説明

自動車用プラスチック・ウインドウ・アセンブリ

自動車で使用するプラスチック・ウインドウ・アセンブリ(20)が、プラスチック・パネル(22)及びモータ(24)を有する。モータはギアに連結され、ギア(28)を駆動して、プラスチック・パネルを第1のパネル方向及び第2のパネル方向に移動するように動作可能である。1つの変形では、プラスチック・パネルはギア・パスを定めるための少なくとも1つのギア・トラック(36)を形成する部分を有する。別の変形では、ウインドウ・アセンブリはフレームを有し、フレームはトラック(150)を画定する部分を有する。トラックは、中央区域(156、172)及び端部区域(154、170)を有し、中央区域及び端部区域は交差し、同一直線上にない。別の変形では、プラスチック・ウインドウ・アセンブリが可撓性ストリップ(136)を有する。可撓性ストリップの第1の端部はギアに連結され、可撓性ストリップの第2の端部はプラスチック・パネルに連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、自動車用のウインドウ・アセンブリに関し、より詳細には自動車用のプラスチック・ウインドウ・アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
過去数十年間に、自動車製造業者はあらゆる面で自動車の改善を目指してきた。安全性を向上させることから、機能性を向上させ、費用を低減することまで、自動車製造業者は大幅な進歩を成し遂げた。特に最近になって大きな関心を集めている1つの領域に、ガソリンのコスト上昇がある。過去数年間だけでも、ガソリンは米国において記録的な高値に達した。産業界がこの問題に対処する1つの手段として、代替の燃料技術を開発することによるものがある。しかし、代替の燃料技術の開発には、産業基盤及び利用可能な燃料供給源の欠如など、参入に対する障壁が伴う。産業がガソリン価格の高騰の問題に対処する別の手段は、より燃料効率の高いガソリン式自動車の導入を試みることによるものである。これは、より効率的な駆動系を採用することによってある程度達成されたが、この手法には限界がある。車両の重量を低下させるための他の試みも行われてきた。しかし、これまでは一般に、車両の重量を低下させることが車両の安全性を損なうと考えられていた。
【0003】
自動車のウインドウは、一般にガラスで作られてきた。自動車のガラスには、材料に固有の制約によって多くの限界があった。より具体的には、自動車のガラスは、複雑な付属装置及び調整システムを備える必要によって制約されていた。これらのシステムは、ガラス自体の重量に加えて、ドア・モジュールにかなりの重量を付加する。ガラス・ウインドウ・アセンブリに重量が追加されることによって自動車の燃料消費が増加し、及び/又は、車両の重心を高くすることによって自動車又はトラックの性能に影響を与える。ガラスのウインドウは、粉砕に対する傾向及び避難路を形成するために緊急事態において粉砕される必要があるので、望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ガラス・ウインドウ・アセンブリと比較して自動車に加える複雑さがより少なく、余分な重量がより少ない自動車用のプラスチック・ウインドウ・アセンブリを提供する。さらに、本発明は、本発明によって自動車がガラス・ウインドウ・アセンブリを有する同様の自動車よりも重さが少なくなるようにしても、自動車の安全性を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
プラスチック・ウインドウ・アセンブリは、概ね、プラスチック・ウインドウ・パネル及びモータを備える。モータは、開位置と閉位置の間でプラスチック・ウインドウ・パネルを移動させるように動作するギアに連結されている。
【0006】
1つの態様では、プラスチック・ウインドウ・アセンブリのプラスチック・ウインドウ・パネルが、ギア・パスを定めるための少なくとも1つのギア・トラックを有する。
【0007】
別の態様では、プラスチック・ウインドウ・アセンブリは、交差する非平面の一対のトラックを形成する部分を有するフレームを備える。
【0008】
さらなる別の態様では、プラスチック・ウインドウ・アセンブリは第1の端部及び第2の端部を有する可撓性ストリップを備え、その端部の一方がギアに連結され、その端部のもう一方がプラスチック・ウインドウ・パネルに連結されている。
【0009】
本発明の上記及びその他の態様及び利点は、添付の図面と共に本発明の以下の詳細な説明を読むと明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の原理を具体化するプラスチック・ウインドウ・アセンブリの斜視図である。
【図2】図1に示されるウインドウ・アセンブリの正面図である。
【図3】図1のウインドウ・アセンブリの部分側面図である。
【図4】本発明の原理によるプラスチック・ウインドウ・アセンブリの別の実施例の正面図である。
【図5】図4のウインドウ・アセンブリの部分側面図である。
【図6】図4及び図5に示されるウインドウ・アセンブリの概略分解断面図である。
【図7A】図4のウインドウ・アセンブリの閉位置での概略側断面図である。
【図7B】全体的に図7Aの線7−7に沿った断面図である。
【図8A】図4のウインドウ・アセンブリの部分開放位置での斜視図である。
【図8B】図4のウインドウ・アセンブリの部分開放位置での概略側断面図である。
【図8C】図4のウインドウ・アセンブリの部分開放位置での平断面図である。
【図9】図4のウインドウ・アセンブリの完全開放位置での概略側断面図である。
【図10】本発明の原理を具体化する別のプラスチック・ウインドウ・アセンブリの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に図1〜図3を参照すると、自動車で使用するプラスチック・ウインドウ・アセンブリがその中に示され、全体的に20で指示されている。プラスチック・ウインドウ・アセンブリ20は、プラスチック・パネル22、モータ24、モータ24の両側から延出する出力シャフト26、シャフト26の遠位端30に位置するウォーム・ギア列28を備える。
【0012】
各ウォーム・ギア列28は、ウォーム・ホイール34と噛み合い係合するウォーム32を備える。ウォーム32は、回転駆動されるようにシャフト26に装着されている。シャフト26は、モータ24を貫通して延出する単一のシャフトであっても、1つのシャフト26がモータ24の両側から延出する2つのシャフト26であってもよい。各ウォーム・ホイール34は、各ウォーム・ホイール34の並進運動を防止する支持構造(図示されない)を有することが好ましい。
【0013】
好ましくは、プラスチック・パネル22は、衝撃強度が大きく、透明性に優れるポリカーボネートで製造される。しかし、他の適切な材料には、例として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリル樹脂、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、又はコポリマー、及びそれらの組合せが含まれる。プラスチック・パネル22は、他の熱可塑性樹脂、又は任意の他の適切な材料から形成できることも企図される。プラスチック・パネル22は、ビスフェノール−Aポリカーボネート、及び他のポリカーボネート樹脂グレード(分岐ポリカーボネート樹脂グレード又は置換ポリカーボネート樹脂グレード等)を含むことができ、同時に他のポリマーと共重合され、又は混合され、それによってアクリロニトリルブタジエンスチレン(PC/ABS混合物)による混合物、又はポリエステル(PC/POLYESTER混合物)を形成する。プラスチック・パネル22は、透明であることが最も好ましく、半透明であることはあまり好ましくない。プラスチック・パネル22はさらに、着色剤、離型剤、酸化防止剤、及び紫外線吸収剤などの様々な添加剤を含むことができる。
【0014】
プラスチック・パネル22は、プラスチック・パネル22の表面に配置された様々な保護層又は機能層を備えることもできる。保護層又は機能層は1つ又は複数の耐候性層、伝導性層、装飾層、及び耐摩耗性層を備えることができる。これらの層は、プラスチック・パネル22の片側又は両側に設けることができ、2つ以上の同じタイプの層をプラスチック・パネル22の同じ側に含めることができる。たとえば、太陽及び他の要素からの保護を向上させるために、複数の耐候性層があってもよい。例として、耐候性層は、ポリカーボネート、PMMA、ポリカーボネートとPMMAとの組合せ、ポリシロキサン、ポリウレタン、ポリウレタンアクリレート、又は任意のその他の適切な材料を含むフィルムを含むことができる。さらに、耐候性層は、アクリル樹脂、ポリウレタン、シロキサン、又は長期の紫外線(UV)保護を含む、高い耐候可能性をもたらすこれらのタイプの材料の組合せなどの材料の被覆を含むことができる。さらに、シリコーンのナノ粒子を耐候性層に混入でき、又はシロキサン・コポリマーを、重合によって耐候性層を構成する材料に形成でき、それによって耐候性層と隣接する層の間の接着を促進するのを助け得る。耐候性層は、例として、無機酸化物、ベンゾフェノン、ベンゾイルレソシノール、シアノアクリレート、トリアジン、オキサニリド、及びベンゾトリアゾールのうちの1つ又は複数、或いはそれらの組合せなどのUV吸収分子も含むことができる。好ましくは、耐候性層は10μmから1250μmの厚さを有する。耐候性層は、米国特許第6,797,384号に記載されるようなものであることができ、その全体が本明細書に参照によって援用される。
【0015】
伝導性層は、例としてヒータ、デフロスタ、デフォッガ、又はアンテナとして機能するために、抵抗層又はグリッドとして設けることができる。伝導性層は、たとえばプラスチック・パネル22又はその他の層のうちの1つに付着される、印刷された抵抗性インク又は透明な伝導性層で形成できる。
【0016】
装飾層は、プラスチック・パネル22に任意の所望の装飾を施すことができる。たとえば、装飾層は、嵌合及び仕上げの欠陥を隠すために、装飾的な印刷インク又は黒くした輪郭であることができる。
【0017】
耐摩耗性層は、単一の層又は複数の副層を含むことができる。耐摩耗性層は、酸化アルミニウム、フッ化バリウム、窒化ホウ素、酸化ハフニウム、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化スカンジウム、一酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、シリコンオキシニトリド、シリコンオキシカーバイド、水素化シリコンオキシカーバイド、炭化ケイ素、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウムスズ、酸化イットリウム、酸化亜鉛、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコニウム、又はそれらの混和物又は混合物からなることができる。好ましくは、耐摩耗性層は、堆積された層に残る炭素原子及び水素原子の量に応じてSiO又はSiOCyHの組成物からなる。この点において、耐摩耗性層は「ガラス様の」被覆に類似している。耐摩耗性層は、それに限定されるわけではないが、無機酸化物、ベンゾフェノン、ベンゾイルレソシノール、シアノアクリレート、トリアジン、オキサニリド、及びベンゾトリアゾールなどのUV吸収分子も備えることができる。
【0018】
当業者に知られた任意の技術によって様々な層を付着させることができる。そのような技術には、例としてのものであり、限定するものではないが、塗装技術(ゾル、ゲル、スプレー、流し、浸漬、及びカーテン)、フィルム・インサート成形技術、印刷技術(スクリーン印刷、メンブレン・イメージ・トランスファー、パッド印刷)及び蒸着技術(プラズマ促進化学蒸着(PECVD)、膨張熱プラズマPECVD、プラズマ重合、光化学気相蒸着法、イオンピーム蒸着、イオン・プレーティング蒸着、陰極アーク蒸着、スパッタ、蒸発、ホロー・カソード活性化蒸着、マグネトロン活性化蒸着、活性化反応性蒸発、熱化学蒸着)が含まれる。
【0019】
プラスチック・パネル22は、各ウォーム・ホイール34のギア・パスを定めるためにプラスチック・パネル22の2つの両側縁に配置されたギア・トラック36を有する。ギア・トラック36は、好ましくは、たとえばプラスチック・パネル22に成形されることによってプラスチック・パネル22に直接的に形成されることが好ましい。代替としては、ギア・トラック36はプラスチック・パネル22とは別個に形成され、プラスチック・パネル22に取り付けることができる。後者の場合には、ギア・トラック36は、金属などのプラスチック以外の材料から形成できる。いずれの構造でも、ギア・トラック36はウォーム・ホイール34と噛み合うギアの歯を形成する。
【0020】
モータ24は、シャフト26を両方の回転方向に、選択的に回転させるように動作可能である。ウォーム32はシャフト26に固定されるので、それらはシャフト26が回転するときに回転する。ウォーム32の回転によって、それと噛み合うウォーム・ホイール34も回転する。ウォーム・ホイール34は、ウォーム・ホイール34の回転によってプラスチック・パネルが並進方向に動くようにさらにギア・トラック36と噛み合う。本実施例では、ウォーム・ホイール34及び溝を付けられたトラック36は、ラック・ピニオン・ギアセットを形成し、ウォーム・ホイール34の回転運動がプラスチック・パネル22の直線運動に変換される。モータ24は、シャフト26及びウォーム32を両方の回転方向に回転することが可能なので、ウォーム・ホイール34も両方の回転方向に動くことが可能である。したがって、ウォーム・ホイール34は、プラスチック・パネル22を第1の直線方向及び第2の直線方向に移動できる。たとえば、プラスチック・パネル22が自動車にサイド・ウインドウとして装着される場合、プラスチック・パネル22は上方及び下方に移動され、プラスチック・パネル22がサン・ルーフとして装着される場合、プラスチック・パネル22は前方向及び後ろ方向に移動される。
【0021】
プラスチック・パネル22は、プラスチック・パネル22の両側にギア・トラック36を有して示されているが、ギア・トラック36が1つの対応するウォーム・ギア列28を備えて単にプラスチック・パネル22の一方の側に配置できることを理解されたい。別の実施例では、単一のギア・トラック36をプラスチック・パネル22の中央部分及び拡張部分に設けることができる。そのような実施例では、プラスチック・パネル22は、プラスチック・パネル22が閉位置にある場合、ギア・トラック36をプラスチック・パネル22の見える部分に少しも露出させることなくギア・トラック36の長さを収容するために余分な長さを有することが好ましい。
【0022】
別の実施例では、ギア・トラック36は図示されるように単純なギアの歯以外の形状に形成できる。たとえば、ウォーム・ホイール34は薄いディスク形状のギアであることができ、それによってギア・トラック36が複数の意図された矩形などのその他の構成又は構造になることができる。同様にして、ギア・トラック36がプラスチック・パネル22の側面とは異なり前面に設けられた場合、本発明の精神及び範囲を離れることなくギア・トラック36の別の実施例が可能である。
【0023】
図3に示されるように、ウインドウ・アセンブリ20は、自動車のドア38に装着される。したがって、ドア38は、そこから外部の風雨及び粒子を外側に保つために、プラスチック・パネル22の各表面に接触するウェザ・ストリップ40を備える。
【0024】
次に図4〜図9を参照すると、本発明の原理によるプラスチック・ウインドウ・アセンブリ120の別の実施例が示されている。前の実施例と同様に、アセンブリ120はプラスチック・ウインドウ・パネル122及びモータ124を備え、モータ124はギア132に連結されている。ギア132は第1の端部142及び第2の端部144を有する可撓性ストリップ136に連結され、それはプラスチック材料、エラストマー材料、又はそれらの組合せから形成される。可撓性ストリップ136の第1の端部142はギア132に連結され、可撓性ストリップ136の第2の端部144はプラスチック・パネル122に連結される。可撓性ストリップ136は、プラスチック・ストリップ136がギア132の周りを巻き上がることを可能にする複数の溝137を有し、それは下記にさらに詳細に述べられる。プラスチック・パネル122は、ポリカーボネート、又は図1〜図3及びプラスチック・パネル22を参照して前述したその他の材料のうちの任意のものからなることができる。同様に、プラスチック・パネル122は、上述されたような、その上に配置された保護層又は機能層を有することができる。
【0025】
モータ124は、延出した位置と後退した位置の間でプラスチック・パネル122を移動させるように、ギア132を駆動するように動作可能である。より詳細には、モータ124はギア132を両方の回転方向に回転するように動作可能である。ギア132が第1の回転方向に回転される場合、可撓性ストリップ136がギア132の周りに巻かれ、すなわち、巻き上げられ、パネル122をその後退した位置へ引く、すなわち、移動させる。ギア132が反対の回転方向に回転される場合、可撓性ストリップ136がギア132から巻きを解かれ、プラスチック・パネル122が(第1の方向とは反対に)第2の方向に押され、それによってプラスチック・パネル122がその延出した位置に移動される。
【0026】
複数の突起又は案内ピンがプラスチック・パネル122の左右の側縁から延出している。図示されるように、2つの案内ピン146、147がプラスチック・パネル122の第1の側153から延出し、2つのさらなる案内ピン148、149がプラスチック・パネル122の反対側155から延出する。ピン146、147、148、149は、ウインドウ・フレーム152のトラック150に沿ってプラスチック・パネル122内に受けられ、プラスチック・パネル122を案内し、それは下記にさらに詳細に述べられる。ピン146、147、148、149は、好ましくはポリカーボネートで作られ、プラスチック・パネル122と一体に形成される。代替としては、ピン146、147、148、149は、プラスチック・パネル122と別個に形成でき、及び/又は、プラスチック・パネル122とは異なる材料から形成できる。たとえば、ピン146、147、148、149は所望であれば金属から作ることができ、又はプラスチック・パネル122の黒色のフレームと共に黒色のプラスチックから形成でき、プラスチック・パネル122に取り付けることができる。
【0027】
図6を参照すると、ウインドウ・アセンブリ120の概略分解断面図が示され、フレーム152のトラック150をより明白に見ることができる。示されるように、フレーム152は、一対の対向する側方部分151、157を備え、その中にトラック150が互いに鏡像として形成される。トラック150それ自体は、それぞれが中央区域156、172、端部区域154、170、及び中間区域158、174を備え、それぞれの端部区域及び中間区域154、170、158、174が中央区域156、172から共通の傾斜角で共通の側から延出する。したがって、端部区域及び中間区域154、170、158、174はすべて、互いに全体的に平行である。説明するために使用される用語によって示されるように、端部区域154、170は中央区域156、172の終端部に設けられる。この位置は同時に、車両のウインドウ開口の一方の端部に向かって端部区域154、170を配置する。したがって中間区域158、174は中央部分156、172の中間部分に配置される。この位置は、ウインドウ開口の反対側に向かって中間部分158、174の位置を決めるように選択される。
【0028】
図7Aを参照すると、ウインドウ・アセンブリ120の概略側面図が示される。図7Aは、閉位置での車両のドアでのウインドウ・アセンブリ120を示す。言い換えれば、プラスチック・パネル122はその延出した、閉じた、又は最も上方の位置にある。図は車両のドアを表すので、上/下、及び同様の用語に対する向きの言及は、車両の通常の向きの言及によるものである。また、ウインドウ・アセンブリ120が自動車のドア138に使用して示されているが、ウインドウ・アセンブリ120は、これとは別に、サン・ルーフとして又はドア138に配置されないウインドウとして使用可であることを理解されたい。
【0029】
図7Aで分かるように、プラスチック・パネル122が最も上方の位置にある場合、先導する案内ピン146、148はトラック150の端部区域154、170の遠位端160、166に配置される。同様に、後続する案内ピン147、149は、中間区域158、174の遠位端162、167に配置される。上記したごとく、後続する案内ピン147、149及び中間区域158、174は、設計によっては無くすことができる。この最も高い位置、すなわち、閉位置では、プラスチック・パネル122は自動車の外側表面164と同一平面上にあり、又はほぼ同一平面上にある(図7Bを参照されたい)。図示されないが、プラスチック・パネル122は、熱膨張に配慮し、雑音を低減し、雨除けを行うためにプラスチック・パネル122の各側153、155にゴム・シールを備えることができる。前述したように、ウェザ・ストリップ140は、風雨及び破片をドア138の外に保つために設けることができる。
【0030】
次に、図8A〜図8Cを参照すると、ウインドウ・アセンブリ120が部分的に後退した、開いた、すなわち、下がった位置で示されている。部分的に下がった位置では、先導する案内ピン146、148は、端部区域154、170から中央区域156、172へ摺動しており、同様に後続する案内ピン147、149はトラック150の中間区域158、174から中央区域156、172に摺動している。案内ピン146、147、148、149は、トラック150の中央区域156、172にあり、プラスチック・パネル122の外部表面が自動車の外側表面164から距離dのところに配置され、もはや外側表面とは同一平面上にない。
【0031】
図9を参照すると、プラスチック・パネル122が、後退した、開いた、すなわち、下がった位置で示され、プラスチック・パネル122が自動車のドア138内に完全に移動している。上述したように、モータ124はその回転方向を反対にし、プラスチック・ストリップ136及びプラスチック・パネル122を上方に押し戻すように動作可能である。プラスチック・パネル122がフレーム152の最上部に近づくと、先導する案内ピン146、148は、プラスチック・パネル122を自動車の外側表面164と同一平面上に動かすために、端部区域154、170内に摺動する(後続する案内ピン147、149は同様に、中間区域158、174と協働する)。先導する案内ピン及び後続する案内ピンの両方を有する実施例では、先導する案内ピン146、148は好ましくは、後続する案内ピン147、149よりも大きく、端部区域154、170は好ましくは、中間区域158、174よりも広いことに留意されたい。中間区域158、174に対して先導する案内ピン146、148が大きいことにより、プラスチック・パネル122が上方に移動するとき、これらのピン146、148がこれらの区域158、174内に摺動するのが防止される。したがって、ウインドウ・アセンブリ120が詰まることが防止される。
【0032】
次に、図10を参照すると、別のウインドウ・アセンブリ220が示されている。ウインドウ・アセンブリ220は、実質的に図4〜図9のウインドウ・アセンブリ120と同様であるが、ウインドウ・アセンブリ220は全体的に4分の1の楕円の形状を有するプラスチック・パネル222を有する。より一般的には、プラスチック・パネル222は、ある程度、三角形の形状である。
【0033】
この実施例では、プラスチック・パネル222は、プラスチック・パネル222の一方の側からのみ延出する案内ピン(図示されない)を有する。フレーム252は、中央区域256、端部区域254、及び中間区域258を含む対応する組のトラック250を有する。ウインドウ・アセンブリ220は図4〜図9のウインドウ・アセンブリ120と同様に動作し、プラスチック・パネル222は、ピンが端部区域254及び中間区域258の遠位端に配置される場合、自動車の外側表面264と同一平面上にある。プラスチック・パネル222は、案内ピンが中央区域256内で摺動している場合は外側表面264と同一平面上にない。
【0034】
ガラスをポリカーボネートに置き換えることに加えて、より軽い調節器システムを利用可能にすることによって軽量化が達成される。ウォーム・ギア列28及びダイレクト・モータ駆動部24、124は共に軽量であり、かさばらない大きさであり、プラスチック・ウインドウに直接的に連結できる。案内ピン及びその他の特徴は、プラスチック・パネル22、122、222内に直接的に成形することができる。したがって、本ウインドウ・アセンブリ20、120、220の設計によって、ウインドウ・モジュール又はドア・モジュールの全体の複雑さが緩和される。
【0035】
当業者は容易に理解するように、上記の説明は本発明の原理の例示的な実施として意図されるものに過ぎない。この説明は、本発明の趣旨から離れることなく、本発明が修正、変形、及び変更を行われやすいので、本発明の範囲及び用途を限定するために意図されていない。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車で使用するプラスチック・ウインドウ・アセンブリであって、
プラスチック・パネルと、
ギアに連結されたモータであって、前記ギアを駆動して、前記プラスチック・パネルを第1のパネル方向及び第2のパネル方向に移動するように動作可能であるモータとを備えるプラスチック・ウインドウ・アセンブリ。
【請求項2】
前記プラスチック・パネルがギア・パスを定めるための少なくとも1つのギア・トラックを形成する部分を備える、請求項1に記載のプラスチック・ウインドウ・アセンブリ。
【請求項3】
前記少なくとも1つのギア・トラックが、前記プラスチック・パネルに成形されている、請求項2に記載のプラスチック・ウインドウ・アセンブリ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのギア・トラックが、前記プラスチック・パネルの第1の側に配置された第1のギア・トラック及び前記プラスチック・パネルの第2の側に配置された第2のギア・トラックを備える、請求項2に記載のプラスチック・ウインドウ・アセンブリ。
【請求項5】
請求項4に記載のプラスチック・ウインドウ・アセンブリであって、
前記モータに連結された少なくとも1つのシャフトをさらに備え、前記ギアが前記少なくとも1つのシャフトの第1の端部に配置された第1のウォームであり、前記プラスチック・ウインドウ・アセンブリが前記少なくとも1つのシャフトの第2の端部に配置された第2のウォームをさらに備え、前記モータが前記少なくとも1つのシャフト及び前記第1及び第2のウォームを回転するように動作可能である、プラスチック・ウインドウ・アセンブリ。
【請求項6】
請求項5に記載のプラスチック・ウインドウ・アセンブリであって、
前記第1のウォーム及び前記第1のギア・トラックと共に噛み合う第1のウォーム・ホイールをさらに備え、前記プラスチック・ウインドウ・アセンブリが前記第2のウォーム及び前記第2のギア・トラックと共に噛み合う第2のウォーム・ホイールをさらに備え、前記少なくとも1つのシャフト並びに第1及び第2のウォームの回転時、前記第1及び第2のウォーム・ホイールが、前記第1及び第2のパネル方向のうちの少なくとも1つに前記プラスチック・パネルを駆動するように回転される、プラスチック・ウインドウ・アセンブリ。
【請求項7】
前記プラスチック・パネルがポリカーボネートからなる、請求項4に記載のプラスチック・ウインドウ・アセンブリ。
【請求項8】
トラックを画定する部分を有するフレームをさらに備え、前記トラックが中央区域及び端部区域を有し、前記中央区域及び端部区域が交差し、同一直線上にない、請求項1に記載のプラスチック・ウインドウ・アセンブリ。
【請求項9】
前記トラックが中間区域をさらに備え、前記中間区域が前記中央区域と交差し、前記中間区域が前記端部区域に平行である、請求項8に記載のプラスチック・ウインドウ・アセンブリ。
【請求項10】
前記トラックが第1のトラックであり、前記フレームが、前記第1のトラックの反対側に配置された、第1のトラックと整列された第2のトラックを画定する部分をさらに備え、前記第2のトラックが中央区域、端部区域、及び中間区域を有し、前記プラスチック・パネルが案内ピンをさらに備え、前記プラスチック・パネルが前記第1及び第2のパネル方向に移動されるとき、前記プラスチック・パネルを前記第1及び第2のトラックに沿って案内するために、各案内ピンが前記第1及び第2のトラックのうちの1つに受けられ、前記案内ピンが前記プラスチック・パネルの片側から延出し、前記トラックに沿って摺動可能である、請求項9に記載のプラスチック・ウインドウ・アセンブリ。
【請求項11】
前記案内ピンが前記トラックの前記端部区域の遠位端に配置された時、前記プラスチック・パネルが前記自動車の外側表面とほぼ同一平面上にある、請求項10に記載のプラスチック・ウインドウ・アセンブリ。
【請求項12】
前記案内ピンが前記トラックの前記中央区域に配置された時、前記プラスチック・パネルが前記自動車の前記外側表面と同一平面上にない、請求項11に記載のプラスチック・ウインドウ・アセンブリ。
【請求項13】
第1の端部及び第2の端部を有する可撓性ストリップをさらに備え、前記可撓性ストリップの前記第1の端部が前記ギアに連結され、前記可撓性ストリップの前記第2の端部が前記プラスチック・パネルに連結されている、請求項9に記載のプラスチック・ウインドウ・アセンブリ。
【請求項14】
前記モータが前記ギアを第1のギア方向及び第2のギア方向に回転するように動作可能であり、
前記ギアが前記第1のギア方向に回転される時、前記可撓性ストリップが前記ギアの周りに巻かれ、前記プラスチック・パネルが前記第1のパネル方向に移動され、
前記ギアが前記第2のギア方向に回転される時、前記可撓性ストリップが前記ギアから巻きを解かれ、前記プラスチック・パネルが前記第2のパネル方向に移動される、請求項13に記載のプラスチック・ウインドウ・アセンブリ。
【請求項15】
前記可撓性ストリップがプラスチック及びエラストマー材料のうちの少なくとも1つからなる、請求項13に記載のプラスチック・ウインドウ・アセンブリ。
【請求項16】
前記プラスチック・パネルがポリカーボネートからなる、請求項13に記載のプラスチック・ウインドウ・アセンブリ。
【請求項17】
前記プラスチック・パネルが、前記プラスチック・パネルの両側から延出する一対の案内ピンを備え、前記プラスチック・ウインドウ・アセンブリが、両側のトラックを画定する部分をさらに備え、前記両側のトラックが端部区域、中央区域、及び中間区域を有し、前記端部区域及び中間区域が互いに平行であり、前記中央区域に傾斜して交差している、請求項8に記載のプラスチック・ウインドウ・アセンブリ。
【請求項18】
第1の端部及び第2の端部を有する可撓性ストリップをさらに備え、前記可撓性ストリップの前記第1の端部が前記ギアに連結され、前記可撓性ストリップの前記第2の端部が前記プラスチック・パネルに連結されている、請求項1に記載のプラスチック・ウインドウ・アセンブリ。
【請求項19】
前記モータが前記ギアを第1のギア方向及び第2のギア方向に回転するように動作可能であり、
前記ギアが前記第1のギア方向に回転される時、前記可撓性ストリップが前記ギアの周りに巻かれ、前記プラスチック・パネルが前記第1のパネル方向に移動され、
前記ギアが前記第2のギア方向に回転される時、前記可撓性ストリップが前記ギアから巻きを解かれ、前記プラスチック・パネルが前記第2のパネル方向に移動される、請求項18に記載のプラスチック・ウインドウ・アセンブリ。
【請求項20】
前記可撓性ストリップがプラスチック及びエラストマー材料のうちの少なくとも1つを含む、請求項18に記載のプラスチック・ウインドウ・アセンブリ。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2010−507516(P2010−507516A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533589(P2009−533589)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/082075
【国際公開番号】WO2008/051899
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(505365404)エクスアテック、エル.エル.シー. (51)
【Fターム(参考)】