説明

車両ハイブリッドエネルギーシステム

電気駆動系を有する車両での使用に適したハイブリッドエネルギー貯蔵システムは、第1エネルギー貯蔵モジュールと、第1エネルギー貯蔵モジュールとは異なる第2エネルギー貯蔵モジュールとを含む。第1エネルギー貯蔵モジュールは、第2エネルギー貯蔵モジュールとは異なる、セル構成、セル化学反応、セル数、制御器、あるいは、別の特徴を有し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許は、エネルギー貯蔵システムに関する。より具体的には、本特許は、電気およびハイブリッド電気車両用のエネルギー貯蔵システム、特に、完全なあるいは部分的な電気駆動系を有する車両に、および、住宅電気など他の用途に用いるために適切なハイブリッドエネルギー貯蔵システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気あるいはハイブリッド電気車両の電気駆動系用の電気エネルギー貯蔵システムの設計は極めて挑戦的な課題である。既存の車両用電気エネルギー貯蔵システムの主要な単一化学反応である鉛酸、ニッケル水素、リチウムなどは、充分ではない。家庭用電化製品などで小規模用途に採用される他の電気エネルギー貯蔵技術は、電気駆動系用のエネルギー貯蔵システムの設計には未解決の問題が数多く残されていることを伝えるものであるかもしれない。家庭用電化製品に適した電池構造体の、すなわち、化学反応、セル構成、構造、大きさ、および、形から示唆されることは、例えば、拡大適用して、車両用エネルギー貯蔵システムの設計者に回答を与えることはできないかもしれない。
【0003】
セルとモジュールとの構造安定性、安全性、経年劣化、寿命、温度効果、材料/貯蔵寿命、衝撃振動耐性、および、車両環境における一般的な適合性を含む設計の問題が全て生じる。システムの規模の問題も存在する。家庭用電化製品装置の負荷要求は、1ワットより小さい電力供給のマイクロあるいはミリアンペアの範囲であり得る。電気駆動系は、300〜400ボルトで極めて高い負荷電流のとき5〜30キロワット時の範囲の電力供給を要求する。また、車両環境は、システムが極端な気温状態、変動する温度幅、衝撃振動、そしてもちろん、衝突にさらされる、苛酷な使用環境である。初期導入と将来の置換を含めたコストも問題となる。材料の選択と使用は、持続可能性、すなわち、根本的に豊富で再利用可能な材料の使用という観点からなされなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的な電気車両(electric vehicle,EV)、ハイブリッド電気車両(hybrid electric vehicle,HEV)、あるいは、プラグインハイブリッド電気車両(plug−in hybrid electric vehicle,PHEV)のエネルギー貯蔵/電池システムは、単一の化学反応およびセル構造に限定される。車両が経験するであろう数々の多様な動作条件に適合するため、設計者は、どうしても電池システムの選択を妥協せざるをえない。結果として引き起こされる欠点には、最適条件より劣る電力供給、体積サイズ、重量、および、動作の複雑性(セルの数と構成、健全性および故障のセル監視など)がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に記載の発明に係る実施形態において、純粋な電気化車両(EV)、あるいは、部分的な電気化車両(例えばHEV)のための電気エネルギー貯蔵の仕組みは、複数の活性化学反応セル/電池を設けることで、各活性化学反応の様々な優れたパフォーマンスの利点の全てを取り込み、多様な動作条件に対応する能力を有する。本発明の大部分を制限すること無しに、理解を助けるため、以下の用語を使用する。単一のセルは、エネルギー貯蔵装置の最小単位であり、正極、負極、および、電解質を含む。正および負の電極は、セルパフォーマンス全体を向上させる添加剤とともに、主反応に関与する活性化学物質を含む。電池/モジュールは、直列あるいは並列に配置された1つ以上のセルを含み得る。ハイブリッド電池システムは、例えば、極端な高温あるいは低温、急激な加速、あるいは、変化する速度などに適合するため、異なるモジュールによって2つ以上の活性化学反応を含み得る。”モジュール”は、様々なパッキング構成の、直列/並列の電池/セルのサブシステムのことを言及する。異なる活性化学反応は、それ自身の最適な動作条件を有する。
【0006】
本発明の例示的実施形態では、電気ハイブリッド動力源は、それぞれがより多くのセルのうち1つを含む、電池モジュールの2つの異なる活性化学反応を利用する。しかし、本発明は、2つの異なる化学反応のみに制限されない。電池モジュールのセルは、高い重量エネルギーかつ長期間にわたり比較的低く安定した内部抵抗の一次(充電不可能な)あるいは二次(充電可能な)セルであり得る。両モジュールは、充電制御回路を介して直列あるいは並列に配置され得る。充電制御回路は、車両走行条件で要求される電力プロファイルと動作温度とを監視し、どちらのモジュールがあるいは両方のモジュールが実装されるかを、電池モジュールの電流、電圧、エネルギー、および、動作温度範囲に基づいて、システム全体の出力を最適化するように決定する。
【0007】
本発明の実施形態では、運転中の走行距離を最大化することが可能となる。電気車両を低負荷状態で運転している場合、モータの駆動に要求される電力は、走行距離を最大化するため、主に、パック中の高エネルギー電池から供給される。電気車両の負荷が増大し、より多くの電力が必要とされる場合は、さらに高い電力の電池が使用される。
【0008】
さらに、本発明の実施形態では、動作温度条件を最大化することが可能となる。例えば環境温度が変動する場合、その条件下で優れたパフォーマンスを有する電池が使用される。
【0009】
また、本発明の実施形態では、常に一定の出力電力を生成する高い重量エネルギー(Wh/kg)の電池から供給される電力で、高い重量電力(W/kg)の電池を充電することで、低負荷から高負荷まで、広範な出力電力特性の要求に適合しつつ、ハイブリッド電池システムの寿命を延長することが可能となる。高電力電池の電力は、負荷の変動が大きい場合に、車両を駆動するために使用される。一方、長時間一定の出力を維持できる高エネルギー電池の電力は、負荷の変動が小さい補機を駆動するために使用される。このようにして、最長走行距離を延長し、電力システムのサイズを縮小することができる。さらに、この電力システムは、低負荷から高負荷まで、広範な出力電力要求に応えることができ、運行性能が改善され得る。
【0010】
本発明の数多くの利点と新規の特徴が、以下の発明の詳細な説明と添付の図とに記載される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】電気駆動系と関連する電気エネルギー貯蔵システムとを含む車両の模式図を示す。
【図2】本発明の実施形態に係る、第1エネルギー貯蔵モジュールと第2エネルギー貯蔵モジュールとを含む電気エネルギー貯蔵システムの模式図を示す。
【図3】エネルギー貯蔵モジュールを形成する各電池セルを表す、エネルギー貯蔵モジュールの模式図を示す。
【図4】エネルギー貯蔵モジュールを形成する各電池セルを表す、エネルギー貯蔵モジュールの模式図を示す。
【図5】エネルギー貯蔵モジュールを形成する各電池セルを表す、エネルギー貯蔵モジュールの模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
単一構造貯蔵システムを放棄してハイブリッドアプローチを採択することで、電気車両(EV)、ハイブリッド電気車両(HEV)、および、プラグインハイブリッド電気車両(PHEV)用途向けエネルギー貯蔵システムパフォーマンスの著しい改善を達成することができる。ハイブリッドエネルギー貯蔵システムは、2つ以上の異なるエネルギー貯蔵構造体を含むものとして、一般的に考えられているだろう。例えば、ハイブリッドエネルギー貯蔵システムは、2つの異なる電池化学反応と対応するセル構成とを包含する。ハイブリッドエネルギー貯蔵システムを最適化することで、全体のサイズ、重量、セル数、および、制御の複雑さを、エネルギー伝達とシステム寿命の改善を伴って、減少することができる。複数のモジュールを有するエネルギー貯蔵システム。モジュールは、ある性質、例えば、セルの構成、セルの化学反応、制御などを有する一組のセルを含み得る。異なる種類のモジュールを組み合わせることは、広範な動作条件に渡る、エネルギー伝達の改善を可能とし得る。例えば、一方のモジュールを短期間高負荷条件に対して最適化し、他方のモジュールを長期間低負荷条件に対して最適化することができる。これらを組み合わせることにより、システムは、電気駆動系のエネルギー要求をより良く満たすことができる。
【0013】
図1は、車両10を模式的に示したものであり、これには、電気駆動系12が、特に、ハイブリッド電気駆動系が組み込まれる。本発明の実施形態は、完全な電気車両(EV)、あるいは、プラグイン型電気駆動系を含む部分的な電気車両(HEV)が組み込まれた実質的にどんな車両への用途も有している。車両10は、本発明の実施形態の1つのありうる実装として図示され記載されているに過ぎない。車両10と電気駆動系12との多数の他の構成が可能であると理解されるべきである。例えば、42と44とは、同一の区画への導入に制限されるものではない。それらは、空調装置、直流モータなどの対象電子装置により容易に接続できるように、異なる場所に配置され得る。
【0014】
電気駆動系12は、プロペラシャフト20を介して車両10の前輪18を駆動するため、無段変速機15とトラクションモータ16とに連結された内燃機関14を含む。変速機15とトラクションモータ16とは、車両の操縦者が利用可能な加速制御24とブレーキ制御26とからの入力に応答する制御器22に連結されている。図1では、変速機15に連結される単一のトラクションモータ16を描いているが、複数のトラクションモータを使用してもよく、例えば、車輪18に1つずつ関連づけてもよい。図1で描かれるように、トラクションモータ28は、プロペラシャフト32を介して後輪30を駆動するために設けられ得、このとき、トラクションモータ28は、制御器22に連結される。電気駆動系12の代替構成は、変速機15とトラクションモータ16とを介した後輪30の主な駆動、前輪18と後輪30との駆動、および、無段変速機とトラクションモータを介した前輪18と後輪30との一方あるいは両方のさまざまな組み合わせの駆動のために設けられ得る。
【0015】
電気エネルギーは、制御器22を介してハイブリッドエネルギー貯蔵システム40からトラクションモータ16と(設けられたならば)トラクションモータ28とに供給される。本発明の実施形態によれば、ハイブリッドエネルギー貯蔵システム40は、複数のエネルギー貯蔵モジュールを含み、エネルギー貯蔵モジュール42とエネルギー貯蔵モジュール44として2つが図示されている。ハイブリッドエネルギー貯蔵システム40は、2つ以上のエネルギー貯蔵モジュールを組み込まれてもよい。モジュールは、特定の性質、例えば、セルの構成、セルの化学反応、制御などを有する一組のセルであってもよい。
【0016】
内燃機関14で駆動される発電モードでは、トラクションモータ16を作動させることで、電気エネルギーをハイブリッドエネルギー貯蔵システム40に供給することができる。さらに、回生ブレーキモードでは、トラクションモータ16とトラクションモータ28との一方あるいは両方を作動させることで、ブレーキ中に、エネルギーをハイブリッドエネルギー貯蔵システム40に回収伝達することができる。また、プラグインインターフェース41を介したプラグインオプションを介して、エネルギーをハイブリッドエネルギー貯蔵システム40に供給することができる。
【0017】
ある実施形態では、ハイブリッドエネルギー貯蔵システム40は、第1電池システム部あるいはモジュール42と第2電池システム部あるいはモジュール44とが組み込まれたハイブリッド電池システムである。第1モジュール42は、第1電池構造を有し得、第2モジュール44は、第1電池構造とは異なる第2電池構造を有し得る。異なる電池構造とは、どれかあるいは全ての、セルの構成、セルの化学反応、セルの数、セルのサイズ、セルの連結、制御電子回路、および、対応する1つあるいは複数の部分に対して見た場合、同一パラメータとは異なり得る電池システムの部分と関連した他の設計パラメータを参照することを意味する。ある電子装置の近くに電池パックを配置することが好ましいかもしれない。そこで、42と44とは、必ずしも、40として同一の区画に導入されなくてもよい。
【0018】
図2は、単一の出力を提供するように、伝導性ストラップ46で電気的に連結されたパッケージ体としてモジュール42とモジュール44とを描いている。モジュール42と42とは、意図する用途で必要とされるように、直列あるいは並列に連結され得る。好ましい設計は、システムインテグレーション解析を介して決定され得る。
【0019】
図3で描かれるように、モジュール42あるいはモジュール44のどちらかのようなモジュールは、伝導性ストラップ50(1つを示す)で連結された各セル48(1つを示す)の集合物であってもよい。描いたように、セル48は、円筒形を有し、ニッケル水素、リチウム、あるいはその他のようなどんな適切な化学反応のものでもよい。しかし、セルは、鉛酸、リチウムフリー、銀、亜鉛、あるいは、後に解明される可能性があるとして、未だ理解も解明もなされていない化学反応を含む新興の化学反応を包含する実質的にどんな化学反応のものであってもよい。リチウムイオン(Liイオン)電池とニッケル水素(Ni−MH)電池とは、その高い重量電力(150W/kg対85W/kg)、および、広い動作環境温度(−40〜−65℃対−30〜−65℃)のため、好ましいシステムの2つである。また、セル48は、円筒型でなくともよく、角柱型あるいは他の適切な形態であってもよい。図5は、角柱型の形状を有し、ストラップ50’で直列に連結された複数のセル48’(1つを示す)を描いている。
【0020】
セル48は、電池である代わりに、実質的にどんな電気エネルギー貯蔵装置であってもよい。そこで、化学セルの代替物として、セル48は、蓄電器あるいは他の電気エネルギーを蓄えることのできる構造体であってもよい。代わりに、セルは、マイクロ燃料電池などの、エネルギー生産セルであってもよい。好ましい代替物は、高エネルギー貯蔵/電力生成装置であろう。
【0021】
図3は、端子50aと50bとでねじ付けされ得る、一連の伝導性ストラップ50で直列に連結されたセル48を描いている。しかし、セルは、並列に連結されてもよいし、あるいは、並列および直列の連結の組み合わせであってもよい。図4は、例えば、伝導性ストラップ50’で並列に接続されるセル48のグループ52を示す。セル48のグループ52は、直列に連結され、端子50aと50bとでねじ付けされ、あるいは、別の方法で連結され1つの出力を提供してもよい。図3〜5のそれぞれは、複数のセルを描き、実際、モジュール42と44とのそれぞれは、描かれたよりもかなり多いセルを含み得、各モジュールは、数ダースから実に数百ものセルを有し得る。そこで、ハイブリッドエネルギー貯蔵システムを形成する単一のモジュールでは、各セルは、直列、並列、あるいは/および、直列と並列との組み合わせで接合され得る。セルのグループは、そのグループ同士で直列に接続され、その後、並列に接続され得る。セルのグループは、そのグループ同士で並列に接続され、その後、直列に接続され得る。各貯蔵モジュール内で、各セルとグループの接合セルとの直列および並列の連結の全ての組み合わせが可能である。同様に、その後、貯蔵モジュールは、直列に、並列に、および/あるいは、直列と並列との組み合わせに接合され、あるいは、電気駆動系12に別々に連結されてもよい。
【0022】
エネルギー貯蔵システム12、モジュール42と44、および、最終的には、組み立てられ1つのモジュールを形成するセル48などの構成要素の規格では、数多くのパラメータが採用され得る。パラメータの多くは、必ずしもそれら全てのパラメータではないが、クック(他)、POWER (power optimization for wireless energy requirements): A MATLAB based algorithm for design of hybrid energy systems, Journal of Power Sources、2006年、159号、758〜780ページに記載されており、ここでは繰り返さない。パラメータは、電力プロファイル、セルプロファイル、セル体積、セル質量、容量低減、寿命、エネルギー、重み付け電力、体積エネルギー、重量エネルギー、体積電力、重量体積電力、重み付け重量エネルギー、および/あるいは、放電率を含み得る。最適化工程は、いくつかのパラメータを単独で、あるいは、他のパラメータと組み合わせて考慮することを含む1つ以上のこれらパラメータに焦点をあて表現することであり得る。例えば、設計者は、最適パラメータとして、質量、体積、表面積、動作温度、モジュール数、サイクル数、主および/または副セル化学反応の1つ以上の対象値を特定してもよい。好ましい最適パラメータは、電池の最小数、電池システムの最低総質量、最大重量エネルギー、および、最大重量電力を含む。
【0023】
適切な最適化法は、波形率、エネルギーと重量電力、寿命、および、環境条件を考慮に入れるものであり得る。さまざまなパラメータの1つ以上が制約値として設定され得る。例えば、電力プロファイル、システム体積、あるいは、システム質量が、最適化される他の決定パラメータによって制約され得る。結果生じるシステムは、本発明の実施形態によれば、システム動作に必要な動作エネルギー伝達を達成するため、違う化学反応、セル配置、および、連結(並列あるいは直列)、制御電子回路(増幅器、バッファ、変換器など)、体積、あるいは、質量を有する2つ以上のモジュールを含み得る。図1で示すように、モジュール42の体積は、モジュール44の体積よりも大きく、モジュール42とモジュール44との間では少なくとも1つの差異があることを示している。モジュール42とモジュール44との間の他の差異が、記載したように、モジュール42と44との間に存在してもよく、また、存在し得るだろう。
【0024】
特定の非制限的な例示、および、図1を再び参照することでモジュール42と44との間のありうる差異をさらに示すと、モジュール42は、それぞれがニッケル水素(Ni−MH)化学反応を有するN1個のセル48の集合物であり得る。モジュール44は、N2個のセルを利用するリチウムイオン(Liイオン)化学反応であってもよい。N1およびN2の値は、同じでもよいし、異なっていてもよい。それぞれの部分は、各電力および/あるいはパフォーマンス要求に対して最適化されてもよく、あるいは、代わりに、単一構造のパフォーマンスよりも優れた全体のパフォーマンスを提供するために共に動作するように最適化されてもよい。例えば、車両10用の一般的な電池システムと比較したとき、ハイブリッド電池システム12は、電気駆動系のエネルギー要求を満たしながら、質量と体積の減少を示し得る。一般的には、単一の電池化学反応のみが使用される。そこで、設計者は、エネルギー/重量電力などの、電圧と電流とを制限する選択された電池の特性によって制限される。本発明で提起されたハイブリッド電池システムの使用による減少は、単一の電気化学反応のみを選択する代わりに各電池システムの電力特性に基づいてエネルギー源を分割することに依拠する。高重量エネルギー電池システムは、モノリシックなシステムと比較して、大幅に全体の質量と体積とを減少することができるだろう。高重量電力電池システムは、まれな高電力動作条件で使用されるだろう。
【0025】
表1は、18650型の〜6800個のコバルト酸リチウム(LiCoO)に基づく単一セル構造のセルを使用した一般的な設計手法を考慮に入れた質量と体積を有する提起した電気車両電池パックのエネルギー要求、質量、および、体積を示す。2つのモジュールが組み込まれたハイブリッドエネルギー貯蔵システムを使用すると、約46%の質量の減少が達成され得る。第1モジュールは、18650型の〜2005個のリン酸鉄リチウム(LiFePO)円筒型セルを含み得、第2モジュールは、18650型の〜4780個のマンガン酸リチウム(LiMn)のセルを含み得る。元のシステム要求と比較した際、結果生じるハイブリッドエネルギーの総質量は290kg、総体積は115L、セル総数は6785である。さらに、ハイブリッド電池パックの推定寿命は、従来的な設計の約2倍であり、一方、一般的な設計のコストが28000ドルであるのに対し、ハイブリッド電池システムのコストは58000ドルである。
【0026】
【表1】

【0027】
前述の例は、本発明の実施形態によるハイブリッドエネルギー貯蔵システムの利点を示すために提供されたものであり、本発明を制限するものと解釈されるべきではない。多くの他の例は、記載されたシステムの要求を満たすこと、あるいは、異なるシステム要求を満たすことを想定され得る。
【0028】
本発明は、故障保護装置と連結して用いられ得るいくつかの好ましい実装組み立て品の実施形態に関して記載されているが、本発明はこうした装置に制限されるものではないと理解されるであろう。本発明概念は、いかなる数の装置および構造と連結して採用されてよい。さらに、種々の実施形態の特徴を組み合わせて例示し記載したが、これら特徴は、本発明の範囲内にあるこうした1つの実装のそれぞれに、別々に実装され得る。
【0029】
本開示は、種々の変形例と代替形態が可能であり、特定の実施形態を、図面および本明細書中に記載の実施形態において一例として示した。しかし、本開示は、本発明を記載した特定の形態に制限することを意図するものではなく、むしろ、本発明は、添付の請求項で規定される全ての変形例、代替例、および、等価例を含むことを意図するものである、と理解されるだろう。
【0030】
ある語が、本特許中で「本明細書中で用いられるように、ここで語『』は〜を意味するものと定義される」という文章あるいは類似の文章で明示的に定義されていない限り、その語の意味を、明示的であろうと暗示的であろうと、明白な通常の意味合いを越えて、制限する意図はなく、こうした語は、本特許の(請求項の言葉使いを除いて)いかなる段落のいかなる文章に基づく範囲にも限定されるものとして解釈されるべきではない。本特許の末尾の請求項で列挙されるいかなる語が本特許中で単一の意味で一貫して参照される範囲においても、それは読み手を混乱させないよう明瞭にするためになされるのであり、こうした請求項の語が、制限によって、暗示によって、あるいは、その他の方法によって、その一つの意味を意図するものではない。請求項の要素が「手段」という語といかなる構造の詳細も有しない機能とを列挙することで定義されない限り、いかなる請求項の要素の範囲も合衆国法典第35巻第112条第6段落の適用に基づいて解釈されることを意図するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分的なあるいは完全な電気駆動系を有する車両で使用され得るハイブリッドエネルギー貯蔵システムであって、
第1エネルギー貯蔵モジュールと第2エネルギー貯蔵モジュールとを具備し、
前記第1エネルギー貯蔵モジュールは前記第2エネルギー貯蔵モジュールとは異なり、
前記モジュールは、セルの構成、セルの化学反応、制御などの共通する特定の性質を有するセルあるいは一組のセルを含み、
前記システムは、2つの異なるモジュールからなり、異なる電気化学反応、構成、制御などが前記システムに含まれる、
ハイブリッドエネルギー貯蔵システム。
【請求項2】
前記第1エネルギーモジュールは、第1の組の活性材料から作られる電池を含み、前記第2エネルギーモジュールは、第2の組の活性材料から作られる電池を含む、請求項1に記載のハイブリッドエネルギーシステム。
【請求項3】
前記第1エネルギー貯蔵モジュールと前記第2エネルギー貯蔵モジュールとは、前記電気駆動系と連結された単一の出力を提供するため、連結され得る、請求項1に記載のハイブリッドエネルギー貯蔵システム。
【請求項4】
前記第1エネルギー貯蔵モジュールは第1セル構成を有し、前記第2エネルギー貯蔵モジュールは第2セル構成を有し、セル構成とは、波形率とセルの容量とを言い、前記第1セル構成は前記第2セル構成とは異なる、請求項1に記載のハイブリッドエネルギー貯蔵システム。
【請求項5】
第1セル化学反応と第2セル化学反応とが、ニッケル水素(Ni−MH)とリチウムイオンからなる群から選ばれる、請求項5に記載のハイブリッドエネルギー貯蔵システム。
【請求項6】
前記第1エネルギー貯蔵モジュールは第1の複数の電池セルを備え、前記第2エネルギー貯蔵モジュールは第2の複数の電池セルを備え、第2の複数の電池セルは第1の複数の電池セルとは異なる構成と数である、請求項1に記載のハイブリッドエネルギー貯蔵システム。
【請求項7】
前記第1エネルギー貯蔵モジュールは複数の電池を備え、前記第2エネルギー貯蔵モジュールは複数の蓄電器を備える、請求項1に記載のハイブリッドエネルギー貯蔵システム。
【請求項8】
前記ハイブリッドエネルギー貯蔵システムは標的パラメータを有し、前記第1エネルギー貯蔵モジュールと前記第2エネルギー貯蔵モジュールは前記標的パラメータに基づいて最適化される、請求項1に記載のハイブリッドエネルギー貯蔵システム。
【請求項9】
前記標的パラメータは、電力プロファイル、セルプロファイル、セル体積、セル質量、容量低減、寿命、エネルギー、重み付け電力、体積エネルギー、体積電力、重量体積電力、重量エネルギー、重み付け重量エネルギー、あるいは、放電率を含む、請求項1に記載のハイブリッドエネルギー貯蔵システム。
【請求項10】
前記標的パラメータは、ユーザに特定されるパラメータを備える、請求項1に記載のハイブリッドエネルギー貯蔵システム。
【請求項11】
前記ユーザに特定されるパラメータは、質量、体積、表面積、動作温度、モジュール数、サイクル数、主および/または副セル化学反応、および、形態を備える、請求項1に記載のハイブリッドエネルギー貯蔵システム。
【請求項12】
少なくとも1つの車輪を駆動するため連結された、トラクションモータと、
前記トラクションモータに連結された制御器と、
前記制御器に連結された、加速制御とブレーキ制御と、
前記制御器に連結された少なくとも2つの電力出力を有するハイブリッドエネルギー貯蔵システムと、
を具備する、少なくとも部分的な電気駆動系を有する車両。
【請求項13】
前記ハイブリッドエネルギー貯蔵システムは、例えば、車両が一定速度で、あるいは、約30mphより遅い速度で移動する際の、低需要動作条件で利用される第1電力出力を有し、例えば、車両が加速あるいは減速する場合の、高負荷あるいは高頻度負荷条件で利用され得る第2電力出力を有する、請求項12に記載の車両。
【請求項14】
前記ハイブリッドエネルギー貯蔵システムは、第1エネルギー貯蔵モジュールと第2エネルギー貯蔵モジュールとを備え、前記第1エネルギー貯蔵モジュールは前記第2エネルギー貯蔵モジュールとは異なり、前記第1と第2のエネルギー貯蔵モジュールは前記電気駆動系に連結される、請求項12に記載の車両。
【請求項15】
前記貯蔵モジュールは制御器に連結される、請求項12に記載の車両。
【請求項16】
車両の電気駆動系に電力を供給する方法であって、
そのハイブリッドエネルギー貯蔵システムが低需要動作条件で利用される第1電力出力と、高負荷あるいは高頻度負荷条件で利用される第2電力出力とを有する、ハイブリッドエネルギー貯蔵システムモジュールを提供する工程と、
前記ハイブリッドエネルギー貯蔵システムモジュールを制御器に連結する工程と、
前記制御器を介して、前記ハイブリッドエネルギー貯蔵システムモジュールから、電気エネルギーを前記電気駆動系に伝達する工程と、
を具備する方法。
【請求項17】
車両の第1動作特性と、前記第1特性とは異なる車両の第2動作特性とを決定する工程と、
前記第1動作特性に対して最適化された第1エネルギー貯蔵システムと、前記第2動作特性に対して最適化された第2エネルギー貯蔵システムとを特定する工程と、
ハイブリッドエネルギー貯蔵システムを形成するため、前記第1エネルギー貯蔵システムと前記第2エネルギー貯蔵システムとを連結する工程と、
前記ハイブリッドエネルギー貯蔵システムを車両内に載置する工程と、
を具備する、電気駆動系を有する車両内に電力システムを設計する方法。
【請求項18】
前記第1エネルギー貯蔵システムと前記第2エネルギー貯蔵システムとのそれぞれは、1組のセルを備え、かつ、特定の特性を有し、
前記第1エネルギー貯蔵システムと前記第2エネルギー貯蔵システムとを特定する工程は、前記第1エネルギー貯蔵システムと前記第2エネルギー貯蔵システムとのそれぞれの特定のセル特性を特定することを含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記特定のセル特性は、セル構成、セル化学反応、および、制御からなる群から選ばれる、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−539635(P2010−539635A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501288(P2010−501288)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/058940
【国際公開番号】WO2008/121982
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(509269805)ザ レジェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン (2)
【Fターム(参考)】