車両位置検出システム
【課題】本発明は、車両位置をより高精度で検出できる車両位置検出システムを提供することを課題とする。
【解決手段】自車の位置を検出することができる車両位置検出システム10において、自車に搭載され、GPS衛星からのGPS信号を受信するGPS受信部12と、自車に搭載され、交差点手前に配置される光ビーコンからの光ビーコン情報を受信する光ビーコン通信手段14と、自車に搭載され、光ビーコン通信手段14で光ビーコン情報を受信したら、この光ビーコンの情報に基づいて自車の位置を補正する中央処理装置19とを備えている。
【解決手段】自車の位置を検出することができる車両位置検出システム10において、自車に搭載され、GPS衛星からのGPS信号を受信するGPS受信部12と、自車に搭載され、交差点手前に配置される光ビーコンからの光ビーコン情報を受信する光ビーコン通信手段14と、自車に搭載され、光ビーコン通信手段14で光ビーコン情報を受信したら、この光ビーコンの情報に基づいて自車の位置を補正する中央処理装置19とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両位置検出システムに関し、特に、GPS(Global positioning system)信号および光ビーコン情報を利用して車両位置を検出する車両位置検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車の位置を検出する装置としてGPS信号を利用した装置が用いられていた(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特許第3773040号(図1、段落番号[0031])
【0003】
特許文献1の図1に示されるように、アンテナATgps(符号は特許文献1に記載のものを使用。)を介してGPS信号を受信したDGPS13は自車の現在位置を測位する。
ところで、GPS信号に基づいて検出される位置の誤差は30メートルと言われている。検出された位置と実際の位置との誤差を小さくすることが期待されるところである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、車両位置をより高精度で検出できる車両位置検出システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、自車の位置を検出することができる車両位置検出システムにおいて、自車に搭載され、GPS衛星からのGPS信号を受信するGPS受信部と、自車に搭載され、交差点手前に配置される光ビーコンからの光ビーコン情報を受信する光ビーコン通信手段と、自車に搭載され、光ビーコン通信手段で光ビーコン情報を受信したら、この光ビーコンの情報に基づいて自車の位置を補正する中央処理装置とを備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明は、光ビーコン情報は、自車が走行する走行線を内容とする自車線情報と、当該光ビーコンの位置座標を内容とする位置座標情報とを含むことを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る発明は、中央処理装置は、光ビーコン通信手段が光ビーコン情報の位置座標情報を受信した後、所定条件内では、光ビーコン通信手段で受信した光ビーコン情報に基づいて自車位置を演算すると共に、自車位置を記憶手段に記憶する又は演算した自車位置を表示部に表示することを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る発明は、中央処理装置は、光ビーコン通信手段が光ビーコン情報の位置座標情報を受信した後、所定条件内では、位置座標情報の座標を基点とした自立航法による自車位置を優先し、所定条件から外れたら、GPS受信部で受信したGPS信号に基づいて演算される自車位置を優先することを特徴とする。
【0009】
請求項5に係る発明は、中央処理装置は、光ビーコン情報の位置座標情報を他車と交換する通信手段を備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項6に係る発明は、中央処理装置は、光ビーコン情報の位置座標情報に基づいて定めた自車位置と、通信手段で受信され、光ビーコン情報の位置座標情報に基づいて定めた他車位置とに基づいて、自車と他車との近接予測を行う車両近接予測手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、自車に搭載された光ビーコン通信手段で光ビーコン情報を受信したら、この光ビーコンの情報に基づいて自車の位置を補正する中央処理装置とを備えた。
光ビーコンは、地上に固定的に設置されているため、自己の位置については極めて正確な位置情報を発することができる。このような光ビーコン情報に基づいて自車の位置を補正するため、自車位置を高精度に検出することができるという利点がある。
【0012】
請求項2に係る発明では、光ビーコン情報は、自車が走行する走行線を内容とする自車線情報と、当該光ビーコンの位置座標を内容とする位置座標情報とを含む。特に、自車線情報に基づいて自車がどの車線を走行しているかが明確になる。車線が明確になれば、並走している他車や対向する他車との相互位置を明確化するときに有効である。
【0013】
請求項3に係る発明では、中央処理装置は、光ビーコン通信手段が光ビーコン情報の位置座標情報を受信した後、所定条件内では、光ビーコン通信手段で受信した光ビーコン情報に基づいて自車位置を演算すると共に、自車位置を記憶手段に記憶する又は演算した自車位置を表示部に表示する。
GPS受信部を有しているが、光ビーコン情報を受けたときには、この光ビーコン情報を優先する。一定時間内や一定距離内など所定条件内であれば、GPS情報に切り替えないで走行を維持する。これにより、GPS情報により位置検出よりも高い精度の自車位置検出が得られる。
【0014】
請求項4に係る発明では、中央処理装置は、光ビーコン通信手段が光ビーコン情報の位置座標情報を受信した後、所定条件内では、位置座標情報の座標を基点とした自立航法による自車位置を優先し、所定条件から外れたら、GPS受信部で受信したGPS信号に基づいて演算される自車位置を優先する。そのため、所定条件内では、GPS誤差のない精度の高い自車位置を検出することができ、所定条件から外れたら、自立航法において生じた位置の誤差よりも小さな誤差で位置を検出することができる。
【0015】
請求項5に係る発明では、中央処理装置は、光ビーコン情報の位置座標情報を他車と交換する通信手段を備えているため、GPS誤差のない正確な自車位置座標を、車両間で交換可能になる。地図情報を持っていない車両同士であっても、交差点情報の共有、つまり注目車両の抽出が可能になる。
【0016】
請求項6に係る発明では、中央処理装置は、光ビーコン情報の位置座標情報に基づいて定めた自車位置と、通信手段で受信され、光ビーコン情報の位置座標情報に基づいて定めた他車位置とに基づいて、自車と他車との近接予測を行う車両近接予測手段を備えたため、高精度で自車と他車との近接予測を行うことができ、警報などで乗員に知らせることにより、近接を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、四輪車両Aに搭載される本発明に係る車両位置検出システムのブロック図である。車両位置検出システム10は、自車の位置を検出することができるシステムであり、アンテナ11を備えたGPS(Global positioning system)受信部12と、光ビーコンを受ける受光部13を備えた光ビーコン通信手段14と、自車の方位を検出するジャイロセンサ16及び車速センサ17を備えて自車の進行方向や移動速度を制御する慣性航法システム(INS)15と、地図を含むナビゲーション(NAVI)システム18と、このナビゲーション(NAVI)システム18や光ビーコン通信手段14から情報を得て情報を処理する中央処理装置19を備えている。
【0018】
また、車両位置検出システム10は、アンテナ20を備えた他車との通信手段21と、車両情報インターフェース(I/F)22を備えている。さらに、車両位置検出システム10は、HUD(Head Up Display)23と表示部24と音声情報再生手段25を備えている。また、中央処理装置19は記憶手段26と車両近接予測手段27を備えている。
【0019】
図2は、当該車両位置検出システムの四輪車両A上への搭載例を示した斜視図であり、四輪車両Aのダッシュボード上面2a(1はボンネット)には、GPS信号を受信するアンテナ11が取り付けられ、インストルメント・パネル2には、HUD23と表示部24と音声情報再生手段25が取り付けられる。また、ルーフ3の上部には、光ビーコン情報をのせた近赤外光などの光信号を受光する受光部13と、他者との通信のためのアンテナ20が取り付けられている。
【0020】
さらに、四輪車両Aの後部には、GPS受信部12と光ビーコン通信手段14と慣性航法システム(INS)15とジャイロセンサ16とナビゲーション(NAVI)システム18と中央処理装置19と他車との通信手段21と車両情報インターフェース(I/F)22がボックス7に納められ搭載される。また、中央処理装置19は記憶手段26と車両近接予測手段27を備えている。さらに車輪8,9の近傍には車速センサ17が取り付けられている。
【0021】
以下、図1に戻り、車両位置検出システム10の各ブロックの機能を説明する。
GPS受信部12は、複数の人工衛星であるGPS衛星からのGPS信号を受信するための装置である。GPS受信部12は、通常のGPSでもよいし、D−GPS(Differential GPS)などであってもよい。
【0022】
光ビーコン通信手段14は、幹線道路の交差点手前に配置される光ビーコンからの近赤外光等にのせた光ビーコン情報を受光部13を介して受信する装置である。この光ビーコン通信手段14は、光ビーコン情報の受信だけでなく、光ビーコンに情報を送信できる手段でもよい。この光ビーコン通信手段14で受信する光ビーコン情報は、自車が走行する走行線を内容とする自車線情報と、光ビーコンの位置座標を内容とする位置座標情報を含んでいる。
【0023】
ジャイロセンサ16は、自車のヨーレートを検出する装置である。車速センサ17は、自車の車輪の回転パルスを元に自車両の車速を検出する装置である。慣性航法システム(INS)15は、ジャイロセンサ16からのヨーレート値と、車速センサ17からの車速値とから、自車の現在位置を推定演算する装置である。ナビゲーション(NAVI)システム18は、測位された現在位置を電子地図上にマッピングする装置である。
【0024】
他車との通信手段21は、アンテナ20を介して車両間で直接通信(車車間通信)する装置である。この装置は、近傍に他車や道路側の無線通信設備がない場合でも、一定のインターバルで自車位置や自車の種類を送信する。なお、通信手段として、道路側の中継を経る(路車間通信、または車路車間通信)を行う装置でもよい。
【0025】
HUD(Head Up Display)23は、相手車両に関する情報を周辺視野内に表示する装置である。表示部24は、ナビ情報や各種の操作画面、車両情報等を表示する装置である。音声情報再生手段25は、音声メッセージや警告音を発生する装置である。
【0026】
中央処理装置19は、全体の装置の制御を中心的に司る装置であり、また、自車に搭載され、光ビーコン通信手段14で光ビーコン情報を受信したら、この光ビーコンの情報に基づいて自車の位置を補正する機能を有している。さらに、中央処理装置13は、光ビーコン通信手段14が光ビーコン情報の位置座標情報を受信した後、所定条件内では、光ビーコン通信手段14で受信した光ビーコン情報に基づいて自車位置を演算すると共に演算した自車位置を表示部24に表示する又は自車位置を記憶手段26に記憶する。
【0027】
また、中央処理装置19は、光ビーコン通信手段が光ビーコン情報の位置座標情報を受信した後、所定条件内では、位置座標情報の座標を基点とした自立航法による自車位置を優先し、所定条件から外れたら、GPS受信部12で受信したGPS信号に基づいて演算される自車位置を優先する。
【0028】
さらに、中央処理装置19は、光ビーコン情報の位置座標情報を他車と交換する通信手段21を備えている。また、中央処理装置19は、光ビーコン情報の位置座標情報に基づいて定めた自車位置と、通信手段21で受信され、光ビーコン情報の位置座標情報に基づいて定めた他車位置とに基づいて、自車と他車との近接予測を行う車両近接予測手段27を備えている。
【0029】
図3は、二輪車両Bに搭載される本発明に係る車両位置検出システムのブロック図である。車両位置検出システム30は、アンテナ31を備えたGPS受信部32と受光部33を備えた光ビーコン通信手段34と慣性航法システム(INS)35とジャイロセンサ36と車速センサ37を備えている。また、車両位置検出システム30は、中央処理装置38とアンテナ39を備えたと他車との通信手段40と車両情報インターフェース(I/F)41を備えている。
【0030】
さらに、車両位置検出システム30は、HUD(Head Up Display)42と音声情報提供装置43を備えている。また、この二輪車両に乗る人のヘルメット44は、音声受信機45とスピーカ46を備えている。音声情報提供装置43と音声受信機45との間は、無線通信手段、例えばBluetooth通信手段で接続される。また、中央処理装置38は、記憶手段47と車両近接予測手段48を備えている。
【0031】
図4は、車両位置検出システムの二輪車両B上への搭載例を示した斜視図である。二輪車両のフロントカバー4には、GPS信号を受信するアンテナ31と他車との通信に用いられるアンテナ39が取り付けられ、メータペゼル5a(メータペゼル5aの前方にはスクリーン5がある)には、光ビーコン情報をのせた近赤外光などの光信号を受光する受光部33とHUD42が取り付けられている。
【0032】
また、シート6の下部には、GPS受信部32と光ビーコン通信手段34と慣性航法システム(INS)35とジャイロセンサ36と中央処理装置38と他車との通信手段40と車両情報インターフェース(I/F)41と音声情報提供装置43が搭載されている。中央処理装置38は記憶手段47と車両近接予測手段48を備えている。ヘルメット44には、音声受信機45とスピーカ46が取り付けられている。また、前後輪の近傍には車速センサ37a,37bが取り付けられている。本システムでは、車速センサ37a,37bの少なくともどちらか一方を用いる。
【0033】
以下、図3に戻り、車両位置検出システムの各ブロックの機能を説明する。
GPS受信部32は、複数の人工衛星であるGPS衛星からのGPS信号を受信するための装置である。GPS受信部32は、通常のGPSでもよいし、D−GPS(DifferentialGPS)などであってもよい。
【0034】
光ビーコン通信手段34は、幹線道路の交差点手前に配置される光ビーコンからの近赤外光等にのせた光ビーコン情報を受光部33を介して受信する装置である。この光ビーコン通信手段34は、光ビーコン情報の受信だけでなく、光ビーコンに情報を送信できる手段でもよい。この光ビーコン通信手段34で受信する光ビーコン情報は、自車が走行する走行線を内容とする自車線情報と、光ビーコンの位置座標を内容とする位置座標情報を含んでいる。
【0035】
ジャイロセンサ36は、自車のヨーレートを検出する装置である。車速センサ37は、車輪の回転パルスを元に自車両の車速を検出する装置である。慣性航法システム(INS)35は、ジャイロセンサ36からのヨーレート値と、車速センサ37からの車速値とから、自車の現在位置を推定演算する装置である。
【0036】
他車との通信手段40は、車両間で直接通信(車車間通信)する装置である。この装置は、近傍に他車や道路側の無線通信設備がない場合でも、一定のインターバルで自車位置や自車の種類を送信する。なお、通信手段として、道路側の中継を経る(路車間通信、または車路車間通信)を行う装置でもよい。HUD(Head Up Display)42は、相手車両に関する情報を周辺視野内に表示する装置である。
【0037】
音声情報提供装置43は、音声メッセージや警告音などの音声情報を、例えば、Bluetoothなど無線通信手段でヘルメット44に備えられた音声受信機45に送信する装置である。ヘルメット44に備えられた音声受信機45は、音声情報提供装置43から送信された音声メッセージや警告音などの音声情報を受信し、スピーカ46によって音声メッセージや警告音を発生させる。
【0038】
中央処理装置38は、全体の装置の制御を中心的に司る装置であり、また、自車に搭載され、光ビーコン通信手段34で光ビーコン情報を受信したら、この光ビーコンの情報に基づいて自車の位置を補正する機能を有している。さらに、中央処理装置38は、光ビーコン通信手段34が光ビーコン情報の位置座標情報を受信した後、所定条件内では、光ビーコン通信手段34で受信した光ビーコン情報に基づいて自車位置を演算すると共に演算した自車位置を表示部に表示する又は自車位置を記憶手段47に記憶する。
【0039】
また、中央処理装置38は、光ビーコン通信手段34が光ビーコン情報の位置座標情報を受信した後、所定条件内では、位置座標情報の座標を基点とした自立航法による自車位置を優先し、所定条件から外れたら、GPS受信部32で受信したGPS信号に基づいて演算される自車位置を優先する。
【0040】
さらに、中央処理装置38は、光ビーコン情報の位置座標情報を他車と交換する通信手段40を備えている。また、中央処理装置38は、光ビーコン情報の位置座標情報に基づいて定めた自車位置と、通信手段40で受信され、光ビーコン情報の位置座標情報に基づいて定めた他車位置とに基づいて、自車と他車との近接予測を行う車両近接予測手段48を備えている。
【0041】
図5は、四輪車両AのGPS受信部12と光ビーコン通信手段14と慣性航法システム(INS)15とナビゲーション(NAVI)システム18における測位機能の主要部の構成を示したブロック図であり、図1と同一の符号は同一または同等部分を表している。
GPS受信部12において、GPS測位部121は、複数のGPS電波の受信時刻に基づいて現在位置を周期的に測位する。測位結果記憶部122には、最新の測位結果が記憶される。
【0042】
光ビーコン通信手段14において、光ビーコン情報取得部141は、受信した光ビーコン信号から光ビーコンの位置情報と自車線情報と交差点情報を取得する。情報記憶部142には、光ビーコンの位置座標情報と自車線情報と交差点情報が記憶される。
【0043】
慣性航法システム(INS)15の走行ベクトル算出部151は、車速センサ17により検知された車速およびジャイロセンサ16により検知された方位に基づいて、自車両の走行ベクトル(車速および進行方向)を算出する。INS演算部152は、自車両の現在位置を、測位結果および走行ベクトルに基づいて、現在位置が始点として登録された走行ベクトル(以下、走行位置ベクトルと表現する)として周期的に算出する。算出結果は更新部153により、走行位置ベクトル記憶部154へ更新登録される。
【0044】
NAVIシステム18において、マッピング部181は、地図上位置更新部182から通知される自車の現在位置および地図データベース(DB)183に予め記憶されている電子地図情報に基づいて、現在位置を電子地図上にマッピングし、これを地図上位置更新部182へ通知する。地図上位置更新部182は、通知された自車の地図上位置を地図上位置記憶部184へ登録する。地図上位置および走行位置ベクトルは中央処理装置19へ提供される。また、光ビーコン通信手段14からVICS(Vehicle Information and Communication System)情報を受け取りVICS情報処理部185で処理し、中央処理装置19に送る。
【0045】
図6は、二輪車両Bに搭載されるGPS受信部32と光ビーコン通信手段34と慣性航法システム(INS)35の主要部の構成を示したブロック図であり、図3と同一の符号は同一または同等部分を表している。
GPS測位部321は、複数のGPS電波の受信時刻に基づいて現在位置を周期的に測位する。測位結果記憶部322には最新の測位結果が記憶される。
【0046】
光ビーコン通信手段34において、光ビーコン情報取得部341は、受信した光ビーコン信号から光ビーコンの位置情報と自車線情報と交差点情報を取得する。情報記憶部342には、光ビーコンの位置座標情報と自車線情報と交差点情報が記憶される。
【0047】
走行ベクトル算出部351は、車速センサ37により検知された車速およびジャイロセンサ36により検知された方位に基づいて、自車両の走行ベクトルを算出する。INS演算部352は、測位結果および走行ベクトルに基づいて自車両の走行ベクトルを周期的に算出する。算出結果は更新部353により走行位置ベクトル記憶部354へ更新登録される。
【0048】
次に本実施形態の車両位置検出システムを利用するときの手順と各装置での処理を図7〜図12を用いて詳細に説明する。また図7は、道路での車両の位置を示す図である。図7において、符号50は道路、符号51A,51Bは光ビーコン、符号52はGPS衛星、符号53は、光ビーコンを受信する前の車両、符号54は、光ビーコンを受信したときの車両、符号55は、光ビーコンを受信した後、所定の条件以外の範囲での車両を示す。また、符号56は他車(二輪車両)を示す。
【0049】
まず、図7に示すように、光ビーコンを受信する前の車両53での車両位置検出システムの動作を図8のフローチャートにより説明する。
ステップS11:GPS測位部121は、GPS衛星信号から自車位置を算出する。
ステップS12:慣性航法システム(INS)15は、GPS測位結果と、ジャイロセンサ16、車速センサ17からの信号を元に、GPS衛星信号の周期(1秒)よりも短い周期(例えば100m秒毎)で自車位置を推定する。
ステップS13:他車との通信手段21は、推定された自車位置を間欠的(例えば100m秒毎)に、周囲に送信している。
【0050】
次に、図7の車両54に示すように車両が自車線上の光ビーコン51からの信号を受信した場合の動作を図9のフローチャートで説明する。
ステップS21:車両の光ビーコン通信手段14が、道路上の光ビーコン51Aからの光ビーコン情報を受信する。
ステップS22:光ビーコン通信手段14は、光ビーコン51Aから送られてくるデータから、ビーコン受信地点の測量済み位置座標、自車線情報(車線番号)、進行方向前方の交差点の座標(ノードデータ)、その交差点に接続する道路情報(リンクデータ)などを抽出処理する。
ステップS23:抽出した各情報を中央処理装置19及び/又はINS15へ送る。
【0051】
なお、光ビーコン通信手段14は光ビーコン51Aからの信号を復調したデータ列をそのまま中央処理装置19及び/又はINS15に送るだけとしてもよい。その場合は、データ抽出処理を中央処理装置19及び/又はINS15が行うこととする。
【0052】
なお、光ビーコンの送受信範囲は概ね、一辺が約3.5mの矩形範囲内である。一方、道路規格上(道路構造令による)の車線幅は光ビーコンの設置が多い幹線道などでは約3.5m、小型道路では3.25mである。従って隣車線の位置座標を間違って受信することは少ない。
【0053】
なお、もし同時に2つの光ビーコン信号を受信した場合、中央処理装置19は、自車が車線区分線上またはその近傍を走行していると判断し、隣り合う二車線それぞれの測量済み座標の中間地点を通過したものとして処理する。
【0054】
ステップS24:INS15は、(GPS測位結果に代えて)測量済み座標と、ジャイロセンサ16、車速センサ17からの信号を元に、所定の周期(例えば100m秒毎)で自車位置を推定する。
ステップS25:他車との通信手段21は、推定された自車位置を間欠的(例えば100m秒毎)に、周囲に送信する。
同時に、自車線情報もあわせて送信することで、これを受信した他車が注目車両の抽出を行う際の助けとすることができる。
【0055】
次に、図7で示すように他車との通信手段21により他車(二輪車両)56からの他車信号を受信したとき動作を図10のフローチャートで説明する。
ステップS31:車両54は、光ビーコン通信手段14が光ビーコン51Aから光ビーコン情報を受信する。
ステップS32:他車への通信手段21により交差点位置、走行位置ベクトルを送信する。
【0056】
ステップS41:二輪車両56は、光ビーコン通信手段34が光ビーコン51Bから光ビーコン情報を受信する。
ステップS42:他車との通信手段40により他車信号を受信したか否かを調べる。受信していなければ、受信を待つ。受信していれば、次のステップS43に進む。
【0057】
ステップS43:光ビーコン情報に基づく測位結果に基づいて自車両の現在位置を正確に特定し、その走行位置ベクトルを求める。
【0058】
ステップS44:自車両の走行位置ベクトルおよび各交差点の座標に基づいて、自車両が接近中の交差点を同定する。
ステップS45:自車両の走行位置ベクトルおよび接近中の交差点の座標を、自車両のID、推定位置、自車状態などと共に送信する。
【0059】
ステップS33:四輪車両54が、二輪車両56から送信された信号を受信したか否かを調べる。受信していなければ、受信を待つ。受信していれば、次のステップS34に進む。
ステップS34:走行位置ベクトル記憶部154に登録されている自車両の走行位置ベクトルと各車両から通知された走行位置ベクトルとに基づいて、自車両と交差する可能性のある全ての車両を注目車両として抽出する。
【0060】
以上の説明の特徴的な部分として、光ビーコン受信直後にGPS測位から測量済み座標を基点とした自立航法に切り替えている。
【0061】
次に、図7の符号55で示す車両位置のように光ビーコン51Aからの情報を受信してから十分な時間や走行距離が経過した場合について説明する。
図11は、時間や距離などが経過したときの実際の位置と推定される位置との誤差量の時間変化を示すグラフである。曲線C10はGPSに基づく位置の誤差を示し、曲線C11は、光ビーコンを受信した後の自立航法での実際の位置との誤差の時間変化を示す。
【0062】
原点は、光ビーコンを受信した時点を示す。図11から分かるように光ビーコンを受信した直後から暫くの間は、測量済み座標を基点に自立航法を行う方がGPS測位結果よりも座標精度が高いことを期待できる。しかし十分な時間や走行距離、あるいは右左折(進路の変更)を経ると自立航法は集積誤差が大きくなり、GPS測位誤差を上回る。図11では、このタイミングをLで示す。このため光ビーコン受信から一定時間や距離などが経過したら、自車位置をGPS測位(を基にした自立航法)に戻す必要がある。
【0063】
このタイミングLを決める手法として次の4つの手法が考えられる。
手法1(距離式)は、光ビーコン情報から得られた基点となった測量済み座標から一定距離走行をトリガーとして、GPS測位に戻す手法である。一定距離の値として、例えば1000メートルとすることができる。
【0064】
手法2(時間式)は、光ビーコン情報から得られた基点となった測量済み座標の受信時刻から一定時間したら、GPS測位に戻す手法である。一定距離の値として、例えば10分間とすることができる。
【0065】
手法3(右左折累積式)は、光ビーコン情報から得られた基点となった測量済み座標からの左右方向への進路変更角度、および回数の累積値が所定値を超えたら、GPS測位に戻す手法である。
【0066】
手法4(距離・時間・右左折複合式)
上記手法の1〜3までを併用する。論理和としてもよいし、条件式を用いてもよい。
条件式の例として、次の(1)式が考えられる。
ΔE≦ΔL+ΔT+N・A (1)
ここで、ΔE:閾値、ΔL:基点からの距離指数、ΔT:受信時刻からの経過時間指数、N:進路変更回数指数。例えば所定の角速度の進路変移が2秒以上継続したら1回とする。A:進路変更角度。例えば、回数1回あたりの変移角度の絶対値を累積する。
【0067】
以上の4つの手法でGPS測位に戻すことにより、誤差量の少ない測位法で位置を決定することができる。
【0068】
次に、車両近接予測手段の動作を図12のフローチャートにより説明する。
ステップS51:四輪車両54は、光ビーコン情報を受信する。
ステップS52:通信リンクが確立されている全ての車両に対して、認識した全ての交差点の座標および自車両の走行位置ベクトルを、自車両のID、推定位置、交差点までの到達時間、受信台数、自車状態(ブレーキ、ターンシグナル等)と共に、データとして送信する。IDには、自車両に固有の識別情報が、自車両の種別(二輪車および四輪車の別など)と共に予め登録されている。
【0069】
ステップS61:二輪車両56は、光ビーコン51Bから光ビーコン情報を受信する。
ステップS62:二輪車両56が、四輪車両54から送信されたデータを受信したか否かを調べる。受信していなければ、受信を待つ。受信していれば、次のステップS63に進む。
ステップS63:光ビーコン情報に基づく測位結果に基づいて自車両の現在位置を正確に特定し、その走行位置ベクトルを求める。
【0070】
ステップS64:自車両の走行位置ベクトルおよび各交差点の座標に基づいて、自車両が接近中の交差点を同定する。
ステップS65:自車両の走行位置ベクトルおよび接近中の交差点の座標を、自車両のID、推定位置、自車状態などと共に送信する。
ステップS53:四輪車両54が、二輪車両56から送信された信号を受信したか否かを調べる。受信していなければ、受信を待つ。受信していれば、次のステップS54に進む。
【0071】
ステップS54:走行位置ベクトル記憶部154に登録されている自車両の走行位置ベクトルと各車両から通知された走行位置ベクトルとに基づいて、自車両と交差する可能性のある全ての車両を注目車両として抽出する。
ステップS55:注目車両が二輪車両であるか否かがIDに基づいて判定される。
ステップS56:注目車両が二輪車両であれば、当該車両の現在位置を表すシンボルを、自車両のシンボルや他の注目車両のシンボルと共に、NAVI表示部16上で強調表示する。
【0072】
ステップS57:抽出した全ての注目車両を対象に、自車両および各他車両が交差点へ到達する時刻に基づいて、軌跡交差条件が成立するか否かを判定する。例えば、自車両(四輪車両54)が交差点に到達する時刻をt2、注目車両(二輪車両56)が交差点に到達する時刻をt3としたときに、次式(2)が成立すれば軌跡公差条件が成立すると判定される。
|t2−t3|≦tREF (2)
ただし、tREFは所定の基準時間差である。
ステップS58:軌跡交差条件の成立した車両が存在すると、注意喚起のシンボルをHUDに表示させる。
ステップS59:スピーカからも警報音や音声メッセージを出力させる。
【0073】
ステップS66:二輪車両56は、自車両の走行位置ベクトルを送信した後、HUDに注意喚起のシンボルを表示する。
ステップS67:音声送信機から運転者のヘルメットに対して、注意喚起のための音声メッセージや警告音等を出力する。
【0074】
本実施形態によれば、NAVIシステムを搭載しない車両も、光ビーコンから提供される情報に基づいて交差点の位置および他車両の位置を認識できるようになる。
【0075】
なお、光ビーコンから送信するデータのうち車線毎の測量済み座標に関しては、D−GPSの補正値更新データを代わりに送信しても良い。この場合は、各車両がD−GPSシステムを採用することとなる。
【0076】
なお、車両同士で直接的な情報交換通信をするのではなく、光ビーコンが送受信の双方向通信機能を持っていることを利用してもよい。
この場合、交差点側に流出入車両識別システムを持たせて、このシステムに光ビーコンと一斉同報無線通信手段とを接続し、各車両から光ビーコン下の通過時に自車情報を流出入車両識別システムに通知させ、流出入車両識別システムは通知された流出入車両をまとめて一斉同報無線通知手段により交差点近傍の車両に通知することとする。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、車両の位置を検出する車両位置検出システムとして利用される。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】四輪車両Aに搭載される本発明に係る車両位置検出システムのブロック図である。
【図2】車両位置検出システムの四輪車両A上への搭載例を示した斜視図である。
【図3】二輪車両Bに搭載される本発明に係る車両位置検出システムのブロック図である。
【図4】車両位置検出システムの二輪車両B上への搭載例を示した斜視図である。
【図5】四輪車両AのGPS受信部と光ビーコン通信手段と慣性航法システムとナビゲーション(NAVI)システムにおける測位機能の主要部の構成を示したブロック図である。
【図6】二輪車両Bに搭載されるGPS受信部と光ビーコン通信手段と慣性航法システムの主要部の構成を示したブロック図である。
【図7】道路での車両の位置を示す図である。
【図8】光ビーコン情報を受信する前の車両での車両位置検出システムの動作を示すフローチャートである。
【図9】光ビーコン情報を受信した場合の動作を示すフローチャートである。
【図10】他車信号を受信したときの動作を示すフローチャートである。
【図11】時間や距離などが経過したときの実際の位置と推定される位置との誤差量の時間変化を示すグラフである。
【図12】車両近接予測手段の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0079】
10…車両位置検出システム、11…アンテナ、12…GPS受信部、13…受発光部、14…光ビーコン通信手段、15…慣性航法システム(INS)、16…ジャイロセンサ、17…車速センサ、18…ナビゲーション(NAVI)システム、19…中央処理装置、20…アンテナ、21…他車との通信手段、22…車両情報インターフェース(I/F)、23…HUD、24…表示部、25…音声情報再生手段、26…記憶手段、27…車両近接予測手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両位置検出システムに関し、特に、GPS(Global positioning system)信号および光ビーコン情報を利用して車両位置を検出する車両位置検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車の位置を検出する装置としてGPS信号を利用した装置が用いられていた(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特許第3773040号(図1、段落番号[0031])
【0003】
特許文献1の図1に示されるように、アンテナATgps(符号は特許文献1に記載のものを使用。)を介してGPS信号を受信したDGPS13は自車の現在位置を測位する。
ところで、GPS信号に基づいて検出される位置の誤差は30メートルと言われている。検出された位置と実際の位置との誤差を小さくすることが期待されるところである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、車両位置をより高精度で検出できる車両位置検出システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、自車の位置を検出することができる車両位置検出システムにおいて、自車に搭載され、GPS衛星からのGPS信号を受信するGPS受信部と、自車に搭載され、交差点手前に配置される光ビーコンからの光ビーコン情報を受信する光ビーコン通信手段と、自車に搭載され、光ビーコン通信手段で光ビーコン情報を受信したら、この光ビーコンの情報に基づいて自車の位置を補正する中央処理装置とを備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明は、光ビーコン情報は、自車が走行する走行線を内容とする自車線情報と、当該光ビーコンの位置座標を内容とする位置座標情報とを含むことを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る発明は、中央処理装置は、光ビーコン通信手段が光ビーコン情報の位置座標情報を受信した後、所定条件内では、光ビーコン通信手段で受信した光ビーコン情報に基づいて自車位置を演算すると共に、自車位置を記憶手段に記憶する又は演算した自車位置を表示部に表示することを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る発明は、中央処理装置は、光ビーコン通信手段が光ビーコン情報の位置座標情報を受信した後、所定条件内では、位置座標情報の座標を基点とした自立航法による自車位置を優先し、所定条件から外れたら、GPS受信部で受信したGPS信号に基づいて演算される自車位置を優先することを特徴とする。
【0009】
請求項5に係る発明は、中央処理装置は、光ビーコン情報の位置座標情報を他車と交換する通信手段を備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項6に係る発明は、中央処理装置は、光ビーコン情報の位置座標情報に基づいて定めた自車位置と、通信手段で受信され、光ビーコン情報の位置座標情報に基づいて定めた他車位置とに基づいて、自車と他車との近接予測を行う車両近接予測手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、自車に搭載された光ビーコン通信手段で光ビーコン情報を受信したら、この光ビーコンの情報に基づいて自車の位置を補正する中央処理装置とを備えた。
光ビーコンは、地上に固定的に設置されているため、自己の位置については極めて正確な位置情報を発することができる。このような光ビーコン情報に基づいて自車の位置を補正するため、自車位置を高精度に検出することができるという利点がある。
【0012】
請求項2に係る発明では、光ビーコン情報は、自車が走行する走行線を内容とする自車線情報と、当該光ビーコンの位置座標を内容とする位置座標情報とを含む。特に、自車線情報に基づいて自車がどの車線を走行しているかが明確になる。車線が明確になれば、並走している他車や対向する他車との相互位置を明確化するときに有効である。
【0013】
請求項3に係る発明では、中央処理装置は、光ビーコン通信手段が光ビーコン情報の位置座標情報を受信した後、所定条件内では、光ビーコン通信手段で受信した光ビーコン情報に基づいて自車位置を演算すると共に、自車位置を記憶手段に記憶する又は演算した自車位置を表示部に表示する。
GPS受信部を有しているが、光ビーコン情報を受けたときには、この光ビーコン情報を優先する。一定時間内や一定距離内など所定条件内であれば、GPS情報に切り替えないで走行を維持する。これにより、GPS情報により位置検出よりも高い精度の自車位置検出が得られる。
【0014】
請求項4に係る発明では、中央処理装置は、光ビーコン通信手段が光ビーコン情報の位置座標情報を受信した後、所定条件内では、位置座標情報の座標を基点とした自立航法による自車位置を優先し、所定条件から外れたら、GPS受信部で受信したGPS信号に基づいて演算される自車位置を優先する。そのため、所定条件内では、GPS誤差のない精度の高い自車位置を検出することができ、所定条件から外れたら、自立航法において生じた位置の誤差よりも小さな誤差で位置を検出することができる。
【0015】
請求項5に係る発明では、中央処理装置は、光ビーコン情報の位置座標情報を他車と交換する通信手段を備えているため、GPS誤差のない正確な自車位置座標を、車両間で交換可能になる。地図情報を持っていない車両同士であっても、交差点情報の共有、つまり注目車両の抽出が可能になる。
【0016】
請求項6に係る発明では、中央処理装置は、光ビーコン情報の位置座標情報に基づいて定めた自車位置と、通信手段で受信され、光ビーコン情報の位置座標情報に基づいて定めた他車位置とに基づいて、自車と他車との近接予測を行う車両近接予測手段を備えたため、高精度で自車と他車との近接予測を行うことができ、警報などで乗員に知らせることにより、近接を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、四輪車両Aに搭載される本発明に係る車両位置検出システムのブロック図である。車両位置検出システム10は、自車の位置を検出することができるシステムであり、アンテナ11を備えたGPS(Global positioning system)受信部12と、光ビーコンを受ける受光部13を備えた光ビーコン通信手段14と、自車の方位を検出するジャイロセンサ16及び車速センサ17を備えて自車の進行方向や移動速度を制御する慣性航法システム(INS)15と、地図を含むナビゲーション(NAVI)システム18と、このナビゲーション(NAVI)システム18や光ビーコン通信手段14から情報を得て情報を処理する中央処理装置19を備えている。
【0018】
また、車両位置検出システム10は、アンテナ20を備えた他車との通信手段21と、車両情報インターフェース(I/F)22を備えている。さらに、車両位置検出システム10は、HUD(Head Up Display)23と表示部24と音声情報再生手段25を備えている。また、中央処理装置19は記憶手段26と車両近接予測手段27を備えている。
【0019】
図2は、当該車両位置検出システムの四輪車両A上への搭載例を示した斜視図であり、四輪車両Aのダッシュボード上面2a(1はボンネット)には、GPS信号を受信するアンテナ11が取り付けられ、インストルメント・パネル2には、HUD23と表示部24と音声情報再生手段25が取り付けられる。また、ルーフ3の上部には、光ビーコン情報をのせた近赤外光などの光信号を受光する受光部13と、他者との通信のためのアンテナ20が取り付けられている。
【0020】
さらに、四輪車両Aの後部には、GPS受信部12と光ビーコン通信手段14と慣性航法システム(INS)15とジャイロセンサ16とナビゲーション(NAVI)システム18と中央処理装置19と他車との通信手段21と車両情報インターフェース(I/F)22がボックス7に納められ搭載される。また、中央処理装置19は記憶手段26と車両近接予測手段27を備えている。さらに車輪8,9の近傍には車速センサ17が取り付けられている。
【0021】
以下、図1に戻り、車両位置検出システム10の各ブロックの機能を説明する。
GPS受信部12は、複数の人工衛星であるGPS衛星からのGPS信号を受信するための装置である。GPS受信部12は、通常のGPSでもよいし、D−GPS(Differential GPS)などであってもよい。
【0022】
光ビーコン通信手段14は、幹線道路の交差点手前に配置される光ビーコンからの近赤外光等にのせた光ビーコン情報を受光部13を介して受信する装置である。この光ビーコン通信手段14は、光ビーコン情報の受信だけでなく、光ビーコンに情報を送信できる手段でもよい。この光ビーコン通信手段14で受信する光ビーコン情報は、自車が走行する走行線を内容とする自車線情報と、光ビーコンの位置座標を内容とする位置座標情報を含んでいる。
【0023】
ジャイロセンサ16は、自車のヨーレートを検出する装置である。車速センサ17は、自車の車輪の回転パルスを元に自車両の車速を検出する装置である。慣性航法システム(INS)15は、ジャイロセンサ16からのヨーレート値と、車速センサ17からの車速値とから、自車の現在位置を推定演算する装置である。ナビゲーション(NAVI)システム18は、測位された現在位置を電子地図上にマッピングする装置である。
【0024】
他車との通信手段21は、アンテナ20を介して車両間で直接通信(車車間通信)する装置である。この装置は、近傍に他車や道路側の無線通信設備がない場合でも、一定のインターバルで自車位置や自車の種類を送信する。なお、通信手段として、道路側の中継を経る(路車間通信、または車路車間通信)を行う装置でもよい。
【0025】
HUD(Head Up Display)23は、相手車両に関する情報を周辺視野内に表示する装置である。表示部24は、ナビ情報や各種の操作画面、車両情報等を表示する装置である。音声情報再生手段25は、音声メッセージや警告音を発生する装置である。
【0026】
中央処理装置19は、全体の装置の制御を中心的に司る装置であり、また、自車に搭載され、光ビーコン通信手段14で光ビーコン情報を受信したら、この光ビーコンの情報に基づいて自車の位置を補正する機能を有している。さらに、中央処理装置13は、光ビーコン通信手段14が光ビーコン情報の位置座標情報を受信した後、所定条件内では、光ビーコン通信手段14で受信した光ビーコン情報に基づいて自車位置を演算すると共に演算した自車位置を表示部24に表示する又は自車位置を記憶手段26に記憶する。
【0027】
また、中央処理装置19は、光ビーコン通信手段が光ビーコン情報の位置座標情報を受信した後、所定条件内では、位置座標情報の座標を基点とした自立航法による自車位置を優先し、所定条件から外れたら、GPS受信部12で受信したGPS信号に基づいて演算される自車位置を優先する。
【0028】
さらに、中央処理装置19は、光ビーコン情報の位置座標情報を他車と交換する通信手段21を備えている。また、中央処理装置19は、光ビーコン情報の位置座標情報に基づいて定めた自車位置と、通信手段21で受信され、光ビーコン情報の位置座標情報に基づいて定めた他車位置とに基づいて、自車と他車との近接予測を行う車両近接予測手段27を備えている。
【0029】
図3は、二輪車両Bに搭載される本発明に係る車両位置検出システムのブロック図である。車両位置検出システム30は、アンテナ31を備えたGPS受信部32と受光部33を備えた光ビーコン通信手段34と慣性航法システム(INS)35とジャイロセンサ36と車速センサ37を備えている。また、車両位置検出システム30は、中央処理装置38とアンテナ39を備えたと他車との通信手段40と車両情報インターフェース(I/F)41を備えている。
【0030】
さらに、車両位置検出システム30は、HUD(Head Up Display)42と音声情報提供装置43を備えている。また、この二輪車両に乗る人のヘルメット44は、音声受信機45とスピーカ46を備えている。音声情報提供装置43と音声受信機45との間は、無線通信手段、例えばBluetooth通信手段で接続される。また、中央処理装置38は、記憶手段47と車両近接予測手段48を備えている。
【0031】
図4は、車両位置検出システムの二輪車両B上への搭載例を示した斜視図である。二輪車両のフロントカバー4には、GPS信号を受信するアンテナ31と他車との通信に用いられるアンテナ39が取り付けられ、メータペゼル5a(メータペゼル5aの前方にはスクリーン5がある)には、光ビーコン情報をのせた近赤外光などの光信号を受光する受光部33とHUD42が取り付けられている。
【0032】
また、シート6の下部には、GPS受信部32と光ビーコン通信手段34と慣性航法システム(INS)35とジャイロセンサ36と中央処理装置38と他車との通信手段40と車両情報インターフェース(I/F)41と音声情報提供装置43が搭載されている。中央処理装置38は記憶手段47と車両近接予測手段48を備えている。ヘルメット44には、音声受信機45とスピーカ46が取り付けられている。また、前後輪の近傍には車速センサ37a,37bが取り付けられている。本システムでは、車速センサ37a,37bの少なくともどちらか一方を用いる。
【0033】
以下、図3に戻り、車両位置検出システムの各ブロックの機能を説明する。
GPS受信部32は、複数の人工衛星であるGPS衛星からのGPS信号を受信するための装置である。GPS受信部32は、通常のGPSでもよいし、D−GPS(DifferentialGPS)などであってもよい。
【0034】
光ビーコン通信手段34は、幹線道路の交差点手前に配置される光ビーコンからの近赤外光等にのせた光ビーコン情報を受光部33を介して受信する装置である。この光ビーコン通信手段34は、光ビーコン情報の受信だけでなく、光ビーコンに情報を送信できる手段でもよい。この光ビーコン通信手段34で受信する光ビーコン情報は、自車が走行する走行線を内容とする自車線情報と、光ビーコンの位置座標を内容とする位置座標情報を含んでいる。
【0035】
ジャイロセンサ36は、自車のヨーレートを検出する装置である。車速センサ37は、車輪の回転パルスを元に自車両の車速を検出する装置である。慣性航法システム(INS)35は、ジャイロセンサ36からのヨーレート値と、車速センサ37からの車速値とから、自車の現在位置を推定演算する装置である。
【0036】
他車との通信手段40は、車両間で直接通信(車車間通信)する装置である。この装置は、近傍に他車や道路側の無線通信設備がない場合でも、一定のインターバルで自車位置や自車の種類を送信する。なお、通信手段として、道路側の中継を経る(路車間通信、または車路車間通信)を行う装置でもよい。HUD(Head Up Display)42は、相手車両に関する情報を周辺視野内に表示する装置である。
【0037】
音声情報提供装置43は、音声メッセージや警告音などの音声情報を、例えば、Bluetoothなど無線通信手段でヘルメット44に備えられた音声受信機45に送信する装置である。ヘルメット44に備えられた音声受信機45は、音声情報提供装置43から送信された音声メッセージや警告音などの音声情報を受信し、スピーカ46によって音声メッセージや警告音を発生させる。
【0038】
中央処理装置38は、全体の装置の制御を中心的に司る装置であり、また、自車に搭載され、光ビーコン通信手段34で光ビーコン情報を受信したら、この光ビーコンの情報に基づいて自車の位置を補正する機能を有している。さらに、中央処理装置38は、光ビーコン通信手段34が光ビーコン情報の位置座標情報を受信した後、所定条件内では、光ビーコン通信手段34で受信した光ビーコン情報に基づいて自車位置を演算すると共に演算した自車位置を表示部に表示する又は自車位置を記憶手段47に記憶する。
【0039】
また、中央処理装置38は、光ビーコン通信手段34が光ビーコン情報の位置座標情報を受信した後、所定条件内では、位置座標情報の座標を基点とした自立航法による自車位置を優先し、所定条件から外れたら、GPS受信部32で受信したGPS信号に基づいて演算される自車位置を優先する。
【0040】
さらに、中央処理装置38は、光ビーコン情報の位置座標情報を他車と交換する通信手段40を備えている。また、中央処理装置38は、光ビーコン情報の位置座標情報に基づいて定めた自車位置と、通信手段40で受信され、光ビーコン情報の位置座標情報に基づいて定めた他車位置とに基づいて、自車と他車との近接予測を行う車両近接予測手段48を備えている。
【0041】
図5は、四輪車両AのGPS受信部12と光ビーコン通信手段14と慣性航法システム(INS)15とナビゲーション(NAVI)システム18における測位機能の主要部の構成を示したブロック図であり、図1と同一の符号は同一または同等部分を表している。
GPS受信部12において、GPS測位部121は、複数のGPS電波の受信時刻に基づいて現在位置を周期的に測位する。測位結果記憶部122には、最新の測位結果が記憶される。
【0042】
光ビーコン通信手段14において、光ビーコン情報取得部141は、受信した光ビーコン信号から光ビーコンの位置情報と自車線情報と交差点情報を取得する。情報記憶部142には、光ビーコンの位置座標情報と自車線情報と交差点情報が記憶される。
【0043】
慣性航法システム(INS)15の走行ベクトル算出部151は、車速センサ17により検知された車速およびジャイロセンサ16により検知された方位に基づいて、自車両の走行ベクトル(車速および進行方向)を算出する。INS演算部152は、自車両の現在位置を、測位結果および走行ベクトルに基づいて、現在位置が始点として登録された走行ベクトル(以下、走行位置ベクトルと表現する)として周期的に算出する。算出結果は更新部153により、走行位置ベクトル記憶部154へ更新登録される。
【0044】
NAVIシステム18において、マッピング部181は、地図上位置更新部182から通知される自車の現在位置および地図データベース(DB)183に予め記憶されている電子地図情報に基づいて、現在位置を電子地図上にマッピングし、これを地図上位置更新部182へ通知する。地図上位置更新部182は、通知された自車の地図上位置を地図上位置記憶部184へ登録する。地図上位置および走行位置ベクトルは中央処理装置19へ提供される。また、光ビーコン通信手段14からVICS(Vehicle Information and Communication System)情報を受け取りVICS情報処理部185で処理し、中央処理装置19に送る。
【0045】
図6は、二輪車両Bに搭載されるGPS受信部32と光ビーコン通信手段34と慣性航法システム(INS)35の主要部の構成を示したブロック図であり、図3と同一の符号は同一または同等部分を表している。
GPS測位部321は、複数のGPS電波の受信時刻に基づいて現在位置を周期的に測位する。測位結果記憶部322には最新の測位結果が記憶される。
【0046】
光ビーコン通信手段34において、光ビーコン情報取得部341は、受信した光ビーコン信号から光ビーコンの位置情報と自車線情報と交差点情報を取得する。情報記憶部342には、光ビーコンの位置座標情報と自車線情報と交差点情報が記憶される。
【0047】
走行ベクトル算出部351は、車速センサ37により検知された車速およびジャイロセンサ36により検知された方位に基づいて、自車両の走行ベクトルを算出する。INS演算部352は、測位結果および走行ベクトルに基づいて自車両の走行ベクトルを周期的に算出する。算出結果は更新部353により走行位置ベクトル記憶部354へ更新登録される。
【0048】
次に本実施形態の車両位置検出システムを利用するときの手順と各装置での処理を図7〜図12を用いて詳細に説明する。また図7は、道路での車両の位置を示す図である。図7において、符号50は道路、符号51A,51Bは光ビーコン、符号52はGPS衛星、符号53は、光ビーコンを受信する前の車両、符号54は、光ビーコンを受信したときの車両、符号55は、光ビーコンを受信した後、所定の条件以外の範囲での車両を示す。また、符号56は他車(二輪車両)を示す。
【0049】
まず、図7に示すように、光ビーコンを受信する前の車両53での車両位置検出システムの動作を図8のフローチャートにより説明する。
ステップS11:GPS測位部121は、GPS衛星信号から自車位置を算出する。
ステップS12:慣性航法システム(INS)15は、GPS測位結果と、ジャイロセンサ16、車速センサ17からの信号を元に、GPS衛星信号の周期(1秒)よりも短い周期(例えば100m秒毎)で自車位置を推定する。
ステップS13:他車との通信手段21は、推定された自車位置を間欠的(例えば100m秒毎)に、周囲に送信している。
【0050】
次に、図7の車両54に示すように車両が自車線上の光ビーコン51からの信号を受信した場合の動作を図9のフローチャートで説明する。
ステップS21:車両の光ビーコン通信手段14が、道路上の光ビーコン51Aからの光ビーコン情報を受信する。
ステップS22:光ビーコン通信手段14は、光ビーコン51Aから送られてくるデータから、ビーコン受信地点の測量済み位置座標、自車線情報(車線番号)、進行方向前方の交差点の座標(ノードデータ)、その交差点に接続する道路情報(リンクデータ)などを抽出処理する。
ステップS23:抽出した各情報を中央処理装置19及び/又はINS15へ送る。
【0051】
なお、光ビーコン通信手段14は光ビーコン51Aからの信号を復調したデータ列をそのまま中央処理装置19及び/又はINS15に送るだけとしてもよい。その場合は、データ抽出処理を中央処理装置19及び/又はINS15が行うこととする。
【0052】
なお、光ビーコンの送受信範囲は概ね、一辺が約3.5mの矩形範囲内である。一方、道路規格上(道路構造令による)の車線幅は光ビーコンの設置が多い幹線道などでは約3.5m、小型道路では3.25mである。従って隣車線の位置座標を間違って受信することは少ない。
【0053】
なお、もし同時に2つの光ビーコン信号を受信した場合、中央処理装置19は、自車が車線区分線上またはその近傍を走行していると判断し、隣り合う二車線それぞれの測量済み座標の中間地点を通過したものとして処理する。
【0054】
ステップS24:INS15は、(GPS測位結果に代えて)測量済み座標と、ジャイロセンサ16、車速センサ17からの信号を元に、所定の周期(例えば100m秒毎)で自車位置を推定する。
ステップS25:他車との通信手段21は、推定された自車位置を間欠的(例えば100m秒毎)に、周囲に送信する。
同時に、自車線情報もあわせて送信することで、これを受信した他車が注目車両の抽出を行う際の助けとすることができる。
【0055】
次に、図7で示すように他車との通信手段21により他車(二輪車両)56からの他車信号を受信したとき動作を図10のフローチャートで説明する。
ステップS31:車両54は、光ビーコン通信手段14が光ビーコン51Aから光ビーコン情報を受信する。
ステップS32:他車への通信手段21により交差点位置、走行位置ベクトルを送信する。
【0056】
ステップS41:二輪車両56は、光ビーコン通信手段34が光ビーコン51Bから光ビーコン情報を受信する。
ステップS42:他車との通信手段40により他車信号を受信したか否かを調べる。受信していなければ、受信を待つ。受信していれば、次のステップS43に進む。
【0057】
ステップS43:光ビーコン情報に基づく測位結果に基づいて自車両の現在位置を正確に特定し、その走行位置ベクトルを求める。
【0058】
ステップS44:自車両の走行位置ベクトルおよび各交差点の座標に基づいて、自車両が接近中の交差点を同定する。
ステップS45:自車両の走行位置ベクトルおよび接近中の交差点の座標を、自車両のID、推定位置、自車状態などと共に送信する。
【0059】
ステップS33:四輪車両54が、二輪車両56から送信された信号を受信したか否かを調べる。受信していなければ、受信を待つ。受信していれば、次のステップS34に進む。
ステップS34:走行位置ベクトル記憶部154に登録されている自車両の走行位置ベクトルと各車両から通知された走行位置ベクトルとに基づいて、自車両と交差する可能性のある全ての車両を注目車両として抽出する。
【0060】
以上の説明の特徴的な部分として、光ビーコン受信直後にGPS測位から測量済み座標を基点とした自立航法に切り替えている。
【0061】
次に、図7の符号55で示す車両位置のように光ビーコン51Aからの情報を受信してから十分な時間や走行距離が経過した場合について説明する。
図11は、時間や距離などが経過したときの実際の位置と推定される位置との誤差量の時間変化を示すグラフである。曲線C10はGPSに基づく位置の誤差を示し、曲線C11は、光ビーコンを受信した後の自立航法での実際の位置との誤差の時間変化を示す。
【0062】
原点は、光ビーコンを受信した時点を示す。図11から分かるように光ビーコンを受信した直後から暫くの間は、測量済み座標を基点に自立航法を行う方がGPS測位結果よりも座標精度が高いことを期待できる。しかし十分な時間や走行距離、あるいは右左折(進路の変更)を経ると自立航法は集積誤差が大きくなり、GPS測位誤差を上回る。図11では、このタイミングをLで示す。このため光ビーコン受信から一定時間や距離などが経過したら、自車位置をGPS測位(を基にした自立航法)に戻す必要がある。
【0063】
このタイミングLを決める手法として次の4つの手法が考えられる。
手法1(距離式)は、光ビーコン情報から得られた基点となった測量済み座標から一定距離走行をトリガーとして、GPS測位に戻す手法である。一定距離の値として、例えば1000メートルとすることができる。
【0064】
手法2(時間式)は、光ビーコン情報から得られた基点となった測量済み座標の受信時刻から一定時間したら、GPS測位に戻す手法である。一定距離の値として、例えば10分間とすることができる。
【0065】
手法3(右左折累積式)は、光ビーコン情報から得られた基点となった測量済み座標からの左右方向への進路変更角度、および回数の累積値が所定値を超えたら、GPS測位に戻す手法である。
【0066】
手法4(距離・時間・右左折複合式)
上記手法の1〜3までを併用する。論理和としてもよいし、条件式を用いてもよい。
条件式の例として、次の(1)式が考えられる。
ΔE≦ΔL+ΔT+N・A (1)
ここで、ΔE:閾値、ΔL:基点からの距離指数、ΔT:受信時刻からの経過時間指数、N:進路変更回数指数。例えば所定の角速度の進路変移が2秒以上継続したら1回とする。A:進路変更角度。例えば、回数1回あたりの変移角度の絶対値を累積する。
【0067】
以上の4つの手法でGPS測位に戻すことにより、誤差量の少ない測位法で位置を決定することができる。
【0068】
次に、車両近接予測手段の動作を図12のフローチャートにより説明する。
ステップS51:四輪車両54は、光ビーコン情報を受信する。
ステップS52:通信リンクが確立されている全ての車両に対して、認識した全ての交差点の座標および自車両の走行位置ベクトルを、自車両のID、推定位置、交差点までの到達時間、受信台数、自車状態(ブレーキ、ターンシグナル等)と共に、データとして送信する。IDには、自車両に固有の識別情報が、自車両の種別(二輪車および四輪車の別など)と共に予め登録されている。
【0069】
ステップS61:二輪車両56は、光ビーコン51Bから光ビーコン情報を受信する。
ステップS62:二輪車両56が、四輪車両54から送信されたデータを受信したか否かを調べる。受信していなければ、受信を待つ。受信していれば、次のステップS63に進む。
ステップS63:光ビーコン情報に基づく測位結果に基づいて自車両の現在位置を正確に特定し、その走行位置ベクトルを求める。
【0070】
ステップS64:自車両の走行位置ベクトルおよび各交差点の座標に基づいて、自車両が接近中の交差点を同定する。
ステップS65:自車両の走行位置ベクトルおよび接近中の交差点の座標を、自車両のID、推定位置、自車状態などと共に送信する。
ステップS53:四輪車両54が、二輪車両56から送信された信号を受信したか否かを調べる。受信していなければ、受信を待つ。受信していれば、次のステップS54に進む。
【0071】
ステップS54:走行位置ベクトル記憶部154に登録されている自車両の走行位置ベクトルと各車両から通知された走行位置ベクトルとに基づいて、自車両と交差する可能性のある全ての車両を注目車両として抽出する。
ステップS55:注目車両が二輪車両であるか否かがIDに基づいて判定される。
ステップS56:注目車両が二輪車両であれば、当該車両の現在位置を表すシンボルを、自車両のシンボルや他の注目車両のシンボルと共に、NAVI表示部16上で強調表示する。
【0072】
ステップS57:抽出した全ての注目車両を対象に、自車両および各他車両が交差点へ到達する時刻に基づいて、軌跡交差条件が成立するか否かを判定する。例えば、自車両(四輪車両54)が交差点に到達する時刻をt2、注目車両(二輪車両56)が交差点に到達する時刻をt3としたときに、次式(2)が成立すれば軌跡公差条件が成立すると判定される。
|t2−t3|≦tREF (2)
ただし、tREFは所定の基準時間差である。
ステップS58:軌跡交差条件の成立した車両が存在すると、注意喚起のシンボルをHUDに表示させる。
ステップS59:スピーカからも警報音や音声メッセージを出力させる。
【0073】
ステップS66:二輪車両56は、自車両の走行位置ベクトルを送信した後、HUDに注意喚起のシンボルを表示する。
ステップS67:音声送信機から運転者のヘルメットに対して、注意喚起のための音声メッセージや警告音等を出力する。
【0074】
本実施形態によれば、NAVIシステムを搭載しない車両も、光ビーコンから提供される情報に基づいて交差点の位置および他車両の位置を認識できるようになる。
【0075】
なお、光ビーコンから送信するデータのうち車線毎の測量済み座標に関しては、D−GPSの補正値更新データを代わりに送信しても良い。この場合は、各車両がD−GPSシステムを採用することとなる。
【0076】
なお、車両同士で直接的な情報交換通信をするのではなく、光ビーコンが送受信の双方向通信機能を持っていることを利用してもよい。
この場合、交差点側に流出入車両識別システムを持たせて、このシステムに光ビーコンと一斉同報無線通信手段とを接続し、各車両から光ビーコン下の通過時に自車情報を流出入車両識別システムに通知させ、流出入車両識別システムは通知された流出入車両をまとめて一斉同報無線通知手段により交差点近傍の車両に通知することとする。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、車両の位置を検出する車両位置検出システムとして利用される。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】四輪車両Aに搭載される本発明に係る車両位置検出システムのブロック図である。
【図2】車両位置検出システムの四輪車両A上への搭載例を示した斜視図である。
【図3】二輪車両Bに搭載される本発明に係る車両位置検出システムのブロック図である。
【図4】車両位置検出システムの二輪車両B上への搭載例を示した斜視図である。
【図5】四輪車両AのGPS受信部と光ビーコン通信手段と慣性航法システムとナビゲーション(NAVI)システムにおける測位機能の主要部の構成を示したブロック図である。
【図6】二輪車両Bに搭載されるGPS受信部と光ビーコン通信手段と慣性航法システムの主要部の構成を示したブロック図である。
【図7】道路での車両の位置を示す図である。
【図8】光ビーコン情報を受信する前の車両での車両位置検出システムの動作を示すフローチャートである。
【図9】光ビーコン情報を受信した場合の動作を示すフローチャートである。
【図10】他車信号を受信したときの動作を示すフローチャートである。
【図11】時間や距離などが経過したときの実際の位置と推定される位置との誤差量の時間変化を示すグラフである。
【図12】車両近接予測手段の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0079】
10…車両位置検出システム、11…アンテナ、12…GPS受信部、13…受発光部、14…光ビーコン通信手段、15…慣性航法システム(INS)、16…ジャイロセンサ、17…車速センサ、18…ナビゲーション(NAVI)システム、19…中央処理装置、20…アンテナ、21…他車との通信手段、22…車両情報インターフェース(I/F)、23…HUD、24…表示部、25…音声情報再生手段、26…記憶手段、27…車両近接予測手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車の位置を検出することができる車両位置検出システムにおいて、
前記自車に搭載され、GPS衛星からのGPS信号を受信するGPS受信部と、
前記自車に搭載され、交差点手前に配置される光ビーコンからの光ビーコン情報を受信する光ビーコン通信手段と、
前記自車に搭載され、前記光ビーコン通信手段で光ビーコン情報を受信したら、この光ビーコンの情報に基づいて自車の位置を補正する中央処理装置とを備えることを特徴とする車両位置検出システム。
【請求項2】
前記光ビーコン情報は、自車が走行する走行線を内容とする自車線情報と、当該光ビーコンの位置座標を内容とする位置座標情報とを含むことを特徴とする請求項1記載の車両位置検出システム。
【請求項3】
前記中央処理装置は、前記光ビーコン通信手段が前記光ビーコン情報の位置座標情報を受信した後、所定条件内では、前記光ビーコン通信手段で受信した前記光ビーコン情報に基づいて自車位置を演算すると共に、前記自車位置を記憶手段に記憶する又は演算した自車位置を表示部に表示することを特徴とする請求項1記載の車両位置検出システム。
【請求項4】
前記中央処理装置は、前記光ビーコン通信手段が前記光ビーコン情報の位置座標情報を受信した後、所定条件内では、前記位置座標情報の座標を基点とした自立航法による自車位置を優先し、所定条件から外れたら、前記GPS受信部で受信した前記GPS信号に基づいて演算される自車位置を優先することを特徴とする請求項1記載の車両位置検出システム。
【請求項5】
前記中央処理装置は、前記光ビーコン情報の位置座標情報を他車と交換する通信手段を備えていることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の車両位置検出システム。
【請求項6】
前記中央処理装置は、前記光ビーコン情報の位置座標情報に基づいて定めた自車位置と、前記通信手段で受信され、光ビーコン情報の位置座標情報に基づいて定めた他車位置とに基づいて、自車と他車との近接予測を行う車両近接予測手段を備えたことを特徴とする請求項5記載の車両位置検出システム。
【請求項1】
自車の位置を検出することができる車両位置検出システムにおいて、
前記自車に搭載され、GPS衛星からのGPS信号を受信するGPS受信部と、
前記自車に搭載され、交差点手前に配置される光ビーコンからの光ビーコン情報を受信する光ビーコン通信手段と、
前記自車に搭載され、前記光ビーコン通信手段で光ビーコン情報を受信したら、この光ビーコンの情報に基づいて自車の位置を補正する中央処理装置とを備えることを特徴とする車両位置検出システム。
【請求項2】
前記光ビーコン情報は、自車が走行する走行線を内容とする自車線情報と、当該光ビーコンの位置座標を内容とする位置座標情報とを含むことを特徴とする請求項1記載の車両位置検出システム。
【請求項3】
前記中央処理装置は、前記光ビーコン通信手段が前記光ビーコン情報の位置座標情報を受信した後、所定条件内では、前記光ビーコン通信手段で受信した前記光ビーコン情報に基づいて自車位置を演算すると共に、前記自車位置を記憶手段に記憶する又は演算した自車位置を表示部に表示することを特徴とする請求項1記載の車両位置検出システム。
【請求項4】
前記中央処理装置は、前記光ビーコン通信手段が前記光ビーコン情報の位置座標情報を受信した後、所定条件内では、前記位置座標情報の座標を基点とした自立航法による自車位置を優先し、所定条件から外れたら、前記GPS受信部で受信した前記GPS信号に基づいて演算される自車位置を優先することを特徴とする請求項1記載の車両位置検出システム。
【請求項5】
前記中央処理装置は、前記光ビーコン情報の位置座標情報を他車と交換する通信手段を備えていることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の車両位置検出システム。
【請求項6】
前記中央処理装置は、前記光ビーコン情報の位置座標情報に基づいて定めた自車位置と、前記通信手段で受信され、光ビーコン情報の位置座標情報に基づいて定めた他車位置とに基づいて、自車と他車との近接予測を行う車両近接予測手段を備えたことを特徴とする請求項5記載の車両位置検出システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−89353(P2008−89353A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−268596(P2006−268596)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.INS
2.Bluetooth
3.VICS
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.INS
2.Bluetooth
3.VICS
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]