説明

車両用モータ装置

【課題】 電源から電動機へ電力を供給する給電系における車両の衝突による短絡を正確に検知し、電源を迅速に保護可能な車両用モータ装置を提供する。
【解決手段】 制御装置40は、電圧センサー10,15,16,18,19,21から受けた電圧V1〜V6および/または電流センサー13,14,17,24から受けた電流I1〜I3,MCRTが車両の衝突を示す所定の波形からなるかまたは車両の衝突を示す所定のレベルに到達したかを判定し、電圧V1〜V6および/または電流I1〜I3,MCRTが所定の波形からなるときまたは所定のレベルに到達したとき、コイル11,12に供給する電流を停止し、システムリレーSR1,SR2を遮断する。また、制御装置40は、電圧V1〜V6および/または電流I1〜I3,MCRTに基づいて衝突部位を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用モータ装置に関し、特に、車両の衝突による高圧ケーブルの短絡から電池を保護する車両用モータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、環境に配慮した自動車としてハイブリッド自動車(Hybrid Vehicle)および電気自動車(Electric Vehicle)が大きな注目を集めている。そして、ハイブリッド自動車は、一部、実用化されている。
【0003】
このハイブリッド自動車は、従来のエンジンに加え、直流電源とインバータとインバータによって駆動されるモータとを動力源とする自動車である。つまり、エンジンを駆動することにより動力源を得るとともに、直流電源からの直流電圧をインバータによって交流電圧に変換し、その変換した交流電圧によりモータを回転することによって動力源を得るものである。また、電気自動車は、直流電源とインバータとインバータによって駆動されるモータとを動力源とする自動車である。
【0004】
このような電気自動車においては、車両の衝突をエアバッグシステムの衝突センサーによって検出すると、直流電源と、交流電動機を駆動するインバータ回路との間に設けられた開閉器を遮断することが行なわれている(特許文献1)。すなわち、従来の電気自動車においては、車両の衝突を衝突センサーによって検出し、衝突センサーによって車両の衝突を検知すると、開閉器を遮断する。
【特許文献1】特開平7−123504号公報
【特許文献2】特開平7−277132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、交流電動機を駆動するインバータ回路へ電源から高電圧を供給する高圧ケーブルが車両の衝突により切断され、短絡した場合、この高圧ケーブルの短絡を衝突センサーによって検知することは困難である。すなわち、高圧ケーブルが車両の衝突により切断され、短絡した場合でも衝突センサーが衝突を検知しない場合があるため、衝突センサーによって高圧ケーブルの衝突による短絡を検知できない可能性がある。たとえば、衝突センサーの設置位置と衝突部位とが離れている場合、衝突部位において高圧ケーブルが切断により短絡していても、衝突センサーが衝突を検知しない場合もある。また、電源が車両の衝突によって短絡した場合も同様の問題がある。
【0006】
したがって、特許文献1に開示された方法では、交流モータを駆動するモータ駆動システムにおける電源または高圧ケーブルの衝突による短絡を検出することが困難である。
【0007】
また、衝突の検知から開閉器の遮断までに所定の時間を要するため、直流電源からの高電圧の供給を迅速に遮断することが困難であり、電源を迅速に保護できないという問題がある。
【0008】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、電源から電動機へ電力を供給する給電系における車両の衝突による短絡を正確に検知し、電源を迅速に保護可能な車両用モータ装置を提供することである。
【0009】
また、この発明の別の目的は、衝突部位を特定可能な車両用モータ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明によれば、車両用モータ装置は、電動機と、電源と、遮断リレーと、制御回路とを備える。電動機は、車両の駆動に用いられる。遮断リレーは、電源からの電力を電動機に給電する給電経路に設けられる。制御回路は、給電経路に生じた電圧および/または電流が車両の衝突を示す所定の波形からなるときまたは車両の衝突を示す所定のレベルに達したとき、給電経路を遮断するように遮断リレーを制御する。
【0011】
好ましくは、車両用モータ装置は、衝突部位判定手段をさらに備える。衝突部位判定手段は、給電経路の各部位に生じた電圧および/または電流が所定の波形からなることまたは所定のレベルに達したことを検出することによって衝突部位を判定する。
【0012】
好ましくは、車両用モータ装置は、昇圧回路と、駆動回路とをさらに備える。昇圧回路は、給電経路に設けられ、電源からの電源電圧を昇圧する。駆動回路は、給電経路に設けられ、昇圧回路から出力される電圧に基づいて電動機を駆動する。そして、衝突部位判定手段は、電源と昇圧回路との間の第1の部位における第1の電圧および/または第1の電流が前記所定の波形からなるときまたは所定のレベルに達したとき、第1の部位を衝突部位と判定し、昇圧回路と駆動回路との間の第2の部位における第2の電圧および/または第2の電流が所定の波形からなるときまたは所定のレベルに達したとき、第2の部位を衝突部位と判定し、駆動回路の出力側の第3の部位における第3の電圧および/または第3の電流が所定の波形からなるときまたは所定のレベルに達したとき、第3の部位を衝突部位と判定する。また、制御回路は、第1から第3の電圧の少なくとも1つおよび/または第1から第3の電流の少なくとも1つが所定の波形からなるときまたは所定のレベルに達したとき、給電経路を遮断するように遮断リレーを制御する。
【0013】
好ましくは、電動機は、多相交流モータである。衝突部位判定手段は、多相交流モータの相間電圧が所定の波形からなるときまたは所定のレベルに達したとき、第3の部位を衝突部位と判定する。制御回路は、相間電圧が所定の波形からなるときまたは所定のレベルに達したとき、給電経路を遮断するように遮断リレーを制御する。
【発明の効果】
【0014】
この発明による車両用モータ装置においては、電源から電動機へ電力を供給する給電経路または電源の衝突による短絡が給電経路に生じた電圧および/または電流の波形またはレベルによって検知される。そして、その検知された電圧および/または電流が車両の衝突を示す所定の波形からなるときまたは車両の衝突を示す所定のレベルに達したとき、電源から電動機への電力の供給が遮断される。
【0015】
したがって、この発明によれば、電源から電動機へ電力を供給する給電系における短絡を正確に検知でき、電源を迅速に保護できる。
【0016】
また、この発明による車両用モータ装置においては、給電経路の各部位に生じた電圧および/または電流のうち、いずれの電圧および/または電流が所定の波形からなるかまたは所定のレベルに達したかが検出される。
【0017】
したがって、この発明によれば、衝突部位を特定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0019】
図1は、この発明の実施の形態による車両用モータ装置の概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態による車両用モータ装置100は、直流電源Bと、電圧センサー10,15,16,18,19,21と、システムリレーSR1,SR2と、コイル11,12と、電流センサー13,14,17,24と、コンデンサC1,C2と、昇圧コンバータ20と、インバータ30と、制御装置40と、交流モータM1とを備える。
【0020】
交流モータM1は、ハイブリッド自動車または電気自動車の駆動輪を駆動するためのトルクを発生するための駆動モータである。また、この交流モータM1は、エンジンにて駆動される発電機の機能を有し、そして、エンジンに対して電動機として動作し、たとえば、エンジン始動を行ない得るようなモータとしてハイブリッド自動車に搭載されるようにしてもよい。
【0021】
システムリレーSR1は、直流電源Bの正極とコンデンサC1の正極との間に接続される。システムリレーSR2は、直流電源Bの負極とコンデンサC1の負極との間に接続される。コイル11は、システムリレーSR1に近接して設けられ、制御装置40と接地ノードGNDとの間に接続される。コイル12は、システムリレーSR2に近接して設けられ、制御装置40と接地ノードGNDとの間に接続される。
【0022】
昇圧コンバータ20は、リアクトルL1と、NPNトランジスタQ1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。リアクトルL1の一方端は直流電源Bの電源ラインに接続され、他方端はNPNトランジスタQ1とNPNトランジスタQ2との中間点、すなわち、NPNトランジスタQ1のエミッタとNPNトランジスタQ2のコレクタとの間に接続される。NPNトランジスタQ1,Q2は、電源ラインとアースラインとの間に直列に接続される。そして、NPNトランジスタQ1のコレクタは電源ラインに接続され、NPNトランジスタQ2のエミッタはアースラインに接続される。また、各NPNトランジスタQ1,Q2のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD1,D2がそれぞれ配置されている。
【0023】
インバータ30は、U相アーム31と、V相アーム32と、W相アーム33とから成る。U相アーム31、V相アーム32、およびW相アーム33は、電源ラインとアースラインとの間に並列に設けられる。
【0024】
U相アーム31は、直列接続されたNPNトランジスタQ3,Q4から成り、V相アーム32は、直列接続されたNPNトランジスタQ5,Q6から成り、W相アーム33は、直列接続されたNPNトランジスタQ7,Q8から成る。また、各NPNトランジスタQ3〜Q8のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD3〜D8がそれぞれ接続されている。
【0025】
各相アームの中間点は、交流モータM1の各相コイルの各相端に接続されている。すなわち、交流モータM1は、3相の永久磁石モータであり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中点に共通接続されて構成され、U相コイルの他端がNPNトランジスタQ3,Q4の中間点に、V相コイルの他端がNPNトランジスタQ5,Q6の中間点に、W相コイルの他端がNPNトランジスタQ7,Q8の中間点にそれぞれ接続されている。
【0026】
直流電源Bは、ニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池から成る。電圧センサー10は、直流電源Bから出力される電圧V1を検出し、その検出した電圧V1を制御装置40へ出力する。電流センサー13は、直流電源Bに入出力する電流I1を検出し、その検出した電流I1を制御装置40へ出力する。
【0027】
システムリレーSR1,SR2は、それぞれ、コイル11,12に電流が供給/停止されると、オン/オフされる。そして、システムリレーSR1,SR2は、オンされると、直流電源Bからの直流電圧をコンデンサC1へ供給し、コンデンサC1からの直流電圧を直流電源Bへ供給する。
【0028】
コンデンサC1は、直流電源Bから出力される直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧を昇圧コンバータ20へ出力する。電流センサー14は、直流電源Bと昇圧コンバータ20との間に流れる電流I2を検出し、その検出した電流I2を制御装置40へ出力する。電圧センサー15は、直流電源Bと昇圧コンバータ20との間における電圧V2を検出し、その検出した電圧V2を制御装置40へ出力する。
【0029】
昇圧コンバータ20は、直流電源Bから供給された直流電圧を昇圧してコンデンサC2へ供給する。より具体的には、昇圧コンバータ20は、制御装置40から信号PWCを受けると、信号PWCによってNPNトランジスタQ2がオンされた期間に応じて直流電圧を昇圧してコンデンサC2に供給する。また、昇圧コンバータ20は、制御装置40から信号PWCを受けると、コンデンサC2を介してインバータ30から供給された直流電圧を降圧して直流電源Bを充電する。
【0030】
コンデンサC2は、昇圧コンバータ20からの直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧をインバータ30へ供給する。電圧センサー16は、コンデンサC2の両端の電圧、すなわち、昇圧コンバータ20の出力電圧V3(インバータ30への入力電圧に相当する。以下同じ。)を検出し、その検出した出力電圧V3を制御装置40へ出力する。電流センサー17は、昇圧コンバータ20とインバータ30との間に流れる電流I3を検出し、その検出した電流I3を制御装置40へ出力する。
【0031】
インバータ30は、コンデンサC2から直流電圧が供給されると制御装置40からの信号PWMに基づいて直流電圧を交流電圧に変換して交流モータM1を駆動する。これにより、交流モータM1は、トルク指令値TRによって指定されたトルクを発生するように駆動される。また、インバータ30は、車両用モータ装置100が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時、交流モータM1が発電した交流電圧を制御装置40からの信号PWMに基づいて直流電圧に変換し、その変換した直流電圧をコンデンサC2を介して昇圧コンバータ20へ供給する。なお、ここで言う回生制動とは、ハイブリッド自動車または電気自動車を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合の回生発電を伴う制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車両を減速(または加速の中止)させることを含む。
【0032】
電圧センサー18は、交流モータM1のU相とV相との間の相間電圧V4を検出し、その検出した相間電圧V4を制御装置40へ出力する。電圧センサー19は、交流モータM1のV相とW相との間の相間電圧V5を検出し、その検出した相間電圧V5を制御装置40へ出力する。電圧センサー21は、交流モータM1のW相とU相との間の相間電圧V6を検出し、その検出した相間電圧V6を制御装置40へ出力する。
【0033】
電流センサー24は、交流モータM1に流れるモータ電流MCRTを検出し、その検出したモータ電流MCRTを制御装置40へ出力する。
【0034】
制御装置40は、外部に設けられたECU(Electrical Control Unit)からトルク指令値TRおよびモータ回転数MRNを受け、電圧センサー10,15,16,18,19,21からそれぞれ電圧V1〜V6を受け、電流センサー13,14,17,24からそれぞれ電流I1〜I3,MCRTを受ける。
【0035】
そして、制御装置40は、トルク指令値TR、モータ回転数MRN、電圧V1,V3、およびモータ電流MCRTに基づいて、後述する方法により昇圧コンバータ20を駆動するための信号PWCとインバータ30を駆動するための信号PWMとを生成し、その生成した信号PWCおよび信号PWMをそれぞれ昇圧コンバータ20およびインバータ30へ出力する。
【0036】
信号PWCは、昇圧コンバータ20が直流電源Bとインバータ30との間で電圧変換を行なう場合に昇圧コンバータ20を駆動するための信号である。そして、制御装置40は、昇圧コンバータ20が直流電源Bからの直流電圧V1を出力電圧V3に変換する場合に、出力電圧V3をフィードバック制御し、出力電圧V3が電圧指令Vdc_comになるように昇圧コンバータ20を駆動するための信号PWCを生成する。信号PWCの生成方法については後述する。
【0037】
また、制御装置40は、ハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動モードにおいて、交流モータM1で発電された交流電圧を直流電圧に変換するための信号PWMを生成してインバータ30へ出力する。この場合、インバータ30のNPNトランジスタQ3〜Q8は、信号PWMによってスイッチング制御され、インバータ30は、交流モータM1で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ20へ供給する。
【0038】
さらに、制御装置40は、ハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動モードにおいて、インバータ30から供給された直流電圧を降圧するための信号PWCを生成し、その生成した信号PWCを昇圧コンバータ20へ出力する。これにより、交流モータM1が発電した交流電圧は、直流電圧に変換され、降圧されて直流電源Bに供給される。
【0039】
さらに、制御装置40は、コイル11,12に電流を供給/停止してシステムリレーSR1,SR2をオン/オフする。
【0040】
さらに、制御装置40は、電圧V1〜V6および/または電流I1〜I3,MCRTに基づいて、後述する方法によって車両用モータ装置100における衝突を検知し、車両用モータ装置100における衝突を検知するとコイル11,12への電流の供給を停止してシステムリレーSR1,SR2をオフする。
【0041】
さらに、制御装置40は、電圧V1〜V6および/または電流I1〜I3,MCRTに基づいて、後述する方法によって車両用モータ装置100における衝突部位を特定し、その特定した衝突部位を記憶する。
【0042】
なお、ケーブルLN1〜LN6は、直流電源Bから交流モータM1へ電力を供給する給電経路を構成する。
【0043】
図2は、図1に示す制御装置40の機能ブロック図である。図2を参照して、制御装置40は、インバータ制御手段401と、コンバータ制御手段402と、リレー制御手段403とを含む。
【0044】
インバータ制御手段401は、モータ電流MCRT、トルク指令値TRおよび昇圧コンバータ20の出力電圧V3に基づいて、交流モータM1の各相に印加する電圧を計算し、その計算した交流モータM1の各相に印加する電圧に基づいて、実際にインバータ30の各NPNトランジスタQ3〜Q8をオン/オフするための信号PWMを生成し、その生成した信号PWMを各NPNトランジスタQ3〜Q8へ出力する。
【0045】
これにより、インバータ30の各NPNトランジスタQ3〜Q8は、スイッチング制御され、交流モータM1が指令されたトルクを出力するように交流モータM1の各相に流す電流を制御する。このようにして、モータ駆動電流が制御され、トルク指令値TRに応じたモータトルクが出力される。
【0046】
コンバータ制御手段402は、モータ回転数MRNおよびトルク指令値TRを外部ECUから受け、電圧V1,V3をそれぞれ電圧センサー10,16から受ける。そして、コンバータ制御手段402は、トルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいて電圧指令Vdc_comを演算し、その演算した電圧指令Vdc_comに電圧V3を設定するためのフィードバック電圧指令Vdc_com_fbを演算し、さらに、電圧V1およびフィードバック電圧指令Vdc_com_fbに基づいて、電圧V3をフィードバック電圧指令Vdc_com_fbに設定するためのデューティー比を演算し、その演算したデューティー比に基づいて、実際に昇圧コンバータ20のNPNトランジスタQ1,Q2をオン/オフするための信号PWCを生成して昇圧コンバータ20のNPNトランジスタQ1,Q2へ出力する。
【0047】
なお、昇圧コンバータ20の下側のNPNトランジスタQ2のオンデューティーを大きくすることによりリアクトルL1における電力蓄積が大きくなるため、より高電圧の出力を得ることができる。一方、上側のNPNトランジスタQ1のオンデューティーを大きくすることにより電源ラインの電圧が下がる。そこで、NPNトランジスタQ1,Q2のデューティー比を制御することで、電源ラインの電圧を直流電源Bの出力電圧以上の任意の電圧に制御可能である。
【0048】
また、この信号PWCは、直流電源Bから供給された直流電圧V1を出力電圧V3が電圧指令Vdc_comになるように昇圧するための信号、またはインバータ30から供給された直流電圧を降圧するための信号である。したがって、昇圧コンバータ20は、信号PWCに応じて昇圧動作または降圧動作を行なう。このように、昇圧コンバータ20は、双方向コンバータの機能を有するものである。
【0049】
リレー制御手段403は、電圧センサー10,15,16,18,19,21からそれぞれ電圧V1〜V6を受け、電流センサー13,14,17,24からそれぞれ電流I1〜I3,MCRTを受ける。そして、リレー制御手段403は、電圧V1〜V6および/または電流I1〜I3,MCRTに基づいて、直流電源Bから交流モータM1へ電力を供給する給電経路LN1〜LN6または直流電源Bが衝突により短絡したか否かを判定し、給電経路LN1〜LN6または直流電源Bが衝突により短絡したと判定した場合、コイル11,12にそれぞれ供給する駆動電流IDR1,2を停止する。また、リレー制御手段403は、給電経路LN1〜LN6または直流電源Bが衝突により短絡していないと判定した場合、コイル11,12にそれぞれ駆動電流IDR1,2を供給する。
【0050】
さらに、リレー制御手段403は、電圧V1〜V6および/または電流I1〜I3,MCRTに基づいて、車両用モータ装置100において衝突が生じた衝突部位を特定し、その特定した衝突部位を記憶する。
【0051】
給電経路LN1〜LN6または直流電源Bが衝突により短絡したか否かを判定する方法について具体的に説明する。
【0052】
図3は、電圧および電流のタイミングチャートである。図3を参照して、給電経路LN1〜LN6または直流電源Bは、タイミングt1までは衝突により短絡せず、タイミングt1において衝突により短絡する。その結果、給電経路LN1〜LN6を流れる電流I(I1〜I3,MCRT)は、タイミングt1までの間、所定の電流値VAL1に保持され、タイミングt1で瞬間的に増加してレベルLV1に到達する。また、給電経路LN1〜LN6における電圧V(V1〜V6)は、タイミングt1までの間、所定の電圧値VAL2に保持され、タイミングt1で瞬間的にレベルLV2まで低下する。なお、レベルLV1は、数千Aを越えるレベルであり、レベルLV2は、0Vである。
【0053】
このように、給電経路LN1〜LN6または直流電源Bが衝突により短絡すると、給電経路LN1〜LN6を流れる電流I(I1〜I3,MCRT)は、瞬間的に数千A以上のレベルLV1に到達し、給電経路LN1〜LN6における電圧V(V1〜V6)は、瞬間的に0VのレベルLV2まで低下する。そして、このような衝突よる短絡が生じた場合の電流の急激な増加および電圧の急激な低下は、衝突による短絡部位が給電経路LN1〜LN6のいずれの部位または直流電源Bであっても、同じように生じる。つまり、衝突による短絡が生じた場合、給電経路LN1〜LN6に生じる電流I1〜I3,MCRTの各々は、瞬間的にレベルLV1まで到達し、給電経路LN1〜LN6に生じる電圧V1〜V6の各々は、瞬間的にレベルLV2まで低下する。
【0054】
したがって、この発明においては、リレー制御手段403は、給電経路LN1〜LN6に生じる電圧V1〜V6および/または電流I1〜I3,MCRTが所定のレベル(レベルLV1,LV2)に到達したか否かを判定することにより、給電経路LN1〜LN6または直流電源Bが衝突により短絡したか否かを判定する。
【0055】
そして、リレー制御手段403は、電流I1〜I3,MCRTのいずれかがレベルLV1に到達したか否かを判定することにより、給電経路LN1〜LN6または直流電源Bが衝突により短絡したか否かを判定してもよいし、電圧V1〜V6のいずれかがレベルLV2に到達したか否かを判定することにより、給電経路LN1〜LN6または直流電源Bが衝突により短絡したか否かを判定してもよいし、さらに、電流I1〜I3,MCRTのいずれかがレベルLV1に到達し、かつ、電圧V1〜V6のいずれかがレベルLV2に到達したか否かを判定することにより、給電経路LN1〜LN6または直流電源Bが衝突により短絡したか否かを判定してもよい。
【0056】
したがって、リレー制御手段403が電流I1〜I3,MCRTに基づいて衝突による短絡の発生の有無を判定する場合、車両用モータ装置100は、電流センサー13,14,17,24を備え、電圧センサー15,18,19,21を備えない。また、リレー制御手段403が電圧V1〜V6に基づいて衝突による短絡の発生の有無を判定する場合、車両用モータ装置100は、電圧センサー10,15,16,18,19,21を備え、電流センサー13,14,17を備えない。さらに、リレー制御手段403が電流I1〜I3,MCRTおよび電圧V1〜V6に基づいて衝突による短絡の発生の有無を判定する場合、車両用モータ装置100は、電流センサー13,14,17,24および電圧センサー10,15,16,18,19,21を備える。
【0057】
また、リレー制御手段403は、電流I1〜I3,MCRTおよび/または電圧V1〜V6のいずれが所定のレベル(レベルLV1,LV2)に到達したか否かを判定することにより、車両用モータ装置100の衝突による短絡部位を特定する。
【0058】
この場合も、衝突による短絡の発生の有無を判定する場合と同じように、リレー制御手段403は、電流I1〜I3,MCRTおよび電圧V1〜V6のいずれか一方に基づいて、衝突による短絡部位を特定してもよいし、電流I1〜I3,MCRTおよび電圧V1〜V6の両方に基づいて、衝突による短絡部位を特定してもよい。
【0059】
電流I1〜I3,MCRTに基づいて衝突による短絡部位を特定する場合、リレー制御手段403は、電流I1がレベルLV1に到達すれば、直流電源Bを衝突による短絡部位と特定し、電流I2がレベルLV1に到達すれば、直流電源Bと昇圧コンバータ20との間を衝突による短絡部位と特定し、電流I3がレベルLV1に到達すれば、昇圧コンバータ20とインバータ30との間を衝突による短絡部位と特定し、電流MCRTがレベルLV1に到達すれば、インバータ30の出力側を衝突による短絡部位と特定する。
【0060】
また、電圧V1〜V6に基づいて衝突による短絡部位を特定する場合、リレー制御手段403は、電圧V1がレベルLV2まで低下すれば、直流電源Bを衝突による短絡部位と特定し、電圧V2がレベルLV2まで低下すれば、直流電源Bと昇圧コンバータ20との間を衝突による短絡部位と特定し、電圧V3がレベルLV2まで低下すれば、昇圧コンバータ20とインバータ30との間を衝突による短絡部位と特定し、相間電圧V4〜V6のいずれかがレベルLV2まで低下すれば、インバータ30の出力側を衝突による短絡部位と特定する。
【0061】
そして、相間電圧V4〜V6に基づいてインバータ30の出力側を衝突による短絡部位と特定した場合、電圧V4〜V6のいずれがレベルLV2まで低下しているかを判定することによって交流モータM1のうち、どの相間で衝突による短絡が発生しているかを特定できる。すなわち、リレー制御手段403は、相間電圧V4がレベルLV2まで低下すれば、交流モータM1のU相とV相との間を衝突による短絡部位と特定し、相間電圧V5がレベルLV2まで低下すれば、交流モータM1のV相とW相との間を衝突による短絡部位と特定し、相間電圧V6がレベルLV2まで低下すれば、交流モータM1のW相とU相との間を衝突による短絡部位と特定する。
【0062】
さらに、電流I1〜I3,MCRTおよび電圧V1〜V6に基づいて衝突による短絡部位を特定する場合、リレー制御手段403は、電流I1がレベルLV1に到達し、かつ、電圧V1がレベルLV2まで低下すれば、直流電源Bを衝突による短絡部位と特定し、電流I2がレベルLV1に到達し、かつ、電圧V2がレベルLV2まで低下すれば、直流電源Bと昇圧コンバータ20との間を衝突による短絡部位と特定し、電流I3がレベルLV1まで到達し、かつ、電圧V3がレベルLV2まで低下すれば、昇圧コンバータ20とインバータ30との間を衝突による短絡部位と特定し、電流MCRTがレベルLV1まで到達し、かつ、電圧V4〜V6のいずれかがレベルLV2まで低下すれば、インバータ30の出力側を衝突による短絡部位と特定する。
【0063】
上記においては、給電経路LN1〜LN6に生じた電流I1〜I3,MCRTおよび電圧V1〜V6が所定のレベル(レベルLV1,LV2)に到達したか否かを判定することにより、衝突による短絡の発生の有無の判定と、衝突による短絡部位の特定とを行なうと説明したが、この発明においては、これに限らず、給電経路LN1〜LN6に生じた電流I1〜I3,MCRTおよび/または電圧V1〜V6が所定の波形からなるか否かを判定することにより、衝突による短絡の発生の有無の判定と、衝突による短絡部位の特定とを行なってもよい。
【0064】
図3に示すように、衝突による短絡が発生した場合、給電経路LN1〜LN6に生じた電流I(I1〜I3,MCRT)は、タイミングt1において瞬間的にレベルLV1まで到達し、その後、減少する波形WV1からなり、給電経路LN1〜LN6に生じた電圧V(V1〜V6)は、タイミングt1で瞬間的にレベルLV2まで低下し、その後、レベルLV2を保持する波形WV2からなる。
【0065】
したがって、この発明においては、リレー制御手段403は、電流I(I1〜I3,MCRT)および/または電圧V(V1〜V6)が所定の波形(波形WV1,WV2)からなるか否かを判定することにより、給電経路LN1〜LN6または直流電源Bにおける衝突による短絡の発生の有無の判定と、車両用モータ装置100における衝突による短絡部位の特定とを行なう。
【0066】
つまり、この発明においては、リレー制御手段403は、電流I(I1〜I3,MCRT)および/または電圧V(V1〜V6)が所定のレベル(レベルLV1,LV2)に到達したか否かを判定することにより、または電流I(I1〜I3,MCRT)および/または電圧V(V1〜V6)が所定の波形(波形WV1,WV2)からなるか否かを判定することにより、給電経路LN1〜LN6または直流電源Bにおける衝突による短絡の発生の有無の判定と、車両用モータ装置100における衝突による短絡部位の特定とを行なう。
【0067】
図4は、給電経路LN1〜LN6または直流電源Bの衝突による短絡の発生と短絡部位とを判定/特定する動作を説明するためのフローチャートである。図4を参照して、一連の動作が開始されると、電流センサー13,14,17,24は、それぞれ、電流I1〜I3,MCRTを検出し、その検出した電流I1〜I3,MCRTを制御装置40へ出力する。また、電圧センサー10,15,16,18,19,21は、それぞれ、電圧V1〜V6を検出し、その検出した電圧V1〜V6を制御装置40へ出力する(ステップS1)。
【0068】
そして、制御装置40のリレー制御手段403は、電流I1〜I3,MCRTおよび/または電圧V1〜V6が所定のレベル(レベルLV1,LV2)に到達したか否かを判定し(ステップS2)、電流I1〜I3,MCRTおよび/または電圧V1〜V6が所定のレベル(レベルLV1,LV2)に到達していないとき、ステップS1,S2が繰り返し実行される。
【0069】
一方、ステップS2において、電流I1〜I3,MCRTおよび/または電圧V1〜V6が所定のレベル(レベルLV1,LV2)に到達したと判定されたとき、リレー制御手段403は、給電経路LN1〜LN6または直流電源Bの衝突による短絡を検知し(ステップS3)、コイル11,12への駆動電流IDR1,2を停止してシステムリレーSR1,2をオフする(ステップS4)。
【0070】
引き続いて、リレー制御手段403は、電流I1〜I3,MCRTのいずれがレベルLV1に到達したか否かを判定し、および/または電圧V1〜V6のいずれがレベルLV2に到達したか否かを判定する(ステップS5)。そして、リレー制御手段403は、その判定結果に応じて、車両用モータ装置100における短絡部位を特定し(ステップS6)、その特定した短絡部位を記憶する(ステップS7)。これによって、一連の動作は終了する。
【0071】
なお、レベルLV1,LV2に代えてそれぞれ波形WV1,WV2が用いられる場合も、図4に示すフローチャートに従って給電経路LN1〜LN6または直流電源Bの衝突による短絡の発生が判定され、車両用モータ装置100における短絡部位が特定される。
【0072】
このように、この発明においては、車両用モータ装置100において直流電源Bから交流モータM1へ電力を供給する給電経路LN1〜LN6の各部位における電流I1〜I3,MCRTおよび/または電圧V1〜V6を検出し、その検出した電流I1〜I3,MCRTおよび/または電圧V1〜V6が所定のレベル(レベルLV1,LV2)に到達したかまたは所定の波形(波形WV1,WV2)からなるかを判定することによって、給電経路LN1〜LN6および直流電源Bの衝突による短絡を検知してシステムリレーSR1,SR2をオフするとともに、車両用モータ装置100の衝突による短絡部位を特定することを特徴とする。
【0073】
この特徴により、車両用モータ装置100は、衝突センサー等を用いなくても、給電経路LN1〜LN6および直流電源Bの衝突による短絡を正確に検知できるとともに、車両用モータ装置100における衝突による短絡部位を特定できる。
【0074】
車両用モータ装置100を車両(ハイブリッド自動車または電気自動車)に搭載する場合について説明する。図5は、車両の平面図である。図5の(a)を参照して、車両200は、車両用モータ装置100と、前輪210L,210Rと、後輪220L,220Rと、エンジン230とを備える。
【0075】
車両用モータ装置100のうち、直流電源B、昇圧コンバータ20およびインバータ30は、車両200の後輪220L,220R側に配置され、交流モータM1は、車両200の前輪210L,210R側に配置される。また、エンジン230も車両200の前輪210L,210R側に配置される。そして、エンジン230および交流モータM1は、前輪210L,210Rを駆動する。
【0076】
昇圧コンバータ20は、2相高圧ケーブル240によって直流電源Bに接続され、インバータ30は、3相高圧ケーブル250によって交流モータM1に接続される。
【0077】
このように、車両用モータ装置100が車両200に搭載される場合、直流電源B、昇圧コンバータ20およびインバータ30は、交流モータM1と離れた位置に配置される。その結果、インバータ30を交流モータM1に接続する3相高圧ケーブル250は、長くなる。
【0078】
そして、車両200において衝突が発生した場合、車両200の前後に配設された3相高圧ケーブル250が衝突による短絡を最も生じ易い。
【0079】
図5の(b)を参照して、車両300は、車両用モータ装置100と、前輪310L,310Rと、後輪320L,320Rと、エンジン330と、動力分割機構340とを備える。
【0080】
なお、図5の(b)においては、車両用モータ装置100のインバータ30は、インバータ30A,30Bからなり、交流モータM1は、モータジェネレータMG1,MG2からなる。そして、昇圧コンバータ20およびインバータ30A,30Bは、PCU(Power Control Uint)として1つのケースに収納される。
【0081】
車両300においては、車両用モータ装置100のうち、直流電源Bは、後輪320L,320R側に配置され、PCU(昇圧コンバータ20およびインバータ30A,30B)およびモータジェネレータMG1,MG2は、前輪310L,310R側に配置される。そして、昇圧コンバータ20は、2相高圧ケーブル350によって直流電源Bに接続される。また、インバータ30Aは、モータジェネレータMG1に対応して配置され、3相高圧ケーブル360によってモータジェネレータMG1に接続される。さらに、インバータ30Bは、モータジェネレータMG2に対応して配置され、3相高圧ケーブル370によってモータジェネレータMG2に接続される。
【0082】
モータジェネレータMG1は、動力分割機構340を介してエンジン330に連結され、モータジェネレータMG2およびエンジン330は、動力分割機構340を介して前輪310L,310Rに連結される。
【0083】
車両300に搭載された車両用モータ装置100においては、モータジェネレータMG1は、エンジン300を始動するとともに、エンジン330の回転力によって交流電圧を発電し、その発電した交流電圧をインバータ30Aに供給する。また、モータジェネレータMG2は、前輪310L,310Rを駆動するとともに、前輪310L,310Rの回転力によって交流電圧を発電し、その発電した交流電圧をインバータ30Bに供給する。
【0084】
車両300において衝突が発生した場合、車両300の前後に配設された2相高圧ケーブル350が衝突による短絡を最も生じ易い。
【0085】
このように、車両用モータ装置100は、搭載される車両の種類によって衝突による短絡が発生し易い場所が異なる。したがって、図1に示すように、給電経路LN1〜LN6の各部位に電圧センサー10,15,16,18,19,21および電流センサー13,14,17,24を配置することによって、車両用モータ装置100をどのような種類の車両に搭載しても、衝突による短絡部位を特定できる。
【0086】
上述したように、車両用モータ装置100が搭載される車種によって衝突による短絡が発生し易い場所は異なるが、車両用モータ装置100を車両200および300のいずれに搭載した場合も、電流I1〜I3,MCRTおよび/または電圧V1〜V6が所定のレベル(レベルLV1,LV2)に到達したか否かを判定し、または電流I1〜I3,MCRTおよび/または電圧V1〜V6が所定の波形(WV1,WV2)からなるか否かを判定することによって衝突部位を特定することは可能である。
【0087】
なお、システムリレーSR1,SR2は、「遮断リレー」を構成する。
【0088】
また、電流I1〜I3,MCRTおよび/または電圧V1〜V6が所定の波形(波形WV1,WV2)からなるときまたは所定のレベル(レベルLV1,LV2)に達したとき、システムリレーSR1,SR2をオフするリレー制御手段403は、電源から電動機への給電経路に生じた電圧および/または電流が車両の衝突を示す所定の波形からなるときまたは車両の衝突を示す所定のレベルに達したとき、給電経路を遮断するように遮断リレー(システムリレーSR1,SR2)を制御する「制御回路」を構成する。
【0089】
さらに、電流I1〜I3,MCRTおよび/または電圧V1〜V6のいずれが所定の波形(波形WV1,WV2)からなるかまたは所定のレベル(LV1,LV2)に達したかを判定することによって車両用モータ装置100における衝突による短絡部位を特定するリレー制御手段403は、「衝突部位判定手段」を構成する。
【0090】
さらに、昇圧コンバータ20は、「昇圧回路」を構成し、インバータ30は、「駆動回路」を構成する。
【0091】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0092】
この発明は、電源から電動機へ電力を供給する給電系における車両の衝突による短絡を正確に検知し、電源を迅速に保護可能な車両用モータ装置に適用される。また、この発明は、衝突部位を特定可能な車両用モータ装置に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】この発明の実施の形態による車両用モータ装置の概略図である。
【図2】図1に示す制御装置の機能ブロック図である。
【図3】電圧および電流のタイミングチャートである。
【図4】給電経路または直流電源の衝突による短絡の発生と短絡部位とを判定/特定する動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】車両の平面図である。
【符号の説明】
【0094】
10,15,16,18,19,21 電圧センサー、11,12 コイル、13,14,17,24 電流センサー、20 昇圧コンバータ、30 インバータ、31 U相アーム、32 V相アーム、33 W相アーム、40 制御装置、100 車両用モータ装置、200,300 車両、210L,210R,310L,310R 前輪、220L,220R,320L,320R 後輪、230,330 エンジン、240,350 2相高圧ケーブル、250,360,370 3相高圧ケーブル、340 動力分割機構、401 インバータ制御手段、402 コンバータ制御手段、403 リレー制御手段、B 直流電源、C1,C2 コンデンサ、Q1〜Q8 NPNトランジスタ、D1〜D8 ダイオード、SR1,SR2 システムリレー、L1 リアクトル、M1 交流モータ、MG1,MG2 モータジェネレータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両駆動用の電動機と、
電源と、
前記電源からの電力を前記電動機に給電する給電経路に設けられた遮断リレーと、
前記給電経路に生じた電圧および/または電流が車両の衝突を示す所定の波形からなるときまたは前記車両の衝突を示す所定のレベルに達したとき、前記給電経路を遮断するように前記遮断リレーを制御する制御回路とを備える車両用モータ装置。
【請求項2】
前記給電経路の各部位に生じた電圧および/または電流が前記所定の波形からなることまたは前記所定のレベルに達したことを検出することによって衝突部位を判定する衝突部位判定手段をさらに備える、請求項1に記載の車両用モータ装置。
【請求項3】
前記給電経路に設けられ、前記電源からの電源電圧を昇圧する昇圧回路と、
前記給電経路に設けられ、前記昇圧回路から出力される電圧に基づいて前記電動機を駆動する駆動回路とをさらに備え、
前記衝突部位判定手段は、前記電源と前記昇圧回路との間の第1の部位における第1の電圧および/または第1の電流が前記所定の波形からなるときまたは前記所定のレベルに達したとき、前記第1の部位を前記衝突部位と判定し、前記昇圧回路と前記駆動回路との間の第2の部位における第2の電圧および/または第2の電流が前記所定の波形からなるときまたは前記所定のレベルに達したとき、前記第2の部位を前記衝突部位と判定し、前記駆動回路の出力側の第3の部位における第3の電圧および/または第3の電流が前記所定の波形からなるときまたは前記所定のレベルに達したとき、前記第3の部位を前記衝突部位と判定し、
前記制御回路は、前記第1から第3の電圧の少なくとも1つおよび/または前記第1から第3の電流の少なくとも1つが前記所定の波形からなるときまたは前記所定のレベルに達したとき、前記給電経路を遮断するように前記遮断リレーを制御する、請求項2に記載の車両用モータ装置。
【請求項4】
前記電動機は、多相交流モータであり、
前記衝突部位判定手段は、前記多相交流モータの相間電圧が前記所定の波形からなるときまたは前記所定のレベルに達したとき、前記第3の部位を前記衝突部位と判定し、
前記制御回路は、前記相間電圧が前記所定の波形からなるときまたは前記所定のレベルに達したとき、前記給電経路を遮断するように前記遮断リレーを制御する、請求項3に記載の車両用モータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−14541(P2006−14541A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−190772(P2004−190772)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】