説明

移動体端末

【課題】 表示装置に表示させる情報の視認性を向上することができる移動体端末を提供する。
【解決手段】 現在位置を算出する現在位置算出部2と、地図情報を記憶する地図情報記憶部3と、現在位置算出部2によって算出された現在位置から利用者によって指定された目的地までの経路を探索する経路探索部4と、過去に通過した既通過経路を表す既通過経路情報を記憶する通過経路記憶部5と、経路探索部4によって探索された経路を地図情報が表す地図と共に表示する表示部6と、現在位置にある経路が過去に通過した経路上にあるか否かに応じて表示部6の表示を制御する表示制御部7とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーナビゲーション装置や携帯電話等に用いられ、表示装置の表示を制御する移動体端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の移動体端末は、ハードディスク、DVD(Digital Versatile Disc)またはCD(Compact Disc)等の記録媒体に予め用意された地図情報を記憶し、移動体端末の画面上に現在位置および進行方向を周辺地図と共に表示する一方、目的地までの経路探索を行い、探索した経路を音声や画像で利用者に案内する。
【0003】
従来の移動体端末としては、移動体端末に加えられる振動や衝撃を加速度検出器で検出し、検出した加速度の変化が継続的であって加速度の変化量が所定値を超えていた場合に、画面に表示する文字のサイズを拡大するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、小さい画面に表示すると視認性が悪くなる画数が多い漢字をカタカナ、数字およびアルファベットに代えて画面に表示するものもある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−169125号公報(第1−3頁、第1図)
【特許文献2】特開2002−163268号公報(第1−2頁、第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の移動体端末は、文字を拡大して画面に表示することで、画面に表示できる文字数が少なくなってしまったり、画面に表示される目的地までの経路や建物等を表すランドマークが拡大した文字に隠されてしまったりするため、画面に表示された情報の視認性が低下するといった問題があった。
【0006】
また、特許文献2に記載された従来の移動体端末においては、地名の「新宿」を「シンジュク」とカタカナで表示した場合のように、逆に文字の意味が分かりにくくなり、画面に表示された情報の視認性が低下するといった問題があった。
【0007】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、表示装置に表示させる情報の視認性を向上することができる移動体端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の移動体端末は、現在位置が過去に通過した経路上にあるか否かに応じて表示装置の表示を制御する表示制御手段を備えた構成を有している。
【0009】
この構成により、本発明の移動体端末は、利用者が既に認識している可能性が高い情報の表示を抑制して、他の情報を強調して表示装置に表示させることができるため、表示装置に表示させる情報の視認性を向上することができる。
【0010】
なお、前記表示制御手段は、前記表示装置に表示される地図情報に含まれる文字情報の表示を制御するようにしてもよい。
【0011】
この構成により、本発明の移動体端末は、表示装置に表示させる文字のサイズ、フォント、色、文字幅、太細、行間および表示の有無を変更することによって、表示装置に表示させる情報の視認性を向上することができる。
【0012】
また、前記表示制御手段は、前記表示装置に表示される地図情報に含まれるランドマークの表示を制御するようにしてもよい。
【0013】
この構成により、本発明の移動体端末は、表示装置に表示させるランドマークのサイズおよび表示の有無を変更することによって、表示装置に表示させる情報の視認性を向上することができる。
【0014】
また、前記表示制御手段は、前記表示装置に表示される情報のうち一部の情報の表示サイズを変更するようにしてもよい。
【0015】
この構成により、本発明の移動体端末は、表示装置に表示させる情報のサイズを変更することによって、表示装置に表示させる情報の視認性を向上することができる。
【0016】
また、本発明の表示制御方法は、現在位置が過去に通過した経路上にあるか否かに応じて表示装置の表示を制御する。
【0017】
したがって、本発明の表示制御方法は、利用者が既に認識している可能性が高い情報の表示を抑制して、他の情報を強調して表示装置に表示させることができるため、表示装置に表示させる情報の視認性を向上することができる。
【0018】
また、本発明の表示制御プログラムは、現在位置が過去に通過した経路上にあるか否かに応じて表示装置の表示を制御する処理をコンピュータに実行させるためのものである。
【0019】
したがって、表示制御プログラムは、利用者が既に認識している可能性が高い情報の表示を抑制して、他の情報を強調して表示装置に表示させることができるため、表示装置に表示させる情報の視認性を向上することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、表示装置に表示させる情報の視認性を向上することができるといった効果を有する移動体端末を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
本発明の一実施の形態の移動体端末を図1に示す。
【0023】
なお、移動体端末1は、カーナビゲーション装置、携帯電話、PHS(Personal Handy-phone System)およびPDA(Personal Digital Assistant)等のように使用場所に関係なく利用できるものによって構成される。
【0024】
移動体端末1は、現在位置を算出する現在位置算出部2と、地図情報を記憶する地図情報記憶部3と、現在位置算出部2によって算出された現在位置から利用者によって指定された目的地までの経路を探索する経路探索部4と、過去に通過した経路を表す既通過経路情報を記憶する通過経路記憶部5と、経路探索部4によって探索された経路を地図情報が表す地図と共に表示する表示部6と、表示部6の表示を制御する表示制御部7とを備えている。
【0025】
現在位置算出部2は、GPS(Global Positioning System)やジャイロセンサ等によって構成されている。なお、現在位置算出部2は、路側機、ホットスポットまたは携帯電話基地局との距離を計測して現在位置を算出するようにしてもよい。
【0026】
地図情報記憶部3および通過経路記憶部5は、ハードディスク、フラッシュメモリまたはRAM(Random Access Memory)のような記憶媒体によって構成されている。なお、地図情報記憶部3および通過経路記憶部5は、ネットワークを介して接続された外部の記憶装置によって構成してもよく、メモリカード等のような着脱可能な記憶媒体によって構成してもよい。
【0027】
経路探索部4および表示制御部7は、CPU(Central Processing Unit)と、CPUによって実行されるプログラムを記憶したROM(Read Only Memory)と、ROMに記憶されたプログラムを実行するCPUが利用するデータを記憶するRAMとによって構成されている。
【0028】
表示部6は、タッチパネル付きの液晶ディスプレイのような表示装置によって構成され、地図や探索経路の他に、利用者による指示が入力されるメニューボタン等を表示するようになっている。
【0029】
表示制御部7は、本発明における表示制御手段を構成し、現在位置算出部2によって算出された現在位置と、通過経路記憶部5に記憶された既通過経路情報とに基づいて、現在位置にある経路が、過去に通過したことがある既通過経路および過去に通過したことがない未通過経路の何れかであるかを判断するようになっている。
【0030】
例えば、地図情報記憶部3に記憶された地図情報には、店舗や施設等を表すランドマークの他に、図2に示すように、交差点等の分岐点をノードとし、各交差点を結ぶ道路をリンクとし、各リンクに識別番号(以下単に「道路リンクID」という。)が割り当てられて記憶されている。
【0031】
表示制御部7は、現在位置にある道路に割り当てられた道路リンクIDを図3に示すような既通過経路情報として通過経路記憶部5に記憶するようになっている。
【0032】
表示制御部7は、現在位置にある道路に割り当てられた道路リンクIDが通過経路記憶部5に記憶された既通過経路情報に含まれているか否かによって、現在位置にある経路が既通過経路および未通過経路の何れかであるかを判断するようになっている。
【0033】
通過経路記憶部5には、通過経路情報の他に、図4に示すような表示制御テーブルが記憶されている。ここで、表示制御テーブルは、現在位置にある経路が既通過経路であると表示制御部7によって判断された場合に表示制御部7に参照される既通過経路の列と、現在位置にある経路が未通過経路であると表示制御部7によって判断された場合に表示制御部7に参照される未通過経路の列とによって構成される。
【0034】
また、表示制御テーブルの各列には、文字のサイズ、フォント、色、文字幅、太細字および行間幅等の指示を表す情報と、地名の間引きを行うか否かの指示を表す情報と、ランドマークやメニューボタンの縮小、削除または拡大等の指示を表す情報とがそれぞれ含まれている。
【0035】
なお、表示制御テーブルは、利用者が表示部6のタッチパネル等を介して任意に設定できるようにしてもよく、ネットワークを介して外部から取得できるようにしてもよい。
【0036】
表示制御部7は、前述した判断の結果と、表示制御テーブルとに基づいて表示部6の表示を制御するようになっている。
【0037】
以上のように構成された移動体端末1について、図5を用いてその動作を説明する。
【0038】
まず、移動体端末1の現在位置が現在位置算出部2によって算出され(S1)、通過経路記憶部5に記憶された既通過経路情報に基づいて、現在位置にある経路が既通過経路および未通過経路の何れかであるかが表示制御部7によって判断される(S2)。
【0039】
ここで、現在位置にある経路が未通過経路であると判断された場合には、現在位置にある経路が表示制御部7によって通過経路記憶部5に記憶され(S3)、表示制御テーブルの未通過経路の列に表された各指示に基づいて表示部6の表示が表示制御部7によって制御される(S4)。
【0040】
一方、現在位置にある経路が既通過経路であると判断された場合には、表示制御テーブルの既通過経路の列に表された各指示に基づいて、表示部6の表示が表示制御部7によって制御される(S5)。
【0041】
例えば、現在位置にある経路が既通過経路であると表示制御部7によって判断された場合には、図6(a)に示すように、表示部6に表示される地名等を表す文字が小さくなったり、細くなったり、削除されたりする。一方、現在位置にある経路が未通過経路であると表示制御部7によって判断された場合には、図6(b)に示すように、表示部6に表示される地名等を表す文字が大きくなったり、太くなったりする。
【0042】
また、現在位置にある経路が既通過経路であると表示制御部7によって判断された場合には、図7(a)に示すように、表示部6に表示されるメニューボタンが通常どおりに表示される。一方、現在位置にある経路が未通過経路であると表示制御部7によって判断された場合には、図7(b)に示すように、表示部6に表示されるメニューボタンのうち、目的地の設定や現在地を表示させるメニューボタンが拡大表示される。
【0043】
また、現在位置にある経路が既通過経路であると表示制御部7によって判断された場合には、図8(a)に示すように、現在位置付近にある建物等を表すランドマークが縮小表示される。一方、現在位置にある経路が未通過経路であると表示制御部7によって判断された場合には、図8(b)に示すように、現在位置付近にある建物等を表すランドマークが拡大表示される。なお、ランドマークを拡大表示や縮小表示するのではなく、大きさの異なるマークを2種類用意しておき、切りかえて表示するようにしてもよい。
【0044】
また、現在位置にある経路が既通過経路であると表示制御部7によって判断された場合には、図9(a)に示すように、表示部6に表示される地図の縮尺が大きくなる。一方、現在位置にある経路が未通過経路であると表示制御部7によって判断された場合には、図9(b)に示すように、表示部6に表示される地図の縮尺が小さくなる。
【0045】
このような本発明の一実施の形態の移動体端末1は、利用者が既に認識している可能性が高い情報の表示を抑制して、他の情報を強調して表示部6に表示させることができるため、表示部6に表示させる情報の視認性を向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように、本発明にかかる移動体端末は、表示装置に表示させる情報の視認性を向上することができるといった効果を有し、例えば、カーナビゲーション装置や携帯電話等に用いられ、表示装置の表示を制御する移動体端末等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施の形態における移動体端末の機能ブロック図
【図2】本発明の一実施の形態における移動体端末が記憶する地図情報に含まれる道路リンクIDを説明するための概念図
【図3】本発明の一実施の形態における移動体端末が記憶する既通過経路情報の例を示すテーブル
【図4】本発明の一実施の形態における移動体端末が記憶する表示制御テーブルの例を示すテーブル
【図5】本発明の一実施の形態における移動体端末の動作説明のためのフロー図
【図6】本発明の一実施の形態における移動体端末を構成する表示部による第1の表示例を示すイメージ
【図7】本発明の一実施の形態における移動体端末を構成する表示部による第2の表示例を示すイメージ
【図8】本発明の一実施の形態における移動体端末を構成する表示部による第3の表示例を示すイメージ
【図9】本発明の一実施の形態における移動体端末を構成する表示部による第4の表示例を示すイメージ
【符号の説明】
【0048】
1 移動体端末
2 現在位置算出部
3 地図情報記憶部
4 経路探索部
5 通過経路記憶部
6 表示部
7 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置が過去に通過した経路上にあるか否かに応じて表示装置の表示を制御する表示制御手段を備えた移動体端末。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記表示装置に表示される地図情報に含まれる文字情報の表示を制御することを特徴とする請求項1に記載の移動体端末。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記表示装置に表示される地図情報に含まれるランドマークの表示を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の移動体端末。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記表示装置に表示される情報のうち一部の情報の表示サイズを変更することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の移動体端末。
【請求項5】
現在位置が過去に通過した経路上にあるか否かに応じて表示装置の表示を制御する表示制御方法。
【請求項6】
現在位置が過去に通過した経路上にあるか否かに応じて表示装置の表示を制御する処理をコンピュータに実行させるための表示制御プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−242829(P2006−242829A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−60586(P2005−60586)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】