に対する補正量が比較的大きくされる等のように、互いに異なるスクリーン種別のスクリーンを用いてスクリーン処理が行われた画像領域が単一の画像内に混在している場合にも、個々の画像領域におけるスクリーン種別に適した補正量で発光周期が補正されることになり、各画像領域における視覚的な濃度変動が各々補正されるように、発光周期に対する補正量を適宜切り替えることが可能となる。なお、上記の態様は請求項8記載の発明に対応している。
【0083】
更に、上記ではY,M,C,K各色に対応する露光制御回路76〜82に対し、基準周期補正値として同一の補正値を出力する態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、記録媒体の表面及び裏面に転写形成される画像の副走査方向長さを一致させるための基準周期補正値をY,M,C,K各色毎に求め(これは図11の基準周期補正値設定処理のステップ162〜ステップ172を各色毎に行うことで実現できる)、露光制御回路76〜82に対して対応する基準周期補正値を出力するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】回転位置センサ及び濃度センサの配置を示す斜視図である。
【図3】画像形成部コントローラの概略構成を示すブロック図である。
【図4】(A)は感光体ドラムの周速変動、(B)は画像の濃度変動、(C)は発光周期に対する補正量の一例を各々示す線図である。
【図5】記録媒体の表裏面の倍率変動を補正するための発光周期補正値の設定を説明するためのイメージ図である。
【図6】画像形成処理の内容を示すフローチャートである。
【図7】通常部分、低濃度・高倍率部分及び高濃度・低倍率部分における露光同期信号を各々示すタイミングチャートである。
【図8】(A)は濃度・倍率の変動が無い場合、(B)は濃度・倍率の変動が有る場合、(C)は(B)の画像に対して発光周期補正を行った場合の画像(主走査ラインの間隔)の一例を各々示すイメージ図である。
【図9】補正データ設定処理の内容を示すフローチャートである。
【図10】濃度(倍率)変動測定用パターン画像における濃度変動の一例を示すイメージ図及び線図である。
【図11】基準周期補正値設定処理の内容を示すイメージ図である。
【図12】濃度(倍率)変動測定用パターン画像の他の例を示すイメージ図である。
【図13】スクリーン種別毎(又はスクリーン種別のグループ毎)の補正データの一例を示す線図である。
【図14】スクリーン種別毎(又はスクリーン種別のグループ毎)の補正データを得るための濃度(倍率)変動測定用パターン画像を示すイメージ図である。
【符号の説明】
【0085】
10 画像形成装置
12 原稿読取装置
18 中間転写ベルト
20 画像形成部
22 画像形成部
24 画像形成部
26 画像形成部
28 CCDセンサ
30 感光体ドラム
34 露光ヘッド
42 記録媒体センサ
50 定着装置
58 画像センサ
60 感光体ドラム回転駆動部
64 回転位置検出センサ
68 画像形成部コントローラ
72 CPU
74 メモリ
76 露光制御回路
78 露光制御回路
80 露光制御回路
82 露光制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って配列された複数の発光部を備えた露光手段と、
前記露光手段と像担持体を前記第1方向と交差する第2方向へ相対移動させる移動手段と、
前記像担持体上に形成すべき画像を表す画像データに応じて前記露光手段の前記複数の発光部を周期的に発光させて前記像担持体上に前記画像を形成させると共に、前記像担持体上に形成される画像内の前記第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動が補正されるように、前記画像の形成中に前記複数の発光部の発光周期を変更する発光制御手段と、
を含む画像形成装置。
【請求項2】
前記像担持体は、前記移動手段によって回転され外周面に画像が形成される回転体であり、前記像担持体の回転方向に沿った前記像担持体の位置を検出する位置検出手段を更に備え、前記発光制御手段は、前記位置検出手段によって検出された前記像担持体の現在の位置に応じた補正量で補正した発光周期で前記複数の発光部を発光させることを繰り返すことで、前記像担持体上に形成される画像内の前記第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動を補正することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記像担持体上に形成される画像内の前記第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動を予め測定した結果に基づいて、前記像担持体の回転方向に沿った前記像担持体の各位置毎に設定された、前記濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動を補正するための前記複数の発光部の発光周期に対する補正量を各々記憶する記憶手段を更に備え、
前記発光制御手段は、前記位置検出手段によって検出された前記像担持体の現在の位置に対応する補正量を前記記憶手段から読み出すことで、前記像担持体の現在の位置に応じた補正量を取得することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記発光制御手段は、前記露光手段による前記像担持体上の露光箇所が、前記像担持体上に形成される画像内の前記第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方における前記濃度がより高い箇所になるか又は前記倍率がより低い箇所になるに従って前記複数の発光部の発光周期が長くなるように、前記画像の形成中に前記複数の発光部の発光周期を変更することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記発光制御手段は、前記像担持体上に形成される画像内の前記第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動が補正され、かつ前記像担持体上に1頁分の画像を形成させるために前記複数の発光部を周期的に発光させている間の前記複数の発光部の平均発光周期が前記濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動の補正に伴って変化しないように、前記複数の発光部の発光周期の変更を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記像担持体は、前記移動手段によって回転され外周面に画像が形成される回転体であり、
前記発光制御手段は、前記像担持体の周速の変動に伴って生ずる前記画像内の前記第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動が補正されるように、周速検知手段によって前記像担持体の周速の周期的な変動が検知された結果に基づいて、前記画像の形成中に前記複数の発光部の発光周期を変更することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記像担持体の回転方向に沿った前記像担持体の位置を検出する位置検出手段を更に備え、前記発光制御手段は、前記周速検知手段によって前記像担持体が1回転する間の前記像担持体の周速の変動が検知された結果に基づいて、前記像担持体の回転方向に沿った前記像担持体の各位置毎に設定された前記濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動を補正するための前記複数の発光部の発光周期に対する補正量のうち、前記位置検出手段によって検出された前記像担持体の現在の位置に対応する補正量で補正した発光周期で前記複数の発光部を発光させることを繰り返すことで、前記像担持体上に形成される画像内の前記第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動を補正することを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記複数の発光部の発光に用いる前記画像データはスクリーン処理を経た画像データであり、前記補正量は複数種のスクリーンについて各々設定され、前記発光制御手段は、前記画像データに対して適用されたスクリーンの種別に対応する補正量を用いて前記複数の発光部の発光周期を補正することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記像担持体上に形成される画像内の前記第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動は、前記像担持体上に形成された所定のパターン画像が読取手段によって読み取られるか、前記像担持体上に形成された画像が一次転写される中間転写体上に転写された前記所定のパターン画像が読取手段によって読み取られるか、前記像担持体上又は前記中間転写体上から記録媒体上に転写形成された前記所定のパターン画像が前記画像形成装置の内部で読取手段によって読み取られるか、前記画像形成装置から排出された前記記録媒体上に転写形成されている前記所定のパターン画像がスキャナによって読み取られることで測定されることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記所定のパターン画像の形成は、自動的かつ定期的に実行されるか、指示手段を介して前記所定のパターン画像の形成が指示される毎に実行されることを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記像担持体は、前記移動手段によって回転され外周面に画像が形成される回転体であり、
前記所定のパターン画像には前記所定のパターン画像の各箇所の前記像担持体上での形成位置を識別するためのマークが付加されており、
前記読取手段又は前記スキャナによって前記所定のパターン画像が読み取られることで測定された、前記所定のパターン画像内の前記第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動と、前記読取手段又は前記スキャナによって前記マークが読み取られることで識別された、前記所定のパターン画像の各箇所の前記像担持体上での形成位置に基づいて、前記像担持体上に形成される画像内の前記第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動を補正するための前記複数の発光部の発光周期に対する補正量を、前記像担持体の回転方向に沿った前記像担持体の各位置毎に設定する設定手段を更に備えたことを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記像担持体上に順次形成された画像を同一の記録媒体の表面及び裏面に順次転写形成させる転写形成手段を更に備え、
前記発光制御手段は、予め測定された、前記転写手段によって記録媒体の表面に転写形成された表面画像と前記記録媒体の裏面に転写形成された裏面画像の前記第2方向に沿った全体倍率の差、又は、前記表面画像及び前記裏面画像の前記第2方向に沿った長さの基準値に対する差に基づき、前記全体倍率の差又は前記基準値に対する第2方向に沿った長さの差が補正されるように、前記像担持体上に形成される画像が転写形成される面が記録媒体の表面か記録媒体の裏面かに応じて、前記複数の発光部の平均発光周期を切り替えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記表面画像と前記裏面画像の前記第2方向に沿った全体倍率の差、又は、前記表面画像及び前記裏面画像の前記第2方向に沿った長さの基準値に対する差は、前記転写手段によって記録媒体の表面及び裏面に各々転写形成された前記所定のパターン画像が、前記画像形成装置の内部で読取手段によって各々読み取られるか、前記画像形成装置から排出された記録媒体の表面及び裏面に各々転写形成されている前記所定のパターン画像がスキャナによって各々読み取られることで測定されることを特徴とする請求項12記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記記録媒体の表面及び裏面に形成された前記所定のパターン画像が前記読取手段又は前記スキャナによって読み取られることで測定された、前記表面画像と前記裏面画像の前記第2方向に沿った全体倍率の差、又は、前記表面画像及び前記裏面画像の前記第2方向に沿った長さの基準値に対する差に基づき、前記全体倍率の差又は前記基準値に対する第2方向に沿った長さの差が補正されるように、前記像担持体上に形成される画像が記録媒体の表面に転写形成される場合及び前記記録媒体の裏面に転写形成される場合の前記複数の発光部の平均発光周期を各々演算する演算手段を更に備えたことを特徴とする請求項13記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記像担持体上に形成される画像が記録媒体の表面に転写形成される場合及び前記記録媒体の裏面に転写形成される場合の前記複数の発光部の平均発光周期を、複数種の記録媒体について各々記憶する記憶手段を更に備え、
前記発光制御手段は、前記像担持体上に形成される画像が転写形成される記録媒体の種類に対応する平均発光周期を前記記憶手段から読み出し、前記複数の発光部の平均発光周期の切り替えを行うことを特徴とする請求項12記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図9】
image rotate

【図11】
image rotate

【図13】
image rotate

【図2】
image rotate

【図8】
image rotate

【図10】
image rotate

【図12】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2007−144731(P2007−144731A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−340650(P2005−340650)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】