説明

自動車用の統合された伝動装置制御システム

【課題】駆動輪に加えられたパワーの改善とともに直接的な制御を可能にして、エンジン及び変速装置の制御のための別個の従来の管理モードを回避することを可能にする統合された伝動装置制御システムを提供する。
【解決手段】システムは、状態信号DSを生成するモジュール30と、信号BSを生成するモジュール32と、信号EGMCSを生成するモジュール34と、信号ICESを生成するモジュール36と、信号EGMCSを生成するモジュール38と、信号ICECSを生成するモジュール40と、信号GSを生成するモジュール42と、信号VSを出すモジュール44と、信号WSRを出すモジュール46と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用の伝動装置制御システムに関し、より詳細には、請求項1の前提部分で規定されたタイプの制御システムに関する。
【0002】
先行技術では、アクセルペダルによって与えられた運転者のコマンドの解釈により、及び、このコマンドを、駆動軸の回転数の関数としてエンジン自体によって提供された駆動トルクのための要求信号に翻訳することによって、自動車における伝動装置制御が行われる。駆動輪に有効に印加されるパワー又はトルクは、エンジンから伝達された駆動トルクに依存するだけではなく、変速装置で選択された変速比に依存する。
【0003】
サーボ支援された変速装置及び手動式のアーキテクチャーを備えた自動車において、アクセルペダルそして恐らくブレーキペダルによって運転者によって与えられたコマンドと、トランスミッション比の選択のためのコマンド(押しボタン又はレバーによる)とは、トランスミッション比の選択及びクラッチの動作のためのギア管理装置によって解釈される。
【0004】
同じ出願人の名前で出願された特許文献1において、従来のシステムより大きな自由度を持ってエンジンを管理することを可能にする自動車用の伝動装置制御システムが記載されている。この制御システムは、サーボ制御されたクラッチによる駆動軸に連結可能な入力軸を含むサーボ支援したギアを持った変速装置を備える自動車の統合された走行(traction)制御に適用される。そして、それぞれに電気的に制御されたアクチュエータは、変速装置及びクラッチと連関している。
【0005】
サーボ支援された、又は「自動化された」タイプの変速装置を備える自動車において、走行制御(つまり駆動輪に加えられ、地面で交換されたパワー又はトルクの制御)は、運転者によって選ばれた変速比又は「速度」と、アクセルペダルとを介して運転者によって与えられたコマンドとの結合した結果である。特にエキスパートでない運転者の場合には、走行制御(つまり駆動輪に有効に適用され、地面で交換されたトルクの制御)が、かかる自動車において一般に最適ではない。
【0006】
したがって、統合された伝動装置制御システムは、アクセルペダルによって制御するという考えに基づいて、推進装置によって伝達された駆動トルクではなく、この目的のために、変速装置の自動管理を利用している、車両の駆動輪に直接に加えられたパワーを設計している。言いかえれば、運転者は、アクセルペダルによってエンジンをただ制御するわけではなく、車両の動きの原動力を管理している。
【0007】
上に述べられた最も開発された先行技術でさえ、統合されたエンジン/変速装置の制御は、「エンジン制御」及び「変速装置制御」という有名な戦略(strategy)を併存することが本質的である。これらのそれぞれは、別々に設計された連関した電子制御装置によって別々に管理されている。
【0008】
前記アーキテクチャーは、様々な不都合を示す。
【0009】
エンジン及び変速装置のぞれぞれに対する二つの別個の制御装置を備えたシステムにおいて、トルク解放及び回復操作は、最適化されていないやり方で行なわれる。実際、エンジンは、エンジン自体の応答の速度及び正確さに基づく負の効果で必要とされる技術を要する操作(maneuver)(力学(dynamics)、回数(times)、急に動くこと(jerk)等)のタイプを知らずに、変速装置制御ユニットによって通信した(communicated)トルク要求に応答する。同じように、変速装置制御ユニットは、エンジンの実際の要求(requirement)又は制約(暖機、最大実パワー、追加抵抗負荷等)を知らずに、トルク解放及び回復ランプ(ramp)をセットする。したがって、それは、変速装置の要求(requirement)を必ずしも満たすことができない。
【0010】
さらに、自動走行(traction)制御用の複数の搭載された付属システムを備えた自動車において、運転者の補助のために、これらは同時にエンジンにトルク要求を示すことができ、互いに対立する。
【0011】
例えば、氷のグラウンドのような滑りやすい表面上の休止からスタートすることの間にいるときに、このタイプの状況が発生する。
【0012】
この場合、アクセルペダルによって運転者によって与えられた加速コマンドは、車両の反スリップシステム(ASR)からのエンジントルク低下コマンドをその上に置いた。
【0013】
ASRシステムは、運転者によって必要とされることに関してエンジントルク要求を減少する際に、ギア制御システムと平行して動作し、特にクラッチに係合された状態を参照して動作する。しかしながら、休止からスタートするときに、これは実際の動作状態を表わさない。そのときには、エンジンによって提供されたトルクは、完全には係合していないクラッチによって調整される。
【0014】
エンジン制御ユニットとの対話(dialogue)の試みによって、ギア制御システムは、ASRシステムによって与えられたトルク低下コマンドに反応する。エンジンは、車輪でトルクを調整することができ、したがってASRシステムの要求を満たす唯一の「アクチュエータ」であるように、トランスミッションを備えた推進ユニットの連結の影響によって、クラッチの迅速な係合を制御する。この場合、ASRシステムからの要求(requirement)に応じて行なわれた第一の動作は、最短時間で車輪での走行(traction)トルクを減少する目的からの反対方向に行くことは明白である。
【特許文献1】国際特許出願WO 01/02210号
【発明の開示】
【0015】
したがって、本発明の目的は、駆動輪に加えられたパワーの改善され且つ直接的な制御を可能にして、エンジンの(より一般に原動機(prime mover)及びあらゆる可能性のある補助エンジンの)制御、及び変速装置の制御のための別個の従来の管理モードを回避することを可能にする統合された伝動装置制御システムを提供することである。特に、休止からのスタート及びギアチェンジの技術を要する操作(maneuver)の最適化された管理と、燃料消費及び/又は排ガスの低下のような前もって定義した目的のためのエンジン使用の最適化とによって、改善された運転の快適さを提供することである。
【0016】
本発明のもう一つの目的は、ハイブリッド走行(traction)車、特に内燃機関エンジンに関連した電動機を備えたもののために使用される統合された伝動装置制御システムを特に提供することである。
【0017】
本発明によれば、これら及び他の目的は、その特徴が請求項1に付属するもので規定される集中制御システムを備えたもので達成される。
【0018】
特別の実施態様は、従属クレームの主題を形成する。
【0019】
要するに、本発明の原理は、車両の伝動装置システム(すなわちエンジン制御ユニット及び変速装置制御ユニット)の管理及び指揮に適切に適応されたモジュールを含むアーキテクチャーの使用に存する。その結果、エンジン/変速装置の制御の統合は、現在の「エンジン制御」及び「変速装置制御」の戦略(strategy)を単一のユニットに単純に共有することに存するが、二つのシステムの真に適切な統合管理を達成する。そこでは、指揮モジュールは、運転者によって、例えばアクセルペダル及びシフトレバー、又はセレクターによって与えられたコマンドを受け入れ、車両に搭載された様々な付属の制御システム(ABS、ASR、VDC及び他のもの)の要求も、すなわち、駆動輪に印加されて地面で交換されたトルクの(変更の)要求も、受け入れる。そして、トルク伝達(delivery)の管理及びトランスミッション比の管理のために、それに扶養されている(dependant on)制御モジュール及びアクチュエータにコマンドを提供する。
【0020】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付図面を参照して、単に非制限的な例として与えられた以下の詳細な説明から明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1において、参照符号ICEは、燃料タンクTを有する自動車の内燃機関エンジンを示す。可逆的な電気機械EGMが、内燃機関エンジンの下流に配置される。第一のクラッチC1によってそれに連結される。第二のクラッチC2によって、電気機械及び熱機関(thermal engine)は、サーボ支援タイプの変速装置Gに連結され、車両の駆動輪WHへの駆動の伝達用の差動装置Dに接続される。
【0022】
示した実施例において、電気機械EGMが、DC/AC変換器のような電気エネルギの転換デバイスDACを通じてバッテリBのようなエネルギ蓄積装置に連結される。
【0023】
当然に、示されたアーキテクチャーは、現在の好ましい実施態様を示しており、可能性のある(possible)配置の一つである。それにおいて、可逆的な電気機械は、熱機関と同じ軸上に示されていて、走行に寄与する。等価システムは、スタート及びブレーキ時の運動エネルギの可能な回復(電気機械のサイズに依存する)のために伝動ベルトによって熱機関に連結された、スタータ交流発電機タイプの電気機械を含むことができることを理解されるだろう。電気機械は、熱機関(例えば、四つの駆動輪を持った推進システムの形成のための)又はこれらの組み合わせによって駆動されていない車輪に作用することにより、走行に寄与するように配置されている。
【0024】
より一般的な配置では、及び本発明の原理から逸脱することなく、あらゆる原動機も、モータ又は、ハイブリッド又は燃料電池エンジンのような他の適切なトルク伝達手段を含む内燃機関エンジンの代わりに用いられてもよい。その上、非可逆的な電気機械又は他の補助のトルク伝達(delivery)手段も、可逆的な電気機械の代わりに原動機に連結されてもよい。
【0025】
下記において、用語「エンジン」は、エネルギの様々な形式(つまり熱だけでなく、電気又は化学のエネルギも)を機械的な力及び運動に転換することによって作動するために、パワーが加えられるあらゆる機械を一般に示すものとして用いられる。
【0026】
単純化されたアーキテクチャーでは、車両の伝動装置システムは、あらゆる電気機械を含んでいる必要はない。その結果、それは、内燃機関エンジンICEのような原動機を排他的に備える。その駆動軸に対して、単一のサーボ制御されたクラッチ(C1)によってサーボ支援された変速装置Gが直接に連結される。
【0027】
次の説明は、図1に示されたアーキテクチャーの例として基づいている。当該アーキテクチャーは、ハイブリッド推進を管理することができる。すなわち、電気的に支援された走行を含んでいる。ブレーキ相の間に部分的なエネルギ回収を含んでいる。好ましくは、このアーキテクチャーは、ブレーキシステムの制御及び車両操舵装置の制御を今後さらに統合することを可能にする。
【0028】
図2は、要するに、本発明の主題を形成する統合された制御システムに係る自動車の伝動装置の管理の原理を示す。
【0029】
走行管理処理モジュール10は、エンジン(例えば、1台を越えるエンジンがハイブリッド走行の場合に存在するならば、熱機関及びモータの)及び車両の変速装置(gearbox)を制御するための指揮(supervision)モジュールとして使用される。
【0030】
それは、必要なトルクの達成のために熱機関及び電動機(ここで提供された)の操作を管理するのに動作可能なエンジン制御モジュール12と、ギアチェンジの操作を管理するのに動作可能な変速装置制御モジュール14と、でデータを交換する。それにより、所定の戦略に従ってサーボ支援されたやり方で、クラッチの動作及びトランスミッション比の選択を制御する。モジュール12,14の間の相互作用は、走行(traction)管理モジュール10によって常に調整される。
【0031】
図2のアウトライン図は、図3において詳細に説明される。
【0032】
指揮及び管理のモジュール10は、あらかじめ確立された車両の状態パラメータを示す信号又はデータと同様に、運転者によって与えられた伝動装置コマンド、及び変速装置制御ユニットから来る及び/又は搭載された走行/方向制御付属品システムから来る、必要とされたトルク/パワーの修正のために可能性のある(possible)要求を示す入力信号又はデータに受け取ることができる。
【0033】
計算ユニット(不図示)がそれに連関している。そこには、運転者によって与えられたコマンドの大きさ、及び所定の車両の状態パラメータ(例えば、前進の速度)の機能(function)として休止から立ち去ってギアを変えるときに、車両の駆動輪に加えられるパワー、トランスミッション比、及び目標の急に動くこと(jerk)(車両の縦方向の加速の一時的な変動)を規定することができるデータが蓄えられている。したがって、指揮及び管理のモジュール10は、前記計算ユニットに蓄えられたデータに基づいて、駆動輪が伝達しなければならないトルク(パワー)(地面で交換されたトルク)、トランスミッション比、及び急に動くこと(jerk)を決定するために配置される。
【0034】
指揮モジュール10は、トルク分割管理モジュール22に接続される。エンジン駆動軸で必要とされるトルクのデータ又は信号をそれに対して送出する。指揮モジュール10は、トランスミッション比管理モジュール24に接続される。目標トランスミッション比を、目標駆動軸トルク及び目標急に動くこと(jerk)を示す信号又はデータをそれに対して送出する。
【0035】
好ましくは、トルク分割管理モジュール22及びトランスミッション比管理モジュール24は、単一の物理的(physical)管理ユニットに一体化される。なぜならば、別個のユニットのようなそれらの形成(本発明によって除外されない)が、特に、CANネットワーク通信及びアクセスタイムに関してシステムのパフォーマンスの低下を含むからである。
【0036】
トルク分割管理モジュール22は、内燃機関エンジンICEの制御のためにモジュール22aに連結されている。このエンジンに必要とされる目標トルクを示すデータ又は信号をそれに対して送出する。トルク分割管理モジュール22は、電気機械EGMのための制御装置22bに連結されている。この機械に必要とされる目標トルクを示すデータ又は信号をそれに対して送出する
【0037】
トランスミッション比の管理モジュール24は、クラッチ制御モジュール24aに連結されている。クラッチ(複数可)によって伝達可能な目標トルクを示す信号又はデータをそれに対して送出する。トランスミッション比の管理モジュール24は、トランスミッション比制御モジュール24bに連結されている。目標トランスミッション比を示す信号又はデータをそれに対して送出する。
【0038】
図3のアーキテクチャーは、インターフェース・ブロック、統合された走行管理及びアクチュエータ・コントロール・ブロックがより詳細に示される図4において、詳細に記述される。
【0039】
図面の左手には、複数のシステム・インターフェース・ブロック(すなわち、車両の状態を示す情報及びパラメータの測定又は評価、又は抽出のために配置されたモジュール)が示されている。(トルク・アクチュエータの状態及び運転者のコマンドを示すパラメータは、その中にある。これらは、以下のものを好ましくは含んでいるが排他的ではない。
【0040】
運転者の運転コマンド(例えば、ペダル及びギア・セレクターによって検出される)と相互作用して(interface)、運転者によって与えられたコマンドを表わす状態信号DSを生成するのに動作可能である(operable)インタフェース・モジュール30と、
車両に搭載されたバッテリの状態を示す信号BSを生成するのに動作可能である(operable)バッテリ・インタフェース・モジュール32と、
機械の状態を示す信号EGMSを生成するのに動作可能である、電気機械EGMの物理的な状態の測定/評価のためのインタフェース・モジュール34と、
エンジンの状態を示す信号ICESを生成するのに動作可能である、内燃機関エンジンICEの物理的な状態の測定/評価のためのインタフェース・モジュール36と、
対応する信号EGMCSを生成するのに動作可能である、電気機械EGMのクラッチC2(ここで提供された)の状態のコンポーネントの測定/評価のためのインタフェース・モジュール38と、
対応する信号ICECSを生成するのに動作可能である、熱機関ICEのクラッチC1の状態のコンポーネントの測定/評価のためのインタフェース・モジュール40と、
変速装置(トランスミッション比)の状態を示す信号GSを生成するのに動作可能である、変速装置状態コンポーネントの測定のためのインタフェース・モジュール42と、
車両の状態(測定又は評価による)、例えば、操縦状態、道路の傾斜、縦方向の速度、縦方向の/横の加速を検出するのに動作可能であり、対応する信号VSを出すのに動作可能であるインタフェース・モジュール44と、
ブレーキ制御システム(ABS)、アンチスリップシステム(ASR)及び安定システム(ESP)のような車両車輪に作用する搭載された補助の(supplementary)制御システムと相互作用する(interface)ためのインタフェース・モジュール46であって、駆動輪の状態を示す信号WSRを出すのに動作可能であるインタフェース・モジュール46と、を含む。
【0041】
バッテリ及び電気機械のそれぞれの状態を示す信号BS及びEGMSは、好ましくは、車両の電気的な状態を示す全体信号ESにグループ化される。
【0042】
内燃機関エンジンの状態、内燃機関エンジン及び電気機械のクラッチの状態、変速装置の状態及び車両の状態をそれぞれ示す、信号ICES、EGMCS、ICECS、GS及びVSは、好ましくは、車両の機械的な状態を示す全体信号MSにグループ化される。
【0043】
車両の電気的な状態及び機械的な状態をそれぞれ示す信号ES及びMSは、さらに結合されて、車両の物理的な状態を示す全体信号PSを形成する。
【0044】
信号PSは、運転者コマンド解釈モジュール50の第一の入力部に提供され、信号DSが提供される第二の入力部を持っている。
【0045】
信号PSは、典型的に、変速装置の入力軸で熱機関及び電動機(ハイブリッド走行)によって提供された伝達トルクを、さらに状態連結(consolidation)モジュール52に提供される。
【0046】
モジュール52は、実際に伝達された正味トルクを示す信号NTと、実際に伝達された正味急に動くこと(jerk)を示す信号NJとを、走行指揮及び管理モジュール10に対して送出する。
【0047】
モジュール10は、運転者に与えられたコマンドの状態を示す信号DSと、運転者コマンドを解釈するモジュール50によって送出された信号DRと、車両の物理的な状態を示す信号PSと、駆動輪の状態を示す信号WSRと、信号DS、DR及びPSに基づいて電気的エネルギ管理モジュール54によって生成されて電気的な要求を示す信号ERSと、トランスミッション比制御モジュール24から来るトルク要求を示す信号GRと、をその入力部で受け取る。
【0048】
トランスミッション比の制御モジュールによるトルク要求を示す信号GRを走行指揮及び管理モジュールに入力部で提供することによって、好ましくは、駆動輪が伝達しなければならないトルク(パワー)の決定における運転者のものの代替として変速装置によるトルク要求を考慮することができる。駆動輪がエンジン制御目標の主な計算連鎖において変速装置の管理の技術を要する操作(manoeuvre)(例えば、休止からのスタート及びギアチェンジ)と関係する要求を一体化する。
【0049】
詳細には、トルク分割の管理モジュール22は、信号PS、ERSと、指揮モジュール10によって送出された複数の信号と、をその入力部で受け取る。複数の信号は、正味の目標トルクを示す信号TNTと、正味の目標の急に動くこと(jerk)を示す信号TNJと、電気機械の回転の目標速度を示す信号TEGMSと、内燃機関エンジン駆動軸の回転の目標速度を示す信号TICESと、伝動装置管理自動システムが現在それ自体を見つける機能状態を示す信号PMSと、である。
【0050】
トランスミッション比の管理モジュール24は、信号PSと、指揮モジュール10によって送出された複数の信号と、を受け取る。それは、信号PMSと、目標を熱機関クラッチで目標急に動くこと(jerk)を示す信号TICECJと、電気機械クラッチで目標急に動くこと(jerk)を示す信号TEGMCJと、目標トランスミッション比を示す信号TTRと、を備える。
【0051】
モジュール22は、図3に既に示されたように、電気機械制御ユニット22bに対して、電気機械EGMへのコマンドを示す信号EGMCを提供し、熱機関制御装置22aに対して、熱機関ICEへのコマンドを示す信号ICECを提供する。
【0052】
モジュール24は、図3に既に示されたように、トランスミッション比制御装置24bに対して変速装置へのコマンドを示す信号GCと同様に、各クラッチの一対の制御装置24aに対して、電気機械及び熱機関のクラッチ・コマンドをそれぞれ示す一対の信号EGMCC及びICECCを提供する。
【0053】
モジュール24は、フィードバックで指揮モジュール10に供給された、トランスミッション比の要求(requirement)を示す信号GRも送出する。
【0054】
最後に、システムは、信号DS、DR、ERS及びBSをその入力部で受け取るのに動作可能であり、例えば、使用中の(engaged)トランスミッション比、「クルーズ・コントロール」コマンドの状態、伝動装置ユニットの診断状態をディスプレイによって運転者に知らせるか警告を出すために配置された、運転者用の出力インタフェース・モジュール56を含んでいる。
【0055】
したがって、本発明の主題を形成するシステムは、技術を要する操作(manoeuvre)の間における変速装置の制御とエンジンの制御との間の統合を可能にする。技術を要する操作(manoeuvre)において、エンジントルク要求の管理は、伝達の制御(休止からのスタート及びギアチェンジ)と関係する要求によって規定される。
【0056】
変速装置制御ユニットの要求は、ABS、ASR、ESP、VDCなどのような車両に搭載された補助の走行/駆動制御システムの要求と同様に、エンジン制御ユニットに直接に転送されないが、運転者によって与えられたコマンドでそれらを結合し、熱機関及び恐らく電気機械によって伝達されたトルクを制御するためのエンジン制御ユニットにそれらを転送する指揮モジュールに送られない。
【0057】
記載されたシステムは、例えば、同じ出願人によってヨーロッパ特許EP 0 906 526 B1号に記述された技術と、ギアチェンジの技術を要する操作(manoeuvre)の間にクラッチ係合(engaged)状態、及びトルク解放及び再係合(re-engaged)操作における変速装置及びエンジンの制御との統合を可能にする。
【0058】
好ましくは、変速装置管理の技術を要する操作(休止からのスタート及びギアチェンジ)と関係する要求をエンジン制御目標(正味トルク及び目標走行状態)の主な計算鎖に統合すること、すなわち、一般に、地面上の運転しやすさ(drivability)のエンジンと変速装置との間の統合は、車両の使用しやすさ、より大きな燃料節約(「停止とスタート」のタイプのシステム、サーボ支援されたギアチェンジ及びハイブリッド走行を用いることができ、及び、一般に、自動車のエネルギ管理を最適化することができる)において、アクセルペダルの動作又はトランスミッション比の変化に従う車両の縦方向の加速のばらつきがない状態での、加速コマンド(したがって、大きな気楽さ、性能及び駆動のセキュリティ)への大きな応答速度において、及び、異なった作動状態の間の加速のレベル、及び、ギアチェンジの技術を要する操作に関連する「走行穴(traction hole)」に相応する重要な変化に従う走行の連続性を得ることにおいて、現れる。
【0059】
今まで説明されたように、車両の推進システムは、典型的な実施態様に、熱機関と電動機との両方を含むことができる。また、電動機の場合では、スターター交流発電機タイプのシステムが現在のところ好まれている。
【0060】
以下に記載されるように、かかるシステムの使用は、従来の解決策に関して一連の革新的な機能を管理することを可能にする。これらの機能は、燃料消費及び汚染排ガス/騒音の低減での本質的な利益を得て、車両の運転しやすさに対するこれらの影響が統合されたアーキテクチャル上のレベルに管理されることを必要とすることを可能にする。
【0061】
図3及び4を参照する。本発明の主題を形成する集中制御システムによって得られた主要な機能が示される。
【0062】
指揮モジュール10及びトルク分割管理モジュール22の一部分を含む、車両のパワーの制御用のロジック・サブシステムは、運転者によって与えられたコマンドの機能(function)としてアクセルペダルの位置を示す信号と、インタフェース・モジュール44によって、車両の縦方向の速度vを示す信号とを、インタフェース・モジュール30によって、その入力部で受け取る。ロジック・サブシステムは、特に、エンジン駆動軸で必要とされるトルクを示す信号を生みだすのに動作可能である。
【0063】
指揮モジュール10及びトランスミッション比管理モジュール24の一部分を含む変速装置を制御するためのロジック・サブシステムは、電源制御装置サブシステムによって必要とされる目標パワーと、車両の縦方向の速度信号vとを示す信号と、搭載されたセンサー又は推定器から来る車両の状態(例えば、傾斜、操縦、ブレーキ)を示す信号と、をその入力部で受け取る。ロジック・サブシステムは、特に必要とされたトランスミッション比を示す信号を生みだすのに動作可能である。
【0064】
追加の機能は、熱機関クラッチ及び電動機クラッチのための連関した制御信号を生成するのに動作可能である、所定の作動状態における伝動装置を制御するために配置されたサブモジュールと、電気機械の制御信号(スタート/ストップ)とを、指揮モジュール10内に設けることにより達成される。
【0065】
特に、このサブモジュールは、停止−スタートの機能(function)の動作を車両の規定された基準速度以下に管理する。停止の段階において、内燃機関エンジンは、変速機から分離され、所定の車両作動状態に消滅して、後のスタート段階において、モータとして機能する電気機械によって自動的に再開されて、変速機に再連結される。サブモジュールは、好ましくは、「自由な車輪」の機能をさらに管理する。内燃機関エンジンは、変速機から分離され、車両の作動状態に消滅する。アクセルペダルが解除され、車両の速度が一対の所定の閾値値の間に位置する。次の段階において、所定の作動状態の発生で、例えばアクセルペダル上の圧力で、自動的に再開され、変速機に再度連結される。
【0066】
当然に、本発明の原理での同じもの、実施態様及び構造の細部は、付属の請求項によって規定された本発明の保護の範囲から逸脱すること無く、単なる非制限的な例として記載され且つ示されたものに関して幅広く修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】電気的に支援された走行(traction)を備えた自動車用の伝動装置システムの模式図である。
【図2】本発明の主題を形成する集中制御システムの原理図である。
【図3】図2の原理を実行することができる単方向を示すブロック図である。
【図4】本発明の主題を形成するシステムの機能的なアーキテクチャーの詳細なブロック図である。
【符号の説明】
【0068】
10 走行(traction)管理モジュール
14 変速装置制御モジュール
22 トルク分割管理モジュール
24 トランスミッション比制御モジュール
36 インタフェース・モジュール
40 インタフェース・モジュール
ICE 内燃機関エンジン
EGM 可逆的な電気機械
WH 駆動輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(ICE)が可変駆動トルクを伝達するようにエンジン(ICE)を制御するのに動作可能な第一の制御手段(12)と連関した少なくとも一つのエンジン(ICE)と、
選択されたトランスミッション比の係合及び非係合を達成するように、変速装置(G)及びクラッチ(C1)を制御するのに動作可能な第二の制御手段(14)と連関した少なくとも一つのサーボ制御されたクラッチ(C1)によってエンジン(ICE)の駆動軸に連結可能である、サーボ支援タイプの変速装置(G)と、を備える自動車用の伝動装置制御システムであって、
前記の第一及び第二の制御手段(12,14)は、自動車の運転者によって与えられたコマンドを示す信号又はデータと、エンジン(ICE)及び変速装置(G)の状態の所定のパラメータと、の機能として自動走行制御手順を行なうために配置されていて、
運転者によって与えられたコマンドを示す、状態パラメータを示す、前記第一及び第二の制御手段(12,14)及び/又は車両の補助の搭載された走行/駆動制御システムの可能性のある要求を示す、前記信号又はデータの機能として車両の駆動輪に加えられるパワーを所定の方法で決定するために、
駆動輪に加えられるパワーの所定値、前記状態パラメータ、及び前記第一及び第二の制御手段(12,14)及び/又は前記の走行/駆動制御システムからの要求の機能として、変速装置(G)で選択されるトランスミッション比、変速装置(G)のクラッチ(C1)によって伝達可能なトルク、及び変速装置(G)の各動作状態に対するエンジン駆動軸で必要とされるトルクを計算するために、
エンジン駆動軸で伝達されるトルク、クラッチ(C1)によって伝達可能なトルク、及び前記の第一及び第二の制御手段(12,14)に要求されるトランスミッション比をそれぞれ示す信号又はデータを送出するために配置された、前記の第一及び第二の制御手段(12,14)を管理及び指揮するための車両伝動装置管理の処理手段(10)を含んでいることを特徴とする、自動車用の伝動装置制御システム。
【請求項2】
前記の第一の制御手段(12)は、エンジン制御ロジック・モジュール(22)と、エンジン(ICE)へのコマンドの動作のための少なくとも一つのモジュール(22a)と、を備えることを特徴とする、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記の第二の制御手段(14)は、変速装置(G)を制御するためのロジック・モジュール(24)と、クラッチ(C1)を操作してトランスミッション比を選択するためのモジュールと、を備えることを特徴とする、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記のエンジン制御ロジック・モジュール(22)及び変速装置制御論理モジュール(24)は、単一の電子制御装置に一体化されていることを特徴とする、請求項2及び3に記載のシステム。
【請求項5】
エンジン(ICE)に連結された補助のトルク送出手段(EGM)を含み、前記のエンジン制御ロジック・モジュール(22)は、原動機(ICE)用の第一のコマンド・アクチュエータ・モジュール(22a)と、補助のトルク配送手段(EGM)用の第二のコマンド・アクチュエータ・モジュール(22b)とに対して、それぞれトルクを伝達するための要求を分配するために配置されることを特徴とする、請求項2記載のシステム。
【請求項6】
前記原動機は内燃機関エンジン(ICE)を備え、前記補助トルク伝達手段は電気機械(EGM)を備えることを特徴とする、請求項5記載のシステム。
【請求項7】
前記電気機械(EGM)は、内燃機関エンジン(ICE)と変速装置(G)との間に配置され、第二のクラッチ(C2)によって変速装置(G)に連結されていることを特徴とする、請求項6記載のシステム。
【請求項8】
前記電気機械(EGM)は、伝動ベルトによって内燃機関エンジン(ICE)に連結されることを特徴とする、請求項6記載のシステム。
【請求項9】
前記電気機械(EGM)は、熱機関によって駆動されない車輪に作用するように配置されることを特徴とする、請求項6記載のシステム。
【請求項10】
前記電気機械は、ジェネレーターとして及び電動機として作動するように適応された、可逆的な電気機械であることを特徴とする、請求項7乃至9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
機内に取り付けられた前記の補助の走行/駆動の制御システムは、ABSシステムと、ASRシステムと、ESPシステムと、VDCシステムとを備えるセットに属する少なくとも一つのシステムを含んでいることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記状態パラメータは、
エンジンシャフトによって伝達された正味のトルクと、
変速装置入力軸及び/又は変速装置出力軸のエンジンシャフトの角速度と、
係合しているトランスミッション比と、
クラッチの状態及びクラッチ(C1; C2)によって伝達可能な正味トルクの状態と、
達成された急に動くことと、
縦方向の速度及び/又は車両の加速と、
車両の横方向の加速度と、
道路の傾斜と、
バッテリ状態と、
必要とされた電力と、を備えるセットに属するパラメータの少なくとも一つを備えることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記の指揮及び管理の処理手段(10)が、ブレーキ操作の制御及び動作のために設けられた搭載システムに接続されていて、
運転者によって与えられたコマンドと、前記状態パラメータと、前記の第一及び第二の制御手段(12,14)の可能性のある要求及び/又は搭載された車両の走行/駆動制御システムの可能性のある要求と、を示す信号又はデータの機能として、制動力を所定のやり方で決定するために、及び
車両ブレーキシステムに対して決定した制動力を示す信号又はデータをそれぞれ送出するために配置されていることを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記の指揮及び管理の処理手段(10)は、操舵操作を制御し且つ行うために配置された搭載システムに接続されて、
運転者によって与えられたコマンドと、前記状態パラメータと、前記の第一及び第二の制御手段(12,14)の可能性のある要求及び/又は搭載された車両の走行/駆動制御システムの可能性のある要求と、を示す信号又はデータの機能として、操舵動作を所定のやり方で決定するために、及び
前記車両操舵装置に対して決定した操舵動作を示す信号又はデータをそれぞれ送出するために配置されていることを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記状態パラメータを検出するのに動作可能であり、前記の指揮及び管理の処理手段(10)の入力部に接続された複数のインタフェース・モジュール(30、46)を含んでいることを特徴とする、請求項12記載のシステム。
【請求項16】
前記の指揮及び管理の処理手段(10)に連関された、メモリ手段と計算手段とを含んでいて、
そこには、運転者によって与えられた所定のコマンドの大きさと、所定の状態パラメータと、前記の第一及び第二の制御手段(12,14)の可能性のある要求及び/又は補助の搭載された走行/駆動制御システムの可能性のある要求と、の機能として駆動輪に加えられるパワーを規定することができるデータが蓄えられ、
指揮及び管理の手段(10)は、前記メモリ手段に蓄えられたデータに基づいて駆動輪に加えられるパワーを決定するために配置されていることを特徴とする、請求項1記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−298369(P2006−298369A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−114547(P2006−114547)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(598031246)チ・エレ・エッフェ・ソシエタ・コンソルティーレ・ペル・アチオニ (86)
【氏名又は名称原語表記】C.R.F. Societa Consortile per Azioni
【Fターム(参考)】