説明

車両の制御装置

【課題】アイドルストップ制御装置及びアイドルニュートラル制御装置を備えた車両において、燃費を向上させる。
【解決手段】エンジン11のアイドル運転中に所定の停止条件が成立したときにエンジン11を停止させるアイドルストップ制御部20と、所定のニュートラル条件が成立したときに車両のトランスミッション12をニュートラル状態に制御するニュートラル制御部21と、を備えた車両の制御装置1において、車両の走行停止時において、タイマ22により計測された停車後経過時間が所定時間以下であるときには、ニュートラル制御部21によるニュートラル状態への制御を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制御装置に係り、アイドルストップ制御装置とアイドルニュートラル制御装置を備えた車両の燃費向上技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の燃費を向上させる手段として、交差点等での走行停止時に内燃機関の運転を停止させるアイドルストップ制御装置が知られている。
アイドルストップ制御装置は、車両走行時に交差点で停止するなどして、所定の停止条件が成立したときに内燃機関のアイドル運転を自動停止させ、その後、所定の再始動条件が成立したときに内燃機関を再始動させ車両を発進させるものである。
【0003】
また、自動車の燃費を向上させる手段として、アイドルニュートラル制御装置が知られている。
アイドルニュートラル制御装置は、内燃機関のアイドル運転時に、所定のニュートラル条件が成立した時にトランスミッションを自動的にニュートラルにして、アイドル運転時での燃費を向上させるものである。
【0004】
そして、車両にアイドルストップ制御装置及びアイドルニュートラル制御装置の両方を備え、路面の勾配に応じてこれらの装置の作動選択を行なう車両が提案されている(特許文献1)。例えば、路面の勾配が比較的小さい場合にはアイドルストップ制御装置を選択し、路面の勾配が比較的大きい場合にはアイドルニュートラル制御装置が選択するように制御される。このように制御することで、路面の勾配が比較的小さい場合ではアイドルストップ制御装置により十分に燃費を向上させるとともに、路面の勾配が比較的大きい場合では内燃機関の停止を回避してブレーキ圧低下を抑制するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−264513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のようなアイドルストップ制御装置及びアイドルニュートラル制御装置の両方備えている車両において、アイドルストップ制御装置の停止条件には例えばバッテリの充電状態等のように内燃機関が停止しても再始動に問題ないような条件が含まれており、ニュートラル条件よりも停止条件が成立し難くなっていることが一般的である。
したがって、車両の走行停止直後に、先にニュートラル条件が成立してニュートラルへの制御が実行され、その後停止条件が成立して内燃機関が自動停止される場合がある。このようにアイドルニュートラル制御装置の作動からアイドルストップ制御装置の作動に切り換えが行われると、その切換えによってタイムラグが発生するため、例えニュートラル条件の成立後直ぐに停止条件が成立しても直ぐに自動停止に切り換わることは困難であり、燃費改善効果の高いアイドルストップ制御装置による自動停止を車両停止直後から迅速に実行させることができないといった問題点がある。
【0007】
本発明は、この様な問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、アイドルストップ制御装置及びアイドルニュートラル制御装置を備えた車両において、燃費を更に向上可能な車両の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1の車両の制御装置は、走行駆動源として車両に搭載された内燃機関の運転を停止させるアイドルストップ制御手段と、少なくとも車両が停車状態であることを含む所定のニュートラル条件が成立したときに、車両のトランスミッションをニュートラル状態に制御するアイドルニュートラル制御手段と、を備えた車両の制御装置において、車両が走行停止してからの経過時間を計測する停車時間計測手段を備え、停車時間計測手段によって計測された経過時間が予め設定された所定時間以下であるときには、アイドルニュートラル制御手段によるトランスミッションのニュートラル状態への制御を禁止することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の車両の制御装置では、請求項1において、経過時間が所定時間を越えて停止条件及びニュートラル条件が成立した場合には、アイドルストップ制御手段による内燃機関の停止をアイドルニュートラル制御手段によるトランスミッションのニュートラル状態への制御より優先して実行することを特徴とする。
また、請求項3の車両の制御装置では、請求項1または2において、車両が停止する路面の勾配を検出する路面勾配検出手段と、車両のサービスブレーキの作動液圧を検出するブレーキ圧検出手段と、を備え、アイドルストップ制御手段における所定の停止条件に、ブレーキ圧検出手段により検出された作動液圧が路面勾配検出手段により検出された勾配に基づいて設定された第1の基準圧を超えることが含まれるとともに、アイドルニュートラル制御手段における所定のニュートラル条件に、車両のサービスブレーキの作動液圧が路面勾配検知手段により検出された勾配に基づいて設定された第2の基準圧を超えることが含まれることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4の車両の制御装置では、請求項3において、第1の基準圧は第2の基準圧より高く設定されることを特徴とする。
また、請求項5の車両の制御装置では、請求項3または4のいずれかにおいて、第1の基準圧は、停車時間計測手段により計測された経過時間が所定時間を超えるときよりも所定時間以下であるときに小さく設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、車両が走行停止してからの経過時間が所定時間以下であるときにはアイドルニュートラル制御手段による制御が規制されるので、走行停止直後に停止条件及びニュートラル条件が成立したときに、アイドルニュートラル制御手段による制御が行なわれることなくスムーズにアイドルストップ制御手段による内燃機関の停止制御を行なうことができる。したがって、車両の走行停止直後に燃費改善効果の高いアイドルストップ制御手段による制御を迅速に行なうことができ、燃費の向上を図ることができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、車両が走行停止してからの経過時間が所定時間を超えている場合には、アイドルニュートラル制御手段によるニュートラル状態への制御よりも、アイドルストップ制御手段による内燃機関の停止が優先されるので、車両が走行停止してからの経過時間が所定時間を超えた状態でアイドルニュートラル制御手段による制御が実行されているときに停止条件が成立すれば、アイドルストップ制御手段による内燃機関の停止が行なわれることとなり、アイドルストップ制御手段の実行機会を増加させて燃費を更に向上させることができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、アイドルストップ制御手段における停止条件、及びアイドルニュートラル制御手段におけるニュートラル条件に、車両のサービスブレーキの作動液圧が車両の走行路面の勾配に基づいて夫々設定された第1の基準圧及び第2の基準圧を超えることが含まれるので、路面の勾配に応じてアイドルストップ制御手段及びアイドルニュートラル制御手段の実行の可否を夫々適切に判定することが可能となる。
【0014】
請求項4の発明によれば、アイドルストップ制御手段における停止条件に用いられる第1の基準圧が、アイドルニュートラル制御手段におけるニュートラル条件に用いられる第2の基準圧より高く設定されるので、サービスブレーキの作動液圧に関して、アイドルストップ制御手段よりもアイドルニュートラル制御手段の実行条件が緩和される。したがって、路面の勾配に対応して夫々適切なブレーキ力を確保した上で、アイドルストップ制御手段及びアイドルニュートラル制御手段の夫々の実行機会を増加させるように設定することができる。
【0015】
請求項5の発明によれば、走行停止からの経過時間が所定時間を超えるときの第1の基準圧よりも、経過時間が所定時間を超えるときの第1の基準圧が小さく設定されるので、車両停止直後の方が所定時間経過後よりアイドルストップ制御手段における停止条件が緩和される。よって車両停止直後でのアイドルストップ制御手段の実行機会を増加させて燃費の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る車両の制御装置の概略構成図である。
【図2】アイドルストップ制御及びアイドルニュートラル制御の実行及び解除判定要領を示すフローチャートである。
【図3】アイドルストップ制御及びアイドルニュートラル制御の実行及び解除判定要領を示すフローチャートである。
【図4】アイドルストップ制御及びアイドルニュートラル制御の実行及び解除判定要領を示すフローチャートである。
【図5】エンジン自動停止可否判定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図6】エンジン自動始動要否判定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図7】アイドルニュートラル可否判定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図8】アイドルニュートラル解除要否判定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両の制御装置1の構成図である。
本発明の制御装置1を備えた車両は、燃費向上機能として、公知のアイドルストップ制御装置及びアイドルニュートラル制御装置を備えている。
アイドルストップ制御装置は、車両走行時に交差点で停止するなどして、所定のアイドルストップ条件(停止条件)が成立したときにエンジン11(内燃機関)の運転を自動停止させ(アイドルストップ制御)、その後、所定の再始動条件が成立したときにエンジン11を自動始動させ車両を発進させる。
【0018】
アイドルストップ条件としては、車速0、ブレーキ(車両のサービスブレーキ)ONといった基本開始条件の他に、ブレーキの作動油圧の状態、エンジンの温度状態、バッテリの状態、エアコンの作動要求、アクセル開度等が設定されている。
アイドルニュートラル制御装置は、車両走行時に交差点で停止するなどして、所定のニュートラル条件が成立したときにトランスミッション12を自動的にニュートラルに切換える(アイドルニュートラル制御)。
【0019】
ニュートラル条件としては、車速0、ブレーキONといった基本開始条件の他に、ブレーキの作動油圧の状態、エンジンの温度状態、アクセル開度等が設定されている。
アイドルストップ条件は、ニュートラル条件よりも項目が多く、成立し難くなっている。これは、アイドルストップ制御では、エンジンを停止させる点がアイドルニュートラル制御と異なり、エンジンが停止してもブレーキ等の作動が確保されるように設定する必要があるためである。その反面、アイドルストップ制御の方がアイドルニュートラル制御よりも、燃費改善効果が高くなる。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の車両には、車速を検出する車速センサ2、車両の傾斜角を路面勾配θとして検出する傾斜角センサ3(路面勾配検出手段)、車両のサービスブレーキのブレーキマスタシリンダ油圧Pを検出するブレーキ圧センサ4、エンジン11の冷却水温を検出する冷却水温度センサ5、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ6、及び上記アイドルストップ制御装置及びアイドルニュートラル制御装置の制御部を有する電子コントロールユニット(以下、ECU10という)が備えられている。
【0021】
ECU10は、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)及び中央演算処理装置(CPU)等を含んで構成されている。
ECU10の入力側には、上記車速センサ2、傾斜角センサ3、ブレーキ圧センサ4及び冷却水温度センサ5が電気的に接続されており、これら各種センサからの検出情報が入力されるとともに、その他、車両のバッテリ劣化状態、バッテリ充電状態、エアコン作動スイッチ操作情報等の上記アイドルストップ条件及びニュートラル条件に関する各種車両情報が入力される。
【0022】
ECU10の出力側には、エンジン11やトランスミッション12が接続され、その作動を制御可能としている。
ECU10には、上記アイドルストップ制御装置の制御部としてのアイドルストップ制御部20(アイドルストップ制御手段)、アイドルニュートラル制御装置の制御部としてのアイドルニュートラル制御部21、及びタイマ22(停車時間計測手段)を備えている。
【0023】
タイマ22は、車両が走行停止してからの経過時間である停車後経過時間Tsを計測する機能を有する。
ECU10は、入力した上記各種情報から、アイドルストップ制御及びアイドルニュートラル制御の実行と、これらの解除を制御する。
特に、本実施形態では、ECU10は、停車後経過時間Tsに基づき、アイドルストップ制御及びアイドルニュートラル制御を切換える機能を有する。
【0024】
図2〜4は、ECUにおけるアイドルストップ制御及びアイドルニュートラル制御の実行及び解除判定要領を示すフローチャートである。特に、図3は、停車後経過時間Tsが所定時間Ts1以下である場合のアイドルストップ制御の実行及び解除判定要領を示し、図4は、停車後経過時間Tsが所定時間Ts1を超えた場合のアイドルストップ制御及びアイドルニュートラル制御の実行及び解除判定要領を示す。
【0025】
図5はエンジン自動停止可否判定処理のサブルーチンを示すフローチャート、図6はエンジン自動始動要否判定処理のサブルーチンを示すフローチャート、図7はアイドルニュートラル可否判定処理のサブルーチンを示すフローチャート、及び図8はアイドルニュートラル解除要否判定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
本ルーチンは、車両電源ON時に繰り返し行なわれる。
【0026】
始めに、図2に示すステップS10では、車速センサ2より車速を入力する。そして、ステップS20に進む。
ステップS20では、ステップS10で入力した車速から、車両が停止中であるか否かを判別する。詳しくは、車速が0であるか、または0に近い設定値以下であるか否かによって、車両が停止中であるか否かを判別する。車両が停止中である場合には、ステップS30に進む。車両が停止中でない場合には、ステップS70に進む。
ステップS30では、タイマ22により車両が停止してからの経過時間である停車後経過時間Tsをカウントする。そして、ステップS40に進む。
【0027】
ステップS40では、傾斜角センサ3から路面勾配θを入力する。そして、ステップS50に進む。
ステップS50では、ステップS40で入力した路面勾配θが所定勾配θ1未満であるか否かを判別する。所定勾配θ1は、アイドルストップ制御及びアイドルニュートラル制御が可能な勾配の範囲内であって、その上限値付近に設定すればよい。路面勾配θが所定勾配θ1未満である場合には、ステップS60に進む。路面勾配θが所定勾配θ1以上である場合には、本ルーチンを終了する。
【0028】
ステップS60では、ステップS30でカウントした停車後経過時間Tsが所定時間Ts1以下であるか否かを判別する。所定時間Ts1は、車両停車後ドライバーが余裕を以ってアイドリングストップへ以降するための所定の運転操作が可能なように適宜設定すればよい。停車後経過時間Tsが所定時間Ts1以下である場合には、図3のステップS100に進む。停車後経過時間Tsが所定時間Ts1を超える場合には、図4のステップS200に進む。
【0029】
ステップS70では、停車後経過時間Tsを0にクリアする。そして、本ルーチンを終了する。
図3に示すステップS100では、図5に示すエンジン自動停止可否判定処理のサブルーチンを実行し、アイドルストップ制御によるエンジン自動停止が可能であるか否かを判定する。そして、ステップS110に進む。
【0030】
ステップS110では、ステップS100でエンジン自動停止が可能であると判定した場合には、ステップS120に進む。エンジン自動停止が不可であると判定した場合には、本ルーチンを終了する。
ステップS120では、アイドルストップ制御部20によるエンジン自動停止を実行する。そして、ステップS130に進む。
【0031】
ステップS130では、図6に示すエンジン自動始動要否判定処理のサブルーチンを実行し、アイドルストップ後のエンジン自動始動が必要であるか否かを判定する。そして、ステップS140に進む。
ステップS140では、ステップS130でエンジン自動始動が必要であると判定した場合には、ステップS150に進む。エンジン自動始動が不要であると判定した場合には、ステップS120に戻る。
【0032】
ステップS150では、アイドルストップ制御部20によるエンジン自動始動を実行する。そして、本ルーチンを終了する。
図4に示すステップS200では、図7に示すアイドルニュートラル可否判定処理のサブルーチンを実行し、アイドルニュートラル制御が可能であるか否かを判定する。そして、ステップS210に進む。
【0033】
ステップS210では、ステップS200でアイドルニュートラル制御が可能であると判定した場合には、ステップS120に進む。アイドルニュートラル制御が不可であると判定した場合には、本ルーチンを終了する。
ステップS220では、アイドルニュートラル制御部21によるアイドルニュートラル制御を実行する。そして、ステップS230に進む。
【0034】
ステップS230では、図8に示すアイドルニュートラル解除要否判定処理のサブルーチンを実行し、アイドルニュートラル制御の解除が必要であるか否かを判定する。そして、ステップS240に進む。
ステップS240では、ステップS230でアイドルニュートラル制御の解除が必要であると判定した場合には、ステップS250に進む。アイドルニュートラル制御の解除が不要であると判定した場合には、ステップS260に進む。
【0035】
ステップS250では、アイドルニュートラル制御部21によるアイドルニュートラル制御を解除する。そして、本ルーチンを終了する。
ステップS260では、図5に示すエンジン自動停止可否判定処理のサブルーチンを実行し、アイドルストップ制御によるエンジン自動停止が可能であるか否かを判定する。そして、ステップS270に進む。
【0036】
ステップS270では、ステップS260でエンジン自動停止が可能であると判定した場合には、ステップS280に進む。エンジン自動停止が不可であると判定した場合には、本ルーチンを終了する。
ステップS280では、アイドルストップ制御部20によるエンジン自動停止を実行する。そして、ステップS290に進む。
【0037】
ステップS290では、図6に示すエンジン自動始動要否判定処理のサブルーチンを実行し、アイドルストップ制御後のエンジン自動始動が必要であるか否かを判定する。そして、ステップS300に進む。
ステップS300では、ステップS290でエンジン自動始動が必要であると判定した場合には、ステップS310に進む。エンジン自動始動が不要であると判定した場合には、ステップS280に戻る。
【0038】
ステップS310では、アイドルストップ制御部20によるエンジン自動始動を実行する。そして、本ルーチンを終了する。
図5は、エンジン自動停止可否判定処理のサブルーチンのフローチャートである。
図5に示すように、エンジン自動停止可否判定処理は、始めにステップS400で、バッテリ劣化状態でないか否かを判別する。具体的には、車両のバッテリの内部抵抗が10mΩ未満であるか否かを判別し、10mΩ未満である場合にはバッテリ劣化状態でないと判定して、ステップS410に進む。
【0039】
ステップS410では、バッテリ充電状態が十分であるか否かを判別する。具体的には、車両のバッテリの充電量が80%以上であるか否かを判別し、80%以上である場合には、バッテリ充電状態が十分であると判定して、ステップS420に進む。
ステップS420では、エアコンの作動要求がされているか否かを判別する。具体的には、エアコンの作動スイッチがOFFになっているか否かを判別し、OFFになっている場合には、エアコンの作動要求がされていないと判定して、ステップS430に進む。
【0040】
ステップS430では、エンジン11が暖機状態であるか否かを判別する。具体的には、冷却水温度センサ5から入力した冷却水温が60度以上であるか否かを判別し、60度以上である場合には、エンジン11が暖機状態であると判定して、ステップS440に進む。
ステップS440では、車両のサービスブレーキのブレーキマスタシリンダの油圧が十分であるか否かを判別する。具体的には、ブレーキ圧センサ4から入力したブレーキマスタシリンダの油圧Pが基準ブレーキ圧Ps(第1の基準圧、例えば0.5MPa)以上であるか否かを判別し、基準ブレーキ圧Ps以上である場合には十分であると判定して、ステップS450に進む。
【0041】
ステップS450では、アクセル開度センサ6から入力したアクセル開度が0であるか否かを判別する。アクセル開度が0である場合には、ステップS460に進む。
ステップS460では、エンジン自動停止可と判定する。そして、本サブルーチンをリターンする。
ステップS400でバッテリの内部抵抗が10mΩ以上であると判定した場合、ステップS410でバッテリの充電量が80%未満であると判定した場合、ステップS420でエアコンの作動スイッチがONになっていると判定した場合、ステップS430でエンジンの冷却水温が60度未満であると判定した場合、ステップS440でブレーキマスタシリンダの油圧が0.5MPa未満であると判定した場合、またはステップS450でアクセル開度が0より大きいと判定された場合には、ステップS470に進む。
【0042】
ステップS470では、エンジン自動停止不可と判定する。そして、本サブルーチンをリターンする。
図6は、エンジン自動始動要否判定処理のサブルーチンのフローチャートである。
図6に示すように、エンジン自動始動要否判定処理は、始めにステップS500では、バッテリ充電状態が十分であるか否かを判別する。具体的には、車両のバッテリの充電量が80%以上であるか否かを判別し、80%以上である場合には、バッテリ充電状態が十分であると判定して、ステップS510に進む。
【0043】
ステップS510では、エアコンの作動要求がされているか否かを判別する。具体的には、エアコンの作動スイッチがOFFになっているか否かを判別し、OFFになっている場合には、エアコンの作動要求がされていないと判定して、ステップS520に進む。
ステップS520では、エンジン11が暖機状態であるか否かを判別する。具体的には、冷却水温度センサ5から入力した冷却水温が60度以上である場合には、エンジン11が暖機状態であると判定して、ステップS530に進む。
【0044】
ステップS530では、サービスブレーキのブレーキマスタシリンダの油圧が十分であるか否かを判別する。具体的には、ブレーキ圧センサ4から入力したブレーキマスタシリンダの油圧Pが基準ブレーキ圧Ps(例えば0.5MPa)以上であるか否かを判別し、基準ブレーキ圧Ps以上である場合には十分であると判定して、ステップS540に進む。
ステップS540では、アクセル開度が0であるか否かを判別する。アクセル開度が0である場合には、ステップS550に進む。
【0045】
ステップS550では、エンジン自動始動不要と判定する。そして、本サブルーチンをリターンする。
ステップS500でバッテリの充電量が80%未満であると判定した場合、ステップS510でエアコンの作動スイッチがONになっていると判定した場合、ステップS520でエンジンの冷却水温が60度未満であると判定した場合、ステップS530でブレーキマスタシリンダの油圧Pが基準ブレーキ圧Ps未満であると判定した場合、またはS540でアクセル開度が0より大きいと判定された場合には、ステップS560に進む。
【0046】
ステップS560では、エンジン自動始動要と判定する。そして、本サブルーチンをリターンする。
図7は、アイドルニュートラル可否判定処理のサブルーチンのフローチャートである。
図7に示すように、アイドルニュートラル可否判定処理は、始めにステップS600でエンジン11が暖機状態であるか否かを判別する。具体的には、冷却水温度センサ5から入力した冷却水温が60度以上であるか否かを判別し、60度以上である場合には、エンジン11が暖機状態であると判定して、ステップS610に進む。
【0047】
ステップS610では、サービスブレーキのブレーキマスタシリンダの油圧が十分であるか否かを判別する。具体的には、ブレーキ圧センサ4から入力したブレーキマスタシリンダの油圧Pが基準ブレーキ圧Pn(第2の基準圧、例えば0.2MPa)以上であるか否かを判別し、基準ブレーキ圧Pn以上である場合には十分であると判定して、ステップS620に進む。
【0048】
ステップS620では、アクセル開度センサ6から入力したアクセル開度が0であるか否かを判別する。アクセル開度が0である場合には、ステップS630に進む。
ステップS630では、アイドルニュートラル制御可と判定する。そして、本サブルーチンをリターンする。
ステップS600でエンジンの冷却水温が60度未満であると判定した場合、ステップS610でブレーキマスタシリンダの油圧Pが基準ブレーキ圧Pn未満であると判定した場合、またはS620でアクセル開度が0より大きいと判定された場合には、ステップS640に進む。
【0049】
ステップS640では、アイドルニュートラル制御不可と判定する。そして、本サブルーチンをリターンする。
図8は、アイドルニュートラル解除要否判定処理のサブルーチンのフローチャートである。
図8に示すように、アイドルニュートラル解除要否判定処理は、始めにステップS700でエンジン11が暖機状態であるか否かを判別する。具体的には、冷却水温度センサ5から入力した冷却水温が60度以上であるか否かを判別し、60度以上である場合には、エンジン11が暖機状態であると判定して、ステップS710に進む。
【0050】
ステップS710では、サービスブレーキのブレーキマスタシリンダの油圧が十分であるか否かを判別する。具体的には、ブレーキ圧センサ4から入力したブレーキマスタシリンダの油圧Pが基準ブレーキ圧Pn(例えば0.2MPa)以上であるか否かを判別し、基準ブレーキ圧Pn以上である場合には十分であると判定して、ステップS720に進む。
ステップS720では、アクセル開度センサ6から入力したアクセル開度が0であるか否かを判別する。アクセル開度が0である場合には、ステップS730に進む。
【0051】
ステップS730では、アイドルニュートラル制御解除不要と判定する。そして、本サブルーチンをリターンする。
ステップS700でエンジンの冷却水温が60度未満であると判定した場合、ステップS710でブレーキマスタシリンダの油圧Pが基準ブレーキ圧Pn未満であると判定した場合、またはS720でアクセル開度が0より大きいと判定された場合には、ステップS740に進む。
【0052】
ステップS740では、アイドルニュートラル制御解除要と判定する。そして、本サブルーチンをリターンする。
以上のように制御することで、本実施形態では、車両停止からの経過時間Tsが所定時間Ts1未満である場合にはアイドルニュートラル制御が規制される。したがって、車両の走行停止直後にアイドルストップ条件及びニュートラル条件が成立したときに、アイドルニュートラル制御が行なわれることなくアイドルストップ制御が行なわれる。
【0053】
図7に示すようにアイドルニュートラル条件は、図5に示すアイドルストップ条件より項目数が少なく設定されている。即ち、ニュートラル条件の方がアイドルストップ条件よりも成立し易くなっている。したがって、従来のように車両の走行停止直後にアイドルストップ制御の規制が行なわれない場合には、車両の走行停止直後に始めにニュートラル条件が成立してアイドルニュートラル制御が行われ、その後アイドルストップ条件が成立してアイドルストップ制御に切り換わる場合がある。しかしながら、この切換えにはタイムラグが発生してしまうので、例えニュートラル条件の成立後直ぐにアイドルストップ条件が成立しても直ぐにアイドルストップ制御に切り換わることは困難である。
【0054】
本実施形態では、上記のように停車後経過時間Tsが所定時間Ts1未満である場合には、アイドルニュートラル制御が規制されるので、車両の走行停止直後にアイドルストップ条件が成立したときに、アイドルニュートラル制御が行なわれることなくスムーズにアイドルストップ制御を行なうことができる。したがって、車両の走行停止直後に燃費改善効果の高いアイドルストップ制御を迅速に行なうことができ、燃費の向上を図ることができる。
【0055】
また、停車後経過時間Tsが所定時間Ts1を超えると、アイドルニュートラル制御が実行されていても、アイドルストップ条件が成立した場合には、アイドルストップ制御が優先して行われる。これにより燃費改善効果の高いアイドルストップ制御の実行機会を増加させて燃費を更に向上させることができる。
また、上記実施形態において、アイドルストップ条件及びニュートラル条件に含まれているブレーキ圧Pに関し、その判定用の閾値である基準ブレーキ圧Ps、Pnを傾斜角センサ3により検出した路面勾配θ、即ち路面の勾配に応じて設定するようにするとよい。例えば、路面勾配θが大きくなるに従って、基準ブレーキ圧Ps、Pnを大きく設定すればよい。このようにすれば、傾斜地での安全性を確保することができるとともに、平坦値ではアイドルストップ及びニュートラル制御の実行機会を増加させて燃費を向上させることができ、路面勾配θに応じてアイドルストップ制御及びアイドルニュートラル制御の実行を適切に判定することができる。
【0056】
また、アイドルストップ条件及びニュートラル条件とで、路面勾配θに応じて設定される基準ブレーキ圧Ps、Pnを、上記実施形態で例示したように夫々別に設定するとよい。このようにすれば、アイドルストップ制御及びアイドルニュートラル制御に適した基準ブレーキ圧を夫々設定することができ、アイドルストップ制御及びアイドルニュートラル制御の開始判定を夫々適切に行なうことができる。
【0057】
例えば、アイドルストップ条件に用いられる基準ブレーキ圧Psを、ニュートラル条件に用いられる基準ブレーキ圧Pnより高く設定するとよい。ブレーキマスタシリンダの油圧Pに関しては、アイドルストップ条件よりもニュートラル条件が緩和されて、路面勾配θに対応して適切なブレーキ力を確保した上で、アイドルストップ制御及びアイドルニュートラル制御の夫々の実行機会を増加させるように設定することができる。
【0058】
更に、車両停止から所定時間Ts1に到達するまでに設定されるアイドルストップ制御の基準ブレーキ圧Psを、車両停止から所定時間Ts1より経過した後に設定されるアイドルストップ制御の基準ブレーキ圧Psよりも小さく設定するとよい。これにより、車両停止直後の方が所定時間経過後よりアイドルストップ条件が緩和されるので、車両停止直後からアイドルストップ制御し易くなり、燃費向上効果の高いアイドルストップ制御の実行機会を更に増加させることができる。
【符号の説明】
【0059】
1 制御装置
3 傾斜角センサ
4 ブレーキ圧センサ
10 ECU
20 アイドルストップ制御部
21 アイドルニュートラル制御部
22 タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも車両が停車状態であることを含む所定の停止条件が成立したときに、走行駆動源として前記車両に搭載された内燃機関の運転を停止させるアイドルストップ制御手段と、
少なくとも車両が停車状態であることを含む所定のニュートラル条件が成立したときに、前記車両のトランスミッションをニュートラル状態に制御するアイドルニュートラル制御手段と、
を備えた車両の制御装置において、
前記車両が走行停止してからの経過時間を計測する停車時間計測手段を備え、
前記停車時間計測手段によって計測された経過時間が予め設定された所定時間以下であるときには、前記アイドルニュートラル制御手段による前記トランスミッションのニュートラル状態への制御を禁止することを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
前記経過時間が前記所定時間を越えて前記停止条件及び前記ニュートラル条件が成立した場合には、前記アイドルストップ制御手段による前記内燃機関の停止を前記アイドルニュートラル制御手段による前記トランスミッションのニュートラル状態への制御より優先して実行することを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記車両が停止する路面の勾配を検出する路面勾配検出手段と、
前記車両のサービスブレーキの作動液圧を検出するブレーキ圧検出手段と、を備え、
前記アイドルストップ制御手段における前記所定の停止条件に、前記ブレーキ圧検出手段により検出された前記作動液圧が前記路面勾配検出手段により検出された前記勾配に基づいて設定された第1の基準圧を超えることが含まれるとともに、
前記アイドルニュートラル制御手段における前記所定のニュートラル条件に、前記車両のサービスブレーキの作動液圧が前記路面勾配検知手段により検出された前記勾配に基づいて設定された第2の基準圧を超えることが含まれることを特徴とする請求項1または2に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記第1の基準圧は前記第2の基準圧より高く設定されることを特徴とする請求項3に記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記第1の基準圧は、前記停車時間計測手段により計測された前記経過時間が前記所定時間を超えるときよりも前記所定時間以下であるときに小さく設定されることを特徴とする請求項3または4に記載の車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−255492(P2012−255492A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129065(P2011−129065)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【特許番号】特許第5019083号(P5019083)
【特許公報発行日】平成24年9月5日(2012.9.5)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】