説明

監視装置及び監視システム並びに監視プログラム

【課題】機器の更新情報を効率良く取得する。
【解決手段】本発明は、機器2の状態を監視するための監視装置3であって、機器2を定期的にポーリングし、機器2の状態情報を取得する状態情報取得手段10と、状態情報取得手段10が今回取得した状態情報と前回取得した状態情報との間に異なる部分がある場合に、その異なる部分のみを更新情報として取得する更新情報取得手段12とを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置等の機器の状態を監視するための監視装置及び監視システム並びに監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置を構成する各部位の動作や設定内容等の状態を監視する技術が公知である。
【0003】
この種の従来の技術としては、例えば、イントラネット等のネットワーク通信網を介して画像形成装置と端末とが互いに接続された環境下において、画像形成装置が自己の状態に変化があった時に、文書構造記述言語ファイル(HTMLファイル)を更新すると共に画像ファイル(GIFファイル)を差し替え、端末からの要求に応じて、この文書構造記述言語ファイル及び画像ファイルを端末に送信する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、複数の画像形成装置とネットワーク通信網を介して接続された端末から、SNMP(Simple Network Management Protocol)を使用して各画像形成装置に対して定期的にポーリングを行うことで画像形成装置の状態を監視したり、或いは、画像形成装置が保有するウェブページにブラウザでアクセスし、ユーザが更新ボタンをクリックしたタイミングでHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)を使用して画像形成装置の状態を監視したりする技術も実用化されている。
【特許文献1】特開2003−209660公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1に記載された技術では、ユーザからの要求に応じて、更新された文書構造記述言語ファイル及び差し替えられた画像ファイルが更新情報として送信されるため、データ量が多くなり、ネットワークトラフィックや装置の負荷が増大するといった問題があった。また、この問題は、ネットワークに複数の画像形成装置が接続されている場合には、より深刻であった。
【0006】
さらに、この場合の更新情報には、状態が変化していない部分の情報も一緒に含まれているため、実際にどの部分が更新されたのかを把握するのに時間が掛かり、効率的に更新情報を取得することが難しいといった問題もあった。
【0007】
また、上記したSNMPを使用して画像形成装置の状態を監視する技術においても、上記したのと同様の各種問題があった。
【0008】
さらにまた、上記したHTTPを使用して画像形成装置の状態を監視する技術では、ユーザが更新ボタンをクリックするまで画像形成装置の状態が変化したかどうかを把握することができず、また、ネットワークに複数の画像形成装置が接続されている場合には各画像形成装置の状態を一度に把握することができなかった。そのため、画像形成装置の更新情報を取得するのに時間が掛かり、極めて非効率的であった。
【0009】
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、画像形成装置等の機器の更新情報を効率良く取得することができ、ネットワークトラフィックや装置の負荷を軽減することのできる監視装置及び監視システム並びに監視プログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した目的を達成するため、本発明は、機器の状態を監視するための監視装置であって、前記機器を定期的にポーリングし、該機器の状態情報を取得する状態情報取得手段と、該状態情報取得手段が今回取得した状態情報と前回取得した状態情報との間に異なる部分がある場合に、その異なる部分のみを更新情報として取得する更新情報取得手段とを備えていることを特徴とする。
【0011】
そして、本発明に係る監視装置において、前記状態情報は、RSS形式により記述されていてもよい。
【0012】
また、本発明は、機器と該機器の状態を監視する監視装置を備えた監視システムであって、前記機器は、該機器の状態に変化がある場合に、該機器の状態の履歴情報を作成する履歴情報作成手段と、該履歴情報作成手段が作成した履歴情報を保存する履歴情報格納手段とを備え、前記監視装置は、前記履歴情報格納手段を定期的にポーリングし、そのタイミング毎の最新の状態情報を前記履歴情報格納手段に保存されている前記履歴情報の中から取得する状態情報取得手段と、該状態情報取得手段が今回取得した状態情報と前回取得した状態情報との間に異なる部分があった場合に、その異なる部分のみを更新情報として取得する更新情報取得手段とを備えていることを特徴とする。
【0013】
そして、本発明に係る監視システムにおいて、前記履歴情報は、RSS形式により記述されていてもよい。
【0014】
また、本発明は、機器の状態を監視するための監視プログラムであって、状態情報取得手段が前記機器を定期的にポーリングし、そのタイミング毎の最新の状態情報を履歴情報格納手段に保存されている履歴情報の中から取得するステップと、該状態情報取得手段が今回取得した状態情報と前回取得した状態情報とが異なる部分があった場合に、その異なる部分のみを更新情報として取得するステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、状態情報取得手段が今回取得した状態情報と前回取得した状態情報との間の異なる部分のみを更新情報として取得するようになっているため、更新情報の把握に要する時間を短縮することができ、効率の良いシステムを構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る監視システムについて説明する。なお、以下の説明では、本発明を、画像形成装置の状態を監視するための監視システムに適用した場合について例示して説明する。ここで、図1は本実施の形態に係る監視システムを示す全体構成図、図2は本実施の形態における画像形成装置の構成を示す機能ブロック図、図3は本実施の形態に係る監視装置の構成を示す機能ブロック図である。
【0017】
図1に示されているように、本実施の形態に係る監視システム1は、複数(図示では3台)の画像形成装置2(例えば、プリンタ)と、複数(図示では3台)のPC端末3とが、ネットワーク通信網4を介して相互に接続されて構成されており、各PC端末3は、監視プログラムをインストールすることにより監視装置3として機能するようになっている。
【0018】
図2に示されているように、この監視システム1の画像形成装置2側には、画像形成装置2の状態を検出する状態検出部5と、状態検出部5が検出した画像形成装置2の状態に変化があったかどうかを判定する状態変化判定部6と、状態変化判定部6が画像形成装置2の状態に変化があったと判断した場合に、画像形成装置2の状態の履歴情報を作成する履歴情報作成部7と、履歴情報作成部7が作成した履歴情報を保存する履歴情報格納部8とが設けられている。
【0019】
ここで、画像形成装置2の状態には、例えば、プリンタの場合、用紙切れ、紙詰まり、カバーが開放状態になっている等の動作の状態や、用紙サイズ、印刷の向き(縦又は横)、印刷の部数、印刷の濃さ等の設定内容の状態等が含まれる。また、履歴情報とは、所定期間に蓄積された画像形成装置2の状態に関する情報のことを言い、RSS(Rich Site Summary、又はReally Simple
Syndication、又はRDF Site Summary)形式により記述されるようになっている。但し、この場合の記述形式は、必ずしもRSSに限定されるものではない。
【0020】
また、図3に示されているように、監視システム1の監視装置3側には、画像形成装置2の履歴情報格納部8をポーリングするタイミングかどうかを判定するタイミング判定部9と、定期的に画像形成装置2の履歴情報格納部8をポーリングし、そのタイミング毎の最新の状態情報を履歴情報格納部8に保存されている前記履歴情報の中から取得する状態情報取得部10と、状態情報取得部10が今回取得した状態情報と前回取得した状態情報との間に異なる部分があるかどうかを判断する更新判定部11と、異なる部分がある場合にその異なる部分のみを更新情報として取得する更新情報取得部12とが設けられている。
【0021】
ここで、状態情報とは、画像形成装置2の状態に関する情報のことを言い、前記履歴情報の場合と同様に、本実施の形態ではRSS形式により記述されるようになっているが、この記述形式はRSSに限定されるものではない。
【0022】
次に、図4及び図5を参照しつつ、本実施の形態に係る監視システムの動作について説明する。ここで、図4は本実施の形態に係る監視システムにおいて画像形成装置側の動作を示すフローチャート、図5は同監視システムにおいて監視装置側の動作を示すフローチャートである。
【0023】
図4に示すように、画像形成装置2側では、常時、状態検出部5が、画像形成装置2の各部位の動作の状態や設定内容の状態を検出し(S101)、状態変化判定部6が、画像形成装置2の状態に変化があったかどうかを判断している(S102)。そして、画像形成装置2の状態に変化がない限り、状態検出部5及び状態変化判定部6は上記した動作を繰り返し行う。
【0024】
これに対して、前記ステップ102において、画像形成装置2の状態に変化があったと状態変化判定部6が判断した場合には、履歴情報作成部7が、画像形成装置の状態の履歴情報をRSS形式で作成し、該履歴情報を履歴情報格納部8に保存する(S103)。
【0025】
次いで、図5に示すように、監視装置3側では、常時、タイミング判定部9が、画像形成装置2の履歴情報格納部8をポーリングするタイミングかどうかを判定している(S201)。その結果、タイミング判定部9が、ポーリングのタイミングであると判断した場合には、状態情報取得部10が画像形成装置2の履歴情報格納部8に保存されている前記履歴情報の中から最新の状態情報を取得し(S202)、状態情報取得部10が今回取得した状態情報と前回取得した状態情報との間に異なる部分があるかどうかを更新判定部11が判断する(S203)。
【0026】
その結果、今回取得した状態情報と前回取得した状態情報との間に異なる部分があると更新判定部が判断した場合には、更新情報取得部12は、今回取得した状態情報と前回取得した状態情報との間の異なる部分のみを更新情報として取得し、該更新情報を監視装置3の表示部(図示省略)に表示する(S204)。この時、前記履歴情報や状態情報等の画像形成装置2の状態に関する詳細な情報については、監視装置3側から所定の操作を行うことにより、SNMPを使用して取得することができる。
【0027】
これに対して、前記ステップ203において、状態情報取得部10が今回取得した状態情報と前回取得した状態情報との間に異なる部分がないと更新判定部11が判断した場合には、再度、前記ステップ201に戻り、以降、上記したのと同様の動作を繰り返し行う。
【0028】
このように、上記した実施の形態によれば、状態情報取得部10が今回取得した状態情報と前回取得した状態情報との間の異なる部分のみを更新情報取得部12が更新情報として取得するようになっているため、更新情報の把握に要する時間を短縮することができ、効率の良いシステムを構築することができる。
【0029】
また、履歴情報や状態情報をRSS形式で記述することにより、データ量を軽減し、ネットワークトラフィックや装置の負荷を減少することができるため、更新情報の取得に要する時間の短縮化を図ることができ、一段と効率的なシステムを提供することができる。
【0030】
なお、上記した実施の形態では、PC端末を監視装置として使用した場合について説明したが、これは単なる例示に過ぎず、監視装置をPC端末とは別個にネットワーク上に設置し、1台の監視装置により複数の画像形成装置2の状態を監視し、その更新情報を各PC端末に通知するように構成してもよい。
【0031】
また、上記した実施の形態では、画像形成装置2の状態を監視する場合について説明したが、これは単なる例示に過ぎず、本発明は、画像形成装置以外の機器の状態を監視する場合にも適用可能であることは言う迄もない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態に係る監視システムを示す全体構成図である。
【図2】本発明の実施の形態における画像形成装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る監視装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る監視システムにおいて画像形成装置側の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る監視システムにおいて監視装置側の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0033】
1 監視システム
2 画像形成装置
3 監視装置
7 履歴情報作成部
8 履歴情報格納部
10 状態情報取得部
12 更新情報取得部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の状態を監視するための監視装置であって、
前記機器を定期的にポーリングし、該機器の状態情報を取得する状態情報取得手段と、
該状態情報取得手段が今回取得した状態情報と前回取得した状態情報との間に異なる部分がある場合に、その異なる部分のみを更新情報として取得する更新情報取得手段と、
を備えていることを特徴とする監視装置。
【請求項2】
前記状態情報は、RSS形式により記述されている請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
機器と該機器の状態を監視する監視装置とを備えた監視システムであって、
前記機器は、該機器の状態に変化がある場合に、該機器の状態の履歴情報を作成する履歴情報作成手段と、該履歴情報作成手段が作成した履歴情報を保存する履歴情報格納手段とを備え、
前記監視装置は、前記履歴情報格納手段を定期的にポーリングし、そのタイミング毎の最新の状態情報を前記履歴情報格納手段に保存されている前記履歴情報の中から取得する状態情報取得手段と、該状態情報取得手段が今回取得した状態情報と前回取得した状態情報との間に異なる部分があった場合に、その異なる部分のみを更新情報として取得する更新情報取得手段とを備えていることを特徴とする監視システム。
【請求項4】
前記履歴情報は、RSS形式により記述されている請求項3に記載の監視システム。
【請求項5】
機器の状態を監視するための監視プログラムであって、
状態情報取得手段が前記機器を定期的にポーリングし、そのタイミング毎の最新の状態情報を履歴情報格納手段に保存されている履歴情報の中から取得するステップと、
該状態情報取得手段が今回取得した状態情報と前回取得した状態情報とが異なる部分があった場合に、その異なる部分のみを更新情報として取得するステップと、
をコンピュータに実行させるための監視プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−304673(P2007−304673A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129835(P2006−129835)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】