説明

画像転送システムにおける撮影画像の表示方法ならびに装置

【課題】 携帯情報端末の送信側のカメラで画像を撮影し、受信側に伝送して表示させるとき、画像が暗かったり明るすぎたりあるいはコントラストが少ないと、受信側での表示内容が分かりづらく見苦しくなることを解消する。
【解決手段】 送信側で画品質を自動的に評価し、評価結果に応じて画像を縮小し、同時に他の品質の良い画像を画像蓄積部から読み出して一緒に受信側に送り、2つの画像を例えばマルチウインドウで表示する。ここで、マルチウインドウ画面として、送信側で撮影された動画像を画品質の程度に応じて縮小して表示する。また、残った領域にユーザの上半身像あるいはテキスト文などを合わせて表示する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に、動画像撮影装置を持つ携帯情報端末に用いて好適な画像転送システムにおける撮影画像の表示方法ならびに装置に関する。
【0002】
【従来の技術】携帯型のテレビ電話(以下、携帯情報端末と称する)は、テレビカメラで撮影したユーザの顔写真等画像データを圧縮符号化し、無線を介して相手端末に送ることにより、相手端末で画像デー夕を復号化し、内蔵するディスプレイに表示させている。一方、送信相手の顔写真も相手端末で撮影し、符号化した画像データをユーザに送り、ユーザ側の端末で復号化してディスプレイに表示させることにより、相互に表示部に表示された相手の顔を見ながら会話を行う。
【0003】ところで、上述した携帯情報端末は戸外の様々な環境で使用されるため、屋内の安定した照明下で撮影する場合と異なり、撮影した動画像は暗くなったり、白っぽくなったり、あるいは逆光のためにコントラストが付かない画像になったりする。また、ビルの陰などで使用すると電波が障害物で遮られ、動画像を伝送する際に、伝送エラーを起こし、相手側の表示画像にノイズが乗って見ずらい状態になることが多々ある。
【0004】具体的に、図2に示すように、品質の悪い、例えば、暗く撮れたユーザの上半身像120をそのまま相手側に送り、相手端末に表示させると、相手が画像を見て不快に感じる。そこで、品質の悪い画像の代わりに、図3に示すような詫び文言を送り相手端末で表示させている。また、図4に示すように、あらかじめユーザの携帯端末に格納してある自身の上半身像である静止画像122を読み出し相手端末に送ることにより、品質の悪い画像の代用とすることも行われている。更に、図5に示すように、静止画像122と詫びの文言両方を送ることもある。また、図6に示すように、画面にノイズ123が重畳して、ユーザの上半身像が見難くなってしまうこともある。このような場合でも、図7に示すように、相手側に詫びの文言を送ったり、図8に示すようにユーザの上半身像を送ったり、詫びの文言とユーザの上半身像を組み合わせて送り、ノイズが多い図6に示す画像の代替えとしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来、相手側は静止画像あるいはテキスト文が表示された画像を見ることにより、品質の悪い暗い画像、あるいはノイズが重畳した画像を見ることによる不快な思いを回避できる。しかし、相手側は静止画像あるいはテキスト文などを見ていてはユーザがこのような画像を送らざるを得ない事情を完全に推測することが困難であり、逆に、いつまでこのような状態が続くのか心配になる可能性がある。
【0006】本発明は上記事情に基づいてなされたものであり、ユーザ側において撮影された動画像を評価し、画品質が低いと判定された場合、上記品質の悪い画像を画品質に応じて縮小し、画像蓄積部に格納された、例えば、ユーザの上半身像等別の動画像を読み出し、上述した縮小された動画像と合成して相手側の端末に送り、相手側の端末では送られてきた動画像を復号化して各画像をマルチウィンドウ表示することにより、ユーサがおかれた環境条件の理解を得ると共に、受け手の不快感を解消した画像転送システムにおける撮影画像の表示方法ならびに装置を提供することを目的とする。また、ユーザ側において撮影された動画像を評価し、画品質が低いと判定された場合、上記品質の悪い画像を画品質に応じて縮小し、画像蓄積部に格納された、例えば、ユーザの上半身像等別の静止画像を読み出してそれぞれ相手側の端末に送り、相手側の端末では送られてきた品質の悪い縮小動画像と静止画像をそれぞれ復号化し、合成してマルチウィンドウ表示することにより、上記と同様の効果を得る画像転送システムにおける撮影画像の表示方法ならびに装置を提供することも目的とする。
【0007】更に、ノイズが多い環境下で動画像を伝送した場合、受信側でノイズの大きさを測定して送信側に報告し、送信側ではノイズの大きさに合わせ、撮影した動画像の大きさを変えて他の静止画像あるいはテキスト文と共に相手先に送り、これを受信した相手先では縮小されたノイズの多い動画像と静止画像あるいはテキスト文をマルチウインドウ表示することにより、ユーザがおかれた環境条件の理解を得ると共に、受け手の不快感を解消した画像転送システムにおける撮影画像の表示方法ならびに装置を提供することも目的とする。また、ユーザの目視確認による評価に従い、動画像の縮小の程度を設定することにより上記と同様の効果を得る画像転送システムにおける撮影画像の表示方法ならびに装置を提供することも目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の画像転送システムにおける撮影画像の表示方法は、撮影装置と表示装置から成る画像転送システムにおいて、撮影装置により撮影された画像もしくは通信網を介して得られる画像の品質を評価し、その評価内容に従いシステムに取り込まれた画像を任意に縮小し、あらかじめ用意される上記撮影画像と関連した高品質の画像と共に表示装置に表示することを特徴とする。画像の品質の評価は、動画像データを一定の周期でサンプリングして静止画像として取り込み、輝度信号を抽出して画素単位で明るさに対する頻度分布を計算し、この頻度分布中に任意の判定枠を設定し、この判定枠と頻度分布との関係により画像の品質を評価することを特徴とする。
【0009】本発明の画像転送システムにおける撮影画像の表示装置は、撮影装置により撮影された画像の品質を評価する画質評価部と、あらかじめ用意される上記撮影画像と関連する画像が蓄積される画像蓄積部と、画像蓄積部から読み出される画像と上記画像評価部による評価結果に従って縮小された画像を合成して表示する表示部とを具備することを特徴とする。また、撮影装置により撮影された動画像もしくは通信網経由で送受信される動画像の品質を評価する画質評価部と、画質評価部による評価内容に従って動画像を適当に縮小し、あらかじめ蓄積された上記撮影画像と関連した高品質の画像と共に通信網を介して転送する送信部と、通信網を介して得られる縮小動画像と高品質画像を受信する受信部と、受信部により得られる画像を合成して表示する表示部とを具備することを特徴とする。通信網経由で送受信される画像の品質を評価する画質評価部は、撮影動画像の誤り訂正符号化もしくは復号化を行う誤り訂正符号化、復号化部から動画像データの誤りの程度を得ることにより評価する。表示部は、縮小画像を撮影画像の品質に応じて大きさを変えて表示し、画像蓄積部から得られる静止画像と、更に必要に応じテキスト文を配置して表示する。
【0010】このことにより、動画像は画品質が悪い程画面を小さく表示し、この縮小画面と前もって撮影されたユーザの上半身像等あるいはテキスト文が関連付られて表示されるため、受信側は奇異な感じを持つことなく、ユーザが現在置かれている環境を理解できる。
【0011】
【発明の実施の形態】図1(a)は本発明が採用される画像転送システムの一実施形態の構成を示すブロック図である。図に示す画像転送システムは、機能的に送信部100と受信部112に区分される。ユーザの上半身像は、制御部108の制御のもとで、撮影装置であるカメラ101によって撮影され、動画像データ102として動画像符号化部105に供給され、ここで圧縮符号化される。圧縮符号化された動画像データは、通信インタフェースユニット110を通り、公衆回線等の通信網111を介して受信部112の通信インタフェースユニット113に送られる。通信インタフェースユニット113で受信された動画像データは、制御部115のコントロールに従い、動画像復号化部116で伸長復号化され、表示部119に表示される。
【0012】一方、カメラ101によって撮影された動画像データ102から輝度信号103が抽出されて画質評価部104に印加される。画質評価部104は、後述するように、入力された輝度信号103から動画像が暗過ぎるか、明る過ぎるか、あるいは、コントラストが明瞭でない等画品質についての評価値、即ち、判定結果134を出力する。そして、その判定結果134は制御部108に送られ、制御部108は、その判定結果134に応じて符号化された動画像データをそのまま受信部112に送るか、あるいは縮小するかを判断する。動画像の画品質が低いと判定された場合(例えば、図2参照)、動画像圧縮データは判定結果の大きさに応じて動画像縮小部106で縮小される(図10の動画像125参照)。次に、動画像蓄積部109から指定された動画像データが読み出される。この動画像データはユーザの上半身像を動画像データとして撮影して圧縮符号化したものである(図10の動画像データ122参照)。上記動画像データは短い時間についての動画像データで構わない。即ち、元々、上半身像は動きが少ないので、短い時間の動画像データを繰り返して画像蓄積部109から読み出して受信部112に送ることで、長い動画像データの代替えとすることができる。画像合成部118では動画像蓄積部109から読み出した動画像データと動画像縮小部106から出力される動画像データを合成して、図10に示すような動画像データを生成する。即ち、縮小した動画像デー夕125と予め画像蓄積部109に蓄積されている動画像を合成している。ここで、品質の悪い動画像125は隅に小さく表示し、画面の空いている領域には、前もって撮影されたユーザの動画像を大きく配置している。合成した動画像は受信部112に送られて、動画像復号化部116で復号されて、表示装置119で表示される。
【0013】受信部112は、受け手が図10に示す画面上で動画像125を見ることでユーザの置かれている環境を理解し、画面が小さいため画品質が悪い場合でも、不快な感じを抱かせない。また、空いている領域にはユーザの普段の映像を見ることができるため、あたかも表示された画像と話をしているような仮想的な効果が期待できる。そして、図11に示すようにテキスト文126も一緒に画面に表示させ、テキスト文で受信画面の状態を述ベると、ユーザの置かれている環境が受信部112を介して受け手に尚一層理解が得られる。テキスト文126は動画像122と一緒に動画像蓄積部109に蓄積しておき、読み出す時に対にして読み出してもよい。
【0014】また、図12に示すように、カメラ101で撮影された動画像データ102が画質評価部104において図11での動画像デ−タ125より品質が良いと判定された場合、動画像縮小部106で元の動画像より小さく、動画像125より大きくなるように縮小する。そして、上記と同様に画像蓄積部109から動画像122を読み出した動画像と前記縮小した動画像を画像合成部118で合成した動画像を受信部112に送り、動画像復号化部116で復号して表示装置119で表示させる。即ち、動画像127は動画像125より画品質が良いため動画像125より大きく表示する。画品質が良好なほど大きく表示することにより、受信部112では送信部100から送られてきた動画像の内容を可能な範囲で判断できる利点がある。そして、図11と同様に、画面にテキスト文126も一緒に表示してもよい。
【0015】以下、画像評価部104の詳細について説明する。カメラ101で撮影した動画像102の画品質を自動的に評価するために本発明は輝度を基準としていることは上述したとおりである。具体的には、まず、動画像データ102を一定周期で静止画としてサンプルして取り入れ、輝度信号103を抽出して、画質評価部104に印加する。画質評価部104は、画素単位で明るさに対する頻度分布を計算する。図18は前記頻度分布の計算結果をグラフ表示した例である。横軸は画素の明るさのレベルを示している。左に進行するに従って画素が暗くなる。すなわちシャドウ領域である。レベルが0の場合、完全に黒くなる。右に進むにつれ画素が明るい部分を示している。即ち、ハイライト部分である。レベル255の場合、完全に白くなる。そして中間部分が中間調になる。そして縦軸は横軸の各レベルに対する頻度を示している。
【0016】図18は、シャドウ部分、中間調及びハイライト部分の画素がまんべんなく分布している良好な画像である。図19はシャドウ部分、中間調部分の画素が少なく、ハイライト部分の画素が極端に多いため、画面全体が白っぽい画像である。一方、図20はハイライト部分と中間調の画素が少なく、シャドウ部分の画素が極端に多いため、画面全体が暗い状態になる。また、図21はシャドウ部分とハイライト部分の画素が全くなく、中間調部分の画素で占められた画像であり、全体でコントラストが少ない平板な画像になる。
【0017】図22は画質評価部104内部の機能構成を示した構成図である。画質評価部104は、機能的には、ヒストグラム計算部135、平滑部136、判定部137から成る。ヒストグラム計算部135は、輝度信号103から、各画素の明るさについて分類して頻度を積算する。ここでヒストグラム130−1を計算すると、画像によってあるレベルで画素数がなかったり、反対に極端に多くなったりすることがある。即ち、ヒストグラム130−1が、図23に示すようにピーク、あるいは鋭い谷が生じることがある。そこで、平滑部136でそのピーク及び谷間を平滑する。
【0018】判定部137では、平滑化したヒストグラム130−1に対して図24に示すように判定枠131を横軸に接して配置してみる。ヒストグラム130−1が判定枠131を内包していればこのヒストグラム130−1はシャドウ部分、中間調及びハイライト部分までの画素が分布していることを示している。例えば、図25に示すように、ヒストグラム130−1がシャドウ部分に片寄っている場合、判定枠131はヒストグラム130からはみ出してしまう。また、図26に示すように、判定枠131の横軸についてシャドウ部及びハイライト部分をカットして短くすると、コントラストの少ない画像のヒストグラム130−1もこの判定枠131に内包することになる。即ち、判定枠の大きさを色々変えることにより画品質を評価できることになる。
【0019】判定部137では上記判定枠131を種々揃えて、それら判定枠131を変えて評価して画像を等級分けして、判定結果134を出力する。例えば、図10の動画像125の品質は下級、図12の動画像127の品質は中級などと評価する。尚、本発明実施形態では評価枠131を矩形としているが、用途によって画像のヒストグラム130−1は色々変わるので、実際の応用により実験で評価枠の形状を決めた方がよい。
【0020】尚、ここでは、画質評価部104で自動的に画質を評価し、評価結果に応じて動画像縮小部106で動画像を縮小し、動画像蓄積部109から動画像を読み出して画像合成部118で合成した後、受信側112に伝送する例を示した。これに対し、カメラ101で撮影された動画像を、別途用意される表示モニタ(図示せず)に表示し、人間による目視確認による評価の後受信側に送り、撮影された動画像をどの程度縮小して良いか、決めることもできる。即ち、表示モニタに表示された映像を人間が見て、品質が悪いと判断した場合、別途用意される、例えば、キーボード等(図示せず)のマニュアル入力手段を操作することにより、画像縮小部106に対して制御部108を介して縮小画面のサイズを設定指示する。動画像縮小部106により生成される縮小画像は、動画像蓄積部109から読み出される関連した動画像と共に画像合成部118で合成され、送信側100にも別途用意される動画像復号化部(図示せず)で復号され表示モニタ上に表示される。ここでキーボード等を操作することによって動画像縮小部106に対して縮小の程度と動画像蓄積部109から読み出される動画像の種類を設定できる。ここで目視確認された内容は、通信インタフェースユニット110、通信網111、受信側112における通信ユニット113を介し、動画像復号化部116にて復号化され表示装置119に表示される。
【0021】尚、受信側112で表示装置119による表示内容を確認しながら、受信側に別途用意されるキーボードを操作することで、送信側110での動画像縮小部106による縮小の程度及び、動画像蓄積部109から読み出される動画像の種類を選択しても良い。
【0022】次に、図1(b)を使用して本発明の他の実施形態について説明する。図1(a)に示す第一の実施形態では、送信側100で画像蓄積部109から読み出された動画像と、動画像縮小部106の出力を、画像合成部118で動画像として合成して、受信部112に伝送していた。ここで示す実施形態では、カメラ101により撮影される動画像と関連する高品質の静止画像をあらかじめ静止画像蓄積部109に蓄積しておき、撮影される動画像とは個別に受信側112に送信し、受信側112でそれら各画像を復号化し、かつ合成して表示するものである。
【0023】即ち、図1(b)に示すように、画質評価部104での判定結果134により、カメラ101により撮影された動画像は画品質が低いと判定された場合、まず、動画像符号化部105で符号化される動画像データは、動画像縮小部106で縮小され、誤り訂正符号化部107で誤り符号が付加される。次に、静止画像蓄積部109からユーザの上半身像を撮影した静止画像が読み出される。そして、静止画像蓄積部109から読み出された静止画像と動画像縮小部106から出力された動画像データを通信インタフェースユニット110と通信網111を介して受信側112に送る。受信側112では、画像データを通信インタフェースユニット113を介して受信し、縮小された動画像は、誤り訂正複号化部114で誤り訂正し、動画像復号化部116で元の動画像を復号化して画像合成部118の一方の入力端子に印加する。一方、通信インタフェースユニット113を介して受信された静止画像は、静止画像復号化部117で復号化され、画像合成部118の他方の入力端子に印加される。画像合成部118では、図10〜図13のように品質の低い動画像125あるいは127を動画像の品質に応じ、大きさを変えて配置する。そして、静止画像122と、必要に応じてテキスト文126を配置して、前記各画像をマルチウインドウで表示する。
【0024】以上説明のように、図1(a)に示す第一の実施形態では、送信側100で縮小した動画像125と画像蓄積部109から読み出した動画像122を合成してーつの動画像として受信側112に継続して送っていた。これに対し、図1(b)に示す第二の実施形態では、縮小した動画像は元の大きさも動画像より画像データが少なく、画像蓄積部109から読み出した静止画像も一回だけ受信部112に送ればよく、従って、全体として動画像の伝送量が少なくすることができるという利点がある。
【0025】一方、ここでも第一の実施形態同様、別途送信側100に用意される表示モニタにより目視確認ならびにキーボードによるマニュアル操作による動画像縮小の程度設定も可能である。即ち、表示モニタに表示された映像を人間が見て、品質が悪いと判断した場合、別途用意される、例えば、キーボード等のマニュアル入力手段を操作することにより、画像縮小部106に対して制御部108を介して縮小画面のサイズを設定指示する。動画像縮小部106により生成される縮小画像は、送信側100にも別途用意される動画像復号化部で復号され表示モニタ上に表示される。一方、静止画像蓄積部109から読み出された静止画像は、同じく送信側100に別途用意される静止画像復号化部にて復号化され、更に上記縮小動画像と合成され表示モニタ上に表示される。ここで目視確認しながらキーボードを操作することによって動画像縮小部106に対する最適な縮小の程度の指示と、静止画像蓄積部109に蓄積された適切な静止画像の種類の特定が可能となる。
【0026】尚、受信側112で表示装置119による表示内容を確認しながら、受信側に別途用意されるキーボードを操作することで、送信側110での動画像縮小部106による縮小の程度及び、動画像蓄積部109から読み出される動画像の種類を選択しても良い。
【0027】次に、本発明の更に他の実施形態につき、図1(b)を参照しながら説明する。上述した第一の実施形態と第二の実施形態は、いずれもカメラ101により撮影された動画像の明るさ、暗さ及びコントラスト等を、画質評価部104で評価し、画品質に応じて、受信部112で配置する品質の低い動画像の面積を変えている。ここでは、図6に示すような雑音が重畳した画像を受信部112の表示装置119で表示する場合について、見易い表示になるように工夫している。即ち、図1(b)において、最初カメラ101から入力される動画像データ102は動画像符号化部105で圧縮符号化され、誤り訂正符号化部107で誤り訂正符号が付加される。そして、その動画像データは受信部112に送られ、動画像データに誤りがある場合、誤り訂正復号化部114で誤り訂正され、動画像復号化部116で復号化される。最初、この復号化された動画像データは画像合成部118を通して表示部119に表示される。
【0028】ここで、受信部112で動画像データを誤り訂正復号化部115で誤り訂正する際に、動画像データの誤りの程度を評価して評価値を制御部115に出力する。誤り訂正復号化部114で完全に訂正できない場合、誤った動画像データが一部動画像復号化部116に送られ、復号の際に誤って復号され、表示装置119の表示画面に雑音が重畳することになる。上述した評価値はこれら誤り訂正が完全にできない場合に、どの程度誤り訂正ができなかったを定量化して示した値である。そして、誤り訂正復号化部114での評価値を送信側100に通信網111を介して送り返す。評価値は制御部108に読み込まれて、評価値の大きさにより動画像符号化部105からの出力される動画像データを動画像縮小部106にて指定された大きさに縮小する。
【0029】一方、画像蓄積部109から読み出された静止画は、縮小された動画像データと共に受信部112に送られる。受信部112では動画像データは誤り訂正復号化部114を通って誤りがあった場合、誤り訂正され動画像復号化部116で復号化され画像合成部118に印加される(図14の動画像128参照)。一方、受信部112で受信された静止画は静止画像復号化部117で復号化され画像合成部118に印加される(図14の静止画像122参照)。そして、画像合成部118において入力される動画像と静止画像を合成して表示装置119に表示する。また、図15に示すように画像蓄積部109からテキスト文129を静止画像122と一緒に送り、表示装置119に表示してもよい。また、誤り訂正復号化部114で評価された評価値から受信部112に送られた動画像データに雑音がそれほど多く重畳されていないと評価された場合、図16に示すように表示装置119に表示する動画像130を動画像128より大きめにして表示する。更に、図17に示すようにテキスト文129と一緒に表示してもよい。
【0030】また、表示装置119に表示された縮小動画像と静止画像による、例えば、マルチウインドウ表示を確認しながら別途用意されるキーボードによるマニュアル操作により、送信側100の動画像縮小部106に対する縮小の程度、及び静止画像蓄積部109から読み出される静止画像の選択も可能であることはいうまでもない。
【0031】更に、ここでは、受信部112で受信した動画像データを誤り訂正復号化部114で伝送品質を評価しているが、受信部112から周期的に測定信号を送信部100に送り、その測定信号を送信部100で受信して、伝送回線の品質を測定して評価してもかまわない。そして、この品質結果から動画像縮小部106での縮小の程度を設定し、縮小した動画像を受信部112に送っても構わない。また、送信側100で受信側112から送られてきた伝送品質を送信側100に別途用意される表示モニタに数値で表示し、その数値を人間が評価してキーボードを操作することにより、動画縮小部106に対し縮小の程度、及び静止画像蓄積部109から読み出される画像の種類を設定することになる。
【0032】尚、上述した各実施形態では、いずれも表示装置119に表示される安定した画像122及びテキスト文129は、送信側100の画像蓄積装置109から得ていた。これは、縮小した動画像128のみ受信部112に送り、受信部112で画像122及びテキスト文129を用意して、動画像128と一緒にマルチウインドウ表示させても良い。また、別途送信側100に用意される表示モニタに表示されるカメラ101で撮影した静止画102を人間が見て評価し、キーボードを操作することで縮小画像の大きさを変えても良い。あるいは受信側の表示装置119に表示されるマルチウインドウ画面を目視することにより人間が評価し、受信側112でキーボードを操作することで送信側100を制御して縮小画像の大きさを変えても良い。
【0033】更に、各実施形態共に、受信部112に表示する縮小した画像125は動画像に限定したが静止画像であっても構わない。即ち、カメラ101がデジタルカメラのように静止画を撮影して、撮影毎に画品質を評価して受信部112で画品質に応じて、画品質が低い場合、縮小して他の画像と一緒に表示してもかまわない。また受信側112にある表示装置119の表示画像を確認しながらキーボードを操作することで画像を縮小しても構わない。
【0034】更に、各実施形態共に、動画像縮小部106は送信部100にあり、画像データを送信部100で縮小してから、受信部112に送っているが、送信部100から直接動画像データを受信部112に送り、受信部112で画像の品質を評価してから画像を縮小しても構わない。また、送信側100に別途付加される表示モニタに表示される画像を見ながらキーボードを操作して画像を縮小しても構わない。
【0035】また、各実施形態共に、送信部100のカメラ101で撮影した動画像の画品質を評価し、その評価結果に応じて受信部112に縮小した動画像を送っているが、動画像の画品質を評価して評価結果に応じて動画像を縮小し、画像蓄積部109から読み出した画像と一緒に表示モニタに表示させても構わない。表示モニタに表示されるカメラ101で撮影された映像を直接人間の目で確認し、評価してからキーボードを操作することで動画像縮小部106による縮小の程度を設定し、かつ、静止画像蓄積部109から読み込む静止画像の種類を選択しても良い。即ち、本発明は、一個の画像撮影装置と表示部で構成される閉じたシステムにおいても同様にして適用できるものである。
【0036】
【発明の効果】以上説明のように本発明は、撮影装置と表示装置から成る画像転送システムにおいて、撮影装置により撮影された画像もしくは通信網を介して得られる画像の品質を評価し、その評価内容に従いシステムに取り込まれた画像を任意に縮小し、あらかじめ用意される上記撮影画像と関連した高品質の画像と共に表示装置に表示することを特徴とするものであり、このことにより、カメラで撮影した動画像の明るさ、暗さ及びコントラスト、あるいは動画像に重畳している雑音の大きさなどを計測することにより画品質を自動的に評価することができる。従って、受信側では、評価値の大きさに応じて表示面積を変えた動画像と、別な安定した画像をマルチウインドウで表示することにより、ユーザに不快感を抱かせることなく、送信側の撮影環境を簡単に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の二例を示すブロック図。
【図2】従来例における、暗い表示画面の例を示す図。
【図3】従来例における、画品質の悪い画面の代わりにテキスト文を表示した画面の例を示す図。
【図4】従来例における、画品質の悪い画面の代わりに別な画像を表示した画面の例を示す図。
【図5】従来例における、画品質の悪い画面の代わりに別な画像とテキスト文を表示した画面の例を示す図。
【図6】従来例における、雑音が重畳した画面の例を示す図。
【図7】従来例における、雑音が重畳した画面の代わりにテキスト文を表示した画面の例を示す図。
【図8】従来例における、雑音が重畳した画面の代わりに別な画像を表示した画面の例を示す図。
【図9】従来例における、雑音が重畳した画面の代わりに別な画像とテキスト文を表示した画面の例を示す図。
【図10】本発明実施形態における、縮小した画品質の悪い動画像と別な画像をマルチウインドウで表示した画面の例を示す図。
【図11】本発明実施形態における、縮小した画品質の悪い動画像、別な画像及びテキスト文をマルチウインドウで表示した画面の例を示す図。
【図12】本発明実施形態における、縮小した画品質の悪い動画像と別な画像をマルチウインドウで表示した画面の例を示す図。
【図13】本発明実施形態における、縮小した画品質の悪い動画像、別な画像及びテキスト文をマルチウインドウで表示した画面の例を示す図。
【図14】本発明実施形態における、縮小して雑音の重畳した動画像と別な画像をマルチウインドウで表示した画面の例を示す図。
【図15】本発明実施形態における、縮小して雑音の重畳した動画像、別な画像及びテキスト文をマルチウインドウで表示した画面の例を示す図。
【図16】本発明実施形態における、縮小して雑音の重畳した動画像と別な画像をマルチウインドウで表示した画面の例を示す図。
【図17】本発明実施形態における、縮小して雑音の重畳した動画像、別な画像及びテキスト文をマルチウインドウで表示した画面の例を示す図。
【図18】本発明実施形態の動作を説明するために引用した図であり、画像の明るさのヒストグラムを示した図。
【図19】本発明実施形態の動作を説明するために引用した図であり、明るい画像のヒストグラムを示す図。
【図20】本発明実施形態の動作を説明するために引用した図であり、暗い画像のヒストグラムを示す図。
【図21】本発明実施形態の動作を説明するために引用した図であり、比較的コントラストのない画像のヒストグラムを示す図。
【図22】図1に示す画質評価部の内部構成を示すブロック図。
【図23】本発明実施形態における、画像の明るさのヒストグラムを示す図。
【図24】本発明実施形態における、画像のヒストグラムと評価枠を示した図。
【図25】本発明実施形態における、暗い画面のヒストグラムと評価枠を示した図である。
【図26】本発明実施形態における、コントラストのない画像と評価枠を示した図。
【符号の説明】
100…送信部、101…カメラ、102…動画像データ、103…輝度信号、104…画質評価部、105…動画像符号化部、106…動画像縮小部、107…誤り訂正符号化部、108…制御部、109…画像蓄積部(動画/静止画)、110、113…通信インタフェースユニット、111…通信網、112…受信部、114…誤り訂正復号化部、115…制御部、116…動画像復号化部、117…静止画像復号化部、118…画像合成部、119…表示装置、120…ユーザ上半身像、121、124、126、129…テキスト文、122…静止画像、123…雑音、125、127…動画像、128、130…動画像、130−1135…ヒストグラム、131…評価枠、134…判定結果、136…平滑部、137…判定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 撮影装置と表示装置から成る画像転送システムにおいて、撮影装置により撮影された画像の品質を評価し、その評価内容に従いシステムに取り込まれた画像を縮小し、あらかじめ用意される上記撮影画像と関連した高品質の画像と共に表示装置に表示することを特徴とする画像転送システムにおける撮影画像の表示方法。
【請求項2】 動画像データを一定の周期でサンプリングして静止画像として取り込み、その静止画像の輝度信号を抽出して画素単位で明るさに対する頻度分布を計算し、かつ、この頻度分布中に所定の判定枠を設定し、この判定枠が頻度分布に包含する状態から画像の品質を評価することを特徴とする請求項1記載の画像転送システムにおける撮影画像の表示方法。
【請求項3】 判定枠の大きさもしくは形状を任意に設定することにより画像の品質を評価することを特徴とする請求項2記載の画像転送システムにおける撮影画像の表示方法。
【請求項4】 撮影装置と表示装置から成る画像転送システムにおいて、撮影装置により撮影された動画像を符号化し、画像品質に従ってその動画像の縮小の程度を変え、あらかじめ用意された上記撮影画像と関連した高品質の動画像を合成して送信し、合成された動画像を受信側で復号化して表示することを特徴とする画像転送システムにおける撮影画像の表示方法。
【請求項5】 撮影装置と表示装置から成る画像転送システムにおいて、撮影装置により撮影された動画像を符号化し、画像品質に従ってその動画像の縮小の程度を変え、あらかじめ用意された上記撮影画像と関連した高品質の静止画像をそれぞれ送信し、受信側でその各画像を復号化し合成して表示することを特徴とする画像転送システムにおける撮影画像の表示方法。
【請求項6】 撮影装置により撮影された動画像を表示モニタにより黙視確認を行い、マニュアル入力操作によってその動画像の縮小の程度をシテスムに指示し、あらかじめ用意された上記撮影画像と関連した高品質の動画像を共に表示することを特徴とする請求項4記載の画像転送システムにおける撮影画像の表示方法。
【請求項7】 撮影装置により撮影された動画像を表示モニタにより黙視確認を行い、マニュアル操作によってその動画像の縮小の程度を指示し、あらかじめ用意された上記撮影画像と関連した高品質の静止画像を共に表示することを特徴とする請求項5記載の画像転送システムにおける撮影画像の表示方法。
【請求項8】 撮影装置と表示装置から成る画像転送システムにおいて、撮影装置により撮影された画像の伝送品質を評価し、その評価内容に従いシステムに取り込まれた画像を縮小し、あらかじめ用意される上記撮影画像と関連した高品質の画像と共に表示装置に表示することを特徴とする画像転送システムにおける撮影画像の表示方法。
【請求項9】 撮影画像を受信する側で伝送された画像の品質を評価し、その評価内容に従い取り込まれた画像を縮小し、あらかじめ用意された上記撮影画像と関連した高品質の画像と共に表示装置に表示することを特徴とする請求項8記載の画像転送システムにおける撮影画像の表示方法。
【請求項10】 撮影画像を送信する側で伝送される撮影画像の品質の程度を定期的に受信し、この程度に従い縮小した撮影画像を受信する側に送信することを特徴とする請求項9記載の画像転送システムにおける撮影画像の表示方法。
【請求項11】 撮影装置により撮影された画像の品質を評価する画質評価部と、あらかじめ用意される上記撮影画像と関連する画像が蓄積される画像蓄積部と、画像蓄積部から読み出される画像と上記画像評価部による評価結果に従って縮小された画像を合成して表示する表示部とを具備することを特徴とする画像転送システム。
【請求項12】 上記画質評価部は、動画像データを一定の周期でサンプリングして静止画像として取り込み、輝度信号を抽出して画素単位で明るさに対する頻度分布を計算するヒストグラム評価部と、上記頻度分布中に所定の判定枠を設定し、この判定枠が頻度分布に包含する状態から画像の品質を評価する判定部から成ることを特徴とする請求項11記載の画像転送システム。
【請求項13】 上記表示部は、縮小画像を撮影画像の品質に応じて大きさを変えて表示し、画像蓄積部から得られる画像と、更に必要に応じテキスト文を配置して表示することを特徴とする請求項11記載の画像転送システム。
【請求項14】 撮影装置により撮影された動画像を符号化する動画像符号化部と、上記動画像の品質を評価する画質評価部と、画質評価部による評価内容に従って符号化された動画像を適当に縮小し、あらかじめ蓄積された上記撮影画像と関連した高品質の動画像を合成して転送する送信部と、上記合成された動画像を受信する受信部と、受信部により得られる合成動画像を復号して表示する表示部とを具備することを特徴とする画像転送システム。
【請求項15】 撮影装置により撮影された動画像を符号化する動画像符号化部と、上記動画像の品質を評価する画質評価部と、画質評価部による評価内容に従ってその動画像を適当に縮小し、あらかじめ蓄積された上記撮影画像と関連した静止画像を共に転送する送信部と、上記縮小動画像ならびにその縮小画像と関連する静止画像を受信する受信部と、受信部により得られる動画像ならびにその縮小画像と関連する静止画像をそれぞれ復号化し、合成して表示する表示部とを具備することを特徴とする画像転送システム。
【請求項16】 符号化された動画像に誤り訂正符号を付加して送信する誤り訂正符号化部と、受信された動画像に誤りがあった場合に誤り訂正を行うと共に、その誤りの程度を評価し、通信網を介して送信側に伝える誤り訂正復号化部と、誤り訂正復号化部での評価内容に従って上記動画像符号化部から出力される動画像を適当に縮小する画像縮小部とを具備することを特徴とする請求項15記載の画像転送システム。
【請求項17】 撮影装置により撮影された動画像を表示する表示モニタと、表示モニタに表示される動画像を目視することによって得られる画像品質に従い、その動画像の縮小の程度をシステムに指示する入力部とを更に具備することを特徴とする請求項14もしくは15記載の画像転送システム。
【請求項18】 上記入力部は、表示モニタに表示された動画像を目視確認することにより得られる画像品質に従い、更に、あらかじめ蓄積された上記動画像と関連する画像の種類を指示するものであることを特徴とする請求項17記載の画像転送システム。

【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図1】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【図9】
image rotate


【図10】
image rotate


【図11】
image rotate


【図12】
image rotate


【図13】
image rotate


【図14】
image rotate


【図15】
image rotate


【図16】
image rotate


【図17】
image rotate


【図18】
image rotate


【図19】
image rotate


【図20】
image rotate


【図21】
image rotate


【図22】
image rotate


【図23】
image rotate


【図24】
image rotate


【図25】
image rotate


【図26】
image rotate


【公開番号】特開2000−324459(P2000−324459A)
【公開日】平成12年11月24日(2000.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−131176
【出願日】平成11年5月12日(1999.5.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】