緊急車両情報出力システム及び緊急車両情報出力方法
【課題】緊急車両の情報を提供する際の緊急車両情報と通知範囲の精度を向上させる。
【解決手段】緊急車両接近通知システムは、自車両が緊急車両であることを示す緊急車両情報、前記自車両の位置を示す位置情報及び前記自車両の通る予定経路を示す経路情報を送信する緊急車両搭載装置と、前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自己車両の位置を基に、自己車両が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、前記緊急車両情報をユーザに出力する通常車両搭載装置とを備える。
【解決手段】緊急車両接近通知システムは、自車両が緊急車両であることを示す緊急車両情報、前記自車両の位置を示す位置情報及び前記自車両の通る予定経路を示す経路情報を送信する緊急車両搭載装置と、前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自己車両の位置を基に、自己車両が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、前記緊急車両情報をユーザに出力する通常車両搭載装置とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急車両の緊急車両情報および緊急車両の現在地や目的地、経路を特定する緊急車両情報出力システムに関し、特に、「位置・経路情報」を車載コンピュータにて管理して、緊急車両を特定可能な情報により通知する緊急車両情報出力システムおよび緊急車両情報出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、緊急車両が接近していることを知らせる手段として、緊急車両に搭載されている赤色灯およびサイレンであり、緊急車両が後方より接近している場合や車内で音楽を大音量で聞いて運転していてサイレンの音が聞こえないような場合、或いは聴覚弱者が運転しているような場合など、赤色灯およびサイレンだけでは緊急車両が接近していることを運転者が早期に発見するのは容易ではなく、あらかじめ緊急車両が安全に通行できるスペースを空けておくことができず、緊急車両が立ち往生することがある。
【0003】
また、救急車の到着を待てないほど、急を要するような病人を病院に運ぶ場合には、一般車両で搬送すると他の車両はその一般車両が急患を乗せていることを知る手段がないために、一般車両で急患を臨時に運ぶこともできない。
【0004】
さらに、緊急車両が交差点に進入するときは、進行方向の信号機が赤信号でも交差点に進入する必要があるため、ある方向から信号機が青信号で進入してくる車両にとって、緊急車両が赤信号の方向から進入してくることを早期に発見することは容易ではなく、交差点内での緊急車両との衝突事故も発生することもある。
【0005】
また、パトカーと同じ塗装および赤色灯などを設置して外装をパトカーに偽装して道路を緊急車両として走行するような車両があったとしても、現状は走行中の場合に容易に確認する手段がない。
【0006】
そこで、緊急車両に係る情報を他の車両(一般車両)に通知する緊急車両接近通知システムが、特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2004−355272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された緊急車両接近通知システムでは、緊急車両に係る情報を、緊急車両の車両位置から所定範囲に位置する他の車両(一般車両)に対してのみしか緊急車両に係る情報を通知することしかできない。
【0008】
また、道路上における車両の混み具合や道路の工事渋滞などの事情によって、通知される緊急車両に係る情報と、実際に緊急車両が一般車両に接近するまでの状態とに、差異が生じることがある。
【0009】
そこで、本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、緊急車両の情報を提供する際の緊急車両情報と通知範囲の精度を向上させることができる緊急車両情報出力システム及び緊急車両情報出力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る緊急車両情報出力システムは、自車両が緊急車両であることを示す緊急車両情報、前記自車両の位置を示す位置情報及び前記自車両の通る予定経路を示す経路情報を送信する緊急車両搭載装置と、前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自己車両の位置を基に、自己車両が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、前記緊急車両情報をユーザに出力する通常車両搭載装置とを備えることを特徴とする。
【0011】
また本発明に係る緊急車両情報出力システムは、前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自己車両の位置を基に、自己車両が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、前記緊急車両情報をユーザに出力すると共に、受信した前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を送信する第2の通常車両搭載装置とをさらに備えるようにしても良い。
【0012】
また本発明に係る緊急車両情報出力システムは、前記緊急車両搭載装置、又は前記第2の通常車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報、及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自信号機の位置を基に、自信号機が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、赤信号を表示する信号機搭載装置をさらに備えるようにしても良い。
【0013】
本発明に係る緊急車両情報出力システムは、自車両が緊急車両であることを示す緊急車両情報、前記自車両の位置を示す位置情報及び前記自車両の通る予定経路を示す経路情報を送信する緊急車両搭載装置と、前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自信号機の位置を基に、自信号機が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、赤信号を表示する信号機搭載装置とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る緊急車両情報出力システムは、自車両が緊急車両であることを示す緊急車両情報、前記自車両の位置を示す位置情報及び前記自車両の通る予定経路を示す経路情報を送信する緊急車両搭載装置と、前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自己車両の位置を基に、自己車両が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、前記緊急車両情報をユーザに出力する通常車両搭載装置とを備え、前記緊急車両が必要な場合には、通常車両搭載装置を有する車両が、臨時に前記緊急車両として機能することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る緊急車両情報出力方法は、自車両が緊急車両であることを示す緊急車両情報、前記自車両の位置を示す位置情報及び前記自車両の通る予定経路を示す経路情報を送出する緊急車両情報送出ステップと、前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自己車両の位置を基に、自己車両が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、前記緊急車両情報をユーザに出力する通常車両情報送出ステップとを備えることを特徴とする。
【0016】
また本発明に係る緊急車両情報出力方法は、前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自己車両の位置を基に、自己車両が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、前記緊急車両情報をユーザに出力すると共に、受信した前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を送信する第2の通常車両情報送出ステップとをさらに備えるようにしても良い。
【0017】
また本発明に係る緊急車両情報出力方法は、前記緊急車両搭載装置、又は前記第2の通常車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報、及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自信号機の位置を基に、自信号機が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、赤信号を表示する信号機情報送出ステップをさらに備えるようにしても良い。
【0018】
本発明に係る緊急車両情報出力方法は、自車両が緊急車両であることを示す緊急車両情報、前記自車両の位置を示す位置情報及び前記自車両の通る予定経路を示す経路情報を送信する緊急車両情報送出ステップと、前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自信号機の位置を基に、自信号機が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、赤信号を表示する信号機情報送出ステップとを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る緊急車両情報出力方法は、自車両が緊急車両であることを示す緊急車両情報、前記自車両の位置を示す位置情報及び前記自車両の通る予定経路を示す経路情報を送信する緊急車両情報送出ステップと、前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自己車両の位置を基に、自己車両が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、前記緊急車両情報をユーザに出力する通常車両情報送出ステップと前記緊急車両が必要な場合には、通常車両情報送出ステップを有する車両が、臨時に前記緊急車両として機能する臨時緊急車両機能ステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、緊急車両が車載コンピュータに通信機能を備えると共に、通信機能を有するコンピュータを備える他のものと通信を行うことにより、緊急車両が緊急車両情報を通知するだけでなく、通信機能を有するコンピュータを搭載した緊急車両以外の車両や信号機も受信した緊急車両情報を送信することができる。
【0021】
これにより、緊急車両の接近を通知する際、緊急車両情報を精度良く通知することができると共に、緊急車両の進行方向に通知することができるので、緊急車両情報の通知範囲の精度を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、パトカーや救急車、消防車に代表される緊急車両を識別する「緊急車両情報」および緊急車両の現在地や目的地、経路を特定する「位置・経路情報」を車載コンピュータにて管理し、IDとパスワードによって当該情報の登録・変更を行う権限を制限し、緊急車両の車載コンピュータの通信機能を介して「緊急車両情報」および「位置・経路情報」を他の車両に対して通知し、さらに通知を受けた車両も同様の車載コンピュータの通信機能を介して他の車両へと緊急車両が接近していることを通知するような緊急車両接近通知システムと、警察による緊急車両登録・管理方法を提供するものである。
【0023】
「緊急車両情報」とは、緊急車両を管理するための情報であり、”請求機関情報”および“車両管理情報”、“用途情報”から成る。“請求機関情報”としては、当該車両に対して緊急車両として道路を走行することを請求した機関を特定可能な情報であり、例えば、警察庁や消防庁などの具体的な機関を示す情報である。“車両管理情報”としては、車両を特定可能な情報であり、例えば、車体番号や車両型番、陸運局が発行するナンバープレートの情報などである。“用途情報”としては、緊急車両としての用途を特定可能な情報であり、例えば、救急車などのように、「消防法に基づいて急患者を病院に搬送する」などである。
【0024】
「位置・経路情報」とは、緊急車両の“現在地”および“目的地”、“目的地までの経路“を特定可能な情報であり、例えば、GPS(Global Positionig System)による位置情報や地図データにマッピング可能な経路情報である。
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の緊急車両情報出力システムを示すシステム構成図である。
【0026】
図1において、警察は、緊急車両Aを緊急車両として登録する際に、緊急車両Aを特定可能な車体番号や車両型番、陸運局より交付されたナンバープレートなどの“車両管理情報”および緊急車両Aを緊急車両として道路を走行することを請求した機関(警察庁や消防庁など)を示す“請求機関情報”などを車載コンピュータ100と警察Eのサーバ端末200に登録する。
【0027】
なお、この緊急車両Aに関する「緊急車両情報」を車載コンピュータ100およびサーバ端末200に登録・更新することが可能なのは、一般道路上を緊急車両として走行することを許可する機関であり、警察に限定することができる。
【0028】
以下、本実施の形態では、登録・更新について、一般道路を走行する緊急車両を登録及び管理する管轄を警察に限定した場合について説明するが、本発明ではこれに限定されるものではなく、緊急車両を登録できる機関が複数あれば、その機関によって登録できるようにしても良い。
【0029】
緊急車両Aは、目的地を車載コンピュータ100に入力することで、車載コンピュータ100のGPSなどの機能を用いて算出した現在地から目的地までの経路を決定して、車載コンピュータ100に「位置・経路情報」を登録する。
【0030】
なお、この緊急車両Aに関する「位置・経路情報」を車載コンピュータ100に登録・更新することが可能なのは、緊急車両Aの運転者のみに限定する。
【0031】
車載コンピュータ100は、緊急車両Aが目的地に向けて移動している最中、GPSなどの機能を用いて緊急車両Aの現在地を算出し、現在地から目的地までの経路を決定して、車載コンピュータ100の「位置・経路情報」を定期的に自動更新する。
【0032】
次に車載コンピュータ100は、車載コンピュータ100の通信機能を用いて、車載コンピュータ100に登録されている「緊急車両情報」および「位置・経路情報」を他の車両Bの車載コンピュータ300へ定期的に自動送信する。
【0033】
なお、この車載コンピュータ100は、緊急車両Aの「緊急車両情報」および「位置・経路情報」を自動送信するのは、緊急車両Aの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」の両方が車載コンピュータ100に登録されているときに限られ、緊急車両Aの「位置・経路情報」を元に緊急車両Aの進行方向に存在する車両(対向車も含む)のみに限定する。
【0034】
ここで緊急車両Aの「緊急車両情報」および「位置・経路情報」を進行方向に送信するために、ミニFM(Frequency modulation)の電波を送信する送信機を用いて、緊急車両Aの「位置・経路情報」を送信することにより、その電波を受信した車両は、自車のGPSによって緊急車両の経路に位置しているか否か判断することができるので、進行方向に存在する車両を特定することができる。
【0035】
また、本実施の形態では、緊急車両Aから車両Bまでの距離は、ミニFMの電波送信が200m程度(チューナーとアンテナの感度により変動することがある。)であるが、本発明はこの範囲に限定されるものではない。
【0036】
なお、進行方向に送信する方法は、ミニFMの電波送信に限定されるものではなく、緊急車両Aの「位置・経路情報」を送信することにより、他の車両が緊急車両の経路上に位置するか否かが分かれば良い。
【0037】
車両Bの車載コンピュータ300は、車載コンピュータ300の通信機能を介して緊急車両Aの「緊急車両情報」および「位置・経路情報」を受信する。
【0038】
次に車載コンピュータ300は、受信した緊急車両Aの「緊急車両情報」および「位置・経路情報」を元に、車両Bの運転者に対して緊急車両Aの接近を通知する。
【0039】
さらに車載コンピュータ300は、車載コンピュータ300の通信機能を用いて他の車両Cの車載コンピュータ400へと緊急車両Aに関する「緊急車両情報」および「位置・経路情報」を自動送信する。
【0040】
車両Cの車載コンピュータ400は、車載コンピュータ300と同様の動作を実施して、次々と緊急車両Aの「緊急車両情報」および「位置・経路情報」を他の車両へと伝播する。
【0041】
なお、この車載コンピュータ300(または車載コンピュータ400)が受信した緊急車両Aの「緊急車両情報」および「位置・経路情報」を自動送信するのは、受信した緊急車両Aの「位置・経路情報」から緊急車両Aと車両B(または車両C)までの距離を算出して、その距離がある一定の範囲内に存在する場合に限られ、緊急車両Aの「位置・経路情報」を元に緊急車両Aの進行方向に存在する他の車両(対向車も含む)のみに限定する。
【0042】
また、本実施の形態では、緊急車両Aから車両Bまでの距離は、ミニFMの電波送信が200m程度であったが、本発明はこの範囲に限定されるものではない。
【0043】
なお、緊急車両Aが送信した「緊急車両情報」と「位置・経路情報」は、車両Bや車両Cなどの他の車両が自動送信する回数を任意に規定することができ、ここでは5回まで自動送信することができるようになされている。すなわち、緊急車両Aが送信した「緊急車両情報」と「位置・経路情報」は、200m程度の範囲で送信されることにより、隣接する車両を介して、最長1km程度先まで通知することが可能になっている。
【0044】
また緊急車両Aは、この電波送信範囲を設定することも可能であり、緊急車両Aから他の車両を介して、送信先の範囲を500mまでと制限することができるようになされている。
【0045】
このように伝搬する範囲を一定の範囲に制限することによって、無限に緊急車両Aの「緊急車両情報」および「位置・経路情報」が伝播されることを防ぐことが可能である。
【0046】
警察官Dは、携帯端末500を用いて車載コンピュータ100(または車載コンピュータ300、車載コンピュータ400)から緊急車両Aの「緊急車両情報」を受信する。
【0047】
次に警察官Dは、携帯端末500も用いてネットワーク600を介して警察Eのサーバ端末200から緊急車両Aの「緊急車両情報」を取得する。
【0048】
最後に警察官Dは、車載コンピュータ100(または車載コンピュータ300、車載コンピュータ400)および警察Eのサーバ端末200から取得した緊急車両Aの「緊急車両情報」に不一致がないかなどをチェックする。
【0049】
これにより、警察によって緊急車両として道路を走行することを許可された緊急車両Aの「緊急車両情報」を緊急車両Aの車載コンピュータ100および警察Eのサーバ端末200にて管理し、通信機能およびネットワーク機能を介していつでもどこでも相互に参照して、緊急車両の遠隔確認を可能にする。
【0050】
さらに、車両Bと車両Cの間で受信した緊急車両Aの「緊急車両情報」および「位置・経路情報」を自動的に伝播することにより、緊急車両Aの接近を遠隔通知し、緊急車両Aの接近を知った車両Bおよび車両Cの運転者が、車両Bおよび車両Cを道路の左側または右側に寄せることで緊急車両Aが走行するための車線を確保して備えることが可能となる。
【0051】
このように、「緊急車両情報」は、道路上の車両状況に基づいて通知されるようになっており、道路が車両で混んでいれば、隣接する一般車両の車載コンピュータや信号機を介して、緊急車両の進行方向に位置する他の車両まで「緊急車両情報」を通知することができる。また、道路が車両で混んでいなければ、所定範囲に位置する他の車両に「緊急車両情報」を通知することができるので、隣接する車両状況に基づいて「緊急車両情報」を通知することができるようになっている。
(第1の実施例)
図1を参照すると、本発明の緊急車両接近通知システムの第1の実施の形態では、緊急車両Aと、緊急車両Aに搭載される車載コンピュータ100と、警察Eのサーバ端末200と、車両Bに搭載される車載コンピュータ300と、車両Cに搭載される車載コンピュータ400と、警察官Dの携帯端末500と、サーバ端末200と携帯端末500を相互に接続する通信ネットワーク600とを備えている。
【0052】
緊急車両Aは、警察Eのサーバ端末200にて緊急車両として登録及び管理される車両であり、「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を管理する車載コンピュータ100を有する。
【0053】
「緊急車両情報」とは、緊急車両を管理するための情報であり、”請求機関情報”および“車両管理情報”、“用途情報”のことを言う。“請求機関情報”としては、当該車両に対して緊急車両として道路を走行することを請求した機関を特定可能な情報であり、例えば、警察庁や消防庁などの具体的な機関を示す情報である。“車両管理情報”としては、車両を特定可能な情報であり、例えば、車体番号や車両型番、陸運局が発行するナンバープレートの情報などである。“用途情報”としては、緊急車両としての用途を特定可能な情報であり、例えば、救急車などのように、「消防法に基づいて急患者を病院に搬送する」などである。
【0054】
「位置・経路情報」とは、緊急車両の“現在地”および“目的地”、“目的地までの経路“を特定可能な情報であり、例えば、GPSによる位置情報や地図データにマッピング可能な経路情報である。
【0055】
車載コンピュータ100は、「緊急車両情報」と「位置・経路情報」などを記憶するための機能と、「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を操作する画面を表示する機能と、外部インタフェースとしての有線または無線の通信機能、GPSのように緊急車両Aの現在地を算出するための機能を備えている。
【0056】
また、車載コンピュータ100は、「緊急車両情報」と「位置・経路情報」へのアクセス(参照を除く、登録や更新など)を制御するアクセス制御機能を有しており、操作画面や通信機能を介してアクセスする際にはIDおよびパスワードの入力が求められる。
【0057】
警察Eのサーバ端末200は、ワークステーション・サーバ等の情報処理装置である。サーバ端末200は、警察Eにて登録及び管理されている全緊急車両に関する「緊急車両情報」を記録するための機能と、緊急車両ごとの「緊急車両情報」を操作する画面を表示する機能と、通信ネットワーク400などに接続するためのネットワーク機能を備えている。
【0058】
車両B(または車両C)は、緊急車両として道路を走行することを許可されていない一般車両であり、接近してきた緊急車両Aの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を受信して一時的に保存管理する車載コンピュータ300(または車載コンピュータ400)を備えている。
【0059】
車載コンピュータ300(または車載コンピュータ400)は、受信した緊急車両Aの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」などを一時的に記憶するための機能と、緊急車両Aの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を表示する機能と、外部インタフェースとしての有線または無線の通信機能、GPSのように車両B(または車両C)の現在地を算出するための機能を有している。
【0060】
警察官Dの携帯端末500は、PDAのような携帯可能な情報処理装置である。携帯端末500は、緊急車両Aおよび車両B(または車両C)に搭載されている車載コンピュータ100および車載コンピュータ300(または車載コンピュータ400)と通信する機能と、通信ネットワーク600などに接続するためのネットワーク機能と、通信機能およびネットワーク機能を介して得られた「緊急車両情報」を操作する画面を表示する機能、GPSのように携帯端末500の現在地を算出するための機能を有している。
【0061】
次に、図1及び図2のフローチャート(警察が行う「緊急車両情報」の登録・更新動作)、図3のフローチャート(緊急車両の運転者が行う「位置・経路情報」の登録・更新動作)、図4のフローチャート(緊急車両で行う緊急車両接近の通知動作)、図5のフローチャート(車両間で行う緊急車両接近の通知動作)、図6のフローチャート(警察官が行う「緊急車両情報」の確認動作)を参照して本実施例の全体の動作について詳細に説明する。
【0062】
初めに、警察が行う「緊急車両情報」の登録・更新動作について説明する。
【0063】
まず、警察は、緊急車両Aを緊急車両として道路を走行することを許可する際に、警察Eのサーバ端末200に表示されたパスワード入力画面で、警察のIDとパスワードを入力する(図2のステップA1)。それに応答して、サーバ端末200のアクセス制御機能は、入力された警察のIDとパスワードのチェックを行う(図2のステップA2)。
【0064】
警察は、警察のIDとパスワードが認証されたあと、サーバ端末200に緊急車両を登録・更新する画面が表示される(図2のステップA3)ので、緊急車両Aに対して緊急車両として道路を走行することを請求した機関を特定可能な“請求機関情報”および、緊急車両Aを特定可能な車体番号や車両型番、陸運局で交付されたナンバープレートなどの“車両管理情報”、緊急車両としての用途を特定可能な“用途情報”から成る緊急車両Aの「緊急車両情報」を、サーバ端末200に登録する(図2のステップA4)。こうして登録された緊急車両Aの「緊急車両情報」は、警察Eのサーバ端末200に蓄えられる。
【0065】
そして警察は、緊急車両Aの「緊急車両情報」を緊急車両Aの車載コンピュータ100に向けて送信する(図2のステップ5)。
【0066】
つぎに、警察は、車載コンピュータ100が緊急車両Aの「緊急車両情報」を受信(図2のステップA6)すると、車載コンピュータ100にIDとパスワードを入力する画面が表示される(図2のステップA7)ので、警察のIDとパスワードを入力する(図2のステップA8)。それに応答して、車載コンピュータ100のアクセス制御機能は、入力された警察のIDとパスワードのチェックを行う(図2のステップA9)。そして、警察のIDとパスワードが認証されたあと、車載コンピュータ100は、受信した緊急車両Aの「緊急車両管理情報」を車載コンピュータ100に登録する(図2のステップA10)。
【0067】
こうして登録された緊急車両Aの「緊急車両情報」は、車載コンピュータ100に蓄えられ、警察Eのサーバ端末200に蓄えられている緊急車両Aの「緊急車両情報」と同じ内容である。
【0068】
なお、この緊急車両Aの「緊急車両情報」を車載コンピュータ100およびサーバ端末200に登録・更新する動作(図2のステップA3からA4およびステップA10)、およびサーバ端末200から車載コンピュータ100に向けて緊急車両Aの「緊急車両情報」を送信する動作(図2のステップA5)は、警察のみが行える。
【0069】
この実施例では、緊急車両の登録・更新する管轄は、道路交通法によって一般道路上の緊急車両を規制するのは警察であるため、警察のみ登録・更新することができるようになっている。
【0070】
次に、緊急車両の運転者が行う「位置・経路情報」の登録・更新動作について説明する。
【0071】
まず、緊急車両Aの運転者は、車載コンピュータに100にIDとパスワードを入力する画面が表示される(図3のステップB1)ので、緊急車両Aの運転者のみに知らされている運転者のIDとパスワードを入力する(図3のステップB2)。
【0072】
それに応答して、車載コンピュータ100のアクセス制御機能は、入力された運転者のIDとパスワードのチェックを行う(図3のステップB3)。
【0073】
つぎに、緊急車両Aの運転者は、運転者のIDとパスワードが認証されたあと、車載コンピュータ100に緊急車両Aの目的地を設定する画面が表示される(図3のステップB4)ので、緊急車両Aの目的地を設定(図3のステップB5)することにより、車載コンピュータ100が緊急車両Aの現在地から目的地までの経路を決定(図3のステップB6)して、緊急車両Aの「位置・経路情報」として車載コンピュータ100に登録される(図3のステップB7)。
【0074】
こうして登録された緊急車両Aの「位置・経路情報」は緊急車両Aが目的地に到着するまで車載コンピュータ100に蓄えられる。
【0075】
なお、この緊急車両Aの「位置・経路情報」を車載コンピュータ100に登録する動作(図3のステップB4からB7)は、緊急車両Aの運転者IDとパスワードを知っている緊急車両Aの運転者のみが行える。
【0076】
次に、緊急車両で行う緊急車両接近の通知動作について説明する。
【0077】
まず、緊急車両Aの車載コンピュータ100は、車載コンピュータ100に登録されている緊急車両Aの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を車載コンピュータ100の通信機能を用いて、緊急車両Aの進行方向(「位置・経路情報」の目的地までの経路より特定可能)に向けて送信する(図4のステップC1)。
【0078】
つぎに、車載コンピュータ100は、緊急車両Aの現在地を算出して緊急車両Aの目的地に緊急車両Aが到着したか否かをチェックする(図4のステップC2)。
【0079】
まだ緊急車両Aの目的地に到着していない場合、車載コンピュータ100が緊急車両Aの現在地から目的地までの経路を決定(図4のステップC3)して、緊急車両Aの「位置・経路情報」として車載コンピュータ100に更新する(図4のステップC4)。こうして更新された緊急車両Aの「位置・経路情報」は、緊急車両Aが目的地に到着するまで車載コンピュータ100に蓄えられ、その間、定期的に車載コンピュータ100の通信機能を用いて、緊急車両Aの進行方向(「位置・経路情報」の目的地までの経路より特定可能)に向けて送信される(再度、図4のステップC1にもどる)。
【0080】
なお、緊急車両Aが目的地に到着したとき、車載コンピュータ100は、緊急車両Aの「位置・経路情報」を車載コンピュータ100から削除する(図4のステップC5)。
【0081】
また、これら車載コンピュータ100の一連の動作は、緊急車両Aの「位置・経路情報」が車載コンピュータ100に登録(図3のステップB7)されてから、緊急車両Aが目的地に到着するまでの間、自動的に実施される。
【0082】
次に、車両間で行う緊急車両接近の通知動作について説明する。
【0083】
まず、緊急車両Aが車両Bに接近すると、車両Bの車載コンピュータ300は、緊急車両Aの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を受信する(図5のステップD1)ので、車載コンピュータ300は、緊急車両Aが車両Bに接近してきていることを示す画面を表示する(図5のステップD2)。
【0084】
こうして車載コンピュータ300は、車両Bの運転者に対して緊急車両Aが車両Bに接近していることを通知する。
【0085】
車載コンピュータ300は、緊急車両Aの現在地(車載コンピュータ300で受信した緊急車両Aの「位置・経路情報」から特定可能)を用いて、緊急車両Aと車両Bの距離をチェック(図5のステップD3)し、緊急車両Aと車両Bの距離が、ある一定範囲の中に含まれる場合に限り、車載コンピュータ300で受信した緊急車両Aの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を車載コンピュータ300の通信機能を用いて、緊急車両Aの進行方向(受信した緊急車両Aの「位置・経路情報」の目的地までの経路より特定可能)に向けて送信する(図5のステップD4)。
【0086】
ここで緊急車両Aの「緊急車両情報」および「位置・経路情報」を進行方向に送信するために、ミニFMの電波を送信する送信機を用いて、緊急車両Aの「位置・経路情報」を送信することにより、その電波を受信した車両は、自車のGPSによって緊急車両の経路に位置しているか否か判断することができるので、進行方向に存在する車両を特定することができる。
【0087】
なお、進行方向に送信する方法は、ミニFMの電波送信に限定されるものではなく、緊急車両Aの「位置・経路情報」を送信することにより、他の車両が緊急車両の経路上に位置するか否かが分かれば良い。
【0088】
また、これら車載コンピュータ300の一連の動作は、緊急車両Aが車両Bに接近したときの場合を示しているが、図1にあるように車両Bが緊急車両Aの接近を車両Cに通知する場合も、車両Cの車載コンピュータ400も車両Bの車載コンピュータ300と同様に動作する。
【0089】
車載コンピュータ300と車載コンピュータ400の違いとしては、受信した緊急車両Aの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」の送信元が異なるだけであり、車載コンピュータ300は、緊急車両Aの車載コンピュータ100が直接の送信元であるのに対して、車載コンピュータ400は、車両Bの車載コンピュータ300が直接の送信元となる。
【0090】
このように、「緊急車両情報」は、道路上の車両状況に基づいて通知されるようになっており、道路が車両で混んでいれば、隣接する一般車両の車載コンピュータを介して、緊急車両の進行方向に位置する他の車両まで「緊急車両情報」を通知することができる。また、道路が車両で混んでいなければ、所定範囲に位置する他の車両に「緊急車両情報」を通知することができるので、隣接する車両状況に基づいて「緊急車両情報」を通知することができるようになっている。
【0091】
最後に、警察官が行う「緊急車両情報」の確認動作について説明する。
【0092】
まず、緊急車両Aが警察官Dに接近すると、警察官Dの持つ携帯端末500は、緊急車両Aの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を受信する(図6のステップE1)。
【0093】
これにより、携帯端末500は、表示画面に緊急車両Aが接近してきていることを示す画面を表示する(図6のステップE2)。
【0094】
こうして携帯端末500は、警察官Dに対して緊急車両Aが接近していることを通知する。
【0095】
警察官Dは、緊急車両Aが不正に緊急車両として道路を走行していないかを確認するために、携帯端末500で受信した緊急車両Aの車両番号(「緊急車両情報」の“車体管理情報”)および警察のIDとパスワードを携帯端末500から警察Eのサーバ端末200に向けて、ネットワーク600を介して送信する(図6のステップE3)。それに応答して、サーバ端末200のアクセス制御機能は、携帯端末500からネットワーク600を介して送信された警察のIDとパスワードのチェックを行う(図6のステップE4)。
【0096】
つぎに、警察Eのサーバ端末200は、警察のIDとパスワードが認証されたあと、携帯端末500からネットワーク600を介して送信された緊急車両Aの車両番号をキーにして、サーバ端末200に蓄えられている「緊急車両情報」の中から携帯端末500で受信した緊急車両Aの「緊急車両情報」を検索する(図6のステップE5)。
【0097】
そして、サーバ端末200は、携帯端末500から送信された緊急車両Aの車両番号をキーに検索した「緊急車両情報」を、検索結果として携帯端末500にネットワーク600を介して送信する(図6のステップE6)。
【0098】
最後に、警察官Dは、現在接近している緊急車両Aの「緊急車両情報」と、警察Eのサーバ端末200から送信された検索結果としての「緊急車両情報」を比較して、双方の「緊急車両情報」に不一致がないかのチェックを行う(図6のステップE7)。このとき「緊急車両情報」の内容に不一致が発見された場合には、この緊急車両Aは、警察によって予め登録された緊急車両とは異なり、不正に緊急車両として道路を走行している車両として、携帯端末500の表示される(図6のステップE8)。
【0099】
以上説明したように、緊急車両に関する「緊急車両情報」を警察にて作成し、その「緊急車両情報」を警察のサーバ端末と緊急車両の車載コンピュータで管理し、緊急車両に関する「位置・経路情報」を緊急車両の車載コンピュータで管理し、IDとパスワードによってそれら情報への登録・変更を行う権限を制限し、車載コンピュータは通信機能を介して緊急車両が接近していることを「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を自動的に送受信することで通知し合い、車載コンピュータだけでなく、携帯端末などを介して警察官が遠隔確認できるようにすることで、下記のような効果が得られる。
【0100】
第1の効果は、車体番号や車両型番、陸運局が発行するナンバープレートの情報などの車両を特定可能な情報や許可を請求した機関を特定可能な情報、すなわち「緊急車両情報」を車両内にある車載コンピュータと、警察のサーバ端末の両方にて管理することにより、車両の外観を改造することで緊急車両に見せかけ、不正に緊急車両を特定するための情報が改ざんされたとしても、警察のサーバ端末にある情報と比較することで不正に改ざんされ、改造された車両であることが容易に確認できる。
【0101】
第2の効果は、車載コンピュータに通信機能を持たせ、車載コンピュータから緊急車両に関する情報を送受信できるようにすることにより、他の車両や警察、さらには交差点の信号機に対して緊急車両が接近していることを通知することが可能となり、サイレンや赤色灯では容易に確認できなかったような後方からの接近や交差点への進入を、人間の五感ではなく、機械的に事前に確認できる。なお、「緊急車両情報」は、道路上の車両状況に基づいて通知されるようになっており、道路が車両で混んでいれば、隣接する一般車両の車載コンピュータを介して、緊急車両の進行方向に位置する他の車両まで「緊急車両情報」を通知することができ、また道路が車両で混んでいなければ、所定範囲に位置する他の車両に「緊急車両情報」を通知することができるので、隣接する車両状況に基づいて「緊急車両情報」を通知することができる。
【0102】
第3の効果は、車載コンピュータおよび警察のサーバ端末にて、IDとパスワードを用いて警察以外の者が「緊急車両情報」の登録および変更を行うことができないように、車両コンピュータおよび警察のサーバ端末にアクセス制御機能を持たせることにより、「緊急車両情報」の不正改ざんを容易に行うことができない。
【0103】
第4の効果は、車載コンピュータにて、IDとパスワードを用いて、あらかじめ運転を許可された者以外が緊急車両の目的地の設定を行うことができないように車両コンピュータにアクセス制御機能を持たせることにより、緊急車両が盗難されたとしても緊急車両として道路を走行することができない。
【0104】
第5の効果は、緊急車両の接近を通知する際、単純に緊急車両が接近していることを通知するのではなく、緊急車両の目的地や経路を特定できる情報、すなわち「位置・経路情報」を含めて通知していることにより、緊急車両の接近を確認した車両や警察官が、さらに他の車両などに緊急車両の接近を通知するのに、緊急車両の進行方向に限ることができる。
【0105】
第6の効果は、緊急車両の接近を通知する際、単純に緊急車両が接近していることを通知するのではなく、緊急車両の目的地や経路を特定できる情報、すなわち「位置・経路情報」を含めて通知していることにより、緊急車両の接近を確認した車両や警察官が、緊急車両との距離を把握することができる。
【0106】
なお、本実施の形態では、一般道路を緊急車両として走行する許可機関が警察である場合に、警察のみによって登録するようになされていたが、本発明はこれに限らず、警察以外の機関でも緊急車両を登録することができる場合には、他の許可機関によって登録することができるようにしても良い。
【0107】
また、緊急車両は、パトカーや消防車や救急車に限らず、輸血・献血車両、ガス漏れ点検車両などの車両が、緊急車両に該当する。
【0108】
そして警察は、いずれの緊急車両に関する情報も登録、変更できるようにしても良く、或いは管轄の異なるサーバについてはアクセスだけ許可し、登録内容を検索することのみできるようにしても良い。
(第2の実施の形態)
他の実施の形態として図7を参照すると、本発明の緊急車両接近通知システムの第2の実施の形態では、第1の実施の形態の図1にある警察官Dの携帯端末500が削除され、車両Cに代わって交差点信号機700が追加されており、交差点信号機700とサーバ端末200は共に通信ネットワーク600に接続されている点が第1の実施の形態の構成と異なる。
(第2の実施例)
交差点信号機700は、通信機能を有する信号機である。交差点信号700は、高速道路の料金所にあるETC(有料道路自動料金収受)システムのように緊急車両Aや車両Bに搭載されている車載コンピュータ100や車載コンピュータ300と通信する機能と、通信ネットワーク600などに接続するためのネットワーク機能を有する。
【0109】
第1の実施の形態では、車載コンピュータ100または車載コンピュータ300から送信された緊急車両Aの「緊急車両情報」と、警察Eのサーバ端末200に記録されている緊急車両Aの「緊急車両情報」に不一致がないかチェックするのは、警察官Dの携帯端末500を利用して行うことを前提にしていた。
【0110】
しかし、第2の実施の形態では、警察官Dの携帯端末500に代わり、交差点信号機700が、車載コンピュータ100または車載コンピュータ300から受信した緊急車両Aの「緊急車両情報」と、警察Eのサーバ端末200に記録されている緊急車両Aの「緊急車両情報」に不一致がないかチェックを行なっている。
【0111】
次に、本実施例の動作について説明する。
【0112】
第1の実施例と異なるのは、図6のフローチャート(警察官が行う「緊急車両情報」の確認動作)が、図8に示すフローチャート(交差点信号機が行う「緊急車両情報」の確認動作)となる。
【0113】
ここで、図8を参照すると、第1の実施例における警察官Dの携帯端末500での動作が、第2の実施の形態における交差点信号機700での動作に変更されただけであり、車載コンピュータ100および車載コンピュータ300と警察Eのサーバ端末200の動作に関しては変更なく、全く同じである。これ以外の動作(図2および図3、図4、図5のフローチャート)に関しては、第1の実施例と全く同じである。
【0114】
追加された、交差点信号機が行う「緊急車両情報」の確認動作について説明する。
【0115】
まず、交差点に設置されている交差点信号機700は、緊急車両Aが交差点信号機700に接近すると、交差点信号機700は緊急車両Aの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を受信する(図8のステップF1)。
【0116】
交差点信号機700は、緊急車両Aが不正に緊急車両として道路を走行していないかを確認するために、交差点信号機700で受信した緊急車両Aの車両番号(「緊急車両情報」の“車体管理情報”)および警察のIDとパスワードを、交差点信号機700から警察Eのサーバ端末200に向けて、ネットワーク600を介して送信する(図8のステップF2)。それに応答して、サーバ端末200のアクセス制御機能は、交差点信号機700からネットワーク600を介して送信された警察のIDとパスワードのチェックを行う(図8のステップF3)。
【0117】
つぎに、警察Eのサーバ端末200は、警察のIDとパスワードが認証されたあと、交差点信号機700からネットワーク600を介して送信された緊急車両Aの車両番号をキーにして、サーバ端末200に蓄えられている「緊急車両情報」の中から検索する(図8のステップF4)。
【0118】
そして、サーバ端末200は、交差点信号機700から送信された緊急車両Aの車両番号をキーに検索した「緊急車両情報」を、検索結果として交差点信号機700にネットワーク600を介して送信する(図8のステップF5)。
【0119】
最後に、交差点信号機700は、現在接近している緊急車両Aの「緊急車両情報」と、警察Eのサーバ端末200から送信された検索結果としての「緊急車両情報」を比較して、双方の「緊急車両情報」に不一致がないかのチェックを行う(図8のステップF6)。
【0120】
このとき「緊急車両情報」の内容が同じ場合には、警察に許可された緊急車両Aが交差点に進入してくるのに備えて、緊急車両Aが交差点を通過する際に他の車両が交差点内へと進入するのを防ぐために、交差点内のすべての信号を赤信号に変更する(図8のステップF7)。
【0121】
なお、交差点内のすべての信号を赤信号に変更する場合、突然青信号から赤信号に変更するのではなく、緊急車両Aと交差点までの距離(交差点信号機700で受信した緊急車両Aの「位置・経路情報」から特定可能)に応じて、徐々に赤信号に変更する。
【0122】
もし仮に、現在接近している緊急車両Aの「緊急車両情報」と、警察Eのサーバ端末200から送信された検索結果としての「緊急車両情報」の内容に不一致が発見された場合には、緊急車両Aは不正に緊急車両として道路を走行している車両として警察に通報される。
【0123】
以上のように、本実施例では、不正に緊急車両として道路を走行していないかを交差点ごとに行うので警察による検問の実施が不要となり、さらには緊急車両が交差点を安全に通過できるように交差点信号の制御も可能となる。
(第3の実施の形態)
また他の実施の形態として図9を参照すると、本発明の緊急車両接近通知システムの第3の実施の形態では、第1の実施の形態の図1にある警察官Dの携帯端末500が追加され、さらに第2の実施の形態の図7にある緊急車両Aに代わって臨時緊急車両Fが追加され、交差点信号機700とサーバ端末200、および携帯端末500とサーバ端末200は共に通信ネットワーク600に接続されている点が第1および第2の実施の形態の構成と異なる。
(第3の実施例)
臨時緊急車両Fは、第1および第2の実施の形態にある車両B(または車両C)と同じものであり、本来は緊急車両として道路を走行することを許可されていない一般車両である。また臨時緊急車両Fは、車両B(または車両C)と同様に、接近してきた緊急車両の「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を受信して一時的に保存管理する車載コンピュータ800を有する。
【0124】
車載コンピュータ800は、車載コンピュータ300(または車載コンピュータ400)と同様に、受信した緊急車両の「緊急車両情報」と「位置・経路情報」などを一時的に記憶するための機能と、緊急車両の「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を表示する機能と、外部インタフェースとしての有線または無線の通信機能、GPSのように車両B(または車両C)の現在地を割り出すための機能を有している。
【0125】
この車載コンピュータ800が車載コンピュータ300(または車載コンピュータ400)と異なる点は、緊急車両Aの車載コンピュータ100のように臨時緊急車両Fの臨時的な「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を記録するための機能を有することである。
【0126】
第1および第2の実施の形態では、緊急車両である緊急車両Aと一般車両である車両B(または車両C)は初めから異なる車両として扱われており、あらかじめ、警察によって緊急車両Aの「緊急車両情報」を警察Eのサーバ端末200に登録することで、緊急車両として緊急車両Aが管理されていることを前提にしていた。
【0127】
しかし、第3の実施の形態では、あらかじめ警察によって緊急車両として道路を走行することを許可されている緊急車両Aの到着を待てないほど緊急を要するような場合に限り、警察官Dの携帯端末500を用いて、警察Eのサーバ端末200を遠隔操作することで、警察Eのサーバ端末200に緊急車両としてあらかじめ管理・登録されていない一般車両を、臨時緊急車両Fとして道路を緊急車両として走行することを許可することができる。
【0128】
次に、本実施例の動作について説明する。
【0129】
第2の実施例と異なるのは、図2のフローチャート(警察が行う「緊急車両情報」の登録・更新動作)および図3のフローチャート(緊急車両の運転者が行う「位置・経路情報」の登録・更新動作)が、図10のフローチャート(警察官が行う臨時「緊急車両情報」および「位置・経路情報」の登録・更新動作)に統合され、図4のフローチャート(緊急車両で行う緊急車両接近の通知動作)が図11のフローチャート(臨時緊急車両で行う緊急車両接近の通知動作)となる。これ以外の動作(図5および図8のフローチャート)に関しては、第1および第2の実施例と全く同じである。
【0130】
初めに、警察が行う臨時「緊急車両情報」および「位置・経路情報」の登録・更新動作について説明する。
【0131】
ここで、図10を参照すると、第1の実施例における警察が行う「緊急車両情報」の登録・更新動作(図2の全ステップ)および緊急車両の運転者が行う「位置・経路情報」の登録・更新動作(図3の全ステップ)が、警察官Dの携帯端末500を用いて、警察Eのサーバ端末200および臨時緊急車両Fの車載コンピュータ800を警察官Dが遠隔操作する動作に変更されている。
【0132】
まず、警察官Dは、臨時緊急車両Fが緊急車両として道路を走行することを許可するために、警察官Dの携帯端末500のネットワーク機能を用いて、警察のIDとパスワードを、警察Eのサーバ端末200に向けて送信する(図10のステップG1)。それに応答して、警察Eのサーバ端末200のアクセス制御機能は、携帯端末500からその警察のIDとパスワードを受信して、警察のIDとパスワードのチェックを行う(図10のステップG2)。
【0133】
サーバ端末200で警察のIDとパスワードが認証されたあと、サーバ端末200は、警察官Dの携帯端末500に向けて、臨時緊急車両の登録画面を送信する(図10のステップG3)。
【0134】
警察官Eは、携帯端末500に表示された臨時緊急車両の登録画面で、臨時緊急車両Fを特定可能な車体番号や車両型番、陸運局で交付されたナンバープレートなどの臨時緊急車両Fの“車両管理情報”を設定する(図10のステップG4)。
【0135】
さらに、携帯端末500の臨時緊急車両の登録画面で、臨時緊急車両Fの現在地と目的地を設定(図10のステップG5)することで、携帯端末500が臨時緊急車両Aの現在地から目的地までの経路を決定(図10のステップG6)して、臨時緊急車両Fの「位置・経路情報」を設定する。
【0136】
こうして携帯端末500の臨時緊急車両の登録画面で設定された、臨時緊急車両Fの“車両管理情報”および「位置・経路情報」を、警察Eのサーバ端末200に送信する(図10のステップG7)。それに応じて、警察Eのサーバ端末200は、まずは携帯端末500から送信された臨時緊急車両Fの“車両管理情報”、および臨時緊急車両Fの“請求機関情報”として警察官Dが特定可能なように警察官Dが所属する警察署から成る臨時緊急車両Fの「緊急車両情報」をサーバ端末200に登録する(図10のステップG8)。
【0137】
さらに、通常の緊急車両とは異なり、警察官Dの携帯端末500から送信された臨時緊急車両Fの「位置・経路情報」もサーバ端末200に登録する(図10のステップG9)。こうして登録された臨時緊急車両Fの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」は、警察Eのサーバ端末200に蓄えられる。
【0138】
そして、警察Eのサーバ端末200は、臨時緊急車両Fの「緊急車両情報」および「位置・経路情報」を警察官Dの携帯端末500に向けて送信する(図10のステップG10)。それに応じて、警察官Dの携帯端末500は、警察のIDとパスワード、およびサーバ端末200から送信された臨時緊急車両Fの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を、臨時緊急車両Fの車載コンピュータ800に送信する(図10のステップG11)。
【0139】
つぎに、臨時緊急車両Fの車載コンピュータ800は、携帯端末500から送信された警察のIDとパスワード、および臨時緊急車両Fの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を受信(図10のステップG12)すると、それに応答して、車載コンピュータ800のアクセス制御機能は、携帯端末500から受信した警察のIDとパスワードのチェックを行う(図10のステップG13)。
【0140】
そして、警察のIDとパスワードが認証されたあと、車載コンピュータ800は、受信した臨時緊急車両Fの「緊急車両管理情報」を車載コンピュータ800に登録する(図10のステップG14)。同様に、車載コンピュータ800は、受信した臨時緊急車両Fの「位置・経路情報」を車載コンピュータ800に登録する(図10のステップG15)。
【0141】
こうして登録された臨時緊急車両Fの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」は、車載コンピュータ800に蓄えられ、警察Eのサーバ端末200に蓄えられている臨時緊急車両Fの「緊急車両情報」および「位置・経路情報」と同じ内容である。
【0142】
ただし、車載コンピュータ800に登録された臨時緊急車両Fの「位置・経路情報」は、臨時緊急車両Fが目的地に到着するまでの間、定期的に変更されるので、警察Eのサーバ端末200に登録された臨時緊急車両Fの「位置・経路情報」との比較には目的地のみが有効となる。
【0143】
なお、この臨時緊急車両Fを緊急車両として道路を走行させるために必要な車載コンピュータ800およびサーバ端末200での登録・更新動作(図10のステップG3からG15)は、警察のみが行える。
【0144】
つぎに、臨時緊急車両で行う緊急車両接近の通知動作について説明する。
【0145】
図11を参照すると、第1の実施例における緊急車両Aの車載コンピュータ100での最後の動作(図4のステップC5)が、第3の実施の形態における臨時緊急車両Fの車載コンピュータ800での最後の動作(図11のステップH5とステップH6)に変更されただけであり、車載コンピュータ100および車載コンピュータ800の他の動作に関して変更はなく、基本的には全く同じである(図4のC1からC4は、図11のH1からH4に対応する)。
【0146】
まず、臨時緊急車両Fの車載コンピュータ800は、車載コンピュータ800に登録されている臨時緊急車両Fの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を車載コンピュータ800の通信機能を用いて、臨時緊急車両Fの進行方向(「位置・経路情報」の目的地までの経路より特定可能)に向けて送信する(図11のステップH1)。
【0147】
つぎに車載コンピュータ800は、臨時緊急車両Fの現在地を算出して臨時緊急車両Fの目的地に到着したか否かをチェックする(図11のステップH2)。まだ臨時緊急車両Fの目的地に到着していない場合、車載コンピュータ800が臨時緊急車両Fの現在地から目的地までの経路を決定(図11のステップH3)して、臨時緊急車両Fの「位置・経路情報」として車載コンピュータ800に更新する(図11のステップH4)。
【0148】
こうして更新された臨時緊急車両Fの「位置・経路情報」は、臨時緊急車両Fが目的地に到着するまで車載コンピュータ800に蓄えられ、その間、定期的に車載コンピュータ800の通信機能を用いて、臨時緊急車両Fの進行方向(「位置・経路情報」の目的地までの経路より特定可能)に向けて送信される(再度、図11のステップH1にもどる)。
【0149】
なお、臨時緊急車両Fが目的地に到着したとき、車載コンピュータ800は、臨時緊急車両Fの「位置・経路情報」を車載コンピュータ800から削除する(図11のステップH5)。ただし、通常の緊急車両Aの車載コンピュータ100とは異なり、車載コンピュータ800は、臨時緊急車両Fの「緊急車両情報」も「位置・経路情報」と共に車載コンピュータ800から削除する(図11のステップH6)。
【0150】
また、これら車載コンピュータ800の一連の動作は、臨時緊急車両Fの「位置・経路情報」が車載コンピュータ800に登録(図10のステップG15)されてから、臨時緊急車両Fが目的地に到着するまでの間、自動的に実施される。
【0151】
以上のように、本実施例では、あらかじめ警察によって緊急車両として道路を走行することを許可されている緊急車両の到着を待てないほど緊急を要すると警察が認めた場合に限り、警察官が警察のサーバ端末200を遠隔操作することで、一般車両を臨時に緊急車両として道路走行することを可能にし、さらに他の車両に対して臨時の緊急車両であっても、緊急車両が接近していることを通知することができ、しかも臨時の緊急車両であっても安全に交差点に進入することを可能となる。
【0152】
また、臨時緊急車両となった一般車両は、パトカーや救急車に限定されるものではなく、必要に応じて、どんな緊急車両にもなることができる。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】本発明の第1の実施の形態を表すシステム構成図である。
【図2】本発明の第1の実施例における緊急車両の登録及び更新動作のフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施例における緊急車両の位置及び経路の登録及び更新動作のフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施例における緊急車両が行なう緊急車両接近の通知動作のフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施例における車両間での緊急車両接近の通知動作のフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施例における警察官が行なう緊急車両情報の確認動作のフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態を表すシステム構成図である。
【図8】本発明の第2の実施例における信号機が行なう緊急車両情報の確認動作のフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施の形態を表すシステム構成図である。
【図10】本発明の第3の実施例における未登録の一般車両を臨時で緊急車両として登録するフローチャートである。
【図11】本発明の第3の実施例における臨時緊急車両が行なう緊急車両接近の通知動作のフローチャートである。
【符号の説明】
【0154】
100 車載コンピュータ
200 サーバ端末
300 車載コンピュータ
400 車載コンピュータ
500 携帯端末
600 ネットワーク
700 交差点信号機
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急車両の緊急車両情報および緊急車両の現在地や目的地、経路を特定する緊急車両情報出力システムに関し、特に、「位置・経路情報」を車載コンピュータにて管理して、緊急車両を特定可能な情報により通知する緊急車両情報出力システムおよび緊急車両情報出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、緊急車両が接近していることを知らせる手段として、緊急車両に搭載されている赤色灯およびサイレンであり、緊急車両が後方より接近している場合や車内で音楽を大音量で聞いて運転していてサイレンの音が聞こえないような場合、或いは聴覚弱者が運転しているような場合など、赤色灯およびサイレンだけでは緊急車両が接近していることを運転者が早期に発見するのは容易ではなく、あらかじめ緊急車両が安全に通行できるスペースを空けておくことができず、緊急車両が立ち往生することがある。
【0003】
また、救急車の到着を待てないほど、急を要するような病人を病院に運ぶ場合には、一般車両で搬送すると他の車両はその一般車両が急患を乗せていることを知る手段がないために、一般車両で急患を臨時に運ぶこともできない。
【0004】
さらに、緊急車両が交差点に進入するときは、進行方向の信号機が赤信号でも交差点に進入する必要があるため、ある方向から信号機が青信号で進入してくる車両にとって、緊急車両が赤信号の方向から進入してくることを早期に発見することは容易ではなく、交差点内での緊急車両との衝突事故も発生することもある。
【0005】
また、パトカーと同じ塗装および赤色灯などを設置して外装をパトカーに偽装して道路を緊急車両として走行するような車両があったとしても、現状は走行中の場合に容易に確認する手段がない。
【0006】
そこで、緊急車両に係る情報を他の車両(一般車両)に通知する緊急車両接近通知システムが、特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2004−355272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された緊急車両接近通知システムでは、緊急車両に係る情報を、緊急車両の車両位置から所定範囲に位置する他の車両(一般車両)に対してのみしか緊急車両に係る情報を通知することしかできない。
【0008】
また、道路上における車両の混み具合や道路の工事渋滞などの事情によって、通知される緊急車両に係る情報と、実際に緊急車両が一般車両に接近するまでの状態とに、差異が生じることがある。
【0009】
そこで、本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、緊急車両の情報を提供する際の緊急車両情報と通知範囲の精度を向上させることができる緊急車両情報出力システム及び緊急車両情報出力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る緊急車両情報出力システムは、自車両が緊急車両であることを示す緊急車両情報、前記自車両の位置を示す位置情報及び前記自車両の通る予定経路を示す経路情報を送信する緊急車両搭載装置と、前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自己車両の位置を基に、自己車両が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、前記緊急車両情報をユーザに出力する通常車両搭載装置とを備えることを特徴とする。
【0011】
また本発明に係る緊急車両情報出力システムは、前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自己車両の位置を基に、自己車両が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、前記緊急車両情報をユーザに出力すると共に、受信した前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を送信する第2の通常車両搭載装置とをさらに備えるようにしても良い。
【0012】
また本発明に係る緊急車両情報出力システムは、前記緊急車両搭載装置、又は前記第2の通常車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報、及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自信号機の位置を基に、自信号機が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、赤信号を表示する信号機搭載装置をさらに備えるようにしても良い。
【0013】
本発明に係る緊急車両情報出力システムは、自車両が緊急車両であることを示す緊急車両情報、前記自車両の位置を示す位置情報及び前記自車両の通る予定経路を示す経路情報を送信する緊急車両搭載装置と、前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自信号機の位置を基に、自信号機が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、赤信号を表示する信号機搭載装置とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る緊急車両情報出力システムは、自車両が緊急車両であることを示す緊急車両情報、前記自車両の位置を示す位置情報及び前記自車両の通る予定経路を示す経路情報を送信する緊急車両搭載装置と、前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自己車両の位置を基に、自己車両が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、前記緊急車両情報をユーザに出力する通常車両搭載装置とを備え、前記緊急車両が必要な場合には、通常車両搭載装置を有する車両が、臨時に前記緊急車両として機能することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る緊急車両情報出力方法は、自車両が緊急車両であることを示す緊急車両情報、前記自車両の位置を示す位置情報及び前記自車両の通る予定経路を示す経路情報を送出する緊急車両情報送出ステップと、前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自己車両の位置を基に、自己車両が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、前記緊急車両情報をユーザに出力する通常車両情報送出ステップとを備えることを特徴とする。
【0016】
また本発明に係る緊急車両情報出力方法は、前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自己車両の位置を基に、自己車両が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、前記緊急車両情報をユーザに出力すると共に、受信した前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を送信する第2の通常車両情報送出ステップとをさらに備えるようにしても良い。
【0017】
また本発明に係る緊急車両情報出力方法は、前記緊急車両搭載装置、又は前記第2の通常車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報、及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自信号機の位置を基に、自信号機が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、赤信号を表示する信号機情報送出ステップをさらに備えるようにしても良い。
【0018】
本発明に係る緊急車両情報出力方法は、自車両が緊急車両であることを示す緊急車両情報、前記自車両の位置を示す位置情報及び前記自車両の通る予定経路を示す経路情報を送信する緊急車両情報送出ステップと、前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自信号機の位置を基に、自信号機が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、赤信号を表示する信号機情報送出ステップとを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る緊急車両情報出力方法は、自車両が緊急車両であることを示す緊急車両情報、前記自車両の位置を示す位置情報及び前記自車両の通る予定経路を示す経路情報を送信する緊急車両情報送出ステップと、前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自己車両の位置を基に、自己車両が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、前記緊急車両情報をユーザに出力する通常車両情報送出ステップと前記緊急車両が必要な場合には、通常車両情報送出ステップを有する車両が、臨時に前記緊急車両として機能する臨時緊急車両機能ステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、緊急車両が車載コンピュータに通信機能を備えると共に、通信機能を有するコンピュータを備える他のものと通信を行うことにより、緊急車両が緊急車両情報を通知するだけでなく、通信機能を有するコンピュータを搭載した緊急車両以外の車両や信号機も受信した緊急車両情報を送信することができる。
【0021】
これにより、緊急車両の接近を通知する際、緊急車両情報を精度良く通知することができると共に、緊急車両の進行方向に通知することができるので、緊急車両情報の通知範囲の精度を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、パトカーや救急車、消防車に代表される緊急車両を識別する「緊急車両情報」および緊急車両の現在地や目的地、経路を特定する「位置・経路情報」を車載コンピュータにて管理し、IDとパスワードによって当該情報の登録・変更を行う権限を制限し、緊急車両の車載コンピュータの通信機能を介して「緊急車両情報」および「位置・経路情報」を他の車両に対して通知し、さらに通知を受けた車両も同様の車載コンピュータの通信機能を介して他の車両へと緊急車両が接近していることを通知するような緊急車両接近通知システムと、警察による緊急車両登録・管理方法を提供するものである。
【0023】
「緊急車両情報」とは、緊急車両を管理するための情報であり、”請求機関情報”および“車両管理情報”、“用途情報”から成る。“請求機関情報”としては、当該車両に対して緊急車両として道路を走行することを請求した機関を特定可能な情報であり、例えば、警察庁や消防庁などの具体的な機関を示す情報である。“車両管理情報”としては、車両を特定可能な情報であり、例えば、車体番号や車両型番、陸運局が発行するナンバープレートの情報などである。“用途情報”としては、緊急車両としての用途を特定可能な情報であり、例えば、救急車などのように、「消防法に基づいて急患者を病院に搬送する」などである。
【0024】
「位置・経路情報」とは、緊急車両の“現在地”および“目的地”、“目的地までの経路“を特定可能な情報であり、例えば、GPS(Global Positionig System)による位置情報や地図データにマッピング可能な経路情報である。
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の緊急車両情報出力システムを示すシステム構成図である。
【0026】
図1において、警察は、緊急車両Aを緊急車両として登録する際に、緊急車両Aを特定可能な車体番号や車両型番、陸運局より交付されたナンバープレートなどの“車両管理情報”および緊急車両Aを緊急車両として道路を走行することを請求した機関(警察庁や消防庁など)を示す“請求機関情報”などを車載コンピュータ100と警察Eのサーバ端末200に登録する。
【0027】
なお、この緊急車両Aに関する「緊急車両情報」を車載コンピュータ100およびサーバ端末200に登録・更新することが可能なのは、一般道路上を緊急車両として走行することを許可する機関であり、警察に限定することができる。
【0028】
以下、本実施の形態では、登録・更新について、一般道路を走行する緊急車両を登録及び管理する管轄を警察に限定した場合について説明するが、本発明ではこれに限定されるものではなく、緊急車両を登録できる機関が複数あれば、その機関によって登録できるようにしても良い。
【0029】
緊急車両Aは、目的地を車載コンピュータ100に入力することで、車載コンピュータ100のGPSなどの機能を用いて算出した現在地から目的地までの経路を決定して、車載コンピュータ100に「位置・経路情報」を登録する。
【0030】
なお、この緊急車両Aに関する「位置・経路情報」を車載コンピュータ100に登録・更新することが可能なのは、緊急車両Aの運転者のみに限定する。
【0031】
車載コンピュータ100は、緊急車両Aが目的地に向けて移動している最中、GPSなどの機能を用いて緊急車両Aの現在地を算出し、現在地から目的地までの経路を決定して、車載コンピュータ100の「位置・経路情報」を定期的に自動更新する。
【0032】
次に車載コンピュータ100は、車載コンピュータ100の通信機能を用いて、車載コンピュータ100に登録されている「緊急車両情報」および「位置・経路情報」を他の車両Bの車載コンピュータ300へ定期的に自動送信する。
【0033】
なお、この車載コンピュータ100は、緊急車両Aの「緊急車両情報」および「位置・経路情報」を自動送信するのは、緊急車両Aの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」の両方が車載コンピュータ100に登録されているときに限られ、緊急車両Aの「位置・経路情報」を元に緊急車両Aの進行方向に存在する車両(対向車も含む)のみに限定する。
【0034】
ここで緊急車両Aの「緊急車両情報」および「位置・経路情報」を進行方向に送信するために、ミニFM(Frequency modulation)の電波を送信する送信機を用いて、緊急車両Aの「位置・経路情報」を送信することにより、その電波を受信した車両は、自車のGPSによって緊急車両の経路に位置しているか否か判断することができるので、進行方向に存在する車両を特定することができる。
【0035】
また、本実施の形態では、緊急車両Aから車両Bまでの距離は、ミニFMの電波送信が200m程度(チューナーとアンテナの感度により変動することがある。)であるが、本発明はこの範囲に限定されるものではない。
【0036】
なお、進行方向に送信する方法は、ミニFMの電波送信に限定されるものではなく、緊急車両Aの「位置・経路情報」を送信することにより、他の車両が緊急車両の経路上に位置するか否かが分かれば良い。
【0037】
車両Bの車載コンピュータ300は、車載コンピュータ300の通信機能を介して緊急車両Aの「緊急車両情報」および「位置・経路情報」を受信する。
【0038】
次に車載コンピュータ300は、受信した緊急車両Aの「緊急車両情報」および「位置・経路情報」を元に、車両Bの運転者に対して緊急車両Aの接近を通知する。
【0039】
さらに車載コンピュータ300は、車載コンピュータ300の通信機能を用いて他の車両Cの車載コンピュータ400へと緊急車両Aに関する「緊急車両情報」および「位置・経路情報」を自動送信する。
【0040】
車両Cの車載コンピュータ400は、車載コンピュータ300と同様の動作を実施して、次々と緊急車両Aの「緊急車両情報」および「位置・経路情報」を他の車両へと伝播する。
【0041】
なお、この車載コンピュータ300(または車載コンピュータ400)が受信した緊急車両Aの「緊急車両情報」および「位置・経路情報」を自動送信するのは、受信した緊急車両Aの「位置・経路情報」から緊急車両Aと車両B(または車両C)までの距離を算出して、その距離がある一定の範囲内に存在する場合に限られ、緊急車両Aの「位置・経路情報」を元に緊急車両Aの進行方向に存在する他の車両(対向車も含む)のみに限定する。
【0042】
また、本実施の形態では、緊急車両Aから車両Bまでの距離は、ミニFMの電波送信が200m程度であったが、本発明はこの範囲に限定されるものではない。
【0043】
なお、緊急車両Aが送信した「緊急車両情報」と「位置・経路情報」は、車両Bや車両Cなどの他の車両が自動送信する回数を任意に規定することができ、ここでは5回まで自動送信することができるようになされている。すなわち、緊急車両Aが送信した「緊急車両情報」と「位置・経路情報」は、200m程度の範囲で送信されることにより、隣接する車両を介して、最長1km程度先まで通知することが可能になっている。
【0044】
また緊急車両Aは、この電波送信範囲を設定することも可能であり、緊急車両Aから他の車両を介して、送信先の範囲を500mまでと制限することができるようになされている。
【0045】
このように伝搬する範囲を一定の範囲に制限することによって、無限に緊急車両Aの「緊急車両情報」および「位置・経路情報」が伝播されることを防ぐことが可能である。
【0046】
警察官Dは、携帯端末500を用いて車載コンピュータ100(または車載コンピュータ300、車載コンピュータ400)から緊急車両Aの「緊急車両情報」を受信する。
【0047】
次に警察官Dは、携帯端末500も用いてネットワーク600を介して警察Eのサーバ端末200から緊急車両Aの「緊急車両情報」を取得する。
【0048】
最後に警察官Dは、車載コンピュータ100(または車載コンピュータ300、車載コンピュータ400)および警察Eのサーバ端末200から取得した緊急車両Aの「緊急車両情報」に不一致がないかなどをチェックする。
【0049】
これにより、警察によって緊急車両として道路を走行することを許可された緊急車両Aの「緊急車両情報」を緊急車両Aの車載コンピュータ100および警察Eのサーバ端末200にて管理し、通信機能およびネットワーク機能を介していつでもどこでも相互に参照して、緊急車両の遠隔確認を可能にする。
【0050】
さらに、車両Bと車両Cの間で受信した緊急車両Aの「緊急車両情報」および「位置・経路情報」を自動的に伝播することにより、緊急車両Aの接近を遠隔通知し、緊急車両Aの接近を知った車両Bおよび車両Cの運転者が、車両Bおよび車両Cを道路の左側または右側に寄せることで緊急車両Aが走行するための車線を確保して備えることが可能となる。
【0051】
このように、「緊急車両情報」は、道路上の車両状況に基づいて通知されるようになっており、道路が車両で混んでいれば、隣接する一般車両の車載コンピュータや信号機を介して、緊急車両の進行方向に位置する他の車両まで「緊急車両情報」を通知することができる。また、道路が車両で混んでいなければ、所定範囲に位置する他の車両に「緊急車両情報」を通知することができるので、隣接する車両状況に基づいて「緊急車両情報」を通知することができるようになっている。
(第1の実施例)
図1を参照すると、本発明の緊急車両接近通知システムの第1の実施の形態では、緊急車両Aと、緊急車両Aに搭載される車載コンピュータ100と、警察Eのサーバ端末200と、車両Bに搭載される車載コンピュータ300と、車両Cに搭載される車載コンピュータ400と、警察官Dの携帯端末500と、サーバ端末200と携帯端末500を相互に接続する通信ネットワーク600とを備えている。
【0052】
緊急車両Aは、警察Eのサーバ端末200にて緊急車両として登録及び管理される車両であり、「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を管理する車載コンピュータ100を有する。
【0053】
「緊急車両情報」とは、緊急車両を管理するための情報であり、”請求機関情報”および“車両管理情報”、“用途情報”のことを言う。“請求機関情報”としては、当該車両に対して緊急車両として道路を走行することを請求した機関を特定可能な情報であり、例えば、警察庁や消防庁などの具体的な機関を示す情報である。“車両管理情報”としては、車両を特定可能な情報であり、例えば、車体番号や車両型番、陸運局が発行するナンバープレートの情報などである。“用途情報”としては、緊急車両としての用途を特定可能な情報であり、例えば、救急車などのように、「消防法に基づいて急患者を病院に搬送する」などである。
【0054】
「位置・経路情報」とは、緊急車両の“現在地”および“目的地”、“目的地までの経路“を特定可能な情報であり、例えば、GPSによる位置情報や地図データにマッピング可能な経路情報である。
【0055】
車載コンピュータ100は、「緊急車両情報」と「位置・経路情報」などを記憶するための機能と、「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を操作する画面を表示する機能と、外部インタフェースとしての有線または無線の通信機能、GPSのように緊急車両Aの現在地を算出するための機能を備えている。
【0056】
また、車載コンピュータ100は、「緊急車両情報」と「位置・経路情報」へのアクセス(参照を除く、登録や更新など)を制御するアクセス制御機能を有しており、操作画面や通信機能を介してアクセスする際にはIDおよびパスワードの入力が求められる。
【0057】
警察Eのサーバ端末200は、ワークステーション・サーバ等の情報処理装置である。サーバ端末200は、警察Eにて登録及び管理されている全緊急車両に関する「緊急車両情報」を記録するための機能と、緊急車両ごとの「緊急車両情報」を操作する画面を表示する機能と、通信ネットワーク400などに接続するためのネットワーク機能を備えている。
【0058】
車両B(または車両C)は、緊急車両として道路を走行することを許可されていない一般車両であり、接近してきた緊急車両Aの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を受信して一時的に保存管理する車載コンピュータ300(または車載コンピュータ400)を備えている。
【0059】
車載コンピュータ300(または車載コンピュータ400)は、受信した緊急車両Aの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」などを一時的に記憶するための機能と、緊急車両Aの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を表示する機能と、外部インタフェースとしての有線または無線の通信機能、GPSのように車両B(または車両C)の現在地を算出するための機能を有している。
【0060】
警察官Dの携帯端末500は、PDAのような携帯可能な情報処理装置である。携帯端末500は、緊急車両Aおよび車両B(または車両C)に搭載されている車載コンピュータ100および車載コンピュータ300(または車載コンピュータ400)と通信する機能と、通信ネットワーク600などに接続するためのネットワーク機能と、通信機能およびネットワーク機能を介して得られた「緊急車両情報」を操作する画面を表示する機能、GPSのように携帯端末500の現在地を算出するための機能を有している。
【0061】
次に、図1及び図2のフローチャート(警察が行う「緊急車両情報」の登録・更新動作)、図3のフローチャート(緊急車両の運転者が行う「位置・経路情報」の登録・更新動作)、図4のフローチャート(緊急車両で行う緊急車両接近の通知動作)、図5のフローチャート(車両間で行う緊急車両接近の通知動作)、図6のフローチャート(警察官が行う「緊急車両情報」の確認動作)を参照して本実施例の全体の動作について詳細に説明する。
【0062】
初めに、警察が行う「緊急車両情報」の登録・更新動作について説明する。
【0063】
まず、警察は、緊急車両Aを緊急車両として道路を走行することを許可する際に、警察Eのサーバ端末200に表示されたパスワード入力画面で、警察のIDとパスワードを入力する(図2のステップA1)。それに応答して、サーバ端末200のアクセス制御機能は、入力された警察のIDとパスワードのチェックを行う(図2のステップA2)。
【0064】
警察は、警察のIDとパスワードが認証されたあと、サーバ端末200に緊急車両を登録・更新する画面が表示される(図2のステップA3)ので、緊急車両Aに対して緊急車両として道路を走行することを請求した機関を特定可能な“請求機関情報”および、緊急車両Aを特定可能な車体番号や車両型番、陸運局で交付されたナンバープレートなどの“車両管理情報”、緊急車両としての用途を特定可能な“用途情報”から成る緊急車両Aの「緊急車両情報」を、サーバ端末200に登録する(図2のステップA4)。こうして登録された緊急車両Aの「緊急車両情報」は、警察Eのサーバ端末200に蓄えられる。
【0065】
そして警察は、緊急車両Aの「緊急車両情報」を緊急車両Aの車載コンピュータ100に向けて送信する(図2のステップ5)。
【0066】
つぎに、警察は、車載コンピュータ100が緊急車両Aの「緊急車両情報」を受信(図2のステップA6)すると、車載コンピュータ100にIDとパスワードを入力する画面が表示される(図2のステップA7)ので、警察のIDとパスワードを入力する(図2のステップA8)。それに応答して、車載コンピュータ100のアクセス制御機能は、入力された警察のIDとパスワードのチェックを行う(図2のステップA9)。そして、警察のIDとパスワードが認証されたあと、車載コンピュータ100は、受信した緊急車両Aの「緊急車両管理情報」を車載コンピュータ100に登録する(図2のステップA10)。
【0067】
こうして登録された緊急車両Aの「緊急車両情報」は、車載コンピュータ100に蓄えられ、警察Eのサーバ端末200に蓄えられている緊急車両Aの「緊急車両情報」と同じ内容である。
【0068】
なお、この緊急車両Aの「緊急車両情報」を車載コンピュータ100およびサーバ端末200に登録・更新する動作(図2のステップA3からA4およびステップA10)、およびサーバ端末200から車載コンピュータ100に向けて緊急車両Aの「緊急車両情報」を送信する動作(図2のステップA5)は、警察のみが行える。
【0069】
この実施例では、緊急車両の登録・更新する管轄は、道路交通法によって一般道路上の緊急車両を規制するのは警察であるため、警察のみ登録・更新することができるようになっている。
【0070】
次に、緊急車両の運転者が行う「位置・経路情報」の登録・更新動作について説明する。
【0071】
まず、緊急車両Aの運転者は、車載コンピュータに100にIDとパスワードを入力する画面が表示される(図3のステップB1)ので、緊急車両Aの運転者のみに知らされている運転者のIDとパスワードを入力する(図3のステップB2)。
【0072】
それに応答して、車載コンピュータ100のアクセス制御機能は、入力された運転者のIDとパスワードのチェックを行う(図3のステップB3)。
【0073】
つぎに、緊急車両Aの運転者は、運転者のIDとパスワードが認証されたあと、車載コンピュータ100に緊急車両Aの目的地を設定する画面が表示される(図3のステップB4)ので、緊急車両Aの目的地を設定(図3のステップB5)することにより、車載コンピュータ100が緊急車両Aの現在地から目的地までの経路を決定(図3のステップB6)して、緊急車両Aの「位置・経路情報」として車載コンピュータ100に登録される(図3のステップB7)。
【0074】
こうして登録された緊急車両Aの「位置・経路情報」は緊急車両Aが目的地に到着するまで車載コンピュータ100に蓄えられる。
【0075】
なお、この緊急車両Aの「位置・経路情報」を車載コンピュータ100に登録する動作(図3のステップB4からB7)は、緊急車両Aの運転者IDとパスワードを知っている緊急車両Aの運転者のみが行える。
【0076】
次に、緊急車両で行う緊急車両接近の通知動作について説明する。
【0077】
まず、緊急車両Aの車載コンピュータ100は、車載コンピュータ100に登録されている緊急車両Aの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を車載コンピュータ100の通信機能を用いて、緊急車両Aの進行方向(「位置・経路情報」の目的地までの経路より特定可能)に向けて送信する(図4のステップC1)。
【0078】
つぎに、車載コンピュータ100は、緊急車両Aの現在地を算出して緊急車両Aの目的地に緊急車両Aが到着したか否かをチェックする(図4のステップC2)。
【0079】
まだ緊急車両Aの目的地に到着していない場合、車載コンピュータ100が緊急車両Aの現在地から目的地までの経路を決定(図4のステップC3)して、緊急車両Aの「位置・経路情報」として車載コンピュータ100に更新する(図4のステップC4)。こうして更新された緊急車両Aの「位置・経路情報」は、緊急車両Aが目的地に到着するまで車載コンピュータ100に蓄えられ、その間、定期的に車載コンピュータ100の通信機能を用いて、緊急車両Aの進行方向(「位置・経路情報」の目的地までの経路より特定可能)に向けて送信される(再度、図4のステップC1にもどる)。
【0080】
なお、緊急車両Aが目的地に到着したとき、車載コンピュータ100は、緊急車両Aの「位置・経路情報」を車載コンピュータ100から削除する(図4のステップC5)。
【0081】
また、これら車載コンピュータ100の一連の動作は、緊急車両Aの「位置・経路情報」が車載コンピュータ100に登録(図3のステップB7)されてから、緊急車両Aが目的地に到着するまでの間、自動的に実施される。
【0082】
次に、車両間で行う緊急車両接近の通知動作について説明する。
【0083】
まず、緊急車両Aが車両Bに接近すると、車両Bの車載コンピュータ300は、緊急車両Aの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を受信する(図5のステップD1)ので、車載コンピュータ300は、緊急車両Aが車両Bに接近してきていることを示す画面を表示する(図5のステップD2)。
【0084】
こうして車載コンピュータ300は、車両Bの運転者に対して緊急車両Aが車両Bに接近していることを通知する。
【0085】
車載コンピュータ300は、緊急車両Aの現在地(車載コンピュータ300で受信した緊急車両Aの「位置・経路情報」から特定可能)を用いて、緊急車両Aと車両Bの距離をチェック(図5のステップD3)し、緊急車両Aと車両Bの距離が、ある一定範囲の中に含まれる場合に限り、車載コンピュータ300で受信した緊急車両Aの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を車載コンピュータ300の通信機能を用いて、緊急車両Aの進行方向(受信した緊急車両Aの「位置・経路情報」の目的地までの経路より特定可能)に向けて送信する(図5のステップD4)。
【0086】
ここで緊急車両Aの「緊急車両情報」および「位置・経路情報」を進行方向に送信するために、ミニFMの電波を送信する送信機を用いて、緊急車両Aの「位置・経路情報」を送信することにより、その電波を受信した車両は、自車のGPSによって緊急車両の経路に位置しているか否か判断することができるので、進行方向に存在する車両を特定することができる。
【0087】
なお、進行方向に送信する方法は、ミニFMの電波送信に限定されるものではなく、緊急車両Aの「位置・経路情報」を送信することにより、他の車両が緊急車両の経路上に位置するか否かが分かれば良い。
【0088】
また、これら車載コンピュータ300の一連の動作は、緊急車両Aが車両Bに接近したときの場合を示しているが、図1にあるように車両Bが緊急車両Aの接近を車両Cに通知する場合も、車両Cの車載コンピュータ400も車両Bの車載コンピュータ300と同様に動作する。
【0089】
車載コンピュータ300と車載コンピュータ400の違いとしては、受信した緊急車両Aの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」の送信元が異なるだけであり、車載コンピュータ300は、緊急車両Aの車載コンピュータ100が直接の送信元であるのに対して、車載コンピュータ400は、車両Bの車載コンピュータ300が直接の送信元となる。
【0090】
このように、「緊急車両情報」は、道路上の車両状況に基づいて通知されるようになっており、道路が車両で混んでいれば、隣接する一般車両の車載コンピュータを介して、緊急車両の進行方向に位置する他の車両まで「緊急車両情報」を通知することができる。また、道路が車両で混んでいなければ、所定範囲に位置する他の車両に「緊急車両情報」を通知することができるので、隣接する車両状況に基づいて「緊急車両情報」を通知することができるようになっている。
【0091】
最後に、警察官が行う「緊急車両情報」の確認動作について説明する。
【0092】
まず、緊急車両Aが警察官Dに接近すると、警察官Dの持つ携帯端末500は、緊急車両Aの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を受信する(図6のステップE1)。
【0093】
これにより、携帯端末500は、表示画面に緊急車両Aが接近してきていることを示す画面を表示する(図6のステップE2)。
【0094】
こうして携帯端末500は、警察官Dに対して緊急車両Aが接近していることを通知する。
【0095】
警察官Dは、緊急車両Aが不正に緊急車両として道路を走行していないかを確認するために、携帯端末500で受信した緊急車両Aの車両番号(「緊急車両情報」の“車体管理情報”)および警察のIDとパスワードを携帯端末500から警察Eのサーバ端末200に向けて、ネットワーク600を介して送信する(図6のステップE3)。それに応答して、サーバ端末200のアクセス制御機能は、携帯端末500からネットワーク600を介して送信された警察のIDとパスワードのチェックを行う(図6のステップE4)。
【0096】
つぎに、警察Eのサーバ端末200は、警察のIDとパスワードが認証されたあと、携帯端末500からネットワーク600を介して送信された緊急車両Aの車両番号をキーにして、サーバ端末200に蓄えられている「緊急車両情報」の中から携帯端末500で受信した緊急車両Aの「緊急車両情報」を検索する(図6のステップE5)。
【0097】
そして、サーバ端末200は、携帯端末500から送信された緊急車両Aの車両番号をキーに検索した「緊急車両情報」を、検索結果として携帯端末500にネットワーク600を介して送信する(図6のステップE6)。
【0098】
最後に、警察官Dは、現在接近している緊急車両Aの「緊急車両情報」と、警察Eのサーバ端末200から送信された検索結果としての「緊急車両情報」を比較して、双方の「緊急車両情報」に不一致がないかのチェックを行う(図6のステップE7)。このとき「緊急車両情報」の内容に不一致が発見された場合には、この緊急車両Aは、警察によって予め登録された緊急車両とは異なり、不正に緊急車両として道路を走行している車両として、携帯端末500の表示される(図6のステップE8)。
【0099】
以上説明したように、緊急車両に関する「緊急車両情報」を警察にて作成し、その「緊急車両情報」を警察のサーバ端末と緊急車両の車載コンピュータで管理し、緊急車両に関する「位置・経路情報」を緊急車両の車載コンピュータで管理し、IDとパスワードによってそれら情報への登録・変更を行う権限を制限し、車載コンピュータは通信機能を介して緊急車両が接近していることを「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を自動的に送受信することで通知し合い、車載コンピュータだけでなく、携帯端末などを介して警察官が遠隔確認できるようにすることで、下記のような効果が得られる。
【0100】
第1の効果は、車体番号や車両型番、陸運局が発行するナンバープレートの情報などの車両を特定可能な情報や許可を請求した機関を特定可能な情報、すなわち「緊急車両情報」を車両内にある車載コンピュータと、警察のサーバ端末の両方にて管理することにより、車両の外観を改造することで緊急車両に見せかけ、不正に緊急車両を特定するための情報が改ざんされたとしても、警察のサーバ端末にある情報と比較することで不正に改ざんされ、改造された車両であることが容易に確認できる。
【0101】
第2の効果は、車載コンピュータに通信機能を持たせ、車載コンピュータから緊急車両に関する情報を送受信できるようにすることにより、他の車両や警察、さらには交差点の信号機に対して緊急車両が接近していることを通知することが可能となり、サイレンや赤色灯では容易に確認できなかったような後方からの接近や交差点への進入を、人間の五感ではなく、機械的に事前に確認できる。なお、「緊急車両情報」は、道路上の車両状況に基づいて通知されるようになっており、道路が車両で混んでいれば、隣接する一般車両の車載コンピュータを介して、緊急車両の進行方向に位置する他の車両まで「緊急車両情報」を通知することができ、また道路が車両で混んでいなければ、所定範囲に位置する他の車両に「緊急車両情報」を通知することができるので、隣接する車両状況に基づいて「緊急車両情報」を通知することができる。
【0102】
第3の効果は、車載コンピュータおよび警察のサーバ端末にて、IDとパスワードを用いて警察以外の者が「緊急車両情報」の登録および変更を行うことができないように、車両コンピュータおよび警察のサーバ端末にアクセス制御機能を持たせることにより、「緊急車両情報」の不正改ざんを容易に行うことができない。
【0103】
第4の効果は、車載コンピュータにて、IDとパスワードを用いて、あらかじめ運転を許可された者以外が緊急車両の目的地の設定を行うことができないように車両コンピュータにアクセス制御機能を持たせることにより、緊急車両が盗難されたとしても緊急車両として道路を走行することができない。
【0104】
第5の効果は、緊急車両の接近を通知する際、単純に緊急車両が接近していることを通知するのではなく、緊急車両の目的地や経路を特定できる情報、すなわち「位置・経路情報」を含めて通知していることにより、緊急車両の接近を確認した車両や警察官が、さらに他の車両などに緊急車両の接近を通知するのに、緊急車両の進行方向に限ることができる。
【0105】
第6の効果は、緊急車両の接近を通知する際、単純に緊急車両が接近していることを通知するのではなく、緊急車両の目的地や経路を特定できる情報、すなわち「位置・経路情報」を含めて通知していることにより、緊急車両の接近を確認した車両や警察官が、緊急車両との距離を把握することができる。
【0106】
なお、本実施の形態では、一般道路を緊急車両として走行する許可機関が警察である場合に、警察のみによって登録するようになされていたが、本発明はこれに限らず、警察以外の機関でも緊急車両を登録することができる場合には、他の許可機関によって登録することができるようにしても良い。
【0107】
また、緊急車両は、パトカーや消防車や救急車に限らず、輸血・献血車両、ガス漏れ点検車両などの車両が、緊急車両に該当する。
【0108】
そして警察は、いずれの緊急車両に関する情報も登録、変更できるようにしても良く、或いは管轄の異なるサーバについてはアクセスだけ許可し、登録内容を検索することのみできるようにしても良い。
(第2の実施の形態)
他の実施の形態として図7を参照すると、本発明の緊急車両接近通知システムの第2の実施の形態では、第1の実施の形態の図1にある警察官Dの携帯端末500が削除され、車両Cに代わって交差点信号機700が追加されており、交差点信号機700とサーバ端末200は共に通信ネットワーク600に接続されている点が第1の実施の形態の構成と異なる。
(第2の実施例)
交差点信号機700は、通信機能を有する信号機である。交差点信号700は、高速道路の料金所にあるETC(有料道路自動料金収受)システムのように緊急車両Aや車両Bに搭載されている車載コンピュータ100や車載コンピュータ300と通信する機能と、通信ネットワーク600などに接続するためのネットワーク機能を有する。
【0109】
第1の実施の形態では、車載コンピュータ100または車載コンピュータ300から送信された緊急車両Aの「緊急車両情報」と、警察Eのサーバ端末200に記録されている緊急車両Aの「緊急車両情報」に不一致がないかチェックするのは、警察官Dの携帯端末500を利用して行うことを前提にしていた。
【0110】
しかし、第2の実施の形態では、警察官Dの携帯端末500に代わり、交差点信号機700が、車載コンピュータ100または車載コンピュータ300から受信した緊急車両Aの「緊急車両情報」と、警察Eのサーバ端末200に記録されている緊急車両Aの「緊急車両情報」に不一致がないかチェックを行なっている。
【0111】
次に、本実施例の動作について説明する。
【0112】
第1の実施例と異なるのは、図6のフローチャート(警察官が行う「緊急車両情報」の確認動作)が、図8に示すフローチャート(交差点信号機が行う「緊急車両情報」の確認動作)となる。
【0113】
ここで、図8を参照すると、第1の実施例における警察官Dの携帯端末500での動作が、第2の実施の形態における交差点信号機700での動作に変更されただけであり、車載コンピュータ100および車載コンピュータ300と警察Eのサーバ端末200の動作に関しては変更なく、全く同じである。これ以外の動作(図2および図3、図4、図5のフローチャート)に関しては、第1の実施例と全く同じである。
【0114】
追加された、交差点信号機が行う「緊急車両情報」の確認動作について説明する。
【0115】
まず、交差点に設置されている交差点信号機700は、緊急車両Aが交差点信号機700に接近すると、交差点信号機700は緊急車両Aの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を受信する(図8のステップF1)。
【0116】
交差点信号機700は、緊急車両Aが不正に緊急車両として道路を走行していないかを確認するために、交差点信号機700で受信した緊急車両Aの車両番号(「緊急車両情報」の“車体管理情報”)および警察のIDとパスワードを、交差点信号機700から警察Eのサーバ端末200に向けて、ネットワーク600を介して送信する(図8のステップF2)。それに応答して、サーバ端末200のアクセス制御機能は、交差点信号機700からネットワーク600を介して送信された警察のIDとパスワードのチェックを行う(図8のステップF3)。
【0117】
つぎに、警察Eのサーバ端末200は、警察のIDとパスワードが認証されたあと、交差点信号機700からネットワーク600を介して送信された緊急車両Aの車両番号をキーにして、サーバ端末200に蓄えられている「緊急車両情報」の中から検索する(図8のステップF4)。
【0118】
そして、サーバ端末200は、交差点信号機700から送信された緊急車両Aの車両番号をキーに検索した「緊急車両情報」を、検索結果として交差点信号機700にネットワーク600を介して送信する(図8のステップF5)。
【0119】
最後に、交差点信号機700は、現在接近している緊急車両Aの「緊急車両情報」と、警察Eのサーバ端末200から送信された検索結果としての「緊急車両情報」を比較して、双方の「緊急車両情報」に不一致がないかのチェックを行う(図8のステップF6)。
【0120】
このとき「緊急車両情報」の内容が同じ場合には、警察に許可された緊急車両Aが交差点に進入してくるのに備えて、緊急車両Aが交差点を通過する際に他の車両が交差点内へと進入するのを防ぐために、交差点内のすべての信号を赤信号に変更する(図8のステップF7)。
【0121】
なお、交差点内のすべての信号を赤信号に変更する場合、突然青信号から赤信号に変更するのではなく、緊急車両Aと交差点までの距離(交差点信号機700で受信した緊急車両Aの「位置・経路情報」から特定可能)に応じて、徐々に赤信号に変更する。
【0122】
もし仮に、現在接近している緊急車両Aの「緊急車両情報」と、警察Eのサーバ端末200から送信された検索結果としての「緊急車両情報」の内容に不一致が発見された場合には、緊急車両Aは不正に緊急車両として道路を走行している車両として警察に通報される。
【0123】
以上のように、本実施例では、不正に緊急車両として道路を走行していないかを交差点ごとに行うので警察による検問の実施が不要となり、さらには緊急車両が交差点を安全に通過できるように交差点信号の制御も可能となる。
(第3の実施の形態)
また他の実施の形態として図9を参照すると、本発明の緊急車両接近通知システムの第3の実施の形態では、第1の実施の形態の図1にある警察官Dの携帯端末500が追加され、さらに第2の実施の形態の図7にある緊急車両Aに代わって臨時緊急車両Fが追加され、交差点信号機700とサーバ端末200、および携帯端末500とサーバ端末200は共に通信ネットワーク600に接続されている点が第1および第2の実施の形態の構成と異なる。
(第3の実施例)
臨時緊急車両Fは、第1および第2の実施の形態にある車両B(または車両C)と同じものであり、本来は緊急車両として道路を走行することを許可されていない一般車両である。また臨時緊急車両Fは、車両B(または車両C)と同様に、接近してきた緊急車両の「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を受信して一時的に保存管理する車載コンピュータ800を有する。
【0124】
車載コンピュータ800は、車載コンピュータ300(または車載コンピュータ400)と同様に、受信した緊急車両の「緊急車両情報」と「位置・経路情報」などを一時的に記憶するための機能と、緊急車両の「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を表示する機能と、外部インタフェースとしての有線または無線の通信機能、GPSのように車両B(または車両C)の現在地を割り出すための機能を有している。
【0125】
この車載コンピュータ800が車載コンピュータ300(または車載コンピュータ400)と異なる点は、緊急車両Aの車載コンピュータ100のように臨時緊急車両Fの臨時的な「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を記録するための機能を有することである。
【0126】
第1および第2の実施の形態では、緊急車両である緊急車両Aと一般車両である車両B(または車両C)は初めから異なる車両として扱われており、あらかじめ、警察によって緊急車両Aの「緊急車両情報」を警察Eのサーバ端末200に登録することで、緊急車両として緊急車両Aが管理されていることを前提にしていた。
【0127】
しかし、第3の実施の形態では、あらかじめ警察によって緊急車両として道路を走行することを許可されている緊急車両Aの到着を待てないほど緊急を要するような場合に限り、警察官Dの携帯端末500を用いて、警察Eのサーバ端末200を遠隔操作することで、警察Eのサーバ端末200に緊急車両としてあらかじめ管理・登録されていない一般車両を、臨時緊急車両Fとして道路を緊急車両として走行することを許可することができる。
【0128】
次に、本実施例の動作について説明する。
【0129】
第2の実施例と異なるのは、図2のフローチャート(警察が行う「緊急車両情報」の登録・更新動作)および図3のフローチャート(緊急車両の運転者が行う「位置・経路情報」の登録・更新動作)が、図10のフローチャート(警察官が行う臨時「緊急車両情報」および「位置・経路情報」の登録・更新動作)に統合され、図4のフローチャート(緊急車両で行う緊急車両接近の通知動作)が図11のフローチャート(臨時緊急車両で行う緊急車両接近の通知動作)となる。これ以外の動作(図5および図8のフローチャート)に関しては、第1および第2の実施例と全く同じである。
【0130】
初めに、警察が行う臨時「緊急車両情報」および「位置・経路情報」の登録・更新動作について説明する。
【0131】
ここで、図10を参照すると、第1の実施例における警察が行う「緊急車両情報」の登録・更新動作(図2の全ステップ)および緊急車両の運転者が行う「位置・経路情報」の登録・更新動作(図3の全ステップ)が、警察官Dの携帯端末500を用いて、警察Eのサーバ端末200および臨時緊急車両Fの車載コンピュータ800を警察官Dが遠隔操作する動作に変更されている。
【0132】
まず、警察官Dは、臨時緊急車両Fが緊急車両として道路を走行することを許可するために、警察官Dの携帯端末500のネットワーク機能を用いて、警察のIDとパスワードを、警察Eのサーバ端末200に向けて送信する(図10のステップG1)。それに応答して、警察Eのサーバ端末200のアクセス制御機能は、携帯端末500からその警察のIDとパスワードを受信して、警察のIDとパスワードのチェックを行う(図10のステップG2)。
【0133】
サーバ端末200で警察のIDとパスワードが認証されたあと、サーバ端末200は、警察官Dの携帯端末500に向けて、臨時緊急車両の登録画面を送信する(図10のステップG3)。
【0134】
警察官Eは、携帯端末500に表示された臨時緊急車両の登録画面で、臨時緊急車両Fを特定可能な車体番号や車両型番、陸運局で交付されたナンバープレートなどの臨時緊急車両Fの“車両管理情報”を設定する(図10のステップG4)。
【0135】
さらに、携帯端末500の臨時緊急車両の登録画面で、臨時緊急車両Fの現在地と目的地を設定(図10のステップG5)することで、携帯端末500が臨時緊急車両Aの現在地から目的地までの経路を決定(図10のステップG6)して、臨時緊急車両Fの「位置・経路情報」を設定する。
【0136】
こうして携帯端末500の臨時緊急車両の登録画面で設定された、臨時緊急車両Fの“車両管理情報”および「位置・経路情報」を、警察Eのサーバ端末200に送信する(図10のステップG7)。それに応じて、警察Eのサーバ端末200は、まずは携帯端末500から送信された臨時緊急車両Fの“車両管理情報”、および臨時緊急車両Fの“請求機関情報”として警察官Dが特定可能なように警察官Dが所属する警察署から成る臨時緊急車両Fの「緊急車両情報」をサーバ端末200に登録する(図10のステップG8)。
【0137】
さらに、通常の緊急車両とは異なり、警察官Dの携帯端末500から送信された臨時緊急車両Fの「位置・経路情報」もサーバ端末200に登録する(図10のステップG9)。こうして登録された臨時緊急車両Fの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」は、警察Eのサーバ端末200に蓄えられる。
【0138】
そして、警察Eのサーバ端末200は、臨時緊急車両Fの「緊急車両情報」および「位置・経路情報」を警察官Dの携帯端末500に向けて送信する(図10のステップG10)。それに応じて、警察官Dの携帯端末500は、警察のIDとパスワード、およびサーバ端末200から送信された臨時緊急車両Fの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を、臨時緊急車両Fの車載コンピュータ800に送信する(図10のステップG11)。
【0139】
つぎに、臨時緊急車両Fの車載コンピュータ800は、携帯端末500から送信された警察のIDとパスワード、および臨時緊急車両Fの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を受信(図10のステップG12)すると、それに応答して、車載コンピュータ800のアクセス制御機能は、携帯端末500から受信した警察のIDとパスワードのチェックを行う(図10のステップG13)。
【0140】
そして、警察のIDとパスワードが認証されたあと、車載コンピュータ800は、受信した臨時緊急車両Fの「緊急車両管理情報」を車載コンピュータ800に登録する(図10のステップG14)。同様に、車載コンピュータ800は、受信した臨時緊急車両Fの「位置・経路情報」を車載コンピュータ800に登録する(図10のステップG15)。
【0141】
こうして登録された臨時緊急車両Fの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」は、車載コンピュータ800に蓄えられ、警察Eのサーバ端末200に蓄えられている臨時緊急車両Fの「緊急車両情報」および「位置・経路情報」と同じ内容である。
【0142】
ただし、車載コンピュータ800に登録された臨時緊急車両Fの「位置・経路情報」は、臨時緊急車両Fが目的地に到着するまでの間、定期的に変更されるので、警察Eのサーバ端末200に登録された臨時緊急車両Fの「位置・経路情報」との比較には目的地のみが有効となる。
【0143】
なお、この臨時緊急車両Fを緊急車両として道路を走行させるために必要な車載コンピュータ800およびサーバ端末200での登録・更新動作(図10のステップG3からG15)は、警察のみが行える。
【0144】
つぎに、臨時緊急車両で行う緊急車両接近の通知動作について説明する。
【0145】
図11を参照すると、第1の実施例における緊急車両Aの車載コンピュータ100での最後の動作(図4のステップC5)が、第3の実施の形態における臨時緊急車両Fの車載コンピュータ800での最後の動作(図11のステップH5とステップH6)に変更されただけであり、車載コンピュータ100および車載コンピュータ800の他の動作に関して変更はなく、基本的には全く同じである(図4のC1からC4は、図11のH1からH4に対応する)。
【0146】
まず、臨時緊急車両Fの車載コンピュータ800は、車載コンピュータ800に登録されている臨時緊急車両Fの「緊急車両情報」と「位置・経路情報」を車載コンピュータ800の通信機能を用いて、臨時緊急車両Fの進行方向(「位置・経路情報」の目的地までの経路より特定可能)に向けて送信する(図11のステップH1)。
【0147】
つぎに車載コンピュータ800は、臨時緊急車両Fの現在地を算出して臨時緊急車両Fの目的地に到着したか否かをチェックする(図11のステップH2)。まだ臨時緊急車両Fの目的地に到着していない場合、車載コンピュータ800が臨時緊急車両Fの現在地から目的地までの経路を決定(図11のステップH3)して、臨時緊急車両Fの「位置・経路情報」として車載コンピュータ800に更新する(図11のステップH4)。
【0148】
こうして更新された臨時緊急車両Fの「位置・経路情報」は、臨時緊急車両Fが目的地に到着するまで車載コンピュータ800に蓄えられ、その間、定期的に車載コンピュータ800の通信機能を用いて、臨時緊急車両Fの進行方向(「位置・経路情報」の目的地までの経路より特定可能)に向けて送信される(再度、図11のステップH1にもどる)。
【0149】
なお、臨時緊急車両Fが目的地に到着したとき、車載コンピュータ800は、臨時緊急車両Fの「位置・経路情報」を車載コンピュータ800から削除する(図11のステップH5)。ただし、通常の緊急車両Aの車載コンピュータ100とは異なり、車載コンピュータ800は、臨時緊急車両Fの「緊急車両情報」も「位置・経路情報」と共に車載コンピュータ800から削除する(図11のステップH6)。
【0150】
また、これら車載コンピュータ800の一連の動作は、臨時緊急車両Fの「位置・経路情報」が車載コンピュータ800に登録(図10のステップG15)されてから、臨時緊急車両Fが目的地に到着するまでの間、自動的に実施される。
【0151】
以上のように、本実施例では、あらかじめ警察によって緊急車両として道路を走行することを許可されている緊急車両の到着を待てないほど緊急を要すると警察が認めた場合に限り、警察官が警察のサーバ端末200を遠隔操作することで、一般車両を臨時に緊急車両として道路走行することを可能にし、さらに他の車両に対して臨時の緊急車両であっても、緊急車両が接近していることを通知することができ、しかも臨時の緊急車両であっても安全に交差点に進入することを可能となる。
【0152】
また、臨時緊急車両となった一般車両は、パトカーや救急車に限定されるものではなく、必要に応じて、どんな緊急車両にもなることができる。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】本発明の第1の実施の形態を表すシステム構成図である。
【図2】本発明の第1の実施例における緊急車両の登録及び更新動作のフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施例における緊急車両の位置及び経路の登録及び更新動作のフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施例における緊急車両が行なう緊急車両接近の通知動作のフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施例における車両間での緊急車両接近の通知動作のフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施例における警察官が行なう緊急車両情報の確認動作のフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態を表すシステム構成図である。
【図8】本発明の第2の実施例における信号機が行なう緊急車両情報の確認動作のフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施の形態を表すシステム構成図である。
【図10】本発明の第3の実施例における未登録の一般車両を臨時で緊急車両として登録するフローチャートである。
【図11】本発明の第3の実施例における臨時緊急車両が行なう緊急車両接近の通知動作のフローチャートである。
【符号の説明】
【0154】
100 車載コンピュータ
200 サーバ端末
300 車載コンピュータ
400 車載コンピュータ
500 携帯端末
600 ネットワーク
700 交差点信号機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が緊急車両であることを示す緊急車両情報、前記自車両の位置を示す位置情報及び前記自車両の通る予定経路を示す経路情報を送信する緊急車両搭載装置と、
前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自己車両の位置を基に、自己車両が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、前記緊急車両情報をユーザに出力する通常車両搭載装置と
を備えることを特徴とする緊急車両情報出力システム。
【請求項2】
請求項1に記載の緊急車両情報出力システムにおいて、
前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自己車両の位置を基に、自己車両が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、前記緊急車両情報をユーザに出力すると共に、受信した前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を送信する第2の通常車両搭載装置と
をさらに備えることを特徴とする緊急車両情報出力システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の緊急車両情報出力システムにおいて、
前記緊急車両搭載装置、又は前記第2の通常車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報、及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自信号機の位置を基に、自信号機が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、赤信号を表示する信号機搭載装置
をさらに備えることを特徴とする緊急車両情報出力システム。
【請求項4】
自車両が緊急車両であることを示す緊急車両情報、前記自車両の位置を示す位置情報及び前記自車両の通る予定経路を示す経路情報を送信する緊急車両搭載装置と、
前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自信号機の位置を基に、自信号機が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、赤信号を表示する信号機搭載装置と
を備えることを特徴とする緊急車両情報出力システム。
【請求項5】
自車両が緊急車両であることを示す緊急車両情報、前記自車両の位置を示す位置情報及び前記自車両の通る予定経路を示す経路情報を送信する緊急車両搭載装置と、
前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自己車両の位置を基に、自己車両が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、前記緊急車両情報をユーザに出力する通常車両搭載装置と
を備え、
前記緊急車両が必要な場合には、通常車両搭載装置を有する車両が、臨時に前記緊急車両として機能する
ことを特徴とする臨時緊急車両情報出力システム。
【請求項6】
自車両が緊急車両であることを示す緊急車両情報、前記自車両の位置を示す位置情報及び前記自車両の通る予定経路を示す経路情報を送出する緊急車両情報送出ステップと、
前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自己車両の位置を基に、自己車両が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、前記緊急車両情報をユーザに出力する通常車両情報送出ステップと
を備えることを特徴とする緊急車両情報出力方法。
【請求項7】
請求項6に記載の緊急車両情報出力方法において、
前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自己車両の位置を基に、自己車両が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、前記緊急車両情報をユーザに出力すると共に、受信した前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を送信する第2の通常車両情報送出ステップ
をさらに備えることを特徴とする緊急車両情報出力方法。
【請求項8】
請求項7に記載の緊急車両情報出力方法において、
前記緊急車両搭載装置、又は前記第2の通常車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報、及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自信号機の位置を基に、自信号機が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、赤信号を表示する信号機情報送出ステップ
をさらに備えることを特徴とする緊急車両情報出力方法。
【請求項9】
自車両が緊急車両であることを示す緊急車両情報、前記自車両の位置を示す位置情報及び前記自車両の通る予定経路を示す経路情報を送信する緊急車両情報送出ステップと、
前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自信号機の位置を基に、自信号機が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、赤信号を表示する信号機情報送出ステップと
を備えることを特徴とする緊急車両情報出力方法。
【請求項10】
自車両が緊急車両であることを示す緊急車両情報、前記自車両の位置を示す位置情報及び前記自車両の通る予定経路を示す経路情報を送信する緊急車両情報送出ステップと、
前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自己車両の位置を基に、自己車両が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、前記緊急車両情報をユーザに出力する通常車両情報送出ステップと
前記緊急車両が必要な場合には、通常車両情報送出ステップを有する車両が、臨時に前記緊急車両として機能する臨時緊急車両機能ステップと
を備えることを特徴とする臨時緊急車両情報出力方法。
【請求項1】
自車両が緊急車両であることを示す緊急車両情報、前記自車両の位置を示す位置情報及び前記自車両の通る予定経路を示す経路情報を送信する緊急車両搭載装置と、
前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自己車両の位置を基に、自己車両が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、前記緊急車両情報をユーザに出力する通常車両搭載装置と
を備えることを特徴とする緊急車両情報出力システム。
【請求項2】
請求項1に記載の緊急車両情報出力システムにおいて、
前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自己車両の位置を基に、自己車両が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、前記緊急車両情報をユーザに出力すると共に、受信した前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を送信する第2の通常車両搭載装置と
をさらに備えることを特徴とする緊急車両情報出力システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の緊急車両情報出力システムにおいて、
前記緊急車両搭載装置、又は前記第2の通常車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報、及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自信号機の位置を基に、自信号機が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、赤信号を表示する信号機搭載装置
をさらに備えることを特徴とする緊急車両情報出力システム。
【請求項4】
自車両が緊急車両であることを示す緊急車両情報、前記自車両の位置を示す位置情報及び前記自車両の通る予定経路を示す経路情報を送信する緊急車両搭載装置と、
前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自信号機の位置を基に、自信号機が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、赤信号を表示する信号機搭載装置と
を備えることを特徴とする緊急車両情報出力システム。
【請求項5】
自車両が緊急車両であることを示す緊急車両情報、前記自車両の位置を示す位置情報及び前記自車両の通る予定経路を示す経路情報を送信する緊急車両搭載装置と、
前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自己車両の位置を基に、自己車両が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、前記緊急車両情報をユーザに出力する通常車両搭載装置と
を備え、
前記緊急車両が必要な場合には、通常車両搭載装置を有する車両が、臨時に前記緊急車両として機能する
ことを特徴とする臨時緊急車両情報出力システム。
【請求項6】
自車両が緊急車両であることを示す緊急車両情報、前記自車両の位置を示す位置情報及び前記自車両の通る予定経路を示す経路情報を送出する緊急車両情報送出ステップと、
前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自己車両の位置を基に、自己車両が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、前記緊急車両情報をユーザに出力する通常車両情報送出ステップと
を備えることを特徴とする緊急車両情報出力方法。
【請求項7】
請求項6に記載の緊急車両情報出力方法において、
前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自己車両の位置を基に、自己車両が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、前記緊急車両情報をユーザに出力すると共に、受信した前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を送信する第2の通常車両情報送出ステップ
をさらに備えることを特徴とする緊急車両情報出力方法。
【請求項8】
請求項7に記載の緊急車両情報出力方法において、
前記緊急車両搭載装置、又は前記第2の通常車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報、及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自信号機の位置を基に、自信号機が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、赤信号を表示する信号機情報送出ステップ
をさらに備えることを特徴とする緊急車両情報出力方法。
【請求項9】
自車両が緊急車両であることを示す緊急車両情報、前記自車両の位置を示す位置情報及び前記自車両の通る予定経路を示す経路情報を送信する緊急車両情報送出ステップと、
前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自信号機の位置を基に、自信号機が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、赤信号を表示する信号機情報送出ステップと
を備えることを特徴とする緊急車両情報出力方法。
【請求項10】
自車両が緊急車両であることを示す緊急車両情報、前記自車両の位置を示す位置情報及び前記自車両の通る予定経路を示す経路情報を送信する緊急車両情報送出ステップと、
前記緊急車両搭載装置から前記緊急車両情報、前記位置情報及び前記経路情報を受信し、前記位置情報及び前記経路情報並びに自己車両の位置を基に、自己車両が前記予定経路上の前記緊急車両の位置から所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲にある場合には、前記緊急車両情報をユーザに出力する通常車両情報送出ステップと
前記緊急車両が必要な場合には、通常車両情報送出ステップを有する車両が、臨時に前記緊急車両として機能する臨時緊急車両機能ステップと
を備えることを特徴とする臨時緊急車両情報出力方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−265163(P2007−265163A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−91072(P2006−91072)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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