説明

通行物体管理システム

【課題】通行する物体を正確に管理する。
【解決手段】三次元形状測定装置100aが、通行路の入口を通過する物体の三次元形状と進行方向とを測定する。三次元形状測定装置100bが、通行路の出口を通過する物体の三次元形状と進行方向とを測定する。物体が通行路内に進入した場合、三次元形状測定装置100aが測定した三次元形状を、通路内物体形状記憶部220が記憶する。物体が通行路外へ退出した場合、三次元形状測定装置100bが測定した三次元形状と、通路内物体形状記憶部220が記憶した三次元形状とを、通過物体判定分240が比較して、同一物体であるか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通行路を通行する車両などの物体を管理するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路の入口や出口に設置されるETC(Electronic Toll Collection System)レーンにおいて、通過する車両を管理するため、車両を検出したり、車種を判別するシステムが存在する。
このようなシステムでは、例えば、透過型の光学センサを用いて、物体の通過による遮光を検知することにより、物体の通過を検知する。また、例えば、道路に埋め込んだ車軸センサを用いて、通過した物体が車両であるか否かや、車軸数などを検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−263698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
透過側の光学センサは、遮光の有無に基づいて物体の通過を検知するので、その物体が車両であるか否かまではわからない。
また、車軸センサは、道路に埋め込むため、設置コストが高くなる。
更に、二輪車の並走などを検出することもできない。
この発明は、例えば上記のような課題を解決するためになされたものであり、通行路内に存在する物体を正しく管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明にかかる通行物体管理システムは、
通行路を通行する物体を管理する通行物体管理システムにおいて、
上記通行物体管理システムは、入口三次元形状測定装置と、出口三次元形状測定装置と、通路内物体形状記憶装置と、通過物体判定装置と、通路内物体計数装置とを有し、
上記入口三次元形状測定装置は、上記通行路の入口を通過する物体の三次元形状と進行方向とを測定し、
上記出口三次元形状測定装置は、上記通行路の出口を通過する物体の三次元形状と進行方向とを測定し、
上記通路内物体形状記憶装置は、上記入口三次元形状測定装置が測定した物体の三次元形状と進行方向とに基づいて、上記物体が上記通行路内へ進入した場合に、上記通行路内へ進入した物体の三次元形状を記憶し、
上記通過物体判定装置は、上記出口三次元形状測定装置が測定した物体の三次元形状と進行方向とに基づいて、上記物体が上記通行路外へ退出した場合に、上記通行路外へ退出した物体の三次元形状と上記通路内物体形状記憶装置が記憶した三次元形状とを比較して、上記通行路内へ進入した物体と上記通行路外へ退出した物体とが同一物体であるか否かを判定し、
上記通路内物体計数装置は、上記通行路内に存在する物体の数を通路内物体数として記憶し、上記通路内物体形状記憶装置が上記通行路内へ進入した物体の三次元形状を記憶した場合に、記憶した通路内物体数を1つ増加させ、上記通過物体判定装置が同一物体であると判定した場合に、記憶した通路内物体数を1つ減少させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明にかかる通行物体管理システムによれば、入口三次元形状測定装置及び出口三次元形状測定装置が測定した三次元形状に基づいて、通行路内に進入した物体や通行路外へ退出した物体を管理し、通路内物体計数装置が通行路内に存在する物体の数を数えるので、通行路内に存在する物体を正しく管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施の形態1における通行車両管理システム800の外観の一例を示す斜視図。
【図2】実施の形態1における通行車両管理システム800の全体構成の一例を示すシステム構成図。
【図3】実施の形態1における三次元形状測定装置100の構成の一例を示すブロック構成図。
【図4】実施の形態1におけるセンサ装置110のブロック構成の一例を示すブロック構成図。
【図5】実施の形態1におけるセンサ装置110のうち放射光学系120の構造の一例を示す側面視断面図。
【図6】実施の形態1におけるセンサ装置110のうち受光光学系130の構造の一例を示す側面視断面図。
【図7】実施の形態1における三次元形状測定装置100aのセンサ装置110a〜110cの配置の一例を示す正面図。
【図8】実施の形態1における三次元形状測定装置100aのセンサ装置110a〜110cの配置の一例を示す正面図。
【図9】実施の形態1における物体形状算出装置150の構成の一例を示すブロック構成図。
【図10】実施の形態1における断面形状算出部151が算出する断面形状の一例を示す図。
【図11】実施の形態1における断面形状算出部151が算出する断面形状の一例を示す図。
【図12】実施の形態1における断面形状算出処理S610の流れの一例を示すフローチャート図。
【図13】実施の形態1における三次元形状算出処理S620の流れの一例を示すフローチャート図。
【図14】実施の形態1における車両判定部210の構成の一例を示すブロック構成図。
【図15】実施の形態1における三次元形状記憶部211が記憶する三次元形状の一例を示す図。
【図16】実施の形態1における三次元形状記憶部211が記憶する三次元形状の一例を示す図。
【図17】実施の形態1における三次元形状記憶部211が記憶する三次元形状の一例を示す図。
【図18】実施の形態1における車両判定処理S630の流れの一例を示すフローチャート図。
【図19】実施の形態1における入口管理処理S640の流れの一例を示すフローチャート図。
【図20】実施の形態1における出口管理処理S660の流れの一例を示すフローチャート図。
【図21】実施の形態2における通行車両管理システム800の外観の一例を示す斜視図。
【図22】実施の形態2における三次元形状測定装置100aのセンサ装置110a,110bの配置の一例を示す正面図。
【図23】実施の形態2における三次元形状測定装置100aのセンサ装置110a,110bの配置の一例を示す正面図。
【図24】実施の形態3における通行車両管理システム800の全体構成の一例を示すシステム構成図。
【図25】実施の形態3における料金区分算出部260の構成の一例を示すブロック構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
実施の形態1について、図1〜図20を用いて説明する。
【0009】
図1は、この実施の形態における通行車両管理システム800の外観の一例を示す斜視図である。
通行車両管理システム800(通行物体管理システム)は、通行路801を通行する車両を管理するシステムである。通行車両管理システム800は、通行路801のうち、管理範囲810内に存在する車両を管理する。なお、通行路801を通行する車両の進んでいく方向をz方向、z方向に対して右に垂直な方向をx方向、上方向をy方向と呼ぶ。また、それぞれの方向の逆方向は、頭に「−」を付けて表現する。すなわち、車両の進入してくる方向を「−z方向」、z方向に対して左に垂直な方向を「−x方向」、下方向を「−y方向」と呼ぶ。
通行路801の両脇には、島802が存在する。なお、通行路801の左側(−x方向)に位置する島を島802a、右側(x方向)に位置する島を島802bと呼ぶ。以下、同様に、同じ符号を付した要素が複数ある場合、符号の後ろにアルファベット小文字を付けて区別する場合がある。
島802は、車両が通行できないよう、通行路801よりも一段高くなっている。したがって、車両は、入口811もしくは出口812を通過して、管理範囲810内に進入したり、管理範囲810内から退出したりする。車両は、原則として、入口811(レーン流入口)から管理範囲810内に進入し、出口812(レーン流出口)から退出する。
島802の上には、4本の柱803、駆動装置410、遮断棒420が設けられている。4本の柱803には、合計6個のセンサ装置110が設けられている。
4本の柱803のうち、2本の柱803a,803bは、入口811の両脇に設けられている。左側の柱803aには、2つのセンサ装置110a,110cが設けられている。右側の柱803bには、1つのセンサ装置110bが設けられている。
残りの2本の柱803d,803eは、出口812の両脇に設けられている。左側の柱803dには、2つのセンサ装置110d,110fが設けられている。右側の柱803eには、1つのセンサ装置110eが設けられている。
遮断棒420は、出口812の先に設けられている。駆動装置410は、遮断棒420を開閉する。管理範囲810内に車両が存在しない場合、遮断棒420が閉じることにより出口812を遮断して、出口812から車両が逆向きに進入してくるのを防ぐ。
【0010】
図2は、この実施の形態における通行車両管理システム800の全体構成の一例を示すシステム構成図である。
通行車両管理システム800は、2つの三次元形状測定装置100、管理装置200、通信装置300、出口遮断装置400を有する。
【0011】
2つの三次元形状測定装置100(レーザ式車両検知器)は、通行路801を通行する物体の三次元形状と進行方向とを測定する。
三次元形状測定装置100a(入口三次元形状測定装置)は、入口811に設けられた3つのセンサ装置110a〜110cを有する。三次元形状測定装置100aは、3つのセンサ装置110a〜110cを用いて、入口811を通過する物体の三次元形状と進行方向とを測定する。以下、三次元形状測定装置100aが測定した三次元形状を、入口三次元形状と呼ぶ。
三次元形状測定装置100b(出口三次元形状測定装置)は、出口812に設けられた3つのセンサ装置110d〜110fを有する。三次元形状測定装置100bは、3つのセンサ装置110d〜110fを用いて、出口812を通過する物体の三次元形状と進行方向とを測定する。以下、三次元形状測定装置100bが測定した三次元形状を、出口三次元形状と呼ぶ。
【0012】
管理装置200は、2つの三次元形状測定装置100が測定した物体の三次元形状と進行方向とに基づいて、管理範囲810内に存在する車両を管理する。
管理装置200は、車両判定部210、通路内物体形状記憶部220、逆進物体判定部230、通過物体判定部240、通路内物体計数部250を有する。
【0013】
管理装置200は、例えばコンピュータである。管理装置200は、図示していない処理装置、記憶装置、入力装置、出力装置を有する。処理装置は、記憶装置が記憶したプログラムを実行することにより、データを処理し、コンピュータ全体を制御する。記憶装置は、処理装置が実行するプログラムや、処理装置が処理するデータを記憶する。入力装置は、コンピュータの外部から信号を入力し、入力した信号を、処理装置が処理できる形式のデータに変換する。入力装置が変換したデータは、処理装置が直接処理してもよいし、記憶装置が一時的に記憶してもよい。出力装置は、処理装置が処理したデータや記憶装置が記憶したデータを、コンピュータの外部に出力する信号の形式に変換して、変換した信号を外部に出力する。
この図に示した車両判定部210などのブロックの機能は、記憶装置が記憶したプログラムを処理装置が実行することにより実現される。なお、車両判定部210などのブロックのうちいくつかまたは全部の機能の一部または全部は、アナログ回路やデジタル回路などの電子回路やデバイスなどコンピュータ以外のハードウェアによって実現する構成であってよい。
【0014】
車両判定部210(車両判定装置)は、三次元形状測定装置100aが測定した物体の進行方向がz方向(すなわち管理範囲810内に物体が進入する方向)である場合、三次元形状測定装置100aが測定した入口三次元形状に基づいて、三次元形状測定装置100aが観測した物体が車両であるか否かを判定する。
例えば、車両判定部210は、入力装置を用いて、三次元形状測定装置100aが測定した物体の進行方向と入口三次元形状とを表わす信号を入力する。車両判定部210は、処理装置を用いて、入力した信号が表わす進行方向がz方向であるか−z方向であるかを判定する。進行方向がz方向である場合、車両判定部210は、処理装置を用いて、入力した信号が表わす入口三次元形状が、車両の形状であるか、人間など車両以外の物体の形状であるかを判定する。
なお、車両判定部210は、物体が車両であるか否かだけでなく、物体が車両である場合、車種や車長・車高・車幅・車軸数などを判定する構成であってもよい。
【0015】
通路内物体形状記憶部220(通路内物体形状記憶装置)は、三次元形状測定装置100aが観測した物体が車両であると車両判定部210が判定した場合、三次元形状測定装置100aが測定した入口三次元形状を、通路内物体形状として記憶する。例えば、通路内物体形状記憶部220は、記憶装置を用いて、入口三次元形状を表わすデータ(以下「入口三次元形状データ」と呼ぶ。)を、通路内物体形状を表わすデータ(以下「通路内物体形状データ」と呼ぶ。)として記憶する。
【0016】
逆進物体判定部230(逆進物体判定装置)は、三次元形状測定装置100aが測定した物体の進行方向が−z方向(すなわち管理範囲810から物体が逆走して出ていく方向)である場合、三次元形状測定装置100aが測定した入口三次元形状と一致する三次元形状が、通路内物体形状記憶部220が記憶した通路内物体形状のなかにあるか否かを判定する。すなわち、逆進物体判定部230は、管理範囲810から逆走して出ていった物体が、通路内物体形状記憶部220が通路内物体形状を記憶した物体のうちのどれかと同一物体であるか否かを判定する。
【0017】
例えば、逆進物体判定部230は、三次元形状測定装置100aが測定した物体の進行方向と入口三次元形状とを表わす信号を入力する。逆進物体判定部230は、処理装置を用いて、入力した信号が表わす進行方向がz方向であるか−z方向であるかを判定する。進行方向が−z方向である場合、逆進物体判定部230は、入力した信号が表わす入口三次元形状と、通路内物体形状記憶部220が記憶した通路内物体形状データが表わす通路内物体形状とに基づいて、処理装置を用いて、通路内物体形状と、入口三次元形状とを比較して、どの程度一致しているかを表わす一致度を算出する。逆進物体判定部230は、処理装置を用いて、算出した一致度のなかから、最も高い一致度を判定する。逆進物体判定部230は、処理装置を用いて、判定した一致度を所定の閾値と比較する。一致度が閾値以上である場合、逆進物体判定部230は、処理装置を用いて、その一致度に対応する通路内物体形状が、入口三次元形状と一致すると判定する。一致度が閾値未満である場合、逆進物体判定部230は、処理装置を用いて、通路内物体形状記憶部220が記憶した通路内物体形状のなかに、入口三次元形状と一致するものは存在しないと判定する。
【0018】
通路内物体形状記憶部220が記憶した通路内物体形状のなかに、三次元形状測定装置100aが測定した入口三次元形状と一致する三次元形状があると、逆進物体判定部230が判定した場合、その物体が管理範囲810内から逆走して出ていったことを意味する。通路内物体形状記憶部220は、逆進物体判定部230が判定した通路内物体形状を消去する。例えば、通路内物体形状記憶部220は、処理装置を用いて、記憶した通路内物体形状データのうち、逆進物体判定部230が判定した通路内物体形状を表わす通路内物体形状データを消去する。
【0019】
通過物体判定部240(通過物体判定装置)は、三次元形状測定装置100bが測定した物体の進行方向がz方向(すなわち管理範囲810から物体が出ていく方向)である場合、三次元形状測定装置100bが測定した出口三次元形状と一致する三次元形状が、通路内物体形状記憶部220が記憶した通路内物体形状のなかにあるか否かを判定する。すなわち、通過物体判定部240は、管理範囲810から出ていった物体が、通路内物体形状記憶部220が通路内物体形状を記憶した物体のうちのどれかと同一物体であるか否かを判定する。
例えば、通過物体判定部240は、三次元形状測定装置100bが測定した物体の進行方向と出口三次元形状とを表わす信号を入力する。通過物体判定部240は、処理装置を用いて、入力した信号が表わす進行方向がz方向であるか−z方向であるかを判定する。進行方向がz方向である場合、通過物体判定部240は、入力した信号が表わす出口三次元形状と、通路内物体形状記憶部220が記憶した通路内物体形状データが表わす通路内物体形状とに基づいて、処理装置を用いて、通路内物体形状と、出口三次元形状とを比較して、どの程度一致しているかを表わす一致度を算出する。通過物体判定部240は、処理装置を用いて、算出した一致度のなかから、最も高い一致度を判定する。通過物体判定部240は、処理装置を用いて、判定した一致度を所定の閾値と比較する。一致度が閾値以上である場合、通過物体判定部240は、処理装置を用いて、その一致度に対応する通路内物体形状が、出口三次元形状と一致すると判定する。一致度が閾値未満である場合、通過物体判定部240は、処理装置を用いて、通路内物体形状記憶部220が記憶した通路内物体形状のなかに、出口三次元形状と一致するものは存在しないと判定する。
【0020】
通路内物体形状記憶部220が記憶した通路内物体形状のなかに、三次元形状測定装置100bが測定した出口三次元形状と一致する三次元形状があると、通過物体判定部240が判定した場合、その物体が管理範囲810内から正常に出ていったことを意味する。通路内物体形状記憶部220は、通過物体判定部240が判定した通路内物体形状を消去する。例えば、通路内物体形状記憶部220は、処理装置を用いて、記憶した通路内物体形状データのうち、通過物体判定部240が判定した通路内物体形状を表わす通路内物体形状データを消去する。
【0021】
通路内物体計数部250(通路内物体計数装置)は、管理範囲810内に存在する車両の数を数える。
例えば、通路内物体計数部250は、記憶装置を用いて、管理範囲810内に存在する車両の数(以下「通路内物体数」と呼ぶ。)を表わすデータ(以下「通路内物体数データ」と呼ぶ。)を記憶する。三次元形状測定装置100aが観測した物体が車両であると車両判定部210が判定し、通路内物体形状記憶部220が通路内物体形状を記憶した場合、通路内物体計数部250は、処理装置を用いて、記憶した通路内物体数データが表わす数を1つ増加させる。逆に、逆進物体判定部230や通過物体判定部240の判定結果に基づいて、管理範囲810内から出て行った車両がある場合、通路内物体計数部250は、処理装置を用いて、記憶した通路内物体数データが表わす数を1つ減少させる。
【0022】
通信装置300(路側無線装置)は、管理装置200が管理している通路内物体数に基づいて、管理範囲810内に車両が存在する場合に、図示していないアンテナを介して、管理範囲810内の車両と通信する。例えば、通信装置300は、車両に搭載されたETC車載機と通信する。
【0023】
出口遮断装置400は、管理装置200が管理している通路内物体数に基づいて、遮断棒420を開閉する。出口遮断装置400は、駆動装置410、遮断棒420を有する。管理範囲810内に車両が存在する場合、駆動装置410が動作して、遮断棒420を開く。管理範囲810内に車両が存在しない場合、駆動装置410が動作して、遮断棒420を閉じる。
【0024】
図3は、この実施の形態における三次元形状測定装置100の構成の一例を示すブロック構成図である。
三次元形状測定装置100は、3つのセンサ装置110と、物体形状算出装置150(検出装置)と有する。
【0025】
センサ装置110(距離測定装置)は、レーザ光を放射する。センサ装置110が放射したレーザ光は、車両などの物体に当たって反射する。センサ装置110が放射したレーザ光が反射した地点を反射点と呼ぶ。センサ装置110が放射したレーザ光が反射点で反射して帰ってきたレーザ光を、反射レーザ光と呼ぶ。センサ装置110は、反射レーザ光を受光する。センサ装置110は、受光した反射レーザ光に基づいて、反射点までの距離を測定する。センサ装置110は、所定の面内でレーザ光を放射する方向を変化させる。センサ装置110がレーザ光を放射する面を、走査面と呼ぶ。センサ装置110は、走査面内の複数の反射点までの距離を測定する。センサ装置110は、レーザ光を放射した方向と、その方向の反射点までの距離とを表わす信号を出力する。
【0026】
物体形状算出装置150は、3つのセンサ装置が測定した結果に基づいて、通過した物体の三次元形状を算出する。
各センサ装置110の走査面は、あらかじめ決まっている。物体形状算出装置150は、各センサ装置110が測定した結果に基づいて、各センサ装置110について、通過した物体を走査面で切断した断面の二次元形状を算出する。物体形状算出装置150が算出した断面の二次元形状を、断面形状と呼ぶ。センサ装置110の前を物体が通過することにより、物体と走査面との位置関係が変化し、断面形状が変化する。物体形状算出装置150は、各時刻の測定結果に基づいて算出した断面形状を結合することにより、物体の三次元形状を算出する。
【0027】
図4は、この実施の形態におけるセンサ装置110のブロック構成の一例を示すブロック構成図である。
センサ装置110は、変調信号生成回路111、連続波変調光源(以下「CW光源112」と呼ぶ。)、走査信号生成回路113、方向算出回路114、長尺フォトダイオード(以下「長尺PD115」と呼ぶ。)、電流電圧変換器(以下「TIA116」と呼ぶ。)、位相検波回路117、距離算出回路118、放射光学系120、受光光学系130を有する。
【0028】
変調信号生成回路111は、正弦波の信号(以下「変調信号」と呼ぶ。)を生成する。変調信号生成回路111が生成する変調信号の周波数fは、例えば、10メガヘルツである。
CW光源112(放射装置)は、レーザ光を放射する。CW光源112が放射するレーザ光(以下「放射光」と呼ぶ。)の波長は、1.4マイクロメートル以上であり、例えば1.48マイクロメートルである。放射光の波長が1.4マイクロメートル以上であれば、日本工業規格(以下「JIS」と呼ぶ。)C6802「レーザ製品の安全基準」に定められたクラス1レーザ製品に対する安全基準において、10秒以上の露光に対して10ミリワットの出力が認められるなど、波長が1.4マイクロメートル未満の場合と比較して、放射光の出力を大きくすることができる。これにより、信号雑音比が改善するので、距離判定の精度が向上する。
また、CW光源112が放射する放射光は、変調信号生成回路111が生成した変調信号により連続波変調されている。連続波変調とは、パルス変調などの不連続な変調方式と異なり、放射光を連続して放射する変調方式である。連続波変調には、例えばレーザ光の強度を変調する強度変調方式がある。
例えば、時刻tにおける変調信号S(t)および放射光の強度A(t)は、次の式で表わされる。
【数11】

ただし、Sは、変調信号の振幅を表わし、0超1未満の実数である。φは、変調信号のt=0における位相を表わし、0以上2π未満の実数である。Aは、放射光の平均強度を表わし、0超の実数である。
【0029】
走査信号生成回路113は、CW光源112が放射した放射光の放射方向を指示する信号(以下「走査信号」と呼ぶ。)を生成する。
放射光学系120(走査装置)は、走査信号生成回路113が生成した走査信号にしたがって、CW光源112が放射した放射光の方向を曲げて、指示された放射方向に向かう光にする。
方向算出回路114は、走査信号生成回路113が生成した走査信号に基づいて、放射光の放射方向を算出する。方向算出回路114は、算出した放射方向を表わす信号(以下「方向信号」と呼ぶ。)を生成し、出力する。
放射光の放射方向は、例えば4ミリ秒を周期(以下「走査周期」と呼ぶ。)として1往復する。例えば、車両が時速80キロメートルで通過した場合、4ミリ秒の間に移動する距離は、約9センチメートルである。したがって、連続して通過する車両の間隔が50センチメートル程度であったとしても、通過した車両が1台であるか2台であるかを十分判別することができる。
【0030】
放射光学系120から放射された放射光は、反射物体に当たって反射する。反射物体に反射した反射光は、受光光学系130を介して、長尺PD115に入射する。
長尺PD115(受光装置)は、受光面が長尺状のフォトダイオードである。長尺PD115の受光面は、例えば、縦30ミリメートル×横1ミリメートルの長方形である。長尺PD115には、受光した位置にかかわらず、受光した光の強さに比例する電流が流れる。長尺PD115の受光面が長尺状であるため、受光側を走査させる必要がない。これにより、故障の原因となる機械的要素を減らすことができ、三次元形状測定装置100を長寿命化することができる。
TIA116は、長尺PD115を流れる電流を電圧(以下「受光電圧」と呼ぶ。)に変換する。
【0031】
位相検波回路117は、変調信号生成回路111が生成した変調信号と、TIA116が変換した受光電圧とに基づいて、変調信号と受光電圧との位相差を検出する。変調信号と受光電圧との位相差は、放射光が反射物体に当たって反射した反射光を受光するまでの遅延時間に対応するので、これに基づいて、反射物体までの距離を知ることができる。位相検波回路117は、検出した位相差を表わす信号を出力する。
【0032】
例えば、位相検波回路117は、帯域通過フィルタ(以下「BPF」と呼ぶ。)を用いて、受光電圧のうちから、変調信号の周波数fに近い周波数の成分だけを抽出し、他の周波数成分を除去する。抽出した信号(以下「受光信号」と呼ぶ。)をR(t)とすると、
【数12】

ただし、θは、受光信号のt=0における位相を表わし、0以上2π未満の実数である。なお、ここでは、ドップラー効果による周波数シフトを無視している。
【0033】
位相検波回路117は、変調信号S(t)と受光信号R(t)との積を算出する。
【数13】

【0034】
位相検波回路117は、低域通過フィルタ(以下「LPF」と呼ぶ。)を用いて、算出した積のうちから、変調信号の周波数fより高い周波数の成分を除去し、低周波成分(数13の第一項)だけを抽出する。位相検波回路117は、変調信号の振幅S0と受光信号の振幅R0との積を算出する。位相検波回路117は、抽出した信号を算出した積で割った商を表わす信号(以下「位相信号」と呼ぶ。)を生成する。位相検波回路117が生成する位相信号P(t)は、次の式で表わされる。
【数14】

【0035】
したがって、位相差θ−φが0以上π以下の範囲内であれば、位相検波回路117が生成する位相信号から、変調信号と受光信号との位相差を求めることができる。例えば、変調信号の周波数fが10メガヘルツの場合、位相差θ−φがπになるのは光路長が約15メートルのときだから、センサ装置110と反射物体との距離が約7.5メートル以下であれば、位相信号に基づいて反射物体までの距離を求めることができる。
【0036】
なお、位相検波回路117は、更に、変調信号を90度移相した信号と受光信号との積を算出する構成であってもよい。そうすれば、位相差θ−φが0以上2π未満の範囲内であれば、位相検波回路117が生成する位相信号から、変調信号と受光信号との位相差を求めることができる。
【0037】
距離算出回路118は、位相検波回路117が生成した位相信号に基づいて、光路長を算出し、反射物体までの距離を算出する。距離算出回路118は、算出した距離を表わす信号(以下「距離信号」と呼ぶ。)を生成し、出力する。
【0038】
図5は、この実施の形態におけるセンサ装置110のうち放射光学系120の構造の一例を示す側面視断面図である。
センサ装置110は、放射光学系120として、微細電子機械素子スキャナ(以下「MEMSスキャナ121」と呼ぶ。)、窓141を有する。
【0039】
MEMSスキャナ121は、半導体集積回路作製技術により、シリコン基板やその他の基板の上に形成された微細機械であり、例えば鏡と駆動部とを有する。鏡は、所定の軸を中心に角度を変えることができる。駆動部は、走査信号生成回路113から入力した走査信号に基づいて鏡を動かす。CW光源112が放射した放射光は、鏡に反射して、放射方向へ向かう。MEMSスキャナ121は、ポリゴンミラーなどと比較して、鏡を高速に動かすことができるので、高速走査が可能である。また、MEMSスキャナ121は、磨耗などによる故障が少なく、長寿命である。
MEMSスキャナ121の鏡は、例えば紙面に垂直な方向を軸として、例えば20度程度の範囲で回転する。したがって、MEMSスキャナ121が反射した放射光は、例えば40度程度の範囲内を一次元的に走査する。
窓141は、センサ装置110全体を覆うケース140に設けられている。窓141は、MEMSスキャナ121に反射して走査方向範囲へ向かう放射光を通すためのものであり、埃などの進入を防ぐため、ガラスなど透明の材料が嵌められている。
【0040】
この例において、センサ装置110が放射する放射光は、MEMSスキャナ121の鏡の位置を中心として、扇状の範囲を走査する。センサ装置110が放射する放射光の中心となる位置を「放射基点」と呼ぶ。
【0041】
図6は、この実施の形態におけるセンサ装置110のうち受光光学系130の構造の一例を示す側面視断面図である。
センサ装置110は、受光光学系130として、窓142、凸面鏡131を有する。
【0042】
放射光学系120と受光光学系130との間には、CW光源112が放射した放射光が長尺PD115に入射しないよう、図示していない遮光壁が設けられている。
窓142は、ケース140に設けられている。窓142は、反射物体に反射した反射光を通すためのものであり、埃などの進入を防ぐため、ガラスなど透明の材料が嵌められている。窓142は、走査方向範囲外からの光が長尺PD115に入射しないように遮光する構造を有している。窓142は、例えばスリット状である。
凸面鏡131は、窓142から入射した反射光を反射して、長尺PD115に入射させる。なお、凸面鏡131の代わりに、平面鏡や凹面鏡を用いてもよいし、窓142から入射した反射光を長尺PD115が直接受光する構成であってもよい。
【0043】
図7は、この実施の形態における三次元形状測定装置100aのセンサ装置110a〜110cの配置の一例を示す正面図である。
なお、三次元形状測定装置100bのセンサ装置110d〜110fの配置も同様である。
この図は、上空(y方向)から下方向(−y方向)を見下ろした図である。図上、左が−z方向(車両が進入してくる方向)であり、右がz方向(車両が進行する方向)である。
【0044】
通行路走査範囲501aは、センサ装置110aが放射する放射光が通行路801や島802に当たる範囲である。したがって、車両などがいない状態では、通行路801や島802が反射物体として放射光を反射する。通行路走査範囲501bは、センサ装置110bが放射する放射光が通行路801や島802に当たる範囲である。通行路走査範囲501cは、センサ装置110cが放射する放射光が通行路801や島802に当たる範囲である。
通行路801の幅(以下「通行路幅511」と呼ぶ。)は、例えば4メートルである。
通行路走査範囲501a,501b,501cは、互いにほぼ平行であり、車両進行方向に対してほぼ垂直である。通行路走査範囲501aと通行路走査範囲501bとの間の間隔(以下「進行方向位置差分513」と呼ぶ。)は、例えば50センチメートル以下であり、好ましくは15〜25センチメートルである。進行方向位置差分513は、車両のタイヤの直径(例えば60センチメートル)を基準として、それよりも短く設定する。
通行路走査範囲501cは、2つの通行路走査範囲501a,501bのほぼ中央に位置する。なお、通行路走査範囲501cは、2つの通行路走査範囲501a,501bのいずれかに近い位置であってもよい。変調信号の周波数fを、センサ装置110cと、センサ装置110aあるいはセンサ装置110bと異なる周波数に設定しておけば、他のセンサ装置110が放射した放射光が反射物体に反射した反射光を検出しても、位相検波回路117が除去できるので、反射物体までの距離を正しく算出できる。
通行路走査範囲501a,501b,501cは、通行路801の幅方向のほぼ全域をカバーする。
【0045】
図8は、この実施の形態における三次元形状測定装置100aのセンサ装置110a〜110cの配置の一例を示す正面図である。
この図は、−z方向(車両が進入してくる方向)からz方向(車両が進行する方向)を見た図であ。図上、左が−x方向(左方向)であり、右がx方向(右方向)である。
【0046】
センサ装置110aの放射基点502aおよびセンサ装置110bの放射基点502bの通行路801に対する高さ(以下「側部センサ高さ515」と呼ぶ。)は、例えば1メートルである。側部センサ高さ515は、車高が低い車両の車高(例えば2メートル)を基準として、それよりも低く設定する。なお、側部センサ高さ515は、センサ装置110aとセンサ装置110bとで異なっていてもよい。
車両進行方向に対して垂直に通行路801を横断する方向(x方向)において、センサ装置110aの放射基点502aとセンサ装置110bの放射基点502bとの間の距離(以下「横断方向位置差分514」と呼ぶ。)は、例えば、6メートルである。放射基点502aと放射基点502bとの間の実際の距離は、直角三角形の斜辺の長さとなるから、進行方向位置差分513が例えば50センチメートルであるとすると、約6.02メートルである。
センサ装置110cの放射基点502cの通行路801に対する高さ(以下「上部センサ高さ516」と呼ぶ。)は、例えば4.7メートルである。上部センサ高さ516は、車高を判定する閾値(例えば2メートル)を基準として、少なくとも、その閾値よりも車高が低い車両の車高を測定できる高さに設定する。
【0047】
走査面503aは、センサ装置110aが放射する放射光が当たる範囲を表わす平面である。走査面503aは、センサ装置110aの放射基点502aを頂点とし、通行路801の側、水平より下に例えば10度から40度ほどの範囲である。
走査面503bは、センサ装置110bが放射する放射光が当たる範囲を表わす平面である。走査面503bは、センサ装置110bの放射基点502bを頂点とし、通行路801の側、水平より下に例えば10度から40度ほどの範囲である。
走査面503cは、センサ装置110cが放射する放射光が当たる範囲を表わす平面である。走査面503cは、センサ装置110cの放射基点502cを頂点とし、水平より下に例えば40度から80度ほどの範囲である。
【0048】
図9は、この実施の形態における物体形状算出装置150の構成の一例を示すブロック構成図である。
物体形状算出装置150は、断面形状算出部151、断面形状記憶部152、断面形状照合部153、移動量算出部154、三次元形状算出部155を有する。
【0049】
物体形状算出装置150は、例えばコンピュータである。物体形状算出装置150は、図示していない処理装置、記憶装置、入力装置、出力装置を有する。処理装置は、記憶装置が記憶したプログラムを実行することにより、データを処理し、コンピュータ全体を制御する。記憶装置は、処理装置が実行するプログラムや、処理装置が処理するデータを記憶する。入力装置は、コンピュータの外部から信号を入力し、入力した信号を、処理装置が処理できる形式のデータに変換する。入力装置が変換したデータは、処理装置が直接処理してもよいし、記憶装置が一時的に記憶してもよい。出力装置は、処理装置が処理したデータや記憶装置が記憶したデータを、コンピュータの外部に出力する信号の形式に変換して、変換した信号を外部に出力する。
この図に示した断面形状算出部151などのブロックの機能は、記憶装置が記憶したプログラムを処理装置が実行することにより実現される。なお、断面形状算出部151などのブロックのうちいくつかまたは全部の機能の一部または全部は、アナログ回路やデジタル回路などの電子回路やデバイスなどコンピュータ以外のハードウェアによって実現する構成であってよい。
【0050】
断面形状算出部151(断面形状算出装置)は、3つのセンサ装置110それぞれについて、センサ装置110が測定した反射点までの距離に基づいて、断面形状を算出する。
例えば、断面形状算出部151は、入力装置を用いて、センサ装置110が出力した信号を入力する。断面形状算出部151は、センサ装置110が出力した信号を入力した時刻に基づいて、処理装置を用いて、センサ装置110が距離を測定した時刻を算出する。なお、センサ装置110が距離を測定した時刻からセンサ装置110が信号を出力した時刻までの遅延時間はほぼ一定であるから、断面形状算出部151は、センサ装置110が出力した信号を入力した時刻を、センサ装置110が距離を測定した時刻とみなす構成であってもよい。あるいは、センサ装置110が、測定時刻と方向と距離とを表わす信号を出力し、断面形状算出部151は、入力した信号が表わす測定時刻を取得する構成であってもよい。
断面形状算出部151は、処理装置を用いて、入力した信号が表わす方向及び距離によって表わされる反射点の座標を変換して、そのセンサ装置110の放射基点502を原点とする三次元直交座標系における座標(以下「相対座標」と呼ぶ。)を算出する。記憶装置は、あらかじめ、所定の点を原点とする各センサ装置110の絶対位置を表わす三次元直交座標系における座標(以下「絶対座標」と呼ぶ。)を記憶している。断面形状算出部151は、記憶した各センサ装置110の絶対位置を表わす絶対座標に基づいて、処理装置を用いて、算出した相対座標を変換して、反射点の絶対座標を算出する。断面形状算出部151は、センサ装置110が放射するレーザ光の走査方向が一巡するまでの間、記憶装置を用いて、測定時刻と、算出した時刻算出した反射点の絶対座標とを表わすデータを蓄積する。断面形状算出部151は、蓄積したデータ(複数の反射点の絶対座標を表わすデータの集合)を、断面形状を表わすデータ(以下「断面形状データ」と呼ぶ。)とする。
【0051】
断面形状記憶部152は、断面形状算出部151が算出した断面形状を記憶する。例えば、断面形状記憶部152は、記憶装置を用いて、断面形状算出部151が生成した断面形状データを記憶する。
【0052】
断面形状照合部153は、断面形状記憶部152が記憶した断面形状同士を照合して、どの程度一致しているかを判定する。例えば、断面形状照合部153は、処理装置を用いて、断面形状記憶部152が記憶した断面形状データのなかから、2つの断面形状データを選択する。断面形状照合部153は、処理装置を用いて、選択した2つの断面形状データを比較して、どの程度一致しているかを表わす一致度を算出する。
なお、異なるセンサ装置110が測定した距離に基づく断面形状を比較する場合、センサ装置110が走査する範囲が異なるので、断面形状照合部153は、断面形状のうち、センサ装置110が走査する範囲が重なる部分を比較する。
【0053】
移動量算出部154は、断面形状照合部153の判定結果に基づいて、物体の移動量を算出する。
例えば、移動量算出部154は、断面形状照合部153が算出した一致度に基づいて、処理装置を用いて、センサ装置110aの測定結果に基づく断面形状と、センサ装置110cの測定結果に基づく断面形状との間で、最も一致度が高い2つの断面形状の組を判定する。これが物体の同じ断面における断面形状であるとすると、センサ装置110aが測定した測定時刻からセンサ装置110cが測定した測定時刻までの間に、物体がセンサ装置110aの走査面503aとセンサ装置110cの走査面503cとの間の距離を移動したことになる。移動量算出部154は、処理装置を用いて、2つの時刻の差を算出する。移動量算出部154は、走査面503aと走査面503cとの間の距離を、算出した時刻の差で割った商を算出することにより、物体の移動速度(移動量)を求める。
【0054】
三次元形状算出部155(三次元形状算出装置)は、移動量算出部154が算出した移動量に基づいて、断面形状記憶部152が記憶した断面形状を結合して、物体の三次元形状を算出する。
例えば、三次元形状算出部155は、移動量算出部154が算出した移動量に基づいて、処理装置を用いて、断面形状記憶部152が記憶した断面形状データが表わす反射点の絶対座標を変換して、移動する物体とともに原点が移動する三次元座標系における座標(以下「物体系座標」と呼ぶ。)を算出する。物体系座標は、移動する物体とともに原点が移動するので、異なる時刻に観測された断面形状を、測定時刻にかかわらず、重ね合わせることができる。三次元形状算出部155は、記憶装置を用いて、変換した物体系座標を表わすデータを蓄積する。三次元形状算出部155は、蓄積したデータ(複数の物体系座標を表わすデータの集合)を、物体の三次元形状を表わすデータ(以下「三次元形状データ」と呼ぶ。)とする。
なお、三次元形状算出部155は、算出した三次元形状の連続性に基づいて、各物体ごとの三次元形状を算出する。三次元形状算出部155が算出した三次元形状が互いに連続していない複数の部分に分かれている場合、それぞれの部分が一つの物体であると考えられる。三次元形状算出部155は、算出した三次元形状が連続していない複数の部分に分かれている場合、算出した三次元形状をそれぞれの部分に分割し、各物体ごとの三次元形状とする。
【0055】
図10は、この実施の形態における断面形状算出部151が算出する断面形状の一例を示す図である。
断面形状521aは、センサ装置110aの観測結果に基づいて断面形状算出部151が検出する断面形状である。断面形状521bは、センサ装置110bの観測結果に基づいて断面形状算出部151が算出する断面形状である。断面形状521cは、センサ装置110cの観測結果に基づいて断面形状算出部151が算出する断面形状である。
なお、断面形状521は実線で表わす。また、二点鎖線は、走査面503の外であったり他の反射物体などの陰に隠れていたりするなどの原因によりセンサ装置110から見えず、断面形状521として検出されない部分の形状を表わす。以降の図についても同様である。
【0056】
この例において、反射物体は、通行路801や島802だけであり、車両やその他の物体は、3つの走査面503a,503b,503cのいずれをも通過していない。このときの断面形状を表わす断面形状データを路面断面形状データとして記憶装置が記憶しておく。断面形状算出部151は、算出した断面形状のうち、路面断面形状データが表わす断面形状と異なる部分のみを抽出して、物体の断面形状とする。路面断面形状データは、記憶装置があらかじめ記憶しておく構成であってもよいし、断面形状算出部151が検出した断面形状のなかから路面断面形状を判定し、判定した路面断面形状を表わす路面断面形状データを記憶装置が記憶する構成であってもよい。路面断面形状には動きがないという特徴があるので、例えば、断面形状算出部151は、所定の時間より長い時間の間、断面形状に動きがない場合に、その断面形状が路面断面形状であると判定する。
【0057】
図11は、この実施の形態における断面形状算出部151が算出する断面形状の一例を示す図である。
この例では、乗用車がセンサ装置110a〜110cの前を通過する様子を時系列順に示す。
【0058】
時刻tにおいて、センサ装置110aの観測に基づく断面形状521aが路面断面形状と異なる形状になる。センサ装置110bの観測に基づく断面形状521b、及び、センサ装置110cの観測に基づく断面形状521cには、変化がないことから、物体が−z方向から進入してきたことがわかる。
【0059】
時刻tにおいて、断面形状521cも路面断面形状と異なる形状になる。断面形状照合部153は、時刻tにおける断面形状521cと、時刻tにおける断面形状521aとを比較し、ほぼ一致していると判定する。移動量算出部154は、断面形状照合部153の判定結果に基づいて、時刻tから時刻tまでの間に、物体が走査面503aから走査面503cまでの距離の分だけ移動したと判定する。三次元形状算出部155は、移動量算出部154の判定結果に基づいて、時刻tにおける断面形状521a〜521cと、時刻tにおける断面形状521a〜521cとを結合して、三次元形状を算出する。
【0060】
時刻tにおいて、断面形状521bも路面断面形状と異なる形状になる。断面形状照合部153は、時刻tにおける断面形状521cを、時刻t及び時刻tにおける断面形状521aと比較して、時刻tにおける断面形状521aのほうがよりよく一致すると判定する。移動量算出部154は、断面形状照合部153の判定結果に基づいて、時刻tから時刻tまでの間に、物体が走査面503aから走査面503cまでの距離の分だけ移動したと判定する。三次元形状算出部155は、移動量算出部154の判定結果に基づいて、算出した三次元形状に、時刻tにおける断面形状521a〜521cを更に結合する。
【0061】
三次元形状算出部155は、以下、同様にして、三次元形状を算出する。
【0062】
なお、物体の断面形状にあまり変化がない場合など、断面形状の照合だけでは、物体の移動量を正確に算出できない場合がある。その場合、移動量算出部154は、例えば、物体の先端が走査面503aに差しかかった時刻(この例ではt)、走査面503cに差しかかった時刻(この例ではt)、走査面503bに差しかかった時刻(この例ではt)に基づいて、物体の移動速度を算出する。物体の移動速度はそれほど急激には変化しないので、移動量算出部154は、物体の移動速度が一定であると仮定し、断面形状照合部153が照合した結果がその仮定に矛盾しない限りは、その仮定に基づいて、物体の移動量を算出する構成であってもよい。
【0063】
また、この例において、センサ装置110a,110cは、通行路801の左側に位置し、主に物体の左側側面を観測するのに対し、センサ装置110bは、通行路801の右側に位置し、主に物体の右側側面を観測するため、センサ装置110bの観測に基づく断面形状521bと、センサ装置110aやセンサ装置110cの観測に基づく断面形状521a,521cとの照合はしていない。しかし、車両などは、通常、左右がほぼ対称な形状をしているので、そのことを利用し、断面形状照合部153は、断面形状521bを左右反転させた上で、断面形状521aや断面形状521cと照合する構成であってもよい。
【0064】
また、断面形状の照合に加え、物体検出の開始や終了、車軸検出など特殊なイベントが起きたことを判定して、その時刻差に基づいて、移動量算出部154が物体の移動量を算出する構成であってもよい。例えば、移動量算出部154は、断面形状521aにおいて、物体検出が開始した時刻(この例ではt)を算出する。同様に、移動量算出部154は、断面形状521cにおける物体検出の開始時刻(t)、断面形状521bにおける物体検出の開始時刻(t)を算出する。移動量算出部154は、算出した物体検出の開始時刻に基づいて、物体の移動量を算出する。
車両は、通常、タイヤの部分だけが路面に接触していて、それ以外の部分は路面から離れているので、断面形状521を分析することにより、車軸位置を検出できる。例えば、断面形状521aを分析することにより、時刻tにおいて車軸が走査面503aの前にあることがわかる。移動量算出部154は、断面形状521aにおける車軸検出時刻(t)、断面形状521bにおける車軸検出時刻(t)を算出する。移動量算出部154は、算出した車軸検出時刻に基づいて、物体の移動量を算出する。
【0065】
図12は、この実施の形態における断面形状算出処理S610の流れの一例を示すフローチャート図である。
断面形状算出処理S610において、断面形状算出部151は、断面形状521を算出する。
断面形状算出処理S610は、距離方向入力工程S611、相対座標算出工程S612、絶対座標算出工程S613、絶対座標記憶工程S614、走査一巡判定工程S615、断面形状出力工程S616、絶対座標消去工程S617を有する。
【0066】
距離方向入力工程S611において、断面形状算出部151は、入力装置を用いて、いずれかのセンサ装置110が出力した信号を入力し、そのセンサ装置110が測定した反射点の方向と距離との組を取得する。
【0067】
相対座標算出工程S612において、断面形状算出部151は、処理装置を用いて、距離方向入力工程S611で取得した反射点の方向と距離とを変換して、そのセンサ装置110の放射基点502を原点とする相対座標を算出する。
【0068】
絶対座標算出工程S613において、断面形状算出部151は、そのセンサ装置110の放射基点502の絶対座標と、相対座標算出工程S612で算出した相対座標とに基づいて、処理装置を用いて、反射点の絶対座標を算出する。
【0069】
絶対座標記憶工程S614において、断面形状算出部151は、記憶装置を用いて、絶対座標算出工程S613で算出した反射点の絶対座標を蓄積して記憶する。
【0070】
走査一巡判定工程S615において、断面形状算出部151は、距離方向入力工程S611で取得した方向に基づいて、処理装置を用いて、センサ装置110の走査方向が一巡したか否かを判定する。
走査方向が一巡した場合、一回の走査が完了したことになる。断面形状算出部151は、処理装置を用いて、断面形状出力工程S616へ進む。
走査方向が一巡していない場合、断面形状算出部151は、処理装置を用いて、距離方向入力工程S611に戻り、次の信号を入力する。
【0071】
断面形状出力工程S616において、断面形状算出部151は、処理装置を用いて、絶対座標記憶工程S614で蓄積して記憶した反射点の絶対座標を、断面形状521として出力する。
断面形状記憶部152は、処理装置を用いて、断面形状算出部151が出力した断面形状521を入力する。断面形状記憶部152は、記憶装置を用いて、入力した断面形状521を記憶する。
【0072】
絶対座標消去工程S617において、断面形状算出部151は、処理装置を用いて、新しい断面形状521を算出するための準備として、絶対座標記憶工程S614で蓄積して記憶した反射点の絶対座標を消去する。
断面形状算出部151は、処理装置を用いて、距離方向入力工程S611に戻り、次の信号を入力する。
【0073】
図13は、この実施の形態における三次元形状算出処理S620の流れの一例を示すフローチャート図である。
三次元形状算出処理S620において、物体形状算出装置150は、物体の三次元形状を算出する。
三次元形状算出処理S620は、第三断面形状選択工程S621、第一断面形状選択工程S622、断面形状照合工程S623、移動量算出工程S624、座標系変換工程S625、断面形状記憶工程S626、独立形状判定工程S627、三次元形状出力工程S628、独立形状消去工程S629を有する。
【0074】
第三断面形状選択工程S621において、断面形状照合部153は、処理装置を用いて、断面形状記憶部152が記憶した断面形状521のうち、センサ装置110cの観測に基づく断面形状521cのなかから、まだ選択していない断面形状521cを一つ選択する。
断面形状521cがすべて選択済であり、まだ選択していない断面形状521cがない場合、断面形状照合部153は、断面形状算出部151が新たな断面形状521cを算出するのを待って、断面形状記憶部152が新たに記憶した断面形状521cを選択する。
【0075】
第一断面形状選択工程S622において、断面形状照合部153は、処理装置を用いて、断面形状記憶部152が記憶した断面形状521のうち、センサ装置110aの観測に基づく断面形状521aのなかから、まだ選択していない断面形状521aを一つ選択する。
断面形状521aがすべて選択済であり、まだ選択していない断面形状521aがない場合、断面形状照合部153は、処理装置を用いて、移動量算出工程S624へ進む。
まだ選択していない断面形状521aがあり、断面形状521を選択した場合、断面形状照合部153は、処理装置を用いて、断面形状照合工程S623へ進む。
なお、断面形状照合部153は、第三断面形状選択工程S621で選択した断面形状521cの観測時刻と、移動量算出部154が算出した移動量とに基づいて、断面形状521cと照合する断面形状521aの観測時刻の範囲を絞り込む構成であってもよい。
【0076】
断面形状照合工程S623において、断面形状照合部153は、処理装置を用いて、第三断面形状選択工程S621で選択した断面形状521cと、第一断面形状選択工程S622で選択した断面形状521aとを比較して、一致度を算出する。断面形状照合部153は、記憶装置を用いて、第一断面形状選択工程S622で選択した断面形状521aと対応づけて、算出した一致度を記憶する。
断面形状照合部153は、処理装置を用いて、第一断面形状選択工程S622に戻り、次の断面形状521aを選択する。
【0077】
移動量算出工程S624において、移動量算出部154は、断面形状照合工程S623で断面形状照合部153が記憶した一致度に基づいて、処理装置を用いて、第三断面形状選択工程S621で選択した断面形状521cと一致する断面形状521aを判定する。例えば、移動量算出部154は、断面形状照合部153が記憶した一致度のなかから、最も高い一致度を判定する。移動量算出部154は、判定した一致度を所定の閾値と比較する。一致度が閾値以上である場合、移動量算出部154は、その一致度が対応づけられた断面形状521aが、断面形状521cと一致すると判定する。一致度が閾値未満である場合、移動量算出部154は、断面形状521cと一致する断面形状521aがないと判定する。
移動量算出部154は、判定した結果に基づいて、処理装置を用いて、物体の移動量を算出する。
【0078】
座標系変換工程S625において、三次元形状算出部155は、移動量算出工程S624で移動量算出部154が算出した移動量に基づいて、処理装置を用いて、断面形状記憶部152が記憶した断面形状521を構成する反射点の絶対座標を変換して、物体系座標を算出する。
【0079】
断面形状記憶工程S626において、三次元形状算出部155は、記憶装置を用いて、座標系変換工程S625で算出した反射点の物体系座標を、三次元形状として記憶する。
【0080】
独立形状判定工程S627において、三次元形状算出部155は、断面形状記憶工程S626で記憶した三次元形状を構成する反射点の物体系座標に基づいて、処理装置を用いて、まだ観測されていない部分と連続していない独立した部分があるか否かを判定する。
独立した部分がある場合、その部分に対応する物体の三次元形状の観測が終わったことになる。三次元形状算出部155は、処理装置を用いて、三次元形状出力工程S628へ進む。
独立した部分がない場合、三次元形状算出部155は、処理装置を用いて、第三断面形状選択工程S621に戻り、次の断面形状521cを選択する。
【0081】
三次元形状出力工程S628において、三次元形状算出部155は、処理装置を用いて、記憶した三次元形状のうち、独立形状判定工程S627で独立した部分であると判定した部分の三次元形状を出力する。
【0082】
独立形状消去工程S629において、三次元形状算出部155は、処理装置を用いて、記憶した三次元形状のうち、三次元形状出力工程S628で出力した部分の三次元形状を消去する。
三次元形状算出部155は、処理装置を用いて、第三断面形状選択工程S621に戻り、次の断面形状521cを選択する。
【0083】
なお、三次元形状算出部155は、三次元形状の観測が終わり三次元形状が独立するのを待つのではなく、三次元形状の先頭から所定の長さの位置までの観測が終わった段階で、三次元形状を出力する構成であってもよい。
【0084】
図14は、この実施の形態における車両判定部210の構成の一例を示すブロック構成図である。
車両判定部210(人車分離判定部)は、三次元形状記憶部211、三次元形状照合部212、種別判定部213を有する。
【0085】
三次元形状記憶部211は、あらかじめ、複数の物体の三次元形状を記憶している。三次元形状記憶部211が三次元形状を記憶する物体には、少なくとも車両と車両以外の物体との双方が含まれる。車両といっても、車種により大きく形状が異なる場合があるから、三次元形状記憶部211は、例えば、二輪車の形状、乗用車の形状、トラックの形状、バスの形状など、なるべく多くの種類の車両の三次元形状を記憶していることが望ましい。また、車両以外の物体といっても、いろいろなものが存在するから、三次元形状記憶部211は、例えば、複数のポーズの人間の形状など、センサ装置110が観測する可能性のある車両以外の物体について、なるべく多くの種類の物体の形状を、記憶していることが望ましい。
また、三次元形状記憶部211は、記憶した三次元形状それぞれに対応づけて、その三次元形状が車両の形状であるか否かを記憶している。なお、三次元形状記憶部211は、その三次元形状が車両の形状であるか否かだけでなく、車種などその物体の種類を記憶する構成であってもよい。
例えば、三次元形状記憶部211は、記憶装置を用いて、物体の三次元形状を表わすデータ(以下「照合形状データ」と呼ぶ。)と、その物体の種類を表わすデータ(以下「種別データ」と呼ぶ。)との組を記憶する。
【0086】
三次元形状照合部212は、センサ装置110aが観測した入口三次元形状を、三次元形状記憶部211が記憶した複数の物体の三次元形状と比較して、最もよく一致する三次元形状を判定する。
例えば、三次元形状照合部212は、入力装置を用いて、三次元形状測定装置100aが測定した入口三次元形状を表わす信号を入力する。三次元形状照合部212は、処理装置を用いて、入力した信号が表わす入口三次元形状と、三次元形状記憶部211が記憶した照合形状データが表わす三次元形状とを比較して、どの程度一致するかを表わす一致度を算出する。三次元形状照合部212は、処理装置を用いて、算出した一致度のなかから、最も高い一致度を判定する。三次元形状照合部212は、判定した一致度に対応する照合形状データが表わす三次元形状が、入口三次元形状に最もよく一致すると判定する。
【0087】
種別判定部213は、三次元形状照合部212が判定した結果に基づいて、入口三次元形状が車両の形状であるか否かを判定する。
例えば、種別判定部213は、三次元形状照合部212が判定した結果に基づいて、処理装置を用いて、三次元形状記憶部211が記憶した種別データのなかから、三次元形状照合部212が最もよく一致すると判定した三次元形状に対応づけられた種別データを取得する。種別判定部213は、処理装置を用いて、取得した種別データを、入口三次元形状が車両の形状であるか否かを表わすデータとして出力する。
【0088】
図15は、この実施の形態における三次元形状記憶部211が記憶する三次元形状の一例を示す図である。
実線531a,532aは、三次元形状記憶部211がトラックの形状として記憶した三次元形状の一部を示す。実線531aは、三次元形状記憶部211が記憶した三次元形状をxy平面(車両の進行方向に対して垂直な面)によって切断した断面の一部を示す。実線532aは、三次元形状記憶部211が記憶した三次元形状をyz平面(車両の進行方向に対して平行な鉛直面)によって切断した断面の一部を示す。
【0089】
図16は、この実施の形態における三次元形状記憶部211が記憶する三次元形状の一例を示す図である。
実線531b,532bは、三次元形状記憶部211が二輪車の形状として記憶した三次元形状の一部を示す。
【0090】
図17は、この実施の形態における三次元形状記憶部211が記憶する三次元形状の一例を示す図である。
実線531c,532cは、三次元形状記憶部211が人間の形状として記憶した三次元形状の一部を示す。
【0091】
なお、車両判定部210を管理装置200内ではなく、三次元形状測定装置100内に設ける構成であってもよい。その場合、例えば、三次元形状測定装置100は、車両判定部210の判定結果にしたがって、検出した物体が車両であると判定した場合のみ、三次元形状を出力する。
【0092】
図18は、この実施の形態における車両判定処理S630の流れの一例を示すフローチャート図である。
車両判定処理S630において、車両判定部210は、入口三次元形状が車両の形状であるか否かを判定する。
車両判定処理S630は、三次元形状入力工程S631、照合形状選択工程S632、三次元形状照合工程S633、種別判定工程S634を有する。
【0093】
三次元形状入力工程S631において、三次元形状照合部212は、入力装置を用いて、三次元形状測定装置100aが測定した入口三次元形状を入力する。
【0094】
照合形状選択工程S632において、三次元形状照合部212は、処理装置を用いて、三次元形状記憶部211が記憶した三次元形状のなかから、まだ選択していない三次元形状を一つ選択する。
三次元形状記憶部211が記憶した三次元形状がすべて選択済であり、まだ選択していない三次元形状がない場合、三次元形状照合部212は、処理装置を用いて、種別判定工程S634へ進む。
まだ選択していない三次元形状があり、三次元形状を選択した場合、三次元形状照合部212は、三次元形状照合工程S633へ進む。
【0095】
三次元形状照合工程S633において、三次元形状照合部212は、処理装置を用いて、三次元形状入力工程S631で入力した入口三次元形状と、照合形状選択工程S632で選択した三次元形状とを比較して、一致度を算出する。三次元形状照合部212は、記憶装置を用いて、算出した一致度を、照合形状選択工程S632で選択した三次元形状に対応づけて記憶する。
三次元形状照合部212は、照合形状選択工程S632に戻り、次の三次元形状を選択する。
【0096】
種別判定工程S634において、三次元形状照合部212は、処理装置を用いて、三次元形状照合工程S633で記憶した一致度のなかから、最も高い一致度を判定する。三次元形状照合部212は、処理装置を用いて、判定した一致度に対応づけられた三次元形状について、三次元形状記憶部211が記憶した種別データを取得する。三次元形状照合部212は、処理装置を用いて、取得した種別データを出力する。
【0097】
図19は、この実施の形態における入口管理処理S640の流れの一例を示すフローチャート図である。
入口管理処理S640において、管理装置200は、管理範囲810の入口811を通過する車両を管理する。
入口管理処理S640は、入口三次元形状入力工程S641、移動方向判定工程S642、車両判定工程S643、通路内物体形状記憶工程S644、通路内物体数増加工程S645、通路内物体形状選択工程S651、三次元形状照合工程S652、同一物体判定工程S653、通路内物体形状消去工程S654、通路内物体数減少工程S655を有する。
【0098】
入口三次元形状入力工程S641において、車両判定部210は、入力装置を用いて、三次元形状測定装置100aが測定した入口三次元形状と移動方向とを入力する。
【0099】
移動方向判定工程S642において、車両判定部210は、入口三次元形状入力工程S641で入力した移動方向に基づいて、処理装置を用いて、三次元形状測定装置100aが検出した物体の移動方向が順方向(z方向)か逆方向(−z方向)かを判定する。
移動方向が順方向である場合、車両判定部210は、処理装置を用いて、車両判定工程S643へ進む。
移動方向が逆方向である場合、車両判定部210は、処理装置を用いて、通路内物体形状選択工程S651へ進む。
【0100】
車両判定工程S643において、車両判定部210は、処理装置を用いて、車両判定処理S630を実行して、三次元形状測定装置100aが検出した物体が車両であるか否かを判定する。
物体が車両である場合、車両判定部210は、処理装置を用いて、通路内物体形状記憶工程S644へ進む。
物体が車両でない場合、車両判定部210は、処理装置を用いて、入口管理処理S640を終了する。
【0101】
通路内物体形状記憶工程S644において、通路内物体形状記憶部220は、記憶装置を用いて、入口三次元形状入力工程S641で車両判定部210が入力した入口三次元形状を通路内物体形状として記憶する。
【0102】
通路内物体数増加工程S645において、通路内物体計数部250は、処理装置を用いて、記憶した通路内物体数を1増加させる。通路内物体計数部250は、記憶装置を用いて、増加した通路内物体数を記憶する。
通路内物体計数部250は、処理装置を用いて、入口管理処理S640を終了する。
【0103】
通路内物体形状選択工程S651において、逆進物体判定部230は、処理装置を用いて、通路内物体形状記憶部220が記憶した通路内物体形状のなかから、まだ選択していない通路内物体形状を1つ選択する。
通路内物体形状記憶部220が記憶した通路内物体形状がすべて選択済であり、まだ選択していない通路内物体形状がない場合、逆進物体判定部230は、処理装置を用いて、同一物体判定工程S653へ進む。
まだ選択していない通路内物体形状があり、通路内物体形状を選択した場合、逆進物体判定部230は、処理装置を用いて、三次元形状照合工程S652へ進む。
【0104】
三次元形状照合工程S652において、逆進物体判定部230は、処理装置を用いて、入口三次元形状入力工程S641で車両判定部210が入力した入口三次元形状と、通路内物体形状選択工程S651で選択した通路内物体形状とを比較して、一致度を算出する。逆進物体判定部230は、記憶装置を用いて、算出した一致度を、通路内物体形状選択工程S651で選択した通路内物体形状と対応づけて記憶する。
逆進物体判定部230は、処理装置を用いて、通路内物体形状選択工程S651に戻り、次の通路内物体形状を選択する。
【0105】
同一物体判定工程S653において、逆進物体判定部230は、三次元形状照合工程S652で記憶した一致度に基づいて、処理装置を用いて、最も高い一致度を判定する。逆進物体判定部230は、処理装置を用いて、判定した一致度を所定の閾値と比較する。
一致度が閾値未満である場合、入口三次元形状と一致する通路内物体形状が存在しないものとして、逆進物体判定部230は、処理装置を用いて、入口管理処理S640を終了する。
一致度が閾値以上である場合、その一致度に対応づけれられた通路内物体形状が、入口三次元形状と一致したものとして、逆進物体判定部230は、処理装置を用いて、通路内物体形状消去工程S654へ進む。
【0106】
通路内物体形状消去工程S654において、通路内物体形状記憶部220は、同一物体判定工程S653で逆進物体判定部230が判定した一致度に基づいて、処理装置を用いて、記憶した通路内物体形状のなかから、その一致度に対応づけれられた通路内物体形状を消去する。
【0107】
通路内物体数減少工程S655において、通路内物体計数部250は、処理装置を用いて、記憶した通路内物体数を1減少させる。通路内物体計数部250は、記憶装置を用いて、減少した通路内物体数を記憶する。
通路内物体計数部250は、処理装置を用いて、入口管理処理S640を終了する。
【0108】
図20は、この実施の形態における出口管理処理S660の流れの一例を示すフローチャート図である。
出口管理処理S660において、管理装置200は、管理範囲810の出口812を通過する車両を管理する。
出口管理処理S660は、出口三次元形状入力工程S661、移動方向判定工程S662、車両判定工程S663、通路内物体形状記憶工程S664、通路内物体数増加工程S665、通路内物体形状選択工程S671、三次元形状照合工程S672、同一物体判定工程S673、通路内物体形状消去工程S674、通路内物体数減少工程S675を有する。
【0109】
出口三次元形状入力工程S661において、通過物体判定部240は、入力装置を用いて、三次元形状測定装置100bが測定した出口三次元形状と移動方向とを入力する。
【0110】
移動方向判定工程S662において、通過物体判定部240は、出口三次元形状入力工程S661で入力した移動方向に基づいて、処理装置を用いて、三次元形状測定装置100bが検出した物体の移動方向が順方向(z方向)か逆方向(−z方向)かを判定する。
移動方向が順方向である場合、通過物体判定部240は、処理装置を用いて、通路内物体形状選択工程S671へ進む。
移動方向が逆方向である場合、通過物体判定部240は、処理装置を用いて、車両判定工程S663へ進む。
【0111】
車両判定工程S663において、車両判定部210は、処理装置を用いて、車両判定処理S630を実行して、三次元形状測定装置100bが検出した物体が車両であるか否かを判定する。
物体が車両である場合、車両判定部210は、処理装置を用いて、通路内物体形状記憶工程S664へ進む。
物体が車両でない場合、車両判定部210は、処理装置を用いて、出口管理処理S660を終了する。
【0112】
通路内物体形状記憶工程S664において、通路内物体形状記憶部220は、記憶装置を用いて、出口三次元形状入力工程S661で通過物体判定部240が入力した出口三次元形状を通路内物体形状として記憶する。
【0113】
通路内物体数増加工程S665において、通路内物体計数部250は、処理装置を用いて、記憶した通路内物体数を1増加させる。通路内物体計数部250は、記憶装置を用いて、増加した通路内物体数を記憶する。
通路内物体計数部250は、処理装置を用いて、出口管理処理S660を終了する。
【0114】
なお、出口812の側から車両が逆走して進入してくることがあり得ない場合は、車両判定工程S663〜通路内物体数増加工程S665の処理はなくてもよい。その場合、移動方向判定工程S662で移動方向が逆方向であると判定した場合、通過物体判定部240は、処理装置を用いて、出口管理処理S660を終了する。
【0115】
通路内物体形状選択工程S671において、通過物体判定部240は、処理装置を用いて、通路内物体形状記憶部220が記憶した通路内物体形状のなかから、まだ選択していない通路内物体形状を1つ選択する。
通路内物体形状記憶部220が記憶した通路内物体形状がすべて選択済であり、まだ選択していない通路内物体形状がない場合、通過物体判定部240は、処理装置を用いて、同一物体判定工程S673へ進む。
まだ選択していない通路内物体形状があり、通路内物体形状を選択した場合、通過物体判定部240は、処理装置を用いて、三次元形状照合工程S672へ進む。
【0116】
三次元形状照合工程S672において、通過物体判定部240は、処理装置を用いて、出口三次元形状入力工程S661で通過物体判定部240が入力した出口三次元形状と、通路内物体形状選択工程S671で選択した通路内物体形状とを比較して、一致度を算出する。通過物体判定部240は、記憶装置を用いて、算出した一致度を、通路内物体形状選択工程S671で選択した通路内物体形状と対応づけて記憶する。
通過物体判定部240は、処理装置を用いて、通路内物体形状選択工程S671に戻り、次の通路内物体形状を選択する。
【0117】
同一物体判定工程S673において、通過物体判定部240は、三次元形状照合工程S672で記憶した一致度に基づいて、処理装置を用いて、最も高い一致度を判定する。通過物体判定部240は、処理装置を用いて、判定した一致度を所定の閾値と比較する。
一致度が閾値未満である場合、出口三次元形状と一致する通路内物体形状が存在しないものとして、通過物体判定部240は、処理装置を用いて、出口管理処理S660を終了する。
一致度が閾値以上である場合、その一致度に対応づけれられた通路内物体形状が、出口三次元形状と一致したものとして、通過物体判定部240は、処理装置を用いて、通路内物体形状消去工程S674へ進む。
【0118】
通路内物体形状消去工程S674において、通路内物体形状記憶部220は、同一物体判定工程S673で通過物体判定部240が判定した一致度に基づいて、処理装置を用いて、記憶した通路内物体形状のなかから、その一致度に対応づけれられた通路内物体形状を消去する。
【0119】
通路内物体数減少工程S675において、通路内物体計数部250は、処理装置を用いて、記憶した通路内物体数を1減少させる。通路内物体計数部250は、記憶装置を用いて、減少した通路内物体数を記憶する。
通路内物体計数部250は、処理装置を用いて、出口管理処理S660を終了する。
【0120】
以上説明した通行車両管理システム800は、例えば、有料道路の入口や出口に設けられるETCレーンに設置される。
レーザ式車両検知器(三次元形状測定装置100)をETCレーンの流入口(入口811)と流出口(出口812)に配置する。レーザ式車両検知器は、通過する物体の連続した二次元形状を測定することにより、物体の三次元形状を測定する。通行車両管理システム800は、レーザ式車両検知器が測定した三次元形状を使って、通過する車両の三次元形状パターン情報を含めた車両管理を行う。
【0121】
レーザ式車両検知器は、ETCレーンなどに配置される。レーザ式車両検知器は、レーンに進入する物体の三次元形状パターンを測定し、物体の車両識別を行う。
三次元形状パターンは、複数のセンサ装置110が多角的に測定した連続する二次元形状に基づいて、検出装置(物体形状算出装置150)が算出する。
検出装置は、算出した三次元形状から、検出した物体が単独であるか複数であるかを判断する。
検出装置(車両判定部210)は、検出した物体すべてに対して、算出した三次元形状の幅・長さ・高さなどの情報に基づいて、その物体が車両であるか否かを判断する。
検出装置は、センサで得られた物体形状を、あらかじめ記憶したパターン(三次元形状)と比較して、その物体が、乗用車であるか、二輪車であるか、人であるかなどを判断する。
【0122】
通行車両管理システム800は、レーザ式車両検知器が計測した三次元形状パターンから、ETCレーンを通過中の車両の位置・大きさ・挙動などの情報を算出する。これにより、正確な車両管理をすることができる。
また、透過型の車両検知器などと異なり、車両と、人や動物・ゴミ・虫など車両以外の物体とを判別することができるので、誤検知や車両管理ズレを防止することができる。レーザ式車両検知器は、三次元形状を計測できるだけでなく、ビームが細いので物体の細かい特徴を把握することができる。これにより、検出ターゲットの大きさに依存せず、車両・人・動物・ゴミ・虫などを区別することができる。
また、複数の人が通過した場合などであっても、車両でないことを正しく判定することができる。
また、二輪車が並走している場合でも、車両を正しく計数することができる。
また、ETCレーン内に滞在している車両がバックしてETCレーンを抜けた場合でも、そのことを正しく判定し、車両を正しく計数することができる。
【0123】
実施の形態2.
実施の形態2について、図21〜図23を用いて説明する。
なお、実施の形態1と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0124】
図21は、この実施の形態における通行車両管理システム800の外観の一例を示す斜視図である。
三次元形状測定装置100aは、実施の形態1よりも1つ少ない2つのセンサ装置110a,110bを有する。三次元形状測定装置100bも同様に、2つのセンサ装置110d,110eを有する。4つのセンサ装置110a,110b,110d,110eは、実施の形態1よりも高い位置に設けらている。
【0125】
図22は、この実施の形態における三次元形状測定装置100aのセンサ装置110a,110bの配置の一例を示す正面図である。
この図に示すように、センサ装置110a,110bのxz平面(水平面)上における配置は、実施の形態1と同様である。
【0126】
図23は、この実施の形態における三次元形状測定装置100aのセンサ装置110a,110bの配置の一例を示す正面図である。
この図に示すように、センサ装置110a,110bが設置される高さは、実施の形態1で説明したセンサ装置110cが設置される高さとほぼ同じである。これにより、センサ装置110a,110bは、車両の側面の形状だけでなく、車両の屋根の形状も測定する。
【0127】
三次元形状測定装置100bにおけるセンサ装置110d,110eの配置も、三次元形状測定装置100aと同様である。なお、三次元形状測定装置100aの構成と、三次元形状測定装置100bの構成とが異なっていてもよい。
【0128】
このように、センサ装置110a,110bの配置位置を高くして、1つのセンサ装置110が車両の側面の形状と屋根の形状との両方を測定できるようにする。これにより、センサ装置110cが不要となり、三次元形状測定装置100の製造コストを抑えることができる。
【0129】
なお、センサ装置110a,110bの配置位置を高くすることにより、車両の側面下部との間の距離が遠くなり分解能が低下するので、例えば、車軸を検出する車軸センサと併用する構成としてもよい。
【0130】
実施の形態3.
実施の形態3について、図24〜図25を用いて説明する。
なお、実施の形態1と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0131】
この実施の形態では、通行車両管理システム800が有料道路の入口や出口などに設けられる場合において、通行する車両の料金区分を判定する構成について説明する。
【0132】
図24は、この実施の形態における通行車両管理システム800の全体構成の一例を示すシステム構成図である。
管理装置200は、実施の形態1で説明した構成に加えて、料金区分算出部260を有する。
【0133】
車両判定部210は、三次元形状測定装置100aが測定した入口三次元形状が車両の形状であるか否かだけでなく、車両の形状である場合、その車両が乗用車であるか、トラックであるか、バスであるか、二輪車であるかなど、その車両の種別を判定する。
【0134】
料金区分算出部260は、入口三次元形状が車両の形状であると車両判定部210が判定した場合、三次元形状測定装置100aが測定した入口三次元形状と、車両判定部210が判定した車両の種別とに基づいて、その車両の料金区分を算出する。
【0135】
通路内物体形状記憶部220は、記憶した車両の通路内物体形状に対応づけて、その車両の料金区分を記憶する。
【0136】
通信装置300は、車両が搭載した車載器と通信して、料金区分算出部260が算出した料金区分を、車載器に書き込む。また、通信装置300は、車載器と通信して、車載器が記憶した車種に関する情報を取得する。通信装置300は、取得した車種に関する情報と、通路内物体形状記憶部220が記憶した料金区分とを照合して、矛盾がないかを判定する。矛盾があると判定した場合、通信装置300は、車載器と通信して、車載器が記憶した車種に関する情報を書き換える。
【0137】
図25は、この実施の形態における料金区分算出部260の構成の一例を示すブロック構成図である。
料金区分算出部260は、車軸数計数部261、車幅算出部262、車高算出部263、車長算出部264、料金区分判定部265を有する。
【0138】
車軸数計数部261は、三次元形状測定装置100aが測定した入口三次元形状に基づいて、車両の車軸の数(車軸数)を数える。
車幅算出部262は、三次元形状測定装置100aが測定した入口三次元形状に基づいて、車両の幅(車幅)を算出する。
車高算出部263は、三次元形状測定装置100aが測定した入口三次元形状に基づいて、車両の高さ(車高)を算出する。
車長算出部264は、三次元形状測定装置100aが測定した入口三次元形状に基づいて、車両の長さ(車長)を算出する。
料金区分判定部265は、車両判定部210が判定した種別と、車軸数計数部261が数えた車軸数と、車幅算出部262が算出した車幅と、車高算出部263が算出した車高と、車長算出部264が算出した車長とに基づいて、その車両の料金区分を判定する。
【0139】
このように、三次元形状測定装置100aが測定した三次元形状に基づいて、車軸数・車幅・車高・車長など、車両の料金区分を算出するために必要な情報を得る。これにより、少ない数のセンサで、料金区分を正しく判定することができる。
【0140】
レーザ式車両検知器a(三次元形状測定装置100a)は、レーン流入口(入口811)に配置されている。レーザ式車両検知器aは、レーン(管理範囲810)に進入する物体の三次元形状パターンを測定する。物体が車両であると判断した場合、車両情報(三次元形状パターンや軸数など)を路側無線装置(通信装置300)に送信する。三次元形状パターンは、複数のセンサ装置110により多角的に測定された連続する二次元形状に基づいて、検出装置(物体形状算出装置150)が算出する。検出装置(車両判定部210)は、算出した三次元形状に基づいて、検出した物体が車両であるか否かを判断する。また、料金区分算出部260は、検出した物体が車両である場合、その軸数や車幅、車高、車長を算出して、車両情報を得る。また、三次元形状から二輪車の並走を検知した場合、別々の車両として三次元形状や軸数などを路側無線装置に送信する。また、レーザ式車両検知器aは、車両の前進と後進を判断することができる。
【0141】
路側無線装置(通信装置300)は、車両情報を受信すると、アンテナと車両との通信を行う。通信結果から得られる車両情報とレーザ式車両検知器aから得られる車両情報とを関連付けて、メモリ(記憶装置)の車両管理テーブル(通路内物体形状記憶部220)に登録する。二輪車が並走していた場合、レーザ式車両検知器aは二つの物体と判定するので、通信装置300は、両方の車両と確実に通信を行い、別々に車両管理テーブルに登録する。
入口料金所において、通信結果から得られた車種情報とレーザ式車両検知器aから得られた軸数情報とで矛盾(軸数が3以上なのに車種が軽自動車となっている場合など)があり、なおかつその他条件を満たす場合はランクアップ処理(車載器に正しい車種情報を書き込み、出口料金所で正しい車種で処理する)を行う。また、レーザ式車両検知器aで逆方向(−z方向)に車両が退出したら、その車両は後進車両(逆進車両)と判断し、通路内物体計数部250は、車両台数のカウントを戻す。また、少なくとも1台の車両が車両管理領域に進入したこと(バックで戻った車両は進入なしとする)を判断すると、出口遮断装置400は、レーザ式車両検知器bの後流に配置された遮断棒420を上げる。
【0142】
レーザ式車両検知器b(三次元形状測定装置100b)は、レーン流出口(出口812)に配置されている。レーザ式車両検知器bは、レーンから流出する物体の三次元形状パターンを測定する。物体が車両であると判断した場合、車両情報(三次元形状パターンや軸数)を路側無線装置に送信する。三次元形状パターンは、複数のセンサ装置110により多角的に測定された連続する二次元形状に基づいて、検出装置(物体形状算出装置150)が算出する。検出装置(車両判定部210)は、算出した三次元形状をもとに検出した物体が車両であるか否かを判断する。料金区分算出部260は、車両であればその軸数や車幅、車高、車長を算出して、車両情報を得る。また、三次元形状から二輪車の並走を検知した場合、別々の車両として三次元形状や軸数を路側無線装置に送信する。
【0143】
路側無線装置(通過物体判定部240)は、車両情報を受信すると、テーブル(通路内物体形状記憶部220)に登録されている車両情報の三次元形状パターンと合致する車両を検索し、合致した車両をレーンを通過したものとしてテーブルから削除する。二輪車の場合、レーン上での追い越しの可能性があるが、三次元形状に基づいて一致する車両を判定するので、車両管理ズレを防ぐことができる。また、パターンマッチングにより、車両を同定することができるので、レーンに進入した後、車両管理領域で留まっている車両についても正確に判断することができる。レーンにおける車両管理領域(管理範囲810)内の全車両の退出を判断すると、出口遮断装置400は、レーザ式車両検知器bの後流に配置された遮断棒420を下げる。
【0144】
以上のように、レーザ式車両検知器(三次元形状測定装置100)が計測した三次元形状パターンに基づいて、車軸数・車幅・車高・車長など、車両の料金区分を算出するために必要な情報を得ることができる。したがって、道路埋め込み式の車軸数センサなどを設ける必要がない。これにより、敷設工事が容易となり、施工や保守にかかるコストを削減することができる。
【符号の説明】
【0145】
100 三次元形状測定装置、110 センサ装置、111 変調信号生成回路、112 CW光源、113 走査信号生成回路、114 方向算出回路、115 長尺PD、116 TIA、117 位相検波回路、118 距離算出回路、120 放射光学系、121 MEMSスキャナ、130 受光光学系、131 凸面鏡、140 ケース、141,142 窓、150 物体形状算出装置、151 断面形状算出部、152 断面形状記憶部、153 断面形状照合部、154 移動量算出部、155 三次元形状算出部、200 管理装置、210 車両判定部、211 三次元形状記憶部、212 三次元形状照合部、213 種別判定部、220 通路内物体形状記憶部、230 逆進物体判定部、240 通過物体判定部、250 通路内物体計数部、260 料金区分算出部、261 車軸数計数部、262 車幅算出部、263 車高算出部、264 車長算出部、265 料金区分判定部、300 通信装置、400 出口遮断装置、410 駆動装置、420 遮断棒、501 通行路走査範囲、502 放射基点、503 走査面、511 通行路幅、513 進行方向位置差分、514 横断方向位置差分、515 側部センサ高さ、516 上部センサ高さ、521 断面形状、531,532 実線、800 通行車両管理システム、801 通行路、802 島、803 柱、810 管理範囲、811 入口、812 出口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通行路を通行する物体を管理する通行物体管理システムにおいて、
上記通行物体管理システムは、入口三次元形状測定装置と、出口三次元形状測定装置と、通路内物体形状記憶装置と、通過物体判定装置と、通路内物体計数装置とを有し、
上記入口三次元形状測定装置は、上記通行路の入口を通過する物体の三次元形状と進行方向とを測定し、
上記出口三次元形状測定装置は、上記通行路の出口を通過する物体の三次元形状と進行方向とを測定し、
上記通路内物体形状記憶装置は、上記入口三次元形状測定装置が測定した物体の三次元形状と進行方向とに基づいて、上記物体が上記通行路内へ進入した場合に、上記通行路内へ進入した物体の三次元形状を記憶し、
上記通過物体判定装置は、上記出口三次元形状測定装置が測定した物体の三次元形状と進行方向とに基づいて、上記物体が上記通行路外へ退出した場合に、上記通行路外へ退出した物体の三次元形状と上記通路内物体形状記憶装置が記憶した三次元形状とを比較して、上記通行路内へ進入した物体と上記通行路外へ退出した物体とが同一物体であるか否かを判定し、
上記通路内物体計数装置は、上記通行路内に存在する物体の数を通路内物体数として記憶し、上記通路内物体形状記憶装置が上記通行路内へ進入した物体の三次元形状を記憶した場合に、記憶した通路内物体数を1つ増加させ、上記通過物体判定装置が同一物体であると判定した場合に、記憶した通路内物体数を1つ減少させることを特徴とする通行物体管理システム。
【請求項2】
上記入口三次元形状測定装置及び上記出口三次元形状測定装置は、複数の距離測定装置と、断面形状算出装置と、三次元形状算出装置とを有し、
上記複数の距離測定装置は、互いに異なる位置に配置され、
上記複数の距離測定装置のそれぞれは、レーザ光を放射し、放射したレーザ光が上記物体に当たって反射した反射レーザ光を受光することにより、上記物体が上記レーザ光を反射した反射点までの距離を測定し、放射するレーザ光の方向を所定の面内で変化させることにより、複数の反射点までの距離を測定し、
上記断面形状算出装置は、上記複数の距離測定装置それぞれについて、上記距離測定装置が測定した複数の反射点までの距離に基づいて、上記距離測定装置がレーザ光を放射した面による上記物体の断面形状を算出し、
上記三次元形状算出装置は、上記断面形状算出装置が上記複数の距離測定装置について算出した複数の断面形状に基づいて、上記物体の三次元形状を算出することを特徴とする請求項1に記載の通行物体管理システム。
【請求項3】
上記断面形状算出装置は、上記複数の距離測定装置それぞれについて、上記物体の移動に伴って変化する複数の断面形状を算出し、
上記三次元形状算出装置は、上記断面形状算出装置が算出した複数の断面形状について、上記距離測定装置が距離を測定した時刻の間における上記物体の移動量を算出し、算出した移動量に基づいて、上記物体の三次元形状を算出することを特徴とする請求項2に記載の通行物体管理システム。
【請求項4】
上記通行物体管理システムは、更に、逆進物体判定装置を有し、
上記逆進物体判定装置は、上記入口三次元形状測定装置が測定した物体の三次元形状と進行方向とに基づいて、上記物体が上記通行路外へ退出した場合に、上記通行路外へ退出した物体の三次元形状と上記通路内物体形状記憶装置が記憶した三次元形状とを比較して、上記通行路内へ進入した物体と上記通行路外へ退出した物体とが同一物体であるか否かを判定し、
上記通路内物体計数装置は、上記逆進物体判定装置が同一物体であると判定した場合に、記憶した通路内物体数を1つ減少させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の通行物体管理システム。
【請求項5】
上記通行物体管理システムは、更に、車両判定装置を有し、
上記車両判定装置は、上記入口三次元形状測定装置が測定した物体の三次元形状と進行方向とに基づいて、上記物体が上記通行路内へ進入した場合に、上記通行路内へ進入した物体が車両であるか否かを判定し、
上記通路内物体形状記憶装置は、上記車両判定装置が車両であると判定した場合に、上記通行路内へ進入した物体の三次元形状を記憶することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の通行物体管理システム。
【請求項6】
上記通行物体管理システムは、更に、出口遮断装置を有し、
上記出口遮断装置は、上記通路内物体計数装置が計数した通路内物体数に基づいて、通路内物体数が0である場合に、上記通行路の出口を遮断することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の通行物体管理システム。
【請求項7】
上記通行物体管理システムは、更に、通信装置を有し、
上記通信装置は、上記通路内物体計数装置が計数した通路内物体数に基づいて、通路内物体数が1以上である場合に、上記通行路内に存在する物体と通信することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の通行物体管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−186525(P2011−186525A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47898(P2010−47898)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】