車両間充電装置
【課題】急速充電用のDC/DCコンバータを用いず、救援対象車両のバッテリーに適した充電電流を供給可能であり、低コストかつ小型の車両間充電装置を提供する。
【解決手段】バッテリーBAT1と、インバータINVと、インバータINVにより駆動される車両駆動用のモータM1と、バッテリーBAT1の管理機能,インバータINVの制御機能,他の救援対象車両102のバッテリーBAT2への充電制御機能を備えた制御装置CONT1と、を備えた救援車両101により、救援対象車両102のバッテリーBAT2を充電する車両間充電装置において、モータM1の中性点とインバータINVの正負直流母線の一方とから出力される充電電流をバッテリーBAT2に供給し、かつ、バッテリーBAT2に充電するための制御信号を制御装置CONT1と救援対象車両102との間で送受信する標準化されたコネクタ4s,4r、ケーブル5を備える。
【解決手段】バッテリーBAT1と、インバータINVと、インバータINVにより駆動される車両駆動用のモータM1と、バッテリーBAT1の管理機能,インバータINVの制御機能,他の救援対象車両102のバッテリーBAT2への充電制御機能を備えた制御装置CONT1と、を備えた救援車両101により、救援対象車両102のバッテリーBAT2を充電する車両間充電装置において、モータM1の中性点とインバータINVの正負直流母線の一方とから出力される充電電流をバッテリーBAT2に供給し、かつ、バッテリーBAT2に充電するための制御信号を制御装置CONT1と救援対象車両102との間で送受信する標準化されたコネクタ4s,4r、ケーブル5を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両に搭載されて他の車両のバッテリーを充電する車両間充電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
いわゆるバッテリー上がりで自走できなくなった電気自動車等の車両(以下、救援対象車両という)を、バッテリー残量が十分にある電気自動車またはハイブリッド自動車等の車両(以下、救援車両という)により救援するため、車両間で充放電する従来技術として、特許文献1に記載された発明がある。
【0003】
上記従来技術を、以下に説明する。
図19は、自車のバッテリー残量が十分にある救援車両101が、バッテリーの切れた救援対象車両102を充電する主回路構成を示している。
まず、両車のバッテリーBAT1,BAT2を接続する際に発生する突入電流を抑制するため、ケーブル5を接続した後リレーRY2a,RY3aとRY2b,RY3bとをそれぞれ導通させ、突入電流防止抵抗1を利用して予備充電を開始する。その後、リレーRY1a,RY1bを導通させてバッテリーBAT1からバッテリーBAT2への主充電が開始される。なお、11はコネクタである。
【0004】
また、車両外部へ電力を供給する従来技術としては、特許文献2に記載された発明がある。
この従来技術は、内燃機関と、星形結線された第1の多相巻線を固定子巻線として含む第1の回転電機と、からなる発電装置を備えており、第1の回転電機は、内燃機関のクランク軸に回転軸が結合され、内燃機関の出力を用いて発電する。また、星形結線された第2の多相巻線を固定子巻線として含む第2の回転電機と、第1,第2の回転電機にそれぞれ対応して設けられる第1,第2のインバータと、電気負荷へ電力を出力するための電圧差を第1の多相巻線の第1の中性点と第2の多相巻線の第2の中性点との間に発生するように第1,第2のインバータを制御するインバータ制御部と、第1,第2の中性点に接続され、第1,第2の中性点から電気負荷へ電力を出力するための電力出力部と、を有する電力変換部を備えている。
前記制御部は、第1の回転電機の発電量が電力変換部から外部の電気負荷へ出力される電力量とほぼ同等となるように、第1の回転電機の発電量を制御するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−252547号公報(段落[0010]〜[0021]、図1等)
【特許文献2】特許第4412270号公報(段落[0022] ,[0027]〜[0055]、図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に係る従来技術では、充電時の突入電流を抑えるためにプリチャージ回路が必要であり、コストや占有スペースが増大する。また、充電電流は救援車両と救援対象車両のバッテリー仕様、更には、バッテリーのSOC(充電状態)やSOH(劣化状態)に依存しており、適切なプリチャージ抵抗値や充電電流許容値を超えないようなメインリレーの投入タイミングを予め知ることは困難である。つまり、異なる車種間では、この従来技術を適用できない懸念がある。
更に、この従来技術では充電量を制御できないため、救援対象車両が最寄りの充電ステーションまで自走するのに必要最低限な充電量を充電する、といった運用ができない。
【0007】
また、特許文献2に係る従来技術では、電力変換器を別途追加することなく外部負荷に供給する電流を制御することが可能であるが、2組の回転電機(モータ)及びインバータが必要になり、コストの増大や装置の大型化を招く。
一方、他の手段としては、標準規格に準拠する急速充電器を搭載した救援車両を使用することが考えられる。しかしながら、これによると急速充電用のDC/DCコンバータが別途必要になり、コスト高やスペースの圧迫を招く等の問題がある。
【0008】
そこで、本発明の解決課題は、プリチャージ回路や急速充電用のDC/DCコンバータ等を用いず、救援対象車両のバッテリーに適した充電電流を供給可能であると共に、低コストかつ小型化が可能な車両間充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、バッテリーと、前記バッテリーの直流電圧を交流電圧に変換するインバータと、前記インバータにより駆動される車両駆動用のモータと、前記バッテリーの管理機能,前記インバータの制御機能,他の救援対象車両のバッテリーへの充電制御機能を備えた制御装置と、を備えた救援車両により、前記救援対象車両のバッテリーを充電可能とした車両間充電装置において、
前記モータの中性点と前記インバータの正負直流母線の一方とから出力される充電電流を前記救援対象車両のバッテリーに供給し、かつ、前記救援対象車両のバッテリーに充電するための制御信号を前記制御装置と前記救援対象車両との間で送受信する接続部を備えたものである。
【0010】
請求項2に係る発明は、バッテリーと、前記バッテリーの直流電圧を昇圧するコンバータと、前記コンバータの直流出力電圧を交流電圧に変換するインバータと、前記インバータにより駆動される車両駆動用のモータと、前記バッテリーの管理機能,前記コンバータ及び前記インバータの制御機能,他の救援対象車両のバッテリーへの充電制御機能を備えた制御装置と、を備えた救援車両により、前記救援対象車両のバッテリーを充電可能とした車両間充電装置において、
前記モータの中性点と前記インバータの正負直流母線の一方とから出力される充電電流を前記救援対象車両のバッテリーに供給し、かつ、前記救援対象車両のバッテリーに充電するための制御信号を前記制御装置と前記救援対象車両との間で送受信する接続部を備えたものである。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載した車両間充電装置において、前記救援車両は、エンジンと、前記エンジンにより駆動される発電機とを備え、かつ、前記発電機により前記救援車両のバッテリーを充電する充電制御機能を有するものである。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した車両間充電装置において、前記救援車両は、前記救援対象車両のバッテリーに対する充電量を指定する機能を備えたものである。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した車両間充電装置において、前記接続部が、標準化された急速充電用のコネクタを有するものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、救援対象車両のバッテリーに対する充電回路を救援車両のモータ駆動回路と共用して充電電流を任意に制御することができる。これにより、プリチャージ回路を用いずに充電開始時の突入電流を抑えることができ、充電対象である救援対象車両のバッテリーに適した充電電流による充電が可能である。また、これらの機能を実現するために従来、別途に必要であった充電専用のDC/DCコンバータも不要になる。
従って、本発明によれば、小型かつ低コストにて急速充電器相当の充電機能を有する救援車両を提供することができる。
請求項2に係る発明によれば、請求項1の効果に加え、救援対象車両が必要とする充電電圧が救援車両のバッテリー電圧より高い場合にも充電が可能である。
請求項3に係る発明によれば、請求項1,2の効果に加え、エンジンによる発電により救援車両自身のバッテリーを充電することができる。このため、救援車両の航続距離の制約が緩和され、運用範囲を広げることができる。
請求項4に係る発明によれば、救援対象車両が最寄りの充電ステーションまで自走するのに必要最低限な充電量を指定して充電する等の柔軟な対応が可能になる。このため、短時間で応急的な充電が可能であることから救援時間を短くでき、救援車両の効率的な運用を行うことができる。
請求項5に係る発明によれば、標準化されたインターフェースを利用することができ、救援対象車両の車種を問わずに救援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施例を示す構成図である。
【図2】本発明の第2実施例を示す構成図である。
【図3】本発明の第3実施例を示す構成図である。
【図4】本発明の第1実施形態が適用される電気自動車駆動システムの構成図である。
【図5】図4におけるインバータ制御装置の構成図である。
【図6】図4における充電制御装置の構成図である。
【図7】本発明の実施形態における救援対象車両への充電動作を示すフローチャートである。
【図8】図7に対応するタイムチャートである。
【図9】本発明の第2実施形態が適用される電気自動車駆動システムの構成図である。
【図10】図3を具体化した救援車両の構成図である。
【図11】図10における自車充電装置の構成図である。
【図12】3相インバータによるモータ駆動回路である。
【図13】図12に示す3相インバータの零相等価回路である。
【図14】3相インバータによるモータ駆動回路である。
【図15】図14に示す3相インバータの零相等価回路である。
【図16】図12に示す回路を対象としたPWMパルス制御ブロックを示す図である。
【図17】図16の動作説明図である。
【図18】予め決められた充電電流によって救援対象車両を充電するためのPWMパルス制御ブロックを示す図である。
【図19】特許文献1に記載された従来技術の主回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
まず、図4は、本発明の第1実施形態が適用される電気自動車駆動システムの構成図である。このシステムは、電気自動車やハイブリッド自動車を救援車両として他の救援対象車両(電気自動車等)のバッテリーを充電するためのものである。
【0017】
図4において、電気自動車駆動システムは、電気自動車を走行させるための永久磁石同期電動機等のモータM1、このモータM1を駆動する3相インバータINV、バッテリーBAT1、制御装置CONT1を備えている。また、1は突入電流防止用の抵抗器、2a,2b,2c,RY1,RY2はリレー、3はコンデンサ、4sは接続部としての標準化された急速充電用のコネクタ、7,7u,7v,7wは電流検出器、8,8aは電圧検出器、10は磁極位置検出器、T11〜T16は半導体スイッチング素子である。
一方、制御装置CONT1は、バッテリー管理装置100、インバータ制御装置300、充電制御装置400、上位制御装置500を備えており、上位制御装置500には外部の充電量設定器200から救援対象車両の充電量設定値(目標充電量)が入力されている。
【0018】
このシステムの概略的な動作は、以下のとおりである。
車両走行時において、リレーRY1,RY2は開放状態であり、インバータINVは通常の3相インバータ動作によってモータM1を駆動する。
一方、図示されていない救援対象車両のバッテリーに充電電流を供給する時には、リレーRY1,RY2を閉じ、モータM1の中性点と負側直流母線とをコネクタ4sを介して救援対象車両のバッテリーに接続する回路を構成する。
【0019】
このように回路を構成することで、例えば特許第3223842号公報によれば、図12に示す3相インバータの零相等価回路は図13となり、降圧コンバータを構成することができる。図13において、TUはインバータINVの上アームのスイッチング素子に、TBは同じく下アームのスイッチング素子に、LzはモータM1の巻線のリアクトルにそれぞれ相当し、負荷は救援対象車両のバッテリーに相当する。
この回路の動作原理については、特許第3223842号公報に詳述されているため、ここでは省略する。
【0020】
上述した特許第3223842号公報には、救援車両のバッテリーBAT1の電圧V1と、モータM1の中性点と負側直流母線との間の電位差V2と、上アームのオンデューティD1との間に、数式1の関係があることが記載されている。
【数1】
【0021】
数式1によれば、上下アームのデューティを変えることで、モータM1の中性点と負側直流母線との間に接続される救援対象車両への供給電圧(充電電圧)を、0〜V1の間で任意の大きさに調整することができる。このことは、救援対象車両に対する充電電流を制御できることを意味し、定電流充電が可能である。従って、充電電圧の初期値を救援対象車両のバッテリー電圧に設定した状態でリレーRY1,RY2を閉じれば、突入電流が発生することはない。
【0022】
別の構成として、図14のようにモータM1の中性点と正側直流母線との間に負荷(救援対象車両のバッテリー)を接続した場合、3相インバータの零相等価回路は図15となり、同様に降圧コンバータを構成することができる。
つまり、モータM1の中性点とインバータINVの正負直流母線のいずれか一方との間から出力電圧を得ることにより、救援車両のバッテリーBAT1の電圧V1を入力とした降圧コンバータを構成することができる。
【0023】
次に、図12に示す回路を対象とした上下アームのデューティを変える手段について説明する。
図16は、PWMパルス制御ブロックを示す図であり、SW1,SW2はスイッチ、9u,9v,9wは加減算器、12はPWM生成器を示す。また、図17はこのブロックによるPWMパルス生成方法を示す図である。
図17に示すように、PWM生成器12では、搬送波である三角波と信号波である電圧指令値vz*,vu1*,vv1*,vw1*との大小を比較し、PWMパルスを生成する。
【0024】
上下アームのデューティを変える方法としては、図16のように、モータ駆動用の交流電圧指令値vu1*,vv1*,vw1*をスイッチSW1により遮断し(vu1*,vv1*,vw1*をそれぞれ零としてもよい)、一方、スイッチSW2を閉じて各相に同一の電圧指令値vz*を入力する。この結果、インバータINVの各相上下アームのスイッチング素子T11〜T16のオンオフは同一のパターンとなり、図13に示した降圧コンバータを構成するスイッチング素子TU,TBとして機能する。ここで、vz*を制御すれば、上下アームのデューティを変えることができるのは明白である。
【0025】
図18は、予め決められた充電電流によって救援対象車両を充電するためのPWMパルス制御ブロックを示す図である。
前述した降圧コンバータの出力電流(充電電流)検出値izdetを帰還量とした電流調節器ACRを構成し、その出力を各相に入力する相電圧指令値vz*とすることで、予め決められた電流指令値Ic*に従って救援対象車両のバッテリーを充電することができる。なお、9aは加減算器である。
充電停止の判断手段としては、標準化された充電インターフェースを利用し、救援車両と救援対象車両との間で前記コネクタ4sを介して通信することにより救援対象車両に搭載されたバッテリーのSOCを取得し、その数値が予め設定したSOCに到達したら充電を停止すればよい。
【0026】
次に、図9は、本発明の第2実施形態に係る電気自動車駆動システムの構成図である。
図4との相違点を中心に説明すると、この第2実施形態では、救援車両のバッテリーBAT1の電圧を昇圧するDC/DCコンバータが付加されており、バッテリーBAT1の電圧をインバータINVの主回路のスイッチング素子T11〜T16の耐圧限度内で昇圧し、直流母線へ供給するように構成されている。
なお、600は、制御装置CONT2に設けられたDC/DCコンバータ制御装置である。
【0027】
上記DC/DCコンバータ(昇圧コンバータ)は、インバータINVに並列接続されたスイッチング素子T21,T22の直列回路と、リアクトルL1とによって構成されており、リアクトルL1はコンデンサ3の一端とスイッチング素子T21,T22同士の直列接続点との間に接続されている。なお、3aはスイッチング素子T21,T22の直列回路に並列接続されたコンデンサ、7aは電流検出器である。
【0028】
ここで、バッテリーBAT1の電圧V1と直流母線電圧V3との間には数式2の関係があることが知られている。なお、便宜的に、上アームのオン時間T21はスイッチング素子T21と同一符号を使用する。
【数2】
この数式2と数式1との関係より、充電出力であるモータM1の中性点と負側直流母線との間の電位差V2は、数式3となる。
【数3】
【0029】
すなわち、スイッチング素子T21,T22の上下アームのデューティ比と、スイッチング素子T11〜T16の上下アームのデューティ比とを変えることで、救援車両のバッテリーBAT1の電圧V1を任意の大きさの電圧に調整することができる。このことは、救援対象車両が必要とする充電電圧が救援車両のバッテリー電圧V1より高くても、救援対象車両のバッテリーに所要の充電電流を制御できることを意味しており、定電流急速充電することが可能である。
【実施例】
【0030】
次に、本発明の実施例を説明する。
図1は、請求項1,4,5に相当する本発明の第1実施例を示している。この第1実施例は、前述した図4の第1実施形態に基づいて構成されており、電流検出器、電圧検出器等の図示は省略してある。また、第1実施例に係る充電装置が搭載された車両を救援車両101とし、この救援車両101によってバッテリーが充電される車両を救援対象車両102とする。
【0031】
救援車両101はコネクタ4sに急速充電用出力端子を備え、救援対象車両102のコネクタ4rの急速充電用入力端子に、ケーブル5を介して接続される。このケーブル5により、充電電流及び充電制御用の制御信号が伝送される。接続部としてのコネクタ4r,4sの構造仕様、電気仕様及び通信仕様は、標準化された急速充電用の規格が採用されている。また、充電開始及び終了手順は、標準化された急速充電シーケンス仕様にて行われるものとする。
一方、救援対象車両102は、例えば電気自動車やハイブリッド自動車であり、前記コネクタ4rと、リレー2d,2e、バッテリーBAT2、制御装置CONTrを備えている。
【0032】
次に、救援車両101の制御装置CONT1の構成を、図4に基づいて説明する。
この制御装置CONT1は、下位制御装置であるバッテリー管理装置100、インバータ制御装置300、充電制御装置400と、これらを統合的に制御する上位制御装置500とを備え、上位制御装置500には、救援対象車両102への充電量を設定する充電量設定器200が接続されている。これらの各装置は、A/D変換機能、メモリ機能及び通信機能を有するマイクロコンピュータ及び液晶タッチパネル等により構成されている。
なお、com,com1,com2,com3は通信信号である。
【0033】
上位制御装置500は、車両の運転指令、充電開始指令、及び、充電量設定器200により設定された救援対象車両102の充電量設定値を、下位制御装置(バッテリー管理装置100、インバータ制御装置300、充電制御装置400)へ伝達する。
充電量設定器200は、目標とする充電量設定値を入力とするヒューマンインタフェース装置であり、設定されたデータを上位制御装置500へ伝送する。
バッテリー管理装置100は、自車のバッテリーBAT1のSOCやSOH等をモニタするモニタ手段、救援対象車両102のバッテリーBAT2に対する充電仕様を伝送する手段からなる。
【0034】
インバータ制御装置300は、図5に示すように構成されている。
このインバータ制御装置300は、通信信号処理ブロック310、モータ制御ブロック320、充電電流制御ブロック330、及び、スイッチング素子T11〜T16を駆動するゲート信号を発生するPWM生成器12を備えている。
モータ制御ブロック320への入力信号は、救援車両101を駆動するモータM1のトルク指令値T*、インバータ出力相電流検出値iudet,ivdet,iwdet、モータM1の磁極位置検出信号θdetであり、充電電流制御ブロック330への入力信号は、救援対象車両102に対する充電電流指令値Ic*、ACRホールド信号hold、及び、電流調節器ACR3の出力電圧初期値vzini*である。
ここで、加減算器9cにより算出されるインバータ出力相電流検出値iudet,ivdet,iwdetの和izdetは充電電流検出値となり、充電電流指令値Ic*との偏差が加減算器9bにより算出されて電流調節器ACR3に入力されている。
【0035】
モータ制御ブロック320は、ベクトル演算器321、ベクトル回転器322,323、電流調節器ACR1,ACR2、加減算器9d,9q、スイッチSW1を備えている。そして、ベクトル回転器322から出力される各相電圧指令値vu1*,vv1*,vw1*に電圧指令値vz*を加算して得た電圧指令値vu2*,vv2*,vw2*がPWM生成器12に入力され、その出力が3相インバータINVの6つのスイッチング素子T11〜T16を駆動するゲート信号となる。
【0036】
救援車両101の通常走行状態では、モータ制御ブロック320が動作し、上位制御装置500からトルク指令T*を受けて、この指令T*に対応したトルクを発生するようにベクトル演算器321によりd軸,q軸のモータ電流指令値id*,iq*を演算する。電流調節器ACR1,ACR2は、モータM1に3相交流電圧を印加するためのものであり、その制御方法として、永久磁石同期電動機を駆動するベクトル制御を用いる。このベクトル制御方法は周知であるため、ここでは詳述を省略する。
電圧指令値切替用のスイッチSW1を閉じ、これらと相補の関係になっているスイッチSW2を開くことにより、PWM生成器12がPWM演算を行う電圧指令値を、電流調節器ACR1,ACR2の出力とする。
従って、通常走行状態においては通常の3相インバータによるモータ駆動となんら変わらない制御となる。
【0037】
次に、救援対象車両102のバッテリーBAT2を充電する動作について説明する。
この場合には、スイッチSW2を閉じ、これと相補の関係になっているスイッチSW1を開くことにより、PWM生成器12がPWM演算を行う電圧指令値を、充電電流制御ブロック330内の電流調節器ACR3の出力とする。
電流調節器ACR3の入力である充電電流指令値Ic*は、コネクタ4r,4s経由の通信により救援対象車両102から得た許容充電電流値とする。
【0038】
次いで、図4における充電制御装置400について、図6に基づいて説明する。
図6に示すように、充電制御装置400は、初期電圧検出部401、通信信号処理部402,403、充電シーケンス制御装置404から構成されている。
すなわち、充電制御装置400は、上位制御装置500からの充電開始信号及び目標充電量SOC*(通信信号com1)、救援対象車両102との双方向通信信号com、救援対象車両102のバッテリー電圧検出値VBAT2detを入力とし、充電電流指令値及び充電初期電圧を、上位制御装置500を経由してインバータ制御装置300へ出力する。通信信号処理部402は、充電開始のタイミングで充電シーケンス制御装置404に対するhold信号を解除し、充電電流を救援対象車両102へ通流する指令をインバータ制御装置300に与える。上述した充電制御装置400の機能は必要最低限であるが、搭載機能は標準化された急速充電仕様に適合させることが望ましい。
【0039】
これらの制御ブロックにより図7に示すフローチャートを実行することで、救援車両101から救援対象車両102への充電が可能である。
図7は、この実施例における救援対象車両102への充電動作を示すフローチャートである。救援対象車両102のバッテリーBAT2の電圧を検出し、この電圧を電流調節器ACR3の積分器にプリセットしてリレーRY1,RY2を閉じ、hold信号の解除を待って電流調節器ACR3を動作させる(ステップS1〜S6)。そして、救援対象車両102のバッテリーBAT2のSOCが設定値を超えたら、電流調節器ACR3の電流指令値を零に設定し、リレーRY1,RY2を開いて電流調節器ACR3の動作を停止すると共に、充電完了信号を救援対象車両102に送信する(ステップS7〜S11)。
なお、図8は、図7に対応するタイムチャートであり、(1)充電電流Ic、(2)充電電圧Vout、(3)バッテリーBAT2の電圧を示している。
【0040】
次に、図2は請求項2に相当する本発明の第2実施例を示している。この第2実施例は、前述した図9の第2実施形態に基づいて構成されており、電流検出器、電圧検出器等の図示は省略してある。
図2の第2実施例が図1の第1実施例と異なる点は、図9において説明したように、救援車両101のバッテリーBAT1の電圧を昇圧コンバータにより昇圧する機能が付加されている点である。
第2実施例における救援車両101の制御装置CONT2の構成は、前述した図9に示したとおりであり、充電制御方法は、以下の説明を除いて第1実施例と同様である。
【0041】
前述した数式3より、救援車両101からの充電出力電圧は、DC/DCコンバータ側の上下アームスイッチング素子T21,T22のデューティと、3相インバータINV側の上下アームスイッチング素子T11,T12,T13及びT14,T15,T16のデューティとの双方によって制御可能であるが、3相インバータINV側の上下アームのデューティを制御して充電電流制御を行うため、DC/DCコンバータ側の上下アームのデューティは固定とする。その固定値は、直流母線電圧が救援対象車両102のバッテリーBAT2の充電終止電圧Vendとなる値とする。この結果、前述した数式3より、充電出力電圧は数式4となる。
【数4】
このような制御を行うことで、第1実施例により説明した充電制御方法を適用することができ、救援対象車両102のバッテリーBAT2の電圧が救援車両101のバッテリーBAT1の電圧より高い場合にも充電可能である。
なお、昇圧コンバータの制御方法は周知であるため、説明を省略する。
【0042】
次いで、図3は請求項3に相当する本発明の第3実施例を示している。
この第3実施例と第1,第2実施例との相違点は、救援車両101内に、エンジン700、発電機800と、自車のバッテリーBAT1を充電するための自車充電装置900とを付加した点である。
【0043】
図10は、図3を具体化した救援車両101の構成を示す制御ブロック図である。
エンジン700は発電指令により起動され、予め設定された回転数で動作し、機械軸6を介して発電機800を駆動する。発電機800は、3相交流同期発電機とする。
【0044】
図11は、自車の充電を行う自車充電装置900の構成を示している。
自車充電装置900は、発電機800の3相交流出力端子R,S,Tから入力された電流を整流するダイオードD1〜D6からなる整流回路、自車のバッテリーBAT1の正極BAT1(+)、負極BAT1(−)に充電電流を供給するスイッチング素子TU2,TB2、バッテリーBAT1のSOCを演算するSOC演算手段901、演算されたSOCに基づいて充電電流を決定する充電電流決定手段902、決定した充電電流にて電流を制御する電流調節器904及びPWM生成器905、演算されたSOCに基づきエンジン700の発電指令を出力し、その起動、停止を制御するエンジン起動、停止判定手段903から構成されている。3b,3cはコンデンサ、L2はリアクトル、7bは電流検出器、9eは加減算器である。
【0045】
SOC演算手段901は、バッテリーBAT1の充放電電流を計測して電流値を積算することでSOCを演算する。VBAT1detはバッテリーBAT1の電圧検出値、iBAT1detはバッテリーBAT1の電流検出値である。なお、SOCを演算する具体的な方法は、例えば特開2005−354825号公報等に開示されているので、詳述は省略する。
充電電流決定手段902は、SOCに対するバッテリーBAT1の充電電流受け入れ特性から充電電流を決定する。
エンジン起動、停止判定手段903は、予め決められたSOCを閾値とし、SOC演算手段901により演算されたSOCが閾値以上のときにエンジン700を停止し、閾値未満のときにエンジン700を起動する信号Egctrを出力する。
【0046】
この第3実施例によれば、上述した機能を付加することにより、第1,第2実施例により説明した救援対象車両102に対する充電が可能であることに加え、救援車両101のバッテリーBAT1を自車に搭載されたエンジン700によって充電することができる。
【0047】
なお、本発明は、救援対象車両102が電気自動車やハイブリッド自動車である場合だけでなく、通常のガソリン自動車や電動式自転車である場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0048】
1:抵抗器
2a,2b,2c:リレー
3,3a,3b,3c:コンデンサ
4,4s,4r:標準化された急速充電用コネクタ
5:ケーブル
6:機械軸
7,7a,7b,7u,7v,7w:電流検出器
8,8a:電圧検出器
9,9a,9b,9c,9d,9e,9q,9u,9v,9w:加減算器
10:磁極位置検出器
11:コネクタ
12:PWM生成器
100:バッテリー管理装置
101:救援車両
102:救援対象車両
200:充電量設定器
300:インバータ制御装置
310:通信信号処理ブロック
320:モータ制御ブロック
330:充電電流制御ブロック
321:ベクトル演算器
322,323:ベクトル回転器
400:充電制御装置
401:初期電圧検出部
402,403:通信信号処理部
403:充電シーケンス制御装置
500:上位制御装置
600:DC/DCコンバータ制御装置
700:エンジン
800:発電機
900:自車充電装置
901:SOC演算手段
902:充電電流決定手段
903:エンジン起動、停止判定手段
904:電流調節器
905:PWM生成器
CONT1,CONT2,CONT3,CONTr:制御装置
M1:モータ
BAT1:救援車両のバッテリー
BAT2:救援対象車両のバッテリー
T11〜T16,T21,T22,TU,TB,TU2,TB2:スイッチング素子
L1,L2,Lz:リアクトル
ACR,ACR1,ACR2,ACR3:電流調節器
RY1,RY2:リレー
D1〜D6:ダイオード
SW1,SW2:スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両に搭載されて他の車両のバッテリーを充電する車両間充電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
いわゆるバッテリー上がりで自走できなくなった電気自動車等の車両(以下、救援対象車両という)を、バッテリー残量が十分にある電気自動車またはハイブリッド自動車等の車両(以下、救援車両という)により救援するため、車両間で充放電する従来技術として、特許文献1に記載された発明がある。
【0003】
上記従来技術を、以下に説明する。
図19は、自車のバッテリー残量が十分にある救援車両101が、バッテリーの切れた救援対象車両102を充電する主回路構成を示している。
まず、両車のバッテリーBAT1,BAT2を接続する際に発生する突入電流を抑制するため、ケーブル5を接続した後リレーRY2a,RY3aとRY2b,RY3bとをそれぞれ導通させ、突入電流防止抵抗1を利用して予備充電を開始する。その後、リレーRY1a,RY1bを導通させてバッテリーBAT1からバッテリーBAT2への主充電が開始される。なお、11はコネクタである。
【0004】
また、車両外部へ電力を供給する従来技術としては、特許文献2に記載された発明がある。
この従来技術は、内燃機関と、星形結線された第1の多相巻線を固定子巻線として含む第1の回転電機と、からなる発電装置を備えており、第1の回転電機は、内燃機関のクランク軸に回転軸が結合され、内燃機関の出力を用いて発電する。また、星形結線された第2の多相巻線を固定子巻線として含む第2の回転電機と、第1,第2の回転電機にそれぞれ対応して設けられる第1,第2のインバータと、電気負荷へ電力を出力するための電圧差を第1の多相巻線の第1の中性点と第2の多相巻線の第2の中性点との間に発生するように第1,第2のインバータを制御するインバータ制御部と、第1,第2の中性点に接続され、第1,第2の中性点から電気負荷へ電力を出力するための電力出力部と、を有する電力変換部を備えている。
前記制御部は、第1の回転電機の発電量が電力変換部から外部の電気負荷へ出力される電力量とほぼ同等となるように、第1の回転電機の発電量を制御するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−252547号公報(段落[0010]〜[0021]、図1等)
【特許文献2】特許第4412270号公報(段落[0022] ,[0027]〜[0055]、図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に係る従来技術では、充電時の突入電流を抑えるためにプリチャージ回路が必要であり、コストや占有スペースが増大する。また、充電電流は救援車両と救援対象車両のバッテリー仕様、更には、バッテリーのSOC(充電状態)やSOH(劣化状態)に依存しており、適切なプリチャージ抵抗値や充電電流許容値を超えないようなメインリレーの投入タイミングを予め知ることは困難である。つまり、異なる車種間では、この従来技術を適用できない懸念がある。
更に、この従来技術では充電量を制御できないため、救援対象車両が最寄りの充電ステーションまで自走するのに必要最低限な充電量を充電する、といった運用ができない。
【0007】
また、特許文献2に係る従来技術では、電力変換器を別途追加することなく外部負荷に供給する電流を制御することが可能であるが、2組の回転電機(モータ)及びインバータが必要になり、コストの増大や装置の大型化を招く。
一方、他の手段としては、標準規格に準拠する急速充電器を搭載した救援車両を使用することが考えられる。しかしながら、これによると急速充電用のDC/DCコンバータが別途必要になり、コスト高やスペースの圧迫を招く等の問題がある。
【0008】
そこで、本発明の解決課題は、プリチャージ回路や急速充電用のDC/DCコンバータ等を用いず、救援対象車両のバッテリーに適した充電電流を供給可能であると共に、低コストかつ小型化が可能な車両間充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、バッテリーと、前記バッテリーの直流電圧を交流電圧に変換するインバータと、前記インバータにより駆動される車両駆動用のモータと、前記バッテリーの管理機能,前記インバータの制御機能,他の救援対象車両のバッテリーへの充電制御機能を備えた制御装置と、を備えた救援車両により、前記救援対象車両のバッテリーを充電可能とした車両間充電装置において、
前記モータの中性点と前記インバータの正負直流母線の一方とから出力される充電電流を前記救援対象車両のバッテリーに供給し、かつ、前記救援対象車両のバッテリーに充電するための制御信号を前記制御装置と前記救援対象車両との間で送受信する接続部を備えたものである。
【0010】
請求項2に係る発明は、バッテリーと、前記バッテリーの直流電圧を昇圧するコンバータと、前記コンバータの直流出力電圧を交流電圧に変換するインバータと、前記インバータにより駆動される車両駆動用のモータと、前記バッテリーの管理機能,前記コンバータ及び前記インバータの制御機能,他の救援対象車両のバッテリーへの充電制御機能を備えた制御装置と、を備えた救援車両により、前記救援対象車両のバッテリーを充電可能とした車両間充電装置において、
前記モータの中性点と前記インバータの正負直流母線の一方とから出力される充電電流を前記救援対象車両のバッテリーに供給し、かつ、前記救援対象車両のバッテリーに充電するための制御信号を前記制御装置と前記救援対象車両との間で送受信する接続部を備えたものである。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載した車両間充電装置において、前記救援車両は、エンジンと、前記エンジンにより駆動される発電機とを備え、かつ、前記発電機により前記救援車両のバッテリーを充電する充電制御機能を有するものである。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した車両間充電装置において、前記救援車両は、前記救援対象車両のバッテリーに対する充電量を指定する機能を備えたものである。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した車両間充電装置において、前記接続部が、標準化された急速充電用のコネクタを有するものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、救援対象車両のバッテリーに対する充電回路を救援車両のモータ駆動回路と共用して充電電流を任意に制御することができる。これにより、プリチャージ回路を用いずに充電開始時の突入電流を抑えることができ、充電対象である救援対象車両のバッテリーに適した充電電流による充電が可能である。また、これらの機能を実現するために従来、別途に必要であった充電専用のDC/DCコンバータも不要になる。
従って、本発明によれば、小型かつ低コストにて急速充電器相当の充電機能を有する救援車両を提供することができる。
請求項2に係る発明によれば、請求項1の効果に加え、救援対象車両が必要とする充電電圧が救援車両のバッテリー電圧より高い場合にも充電が可能である。
請求項3に係る発明によれば、請求項1,2の効果に加え、エンジンによる発電により救援車両自身のバッテリーを充電することができる。このため、救援車両の航続距離の制約が緩和され、運用範囲を広げることができる。
請求項4に係る発明によれば、救援対象車両が最寄りの充電ステーションまで自走するのに必要最低限な充電量を指定して充電する等の柔軟な対応が可能になる。このため、短時間で応急的な充電が可能であることから救援時間を短くでき、救援車両の効率的な運用を行うことができる。
請求項5に係る発明によれば、標準化されたインターフェースを利用することができ、救援対象車両の車種を問わずに救援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施例を示す構成図である。
【図2】本発明の第2実施例を示す構成図である。
【図3】本発明の第3実施例を示す構成図である。
【図4】本発明の第1実施形態が適用される電気自動車駆動システムの構成図である。
【図5】図4におけるインバータ制御装置の構成図である。
【図6】図4における充電制御装置の構成図である。
【図7】本発明の実施形態における救援対象車両への充電動作を示すフローチャートである。
【図8】図7に対応するタイムチャートである。
【図9】本発明の第2実施形態が適用される電気自動車駆動システムの構成図である。
【図10】図3を具体化した救援車両の構成図である。
【図11】図10における自車充電装置の構成図である。
【図12】3相インバータによるモータ駆動回路である。
【図13】図12に示す3相インバータの零相等価回路である。
【図14】3相インバータによるモータ駆動回路である。
【図15】図14に示す3相インバータの零相等価回路である。
【図16】図12に示す回路を対象としたPWMパルス制御ブロックを示す図である。
【図17】図16の動作説明図である。
【図18】予め決められた充電電流によって救援対象車両を充電するためのPWMパルス制御ブロックを示す図である。
【図19】特許文献1に記載された従来技術の主回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
まず、図4は、本発明の第1実施形態が適用される電気自動車駆動システムの構成図である。このシステムは、電気自動車やハイブリッド自動車を救援車両として他の救援対象車両(電気自動車等)のバッテリーを充電するためのものである。
【0017】
図4において、電気自動車駆動システムは、電気自動車を走行させるための永久磁石同期電動機等のモータM1、このモータM1を駆動する3相インバータINV、バッテリーBAT1、制御装置CONT1を備えている。また、1は突入電流防止用の抵抗器、2a,2b,2c,RY1,RY2はリレー、3はコンデンサ、4sは接続部としての標準化された急速充電用のコネクタ、7,7u,7v,7wは電流検出器、8,8aは電圧検出器、10は磁極位置検出器、T11〜T16は半導体スイッチング素子である。
一方、制御装置CONT1は、バッテリー管理装置100、インバータ制御装置300、充電制御装置400、上位制御装置500を備えており、上位制御装置500には外部の充電量設定器200から救援対象車両の充電量設定値(目標充電量)が入力されている。
【0018】
このシステムの概略的な動作は、以下のとおりである。
車両走行時において、リレーRY1,RY2は開放状態であり、インバータINVは通常の3相インバータ動作によってモータM1を駆動する。
一方、図示されていない救援対象車両のバッテリーに充電電流を供給する時には、リレーRY1,RY2を閉じ、モータM1の中性点と負側直流母線とをコネクタ4sを介して救援対象車両のバッテリーに接続する回路を構成する。
【0019】
このように回路を構成することで、例えば特許第3223842号公報によれば、図12に示す3相インバータの零相等価回路は図13となり、降圧コンバータを構成することができる。図13において、TUはインバータINVの上アームのスイッチング素子に、TBは同じく下アームのスイッチング素子に、LzはモータM1の巻線のリアクトルにそれぞれ相当し、負荷は救援対象車両のバッテリーに相当する。
この回路の動作原理については、特許第3223842号公報に詳述されているため、ここでは省略する。
【0020】
上述した特許第3223842号公報には、救援車両のバッテリーBAT1の電圧V1と、モータM1の中性点と負側直流母線との間の電位差V2と、上アームのオンデューティD1との間に、数式1の関係があることが記載されている。
【数1】
【0021】
数式1によれば、上下アームのデューティを変えることで、モータM1の中性点と負側直流母線との間に接続される救援対象車両への供給電圧(充電電圧)を、0〜V1の間で任意の大きさに調整することができる。このことは、救援対象車両に対する充電電流を制御できることを意味し、定電流充電が可能である。従って、充電電圧の初期値を救援対象車両のバッテリー電圧に設定した状態でリレーRY1,RY2を閉じれば、突入電流が発生することはない。
【0022】
別の構成として、図14のようにモータM1の中性点と正側直流母線との間に負荷(救援対象車両のバッテリー)を接続した場合、3相インバータの零相等価回路は図15となり、同様に降圧コンバータを構成することができる。
つまり、モータM1の中性点とインバータINVの正負直流母線のいずれか一方との間から出力電圧を得ることにより、救援車両のバッテリーBAT1の電圧V1を入力とした降圧コンバータを構成することができる。
【0023】
次に、図12に示す回路を対象とした上下アームのデューティを変える手段について説明する。
図16は、PWMパルス制御ブロックを示す図であり、SW1,SW2はスイッチ、9u,9v,9wは加減算器、12はPWM生成器を示す。また、図17はこのブロックによるPWMパルス生成方法を示す図である。
図17に示すように、PWM生成器12では、搬送波である三角波と信号波である電圧指令値vz*,vu1*,vv1*,vw1*との大小を比較し、PWMパルスを生成する。
【0024】
上下アームのデューティを変える方法としては、図16のように、モータ駆動用の交流電圧指令値vu1*,vv1*,vw1*をスイッチSW1により遮断し(vu1*,vv1*,vw1*をそれぞれ零としてもよい)、一方、スイッチSW2を閉じて各相に同一の電圧指令値vz*を入力する。この結果、インバータINVの各相上下アームのスイッチング素子T11〜T16のオンオフは同一のパターンとなり、図13に示した降圧コンバータを構成するスイッチング素子TU,TBとして機能する。ここで、vz*を制御すれば、上下アームのデューティを変えることができるのは明白である。
【0025】
図18は、予め決められた充電電流によって救援対象車両を充電するためのPWMパルス制御ブロックを示す図である。
前述した降圧コンバータの出力電流(充電電流)検出値izdetを帰還量とした電流調節器ACRを構成し、その出力を各相に入力する相電圧指令値vz*とすることで、予め決められた電流指令値Ic*に従って救援対象車両のバッテリーを充電することができる。なお、9aは加減算器である。
充電停止の判断手段としては、標準化された充電インターフェースを利用し、救援車両と救援対象車両との間で前記コネクタ4sを介して通信することにより救援対象車両に搭載されたバッテリーのSOCを取得し、その数値が予め設定したSOCに到達したら充電を停止すればよい。
【0026】
次に、図9は、本発明の第2実施形態に係る電気自動車駆動システムの構成図である。
図4との相違点を中心に説明すると、この第2実施形態では、救援車両のバッテリーBAT1の電圧を昇圧するDC/DCコンバータが付加されており、バッテリーBAT1の電圧をインバータINVの主回路のスイッチング素子T11〜T16の耐圧限度内で昇圧し、直流母線へ供給するように構成されている。
なお、600は、制御装置CONT2に設けられたDC/DCコンバータ制御装置である。
【0027】
上記DC/DCコンバータ(昇圧コンバータ)は、インバータINVに並列接続されたスイッチング素子T21,T22の直列回路と、リアクトルL1とによって構成されており、リアクトルL1はコンデンサ3の一端とスイッチング素子T21,T22同士の直列接続点との間に接続されている。なお、3aはスイッチング素子T21,T22の直列回路に並列接続されたコンデンサ、7aは電流検出器である。
【0028】
ここで、バッテリーBAT1の電圧V1と直流母線電圧V3との間には数式2の関係があることが知られている。なお、便宜的に、上アームのオン時間T21はスイッチング素子T21と同一符号を使用する。
【数2】
この数式2と数式1との関係より、充電出力であるモータM1の中性点と負側直流母線との間の電位差V2は、数式3となる。
【数3】
【0029】
すなわち、スイッチング素子T21,T22の上下アームのデューティ比と、スイッチング素子T11〜T16の上下アームのデューティ比とを変えることで、救援車両のバッテリーBAT1の電圧V1を任意の大きさの電圧に調整することができる。このことは、救援対象車両が必要とする充電電圧が救援車両のバッテリー電圧V1より高くても、救援対象車両のバッテリーに所要の充電電流を制御できることを意味しており、定電流急速充電することが可能である。
【実施例】
【0030】
次に、本発明の実施例を説明する。
図1は、請求項1,4,5に相当する本発明の第1実施例を示している。この第1実施例は、前述した図4の第1実施形態に基づいて構成されており、電流検出器、電圧検出器等の図示は省略してある。また、第1実施例に係る充電装置が搭載された車両を救援車両101とし、この救援車両101によってバッテリーが充電される車両を救援対象車両102とする。
【0031】
救援車両101はコネクタ4sに急速充電用出力端子を備え、救援対象車両102のコネクタ4rの急速充電用入力端子に、ケーブル5を介して接続される。このケーブル5により、充電電流及び充電制御用の制御信号が伝送される。接続部としてのコネクタ4r,4sの構造仕様、電気仕様及び通信仕様は、標準化された急速充電用の規格が採用されている。また、充電開始及び終了手順は、標準化された急速充電シーケンス仕様にて行われるものとする。
一方、救援対象車両102は、例えば電気自動車やハイブリッド自動車であり、前記コネクタ4rと、リレー2d,2e、バッテリーBAT2、制御装置CONTrを備えている。
【0032】
次に、救援車両101の制御装置CONT1の構成を、図4に基づいて説明する。
この制御装置CONT1は、下位制御装置であるバッテリー管理装置100、インバータ制御装置300、充電制御装置400と、これらを統合的に制御する上位制御装置500とを備え、上位制御装置500には、救援対象車両102への充電量を設定する充電量設定器200が接続されている。これらの各装置は、A/D変換機能、メモリ機能及び通信機能を有するマイクロコンピュータ及び液晶タッチパネル等により構成されている。
なお、com,com1,com2,com3は通信信号である。
【0033】
上位制御装置500は、車両の運転指令、充電開始指令、及び、充電量設定器200により設定された救援対象車両102の充電量設定値を、下位制御装置(バッテリー管理装置100、インバータ制御装置300、充電制御装置400)へ伝達する。
充電量設定器200は、目標とする充電量設定値を入力とするヒューマンインタフェース装置であり、設定されたデータを上位制御装置500へ伝送する。
バッテリー管理装置100は、自車のバッテリーBAT1のSOCやSOH等をモニタするモニタ手段、救援対象車両102のバッテリーBAT2に対する充電仕様を伝送する手段からなる。
【0034】
インバータ制御装置300は、図5に示すように構成されている。
このインバータ制御装置300は、通信信号処理ブロック310、モータ制御ブロック320、充電電流制御ブロック330、及び、スイッチング素子T11〜T16を駆動するゲート信号を発生するPWM生成器12を備えている。
モータ制御ブロック320への入力信号は、救援車両101を駆動するモータM1のトルク指令値T*、インバータ出力相電流検出値iudet,ivdet,iwdet、モータM1の磁極位置検出信号θdetであり、充電電流制御ブロック330への入力信号は、救援対象車両102に対する充電電流指令値Ic*、ACRホールド信号hold、及び、電流調節器ACR3の出力電圧初期値vzini*である。
ここで、加減算器9cにより算出されるインバータ出力相電流検出値iudet,ivdet,iwdetの和izdetは充電電流検出値となり、充電電流指令値Ic*との偏差が加減算器9bにより算出されて電流調節器ACR3に入力されている。
【0035】
モータ制御ブロック320は、ベクトル演算器321、ベクトル回転器322,323、電流調節器ACR1,ACR2、加減算器9d,9q、スイッチSW1を備えている。そして、ベクトル回転器322から出力される各相電圧指令値vu1*,vv1*,vw1*に電圧指令値vz*を加算して得た電圧指令値vu2*,vv2*,vw2*がPWM生成器12に入力され、その出力が3相インバータINVの6つのスイッチング素子T11〜T16を駆動するゲート信号となる。
【0036】
救援車両101の通常走行状態では、モータ制御ブロック320が動作し、上位制御装置500からトルク指令T*を受けて、この指令T*に対応したトルクを発生するようにベクトル演算器321によりd軸,q軸のモータ電流指令値id*,iq*を演算する。電流調節器ACR1,ACR2は、モータM1に3相交流電圧を印加するためのものであり、その制御方法として、永久磁石同期電動機を駆動するベクトル制御を用いる。このベクトル制御方法は周知であるため、ここでは詳述を省略する。
電圧指令値切替用のスイッチSW1を閉じ、これらと相補の関係になっているスイッチSW2を開くことにより、PWM生成器12がPWM演算を行う電圧指令値を、電流調節器ACR1,ACR2の出力とする。
従って、通常走行状態においては通常の3相インバータによるモータ駆動となんら変わらない制御となる。
【0037】
次に、救援対象車両102のバッテリーBAT2を充電する動作について説明する。
この場合には、スイッチSW2を閉じ、これと相補の関係になっているスイッチSW1を開くことにより、PWM生成器12がPWM演算を行う電圧指令値を、充電電流制御ブロック330内の電流調節器ACR3の出力とする。
電流調節器ACR3の入力である充電電流指令値Ic*は、コネクタ4r,4s経由の通信により救援対象車両102から得た許容充電電流値とする。
【0038】
次いで、図4における充電制御装置400について、図6に基づいて説明する。
図6に示すように、充電制御装置400は、初期電圧検出部401、通信信号処理部402,403、充電シーケンス制御装置404から構成されている。
すなわち、充電制御装置400は、上位制御装置500からの充電開始信号及び目標充電量SOC*(通信信号com1)、救援対象車両102との双方向通信信号com、救援対象車両102のバッテリー電圧検出値VBAT2detを入力とし、充電電流指令値及び充電初期電圧を、上位制御装置500を経由してインバータ制御装置300へ出力する。通信信号処理部402は、充電開始のタイミングで充電シーケンス制御装置404に対するhold信号を解除し、充電電流を救援対象車両102へ通流する指令をインバータ制御装置300に与える。上述した充電制御装置400の機能は必要最低限であるが、搭載機能は標準化された急速充電仕様に適合させることが望ましい。
【0039】
これらの制御ブロックにより図7に示すフローチャートを実行することで、救援車両101から救援対象車両102への充電が可能である。
図7は、この実施例における救援対象車両102への充電動作を示すフローチャートである。救援対象車両102のバッテリーBAT2の電圧を検出し、この電圧を電流調節器ACR3の積分器にプリセットしてリレーRY1,RY2を閉じ、hold信号の解除を待って電流調節器ACR3を動作させる(ステップS1〜S6)。そして、救援対象車両102のバッテリーBAT2のSOCが設定値を超えたら、電流調節器ACR3の電流指令値を零に設定し、リレーRY1,RY2を開いて電流調節器ACR3の動作を停止すると共に、充電完了信号を救援対象車両102に送信する(ステップS7〜S11)。
なお、図8は、図7に対応するタイムチャートであり、(1)充電電流Ic、(2)充電電圧Vout、(3)バッテリーBAT2の電圧を示している。
【0040】
次に、図2は請求項2に相当する本発明の第2実施例を示している。この第2実施例は、前述した図9の第2実施形態に基づいて構成されており、電流検出器、電圧検出器等の図示は省略してある。
図2の第2実施例が図1の第1実施例と異なる点は、図9において説明したように、救援車両101のバッテリーBAT1の電圧を昇圧コンバータにより昇圧する機能が付加されている点である。
第2実施例における救援車両101の制御装置CONT2の構成は、前述した図9に示したとおりであり、充電制御方法は、以下の説明を除いて第1実施例と同様である。
【0041】
前述した数式3より、救援車両101からの充電出力電圧は、DC/DCコンバータ側の上下アームスイッチング素子T21,T22のデューティと、3相インバータINV側の上下アームスイッチング素子T11,T12,T13及びT14,T15,T16のデューティとの双方によって制御可能であるが、3相インバータINV側の上下アームのデューティを制御して充電電流制御を行うため、DC/DCコンバータ側の上下アームのデューティは固定とする。その固定値は、直流母線電圧が救援対象車両102のバッテリーBAT2の充電終止電圧Vendとなる値とする。この結果、前述した数式3より、充電出力電圧は数式4となる。
【数4】
このような制御を行うことで、第1実施例により説明した充電制御方法を適用することができ、救援対象車両102のバッテリーBAT2の電圧が救援車両101のバッテリーBAT1の電圧より高い場合にも充電可能である。
なお、昇圧コンバータの制御方法は周知であるため、説明を省略する。
【0042】
次いで、図3は請求項3に相当する本発明の第3実施例を示している。
この第3実施例と第1,第2実施例との相違点は、救援車両101内に、エンジン700、発電機800と、自車のバッテリーBAT1を充電するための自車充電装置900とを付加した点である。
【0043】
図10は、図3を具体化した救援車両101の構成を示す制御ブロック図である。
エンジン700は発電指令により起動され、予め設定された回転数で動作し、機械軸6を介して発電機800を駆動する。発電機800は、3相交流同期発電機とする。
【0044】
図11は、自車の充電を行う自車充電装置900の構成を示している。
自車充電装置900は、発電機800の3相交流出力端子R,S,Tから入力された電流を整流するダイオードD1〜D6からなる整流回路、自車のバッテリーBAT1の正極BAT1(+)、負極BAT1(−)に充電電流を供給するスイッチング素子TU2,TB2、バッテリーBAT1のSOCを演算するSOC演算手段901、演算されたSOCに基づいて充電電流を決定する充電電流決定手段902、決定した充電電流にて電流を制御する電流調節器904及びPWM生成器905、演算されたSOCに基づきエンジン700の発電指令を出力し、その起動、停止を制御するエンジン起動、停止判定手段903から構成されている。3b,3cはコンデンサ、L2はリアクトル、7bは電流検出器、9eは加減算器である。
【0045】
SOC演算手段901は、バッテリーBAT1の充放電電流を計測して電流値を積算することでSOCを演算する。VBAT1detはバッテリーBAT1の電圧検出値、iBAT1detはバッテリーBAT1の電流検出値である。なお、SOCを演算する具体的な方法は、例えば特開2005−354825号公報等に開示されているので、詳述は省略する。
充電電流決定手段902は、SOCに対するバッテリーBAT1の充電電流受け入れ特性から充電電流を決定する。
エンジン起動、停止判定手段903は、予め決められたSOCを閾値とし、SOC演算手段901により演算されたSOCが閾値以上のときにエンジン700を停止し、閾値未満のときにエンジン700を起動する信号Egctrを出力する。
【0046】
この第3実施例によれば、上述した機能を付加することにより、第1,第2実施例により説明した救援対象車両102に対する充電が可能であることに加え、救援車両101のバッテリーBAT1を自車に搭載されたエンジン700によって充電することができる。
【0047】
なお、本発明は、救援対象車両102が電気自動車やハイブリッド自動車である場合だけでなく、通常のガソリン自動車や電動式自転車である場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0048】
1:抵抗器
2a,2b,2c:リレー
3,3a,3b,3c:コンデンサ
4,4s,4r:標準化された急速充電用コネクタ
5:ケーブル
6:機械軸
7,7a,7b,7u,7v,7w:電流検出器
8,8a:電圧検出器
9,9a,9b,9c,9d,9e,9q,9u,9v,9w:加減算器
10:磁極位置検出器
11:コネクタ
12:PWM生成器
100:バッテリー管理装置
101:救援車両
102:救援対象車両
200:充電量設定器
300:インバータ制御装置
310:通信信号処理ブロック
320:モータ制御ブロック
330:充電電流制御ブロック
321:ベクトル演算器
322,323:ベクトル回転器
400:充電制御装置
401:初期電圧検出部
402,403:通信信号処理部
403:充電シーケンス制御装置
500:上位制御装置
600:DC/DCコンバータ制御装置
700:エンジン
800:発電機
900:自車充電装置
901:SOC演算手段
902:充電電流決定手段
903:エンジン起動、停止判定手段
904:電流調節器
905:PWM生成器
CONT1,CONT2,CONT3,CONTr:制御装置
M1:モータ
BAT1:救援車両のバッテリー
BAT2:救援対象車両のバッテリー
T11〜T16,T21,T22,TU,TB,TU2,TB2:スイッチング素子
L1,L2,Lz:リアクトル
ACR,ACR1,ACR2,ACR3:電流調節器
RY1,RY2:リレー
D1〜D6:ダイオード
SW1,SW2:スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーと、前記バッテリーの直流電圧を交流電圧に変換するインバータと、前記インバータにより駆動される車両駆動用のモータと、前記バッテリーの管理機能,前記インバータの制御機能,他の救援対象車両のバッテリーへの充電制御機能を備えた制御装置と、を備えた救援車両により、前記救援対象車両のバッテリーを充電可能とした車両間充電装置において、
前記モータの中性点と前記インバータの正負直流母線の一方とから出力される充電電流を前記救援対象車両のバッテリーに供給し、かつ、前記救援対象車両のバッテリーに充電するための制御信号を前記制御装置と前記救援対象車両との間で送受信する接続部を備えたことを特徴とする車両間充電装置。
【請求項2】
バッテリーと、前記バッテリーの直流電圧を昇圧するコンバータと、前記コンバータの直流出力電圧を交流電圧に変換するインバータと、前記インバータにより駆動される車両駆動用のモータと、前記バッテリーの管理機能,前記コンバータ及び前記インバータの制御機能,他の救援対象車両のバッテリーへの充電制御機能を備えた制御装置と、を備えた救援車両により、前記救援対象車両のバッテリーを充電可能とした車両間充電装置において、
前記モータの中性点と前記インバータの正負直流母線の一方とから出力される充電電流を前記救援対象車両のバッテリーに供給し、かつ、前記救援対象車両のバッテリーに充電するための制御信号を前記制御装置と前記救援対象車両との間で送受信する接続部を備えたことを特徴とする車両間充電装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載した車両間充電装置において、
前記救援車両は、エンジンと、前記エンジンにより駆動される発電機とを備え、かつ、前記発電機により前記救援車両のバッテリーを充電する充電制御機能を有することを特徴とする車両間充電装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した車両間充電装置において、
前記救援車両は、前記救援対象車両のバッテリーに対する充電量を指定する機能を備えたことを特徴とする車両間充電装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した車両間充電装置において、
前記接続部が、標準化された急速充電用のコネクタを有することを特徴とする車両間充電装置。
【請求項1】
バッテリーと、前記バッテリーの直流電圧を交流電圧に変換するインバータと、前記インバータにより駆動される車両駆動用のモータと、前記バッテリーの管理機能,前記インバータの制御機能,他の救援対象車両のバッテリーへの充電制御機能を備えた制御装置と、を備えた救援車両により、前記救援対象車両のバッテリーを充電可能とした車両間充電装置において、
前記モータの中性点と前記インバータの正負直流母線の一方とから出力される充電電流を前記救援対象車両のバッテリーに供給し、かつ、前記救援対象車両のバッテリーに充電するための制御信号を前記制御装置と前記救援対象車両との間で送受信する接続部を備えたことを特徴とする車両間充電装置。
【請求項2】
バッテリーと、前記バッテリーの直流電圧を昇圧するコンバータと、前記コンバータの直流出力電圧を交流電圧に変換するインバータと、前記インバータにより駆動される車両駆動用のモータと、前記バッテリーの管理機能,前記コンバータ及び前記インバータの制御機能,他の救援対象車両のバッテリーへの充電制御機能を備えた制御装置と、を備えた救援車両により、前記救援対象車両のバッテリーを充電可能とした車両間充電装置において、
前記モータの中性点と前記インバータの正負直流母線の一方とから出力される充電電流を前記救援対象車両のバッテリーに供給し、かつ、前記救援対象車両のバッテリーに充電するための制御信号を前記制御装置と前記救援対象車両との間で送受信する接続部を備えたことを特徴とする車両間充電装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載した車両間充電装置において、
前記救援車両は、エンジンと、前記エンジンにより駆動される発電機とを備え、かつ、前記発電機により前記救援車両のバッテリーを充電する充電制御機能を有することを特徴とする車両間充電装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した車両間充電装置において、
前記救援車両は、前記救援対象車両のバッテリーに対する充電量を指定する機能を備えたことを特徴とする車両間充電装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した車両間充電装置において、
前記接続部が、標準化された急速充電用のコネクタを有することを特徴とする車両間充電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−196105(P2012−196105A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60081(P2011−60081)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】
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