説明

車両のためのブレーキシステム

本発明は、ブレーキシステム(1)であって、アクチュエータユニット(10,10´)を備えており、該アクチュエータユニット(10,10´)はブレーキペダル(2,2´)と、ペダルシミュレータ(4)とブレーキ力増幅器(12,12´)とを有しており、マスタブレーキシリンダ(20)を備えており、該マスタブレーキシリンダ(20)を介して少なくとも1つのホイールブレーキ(42,44,46,48)を規定可能なブレーキ圧で制御可能であり、ブレーキペダル(2,2´)又はブレーキ力増幅器(12,12´)はブレーキ圧の形成又は解体のためにマスタブレーキシリンダ(20)に作用するブレーキシステムにかんする。本発明によれば第1の運転形式中に、有利にはブレーキバイワイヤ運転形式中にブレーキ力増幅器(12,12´)は評価・制御ユニット(11,11´)によって制御されてブレーキ力を形成し、該ブレーキ力はマスタブレーキシリンダのピストン(21)に作用し、アクチュエータユニット(10,10´)は第1の伝達装置(5,6)を有しており、該伝達装置(5,6)は評価・制御ユニット(11,11´)によって制御されて、第1の運転形式中に規定可能な基準に基づいてブレーキペダル(2,2´)をマスタブレーキシリンダ(20)のピストン(21)から機械的に分離するか、又は伝達装置(5,6)はブレーキペダル(2,2´)をマスタブレーキシリンダ(20)のピストン(21)に連結し、ブレーキペダル(2,2´)に形成されるペダル力は少なくとも部分的に付加的にマスタブレーキシリンダのピストン(21)に作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
本発明は独立請求項1の上位概念部に記載の、車両のためのブレーキシステムに基づく。
【0002】
ブレーキバイワイヤブレーキシステムは、いわゆる外力ブレーキシステム(Fremdkraftbremssystem)と記述される。外力ブレーキシステムにおいては、ブレーキ力増幅器を備えたブレーキモーメント形成エレメントに運転者の人力を直に伝達することなく、必要なブレーキモーメントが形成される。この種のブレーキバイワイヤブレーキシステムは、一般的にペダルシミュレータを有している。ペダルシミュレータはブレーキバイワイヤ運転モード中には、アクティブで機能を発揮し、運転者にブレーキ工程に対応するペダル特性(力経路特性曲線)をシミュレートする。ブレーキバイワイヤ運転モードの故障時には、ペダルシミュレータは一般的には迂回され、従って効果を発揮しない。踏力がブレーキ力増幅器によって形成された増幅力に付加的に供給されるブレーキ装置は、乗用車分野において広く知られている、いわゆる補助力ブレーキ装置である。
【0003】
WO2005/014351A1には、いわゆるブレーキバイワイヤブレーキ装置が記載されている。記載のブレーキ装置はブレーキ操作ユニットにより操作される。ブレーキ操作ユニットは、負圧ブレーキ力増幅器として構成されているブレーキ力増幅器と、ブレーキ力増幅器に後置されているマスタブレーキシリンダと、運転者の減速希望を検出する手段と、ペダルストロークシミュレータとを有している。ブレーキ力増幅器は、ブレーキペダルによっても電子的な制御ユニットによっても、運転者の希望に応じて操作することができる。この場合には、ブレーキバイワイヤ運転モード中にブレーキペダルとブレーキ力増幅器との力伝達結合を分離する手段が設けられている。ペダルストロークシミュレータはブレーキバイワイヤ運転モード中に、ブレーキ力増幅器の操作に左右されずにブレーキペダルに作用する戻し力をシミュレートする。ペダルストロークシミュレータはブレーキバイワイヤ運転モード中に、ブレーキペダルとブレーキ力増幅器との力伝達結合の分離時において接続可能であり、ブレーキバイワイヤ運転モード以外では断路可能である。ペダルストロークシミュレータの接続もしくは断路は、電気機械的、又は電気液圧式、又はニューマチック式の切替え手段により行われる。
【0004】
US6634724B2には、電気機械式のブレーキ力増幅器を備えた従来のブレーキシステムが記載されている。電気モータにより駆動される記載のブレーキ力増幅器においては、運転中に電気モータの回転運動はブレーキ力を増幅するための並進運動に変換される。回転を並進へと変換することは、ピニオン/歯付きロッドコンビネーションにより行われる。記載のブレーキ力増幅器は補助力ブレーキシステムの部品である。補助力ブレーキシステムにおける実際の制動力は、運転者によって加えられるペダル力と、ブレーキ力増幅器によりもたらされる補助力との合計により形成される。
【0005】
発明の開示
これに対して、独立請求項1の特徴を有する本発明に係るブレーキシステムは、第1の運転モード中、有利にはブレーキバイワイヤ運転モード中に、ブレーキ力増幅器が評価・制御ユニットによって制御されて、マスタブレーキシリンダのピストンに作用する外力を形成する。アクチュエータユニットの部分である第1の伝達装置は、評価・制御ユニットによって制御されてブレーキペダルを第1の運転モード中に規定された基準に基づいて、マスタブレーキシリンダのピストンから機械的に分離するか、又はブレーキペダルをマスタブレーキシリンダのピストンに連結して、ブレーキペダルに形成されたブレーキ力が少なくとも部分的にマスタブレーキシリンダのピストンに付加的に作用する。有利には、本発明に係るブレーキシステムは純粋な外力ブレーキシステムと補助力ブレーキシステムとの間の中間状態を可能にする。ブレーキバイワイヤ運転モードの部分故障の場合又はフェージングの場合、つまり高温に基づくブレーキパッドとブレーキディスクとの間の摩擦係数損失もしくはブレーキトルク損失において、ブレーキ力の付加的な量をブレーキシステムのサポートのために運転者によって加えることができるという可能性により、「複合制動」が可能である。従って必要な場合には運転者の人力を有利に使用することができる。更にペダルシミュレータにより、制動に対応するフィードバックをなお運転者に形成することができる。純粋なブレーキバイワイヤブレーキ装置と比べて、運転者の踏力はブレーキバイワイヤ運転形式の完全な故障の場合に使用されるだけでなく、電圧降下、電圧変動、過熱等によりもたらされることがあるブレーキバイワイヤ運転モードの部分的な故障時、及びフェージング時に使用されてよい。更に、ブレーキペダルに生じるアイドルストロークはペダルシミュレータが迂回される際に有利には避けることができる。
【0006】
従属請求項に記載の手段及び改良形により、独立請求項に記載のブレーキシステムの有利な構成が可能である。
【0007】
好ましくは、ブレーキペダルはペダルシミュレータと、第1の伝達装置とに連結されており、第1の伝達装置はロック装置又は力切換え機構として構成されており、ペダルシミュレータ及び/又はセンサユニットは、第1の運転モード中にブレーキペダルにおける減速要求を検出し、対応するペダル力を測定し、検出結果及び/又は測定結果を評価・制御ユニットに転送し、評価・制御ユニットは対応する外力を形成するためにブレーキ力増幅器を制御し、ペダルシミュレータは対応する触覚フィードバックを形成してブレーキペダルに加える。
【0008】
好ましくは、ブレーキ力増幅器は電気機械的なブレーキ力増幅器であり、ブレーキ力増幅器は電気モータと第2の伝達装置とを有しており、第2の伝達装置は電気モータによって形成されたトルクを、規定可能な減速比で並進的な外力としてマスタブレーキシリンダのピストンに伝達する。
【0009】
好ましくは、第2の伝達装置は、連結ポンチに結合された歯付きロッドとピニオンとを有する伝動装置として構成されているか、又は被駆動中空軸を有するねじ山駆動装置として構成されており、被駆動中空軸内において連結ポンチは長手方向可動に案内されており、連結ポンチはマスタブレーキシリンダのピストンに連結されている。
【0010】
好ましくは、ロック装置はブレーキペダルを必要に応じてマスタブレーキシステムのピストンに連結して、ブレーキペダルに形成されたペダル力が完全にマスタブレーキシリンダのピストンに作用する。
【0011】
好ましくは、ロック装置は軸線方向で内外に移動可能な2つのスリーブを有しており、2つのスリーブのうちの外側のスリーブ(5.1)は、連結ポンチの部分として構成されており、内側のスリーブは、連結ロッドの部分として構成されており、連結ロッドはブレーキペダルに結合されており、内側のスリーブ内に少なくとも1つの球体が配置されており、球体は外側のスリーブと内側のスリーブとをロックするために、内側のスリーブ内において長手方向可動に案内されているピンによって、出発位置から内側のスリーブにおける少なくとも1つの対応する開口を通って、外側のスリーブにおける対応する収容凹部内へと外方に押圧され、ピンは保持装置によって出発状態に保持されており、出発位置状態において連結ロッドは機械的に連結ポンチから分離されている。
【0012】
好ましくは、連結ポンチと連結ロッドとの機械的な連結のために、評価・制御ユニットは保持装置を解除し、これによりばねによって力を負荷されているピンは内側のスリーブ内部において運動し、少なくとも1つの球体はピンによって、球体の出発位置から外側のスリーブの対応する少なくとも1つの収容凹部内へと外方に押圧され、内側のスリーブは外側のスリーブと共に形状結合式の結合部を形成する。
【0013】
好ましくは、力切換え機構はブレーキペダルを必要な場合にはマスタブレーキシリンダのピストンに連結して、マスタブレーキシリンダのピストンに作用する、ブレーキペダルに形成されたペダル力の成分が無段式に調節可能である。
【0014】
好ましくは、ブレーキペダルは連結ロッドと力切換え機構とを介して、ペダルシミュレータとマスタブレーキシリンダのピストンとに連結されており、力切換え機構はガイドを備えたレバーとして形成されており、ガイド内において、旋回点として作用する連結ロッドの端部は案内されており、ペダルシミュレータを第1の伝達ロッドを介して力切換え機構に連結している第2の連結点と、マスタブレーキシリンダのピストンを第2の伝達ロッドを介して力切換え機構に連結している第3の連結点との間のてこ作用は、旋回点の移動により調節可能であり、マスタブレーキシリンダのピストンに作用するペダル力の成分はてこ作用を介して調節可能である。
【0015】
好ましくは、第2の運転モード、有利には非常運転モード中に、ブレーキペダルはマスタブレーキシリンダのピストンと機械的に連結されており、ブレーキペダルに形成されるペダル力はマスタブレーキシリンダのピストンに完全に伝達され、ペダルシミュレータは第2の運転モード中には、解除されている、且つ/又は迂回されている。
【0016】
ブレーキペダルがペダルシミュレータ、及び、例えばロック装置又は力切換え機構として構成されている第1の伝達装置に連結されている、ということは特に有利である。ペダルシミュレータ及び/又はセンサユニットは、第1の運転モード中にはブレーキペダルにおける減速希望を検出し、対応するペダル力を測定し、検出及び/又は測定結果を評価・制御ユニットに転送する。評価・制御ユニットは適切な外力を形成するためにブレーキ力増幅器を制御する。更にペダルシミュレータは適切な触覚フィードバックを形成し、触覚フィードバックをブレーキペダルに提供する。ロック装置は必要な場合、有利にはブレーキペダルとマスタブレーキシリンダとの形状結合式の結合(formschluessige Verbindung)を形成する。従って、長いアイドルストロークの後で初めてブレーキペダルに形成されたペダル力がマスタブレーキシリンダのピストンに連結されるのではなく、著しい距離損失なく連結することができる。アイドルストロークは通常運転中にはブレーキペダルとマスタブレーキシリンダとの機械的な分離のために働く。択一的には力切換え機構は、有利には運転者によってブレーキペダルに形成されたペダル力の、ペダルシミュレータ及びマスタブレーキシリンダのピストンへの連続的な分配を可能にする。力切換え機構によって運転者の踏力は目下のシステム状態に基づき、つまり通常運転、ブレーキバイワイヤ運転形式の完全な故障、ブレーキバイワイヤ運転形式の部分故障に基づき、フェージング等の場合には適切に供給することができる。力切換え機構により、同様にアイドルストロークもしくは移動ストロークは、移動が行われるペダルシミュレータを備えたブレーキペダルの操作時には発生しない。
【0017】
本発明に係るブレーキシステムの構成では、ブレーキ力増幅器は電気機械的なブレーキ力増幅器として構成されている。電気機械的なブレーキ力増幅器は電気モータと第2の伝達装置とを有している。第2の伝達装置は電気モータによって形成されたトルクを規定可能な変速比で、並進的な外力としてマスタブレーキシリンダのピストンに伝達する。第2の伝達装置は、例えば伝動装置として構成されている。伝動装置は連結ポンチに結合されている歯付きロッドとピニオンとを有している。連結ポンチはマスタブレーキシリンダのピストンに連結されている。変速比は、例えば歯付きロッドの構成及びピニオンの構成を介して規定することができる。択一的には第2の伝達装置はねじ山駆動装置(Gewindetrieb)として構成されてもよい。ねじ山駆動装置は被駆動の中空軸を有している。被駆動の中空軸内では連結ポンチが長手方向可動に案内されている。
【0018】
本発明に係るブレーキシステムの別の構成では、ロック装置は必要な場合にはブレーキペダルをマスタブレーキシリンダのピストンに連結して、ブレーキペダルに形成されるペダル力を完全にマスタブレーキシリンダのピストンに作用させる。ロック装置は、例えば軸線方向で内外に移動可能な2つのスリーブを有している。2つのスリーブのうち、外側のスリーブは連結ポンチの部分として構成されており、内側のスリーブは連結ロッドの部分として構成されている。連結ロッドはブレーキペダルに結合されている。更に内側のスリーブ内では少なくとも1つの球体、有利には2つの球体が配置されている。2つの球体を、内側のスリーブを外側のスリーブにロックするために内側のスリーブ内において長手方向可動に配置されているピンによって、出発位置から内側のスリーブの対応する開口を通って、外方へ外側のスリーブの対応する収容凹部内に押圧することができる。ピンは、例えば電磁石として構成されている保持装置によって出発位置に保持される。出発位置では連結ロッドが連結ポンチから機械的に分離されている。従って内側のスリーブはピン及び少なくとも1つの球体の出発位置では、機械的に分離されて外側のスリーブ内部において運動することができる、つまりピン及び少なくとも1つの球体の出発位置では、連結ロッドから連結ポンチへの力伝達はもたらされない。連結ポンチと連結ロッドとの機械的な連結のために、評価・制御ユニットが保持装置を非動作状態にする。これによりばねによって力を負荷されているピンは内側のスリーブ内部で運動して、少なくとも1つの球体はピンによってその出発位置から外方に外側のスリーブの対応する収容凹部に押圧される。その結果、内側のスリーブは外側のスリーブにロックされていることになる。従って内側のスリーブと外側のスリーブとの間に形状結合式の結合部がもたらされ、連結ロッドから、連結ポンチ、ひいてはマスタブレーキシリンダのピストンへの力伝達をもたらすことができる。この状態において、マスタブレーキシリンダのピストンはブレーキペダル及びブレーキ力増幅器を介して力を負荷することができる。これによって、マスタブレーキシリンダのピストンにおけるブレーキ力は、ペダル力とブレーキ力とから構成される。
【0019】
本発明に係るブレーキシステムの更に別の構成では、力切換え機構はブレーキペダルを必要な場合にはマスタブレーキシリンダのピストンに連結して、ブレーキペダルに形成された、マスタブレーキシリンダのピストンに作用するペダル力の成分は無段式に調節可能である。例えばブレーキペダルは第1の連結点において連結ロッドと連結されている。連結ロッドはブレーキペダルに形成されたペダル力を力切換え機構を介してペダルシミュレータと、マスタブレーキシリンダのピストンとに伝達する。例えば力切換え機構はガイドを備えたレバーとして形成されている。ガイド内では旋回点として作用する連結ロッドの端部が案内されている。ペダルシミュレータが第1の伝達ロッドを介して力切換え機構に連結されている第2の旋回点と、マスタブレーキシリンダのピストンが第2の伝達ロッドを介して力切換え機構に連結されている第3の連結テントの間のてこの関係は、旋回点の移動により調節することができる。マスタブレーキシリンダのピストンに作用するペダル力の成分は、てこの関係を介して調節可能である。力切換え機構は、運転者によりブレーキペダルに形成されたペダル力を、ペダルシミュレータとマスタブレーキシリンダとの間で無段式に分配できることを可能にするので、運転者によって加えられた踏力は、ブレーキバイワイヤ運転モードの完全又は部分的な故障時に、完全に又は部分的にマスタブレーキシリンダのピストンに作用することができる。旋回点の移動は電気的なアクチュエータにより行うことができる。
【0020】
ブレーキシステムの更に別の構成では、第2の運転モード中、有利には非常運転モード中に、ブレーキペダルはマスタブレーキシリンダのピストンに機械的に連結されており、その結果、ブレーキペダルに形成されたペダル力はマスタブレーキシリンダのピストンに完全に伝達される。ペダルシミュレータは第2の運転モード中に非作動状態にする、且つ/又は迂回されている。
【0021】
本発明の有利で、以下に記載の構成が図示されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るブレーキシステムの第1の実施の形態を概略的に示したブロック回路図である。
【図2】ロック装置として構成されている図1の第2の伝達装置の第1の実施の形態の概略図である。
【図3】本発明に係るブレーキシステムの第2の実施の形態を概略的に示したブロック回路図である。
【図4】力切換え機構として構成されている図3の第1の伝達装置の実施の形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の実施の形態
図面では、同じもしくは対応する機能を発揮するエレメントもしくは構成要素には同じもしくは対応した符号を用いて表記した。
【0024】
図1から判るように、本発明に係るブレーキシステム1の第1の実施の形態はアクチュエータユニット10と、マスタブレーキシリンダ20と、流体制御ブロック30と、複数のホイールブレーキ42,44,46,48とを有している。アクチュエータユニット10はブレーキペダル2と、ペダルシミュレータ4と、ロック装置5として構成された第1の伝達装置と、ブレーキ力増幅器とを有している。ブレーキ力増幅器は本発明では電気機械的なブレーキ力増幅器12として構成されている。複数のホイールブレーキ42,44,46,48はマスタブレーキシリンダ20と流体制御ブロック30とを介して規定可能なブレーキ圧によって制御される。マスタブレーキシリンダ20は、例えばタンデムマスタブレーキシリンダとして構成されていて、適切な流体接続部を介して、補償容器としてブレーキ流体のために使用される流体容器22及び後置されている流体制御ブロック30に接続されている。ブレーキペダル2はペダルシミュレータ4と連結ロッド3とに接続されている。連結ロッド3はロック装置5の部分として構成されている。電気機械的なブレーキ力増幅器12は電気モータ13と第2の伝達装置14とを有している。第2の伝達装置14は電気モータ13によって形成されたトルクもしくは形成された外力を、連結ポンチ23を介してマスタブレーキシリンダ20のピストン21に伝達する。従って第2の伝達装置14はマスタブレーキシリンダ20の制御のために回転運動を並進運動に変換し、電気モータ13によって形成されたトルクを規定可能な変速比でマスタブレーキシリンダ20のピストン21に伝達する。対応する変速比を実現することができるように、第2の伝達装置14を多段式に構成できる。電気機械的なブレーキ力増幅器12の実現のために、適切な電気的な駆動装置を任意の第2の伝達装置14に連結することができるので、例えばウォーム駆動装置、ベルト駆動装置、チェーン駆動装置等を使用することができる。これによりマスタブレーキシリンダ20のピストン21はブレーキ圧の調節のために外力によって適切に負荷される。
【0025】
図1記載の第1の実施の形態では、第2の伝達装置は伝動装置14として構成されている。伝動装置14は連結ポンチ23に連結された歯付きロッド14.1とピニオン14.2とを有している。図示の実施の形態では、歯付きロッド14.1が連結ポンチ23内に直に統合されている。変速比は歯付きロッド14.1の構成及びピニオン14.2の構成を介して規定することができる。図1から更に判るように、歯付きロッド14.1は連結ポンチ23を介してマスタブレーキシリンダ20のピストン21に連結されていて、本発明ではブレーキバイワイヤ運転モードに相当する第1の運転モード中に、電気モータ13によってピニオン14.2を介して駆動される。第1の運転モード中に、ペダルシミュレータ4又はセンサユニット(図示せず)はブレーキペダル2における減速希望を検知し、対応するペダル力を測定し、検知結果及び/又は測定結果を評価・制御ユニット11もしくは11′に転送する。評価・制御ユニット11は適切な外力を形成するために電気機械式のブレーキ力増幅器12を制御する。付加的に、ペダルシミュレータ4は適切なペダル反応もしくは触覚フィードバックを形成し、ペダル反応もしくは触覚フィードバックをブレーキペダル2にアウトプットする。
【0026】
エラーのない運転では、ブレーキシステム1はブレーキバイワイヤ運転モードにおいて運転される、つまり、運転者の人力によって形成されたペダル力は、ブレーキモーメントを形成するエレメント、本発明ではマスタブレーキシリンダ20に伝達されず、評価・制御ユニット11が必要なブレーキ力を単に電気機械的なブレーキ力増幅器12によって形成する。エラーのない運転事例では、評価・制御ユニット11はブレーキペダル2を、第1の伝達装置の適切な制御によりマスタブレーキシリンダ20のピストン21から機械的に完全に分離する。付加的に評価・制御ユニット11はブレーキスリップ制御過程及び/又はブレーキ圧制御過程中に、少なくとも1つのセンサユニット60を介してブレーキシステム1における実際のブレーキ圧を測定し、実際のブレーキ圧を高めるか又は減じるために、電気機械的なブレーキ力増幅器12を介してブレーキ力を適切に調節することができる。従って、種々異なる快適さに関する機能及び確実性に関する機能、例えばブレーキアシスト機能、ACC機能、ソフトストップ機能、ヒルホールド機能、運転者から独立した非常ブレーキ機能等を実施することができる。
【0027】
例えば電圧降下、電圧変動、過熱等によりもたらされることがある、ブレーキバイワイヤ運転モードにおける部分故障の場合、又はフェージングの場合、つまり高温に基づくブレーキパッドとブレーキディスクとの間の摩擦係数損失時もしくはブレーキモーメント損失時に、評価・制御ユニット11は第1の伝達装置を制御して、ブレーキペダル2とマスタブレーキシリンダ20のピストン21との形状接続式の結合が形成される。これにより付加的にブレーキ力増幅器12によって加えられた外力に対して付加的に運転者によって加えられたペダル力を、ブレーキシステムのサポートのために使用することができる。従って必要な場合には運転者の人力を効果的に供給できる。運転者はペダルシミュレータ4によりブレーキペダル2を介して制動に対応する反応を獲得する。
【0028】
図2から判るようにロック装置5として構成されている第1の伝達装置は、軸線方向で内外に移動可能な2つのスリーブ5.1,5.2を有している。スリーブ5.1,5.2のうちの外側のスリーブ5.1は連結ポンチ23の部分として構成されており、内側のスリーブ5.2はブレーキペダル2に結合されている連結ポンチ3の部分として構成されている。内側のスリーブ5.2内において、図示の実施の形態では、2つの球体5.6が配置されている。これらの球体5.6は、内側のスリーブ5.2において長手方向運動可能に案内されるピン5.3によって、外側のスリーブ5.1と内側のスリーブ5.2とのロックのために、内側のスリーブ5.2の内側の出発位置から内側のスリーブ5.2における対応する開口を介して、外側のスリーブ5.1における対応する収容凹部5.7へと外方に押圧することができる。択一的には2つより多い又は少ない球体5,6を、内側のスリーブ5.2を外側のスリーブ5.1にロックするために使用することができる。エラーのない運転中にピン5.3は、例えば電磁石として構成されている保持装置5.4によって出発位置に保持される。出発位置では内側のスリーブ5.2の内側に2つの球体5.6が配置されており、連結ロッド3は機械的に連結ポンチ23から分離されている。ブレーキペダル2の操作時に、内側のスリーブ5.2として構成されているピストンロッド3は、外側のスリーブ5.1として構成されている連結ポンチ23の内側で運動する。ピストンロッド3の端面とピストンポンチ23における内側のストッパとの間の間隔sは、エラーのない場合には、マスタブレーキシリンダ20のピストン21からブレーキペダル2を機械的に分離するために働く。
【0029】
評価・制御ユニット11がブレーキバイワイヤ運転モード中の部分故障を認識すると、評価・制御ユニット11は保持装置5.4を停止させる。これによりばね5.8によって力を負荷されているピン5.3は、内側のスリーブ5.2の内部で運動する。図2記載の左方への矢印方向のピン5.3の運動に対応するピン5.3の長手方向運動により、2つの球体5.6は、ピン5.3における対応するフランクを介してピン5.3の出発位置から内側のスリーブ5.2の対応する開口を通って、外側のスリーブ5.1の対応する収容凹部5.7へ外方に押圧され、2つのスリーブ5.2,5.1との間の形状接続式の結合部5.5を形成する。2つの球体5.6のこのポジションは、図2では二点鎖線により記載されている。これにより連結ロッド3は機械的に連結ポンチ23に連結され、運転者によってブレーキペダル2に形成されたペダル力は、連結ポンチ23を介してマスタブレーキシリンダ20のピストン21に伝達される。従って、連結ポンチ23と連結ロッド3との機械的な連結は、長いアイドルストローク(Leerweg)の後、つまり間隔sを詰めた後に始めて形成できるのではなく、著しいストローク損失なしで形成することができる。
【0030】
ブレーキバイワイヤ運転モード中の完全な故障時には、ブレーキペダル2とマスタブレーキシリンダ20のピストン21との機械的な結合は、ペダルシミュレータ4が遮断されるか又は迂回され、内側のスリーブ5.2の内部で保持装置5.4は解除される。ペダルシミュレータ4の遮断もしくは迂回、及び保持装置5.4の解除により、第2の運転モード、つまり非常運転モードが始動するので、運転者の人力によりブレーキペダル2に形成されるペダル力はマスタブレーキシリンダ20のピストン21に伝達される。非常運転モード中に連結ロッド3は形状接続式の結合部5.5を介して連結ポンチ23に機械的に連結されている。これにより、ブレーキ装置を電気機械的なブレーキ力増幅器12のサポートなしで運転者は操作することができる。
【0031】
これまでの実施の形態においては、ブレーキペダル2はエラーのないブレーキバイワイヤ運転モード中にはペダルシミュレータ4にのみ連結されているということが明らかになった。ブレーキバイワイヤ運転モード中の部分故障時には、ブレーキペダルはペダルシミュレータ4にもマスタブレーキシリンダ20のピストン21にも連結されている。ブレーキバイワイヤ運転モード中の完全な故障時には、ブレーキペダル2はマスタブレーキシリンダ20のピストン21にのみ連結されている。
【0032】
図3記載の本発明に係るブレーキシステム1´の第2の実施の形態は、図1記載の本発明に係るブレーキシステム1の第1の実施の形態とは、力切換え機構6として構成されている第1の伝達装置の点で異なる。同じ機能もしくは対応する機能を発揮するエレメントもしくは構成要素は、図1及び図3では同じ符号を用いた。これにより前記エレメントもしくは構成要素の繰返しとなる詳細な記載を省くことができる。
【0033】
図3から判るように、本発明に係るブレーキシステム1´の第2の実施の形態は、図1記載の第1の実施の形態と同じように、ブレーキペダル2´と、ペダルシミュレータ4と、第1の伝達装置と、電気機械式のブレーキ力増幅器12とを有するアクチュエータユニット10´を有している。第1の伝達装置は第1の実施の形態とは異なり、力切換え機構6として形成されており、ロック装置5としては形成されていない。第2の実施の形態は流体容器22を備えたマスタブレーキシリンダ20と、流体制御ブロック30と、マスタブレーキシリンダ20及び流体制御ブロック30を介して規定可能なブレーキ圧で制御される複数のホイールブレーキ42,44,46,48とを有している。ブレーキペダル2は連結ロッド3´を介して力切換え機構6に結合されている。電気機械式のブレーキ力増幅器12は第1の実施の形態と同じように、電気モータ13と第2の伝達装置14とを有している。第2の伝達装置14はマスタブレーキシリンダ20を制御するために電気モータ13の回転運動を並進的な運動に変更し、電気モータ13によって形成されたトルクを規定可能な変速比で連結ポンチ23´を介してマスタブレーキシリンダ20のピストン21に伝達する。これによりマスタブレーキシリンダ20のピストン21はブレーキ圧の調節のために外力によって適切に負荷される。
【0034】
図1記載の第1の実施の形態と同じように、第2の伝達装置は伝動装置14として構成されている。伝動装置14は連結ポンチ23´に結合されている歯付きロッド14.1とピニオン14.2とを有している。図示の実施の形態では、歯付きロッド14.1は連結ポンチ23に直接統合されている。その結果、ブレーキバイワイヤ運転モード中のマスタブレーキシリンダ20のピストン21は電気モータ13によってピニオン14.2と歯付きロッド14.1とを介して駆動される。
【0035】
力切換え機構6は、運転者によりブレーキペダル2´に形成される、連結ロッド3´を介して力切換え機構6に伝達されるペダル力は、規定された基準に基づいてペダルシミュレータ4とマスタブレーキシリンダ20のピストン21との間で無段式に分配することができる。これにより図1記載の第1の実施の形態と同じように、運転者によって加えられたペダル力はブレーキバイワイヤ運転モード中の完全な故障時には、マスタブレーキシリンダ20のピストン21に完全にもたらすことができる。更に力切換え機構6は運転者によって形成されたペダル力を、エラーのない場合には完全にペダルシミュレータに伝えることができる。しかし図1の実施の形態とは異なり力切換え機構6は、ブレーキバイワイヤ運転モード中の部分的な故障時又はフェージング時には、運転者によってブレーキペダル2´に形成されるブレーキ力は、単に部分的にマスタブレーキシリンダ20のピストン21に伝えられる。第1の運転モード中に、ペダルシミュレータ4又はセンサユニット(図示せず)は、ブレーキペダル2´における減速希望を検知し、対応するペダル力を測定し、検知結果及び/又は測定結果を評価・制御ユニット11´に転送する。評価・制御ユニット11´は電気機械的なブレーキ力増幅器12´を適切な外力を形成するために制御する。付加的にペダルシミュレータ4は適切なペダル反応もしくは触覚フィードバックを形成し、ペダル反応もしくは触覚フィードバックを力切換え機構6を介してブレーキペダル2に提供する。
【0036】
図4から判るように、力切換え機構6として構成されている第1の伝達装置は、ガイド6.1を備えたレバーとして形成されている。ガイド6.1内において旋回点3.2として作用する連結ロッド3´の端部が案内されている。連結ロッド3´は第1の連結点3.1においてブレーキペダル2´に連結されている。力切換え機構6のガイド6.1内部における旋回点3.2の移動により、第2の連結点6.4と第3の連結点6.5との間のてこの作用を調節することができる。第2の連結点6.4においてペダルシミュレータ4は第1の伝達ロッド6.2を介して力切換え機構6に連結されている。第3の連結点6.5においてマスタブレーキシリンダ20のピストン21は連結ポンチ23´と第2の伝達ロッド6.3とを介して力切換え機構6に連結されている。てこの作用を介して、マスタブレーキシリンダ20のピストン21に作用するペダル力の成分、もしくはペダルシミュレータ4に作用するペダル力の成分は、0〜100%の間で調節することができる。旋回点3.2の記載の中間位置Smにおいては、ペダル力の50%をペダルシミュレータ4に伝達でき、且つペダル力の50%をマスタブレーキシリンダ20のピストン21に伝達することができる。二点鎖線で記載された連結ロッド3´と旋回点3.2との位置S1においては、ペダル力は100%、ペダルシミュレータに伝達される。このことはエラーのない場合の位置に相当する。連結ロッド3′と旋回点3.2との二点鎖線で記載された位置S2においては、ペダル力は100%、マスタブレーキシリンダ20のピストン21に伝達される。このことは非常運転、つまり、ブレーキバイワイヤ運転モード中の完全な故障の場合の位置に相当する。移動装置(図示せず)を介して、評価・制御ユニット11´はペダル力の導入を、必要な場合にシステム状態に基づいてペダルシミュレータ4とマスタブレーキシリンダ20のピストン21との間で無段式に変更できる。旋回点3.2の移動は、例えば電気的なアクチュエータにより実施できる。従って力切換え機構6として構成されている第1の伝達装置は、ブレーキペダル2´を非常運転中に力切換え機構6を介してアイドルストロークなしでブレーキシリンダ20のピストン21に連結することができる、ということを可能にする。
【0037】
記載されていない択一的な実施の形態の場合、第2の伝達装置はネジ山駆動装置として構成されている。ネジ伝動装置は中空軸を有している。中空軸内において連結ポンチ23,23´は、電気モータによって形成された外力及び/又は運転者によってブレーキペダルに形成されたペダル力をマスタブレーキシリンダ20のピストン21に伝達するために、長手方向可動に案内されている。
【0038】
本発明に係るブレーキシステムの記載されていない別の択一的な実施の形態の場合、ブレーキ力増幅器は負圧ブレーキ力増幅器として構成されている。連結ポンチ23,23´はこの種の実施の形態において、負圧ブレーキ力増幅器を介してマスタブレーキシリンダに作用する。
【0039】
本発明に係るブレーキシステムによって、ブレーキバイワイヤ運転モード中の部分故障の場合又はフェージングの場合、付加的なブレーキ力量を運転者によってブレーキ力をサポートするために加えることができる。従って必要な場合には運転者の人力を有利には供給でき、ペダルシミュレータにより更に制動に応じたフィードバックを形成することができる。この「複合制動(Mischbremsung)」は、例えば本発明の記載の実施の形態によって達成することができる。複合制動は運転者によって加えられるペダル力、及びペダルシミュレータによって形成される対応力、及び必要な場合に運転者によって直にマスタブレーキシリンダに加えられる力を適当に調整する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキシステムであって、ブレーキペダル(2,2´)と、ペダルシミュレータ(4)と、ブレーキ力増幅器(12,12´)とを有するアクチュエータユニット(10,10´)と、マスタブレーキシリンダ(20)とを備えており、該マスタブレーキシリンダ(20)を介して少なくとも1つのホイールブレーキ(42,44,46,48)を規定可能なブレーキ圧で制御可能であり、ブレーキペダル(2,2´)又はブレーキ力増幅器(12,12´)は、ブレーキ圧の増圧又は減圧のためにマスタブレーキシリンダ(20)に作用するブレーキシステムにおいて、
第1の運転モード中、有利にはブレーキバイワイヤ運転モード中に、ブレーキ力増幅器(12,12´)は評価・制御ユニット(11,11´)によって制御されて、マスタブレーキシリンダのピストン(21)に作用する外力を形成し、アクチュエータユニット(10,10´)は第1の伝達装置(5,6)を有しており、該伝達装置(5,6)は評価・制御ユニット(11,11´)によって制御されて、第1の運転モード中に規定可能な基準に基づいてブレーキペダル(2,2´)をマスタブレーキシリンダ(20)のピストン(21)から機械的に分離するか、又は伝達装置(5,6)はブレーキペダル(2,2´)をマスターブレーキシリンダ(20)のピストン(21)に連結して、ブレーキペダル(2,2´)に形成されるペダル力が、少なくとも部分的に付加的にマスタブレーキシリンダ(20)のピストン(21)に作用することを特徴とする、ブレーキシステム。
【請求項2】
ブレーキペダル(2,2′)はペダルシミュレータ(4)と、第1の伝達装置(5,6)とに連結されており、該第1の伝達装置(5,6)はロック装置(5)又は力切換え機構(6)として構成されており、ペダルシミュレータ(4)及び/又はセンサユニットは、第1の運転モード中にブレーキペダル(2,2´)における減速要求を検出し、対応するペダル力を測定し、検出結果及び/又は測定結果を評価・制御ユニット(11,11´)に転送し、該評価・制御ユニット(11,11´)は対応する外力を形成するためにブレーキ力増幅器(12,12´)を制御し、ペダルシミュレータ(4)は対応する触覚フィードバックを形成してブレーキペダル(2,2´)に加えることを特徴とする、請求項1記載のブレーキシステム。
【請求項3】
前記ブレーキ力増幅器は電気機械的なブレーキ力増幅器(12,12´)であり、該ブレーキ力増幅器(12,12´)は電気モータ(13)と第2の伝達装置(14)とを有しており、該第2の伝達装置(14)は電気モータ(13)によって形成されたトルクを、規定可能な減速比で並進的な外力としてマスタブレーキシリンダ(20)のピストン(21)に伝達することを特徴とする、請求項1又は2記載のブレーキシステム。
【請求項4】
前記第2の伝達装置は、連結ポンチ(23)に結合された歯付きロッド(14.1)とピニオン(14.2)とを有する伝動装置(14)として構成されているか、又は被駆動中空軸を有するねじ山駆動装置として構成されており、前記被駆動中空軸内において連結ポンチ(23)は長手方向可動に案内されており、連結ポンチ(23)はマスタブレーキシリンダ(20)のピストン(21)に連結されていることを特徴とする、請求項3記載のブレーキシステム。
【請求項5】
ロック装置(5)はブレーキペダル(2)を必要に応じてマスタブレーキシステム(20)のピストン(21)に連結して、ブレーキペダル(2)に形成されたペダル力が完全にマスタブレーキシリンダ(20)のピストン(21)に作用することを特徴とする、請求項2から4までのいずれか一項記載のブレーキシステム。
【請求項6】
ロック装置(5)は軸線方向で内外に移動可能な2つのスリーブ(5.1,5.2)を有しており、2つのスリーブ(5.1,5.2)のうちの外側のスリーブ(5.1)は、連結ポンチ(23)の部分として構成されており、内側のスリーブ(5.2)は、連結ロッド(3)の部分として構成されており、連結ロッド(3)はブレーキペダル(2)に結合されており、内側のスリーブ(5.2)内に少なくとも1つの球体(5.6)が配置されており、該球体(5.6)は外側のスリーブ(5.1)と内側のスリーブ(5.2)とをロックするために、内側のスリーブ(5.2)内において長手方向可動に案内されているピン(5.3)によって、出発位置から内側のスリーブ(5.2)における少なくとも1つの対応する開口を通って、外側のスリーブ(5.1)における対応する収容凹部(5.7)内へと外方に押圧され、ピン(5.3)は保持装置(5.4)によって出発状態に保持されており、前記出発位置状態において連結ロッド(3)は機械的に連結ポンチ(23)から分離されていることを特徴とする、請求項5記載のブレーキシステム。
【請求項7】
連結ポンチ(23)と連結ロッド(3)との機械的な連結のために、評価・制御ユニット(11)は保持装置(5.4)を解除し、これによりばね(5.8)によって力を負荷されているピン(5.3)は内側のスリーブ(5.2)内部において運動し、少なくとも1つの球体(5.6)はピン(5.3)によって、球体(5.6)の出発位置から外側のスリーブ(5.1)の対応する少なくとも1つの収容凹部(5.7)内へと外方に押圧され、内側のスリーブ(5.2)は外側のスリーブ(5.1)と共に形状結合式の結合部(5.5)を形成することを特徴とする、請求項6記載のブレーキシステム。
【請求項8】
力切換え機構(6)はブレーキペダル(2′)を必要な場合にはマスタブレーキシリンダ(20)のピストン(21)に連結して、マスタブレーキシリンダ(20)のピストン(21)に作用する、ブレーキペダル(2´)に形成されたペダル力の成分が無段式に調節可能であることを特徴とする、請求項2から4までのいずれか一項記載のブレーキシステム。
【請求項9】
ブレーキペダル(2´)は連結ロッド(3´)と力切換え機構(6)とを介して、ペダルシミュレータ(4)とマスタブレーキシリンダ(20)のピストン(21)とに連結されており、力切換え機構(6)はガイド(6.1)を備えたレバーとして形成されており、ガイド(6.1)内において、旋回点(3.2)として作用する連結ロッド(3´)の端部は案内されており、ペダルシミュレータ(4)を第1の伝達ロッド(6.2)を介して力切換え機構(6)に連結している第2の連結点(6.4)と、マスタブレーキシリンダ(20)のピストン(21)を第2の伝達ロッド(6.3)を介して力切換え機構(6)に連結している第3の連結点(6.5)との間のてこ作用は、旋回点(3.2)の移動により調節可能であり、マスタブレーキシリンダ(20)のピストン(21)に作用するペダル力の成分はてこ作用を介して調節可能であることを特徴とする、請求項8記載のブレーキシステム。
【請求項10】
第2の運転モード、有利には非常運転モード中に、ブレーキペダル(2,2´)はマスタブレーキシリンダ(20)のピストン(21)と機械的に連結されており、ブレーキペダル(2,2´)に形成されるペダル力はマスタブレーキシリンダ(20)のピストン(21)に完全に伝達され、ペダルシミュレータ(4)は第2の運転モード中には、解除されている、且つ/又は迂回されていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一項記載のブレーキシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−523402(P2010−523402A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502471(P2010−502471)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【国際出願番号】PCT/EP2008/052247
【国際公開番号】WO2008/122468
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】