説明

組成物

本発明は、約0.1〜約50%(v/v)の総量において、少なくとも3つの異なるジオールを含んで成り、当該ジオールが一般構造(CH2n22を有し、nがCH2の数であって3〜10である組成物、当該組成物を製造する方法、及び例えば治療におけるその使用に関する。この組成物は、医薬、化粧、抗菌性又は防腐組成物であることができる。この組成物は、微生物を不活性化し、或いはその成長を妨げるのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、約0.1〜約50%(v/v)の総量において、少なくとも3つの異なるジオールを含んで成り、当該ジオールが一般構造(CH2n22を有し、nがCH2の数であって3〜10である組成物、当該組成物を製造する方法、及び例えば治療におけるその使用に関する。この組成物は、医薬、化粧、抗菌性又は防腐組成物であることができる。この組成物は、微生物を不活性化し、或いはその成長を妨げるのに有用である。
【背景技術】
【0002】
微生物は、それを不活性化する目的に依存して、異なる方法において不活性化することができる。このアプローチは、その目的が、微生物の成長を妨げることなのか、更なる成長を阻害するのか、或いは微生物を減少及び排除することなのかに依存して異なる。更に、このアプローチは、微生物が位置する場所(例えば、液体中、表面、哺乳動物の体内など)に依存して異なる。しかし、上記の基準から独立した満たす必要のある特定の条件が存在する。高度に効果的であることに加えて、用いるべき組成物は、非毒性、非アレルギー性、環境に優しく、且つ適切なコストで製造することが可能であるべきである。
【0003】
このような薬剤の1つの例は、プロパン−1,2−ジオール(プロピレングリコール)であり、これは皮膚科において微生物を不活性化するのに広く用いられている唯一のジオールである。更に、ペンタン−1,5−ジオールは、局所医薬組成物中の成分として用いられており、それは、プロパン−1,2−ジオールよりも効果的に活性物質の経皮吸収を増大させることが示された。ペンタン−1,5−ジオールの水分結合容量は、プロパン−1,2−ジオールのものに大体相当するが、それは、皮膚の角質層の最も深い部分までより効率的に浸透する。更に、ペンタン−1,5−ジオールは、化粧品として魅力的であり、他のジオールと比較して、皮膚及び目への刺激に対して低い危険性を示し、低い毒性を有し、且つ無臭である。
【0004】
WO03/035021は、化粧品として又は医薬として許容される担体中に、5重量%〜70重量%のペンタン−1,5−ジオールを含んで成るローション、クリーム又は類似のものの形態における薬理活性剤のスキンケア又は投与のための局所組成物を開示する。
【0005】
抗生物質に対する細菌の多剤耐性は、より一般的になってきている。健康の分野においては、今日では、従来の抗菌剤の将来の使用に関して、世界的に懸念が高まっている。効果的な抗菌剤を製造するために、代替の方法及びアプローチを用いる必要がある。PCT/SE2004/001001は、抗生物質感受性で多剤耐性のグラム陽性細菌及びグラム陰性細菌に対する、ペンタン−1,5−ジオールのインビトロでの効果を開示する。ペンタン−1,5−ジオールは、感受性好気性細菌及び多剤耐性好気性細菌に対して、5〜12.5%の範囲の最小発育阻止濃度(MIC)で高度に効果的であった。阻害作用の正確な機構は知られていない;可能性として、ペンタン−1,5−ジオールは、細菌の細胞質から水を引き出し、これは細胞崩壊をもたらす。重要なことには、細菌がペンタン−1,5−ジオールに対して耐性を発達させるのは困難なようである。多剤耐性細菌に対する高い抗菌活性は、ヒト及び動物における局所抗菌治療に関して、ペンタン−1,5−ジオールを興味深い薬剤とする。
【0006】
経皮的送達のための医薬組成物中の2−メチル−ペンタン2,4−ジオールの使用は、US4855294A、US5026556A、US5041439A、6271219B1に開示されている。
【0007】
しかし、微生物を不活性化するのに効果的に用いることのできる、新規の抗菌組成物に対する医学的な必要性は増大している。特に、抗生物質に対して耐性となる微生物、例えば細菌、ウイルス及び真菌のリストは増大している。
【0008】
抗生物質調製物中で用いられる様々な抗生物質又は防腐成分に対してアレルギー性となる個々の集団は増大しており、これは、従来技術への代替物として用いることのできる新規組成物を開発することをも必要とする。
【発明の開示】
【0009】
発明の概要
本発明は、改善された特性を有する、例えば高度に効果的、非毒性、非アレルギー性、環境に優しく、且つ適切なコストで製造することが可能な組成物、例えば抗菌組成物に関する。特定の異なるジオールを混合することにより、驚くべきことに、ジオールを単独又は類似のジオールとの組み合わせで用いる場合と比較して、より高い程度で微生物の成長を減少/阻害することができることを見出した。
【0010】
本発明は、約0.1〜約50%(v/v)の総量において、少なくとも3つの異なるジオールを含んで成り、当該ジオールが一般構造(CH2n22を有し、nがCH2の数であって3〜10である組成物(すなわち、第一のOH基は、全てのジオール中の第一の炭素原子上に存在し、第二のOH基は、異なる炭素原子、例えば炭素原子2、3、4又は5に存在することができる)に関する。
【0011】
更に、本発明は、医薬として許容される塩、希釈剤、賦形剤、担体又はアジュバント及び抗菌組成物を含んで成る医薬組成物に関する。
【0012】
更に、本発明は、化粧又は防腐組成物に関する。
【0013】
従って、本発明は、組成物、医薬組成物、化粧組成物、抗菌組成物又は防腐組成物の使用に関する。
【0014】
更に、本発明は、以下の段階を含んで成る、組成物を製造する方法に関する;少なくとも3つのジオールを調製すること、液体又は固形薬剤を添加すること、混合すること、及び約0.1〜約50%(v/v)のジオールの総量を有する組成物を得ること。
【0015】
最終的に、本発明は、上記の治療有効量の医薬組成物を患者に投与することを含んで成る抗菌感染を処置する方法に関する。
【0016】
そのような広い使用を有する、例えば抗菌組成物である新規の組成物を提供することにより、微生物を不活性化するのに有用な化合物のリストが増大するだろう。更に、独特の特性(すなわち、1つ以上の微生物を不活性化することができる)により、新規の考案された抗菌組成物は、1つ以上の微生物を不活性化する必要がある場合に適切であるだろう。従って、考案された組成物は、ジオールの他の組み合わせと比較して、或いは1つの同一のジオールを単独で用いる場合に、増大した効果を示す。上記のジオールの独特の組み合わせを使用することにより、低濃度の異なるジオールを用いることができることも見出した。
【0017】
発明の詳細な説明
本発明との関連においては、以下の定義を適用する:
【0018】
「不活性化する」という用語は、抗菌組成物が、生きている微生物の量を妨害及び/又は阻害及び/又は排除及び/又は減少させることができることを意味することが意図されている。
【0019】
「医薬活性剤」という用語は、疾患又は疾病を処置するのに用いることのできる任意の活性剤を意味することが意図されている。例は、コルチゾン、抗菌剤、免疫調節剤及び座瘡剤である。
【0020】
抗菌組成物
本発明は、約0.1〜約50%(v/v)の総量において、少なくとも3つの異なるジオールを含んで成り、当該ジオールが一般構造(CH2n22を有し、nがCH2の数であって3〜10、例えばnが3、4、5、6、7、8、9又は10、或いはそれらの混合である組成物に関する。Nは、3つ異なるジオールの間で異なることができ、少なくとも1つのOH基は、異なるジオール中の異なる炭素原子に存在し、或いは両方とも異なる炭素原子に存在することができる。組成物は、異なる長さを有するジオールを含むことができる。更に、ジオールは、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、2−メチルプロパン−1,2−ジオール、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、ペンタン−1,2−ジオール、ペンタン−1,3−ジオール、ペンタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ペンタン−2,3−ジオール、ペンタン−2,4−ジオール、2−メチル−ペンタン−2,4−ジオール、ヘキサン−1,2−ジオール、ヘキサン−1,3−ジオール、ヘキサン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ヘキサン−2,3−ジオール、ヘキサン−2,4−ジオール、ヘキサン−2,5−ジオール、ヘキサン−3,4−ジオール、ヘプタン−1,2−ジオール、ヘプタン−1,3−ジオール、ヘプタン−1,4−ジオール、ヘプタン−1,5−ジオール、ヘプタン−1,6−ジオール、ヘプタン−1,7−ジオール、ヘプタン−2,3−ジオール、ヘプタン−2,4−ジオール、ヘプタン−2、5−ジオール、ヘプタン−2,6−ジオール、ヘプタン−3,4−ジオール、ヘプタン−3,5−ジオール、オクタン−1,2−ジオール、オクタン−1,3−ジオール、オクタン−1,4−ジオール、オクタン−1,5−ジオール、オクタン−1,6−ジオール、オクタン−1,7−ジオール、オクタン−1,8−ジオール、オクタン−2,3−ジオール、オクタン−2,4−ジオール、オクタン−2、5−ジオール、オクタン−2、6−ジオール、オクタン−2、7−ジオール、オクタン−3,4−ジオール、オクタン−3、5−ジオール、オクタン−3,6−ジオール及びオクタン−4、5−ジオールから成る群、例えば3〜6の炭素原子を有するジオールから成る群、例えば2−メチル−ペンタン−2,4−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール及びブタン−1,3−ジオールから成る群から選択することができる。1つの例は、2−メチル−ペンタン−2,4−ジオール、プロパン−1,2−ジオール及びペンタン−1,5−ジオールの混合物である。
【0021】
組成物は、少なくとも4〜5つの異なるジオールを含むことができる。
【0022】
ジオールの立体化学は、本発明に関しては重要ではなく、ジオールの鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体及びラセミ混合物は、全て優れた結果を得るのに用いることができる。実際に、ジオールが「異なる」ことの必要性は、それらが原子の連結において異なること(位置異性)を意味し、それらが例えばR/S又は+/−であるか否かの点が異なることを意味すると理解すべきではない。
【0023】
更に、組成物は、少なくとも4又は5つの異なるジオールを含んで成ることができる。組成物が抗菌組成物として用いられる場合、ジオールの数は、どの微生物を不活性化するかに依存する。ジオールは、約0.25〜50%v/v、例えば約0.25〜約20%v/vの量で存在することができる。例えば、0.25、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20%v/vである。
【0024】
本明細書中で与えられるパーセンテージは、体積/体積基準に基づいて計算された量と理解されるべきである。
【0025】
更に、組成物は、少なくとも1つの追加の成分、例えばアルコール、例えばエタノールを含んで成ることができる。
【0026】
従って、抗菌組成物として用いる場合、組成物は追加の薬剤又は薬剤の混合物、例えば1つ以上の抗菌剤を含んで成る。このような薬剤の例は、フシジン酸、ゲンタマイシン、ネオマイシン、アリルアミン、シクロピロックス、アモロルフィン、ナイスタチン、アンフォテリシン、すなわち抗細菌剤、抗ウイルス剤及び抗真菌剤、例えばイミダゾール、アイクロビル、及びベクタビル(vectavir)である。
【0027】
本発明の組成物は、液体、半液体又は固体消毒調製物、静菌溶液、ローション、クリーム、せっけん、シャンプー、軟膏、ペースト、ウェットタオル、衛生皿、パッチ、おむつ又は類似の個人的な衛生物品の形態をとることができる。組成物の1つの形態は、全ての種類の局所投与、例えば乾燥皮膚の修復、異なる疾患、例えば微生物性の疾患の処置に有用な局所組成物、並びに粘膜、例えば目及び耳の膜に適用する局所組成物である。本発明は、上記の組成物、例えば医薬として許容される塩、希釈剤、賦形剤、担体又はアジュバントを含んで成る医薬組成物にも関する。
【0028】
本発明の医薬組成物は、典型的には、1つ以上の医薬として許容されるアジュバント又は賦形剤を含む組成物中において投与される。このような医薬組成物は、当業界で知られた方法において調製することができ、十分に貯蔵安定であり、ヒト及び動物への投与に適している。
【0029】
「医薬として許容される」は、アジュバント又は賦形剤が、用いられる用量及び濃度において、それを投与した患者において所望されない効果を全く引き起こさないことを意味する。このような医薬として許容される担体又は組成物は、当業界で周知である(以下を参照のこと、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th edition,A.R Gennaro,Ed.,Mack Publishing Company(1990)、及びhandbook of Pharmaceutical Excipients,3rd edition,A.Kibbe,Ed .,Pharmaceutical Press(2000))。
【0030】
医薬組成物は、従来の医薬操作、例えば滅菌にかけることができ、そして/或いは従来のアジュバント、例えば防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝液、充填剤など、例えば本明細書に開示したものを含むことができる。
【0031】
本発明の医薬組成物は、局所的に投与することができ、例えば軟膏、ローション、ペースト、クリーム、ゲル、タルク、スプレー、溶液及びエマルジョンである。軟膏、ローション、クリーム及びゲルは、1つ又は複数の抗菌剤に加えて、賦形剤、例えば動物性脂肪及び植物性脂肪、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、タルク及び酸化亜鉛又はこれらの物質の混合物を含むことができる。タルク及びスプレーは、1つ又は複数の抗菌剤に加えて、賦形剤、例えばラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びポリアミド粉末又はそれらの混合物を含むことができる。スプレーは、高圧ガス、例えばクロロフルオロハイドロカーボンも含むことができる。溶液及びエマルジョンは、賦形剤、例えば溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えば水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカルボン酸塩、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレンアルコール、ジメチルホルムアミド、油、例えば綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油、グリセロール、グリセロールホルマール(formal)、テトラヒドロフルフリル(tetrahydrofurfuyl)アルコール、ポリエチレングリコール及び脂肪酸エステル、例えばソルビタン又はそれらの混合物を含むことができる。
【0032】
医薬組成物は、医薬有効量で患者に投与されるだろう。「医薬有効量」により、それを投与する状態に関して、所望の効果を生み出すのに十分な用量を意味される。正確な用量は、化合物の活性、投与方法、疾患の性質及び重度、患者の年齢及び体重に依存し、異なる用量が必要とされる。用量の投与は、個々の用量単位の形態における単回投与により、又はいくつかのより小さな用量単位により、又は特定の間隔における分割用量の複数回投与により実施することができる。
【0033】
本発明の医薬組成物は、単独又は他の治療剤と組み合わせて投与することができる。これらの薬剤は、同一の医薬組成物の部分として組み込まれ得る。
【0034】
本発明の目的の「患者」は、ヒトと他の動物の両方を含む。従って、この方法は、ヒトの治療と獣医学的適用の両方に適用可能である。
【0035】
本発明は、上記の抗菌組成物を含む化粧組成物又は局所製剤、及びゲル、クリーム、軟膏、懸濁液、エアロゾル、ペースト、粉末、ローションにも関する。
【0036】
考案された組成物、医薬組成物、化粧組成物、抗菌組成物又は防腐組成物は、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌、真菌、例えば酵母、カビ及び皮膚糸状菌及びウイルスから成る群から選択される微生物を不活性化するのに用いることができる。例としては、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、連鎖球菌(Streptococci)、グラム陰性桿菌(gram negative rod)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、マラセジア属(Malassezia)、M.フラフール(M.furfur)、カビ黄色コウジ菌(Aspergillus flavus)及び皮膚糸状菌紅色白癬菌(Trichophyton rubrum)、毛瘡白癬菌(T.mentagrophytes)、エピデルモフィトン・フロクサム(Epidermophyton floccusum)、犬小胞子菌(Microsporum canis)、乳頭腫ウイルス、ヘルペスウイルス及びポックス・ウイルスを挙げることができるが、これらに限定されない。他の有用な使用は、乾燥皮膚の修復である。
【0037】
本発明は、以下の段階を含んで成る、上記の組成物を製造する方法にも関する;上記の少なくとも3つの異なるジオールを調製すること、液体又は固形薬剤を添加すること、混合すること、及び組成物、例えば約0.1〜約50(v/v)のジオールの総量を有する抗菌組成物を得ること。
【0038】
従って、本発明は、治療有効量の上記の医薬組成物を患者に投与することを含んで成る、抗菌感染を処置する方法に関する。
【0039】
最終的に、本発明は、他の防腐剤、例えばパラベン、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビン酸などを使用しない、防腐剤としての上記のジオールの使用に関する。防腐剤は、例えば、コンタクトレンズ溶液、シャンプー、練り歯磨き、液状せっけん、洗浄液体、クリーム、軟膏、ペースト又はクリーニング溶液中で用いることができる。
【0040】
以下の実施例は、任意の様式、形状、又は形態で、明示的に又は黙示的に、本発明を説明することを意図し、限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0041】
材料と方法
微生物。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)番号515x6352及びカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)H29は、Collection in the Department of Microbiology(Sahlgrenska University Hospital, Gothenburg,Sweden)から得た。単離物は、血液寒天上で37℃において保持した。
【0042】
M.シンポディアリス(M.sympodialis)CBS 7222及びM.グロボーサ(M.globosa)CBS 7966
【0043】
化合物。プロパン−1,2−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール及び2−メチルペンタン−2,4−ジオール及びブタン−1,3−ジオールは、98〜98.5%の純度で、Merck Schuchardt(Hohenbrunn、Germany)から得た。
【0044】
実施例1
静菌効果に関する試験(MIC=最小発育阻止濃度)。
各ジオール及びそれらの組み合わせ(1:1:1 体積/体積)を、試験培地、診断鋭敏度試験寒天(DST)(Oxoid、UK)で直接的に希釈し、試験培地中で、2、3、4、6、9及び12%体積パーセントの各ジオールの濃度、並びに2、3、及び4%の組み合わせにおける各ジオールの濃度を得た。
【0045】
黄色ブドウ球菌(S.aureus)細胞は、103及び105細胞/mlの濃度で寒天培地に添加し、C.アルビカンス(C.albicans)細胞は106細胞/mlの濃度で添加し、M.シンポディアリス(M.sympodialis)CBS 7222及びM.グロボーサ(M.globosa)は107細胞/mlの濃度で添加した。各実験を繰り返した。MIC(最小発育阻止濃度)を、全体的に成長を阻害する最も低い濃度として規定した。プロパン−1,2−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、2−メチルペンタン−2,4−ジオール及びこれらの3つのジオールの組み合わせのMICを、表1に示す。
【0046】
この表は、プロパン−1,2−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、2−メチルペンタン−2,4−ジオール及びそれらの組み合わせの、インビトロでの黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)及びカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)の成長への効果(MIC(%))を示す。3%のそれぞれ3つのジオールの組み合わせは、黄色ブドウ球菌(S.aureus)の成長を完全に阻害し、2%の組み合わせは、C.アルビカンス(C.albicans)の成長を完全に阻害し、0.5%の濃度は、M.シンポディアリス(M.sympodialis)及びM.グロボーサ(M.globosa)の成長を完全に阻害した。4つのジオールの組み合わせでは、2%の組み合わせは、黄色ブドウ球菌(S.aureus)の成長を完全に阻害し、1%の組み合わせは、C.アルビカンス(C.albicans)の成長を完全に阻害し、0.25%の濃度は、M.シンポディアリス(M.sympodialis)及びM.グロボーサ(M.globosa)の成長を完全に阻害した。黄色ブドウ球菌(S.aureus)に関しては、単独で試験した場合には、全体で12%のペンタン−1,5−ジオール及び2−メチルペンタン−2,4−ジオールによってのみ、同一の活性が得られた。プロパン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール及びエタノールは、12%においてでさえも、黄色ブドウ球菌(S.aureus)の成長を阻害することができなかった。
【0047】
実施例2
静菌性局所医薬組成物の調製
プロパン−1,2−ジオール+ペンタン−1,5−ジオール+2−メチルペンタン−2,4−ジオールの等量の混合物を、Essex(登録商標)クリーム基剤(Schering Plough)と混合し、2又は3%の最終濃度とした。
【0048】
実施例3
実施例3は、実施例1のように実施した。
【0049】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
約0.1〜約50%(v/v)の総量において、少なくとも3つの異なるジオールを含んで成り、当該ジオールが一般構造(CH2n22を有し、nがCH2の数であって3〜10である組成物。
【請求項2】
nが3、4、5、6、7、8、9又は10、或いはそれらの混合である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
nが3つのジオールの間で異なる、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1つのOH基が、異なるジオール中の異なる炭素原子に存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
ジオールが、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、2−メチルプロパン−1,2−ジオール、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、ペンタン−1,2−ジオール、ペンタン−1,3−ジオール、ペンタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ペンタン−2,3−ジオール、ペンタン−2,4−ジオール、2−メチル−ペンタン−2,4−ジオール、ヘキサン−1,2−ジオール、ヘキサン−1,3−ジオール、ヘキサン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ヘキサン−2,3−ジオール、ヘキサン−2,4−ジオール、ヘキサン−2,5−ジオール、ヘキサン−3,4−ジオール、ヘプタン−1,2−ジオール、ヘプタン−1,3−ジオール、ヘプタン−1,4−ジオール、ヘプタン−1,5−ジオール、ヘプタン−1,6−ジオール、ヘプタン−1,7−ジオール、ヘプタン−2,3−ジオール、ヘプタン−2,4−ジオール、ヘプタン−2,5−ジオール、ヘプタン−2,6−ジオール、ヘプタン−3,4−ジオール、ヘプタン−3,5−ジオール、オクタン−1,2−ジオール、オクタン−1,3−ジオール、オクタン−1,4−ジオール、オクタン−1,5−ジオール、オクタン−1,6−ジオール、オクタン−1,7−ジオール、オクタン−1,8−ジオール、オクタン−2,3−ジオール、オクタン−2,4−ジオール、オクタン−2,5−ジオール、オクタン−2,6−ジオール、オクタン−2,7−ジオール、オクタン−3,4−ジオール、オクタン−3,5−ジオール、オクタン−3,6−ジオール及びオクタン−4,5−ジオールから成る群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
nが3〜6である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
ジオールが、2−メチル−ペンタン−2,4−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール及びブタン−1,3−ジオールから成る群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
ジオールが、2−メチル−ペンタン−2,4−ジオール、プロパン−1,2−ジオール及びペンタン−1,5−ジオールである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
組成物が、少なくとも4又は5つの異なるジオールを含んで成る、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
ジオールが、約0.25〜約50%(v/v)の量で存在する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
ジオールが、約0.25〜約20%の量で存在する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
ジオールが、0.25、0.5、1 、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11 、12、13、14、15、16、17、18、19又は20%v/vの量で存在する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
組成物が、抗細菌剤、抗ウイルス剤及び抗真菌剤から成る群から選択される、追加の抗菌剤を含んで成る、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
薬剤が、フシジン酸、ゲンタマイシン、ネオマイシン、アリルアミン、シクロピロックス、アモロルフィン、ナイスタチン、アンフォテリシン、イミダゾール、アイクロビル、及びベクタビル(vectavir)から成る群から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
組成物が1つ以上のアルコールを含んで成る、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
医薬として許容される塩、希釈剤、賦形剤、担体又はアジュバント及び請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物を含んで成る、医薬組成物。
【請求項17】
組成物が医薬活性剤を含んで成る、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物を含んで成る化粧組成物。
【請求項19】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物を含んで成る防腐組成物。
【請求項20】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物を含んで成る抗菌組成物。
【請求項21】
組成物が、軟膏、ローション、ペースト、クリーム、ゲル、タルク、スプレー、溶液、エマルジョンせっけん、シャンプー、軟膏、ペースト、ウェットタオル、衛生皿、パッチ又はおむつ中に存在する、請求項1〜20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
微生物の不活性化のための、請求項1〜15に記載の組成物、請求項16〜17に記載の医薬組成物、請求項18に記載の化粧組成物、又は請求項19に記載の防腐組成物、又は請求項20に記載の抗菌組成物、及び請求項21に記載の組成物の使用。
【請求項23】
微生物が、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌、ウイルス及び真菌から成る群から選択される、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
微生物が、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、連鎖球菌(Streptococci)、グラム陰性桿菌(gram negative rod)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、マラセジア属(Malassezia)、M.フラフール(M.furfur)、カビ黄色コウジ菌(Aspergillus flavus)、皮膚糸状菌紅色白癬菌(Trichophyton rubrum)、毛瘡白癬菌(T.mentagrophytes)、エピデルモフィトン・フロクサム(Epidermophyton floccusum)、犬小胞子菌(Microsporum canis)、乳頭腫ウイルス、ヘルペスウイルス及びポックス・ウイルスから成る群から選択される、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
i)請求項1〜15のいずれか一項に記載の少なくとも3つの異なるジオールを調製する段階、
ii)液体又は固形薬剤を添加する段階
iii)混合する段階、及び
iv)約0.1〜約50%(v/v)のジオールの総量を有する組成物を得る段階
を含んで成る、組成物を製造する方法。
【請求項26】
治療有効量の請求項16〜17に記載の医薬組成物を患者に投与することを含んで成る、微生物感染を処置する方法。

【公表番号】特表2008−521799(P2008−521799A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−542986(P2007−542986)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【国際出願番号】PCT/SE2005/001787
【国際公開番号】WO2006/057616
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(505454959)アンブリア ダーマトロジー アクティエボラーグ (2)
【Fターム(参考)】