説明

車両の変速制御装置

【課題】ドライバの選択した駆動力特性に応じてテンポラリマニュアルシフトモードの制御に変化を持たせることにより、ドライバが選択した駆動力特性のモードの差異を明確にしてドライバの利便性を向上させる。
【解決手段】T/M_ECUには、予め駆動特性のモードMに応じて異なるテンポラリマニュアルシフトモードの解除条件が記憶されて、テンポラリマニュアルシフトモードの際に、現在のモードに対応するテンポラリマニュアルシフトモードの解除条件を選択し、該解除条件が成立するか否かを判定してテンポラリマニュアルシフトモードの解除条件が成立する際に、テンポラリマニュアルシフトモードを自動変速モードに所定に復帰させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセル操作に対してエンジンに発生させる駆動力特性として複数のモードを備え、且つ、自動変速機が変速モードとして自動変速モードと自動変速モードでの運転中に一時的にマニュアルシフトに切換えるテンポラリマニュアルシフトモードとを備える車両の変速制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動変速機を搭載する車両では、セレクトレバを傾倒させることなく、D(ドライブ)レンジにセレクトした状態で、ステアリングハンドル等に設けられているアップシフトスイッチ、或いはダウンシフトスイッチを押すことで、変速段が一時的にダウンシフト、或いはアップシフトされる、いわゆるテンポラリマニュアルシフトモードを備えるものが開発され実用化されている。例えば、特開2006−97789号公報(以下、特許文献1)では、無段変速機の変速比を自動設定する自動変速モードと、自動変速モードでの走行中に予め設定した複数の固定変速比をシフトスイッチの操作により選択可能なテンポラリマニュアルシフトモードとを有し、テンポラリマニュアルシフトモードの解除条件が成立して自動変速モードへ切換えるに際し、運転状態に基づき最終目標エンジン回転数を設定し、この最終目標エンジン回転数に収束するように、変速比を、小さい値の変速比変化量で演算周期毎に変化させて、エンジン回転数が最終目標エンジン回転数に緩やかに収束するように制御する無段変速装置の変速制御装置の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−97789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、アクセル操作に対してエンジンに発生させる駆動力特性として複数のモードを備えた車両が開発され実用化されており、このような複数のモードを備えた車両では、ドライバが快適性、経済性を重視したモードでは、それに対応した駆動力特性が選択され、また、スポーツ性、走行性を重視したモードでは、それに対応した駆動力特性が選択されてドライバの希望を満足するようになっている。このような複数のモードを備えた車両において、上述の特許文献1に開示されるようなテンポラリマニュアルシフトモードを適用する場合、テンポラリマニュアルシフトモードにおいてもドライバが所望する駆動力特性に合わせた変速特性を採用することが求められている。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、ドライバの選択した駆動力特性に応じてテンポラリマニュアルシフトモードの制御に変化を持たせることにより、ドライバが選択した駆動力特性のモードの差異を明確にしてドライバの利便性を向上させることができる車両の変速制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両の変速制御装置の一態様は、アクセル操作に対してエンジンに発生させる駆動力特性として複数のモードを備え、且つ、上記エンジンと連結する自動変速機の制御モードとして、予め設定された変速特性に従って変速比を自動で制御する自動変速モードと、該自動変速モードを実行中に予め設定した複数の固定変速比をシフトスイッチの操作により一時的に選択可能なテンポラリマニュアルシフトモードとを有する車両の変速制御装置において、上記複数のモード毎にそれぞれ異なる上記テンポラリマニュアルシフトモードの解除条件を予め記憶した解除条件記憶手段と、上記テンポラリマニュアルシフトモードの際に、現在のモードに対応する上記テンポラリマニュアルシフトモードの解除条件を選択し、該解除条件が成立するか否かを判定する解除条件判定手段と、上記解除条件判定手段で上記テンポラリマニュアルシフトモードの解除条件が成立する際に、上記テンポラリマニュアルシフトモードを上記自動変速モードに所定に復帰させる制御手段とを備えた。
【発明の効果】
【0007】
本発明による車両の変速制御装置によれば、ドライバの選択した駆動力特性に応じてテンポラリマニュアルシフトモードの制御に変化を持たせることにより、ドライバが選択した駆動力特性のモードの差異を明確にしてドライバの利便性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の一形態に係る、車両に搭載されるパワートレインの概略構成図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係る、エンジンのスロットル制御を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の一形態に係る、変速モード切換え制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の一形態に係る、テンポラリマニュアルシフトモード制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の一形態に係る、エンジンのノーマルモードマップ、セーブモードマップ、及び、パワーモードマップをそれぞれ示す概念図である。
【図6】本発明の実施の一形態に係る、自動変速モードにおける変速特性図である。
【図7】本発明の実施の一形態に係る、マニュアルシフトモード及びテンポラリマニュアルシフトモードにおける変速特性図である。
【図8】本発明の実施の一形態に係る、第1の解除条件の各差異を説明するタイムチャートである。
【図9】本発明の実施の一形態に係る、第2の解除条件の各差異を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1において符号1はエンジンを示し、このエンジン1は、電磁クラッチ或いはトルクコンバータ等の発進クラッチ2を介して自動変速機の一例である無段変速機3が連設されることにより、パワートレイン10の要部を構成する。
【0010】
無段変速機3は、発進クラッチ2に連設する前後進切換装置4を有し、この前後進切換装置4から延出するプーリ入力軸5bにはプライマリプーリ5aが軸支されている。また、プーリ入力軸5bに対して平行に配置されたプーリ出力軸5cにはセカンダリプーリ5dが軸支され、これらプライマリプーリ5aとセカンダリプーリ5dとの間には、駆動ベルト5eが巻装されている。さらに、プーリ出力軸5cには、終減速装置6の減速歯車群6aを介してディファレンシャル装置6bが連設され、このディファレンシャル装置6bには、前輪或いは後輪の駆動輪7aを軸着する駆動軸7が連設されている。
【0011】
また、プライマリプーリ5aにはプライマリ油圧室5fが併設され、このプライマリ油圧室5fに油圧制御回路8から供給されるプライマリ油圧により、プライマリプーリ5aの溝幅が調整される。一方、セカンダリプーリ5dにはセカンダリ油圧室5gが併設され、このセカンダリ油圧室5gに油圧制御回路8から供給されるセカンダリ油圧により、トルク伝達に必要な張力が駆動ベルト5eに付与される。
【0012】
油圧制御回路8は後述するトランスミッション制御装置(T/M_ECU)20において制御され、この油圧制御を通じて両プーリ5a,5dの溝幅が互いに反比例状態に制御されることにより、無段変速機3は所望の変速比を実現する。
【0013】
T/M_ECU20は、CAN(Controller Area Network)通信等の車内通信回線23を通じて、エンジン制御装置(E/G_ECU)21、及び、統合制御装置(統合_ECU)22等の各種制御装置と相互通信可能に接続されている。各ECU20〜22は、マイクロコンピュータ等を主体に構成され、周知のCPU、ROM、RAM及びEEPROM等の不揮発性記憶手段等を有している。
【0014】
T/M_ECU20の入力側には、車速Vを検出する車速センサ31、横加速度Gyを検出する横加速度センサ32、プライマリプーリ5aの回転数(プライマリ回転数Np)を検出するプライマリ回転数センサ33、セカンダリプーリ5dの回転数(セカンダリ回転数Ns)を検出するセカンダリ回転数センサ34、ドライバがセレクトレバーをドライブ(D)レンジにセットしたときONされるDレンジスイッチ35、ステアリングハンドル等、ドライバの手元側に設けられてアップ/ダウンシフトを実行するアップシフトスイッチ36、ダウンシフトスイッチ37等が接続されている。
【0015】
また、T/M_ECU20の出力側には、油圧制御回路8等のアクチュエータ類が接続されている。
【0016】
E/G_ECU21の入力側には、例えば、クランク軸の回転からエンジン回転数Neを検出するエンジン回転数センサ41、アクセルペダルの踏込量から実アクセル開度θaccを検出するアクセル開度センサ42、吸気通路15に介装された電子制御式のスロットル弁16の開度θthを検出するスロットル開度センサ43、エアクリーナの直下流等に配設されて吸入空気量Qを検出する吸入空気量センサ44等が接続されている。
【0017】
また、E/G_ECU21の出力側には、例えば、所定に計量された燃料を噴射するインジェクタ17、スロットル弁16に設けられているスロットルアクチュエータ16a等のエンジン駆動を制御するアクチュエータ類が接続されている。
【0018】
統合_ECU22の入力側には、アクセル操作に対してパワートレイン10が発生させる駆動力特性の制御モードを選択的に切り換えるためのモード選択スイッチ45等が接続されている。
【0019】
ここで、本実施形態において、パワートレイン10の駆動力特性のモードとしては、例えば、ノーマルモードM1、セーブモードM2、及び、パワーモードM3からなる3つのモードMが設定されており、統合_ECU22は、モード選択スイッチ45を通じてドライバにより選択された何れかのモード情報を、車内通信回線23を介してT/M_ECU20及びE/G_ECU21等に出力する。なお、本実施形態のモード選択スイッチ45は、プッシュスイッチを併設する中点自動復帰式のシャトルスイッチが採用され、例えば、ドライバによる左側への回転動作がなされたときノーマルモードM1を判定し、押圧操作がなされたときセーブモードM2を判定し、右側への回転動作がなされたときパワーモードM3を判定する。
【0020】
E/G_ECU21のメモリ内には、例えば、エンジン出力特性を示すマップとして、3種類のモードマップMpe1,Mpe2,Mpe3が予め設定されて格納されている。図5(a)〜(c)に示すように、各モードマップは、アクセル開度θaccとエンジン回転数Neとを格子軸とし、各格子点にエンジン出力指示値(目標トルク)を格納する3次元マップで構成されている。
【0021】
これらの各モードマップMpe1,Mpe2,Mpe3は、基本的には、ドライバによるモード選択スイッチ45の操作によって選択される。すなわち、E/G_ECU21は、モード選択スイッチ45にてノーマルモードM1が選択されている場合にノーマルモードマップMpe1を選択し、セーブモードM2が選択されている場合にセーブモードマップMpe2を選択し、パワーモードM3が選択されている場合にパワーモードマップMpe3を選択する。
【0022】
そして、E/G_ECU21は、選択したモードマップMpeと各センサ類からの検出信号等に基づき、インジェクタ17に対する燃料噴射タイミング、及び燃料噴射パルス幅(パルス時間)を設定する。さらに、E/G_ECU21は、スロットルアクチュエータ16aに対してスロットル開度信号を出力し、スロットル弁16の開度を制御する。
【0023】
ここで、図5(a)に示すノーマルモードマップMpe1は、アクセル開度θaccが比較的小さい領域で目標トルクがリニアに変化する特性に設定されており、スロットル弁16の開度θthが全開付近で最大目標トルクとなるように設定されている。
【0024】
また、図5(b)に示すセーブモードマップMpe2は、快適性、経済性を最も重視した特性となっており、ノーマルモードマップMpe1に比し、目標トルクの上昇が抑えられており、アクセルペダルを全踏しても、スロットル弁16は全開せず、相対的にアクセルペダルの踏み込みに対し、スロットル弁16の開度変化がノーマルモードよりも小さくなる。従って、ノーマルモードと同じアクセルペダルの踏み込み量であっても、スロットル開度θeが小さく、出力トルクの上昇が抑制される。その結果、セーブモードマップMpe2に基づき出力トルクを抑制した走行を行うことで、アクセルペダルを思い切り踏み込む等のアクセルワークを楽しむことができる。さらに、目標トルクの上昇が抑えられているため、イージードライブ性と低燃費性との双方をバランス良く両立させることができ、例えば、3リッタエンジンを搭載する車両であっても、2リッタエンジン相当の十分な出力を確保しながらスムーズな出力特性とし、特に街中等の実用領域における扱いやすさを重視した目標トルクが設定される。
【0025】
また、図5(c)に示すパワーモードマップMpe3は、スポーツ性、走行性を最も重視するモードとなっており、略全運転領域でアクセル開度θaccの変化に対する目標トルクの変化率が大きく設定されている。従って、例えば、3リッタエンジンを搭載する車両であれば、3リッタエンジンの有するポテンシャルを最大限に発揮できるような目標トルクが設定される。
【0026】
T/M_ECU20のメモリ内には、例えば、上述のモードマップMpe1〜Mpe3にそれぞれ適合した変速特性にて無段変速機3の変速比を自動制御するための自動変速用マップMpt1〜Mpt3(図6参照)と、無段変速機3の変速比を予め設定された変速段(例えば、1〜7速の変速段)の固定変速比に制御するための手動変速用マップMptm(図7参照)とが予め設定されて格納されている。そして、T/M_ECU20は、選択した変速用マップMptと各センサ類からの検出信号等に基づき、油圧制御回路8から各油圧室5f,油圧室5gに供給する各油圧の制御を通じて無段変速機3の変速比を制御する。
【0027】
これらのマップのうち、自動変速用マップMpt1〜Mpt3は、Dレンジスイッチ35でドライブレンジが選択されて無段変速機3に対する制御モードが自動変速制モードとなっているとき、モード選択スイッチ45で選択されたモードMに応じて選択的に用いられる。すなわち、T/M_ECU20は、エンジン1の各モードマップMpeに対応すべく、モード選択スイッチ45においてノーマルモードM1が選択されているとき自動変速用マップMpt1選択し、セーブモードM2が選択されているとき自動変速用マップMpt2を選択し、パワーモードM3が選択されているとき自動変速用マップMpt3を選択する。そして、T/M_ECU20は、例えば、選択した自動変速用マップMptを参照して現在の車速V及びアクセル開度θaccに基づく目標プライマリ回転数Nptを設定し、プライマリ回転数Npが目標プライマリ回転数Nptに収束するよう変速比を制御する。
【0028】
ここで、例えば、図6に示すように、各自動変速用マップMpt1〜Mpt3は、最大変速比であるLOWから最小変速比であるオーバードライブ(OD)の間に、車速Vと目標プライマリ回転数Nptとの関係を示す変速特性ラインがアクセル開度θacc毎に設定されたマップで構成されている。この場合、各自動変速用マップMpt1〜Mpt3上の各変速特性ラインは、上述したエンジン出力特性のモードマップMpe1〜Mpe3にそれぞれ適合すべく、基本的には、車速V及びアクセル開度θaccが同一条件である場合に、モードM2での変速特性ラインがモードM1での変速特性ラインよりも相対的に低い目標プライマリ回転数Npを演算し、モードM3での変速特性ラインがモードM2での変速特性ラインよりも相対的に高い目標プライマリ回転数Npを演算するよう設定されている。
【0029】
これにより、Dレンジスイッチ35でドライブレンジが選択された自動変速モードでの制御時には、エンジン1の出力特性に応じた適切な変速制御が行われ、モード選択スイッチ45で選択されたモード毎にそれぞれ特徴的な特性の駆動力をパワートレイン10で発生させることが可能となっている。
【0030】
また、自動変速モードで、アップシフトスイッチ36、或いは、ダウンシフトスイッチ37が操作されて、テンポラリマニュアルシフトモードが選択されると、図7に示すように、変速比iが、例えば7速変速段等、通常の多段変速機のように段階的に固定された値(固定変速比)に設定される。そして、ドライバが、自動変速モードの状態でアップシフトスイッチ36をONすると、現在の変速比からアップシフト側で最も近い固定変速比に設定される。又、ダウンシフトスイッチ37をONすると、現在の変速比からダウンシフト側で最も近い固定変速比に設定される。そして、その状態から更にアップシフトスイッチ36、或いは、ダウンシフトスイッチ37をONすると、図7中の、(1)〜(7)で示す7段階の変速比特性の中から、ドライバがアップシフトスイッチ36、或いは、ダウンシフトスイッチ37をONする毎に、固定変速比が順次アップシフト或いはダウンシフトされる。尚、図7に示す7段変速は例示であり、7段変速以外に、5段変速や6段変速など、他の多段変速に相当する固定変速比を設定するようにしても良い。
【0031】
また、T/M_ECU20には、予め上述の駆動特性のモードMに応じて異なるテンポラリマニュアルシフトモードの解除条件が記憶されている。このテンポラリマニュアルシフトモードの解除条件は、例えば、車両が略一定速走行状態とみなせる状態にあることを判定するものとなっており、具体的には、以下のようになっている。
【0032】
・第1の解除条件(通常運転状態の解除条件)
駆動特性がノーマルモードM1の場合:加速度が所定時間Tcの間、例えば、±0.04m/s2以内にある場合に解除条件成立とする。
【0033】
駆動特性がセーブモードM2の場合:加速度が所定時間Tcの間、例えば、±0.05m/s2以内にある場合に解除条件成立とする。
【0034】
駆動特性がパワーモードM3の場合:加速度が所定時間Tcの間、例えば、±0.03m/s2以内にある場合に解除条件成立とする。
【0035】
このように、本実施の形態においては、駆動特性がセーブモードM2の場合が最もテンポラリマニュアルシフトモードの解除条件が成立し易くなっており、パワーモードM3の場合が最もテンポラリマニュアルシフトモードの解除条件が成立し難くなっている。これは、セーブモードM2を選択する場合、ドライバは、快適性、経済性を重視した走行を希望するため、その希望に沿うべくセーブモードM2では、自動変速領域を増加させ、燃費の向上と、快適性の向上とを両立させるものである。
【0036】
・第2の解除条件(ダウンシフトが行われた後のカーブ走行から直進走行への移行する場合(横加速度Gyの値等から判定)に設定される解除条件
駆動特性がノーマルモードM1の場合:加速度が所定時間Tcの間、例えば、±0.04m/s2以内にある場合に解除条件成立とする。
【0037】
駆動特性がセーブモードM2の場合:加速度が所定時間Tcの間、例えば、±0.03m/s2以内にある場合に解除条件成立とする。
【0038】
駆動特性がパワーモードM3の場合:加速度が所定時間Tcの間、例えば、±0.05m/s2以内にある場合に解除条件成立とする。
【0039】
このように、ダウンシフトが行われた後、車両がカーブ走行から直進走行へと移行等であると見なせる場合は、駆動特性がパワーモードM3の場合が最もテンポラリマニュアルシフトモードの解除条件が成立し易くなっており、セーブモードM2の場合が最もテンポラリマニュアルシフトモードの解除条件が成立し難くなっている。これは、パワーモードM3を選択する場合、ドライバは、スポーツ性、走行性を重視した走行を希望するため、その希望に沿うべくパワーモードM3では、例えば、コーナの手前で、ダウンシフトによるエンジンブレーキを使いながら減速し、その後のコーナ立ち上がりで、アクセルを踏み込んだ場合に、早く自動変速モードへ復帰させ、ダウンシフトさせて、より優れた再加速性能を得られるようにしたものである。
【0040】
尚、上述の条件で示した加速度の領域は、あくまでも、車両の略一定速走行状態を判定するために例示したものであり、値は、これに限るものではない。その他、車両の略一定速走行状態を判定するために、加速度以外に、例えば、アクセル開度θacc等を用いても良い。この場合、上述の最も狭い領域として、加速度が±0.03m/s2に対応するものとして、8〜12degとする。上述の最も広い領域として、加速度が±0.05m/s2に対応するものとして、5〜15degとする。上述の中間の領域として、加速度が±0.04m/s2に対応するものとして、6.5〜13.5degとする。また、本実施の形態では、第1の解除条件と第2の解除条件とを設けて選択するテンポラリマニュアルシフトモードの解除条件を変えるようにしているが、車両の仕様やユーザ層によっては、変えることなく、同じ方向性の解除条件、すなわち、駆動特性がセーブモードM2(M3)の場合が最もテンポラリマニュアルシフトモードの解除条件が成立し易くし、パワーモードM3(M2)の場合が最もテンポラリマニュアルシフトモードの解除条件が成立し難く設定するようにしても良い。
【0041】
そして、ドライバが自動変速モードで走行中に、アップシフトスイッチ36、或いは、ダウンシフトスイッチ37をONして、変速モードをテンポラリマニュアルシフトモードに切換えると、T/M_ECU20は、アップシフトスイッチ36、或いは、ダウンシフトスイッチ37のON動作に従って、固定変速比をアップシフト、或いは、ダウンシフトさせるマニュアルシフト制御を行うと共に、現在の駆動特性のモードMに対応するテンポラリマニュアルシフトモードの解除条件を読み込んで、運転状態を示すパラメータ(加速度やアクセル開度)に基づいて、変速モードを自動変速モードへ戻す解除条件を判定する。そして、解除条件が成立したとき、変速モードを自動変速モードへ自動的に戻す。
【0042】
このように、T/M_ECU20は、解除条件記憶手段、解除条件判定手段、制御手段としての機能を有して構成されている。
【0043】
次に、E/G_ECU21で実行されるエンジンのスロットル制御について、図2に示すスロットル制御ルーチンのフローチャートに従って説明する。このルーチンは設定時間毎に実行されるもので、ルーチンがスタートすると、E/G_ECU21は、先ず、ステップ(以下、「S」と略称)101において、現在設定されているモードMを読み込んだ後、S102に進む。
【0044】
S101からS102に進むと、E/G_ECU21は、モード選択スイッチ45がON操作されたか否かを調べ、操作されていないと判定した場合、S107に進む。
【0045】
一方、S102において、モード選択スイッチ45がON操作されたと判定した場合、E/G_ECU21は、S103に進み、ドライバが何れのモードを選択したか否かを判別する。
【0046】
そして、S103において、ドライバによりノーマルモードM1が選択されたと判断したとき、E/G_ECU21は、S104に進み、モードMをノーマルモードM1にセットした後(M←M1)、S107に進む。
【0047】
また、S103において、ドライバによりセーブモードM2が選択されたと判断したとき、E/G_ECU21は、S105に進み、モードMをセーブモードM2にセットした後(M←M2)、S107に進む。
【0048】
また、S103において、ドライバによりパワーモードM3が選択されたと判断したとき、E/G_ECU21は、S106に進み、モードMをパワーモードM3にセットした後(M←M3)、S107に進む。
【0049】
S102、S104、S105、或いは、S106からS107に進むと、E/G_ECU21は、現在選択されているモードMに対応するモードマップMpeを読み込み、現在のエンジン回転数Neとアクセル開度θaccとに基づきモードマップMpeを補間計算付きで参照して目標トルクτeを決定する。
【0050】
その後、S108に進み、E/G_ECU21は、目標トルクτeに対応する目標スロットル開度θeを求め、続くS109において、スロットル開度θthが目標スロットル開度θeに収束するようにスロットルアクチュエータ16aをフィードバック制御した後、ルーチンを抜ける。
【0051】
その結果、ドライバがアクセルペダルを操作すると、アクセル開度θaccとエンジン回転数Neとをパラメータとして、ドライバが選択したモードMに従ってスロットル弁16が開閉動作し、モードM毎に異なる出力特性でエンジン1が駆動される。
【0052】
次に、T/M_ECU20で実行される変速モード切換え制御、及び、テンポラリマニュアルシフトモード制御処理は、具体的には、図3、図4に示すフローチャートに従って行われる。
【0053】
図3には変速モード切換え制御ルーチンが示されている。このルーチンはエンジン始動後、所定周期毎に実行され、先ず、S201でセレクトレバーがDレンジにセットされているか否かを、Dレンジスイッチ35の出力から判断し、Dレンジにセットされているときは、S202へ進み、Dレンジにセットされていないときはルーチンを抜ける。
【0054】
セレクトレバーがDレンジにセットされていると判定されてS202へ進むと、アップシフトスイッチ36、或いは、ダウンシフトスイッチ37がONされているか否かを調べ、両シフトスイッチ36、37の何れもONされていない場合は、S203へ進み、テンポラリモード判定フラグFtemがクリアされているか否かを調べ、テンポラリモード判定フラグFtemがクリアされている場合(Ftem=0の場合)は、S205へ進み、通常の自動変速モードを実行してルーチンを抜ける。
【0055】
この自動変速モードでは、上述したように、エンジン1の各モードマップMpeに対応すべく、モード選択スイッチ45においてノーマルモードM1が選択されているとき自動変速用マップMpt1選択し、セーブモードM2が選択されているとき自動変速用マップMpt2を選択し、パワーモードM3が選択されているとき自動変速用マップMpt3を選択する。そして、T/M_ECU20は、例えば、選択した自動変速用マップMptを参照して現在の車速V及びアクセル開度θaccに基づく目標プライマリ回転数Nptを設定し、プライマリ回転数Npが目標プライマリ回転数Nptに収束するよう変速比i(=Np/Ns)を自動的に制御する。
【0056】
また、S203において、テンポラリモード判定フラグFtemがセットされている場合(Ftem=1の場合)は、前回以前のルーチン実行時において、一度、両シフトスイッチ36、37の何れかがONされ、テンポラリマニュアルシフトモードが継続されていると判定し、S206へジャンプする。このテンポラリモード判定フラグFtemの初期値は0であり、後述するS204でセットされ、また、図4に示すフローチャートのS314でクリアされる。
【0057】
一方、S202で、両シフトスイッチ36、37の何れかがONされたときは、S204へ進み、テンポラリモード判定フラグFtemをセットし(Ftem←1)、S206へ進む。
【0058】
S203、或いは、S204からS206へ進むと、テンポラリマニュアルシフトモードを実行した後、ルーチンを抜ける。S206で実行されるテンポラリマニュアルシフトモードは、図4に示すテンポラリマニュアルシフトモード制御ルーチンに従って処理される。
【0059】
このルーチンでは、先ず、S301で、ダウンシフト後であって、カーブ走行から直進走行への移行状態(例えば、横加速度の絶対値が大きな値から小さな値と変化した状態)か否か判定する。
【0060】
このS301の判定の結果、ダウンシフト後であって、カーブ走行から直進走行への移行状態の判定結果が否の場合、S302に進み、前述したテンポラリマニュアルシフトの解除条件の第1の解除条件の中から現在のモードMに応じた解除条件を読み込み、S304に進む。
【0061】
また、S301の結果、ダウンシフト後であって、カーブ走行から直進走行への移行状態の場合と判定された場合は、S303に進み、前述したテンポラリマニュアルシフトの解除条件の第2の解除条件の中から現在のモードMに応じた解除条件を読み込み、S304に進む。
【0062】
S302、或いは、S303からS304に進むと、読み込んだ解除条件が参照される。
【0063】
そして、S305に進み、テンポラリマニュアルシフトモードの解除条件が成立しているか否か判定され、解除条件不成立の場合は、S306へ進み、マニュアルシフト制御を実行し、ルーチンを抜ける。マニュアルシフト制御では、プライマリ回転数Npとセカンダリ回転数Nsとによる変速比i(i=Np/Ns)が、通常の多段変速機のように段階的に固定される。そして、自動変速モードからマニュアルシフト制御へ移行した最初のルーチンでは、アップシフトスイッチ36がONされたときは、現在の変速比iからアップシフト側で最も近い固定変速比に設定される。また、ダウンシフトスイッチ37がONされたときは、現在の変速比iからダウンシフト側で最も近い固定変速比に設定される。そして、2回目以降のルーチン実行時においては、アップシフトスイッチ36、或いは、ダウンシフトスイッチ37がONされる毎に、順次アップシフト、或いは、ダウンシフトされる。
【0064】
また、S305で、解除条件が成立と判定された場合は、S307へ進む。S307以下では、自動変速モードへ移行するための変速制御が実行される。
【0065】
先ず、S307で、図示しない変速段表示手段に表示されている変速段を消灯し、S308で、現在のモードMに対応する自動変速用のマップを各自動変速用マップMpt1〜Mpt3から選択して、該選択したマップを参照して、自動変速モードへ移行するための最終目標値としての最終目標エンジン回転数Neoをスロットル開度θthと車速Vとに基づき設定する。
【0066】
尚、この場合、最終目標エンジン回転数Neoに代えて、最終目標変速比を設定し、或いは発進クラッチ2としてトルクコンバータを採用する車両では、トルクコンバータの最終目標タービン回転数を設定するようにしても良い。
【0067】
次いで、S309へ進み、現在の変速比i(i=Np/Ns)を読込み、また、S310で、演算周期毎の変速比変化量Δiを設定する。
【0068】
この変速比変化量Δiは、通常のマニュアルシフトモードからドライバが意図的に自動変速モードへ戻す場合、すなわち、図示しないマニュアルスイッチをONさせて、通常のマニュアルシフトモードを実行させた後、セレクトレバーを戻した場合に設定される変速比変化量に比し小さな値に設定されている。
【0069】
また、変速比変化量Δiは本実施の形態では固定値であるが、例えばエンジン回転数Neとスロットル開度θとをパラメータとするマップを参照して設定し、或いは、演算により設定する可変値であっても良く、若しくは、変速比変化量Δiを最終目標エンジン回転数Neoに基づいてマップ参照、或いは演算により設定する可変値であっても良い。
【0070】
その後、S311へ進み、S309で読込んだ変速比iに変速比変化量Δiを加算して、目標変速比isを設定し、S312へ進み、実際の変速比iが目標変速比isに収束するように、油圧制御回路8に信号を出力してプライマリ圧制御を実行する。
【0071】
次いで、S313へ進むと、最終目標エンジン回転数Neoとエンジン回転数センサ41で検出したエンジン回転数Neとの差の絶対値(|Neo−Ne|)が設定範囲Nesに収まっているか否かを調べ、|Neo−Ne|>Nesに収まっていない場合、S308へ戻り、再度、最終目標エンジン回転数Neoを設定する。
【0072】
一方、|Neo−Ne|≦Nesの、エンジン回転数Neが最終目標エンジン回転数Neoに対して所定範囲(Nes)に収まった場合は、S314へ進み、テンポラリモード判定フラグFtemをクリアし(Ftem←0)、ルーチンを抜ける。
【0073】
その際、変速比変化量Δiが、通常のマニュアルシフトモードからドライバが意図的に自動変速モードへ戻す場合の変速比変化量に比し、小さい値に設定されているので、エンジン回転数Neが最終目標エンジン回転数Neoに収束する迄の時間が長くなる。自動変速モードへの移行時間が、比較的長くなるので、ドライバに対しては、テンポラリマニュアルシフトモードが解除されて自動変速モードへ移行することを容易に認識させることができる。
【0074】
その後、図3に示す変速モード切換え制御ルーチンが実行されると、S203で、Ftem←0であるため、S205へ進み、自動変速モードが実行される。その際、ドライバには自動変速モードへの移行が認識されているため、急速に変速比が変更されたような違和感を与えることがなく、テンポラリマニュアルシフトモードから自動変速モードの切換が良好になる。
【0075】
また、テンポラリマニュアルシフトモードから自動変速モードへ移行する際の、変速比iの変化が緩やかであるため、急激な駆動力の変化が無く、スムーズに移行させることができる。
【0076】
次に、本発明の実施形態における、解除条件の具体的な差異を、図8、図9のタイムチャートで説明する。
【0077】
図8のタイムチャートは、通常運転状態に設定される第1の解除条件の各差異を説明するタイムチャートであり、図8(a)はテンポラリモード判定フラグFtem、図8(b)はエンジン回転数Ne、図8(c)は車速V、図8(d)は前後加速度Gxのそれぞれの信号を示す図である。
【0078】
先ず、ドライバが時刻t1で、アップシフトスイッチ36をONすると、自動変速モードからテンポラリマニュアルシフトモードに入り、エンジン回転数Neが上昇し、車両が加速されて(加速度Gxが上昇し)車速Vも高くなっていく。
【0079】
その後、加速が略終わって、加速度Gxが小さくなる。
【0080】
ここで、ドライバにより選択された駆動特性がセーブモードM2の場合、最も早い、時刻t2になると、加速度Gxが第1の解除条件の解除領域に到達し、その後(所定時間Tc経過して)、時刻t4になると、解除条件が成立してテンポラリマニュアルシフトモードが解除され自動変速モードへ移行される。
【0081】
また、ドライバにより選択された駆動特性がノーマルモードM1の場合では、時刻t3になると、加速度Gxが第1の解除条件の解除領域に到達し、その後(所定時間Tc経過して)、時刻t6になると、解除条件が成立してテンポラリマニュアルシフトモードが解除され自動変速モードへ移行される。
【0082】
更に、ドライバにより選択された駆動特性がパワーモードM3の場合では、時刻t5になると、加速度Gxが第1の解除条件の解除領域に到達し、その後(所定時間Tc経過して)、時刻t7になると、解除条件が成立してテンポラリマニュアルシフトモードが解除され自動変速モードへ移行される。
【0083】
このように、本実施の形態においては、駆動特性がセーブモードM2の場合が最もテンポラリマニュアルシフトモードの解除条件が成立し易くなっており、パワーモードM3の場合が最もテンポラリマニュアルシフトモードの解除条件が成立し難くなっている。これは、セーブモードM2を選択する場合、ドライバは、快適性、経済性を重視した走行を希望するため、その希望に沿うべくセーブモードM2では、時刻t2〜t4の間では、加速も終わって、一定速になっているので、早く自動変速モードに戻した方が燃費の向上に繋がり、また、エンジン回転も低下して車内音が静かになり快適性が向上するようになっている。
【0084】
一方、図9のタイムチャートは、ダウンシフトが行われた後のカーブ走行から直進走行への移行する場合に設定される第1の解除条件の各差異を説明するタイムチャートであり、図9(a)はテンポラリモード判定フラグFtem、図9(b)はエンジン回転数Ne、図9(c)はアクセル開度θacc、図9(d)は車速V、図9(e)は前後加速度Gxのそれぞれの信号を示す図である。
【0085】
先ず、ドライバが時刻t1で、コーナの手前で、ダウンシフトスイッチ37をONすると自動変速モードからテンポラリマニュアルシフトモードに入り、エンジン回転数Neが上昇してエンジンブレーキ状態となって、車速Vが減速されていく。
【0086】
この後、時刻t2でドライバがアクセルを踏み込んだ場合、車両は減速状態から加速状態へと移行する。
【0087】
ここで、ドライバにより選択された駆動特性がパワーモードM3の場合、最も早い、時刻t2と略同じ時刻には、加速度Gxが第2の解除条件の解除領域に到達し、その後(所定時間Tc経過して)、時刻t4になると、解除条件が成立してテンポラリマニュアルシフトモードが解除され自動変速モードへ移行される。
【0088】
また、ドライバにより選択された駆動特性がノーマルモードM1の場合では、時刻t3になると、加速度Gxが第2の解除条件の解除領域に到達し、その後(所定時間Tc経過して)、時刻t6になると、解除条件が成立してテンポラリマニュアルシフトモードが解除され自動変速モードへ移行される。
【0089】
更に、ドライバにより選択された駆動特性がパワーモードM2の場合では、時刻t5になると、加速度Gxが第2の解除条件の解除領域に到達し、その後(所定時間Tc経過して)、時刻t7になると、解除条件が成立してテンポラリマニュアルシフトモードが解除され自動変速モードへ移行される。
【0090】
このように、本実施の形態においては、ダウンシフトが行われた後、車両がカーブ走行から直進走行へと移行等であると見なせる場合は、駆動特性がパワーモードM3の場合が最もテンポラリマニュアルシフトモードの解除条件が成立し易くなっており、セーブモードM2の場合が最もテンポラリマニュアルシフトモードの解除条件が成立し難くなっている。これは、パワーモードM3を選択する場合、ドライバは、スポーツ性、走行性を重視した走行を希望するため、その希望に沿うべくパワーモードM3では、例えば、コーナの手前で、ダウンシフトによるエンジンブレーキを使いながら減速し、その後のコーナ立ち上がりで、アクセルを踏み込んだ場合に、早く自動変速モードへ復帰させ、ダウンシフトさせて、より優れた再加速性能を得られるようにしたものである。
【0091】
このように、本発明の実施の形態によれば、予め上述の駆動特性のモードMに応じて異なるテンポラリマニュアルシフトモードの解除条件が記憶されて、テンポラリマニュアルシフトモードの際に、現在のモードに対応するテンポラリマニュアルシフトモードの解除条件を選択し、該解除条件が成立するか否かを判定してテンポラリマニュアルシフトモードの解除条件が成立する際に、テンポラリマニュアルシフトモードを自動変速モードに所定に復帰させるようになっている。このため、ドライバの選択した駆動力特性に応じてテンポラリマニュアルシフトモードの制御に変化を持たせることにより、ドライバが選択した駆動力特性のモードの差異を明確にしてドライバの利便性を、より向上させることが可能となっている。
【0092】
尚、本発明の実施の形態では、3種類の駆動特性のモードを有する場合の例について説明したが、2種類の駆動特性、或いは、4種類以上の駆動特性のモードを有する場合についても本発明が適用できることは云うまでもない。
【0093】
また、本発明が適用可能な自動変速機についても無段変速機に限定されないことは勿論である。
【符号の説明】
【0094】
1 エンジン
3 無段変速機
8 油圧制御回路
10 パワートレイン
20 トランスミッション制御装置(解除条件記憶手段、解除条件判定手段、制御手段)
21 エンジン制御装置
22 統合制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセル操作に対してエンジンに発生させる駆動力特性として複数のモードを備え、且つ、上記エンジンと連結する自動変速機の制御モードとして、予め設定された変速特性に従って変速比を自動で制御する自動変速モードと、該自動変速モードを実行中に予め設定した複数の固定変速比をシフトスイッチの操作により一時的に選択可能なテンポラリマニュアルシフトモードとを有する車両の変速制御装置において、
上記複数のモード毎にそれぞれ異なる上記テンポラリマニュアルシフトモードの解除条件を予め記憶した解除条件記憶手段と、
上記テンポラリマニュアルシフトモードの際に、現在のモードに対応する上記テンポラリマニュアルシフトモードの解除条件を選択し、該解除条件が成立するか否かを判定する解除条件判定手段と、
上記解除条件判定手段で上記テンポラリマニュアルシフトモードの解除条件が成立する際に、上記テンポラリマニュアルシフトモードを上記自動変速モードに所定に復帰させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする車両の変速制御装置。
【請求項2】
上記複数のモードは、少なくとも快適性、経済性を重視する第1のモードと該第1のモードよりスポーツ性、走行性を重視する第2のモードであって、
所定の通常運転時においては、上記第1のモードにおける上記テンポラリマニュアルシフトモードの解除条件は、上記第2のモードにおける上記テンポラリマニュアルシフトモードの解除条件よりも成立し易い条件に設定されることを特徴とする請求項1記載の車両の変速制御装置。
【請求項3】
上記複数のモードは、少なくとも快適性、経済性を重視する第1のモードと該第1のモードよりスポーツ性、走行性を重視する第2のモードであって、
ダウンシフトが行われた後のカーブ走行から直進走行への移行する際には、上記第2のモードにおける上記テンポラリマニュアルシフトモードの解除条件は、上記第1のモードにおける上記テンポラリマニュアルシフトモードの解除条件よりも成立し易い条件に設定されることを特徴とする請求項1記載の車両の変速制御装置。
【請求項4】
上記テンポラリマニュアルシフトモードの解除条件は、車両の一定速走行を判定するパラメータで設定することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の車両の変速制御装置。
【請求項5】
上記パラメータは、車両の前後加速度であることを特徴とする請求項4記載の車両の変速制御装置。
【請求項6】
上記パラメータは、アクセル開度であることを特徴とする請求項4記載の車両の変速制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−122507(P2012−122507A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271647(P2010−271647)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】