説明

車載ナビゲーション装置

【課題】盗難防止を図ることのできる車載ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】加速度を検出する加速度センサ25を備え、前記加速度センサ25により検出された加速度に基づいて現在位置を算出し、当該現在位置に基づいて目的地までの経路を案内する車載ナビゲーション装置1において、メインユニット(装置本体)10には車両のアクセサリ電源ACCが供給され、前記アクセサリ電源ACCがオフの間、前記加速度センサ25により検出される加速度に基づいて前記メインユニット10に対する異常な振動または衝撃を検知し、前記異常な振動または衝撃を検知した場合に前記メインユニット10の機能を使用不可にする盗難検知装置30を備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両に搭載される車載ナビゲーション装置に係り、特に、当該車載ナビゲーション装置の盗難防止のための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両内におけるアミューズメント性の向上を図るために、音楽(Audio)再生装置、映像(Visual)再生装置および通信装置を車載ナビゲーション(Navigation)装置に統合化した、いわゆるAVNシステム装置が提案されている。このように各種装置を車載ナビゲーション装置を中心とした1つの装置に集約することで、例えばダッシュボードなどの車両空間の有効利用が図られ、さらに、車載ナビゲーション装置の高機能化や高付加価値化が図られることとなる。しかしながら、車載ナビゲーション装置が高機能および高付加価値になるほど、すなわち、高価になるほど、車載ナビゲーション装置の盗難が増加する傾向にある。一方、車両に振動センサを配設し、当該振動センサの検出値に基づいて車両異常を検出した場合に警報を発することで、車両の盗難を防止する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−7999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の技術は、車両の盗難防止に対しては一定の効果を奏するものの、上記車載ナビゲーション装置の盗難の場合には、当該車載ナビゲーション装置を車両から取り外す際に生じる振動が車両盗難時のものと異なるため、車載ナビゲーション装置の盗難の際の振動が上記振動センサに感知されず、車載ナビゲーション装置の盗難を防止できない。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、盗難防止を図ることのできる車載ナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明は、加速度を検出する加速度センサを備え、前記加速度センサにより検出された加速度も加えて現在位置を算出し、当該現在位置に基づいて目的地までの経路を案内する車載ナビゲーション装置において、装置本体には車両のアクセサリ電源が供給され、前記アクセサリ電源がオフの間、前記加速度センサにより検出される加速度に基づいて前記装置本体に対する異常な振動または衝撃を検知し、前記異常な振動または衝撃を検知した場合に前記装置本体の機能を使用不可にする盗難検知装置を備えることを特徴とする。
【0005】
また本発明は、上記発明において、前記盗難検知装置には前記車両のバッテリ電源が供給され、前記盗難検知装置は、前記異常な振動または衝撃を検知した後、前記バッテリ電源がオフになった場合に前記装置本体の機能を使用不可にすることを特徴とする。
【0006】
また本発明は、上記発明において、前記車両のドアの施錠を検出するドア施錠検出手段を備え、前記盗難検知装置は、前記車両のアクセサリ電源がオフとなったときから所定の期間の間に前記ドア施錠検出手段によりドアの施錠が検出された場合には、前記ドアの施錠後に検出される加速度に基づいて前記異常な振動または衝撃を検知することを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記発明において、前記盗難検知装置は、前記車両のアクセサリ電源がオフの間、前記加速度センサにより検出される加速度と加速度しきい値とを比較して前記異常な振動または衝撃を検知する判定手段を備え、前記加速度しきい値には、前記装置本体を前記車両から取り外すときの振動または衝撃によって生じ得る加速度が予め設定されていることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記発明において、前記加速度しきい値がユーザ設定可能に構成されたことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記発明において、前記盗難検知装置は、前記加速度センサの出力を平滑処理する平滑処理手段をさらに備え、前記平滑処理された前記加速度センサの出力に基づいて前記異常な振動または衝撃を検知することを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上記発明において、前記盗難検知装置による検知動作の有効/解除をユーザ設定可能に構成したことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上記発明において、現在位置を示す情報を外部から受信する受信手段を更に備え、前記受信手段により受信された現在位置、および、前記加速度センサにより検出される加速度に基づいて算出された現在位置のそれぞれに基づいて前記車両の現在位置を特定し、この現在位置に基づいて経路を案内することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車載ナビゲーション装置がアクセサリ電源がオフの間、加速度センサにより検出される加速度に基づいて装置本体に対する異常な振動または衝撃を検知し、前記異常な振動または衝撃を検知した場合に前記装置本体の機能を使用不可にする盗難検知装置を備える構成としたため、運転者などが車両に不在の間に車載ナビゲーション装置が車両から取り外されたとしても、盗難検知装置によって、取り外しの際の異常な振動または衝撃の検知に基づいて装置本体の機能が使用不可とされる。したがって、盗人が車載ナビゲーション装置を盗んだとしても、その車載ナビゲーション装置が使用できなくなるため、車載ナビゲーション装置の盗難に対する抑止力となり、以って、車載ナビゲーション装置の盗難防止が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係る車載ナビゲーション装置1の構成を示すブロック図である。
車載ナビゲーション装置1は、目的地までの経路を案内するナビゲーション(経路案内)機能、音楽再生機能および映像再生機能を有するものであり、図1に示すように、装置本体としてのメインユニット10と、位置情報を示すGPS(Global Positioning System)電波を受信してメインユニット10に出力するGPS受信機11と、交通情報を含むVICS(Vehicle Information and Communication System)情報を受信してメインユニット10に出力するビーコン受信機12およびFM多重受信機13とを備え、さらに、ドライブ装置14と、ディスプレイ15とを備えて構成されている。
【0014】
ドライブ装置14は、オーディオデータや映像データが記録された例えばCDやDVD等の光ディスクを再生する光ディスクドライブ装置、または、HD(Hard Disk)ドライブ装置を有し、これら光ディスクまたはHDからオーディオデータや映像データを読み出してメインユニット10に出力するものである。
ディスプレイ15は、車載ナビゲーション装置1の表示部を構成するものであり、例えば液晶パネルや有機ELパネルなどのフラットパネルディスプレイを有し、このフラップパネルディスプレイが車載ナビゲーション装置1のフロント部分に設けられ、経路案内のための地図や現在位置、或いは、映画などの映像を表示する。さらに、ディスプレイ15は、操作部としてのタッチパネルを有して構成され、タッチパネルに対してユーザがなした操作入力をメインユニット10に出力する。
また、車室内には1または複数のスピーカ16が配設されており、スピーカ16にはメインユニット10から音声信号が入力されて、車室内に音楽や経路案内音声などが出力される。
【0015】
この車載ナビゲーション装置1には、メイン電源として車両のアクセサリ電源ACCが供給されており、アクセサリ電源ACCのオン/オフに伴って起動/停止が行われる。さらに、車載ナビゲーション装置1には、バックアップ電源として車両のバッテリ電源BATが供給されており、アクセサリ電源ACCがオフの間は、当該バッテリ電源BATから電力が供給されている。
【0016】
次いで、メインユニット10の構成について詳述する。メインユニット10は、図1に示すように、各部を中枢的に制御する制御手段としてのCPU20と、このCPU20が実行する制御プログラムや経路案内のための地図データなどを記憶する記憶装置21とを備え、それぞれがシステムバス100に接続されている。
【0017】
さらに、メインユニット10は、ドライブ装置14から読み出されたオーディオデータや映像データをデコードしてシステムバス100に出力するデコーダ22と、このデコーダ22によりデコードされたオーディオデータがシステムバス100を介して入力され、アナログ音声信号に変換して上記スピーカ16に出力する音声出力装置23と、デコーダ22によりデコードされた映像データに基づいて、ディスプレイ表示のためのレンダリング処理を実行しディスプレイ15に出力するグラフィックレンダー24とを備え、これらデコーダ22、音声出力装置23およびグラフィックレンダー24とにより音楽再生機能および映像再生機能が実現される。
【0018】
また、車載ナビゲーション装置1は自立航法による測位を可能に構成されており、より精度良く現在位置を特定できるようになっている。詳述すると、メインユニット10は、車両の角速度を検出して、角速度に応じたセンサ出力をCPU20に出力する角速度センサ27、および、車両の加速度を検出し、加速度に応じたセンサ出力をCPU20に出力する加速度センサ25を備え、CPU20が各センサ出力に基づいて車両の加速度や速度、傾き、現在位置などを算出することで自立航法による測位を可能になされている。
メインユニット10が経路案内動作する場合、CPU20は、GPS受信機11からの現在位置、および/または、角速度センサ27および加速度センサ25からのセンサ出力に基づく速度や現在位置に基づいて、記憶装置21から現在位置に対応する地図データを読み出し、この地図データと、現在位置をマッピングするためのデータとをグラフィックレンダー24に出力することで、ディスプレイ15に地図と共に現在位置を表示させる。このとき、ビーコン受信機12および/またはFM多重受信機13により受信されたVICS情報に基づく表示を行う場合には、CPU20は、かかるVICS情報をグラフィックレンダー24に出力してディスプレイ15に表示させる。また、音声による経路案内を行う場合には、CPU20は、現在位置に基づいて記憶装置21から経路案内音声データを読み出して音声出力装置23に出力することで、経路案内音声をスピーカ16から出力させる。なお、上記加速度センサ25は盗難検知装置30にもセンサ出力を出力するが、これについては後述する。
【0019】
また、メインユニット10は、ディスプレイ15に設けられたタッチパネルの操作信号が入力され、システムバス100を介してCPU20に出力するユーザインタフェース26を有している。このユーザインタフェース26は、さらに、図示せぬ複数の操作ボタンを有し、これらの操作ボタンの操作信号もCPU20に出力する。
【0020】
さらに、メインユニット10には、図1に示すように、車載ナビゲーション装置1の盗難を防止するための盗難検知装置30と、車両のドアの施錠を検出して盗難検知装置30に出力するドア施錠センサ31とが内蔵されている。この盗難検知装置30には、上記加速度センサ25のセンサ出力が入力されており、盗難検知装置30は、ユーザが車両に不在の間、車載ナビゲーション装置1に生じる振動や衝撃を加速度センサ25のセンサ出力に基づいて検知し、当該車載ナビゲーション装置1の取り外し作業によって生じたと推定される振動や衝撃を検知した場合に、当該車載ナビゲーション装置1を使用不可能とするものであり、以下、かかる盗難検知装置30の構成について詳述する。
【0021】
図2は、盗難検知装置30の機能的構成を示すブロック図である。この図に示すように、盗難検知装置30には、電源としてバッテリ電源BATが供給されており、アクセサリ電源ACCがオフの間も動作可能に構成されている。
図2において、制御部40は、当該盗難検知装置30の各部を中枢的に制御する制御手段として機能するものであり、この制御部40には、ACC信号50、ドア施錠信号51および機能有効/解除信号52が入力されている。ACC信号50はアクセサリ電源ACCのオン/オフを示す信号であり、また、ドア施錠信号51は車両のドアの施錠を示す信号でありドア施錠センサ31から入力される。
【0022】
機能有効/解除信号52は本盗難検知装置30による盗難検知動作の有効/解除を指示する信号である。本実施の形態では、ユーザが盗難検知動作の有効/解除をディスプレイ15のタッチパネルを用いて操作設定可能になされており、かかる操作に基づいてメインユニット10のCPU20が機能有効/解除信号52を生成し、システムバス100を介して制御部40に入力する。このようにユーザが盗難検知動作を有効/解除できるようにすることで、正当な者が車載ナビゲーション装置1を取り外した場合などにも盗難検知機能が作動してしまうといった弊害を回避可能となる。なお、任意の者が機能有効/解除にかかる操作を可能とすると、盗難検知装置30の有効性が損なわれる恐れがあるため、正当な暗証番号が入力された場合に機能有効/解除にかかる操作を許可するといったように、正当な者のみが盗難検知動作の有効/解除を操作可能とする構成が望ましい。
【0023】
上記の構成の下、制御部40は、上記ACC信号50およびドア施錠信号51に基づいて、アクセサリ電源ACCのオフが検知され、なおかつ、車両のドアの施錠が検知されたとき、すなわち、運転者などが車両に不在となったと推定され得る状況となったとき、機能有効/解除信号51により盗難検知動作の解除が予め指示されていない場合には、盗難検知動作を実行することとなる。
【0024】
また、図2において、平準化処理部41は、制御部40の制御の下、アクセサリ電源ACCがオフの間、加速度センサ25からのセンサ出力53を時間積分演算により平準化処理し、メモリ42に順次出力するものであり、この平準化処理により、センサ出力53に重畳した雑音成分が除去され加速度成分のみが得られる。
メモリ42は、加速度センサ25からのセンサ出力53、すなわち、車載ナビゲーション装置1の加速度を格納するものである。
バックアップ電池43は、車載ナビゲーション装置1が車両から取り外されるなどしてバッテリ電源BATがオフになった場合であっても、メモリ42の記憶内容が消去されないように、メモリ42に記憶内容保持のための電力を供給するものである。
最大値算出部44は、上記メモリ42に順次格納される加速度の最大値である最大加速度を求め、当該メモリ42に格納するものである。
【0025】
判定処理部45は、制御部40の制御の下、メモリ42に格納されている最大加速度に基づいて、当該加速度が車載ナビゲーション装置1の盗難によって生じたものであるか否かを判定し、判定結果を制御部40に出力するものである。
詳述すると、アクセサリ電源ACCがオフになった後に加速度センサ25により検出される加速度の要因としては、第1に車両から人が降りたときの振動、第2に車両に人が乗り込んだときの振動、第3に車載ナビゲーション装置1を操作するなどしたときの振動、第4に車載ナビゲーション装置1を取り外したときの振動、第5に地震などによって車両が揺れたときの振動などの各種の要因が挙げられる。これらの要因のうち、第1〜第4の要因が盗難の際に生じる振動や衝撃と推定され、盗難検知の精度を高めるためには、第5の要因によって生じた振動などと区別する必要がある。
【0026】
そこで、一般に、第1〜第4の要因による振動(衝撃)は第5の要因による振動よりも大きいことから、判定処理部45は、メモリ42に格納されている最大加速度がしきい値をこえている場合に、車載ナビゲーション装置1の盗難があったものと判定する。
しきい値設定部46は、判定処理部45の判定に用いられる上記しきい値を設定するものである。具体的には、本実施の形態においては、しきい値の複数の設定レベルがディスプレイ15に表示され、いずれかの設定レベルをユーザがタッチパネルを用いて選択することで、ユーザがしきい値設定レベルを選択可能に構成されている。そして、このしきい値設定レベルがしきい値設定54としてメインユニット10からしきい値設定部46に入力され、判定処理部45により参照される。
【0027】
なお、ユーザが選択可能なしきい値設定レベルは、運転者が搭乗した時などの車両の揺れや、車載ナビゲーション装置1を取り外した際の衝撃や振動による加速度などが予め実験等により見積もられた値を標準レベルとし、この標準レベルを中心として上下させた複数の設定レベルが予め用意されている。
【0028】
レベル学習部47は、上記しきい値設定レベルの選択の際に、ユーザに見合ったしきい値設定レベルを提示するためのものである。具体的には、ディスプレイ15のタッチパネルをユーザが操作してレベル学習動作の開始/終了が指示可能に構成されており、かかる操作がなされた場合に、メインユニット10のCPU20は、学習モードの開始または終了を示す学習モード選択/解除信号55をレベル学習部47に出力する。学習モードの開始を示す学習モード選択/解除信号55が入力された場合には、レベル学習部47は、加速度センサ25のセンサ出力53の読み取りを開始し、そのセンサ出力53に対応するしきい値設定レベルをディスプレイ15に表示する。すなわち、ユーザは学習モードを開始させた後、例えば車両を降りたり、車載ナビゲーション装置1を操作するなどの動作を行うことで、ユーザの通常の動作によって生じる振動(衝撃)に対応するしきい値設定レベルがディスプレイ15に表示されることとなる。そして、このしきい値設定レベルを勘案することで、ユーザは上記既定のしきい値設定レベルの中から自身に見合ったレベルを選択することが可能となる。
【0029】
さて、制御部40は、上記判定処理部45から判定結果が入力された場合には、車載ナビゲーション装置1の起動を許可/不許可を示すナビ起動信号56を、上記判定結果に基づいて生成しメインユニット10のCPU20に出力する。具体的には、制御部40は、車載ナビゲーション装置1の盗難による加速度が検出されている旨が上記判定結果により示されている場合であって、なおかつ、バッテリ電源BATが供給されていない場合(すなわち車載ナビゲーション装置1が取り外されたと推定される場合)には車載ナビゲーション装置1の起動の不許可を示すナビ起動信号56を出力し、その他の場合には、車載ナビゲーション装置1の起動許可を示すナビ起動信号56を出力する。そして、メインユニット10のCPU20は、ナビ起動信号56により起動が不許可とされている場合には、タッチパネルや操作ボタンからの操作入力を無効とし、例えばディスプレイ15に、特定のメッセージを表示するだけとする。
【0030】
ここで、運転者などが車両のアクセサリ電源ACCをオフにして車両を降りる際のドアの開閉動作によって生じる振動または衝撃が上記しきい値設定レベルをこえてしまい、車載ナビゲーション装置1の起動が不許可となる恐れがあるため、本実施の形態では、アクセサリ電源ACCがオフとされた後、ドア施錠信号51が入力され、ドアの施錠がなされたときに、制御部40がメモリクリア信号56をメモリ42に出力し、メモリ42に格納されている加速度を一旦クリアするようにしている。
【0031】
次いで、本実施の形態の動作として盗難検知動作について図3を参照して説明する。
図3は車載ナビゲーション装置1が備える盗難検知装置30の盗難検知動作を示すフローチャートである。
この図に示すように、盗難検知装置30の制御部40は、ACC信号50を監視しアクセサリ電源ACCがオフになったか否かを判定することで、盗難検知機能動作を開始(有効)にするか否かを判定する(ステップS1)。アクセサリ電源ACCがオンの間は盗難検知機能動作を有効にする必要がないため(ステップS1:No)、制御部40は、処理手順をステップS1に戻し、アクセサリ電源ACCのオフを監視する。一方、アクセサリ電源ACCがオフとなり盗難検知機能動作を開始すべき場合(ステップS1:Yes)、制御部40は、まず、メモリ42の記憶内容を初期化すべくメモリクリア信号56をメモリ42に出力し、このメモリ42に既に格納されている加速度や最大加速度をクリアする(ステップS2)。
【0032】
次いで、制御部40は、加速度センサ25のセンサ出力53の受信を開始する(ステップS3)。そして、平滑化処理部41によりセンサ出力53に対して平滑化演算処理が施されて(ステップS4)、加速度センサ25により検出された加速度が順次メモリ42に格納される。このようにして加速度がメモリ42に格納されると、その加速度の最大値が最大値算出部44により算出される。すなわち、最大値算出部44は、メモリ42に順次格納される加速度を処理値として順次読み出し、この処理値が、メモリ42に格納されている最大加速度(メモリ値)以下であるか否かを判定して(ステップS5)、処理値が最大加速度値以下の場合には(ステップS5:Yes)最大加速度値を更新せず(ステップS6)、また、処理値が最大加速度値以上の場合には(ステップS5:No)、最大加速度値を更新すべく、メモリ42に格納されている最大加速度値(メモリ値)を処理値に置き換える(ステップS7)。これらステップS4〜ステップS7までの一連の処理により、アクセサリ電源ACCがオフになった後に検出された加速度がメモリ42に蓄積され、また、最大加速度が順次更新されることとなる。
【0033】
また、制御部40は、ドア施錠信号51によりドアの施錠が検出された場合、そのドアの施錠がアクセサリ電源ACCのオフ直後であるか否かを判定する(ステップS8)。そして、制御部40は、施錠がアクセサリ電源ACCのオフ直後である場合には(ステップS8:Yes)、ドアの開閉によって生じた振動や衝撃の加速度をメモリ42から破棄すべく処理手順をステップS2に戻してメモリ42に既に格納されている加速度や最大加速度をクリアし、また、施錠がアクセサリ電源ACCのオフ直後でない場合には(ステップS8:No)、そのまま次の処理を実行する。
なお、このステップS8における判定は、例えば、アクセサリ電源ACCがオフになったときから当該アクセサリ電源ACCがオフになった直後と見做せる所定期間のタイマ動作を開始し、ドア施錠信号51の入力が上記所定期間の間であるか否かに基づいて判定される。
【0034】
次いで、制御部40は、メモリ42に格納されている最大加速度(メモリ値)がしきい値設定部46により設定されているしきい値設定レベルをこえているか否かを判定し(ステップS9)、最大加速度がしきい値設定レベル以下である場合には(ステップS9:No)、盗難と推定される異常な振動または衝撃が未だ検知されていないため、車載ナビゲーション装置1に生じる加速度の検知を継続すべく処理手順をステップS3に戻す。
一方、最大加速度がしきい値設定レベルをこえている場合(ステップS9:Yes)、制御部40は、車載ナビゲーション装置1の起動を不許可とする前に、車載ナビゲーション装置1の盗難発生を確かめるために次の処理を行う。
【0035】
すなわち、制御部40は、まず、ACC信号50に基づいて車両のアクセサリ電源ACCがオンになっているか否かを判定する(ステップS10)。アクセサリ電源ACCがオンの場合(ステップS10:Yes)、上記最大加速度は正当な運転者が車両に搭乗した際に生じた振動たまは衝撃によるものと推定されるため、制御部40は、処理手順をステップS2に戻し、メモリ42に格納されている最大加速度や加速度をクリアする。
【0036】
また、アクセサリ電源ACCがオフである場合には(ステップS10:No)、制御部40は、車載ナビゲーション装置1の取り外しを判定すべく、バッテリ電源BATが供給されているか否かを判定する(ステップS11)。バッテリ電源BATが供給されている場合には(ステップS11:Yes)、車載ナビゲーション装置1が取り外されていないことを示し、上記最大加速度は正当な運転者が車両に搭乗した際に生じた振動または衝撃によるものと推定される。したがって、制御部40は、アクセサリ電源ACCのオン/オフを判定することで盗難検知機能動作を終了(解除)するか否かを判定し(ステップS12)、アクセサリ電源ACCがオフのままであり盗難検知機能動作を終了(解除)しない場合には(ステップS12:No)、処理手順をステップS2に戻して加速度の検出を継続すると共に、アクセサリ電源ACCがオンとなり盗難検知機能動作を終了(解除)する場合には(ステップS12:Yes)、処理手順をステップS1に戻し、アクセサリ電源ACCが再度オフになって盗難検知機能動作を開始するときまで待機する。
【0037】
一方、上記ステップS11の判定の結果、バッテリ電源BATが供給されていない場合には(ステップS11:No)、車載ナビゲーション装置1が車両から取り外されたことを示すため、制御部40は、車載ナビゲーション装置1を正常に稼動できないようにすべく、アクセサリ電源ACCがオンになったときに、起動不許可のナビ起動信号56をメインユニット10に出力し、車載ナビゲーション装置1を使用不可にする(ステップS13)。その後、例えば起動不許可を解除するための解除キー入力などの操作がユーザによってなされた場合には(ステップS14:Yes)、制御部40は、起動許可を示すナビ起動信号56をメインユニット10に出力して起動不許可を解除した後、処理手順をステップS1に戻し、アクセサリ電源ACCが再度オフになって盗難検知機能動作を開始するときまで待機する。
【0038】
このように、本実施の形態によれば、車載ナビゲーション装置1が盗難検知装置30を内蔵し、アクセサリ電源ACCがオフの間、盗難検知装置30が加速度センサ25により検出される加速度に基づいてメインユニット10に対する異常な振動または衝撃を検知し、前記異常な振動または衝撃を検知した場合にメインユニット10の機能を使用不可にする構成としたため、運転者などが車両に不在の間に車載ナビゲーション装置1が車両から取り外されたとしても、盗難検知装置30によって、取り外しの際の異常な振動または衝撃の検知に基づいてメインユニット10の機能が使用不可とされる。したがって、盗人が車載ナビゲーション装置1を盗んだとしても、その車載ナビゲーション装置1が使用できなくなるため、車載ナビゲーション装置1の盗難に対する抑止力となり、以って、車載ナビゲーション装置1の盗難防止が図られることとなる。
【0039】
特に、本実施の形態によれば、盗難検知装置30が、車載ナビゲーション装置1が現在位置検出のために備える加速度センサ25のセンサ出力53に基づいて異常な振動または衝撃を検知する構成としたため、盗難検知のために新たなセンサを車載ナビゲーション装置1に追加する必要がなく、装置の低コスト化や小型化を図ることができる。
【0040】
また本実施の形態によれば、盗難検知装置30は、異常な振動または衝撃を検知した後に、バッテリ電源BATがオフになった場合にメインユニット10の機能を使用不可にする構成としたため、車載ナビゲーション装置1が車両から取り外されたという確実性が高い場合にだけメインユニット10の機能が使用不可とされ、これにより、盗難の誤検知によって機能が使用不可とされるのが防止される。
【0041】
また本実施の形態によれば、盗難検知装置30は、車両のアクセサリ電源ACCがオフとなったときから所定の期間(運転者などがアクセサリ電源ACCをオフにしてから車両を出るまでの一般的な時間)の間にドア施錠センサ31によりドアの施錠が検出された場合には、ドアの施錠後に検出される加速度に基づいて異常な振動または衝撃を検知する構成としたため、運転者などの正当なユーザが車両を降りる際の振動や衝撃が、異常な振動または衝撃として検知されるのを防止できる。
【0042】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態に係る車載ナビゲーション装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】盗難検知装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】盗難検知動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
1 車載ナビゲーション装置。
10 メインユニット(装置本体)
15 ディスプレイ
25 加速度センサ
30 盗難検知装置
31 ドア施錠センサ
40 制御部
41 平準化処理部
45 判定処理部
ACC アクセサリ電源
BAT バッテリ電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速度を検出する加速度センサを備え、前記加速度センサにより検出された加速度も加えて現在位置を算出し、当該現在位置に基づいて目的地までの経路を案内する車載ナビゲーション装置において、
装置本体には車両のアクセサリ電源が供給され、
前記アクセサリ電源がオフの間、前記加速度センサにより検出される加速度に基づいて前記装置本体に対する異常な振動または衝撃を検知し、前記異常な振動または衝撃を検知した場合に前記装置本体の機能を使用不可にする盗難検知装置を備えることを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記盗難検知装置には前記車両のバッテリ電源が供給され、
前記盗難検知装置は、
前記異常な振動または衝撃を検知した後、前記バッテリ電源がオフになった場合に前記装置本体の機能を使用不可にする
ことを特徴とする請求項1に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記車両のドアの施錠を検出するドア施錠検出手段を備え、
前記盗難検知装置は、
前記車両のアクセサリ電源がオフとなったときから所定の期間の間に前記ドア施錠検出手段によりドアの施錠が検出された場合には、前記ドアの施錠後に検出される加速度に基づいて前記異常な振動または衝撃を検知する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記盗難検知装置は、
前記車両のアクセサリ電源がオフの間、前記加速度センサにより検出される加速度と加速度しき値とを比較して前記異常な振動または衝撃を検知する判定手段を備え、
前記加速度しきい値には、前記装置本体を前記車両から取り外すときの振動または衝撃によって生じ得る加速度が予め設定されている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記加速度しきい値がユーザ設定可能に構成されたことを特徴とする請求項4に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記盗難検知装置は、
前記加速度センサの出力を平滑処理する平滑処理手段をさらに備え、
前記平滑処理された前記加速度センサの出力に基づいて前記異常な振動または衝撃を検知する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項7】
前記盗難検知装置による検知動作の有効/解除をユーザ設定可能に構成したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項8】
現在位置を示す情報を外部から受信する受信手段を更に備え、
前記受信手段により受信された現在位置、および、前記加速度センサにより検出される加速度に基づいて算出された現在位置のそれぞれに基づいて前記車両の現在位置を特定し、この現在位置に基づいて経路を案内する
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−93401(P2007−93401A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−283618(P2005−283618)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】