説明

通信システム、車載機、車両及び送信機

【課題】自車の走行位置を精度良く特定することができ、自車の進行方向前方の所定位置までの距離を精度良く求めつつ所定位置まで到達することができる通信システム、車載機、送信機及び車両を提供する。
【解決手段】車載機20で領域Rにおける自車の位置を高精度に取得し、停止線Pまでの距離を高精度に算出する。また、車載機20は、送信機30、40、50から送信された信号の到達時間差、送信機30、40、50までの距離に基づいて、送信機30、40、50が送信する信号の周期の同期ずれを算出する。その後、自車が走行を続け、任意の走行地点で、送信機30、40、50から送信された信号の到達時間差、算出した同期ずれ及び送信機30、40、50の位置情報に基づいて、自車位置を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路を走行する車両の位置を高精度に特定することができる通信システム、該通信システムを構成する車載機及び送信機並びに該車載機を備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交差点内及びその付近での車両同士、あるいは車両と歩行者との交通事故を防止するために、交差点に設置された信号機の灯色の表示情報を交差点に向かって走行してくる車両に対して送信し、車両に搭載された車載機で表示情報を受信し、受信した表示情報に基づいて交差点の手前で安全に停止することができるか否か、あるいは、交差点を安全に通過することができるか否かを判定し、判定結果に応じて運転者に音声で注意を促すシステムがある。また、車載機で受信した信号機の表示情報に基づいて、交差点を安全に通過することができるか否かを判定し、判定結果に応じて車両のブレーキ制御を行う信号機連動式車両速度制御装置が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2806801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
交差点手前で安全に車両を停止させる場合、交差点付近に設けられた停止線の手前で確実に車両を停止させる必要があり、車両から停止線までの距離を正確に把握しておく必要がある。しかしながら、特許文献1の装置にあっては、車両を減速させる制御が自動的に行われても車両から停止線までの距離が正確に判らないため、車両を停止線の手前で確実に停止させることは困難であり、オーバーランといった不具合を生じる恐れがある。このため、従来の技術では、車両を停止線の手前で確実に停止させて交差点における交通事故を未然に防止するには不十分な面があった。
【0004】
一方、カーナビゲーションのジャイロセンサ、加速度センサ、GPS(Global Positioning System)などを用いて自車の走行位置を検出し、地図データに基づいて交差点の位置を特定することによって、現在の走行位置から自車前方にある交差点手前の停止線の位置までの距離を算出することができる。しかし、ジャイロセンサは、時間の経過とともに検出誤差が蓄積するとともに、車両の振動により誤差が生ずる。また、加速度センサは、温度特性により誤差が生じ、検出精度が十分ではない。さらに、GPS等による位置検出では、都市部においては建物又は車両などの影響により、十分な数のGPS等の電波を受信できないことが多く、誤差が大きくなるため、正確な運転支援を行うことが困難であった。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、自車の走行位置を精度良く特定することができ、自車の進行方向前方の所定位置までの距離を精度良く求めつつ所定位置まで到達することができる通信システム、該通信システムを構成する車載機及び送信機並びに該車載機を備える車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明に係る通信システムは、同一周期の信号を送信する少なくとも3つの送信機と、該送信機が送信した信号を受信する車載機とを備える通信システムであって、前記車載機は、前記送信機の位置情報を記憶する手段と、道路上の第1の地点への到達時に、前記送信機が送信した各信号の第1の到達時間差を取得する第1の時間差取得手段と、前記第1の地点通過後の第2の地点への到達時に、前記送信機が送信した各信号の第2の到達時間差を取得する第2の時間差取得手段と、前記送信機の位置情報、前記第1の地点に関する情報、前記第1の到達時間差及び第2の到達時間差に基づいて、前記第2の地点の自車位置を特定する特定手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
第2発明に係る通信システムは、第1発明において、前記第1の地点の情報は、前記第1の地点の位置情報、該第1の地点から各送信機までの距離情報、該各送信機から前記第1の地点までの各信号の到達所要時間の情報及び前記各送信機が送信する各信号がそれぞれ同期している場合における前記各信号の前記第1の地点までの到達時間差のうち少なくとも1つであることを特徴とする。
【0008】
第3発明に係る通信システムは、同一周期の信号を送信する少なくとも3つの送信機と、該送信機が送信した信号を受信する車載機とを備える通信システムであって、前記車載機は、前記送信機の位置情報を記憶する手段と、前記送信機が送信した各信号の到達時間差を取得する時間差取得手段と、道路上の所定の領域で前記送信機が送信する信号の周期の同期ずれを算出する同期ずれ算出手段と、自車の走行地点で取得した到達時間差、前記同期ずれ算出手段で算出した同期ずれ及び前記送信機の位置情報に基づいて、自車位置を特定する特定手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
第4発明に係る通信システムは、第3発明において、前記車載機は、前記領域で自車位置を取得する位置取得手段と、該位置取得手段で取得した自車位置から各送信機までの距離を算出する第1算出手段とを備え、前記同期ずれ算出手段は、前記自車位置で取得した到達時間差及び前記自車位置から各送信機までの距離に基づいて、前記送信機が送信する信号の同期ずれを算出するように構成してあることを特徴とする。
【0010】
第5発明に係る通信システムは、第4発明において、前記領域内で前記車載機へ前記領域の位置に関する情報を送信する位置情報送信機を備え、前記位置取得手段は、前記位置情報送信機が送信した前記領域の位置に関する情報に基づいて自車位置を取得するように構成してあることを特徴とする。
【0011】
第6発明に係る通信システムは、第5発明において、前記位置情報送信機は、光ビーコンであることを特徴とする。
【0012】
第7発明に係る通信システムは、第4発明乃至第6発明のいずれかにおいて、前記車載機は、前記領域の位置情報を記憶する手段と、自車が前記領域内に存在するか否かを判定する判定手段とを備え、前記位置取得手段は、前記判定手段で自車が前記領域内に存在すると判定した場合、前記領域及び送信機の位置情報並びに前記時間差取得手段で取得した到達時間差に基づいて自車位置を取得するように構成してあることを特徴とする。
【0013】
第8発明に係る通信システムは、第7発明において、前記車載機に対して所定の情報を送信する光ビーコンを備え、前記車載機は、前記情報を受信する受信手段を備え、前記判定手段は、前記光ビーコンから所定の情報を受信した場合、自車が前記領域内に存在すると判定するように構成してあることを特徴とする。
【0014】
第9発明に係る通信システムは、第4発明乃至第8発明のいずれかにおいて、前記位置取得手段は、前記領域内の所定の第1地点に対する位置を取得するように構成してあり、 前記第1地点と前記領域よりも車両の進行方向下流側にある所定の第2地点との間の道路形状に関する道路形状情報を取得する道路形状情報取得手段と、該道路形状情報取得手段で取得した道路形状情報及び前記位置取得手段で取得した位置に基づいて、自車位置から前記第2地点までの距離を算出する第2算出手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
第10発明に係る通信システムは、第9発明において、前記道路形状情報は、前記第1地点と第2地点との間の道路を1又は複数の区間に分割した各区間についての距離、勾配及び曲率のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0016】
第11発明に係る通信システムは、第9発明又は第10発明において、前記送信機及び光ビーコンのうち少なくとも1つは、前記道路形状情報を車載機へ送信する送信手段を備え、前記道路形状情報取得手段は、前記道路形状情報を取得するように構成してあることを特徴とする。
【0017】
第12発明に係る通信システムは、第1発明乃至第11発明のいずれかにおいて、前記車載機は、搭載位置の高さ情報を記憶する手段を備え、前記特定手段は、前記高さ情報に基づいて自車位置を特定するように構成してあることを特徴とする。
【0018】
第13発明に係る通信システムは、第1発明乃至第12発明のいずれかにおいて、前記送信機は、信号を変調する変調手段を備え、該変調手段で変調した信号を送信するように構成してあり、前記車載機は、受信した信号を復調する復調手段を備え、前記時間差取得手段は、前記復調手段で復調した信号に基づいて、各信号の到達時間差を取得するように構成してあることを特徴とする。
【0019】
第14発明に係る通信システムは、第1発明乃至第12発明のいずれかにおいて、前記送信機は、信号を直交周波数多重方式の搬送波に割り当てる割当手段を備え、該割当手段で信号が割り当てられた搬送波を送信するように構成してあり、前記車載機は、前記搬送波を受信する搬送波受信手段を備え、前記時間差取得手段は、受信した搬送波に基づいて、各信号の到達時間差を取得するように構成してあることを特徴とする。
【0020】
第15発明に係る通信システムは、第13発明又は第14発明において、前記送信機は、立ち上がりを有する信号を所定の間隔で送信するように構成してあり、前記時間差取得手段は、受信した各信号の立ち上がり時点に基づいて、各信号の到達時間差を取得するように構成してあることを特徴とする。
【0021】
第16発明に係る通信システムは、第1発明乃至第12発明のいずれかにおいて、前記送信機は、交番波形の信号を送信するように構成してあり、前記時間差取得手段は、受信した各信号の位相差に基づいて、各信号の到達時間差を取得するように構成してあることを特徴とする。
【0022】
第17発明に係る通信システムは、第16発明において、前記送信機は、信号を変調する変調手段を備え、該変調手段で変調した信号を送信するように構成してあり、前記車載機は、受信した信号を復調する復調手段を備え、前記時間差取得手段は、前記復調手段で復調した各信号の位相差に基づいて、各信号の到達時間差を取得するように構成してあることを特徴とする。
【0023】
第18発明に係る通信システムは、第1発明乃至第12発明のいずれかにおいて、前記送信機は、所定の周期の基準周期信号を生成する生成手段と、該生成手段で生成した基準周期信号に基づいて、信号の周期を決定する決定手段とを備えることを特徴とする。
【0024】
第19発明に係る通信システムは、第18発明において、一の送信機は、信号を他の送信機へ無線又は有線で送信するように構成してあり、前記他の送信機は、受信した信号に基づいて、前記生成手段で生成する基準周期信号の周期を調整する調整手段を備え、前記決定手段は、前記調整手段で周期が調整された基準周期信号に基づいて、信号の周期を決定するように構成してあることを特徴とする。
【0025】
第20発明に係る通信システムは、第18発明において、所定周期の周期調整信号を送信する周期調整用送信機を備え、前記送信機は、前記周期調整用送信機が送信した周期調整信号を受信する受信手段と、受信した周期調整信号に基づいて、前記生成手段で生成する基準周期信号の周期を調整する調整手段を備え、前記決定手段は、前記調整手段で周期が調整された基準周期信号に基づいて、信号の周期を決定するように構成してあることを特徴とする。
【0026】
第21発明に係る通信システムは、第1発明乃至第12発明のいずれかにおいて、前記送信機は、GNSS衛星が送信した信号を受信する受信手段と、受信した信号に基づいて、信号の周期を決定する決定手段とを備えることを特徴とする。
【0027】
第22発明に係る通信システムは、第1発明乃至第21発明のいずれかにおいて、前記特定手段により所定の時間間隔で特定した自車位置に基づいて、自車の走行方位及び走行速度の少なくとも1つを算出する走行値算出手段を備えることを特徴とする。
【0028】
第23発明に係る車載機は、少なくとも3つの送信地点から送信された同一周期の信号を受信する車載機であって、前記送信地点の位置情報を記憶する手段と、道路上の第1の地点への到達時に、送信された各信号の第1の到達時間差を取得する第1の時間差取得手段と、前記第1の地点通過後の第2の地点への到達時に、送信された各信号の第2の到達時間差を取得する第2の時間差取得手段と、前記送信地点の位置情報、前記第1の地点に関する情報、前記第1の到達時間差及び第2の到達時間差に基づいて、前記第2の地点の自車位置を特定する特定手段とを備えることを特徴とする。
【0029】
第24発明に係る車載機は、第23発明において、前記第1の地点の情報は、前記第1の地点の位置情報、該第1の地点から各送信地点までの距離情報、該各送信地点から前記第1の地点までの各信号の到達所要時間の情報及び前記各信号がそれぞれ同期している場合における前記各信号の前記第1の地点までの到達時間差のうち少なくとも1つであることを特徴とする。
【0030】
第25発明に係る車載機は、少なくとも3つの送信地点から送信された同一周期の信号を受信する車載機であって、前記送信地点の位置情報を記憶する手段と、送信された各信号の到達時間差を取得する時間差取得手段と、送信された信号の周期の同期ずれを道路上の所定の領域で算出する同期ずれ算出手段と、自車の走行地点で取得した到達時間差、前記同期ずれ算出手段で算出した同期ずれ及び前記送信地点の位置情報に基づいて、自車位置を特定する特定手段とを備えることを特徴とする。
【0031】
第26発明に係る車両は、第23発明乃至第25発明のいずれかに係る車載機を備えることを特徴とする。
【0032】
第27発明に係る送信機は、互いに同一周期の信号を送信する送信機であって、所定の周期の基準周期信号を生成する生成手段と、他の送信機が送信した信号を受信する受信手段と、該受信手段で受信した信号に基づいて、前記生成手段で生成する基準周期信号の周期を調整する調整手段と、該調整手段で周期が調整された基準周期信号に基づいて、信号の周期を決定する決定手段とを備えることを特徴とする。
【0033】
第1発明及び第23発明にあっては、道路を走行する車両に搭載された車載機は、道路上の第1の地点(例えば、地点A)への到達時に、同一周期の信号を送信する少なくとも3つの送信機が送信する各信号の第1の到達時間差を取得する。道路上の第1の地点は、例えば、光ビーコン、電波ビーコン、磁気ネール、DSRC(Dedicated Short Range Communication:狭域通信)などの路側装置と車両との間の通信地点(交信地点)とすることができる。自車がさらに走行し、第1の地点通過後の第2の地点(例えば、地点B)への到達時に、車載機は、各送信機が送信した各信号の第2の到達時間差を取得する。車載機は、各送信機の位置情報、第1の地点に関する情報(例えば、第1の地点の位置情報)、第1の到達時間差及び第2の到達時間差に基づいて、第2の地点、すなわち自車位置を特定する。
【0034】
従来、複数の送信機からの電波の位相差又は到達時間差を検出して位置を測位するロラン方式又はオメガ方式などの双曲線航法が知られているが、道路上を走行する車両の位置を、例えば、1m以下の精度で検出するためには、送信する電波を非常に高い精度で同期させる必要があった。これに対して、本発明によれば、すべての送信機が送信する信号がお互いに同期していなくても、車両の位置を精度良く特定することができ、特に、道路上を走行する車両の位置を逐一高精度に追跡することができる。
【0035】
第2発明及び第24発明にあっては、第1の地点の情報は、第1の地点の位置情報、第1の地点から各送信機までの距離情報、該各送信機から第1の地点までの各信号の到達所要時間の情報及び各送信機が送信する各信号がそれぞれ同期している場合における各信号の第1の地点までの到達時間差のうち少なくとも1つである。これにより、第1の地点と各送信機との位置関係とを特定するための自由度を向上させることができる。
【0036】
第3発明、第25発明及び第26発明にあっては、道路を走行する車両に搭載された車載機は、道路上の所定の領域で、同一周期の信号を送信する少なくとも3つの送信機が送信する信号の周期の同期ずれを算出する。道路上の所定の領域は、例えば、光ビーコン、電波ビーコン、磁気ネール、DSRC(Dedicated Short Range Communication:狭域通信)などの路側装置と車両との間の通信領域とすることができる。各送信機が送信する信号の周期の同期ずれは、例えば、自車の位置、各信号の到達時間差、自車の位置から各送信機までの距離に基づいて算出することができる。自車がさらに走行した時点で、車載機は、所定の領域において算出した同期ずれ、自車の走行地点で取得した各信号の到達時間差及び各送信機の位置情報に基づいて、自車位置を特定する。
【0037】
従来、複数の送信機からの電波の位相差又は到達時間差を検出して位置を測位するロラン方式又はオメガ方式などの双曲線航法が知られているが、道路上を走行する車両の位置を、例えば、1m以下の精度で検出するためには、送信する電波を非常に高い精度で同期させる必要があった。これに対して、本発明によれば、すべての送信機が送信する信号がお互いに同期していなくても、車両の位置を精度良く特定することができ、特に、道路上を走行する車両の位置を逐一高精度に追跡することができる。
【0038】
第4発明にあっては、車載機は、道路上の所定の領域で自車位置を取得する。例えば、所定領域内の自車位置は、光ビーコン、電波ビーコン、磁気ネール、DSRC等との通信時点に取得することができる。車載機は、取得した自車位置から各送信機までの距離を算出し、算出した距離及び自車位置で取得した到達時間差に基づいて、送信機が送信する信号周期の同期ずれを算出する。例えば、所定の領域内で取得した自車位置から第1送信機までの距離をLa1、自車位置から第2送信機までの距離をLa2、第1送信機と第2送信機との同期ずれをΔt12、第1送信機及び第2送信機からの信号の到達時間差をta12、電波の伝播速度をαとすると、ta12−Δt12=(La1−La2)/αという式が成り立つ。他の送信機間についても、同様な式が成り立ち、これらの式に基づいて、同期ずれを算出することができる。これにより、すべての送信機が送信する信号がお互いに同期していなくても、高精度に車両の位置を特定することが可能になる。
【0039】
第5発明にあっては、位置情報送信機は、道路上の所定の領域内で、その領域の位置に関する情報を車載機へ送信する。車載機は、領域の位置に関する情報を受信し、受信した情報に基づいて自車位置を特定する。例えば、位置情報送信機と車載機との間の通信領域を位置に関する誤差が十分小さくなるように制限することができる場合、道路上の所定の領域を十分狭い範囲にすることができ、車載機は、位置情報送信機が送信した領域の位置に関する情報を受信した時点で、自車位置を特定することができる。
【0040】
第6発明にあっては、位置情報送信機は、光ビーコンである。これにより、光ビーコンとの通信(交信)のみによって車載機の位置を特定することができる。
【0041】
第7発明にあっては、道路を走行する車両に搭載された車載機で自車が道路上の所定の領域に存在するか否かを判定する。車載機は、例えば、光ビーコン、電波ビーコン、磁気ネール、DSRCなどと通信することで、自車が所定の領域に存在すると判定した場合、2つの送信機が送信した信号を受信し、受信した各信号の到達時間差を取得する。なお、この場合、送信される各信号は互いに同期していることが好ましい。車載機は、取得した到達時間差に基づいて、自車と一方の送信機との間の距離と、自車と他方の送信機との間の距離との距離差を求める。この場合、自車は、2つの送信機の位置を焦点とし、距離差が一定となる双曲線上に存在する。車載機は、予め記憶した送信機の位置情報に基づいて双曲線の位置を特定し、さらに所定の領域の位置情報に基づいて、所定の領域にある双曲線上の位置を自車の位置として取得する。これにより、自車の走行位置を精度良く取得することができる。なお、位置情報は、例えば、地図データベース等から取得して記憶してもよく、あるいは、路側の装置から受信して記憶するようにしてもよい。
【0042】
第8発明にあっては、車載機は、光ビーコンから所定の情報を受信した場合、自車が所定の領域内に存在すると判定する。例えば、光ビーコンの投受光器から送信されるダウンリンク情報を車載機で受信した場合、車載機は、自車の車両IDを含むアップリンク情報を投受光器に対して送信する。光ビーコンは、車載機からアップリンク情報を受信した場合、受信した前記アップリンク情報に含まれる車両IDを格納した車線通知情報を含む所定のダウンリンク情報を車載機へ送信し、車載機は、所定のダウンリンク情報を受信した時点で、自車が所定の領域内(前記光ビーコンの通信領域内)に存在すると判定することができる。また、前記所定のダウンリンク情報に含まれる車線通知情報は、自車の車両IDに車線番号が対応付けられた形式で構成されているため、車載機は、対応付けられた前記車線番号を自車の走行車線として認識することができる。すなわち、光ビーコンを用いることにより、所定の領域を道路上のほぼ1車線分の狭い範囲に限定することができ、自車の位置を一層高精度で特定することができる。
【0043】
第9発明にあっては、所定の領域内の所定の第1地点の位置情報を記憶しておき、車載機は、自車の位置を第1地点に対する位置(例えば、第1地点からの距離L2)として特定する。第1地点としては、例えば、所定の領域の車両進行方向最も上流側の地点(上流端)とすることができる。車載機は、第1地点と前記領域よりも車両の進行方向下流側にある所定の第2地点(例えば、交差点手前の停止線)との間の道路形状に関する道路形状情報(例えば、距離L1)を取得する。車載機は、取得した道路形状情報(例えば、距離L1)及び特定した位置(第1地点からの距離L2)に基づいて、第2地点までの距離L3(L3=L1−L2)を算出する。所定の第2地点までの距離L3が算出された後、自車が第2地点に向かって走行する場合、自車の走行に応じて逐一自車位置を特定することができるため、常に第2地点までの距離を正確に把握しつつ第2地点に近づくことができる。すなわち、自車の進行方向前方の所定位置までの距離を精度良く求めつつ所定位置に到達することができる。
【0044】
第10発明にあっては、道路形状情報は、第1地点と第2地点との間の道路を1又は複数の区間に分割した各区間についての距離、勾配及び曲率のうち少なくとも1つを含む。これにより、第1地点と第2地点との間の道路形状に拘わらず、第1地点と第2地点との間の距離を取得することができる。
【0045】
第11発明にあっては、各送信機及び光ビーコンのうち少なくとも1つは、道路形状情報を車載機へ送信する。これにより、車載機で予め道路形状情報を記憶しておく必要がなく、所要の交差点手前を走行する都度、例えば、自車から前方の停止線までの距離を算出するのに必要な道路形状情報を取得することができる。
【0046】
第12発明にあっては、車載機は、車両に搭載する際の搭載位置の高さ情報を記憶してあり、記憶した高さ情報に基づいて自車位置を特定する。自車の走行地点で算出した各送信機までの距離及び各送信機の位置情報に基づいて、自車位置を特定する場合、車載機の高さを考慮することで、自車から各送信機までの距離を精度良く算出することができ、自車位置をより精度良く特定することができる。
【0047】
第13発明にあっては、各送信機は、変調した信号を車載機へ送信し、車載機は、受信した信号を復調し、復調後の信号に基づいて、各信号の到達時間差を取得する。例えば、周波数が10kHz程度の信号を数百MHz程度の搬送波で変調することができる。所要の周波数帯の搬送波を用いることにより、電波の所要の周波数帯を用いて信号を送受信することができる。
【0048】
第14発明にあっては、各送信機は、信号を直交周波数多重方式の搬送波に割り当て、信号を割り当てた搬送波を送信する。例えば、送信する信号に逆フーリエ変換して周波数の異なる少なくとも1つのサブキャリア(搬送波)に変換し、変換した信号をDA変換して送信機から車載機に対して送信する。車載機は、送信された搬送波をAD変換し、変換後の信号同士をパターンマッチングすることで各信号の到達時間差を取得する。直交周波数多重方式を用いることにより、他の帯域における通信との干渉を少なくしつつ周波数帯の利用効率を向上させることができる。
【0049】
第15発明にあっては、各送信機は、立ち上がりを有する信号を所定の間隔T1で送信する。所定の間隔T1は、例えば、送信機から送信された信号が車載機で受信されるまでに要する最大時間T2と、マルチパスによる遅延波が直接波に影響を与える時間T3との合計値より長くする。車載機は、各送信機が送信した各信号の立ち上がり時点の時間差に基づいて、到達時間差を取得する。これにより、信号の立ち上がり部分がマルチパスによる影響を受けることがなく、精度良く到達時間差を取得することができる。
【0050】
第16発明にあっては、各送信機は、交番波形(例えば、正弦波形)の信号を送信し、車載機は、受信した信号の位相差に基づいて、各信号の到達時間差を取得する。例えば、各送信機から正弦波状の信号を送信し、車載機で受信した各信号の位相差を位相検出器で検出することができ、簡便な構成で到達時間差を取得することができる。
【0051】
第17発明にあっては、各送信機は、正弦波状の信号(例えば、周波数が10kHz)で搬送波(例えば、周波数が数百MHz)を変調(例えば、周波数変調)し、変調後の信号を送信する。車載機は、受信した搬送波を復調して元の信号を取り出し、各信号の位相差に基づいて、到達時間差を取得する。各信号の位相差を位相検出器で検出することができ、簡便な構成で到達時間差を取得することができる。
【0052】
第18発明にあっては、各送信機は、所定の周期の基準周期信号(例えば、水晶発振器による基準クロック信号)を生成し、生成した基準周期信号に基づいて、信号の周期を決定する。各送信機が送信する信号を基準周期信号に基づいて決定するため、送信機は、お互いに同一周期の信号を送信することができる。
【0053】
第19発明及び第27発明にあっては、一の送信機は、信号を他の送信機へ無線又は有線で送信する。他の送信機は、受信した信号に基づいて、基準周期信号の周期(周波数)を調整し、周期が調整された基準周期信号に基づいて、信号の周期を決定する。これにより、基準周期信号の周期が、何らかの理由(例えば、経年変化)で初期の値から変化した場合であっても、一方の送信機が送信する信号の周期に応じて、他方の送信機の基準周期信号の周期を調整し、他方の送信機は、一方の信号の周期と同一周期の信号を送信することができる。これにより、各送信機で送信する信号の周期を同一にすることができる。
【0054】
第20発明にあっては、周期調整用送信機は、所定周期(周波数)の周期調整信号を各送信機へ送信する。各送信機は、周期調整信号を受信し、受信した周期調整信号に基づいて、基準周期信号の周期(周波数)を調整する。各送信機は、調整した基準周期信号に基づいて、信号の周期を決定する。これにより、各送信機で送信する信号の周期を同一にすることができる。
【0055】
第21発明にあっては、各送信機は、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星が送信した信号(例えば、約10MHzの基準発振周波数の信号)を受信し、受信した信号に基づいて、信号の周期を決定する。これにより、各送信機で送信する信号の周期を同一にすることができる。
【0056】
第22発明にあっては、所定の時間間隔で自車位置を特定し、経過時間及び特定した自車位置に基づいて、自車の走行方位、走行速度を算出する。これにより、自車の走行ベクトル及び速度を正確に求めることができ、自車の走行追跡も高精度に実現することができる。
【発明の効果】
【0057】
本発明にあっては、自車の走行位置を精度良く特定することができ、自車の進行方向前方の所定位置までの距離を精度良く求めつつ所定位置まで到達することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
実施の形態1
以下、本発明を実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る通信システムの概要を示す模式図である。本発明に係る通信システムは、特に、路車間通信システムとして実現することができ、光ビーコン10、車両に搭載された車載機20、道路付近の所定の位置に設置され、同一周期の信号を送信する送信機30、40、50などを備えている。
【0059】
光ビーコン10は、投受光器を備えた通信部11を通じて、道路上の所定の領域Rにおいて、車載機20と通信可能に設置してある。また、領域Rの車両進行方向下流側には、停止線Pを設けている。
【0060】
本発明に係る通信システムは、車載機20で自車が光ビーコン10との通信可能な領域Rに存在すると判定した場合、送信機30、40から送信された信号の到達時間差に基づいて、自車の送信機30、40との位置関係、すなわち、領域Rにおける自車の位置(例えば、地点Aとする)を高精度に取得し、停止線Pまでの位置(距離)を高精度に算出する。また、車載機20は、自車位置を取得した時点で、送信機30、40、50から送信された信号の到達時間差、送信機30、40、50までの距離に基づいて、送信機30、40、50が送信する信号の周期の同期ずれを算出する。その後、自車が走行を続け、任意の走行地点(例えば、地点Bとする)において、送信機30、40、50から送信された信号の到達時間差、地点Aで算出した同期ずれ及び送信機30、40、50の位置情報に基づいて、自車位置(地点Bの位置)を特定する。さらに自車が走行した場合、車載機20は、同様にして自車の位置を繰り返し特定するものである。なお、図1において、道路は1車線のみ示しているが、道路の車線数は1車線に限定されるものではなく、各車線に対して光ビーコン10の投受光器を配置することにより、複数の車線を有する道路であっても、本発明を適用することができる。以下詳細に説明する。
【0061】
図2は本発明に係る通信システムの構成を示すブロック図である。光ビーコン10は、投受光器を備え、車載機20との通信機能を有する通信部11、光ビーコン10の動作を制御する制御部12、中央装置70との通信機能を備える端末通信部13、車載機20との通信可能な道路上の領域Rに関する位置情報及び送信機30、40、50に関する位置情報を記憶する記憶部14などを備えている。光ビーコン10の記憶部14に記憶する各種情報は、中央装置70から受信することができる。なお、記憶部14に記憶する各種情報は、光ビーコン10を設置する際に、記憶部14に予め記憶することもできる。
【0062】
送信機30は、通信部31、制御部32などを備えている。通信部31は、例えば、VHF/UHF帯の周波数帯域の電波を車載機20に対して送信する。通信部31は、基準クロック信号を生成する水晶発振器、搬送波生成回路、変調回路等(不図示)を備え、基準クロック信号に基づいて所定の信号(例えば、周波数が10kHz程度の矩形波信号)を生成する。通信部31は、制御部32の制御のもと、生成した信号に基づいて搬送波(例えば、周波数が100MHz程度、200MHz程度、あるいは700MHz程度など)を周波数変調し、アンテナ(不図示)を通じて変調後の搬送波を送信する。なお、送信機30が使用する周波数帯域は、一例であって、VHF/UHF帯に限定されるものではなく、他の周波数帯域でもよい。例えば、自動車専用として割り当てられている5.8GHz帯を使用してもよく、また、携帯電話、PHS等で使用する周波数帯域を使用することも可能である。
【0063】
また、送信機40は、通信部41、制御部42などを備え、送信機30が送信する信号(例えば、周波数が10kHz程度の矩形波信号)と同一周期(周波数)の信号を車載機20に対して送信する。送信機40の構成は、送信機30の構成と同一である。なお、送信機30、40が送信する信号は、必ずしも同期(矩形波信号の立ち上がり時点が一致した状態)する必要はないが、自車位置を精度良く取得するためには、同期させておくことが好ましい。
【0064】
また、送信機50は、通信部51、制御部52などを備え、送信機30、40が送信する信号(例えば、周波数が10kHz程度の矩形波信号)と同一周期(周波数)の信号を車載機20に対して送信する。送信機50の構成は、送信機30、40の構成と同一である。なお、送信機50が送信する信号は、送信機30、40が送信する信号と同期させる必要はない。
【0065】
車載機20は、赤外線を利用して光ビーコン10との通信機能を有する第1通信部21、送信機30、40、50との通信機能を有する第2通信部22、車載機20の動作を制御する制御部23、記憶部24、表示部25、操作部26などを備えている。なお、車載機20は、GPS(Global Positioning System)受信機能、地図データベース(いずれも不図示)などを備えることもできる。
【0066】
第1通信部21は、光ビーコン10から送信されるダウンリンク情報を受信するとともに、光ビーコン10に対してアップリンク情報を送信する。
【0067】
図3は光ビーコン10と車載機20との間の双方向通信を説明する説明図である。道路上の領域Rは、車載機20が光ビーコン10と通信可能な領域を示している。図3に示すように、領域Rは、自車Cの進行方向上流側の領域R1と下流側の領域R2とに分けられている。領域R1は、光ビーコン10から車載機20に対してダウンリンク情報を送信することができるとともに、車載機20から光ビーコン10に対してアップリンク情報を送信することができる領域である。一方、領域R2は、光ビーコン10から車載機20に対してダウンリンク情報を送信することができる領域である。
【0068】
光ビーコン10は、例えば、車線通知情報を含むダウンリンク情報を道路上の領域Rに対して所定のダウンリンク周期で繰り返し送信する。車載機20を搭載した自車Cが領域R内に進入した場合、第1通信部21は、ダウンリンク情報を受信し、受信したダウンリンク情報を制御部23へ出力する。
【0069】
制御部23は、第1通信部21を通じて、ダウンリンク情報を受信することで自車Cが領域R内に存在していることを判定することができる。すなわち、制御部23は、第1通信部21でダウンリンク情報を受信した時点ta1において自車Cが領域R内に存在すると判定することができる。
【0070】
車載機20は、ダウンリンク情報を受信すると、第1通信部21を通じて光ビーコン10に対して、車両IDを含むアップリンク情報を所定のアップリンク周期で繰り返し送信する。
【0071】
光ビーコン10がアップリンク情報を受信すると、光ビーコン10は、ダウンリンクの切替を行い、車線通知情報、領域Rに関する位置情報(例えば、領域Rの車両進行方向の最上流地点R0の位置情報、領域Rと送信機30、40、50との位置関係など)、地点R0から停止線Pまでの距離L1を含む道路形状情報、送信機30、40、50に関する位置情報などのダウンリンク切替後のダウンリンク情報を車載機20に対して送信する。なお、位置情報は、緯度及び経度で表される絶対位置でもよく、あるいは、所定の基準地点からの相対位置でもよい。
【0072】
第1通信部21は、ダウンリンク切替後のダウンリンク情報を受信し、受信したダウンリンク情報を制御部23へ出力する。
【0073】
制御部23は、第1通信部21を通じて、ダウンリンク切替後のダウンリンク情報を受信することで自車Cが領域R内に存在していることを判定することもできる。すなわち、制御部23は、第1通信部21でダウンリンク切替後のダウンリンク情報を受信した時点ta2において自車Cが領域R内に存在すると判定することができる。また、ダウンリンク切替後のダウンリンク情報に含まれる車線通知情報は、自車の車両IDに車線番号が対応付けられた形式で構成されているため、制御部23は、対応付けられた前記車線番号を自車の走行車線として認識することができる。すなわち、光ビーコンを用いることにより、所定の領域を道路上のほぼ1車線分の狭い範囲に限定することができ、自車の位置を一層高精度で特定することができる。なお、自車Cが領域R内に存在していると判定する時点は、時点ta1又は時点ta2のいずれでもよい。また、光ビーコン10と車載機20との間の通信領域を、自車位置に関する誤差が十分小さくなるように制限することができる場合、道路上の所定の領域Rを十分狭い範囲にすることができ、車載機20は、光ビーコン10が送信した領域Rの位置に関する情報を受信した時点で、自車位置を領域Rの位置として特定することができる。これにより、光ビーコンとの通信(交信)のみによって車載機20の位置を特定することができる。
【0074】
第2通信部22は、送信機30、40、50が送信した信号を受信する。より具体的には、第2通信部22は、復調回路を備え、送信機30、40、50が送信した電波を受信し、受信した電波を復調して元の信号を抽出する。第2通信部22は、抽出した各信号に基づいて、各信号の到達時間差を算出し、算出した到達時間差を制御部23へ出力する。
【0075】
図4は信号の到達時間差の算出例を示す説明図である。図4は、送信機30、40が送信する信号波形、及び送信機30、40からの信号を車載機20で受信した信号波形を示す。図4に示すように、送信機30、40それぞれは、同一周期の信号をお互いに同期して送信するとする。
【0076】
車載機20から送信機30までの距離が、車載機20から送信機40までの距離より短いとすると、車載機20には、送信機30からの信号が先に到達し、送信機40からの信号がΔT1だけ遅れて到達する。第2通信部22は、受信した各信号に基づいて、到達時間差ΔT1を算出し、算出した到達時間差ΔT1を制御部23へ出力する。また、所定の時間内に、複数回にわたって前記到達時間差を算出した上で、これらの平均値又は中央値等を取得する方法を用いることもできる。このような方法によれば、ノイズ等による影響を低減し、安定した到達時間差を得ることができる。なお、各信号の到達時間差の算出は、信号波形の立ち上がり部分のみならず、立ち下り部分で算出することもできる。
【0077】
制御部23は、第1通信部21を通じて、ダウンリンク切替後のダウンリンク情報を受信した場合、受信したダウンリンク情報に含まれる情報(例えば、車線通知情報、領域Rの車両進行方向の最上流地点R0の位置情報、地点R0から停止線Pまでの距離L1、送信機30、40に関する位置情報など)を記憶部24に記憶する。
【0078】
制御部23は、自車が領域Rに存在すると判定した場合(例えば、上述の時点ta2)、第2通信部22を通じて取得した到達時間差ΔT1に基づいて、自車の位置を取得する。以下、自車の位置を取得する方法について説明する。
【0079】
図5は信号の到達時間差に基づいて自車位置を取得する例を示す説明図である。図5に示すように、送信機30、40を通る直線をx軸とし、送信機30、40の中点を通りx軸に垂直な直線をy軸とする。xy座標において、送信機30のx座標を(a2 +b2 )の2分の1乗とし、送信機40のx座標を(a2 +b2 )の2分の1乗に−1を積算した値とする。また、車載機20、送信機30、40の高さ(より具体的には、それぞれのアンテナの高さ)が一致しているとする(例えば、路面からの高さとして、50cm、1m、1.5mなど)。この場合、送信機30までの距離と送信機40までの距離との距離差が一定である位置は、式(1)で表すことができる。これは、送信機30、40の位置を焦点とする双曲線である。
【0080】
【数1】

【0081】
すなわち、図5に示すように、例えば、到達時間差がΔT1である場合、ΔT1に基づいて、自車の位置から送信機30までの距離と、自車の位置から送信機40までの距離との距離差を算出することができ、図中ΔT1で示す双曲線が道路上の領域Rと重なる位置を自車の位置として取得することができる。なお、双曲線を特定する場合、車載機20の路面からの高さは、例えば、50cm、1m、1.5mなど予め決定することができる。あるいは、記憶部24に車載機20の設置高さ情報を記憶しておき、記憶した高さを用いて双曲線を特定することができる。
【0082】
次に具体的な数値例を用いて説明する。送信機30、40が20m離隔して設置されているとする。車載機20で送信機30からの信号が、送信機40からの信号よりも20ナノ秒早く到達したとすると、到達時間差は20ナノ秒となる。信号の伝播速度を光速とすると、車載機20から送信機30までの距離は、車載機20から送信機40までの距離よりも6m短くなる。
【0083】
自車の位置を(x、y)とすると、自車の位置は、式(2)で表される曲線上にある。式(2)を演算すると式(3)を導くことができ、自車は、式(3)で表される双曲線が道路上の領域Rと重なる位置に存在することが判る。
【0084】
表示部25は、ヘッドアップディスプレイ、カーナビゲーションシステム又は監視モニタなどの液晶表示パネルであり、運転者に対して、各種交通情報を表示することができる。例えば、交差点又は停止線までの距離、交差点を安全に走行できない場合の警告等を表示する。
【0085】
操作部26は、各種操作パネルを備え、運転者と車載装置20とのユーザインタフェースとして機能する。例えば、操作部26は、運転者の操作により車載装置20の動作の開始又は停止の操作を受け付ける。
【0086】
次に道路上の領域Rにおいて自車位置を取得する場合の車載機20の動作について説明する。図6は自車位置を取得する場合の車載機20の処理内容を示す説明図である。自車Cが道路を停止線に向かって走行し、光ビーコン10との通信が可能な領域Rに進入した場合、車載機20は、送信機30、40の位置情報、領域Rの上流端の位置情報、領域Rと送信機30、40との位置関係、領域Rの上流端(第1地点)から停止線(第2地点)までの距離L1を含む道路形状情報などを含むダウンリンク情報を光ビーコン10から取得して一旦記憶する。車載機20は、ダウンリンク情報を取得した時点ta2に自車Cが領域Rに存在すると判定する。
【0087】
自車Cが領域Rに存在すると判定した場合、車載機20は、送信機30、40から送信された各信号の到達時間差ΔT1、車載機20の路面からの高さ、送信機30、40の位置情報、領域Rと送信機30、40との位置関係などに基づいて、自車Cが存在する双曲線ΔT1を特定するとともに、双曲線ΔT1と領域Rとが重なる位置を自車Cの位置(例えば、地点Aとする)として取得する。なお、図中の双曲線ΔT1の位置は、一例であって、これに限定されるものではない。
【0088】
領域Rと重なる双曲線の線分の距離が長い場合であっても、領域Rの位置情報(例えば、領域Rの各4隅の位置情報、道路進行方向と送信機30、40がなす直線との角度など)に基づいて、例えば、双曲線のうち、領域Rに重なる線分の中点を自車Cの位置とすることができる。また、道路の進行方向と送信機30、40がなす直線との角度を調整して送信機30、40を配置し、双曲線と道路進行方向とのなす角度ができるだけ直交するようにすれば、自車Cの位置をさらに精度良く取得することができる。
【0089】
車載機20は、取得した自車Cの位置(地点A)、領域Rの上流端の位置などに基づいて、領域Rの上流端から自車Cまでの距離L2を算出する。また、車載機20は、算出した距離L2及び記憶した距離L1に基づいて、自車Cの停止線までの距離L3(L3=L1−L2)を算出する。これにより、自車Cの位置、及び自車Cの進行方向前方の所定位置(例えば、停止線)までの距離を精度良く求めることができる。
【0090】
次に、道路上の所定の領域Rで自車位置を取得した後、取得した自車位置を起点に自車が進行方向前方の所定位置(停止線)に向かって走行を続ける場合、自車の走行位置を特定する方法について説明する。
【0091】
図7は自車の走行位置を特定する例を示す説明図であり、図8及び図9は自車の走行位置を特定する処理手順を示すフローチャートである。図7に示すように、車載機20は、道路上の所定の領域Rで自車位置(地点Aとする)を取得した後、自車が進行方向前方の所定位置(停止線P)に向かって走行を続け、走行地点Bで自車の位置を特定するものとする。また、送信機30の設置位置の座標を(X1、Y1、Z1)、送信機40の設置位置の座標を(X2、Y2、Z2)、送信機50の設置位置の座標を(X3、Y3、Z3)とする。以下、図8及び図9に従って説明する。
【0092】
当初、制御部23は、自車が道路上の所定の領域R内に存在するか否かを判定し(S11)、領域R内に存在しない場合(S11でNO)、ステップS11の処理を続け、自車が領域R内に存在するまで待機する。領域R内に自車が存在すると判定した場合(S11でYES)、制御部23は、自車位置を取得する(S12)。取得した自車位置を地点Aとする。なお、自車が領域R内に存在するか否かの判定方法、自車位置の取得方法は、図6で説明したとおりである。
【0093】
制御部23は、自車位置を取得した地点Aから各送信機30、40、50までの距離を算出する(S13)。なお、図7に示すように、地点Aにおける車載機20の座標を(Xa、Ya、Za)とし、自車位置から送信機30、40、50までの距離をそれぞれLa1、La2、La3とする。
【0094】
制御部23は、地点Aにおいて、各送信機30、40、50が送信した信号の到達時間差を取得する(S14)。なお、送信機30及び送信機40が送信した各信号の到達時間差をta12、送信機40及び送信機50が送信した各信号の到達時間差をta23、送信機50及び送信機30が送信した各信号の到達時間差をta31とする。
【0095】
制御部23は、各送信機30、40、50が送信する信号の同期ずれを算出する(S15)。送信機30及び送信機40が送信した各信号の周期の同期ずれをΔt12、送信機40及び送信機50が送信した各信号の周期の同期ずれをΔt23、送信機50及び送信機30が送信した各信号の周期の同期ずれをΔt31とすると、同期ずれは、式(4)を演算することにより算出することができる。ここで、αは電波の伝播速度である。
【0096】
【数2】

【0097】
制御部23は、タイマをセットする(S16)。これにより、制御部23は、所定の時間間隔で自車位置を特定する処理を繰り返す。その後、自車が走行を続け、地点Bに到達したとする。制御部23は、地点Bにおいて、各送信機30、40、50が送信した信号の到達時間差を取得する(S17)。なお、送信機30及び送信機40が送信した各信号の到達時間差をtb12、送信機40及び送信機50が送信した各信号の到達時間差をtb23、送信機50及び送信機30が送信した各信号の到達時間差をtb31とする。
【0098】
制御部23は、地点Bにおいて、地点Aで算出した同期ずれΔt12、Δt23、Δt31、地点Bで算出した到達時間差をtb12、tb23、tb31、及び車載機20の高さに基づいて、自車位置を特定する(S18)。
【0099】
自車位置の特定は、式(5)のうちのいずれか2つの式、及び式(6)に基づいて行うことができる。ここで、Lb1、Lb2、Lb3は、それぞれ自車の位置である地点Bから送信機30、40、50までの距離であり、Xb、Yb、Zbは、それぞれ地点Bにおける車載機20の座標である。なお、この場合、車載機20の高さであるZbは既知である。
【0100】
制御部23は、地点A、Bの座標、経過時間等に基づいて、自車の走行方位、速度を算出し(S19)、地点Aで算出した所定位置(停止線P)までの距離L3に基づいて、地点Bから所定位置までの距離を算出する(S20)。これにより、車両の走行ベクトルを正確に求めることができ、走行ベクトルから速度も正確に求めることができる。また、地点Aにおいて、自車が走行する車線番号が判れば、予め車線幅を記憶しておくことで、地点Bにおいて走行している車線番号を特定することも可能となる。
【0101】
制御部23は、処理終了の指示の有無を判定し(S21)、処理終了の指示がない場合(S21でNO)、タイマが所定時間経過したか否かを判定し(S22)、所定時間経過した場合には(S22でYES)、ステップS16以降の処理を続ける。タイマが所定時間経過していない場合(S22でNO)、ステップS22の処理を続け、所定時間経過するまで待機する。一方、処理終了の指示がある場合(S21でYES)、制御部23は、処理を終了する。
【0102】
これにより、すべての送信機30、40、50が送信する信号がお互いに同期していなくても、車両の位置を精度良く特定することができ、特に、道路上を走行する車両の位置を逐一高精度に追跡することができる。
【0103】
上述の実施例では、各送信機30、40、50が送信する信号の同期ずれを算出する構成であったが、同期ずれを算出することなく、車両の位置を精度良く特定することもできる。この場合には、式(4)及び式(5)から、同期ずれΔt12、Δt23、Δt31を消去して得られた式に基づいて車両の位置を特定する。以下に、同期ずれを算出せずに車両の位置を特定する方法について説明する。
【0104】
図10及び図11は自車の走行位置を特定する処理手順を示すフローチャートである。この場合も、図7に示すように、車載機20は、道路上の所定の領域Rで自車位置(地点Aとする)を取得した後、自車が進行方向前方の所定位置(停止線P)に向かって走行を続け、走行地点Bで自車の位置を特定するものとする。また、送信機30の設置位置の座標を(X1、Y1、Z1)、送信機40の設置位置の座標を(X2、Y2、Z2)、送信機50の設置位置の座標を(X3、Y3、Z3)とする。以下、図10及び図11に従って説明する。
【0105】
制御部23は、自車が道路上の所定の領域R内に存在するか否かを判定し(S31)、領域R内に存在しない場合(S31でNO)、ステップS31の処理を続け、自車が領域R内に存在するまで待機する。領域R内に自車が存在すると判定した場合(S31でYES)、制御部23は、自車位置である地点A(第1の地点)の位置の情報を取得し(S32)、各送信機30、40、50の位置情報(例えば、設置位置の座標)を取得する(S33)。
【0106】
地点Aの位置の情報としては、例えば、車載機20の座標(Xa、Ya、Za)、地点Aから送信機30、40、50までの距離La1、La2、La3、各送信機30、40、50から地点Aまでの各信号の到達所要時間La1/α、La2/α、La3/α、各送信機30、40、50が送信する各信号がそれぞれ同期している場合の各信号の地点Aまでの到達時間差(La1-La2)/α、(La2-La3)/α、(La3-La1)/αなどのいずれか1つとすることができる。ここで、αは電波の伝播速度である。また、地点Aの位置の情報は、光ビーコン10から取得することができる。
【0107】
制御部23は、地点Aにおいて、各送信機30、40、50が送信した信号の第1の到達時間差を取得する(S34)。なお、送信機30及び送信機40が送信した各信号の第1の到達時間差をta12、送信機40及び送信機50が送信した各信号の第1の到達時間差をta23、送信機50及び送信機30が送信した各信号の第1の到達時間差をta31とする。
【0108】
制御部23は、タイマをセットする(S35)。これにより、制御部23は、所定の時間間隔で自車位置を特定する処理を繰り返す。その後、自車が走行を続け、地点B(第2の地点)に到達したとする。制御部23は、地点Bにおいて、各送信機30、40、50が送信した信号の第2の到達時間差を取得する(S36)。なお、送信機30及び送信機40が送信した各信号の第2の到達時間差をtb12、送信機40及び送信機50が送信した各信号の第2の到達時間差をtb23、送信機50及び送信機30が送信した各信号の第2の到達時間差をtb31とする。
【0109】
制御部23は、地点Bにおいて、地点Aの位置の情報(例えば、地点Aから送信機30、40、50までの距離La1、La2、La3)、各送信機30、40、50の設置位置の座標(X1、Y1、Z1)、(X2、Y2、Z2)、(X3、Y3、Z3)、第1の到達時間差ta12、ta23、ta31、第2の到達時間差tb12、tb23、tb31、及び車載機20の高さに基づいて、自車位置を特定する(S37)。
【0110】
自車位置の特定は、式(4)及び式(5)から同期ずれΔt12、Δt23、Δt31を消去して得られた式、及び式(6)に基づいて行うことができる。ここで、Lb1、Lb2、Lb3は、それぞれ自車の位置である地点Bから送信機30、40、50までの距離であり、Xb、Yb、Zbは、それぞれ地点Bにおける車載機20の座標である。なお、この場合、車載機20の高さであるZbは既知である。
【0111】
制御部23は、地点A、Bの座標、経過時間等に基づいて、自車の走行方位、速度を算出し(S38)、地点Aで算出した所定位置(停止線P)までの距離L3に基づいて、地点Bから所定位置までの距離を算出する(S39)。これにより、車両の走行ベクトルを正確に求めることができ、走行ベクトルから速度も正確に求めることができる。また、地点Aにおいて、自車が走行する車線番号が判れば、予め車線幅を記憶しておくことで、地点Bにおいて走行している車線番号を特定することも可能となる。
【0112】
制御部23は、処理終了の指示の有無を判定し(S40)、処理終了の指示がない場合(S40でNO)、タイマが所定時間経過したか否かを判定し(S41)、所定時間経過した場合には(S41でYES)、ステップS35以降の処理を続ける。タイマが所定時間経過していない場合(S41でNO)、ステップS41の処理を続け、所定時間経過するまで待機する。一方、処理終了の指示がある場合(S40でYES)、制御部23は、処理を終了する。
【0113】
図12は各送信機30、40、50が送信する信号の同期ずれの例を示す説明図である。図12に示すように、送信機30及び送信機40が送信した各信号は、Δt12だけの同期ずれを生じ、送信機40及び送信機50が送信した各信号は、Δt23だけの同期ずれを生じ、送信機50及び送信機30が送信した各信号は、Δt31だけの同期ずれを生じている。なお、所定の領域Rで自車位置を精度良く取得するためには、送信機30、40が送信する信号は、お互いに同期していることが好ましいが、磁気ネール等の他の方式を併用するか、あるいは、光ビーコン10による通信可能領域である領域Rさらに狭くすることにより、領域Rで自車位置を許容限度内で取得できる場合には、送信機30、40が送信する信号の同期は、必ずしも必要ではない。
【0114】
図13は各送信機30、40、50が送信する信号の到達時間差の例を示す説明図である。図13(a)に示すように、地点Aにおいて、送信機30及び送信機40が送信した各信号は、ta12だけ到達時間差を生じ、送信機40及び送信機50が送信した各信号は、ta23だけ到達時間差を生じ、送信機50及び送信機30が送信した各信号は、ta31だけ到達時間差を生じている。また、図13(b)に示すように、地点Bにおいて、送信機30及び送信機40が送信した各信号は、tb12だけ到達時間差を生じ、送信機40及び送信機50が送信した各信号は、tb23だけ到達時間差を生じ、送信機50及び送信機30が送信した各信号は、tb31だけ到達時間差を生じている。なお、図13で示すように、到達時間差は、自車の走行位置に応じて異なる。
【0115】
図14は送信機30、40が送信する信号の送信間隔の例を示す説明図である。図14に示すように、送信機30、40は、矩形状の送信波形を所定の間隔T1で送信する。送信機30、40が送信した信号は、車載機20に直接到達する直接波と、周囲に存在する建物等により反射した後に直接波よりも遅延して到達する遅延波とが合成(重畳)した合成波となる。従って、車載機20で受信する信号の受信波形は、送信波形にマルチパスにより遅延した信号が重畳したような波形となり、マルチパスによる遅延波が直接波に影響を与える時間は、例えば、T3となる。また、車載機20と送信機30、40との距離に応じて、車載機20が信号を受信する時点は、送信機30、40が信号を送信した時点から、例えば、最大時間T2だけ遅れる。
【0116】
この場合、送信機30、40で送信する信号の送信間隔T1を、T1>T2+T3に設定することにより、車載機20で受信した各信号の立ち上がり部分がマルチパスによる影響を受けることがなく、精度良く到達時間差を求めることができる。なお、送信機30、50が送信する信号の送信間隔、送信機40、50が送信する信号の送信間隔についても同様である。
【0117】
送信機30、40、50が送信する信号は、互いに同一周期の信号を送信すべく、例えば、基準クロック信号に同期して信号を生成する。しかし、基準クロック信号を生成する水晶発振器の発振周波数は、経年変化等により誤差を生じ、各送信機30、40、50が送信する信号の周期(周波数)がずれる場合がある。以下、各送信機30、40、50の信号の周期を同一にする方法について説明する。
【0118】
図15は送信機40、50が送信する信号の周期を同一にする方法の例を示す説明図である。図15(a)は、信号の周期がずれた場合を示し、送信機40が送信する信号の周期はT4であり、送信機50が送信する信号の周期は、T4と異なるT4’となっている。この場合、各送信機30、40、50には、位相同期回路(PLL:Phase-locked loop)を設けておき、例えば、送信機40は、信号を送信機50へ無線又は有線で送信する。送信機50は、受信した信号に基づいて、基準クロック信号の周期(周波数)を調整し、周期が調整された基準クロック信号に基づいて、信号の周期を決定する。これにより、図15(b)に示すように、送信機50が送信する信号の周期をT4’からT4に修正し、送信機30の信号の周期と同一にすることができる。なお、送信機30と送信機40、あるいは、送信機30と送信機50との間の信号の周期も同様に調整することができる。
【0119】
図16は送信機40、50が送信する信号の同一同期の例を示す説明図である。送信機40、50が送信する信号の周期が同一周期であるとは、各送信機40、50が信号を送出する間隔が、各送信機40、50間で異ならないことを意味する。すなわち、図16(a)に示すように、全ての送信機40、50が同一間隔(T4)で信号を送信し続ける場合のみならず、図16(b)に示すように、各送信機40、50の信号の送信間隔が時間とともに変動する場合も含まれる。
【0120】
すなわち、図16(b)に示すように、各送信機40、50が、同じように送信間隔を変動させ、各送信機40、50の信号の送信開始タイミングのズレ(T5)が一定に保たれていればよい。なお、送信機40の送信間隔に連動して送信機50の送信間隔を変動させるには、送信機40を親機と見なして、送信機50を含む子機は、送信機40からの信号を受け取った後、即座に(もしくは所定時間経過後に)信号を送信するようにすると良い。そうすることで、親機の信号送信間隔に連動して子機の信号送信間隔も変動させることができる。
【0121】
なお、各送信機が送信する信号の周期を同一にする方法は、図15の例に限定されるものではなく、他の方法を用いてもよい。例えば、送信機30、40、50とは別に、周期調整用送信機を設置する。周期調整用送信機は、所定周期の周期調整信号を送信機30、40、50へ送信する。送信機30、40、50は、周期調整信号を受信し、周期調整信号の周期(周波数)に基づいて、基準クロック信号の周期(周波数)を調整し、周期が調整された基準クロック信号に基づいて、信号の周期を決定することができる。
【0122】
また、周期調整用送信機に代えて、GPS等を含むGNSS(Global Navigation Satellite System)衛星が送信する信号を受信し、受信した信号から基準発振周波数(例えば、約10MHz)の信号を抽出し、抽出した基準発振周波数の信号に基づいて、基準クロック信号の周期(周波数)を調整し、周期が調整された基準クロック信号に基づいて、信号の周期を決定することができる。
【0123】
送信機30、40、50が送信する信号の波形は、矩形波形に限定されるものではなく、正弦波形であってもよい。図17は正弦波形の信号を用いた場合の到達時間差の算出例を示す説明図である。図17は送信機30、50が送信する信号波形、及び送信機30、50からの信号を車載機20で受信した信号波形を示す。図17に示すように、送信機30、50それぞれは、同一周期の信号を送信する。
【0124】
この場合、第2通信部22は、位相検出器(不図示)を備え、送信機30、50が送信した信号を受信し、受信した各信号を位相検出器へ出力する。位相検出器は、各信号の位相差を検出し、これにより、簡便な構成で各信号の到達時間差ΔTを算出することができる。
【0125】
なお、上述の正弦波形の信号を送信する場合、信号を変調して送信することもできる。例えば、送信機30、40、50は、正弦波状の信号(例えば、周波数が10kHz)で搬送波(例えば、周波数が数百MHz)を変調(例えば、周波数変調)し、変調後の信号を送信する。車載機20は、受信した搬送波を復調して元の信号を取り出し、各信号の位相差に基づいて、到達時間差を取得することができる。
【0126】
実施の形態2
上述の実施の形態1では、測位用として送信機を3台用いる構成であったが、送信機の数は、3台に限定されるものではなく、4台以上用いる構成であってもよい。
【0127】
図18は実施の形態2の自車の走行位置を特定する例を示す説明図である。図18に示すように、実施の形態2では、光ビーコン10、車両に搭載された車載機20、道路付近の所定の位置に設置され、同一周期の信号を送信する送信機30、40、50、60などを備えている。実施の形態1との相違点は、送信機60を設けていることである。なお、送信機60の構成は、送信機30、40、50と同様であるので説明は省略する。以下、図18に従って、自車位置の特定方法を説明する。
【0128】
図18に示すように、車載機20は、道路上の所定の領域Rで自車位置(地点Aとする)を取得した後、自車が進行方向前方の所定位置(停止線P)に向かって走行を続け、走行地点Bで自車の位置を特定するものとする。また、送信機30の設置位置の座標を(X1、Y1、Z1)、送信機40の設置位置の座標を(X2、Y2、Z2)、送信機50の設置位置の座標を(X3、Y3、Z3)、送信機60設置位置の座標を(X4、Y4、Z4)とする。
【0129】
車載機20(制御部23)は、自車が道路上の所定の領域R内に存在するか否かを判定し、領域R内に自車が存在すると判定した場合、自車位置を取得する。取得した自車位置を地点Aとする。なお、自車が領域R内に存在するか否かの判定方法、自車位置の取得方法は、図6で説明したとおりである。
【0130】
車載機20は、自車位置を取得した地点Aから各送信機30、40、50、60までの距離を算出する。なお、図18に示すように、地点Aにおける車載機20の座標を(Xa、Ya、Za)とし、自車位置から送信機30、40、50、60までの距離をそれぞれLa1、La2、La3、La4とする。
【0131】
車載機20は、地点Aにおいて、各送信機30、40、50、60が送信した信号の到達時間差を取得する。なお、送信機30及び送信機40が送信した各信号の到達時間差をta12、送信機30及び送信機50が送信した各信号の到達時間差をta13、送信機30及び送信機60が送信した各信号の到達時間差をta14とする。
【0132】
車載機20は、各送信機30、40、50、60が送信する信号の同期ずれを算出する。送信機30及び送信機40が送信した各信号の周期の同期ずれをΔt12、送信機30及び送信機50が送信した各信号の周期の同期ずれをΔt13、送信機30及び送信機60が送信した各信号の周期の同期ずれをΔt14とすると、同期ずれは、式(7)を演算することにより算出することができる。ここで、αは電波の伝播速度である。
【0133】
【数3】

【0134】
車載機20は、その後、自車が走行を続け、地点Bに到達したとする。車載機20は、地点Bにおいて、各送信機30、40、50、60が送信した信号の到達時間差を取得する。なお、送信機30及び送信機40が送信した各信号の到達時間差をtb12、送信機30及び送信機50が送信した各信号の到達時間差をtb13、送信機30及び送信機60が送信した各信号の到達時間差をtb14とする。
【0135】
車載機20は、地点Bにおいて、地点Aで算出した同期ずれΔt12、Δt13、Δt14、地点Bで算出した到達時間差をtb12、tb13、tb14に基づいて、自車位置を特定する。自車位置の特定は、式(8)、及び式(9)に基づいて行うことができる。ここで、Lb1、Lb2、Lb3、Lb4は、それぞれ自車の位置である地点Bから送信機30、40、50、60までの距離であり、Xb、Yb、Zbは、それぞれ地点Bにおける車載機20の座標である。
【0136】
車載機20は、地点A、Bの座標、経過時間等に基づいて、自車の走行方位、速度を算出し、地点Aで算出した所定位置(停止線P)までの距離L3に基づいて、地点Bから所定位置までの距離を算出する。これにより、車両の走行ベクトルを正確に求めることができ、走行ベクトルから速度も正確に求めることができる。また、地点Aにおいて、自車が走行する車線番号が判れば、予め車線幅を記憶しておくことで、地点Bにおいて走行している車線番号を特定することも可能となる。
【0137】
これにより、すべての送信機30、40、50、60が送信する信号がお互いに同期していなくても、車両の位置を精度良く特定することができ、特に、道路上を走行する車両の位置を逐一高精度に追跡することができる。
【0138】
以上説明したように、本発明にあっては、一旦車両位置を取得した後は、その位置を起点として、車両が走行を続けた場合に、車両の位置を精度良く特定することができ、特に、道路上を走行する車両の位置を逐一高精度に追跡することができる。また、すべての送信機が送信する信号がお互いに同期していなくても、高精度に車両の位置を特定することが可能になる。また、自車の進行方向前方の所定位置までの距離を精度良く求めつつ所定位置に到達することができる。
【0139】
また、本発明にあっては、所要の周波数帯の搬送波を用いることにより、電波の所要の周波数帯を用いて信号を送受信することができる。また、信号の立ち上がり部分がマルチパスによる影響を受けることがなく、精度良く到達時間差を取得することができる。また、簡便な構成で信号の到達時間差を取得することができる。また、各送信機は、互いに同一周期の信号を送信することができる。
【0140】
上述の実施の形態では、送信機30〜60が信号を変調して送信し、車載機20では復調して元の信号を抽出し、各信号の到達時間差を算出する構成であったが、これに限定されるものではなく、送信機30〜60で、信号を直交周波数多重方式の周波数が異なる搬送波に割り当て、信号が割り当てられた搬送波を送信する。例えば、送信する信号に逆フーリエ変換して周波数の異なる少なくとも1つのサブキャリア(搬送波)に変換し、変換した信号をDA変換して送信機30〜60から車載機20に対して送信する。車載機20は、送信された搬送波をAD変換し、変換後の信号同士をパターンマッチングすることで各信号の到達時間差を取得する。これにより、他の帯域における通信との干渉を少なくしつつ周波数帯の利用効率を向上させることができる。
【0141】
上述の実施の形態では、光ビーコン10から位置情報等を車載機20へ送信する構成であったが、これに限定されるものではなく、送信機30〜60のいずれかが車載機20へ位置情報等を送信する構成とすることもできる。また、車載機20でGPS、地図データ等を備えておき、予め所要の位置情報を記憶しておく構成とすることもできる。この場合、光ビーコン10又は送信機30〜60から位置情報等を送信する必要はない。また、この場合には、制御部23が、第1通信部21でダウンリンク情報を受信した時点ta1において自車Cが領域R内に存在すると判定することができる。
【0142】
上述の実施の形態に示したように、道路形状情報については、領域Rの上流端(第1地点)から停止線P(第2地点)までの距離L1とする方法以外に、以下のような形式としても良い。例えば、領域Rの上流端から停止線Pまでの間に複数のノード(道路区間)を設定し、領域Rの上流端から該上流端に直近のノードまでの距離、各ノード間の距離、及び停止線Pに直近のノードから停止線までの距離それぞれを格納した形式とすることもできる。また、複数のノード間の距離は常に一定(例えば、20m)となるように設定した上で、ノード間の勾配又は曲率を格納する形式とすることもできる。すなわち、道路形状情報は、領域Rの上流端(第1地点)から停止線P(第2地点)までの距離を取得しうる形式であれば、どのような形式であっても良い。
【0143】
上述の発明により、走行中の自車の位置を精度良く特定することができるため、本発明を用いることにより、例えば、車載機で前方の信号機の表示情報を受信し、受信した表示情報に基づいて交差点の手前で安全に停止することができるか否か、あるいは、交差点を安全に通過することができるか否かを高精度に判定し、判定結果に応じて運転者に音声で注意を促すことができる。また、車載機で受信した信号機の表示情報に基づいて、交差点を安全に通過することができるか否かを高精度に判定し、判定結果に応じて車両のブレーキ制御を行うこともでき、交通事故を未然に防止して交通の安全性を高めることができる。
【0144】
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明に係る通信システムの概要を示す模式図である。
【図2】本発明に係る通信システムの構成を示すブロック図である。
【図3】光ビーコンと車載機との間の双方向通信を説明する説明図である。
【図4】信号の到達時間差の算出例を示す説明図である。
【図5】信号の到達時間差に基づいて自車位置を取得する例を示す説明図である。
【図6】自車位置を取得する場合の車載機の処理内容を示す説明図である。
【図7】自車の走行位置を特定する例を示す説明図である。
【図8】自車の走行位置を特定する処理手順を示すフローチャートである。
【図9】自車の走行位置を特定する処理手順を示すフローチャートである。
【図10】自車の走行位置を特定する処理手順を示すフローチャートである。
【図11】自車の走行位置を特定する処理手順を示すフローチャートである。
【図12】各送信機が送信する信号の同期ずれの例を示す説明図である。
【図13】各送信機が送信する信号の到達時間差の例を示す説明図である。
【図14】送信機が送信する信号の送信間隔の例を示す説明図である。
【図15】送信機が送信する信号の周期を同一にする方法の例を示す説明図である。
【図16】送信機が送信する信号の同一同期の例を示す説明図である。
【図17】正弦波形の信号を用いた場合の到達時間差の算出例を示す説明図である。
【図18】実施の形態2の自車の走行位置を特定する例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0146】
10 光ビーコン
11 通信部
12 制御部
13 端末通信部
14 記憶部
20 車載機
21 第1通信部
22 第2通信部
23 制御部
24 記憶部
25 表示部
26 操作部
30、40、50、60 送信機
31、41、51 通信部
32、42、52 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一周期の信号を送信する少なくとも3つの送信機と、該送信機が送信した信号を受信する車載機とを備える通信システムであって、
前記車載機は、
前記送信機の位置情報を記憶する手段と、
道路上の第1の地点への到達時に、前記送信機が送信した各信号の第1の到達時間差を取得する第1の時間差取得手段と、
前記第1の地点通過後の第2の地点への到達時に、前記送信機が送信した各信号の第2の到達時間差を取得する第2の時間差取得手段と、
前記送信機の位置情報、前記第1の地点に関する情報、前記第1の到達時間差及び第2の到達時間差に基づいて、前記第2の地点の自車位置を特定する特定手段と
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記第1の地点の情報は、
前記第1の地点の位置情報、該第1の地点から各送信機までの距離情報、該各送信機から前記第1の地点までの各信号の到達所要時間の情報及び前記各送信機が送信する各信号がそれぞれ同期している場合における前記各信号の前記第1地点までの到達時間差のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
同一周期の信号を送信する少なくとも3つの送信機と、該送信機が送信した信号を受信する車載機とを備える通信システムであって、
前記車載機は、
前記送信機の位置情報を記憶する手段と、
前記送信機が送信した各信号の到達時間差を取得する時間差取得手段と、
道路上の所定の領域で前記送信機が送信する信号の周期の同期ずれを算出する同期ずれ算出手段と、
自車の走行地点で取得した到達時間差、前記同期ずれ算出手段で算出した同期ずれ及び前記送信機の位置情報に基づいて、自車位置を特定する特定手段と
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項4】
前記車載機は、
前記領域で自車位置を取得する位置取得手段と、
該位置取得手段で取得した自車位置から各送信機までの距離を算出する第1算出手段と
を備え、
前記同期ずれ算出手段は、
前記自車位置で取得した到達時間差及び前記自車位置から各送信機までの距離に基づいて、前記送信機が送信する信号の同期ずれを算出するように構成してあることを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記領域内で前記車載機へ前記領域の位置に関する情報を送信する位置情報送信機を備え、
前記位置取得手段は、
前記位置情報送信機が送信した前記領域の位置に関する情報に基づいて自車位置を取得するように構成してあることを特徴とする請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記位置情報送信機は、
光ビーコンであることを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記車載機は、
前記領域の位置情報を記憶する手段と、
自車が前記領域内に存在するか否かを判定する判定手段と
を備え、
前記位置取得手段は、
前記判定手段で自車が前記領域内に存在すると判定した場合、前記領域及び送信機の位置情報並びに前記時間差取得手段で取得した到達時間差に基づいて自車位置を取得するように構成してあることを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の通信システム。
【請求項8】
前記車載機に対して所定の情報を送信する光ビーコンを備え、
前記車載機は、
前記情報を受信する受信手段を備え、
前記判定手段は、
前記光ビーコンから所定の情報を受信した場合、自車が前記領域内に存在すると判定するように構成してあることを特徴とする請求項7に記載の通信システム。
【請求項9】
前記位置取得手段は、
前記領域内の所定の第1地点に対する位置を取得するように構成してあり、
前記第1地点と前記領域よりも車両の進行方向下流側にある所定の第2地点との間の道路形状に関する道路形状情報を取得する道路形状情報取得手段と、
該道路形状情報取得手段で取得した道路形状情報及び前記位置取得手段で取得した位置に基づいて、自車位置から前記第2地点までの距離を算出する第2算出手段と
を備えることを特徴とする請求項4乃至請求項8のいずれかに記載の通信システム。
【請求項10】
前記道路形状情報は、前記第1地点と第2地点との間の道路を1又は複数の区間に分割した各区間についての距離、勾配及び曲率のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項9に記載の通信システム。
【請求項11】
前記送信機及び光ビーコンのうち少なくとも1つは、前記道路形状情報を車載機へ送信する送信手段を備え、
前記道路形状情報取得手段は、
前記道路形状情報を取得するように構成してあることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の通信システム。
【請求項12】
前記車載機は、
搭載位置の高さ情報を記憶する手段を備え、
前記特定手段は、
前記高さ情報に基づいて自車位置を特定するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の通信システム。
【請求項13】
前記送信機は、
信号を変調する変調手段を備え、
該変調手段で変調した信号を送信するように構成してあり、
前記車載機は、
受信した信号を復調する復調手段を備え、
前記時間差取得手段は、
前記復調手段で復調した信号に基づいて、各信号の到達時間差を取得するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の通信システム。
【請求項14】
前記送信機は、
信号を直交周波数多重方式の搬送波に割り当てる割当手段を備え、
該割当手段で信号が割り当てられた搬送波を送信するように構成してあり、
前記車載機は、
前記搬送波を受信する搬送波受信手段を備え、
前記時間差取得手段は、
受信した搬送波に基づいて、各信号の到達時間差を取得するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の通信システム。
【請求項15】
前記送信機は、
立ち上がりを有する信号を所定の間隔で送信するように構成してあり、
前記時間差取得手段は、
受信した各信号の立ち上がり時点に基づいて、各信号の到達時間差を取得するように構成してあることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の通信システム。
【請求項16】
前記送信機は、
交番波形の信号を送信するように構成してあり、
前記時間差取得手段は、
受信した各信号の位相差に基づいて、各信号の到達時間差を取得するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の通信システム。
【請求項17】
前記送信機は、
信号を変調する変調手段を備え、
該変調手段で変調した信号を送信するように構成してあり、
前記車載機は、
受信した信号を復調する復調手段を備え、
前記時間差取得手段は、
前記復調手段で復調した各信号の位相差に基づいて、各信号の到達時間差を取得するように構成してあることを特徴とする請求項16に記載の通信システム。
【請求項18】
前記送信機は、
所定の周期の基準周期信号を生成する生成手段と、
該生成手段で生成した基準周期信号に基づいて、信号の周期を決定する決定手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の通信システム。
【請求項19】
一の送信機は、
信号を他の送信機へ無線又は有線で送信するように構成してあり、
前記他の送信機は、
受信した信号に基づいて、前記生成手段で生成する基準周期信号の周期を調整する調整手段を備え、
前記決定手段は、
前記調整手段で周期が調整された基準周期信号に基づいて、信号の周期を決定するように構成してあることを特徴とする請求項18に記載の通信システム。
【請求項20】
所定周期の周期調整信号を送信する周期調整用送信機を備え、
前記送信機は、
前記周期調整用送信機が送信した周期調整信号を受信する受信手段と、
受信した周期調整信号に基づいて、前記生成手段で生成する基準周期信号の周期を調整する調整手段を備え、
前記決定手段は、
前記調整手段で周期が調整された基準周期信号に基づいて、信号の周期を決定するように構成してあることを特徴とする請求項18に記載の通信システム。
【請求項21】
前記送信機は、
GNSS衛星が送信した信号を受信する受信手段と、
受信した信号に基づいて、信号の周期を決定する決定手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の通信システム。
【請求項22】
前記特定手段により所定の時間間隔で特定した自車位置に基づいて、自車の走行方位及び走行速度の少なくとも1つを算出する走行値算出手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項21のいずれかに記載の通信システム。
【請求項23】
少なくとも3つの送信地点から送信された同一周期の信号を受信する車載機であって、
前記送信地点の位置情報を記憶する手段と、
道路上の第1の地点への到達時に、送信された各信号の第1の到達時間差を取得する第1の時間差取得手段と、
前記第1の地点通過後の第2の地点への到達時に、送信された各信号の第2の到達時間差を取得する第2の時間差取得手段と、
前記送信地点の位置情報、前記第1の地点に関する情報、前記第1の到達時間差及び第2の到達時間差に基づいて、前記第2の地点の自車位置を特定する特定手段と
を備えることを特徴とする車載機。
【請求項24】
前記第1の地点の情報は、
前記第1の地点の位置情報、該第1の地点から各送信地点までの距離情報、該各送信地点から前記第1の地点までの各信号の到達所要時間の情報及び前記各信号がそれぞれ同期している場合における前記各信号の前記第1の地点までの到達時間差のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項23に記載の車載機。
【請求項25】
少なくとも3つの送信地点から送信された同一周期の信号を受信する車載機であって、
前記送信地点の位置情報を記憶する手段と、
送信された各信号の到達時間差を取得する時間差取得手段と、
送信された信号の周期の同期ずれを道路上の所定の領域で算出する同期ずれ算出手段と、
自車の走行地点で取得した到達時間差、前記同期ずれ算出手段で算出した同期ずれ及び前記送信地点の位置情報に基づいて、自車位置を特定する特定手段と
を備えることを特徴とする車載機。
【請求項26】
請求項23乃至請求項25のいずれかに記載の車載機を備えることを特徴とする車両。
【請求項27】
互いに同一周期の信号を送信する送信機であって、
所定の周期の基準周期信号を生成する生成手段と、
他の送信機が送信した信号を受信する受信手段と、
該受信手段で受信した信号に基づいて、前記生成手段で生成する基準周期信号の周期を調整する調整手段と、
該調整手段で周期が調整された基準周期信号に基づいて、信号の周期を決定する決定手段と
を備えることを特徴とする送信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−216231(P2008−216231A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−104135(P2007−104135)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】