説明

車両の走行制御装置

【課題】車両の走行制御装置において、燃費の向上を可能とする。
【解決手段】車両が予め設定された所定の道路勾配区間を走行中であるかを検出する勾配検出部41と、所定の道路勾配区間における車両の走行状態を記憶する走行状態記憶部42と、記憶された道路勾配区間を走行する車両の走行状態に基づいて変速段が適した変速段かどうかを判定する変速段判定部43と、変速段が適した変速段でなかったときにより適した変速段を再設定して記憶する変速段再設定部44とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンと自動変速機を搭載した車両では、一般的に、制御装置は、ドライバによるアクセルペダルの踏み込み操作に応じたアクセル開度(または、スロットル開度)と現在の車両の速度に応じて車両の目標駆動力を設定し、この目標駆動力に基づいてエンジン回転数と変速段を設定する。また、自動変速機の制御装置にて、車両が登坂路に至ったときには、駆動力が低下してドライバがキックダウン操作を行ったり、また、車両が降坂路に至ったときには、エンジンブレ−キが十分に働かず、ブレーキ操作を行ったりすることがあり、ドライバによる運転操作が煩雑となったり、燃費が悪化したりする問題がある。
【0003】
このような問題を解決するものとして、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載された自動変速制御装置は、車両の進行方位角と車速とから車両の現在位置を算出し、地図デ−タ上の現在位置を知ることで車両前方の道路の勾配情報を道路地図デ−タから読み取り、道路地図デ−タの勾配情報に適応して変速マップの変更を可能とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−322591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両が道路を走行するその走行の仕方はドライバに応じて変わるものである。特に、登坂路や降坂路が多い山岳路では、個々のドライバの走り方は顕著に相違するものである。そのため、上述した従来の自動変速制御装置のように、車両の現在位置と道路の勾配情報に適応して変速マップを変更しても、各ドライバの走り方によっては、燃費の面で最適な変速パターンになるとは限らない。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、燃費の向上を可能とする車両の走行制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両の走行制御装置は、ドライバによるアクセル操作量と車両の走行状態に応じて自動変速機の変速比を設定して車両の駆動力を制御する車両の走行制御装置において、車両が予め設定された所定の道路勾配区間を走行中であるかを検出する勾配検出部と、所定の道路勾配区間における車両の走行状態を記憶する走行状態記憶部と、記憶された道路勾配区間を走行する車両の走行状態に基づいて変速比が適した変速比かどうかを判定する変速比判定部と、変速比が適した変速比でなかったときにより適した変速比を再設定して記憶する変速比再設定部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記車両の走行制御装置にて、前記変速比判定部は、登坂区間を走行する車両の走行状態にて、アクセル開度の変化量が予め設定された閾値よりも小さいときにトルクコンバータのロックアップ機構が解除される場合に、変速比が適した変速比でないと判定し、前記変速比再設定部は、変速比が大きい側の変速比をより適した変速比として再設定することが好ましい。
【0009】
上記車両の走行制御装置にて、前記変速比判定部は、登坂区間を走行する車両の走行状態にて、アクセル開度の変化量が予め設定された閾値よりも小さいときにダウンシフトされる場合に、変速比が適した変速比でないと判定し、前記変速比再設定部は、変速比が大きい側の変速比をより適した変速比として再設定することが好ましい。
【0010】
上記車両の走行制御装置にて、前記変速比判定部は、降坂区間を走行する車両の走行状態にて、アクセル開度が0のときに燃料カット制御が実行されていない場合に、変速比が適した変速比でないと判定し、前記変速比再設定部は、オーバーレブしない変速比がある場合に、変速比が大きい側の変速比をより適した変速比として再設定することが好ましい。
【0011】
上記車両の走行制御装置にて、前記変速比判定部は、アクセル開度が0のときに燃料カット制御が実行されていない場合で、且つ、制動装置による減速が行われている場合に、変速比が適した変速比でないと判定することが好ましい。
【0012】
上記車両の走行制御装置にて、前記変速比判定部は、道路勾配区間を走行する車両の走行状態に基づいて変速比が最適燃費走行を実現可能な変速比かどうかを判定することが好ましい。
【0013】
上記車両の走行制御装置にて、前記走行状態記憶部は、所定の道路勾配区間を走行する車両の走行状態として、少なくとも変速比、区間位置、道路勾配、車速を記憶することが好ましい。
【0014】
上記車両の走行制御装置にて、前記変速比判定部は、記憶された道路勾配区間を走行する車両の変速比が適した変速比でないと判定すると、記憶された車両の走行状態を削除することが好ましい。
【0015】
上記車両の走行制御装置にて、現在の車両の走行状態が記憶された車両の走行状態と適合したときに記憶されたより適した変速比に用いて車両の駆動力を制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る車両の走行制御装置は、所定の道路勾配区間を走行する車両の走行状態を記憶し、この車両の走行状態に基づいて変速比が適した変速比かどうかを判定し、変速比が適した変速比でなかったときにより適した変速比を再設定して記憶するので、車両が所定の道路勾配区間を走行するときには、常時、適した変速比により変速制御を行うことができ、燃費の向上を可能とするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る車両の走行制御装置を表す概略構成図である。
【図2】図2は、本実施形態の車両の走行制御装置を表す制御ブロック図である。
【図3】図3は、本実施形態の車両の走行制御装置における車両の走行状態を記憶するための処理の流れを表すフローチャートである。
【図4】図4は、本実施形態の車両の走行制御装置における登坂路走行時の最適変速段を設定するための処理の流れを表すフローチャートである。
【図5】図5は、本実施形態の車両の走行制御装置における登坂路走行時の変速制御の処理の流れを表すフローチャートである。
【図6】図6は、本実施形態の車両の走行制御装置における降坂路走行時の最適変速段を設定するための処理の流れを表すフローチャートである。
【図7】図7は、本実施形態の車両の走行制御装置における降坂路走行時の変速制御の処理の流れを表すフローチャートである。
【図8】図8は、本実施形態の車両の走行制御装置における最適変速段の設定方法を表すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る車両の走行制御装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0019】
〔実施形態〕
図1は、本発明の一実施形態に係る車両の走行制御装置を表す概略構成図、図2は、本実施形態の車両の走行制御装置を表す制御ブロック図、図3は、本実施形態の車両の走行制御装置における車両の走行状態を記憶するための処理の流れを表すフローチャート、図4は、本実施形態の車両の走行制御装置における登坂路走行時の最適変速段を設定するための処理の流れを表すフローチャート、図5は、本実施形態の車両の走行制御装置における登坂路走行時の変速制御の処理の流れを表すフローチャート、図6は、本実施形態の車両の走行制御装置における降坂路走行時の最適変速段を設定するための処理の流れを表すフローチャート、図7は、本実施形態の車両の走行制御装置における降坂路走行時の変速制御の処理の流れを表すフローチャート、図8は、本実施形態の車両の走行制御装置における最適変速段の設定方法を表すタイムチャートである。
【0020】
本実施形態の車両の走行制御装置において、図1に示すように、車両の駆動源としてのエンジン(内燃機関)11は、クランクシャフトにトルクコンバータ12が連結され、このトルクコンバータ12を介して有段式の自動変速機13が連結されている。そして、自動変速機13はその出力軸にデファレンシャルギア14が連結され、左右のドライブシャフト15を介して左右の駆動輪16が連結されている。
【0021】
従って、エンジン11が駆動すると、その駆動力がトルクコンバータ12を介して自動変速機13の入力軸に入力され、ここで所定の変速比に減速される。そして、減速後の駆動力が自動変速機13の出力軸からデファレンシャルギア14を介して左右のドライブシャフト15に伝達され、左右の駆動輪16を駆動回転することができる。
【0022】
トルクコンバータ12は、エンジン11の回転を、オイルを介して自動変速機13に伝達する流体クラッチであり、エンジン11と自動変速機13とを直結状態にするロックアップ機構(ロックアップクラッチ)を有している。自動変速機13は、ドライバによるアクセルペダルの踏み込み操作に応じたアクセル開度(または、スロットル開度)と、現在の車両の速度に応じて車両の目標駆動力を設定し、この目標駆動力に基づいて変速段や変速タイミングが設定される。トルクコンバータ12のロックアップ機構と自動変速機13は、油圧制御部17により油圧制御される。
【0023】
車両には、電子制御ユニット(ECU)21が搭載されており、このECU21は、エンジン11の駆動を制御することができる。即ち、吸入空気量を計測するエアフローセンサ22、エンジン11の回転数を検出するエンジン回転数センサ23、アクセルペダルの踏込み量(アクセル開度)を検出するアクセルポジションセンサ24、電子スロットル装置におけるスロットル開度を検出するスロットルポジションセンサ25などが設けられている。ECU21は、各センサ22〜25が検出した検出結果に基づいて、インジェクタによる燃料噴射量、燃料噴射タイミング、点火プラグによる点火時期などを制御する。
【0024】
ECU21は、油圧制御部17によりトルクコンバータ12のロックアップ機構の作動、つまり、直結状態と非直結状態との切替を制御することができる。即ち、車両の速度を検出する車速センサ26が設けられている。ECU21は、車速やアクセル開度などに基づいて油圧制御部17を制御し、ロックアップ機構を切り替える。また、ECU21は、油圧制御部17により自動変速機13を油圧制御することで、変速制御することができる。即ち、自動変速機13の入力軸回転数を検出する入力軸回転数センサ27、ドライバが操作するシフトレバー装置によるシフトポジションを検出するシフトポジションセンサ28が設けられている。ECU21は、各種センサ27,28などが検出した検出結果に基づいて、油圧制御部17を制御し、自動変速機13を制御する。
【0025】
このように構成された本実施形態の車両の走行制御装置にて、図1及び図2に示すように、ECU21は、車両が予め設定された所定の道路勾配区間を走行中であるかを検出する勾配検出部41と、勾配検出部41が検出した所定の道路勾配区間における車両の走行状態を記憶する走行状態記憶部42と、走行状態記憶部42により記憶された道路勾配区間を走行する車両の走行状態に基づいて変速段(変速比)が適した変速段(変速比)かどうかを判定する変速段判定部(変速比判定部)43と、変速段判定部43により変速段(変速比)が適した変速段(変速比)でなかったときにより適した変速段(変速比)を再設定して記憶する変速段再設定部(変速比再設定部)44を有している。
【0026】
勾配検出部41は、道路の勾配(走路面の走行方向に対する傾斜角度)を検出する勾配センサ29を有しており、現在、車両が走行している道路が予め設定された所定の道路勾配区間であるかどうかを検出する。この予め設定された所定の道路勾配区間とは、道路が登坂路及び降坂路であって、この道路における勾配が予め設定された所定の傾斜角度以上であり、この所定の傾斜角度以上の勾配が所定走行距離(または、所定走行時間)以上継続している区間である。
【0027】
走行状態記憶部42は、勾配検出部41が、車両が所定の道路勾配区間を走行していると検出したときに、この所定の道路勾配区間における車両の走行状態を記憶する。この走行状態記憶部42が記憶する車両の走行状態とは、少なくとも自動変速機13の変速段、車両が走行した区間位置、車両が走行した道路勾配、車速である。
【0028】
この場合、自動変速機13の変速段は、シフトポジションセンサ28が検出した検出結果、道路勾配は、勾配センサ29が検出した検出結果、車速は、車速センサ26が検出した検出結果である。また、ECU21は、ナビゲーション装置31が接続されている。このナビゲーション装置31は、格納された地図データベースからの地図データを有すると共に、現在位置データを検出可能なGPSなどからなる位置センサ32が接続されている。上述した区間位置は、ナビゲーション装置31により求められた車両の位置、つまり、所定の道路勾配区間の走行位置である。
【0029】
また、ECU21は、記憶部30が接続されており、走行状態記憶部42は、車両の走行状態として、自動変速機13の変速段、車両が走行した区間位置、車両が走行した道路勾配、車速をこの記憶部30に記憶する。
【0030】
変速段判定部43は、走行状態記憶部42が記憶された道路勾配区間を走行する車両の変速段がこの道路勾配区間を走行するのに適した、できれば最適な変速段であるかどうかを判定する。即ち、変速段判定部43は、道路勾配区間を走行した車両の走行状態に基づいて、設定された変速段が現在より燃費の良い、できれば最適燃費走行を実現可能な変速段かどうかを判定する。最適燃費走行とは、エンジン11の特性、トルクコンバータ12の伝達効率、自動変速機13のギア比や伝達効率などに基づいて、各変速段における車両の駆動トルクを推定し、このときの燃料噴射量が最も少なくなる走行状態である。
【0031】
変速段再設定部44は、変速段判定部43により変速段が最適な変速段であったと判定されたときには、そのままの変速段を最適な変速段として記憶したままとする。一方、変速段再設定部44は、変速段判定部43により変速段が最適な変速段でなかったと判定されたときには、上述した最適燃費走行を考慮して、最適な変速段を再設定して記憶する。
【0032】
その後、ECU21は、現在の車両の走行状態が、記憶された車両の走行状態と適合したときには、記憶された最適な変速段を用いて車両の駆動力を制御する。
【0033】
一例を挙げて説明すると、変速段判定部43は、登坂区間を走行する車両の走行状態にて、アクセル開度の変化量が予め設定された閾値よりも小さいときにトルクコンバータ12のロックアップ機構が解除される場合に、変速段が最適な変速段でないと判定し、変速段再設定部44は、変速比が大きい側の変速段を最適な変速段として再設定する。
【0034】
変速段判定部43は、登坂区間を走行する車両の走行状態にて、アクセル開度の変化量が予め設定された閾値よりも小さいときにダウンシフトされる場合に、変速段が最適な変速段でないと判定し、変速段再設定部44は、変速比が大きい側の変速段を最適な変速段として再設定する。
【0035】
また、変速段判定部43は、降坂区間を走行する車両の走行状態にて、アクセル開度が0のときに燃料カット制御が実行されていない場合に、変速段が最適な変速段でないと判定し、変速段再設定部44は、オーバーレブしない変速段がある場合に、変速比が大きい側の変速段を最適な変速段として再設定する。
【0036】
変速段判定部43は、アクセル開度が0のときに燃料カット制御が実行されていない場合で、且つ、制動装置による減速が行われている場合に、変速段が最適な変速段でないと判定し、変速段再設定部44は、オーバーレブしない変速段がある場合に、変速比が大きい側の変速段を最適な変速段として再設定する。
【0037】
そして、変速段判定部43は、記憶された道路勾配区間を走行する車両の変速段が最適な変速段でないと判定すると、記憶された車両の走行状態を削除する。
【0038】
以下、本実施形態の車両の走行制御装置による具体的な制御について、図3乃至図7のフローチャートに基づいて詳細に説明する。
【0039】
本実施形態の車両の走行制御装置において、まず、図3のフローチャートは、車両の走行状態を記憶するための処理の流れを表すものである。図3に示すように、ステップS11にて、ECU21は、走行状態記憶部42が、現在、所定の道路勾配区間における車両の走行状態をログ(記録)しているかどうかを判定する。ここで、まだ、所定の道路勾配区間における車両の走行状態をログしていないと判定(No)されたら、ステップS16にて、ECU21は、道路勾配区間における車両の走行状態のログ開始判定処理を行う。
【0040】
即ち、ステップS16にて、勾配検出部41は、車両が予め設定された所定の道路勾配区間を走行中であるかを判定する。ここで、車両が所定の道路勾配区間を走行中でないと判定(No)されたら、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、車両が所定の道路勾配区間を走行中であると判定(Yes)されたら、ステップS17にて、道路勾配区間における車両の走行状態のログ開始処理を行う。即ち、走行状態記憶部42が、この道路勾配区間における車両の走行状態(変速段、区間位置、道路勾配、車速)を記録する。
【0041】
すると、ステップS11にて、ECU21は、走行状態記憶部42が、現在、所定の道路勾配区間における車両の走行状態をログしていると判定(Yes)し、ステップS12にて、ECU21は、道路勾配区間における車両の走行状態のログ終了判定処理を行う。即ち、ステップS12にて、勾配検出部41は、車両が予め設定された所定の道路勾配区間を走行中でないかを判定する。ここで、車両が所定の道路勾配区間を走行中であると判定(No)されたら、何もしないでこのルーチンを抜け、道路勾配区間における車両の走行状態の記録を継続する。
【0042】
一方、車両が所定の道路勾配区間を走行中でないと判定(Yes)されたら、ステップS13にて、道路勾配区間における車両の走行状態のログ終了処理を行う。即ち、走行状態記憶部42が、この道路勾配区間における車両の走行状態(変速段、区間位置、道路勾配、車速)の記録を終了する。
【0043】
そして、ステップS14にて、走行状態記憶部42は、車両が走行した所定の道路勾配区間における登坂路シーンの最適変速段を記憶し、ステップS15にて、走行状態記憶部42は、車両が走行した所定の道路勾配区間における燃料カット制御を実行可能な降坂路シーンの最適変速段を記憶する。この場合、車両が走行した所定の道路勾配区間の道路が登坂路であった場合、自動変速機13を効率的に駆動できたかどうかを判定し、非効率な駆動であったときには、燃費が最適になるような車両の走行状態、つまり、変速段を区間位置、道路勾配、車速と共に記憶する。また、車両が走行した所定の道路勾配区間の道路が降坂路であった場合、燃料カット制御が実行できたかどうかを判定し、燃料カット制御が実行できるときには、燃料カット制御を実行可能な車両の走行状態、つまり、変速段を区間位置、道路勾配、車速と共に記憶する。
【0044】
次に、燃費が最適になるような車両の走行状態、また、燃料カット制御を実行可能な車両の走行状態の記憶方法について説明する。図4のフローチャートは、登坂路走行時の最適変速段を設定するための処理の流れを表すものである。図4に示すように、ステップS21にて、ECU21は、走行状態記憶部42が記憶した道路勾配区間を走行する車両の走行状態(変速段、区間位置、道路勾配、車速)のログデータを読み込む。そして、ステップS22にて、登坂シーンの適合判定処理を行う。即ち、走行状態記憶部42が記憶したログデータにおける登坂シーンにて、ドライバによるイレギュラーなアクセルペダル操作で、車速に異常変動がなかったかどうかを判定する。この登坂シーンの適合判定処理にて、車速に異常変動があったと判定(No)されたら、ステップS28に移行し、ここで、ログデータを消去する処理を実行する。
【0045】
一方、ステップS22の登坂シーンの適合判定処理にて、車速に異常変動はなかったと判定(Yes)されたら、ステップS23にて、変速段判定部43は、変速段がこの登坂シーンにて、最適な変速段であるかどうかを判定する。即ち、ステップS23では、この登坂シーンにて、記憶した変速段、つまり、シフト位置の高め判定処理を行い、シフト位置が高過ぎなかったかどうかを判定する。ここでは、例えば、登坂シーンを走行する車両の走行状態にて、アクセル開度の変化量が予め設定された閾値よりも小さいのに、トルクコンバータ12のロックアップ機構が解除された場合には、シフト位置が高過ぎると判定する。また、登坂シーンを走行する車両の走行状態にて、アクセル開度の変化量が予め設定された閾値よりも小さいのに、ダウンシフト制御が開始されてしまう場合には、シフト位置が高過ぎると判定する。
【0046】
このステップS23にて、シフト位置が高過ぎると判定(Yes)されたら、ステップS24にて、変速段再設定部44は、最適な変速段、つまり、最適なシフト位置を探索し、シフト位置が高過ぎると判定されたことから、変速比が大きい側、つまり、シフト位置が低い側の変速段を再設定し、ステップS25にて、選定した変速段を最適な変速段として記憶する。
【0047】
また、ステップS23で、登坂シーンにて、シフト位置が高過ぎないと判定(No)されたら、ステップS26にて、変速段判定部43は、この登坂シーンにて、記憶した変速段、つまり、シフト位置の低め判定処理を行い、シフト位置が低過ぎなかったかどうかを判定する。ここでは、例えば、アップシフト制限やセミオートマ操作によりエンジン回転数が予め設定された閾値よりも高い場合には、シフト位置が低過ぎると判定する。
【0048】
このステップS26にて、シフト位置が低過ぎると判定(Yes)されたら、ステップS27にて、変速段再設定部44は、この登坂シーンにおける車両の走行状態(変速段、区間位置、道路勾配、車速)の記録を削除する。一方、ここで、シフト位置が低過ぎないと判定(No)されたら、変速段再設定部44は、現在記憶されている変速段が最適な変速段と判定し、この登坂シーンにおける車両の走行状態(変速段、区間位置、道路勾配、車速)の記録をそのままとする。
【0049】
図5のフローチャートは、登坂路走行時の変速制御の処理の流れを表すものである。図5に示すように、ステップS31にて、ECU21は、現在の車両の走行状態が、記憶されている複数の登坂シーンの領域内にあるかどうかを判定する。ここで、現在の車両の走行状態が、記憶されている登坂シーンの領域内にないと判定(No)されたら、ステップS38にて、アップシフトの制限を解除する。
【0050】
一方、ここで、現在の車両の走行状態が、記憶されている登坂シーンの領域内にあると判定(Yes)されたら、ステップS32にて、記憶されている登坂シーンを用いた先読みシフト制御が解除されているかどうかを確認した後、解除されていない(No)場合には、ステップS33にて、ECU21は、この先読みシフト制御が制御中であるかどうかを判定する。なお、ステップS32にて、先読みシフト制御が解除されている(Yes)場合には、何もしないでこのルーチンを抜ける。
【0051】
そして、ステップS33にて、この先読みシフト制御が制御中でないと判定(No)されたら、ステップS34にて、道路勾配判定を行う。即ち、道路勾配の現在値と道路勾配の記憶値がほぼ一致しているかどうかを判定し、一致していないと判定(No)されたら、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、ここで、道路勾配の現在値と道路勾配の記憶値がほぼ一致していると判定(Yes)されたら、ステップS35にて、車速判定を行う。即ち、車速の現在値と車速の記憶値がほぼ一致しているかどうかを判定し、一致していないと判定(No)されたら、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、ここで、車速の現在値と車速の記憶値がほぼ一致していると判定(Yes)されたら、ステップS36にて、ECU21は、最適シフト学習値によるアップシフト制限制御(先読みシフト制御)を実行する。即ち、ECU21は、記憶された最適な変速段を用いて自動変速機13を制御し、車両の駆動力を制御する。
【0052】
その後、先読みシフト制御が開始されることから、ステップS33にて、ECU21は、先読みシフト制御が制御中であると判定(Yes)と判定し、ステップS37にて、先読みシフト制御の中止判定を行う。即ち、ドライバによるイレギュラーなアクセルペダル操作で、車速に異常変動がなかったかどうかを判定する。ここで、車速に異常変動がないと判定(No)されたら、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、車速に異常変動があったと判定(Yes)されたら、ステップS38にて、アップシフトの制限を解除する。
【0053】
なお、ステップS31にて、現在の車両の走行状態が、記憶されている複数の登坂シーンの領域内にないと判定、つまり、現在の車両の走行状態が、記憶されている複数の登坂シーンの領域から外れたと判定(No)されたら、ステップS38にて、アップシフトの制限を解除、つまり、先読みシフト制御を終了する。
【0054】
また、図6のフローチャートは、降坂路走行時の最適変速段を設定するための処理の流れを表すものである。図6に示すように、ステップS41にて、ECU21は、走行状態記憶部42が記憶した道路勾配区間を走行する車両の走行状態(変速段、区間位置、道路勾配、車速)のログデータを読み込む。そして、ステップS42にて、降坂シーンの適合判定処理を行う。即ち、走行状態記憶部42が記憶したログデータにおける降坂シーンにて、ドライバによるイレギュラーなアクセルペダル操作で、車速に異常変動がなかったかどうかを判定する。この降坂シーンの適合判定処理にて、車速に異常変動があったと判定(No)されたら、ステップS48に移行し、ここで、ログデータを消去する処理を実行する。
【0055】
一方、ステップS42の降坂シーンの適合判定処理にて、車速に異常変動はなかったと判定(Yes)されたら、ステップS43にて、変速段判定部43は、変速段がこの降坂シーンにて、最適な変速段であるかどうかを判定する。即ち、ステップS43では、この降坂シーンにて、記憶した変速段より低い変速段へのダウンシフト可否判定処理を行い、ダウンシフトが可能であったかどうかを判定する。ここでは、例えば、降坂シーンを走行する車両の走行状態にて、アクセル開度が0、つまり、ドライバがアクセルペダルを踏込んでいないのに、燃料カット制御が実行されていない場合には、ダウンシフトが可能であると判定する。
【0056】
このダウンシフト可否判定処理では、アクセル開度により判定だけに限定されるものではない。例えば、アクセル開度が0なのに燃料カット制御が実行されておらず、且つ、制動装置による減速、つまり、ドライバがブレーキペダルを踏込んでいない場合に、ダウンシフトが可能であると判定してもよい。
【0057】
このステップS43にて、ダウンシフトが可能であると判定(Yes)されたら、ステップS44にて、変速段再設定部44は、最適な変速段(最適なシフト位置)を探索し、シフトダウンが可能と判定されたことから、変速比が大きい側、つまり、シフト位置が低い側の変速段を再設定する。このとき、変速段再設定部44は、オーバーレブしない変速段がある場合に、変速比が大きい側の変速段を最適な変速段として再設定する。その後、ステップS45にて、選定した変速段を最適な変速段として記憶する。
【0058】
また、ステップS43で、降坂シーンにて、ダウンシフトが可能でないと判定(No)されたら、ステップS46にて、変速段判定部43は、この降坂シーンにて、記憶した変速段、つまり、シフト位置の低め判定処理を行い、シフト位置が低過ぎなかったかどうかを判定する。ここでは、例えば、ドライバが降坂路でブレーキペダルを踏まずにアクセルペダルの踏込み操作だけで車両を加減速したり、ドライバが降坂路でアクセルペダルの踏込み操作を続けていないかを判定し、このような動作があった場合には、シフト位置が低過ぎると判定する。
【0059】
このステップS46にて、シフト位置が低過ぎると判定(Yes)されたら、ステップS47にて、変速段再設定部44は、この降坂シーンにおける車両の走行状態(変速段、区間位置、道路勾配、車速)の記録を削除する。一方、ここで、シフト位置が低過ぎないと判定(No)されたら、変速段再設定部44は、現在記憶されている変速段が最適な変速段と判定し、この降坂シーンにおける車両の走行状態(変速段、区間位置、道路勾配、車速)の記録をそのままとする。
【0060】
図7のフローチャートは、降坂路走行時の変速制御の処理の流れを表すものである。図7に示すように、ステップS51にて、ECU21は、現在の車両の走行状態が、記憶されている複数の燃料カット制御が可能な降坂シーンの領域内にあるかどうかを判定する。ここで、現在の車両の走行状態が、記憶されている燃料カット制御が可能な降坂シーンの領域内にないと判定(No)されたら、ステップS59にて、燃料カットシフト制御を終了する。
【0061】
一方、ここで、現在の車両の走行状態が、記憶されている燃料カット制御が可能な降坂シーンの領域内にあると判定(Yes)されたら、ステップS52にて、燃料カット制御が実行中であるかどうかを判定する。ここで、燃料カット制御が実行中であると判定(Yes)されたら、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、燃料カット制御が実行中でないと判定(No)されたら、ステップS53にて、記憶されている燃料カット制御が可能な降坂シーンを用いた燃料カットシフト制御が解除されているかどうかを確認した後、解除されていない(No)場合には、ステップS54にて、ECU21は、この燃料カットシフト制御が制御中であるかどうかを判定する。なお、ステップS53にて、燃料カットシフト制御が解除されている(Yes)場合には、何もしないでこのルーチンを抜ける。
【0062】
そして、ステップS54にて、この燃料カットシフト制御が制御中でないと判定(No)されたら、ステップS55にて、道路勾配判定を行う。即ち、道路勾配の現在値と道路勾配の記憶値がほぼ一致しているかどうかを判定し、一致していないと判定(No)されたら、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、ここで、道路勾配の現在値と道路勾配の記憶値がほぼ一致していると判定(Yes)されたら、ステップS56にて、車速判定を行う。即ち、車速の現在値と車速の記憶値がほぼ一致しているかどうかを判定し、一致していないと判定(No)されたら、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、ここで、車速の現在値と車速の記憶値がほぼ一致していると判定(Yes)されたら、ステップS57にて、ECU21は、最適シフト学習値によるダウンシフト制御(燃料カットシフト制御)を実行する。即ち、ECU21は、記憶された最適な変速段を用いて自動変速機13を制御し、車両の駆動力(制動力)を制御する。
【0063】
その後、燃料カットシフト制御が開始されることから、ステップS54にて、ECU21は、燃料カットシフト制御が制御中であると判定(Yes)と判定し、ステップS58にて、燃料カットシフト制御の中止判定を行う。即ち、ダウンシフトを実行しても燃料カット制御が実行されなかったら、車速が予め設定された閾値よりも低下したりしないかどうかを判定する。ここで、燃料カット制御が実行されたり、車速が低下し過ぎないと判定(No)されたら、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、燃料カット制御が実行されなかったり、車速が低下し過ぎると判定(Yes)されたら、ステップS59にて、燃料カットシフト制御を終了する。
【0064】
なお、ステップS51にて、現在の車両の走行状態が、記憶されている複数の燃料カット制御が可能な降坂シーンの領域内にないと判定、つまり、現在の車両の走行状態が、記憶されている複数の燃料カット制御が可能な降坂シーンの領域から外れたと判定(No)されたら、ステップS59にて、燃料カットシフト制御を終了する。
【0065】
ここで、本実施形態の車両の走行制御装置における最適変速段の設定方法について、図8のタイムチャートを用いて説明する。図8に示すように、この図8に実線で表すものは、記憶した道路勾配区間の時系列データを表すものである。即ち、この時系列データは、道路勾配区間にて、時刻t1にて、トルクコンバータ12のロックアップ機構が解除され、時刻t2にて、自動変速機13でダウンシフトが実行され、時刻t3にて、トルクコンバータ12のロックアップ機構が直結される状況で、車速が所定の範囲内で変動し、エンジン回転数も変動し、道路勾配も変動している。
【0066】
このような時系列データに基づいて、エンジン11の特性、トルクコンバータ12の伝達効率、自動変速機13のギア比や伝達効率などに基づいて、車両の推定パワー、燃料噴射量(積算値)、推定効率を求める。そして、時刻t2にて、自動変速機13でダウンシフトが実行されているが、この変速段が最適なものなのかどうか、点線と一点差線で表す別の2つの変速段について、同様に、時系列データの道路勾配の道路をその車速で走行したときの車両の推定パワー、燃料噴射量(積算値)、推定効率を求める。
【0067】
そして、時系列データ(実線)と別の2つの変速段での推定データ(点線、一点差線)とを比較し、最も燃料噴射量の積算値が少なくなるものを選択し、このデータを最適な走行状態(変速段)のデータと設定する。
【0068】
このように本実施形態の車両の走行制御装置にあっては、車両が予め設定された所定の道路勾配区間を走行中であるかを検出する勾配検出部41と、所定の道路勾配区間における車両の走行状態を記憶する走行状態記憶部42と、記憶された道路勾配区間を走行する車両の走行状態に基づいて変速段が最適な変速段かどうかを判定する変速段判定部43と、変速段が最適な変速段でなかったときに最適な変速段を再設定して記憶する変速段再設定部44とを設けている。
【0069】
従って、道路勾配区間を走行する車両の走行状態を記憶し、この車両の走行状態に基づいて変速段が最適な変速段かどうかを判定し、変速段が最適な変速段でなかったときに最適な変速段を再設定することとなり、次に、車両が同じような道路勾配区間を走行するときには、記憶された最適な変速段を用いて自動変速機13の変速制御を行うことができ、燃費を向上することができる。
【0070】
また、本実施形態の車両の走行制御装置では、登坂区間を走行する車両の走行状態にて、アクセル開度の変化量が予め設定された閾値よりも小さいときにトルクコンバータ12のロックアップ機構が解除される場合に、変速段が最適な変速段でないと判定し、変速比が大きい側の変速段を最適な変速段として再設定する。また、登坂区間を走行する車両の走行状態にて、アクセル開度の変化量が予め設定された閾値よりも小さいときにダウンシフトされる場合に、変速段が最適な変速段でないと判定し、変速比が大きい側の変速段を最適な変速段として再設定する。
【0071】
従って、車両が登坂区間を走行するときの走最適な変速段の判定を、アクセル開度とロックアップ機構との関係、または、アクセル開度とダウンシフトとの関係で行うことで、この判定処理を容易に行うことができる。
【0072】
また、本実施形態の車両の走行制御装置では、降坂区間を走行する車両の走行状態にて、アクセル開度が0のときに燃料カット制御が実行されていない場合に、変速段が最適な変速段でないと判定し、オーバーレブしない変速段がある場合に、変速比が大きい側の変速段を最適な変速段として再設定する。また、アクセル開度が0のときに燃料カット制御が実行されていない場合で、且つ、制動装置による減速が行われている場合に、変速段が最適な変速段でないと判定する。
【0073】
従って、車両が降坂区間を走行するときの最適な変速段の判定を、アクセル開度と燃料カット制御の関係、または、制動装置との関係で行うことで、この判定処理を容易に行うことができる。また、オーバーレブしない変速段がある場合に最適な変速段の再設定を行うことで、安全性を確保することができる。
【0074】
また、本実施形態の車両の走行制御装置では、道路勾配区間を走行する車両の走行状態に基づいて変速段が最適燃費走行を実現可能な変速段かどうかを判定している。従って、道路勾配区間を車両が走行したときの燃料噴射量の積算値を基準とすることで、最適な変速段を容易に探索することができる。
【0075】
また、本実施形態の車両の走行制御装置では、所定の道路勾配区間を走行する車両の走行状態として、少なくとも変速段、区間位置、道路勾配、車速を記憶する。従って、車両が道路勾配区間を走行するとき、現在の区間位置と道路勾配と車速と記憶された区間位置と道路勾配と車速とを比較することで、両者の適合性を適正に判定することができる。
【0076】
また、本実施形態の車両の走行制御装置では、記憶された道路勾配区間を走行する車両の変速段が最適な変速段でないと判定すると、記憶された車両の走行状態を削除する。従って、最適でない車両の走行状態(変速段)を削除することで、最適な車両の走行状態(変速段)のみ記憶されることとなる。
【0077】
また、本実施形態の車両の走行制御装置では、現在の車両の走行状態が記憶された車両の走行状態と適合したときに、記憶された最適な変速段に用いて車両の駆動力を制御する。従って、次に、車両が同じような道路勾配区間を走行するときには、最適燃費走行を実現することができる。
【0078】
なお、上述した実施形態では、変速段が最適な変速段かどうかを判定し、現在の変速段が最適な変速段でなかったときには、最適な変速段を再設定して記憶するようにしたが、この構成に限定されるものではない。車両の走行状態に基づいて適した変速比かを判定し、そうでなかったときにはより適した変速比を再設定すればよい。即ち、現在の変速段が適した変速段でなかったときに、現在の変速段より適した変速段を再設定すればよいものであり、最適な変速段を再設定するものに限定されるものではない。この場合、現在の変速段に対して、1段だけ上げたり下げたりすることで、また、複数段だけ上げたり下げたりすることで、より適した変速段を再設定すればよい。
【0079】
また、上述した実施形態では、車両の駆動系をエンジン11、トルクコンバータ12、自動変速機13により構成したが、この構成に限定されるものではなく、電気モータを搭載する電気自動車やハイブリッド車両としてもよく、また、変速機として無段変速機を適用してもよく、この場合、道路勾配区間を走行する車両の走行状態に基づいて適した変速比かを判定し、そうでなかったときにはより適した変速比を再設定すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上のように、本発明に係る車両の走行制御装置は、道路勾配区間を走行する車両の走行状態に基づいて適した変速比かを判定し、そうでなかったときにはより適した変速比を再設定することで、燃費の向上を可能とするものであり、いずれの車両の走行制御装置に有用である。
【符号の説明】
【0081】
11 エンジン
12 トルクコンバータ
13 自動変速機
21 電子制御ユニット(ECU)
23 エンジン回転数センサ
24 アクセルポジションセンサ
25 スロットルポジションセンサ
26 車速センサ
27 入力軸回転数センサ
28 シフトポジションセンサ
29 勾配センサ
31 ナビゲーション装置
32 位置センサ
41 勾配検出部
42 走行状態記憶部
43 変速段判定部(変速比判定部)
44 変速段再設定部(変速比再設定部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバによるアクセル操作量と車両の走行状態に応じて自動変速機の変速比を設定して車両の駆動力を制御する車両の走行制御装置において、
車両が予め設定された所定の道路勾配区間を走行中であるかを検出する勾配検出部と、
所定の道路勾配区間における車両の走行状態を記憶する走行状態記憶部と、
記憶された道路勾配区間を走行する車両の走行状態に基づいて変速比が適した変速比かどうかを判定する変速比判定部と、
変速比が適した変速比でなかったときにより適した変速比を再設定して記憶する変速比再設定部と、
を備えることを特徴とする車両の走行制御装置。
【請求項2】
前記変速比判定部は、登坂区間を走行する車両の走行状態にて、アクセル開度の変化量が予め設定された閾値よりも小さいときにトルクコンバータのロックアップ機構が解除される場合に、変速比が適した変速比でないと判定し、前記変速比再設定部は、変速比が大きい側の変速比をより適した変速比として再設定することを特徴とする請求項1に記載の車両の走行制御装置。
【請求項3】
前記変速比判定部は、登坂区間を走行する車両の走行状態にて、アクセル開度の変化量が予め設定された閾値よりも小さいときにダウンシフトされる場合に、変速比が適した変速比でないと判定し、前記変速比再設定部は、変速比が大きい側の変速比をより適した変速比として再設定することを特徴とする請求項1に記載の車両の走行制御装置。
【請求項4】
前記変速比判定部は、降坂区間を走行する車両の走行状態にて、アクセル開度が0のときに燃料カット制御が実行されていない場合に、変速比が適した変速比でないと判定し、前記変速比再設定部は、オーバーレブしない変速比がある場合に、変速比が大きい側の変速比をより適した変速比として再設定することを特徴とする請求項1に記載の車両の走行制御装置。
【請求項5】
前記変速比判定部は、アクセル開度が0のときに燃料カット制御が実行されていない場合で、且つ、制動装置による減速が行われている場合に、変速比が適した変速比でないと判定することを特徴とする請求項4に記載の車両の走行制御装置。
【請求項6】
前記変速比判定部は、道路勾配区間を走行する車両の走行状態に基づいて変速比が最適燃費走行を実現可能な変速比かどうかを判定することを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の車両の走行制御装置。
【請求項7】
前記走行状態記憶部は、所定の道路勾配区間を走行する車両の走行状態として、少なくとも変速比、区間位置、道路勾配、車速を記憶することを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の車両の走行制御装置。
【請求項8】
前記変速比判定部は、記憶された道路勾配区間を走行する車両の変速比が適した変速比でないと判定すると、記憶された車両の走行状態を削除することを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の車両の走行制御装置。
【請求項9】
現在の車両の走行状態が記憶された車両の走行状態と適合したときに記憶されたより適した変速比に用いて車両の駆動力を制御することを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の車両の走行制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−208650(P2011−208650A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73732(P2010−73732)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】