運転支援システム、運転支援方法及びコンピュータプログラム
【課題】車両の現在位置周辺に霧が発生しているか否かを正確に判定することが可能な運転支援システム、運転支援方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】車両が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点以外に位置するにもかかわらず、ヘッドライトが点灯している場合であって、且つワイパが作動中でない場合には、所定条件を満たした上で霧が発生していると判定し、霧が発生していると判定したリンク区間の始点と終点の位置座標をプローブ情報としてプローブセンタ2へと送信し、プローブ情報を受信したプローブセンタ2は、受信したプローブ情報に基づいて霧区間及び霧エリアを特定し、特定された霧区間及び霧エリアに関する情報をプローブセンタ2から配信された車両3は、霧区間及び霧エリアに基づいて運転支援を行うように構成する。
【解決手段】車両が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点以外に位置するにもかかわらず、ヘッドライトが点灯している場合であって、且つワイパが作動中でない場合には、所定条件を満たした上で霧が発生していると判定し、霧が発生していると判定したリンク区間の始点と終点の位置座標をプローブ情報としてプローブセンタ2へと送信し、プローブ情報を受信したプローブセンタ2は、受信したプローブ情報に基づいて霧区間及び霧エリアを特定し、特定された霧区間及び霧エリアに関する情報をプローブセンタ2から配信された車両3は、霧区間及び霧エリアに基づいて運転支援を行うように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転を支援する運転支援システム、運転支援方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車載用のナビゲーション装置、PDA(Personal Digital Assistant)や携帯電話機などの携帯情報機器、パーソナルコンピュータ等では、地図情報として一般道路及び高速道路等の道路や施設名称等を各種記憶デバイスに記憶するか、又はサーバ等からダウンロードすることにより、利用者に対して所望のエリアの地図を表示することが可能となっている。
【0003】
更に、従来のナビゲーション装置等では地図を表示するのみでなく、利用者の利便性をより向上させる為に道路の渋滞情報や事故情報等の交通情報を提供することについても行われていた。その際、利用者に提供する為の交通情報を取得するシステムとして、例えば道路交通情報通信システム(VICS:登録商標)やプローブカーシステムがあった。これらのVICSやプローブカーシステムを用いることとすれば、利用者は車両を走行する際に渋滞を避けた適切なルートを選択することが可能となる。
【0004】
また、従来ではより快適に利用者に運転を行わせる為に、上記交通情報以外の様々な情報を提供することも行われている。そして、それらの情報の一つに天候に関する情報がある。ここで、霧の発生の有無は降雨や積雪等と同様に運転者の運転に大きく影響する天候である。しかしながら、霧は降雨や積雪等と比べると気温、気圧、衛星写真等からでは発生することが予測しづらい天候である。また、発生するエリアもごく限られたエリアのみであり、そのエリアを特定することは難しい。従って、霧が発生している区間やエリアに関する情報を車両に提供することは困難であった。そこで、例えば特開平11−272986号公報には、全国を走行する各車両がワイパの作動状況やフォグランプの点灯状態に基づいて、車両周辺の降雨状況や霧の発生状況を検出し、それらの天候に関する情報を基地局が管理し、必要とする車両へと提供するシステムについて記載されている。
【特許文献1】特開平11−272986号公報(第3−4頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1に記載の技術では、フォグランプの点灯状態に基づいて車両周囲に霧が発生しているか否かを判定している。即ち、車両がフォグランプを点灯している場合には、その走行地点では霧が発生していると判定し、車両がフォグランプを点灯していない場合には、その走行地点では霧が発生していないと判定していた。しかしながら、フォグランプの点灯状態は必ずしも霧の発生の有無に対応しているとは限らない。
例えば、トンネル内を走行する場合や降雨時等において、ヘッドライトの点灯のみでは視界が悪い場合に、視界を良くする為にフォグランプを点灯させる場合がある。従って、霧が発生していない地点においても霧が発生していると誤認されてしまう虞があった。
【0006】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、車両の現在位置に関する情報、ヘッドライトの点灯状態、ワイパの作動状態を考慮することにより、車両の現在位置周辺に霧が発生しているか否かを正確に判定することが可能な運転支援システム、運転支援方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る運転支援システム(1)は、車両(3)の現在位置を取得する現在位置取得手段(33)と、車両のヘッドライト(62)の点灯状態を取得するヘッドライト状態取得手段(33)と、車両のワイパ(61)の作動状態を取得するワイパ状態取得手段(33)と、地図情報に基づいて前記車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点か否かを判定する地点判定手段(33)と、前記地点判定手段によって前記車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点でないと判定された場合であって、且つ車両のヘッドライトが点灯しているとともに車両のワイパが作動していない場合に、車両の現在位置周辺に霧が発生していると判定する霧発生判定手段(33)と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る運転支援システム(1)は、請求項1に記載の運転支援システムであって、車両(3)のフォグランプ(63)の点灯状態を取得するフォグランプ状態取得手段(33)を有し、前記霧発生判定手段(33)は、車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性を複数段階に区分して判定し、車両のフォグランプが点灯している場合は、車両のフォグランプが点灯していない場合より、車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性が高いと判定することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る運転支援システム(1)は、請求項1に記載の運転支援システムであって、車両(3)の車速を取得する車速取得手段(33)と、車両の現在走行するリンクの平均車速を取得する平均車速取得手段(33)と、を有し、前記霧発生判定手段(33)は、車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性を複数段階に区分して判定し、前記車速取得手段により取得した車両の車速が前記平均車速取得手段により取得した平均車速より所定値以上小さい場合は、それ以外の場合より車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性が高いと判定することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る運転支援システム(1)は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の運転支援システムであって、前記霧発生判定手段(33)によって車両の現在位置周辺に霧が発生していると判定されたリンク区間を霧が発生している霧区間として特定する霧区間特定手段(20)を有することを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に係る運転支援システム(1)は、請求項4に記載の運転支援システムであって、前記霧区間特定手段(20)によって特定された霧区間を案内する霧区間案内手段(33)を有することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に係る運転支援システム(1)は、請求項4又は請求項5に記載の運転支援システムであって、前記霧区間特定手段(20)によって特定された複数の霧区間が交差している場合に、交差する各霧区間の始点と終点を囲んだエリアを霧が発生している霧エリアとして特定する霧エリア特定手段(20)を有することを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に係る運転支援システム(1)は、請求項6に記載の運転支援システムであって、前記霧エリア特定手段(20)によって特定された霧エリアを案内する霧エリア案内手段(33)を有することを特徴とする。
【0014】
また、請求項8に係る運転支援方法は、車両(3)の現在位置を取得する現在位置取得ステップ(S1)と、車両のヘッドライト(62)の点灯状態を取得するヘッドライト状態取得ステップ(S1)と、車両のワイパ(61)の作動状態を取得するワイパ状態取得ステップ(S1)と、地図情報に基づいて前記車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点か否かを判定する地点判定ステップ(S4)と、前記地点判定ステップによって前記車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点でないと判定された場合であって、且つ車両のヘッドライトが点灯しているとともに車両のワイパが作動していない場合に、車両の現在位置周辺に霧が発生していると判定する霧発生判定ステップと(S6)、を有することを特徴とする。
【0015】
更に、請求項9に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに搭載され、車両(3)の現在位置を取得する現在位置取得機能(S1)と、車両のヘッドライト(62)の点灯状態を取得するヘッドライト状態取得機能(S1)と、車両のワイパ(61)の作動状態を取得するワイパ状態取得機能(S1)と、地図情報に基づいて前記車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点か否かを判定する地点判定機能(S4)と、前記地点判定機能によって前記車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点でないと判定された場合であって、且つ車両のヘッドライトが点灯しているとともに車両のワイパが作動していない場合に、車両の現在位置周辺に霧が発生していると判定する霧発生判定機能と(S6)、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
前記構成を有する請求項1に記載の運転支援システムによれば、車両の現在位置に関する情報、ヘッドライトの点灯状態、ワイパの作動状態を考慮することにより、車両の現在位置周辺に霧が発生しているか否かを正確に判定することが可能となる。そして、例えば霧の発生に関する判定結果をユーザに提供することにより、有効な運転支援を行うことが可能となる。
【0017】
また、請求項2に記載の運転支援システムによれば、フォグランプの点灯状態に基づいて、霧が発生している可能性を複数段階に区分して判定することが可能となる。従って、より詳細な霧の発生状況を把握することが可能となる。
【0018】
また、請求項3に記載の運転支援システムによれば、車速とリンクの平均車速を比較することにより、霧が発生している可能性を複数段階に区分して判定することが可能となる。従って、より詳細な霧の発生状況を把握することが可能となる。
【0019】
また、請求項4に記載の運転支援システムによれば、車両の現在位置周辺に霧が発生していると判定されたリンク区間を霧が発生している霧区間として特定することにより、地図上で霧の発生している区間を正確に特定することが可能となる。そして、特定した霧区間に関する情報は、利便性の高い情報としてユーザに提供したり、車両制御に用いることが可能となる。
【0020】
また、請求項5に記載の運転支援システムによれば、特定された霧区間を案内することによって、ユーザに霧の発生している区間を予め把握させることが可能となる。その結果、霧に備えて速度を落とした走行を行わせることや、霧の発生している区間を避けて走行させることが可能となる。
【0021】
また、請求項6に記載の運転支援システムによれば、霧区間に基づいて霧が発生している霧エリアを特定することにより、地図上で霧の発生しているエリアを正確に特定することが可能となる。そして、特定した霧エリアに関する情報は、利便性の高い情報としてユーザに提供したり、車両制御に用いることが可能となる。
【0022】
また、請求項7に記載の運転支援システムによれば、特定された霧エリアを案内することによって、ユーザに霧の発生しているエリアを予め把握させることが可能となる。その結果、霧に備えて速度を落とした走行を行わせることや、霧の発生しているエリアを避けて走行させることが可能となる。
【0023】
また、請求項8に記載の運転支援方法によれば、車両の現在位置に関する情報、ヘッドライトの点灯状態、ワイパの作動状態を考慮することにより、車両の現在位置周辺に霧が発生しているか否かを正確に判定することが可能となる。そして、例えば霧の発生に関する判定結果をユーザに提供することにより、有効な運転支援を行うことが可能となる。
【0024】
更に、請求項9に記載のコンピュータプログラムによれば、車両の現在位置に関する情報、ヘッドライトの点灯状態、ワイパの作動状態を考慮することにより、車両の現在位置周辺に霧が発生しているか否かをコンピュータに正確に判定させることが可能となる。そして、例えば霧の発生に関する判定結果をユーザに提供することにより、有効な運転支援を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係る運転支援システムについて具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
先ず、本実施形態に係る運転支援システム1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係る運転支援システム1を示した概略構成図である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係る運転支援システム1は、プローブ情報を収集し、収集したプローブ情報に基づく交通情報の作成・配信を行うプローブセンタ2と、プローブカーである車両3とから基本的に構成されている。
【0027】
ここで、プローブセンタ2は、全国各地を走行する各車両3から送信された霧区間の始点と終点等を含むプローブ情報を収集して蓄積するとともに、蓄積されたプローブ情報に対して統計処理を施すことにより地図上において霧区間や霧エリアを特定し、特定した霧区間や霧エリアに関する情報(以下、霧情報という)を車両3に対して配信する情報配信センタである。
ここで、霧区間とは霧が発生していると予測されるリンク区間であり、後述のように車両3によって霧が発生していると判定されたリンク区間が相当する。また、霧エリアとは霧が発生していると予測されるエリアであり、後述のように各車両3から送信された霧区間に基づいてプローブセンタ2が特定する。
【0028】
また、車両3は全国の各道路を走行する車両であり、プローブカーとしてプローブセンタ2とともにプローブカーシステムを構成する。ここで、プローブカーシステムとは、車両をセンサとして情報を収集するシステムである。具体的には、車両が速度データをはじめ、ステアリング操作やシフト位置等の各システムの作動状況をGPS41の位置情報とともに予め車両に搭載された携帯電話機等の車両用の通信モジュール4(以下、単に通信モジュール4という)を介してプローブセンタ2に送信し、センタ側でその収集データを様々な情報として再利用するシステムをいう。
ここで、本実施形態に係る運転支援システム1において車両3が取得し、プローブセンタ2に対して送信するプローブ情報としては、特に、車両3によって判定された霧区間の始点の位置座標(即ち、車両3が霧が発生したと判定した地点の座標)と、霧区間の終点の位置座標(即ち、車両3が発生していた霧が晴れたと判定した地点の座標)とに関する情報が含まれる。そして、プローブセンタ2は車両3から送信された各情報に基づいて、地図上において霧区間や霧エリアを特定する。
【0029】
更に、車両3にはナビゲーション装置5が設置されている。ナビゲーション装置5は格納する地図データに基づいて自車位置周辺の地図を表示したり、設定された目的地までの経路の探索及び案内を行う車載機である。また、ナビゲーション装置5は、プローブセンタ2から受信した霧情報に基づいて自車周辺にある霧区間や霧エリアの注意案内をしたり、VICSセンタ(図示せず)から受信したVICS情報を利用者に対して案内することも行う。尚、ナビゲーション装置5の詳細な構成については後述する。
【0030】
続いて、運転支援システム1を構成するプローブセンタ2の構成について図2を用いてより詳細に説明する。図2は本実施形態に係る運転支援システム1の構成を示したブロック図である。
【0031】
プローブセンタ2は、図2に示すようにサーバ(霧区間特定手段、霧エリア特定手段)20と、サーバ20に接続された情報記録手段としてのプローブ情報DB24と、霧区間情報DB25と、霧エリア情報DB26と、センタ地図情報DB27と、センタ通信装置28とを備える。
【0032】
サーバ20は、各車両3からプローブ情報を収集するプローブ情報受信処理、蓄積されたプローブ情報に基づいて、地図上の霧区間や霧エリアを特定する霧区間特定処理、特定された霧区間や霧エリアに関する情報を車両3に対して配信する情報配信処理等のプローブセンタ2における各種制御を行う制御部である。そして、サーバ20の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM22、各種制御プログラムのほか、後述のプローブ情報受信処理プログラム(図12)、霧区間特定処理プログラム(図13)、情報配信処理プログラム(図14)等が記録されたROM23等の内部記憶装置を備えている。
【0033】
また、プローブ情報DB24は、全国を走行する各車両3から収集したプローブ情報を累積的に記憶する記憶手段である。尚、本実施形態においては、車両3から収集されるプローブ情報として、特に各車両3によって判定された霧区間の始点の位置座標と、霧区間の終点の位置座標とに関する情報が含まれる。
【0034】
以下に、図3を用いてプローブ情報DB24に記憶されるプローブ情報についてより詳細に説明する。図3はプローブ情報DB24に記憶されるプローブ情報の一例を示した図である。
図3に示すようにプローブ情報は、送信元の車両を識別する車両IDと、車両3が霧が発生したと判定した地点(霧区間の始点)の座標と、車両3が発生していた霧が晴れたと判定した地点(霧区間の終点)の座標と、それぞれの判定日時とから構成される。例えば、図3に示すプローブ情報は、「ID:310012」の車両3が2008年3月15日の15時2分20秒に座標(x1,y1)で霧が発生したと判定し、同日の15時3分46秒に座標(x2,y2)で発生していた霧が晴れたと判定したことが記憶されている。また、「ID:276933」の車両3が2008年3月15日の15時4分50秒に座標(x3,y3)で霧が発生したと判定し、同日の15時14分23秒に座標(x4,y4)で発生していた霧が晴れたと判定したことが記憶されている。そして、プローブ情報DB24には上記のプローブ情報が、各車両3から収集した数だけ累積的に記憶されている。
【0035】
一方、霧区間情報DB25は、サーバ20により特定される霧区間に関する情報を記憶する記憶手段である。尚、霧区間とは図5に示すように霧が発生していると予測された特定のリンク区間である。そして、本実施形態において霧区間に関する情報は、後述するようにプローブ情報DB24に記憶されたプローブ情報の統計処理に基づいて生成される。
ここで、霧区間に関する情報としては、霧区間を識別する識別ID、その霧区間が特定された日時、霧区間の始点の位置座標、霧区間が含むリンクのリンク番号、霧区間の終点の位置座標等がある。
【0036】
以下に、図4及び図5を用いて霧区間情報DB25に記憶される霧区間に関する情報についてより詳細に説明する。図4は霧区間情報DB25に記憶される霧区間に関する情報の一例を示した図である。図5は霧区間の一例を示した図である。
図4に示すように霧区間に関する情報は、霧区間を識別する識別IDと、その霧区間が特定された日時と、霧区間の始点の位置座標と、霧区間が含むリンクのリンク番号と、霧区間の終点の位置座標とから構成される。例えば、図4に示す霧区間に関する情報は、『1000』の霧区間について、『2008年3月15日の15時3分』に特定され、始点が(x1,y1)で、終点が(x2,y2)で、区間中にリンク[20011]を含むことを示している。また、図5は図4に示す霧区間に関する情報の内、特に『1000』の霧区間に関する情報によって特定される霧区間71を示している。図5に示すように霧区間71は、リンク[20011]上に形成され、始点72から終点73までの区間である。
【0037】
また、霧エリア情報DB26は、サーバ20により特定される霧エリアに関する情報を記憶する記憶手段である。尚、霧エリアとは霧が発生していると予測されるエリアであり、図7に示すように霧区間が交差する場合に交差する各霧区間の始点及び終点を結んだ線によって囲まれるエリアである。そして、本実施形態において霧エリアに関する情報は、後述するようにプローブ情報DB24に記憶されたプローブ情報の統計処理に基づいて生成される。
ここで、霧エリアに関する情報としては、霧エリアを識別する識別ID、その霧エリアが特定された日時、霧エリアを構成する霧区間の始点及び終点の位置座標等がある。
【0038】
以下に、図6及び図7を用いて霧エリア情報DB26に記憶される霧エリアに関する情報についてより詳細に説明する。図6は霧エリア情報DB26に記憶される霧エリアに関する情報の一例を示した図である。図7は霧エリアの一例を示した図である。
図6に示すように霧エリアに関する情報は、霧エリアを識別する識別IDと、その霧エリアが特定された日時と、霧エリアを構成する霧区間の始点及び終点の位置座標とから構成される。例えば、図6に示す霧エリアに関する情報は、『1000』の霧エリアについて、『2008年3月15日の16時23分』に特定され、霧エリアを特定する為の各霧区間の始点及び終点が(x1,y1)〜(x6,y6)であることを示している。また、図7は図6に示す霧エリアに関する情報の内、特に『1001』の霧エリアに関する情報によって特定される霧エリア81を示している。図7に示すように霧エリア81は、霧区間82と霧区間83とが交差した場合に形成される霧エリアである。具体的には、霧区間82の始点84及び終点85と、霧区間83の始点86及び終点87とを結ぶ線によって囲まれたエリアとなる。
【0039】
また、センタ地図情報DB27は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、施設に関する施設データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。そして、サーバ20は、車両3から取得した霧区間の始点及び終点の位置座標とセンタ地図情報DB27に記憶された地図情報とに基づいて霧区間(図5)や霧エリア(図7)を特定する処理を行う。
【0040】
一方、センタ通信装置28は車両3とネットワーク8を介して通信を行う為の通信装置である。本実施形態では、センタ通信装置28を介してプローブ情報や霧区間及び霧エリアに関する情報を各車両3との間で送受信する。
【0041】
次に、車両3に搭載されたナビゲーション装置5の概略構成について図8を用いて説明する。図8は本実施形態に係るナビゲーション装置5の制御系を模式的に示すブロック図である。
図8に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置5は、自車の現在位置を検出する現在位置検出部31と、各種のデータが記録されたデータ記録部32と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU(現在位置取得手段、ヘッドライト状態取得手段、ワイパ状態取得手段、地点判定手段、霧発生判定手段、フォグランプ状態取得手段、車速取得手段、平均車速取得手段、霧区間案内手段、霧エリア案内手段)33と、操作者からの操作を受け付ける操作部34と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ35と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ36と、プログラムを記憶した記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ37と、プローブセンタ2やVICSセンタとの間で通信を行う通信モジュール4と、から構成されている。また、ナビゲーションECU33にはCAN(Controller Area Network)等の車内LANを介してワイパ制御ECU38やライト制御ECU39が接続される。
【0042】
以下に、ナビゲーション装置5を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部31は、GPS41、地磁気センサ42、車速センサ43、ステアリングセンサ44、ジャイロセンサ45等からなり、現在の自車の位置、方位、自車の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ43は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の車輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU33に出力する。そして、ナビゲーションECU33は発生するパルスを計数することにより車輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記5種類のセンサをナビゲーション装置5が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置5が備える構成としても良い。
【0043】
また、データ記録部32は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録されたナビ地図情報DB46やナビ霧区間情報DB47やナビ霧エリア情報DB48、所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。
【0044】
ここで、ナビ地図情報DB46は、基本的にプローブセンタ2の有するセンタ地図情報DB27と同様の構成を有しており、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、施設に関する施設データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。但し、本実施形態に係るナビ地図情報DB46は、上記情報に加えて昼間においてもヘッドライトを点灯して走行する地点(例えば、トンネル内、立体駐車場内、常に建物の陰になるエリア等)を地図上で特定する情報を記憶している。また、夜間においてヘッドライトを常にハイビームで点灯して走行する地点(例えば、山間部の道路等)を地図上で特定する情報を記憶している。
【0045】
また、ナビ霧区間情報DB47は、プローブセンタ2から配信された霧区間に関する情報を記憶する記憶手段である。そして、ナビゲーションECU33はナビ霧区間情報DB47に記憶された霧区間に関する情報を用いて、後述のように自車周辺に霧区間が接近した場合に霧に対する注意案内を行う。
【0046】
また、ナビ霧エリア情報DB48は、プローブセンタ2から配信された霧エリアに関する情報を記憶する記憶手段である。そして、ナビゲーションECU33はナビ霧エリア情報DB48に記憶された霧エリアに関する情報を用いて、後述のように自車周辺に霧エリアが接近した場合に霧に対する注意案内を行う。
【0047】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)33は、目的地が選択された場合に現在位置から目的地までの誘導経路を設定する誘導経路設定処理、霧が発生したこと及び発生した霧が晴れたことを判定する霧判定処理、霧が発生したと判定した地点の座標や発生した霧が晴れたと判定した地点の座標等をプローブ情報としてプローブセンタ2に送信するプローブ情報送信処理、プローブセンタ2から配信された霧区間及び霧エリアに関する情報に基づいて霧に対する注意案内を行う運転支援処理等のナビゲーション装置5の全体の制御を行う電子制御ユニットである。そして、演算装置及び制御装置としてのCPU51、並びにCPU51が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM52、制御用のプログラムのほか、後述の霧判定処理プログラム(図9参照)、運転支援処理プログラム(図15参照)等が記録されたROM53、ROM53から読み出したプログラムを記録するフラッシュメモリ54等の内部記憶装置を備えている。
【0048】
また、ワイパ制御ECU38及びライト制御ECU39は図示しないCPU、RAM、ROM等からなり、ワイパ61、ヘッドライト62及びフォグランプ63の制御を行う電子制御ユニットである。そして、ナビゲーションECU33はワイパ制御ECU38から送信される制御信号に基づいて現在のワイパ61の作動状態を検出する。また、ナビゲーションECU33はライト制御ECU39からの制御信号に基づいて現在のヘッドライト62とフォグランプ63の点灯状態を検出する。
【0049】
続いて、前記構成を有する運転支援システム1を構成するナビゲーション装置5において実行する霧判定処理プログラムについて図9に基づき説明する。図9は本実施形態に係る霧判定処理プログラムのフローチャートである。ここで、霧判定処理プログラムはイグニションがONされた後に実行され、車両3の周囲に霧が発生したことを検出するとともにその発生地点の位置を含むプローブ情報をプローブセンタ2へと送信するプログラムである。また、霧判定処理プログラムは昼間と夜間で実行される処理が異なるが、以下では昼間に実行される霧判定処理プログラムを例に挙げて説明することとする。ここで、現在が昼間及び夜間のいずれかに該当するかについては、GPS41により検出した現在時刻とプローブセンタ2等から取得した時間帯テーブルとを比較することにより判定する。時間帯テーブルは、暦に従って昼間と夜間に該当する時間帯がそれぞれ定義されたテーブルである。尚、以下の図9、図10及び図15にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーションECU33が備えているRAM52、ROM53等に記憶されており、CPU51により実行される。
【0050】
先ず、霧判定処理プログラムでは、ステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU51は自車に関する車両情報を取得する。ここで、前記S1で取得される車両情報としては、自車の現在位置、車速、ヘッドライトの点灯状態(ロービームかハイビームかを含む)、フォグランプの点灯状態、ワイパの作動状態に関する情報である。尚、自車の現在位置や車速についてはGPS41や車速センサ43を用いて検出する。更に、自車の現在位置についてはマップマッチング処理を行うことにより、地図上での現在位置が特定される。また、ヘッドライトの点灯状態、フォグランプの点灯状態及びワイパの作動状態については、CANを介してワイパ制御ECU38やライト制御ECU39から受信した信号に基づいて取得する。尚、上記S1が現在位置取得手段、ヘッドライト状態取得手段、ワイパ状態取得手段、フォグランプ状態取得手段及び車速取得手段の処理に相当する。
【0051】
次に、S2においてCPU51は、前記S1で取得した車両情報に基づいて、自車が現在ヘッドライトを点灯させているか否か判定する。そして、ヘッドライトを点灯させていると判定された場合(S2:YES)には、S3へと移行する。一方、ヘッドライトを点灯させていないと判定された場合(S2:NO)には、自車周辺に霧は発生していないと判定し、当該霧判定処理プログラムを終了する。
【0052】
次に、S3においてCPU51は、前記S1で取得した自車の現在位置に基づいて、ナビ地図情報DB46から自車の現在位置の地点情報を取得する。そして、S4においてCPU51は、S3で取得された地点情報に基づいて、車両の現在位置が現在時刻(即ち昼間)においてヘッドライトを点灯する地点(例えば、トンネル内、立体駐車場内、常に建物の陰になるエリア等)であるか判定する。
【0053】
その結果、車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点であると判定された場合(S4:YES)には、自車周辺に霧は発生していないと判定し、当該霧判定処理プログラムを終了する。一方、車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯しない地点であると判定された場合(S4:NO)には、S5へと移行する。尚、上記S4が地点判定手段の処理に相当する。
【0054】
続いて、S5においてCPU51は、前記S1で取得した車両情報に基づいて、自車が現在ワイパを作動させているか否か判定する。そして、ワイパを作動させていると判定された場合(S5:YES)には、自車周辺は雨が降っており、霧は発生していないと判定して当該霧判定処理プログラムを終了する。それに対して、ワイパが作動していないと判定された場合(S5:NO)には、S6へと移行する。
【0055】
S6においてCPU51は、後述の霧可能性判定処理(図10)を行う。尚、霧可能性判定処理は、ヘッドライトの点灯状態等に基づいて車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性を複数段階(本実施形態では無、低、中、高の4段階)に区分して判定する処理である。また、上記S6が霧発生判定手段の処理に相当する。
【0056】
次に、S7ではCPU51は、前記S6の判定処理の結果、少なくとも霧が発生している可能性があると判定されたか否かを判定する。そして、霧が発生している可能性があると判定された場合(S7:YES)には、S8へと移行する。一方、霧が発生している可能性が無いと判定された場合(S7:NO)には、当該霧判定処理プログラムを終了する。
【0057】
S8においてCPU51は、自車の現在位置の座標を霧区間の始点として記憶する。尚、記憶された霧区間の始点の位置座標は後述のS11においてプローブ情報としてプローブセンタ2に送信される。
【0058】
次に、S9においてCPU51は、ライト制御ECU39から送信される信号に基づいて、自車のヘッドライトが消灯したか否か判定する。そして、ヘッドライトが消灯したと判定された場合(S9:YES)には、S10へと移行する。一方、ヘッドライトが継続して点灯していると判定された場合(S9:NO)には、ヘッドライトが消灯するまで待機する。
【0059】
S10においてCPU51は、GPS41により自車の現在位置を検出し、自車の現在位置の座標を霧区間の終点として記憶する。尚、記憶された霧区間の終点の位置座標は後述のS11においてプローブ情報としてプローブセンタ2に送信される。
【0060】
ここで、図11は前記S8及びS10の処理の具体例を示した説明図である。
図11に示すように一般道路であるリンク91を走行する車両3が地点Aにおいて、ヘッドライトを点灯した場合であって、且つワイパが作動しておらず、更に霧の可能性があると判定された場合には、地点Aの座標が霧区間の始点として記憶される(S8)。
その後、車両3が地点Bにおいて、ヘッドライトを消灯した場合には、地点Bの座標が霧区間の終点として記憶される(S10)。
【0061】
その後、S11においてCPU51は、前記S8で記憶した霧区間の始点の位置座標と、前記S10で記憶した霧区間の終点の位置座標とを各位置座標を特定した時刻(即ち、ナビゲーション装置5が霧が発生したと判定した時刻と、ナビゲーション装置5が発生していた霧が晴れたと判定した時刻)とともにプローブセンタ2へとプローブ情報として送信する。
【0062】
次に、前記S6でナビゲーションECU33が実行する霧可能性判定処理のサブ処理について図10に基づき説明する。図10は本実施形態に係る霧可能性判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0063】
霧可能性判定処理において、先ずS21でCPU51は、前記S1で取得した車両情報に基づいて、ヘッドライト62がAUTOで点灯しているか否か、即ち、周囲の明るさ(光度)が所定明るさ以下であるか否かを判定する。尚、ヘッドライト62のAUTO機能を備えていない車両である場合には前記S21の処理は行われない。
【0064】
そして、ヘッドライトがAUTOで点灯していると判定された場合(S21:YES)には、CPU51は車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性は無いと判定し(S22)、S7へと移行する。一方、ヘッドライト62が手動操作により点灯していると判定された場合(S21:NO)には、S23へと移行する。
【0065】
次に、S23でCPU51は、前記S1で取得した車両情報に基づいて、ヘッドライト62がハイビームで点灯しているか否かを判定する。そして、ヘッドライト62がハイビームで点灯していると判定された場合(S23:YES)には、CPU51は車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性は無いと判定し(S22)、S7へと移行する。これは、霧が発生している状態でハイビームによりヘッドライト62を点灯すると、かえって視界が悪くなるからである。それに対して、ヘッドライト62がロービームで点灯していると判定された場合(S23:NO)には、S24へと移行する。
【0066】
続いて、S24でCPU51は、前記S1で取得した車両情報に基づいて、自車が現在フォグランプ63を点灯しているか否かを判定する。そして、フォグランプ63が点灯していないと判定された場合(S24:NO)には、CPU51は車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性が低いと判定し(S25)、S7へと移行する。それに対して、フォグランプ63を点灯していると判定された場合(S24:YES)には、S26へと移行する。
【0067】
S26においてCPU51は、自車が現在走行するリンクの平均車速をナビ地図情報DB46から取得する。尚、リンクの平均車速はプローブセンタ2から取得するように構成しても良い。また、上記S26が平均車速取得手段の処理に相当する。
【0068】
次に、S27においてCPU51は、自車の車速と前記S27で取得したリンクの平均車速とを比較し、自車の車速が前記S27で取得したリンクの平均車速より所定値以上(例えば10km/h)小さいか否か判定する。その結果、自車の車速がリンクの平均車速より所定値以上小さいと判定された場合(S27:YES)には、CPU51は車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性が高いと判定し(S28)、S7へと移行する。一方、それ以外の場合(S27:NO)には、CPU51は車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性が中程度であると判定し(S29)、S7へと移行する。
【0069】
尚、上述した本実施形態では特に昼間において実行される霧判定処理プログラムを説明したが、夜間において実行される霧判定処理プログラムも基本的には同一の処理の処理を備える。但し、以下の(1)〜(4)の点で実行される処理が異なる。
(1)S2ではロービームでヘッドライトが点灯されているか否かを判定する。
(2)S4では、自車の現在位置が現在時刻(即ち夜間)においてヘッドライトを常にハイビームで点灯して走行する地点(例えば、山間部の道路等)であるか否か判定する。
(3)S9ではハイビームでヘッドライトが点灯されたか否かを判定する。
(4)S21及びS23の判定処理は実行しない。
【0070】
次に、運転支援システム1を構成するプローブセンタ2において実行するプローブ情報受信処理プログラムについて図12に基づき説明する。図12は本実施形態に係るプローブ情報受信処理プログラムのフローチャートである。ここで、プローブ情報受信処理プログラムは所定期間毎(例えば200ms)に実行され、各車両3から送信されたプローブ情報を受信するプログラムである。尚、以下の図12乃至図14にフローチャートで示されるプログラムは、サーバ20が備えているRAM22、ROM23等に記憶されており、CPU21により実行される。
【0071】
先ず、プローブ情報受信処理プログラムでは、S31において、CPU21は全国を走行する各車両3からプローブ情報の送信があるか否か判定する。
【0072】
そして、プローブ情報の送信があると判定された場合(S31:YES)には、送信されるプローブ情報を受信する(S32)。そして、CPU21は受信したプローブ情報をプローブ情報DB24へと累積的に格納する(S33)。一方、プローブ情報の送信がないと判定された場合(S31:NO)には、当該プローブ情報受信処理プログラムを終了する。尚、前記S32で受信するプローブ情報としては、送信元の車両を識別する車両IDと、車両3が霧が発生したと判定した地点(霧区間の始点)の座標と、車両3が発生していた霧が晴れたと判定した地点(霧区間の終点)の座標と、それぞれの判定日時とがある。
【0073】
次に、運転支援システム1を構成するプローブセンタ2において実行する霧区間特定処理プログラムについて図13に基づき説明する。図13は本実施形態に係る霧区間特定処理プログラムのフローチャートである。ここで、霧区間特定処理プログラムは前回プログラムを実行した時から所定期間(例えば15分)経過後に実行され、各車両3から送信されたプローブ情報に基づいて地図上で霧区間や霧エリアを特定するプログラムである。
【0074】
以下の、S41の処理は各車両から送信されたプローブ情報単位でループして実行し、前回プログラムを実行した後から新たに受信した全プローブ情報に対する処理が終了するまで繰り返し行う。
【0075】
先ず、S41でCPU21は、車両3から受信したプローブ情報とセンタ地図情報DB27に記憶された地図情報に基づいて、地図上で現在霧が発生していると予測される霧区間を特定する。具体的には、図5に示すように同一の車両によって検出された霧区間の始点72から終点73間でのリンク区間を霧区間として特定する。そして、特定された霧区間に関する情報を霧区間情報DB25(図4参照)に記憶する。尚、上記S41が霧区間特定手段の処理に相当する。
【0076】
次に、S42でCPU21は、霧区間情報DB25に記憶された霧区間の情報の内、前記S41で特定されてから所定時間(例えば3時間)経過した霧区間の情報がある場合には、その霧区間に関する情報を削除する。また、霧エリア情報DB26(図6参照)に記憶された霧エリアの情報の内、後述のS44で特定されてから所定時間(例えば3時間)経過した霧エリアの情報がある場合には、その霧エリアに関する情報を削除する。それによって、過去に特定された霧区間や霧エリアを除外することが可能となる。
【0077】
続いて、S43でCPU21は、現在特定されている霧区間の内、他の霧区間と交差している霧区間があるか否か判定する。そして、交差している霧区間があると判定された場合(S43:YES)には、S44へと移行する。一方、交差している霧区間が無いと判定された場合(S43:NO)には、当該霧区間特定処理を終了する。
【0078】
S44でCPU21は、交差している複数の霧区間に関する情報に基づいて、地図上で現在霧が発生していると予測される霧エリアを設定する。具体的には、図7に示すように交差する各霧区間の始点84、86、終点85、87とを結ぶ線によって囲まれたエリアを霧エリアに特定する。尚、上記S44が霧エリア特定手段の処理に相当する。
【0079】
次に、運転支援システム1を構成するプローブセンタ2において実行する情報配信処理プログラムについて図14に基づき説明する。図14は本実施形態に係る情報配信処理プログラムのフローチャートである。ここで、情報配信処理プログラムは所定期間毎(例えば200ms)に実行され、上記霧区間特定処理プログラム(図13)で特定された霧区間及び霧エリアに関する情報を各車両3に配信するプログラムである。
【0080】
先ず、情報配信処理プログラムでは、S51において、CPU21は全国を走行する各車両3から霧区間及び霧エリアに関する情報の配信要求があるか否か判定する。
【0081】
そして、霧区間及び霧エリアに関する情報の配信要求があると判定された場合(S51:YES)には、要求のあった車両3に対し車両3の存在するエリア内の霧区間及び霧エリアに関する情報を配信する(S52)。尚、霧区間及び霧エリアに関する情報を受信した車両3に搭載されたナビゲーション装置5は、受信した霧区間及び霧エリアに関する情報に基づいて後述の運転支援処理(図15)を行う。
【0082】
一方、霧区間及び霧エリアに関する情報の配信要求がないと判定された場合(S51:NO)には、当該情報配信処理プログラムを終了する。
【0083】
次に、運転支援システム1を構成するナビゲーション装置5において実行する運転支援処理プログラムについて図15に基づき説明する。図15は本実施形態に係る運転支援処理プログラムのフローチャートである。ここで、運転支援処理プログラムは所定期間毎(例えば200ms)に実行され、プローブセンタ2から取得した霧区間及び霧エリアに関する情報に基づいて運転支援を行うプログラムである。
【0084】
先ず、運転支援処理プログラムでは、S61においてCPU51は自車の現在位置を取得する。具体的には、GPS41により自車の現在位置を検出するとともに、ナビ地図情報DB46に記憶された地図情報に基づいてマップマッチングを行い、地図上における現在位置を特定することにより行う。
【0085】
その後S62において、CPU51はプローブセンタ2に対して配信要求を送信し、自車の周辺エリアの霧区間及び霧エリアに関する情報を取得する。尚、自車の周辺エリアは自車の現在位置を中心とした所定距離内(例えば10km以内)に含まれるエリアでも良いし、自車が現在位置する2次メッシュ内に含まれるエリアでも良い。尚、取得した霧区間及び霧エリアに関する情報は、ナビ霧区間情報DB47及びナビ霧エリア情報DB48にそれぞれ記憶される。
【0086】
その後、S63でCPU51は、自車の進行方向前方にプローブセンタ2において特定された霧区間や霧エリアがあるか否か判定する。尚、ナビゲーション装置5で誘導経路が設定されている場合には、誘導経路に沿って進行方向が判定される。
【0087】
そして、自車の進行方向前方に霧区間や霧エリアがあると判定された場合(S63:YES)にはS64へと移行する。一方、自車の進行方向前方に霧区間や霧エリアが無いと判定された場合(S63:NO)には、運転支援を行うことなく当該運転支援処理を終了する。
【0088】
次に、S64においてCPU51は、進行方向前方に霧が発生していることを液晶ディスプレイ35やスピーカ36を用いて運転者に案内する。また、具体的な霧区間や霧エリアの位置を液晶ディスプレイ35の地図上に表示するようにしても良い。更に、液晶ディスプレイ35の地図上に霧区間や霧エリアの位置を表示する場合には、前記S21〜S29で判定した霧の発生可能性に基づいて表示形態を変更しても良い。例えば、霧の発生している可能性が高いと判定された霧区間は赤色で液晶ディスプレイ35に表示し、霧の発生している可能性が中程度と判定された霧区間は黄色で液晶ディスプレイ35に表示し、霧の発生している可能性が低いと判定された霧区間は青色で液晶ディスプレイ35に表示するようにしても良い。
また、前記S64では霧区間や霧エリアの案内以外にも車両制御を実行するようにしても良い。例えば、霧区間や霧エリアに進入する前に、フォグランプの点灯制御や減速制御を行うようにしても良い。また、ハイビームでヘッドライトが点灯している場合にロービームに変更するようにしても良い。尚、上記S64が霧区間案内手段及び霧エリア案内手段の処理に相当する。
【0089】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る運転支援システム1及び運転支援システム1による運転支援方法及び運転支援システム1で実行されるコンピュータプログラムでは、車両が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点以外に位置するにもかかわらず、ヘッドライトが点灯している場合であって、且つワイパが作動中でない場合には、所定条件を満たした上で霧が発生していると判定し(S25、S28、S29)、霧が発生していると判定したリンク区間の始点と終点の位置座標をプローブ情報としてプローブセンタ2へと送信し(S11)、プローブ情報を受信したプローブセンタ2は、受信したプローブ情報に基づいて霧区間及び霧エリアを特定し(S41、S44)、特定された霧区間及び霧エリアに関する情報をプローブセンタ2から配信された車両3は、霧区間及び霧エリアに基づいて運転支援を行う(S64)ので、車両の現在位置に関する情報、ヘッドライトの点灯状態、ワイパの作動状態を考慮することにより、車両の現在位置周辺に霧が発生しているか否かを正確に判定することが可能となる。
また、フォグランプの点灯状態や車速とリンクの平均車速を比較結果に基づいて、霧が発生している可能性を複数段階に区分して判定する(S25、S28、S29)ので、より詳細な霧の発生状況を把握することが可能となる。
また、プローブセンタ2は車両3の現在位置周辺に霧が発生していると判定されたリンク区間を霧が発生している霧区間として特定する(S41)ことにより、地図上で霧の発生している区間を正確に特定することが可能となる。そして、特定した霧区間に関する情報は、利便性の高い情報としてユーザに提供したり、車両制御に用いることが可能となる。更に、ユーザには特定された霧区間を案内する(S64)ことによって、ユーザに霧の発生している区間を予め把握させることが可能となる。その結果、速度を落として霧に備えた走行を行わせることや、霧の発生している区間を避けて走行させることが可能となる。
また、プローブセンタ2は霧区間に基づいて霧が発生している霧エリアを特定する(S44)ことにより、地図上で霧の発生しているエリアを正確に特定することが可能となる。そして、特定した霧エリアに関する情報は、利便性の高い情報としてユーザに提供したり、車両制御に用いることが可能となる。更に、特定された霧エリアを案内する(S64)ことによって、ユーザに霧の発生しているエリアを予め把握させることが可能となる。その結果、霧に備えて速度を落とした走行を行わせることや、霧の発生しているエリアを避けて走行させることが可能となる。
【0090】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では霧区間の特定処理(S41)や霧エリアの特定処理(S44)はプローブセンタ2が行う構成としているが、これらの処理はナビゲーション装置5が行うようにしても良い。そして、特定された霧区間や霧エリアの情報をプローブ情報としてプローブセンタ2へ送信するようにしても良い。尚、ナビゲーション装置5が霧エリアの特定処理を行う場合には、自車が特定した霧区間以外にプローブセンタ2から配信された霧区間に基づいて霧エリアを特定する構成とするのが望ましい。
【0091】
また、本実施形態では特定された霧区間や霧エリアに基づく運転支援として、自車に接近する霧区間や霧エリアを液晶ディスプレイ35やスピーカ36により案内することとしているが、他の運転支援を行うことも可能である。例えば、経路探索を行う場合に、霧区間や霧エリアを避けた経路探索を行うようにしても良い。
【0092】
また、S21、S23、S24、S26、S27の処理は全てを実行するのではなく、一部の処理のみを実行するようにしても良い。例えば、S21、S23の処理を行わない構成としても本願発明の目的は達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本実施形態に係る運転支援システムを示した概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る運転支援システムの構成を示したブロック図である。
【図3】プローブ情報DBの記憶領域の一例を示した図である。
【図4】霧区間情報DBの記憶領域の一例を示した図である。
【図5】霧区間の一例を示した図である。
【図6】霧エリア情報DBの記憶領域の一例を示した図である。
【図7】霧エリアの一例を示した図である。
【図8】本実施形態に係るナビゲーション装置の制御系を模式的に示すブロック図である。
【図9】本実施形態に係る霧判定処理プログラムのフローチャートである。
【図10】本実施形態に係る霧可能性判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図11】ステップ8及びステップ10の処理の具体例を示した説明図である。
【図12】本実施形態に係るプローブ情報受信処理プログラムのフローチャートである。
【図13】本実施形態に係る霧区間特定処理プログラムのフローチャートである。
【図14】本実施形態に係る情報配信処理プログラムのフローチャートである。
【図15】本実施形態に係る運転支援処理プログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
【0094】
1 運転支援システム
2 プローブセンタ
3 車両
20 サーバ
21 CPU
22 RAM
23 ROM
33 ナビゲーションECU
51 CPU
52 RAM
53 ROM
61 ワイパ
62 ヘッドライト
63 フォグランプ
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転を支援する運転支援システム、運転支援方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車載用のナビゲーション装置、PDA(Personal Digital Assistant)や携帯電話機などの携帯情報機器、パーソナルコンピュータ等では、地図情報として一般道路及び高速道路等の道路や施設名称等を各種記憶デバイスに記憶するか、又はサーバ等からダウンロードすることにより、利用者に対して所望のエリアの地図を表示することが可能となっている。
【0003】
更に、従来のナビゲーション装置等では地図を表示するのみでなく、利用者の利便性をより向上させる為に道路の渋滞情報や事故情報等の交通情報を提供することについても行われていた。その際、利用者に提供する為の交通情報を取得するシステムとして、例えば道路交通情報通信システム(VICS:登録商標)やプローブカーシステムがあった。これらのVICSやプローブカーシステムを用いることとすれば、利用者は車両を走行する際に渋滞を避けた適切なルートを選択することが可能となる。
【0004】
また、従来ではより快適に利用者に運転を行わせる為に、上記交通情報以外の様々な情報を提供することも行われている。そして、それらの情報の一つに天候に関する情報がある。ここで、霧の発生の有無は降雨や積雪等と同様に運転者の運転に大きく影響する天候である。しかしながら、霧は降雨や積雪等と比べると気温、気圧、衛星写真等からでは発生することが予測しづらい天候である。また、発生するエリアもごく限られたエリアのみであり、そのエリアを特定することは難しい。従って、霧が発生している区間やエリアに関する情報を車両に提供することは困難であった。そこで、例えば特開平11−272986号公報には、全国を走行する各車両がワイパの作動状況やフォグランプの点灯状態に基づいて、車両周辺の降雨状況や霧の発生状況を検出し、それらの天候に関する情報を基地局が管理し、必要とする車両へと提供するシステムについて記載されている。
【特許文献1】特開平11−272986号公報(第3−4頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1に記載の技術では、フォグランプの点灯状態に基づいて車両周囲に霧が発生しているか否かを判定している。即ち、車両がフォグランプを点灯している場合には、その走行地点では霧が発生していると判定し、車両がフォグランプを点灯していない場合には、その走行地点では霧が発生していないと判定していた。しかしながら、フォグランプの点灯状態は必ずしも霧の発生の有無に対応しているとは限らない。
例えば、トンネル内を走行する場合や降雨時等において、ヘッドライトの点灯のみでは視界が悪い場合に、視界を良くする為にフォグランプを点灯させる場合がある。従って、霧が発生していない地点においても霧が発生していると誤認されてしまう虞があった。
【0006】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、車両の現在位置に関する情報、ヘッドライトの点灯状態、ワイパの作動状態を考慮することにより、車両の現在位置周辺に霧が発生しているか否かを正確に判定することが可能な運転支援システム、運転支援方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る運転支援システム(1)は、車両(3)の現在位置を取得する現在位置取得手段(33)と、車両のヘッドライト(62)の点灯状態を取得するヘッドライト状態取得手段(33)と、車両のワイパ(61)の作動状態を取得するワイパ状態取得手段(33)と、地図情報に基づいて前記車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点か否かを判定する地点判定手段(33)と、前記地点判定手段によって前記車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点でないと判定された場合であって、且つ車両のヘッドライトが点灯しているとともに車両のワイパが作動していない場合に、車両の現在位置周辺に霧が発生していると判定する霧発生判定手段(33)と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る運転支援システム(1)は、請求項1に記載の運転支援システムであって、車両(3)のフォグランプ(63)の点灯状態を取得するフォグランプ状態取得手段(33)を有し、前記霧発生判定手段(33)は、車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性を複数段階に区分して判定し、車両のフォグランプが点灯している場合は、車両のフォグランプが点灯していない場合より、車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性が高いと判定することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る運転支援システム(1)は、請求項1に記載の運転支援システムであって、車両(3)の車速を取得する車速取得手段(33)と、車両の現在走行するリンクの平均車速を取得する平均車速取得手段(33)と、を有し、前記霧発生判定手段(33)は、車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性を複数段階に区分して判定し、前記車速取得手段により取得した車両の車速が前記平均車速取得手段により取得した平均車速より所定値以上小さい場合は、それ以外の場合より車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性が高いと判定することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る運転支援システム(1)は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の運転支援システムであって、前記霧発生判定手段(33)によって車両の現在位置周辺に霧が発生していると判定されたリンク区間を霧が発生している霧区間として特定する霧区間特定手段(20)を有することを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に係る運転支援システム(1)は、請求項4に記載の運転支援システムであって、前記霧区間特定手段(20)によって特定された霧区間を案内する霧区間案内手段(33)を有することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に係る運転支援システム(1)は、請求項4又は請求項5に記載の運転支援システムであって、前記霧区間特定手段(20)によって特定された複数の霧区間が交差している場合に、交差する各霧区間の始点と終点を囲んだエリアを霧が発生している霧エリアとして特定する霧エリア特定手段(20)を有することを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に係る運転支援システム(1)は、請求項6に記載の運転支援システムであって、前記霧エリア特定手段(20)によって特定された霧エリアを案内する霧エリア案内手段(33)を有することを特徴とする。
【0014】
また、請求項8に係る運転支援方法は、車両(3)の現在位置を取得する現在位置取得ステップ(S1)と、車両のヘッドライト(62)の点灯状態を取得するヘッドライト状態取得ステップ(S1)と、車両のワイパ(61)の作動状態を取得するワイパ状態取得ステップ(S1)と、地図情報に基づいて前記車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点か否かを判定する地点判定ステップ(S4)と、前記地点判定ステップによって前記車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点でないと判定された場合であって、且つ車両のヘッドライトが点灯しているとともに車両のワイパが作動していない場合に、車両の現在位置周辺に霧が発生していると判定する霧発生判定ステップと(S6)、を有することを特徴とする。
【0015】
更に、請求項9に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに搭載され、車両(3)の現在位置を取得する現在位置取得機能(S1)と、車両のヘッドライト(62)の点灯状態を取得するヘッドライト状態取得機能(S1)と、車両のワイパ(61)の作動状態を取得するワイパ状態取得機能(S1)と、地図情報に基づいて前記車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点か否かを判定する地点判定機能(S4)と、前記地点判定機能によって前記車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点でないと判定された場合であって、且つ車両のヘッドライトが点灯しているとともに車両のワイパが作動していない場合に、車両の現在位置周辺に霧が発生していると判定する霧発生判定機能と(S6)、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
前記構成を有する請求項1に記載の運転支援システムによれば、車両の現在位置に関する情報、ヘッドライトの点灯状態、ワイパの作動状態を考慮することにより、車両の現在位置周辺に霧が発生しているか否かを正確に判定することが可能となる。そして、例えば霧の発生に関する判定結果をユーザに提供することにより、有効な運転支援を行うことが可能となる。
【0017】
また、請求項2に記載の運転支援システムによれば、フォグランプの点灯状態に基づいて、霧が発生している可能性を複数段階に区分して判定することが可能となる。従って、より詳細な霧の発生状況を把握することが可能となる。
【0018】
また、請求項3に記載の運転支援システムによれば、車速とリンクの平均車速を比較することにより、霧が発生している可能性を複数段階に区分して判定することが可能となる。従って、より詳細な霧の発生状況を把握することが可能となる。
【0019】
また、請求項4に記載の運転支援システムによれば、車両の現在位置周辺に霧が発生していると判定されたリンク区間を霧が発生している霧区間として特定することにより、地図上で霧の発生している区間を正確に特定することが可能となる。そして、特定した霧区間に関する情報は、利便性の高い情報としてユーザに提供したり、車両制御に用いることが可能となる。
【0020】
また、請求項5に記載の運転支援システムによれば、特定された霧区間を案内することによって、ユーザに霧の発生している区間を予め把握させることが可能となる。その結果、霧に備えて速度を落とした走行を行わせることや、霧の発生している区間を避けて走行させることが可能となる。
【0021】
また、請求項6に記載の運転支援システムによれば、霧区間に基づいて霧が発生している霧エリアを特定することにより、地図上で霧の発生しているエリアを正確に特定することが可能となる。そして、特定した霧エリアに関する情報は、利便性の高い情報としてユーザに提供したり、車両制御に用いることが可能となる。
【0022】
また、請求項7に記載の運転支援システムによれば、特定された霧エリアを案内することによって、ユーザに霧の発生しているエリアを予め把握させることが可能となる。その結果、霧に備えて速度を落とした走行を行わせることや、霧の発生しているエリアを避けて走行させることが可能となる。
【0023】
また、請求項8に記載の運転支援方法によれば、車両の現在位置に関する情報、ヘッドライトの点灯状態、ワイパの作動状態を考慮することにより、車両の現在位置周辺に霧が発生しているか否かを正確に判定することが可能となる。そして、例えば霧の発生に関する判定結果をユーザに提供することにより、有効な運転支援を行うことが可能となる。
【0024】
更に、請求項9に記載のコンピュータプログラムによれば、車両の現在位置に関する情報、ヘッドライトの点灯状態、ワイパの作動状態を考慮することにより、車両の現在位置周辺に霧が発生しているか否かをコンピュータに正確に判定させることが可能となる。そして、例えば霧の発生に関する判定結果をユーザに提供することにより、有効な運転支援を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係る運転支援システムについて具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
先ず、本実施形態に係る運転支援システム1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係る運転支援システム1を示した概略構成図である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係る運転支援システム1は、プローブ情報を収集し、収集したプローブ情報に基づく交通情報の作成・配信を行うプローブセンタ2と、プローブカーである車両3とから基本的に構成されている。
【0027】
ここで、プローブセンタ2は、全国各地を走行する各車両3から送信された霧区間の始点と終点等を含むプローブ情報を収集して蓄積するとともに、蓄積されたプローブ情報に対して統計処理を施すことにより地図上において霧区間や霧エリアを特定し、特定した霧区間や霧エリアに関する情報(以下、霧情報という)を車両3に対して配信する情報配信センタである。
ここで、霧区間とは霧が発生していると予測されるリンク区間であり、後述のように車両3によって霧が発生していると判定されたリンク区間が相当する。また、霧エリアとは霧が発生していると予測されるエリアであり、後述のように各車両3から送信された霧区間に基づいてプローブセンタ2が特定する。
【0028】
また、車両3は全国の各道路を走行する車両であり、プローブカーとしてプローブセンタ2とともにプローブカーシステムを構成する。ここで、プローブカーシステムとは、車両をセンサとして情報を収集するシステムである。具体的には、車両が速度データをはじめ、ステアリング操作やシフト位置等の各システムの作動状況をGPS41の位置情報とともに予め車両に搭載された携帯電話機等の車両用の通信モジュール4(以下、単に通信モジュール4という)を介してプローブセンタ2に送信し、センタ側でその収集データを様々な情報として再利用するシステムをいう。
ここで、本実施形態に係る運転支援システム1において車両3が取得し、プローブセンタ2に対して送信するプローブ情報としては、特に、車両3によって判定された霧区間の始点の位置座標(即ち、車両3が霧が発生したと判定した地点の座標)と、霧区間の終点の位置座標(即ち、車両3が発生していた霧が晴れたと判定した地点の座標)とに関する情報が含まれる。そして、プローブセンタ2は車両3から送信された各情報に基づいて、地図上において霧区間や霧エリアを特定する。
【0029】
更に、車両3にはナビゲーション装置5が設置されている。ナビゲーション装置5は格納する地図データに基づいて自車位置周辺の地図を表示したり、設定された目的地までの経路の探索及び案内を行う車載機である。また、ナビゲーション装置5は、プローブセンタ2から受信した霧情報に基づいて自車周辺にある霧区間や霧エリアの注意案内をしたり、VICSセンタ(図示せず)から受信したVICS情報を利用者に対して案内することも行う。尚、ナビゲーション装置5の詳細な構成については後述する。
【0030】
続いて、運転支援システム1を構成するプローブセンタ2の構成について図2を用いてより詳細に説明する。図2は本実施形態に係る運転支援システム1の構成を示したブロック図である。
【0031】
プローブセンタ2は、図2に示すようにサーバ(霧区間特定手段、霧エリア特定手段)20と、サーバ20に接続された情報記録手段としてのプローブ情報DB24と、霧区間情報DB25と、霧エリア情報DB26と、センタ地図情報DB27と、センタ通信装置28とを備える。
【0032】
サーバ20は、各車両3からプローブ情報を収集するプローブ情報受信処理、蓄積されたプローブ情報に基づいて、地図上の霧区間や霧エリアを特定する霧区間特定処理、特定された霧区間や霧エリアに関する情報を車両3に対して配信する情報配信処理等のプローブセンタ2における各種制御を行う制御部である。そして、サーバ20の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM22、各種制御プログラムのほか、後述のプローブ情報受信処理プログラム(図12)、霧区間特定処理プログラム(図13)、情報配信処理プログラム(図14)等が記録されたROM23等の内部記憶装置を備えている。
【0033】
また、プローブ情報DB24は、全国を走行する各車両3から収集したプローブ情報を累積的に記憶する記憶手段である。尚、本実施形態においては、車両3から収集されるプローブ情報として、特に各車両3によって判定された霧区間の始点の位置座標と、霧区間の終点の位置座標とに関する情報が含まれる。
【0034】
以下に、図3を用いてプローブ情報DB24に記憶されるプローブ情報についてより詳細に説明する。図3はプローブ情報DB24に記憶されるプローブ情報の一例を示した図である。
図3に示すようにプローブ情報は、送信元の車両を識別する車両IDと、車両3が霧が発生したと判定した地点(霧区間の始点)の座標と、車両3が発生していた霧が晴れたと判定した地点(霧区間の終点)の座標と、それぞれの判定日時とから構成される。例えば、図3に示すプローブ情報は、「ID:310012」の車両3が2008年3月15日の15時2分20秒に座標(x1,y1)で霧が発生したと判定し、同日の15時3分46秒に座標(x2,y2)で発生していた霧が晴れたと判定したことが記憶されている。また、「ID:276933」の車両3が2008年3月15日の15時4分50秒に座標(x3,y3)で霧が発生したと判定し、同日の15時14分23秒に座標(x4,y4)で発生していた霧が晴れたと判定したことが記憶されている。そして、プローブ情報DB24には上記のプローブ情報が、各車両3から収集した数だけ累積的に記憶されている。
【0035】
一方、霧区間情報DB25は、サーバ20により特定される霧区間に関する情報を記憶する記憶手段である。尚、霧区間とは図5に示すように霧が発生していると予測された特定のリンク区間である。そして、本実施形態において霧区間に関する情報は、後述するようにプローブ情報DB24に記憶されたプローブ情報の統計処理に基づいて生成される。
ここで、霧区間に関する情報としては、霧区間を識別する識別ID、その霧区間が特定された日時、霧区間の始点の位置座標、霧区間が含むリンクのリンク番号、霧区間の終点の位置座標等がある。
【0036】
以下に、図4及び図5を用いて霧区間情報DB25に記憶される霧区間に関する情報についてより詳細に説明する。図4は霧区間情報DB25に記憶される霧区間に関する情報の一例を示した図である。図5は霧区間の一例を示した図である。
図4に示すように霧区間に関する情報は、霧区間を識別する識別IDと、その霧区間が特定された日時と、霧区間の始点の位置座標と、霧区間が含むリンクのリンク番号と、霧区間の終点の位置座標とから構成される。例えば、図4に示す霧区間に関する情報は、『1000』の霧区間について、『2008年3月15日の15時3分』に特定され、始点が(x1,y1)で、終点が(x2,y2)で、区間中にリンク[20011]を含むことを示している。また、図5は図4に示す霧区間に関する情報の内、特に『1000』の霧区間に関する情報によって特定される霧区間71を示している。図5に示すように霧区間71は、リンク[20011]上に形成され、始点72から終点73までの区間である。
【0037】
また、霧エリア情報DB26は、サーバ20により特定される霧エリアに関する情報を記憶する記憶手段である。尚、霧エリアとは霧が発生していると予測されるエリアであり、図7に示すように霧区間が交差する場合に交差する各霧区間の始点及び終点を結んだ線によって囲まれるエリアである。そして、本実施形態において霧エリアに関する情報は、後述するようにプローブ情報DB24に記憶されたプローブ情報の統計処理に基づいて生成される。
ここで、霧エリアに関する情報としては、霧エリアを識別する識別ID、その霧エリアが特定された日時、霧エリアを構成する霧区間の始点及び終点の位置座標等がある。
【0038】
以下に、図6及び図7を用いて霧エリア情報DB26に記憶される霧エリアに関する情報についてより詳細に説明する。図6は霧エリア情報DB26に記憶される霧エリアに関する情報の一例を示した図である。図7は霧エリアの一例を示した図である。
図6に示すように霧エリアに関する情報は、霧エリアを識別する識別IDと、その霧エリアが特定された日時と、霧エリアを構成する霧区間の始点及び終点の位置座標とから構成される。例えば、図6に示す霧エリアに関する情報は、『1000』の霧エリアについて、『2008年3月15日の16時23分』に特定され、霧エリアを特定する為の各霧区間の始点及び終点が(x1,y1)〜(x6,y6)であることを示している。また、図7は図6に示す霧エリアに関する情報の内、特に『1001』の霧エリアに関する情報によって特定される霧エリア81を示している。図7に示すように霧エリア81は、霧区間82と霧区間83とが交差した場合に形成される霧エリアである。具体的には、霧区間82の始点84及び終点85と、霧区間83の始点86及び終点87とを結ぶ線によって囲まれたエリアとなる。
【0039】
また、センタ地図情報DB27は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、施設に関する施設データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。そして、サーバ20は、車両3から取得した霧区間の始点及び終点の位置座標とセンタ地図情報DB27に記憶された地図情報とに基づいて霧区間(図5)や霧エリア(図7)を特定する処理を行う。
【0040】
一方、センタ通信装置28は車両3とネットワーク8を介して通信を行う為の通信装置である。本実施形態では、センタ通信装置28を介してプローブ情報や霧区間及び霧エリアに関する情報を各車両3との間で送受信する。
【0041】
次に、車両3に搭載されたナビゲーション装置5の概略構成について図8を用いて説明する。図8は本実施形態に係るナビゲーション装置5の制御系を模式的に示すブロック図である。
図8に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置5は、自車の現在位置を検出する現在位置検出部31と、各種のデータが記録されたデータ記録部32と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU(現在位置取得手段、ヘッドライト状態取得手段、ワイパ状態取得手段、地点判定手段、霧発生判定手段、フォグランプ状態取得手段、車速取得手段、平均車速取得手段、霧区間案内手段、霧エリア案内手段)33と、操作者からの操作を受け付ける操作部34と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ35と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ36と、プログラムを記憶した記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ37と、プローブセンタ2やVICSセンタとの間で通信を行う通信モジュール4と、から構成されている。また、ナビゲーションECU33にはCAN(Controller Area Network)等の車内LANを介してワイパ制御ECU38やライト制御ECU39が接続される。
【0042】
以下に、ナビゲーション装置5を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部31は、GPS41、地磁気センサ42、車速センサ43、ステアリングセンサ44、ジャイロセンサ45等からなり、現在の自車の位置、方位、自車の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ43は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の車輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU33に出力する。そして、ナビゲーションECU33は発生するパルスを計数することにより車輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記5種類のセンサをナビゲーション装置5が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置5が備える構成としても良い。
【0043】
また、データ記録部32は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録されたナビ地図情報DB46やナビ霧区間情報DB47やナビ霧エリア情報DB48、所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。
【0044】
ここで、ナビ地図情報DB46は、基本的にプローブセンタ2の有するセンタ地図情報DB27と同様の構成を有しており、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、施設に関する施設データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。但し、本実施形態に係るナビ地図情報DB46は、上記情報に加えて昼間においてもヘッドライトを点灯して走行する地点(例えば、トンネル内、立体駐車場内、常に建物の陰になるエリア等)を地図上で特定する情報を記憶している。また、夜間においてヘッドライトを常にハイビームで点灯して走行する地点(例えば、山間部の道路等)を地図上で特定する情報を記憶している。
【0045】
また、ナビ霧区間情報DB47は、プローブセンタ2から配信された霧区間に関する情報を記憶する記憶手段である。そして、ナビゲーションECU33はナビ霧区間情報DB47に記憶された霧区間に関する情報を用いて、後述のように自車周辺に霧区間が接近した場合に霧に対する注意案内を行う。
【0046】
また、ナビ霧エリア情報DB48は、プローブセンタ2から配信された霧エリアに関する情報を記憶する記憶手段である。そして、ナビゲーションECU33はナビ霧エリア情報DB48に記憶された霧エリアに関する情報を用いて、後述のように自車周辺に霧エリアが接近した場合に霧に対する注意案内を行う。
【0047】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)33は、目的地が選択された場合に現在位置から目的地までの誘導経路を設定する誘導経路設定処理、霧が発生したこと及び発生した霧が晴れたことを判定する霧判定処理、霧が発生したと判定した地点の座標や発生した霧が晴れたと判定した地点の座標等をプローブ情報としてプローブセンタ2に送信するプローブ情報送信処理、プローブセンタ2から配信された霧区間及び霧エリアに関する情報に基づいて霧に対する注意案内を行う運転支援処理等のナビゲーション装置5の全体の制御を行う電子制御ユニットである。そして、演算装置及び制御装置としてのCPU51、並びにCPU51が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM52、制御用のプログラムのほか、後述の霧判定処理プログラム(図9参照)、運転支援処理プログラム(図15参照)等が記録されたROM53、ROM53から読み出したプログラムを記録するフラッシュメモリ54等の内部記憶装置を備えている。
【0048】
また、ワイパ制御ECU38及びライト制御ECU39は図示しないCPU、RAM、ROM等からなり、ワイパ61、ヘッドライト62及びフォグランプ63の制御を行う電子制御ユニットである。そして、ナビゲーションECU33はワイパ制御ECU38から送信される制御信号に基づいて現在のワイパ61の作動状態を検出する。また、ナビゲーションECU33はライト制御ECU39からの制御信号に基づいて現在のヘッドライト62とフォグランプ63の点灯状態を検出する。
【0049】
続いて、前記構成を有する運転支援システム1を構成するナビゲーション装置5において実行する霧判定処理プログラムについて図9に基づき説明する。図9は本実施形態に係る霧判定処理プログラムのフローチャートである。ここで、霧判定処理プログラムはイグニションがONされた後に実行され、車両3の周囲に霧が発生したことを検出するとともにその発生地点の位置を含むプローブ情報をプローブセンタ2へと送信するプログラムである。また、霧判定処理プログラムは昼間と夜間で実行される処理が異なるが、以下では昼間に実行される霧判定処理プログラムを例に挙げて説明することとする。ここで、現在が昼間及び夜間のいずれかに該当するかについては、GPS41により検出した現在時刻とプローブセンタ2等から取得した時間帯テーブルとを比較することにより判定する。時間帯テーブルは、暦に従って昼間と夜間に該当する時間帯がそれぞれ定義されたテーブルである。尚、以下の図9、図10及び図15にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーションECU33が備えているRAM52、ROM53等に記憶されており、CPU51により実行される。
【0050】
先ず、霧判定処理プログラムでは、ステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU51は自車に関する車両情報を取得する。ここで、前記S1で取得される車両情報としては、自車の現在位置、車速、ヘッドライトの点灯状態(ロービームかハイビームかを含む)、フォグランプの点灯状態、ワイパの作動状態に関する情報である。尚、自車の現在位置や車速についてはGPS41や車速センサ43を用いて検出する。更に、自車の現在位置についてはマップマッチング処理を行うことにより、地図上での現在位置が特定される。また、ヘッドライトの点灯状態、フォグランプの点灯状態及びワイパの作動状態については、CANを介してワイパ制御ECU38やライト制御ECU39から受信した信号に基づいて取得する。尚、上記S1が現在位置取得手段、ヘッドライト状態取得手段、ワイパ状態取得手段、フォグランプ状態取得手段及び車速取得手段の処理に相当する。
【0051】
次に、S2においてCPU51は、前記S1で取得した車両情報に基づいて、自車が現在ヘッドライトを点灯させているか否か判定する。そして、ヘッドライトを点灯させていると判定された場合(S2:YES)には、S3へと移行する。一方、ヘッドライトを点灯させていないと判定された場合(S2:NO)には、自車周辺に霧は発生していないと判定し、当該霧判定処理プログラムを終了する。
【0052】
次に、S3においてCPU51は、前記S1で取得した自車の現在位置に基づいて、ナビ地図情報DB46から自車の現在位置の地点情報を取得する。そして、S4においてCPU51は、S3で取得された地点情報に基づいて、車両の現在位置が現在時刻(即ち昼間)においてヘッドライトを点灯する地点(例えば、トンネル内、立体駐車場内、常に建物の陰になるエリア等)であるか判定する。
【0053】
その結果、車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点であると判定された場合(S4:YES)には、自車周辺に霧は発生していないと判定し、当該霧判定処理プログラムを終了する。一方、車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯しない地点であると判定された場合(S4:NO)には、S5へと移行する。尚、上記S4が地点判定手段の処理に相当する。
【0054】
続いて、S5においてCPU51は、前記S1で取得した車両情報に基づいて、自車が現在ワイパを作動させているか否か判定する。そして、ワイパを作動させていると判定された場合(S5:YES)には、自車周辺は雨が降っており、霧は発生していないと判定して当該霧判定処理プログラムを終了する。それに対して、ワイパが作動していないと判定された場合(S5:NO)には、S6へと移行する。
【0055】
S6においてCPU51は、後述の霧可能性判定処理(図10)を行う。尚、霧可能性判定処理は、ヘッドライトの点灯状態等に基づいて車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性を複数段階(本実施形態では無、低、中、高の4段階)に区分して判定する処理である。また、上記S6が霧発生判定手段の処理に相当する。
【0056】
次に、S7ではCPU51は、前記S6の判定処理の結果、少なくとも霧が発生している可能性があると判定されたか否かを判定する。そして、霧が発生している可能性があると判定された場合(S7:YES)には、S8へと移行する。一方、霧が発生している可能性が無いと判定された場合(S7:NO)には、当該霧判定処理プログラムを終了する。
【0057】
S8においてCPU51は、自車の現在位置の座標を霧区間の始点として記憶する。尚、記憶された霧区間の始点の位置座標は後述のS11においてプローブ情報としてプローブセンタ2に送信される。
【0058】
次に、S9においてCPU51は、ライト制御ECU39から送信される信号に基づいて、自車のヘッドライトが消灯したか否か判定する。そして、ヘッドライトが消灯したと判定された場合(S9:YES)には、S10へと移行する。一方、ヘッドライトが継続して点灯していると判定された場合(S9:NO)には、ヘッドライトが消灯するまで待機する。
【0059】
S10においてCPU51は、GPS41により自車の現在位置を検出し、自車の現在位置の座標を霧区間の終点として記憶する。尚、記憶された霧区間の終点の位置座標は後述のS11においてプローブ情報としてプローブセンタ2に送信される。
【0060】
ここで、図11は前記S8及びS10の処理の具体例を示した説明図である。
図11に示すように一般道路であるリンク91を走行する車両3が地点Aにおいて、ヘッドライトを点灯した場合であって、且つワイパが作動しておらず、更に霧の可能性があると判定された場合には、地点Aの座標が霧区間の始点として記憶される(S8)。
その後、車両3が地点Bにおいて、ヘッドライトを消灯した場合には、地点Bの座標が霧区間の終点として記憶される(S10)。
【0061】
その後、S11においてCPU51は、前記S8で記憶した霧区間の始点の位置座標と、前記S10で記憶した霧区間の終点の位置座標とを各位置座標を特定した時刻(即ち、ナビゲーション装置5が霧が発生したと判定した時刻と、ナビゲーション装置5が発生していた霧が晴れたと判定した時刻)とともにプローブセンタ2へとプローブ情報として送信する。
【0062】
次に、前記S6でナビゲーションECU33が実行する霧可能性判定処理のサブ処理について図10に基づき説明する。図10は本実施形態に係る霧可能性判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0063】
霧可能性判定処理において、先ずS21でCPU51は、前記S1で取得した車両情報に基づいて、ヘッドライト62がAUTOで点灯しているか否か、即ち、周囲の明るさ(光度)が所定明るさ以下であるか否かを判定する。尚、ヘッドライト62のAUTO機能を備えていない車両である場合には前記S21の処理は行われない。
【0064】
そして、ヘッドライトがAUTOで点灯していると判定された場合(S21:YES)には、CPU51は車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性は無いと判定し(S22)、S7へと移行する。一方、ヘッドライト62が手動操作により点灯していると判定された場合(S21:NO)には、S23へと移行する。
【0065】
次に、S23でCPU51は、前記S1で取得した車両情報に基づいて、ヘッドライト62がハイビームで点灯しているか否かを判定する。そして、ヘッドライト62がハイビームで点灯していると判定された場合(S23:YES)には、CPU51は車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性は無いと判定し(S22)、S7へと移行する。これは、霧が発生している状態でハイビームによりヘッドライト62を点灯すると、かえって視界が悪くなるからである。それに対して、ヘッドライト62がロービームで点灯していると判定された場合(S23:NO)には、S24へと移行する。
【0066】
続いて、S24でCPU51は、前記S1で取得した車両情報に基づいて、自車が現在フォグランプ63を点灯しているか否かを判定する。そして、フォグランプ63が点灯していないと判定された場合(S24:NO)には、CPU51は車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性が低いと判定し(S25)、S7へと移行する。それに対して、フォグランプ63を点灯していると判定された場合(S24:YES)には、S26へと移行する。
【0067】
S26においてCPU51は、自車が現在走行するリンクの平均車速をナビ地図情報DB46から取得する。尚、リンクの平均車速はプローブセンタ2から取得するように構成しても良い。また、上記S26が平均車速取得手段の処理に相当する。
【0068】
次に、S27においてCPU51は、自車の車速と前記S27で取得したリンクの平均車速とを比較し、自車の車速が前記S27で取得したリンクの平均車速より所定値以上(例えば10km/h)小さいか否か判定する。その結果、自車の車速がリンクの平均車速より所定値以上小さいと判定された場合(S27:YES)には、CPU51は車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性が高いと判定し(S28)、S7へと移行する。一方、それ以外の場合(S27:NO)には、CPU51は車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性が中程度であると判定し(S29)、S7へと移行する。
【0069】
尚、上述した本実施形態では特に昼間において実行される霧判定処理プログラムを説明したが、夜間において実行される霧判定処理プログラムも基本的には同一の処理の処理を備える。但し、以下の(1)〜(4)の点で実行される処理が異なる。
(1)S2ではロービームでヘッドライトが点灯されているか否かを判定する。
(2)S4では、自車の現在位置が現在時刻(即ち夜間)においてヘッドライトを常にハイビームで点灯して走行する地点(例えば、山間部の道路等)であるか否か判定する。
(3)S9ではハイビームでヘッドライトが点灯されたか否かを判定する。
(4)S21及びS23の判定処理は実行しない。
【0070】
次に、運転支援システム1を構成するプローブセンタ2において実行するプローブ情報受信処理プログラムについて図12に基づき説明する。図12は本実施形態に係るプローブ情報受信処理プログラムのフローチャートである。ここで、プローブ情報受信処理プログラムは所定期間毎(例えば200ms)に実行され、各車両3から送信されたプローブ情報を受信するプログラムである。尚、以下の図12乃至図14にフローチャートで示されるプログラムは、サーバ20が備えているRAM22、ROM23等に記憶されており、CPU21により実行される。
【0071】
先ず、プローブ情報受信処理プログラムでは、S31において、CPU21は全国を走行する各車両3からプローブ情報の送信があるか否か判定する。
【0072】
そして、プローブ情報の送信があると判定された場合(S31:YES)には、送信されるプローブ情報を受信する(S32)。そして、CPU21は受信したプローブ情報をプローブ情報DB24へと累積的に格納する(S33)。一方、プローブ情報の送信がないと判定された場合(S31:NO)には、当該プローブ情報受信処理プログラムを終了する。尚、前記S32で受信するプローブ情報としては、送信元の車両を識別する車両IDと、車両3が霧が発生したと判定した地点(霧区間の始点)の座標と、車両3が発生していた霧が晴れたと判定した地点(霧区間の終点)の座標と、それぞれの判定日時とがある。
【0073】
次に、運転支援システム1を構成するプローブセンタ2において実行する霧区間特定処理プログラムについて図13に基づき説明する。図13は本実施形態に係る霧区間特定処理プログラムのフローチャートである。ここで、霧区間特定処理プログラムは前回プログラムを実行した時から所定期間(例えば15分)経過後に実行され、各車両3から送信されたプローブ情報に基づいて地図上で霧区間や霧エリアを特定するプログラムである。
【0074】
以下の、S41の処理は各車両から送信されたプローブ情報単位でループして実行し、前回プログラムを実行した後から新たに受信した全プローブ情報に対する処理が終了するまで繰り返し行う。
【0075】
先ず、S41でCPU21は、車両3から受信したプローブ情報とセンタ地図情報DB27に記憶された地図情報に基づいて、地図上で現在霧が発生していると予測される霧区間を特定する。具体的には、図5に示すように同一の車両によって検出された霧区間の始点72から終点73間でのリンク区間を霧区間として特定する。そして、特定された霧区間に関する情報を霧区間情報DB25(図4参照)に記憶する。尚、上記S41が霧区間特定手段の処理に相当する。
【0076】
次に、S42でCPU21は、霧区間情報DB25に記憶された霧区間の情報の内、前記S41で特定されてから所定時間(例えば3時間)経過した霧区間の情報がある場合には、その霧区間に関する情報を削除する。また、霧エリア情報DB26(図6参照)に記憶された霧エリアの情報の内、後述のS44で特定されてから所定時間(例えば3時間)経過した霧エリアの情報がある場合には、その霧エリアに関する情報を削除する。それによって、過去に特定された霧区間や霧エリアを除外することが可能となる。
【0077】
続いて、S43でCPU21は、現在特定されている霧区間の内、他の霧区間と交差している霧区間があるか否か判定する。そして、交差している霧区間があると判定された場合(S43:YES)には、S44へと移行する。一方、交差している霧区間が無いと判定された場合(S43:NO)には、当該霧区間特定処理を終了する。
【0078】
S44でCPU21は、交差している複数の霧区間に関する情報に基づいて、地図上で現在霧が発生していると予測される霧エリアを設定する。具体的には、図7に示すように交差する各霧区間の始点84、86、終点85、87とを結ぶ線によって囲まれたエリアを霧エリアに特定する。尚、上記S44が霧エリア特定手段の処理に相当する。
【0079】
次に、運転支援システム1を構成するプローブセンタ2において実行する情報配信処理プログラムについて図14に基づき説明する。図14は本実施形態に係る情報配信処理プログラムのフローチャートである。ここで、情報配信処理プログラムは所定期間毎(例えば200ms)に実行され、上記霧区間特定処理プログラム(図13)で特定された霧区間及び霧エリアに関する情報を各車両3に配信するプログラムである。
【0080】
先ず、情報配信処理プログラムでは、S51において、CPU21は全国を走行する各車両3から霧区間及び霧エリアに関する情報の配信要求があるか否か判定する。
【0081】
そして、霧区間及び霧エリアに関する情報の配信要求があると判定された場合(S51:YES)には、要求のあった車両3に対し車両3の存在するエリア内の霧区間及び霧エリアに関する情報を配信する(S52)。尚、霧区間及び霧エリアに関する情報を受信した車両3に搭載されたナビゲーション装置5は、受信した霧区間及び霧エリアに関する情報に基づいて後述の運転支援処理(図15)を行う。
【0082】
一方、霧区間及び霧エリアに関する情報の配信要求がないと判定された場合(S51:NO)には、当該情報配信処理プログラムを終了する。
【0083】
次に、運転支援システム1を構成するナビゲーション装置5において実行する運転支援処理プログラムについて図15に基づき説明する。図15は本実施形態に係る運転支援処理プログラムのフローチャートである。ここで、運転支援処理プログラムは所定期間毎(例えば200ms)に実行され、プローブセンタ2から取得した霧区間及び霧エリアに関する情報に基づいて運転支援を行うプログラムである。
【0084】
先ず、運転支援処理プログラムでは、S61においてCPU51は自車の現在位置を取得する。具体的には、GPS41により自車の現在位置を検出するとともに、ナビ地図情報DB46に記憶された地図情報に基づいてマップマッチングを行い、地図上における現在位置を特定することにより行う。
【0085】
その後S62において、CPU51はプローブセンタ2に対して配信要求を送信し、自車の周辺エリアの霧区間及び霧エリアに関する情報を取得する。尚、自車の周辺エリアは自車の現在位置を中心とした所定距離内(例えば10km以内)に含まれるエリアでも良いし、自車が現在位置する2次メッシュ内に含まれるエリアでも良い。尚、取得した霧区間及び霧エリアに関する情報は、ナビ霧区間情報DB47及びナビ霧エリア情報DB48にそれぞれ記憶される。
【0086】
その後、S63でCPU51は、自車の進行方向前方にプローブセンタ2において特定された霧区間や霧エリアがあるか否か判定する。尚、ナビゲーション装置5で誘導経路が設定されている場合には、誘導経路に沿って進行方向が判定される。
【0087】
そして、自車の進行方向前方に霧区間や霧エリアがあると判定された場合(S63:YES)にはS64へと移行する。一方、自車の進行方向前方に霧区間や霧エリアが無いと判定された場合(S63:NO)には、運転支援を行うことなく当該運転支援処理を終了する。
【0088】
次に、S64においてCPU51は、進行方向前方に霧が発生していることを液晶ディスプレイ35やスピーカ36を用いて運転者に案内する。また、具体的な霧区間や霧エリアの位置を液晶ディスプレイ35の地図上に表示するようにしても良い。更に、液晶ディスプレイ35の地図上に霧区間や霧エリアの位置を表示する場合には、前記S21〜S29で判定した霧の発生可能性に基づいて表示形態を変更しても良い。例えば、霧の発生している可能性が高いと判定された霧区間は赤色で液晶ディスプレイ35に表示し、霧の発生している可能性が中程度と判定された霧区間は黄色で液晶ディスプレイ35に表示し、霧の発生している可能性が低いと判定された霧区間は青色で液晶ディスプレイ35に表示するようにしても良い。
また、前記S64では霧区間や霧エリアの案内以外にも車両制御を実行するようにしても良い。例えば、霧区間や霧エリアに進入する前に、フォグランプの点灯制御や減速制御を行うようにしても良い。また、ハイビームでヘッドライトが点灯している場合にロービームに変更するようにしても良い。尚、上記S64が霧区間案内手段及び霧エリア案内手段の処理に相当する。
【0089】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る運転支援システム1及び運転支援システム1による運転支援方法及び運転支援システム1で実行されるコンピュータプログラムでは、車両が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点以外に位置するにもかかわらず、ヘッドライトが点灯している場合であって、且つワイパが作動中でない場合には、所定条件を満たした上で霧が発生していると判定し(S25、S28、S29)、霧が発生していると判定したリンク区間の始点と終点の位置座標をプローブ情報としてプローブセンタ2へと送信し(S11)、プローブ情報を受信したプローブセンタ2は、受信したプローブ情報に基づいて霧区間及び霧エリアを特定し(S41、S44)、特定された霧区間及び霧エリアに関する情報をプローブセンタ2から配信された車両3は、霧区間及び霧エリアに基づいて運転支援を行う(S64)ので、車両の現在位置に関する情報、ヘッドライトの点灯状態、ワイパの作動状態を考慮することにより、車両の現在位置周辺に霧が発生しているか否かを正確に判定することが可能となる。
また、フォグランプの点灯状態や車速とリンクの平均車速を比較結果に基づいて、霧が発生している可能性を複数段階に区分して判定する(S25、S28、S29)ので、より詳細な霧の発生状況を把握することが可能となる。
また、プローブセンタ2は車両3の現在位置周辺に霧が発生していると判定されたリンク区間を霧が発生している霧区間として特定する(S41)ことにより、地図上で霧の発生している区間を正確に特定することが可能となる。そして、特定した霧区間に関する情報は、利便性の高い情報としてユーザに提供したり、車両制御に用いることが可能となる。更に、ユーザには特定された霧区間を案内する(S64)ことによって、ユーザに霧の発生している区間を予め把握させることが可能となる。その結果、速度を落として霧に備えた走行を行わせることや、霧の発生している区間を避けて走行させることが可能となる。
また、プローブセンタ2は霧区間に基づいて霧が発生している霧エリアを特定する(S44)ことにより、地図上で霧の発生しているエリアを正確に特定することが可能となる。そして、特定した霧エリアに関する情報は、利便性の高い情報としてユーザに提供したり、車両制御に用いることが可能となる。更に、特定された霧エリアを案内する(S64)ことによって、ユーザに霧の発生しているエリアを予め把握させることが可能となる。その結果、霧に備えて速度を落とした走行を行わせることや、霧の発生しているエリアを避けて走行させることが可能となる。
【0090】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では霧区間の特定処理(S41)や霧エリアの特定処理(S44)はプローブセンタ2が行う構成としているが、これらの処理はナビゲーション装置5が行うようにしても良い。そして、特定された霧区間や霧エリアの情報をプローブ情報としてプローブセンタ2へ送信するようにしても良い。尚、ナビゲーション装置5が霧エリアの特定処理を行う場合には、自車が特定した霧区間以外にプローブセンタ2から配信された霧区間に基づいて霧エリアを特定する構成とするのが望ましい。
【0091】
また、本実施形態では特定された霧区間や霧エリアに基づく運転支援として、自車に接近する霧区間や霧エリアを液晶ディスプレイ35やスピーカ36により案内することとしているが、他の運転支援を行うことも可能である。例えば、経路探索を行う場合に、霧区間や霧エリアを避けた経路探索を行うようにしても良い。
【0092】
また、S21、S23、S24、S26、S27の処理は全てを実行するのではなく、一部の処理のみを実行するようにしても良い。例えば、S21、S23の処理を行わない構成としても本願発明の目的は達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本実施形態に係る運転支援システムを示した概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る運転支援システムの構成を示したブロック図である。
【図3】プローブ情報DBの記憶領域の一例を示した図である。
【図4】霧区間情報DBの記憶領域の一例を示した図である。
【図5】霧区間の一例を示した図である。
【図6】霧エリア情報DBの記憶領域の一例を示した図である。
【図7】霧エリアの一例を示した図である。
【図8】本実施形態に係るナビゲーション装置の制御系を模式的に示すブロック図である。
【図9】本実施形態に係る霧判定処理プログラムのフローチャートである。
【図10】本実施形態に係る霧可能性判定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図11】ステップ8及びステップ10の処理の具体例を示した説明図である。
【図12】本実施形態に係るプローブ情報受信処理プログラムのフローチャートである。
【図13】本実施形態に係る霧区間特定処理プログラムのフローチャートである。
【図14】本実施形態に係る情報配信処理プログラムのフローチャートである。
【図15】本実施形態に係る運転支援処理プログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
【0094】
1 運転支援システム
2 プローブセンタ
3 車両
20 サーバ
21 CPU
22 RAM
23 ROM
33 ナビゲーションECU
51 CPU
52 RAM
53 ROM
61 ワイパ
62 ヘッドライト
63 フォグランプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
車両のヘッドライトの点灯状態を取得するヘッドライト状態取得手段と、
車両のワイパの作動状態を取得するワイパ状態取得手段と、
地図情報に基づいて前記車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点か否かを判定する地点判定手段と、
前記地点判定手段によって前記車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点でないと判定された場合であって、且つ車両のヘッドライトが点灯しているとともに車両のワイパが作動していない場合に、車両の現在位置周辺に霧が発生していると判定する霧発生判定手段と、を有することを特徴とする運転支援システム。
【請求項2】
車両のフォグランプの点灯状態を取得するフォグランプ状態取得手段を有し、
前記霧発生判定手段は、
車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性を複数段階に区分して判定し、
車両のフォグランプが点灯している場合は、車両のフォグランプが点灯していない場合より、車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性が高いと判定することを特徴とする請求項1に記載の運転支援システム。
【請求項3】
車両の車速を取得する車速取得手段と、
車両の現在走行するリンクの平均車速を取得する平均車速取得手段と、を有し、
前記霧発生判定手段は、
車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性を複数段階に区分して判定し、
前記車速取得手段により取得した車両の車速が前記平均車速取得手段により取得した平均車速より所定値以上小さい場合は、それ以外の場合より車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性が高いと判定することを特徴とする請求項1に記載の運転支援システム。
【請求項4】
前記霧発生判定手段によって車両の現在位置周辺に霧が発生していると判定されたリンク区間を霧が発生している霧区間として特定する霧区間特定手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の運転支援システム。
【請求項5】
前記霧区間特定手段によって特定された霧区間を案内する霧区間案内手段を有することを特徴とする請求項4に記載の運転支援システム。
【請求項6】
前記霧区間特定手段によって特定された複数の霧区間が交差している場合に、交差する各霧区間の始点と終点を囲んだエリアを霧が発生している霧エリアとして特定する霧エリア特定手段を有することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の運転支援システム。
【請求項7】
前記霧エリア特定手段によって特定された霧エリアを案内する霧エリア案内手段を有することを特徴とする請求項6に記載の運転支援システム。
【請求項8】
車両の現在位置を取得する現在位置取得ステップと、
車両のヘッドライトの点灯状態を取得するヘッドライト状態取得ステップと、
車両のワイパの作動状態を取得するワイパ状態取得ステップと、
地図情報に基づいて前記車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点か否かを判定する地点判定ステップと、
前記地点判定ステップによって前記車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点でないと判定された場合であって、且つ車両のヘッドライトが点灯しているとともに車両のワイパが作動していない場合に、車両の現在位置周辺に霧が発生していると判定する霧発生判定ステップと、を有することを特徴とする運転支援方法。
【請求項9】
コンピュータに搭載され、
車両の現在位置を取得する現在位置取得機能と、
車両のヘッドライトの点灯状態を取得するヘッドライト状態取得機能と、
車両のワイパの作動状態を取得するワイパ状態取得機能と、
地図情報に基づいて前記車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点か否かを判定する地点判定機能と、
前記地点判定機能によって前記車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点でないと判定された場合であって、且つ車両のヘッドライトが点灯しているとともに車両のワイパが作動していない場合に、車両の現在位置周辺に霧が発生していると判定する霧発生判定機能と、
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項1】
車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
車両のヘッドライトの点灯状態を取得するヘッドライト状態取得手段と、
車両のワイパの作動状態を取得するワイパ状態取得手段と、
地図情報に基づいて前記車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点か否かを判定する地点判定手段と、
前記地点判定手段によって前記車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点でないと判定された場合であって、且つ車両のヘッドライトが点灯しているとともに車両のワイパが作動していない場合に、車両の現在位置周辺に霧が発生していると判定する霧発生判定手段と、を有することを特徴とする運転支援システム。
【請求項2】
車両のフォグランプの点灯状態を取得するフォグランプ状態取得手段を有し、
前記霧発生判定手段は、
車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性を複数段階に区分して判定し、
車両のフォグランプが点灯している場合は、車両のフォグランプが点灯していない場合より、車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性が高いと判定することを特徴とする請求項1に記載の運転支援システム。
【請求項3】
車両の車速を取得する車速取得手段と、
車両の現在走行するリンクの平均車速を取得する平均車速取得手段と、を有し、
前記霧発生判定手段は、
車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性を複数段階に区分して判定し、
前記車速取得手段により取得した車両の車速が前記平均車速取得手段により取得した平均車速より所定値以上小さい場合は、それ以外の場合より車両の現在位置周辺に霧が発生している可能性が高いと判定することを特徴とする請求項1に記載の運転支援システム。
【請求項4】
前記霧発生判定手段によって車両の現在位置周辺に霧が発生していると判定されたリンク区間を霧が発生している霧区間として特定する霧区間特定手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の運転支援システム。
【請求項5】
前記霧区間特定手段によって特定された霧区間を案内する霧区間案内手段を有することを特徴とする請求項4に記載の運転支援システム。
【請求項6】
前記霧区間特定手段によって特定された複数の霧区間が交差している場合に、交差する各霧区間の始点と終点を囲んだエリアを霧が発生している霧エリアとして特定する霧エリア特定手段を有することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の運転支援システム。
【請求項7】
前記霧エリア特定手段によって特定された霧エリアを案内する霧エリア案内手段を有することを特徴とする請求項6に記載の運転支援システム。
【請求項8】
車両の現在位置を取得する現在位置取得ステップと、
車両のヘッドライトの点灯状態を取得するヘッドライト状態取得ステップと、
車両のワイパの作動状態を取得するワイパ状態取得ステップと、
地図情報に基づいて前記車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点か否かを判定する地点判定ステップと、
前記地点判定ステップによって前記車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点でないと判定された場合であって、且つ車両のヘッドライトが点灯しているとともに車両のワイパが作動していない場合に、車両の現在位置周辺に霧が発生していると判定する霧発生判定ステップと、を有することを特徴とする運転支援方法。
【請求項9】
コンピュータに搭載され、
車両の現在位置を取得する現在位置取得機能と、
車両のヘッドライトの点灯状態を取得するヘッドライト状態取得機能と、
車両のワイパの作動状態を取得するワイパ状態取得機能と、
地図情報に基づいて前記車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点か否かを判定する地点判定機能と、
前記地点判定機能によって前記車両の現在位置が現在時刻においてヘッドライトを点灯する地点でないと判定された場合であって、且つ車両のヘッドライトが点灯しているとともに車両のワイパが作動していない場合に、車両の現在位置周辺に霧が発生していると判定する霧発生判定機能と、
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−230720(P2009−230720A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78801(P2008−78801)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
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