説明

運転支援装置

【課題】重複した運転支援を抑制して適切な運転支援が行える運転支援装置を提供すること。
【解決手段】信号機に基づく第一運転支援と他の移動体に基づく第二運転支援を行う運転支援装置であって、第一運転支援により信号機が赤表示となることから信号停止位置での停止を促す運転支援を行う場合に、他の車両、歩行者、自転車の状況による第二運転支援を行わないようする(S22、S24)。これにより、複数ある運転支援処理のうち不要な運転支援を行わないようにして、適切な運転支援が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転を支援する運転支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運転を支援する運転支援装置として、特開2004−252718号公報に記載されるように、路側機から車載機に対し信号機の点灯状態を示す信号を送信し、その信号を受信した車載機が赤信号の点灯状態を示す信号を受信した場合に車両の運転者に対し停車を促す報知動作を行うものが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−252718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した装置のほか、車両の運転者に対し運転支援を行う装置として、他の車両、歩行者、自転車などの移動体を検知し、その移動体が車両進行方向の所定範囲に存在する場合にそのことを報知するなどして運転支援するものもある。このような運転支援装置を上述した運転支援装置と共に車両に搭載すると、異なる対象について複数の運転支援を行う運転支援装置が車両に搭載されることとなる。この場合、状況に応じては、複数の運転支援装置において同一の運転支援を行う事態も考えられる。例えば、車両進行方向の前方の信号機が赤表示であり、その前方の道路に歩行者がいる場合、二つの運転支援装置が停車指示を重複して報知する事態を生ずる。このような場合、重複した運転支援は不要であり、運転者が煩わしさを感じ、適切な運転支援が行えない。
【0005】
そこで本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、重複した運転支援を抑制して適切な運転支援が行える運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明に係る運転支援装置は、車両の停止位置において停止の必要性に基づいて車両に対し運転支援を行う第一運転支援手段と、前記停止位置より先の車両進行方向における状況に基づいて前記車両に対し運転支援を行う第二運転支援手段とを備え、前記第一運転支援手段により前記停止位置での停止を促す運転支援を行う場合に、前記第二運転支援手段における運転支援を抑制することを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、第一運転支援手段により停止位置での停止を促す運転支援を行うことにより、第一運転支援手段の運転支援によって停止位置より先で生じ得る危険に対応することができる。そして、第二運転支援手段における運転支援を抑制することにより、停止位置より先で生じ得る危険に対応しつつ、重複した運転支援を行うことを抑制することができる。
【0008】
また本発明に係る運転支援装置において、前記車両が前記停止位置を通過した後において、前記第一運転支援手段及び前記第二運転支援手段のうち少なくとも一方の運転支援内容を前記停止位置の通過前の運転支援内容と異ならせることが好ましい。
【0009】
この発明によれば、車両の停止位置の通過前と通過後で運転支援の内容を異ならせることにより、必要に応じた適切な運転支援を行うことができる。
【0010】
また本発明に係る運転支援装置において、前記車両が前記停止位置を通過した後において、前記第一運転支援手段の運転支援を前記停止位置の通過前の運転支援に対し抑制することが好ましい。また本発明に係る運転支援装置において、前記車両が前記停止位置を通過した後において、前記第二運転支援手段の運転支援を前記停止位置の通過前の運転支援に対し増大させることが好ましい。
【0011】
これらの発明によれば、運転支援の必要性の低い場合に運転支援を抑制し、運転支援の必要性の高い場合に運転支援を増大させることにより、適切な運転支援が可能となる。
【0012】
また本発明に係る運転支援装置において、前記第一運転支援手段は、前記車両の直近の信号機の表示状態に基づいて前記車両に対し運転支援を行うものであり、前記第二運転支援手段は、車両進行方向に存在する移動体の情報に基づいて前記車両に対し運転支援を行うものであることが好ましい。
【0013】
この発明によれば、信号機が設置される交差点において複数の運転支援を適切に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の運転支援を実行可能な装置において重複した運転支援を抑制して適切な運転支援を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1に実施形態に係る運転支援装置の概略構成図を示す。
【0017】
本実施形態に係る運転支援装置1は、車両に搭載される装置であって、車両進行方向の直近の信号機の表示状態に基づいて運転支援し、車両進行方向に存在する移動体に基づいて運転支援するものである。
【0018】
図1に示すように、運転支援装置1は、通信部2、車速検出部3、ナビゲーションシステム4、運転支援出力部5及びECU6を備えている。通信部2は、路車間通信を行うための通信手段である。この通信部2は、道路に設置される路側機と通信を行い、信号機の表示状態情報、他車(自動二輪を含む)、歩行者及び自転車などの移動体の位置情報を取得する。その際、通信部2は、直近の信号機の表示状態情報を取得する信号状態取得手段として機能し、また他の移動体の位置情報を取得する移動体情報取得手段として機能する。
【0019】
なお、移動体情報取得手段としては、ミリ波レーダ、車々間通信装置など他の装置、手法により取得するものであってもよい。
【0020】
車速検出部3は、運転支援装置1を搭載する自車の車速を検出するものであり、例えば車輪速センサが用いられる。車速検出部3の検出信号は、所定の時間周期でECU10に入力され、車速データとして記録される。
【0021】
ナビゲーションシステム4は、運転支援装置1を搭載する自車の位置を検出する位置検出手段として機能し、自車の位置から直近の信号機の位置を検出する信号機検出手段として機能するものであり、例えばGPS(Global Positioning System)を内蔵し地図データベースを有するものが用いられる。ナビゲーションシステム4は、GPSの検知信号に基づいて地図データ上における自車位置を認識することができる。このナビゲーションシステム4は、位置データ信号を所定の時間周期でECU10に入力する。その際、ECU10は、車両の位置データ、信号機の位置データが記録される。
【0022】
運転支援出力部5は、運転支援が必要と判断された場合に運転支援を実行するものであり、例えば運転者へ運転指示を報知する報知手段、又は強制的に車両制動に介入する制動制御手段として機能するものである。具体的には、報知手段としては、運転者の聴覚を通じて報知を行うスピーカ、ブザーなどが用いられる。また、報知手段としては、運転者の視覚を通じて報知を行う液晶ディスプレイ、ランプ、ナビゲーションシステム4のモニタなどを用いてもよい。さらに、報知手段としては、ハンドルや運転シートの振動など運転者の触覚を通じて報知動作するものであってもよい。
【0023】
運転支援出力部5の制動制御手段としては、例えばブレーキ制御を行うECUが用いられる。ECU10からブレーキ制御用ECUに制動指示信号を出力することにより、車両制動を強制的に行わせることができる。
【0024】
ECU10、装置全体の制御を行うものであり、例えばCPU、ROM、RAMを含むコンピュータを主体として構成されている。このECU10は、通信部2と接続され、通信部2が受信する情報を入力し、通信部2に自車両の情報などを出力する。その際、ECU10は、通信制御手段として機能する。
【0025】
また、ECU10は、運転支援すべき状況か否かを判断し、運転支援すべき状況であると判断した場合に運転支援を実行させる運転支援手段として機能する。その際、ECU10は、車両の停止位置において停止の必要性に基づいて車両に対し運転支援を行う第一運転支援手段と機能し、またその停止位置より先の車両進行方向における状況に基づいて車両に対し運転支援を行う第二運転支援手段として機能する。
【0026】
例えば、ECU10は、第一運転支援手段として、車両の直近の信号機の表示状態に基づいて車両に対し運転支援を行う。自車と直近の信号機までの距離、自車の車速、信号機の表示状態に応じて自車が信号機の位置に到達した際の信号機の表示状態を推測し、その表示状態が赤表示の場合には自車の運転者に対し停車を指示する報知処理を実行する。また、信号機の表示状態が黄色表示の場合には自車の運転者に対し注意を促す報知処理を実行する。信号機の表示状態が青表示の場合には自車の運転者に対し何も報知しない。
【0027】
また、ECU10は、第二運転支援手段として、車両進行方向に存在する移動体の情報に基づいて車両に対し運転支援を行う。車両進行方向における他の車両、歩行者及び自転車などの移動体の情報を取得し、その移動体との交錯可能性を判定し、交錯可能性が所定以上ある場合に運転者に停車を指示する報知処理を実行する。
【0028】
また、ECU10は、信号機の表示状態に基づいて停車を促す運転支援を行う場合には、他の移動体の状態に基づく運転支援を抑制する。例えば、信号機の表示状態が赤表示であり停車を促すように報知する場合には、他の移動体が存在する場合であってもそれに応じた報知は行わない。
【0029】
次に本実施形態に係る運転支援装置の動作について説明する。
【0030】
図2は、本実施形態に係る運転支援装置の動作を示すフローチャートである。この図2における制御処理は、例えばECU10によって所定の周期で繰り返し実行され、車両が路車間通信によるインフラ協調サービスエリア内に入った時に開始される。図3は、信号機が青表示の場合における運転支援の説明図である。図4は、信号機が黄色表示の場合における運転支援の説明図である。図5は、信号機が赤表示の場合における運転支援の説明図である。
【0031】
まず、図2のS10に示すように、信号機情報の取得解析処理が行われる。この処理は、車両進行方向における直近の信号機の表示状態を取得する処理である。信号機の表示状態の情報は、通信部2による路車間通信により取得される。例えば、直近の信号機の現在の表示状態の情報、及び青、黄色、赤の表示切替タイミングの情報が取得される。
【0032】
そして、S12に移行し、信号機の表示予測処理が行われる。表示予測処理は、直近の信号機のある交差点に車両が進入した際の信号機の表示状態を予測する処理である。例えば、車両から信号機までの距離、車両の車速、現在の信号機表示状態、信号機の表示切替タイミングの情報に基づいて車両の交差点進入時における信号機の表示状態を予測することができる。車両から信号機までの距離情報は、ナビゲーションシステム4により取得したものを用いればよい。車両の車速情報は、車速検出部3により検出したものを用いればよい。
【0033】
そして、S14に移行し、信号機の予測表示色が青であるか否かが判断される。S14にて信号機の予測表示色が青であると判断された場合には、他の移動体に関する運転支援処理が行われる。なお、この場合、信号機に関する運転支援処理は行われない。
【0034】
他の移動体に関する運転支援処理は、車両進行方向に存在する移動体、例えば他の車両、歩行者、自転車に基づいて運転支援する処理である。例えば、車両進行方向の所定範囲内に他の車両、歩行者、又は自転車が存在する場合には、運転支援出力部5を通じて自車の運転者に対し注意を喚起し、停車を促し、又は制動制御に介入し強制的に制動制御を実行する。注意喚起、停車指示、制動制御のいずれの運転支援を行うかについては、他の移動体との交錯可能性に応じて決定すればよい。
【0035】
S14にて信号機の予測表示色が青でないと判断された場合には、信号機の予測表示色が黄色であるか否かが判断される(S18)。S18にて信号機の予測表示色が黄色であると判断された場合には、信号機に関する運転支援処理、及び他の移動体に関する運転支援処理が行われる(S20)。
【0036】
信号機に関する運転支援処理は、信号機が黄色であること、又は信号機が黄色になるので運転を注意することを音声、注意音、液晶表示、モニタ表示など運転支援出力部5を通じて報知する処理である。
【0037】
他の移動体に関する運転支援処理は、車両進行方向に存在する移動体、例えば他の車両、歩行者、自転車に基づいて運転支援するものである。例えば、車両進行方向の所定範囲内に他の車両、歩行者、又は自転車が存在する場合には、運転支援出力部5を通じて自車の運転者に対し注意を喚起し、停車を促し、又は制動制御に介入し強制的に制動制御を実行する。注意喚起、停車指示、制動制御のいずれの運転支援を行うかについては、交錯可能性に応じて決定すればよい。
【0038】
S18にて信号機の予測表示色が黄色でないと判断された場合には、信号機の予測表示色が赤であるか否かが判断される(S22)。S22にて信号機の予測表示色が赤であると判断された場合には、信号機に関する運転支援処理が行われる(S24)。なお、この場合、他の移動体に関する運転支援処理は行われない。
【0039】
すなわち、信号機に関する運転支援処理を行うことにより、他の移動体に応じた運転支援処理を行わなくても、信号停止位置により先で生じ得る危険に対応することができる。また、重複した運転支援を行うことを抑制することができ、不要な運転支援を行わないことにより運転者が煩わしさを感ずることを防止できる。
【0040】
S24の信号機に関する運転支援処理は、信号機が赤であること、もしくは信号機が赤になるので停車するように指示することを音声、注意音、液晶表示、モニタ表示など運転支援出力部5を通じて報知し、又は制動制御に介入し強制的に制動制御を実行する処理である。注意喚起、停車指示、制動制御のいずれの運転支援を行うかについては、信号機までの距離、車両の車速状態などに応じて決定すればよい。S22にて信号機の予測表示色が赤でないと判断された場合には、制御が異常であるので一連の制御処理を終了する。
【0041】
そして、S26に移行し、車両が交差点に進入したか否かが判断される。この判断は、ナビゲーションシステム4により検知した自車位置に基づいて行えばよい。S26にて車両が交差点に進入したと判断された場合には、現在の信号機の表示色が青であるか否かが判断される(S28)。現在の信号機の表示色の情報は、通信部2による路車間通信により取得すればよい。
【0042】
S28にて現在の信号機の表示色が青であると判断された場合には、他の移動体に関する運転支援処理が行われる(S30)。なお、この場合、信号機に関する運転支援処理は行われない。
【0043】
S30の他の移動体に関する運転支援処理は、S16と同様の処理であり、車両進行方向に存在する移動体、例えば他の車両、歩行者、自転車に基づいて運転支援するものである。例えば、車両進行方向の所定範囲内に他の車両、歩行者、又は自転車が存在する場合には、運転支援出力部5を通じて自車の運転者に対し注意を喚起し、停車を促し、又は制動制御に介入し強制的に制動制御を実行する。注意喚起、停車指示、制動制御のいずれの運転支援を行うかについては、他の移動体との交錯可能性に応じて決定すればよい。
【0044】
S28にて現在の信号機の表示色が青でないと判断された場合には、現在の信号機の表示色が黄色であるか否かが判断される(S32)。S32にて現在の信号機の表示色が黄色であると判断された場合には、他の移動体に関する運転支援処理が行われる(S34)。この場合、信号機に関する運転支援処理は行われない。
【0045】
S34の他の移動体に関する運転支援処理は、車両進行方向に存在する移動体、例えば他の車両、歩行者、自転車に基づいて運転支援する処理である。例えば、車両進行方向の所定範囲内に他の車両、歩行者、又は自転車が存在する場合には、運転支援出力部5を通じて自車の運転者に対し注意を喚起し、停車を促し、又は制動制御に介入し強制的に制動制御を実行する。注意喚起、停車指示、制動制御のいずれの運転支援を行うかについては、交錯可能性に応じて決定すればよい。
【0046】
S32にて現在の信号機の表示色が黄色でないと判断された場合には、現在の信号機の表示色が赤であるか否かが判断される(S36)。S36にて現在の信号機の表示色が赤であると判断された場合には、信号機に関する運転支援処理、及び他の移動体に関する運転支援処理が行われる(S38)。
【0047】
S38の信号機に関する運転支援処理は、信号機が赤であるので停車するように指示することを音声、注意音、液晶表示、モニタ表示など運転支援出力部5を通じて報知する処理である。危険性が所定以上に高い場合には、制動制御に介入し強制的に制動制御を実行する場合もある。S36にて信号機の現在の表示色が赤でないと判断された場合には、制御が異常であるので一連の制御処理を終了する。
【0048】
このような制御処理によれば、図3(a)に示すように、車両20に直近の信号機31が車両の交差点進入時に青であると予測された場合、信号機の表示状態に応じた運転支援は行わず、他の移動体に応じた運転支援のみが行われる。そして、図3(b)に示すように、T秒後において車両20が青表示状態で交差点に進入した後は、信号機の表示状態に応じた運転支援は行わず、他の移動体に応じた運転支援のみが行われる。このように、信号機31が青信号の場合は、信号機の表示状態に応じた運転支援は必要ないので行われない。
【0049】
また、図4(a)に示すように、車両20に直近の信号機31が車両の交差点進入時に黄色(現時点では青)であると予測された場合、信号機の表示状態に応じた運転支援と他の移動体に応じた運転支援が行われる。そして、図4(b)に示すように、T秒後において車両20が黄色表示状態で交差点に進入した後は、信号機の表示状態に応じた運転支援は行わず、他の移動体に応じた運転支援のみが行われる。このように、信号機31が黄色信号の場合は、交差点進入前と交差点進入後(信号停止位置の通過前と通過後)で、運転支援内容が異なるものとされる。
【0050】
また、図5(a)に示すように、車両20に直近の信号機31が車両の交差点進入時に赤(現時点では黄色)であると予測された場合、信号機の表示状態に応じた運転支援のみが行われる。そして、図5(b)に示すように、T秒後において車両20が赤表示状態で交差点に進入した後は、信号機の表示状態に応じた運転支援、及び、他の移動体に応じた運転支援が行われる。このように、信号機31が赤信号の場合は、交差点進入前と交差点進入後(信号停止位置の通過前と通過後)で、運転支援内容が異なるものとされる。
【0051】
図6は、本実施形態に係る運転支援装置における交差点進入前と交差点進入後の運転支援内容を示した表である。この図6には、上述した運転支援の内容が交差点進入前と交差点進入後を対比して示されている。
【0052】
以上のように、本実施形態に係る運転支援装置によれば、信号機の赤表示に基づき信号機の表示状態に応じた運転支援を行う場合には、他の移動体に応じた運転支援を抑制する。この場合、信号機の表示状態に応じた運転支援によって信号停止位置での停止を促すことにより、その停止位置より先で生じ得る危険に対応することができる。そして、他の移動体に応じた運転支援を抑制することにより、重複した運転支援を行うことを抑制することができる。従って、不要な運転支援による煩わしさを低減し、適切な運転支援が行える。
【0053】
また本実施形態に係る運転支援装置によれば、車両が信号停止位置を通過した後において、信号機の表示状態に基づく運転支援処理と他の移動体の情報に基づく運転支援処理のうち少なくとも一方の運転支援内容を信号停止位置の通過前の運転支援内容と異ならせる。これにより、状況に応じた適切な運転支援を行うことができる。
【0054】
例えば、本実施形態に係る運転支援装置において、車両の交差点進入時において信号機が黄色表示の場合、車両が信号停止位置を通過した後において、信号機の表示状態に基づく運転支援を信号停止位置の通過前の運転支援に対し抑制する。これにより、運転支援の必要性の低い場合に運転支援を抑制することができる。
【0055】
また、車両の交差点進入時において信号機が赤表示の場合、車両が信号停止位置を通過した後において、他の移動体に応じた運転支援を信号停止位置の通過前の運転支援に対し増大させる。これにより、車両走行に応じて運転支援の必要性が高まった場合に、その運転支援を増大させることにより、適切な運転支援が可能となる。
【0056】
なお、上述した実施形態は本発明に係る運転支援装置の一例を説明したものであり、本発明に係る運転支援装置は本実施形態に記載したものに限定されるものではない。本発明に係る運転支援装置は、各請求項に記載した要旨を変更しないように実施形態に係る運転支援装置を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0057】
例えば、上述した実施形態においては、通常の信号機が設置される交差点に車両が進入する場合を例に挙げて説明したが、矢印灯のある矢印式信号機が設置される場合に適用してもよい。
【0058】
すなわち、図7(a)に示すように、矢印灯32aを備えた矢印式信号機32が交差点に設置されている場合もある。その際、右折予定の車両20が黄色信号で交差点に進入する場合(直後に右折の矢印灯が点灯する場合)、信号機に基づく運転支援は行われない。また、歩行者、自転車に対する運転支援も行われない。右折の矢印灯32aが点灯している場合、原則として歩行者用信号機は赤となるため、不要な運転支援と判断される。これに対し、直進する対向車に対する運転支援は行われる。黄色信号でも交差点に進入する対向車両がある可能性があるためである。
【0059】
また、図7(b)に示すように、矢印灯32aが点灯している状態で車両20が交差点に進入する場合、信号機に基づく運転支援は行われない。また、歩行者、自転車、対向直進車両に対する運転支援も行われない。さらに、図7(b)において、矢印灯32aが点灯しているが交差点進入時に消える可能性がある場合、信号機に基づく運転支援は行われる。これに対し、歩行者、自転車、対向直進車両に対する運転支援も行われない。
【0060】
このような矢印式信号機32のある交差点において運転支援する場合であっても、信号機に基づく運転支援と他の移動体に基づく運転支援の重複支援を抑制することにより、上述した実施形態と同様な作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態に係る運転支援装置の構成概要図である。
【図2】図1の運転支援装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】図1の運転支援装置における運転支援内容を示す図である。
【図4】図1の運転支援装置における運転支援内容を示す図である。
【図5】図1の運転支援装置における運転支援内容を示す図である。
【図6】図1の運転支援装置における交差点進入前と交差点進入後の運転支援内容を比較した説明図である。
【図7】図1の運転支援装置における変形例の運転支援内容を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1…運転支援装置、2…通信部、3…車速検出部、4…ナビゲーションシステム、5…運転支援出力部、10…ECU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の停止位置において停止の必要性に基づいて車両に対し運転支援を行う第一運転支援手段と、
前記停止位置より先の車両進行方向における状況に基づいて前記車両に対し運転支援を行う第二運転支援手段と、
を備え、
前記第一運転支援手段により前記停止位置での停止を促す運転支援を行う場合に、前記第二運転支援手段における運転支援を抑制すること、
を特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記車両が前記停止位置を通過した後において、前記第一運転支援手段及び前記第二運転支援手段のうち少なくとも一方の運転支援内容を前記停止位置の通過前の運転支援内容と異ならせることを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記車両が前記停止位置を通過した後において、前記第一運転支援手段の運転支援を前記停止位置の通過前の運転支援に対し抑制することを特徴とする請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記車両が前記停止位置を通過した後において、前記第二運転支援手段の運転支援を前記停止位置の通過前の運転支援に対し増大させることを特徴とする請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記第一運転支援手段は、前記車両の直近の信号機の表示状態に基づいて前記車両に対し運転支援を行うものであり、
前記第二運転支援手段は、車両進行方向に存在する移動体の情報に基づいて前記車両に対し運転支援を行うものであること、
を特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−293440(P2008−293440A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140850(P2007−140850)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】