説明

被処理基板支持構造、およびプラズマ処理装置

【課題】安価な構成であり、被処理基板におけるプラズマ処理の面内均一性を良好にすることができる被処理基板支持構造を提供する。
【解決手段】被処理基板支持構造31は、円板状の部材であって、その上に被処理基板Wを載置するようにして支持する支持台33と、円筒状の部材であって、支持台33の下方側に一方端部が取り付けられるシャフト部32と、支持台33内に設けられるヒータ36とを備える。支持台33は、第一の熱伝導率である部材から構成されている。シャフト部32は、第一の熱伝導率以上の第二の熱伝導率である部材から構成されている。支持台33の内部であって、シャフト部32の一方端部が支持台33に取り付けられる連結部40に対して距離を開けて連結部40の上側に位置する部分には、第一の熱伝導率よりも低い第三の熱伝導率である断熱部41が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被処理基板支持構造、およびこのような被処理基板支持構造を備えるプラズマ処理装置に関するものであり、半導体装置を製造する際に用いられる被処理基板支持構造、およびこのような被処理基板支持構造を備えるプラズマ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LSI(Large Scale Integrated circuit)やMOS(Metal Oxide Semiconductor)等の半導体装置は、エッチングやCVD(Chemical Vapor Deposition)等の処理を行うことによって製造される。このような半導体装置の製造においては、プラズマ処理装置に備えられる処理容器内に設置された被処理基板支持構造を用いて、被処理基板に対し、上記のような処理を行う。被処理基板支持構造は、被処理基板を直接載置して支持する円板状の支持台と、支持台を下方側から支える円筒状のシャフト部とを備える。
【0003】
被処理基板の上側の面には、複数の半導体装置が上記処理により形成される。したがって、被処理基板の全面に亘って処理が均一に行われることが要求される。処理の面内均一性を向上させるためには、被処理基板の温度、引いては、被処理基板を支持する支持台の温度を一定に保つこと、すなわち、同一面内における温度の均熱性が必要となる。このような支持台の均熱性を向上させるための技術が、例えば特開2003−309049号公報(特許文献1)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−309049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来においては、被処理基板の処理中における温度を面内で均一に保つために、支持台にヒータおよび冷却ジャケットを備えると共に、支持台を構成する部材の熱伝導率を、シャフト部を構成する部材の熱伝導率よりも高くすることとしていた。このように構成することにより、まず、部材の熱伝導率を上記のように設定し、支持台からシャフト部に熱を逃がさないようにしながら、支持台に内蔵されたヒータにより熱を供給して支持台の温度を均一にし、支持台の上側に載置される被処理基板の温度を一定に保っていた。そして、プラズマ処理中にプラズマにより過剰に被処理基板に供給された熱に対する温度の均一性の確保に関しては、例えば、過剰に供給された熱に相当する分量だけ、支持台の下部側に取り付けられた冷却ジャケットによる冷却機構を利用して、熱を取り除くこととしていた。このようにして、プラズマ処理中の被処理基板の温度を一定に保つこととしていた。
【0006】
しかし、このような構成においても、処理時の温度次第では、被処理基板の温度を面内において均一に保つことが困難な場合がある。さらには、昨今において、処理精度のさらなる向上が求められる中、厳密な被処理基板の面内における温度の均一性を保つには、上記構成では限界がある。
【0007】
また、上記のような機構によっては、以下のような問題が生ずる。被処理基板は、処理容器内に配置されてプラズマ処理される。そして、被処理基板が支持される支持台もまた、処理容器内に配置される。処理容器内は、プラズマ処理中においては、真空程度に減圧される場合がある。ここで、冷却ジャケットは、円板状の支持台の下部側において、円板状の領域のほぼ全面に亘るように通路が設けられており、この通路内に、例えば、低温のフッ素系の不活性の液体を冷媒として流して支持台自体を冷却し、熱を抜く、すなわち、抜熱を行うものである。
【0008】
このような構成においては、支持台の下部に取り付けられる冷却ジャケット自体も、真空程度の減圧環境下に配置されることとなる。そうすると、冷却ジャケットにおいて、減圧環境下における冷媒の処理容器内へのリークを防止する機構を設ける必要がある。また、冷却ジャケットは、処理容器内に配置されているため、例えば、高温でのプラズマ処理時において、生成されたプラズマに曝されることになる。したがって、冷却ジャケットについては、耐熱性や、耐プラズマ性が要求され、結果として冷却ジャケットのコストが高くなってしまうこととなる。そうすると、このような冷却ジャケットを処理容器内に設ける構成では、被処理基板支持機構、引いては、プラズマ処理装置に要するコストが高くなってしまう。
【0009】
この発明の目的は、安価な構成であり、被処理基板におけるプラズマ処理の面内均一性を良好にすることができる被処理基板支持構造を提供することである。
【0010】
この発明の他の目的は、安価な構成であり、被処理基板におけるプラズマ処理の面内均一性を良好にすることができるプラズマ処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の一つの局面においては、被処理基板支持構造は、被処理基板にプラズマ処理を行うプラズマ処理装置に備えられ、被処理基板を支持する被処理基板支持構造であって、円板状の部材であって、その上に被処理基板を載置するようにして支持する支持台と、円筒状の部材であって、支持台の下方側に一方端部が取り付けられるシャフト部と、支持台内に設けられるヒータとを備える。支持台は、第一の熱伝導率である部材から構成されている。シャフト部は、第一の熱伝導率以上の第二の熱伝導率である部材から構成されている。支持台の内部であって、シャフト部の一方端部が支持台に取り付けられる連結部に対して距離を開けて連結部の上側に位置する部分には、第一の熱伝導率よりも低い第三の熱伝導率である断熱部が設けられている。
【0012】
このような構成によると、シャフト部を構成する部材の熱伝導率は、支持台を構成する部材の熱伝導率以上であるため、シャフト部を介して支持台の熱を抜く、すなわち、支持台からのシャフト部への熱の流れ込みを多くして、支持台の熱を効率的に取り除くことができる。この場合、支持台の内部であって、支持台とシャフト部との連結部に対して間隔を開けて、第一の熱伝導率よりも低い第三の熱伝導率である断熱部が設けられているため、断熱部の周縁を迂回しながら連結部、さらにはシャフト部に熱が流れていくことになり、シャフト部へ流れ込む熱の流れを分散させることができる。そうすると、支持台からの局部的な熱のシャフト部への流れ込みを防止することができ、支持台の温度を面内において均一に維持することができる。さらに、このような機構においては、シャフト部を介して支持台の熱を取り除く構成であるため、支持台自体を冷却させる冷却機構を設ける必要がない。そうすると、真空程度に減圧される処理容器内への配置が必要であった支持台の冷却機構を省略することができ、装置構成が単純になる。したがって、このような構成の被処理基板支持構造は、安価な構成であり、被処理基板におけるプラズマ処理の面内均一性を良好にすることができる。
【0013】
すなわち、従来ではシャフト部を構成する部材の熱伝導率を、支持台を構成する部材の熱伝導率よりも低くして、シャフト部側への熱の流れ込みを抑制しながら、支持台に設けられたヒータおよび冷却ジャケットによって支持台の面内の温度の均一性を保とうとする構成であるのに対し、本願発明においては、シャフト部を構成する部材の熱伝導率を、支持台を構成する部材の熱伝導率以上として積極的にシャフト部への熱の流れ込みを進めることとした。そして、単純に上記した部材の熱伝導率の設定を採用することに起因する支持台からの局部的なシャフト部への熱の流れ込みによる面内の温度の均一性の低下を防ぐために、支持台を構成する部材の熱伝導率よりも低い断熱部を支持台の内部であって連結部の上側に設け、断熱部の周縁を迂回させながら熱の流れを分散させることとし、面内の温度の均一性を確保しようとするものである。そして、耐熱性および耐プラズマ性を備えた冷却ジャケットを処理容器内に配置させる構成を不要とし、コストダウンを図るものである。
【0014】
また、断熱部は、円環状であってもよい。このような構成によれば、円筒状のシャフト部の周方向のすべての位置において断熱部が設けられる構成となるため、支持台の温度を面内においてより均一に維持することができる。したがって、より被処理基板におけるプラズマ処理の面内均一性を良好にすることができる。
【0015】
また、断熱部は、シャフト部の外径よりも大きい内径である第一の円環状部分と、シャフト部の内径よりも小さい外径である第二の円環状部分とを含む構成であってもよい。このような構成によれば、支持台からシャフト部へと流れ込む熱が、断熱部の内径側縁を迂回する流れと、外径側縁を迂回する流れとに分散されることになる。そうすると、支持台の温度を面内においてより均一に維持することができ、さらに処理基板におけるプラズマ処理の面内均一性を良好にすることができる。
【0016】
また、断熱部は、その内部が空気で満たされた空隙によって構成されるようにしてもよい。このような構成によれば、より安価に構成することができる。
【0017】
また、支持台は、シャフト部側に位置する第一の円板状部分と、第一の円板状部分の上方側に位置し、その上に被処理基板を載置するようにして支持する第二の円板状部分と、第一の円板状部分および第二の円板状部分の間に介在し、被処理基板を吸着支持する吸着支持機構とを含み、第一の円板状部分を構成する部材の熱伝導率は、第二の円板状部分を構成する部材の熱伝導率よりも高くするようにしてもよい。このように構成することにより、被処理基板を載置する上層側の部分において、熱の伝導をより効率的にし、支持台の温度を面内においてより均一に維持することができる。したがって、処理基板におけるプラズマ処理の面内均一性を良好にすることができる。
【0018】
この発明の他の局面において、プラズマ処理装置は、その内部に被処理基板を収容して、プラズマ処理を行う処理容器と、処理容器内に設けられ、被処理基板を支持する被処理基板支持構造とを備える。被処理基板支持構造は、円板状の部材であって、その上に被処理基板を載置するようにして支持する支持台と、円筒状の部材であって、支持台の下方側に一方端部が取り付けられるシャフト部と、支持台内に設けられるヒータとを備える。支持台は、第一の熱伝導率である部材から構成されており、シャフト部は、第一の熱伝導率よりも高い第二の熱伝導率である部材から構成されている。支持台の内部であって、シャフト部の一方端部が支持台に取り付けられる連結部に対して距離を開けて連結部の上側に位置する部分には、第一の熱伝導率よりも低い第三の熱伝導率である断熱部が設けられている。
【0019】
このような構成のプラズマ処理装置は、安価な構成であり、被処理基板におけるプラズマ処理の面内均一性を良好にすることができる被処理基板支持構造を備えるため、安価な構成であり、被処理基板におけるプラズマ処理の面内均一性を良好にすることができる。
【0020】
ここで、シャフト部の他方端部は、処理容器外に配置されており、処理容器外に配置されたシャフト部の冷却を行う冷却装置を備えるよう構成してもよい。上記構成の被処理基板支持構造によれば、シャフト部を介して熱を取り除く構造であり、シャフト部のうちの他方端部で冷却を行う構成である。このような構成によれば、冷却装置は、処理容器外に配置されることになる。そうすると、冷却装置が高温環境下に配置されることはなく、かつ、プラズマに曝されることもない。したがって、耐熱性や耐プラズマ性を考慮せずに冷却装置を構成することができ、冷却装置のコストダウンを図って、安価な構成とすることができる。
【0021】
冷却装置は、水冷式である。このような冷却装置は、より安価な構成とすることができる。
【発明の効果】
【0022】
このような構成によれば、シャフト部を構成する部材の熱伝導率は、支持台を構成する部材の熱伝導率以上であるため、支持台からのシャフト部への熱の流れ込みを多くして、支持台の熱を効率的に取り除くことができる。この場合、支持台の内部であって、支持台とシャフト部との連結部に対して間隔を開けて、第一の熱伝導率よりも低い第三の熱伝導率である断熱部が設けられているため、断熱部の周縁を迂回しながら連結部、さらにはシャフト部に熱が流れていくことになり、シャフト部へ流れ込む熱の流れを分散させることができる。そうすると、支持台からの局部的な熱のシャフト部への流れ込みを防止することができ、支持台の温度を面内において均一に維持することができる。さらに、このような機構においては、シャフト部を介して支持台の熱を取り除く構成であるため、支持台自体を冷却させる冷却機構を設ける必要がない。そうすると、真空程度に減圧される処理容器内への配置が必要であった支持台の冷却機構を省略することができ、装置構成が単純になる。したがって、このような構成の被処理基板支持構造は、安価な構成であり、被処理基板におけるプラズマ処理の面内均一性を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係るプラズマ処理装置の要部を示す概略断面図である。
【図2】図1に示す被処理基板支持構造の側方断面図を示す。
【図3】図2中の領域IIIを拡大した拡大断面図を示す。
【図4】図2に示す被処理基板支持構造を図2中のIV−IVで切断し、上方から見た断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る被処理基板支持構造において、シャフト部から支持台の抜熱を行った場合における温度分布のシミュレーション結果を示す図であって、図3に示す領域に対応する。
【図6】図5に示すシミュレーション結果を、所定の領域毎に分割して示した図である。
【図7】図5に示す被処理基板支持構造において、支持台に断熱部を設けなかった場合のシミュレーション結果を示す。
【図8】図7に示すシミュレーション結果を、所定の領域毎に分割して示した図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る被処理基板支持構造の側方断面図であって、図2に対応する。
【図10】図9中の領域Xを拡大した拡大断面図であって、図3に対応する。
【図11】本発明の他の実施形態に係る被処理基板支持構造において、シャフト部から支持台の抜熱を行った場合における温度分布のシミュレーション結果を示す図であって、図10に示す領域に対応する。
【図12】図11に示すシミュレーション結果を、所定の領域毎に分割して示した図である。
【図13】本発明のさらに他の実施形態に係る被処理基板支持構造の拡大断面図であって、図3に対応する。
【図14】本発明のさらに他の実施形態に係る被処理基板支持構造の断面図であって、図4に対応する。
【図15】本発明のさらに他の実施形態に係る被処理基板支持構造の断面図であって、図4に対応する。
【図16】従来の半導体製造装置における被処理基板支持構造を示す概略断面図であって、図1に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。まず、図1を用いて本発明の一実施形態に係るプラズマ処理装置11の構成について説明する。図1においては、理解の容易の観点から、構成部材の一部を断面表示している。また、以下の説明において上下方向とは、図1の紙面上下方向を示すものとする。
【0025】
図1を参照して、本実施形態に係るプラズマ処理装置11は、マイクロ波を用いてプラズマを励起し、プラズマにより被処理基板WにエッチングやCVD等の処理を施す半導体製造装置である。
【0026】
プラズマ処理装置11は、その内部において被処理基板Wに対する処理を行う処理容器12と、処理容器12の内部に設置され、被処理基板Wが載置される被処理基板支持構造31と、処理容器12内にプラズマを励起するプラズマ生成装置23とを備える。なお、詳しくは後述するが、被処理基板支持構造31の一部は、処理容器12外に配置されている。
【0027】
処理容器12は、下方に位置する底壁部13と、底壁部13の外周から上方に延びる側壁部14とを含む。処理容器12の上部開口は、プラズマ生成装置23と、天壁部15とによって密封されている。
【0028】
プラズマ生成装置23は、プラズマ励起用のマイクロ波を発生させるマイクロ波発生装置16と、マイクロ波発生装置16によって発生されたマイクロ波を処理容器12へと導く導波管17と、導波管17から導入されたマイクロ波を外径方向に伝播させる誘電体部材18と、誘電体部材18から導入されたマイクロ波を処理容器12内部に向けて放射するスロットアンテナ板19と、スロットアンテナ板19から放射されたマイクロ波を透過させ、処理容器12内部に導入する誘電体窓20とを有する。
【0029】
マイクロ波発生装置16は、プラズマ励起用のマイクロ波として、例えば2.45GHzの周波数のマイクロ波を発生させる装置であって、処理容器12の外部に設置されている。マイクロ波発生装置16によって生成されたマイクロ波は、導波管17に送信される。導波管17は、円筒状の導電体から構成され、マイクロ波発生装置16から送信されたマイクロ波を、誘電体部材18に導入する。
【0030】
誘電体部材18は、円形状の薄板状部材であって、誘電体窓20と同心に配置されている。また、誘電体部材18は、その下端面がスロットアンテナ板19の上端面と対面するように配置されている。この誘電体部材18は、導波管17から導入されたマイクロ波を、外径方向に伝搬させ、スロットアンテナ板19に導入する。
【0031】
スロットアンテナ板19は、板状の円形部材であって、複数のスロット19sが設けられている。誘電体部材18から導入されたマイクロ波は、このスロット19sを通過し、誘電体窓20へと放射される。
【0032】
誘電体窓20は、略円板状の誘電体から構成されており、処理容器12の上部開口を閉鎖するように側壁部14に連結される。誘電体窓20の下面20sの一部には、テーパ状に凹んだ環状の凹部20cが設けられている。この凹部20cにより、誘電体窓20の下部領域にマイクロ波によるプラズマを効率的に生成することができる。誘電体窓20は、スロットアンテナ板19から放射されたマイクロ波を透過し、処理容器12の内部に導入する。そして、処理容器12の内部において、マイクロ波による電界が形成される。なお、誘電体窓20の具体的な材質としては、石英やアルミナ等が挙げられる。
【0033】
処理容器12の外部には、処理容器12内にプラズマ処理用のガスを供給するガス供給部21が設置されており、このガス供給部21から、プラズマの励起およびプラズマ処理に用いられるプロセスガスが供給される。ガス供給部21から送られるプロセスガスは、制御部(図示せず)によって流量等が制御され、ガス供給孔22を介して処理容器12内に供給される。そして、処理容器12内に導入されたマイクロ波によってプラズマが励起され、被処理基板Wに対してプラズマ処理が行われる。なお、処理容器12の側壁部14の上部側にも、周方向に間隔を開けて複数のガス供給孔34が設けられている。このガス供給孔34に対しても、ガス供給部21からのプロセスガスが供給され、必要に応じて、ガス供給孔34を介して処理容器12内にプロセスガスが供給される。
【0034】
被処理基板支持構造31は、その大部分が処理容器12内に設けられ、プラズマ処理を行う際に、被処理基板Wを安定して支持するとともに、被処理基板の温度を調整する役割を担うものである。
【0035】
次に、図1〜図4を用いて、本発明の一実施形態に係る被処理基板支持構造31の構成について説明する。なお、図2〜図4に示す拡大図においては、理解の容易の観点から、被処理基板支持構造31を構成するシャフト部32と支持台33のみを図示し、その他の部材を省略している。
【0036】
図1〜図4に示すように、本実施形態に係る被処理基板支持構造31は、処理容器12の底壁部13側から上方に延びる円筒状のシャフト部32と、シャフト部32の上端に連結される円板状の支持台33とを備える。
【0037】
シャフト部32は、所定の肉厚を有する円筒状部材であって、単一の素材から構成されている。シャフト部32は、底壁部13の一部を貫通するようにして、処理容器12外から垂直上方に延びるように設けられている。シャフト部32は、具体的には、処理容器12内に配置されたときに、上方側に位置する一方端部が、支持台33の下面に連結するように設けられている。
【0038】
ここで、シャフト部32を構成する円筒状部材の熱伝導率は、第一の熱伝導率λである。なお、本実施形態に係るシャフト部32は、シャフト部32の内部においてより効果的に熱を伝導させるために、従来と比べて、より大きな直径および厚みと、より小さな上下方向高さを有するように構成されている。これについては、後述する。
【0039】
支持台33は、円板状部材であって、単一の素材から構成されている。支持台33は、その上面に被処理基板Wが載置される構成である。支持台33は、シャフト部32に下方側から支えられるようにして、処理容器12内に配置される構成である。支持台33は、その内部に、被処理基板吸着用の静電チャック35と、支持台33を加熱するためのヒータ36とを有する。静電チャック35は、ヒータ36よりも上方側、すなわち、被処理基板Wが載置される側に設けられている。静電チャック35は、電極棒(図示せず)を介して外部電源(図示せず)から供給される電圧により静電力を発生させ、これにより被処理基板Wを支持台33の上面に吸着させている。ヒータ36は、求められるプロセス条件に応じて、支持台33を適切な温度に保つために支持台33を加熱する装置である。ヒータ36は、外部電源(図示せず)から電線(図示せず)を介して電力を供給される。
【0040】
支持台33を構成する円板状部材の熱伝導率は、第二の熱伝導率λである。シャフト部32を介してより効果的に支持部33から抜熱を行う、すなわち、熱を抜くために、第一の熱伝導率λを、第二の熱伝導率λよりも高くなるように設定している。また、支持部33からシャフト部32への熱伝導効率を高めるために、支持部33とシャフト部32とは、拡散接合により連結されている。
【0041】
シャフト部32の他方端部となる下方側の端部は、処理容器12外に配置されている。そして、シャフト部32の他方端部には、冷却装置39が設けられている。冷却装置39は、処理容器12の底壁部13の下方側において、シャフト部32の他方端部の端面に接するように取り付けられ、設けられている。
【0042】
本実施形態に係る冷却装置39は、水冷式の冷却装置であって、シャフト部32の下方端部を冷却可能となるように設けられている。具体的には、シャフト部32の他方端部の端面に接するように冷却水用の配管が敷設され、この配管に冷却水が循環供給される。この冷却装置39によって、シャフト部32の他方端部となる下部を冷却することができる。すなわち、冷却装置39は、求められるプロセス条件に応じて、シャフト部32を介して支持台33から取り除かれた熱をシャフト部32の他方端部で冷却するための装置である。なお、本実施形態における支持台33からの抜熱のメカニズムについては、後述する。
【0043】
本実施形態において、支持台33の内部であって、シャフト部32の一方端部が支持台33に取り付けられる連結部40に対して距離を開けて連結部40の上側に位置する部分には、第一の熱伝導率λよりも低い第三の熱伝導率λである断熱部41が設けられている。断熱部41は、支持台33の内部に形成された円環状の空隙であって、連結部40の上方に設けられている。
【0044】
より具体的には、断熱部41は、円環状の水平面である底面42と、底面42の内径側縁から垂直に立ち上がる円筒面である内径側面43と、底面42の外径側縁から垂直に立ち上がる円筒面である外径側面44と、内径側面43および外径側面44に直交する円環状の水平面である天面45とによって画定される空隙である。この空隙内は、真空となるように構成されている。
【0045】
断熱部41は、連結部40と径方向の位置が重なるように、連結部40の上方に設けられている。すなわち、内径側面43の径が、シャフト部32の内周面46の径よりも小さくなるように設定され、且つ、外径側面44の径が、シャフト部32の外周面47の径よりも大きくなるように設定されている。
【0046】
このような構成によると、シャフト部32を構成する円筒状部材の熱伝導率λは、支持台33を構成する円板状部材の熱伝導率λよりも高いため、シャフト部32を介して支持台33の熱を抜く、すなわち、支持台33からのシャフト部32への熱の流れ込みを多くして、支持台33の熱を効率的に取り除くことができる。この場合、支持台33の内部であって、支持台33とシャフト部32との連結部40に対して間隔を開けて、第一の熱伝導率よりも低い第三の熱伝導率である断熱部41が設けられているため、断熱部41の周縁を迂回しながら連結部40、さらにはシャフト部32に熱が流れていくことになり、シャフト部32へ流れ込む熱の流れを分散させることができる。そうすると、支持台33からの局部的な熱のシャフト部32への流れ込みを防止することができ、支持台33の温度を面内において均一に維持することができる。さらに、このような機構においては、シャフト部32を介して支持台33の熱を取り除く構成であるため、支持台33自体を冷却させる冷却機構を設ける必要がない。そうすると、真空程度に減圧される処理容器12内への配置が必要であった支持台33の冷却機構を省略することができ、装置構成が単純になる。したがって、このような構成の被処理基板支持構造31は、安価な構成であり、被処理基板Wにおけるプラズマ処理の面内均一性を良好にすることができる。
【0047】
また、この場合、シャフト部32の他方端部は、処理容器12外に配置されており、処理容器12外に配置されたシャフト部32の冷却を行う冷却装置39を備える構成である。すなわち、シャフト部32を介して熱を取り除く構造であり、シャフト部32のうちの他方端部で冷却を行う構成であるため、冷却装置39は、処理容器12外に配置されることになる。そうすると、冷却装置39が高温環境下に配置されることはなく、かつ、プラズマに曝されることはないので、冷却装置39をより簡易な機構とすることができる。具体的には、耐熱性や耐プラズマ性を考慮せずに冷却装置39を構成することができる。したがって、安価な構成とすることができる。
【0048】
さらに、この場合、冷却装置は、水冷式であるため、より安価な構成とすることができる。なお、冷却装置において、水を冷媒とせず、例えば、He(ヘリウム)を用いることとしてもよい。
【0049】
ここで、図1および図16を用いて、本実施形態に係るシャフト部32について説明する。図16は、従来のプラズマ処理装置における被処理基板支持構造101を示す概略断面図であって、図1に対応する図である。
【0050】
図16に示すように、従来の被処理基板支持構造101は、処理容器112の下方から、処理容器112の底壁部113を通過するように上方へ延びるシャフト部102と、シャフト部102の上端に連結された支持台103と、支持台103の下方に隣接して設けられ、支持台103を直接冷却する支持台冷却装置104とを備えている。
【0051】
これに対して、本実施形態においては、上記構成とした。さらに、シャフト部32は、従来のものと比べて、より大きな直径および厚みと、より小さな上下方向高さを有するように構成されている。ここで、本願発明者は、以下に示す熱伝導の式に基づいて、このような特徴を有するシャフト部32を構成した。
【0052】
所定時間tの間に、距離Lだけ離隔した2地点間において、断面積Sの領域内を伝わる熱量Qは、以下の式によって表わされる。
【0053】
Q=(λ・S・ΔT・t)/L ・・・・・ (式1)
なお、λは、熱伝導率を示し、ΔTは2点間の温度差を示す。
【0054】
この式1に示すように、物体内を通過する熱量Qは、熱伝導率λおよび熱が通過する通路の断面積Sに比例し、且つ熱が伝達する距離Lに反比例する。本願発明者は、これらのパラメータに着目し、シャフト部32の内部をより効果的に熱が伝導する構造を採用した。すなわち、シャフト部32の第一の熱伝導率λを、支持台33の第二の熱伝導率λよりも高く設定した。さらに、より本実施形態の効果をより顕著に享受する観点から、シャフト部32の直径および厚みをより大きくすることによって、熱の通路の断面積Sを増大させるとともに、シャフト部32の上下方向高さをより低く設定することによって、熱が伝達する距離Lをより小さくした。
【0055】
このように、本実施形態に係るシャフト部32は、上記特徴を備えることから、シャフト部32の内部の熱流を増大させることができるため、より効率的に、シャフト部32から支持台33の抜熱を行うことができる。
【0056】
次に、図5を用いて、本実施形態に係る被処理基板支持構造31において、シャフト部32から支持台33の抜熱を行った場合における温度分布のシミュレーション結果について説明する。図5は、本実施形態に係る被処理基板支持構造31のシミュレーション結果を示す図であって、図3に示す領域に対応する。図6は、図5に示すシミュレーション結果を、所定の領域毎に分割して示した図である。所定の領域については、領域48a、48b、48c、48d、48e、48f、48g、48hの8段階に分割しており、領域48aが最も温度が低い領域を示し、順に温度が高い領域を示し、最も温度が高い領域は、領域48hとなる。なお、以下の図面に示す領域48a〜48hについても、同様である。
【0057】
なお、このシミュレーション試験は、支持台33の温度を100℃に設定し、シャフト部32の下端から200Wの熱量を抜熱した場合における、支持台33およびシャフト部32の温度分布をシミュレーションしたものである。また、シャフト部32の第一の熱伝導率λを170[W/m・K]とし、支持台33の第二の熱伝導率λを100[W/m・K]とした。
【0058】
図5および図6を参照して、本実施形態に係る被処理基板支持構造31においては、シャフト部32から抜熱を行うことによって、支持台33における断熱部41の下方側領域の温度が低くなっており、図5および図6中の領域Aに示すように、断熱部41の内径側端部および外径側端部近辺において急な温度差が形成されていることが分かる。そして、断熱部41の上方領域においては、比較的、温度差が小さくなっている。このときの支持台33の上部表面における最大温度Tmaxは、Tmax=100.6℃であり、最小温度Tminは、Tmin=98.93℃であった。すなわち、支持台33の上部表面に生じた温度差ΔTは、ΔT=1.67℃であった。
【0059】
ここで、本実施形態に係る被処理基板支持構造31に対する比較対象として、図7に、支持台33に断熱部41を設けなかった場合のシミュレーション結果を示す。図8は、図7に示すシミュレーション結果を、所定の領域毎に分割して示した図である。なお、このシミュレーション試験は、断熱部41の有無の他は全て上記シミュレーションと同じ条件で行っている。
【0060】
図7および図8を参照して、断熱部41が設けられていない場合、支持台33とシャフト部32との連結部40の上方領域一帯の温度が、その他の領域に比して著しく低下してしまっている。このときの支持台33の上部表面における最大温度Tmaxは、Tmax=100.5℃であり、最小温度Tminは、Tmin=96.55℃であった。すなわち温度差ΔTは、ΔT=3.95℃であった。
【0061】
このように、支持台33に断熱部41が設けられていることによって、シャフト部32から支持台33の抜熱をした場合における支持台33に生じる温度差ΔTを小さくすることができる。これについて以下に説明する。
【0062】
支持台33に断熱部41が設けられていない場合、図7および図8中の矢印Cに示すように、シャフト部32へ流れ込む熱流が、連結部40付近の領域Bに集中する。すなわち、この領域Bから熱が積極的にシャフト部32に流れ込むため、この領域の温度が特に低下してしまうこととなる。すなわち、連結部40付近の領域の温度と、連結部40から離隔した領域の温度との間に、大きな差が生じてしまう。
【0063】
これに対して、本実施形態のように支持台33に断熱部41が設けられていると、支持台33の上方領域からシャフト部32へと流れ込む熱流が、図5および図6中の矢印Dに示すように、断熱部41の外径側縁を迂回してシャフト部32へ流れ込む熱流と、断熱部41の内径側縁を迂回してシャフト部32へ流れ込む熱流とに分散されることとなる。且つ、内径側または外径側を流れるように分散されたそれぞれの熱流は、図7および図8の領域Bに生じる熱流よりも、小さくなる。すなわち、図5および図6中の領域Aの温度が大きく低下することが防止される。これにより、支持台33の上部に生じる温度差ΔTを、比較的小さく抑えることができるため、シャフト部32を介して支持台33の抜熱をした場合における支持台33上部の均熱性を確保することができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、断熱部41は、連結部40より小さい内径と、連結部40より大きい外径とを有する円環形状に形成されている。これにより、円筒状のシャフト部32の周方向のすべての位置において断熱部41が設けられる構成となるため、支持台33の温度を面内においてより均一に維持することができる。したがって、より被処理基板におけるプラズマ処理の面内均一性を良好にすることができる。また、支持台33からシャフト部32へと流れ込む熱流が、断熱部41の内径側縁を迂回する流れと、外径側縁を迂回する流れとに分散されることとなる。したがって、シャフト部32を介して支持台33から抜熱した場合において、支持台33の均熱性をより効果的に確保することが可能となる。
【0065】
なお、断熱部41は、その内部が空気で満たされた空隙によって構成されていてもよい。こうすることによっても、安価に構成することができる。
【0066】
次に、本発明の他の実施形態に係る被処理基板支持構造51について、図9および図10を用いて説明する。なお、上記実施形態と同様の部材に関しては同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0067】
図9および図10を参照して、本発明の他の実施形態に係る被処理基板支持構造51は、上記実施形態に係るシャフト部と、シャフト部32の上端に連結される支持台53とを備える。
【0068】
支持台53は、上記実施形態と同様に、シャフト部32との連結部40から上方に離隔した位置において、空隙からなる断熱部41を有する。支持台53は、シャフト部32側に位置する第一の円板状部分54と、第一の円板状部分54の上方側に位置し、その上に被処理基板Wを載置するようにして支持する第二の円板状部分55と、第一の円板状部分54および第二の円板状部分55の間に介在し、被処理基板Wを吸着支持する吸着支持機構である静電チャック35とを含む。ここで、第一の円板状部分54を構成する部材の熱伝導率λは、第二の円板状部分55を構成する部材の熱伝導率λよりも高く構成する。
【0069】
このように構成することにより、被処理基板Wを載置する上層側の部分において、熱の伝導をより効率的にし、支持台53の温度を面内においてより均一に維持することができる。したがって、被処理基板Wにおけるプラズマ処理の面内均一性を良好にすることができる。これについて、説明する。
【0070】
図11および図12を用いて、本実施形態に係る被処理基板支持構造51において、シャフト部32から支持台53の抜熱を行った場合における温度分布のシミュレーション結果について説明する。図11は、シャフト部から支持台の抜熱を行った場合における温度分布のシミュレーション結果を示す図であって、図10に示す領域に対応する。図11に示すシミュレーション結果を、所定の領域毎に分割して示した図である。
【0071】
このシミュレーション試験においては、第一の円板状部材54の熱伝導率λ=170[W/m・K]、第二の円板状部分55の熱伝導率λ=100[W/m・K]とし、それ以外の条件については、図5に示すシミュレーションと同様とした。
【0072】
図11および図12を参照して、シャフト部32から抜熱を行うと、第一の円板状部材54において、断熱部41の内径側端部および外径側端部の下方領域に急な温度差が形成され、断熱部41の上方領域においては、温度差が小さくなっている。このときの支持台53の上部表面における最大温度Tmaxは、Tmax=100.6℃であり、最小温度Tminは、Tmin=99.57℃であった。すなわち温度差ΔTは、ΔT=1.03℃であった。
【0073】
このように、本実施形態に係る被処理基板支持構造51は、シャフト部32から支持台53の抜熱をした場合における支持台53上部に生じる温度差ΔTを、さらに小さくすることができた。すなわち、上記実施形態と同様に、断熱部41が設けられていることによって、シャフト部32へと流れ込む熱流が分散されることとなるため、支持台53上部に生じる温度差ΔTを小さく抑えることができる。さらに、シャフト部32に係る第一の熱伝導率λと、第一の円板状部材54に係る第四の熱伝導率λとを同等に設定したことによって、支持台53からシャフト部32への熱伝導効率がより高められ、温度差ΔTをより小さくすることができたものと考えられる。すなわち、本実施形態によれば、上記構成を備えることから、シャフト部32を介して支持台53から均一に抜熱することが可能である。
【0074】
なお、静電チャック35の上方に配置されている第二の円板状部材55は、他の特性、例えば、電気抵抗率ρを有する材料によって構成されている。この電気抵抗率ρが大きすぎると、被処理基板Wにおける残留電荷が高くなり、好ましくない。また、この電気抵抗値ρが小さすぎると、リーク電流が発生するおそれが高くなることになり、好ましくない。したがって、適切な電気抵抗率ρが採用される。また、誘電率についても、吸着力と相関関係があるため、要求される吸着力との関係において、適切な誘電率のものが採用される。
【0075】
なお、上記した実施形態においては、支持台が、円環状に連なるように設けられた一つの断熱部を有する場合について述べたが、これに限らず、断熱部が複数に分割されている構成であってもよい。図13〜図15に本発明のさらに他の実施形態に係る被処理基板支持構造61、71を示す。
【0076】
図13および図14を参照して、本発明のさらに他の実施形態に係る被処理基板支持構造61は、支持台63において、内径側に位置する円環状の第一断熱部64と、第一断熱部64の外径側に位置する円環状の第二断熱部65と、第二断熱部65の外径側に位置する円環状の第三断熱部66とを有する。すなわち、断熱部は、シャフト部の外径よりも大きい内径である第一の円環状部分と、シャフト部の内径よりも小さい外径である第二の円環状部分とを含む構成である。この実施形態に係る断熱部は、図2〜図4に示す断熱部41を、径方向に三つに分割した構成となっている。
【0077】
また、図15を参照して、本発明のさらに他の実施形態に係る被処理基板支持構造71は、支持台73において、第一断熱部74、第二断熱部75、第三断熱部76、第四断熱部77、第五断熱部78、第六断熱部79、および第七断熱部80の七個の断熱部が、周方向に配列するように設けられている。すなわち、この実施形態に係る断熱部は、図2〜図4に示す断熱部41を、周方向に七つに分割した構成となっている。
【0078】
このように、断熱部が支持台に複数設けられている構成であっても、本願発明の効果を得ることは可能である。すなわち、支持台からシャフト部へと流れ込む熱流は、これら複断熱部の周縁を迂回してシャフト部へと流れ込むように分散されるため、支持台の温度差を小さくすることができるからである。
【0079】
なお、上記実施形態においては、断熱部を空隙によって構成した場合について述べたが、これに限らず、支持台に係る第二の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する材料であれば、如何なる材料を適用してもよい。また、断熱部は如何なる形状であってもよい。
【0080】
また、上記の実施の形態において、支持台を構成する部材よりも熱伝導率の低い他の部材で空隙の内部を満たすよう構成してもよい。
【0081】
なお、上記の実施の形態においては、円筒状部材から構成されるシャフト部や、円板状部材から構成される支持台については、単一の素材から構成されることとしたが、これに限らず、複数の素材から構成されるようにしてもよい。
【0082】
また、上記の説明においては、本発明に係る被処理基板支持構造を、マイクロ波を処理容器内に放射するスロットアンテナ板を用いてプラズマを励起するプラズマ処理装置に関して述べた。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、平行平板型、ECR型、ICP型等といった如何なる半導体製造装置にも適用可能である。
【0083】
以上、図面を参照して本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0084】
11 プラズマ処理装置、12,112 処理容器、13,113 底壁部、14 側壁部、15 天壁部、16 マイクロ波発生装置、17 導波管、18 誘電体部材、19 スロットアンテナ板、19s スロット、20 誘電体窓、20s 下面、20c 凹部、21 ガス供給部、22,34 ガス供給孔、23 プラズマ生成装置、31,51,61,71,101 被処理基板支持構造、32,102 シャフト部、33,53,63,73,103 支持台、35 静電チャック、36 ヒータ、39 冷却装置、40 連結部、41,64,65,66,74,75,76,77,78,79,80 断熱部、42 底面、43 内径側面、44 外径側面、45 天面、46 内周面、47 外周面、48a,48b,48c,48d,48e,48f,48g,48h 領域、54 第一の円板状部分、55 第二の円板状部分、56 境界部、104 支持台冷却装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板にプラズマ処理を行うプラズマ処理装置に備えられ、被処理基板を支持する被処理基板支持構造であって、
円板状の部材であって、その上に被処理基板を載置するようにして支持する支持台と、
円筒状の部材であって、前記支持台の下方側に一方端部が取り付けられるシャフト部と、
前記支持台内に設けられるヒータとを備え、
前記支持台は、第一の熱伝導率である部材から構成されており、
前記シャフト部は、前記第一の熱伝導率以上の第二の熱伝導率である部材から構成されており、
前記支持台の内部であって、前記シャフト部の一方端部が前記支持台に取り付けられる連結部に対して距離を開けて前記連結部の上側に位置する部分には、前記第一の熱伝導率よりも低い第三の熱伝導率である断熱部が設けられている、被処理基板支持構造。
【請求項2】
前記断熱部は、円環状である、請求項1に記載の被処理基板支持構造。
【請求項3】
前記断熱部は、前記シャフト部の外径よりも大きい内径である第一の円環状部分と、前記シャフト部の内径よりも小さい外径である第二の円環状部分とを含む、請求項2に記載の被処理基板支持構造。
【請求項4】
前記断熱部は、その内部が空気で満たされた空隙によって構成される、請求項1〜3のいずれかに記載の被処理基板支持構造。
【請求項5】
前記支持台は、前記シャフト部側に位置する第一の円板状部分と、前記第一の円板状部分の上方側に位置し、その上に被処理基板を載置するようにして支持する第二の円板状部分と、前記第一の円板状部分および前記第二の円板状部分の間に介在し、前記被処理基板を吸着支持する吸着支持機構とを含み、
前記第一の円板状部分を構成する部材の熱伝導率は、前記第二の円板状部分を構成する部材の熱伝導率よりも高い、請求項1〜4のいずれかに記載の被処理基板支持構造。
【請求項6】
その内部に被処理基板を収容して、プラズマ処理を行う処理容器と、
前記処理容器内に設けられ、被処理基板を支持する被処理基板支持構造とを備えるプラズマ処理装置であって、
前記被処理基板支持構造は、円板状の部材であって、その上に被処理基板を載置するようにして支持する支持台と、円筒状の部材であって、前記支持台の下方側に一方端部が取り付けられるシャフト部と、
前記支持台の内部に設けられるヒータとを備え、
前記支持台は、第一の熱伝導率である部材から構成されており、
前記シャフト部は、前記第一の熱伝導率以上の第二の熱伝導率である部材から構成されており、
前記支持台の内部であって、前記シャフト部の一方端部が前記支持台に取り付けられる連結部に対して距離を開けて前記連結部の上側に位置する部分には、前記第一の熱伝導率よりも低い第三の熱伝導率である断熱部が設けられている、プラズマ処理装置。
【請求項7】
前記シャフト部の他方端部は、前記処理容器外に配置されており、
前記処理容器外に配置された前記シャフト部の冷却を行う冷却装置を備える、請求項6に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記冷却装置は、水冷式である、請求項7に記載のプラズマ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図5】
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【図7】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−115264(P2013−115264A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260712(P2011−260712)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】