説明

配線構造体の製造方法及び配線構造体

【課題】 横方向(基板表面に平行な方向)にカーボンナノチューブを成長させるためには、側壁に平坦かつ微小な表面を持つ触媒膜を形成する必要がある。ところが、このような触媒膜を形成することは困難である。
【解決手段】 基板表面の相互に離隔した2つの縦配線領域に、第1の厚さの縦配線用触媒膜を形成し、1つの縦配線領域から他の縦配線領域まで連続する横配線領域に、第1の厚さよりも厚い第2の厚さの横配線用触媒膜を形成する。縦配線用触媒膜及び横配線用触媒膜の上に、カーボンを含む構造体を気相成長させる。気相成長の初期段階には、縦配線用触媒膜及び横配線用触媒膜の上にグラファイトが形成され、その後、縦配線領域の前記グラファイトと基板との間にカーボンナノチューブが成長し、横配線領域の前記グラファイトが、縦配線領域に成長したカーボンナノチューブによって中空に支持されるように第1の厚さ及び第2の厚さが設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦方向の配線にカーボンナノチューブを用いた配線構造体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路素子の配線材料として、主に銅(Cu)が用いられている。配線幅の微細化に伴い、エレクトロマイグレーションによる信頼性の劣化や電気抵抗の増大が顕在化してきている。これらの課題を解決するために、銅に代わる新しい配線材料として、カーボンナノチューブが注目されている。縦方向(基板の厚さ方向)の配線に、カーボンナノチューブを用いた配線構造が公知である。また、カーボンナノチューブ上に成長したグラファイト構造についても公知である。
【0003】
【特許文献1】特開2007−220742号公報
【特許文献2】特開2008−137846号公報
【非特許文献1】Daiyu Kondo et al., "Self-organization of Novel Carbon Composite Structure: Graphene Multi-Layers Combined Perpendicularly with Aligned Carbon Nanotubes", Applied Physics Express 1(2008) 074003
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板表面に対して垂直の方向にカーボンナノチューブを成長させることは比較的容易である。横方向(基板表面に平行な方向)にカーボンナノチューブを成長させるためには、側壁に平坦かつ微小な表面を持つ触媒膜を形成する必要がある。ところが、このような触媒膜を形成することは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する配線構造体の製造方法は、
基板表面の相互に離隔した2つの縦配線領域に、第1の厚さの縦配線用触媒膜を形成し、1つの該縦配線領域から他の縦配線領域まで連続する横配線領域に、該第1の厚さよりも厚い第2の厚さの横配線用触媒膜を形成する工程と、
前記縦配線用触媒膜及び横配線用触媒膜の上に、カーボンを含む構造体を気相成長させる工程と
を有し、
前記気相成長の初期段階には、前記縦配線用触媒膜及び横配線用触媒膜の上にグラファイトが形成され、その後、前記縦配線領域の前記グラファイトと前記基板との間にカーボンナノチューブが成長し、前記横配線領域の前記グラファイトが、前記縦配線領域に成長したカーボンナノチューブによって中空に支持されるように前記第1の厚さ及び第2の厚さが設定されている。
【0006】
上記課題を解決する配線構造体は、
基板の表面の複数の導電性領域の各々から延びる複数のカーボンナノチューブを含む縦配線と、
少なくとも2つの前記縦配線の一方の上端から他方の上端まで横方向に延びるグラファイトを含む横配線と
を有する。
【発明の効果】
【0007】
縦配線及び横配線の両方を、炭素材料で形成することにより、電流密度耐性を高めることができる。これにより、配線の微細化が容易になると共に、エレクトロマイグレーション耐性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施例を説明する。
【実施例1】
【0009】
図1に、実施例1による配線構造体の斜視図を示す。表面に、複数の半導体素子及び配線が形成された基板10の上に、複数の1層目の縦配線11が形成されている。1層目の縦配線11の各々は、基板10の表面に対して垂直な方向に延びるカーボンナノチューブの束で構成されている。
【0010】
少なくとも2つの1層目の縦配線11の上端同士を、1層目の横配線12が接続している。1層目の横配線12は、グラファイトで構成されており、1層目の縦配線11によって中空に支持されている。1層目の横配線12の上に、2層目の縦配線13が形成されている。少なくとも2つの2層目の縦配線13の上端同士を、2層目の横配線14が接続する。さらに、3層目以上の縦配線及び横配線が形成されている。2層目以上の配線層においても、縦配線13等はカーボンナノチューブで形成され、横配線14等は、グラファイトで形成されている。2層目以上の横配線14等は、それよりも下方の縦配線11、13、及び横配線12により、中空に支持されている。
【0011】
図2A〜図2Oを参照して、実施例1による配線構造体の製造方法について説明する。
【0012】
図2Aに示すように、基板10の上に、TiNからなる厚さ1nm〜30nm、例えば5nmの導電膜20を形成する。導電膜20の上に、Coからなる厚さ2.6nmの縦配線用触媒膜21を形成する。導電膜20及び縦配線用触媒膜21の形成には、例えばマグネトロンスパッタリング法を適用することができる。なお、その他に、レーザアブレーション法、電子ビーム蒸着法、分子線エピタキシ(MBE)法、化学気相成長(CVD)法、原子層堆積(ALD)法等を用いてもよい。
【0013】
縦配線用触媒膜21の表面のうち、1層目の縦配線を形成すべき領域(第1の縦配線領域)23を覆うレジストパターン22を形成する。第1の縦配線領域23の平面形状は、例えば直径100nmの円形、または一辺の長さが100nmの正方形等である。1層目の縦配線を形成しない領域においては、縦配線用触媒膜21が露出している。
【0014】
図2Bに示すように、レジストパターン22で覆われていない領域の縦配線用触媒膜21及び導電膜20を、イオンミリング等により除去する。図2Cに示すように、レジストパターン22を除去する。第1の縦配線領域23に、パターニングされた導電膜20と縦配線用触媒膜21とからなる積層構造が残る。なお、導電膜20及び縦配線用触媒膜21のパターニングには、リフトオフ法を用いてもよいし、化学的エッチングを用いてもよい。また、レジストが触媒金属と触れることによる汚染を避けるために、エッチングマスクとして、絶縁膜等によるハードマスクを用いることもできる。
【0015】
図2Dに示すように、第1の縦配線領域23、及び1層目の横配線を形成しない領域(第1の無配線領域)25を覆うレジストパターン30を形成する。1層目の横配線が形成される領域(第1の横配線領域)26には、レジストパターン30の開口30Aが形成されている。第1の横配線領域26は、1つの第1の縦配線領域23から他の第1の縦配線領域23まで連続する。
【0016】
開口30Aの底面、及びレジストパターン30の上面に、TiOからなる絶縁膜34を形成し、その上にCoからなる厚さ4.5nmの横配線用触媒膜35を形成する。絶縁膜34の厚さは、導電膜20の厚さと等しくすることが好ましい。絶縁膜34及び横配線用触媒膜35の形成には、例えばマグネトロンスパッタリングが適用される。
【0017】
縦配線用触媒膜21及び横配線用触媒膜35に、カーボンナノチューブ形成のための触媒として作用するCo以外の材料、例えばNi、Fe、Pt、Au等を用いてもよい。導電膜20に、Ti、TiSi、TiN、Mo、W、Hf、Zr、Al、Nb、V、Ta、TaN、TaSiのいずれか1つを含む導電材料を用いてもよい。絶縁膜34に、Ti、TiSi、TiN、TiO、Mo、W、Hf、Zr、Al、Al、Nb、V、Ta、TaN、TaOのいずれか1つを含む絶縁材料を用いてもよい。導電膜20及び絶縁膜34は、縦配線用触媒膜21及び横配線用触媒膜35を構成する金属を担持する役割を持つ。
【0018】
図2Eに示すように、レジストパターン30を、その上に堆積している絶縁膜34及び横配線用触媒膜35と共に除去する。第1の横配線領域26には、絶縁膜34と横配線用触媒膜35が残る。第1の縦配線領域23には、縦配線用触媒膜21が露出する。第1の無配線領域25には、基板10の表面が露出する。
【0019】
その後、熱化学気相成長(熱CVD)により、縦配線用触媒膜21及び横配線用触媒膜35の上に、炭素を成長させる。成長条件は、例えば下記の通りである。
・成長温度 450℃
・原料ガス アルゴンで希釈したアセチレン(アセチレンの分圧比10%)
・圧力 1kPa
図2Fに示すように、成長初期段階には、縦配線用触媒膜21及び横配線用触媒膜35の上に、グラファイト(横配線)12が成長する。第1の無配線領域25には、グラファイトが形成されない。成長を続けると、縦配線用触媒膜21が炭素を吸収して微粒子状になる。
【0020】
図2Gに示すように、横配線12の厚さが20nm程度になると、微粒子状になった触媒金属から下方に、カーボンナノチューブ11Aが成長する。カーボンナノチューブ11Aの束が縦配線11を構成する。縦配線11の高さは、例えば200nmとする。横配線用触媒膜35は、縦配線用触媒膜21よりも厚く形成されているため、微粒子状にならず、その下にカーボンナノチューブは成長しない。縦配線11が成長すると、横配線12が上方に持ち上げられ、第1の横配線領域26の横配線12の下方に空洞が形成される。
【0021】
図2Hに、縦配線11及び横配線12の断面図を示す。横配線12の下側の表面に、縦配線用触媒膜21の金属元素が微粒子状になった触媒微粒子21aが付着している。触媒微粒子21aから下方に向かって、カーボンナノチューブ11Aが延びている。図2Hでは、カーボンナノチューブ11Aが2層構造である場合を示しているが、単層のカーボンナノチューブまたは3層以上の多層カーボンナノチューブを形成してもよい。カーボンナノチューブ11の太さは、例えば約10nmである。カーボンナノチューブ11の太さは、触媒微粒子の直径や、触媒及び成長条件により制御可能であり、カーボンナノチューブ11の太さを1〜50nmの範囲内にすることが望ましい。
【0022】
図2Iに示すように、基板10及び横配線12の上に、酸化シリコン系の充填膜40を、スピンオングラス(SOG)を用いたスピンコート法により形成する。なお、CVDや、その他の埋め込み法により充填膜40を形成してもよい。第1の横配線領域26においては、横配線12と基板10との間の空洞が、充填膜40で埋め尽くされる。また、第1の無配線領域25も、充填膜40で埋め込まれる。
【0023】
図2Jに示すように、2層目の縦配線を形成すべき第2の縦配線領域50の充填膜40をエッチング等により除去し、1層目の横配線12を露出させる。同時に、2層目の横配線を形成すべき第2の横配線領域51の充填膜40の上面が、1層目の横配線12の上面と同じ高さになるように、充填膜40の表層部を除去する。2層目に縦配線及び横配線のいずれも形成されない第2の無配線領域52には、1層目の横配線12の上面よりも上に、充填膜40が残っている。
【0024】
図2Kに示すように、第2の縦配線領域50に、導電膜55及び縦配線用触媒膜56を形成する。導電膜55及び縦配線用触媒膜56は、図2A〜図2Cに示した1層目の導電膜20及び縦配線用触媒膜21と同じ方法で形成される。
【0025】
図2Lに示すように、第2の横配線領域51に、絶縁膜57及び横配線用触媒膜58を形成する。絶縁膜57及び横配線用触媒膜58は、図2D〜図2Eに示した1層目の絶縁膜34及び横配線用触媒膜35と同じ方法で形成される。
【0026】
図2Mに示すように、第2の縦配線領域50に2層目の縦配線13を形成すると共に、第2の横配線領域51、及びそれに連続する第2の縦配線領域50に、2層目の横配線14を形成する。2層目の縦配線13及び横配線14は、図2F〜図2Gに示した1層目の縦配線11及び横配線12と同じ方法で形成される。2層目の横配線14を形成した時点では、2層目の横配線14と絶縁膜57との間は、空洞になっている。
【0027】
1層目の充填膜40及び2層目の横配線14の上に、2層目の充填膜60を形成する。2層目の横配線14の下の空洞も、充填膜60で埋め込まれる。
【0028】
図2Nに示すように、3層目の導電膜65、絶縁膜66、縦配線67、及び横配線68を、2層目と同様の方法で形成する。同様の方法で、4層目以上の配線を形成してもよい。
【0029】
図2Oに示すように、充填膜40、60を、フッ酸を用いたウェットエッチングにより除去する。なお、CF等を用いたドライエッチングにより除去することも可能である。基板10と1層目〜3層目の横配線12、14、68との間が空洞になる。この空洞には、空気、不活性ガス等のガスが満たされるか、真空状態に保持される。さらに、配線全体の強度を高めるために、一部の配線部分には層間絶縁膜を残すことも可能である。
【0030】
上記実施例1では、縦配線11、13、67がカーボンナノチューブで形成され、横配線12、14、68がグラファイトで形成される。カーボンナノチューブ及びグラファイトは、銅よりも3桁程度高い電流密度耐性を有し、バリスティック伝導等の優れた電気特性を示す。さらに、カーボンナノチューブ及びグラファイトは、高い熱伝導性を示す。このため、配線が微細化してもエレクトロマイグレーションの発生を抑制することができる。
【0031】
また、実施例1では、配線間が空洞で絶縁される。この空洞内は、空気、窒素やアルゴン等の不活性ガス等で満たされる。または、この空洞は真空状態に保持される。これらのガス、及び真空は、一般的な層間絶縁膜材料に比べて低い誘電率(比誘電率が1程度)を持つ。このため、寄生容量を低減させることができる。
【0032】
実施例1では、縦配線用触媒膜21の厚さを2.6nmとし、横配線用触媒膜35の厚さを4.5nmとした。触媒膜21、35の好適な厚さは、カーボンナノチューブの成長条件に依存する。触媒膜が厚い場合には、触媒が微粒子状にならないため、その上にグラファイトは成長するが、カーボンナノチューブが下方に向かって成長することはない。従って、縦配線用触媒膜を、下方に向かってカーボンナノチューブが成長する程度まで薄くし、横配線用触媒膜は、カーボンナノチューブが成長しない程度まで厚くすることが好ましい。
【0033】
図3に、実施例1の変形例による配線構造体の1層目の配線の断面図を示す。この変形例においては、横配線領域26の横配線12の下側の表面から下方に向かってカーボンナノチューブ11Bが成長している。カーボンナノチューブの成長の速さは、触媒膜が薄いほど速い。横配線領域26内のカーボンナノチューブの成長速度が、縦配線領域23内のカーボンナノチューブの成長速度に比べて十分遅い場合には、横配線領域26に形成されるカーボンナノチューブ11Bの長さが、縦配線領域23に形成されるカーボンナノチューブ11Aの長さよりも短くなる。横配線12が、カーボンナノチューブ11Bの長さよりも高い位置まで持ち上げられるため、横配線領域26に形成されたカーボンナノチューブ11Bの下方の先端と、基板10との間に空洞が生じる。このため、カーボンナノチューブ11Bが、予期しない導電領域に接触することはない。
【0034】
図3に示した変形例のように、横配線領域26にカーボンナノチューブが成長する場合であっても、その成長の速さが、縦配線領域23のカーボンナノチューブの成長速度に比べて十分遅い場合には、実施例1の場合と同様に、横配線12を中空に支持することができる。横配線を中空に支持するために、横配線領域26のカーボンナノチューブの成長速度が、縦配線領域23のカーボンナノチューブの成長速度の50%以下になるように、膜厚及び成長条件を設定することが好ましい。
【0035】
一例として、カーボンナノチューブの成長温度は、300℃〜600℃の範囲内とすることが好ましい。原料ガスとして、アセチレン、エチレン、メタン等の炭化水素や、エタノール、メタノール等のアルコールを用いることができる。原料ガスを希釈するガスとして、アルゴン、水素、窒素、またはヘリウムを用いることができる。成長時のガス圧は、一例として0.1kPa〜10kPaとすることができる。カーボンナノチューブの長さは、成長時間で制御することができる。例えば、成長時間は60分程度とする。成長ガス中に添加ガスとして、酸素、水蒸気、アルコールを微量(例えば成長ガス圧の1%程度)混ぜてもよい。
【0036】
縦配線用触媒膜21の厚さは、1nm〜5nmの範囲内とし、横配線用触媒膜35の厚さは、縦配線用触媒膜21よりも厚く、かつ2nm〜50nmの範囲内とする。
【0037】
実施例1では、最終的に充填膜40、60を除去したが、充填膜40、60に、例えばポーラスシリカ等の低誘電率材料を用い、そのまま残存させてもよい。充填膜40、60を残存させると、配線の機械的強度を増すことができる。同様に、配線の一部分に充填材を用い、残る一部分を除去してもよい。この場合も、配線の機械的強度を高めることが可能となる。
【実施例2】
【0038】
図4A〜図4Fを参照して、実施例2による配線構造体の製造方法について説明する。なお、以下の説明においては、実施例1の製造方法との相違点に着目し、実施例1の製造方法と同一の工程については、説明を省略する場合がある。
【0039】
図4Aに示すように、基板10の表面の、相互に離隔した複数の縦配線領域23に、導電膜20及び縦配線用触媒膜21を形成する。1つの縦配線領域23から他の縦配線領域23まで連続する横配線領域26には、基板10の表面が露出している。
【0040】
図4Bに示すように、横配線領域26に、絶縁膜34及び横配線用触媒膜35を形成する。
【0041】
図4Cに示すように、支持領域27の横配線用触媒膜35を除去し、絶縁膜34を露出させる。支持領域27は、横配線領域26のうち、当該横配線領域26に連続している縦配線領域23のいずれからも離隔した領域に画定されている。横配線用触媒膜35の除去には、例えばイオンミリングを用いることができる。なお、リフトオフ法を用いて、図4Cに示すようにパターニングされた横配線用触媒膜35を形成してもよい。
【0042】
図4Dに示すように、支持領域27に、支持用触媒膜36を形成する。支持用触媒膜36は、縦配線用触媒膜21と同じ材料で形成され、その厚さも、縦配線用触媒膜21と同一である。支持用触媒膜36は、例えばリフトオフ法を用いてパターニングすることができる。
【0043】
図4Eに示すように、横配線12及び縦配線11を形成する。このとき、支持領域27にも、カーボンナノチューブの束で構成される支持部材15が形成される。
【0044】
図4Fに示すように、横配線12の上に、2層目の導電膜55、絶縁膜57、縦配線13及び横配線14を形成する。2層目の1つの縦配線13は、平面視において支持部材15と重なる位置に配置される。
【0045】
実施例2では、横配線12が、縦配線11のみではなく、支持部材15によっても支持されている。縦配線11の位置は、電子回路の設計上の要請から決まる。このため、縦配線11の位置を、自由に設定することはできない。1本の横配線12で接続すべき2つの縦配線11の間隔が広い場合には、中空に支持されている横方向12の機械的強度が弱くなる。実施例2のように、横配線12を、支持部材15で支持することにより、横配線12の十分な機械的強度を維持することができる。
【0046】
2層目の縦配線13を、1層目の横配線12の中空部分に配置すると、上層の配線の重みによって、1層目の横配線12が破壊されやすくなる。実施例2のように、2層目の縦配線13の真下に、1層目の支持部材15を配置することにより、上層配線の重みに耐えることが可能な十分な機械的強度を確保することができる。これにより、上層の縦配線13の配置の自由度が高まる。
【0047】
支持部材15と基板10との間に、絶縁膜34が配置されているため、横配線12が、支持部材15を経由して、基板10上の予期しない導電領域に電気的に接続されてしまうことはない。
【0048】
図5に、実施例2の変形例による配線構造体の断面図を示す。2層目の横配線14が、支持部材17によって支持されている。支持部材17の下端には、2層目の絶縁膜57が接続されている。2層目の絶縁膜57は、2層目の支持部材17の真下に配置された1層目の支持部材15によって補強されている。1層目の支持部材15と2層目の絶縁膜57との間には、1層目の横配線12と同一の工程で形成されたダミー配線16が配置されている。
【0049】
このように、1層目の支持部材15と2層目の支持部材17とを、平面視において重なるように配置することにより、2層目の横配線14を補強することができる。
【0050】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施例1による配線構造体の斜視図である。
【図2−1】(2A)〜(2E)は、実施例1による配線構造体の製造途中段階における断面図である。
【図2−2】(2F)〜(2H)は、実施例1による配線構造体の製造途中段階における断面図である。
【図2−3】(2I)〜(2K)は、実施例1による配線構造体の製造途中段階における断面図である。
【図2−4】(2L)〜(2M)は、実施例1による配線構造体の製造途中段階における断面図である。
【図2−5】(2N)は、実施例1による配線構造体の製造途中段階における断面図であり、(2O)は、実施例1による配線構造体の断面図である。
【図3】実施例1の変形例による配線構造体の断面図である。
【図4−1】(4A)〜(4D)は、実施例2による配線構造体の製造途中段階における断面図である。
【図4−2】(4E)〜(4F)は、実施例2による配線構造体の製造途中段階における断面図である。
【図5】実施例2の変形例による配線構造体の断面図である。
【符号の説明】
【0052】
10 基板
11 1層目の縦配線
12 1層目の横配線
13 2層目の縦配線
14 2層目の横配線
15 支持部材
20 導電膜
21 縦配線用触媒膜
22 レジストパターン
23 第1の縦配線領域
25 第1の無配線領域
26 第1の横配線領域
27 支持領域
30 レジストパターン
34 絶縁膜
35 横配線用触媒膜
40 充填膜
50 第2の縦配線領域
51 第2の横配線領域
52 第2の無配線領域
55 導電膜
56 縦配線用触媒膜
57 絶縁膜
58 横配線用触媒膜
60 充填膜
65 導電膜
66 絶縁膜
67 3層目の縦配線
68 3層目の横配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板表面の相互に離隔した2つの縦配線領域に、第1の厚さの縦配線用触媒膜を形成し、1つの該縦配線領域から他の縦配線領域まで連続する横配線領域に、該第1の厚さよりも厚い第2の厚さの横配線用触媒膜を形成する工程と、
前記縦配線用触媒膜及び横配線用触媒膜の上に、カーボンを含む構造体を気相成長させる工程と
を有し、
前記気相成長の初期段階には、前記縦配線用触媒膜及び横配線用触媒膜の上にグラファイトが形成され、その後、前記縦配線領域の前記グラファイトと前記基板との間にカーボンナノチューブが成長し、前記横配線領域の前記グラファイトが、前記縦配線領域に成長したカーボンナノチューブによって中空に支持されるように前記第1の厚さ及び第2の厚さが設定されている配線構造体の製造方法。
【請求項2】
前記第1の厚さは1nmから5nmまでの範囲内であり、前記第2の厚さは2nmから50nmまでの範囲内である請求項1に記載の配線構造体の製造方法。
【請求項3】
基板の表面の複数の導電性領域の各々から延びる複数のカーボンナノチューブを含む縦配線と、
少なくとも2つの前記縦配線の一方の上端から他方の上端まで横方向に延びるグラファイトを含む横配線と
を有する配線構造体。
【請求項4】
前記横配線と前記基板との間は真空である、または前記横配線と前記基板との間に気体が満たされている請求項3に記載の配線構造体。
【請求項5】
さらに、前記横配線の底面の一部から前記基板側に向かって延びる複数のカーボンナノチューブを含む支持部材と、
前記支持部材の下端と前記基板との間に配置された絶縁膜と
を有する請求項3または4に記載の配線構造体。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【図2−5】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−147237(P2010−147237A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322660(P2008−322660)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】