説明

監視カメラ装置

【課題】車両に搭載されたカメラを有効利用することで経済的かつ効率的な監視機能を構築できる監視カメラ装置を提供する。
【解決手段】車両が搭載している運転支援カメラシステムで使用する複数のカメラを共有する構成にして、これら複数のカメラ21、22……23が撮像する運転席前方、右側方、左側方、後方の各映像を、イグニッションキースイッチがオン状態となっている走行可能な状態においては前記運転支援カメラシステムに利用する一方、前記車両のイグニッションキースイッチがオフ状態、つまり走行不可能な状態で駐車しているときには監視カメラの映像として利用する。このため、イグニッションキースイッチがオフ状態で走行不可能な状態で駐車しているときの車載バッテリから電源供給が断たれた状態の休止中の前記カメラ21、22……23に対し電源供給を含むカメラ制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が搭載している車載カメラを、その車両が駐車している駐車場を監視する監視カメラとして利用できるようにした監視カメラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駐車場には防犯の目的で監視カメラ装置が導入されている場合が多い。
このような駐車場を監視カメラで監視する監視カメラ装置においては、駐車場を広範囲で視野に設定できる位置に複数の監視カメラを設置し、これら複数の監視カメラにより駐車中の車両や出入り口のゲート付近を含む駐車場複数個所や駐車場の全景を撮像し、管理センタにて常時監視するようにしている。
一方、最近では複数の車載カメラで撮像した映像を運転席のモニタ画面により運転者に提供することにより駐車を円滑かつ安全に行えるようにする運転支援カメラシステムが普及している。
このような運転支援カメラシステムでは、自車両の前方、右側方、左側方および後方を車載カメラで撮像し、これら自車両の周囲360度の自車両を中心にした映像に合成し運転席のモニタ画面へ表示することで、駐車の際の障害物の確認や回避を容易にし、駐車を円滑かつ安全に行えるようにしている。
【0003】
このような車両に搭載した車載カメラにより得られた映像を利用するものとして、車載カメラで撮像した動画像を用いて、特定の位置の被写体のあたかも固定した位置から撮影したような動画像を生成する映像監視システムが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−194722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、監視カメラを駐車場に設置する従来の監視カメラ装置においては、監視カメラを設置するための費用の発生など、駐車スペースの提供という本来の駐車場の目的以外のコストが増大し、さらに駐車場に駐車する車両が全く存在していない状況でも監視カメラは動作しているため省電力の観点からも不経済であり効率がよくないという課題があった。
また、従来の運転支援カメラシステムは、自車両に対する障害物や駐車スペースの確認、駐車の際のハンドル操作を容易にするものであり、駐車後、イグニッションキーをオフにしてエンジンを停止させると、運転支援カメラシステムへの電源供給も停止することになり機能しなくなることから、運転支援カメラシステムの有効利用が求められているという課題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、車両に搭載されたカメラを有効利用することで経済的かつ効率的な監視機能を構築できる監視カメラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明にかかる監視カメラ装置は、車両外部の監視装置から駐車している前記車両に搭載されたカメラを制御し、前記カメラが撮像した映像により監視を行う監視カメラ装置であって、前記監視装置は、前記車両に搭載されたカメラによる撮影を制御する制御信号を生成する制御信号生成手段と、前記駐車している車両との間で前記制御信号および前記カメラが撮像した映像の通信経路を確立する監視装置通信手段と、前記監視装置通信手段が確立した通信経路により、前記カメラが撮像した映像を前記車両から受信する映像受信手段と、前記映像受信手段により受信した前記カメラが撮像した映像を記憶手段へ録画する映像保存手段と、前記映像受信手段により受信した前記カメラが撮像した映像を監視画面へ出力する映像表示手段とを備え、前記車両は、駐車すると、前記監視装置通信手段との間で前記制御信号および搭載している前記カメラが撮像した映像の通信経路を確立する車両通信手段と、前記車両通信手段が確立した前記通信経路により前記監視装置から受信した前記制御信号をもとに前記カメラを制御するカメラ制御手段と、前記カメラ制御手段により制御された前記カメラが撮像した映像を、前記車両通信手段が確立した前記通信経路により前記監視装置へ送信する映像送信処理手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、駐車している車両が搭載しているカメラを監視カメラとして利用できるため、経済的かつ効率的に監視機能を構築できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、本発明の実施の形態である監視カメラ装置の構成を示すブロック図である。
この実施の形態では、監視カメラ装置は例えば駐車場の監視に用いられる。
この場合の駐車場は、デパート、スーパーマーケット、各種店舗を含む屋外または屋内の駐車場のみならず、プライベートな駐車場、何れの駐車場に対しても適用できるものである。
【0008】
図1において、この監視カメラ装置は、駐車場を監視する駐車場監視装置(監視装置)1と車両に搭載された監視用車載カメラ制御装置2とから構成されている。
そして、駐車場監視装置1と監視用車載カメラ制御装置2との間では映像と、撮影指令やカメラ制御信号を含む各種制御信号とがDSRC(Dedicated Short Range Communication)プロトコルを通じて送受信される。
デパート、スーパーマーケット、各種店舗を含む屋外または屋内の駐車場の場合、駐車場監視装置1は駐車場を管理する管理センタに設けられる。
この駐車場を管理する管理センタは、駐車場内、駐車場近辺、あるいは駐車場から離れた遠隔地にあってもよい。
管理センタが遠隔地にある場合、駐車場監視装置1は、監視用車載カメラ制御装置2との間でDSRCプロトコルを通じて送受信する映像、撮影指令、カメラ制御信号を含む各種制御信号を、インターネットを含むネットワークを経由して送受信する。
また、プライベートな駐車場の場合、駐車場監視装置1は駐車場近辺に存在するユーザの住居に設けられる。
【0009】
駐車場監視装置1はコンピュータにより構成されており、撮影指令入力操作手段11、制御信号生成手段12、アンテナ31を有したDSRC通信手段(監視装置通信手段)13、映像受信手段14、映像保存手段15、記憶装置16、映像表示手段17、ディスプレイ装置18および映像解析手段19を備えている。
撮影指令入力操作手段11は、監視センタの監視員あるいはオペレータが撮影指令や各種指示を入力操作するためのキーボードや操作パネル上に配置された操作スイッチを含み、監視員あるいはオペレータが前記キーボードや操作スイッチを操作することで撮影指令や各種指示を入力することが出来る。
この撮影指令や各種指示は、たとえば監視用車載カメラ制御装置2のカメラ21、22……23に対する電源制御による撮影開始や撮影停止についての指示、カメラ21、22……23で撮像した映像のうちから監視に利用する映像を選択するための映像切り替えについての指示、監視に利用するカメラをカメラ21、22……23のうちから選択するための指示、駐車場内に複数の車両が駐車しているときどの車両からのカメラ映像を選択するかを決める監視用車載カメラ制御装置2の選択のための指示を含む。
【0010】
制御信号生成手段12は、撮影指令入力操作手段11から入力された前記撮影指令や前記各種指示をもとに、監視用車載カメラ制御装置2の複数のカメラ21、22……23のうちの特定のカメラに電源を供給するための電源制御信号や、前記映像切り替えについて指示を行うための映像切替制御信号を含む各種制御信号を生成する。
制御信号生成手段12には、さらに、後述する映像解析手段19による解析結果に応じて“間欠”モードあるいは“連続”モードが設定される。
“間欠”モードは、数秒間の繰り返し周期で撮影指令が出力され間欠的にカメラ撮影を行うモード(動作)である。
また、“連続”モードは、連続的に撮影指令が出力され連続的にカメラ撮影を行うモード(動作)である。
制御信号生成手段12は、前記設定された“間欠”モードあるいは“連続”モードで前記撮影指令、前記電源制御信号や前記映像切替制御信号を含む各種制御信号を出力する。
これにより、監視用車載カメラ制御装置2によって、“間欠”動作と“連続”動作とが選択的に実行される。
【0011】
DSRC通信手段13は、映像や制御信号生成手段12が生成した前記各種制御信号を監視用車載カメラ制御装置2との間で送受信する際のDSRCプロトコルに従った通信を実現する。
また、このDSRC通信手段13は、駐車場に複数の車両が駐車している状況で、これら複数の車両に搭載されているカメラから撮影した映像を利用した監視を可能にするため、各車両の搭載しているカメラから撮影した映像を他の車両のカメラで撮影した映像と区別できるようにする識別情報を通信相手の監視用車載カメラ制御装置2との間で送受信する構成である。
【0012】
映像受信手段14は、監視用車載カメラ制御装置2との間で送受信する識別情報をもとに映像を送信してきた車両を他の車両に対し識別しながら、監視用車載カメラ制御装置2から送信されてきた映像を受信する。
【0013】
映像保存手段15は、映像受信手段14が受信した映像を前記識別情報をもとに他の車両の監視用車載カメラ制御装置2から送信されてきた映像と区別しながら記憶装置16へ記憶する。
記憶装置16はハードディスク装置を含む。
映像表示手段17は、前記識別情報をもとに記憶装置16に記憶された映像データを読み出し、ディスプレイ装置18で表示するための処理を行う。
具体的には、ディスプレイ装置18で表示する映像は、監視員あるいはオペレータが前記キーボードを操作することで入力される前記識別情報をもとに映像表示手段17により記憶装置16から読み出されディスプレイ装置18に表示される。
ディスプレイ装置18は、たとえば液晶表示装置であり、記憶装置16から読み出された映像を表示する。
映像解析手段19は、周知の映像解析手法を用いて映像を解析することで人影や移動物体を判定し検出し、その判定・検出結果を出力する。
【0014】
この実施の形態における監視用車載カメラ制御装置2は複数のカメラを備えているが、これらカメラは自車両が搭載している運転支援カメラシステムで使用する複数のカメラを共有する構成である。
運転支援カメラシステムは、たとえば車両に搭載した複数のカメラにより撮像した運転席前方、右側方、左側方、後方の各映像を自車両を中心に上方から見通した俯瞰映像に合成し、運転席に設けられたモニタ画面に表示出力する、駐車の際のハンドル操作を支援するアラウンドモニタシステムである。
従って、車両が搭載している複数のカメラ21、22……23が撮像した運転席前方、右側方、左側方、後方の各映像は、イグニッションキースイッチがオン状態、つまり車両が走行可能な状態においては前記運転支援カメラシステムに利用される一方、イグニッションキースイッチがオフ状態、つまり走行不可能な状態で駐車しているときにはこの実施の形態の監視カメラ装置に利用される。
このため、監視用車載カメラ制御装置2は、イグニッションキースイッチがオフ状態、つまり走行不可能な状態で駐車していることで車載バッテリからの電源供給が断たれた状態の休止中の前記カメラに対し電源制御を含むカメラ制御を行うことが可能なように構成されている。
【0015】
監視用車載カメラ制御装置2は、カメラ21、22……23、アンテナ32を有したDSRC通信手段(車両通信手段)24、制御信号受信処理部(カメラ制御手段)25、ITS(Intelligent Transport Systems)制御手段(カメラ制御手段)26、映像切替・カメラ制御部(カメラ制御手段)27、映像送信処理部(映像送信処理手段)28およびイグニッションキーオン/オフ検出部(イグニッションキースイッチ状態検出手段)29を備えている。
そして、カメラ21、22……23を除く監視用車載カメラ制御装置2の各部には図示していない車載バッテリから常時電源が供給されているか、あるいは、スリープ状態とアクティブな状態とを所定の時間間隔で繰り返している。
【0016】
DSRC通信手段24は、映像、前記撮影指令および前記各種制御信号を駐車場監視装置1との間で送受信する際のDSRCプロトコルに従った通信を実現する手段である。
また、DSRC通信手段24は、自車両の搭載しているカメラから撮影した映像を他の車両のカメラで撮影した映像と区別する識別情報を保有しており、映像、前記撮影指令および前記各種制御信号を駐車場監視装置1との間で送受信する際にはこの識別情報を通信相手の駐車場監視装置1との間で送受信する構成である。
制御信号受信処理部25は、駐車場監視装置1から送られてきた前記各種制御信号の検出を含む前記各種制御信号の受信処理を行う。
【0017】
ITS制御手段26はECUにより構成されており、自車両に搭載されているナビゲーションシステムを利用したVICS、ETC(Electronic Toll Collection System)あるいは車両盗難防止のためのカーセキュリティシステムを含むITを活用した各種交通システムを実現するための各部を制御するコンピュータである。
さらにこのITS制御手段26は、駐車場監視装置1から送られてきた前記各種制御信号に応じて監視用車載カメラ制御装置2の映像切替・カメラ制御部27を含む各部を制御し、あるいは監視用車載カメラ制御装置2のイグニッションキーオン/オフ検出部29を含む各部の状態を判定する。
【0018】
映像切替・カメラ制御部27は、自車両に搭載されている撮影を行うカメラ21、22……23の切り替え、監視に利用する映像をカメラ21、22……23で撮像した映像のうちから選択して切り替える映像切替え、カメラ21、22……23に対する電源供給のオン/オフを含むカメラ21、22……23に対する制御を行う。
映像送信処理部28は、自車両に搭載されているカメラ21、22……23で撮像した映像の送信処理を行う。
イグニッションキーオン/オフ検出部29は、自車両のイグニッションキーのオン状態やオフ状態を検出し、検出したイグニッションキーのオン状態またはオフ状態に応じた状態信号を出力する。
【0019】
図2は、前記運転支援装置の複数のカメラ21、22……23を利用するこの実施の形態の監視カメラ装置における自車両51と、監視に利用されるカメラ21、22……23の前方視野41、右側方視野42、後方視野43および左側方視野44を示す説明図である。
【0020】
次に、図3および図4に示すフローチャートを参照し動作について説明する。
図3は、この実施の形態の監視カメラ装置における監視用車載カメラ制御装置2の動作を示すフローチャートである。
図4は、同様に駐車場監視装置1の動作を示すフローチャートである。
今、駐車場内には監視用車載カメラ制御装置2を備えた車両が複数台駐車している。
これら車両は、イグニッションスイッチがオフに切り替えられ、エンジンが停止している駐車した状態にある。
この実施の形態では、カメラ21、22……23を除く監視用車載カメラ制御装置2のITS制御手段26を含む各部には図示していない車載バッテリから常時電源が供給されているか、あるいは、スリープ状態とアクティブな状態とを所定の時間間隔で繰り返している。
このため、監視用車載カメラ制御装置2のITS制御手段26は、自車両のイグニッションスイッチがオフ状態に切り替えられたか否かを、常時あるいは前記所定の時間間隔で繰り返されるアクティブな状態において監視判定している(ステップS1)。
自車両のイグニッションスイッチがオフに操作されると、監視用車載カメラ制御装置2のITS制御手段26はこのイグニッションスイッチがオフに切り替えられた状態を判定し、続いて撮影指令、前記各種制御信号を駐車場監視装置1から受信したか否かを判定する(ステップS2)。
なお、駐車場に複数の車両が駐車している状況下では、駐車している各車両の監視用車載カメラ制御装置2においてステップS1およびステップS2の処理がそれぞれ実行されている。
【0021】
一方、駐車場監視装置1では、図4のフローチャートに示すように、撮影指令入力操作手段11において監視員あるいはオペレータによる撮影指令の入力操作が行われたか否かを判定している(ステップS11)。
撮影指令入力操作手段11において撮影指令の入力操作が行われると、制御信号生成手段12により、駐車場に駐車している全車両について監視用車載カメラ制御装置2のカメラ21、22……23に対する撮影指令とカメラ制御信号とを生成する(ステップS12)。
このとき、制御信号生成手段12では初期状態として、撮影を行う前記カメラ21、22……23の撮影周期に“間欠”モードが設定されており、制御信号生成手段12は、前記設定されている“間欠”モードに応じた繰り返し周期で前記撮影指令とカメラ制御信号とをDSRC通信手段13へ出力し、DSRC通信手段13がDSRCプロトコルを通じて駐車場に駐車している全車両の監視用車載カメラ制御装置2のDSRC通信手段24と通信を行いながら、前記撮影指令と前記カメラ制御信号を各車両の監視用車載カメラ制御装置2へ送信する(ステップS13)。
【0022】
図3のフローチャートに戻り、駐車場に駐車している各車両の監視用車載カメラ制御装置2のITS制御手段26はステップS2において駐車場監視装置1から送られてくる前記撮影指令、前記カメラ制御信号を受信したか否かを判定している。
撮影指令およびカメラ制御信号を受信しないときはリターンへ移行し、たとえば車両盗難防止のためのカーセキュリティシステムの処理へ移行した後、再度、図3に示すフローチャートへ戻る。
駐車場に駐車している各車両の監視用車載カメラ制御装置2では、DSRC通信手段24がDSRCプロトコルを通じて駐車場監視装置1のDSRC通信手段13と通信を行なった結果、駐車場監視装置1から前記撮影指令、前記カメラ制御信号が送られてくると、制御信号受信処理部25において前記撮影指令および前記カメラ制御信号の受信処理が行われ、前記撮影指令および前記カメラ制御信号が抽出されITS制御手段26へ出力される。
ITS制御手段26は、前記撮影指令、前記カメラ制御信号を受信したと判定すると、続いて前記撮影指令、前記カメラ制御信号に応じた電源制御や撮影周期、さらに複数のカメラが指定されているときの映像切替制御を映像切替・カメラ制御部27およびカメラ21、22……23に対し行い(ステップS3)、自車両に搭載されたカメラによる自車両周囲の撮影を行う(ステップS4)。
この場合、撮影を行うカメラのみへ電源を供給し、撮影を行なっていないカメラに対しては電源供給は行わない。
また、撮影を行うカメラが複数指定されている場合には、映像切り替えについての指示をもとに生成された映像切替制御信号により前記指定されたカメラで撮像された映像に切り替えられる。
各車両が搭載するカメラで撮像された映像は、映像送信処理部28においてデジタルデータへの変換を含む送信処理が行われ、DSRC通信手段24はDSRCプロトコルを通じて駐車場監視装置1のDSRC通信手段13と通信を行い、各車両の監視用車載カメラ制御装置2のカメラで撮像された映像には識別情報が付され、他の車両の監視用車載カメラ制御装置2のカメラで撮像された映像と区別されて、駐車場監視装置1へ送信される(ステップS5)。
【0023】
図4に示すフローチャートに戻り、駐車場監視装置1では、各車両の監視用車載カメラ制御装置2のカメラで撮像された映像が送られてくると、前記映像の受信処理を行い(ステップS14)、図2に示す視野映像の合成された映像をディスプレイ装置18に表示するとともに(ステップS15)、前記識別情報をもとに記憶装置16へ記録する(ステップS16)。
なお、前記視野映像の合成された映像をディスプレイ装置18に表示する場合、前記識別情報により車両ごとに区別してディスプレイ装置18に表示することが可能である。
駐車場監視装置1では、さらに記憶装置16へ録画した映像を読み出し、画像認識を行い映像解析を行う(ステップS17)。
この映像解析処理では、周知の解析手法を用いて人影や移動物体を含む未確認監視対象の有無を判定し(ステップS18)、未確認監視対象を検出したときには警報を出力する(ステップS19)。
この警報は、警報音の出力、あるいはディスプレイ装置18へ表示されている前記未確認監視対象が検出された映像を特定する警報画面を出力する。
ステップS18において未確認監視対象を検出したときには、さらに、制御信号生成手段12に撮影周期として設定されていた“間欠”モードを“連続”モードに設定し直す。
そして、前記未確認監視対象を検出した映像の識別情報をもとに明らかになる、前記未確認監視対象を検出した映像を撮影した監視用車載カメラ制御装置2に対する撮影指令とカメラ制御信号とを連続的にDSRC通信手段13へ出力する。
【0024】
DSRC通信手段13は、DSRCプロトコルを通じて前記未確認監視対象を検出した映像を撮影したカメラを搭載する車両の監視用車載カメラ制御装置2のDSRC通信手段24と通信を行いながら、前記未確認監視対象を検出した映像を撮影したカメラを搭載する車両の監視用車載カメラ制御装置2に対し、前記撮影指令と前記カメラ制御信号を送信する(ステップS20)。
そして、ステップS14からステップS20までの処理を、ステップS18において未確認監視対象を検出しない状態になるまで繰り返す。
この結果、駐車場に複数の車両が駐車している状況で、最初、間欠的に撮影される映像に未確認監視対象が検出されると、警報が出力される。
さらにその未確認監視対象が検出された映像を撮影したカメラを搭載する車両の監視用車載カメラ制御装置2に対し、監視員またはオペレータにより各種指示(映像や撮影を行うカメラの切り替え指示)が行われ、撮影指令とカメラ制御信号を含む各種制御信号が“連続”モードで送信される。
従って、前記未確認監視対象が映し出された映像が連続的に前記監視用車載カメラ制御装置2から受信でき、駐車場監視装置1では駐車場の人影や移動物体を連続した映像で監視できることになる。
ステップS18において未確認監視対象を検出しない状態になるとリターンへ移行した後、ステップS11における撮影指令入力操作判定処理、ステップS12のカメラ制御信号生成処理、ステップS13の“間欠”モード設定処理などのステップS11からの処理を再度繰り返す。
【0025】
以上説明したように、この実施の形態によれば、駐車場に駐車している車両が搭載している車載カメラを駐車場の監視カメラとして利用できるため、コスト的に安価にシステムを構築できる効果がある。
また、駐車場に駐車している車両が搭載している車載カメラを駐車場の監視カメラとして利用できるため、駐車場の周囲から撮影した映像をもとに監視を行うのではなく、駐車場内、あるいは駐車場内で駐車している車両周辺を駐車場内から近距離で監視でき、死角が生じにくく、確実かつ効率よく監視できる効果がある。
また、監視カメラの位置が従来のように固定されていないため、監視カメラの位置を知られることがなく、監視カメラを破壊されるなどの被害を受けることがなく、防犯上有利なシステムを構築できる効果がある。
【0026】
なお、本実施の形態では、駐車場監視装置1と監視用車載カメラ制御装置2との間でなされる通信がDSRCプロトコルに基づいてなされる場合について説明したが、駐車場監視装置1と監視用車載カメラ制御装置2との間でなされる通信方式は限定されるものでなく、従来公知のさまざまな通信方式が採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態の監視カメラ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態の監視カメラ装置における自車両と、監視に利用されるカメラの前方視野、右側方視野、後方視野および左側方視野を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態の監視カメラ装置における監視用車載カメラ装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態の監視カメラ装置における駐車場監視装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0028】
1……駐車場監視装置、2……監視用車載カメラ制御装置、12……制御信号生成手段、13……DSRC通信手段(監視装置通信手段)、14……映像受信手段、15……映像保存手段、16……記憶装置(記憶手段)、17……映像表示手段、19……映像解析手段、21、22、23……カメラ、24……DSRC通信手段(車両通信手段)、26……ITS制御手段(カメラ制御手段)、27……映像切替・カメラ制御部(カメラ制御手段)、28……映像送信処理部(映像送信処理手段)、29……イグニッションキーオン/オフ検出部(イグニッションキースイッチ状態検出手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両外部の監視装置から駐車している前記車両に搭載されたカメラを制御し、前記カメラが撮像した映像により監視を行う監視カメラ装置であって、
前記監視装置は、
前記車両に搭載されたカメラによる撮影を制御する制御信号を生成する制御信号生成手段と、
前記駐車している車両との間で前記制御信号および前記カメラが撮像した映像の通信経路を確立する監視装置通信手段と、
前記監視装置通信手段が確立した通信経路により、前記カメラが撮像した映像を前記車両から受信する映像受信手段と、
前記映像受信手段により受信した前記カメラが撮像した映像を記憶手段へ録画する映像保存手段と、
前記映像受信手段により受信した前記カメラが撮像した映像を監視画面へ出力する映像表示手段とを備え、
前記車両は、
駐車すると、前記監視装置通信手段との間で前記制御信号および搭載している前記カメラが撮像した映像の通信経路を確立する車両通信手段と、
前記車両通信手段が確立した前記通信経路により前記監視装置から受信した前記制御信号をもとに前記カメラを制御するカメラ制御手段と、
前記カメラ制御手段により制御された前記カメラが撮像した映像を、前記車両通信手段が確立した前記通信経路により前記監視装置へ送信する映像送信処理手段と、
を備えていることを特徴とする監視カメラ装置。
【請求項2】
前記車両は、イグニッションキースイッチのオフ状態を検出するイグニッションキースイッチ状態検出手段を有し、前記カメラ制御手段は、前記イグニッションキースイッチ状態検出手段が前記イグニッションキースイッチのオフ状態を検出すると、前記車両通信手段が確立した前記通信経路により前記監視装置から受信した前記制御信号をもとに前記カメラを制御することを特徴とする請求項1記載の監視カメラ装置。
【請求項3】
前記カメラ制御手段は、前記イグニッションキースイッチがオフ状態に操作されることで電源供給が断たれた前記カメラに対し、前記通信経路により前記監視装置から受信した前記制御信号をもとに電源を供給する制御を行うことを特徴とする請求項2記載の監視カメラ装置。
【請求項4】
前記カメラにより所定の繰り返し周期で間欠的に撮影を行う“間欠”動作と、前記カメラにより撮影を連続的に行う“連続”動作とが選択的に実行されることを特徴とする請求項1乃至3に何れか1項記載の監視カメラ装置。
【請求項5】
前記監視装置は、前記通信経路により受信した前記車両に搭載されたカメラで撮像された映像に対し未確認監視対象の有無を判定するための画像解析を行う映像解析手段を備え、
前記映像が解析手段による前記画像解析により前記未確認監視対象の存在が判定されると、前記“連続”動作が選択され実行されることを特徴とする請求項4記載の監視カメラ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−141822(P2010−141822A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318693(P2008−318693)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】