説明

表面形状測定方法、表面形状測定装置、露光方法、及び露光装置

【課題】 露光時のウエハなどの基板表面形状測定において、露光ショット間に生じる表面形状測定値のオフセットを低減させる。
【解決手段】 基板上の少なくとも一部を照明し、前記照明された基板から反射された光を検出することによって、前記基板の表面形状を測定するために、前記基板に形成される複数の露光ショットの大きさ及び配置の少なくともいずれかに基づいて前記照明する領域を変更する変更手段と、前記複数の露光ショットの大きさ及び配置の少なくともいずれかに基づいて前記光を検出する複数の検出点の位置及び個数を決定する決定手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等をリソグラフィー工程で製造する際に使用される投影露光装置において、最良な像性能を得るべくウエハなどの基板の表面位置を計測する測定方法、測定装置、それを用いる露光方法、及びそれを搭載した露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体素子、液晶表示素子または薄膜磁気ヘッド等をリソグラフィー工程で製造する際に、マスクまたはレチクル(以下「レチクル」と総称する)のパターンの像を投影光学系を介して感光基板上に結像する投影露光装置が使用されている。
【0003】
近年、半導体素子の高集積化に伴って加工線幅の微細化に伴って、投影露光装置の投影レンズの高NA化、使用光源波長の短波長化、大画面化が進んでいる。これらを達成する手段として、かつては露光領域をウエハ上に縮小して一括投影露光をするステッパーと呼ばれる露光装置が用いられていたが、現在では、露光領域を矩形のスリット形状とし、レチクルとウエハを相対的に高速走査し大画面を精度良く露光する走査型露光装置(以下、スキャナーと呼ぶ)が主流になりつつある。
【0004】
スキャナーでは露光スリット単位でウエハの表面形状を最適露光像面位置に合わせ込むことができるためにウエハ平面度の影響も低減できる効果を有している。そのためにスキャナーでは、ウエハ表面を走査露光中に露光像面位置にリアルタイムで合わせ込む必要があるために、露光スリットに差し掛かる前に、ウエハ表面位置を光斜入射系の表面位置検出手段で計測し駆動補正を行うという技術を使用している。
【0005】
特に露光スリットの長手方向、及び走査方向と直行する方向には高さのみならず表面の傾きを計測すべく複数点の計測を行っている。上記走査露光におけるフォーカス・チルト計測の方法に関しては特開平06−260391号公報などに提案されている。
【0006】
この従来の露光装置に適用したフォーカス検出系の構成例等を図11及び図12に示したので、これについて以下に説明する。
エキシマレーザーなどの光源800から射出された光は、露光に最適な所定の形状の露光スリットに成型される照明系801を経て、マスクまたはレチクル100(以後レチクルと呼ぶ)の下面に形成されたパターン面を照明する。レチクル100のパターン面には露光すべきICパターンが形成されており、上記ICパターンから射出された光は投影レンズ102を通過して結像面に相当するウエハ103の面上近傍に像を形成する。
前記レチクル100は一方向(Y方向)に往復走査可能なレチクルステージRS上に載置されている。
【0007】
ウエハ103は図11のXY及びZ方向に走査駆動可能で、かつ、傾け補正(チルトと呼ぶ)が可能な構成となっているウエハステージWS上に載置されている。
前記レチクルステージRSとウエハステージWSを露光倍率の比率の速度で相対的にY方向に走査させることでレチクル100上の1ショット領域の露光を行う。1ショット領域の露光が終了した後にはウエハステージWSは次のショットへステップ移動し、先程とは逆方向に走査露光を行い、次のショットが露光される。これらの動作をステップ・アンド・スキャンと言い、スキャナー特有の露光方法である。これらの動作を繰り返すことで、ウエハ全域についてのショットの露光を行う。図11において、81はウエハ側干渉計であり、400は演算装置である。そして、ウエハステージWSの制御はウエハステージ制御系1000によって行われ、装置全体の制御は主制御系1100によって行われる。
【0008】
1ショット内の走査露光中には、フォーカス・チルト検出系33によりウエハ103の表面の面位置情報を取得し、露光像面からのずれ量を算出し、Z方向及び傾き(チルト)方向へのステージ駆動によりほぼ露光スリット単位でウエハ表面の高さ方向の形状に合わせこむ動作が行われている。
【0009】
このフォーカス・チルト検出系33の構成を図12に示す。このフォーカス・チルト検出系は光学的な高さ計測手段を使用している。ウエハ表面、正しくはウエハ上に塗布されたレジスト表面に対して高入射角度で光束を入射させ、反射光の像ズレをCCD等の位置検出素子で検出する方法をとっている。特に、ウエハ上の複数の計測すべき点に複数の光束(マルチマーク)を入射させ、各々の光束を個別のセンサに導き、異なる位置の高さ計測情報から露光すべき面のチルトを算出している。
【0010】
一方、特開平07−66120号公報には、スキャン露光方式ではなく、レチクル上に配置された1ショット内のICパターンを、投影レンズによりウエハ上に縮小投影し、一括投影露光をするステッパーにおけるウエハ面位置の検出方法が紹介されており、特にショットの大きさに応じて、入射光のウエハに対する位置を可変とし、ショットサイズに応じて、その測定位置を最適化する表面形状測定方法を紹介している。
【特許文献1】特開平06−260391号公報
【特許文献2】特開平07−66120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
微細化トレンドにしたがって焦点深度がきわめて小さくなり、露光すべきウエハ表面を最良結像面に合わせこむ精度、いわゆるフォーカス精度は益々厳しくなってきている。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、このフォーカス精度、特に、ウエハ上のパターンの影響や、レジストの厚さむらによるフォーカス検出の騙され(=オフセット)の発生に関するものである。
【0013】
図11及び図12に示した様な、斜入射照明のフォーカス検出系を使用しても、今後の半導体の微細化に対応するフォーカス検出精度には問題がある。特に、ウエハ上のパターンの影響や、レジストの厚さむらによるフォーカス検出の騙され(=オフセット)が発生し、計測誤差が無視できない状況である。すなわち、図13に示すように、周辺回路パターンやスクライブライン近傍においては、同図のようにレジスト表面の段差は焦点深度に比べて小さいが、フォーカス計測にとっては、その計測結果に大きな誤差が発生してしまう。それは、レジスト表面の傾斜角度の影響により、フォーカス検出系に用いられている測定光の、ウエハにおける、反射光がレジスト内の多重反射や、レジスト表面形状の影響を受けた屈折により、正反射角度からのずれが発生し、これらが誤差の要因となる。また、図14に示すように、ICパターンの粗密の違いにより、ICパターンが密な領域Aと粗な領域Bとでは、反射率に差が生じたりしてしまう。このように、ICパターンにより、反射角や反射強度が変化するため、その反射光を受光した検出波形に非対称性が発生して、検出誤差が生じ、検出波形のコントラストが著しく低下して面位置検出ができない場合も発生する。
【0014】
そのため、図12に示す従来のフォーカス検出系では、ウエハに照明する角度を入射角80度以上として、信号歪を軽減してオフセットの発生を防いでいる。この入射角80度以上とすることで、ウエハの縦構造に起因する問題は解決することはできるが、測定対象のウエハを搭載したウエハステージを移動させながらの計測という点で検出精度が劣化する可能性がある。一方、ウエハ上の広範囲な領域の表面形状を一括して計測する方法、例えば複数ショット領域の表面形状を一括照明をして、得られる反射光を基に、複数ショット領域の表面形状を計測する方法もあるが、ウエハ上のショットサイズの変更、及びショットレイアウトの変更に伴い、各ショット内の表面形状測定位置が、ショット間で同一でなくなり、表面形状測定結果にショット間オフセットが生じる等の問題が発生する可能性がある。
【0015】
本発明は、露光時のウエハなどの基板表面形状測定において、露光ショット間に生じる表面形状測定値のオフセットを低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明は、基板上の少なくとも一部を照明し、前記照明された基板から反射された光を検出することによって、前記基板の表面形状を測定する表面形状測定装置において、前記基板に形成される複数の露光ショットの大きさ及び配置の少なくともいずれかに基づいて前記照明する領域を変更する変更手段と、前記複数の露光ショットの大きさ及び配置の少なくともいずれかに基づいて前記光を検出する複数の検出点の位置及び個数を決定する決定手段とを備えることを特徴としている。
【0017】
また、前記決定手段は、前記複数の露光ショット間で前記光を検出する複数の検出点の位置及び個数が同一となるように決定することを特徴としてもよい。
【0018】
また、前記基板上の少なくとも一部を照明する照明光は、基板表面に対して斜め方向から照明されることを特徴としてもよい。
【0019】
また、前記表面形状測定装置は、前記基板からの反射光と、前記基板に反射させずに導光させた参照光とを干渉させることによって得られる干渉縞を用いて、前記基板の表面形状を測定することを特徴としてもよい。
【0020】
また、前記基板上の少なくとも一部を照明する照明光の中心波長及びその波長幅の少なくともいずれかを変更する波長変更手段を備えることを特徴としてもよい。
【0021】
また、前記基板上の少なくとも一部を照明するための複数の照明手段と、前記照明された基板から反射された光を検出する複数の検出手段とを備えることを特徴とすることができる。
【0022】
また、本発明は、基板上の少なくとも一部を照明し、前記照明された基板から反射された光を検出することによって、前記基板の表面形状を測定する表面形状測定方法において、前記基板に形成される複数の露光ショットの大きさ及び配置の少なくともいずれかに基づいて前記照明する領域を変更する工程と、前記複数の露光ショットの大きさ及び配置の少なくともいずれかに基づいて前記光を検出する複数の検出点の位置及び個数を決定する工程とを備えることを特徴としている。
【0023】
また、前記決定する工程では、前記複数の露光ショット間で前記光を検出する複数の検出点の位置及び個数が同一となるように決定することを特徴としてもよく、前記基板上の少なくとも一部を照明する照明光は、基板表面に対して斜め方向から照明されることを特徴としてもよく、前記表面形状測定方法は、前記基板からの反射光と、前記基板に反射させずに導光させた参照光とを干渉させることによって得られる干渉縞を用いて、前記基板の表面形状を測定することを特徴としてもよく、前記基板上の少なくとも一部を照明する照明光の中心波長及びその波長幅の少なくともいずれかを変更する工程を備えることを特徴とすることができる。
【0024】
また、本発明に係る露光装置は、前記した複数の表面形状測定装置のいずれかを備えることを特徴とし、本発明に係る露光方法は、前記した複数の表面形状測定方法のいずれかを用いて基板の表面位置を測定することを特徴とする。
【0025】
本発明は、上記露光装置を用いて基板を露光する工程と、前記基板を現像する工程とを備えることを特徴とするデバイス製造方法にも適用可能である。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明に係る基板の表面形状測定方法、及び装置を用いれば、複数のショットに対し、各ショット毎の表面形状を測定するサンプリング・ポイントを同位置にしたことにより、表面形状測定結果に生じるショット間オフセットの値を低減することが可能となり、縮小される焦点深度に対し高いフォーカス補正精度を達成し、1枚の基板あたりの歩留まり向上を得ることが可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明を実施するための好ましい形態として、基板(測定及び露光対象)がウエハである場合の実施例について、図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
【実施例1】
【0028】
図1〜図8、図10を用いて、本発明の実施例1を説明する。本実施例は、既に本出願人から提案(USP4861162)しているように、複数のウエハ駆動するステージを構成した露光装置に適用した例である。図10は、計測用ステージと露光用ステージの二つのウエハ駆動ステージを有し、そのステージ間を、ウエハを吸着したままのチャックの搬送を可能とした構成例を示す図である。この方法は、可動なウエハチャック上に専用マークを配置して、この専用マークとウエハとの三次元的な位置関係を計測用ステージにおいてアライメント検出システム及び表面形状測定システムにより計測し、チャックにウエハを吸着したまま露光用ステージに搬送し、今度はチャック上の専用マークのみの三次元位置をアライメント検出システムにより計測し、計測用ステージで計測したウエハとの三次元的な位置関係を使用して、ウエハをXYZに駆動し、投影レンズを用いて露光を行う方法である。
【0029】
図10の計測用ステージ周辺には本発明で提案する、表面形状測定装置が配置されており、その構成例を図1に示す。図1において、光源1から発せられた波長λ1の光は、レンズ系、及びアパーチャーで構成されるビーム径変換光学系2により所定の形状を有する光に成形され、ハーフミラー3により2分割される。ハーフミラー3を透過した光は、ミラー4で反射され、ウエハ6の表面形状を測定する領域に対して角度θの入射角で斜め方向から照射される。図2は、図1におけるウエハ6と照射光との関係を異なる角度から見た図であり、ウエハ6上の複数のショット(shot)領域をカバーすべく広範の斜入射照明領域を照明している。再び図1において、ウエハ6で反射した光は、ハーフミラー7を透過する。
【0030】
一方、ハーフミラー3で反射した参照光は、ミラー10で反射し、位相シフト手段12、及びミラー11を経て、ミラー7で反射し、ここでウエハ6からの反射光と重ね合わされ干渉縞を発生し、検出光学系8を介してその干渉縞が撮像素子9にて検出される。撮像素子9で検出される干渉縞の例を図5(a)に示す。図5(a)に示す干渉縞の濃淡はウエハ6上の表面形状測定領域の表面形状に対応しており、この干渉縞の画像に対し、位相シフト法等の干渉計測技術を適用すれば、ウエハ6上の表面形状を検出することができる。例えば以下に、位相シフト法を適用した場合の表面形状測定方法を説明する。
【0031】
ウエハ6に入射角θで照射された光に対する反射光と、ウエハ6に照射されなかった参照光との干渉を考える。両者の光の位相差をφとし、ある基準面からの高さをhとすると、位相差φは次の式(1)により表される。
【0032】
φ=4πh/(λ・cosθ) 式(1)
ここで、音響光学素子等の位相シフト手段12により、参照光の位相を、0、π/2、π、3π/2だけ変化させ、各位相シフト時の干渉縞の画像を記録し、記録した複数個の干渉縞の画像から位相差φを計算し、さらに高さhに換算する。この時、記録した4枚の干渉縞の画像の特定のサンプリング・ポイント(検出点)の干渉光強度をそれぞれa、b、c、dとすると、位相φを表す式は次式のような簡単な式(2)になる。
【0033】
φ=tan−1[(a−c)/(b−d)] 式(2)
こうして求められた、ウエハ6上の、複数の位置における高さ情報を3次元的に繋げていくと図5(b)に示すような表面形状測定結果を得ることができ、これらの表面形状測定結果を記憶装置18に記憶しておき、図10の露光用ステージにおけるスキャン露光時に、投影レンズのフォーカス情報として用いることができる。
【0034】
図3は、ウエハ上のショットレイアウトを示した図であり、斜線部分が斜め方向からの照明光の照射領域とすると、ウエハ上の複数ショット(shot)に対して照明光は照射されており、前述の位相シフト法を適用すれば、広範な領域の表面形状を測定することが可能である。
【0035】
次に、図6〜図7を用いて、撮像素子9で得られる複数の干渉縞画像に対して位相シフト法を適用し、ウエハ上の複数ショットの表面形状を求める際の、測定位置を決定する方法について述べる。図6は、ウエハ上の複数ショットに対する、斜入射照明光の照明領域の関係を示したものであり、図1で示した表面形状測定装置を用いて、最大で24ショットの領域の表面形状を測定する場合の図であり、以下に述べる説明を容易にする為、楕円で囲った4ショットの拡大図を図7に示す。
【0036】
図7において、各ショット内の複数の○印は、表面形状を測定するサンプリング・ポイントの位置を表している。このサンプリング・ポイントの場所、及び個数は、1ショットあたりのショットサイズ、測定精度、及び測定に係るスループット等を考慮して適宜決定する。例えば、図7のショットサイズをX方向18mm、Y方向32mmとしたとき、a=c=0.5mm、b=d=1mmとして、1ショット内のサンプリング・ポイントを17箇所(X方向)×31箇所(Y方向)=527箇所と定める。このサンプリング・ポイントの特定は、干渉縞画像を処理するソフトウエアで任意の箇所を特定でき、例えば、ICパターンが露光されないスクライブラインの領域等の不必要と思われる領域の測定を除外することもできる。これらの、1ショット内に定めたサンプリング・ポイントの位置、及び個数を、その他のショットにおいても同じになるように、その他のショットにおけるサンプリング・ポイントを特定していく。具体的には、インターフェイスからショットサイズおよびレイアウトが入力され、入力された値からCCD等の位置検出素子の検出点を決定手段20により決定する。このようにして表面形状を測定する全ショットに対して、各ショット内のサンプリング・ポイントを同一場所とすることにより、表面形状測定のショット間オフセットを低減することが可能となる。
【0037】
本実施例では、照明光が斜入射である場合を述べたが、ウエハに対して垂直上方からの照明光を用いて測定光学系を構成しても良い。
【実施例2】
【0038】
次に、図3〜図4を用いて、本発明の実施例2を説明する。図3は、例えば、1ショットのサイズが、X方向18mm、Y方向32mmであり、図1で述べた表面形状測定装置により、斜線を引いた領域の表面形状を測定するべく、照明光学系の照明領域を示した図である。勿論、照明領域に対して、ウエハが存在しない部分の測定は行わない。図4(a)、(b)は、図3に示すショットサイズ、及びショットレイアウトに対し、ショットサイズの変更に伴い、ショットレイアウトが変更になった場合の測定方法を示す図である。図3に示すショットサイズを例えば、X方向:18mm、Y方向:32mmとし、表面形状を一括測定する領域をX方向の測定ショット数が4ショット、Y方向の測定ショットを7ショットとし、照射光のサイズは、X方向:18(mm/ショット)×4ショット=72mm、Y方向:32(mm/ショット)×7ショット=224mmとしていた。
【0039】
しかし、図4において、ショットサイズがX方向:25mm、Y方向:33mmとなり、サイズ変更に伴いショットレイアウトも図3に比べて変化している。この場合、表面形状測定に関わる時間短縮を目的として、斜入射照明光の照明領域のサイズを変更する。この場合、変更前は、図4(a)に示すようにX方向72mm、Y方向224mmとしていたが、変更後のショットサイズ、及びショットレイアウトに合わせて、図4(b)に示すように、X方向:25(mm/ショット)×3ショット=75mm、Y方向:33(mm/ショット)×6ショット=198mmとするため、X方向に1.04倍、Y方向に0.88倍にそれぞれ独立に変倍して、照明光のサイズ(領域)を最適化している。照明光のサイズは、図15におけるビーム径変換光学系によって変更できる。ビーム径変換光学系は、例えば複数のレンズを備え、これらのレンズ間の距離を変化させることによってビーム径を変換させるものであってもよく、公知のビームエクスパンダー等を用いてもよい。
【0040】
図8に示す流れ図は、実施例2で述べた斜入斜光による照明領域、及び、表面形状測定領域内のサンプリング・ポイントの決定方法の流れを示すものである。表面形状を測定する前にウエハ上のショットサイズ、及びショットレイアウト情報を取得し(工程1)、一括で照明する表面形状測定領域のサイズを決定し、照射領域を変更する(工程2)。そして、ウエハの照明領域から得られる干渉縞に対して、表面形状を測定する際のショット内のサンプリング・ポイントが、全ショットを通じて同じになるように指定をし(工程3)、ウエハの表面形状測定を行う(工程4)。
【0041】
本実施例では、各ショット内のサンプリング・ポイントの指定は、干渉縞画像を処理するソフトウエハ上で行う方法を述べたが、ソフトウエア上でサンプリング・ポイントを事前に固定しておき、図1に示す検出光学系8の配置を変更し、撮像素子9の撮像面の検出エリアに対する、ウエハの検出エリアに対応する干渉縞像の大きさを変更してもよい。
【0042】
また、本実施例では、位相シフト法における参照光の位相を、音響光学素子等の位相シフト手段により変更する方法を述べたが、位相シフト手段はこれに限らず、参照光路中のミラーをピエゾ素子等で駆動することにより参照光の位相を変化させても良い。
【0043】
また、本実施例では、斜入射照明光が単色光で、かつ、固定した波長による測定方法を述べたが、光源はこれに限らず、図15に示すように、互いに波長の異なる光源1,13,14と各光源毎に付随するビーム径変換光学系2,16,17を配置し、表面形状を測定するウエハの縦構造、または、ショット内のICパターンの粗密に起因する測定誤差が発生しにくい波長を光源切り替え器15により選択して測定を行っても良い。波長の切り替えは、波長選択性のある光学フィルターを使っても良く、また、光源にはブロードバンド光を用いても良い。図15に示す表面形状測定装置では、図1に示した表面形状測定装置と同一の要素には同一の符号を付けて、それらについて重複説明は省略する。
【0044】
図9は、本発明の実施例2を説明する図である。図2に示す実施例1との違いは、斜入射照明光学系、及び、干渉縞を検出するシステムが複数配置されているところである。斜入射照明光学系、及び、検出システムを複数個配置することにより、ウエハ6に対し複数の斜入射照明領域1、斜入射照明領域2等について同時に干渉縞を検出し、スループットを向上させることができる。
【実施例3】
【0045】
次に、図16を用いて、本発明の実施例3を説明する。前述した実施例1における図10に示した構成は、表面形状測定装置を、計測用ステージと露光用ステージの2つのウエハ駆動ステージを有する露光装置に適用した場合である。それに対して、図16に示す露光装置は、1つのウエハ駆動ステージのみを有するものであり、図11に示した露光装置と同一の要素には同一の符号を付けてある。この露光装置に対して、オフアクシス(Off−Axis)の位置に、実施例1、または実施例2で述べた表面形状測定装置が配置されている(図16に示す表面形状測定装置では図1に示した表面形状測定装置と同一の要素には同一の符号を付けてある。)。この露光装置は、露光が行われる前に、ウエハ6を搭載したウエハ駆動ステージWSが表面形状測定装置の検出位置に移動し、表面形状測定装置によるウエハ表面の形状測定が行われ、その形状情報を露光時のフォーカス情報とし、露光時にウエハのZ方向の制御を行う。
【実施例4】
【0046】
次に、上記実施例1〜3のいずれかに係る露光装置を利用した半導体デバイスの製造プロセスを説明する。図17は半導体デバイスの全体的な製造プロセスのフローを示す図である。ステップ1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行う。ステップ2(マスク作製)では設計した回路パターンに基づいてマスクを作製する。
【0047】
一方、ステップ3(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記のマスクとウエハを用いて、上記の露光装置によりリソグラフィ技術を利用してウエハ上に実際の回路を形成する。次のステップ5(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ4によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の組み立て工程を含む。ステップ6(検査)ではステップ5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、ステップ7でこれを出荷する。
【0048】
上記ステップ4のウエハプロセスは以下のステップを有する。ウエハの表面を酸化させる酸化ステップ、ウエハ表面に絶縁膜を成膜するCVDステップ、ウエハ上に電極を蒸着によって形成する電極形成ステップ、ウエハにイオンを打ち込むイオン打ち込みステップ、ウエハに感光剤を塗布するレジスト処理ステップ、上記の露光装置によって回路パターンをレジスト処理ステップ後のウエハに転写する露光ステップ、露光ステップで露光したウエハを現像する現像ステップ、現像ステップで現像したレジスト像以外の部分を削り取るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト剥離ステップ。これらのステップを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施例1に係る表面形状測定装置を説明するための図である。
【図2】本発明の実施例1に係るウエハと斜入射照明光の関係を説明するための斜視図である。
【図3】ウエハ上の露光ショットと斜入射照明光との関係を示す平面図である。
【図4】(a)及び(b)は、ショットサイズ、及びショットレイアウトが変更になった時の照明領域調整または照明範囲を変更する手順を説明するための平面図である。
【図5】(a)は図1で示す表面形状測定装置で得られた干渉縞を示す平面図であり、(b)は(a)の干渉縞を基に得られた被測定物の表面形状を示す斜視図である。
【図6】ウエハと斜入射照明光の関係を説明するための平面図である。
【図7】各ショットにおける表面形状を測定するサンプリング・ポイントを示す図である。
【図8】本発明の実施例1に示す表面形状測定方法の一部を示す流れ図である。
【図9】本発明の実施例2に係るウエハと斜入射照明光の関係を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施例に係る表面形状測定装置を露光装置に適用した場合を示す図である。
【図11】従来例において、走査型露光装置(スキャナー)の構成を示す図である。
【図12】従来例における、フォーカス検出方法を示す図である。
【図13】レジスト内のフォーカス検出光の光路を示す図である。
【図14】ウエハの縦構造の違いによる検出騙されを説明するための図である。
【図15】本発明の実施例2に係る表面形状測定装置を説明するための図である。
【図16】本発明の実施例3に係る表面形状測定装置を有する露光装置の構成を説明するための図である。
【図17】半導体デバイスの全体的な製造プロセスのフローを示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1,13,14:光源、2,16,17:ビーム径変換光学系、3,7:ハーフミラー、4,10,11:ミラー、6:ウエハ、8:検出光学系、9:撮像素子、12:位相シフト手段、15:光源切り替え器、20:決定手段、33:フォーカス・チルト検出系、100:レチクル、800:光源、801:照明系。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の少なくとも一部を照明し、前記照明された基板から反射された光を検出することによって、前記基板の表面形状を測定する表面形状測定装置において、
前記基板に形成される複数の露光ショットの大きさ及び配置の少なくともいずれかに基づいて前記照明する領域を変更する変更手段と、
前記複数の露光ショットの大きさ及び配置の少なくともいずれかに基づいて前記光を検出する複数の検出点の位置及び個数を決定する決定手段とを備えることを特徴とする表面形状測定装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記複数の露光ショット間で前記光を検出する複数の検出点の位置及び個数が同一となるように決定することを特徴とする請求項1に記載の表面形状測定装置。
【請求項3】
前記基板上の少なくとも一部を照明する照明光は、基板表面に対して斜め方向から照明されることを特徴とする請求項1または2に記載の表面形状測定装置。
【請求項4】
前記表面形状測定装置は、前記基板からの反射光と、前記基板に反射させずに導光させた参照光とを干渉させることによって得られる干渉縞を用いて、前記基板の表面形状を測定することを特徴とする請求項1〜3の少なくともいずれかに記載の表面形状測定装置。
【請求項5】
前記基板上の少なくとも一部を照明する照明光の中心波長及びその波長幅の少なくともいずれかを変更する波長変更手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の表面形状測定装置。
【請求項6】
前記基板上の少なくとも一部を照明するための複数の照明手段と、
前記照明された基板から反射された光を検出する複数の検出手段とを備えることを特徴とする表面形状測定装置。
【請求項7】
基板上の少なくとも一部を照明し、前記照明された基板から反射された光を検出することによって、前記基板の表面形状を測定する表面形状測定方法において、
前記基板に形成される複数の露光ショットの大きさ及び配置の少なくともいずれかに基づいて前記照明する領域を変更する工程と、
前記複数の露光ショットの大きさ及び配置の少なくともいずれかに基づいて前記光を検出する複数の検出点の位置及び個数を決定する工程とを備えることを特徴とする表面形状測定方法。
【請求項8】
前記決定する工程では、前記複数の露光ショット間で前記光を検出する複数の検出点の位置及び個数が同一となるように決定することを特徴とする請求項7に記載の表面形状測定方法。
【請求項9】
前記基板上の少なくとも一部を照明する照明光は、基板表面に対して斜め方向から照明されることを特徴とする請求項7または8に記載の表面形状測定方法。
【請求項10】
前記表面形状測定方法は、前記基板からの反射光と、前記基板に反射させずに導光させた参照光とを干渉させることによって得られる干渉縞を用いて、前記基板の表面形状を測定することを特徴とする請求項7〜9の少なくともいずれかに記載の表面形状測定方法。
【請求項11】
前記基板上の少なくとも一部を照明する照明光の中心波長及びその波長幅の少なくともいずれかを変更する工程を備えることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の表面形状測定方法。
【請求項12】
請求項1〜6の少なくともいずれかに記載の表面形状測定装置を備えることを特徴とする露光装置。
【請求項13】
請求項7〜11の少なくともいずれかに記載の表面形状測定方法を用いて基板の表面位置を測定することを特徴とする露光方法。
【請求項14】
請求項12に記載の露光装置を用いて基板を露光する工程と、
前記基板を現像する工程とを備えることを特徴とするデバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−275555(P2006−275555A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−90851(P2005−90851)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】