説明

表面性状測定装置および表面性状測定方法

【課題】ステンレス鋼板や、圧延ロール、金型等の表面が白濁して見える場合に、その白濁の度合いを定量的に評価できるようにする。
【解決手段】ディスプレー11に映したパターンをハーフミラー13で反射させて測定対象面21に略垂直に投射し、反射したパターンをハーフミラー13を透過させて撮像素子12で撮影し、映像信号をコンピューター3でデータ処理するよう表面性状測定装置1を構成し、測定対象面21上のパターン投射領域の一部範囲で反射するパターン像への周りからの光の乱反射の影響を強調する測定条件をパターン設定の態様によって実現し、光の乱反射の影響による測定対象面の白濁度合いを定量的に評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鏡面に近い平滑な面であることが要求されるステンレス鋼板等の製品や、製品の表面性状を左右する圧延ロール、金型等の加工機械あるいは加工器具の表面が白濁して見える場合に、その白濁の度合いを表面性状として定量的に評価できるようにするための表面性状測定装置および表面性状測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鏡面に近い平滑な面の表面性状を測定するための装置としては、触針式で表面粗さ(微小凹凸の粗さ)を計測する表面粗さ計(略して、粗さ計ともいう。)や、正反射(鏡面反射)した受光量で光沢度を計測する鏡面光沢度計(略して、光沢計ともいう。)が従来から使用されている。
【0003】
また、受光量のみによる測定ではなく、反射像を撮影して表面粗さや光沢度を計測する装置もあり、例えば、白黒パターンの光を測定対象面に対し斜めに所定角度で投射し、同じ角度で反対側へ反射(正反射)させて、そのパターン反射像をカメラで撮影し、画像信号をコンピューターでデータ処理することで、表面性状を非接触で定量的に測定するものが従来から知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0004】
また、本出願人は、撮影したパターン反射像の輝度分布をプロット(パターンの一部分についてグラフ化)して、輝度波形の標準偏差(平均輝度からの輝度のばらつき)を求め、標準偏差によって、表面粗さ、表面反射率などを測定する表面性状測定方法および装置を開発し、また、パターン反射像の輝度値の標準偏差の、鏡面の場合の基準となる標準偏差との相対値を「鏡面度」と定義し、輝度波形の矩形波の肩が狭まったり、エッジがだれていたりするのを、標準偏差の相対値である鏡面度で見て、それにより、試料表面の写像性(パターンが正確に写るかどうか)を評価し、それに、反射率等の他の諸々の情報を加えて、表面微小凹凸に起因する表面粗さや光沢度等の表面性状を定量的に評価する鏡面度評価の方法およびそれを実行するための装置を開発した(例えば、特許文献3、4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−75236号公報
【特許文献2】特開2006−84452号公報
【特許文献3】特開2001−99632号公報
【特許文献4】特開2007−155709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ステンレス鋼板等は、表面粗さ計や鏡面光沢度計で測ったのでは殆ど鏡面との差が出なくても、目視検査では、表面が筋状の白い線で白濁して見えることがある。ただし、見方によって、白濁が際立って見えたり、少し角度を変えると全然見えなくなったりする。そして、その白濁した面を顕微鏡で見ると、筋状に傷が入っているのが見える。表面粗さ計や鏡面光沢度計では、そうした目視で得られる情報が数値として出てこない。
【0007】
触針式の表面粗さ計(粗さ計)では、プローブ先端の大きさが測定分解能の限界となり、白濁の要因となる傷を、粗さ曲線で特定することは難しい。傷の無いきれいな鏡面の場合は、粗さ曲線をとると、略フラットである。それに対し、白濁の要因となるような傷がある場合は、粗さ曲線は全体としてはフラットで、微小な部位が一部飛び出たものとなる。しかし、このように一部飛び出ていても、粗さ曲線で見ると、大部分がフラットで、Ra(算術平均粗さ)には殆ど影響が出てこない。
【0008】
また、鏡面光沢度計では、傷があって白濁して見える場合でも、傷は表面の極一部であって、受光量に殆ど影響せず、測定値に殆ど差が出ない。JISの鏡面光沢度測定方法は、鏡面の光沢度や反射率を測定する測定装置を使用し、反射する光束(エネルギー)を測る。しかし、乱反射の影響は、エネルギー的には極僅かで、光はエネルギーとしては殆ど傷の影響を受けずにきれいに反射するので、殆ど影響が出ない。
【0009】
また、本出願人が開発した鏡面度評価装置でも、白濁は明確な数値として出てこない。鏡面度評価装置は、試料表面で反射したパターン反射像の写り具合(写像性)で試料表面の粗さや光沢度などの表面性状を定量的に評価するが、白濁の要因となる傷は、表面の極一部であるため、パターン反射像の輝度波形には、傷が無い場合との差が殆ど出ず、白濁を定量的に評価できない。
【0010】
このように、ステンレス鋼板等の表面が、目視で見たときに白濁して見えるという場合に、従来の装置あるいは方法では、白濁を定量的に評価できない。そのため、白濁しているかどうかは、目視で見るしかないが、目視でも、見方によって、白濁が際立って見えたり、少し角度を変えると全然見えなくなったりするし、人によって見え方が違うこともあって、客観性のある評価はできなかった。
【0011】
ところで、上記鏡面度評価装置では、カメラのピントはパターン反射像に合わせている。この場合、試料表面を見ているのではなく、試料表面はあくまでミラーとして扱って、試料表面にパターンを写し、その写ったパターンの像にピントを合わせて見ている。それに対し、人間が目視でステンレス鋼板等の試料表面を見て、白濁しているのが見えているときは、この白濁している試料表面に目のピントを合わせている。試料表面に顔を写して見ているときは、映った顔に目のピントを合わせており、そのときは試料表面の白濁したところは明確には見えていない。ただ、人間は簡単に目のピントを変え、顔を写していても、試料表面が白濁しているのが気になると、一瞬にして、白濁した試料表面に目のピントを合わせる。しかし、鏡面度評価装置は、パターン反射像にピントを合わせるのであって、目視で見るときのように試料表面にピントを合わせるのではない。そのため、白濁を明確に見ることができない。
【0012】
鏡面度評価装置でも、目視の場合と同様に、試料表面にピントを合わせるようにすれば、測定器による白濁の評価も可能になると考えられる。しかし、鏡面度評価装置は、本来、写像性を評価するもので、パターン反射像にピントを合わせる必要があり、これを試料表面の白濁の評価にも使用できるようにするためには、ピント位置を、固定ではなく、調整可能にしなくてはならない。それでは、測定器として装置が大掛かりになりすぎるし、ピントが固定でないために、ピント合わせに面倒な操作を強いられ、また、そのピント合わせの誤差による測定精度の低下が不可避となる。そのため、市販する測定器としては、ピント位置を固定したものでないと実用性がない。また、ピントの設定だけを変えた測定器を別に用意して、使い分けるようにするのでは、スペース的にも、また、コスト的にも負担が大きくなる。
【0013】
本発明は、こうした問題を解決するもので、鏡面に近い平滑な面であることが要求されるステンレス鋼板等の製品の表面や、製品の表面性状を左右する圧延ロール、金型等の加工機械あるいは加工器具の表面が白濁して見える場合に、その白濁の度合いを定量的に評価することができ、装置が大掛かりにならず、面倒な操作も必要でない表面性状測定装置および表面性状測定方法に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の表面性状測定装置は、光学的明暗の2次元分布形状を示すパターンを、コンピューターにより制御可能なディスプレーにより形成し、該パターンをハーフミラーで反射させて測定対象面に略垂直に投射する投射光学系と、投射光学系により投射されて測定対象面で反射したパターンを、ハーフミラーを透過させて、測定対象面に略垂直な方向から撮像素子で撮影する撮像光学系とからなり、撮像素子により得られた映像信号をコンピューターでデータ処理することにより測定対象面の表面性状を測定する表面性状測定装置であって、測定対象面上のパターン投射領域の一部範囲で反射するパターン像への周りからの光の乱反射の影響を強調する測定条件をパターンの設定態様によって実現するパターン設定手段を備え、光の乱反射の影響を強調する測定条件で得られた映像信号に基づいて、光の乱反射の影響度合いを計測し、該影響度合いにより、測定対象面の光の乱反射による白濁度合いを評価することを特徴とする。
【0015】
この表面性状測定装置は、パターン設定手段により、パターン投射領域の全範囲に光学的明暗のパターンを投射する第1のパターン設定と、パターン投射領域の一部範囲にのみ光学的明暗のパターンを投射して周りは暗くする第2のパターン設定とが可能で、第1のパターン設定で得られた映像信号と第2のパターン設定で得られた映像信号との比較により光の乱反射の影響度合いを計測し、測定対象面の光の乱反射による白濁度合いを評価するものであってよい。
【0016】
また、この表面性状測定装置は、パターン設定手段により、パターン投射領域の一部範囲を暗くし周りを明るくするパターン設定が可能で、このパターン設定で得られた映像信号により光の乱反射の影響度合いを計測し、測定対象面の光の乱反射による白濁度合いを評価するものであってよい。
【0017】
そして、この表面性状測定装置は、映像信号をデータ処理してパターン像の輝度値を求める輝度値演算手段を備え、輝度値に基づいて光の乱反射の影響度合いを計測するものであってよい。
【0018】
また、本発明の表面性状測定方法は、光学的明暗の2次元分布形状を示すパターンを、コンピューターにより制御可能なディスプレーにより形成し、該パターンを、ハーフミラーで反射させて測定対象面に略垂直に投射し、測定対象面で反射したパターンを、ハーフミラーを透過させて、測定対象面に略垂直な方向から撮像素子で撮影し、撮像素子により得られた映像信号をコンピューターでデータ処理することにより測定対象面の表面性状を測定する表面性状測定方法であって、測定対象面上のパターン投射領域の一部範囲で反射するパターン像への周りからの光の乱反射の影響を強調する測定条件をパターンの設定態様によって実現し、光の乱反射の影響を強調する測定条件で得られた映像信号に基づいて、光の乱反射の影響度合いを計測し、該影響度合いにより、測定対象面の光の乱反射による白濁度合いを評価することを特徴とする。
【0019】
この表面性状測定方法は、パターン投射領域の全範囲に光学的明暗のパターンを投射する第1のパターン設定で前記映像信号を取得し、また、パターン投射領域の一部範囲にのみ光学的明暗のパターンを投射して周りは暗くする第2のパターン設定で前記映像信号を取得して、第1のパターン設定で得られた映像信号と第2のパターン設定で得られた映像信号との比較により光の乱反射の影響度合いを計測し、測定対象面の光の乱反射による白濁度合いを評価するようにするものであってよい。
【0020】
また、この表面性状測定方法は、パターン投射領域の一部範囲を暗くし周りを明るくするパターン設定で映像信号を取得し、このパターン設定で得られた映像信号により光の乱反射の影響度合いを計測し、測定対象面の光の乱反射による白濁度合いを評価するものであってよい。
【0021】
そして、この表面性状測定方法は、映像信号をデータ処理してパターン像の輝度値を求め、輝度値に基づいて光の乱反射の影響度合いを計測するものであってよい。
【0022】
パターンを形成するディスプレーは、液晶ディスプレー以外に、プラズマ、有機・無機ELその他のディスプレーであってよい。
【0023】
目視で見たときに表面が白濁して見えるのは、表面粗さ計で測れるような通常の表面凹凸に較べて凹凸角度の大きい特異な凹凸である筋状の傷が散在していることが主たる原因で、こういう凹凸角度の大きい傷があると、周りから入ってきた光が、通常の表面凹凸の場合は目に届かない方向に反射してしまうところを、傷の部分で乱反射し、散乱光となって目に入ってくることが影響している。そこで、基本的には、パターン反射像をデータ処理して表面性状を測定する鏡面度評価装置の測定方式を使用しながら、周りから入ってくる光の乱反射の影響を強調する測定条件で測定できるようにすれば、周りからの光の乱反射の影響による白濁の度合いがどの程度であるかの定量的な評価を行うことができる。本発明は、こうした知見に基づいて成されたものである。
【0024】
本発明では、光学的明暗の2次元分布形状を示すパターンを、コンピューターにより制御可能な液晶等のディスプレーにより形成する。そして、そのディスプレーにより形成したパターンを、ハーフミラーで反射させて測定対象面に略垂直に投射し、反射したパターンを、ハーフミラーを透過させて、測定対象面に略垂直な方向から撮像素子で、パターン反射像に撮像素子の焦点を合わせて撮影し、映像信号をコンピューターでデータ処理する。その際、パターン設定の態様により、測定対象面上のパターン投射領域の一部範囲で反射するパターン像への周りからの光の乱反射の影響を強調する測定条件を実現する。そして、光の乱反射の影響を強調する測定条件で得られた映像信号に基づいて、例えば、映像信号をデータ処理してパターン像の輝度値を求め、輝度値に基づいて光の乱反射の影響度合いを計測し、該影響度合いにより、測定対象面の光の乱反射による白濁度合いを評価する。
【0025】
光の乱反射の影響を強調する測定条件を実現するパターン設定の態様は、例えば、パターン投射領域の全範囲に光学的明暗のパターン(例えば、白黒縞状のパターン)を投射する第1のパターン設定と、パターン投射領域の一部範囲にのみ光学的明暗のパターンを投射して周りは暗くする第2のパターン設定の切り替えであり、そのようにパターン設定を切り替えて、それら両方の設定で得られた映像信号の比較により光の乱反射の影響度合いを計測し、測定対象面の光の乱反射による白濁度合いを評価する。この場合、パターン設定の切り替えは、コンピューターにより、ディスプレーの全面に光学的明暗のパターンを映す設定(光源が広くなる設定)と、ディスプレーの中心部にだけ光学的明暗のパターンを映し、周辺部は全体を真っ暗にする設定(光源が狭くなる設定)とを切り換えることで容易に行える。全面パターン(ディスプレーの全面に映す設定)としたときは、測定対象面上の広い領域に光学的明暗のパターンを投射することになり、一部パターン(ディスプレーの中心部にだけパターンを映し、周辺部は真っ暗にする設定)としたときは、測定対象面上の限られた狭い領域だけに光学的明暗のパターンを投射することになる。
【0026】
ディスプレーからの光は、開き角を持っているため、測定対象面上のパターン投射領域の各部分には、設定された投射角度で光が入ってくるだけでなく、周りからも光が入ってくる。そして、測定対象面に傷が無ければ、設定された投射角度で入ってきた光は正反射して撮像素子に入るが、周りからの光は撮像素子に届かない方向に反射する。そして、測定対象面に白濁の要因となるような傷があると、全面パターンの場合は、光源が広いため、測定しようとする領域の各部分(パターン投射領域の一部範囲)に、周りから入ってくる光が多くて、その周りから入ってきた光が、傷の部分で乱反射し、散乱光となって一部が撮像素子に届く。そのため、撮影により得られる映像信号は、周りから入ってくる光の乱反射の影響が大きいものとなる。それに対し、一部パターンの場合は、光源が狭く、周りから光が殆ど入ってこないために、周りからの光の乱反射の影響は小さくなる。したがって、パターン投射領域の全範囲に光学的明暗のパターンを投射する第1のパターン設定での映像信号と、パターン投射領域の一部範囲にのみ光学的明暗のパターンを投射して周りは暗くする第2のパターン設定での映像信号とを比較することで、周りからの光の乱反射の影響による白濁の度合いがどの程度であるかの定量的な評価を行うことができる。
【0027】
また、光の乱反射の影響を強調する測定条件を実現するパターン設定の態様は、パターン投射領域の一部範囲を暗くし周りを明るくするパターン(例えば、ディスプレーの画像中心に黒い部分があるだけの点パターン)の設定であってよく、この場合、このパターン設定で得られた映像信号により光の乱反射の影響度合いを計測し、測定対象面の光の乱反射による白濁度合いを評価する。このパターン設定は、コンピューターにより容易に行える。
【0028】
この場合も、ディスプレーからの光は、開き角を持っているため、測定対象面上のパターン投射領域の各部分には、設定された投射角度で光が入ってくるだけでなく、周りからも光が入ってくる。しかし、この場合のパターンは、パターン投射領域の一部範囲を暗くし周りを明るくするパターン(ディスプレーの画像中心に黒い部分があるだけの点パターン)であって、その暗くする一部範囲は、設定された投射角度では光が入ってこず、主として周りから光が入ってくる。そして、測定対象面に傷が無ければ、周りからの光は撮像素子に届かない方向に反射するが、測定対象面に白濁の要因となるような傷があると、周りから入ってきた光が傷の部分で乱反射し、散乱光となって一部が撮像素子に届く。そのため、撮影により得られる映像信号は、主として周りから入ってくる光の乱反射の影響を受けたものとなる。したがって、パターン投射領域の一部範囲を暗くし周りを明るくするパターンの設定で得られた映像信号に基づいて、周りからの光の乱反射の影響による白濁の度合いがどの程度であるかの定量的な評価を行うことができる。
【0029】
また、本発明では、パターンの光をハーフミラーで反射させて測定対象面に略垂直に投射し、パターン反射像をハーフミラーを透過させて、測定対象面に略垂直な方向から撮像素子で撮影するのであり、これにより、白濁の要因となる傷がある測定対象面を、全面パターンの設定で測った場合と一部パターンの設定で測った場合の、それぞれの映像信号の特性を際立たせることができて、傷による乱反射の影響の計測が容易となり、白濁度合いの評価が容易で精度の良いものとなる。
【0030】
パターンを測定対象面に対し斜めに投射して反対側から撮影したのでは、白濁の要因となるような傷があっても、光の乱反射の影響を強調した映像信号が得られない。しかし、測定対象面に略垂直にパターンを投射すると、全面パターンの場合と一部パターンの場合とで、光の乱反射の影響を強調した映像信号が得られる。これは、傷の性質に関係している。
【0031】
測定対象面の白濁の要因となるような凹凸角度の大きい傷の場合、周りからの光は、側方から斜めに入ってくるよりも比較的真上に近い方向から入ってきた方が、傷の傾斜面で反射したときに撮像素子まで届く確率が大きくなる。この場合、傷の傾斜面の角度(凹凸角度)が、入射および反射方向との関係で、そういう条件を満たし易い。測定対象面に略垂直にパターンを投射し、反射したパターン像を測定対象面に略垂直な方向から撮影するようにすると、周りから入ってくる光というのは、側方から斜めに入ってくるというよりも、比較的真上に近い方向から入ってくることになり、傷の傾斜面で反射した光が撮像素子に入り易い。そのため、光が乱反射した場合にその影響が映像信号に表れ易く、それを強調する条件を整えることで、乱反射の影響を定量的に評価できる。それに対し、パターンを測定対象面に対し斜めに投射して反対側から撮影したのでは、例えば傷面の角度と入射および反射方向との関係が、傷面で反射した光が撮像素子まで届くための条件を満たし難い。そのため、光の乱反射の影響が表れ難く、測定が難しい。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、鏡面に近い平滑な面であることが要求されるステンレス鋼板等の製品の表面や、製品の表面性状を左右する圧延ロール、金型等の加工機械あるいは加工器具の表面が白濁して見える場合に、その白濁の度合いを、装置が大掛かりにならず、面倒な操作をすることなく、精度良く定量的に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係る表面性状測定システムの概略図である。
【図2】パターン設定の第1例を示すもので、(a)は全面パターン設定時のディスプレー画面を示す図、(b)は一部パターン設定時のディスプレー画面を示す図である。
【図3】パターン設定の第2例を示すもので、(a)は点パターン設定時のディスプレー画面を示す図、(b)は(a)に示す点パターンでの計測範囲を示す説明図である。
【図4】測定対象面の傷に対する周りからの光の入射方向と反射方向の関係を示す断面模式図である。
【図5】全面パターン設定時と一部パターン設定時とで変化する輝度分布の態様を説明するグラフである。
【図6】本発明の実施例における試料の写真である。
【図7】本発明の実施例における試料表面での輝度分布の例を示すもので、(a)は傷のない面での輝度分布のグラフ、(b)は1500番サンドペーパーによる傷のある面での輝度分布のグラフ、(c)は1200番サンドペーパーによる傷のある面での輝度分布のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は本発明の実施形態に係る表面性状測定システムの一例を示している。図において、1は表面性状測定装置であり、2は測定対象物、3はコンピューターを示している。
【0035】
この表面性状測定装置1は、コンピューター3により制御可能なパターン形成用のディスプレー11と、パターンの反射像を撮影する撮影装置12と、ハーフミラー13とからなるもので、光学的明暗の2次元分布形状を示す例えば白黒縞状や点状のパターンをディスプレー11により形成し、該パターンを、ハーフミラー13で反射させて測定対象面21に略垂直に投射する投射光学系と、投射光学系により投射されて測定対象面21で反射したパターンの反射像を、ハーフミラー13を透過させて、測定対象面21に略垂直な方向から撮像素子(撮影装置12)で撮影する撮像光学系を有し、ディスプレー11により光学的明暗の2次元分布形状を示すパターンを形成して、それ自体が光源となって測定対象物2の測定対象面21に略平行な方向へ照射し、ハーフミラー13で反射させて、測定対象面21に略垂直(図では90度の角度で投射されている。)に投射し、測定対象面21で反射したパターンを、ハーフミラー13を透過させて撮像素子12で撮影するよう構成されている。
【0036】
ディスプレー11は、例えば液晶ディスプレーである。その他、プラズマ、有機・無機EL等のディスプレーであってもよい。
【0037】
ディスプレー11により形成するパターンは、コンピューター3の操作により自在に設定でき、例えば白黒縞状のパターンの場合、図2の(a)に示すように、ディスプレー11の画面の全面にパターンを映して光源を広くする全面パターンの設定とすることも、また、図2の(b)に示すように、ディスプレー11の画面の中心部にだけパターンを映し、周辺部は全体を真っ暗にして光源を狭くする一部パターンの設定とすることも自在で、それらの設定を簡単に切り替えることもできる。また、図3に示すように、画像中心に黒い部分(図の例では丸であるが、丸以外の形状であってもよい)があるだけの点パターンの設定とすることもでき、その黒い部分の形状や、大きさや等の設定および切り替えも簡単に行える。
【0038】
撮影装置12は、撮像素子として例えばCCD、CMOS、デジタルカメラ等のエリアイメージセンサを備えたものである。撮像素子の焦点は、測定対象面21を介して反射するパターンが像を結ぶ虚像面4の位置に合わせる。その焦点合わせは、撮像素子の焦点距離は固定しておいて、表面性状測定装置1自体の高さか、測定対象物2を載せる台の高さのいずれかまたは両方を調整することで簡便に行うことができる。
【0039】
この表面性状測定装置1では、図1に示すように、測定対象物2の測定対象面21が、ディスプレー11の画面に対し垂直となるように配置する(図の例では、ディスプレー11が垂直方向の配置で、測定対象面21が水平方向の配置である。)。そして、ディスプレー11に形成したパターン(画像)を、測定対象面21に略平行な方向へ照射し、ハーフミラー13で反射させて測定対象面21に略垂直に投射する。図の例では、パターンは測定対象物2の測定対象面21に平行な方向(水平方向)へ照射されている。そして、ハーフミラー13は水平方向に対し45度の角度で配置され、ハーフミラー13で反射したパターンは90度の角度で測定対象面21に投射されている。このとき、測定対象面21に投影されたパターンの反射像は、ディスプレー11の画面に対し垂直に現れる。そのパターン反射像を、ハーフミラー13を透過させて、撮影装置12の撮像素子によって撮影する。そして、得られた映像信号をコンピューター3でデータ処理し、測定対象面21の表面粗さ等を測定する。
【0040】
例えば、ディスプレー11により図2の(a)に示すような縞パターンを形成する。そして、そのパターンをハーフミラー13で反射させて測定対象面21に投射し、反射したパターンをハーフミラー13を透過させて撮影装置12(撮像素子)で撮影し、その映像信号をコンピューター3でデータ処理し、撮影したパターン反射像の輝度分布をプロット(パターンの一部分についてグラフ化)して、輝度値の標準偏差(平均輝度からの輝度のばらつき)を求め、標準偏差に基づいて、表面粗さを測定する。輝度値の標準偏差と表面凹凸による表面傾斜角分布の標準偏差の間には比較的線形な相関があり、輝度分布の標準偏差によって表面粗さを評価することが可能である。また、パターン反射像の輝度分布の標準偏差の、基準となる標準偏差との相対値である鏡面度を算出し(例えば、基準試料の標準偏差を鏡面度1000として、相対的に測定対象面の鏡面度を求める。)、鏡面度により、試料表面の写像性(パターンが正確に写るかどうか)を評価し、反射率等の他の諸々の情報を加えて、表面微小凹凸に起因する表面粗さや光沢度等の表面性状を総合的且つ定量的に評価することも可能である。
【0041】
また、この表面性状測定装置1では、ディスプレー11により形成するパターンの設定態様を調整することにより、測定対象面21上のパターン投射領域の一部範囲で反射するパターン像への周りからの光の乱反射の影響を強調する測定条件を実現することができ、光の乱反射の影響を強調する測定条件で得られた映像信号に基づいて、例えば、映像信号をデータ処理してパターン像の輝度値を求め、輝度値に基づいて光の乱反射の影響度合いを計測し、該影響度合いにより、測定対象面の光の乱反射による白濁度合いを評価することが可能である。
【0042】
光の乱反射の影響を強調する測定条件は、例えば、図2の(a)に示すように、ディスプレー11の画面の全面にパターンを映して光源を広くする全面パターンとして、測定対象面21上のパターン投射領域の全範囲に光学的明暗のパターン(図では白黒縞状のパターンであるが、が、これに限るものではない)を投射する第1のパターン設定と、図2の(b)に示すように、ディスプレー11の画面の中心部にだけパターンを映し、周辺部は全体を真っ暗にして光源を狭くする一部パターンとして、パターン投射領域の一部範囲にのみ光学的明暗のパターンを投射して周りは暗くする第2のパターン設定との切り替えによって実現できる。
【0043】
また、光の乱反射の影響を強調する測定条件は、例えば、ディスプレーの画像中心に黒い部分があるだけの点パターンとして、測定対象面21上のパターン投射領域の一部範囲を暗くし周りを明るくすることによって実現することもできる。
【0044】
ディスプレー11からの光は、開き角を持っているため、測定対象面21の各部分には、図4に示すように、略垂直(設定された投射角度)に光aが入ってくるだけでなく、周りからも光bが入ってくる。そして、ディスプレー11により形成するパターンを、図2の(a)に示すような全面パターンにすると、光源領域が拡大するため、乱反射があると、パターン投射領域の各部分(一部範囲)で、周りからの光の乱反射の影響が大きくなる。一方、図2の(b)に示すような一部パターンにすると、光源領域は縮小するため、周りから入ってくる光が少なくなり、乱反射の影響が小さくなる。つまり、測定対象面21に白濁の要因となるような傷22があると、全面パターンの場合は、光源が広いため、周りから入ってくる光bが多くて、その周りから入ってきた光bが、傷22の部分で乱反射し、散乱光となって一部が撮像素子に届く。そのため、撮影により得られる映像信号は、周りから入ってくる光の乱反射の影響が大きいものとなる。それに対し、一部パターンの場合は、光源が狭く、周りから光bが殆ど入ってこないために、周りからの光の乱反射の影響は小さいものとなる。したがって、パターン投射領域の全範囲に光学的明暗のパターンを投射する第1のパターン設定での映像信号と、パターン投射領域の一部範囲にのみ光学的明暗のパターンを投射して周りは暗くする第2のパターン設定での映像信号とを比較することで、周りからの光の乱反射の影響を強調することができ、乱反射の影響による白濁の度合いがどの程度であるかの定量的な評価を行うことができる。
【0045】
また、ディスプレー11により形成するパターンを、図3に示すような、画像中心に黒い部分があるだけの点パターンとして、測定対象面21上のパターン投射領域の一部範囲を暗くし周りを明るくする設定とすると、測定しようとする領域(パターン投射領域の一部範囲)には、設定された投射角度では光が入ってこず、主として周りから光が入ってくる。そして、測定対象面21に傷が無ければ、周りからの光は撮像素子に届かない方向に反射するが、測定対象面21に白濁の要因となるような傷があると、周りから入ってきた光が傷の部分で乱反射し、散乱光となって一部が撮像素子に届く。そのため、撮影により得られる映像信号は、主として周りから入ってくる光の乱反射の影響によるものとなる。したがって、パターン投射領域の一部範囲を暗くし周りを明るくするパターンの設定で得られた映像信号に基づいて、周りからの光の乱反射の影響による白濁の度合いがどの程度であるかの定量的な評価を行うことができる。
【0046】
そして、この表面性状測定装置1は、パターンの光をハーフミラー13を介して測定対象面21に略垂直に投射し、パターン反射像をハーフミラー13を透過させて、測定対象面21に略垂直な方向から撮影装置12(撮像素子)で撮影することにより、白濁の要因となる傷22がある測定対象面21を、全面パターンの設定で測った場合と一部パターンの設定で測った場合の、それぞれの映像信号の乱反射の影響度合いを際立たせることができ、また、点パターンとした場合の乱反射の影響度合いを際立たせることができる。そのため、乱反射の影響度合いの計測が容易で、白濁度合いの評価が容易であり、精度の良い測定・評価を行うことができる。
【0047】
図2の(a)に示すような全面パターンの設定と、図2の(b)に示すような一部パターンの設定で、それぞれの映像信号から、パターン反射像の輝度分布をプロットすると、例えば図5に示すような輝度分布が得られる。図5において、細線は全面パターンのときの輝度分布の波形であり、太線は一部パターンのときの輝度分布の波形である。測定対象面21に白濁の要因となる傷があると、一部パターンのときは、全面パターンのときに比べて輝度値が全体に下がる方向にシフトする。このシフト量を、輝度値の平均値の差で求めることにより、白濁度合いの定量的な評価を行うことができる。
【0048】
また、図3に示すような点パターンの設定では、測定対象面21に白濁の要因となる傷があると、画像中心の黒い部分の一定範囲内で計測した輝度値が、標準となる鏡面の場合の輝度値よりも全体に高くなり、その差が顕著に現れる。その輝度値の平均値を比較することで、白濁度合いの定量的な評価を一層容易に行うことができる。
【0049】
こうして、鏡面に近い平滑な面であることが要求されるステンレス鋼板等の製品や、製品の表面性状を左右する圧延ロール、金型等の加工機械あるいは加工器具の表面が白濁して見える場合に、その白濁の度合いを、装置が大掛かりにならず、面倒な操作をすることなく、精度良く定量的に評価することができる
【0050】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、測定対象面上のパターン投射領域の一部範囲で反射するパターン像への周りからの光の乱反射の影響を強調する測定条件をパターンの設定態様によって実現して、光の乱反射の影響度合いにより、測定対象面の白濁度合いを測定する本発明の測定原理を逸脱しない範囲で、様々に実施の態様を変更することができるものである。パターン設定の態様も、上記実施形態で説明した白黒縞状のパターンの切り替えや、点パターンの使用に限定されるものではない。
【実施例1】
【0051】
ステンレス鋼板の傷のない磨き面に部分的に1200番のサンドペーパーと1500番のサンドペーパーで傷をつけた試料の写真を図6に示す。
【0052】
図6に示すように、試料表面は、傷のない部分(A部)は綺麗に見え(白濁小)、1500番のサンドペーパーで傷をつけた部分(B部)は白濁して見え(白濁中)、粗い番手(1200番)のサンドペーパーで傷をつけた部分(C部)は、より白濁して見えている(白濁大)。
【0053】
図6のB部およびC部のように傷があって白濁して見えている部分でも、拡大して観ると大部分は略平滑な綺麗な面で、傷となっている部分は極一部である。そして、この程度の傷は、表面粗さ計や鏡面光沢度計で測っても明確に識別できない。表面粗さ計ではプローブ先端の大きさの影響が粗さ曲線に現れるため測定分解能に限界があり、白濁の要因となる傷の特定が難しい。また、鏡面光沢度計でも、傷は表面の極一部であって受光量に殆ど影響しないため、測定値に殆ど差が出ない。
【0054】
そこで、図1に示す表面性状測定装置1を使用し、ディスプレー11に液晶ディスプレーを使用し、液晶ディスプレーに映すパターンを、図2の(a)に示す全面パターンとした設定で、また、図2の(b)に示す一部パターン(中心部の直径100画素の円内が白黒縞状で周りが真黒)の設定で、A部、B部およびC部を測定し、それぞれの映像信号からパターン反射像の輝度分布をプロットした。
【0055】
こうして得られた輝度分布を図7に示す。(a)は傷のない面(A部)での輝度分布、(b)は1500番サンドペーパーによる傷のある面(B部)での輝度分布、(c)は1200番サンドペーパーによる傷のある面(C部)での輝度分布である。図7において、細線は全面パターンのときの輝度分布の波形であり、太線は一部パターンのときの輝度分布の波形である。いずれも横軸は画素(すなわち測定位置)、縦軸は輝度値(標準偏差で示す)である。
【0056】
図7の(a)に示すように、傷のない試料表面(A部)では、全面パターンの場合と、一部パターンの場合とで、輝度波形が殆ど一致する。ところが、1500番サンドペーパーによる傷のある面(B部)では、図7の(b)に示すように、全面パターンの場合の輝度波形に対し、一部パターンの場合の輝度波形が全体に低輝度側にシフトしている。また、粗い番手の1200番のサンドペーパーによる傷のある面(C部)では、図7の(c)に示すように、全面パターンの場合の輝度波形に対し、一部パターンの場合の輝度波形が全体に一層大きく低輝度側にシフトしている。そのシフト量を輝度値(標準偏差)の平均値の差で求めた。
【0057】
こうして求めた輝度値の平均値の差をA部、B部およびC部のそれぞれの計測値とし、それら計測値とA部基準の比較値を表1に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
表1に示すA部、B部およびC部のそれぞれの測定結果(輝度値の平均値の差)は、傷による光の乱反射で白く見える程度の違い(白濁度合い)を定量的に示すものである。
【実施例2】
【0060】
また、図1に示す表面性状測定装置1を使用し、ディスプレー11に液晶ディスプレーを使用し、液晶ディスプレーに映すパターンを図3の(a)に示すように、画像中心に黒い丸がある点パターンの設定として、上記実施例1と同じ試料を測定し、A部、B部およびC部で得られた映像信号から、パターン反射像の輝度値を求めた。
【0061】
この場合、傷のない試料表面(A部)では、光の乱反射の影響が少ないためパターン反射像は中心の黒い部分は輝度値が低いままであるが、傷のある面(B部、C部)では、傷が粗いほど乱反射の影響で黒い部分の輝度値が上昇する。
【0062】
図3の(b)において黒い部分の四角で示す範囲内での輝度値の平均値をA部、B部およびC部のそれぞれの計測値とし、それら計測値とA部基準の比較値を表2に示す。
【0063】
【表2】

【0064】
表2に示すA部、B部およびC部のそれぞれの測定結果(輝度値の平均値)は、傷による光の乱反射で白く見える程度の違い(白濁度合い)を定量的に示すものである。
【0065】
表1と表2を対比すると、白濁度合いが大きい試料では、白黒の全面パターンの場合と一部パターンの場合との比較で白色度合いを測定するよりも、図3に示すような点パターンの設定で計測した輝度値によって測定する方が感度が高いことが判る。
【符号の説明】
【0066】
1 表面性状測定装置
11 ディスプレー
12 撮影装置
13 ハーフミラー
2 測定対象物
21 測定対象面
22 傷
3 コンピューター
4 虚像面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的明暗の2次元分布形状を示すパターンを、コンピューターにより制御可能なディスプレーにより形成し、該パターンをハーフミラーで反射させて測定対象面に略垂直に投射する投射光学系と、投射光学系により投射されて測定対象面で反射したパターンを、前記ハーフミラーを透過させて、測定対象面に略垂直な方向から撮像素子で撮影する撮像光学系とからなり、前記撮像素子により得られた映像信号をコンピューターでデータ処理することにより測定対象面の表面性状を測定する表面性状測定装置であって、
前記測定対象面上のパターン投射領域の一部範囲で反射するパターン像への周りからの光の乱反射の影響を強調する測定条件を前記パターンの設定態様によって実現するパターン設定手段を備え、
前記光の乱反射の影響を強調する測定条件で得られた映像信号に基づいて、前記光の乱反射の影響度合いを計測し、該影響度合いにより、測定対象面の光の乱反射による白濁度合いを評価することを特徴とする表面性状測定装置。
【請求項2】
前記パターン設定手段により、前記パターン投射領域の全範囲に光学的明暗のパターンを投射する第1のパターン設定と、前記パターン投射領域の一部範囲にのみ光学的明暗のパターンを投射して周りは暗くする第2のパターン設定とが可能で、前記第1のパターン設定で得られた映像信号と前記第2のパターン設定で得られた映像信号との比較により前記光の乱反射の影響度合いを計測し、測定対象面の光の乱反射による白濁度合いを評価することを特徴とする請求項1記載の表面性状測定装置。
【請求項3】
前記パターン設定手段により、前記パターン投射領域の一部範囲を暗くし周りを明るくするパターン設定が可能で、このパターン設定で得られた映像信号により前記光の乱反射の影響度合いを計測し、測定対象面の光の乱反射による白濁度合いを評価することを特徴とする請求項1記載の表面性状測定装置。
【請求項4】
前記映像信号をデータ処理してパターン像の輝度値を求める輝度値演算手段を備え、前記輝度値に基づいて前記光の乱反射の影響度合いを計測することを特徴とする請求項1、2または3記載の表面性状測定装置。
【請求項5】
光学的明暗の2次元分布形状を示すパターンを、コンピューターにより制御可能なディスプレーにより形成し、該パターンを、ハーフミラーで反射させて測定対象面に略垂直に投射し、前記測定対象面で反射したパターンを、前記ハーフミラーを透過させて、測定対象面に略垂直な方向から撮像素子で撮影し、前記撮像素子により得られた映像信号をコンピューターでデータ処理することにより測定対象面の表面性状を測定する表面性状測定方法であって、
前記測定対象面上のパターン投射領域の一部範囲で反射するパターン像への周りからの光の乱反射の影響を強調する測定条件を前記パターンの設定態様によって実現し、
前記光の乱反射の影響を強調する測定条件で得られた映像信号に基づいて、前記光の乱反射の影響度合いを計測し、該影響度合いにより、測定対象面の光の乱反射による白濁度合いを評価することを特徴とする表面性状測定方法。
【請求項6】
前記パターン投射領域の全範囲に光学的明暗のパターンを投射する第1のパターン設定で前記映像信号を取得し、また、前記パターン投射領域の一部範囲にのみ光学的明暗のパターンを投射して周りは暗くする第2のパターン設定で前記映像信号を取得して、前記第1のパターン設定で得られた映像信号と前記第2のパターン設定で得られた映像信号との比較により前記光の乱反射の影響度合いを計測し、測定対象面の光の乱反射による白濁度合いを評価することを特徴とする請求項5記載の表面性状測定方法。
【請求項7】
前記パターン投射領域の一部範囲を暗くし周りを明るくするパターン設定で前記映像信号を取得し、このパターン設定で得られた映像信号により前記光の乱反射の影響度合いを計測し、測定対象面の光の乱反射による白濁度合いを評価することを特徴とする請求項5記載の表面性状測定方法。
【請求項8】
前記映像信号をデータ処理してパターン像の輝度値を求め、前記輝度値に基づいて前記光の乱反射の影響度合いを計測することを特徴とする請求項5、6または7記載の表面性状測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−232192(P2011−232192A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103158(P2010−103158)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(599156944)アークハリマ株式会社 (8)
【Fターム(参考)】