説明

金属積層板およびその製造方法

本発明は、金属層と、1つ以上のポリイミド系樹脂層とを含み、前記ポリイミド系樹脂層は、400℃で弾性率が70Mpa以上であることを特徴とする金属積層板およびその製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属層とポリイミド系樹脂層を含む金属積層板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
本出願は、2006年3月6日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2006−0021120号の出願日の利益を主張したものであり、その内容すべては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
電子機器の複雑化に伴い、配線の大部分は回路基板に代替されている。回路基板は、空間、重さ、労働力を節減できる上に、電線に比べて信頼性が高いものとして知られている。また、電子機器の軽薄短小化が進むにつれて、その多くが既存の硬性プリント回路基板からフレキシブルプリント回路基板に代替されている。
【0004】
フレキシブルプリント回路基板に用いられる金属積層板は、3層銅張積層板(3CCL:3−Copper−clad−laminates)と2層銅張積層板(2CCL:2−Copper−clad−laminates)とに大別される。
【0005】
3層の銅張積層板は、銅箔とポリイミドフィルムをエポキシ系やアクリル系接着剤を用いて圧着処理したものであり、2層銅張積層板は、接着剤を用いずにポリイミドと銅箔だけで形成されたものである。
【0006】
2層銅張積層板の製造方法の代表的な例としては、ポリイミド(PI)フィルムの表面に銅を蒸着して積層させるスパッタリング法と、銅箔にポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥した後、これを熱的あるいは化学的にイミド化(硬化)して積層体を形成するキャスティング法がある。
【0007】
一例として、特開平8−250860号には、キャスティング法で製作され、カール(curl)の発生を減少するように3層構造の積層ポリイミド絶縁層を有する2層銅張積層式のフレキシブルプリント基板が開示されている。
【0008】
ここで、3層構造の積層ポリイミド絶縁層は、導体である銅箔の一面にポリイミド前駆体溶液を塗布し、イミド化して形成される熱膨張率20×10−6/K以上の第1ポリイミド系樹脂層と、その上に同じ方法で形成された熱膨張率20×10−6/K未満の第2ポリイミド系樹脂層と、その上に同じ方法で形成された20×10−6/K以上の第3ポリイミド系樹脂層とで構成される。ここで、銅箔層上に設けられて接着層の役割をする第1ポリイミド系樹脂層は、銅箔との接着力を向上させるために、柔軟な物性を有するように形成される。
【0009】
図8に示すように、このような第1ないし第3ポリイミド系樹脂層で構成されたポリイミド系樹脂層120およびポリイミド系樹脂層120上に形成された銅箔層をエッチングして形成された銅箔回路パターン110aを含む銅張積層板と、ICチップ140の信号処理のための金バンプ(Au bump)141が形成されたICチップ140とを、ステージ130とツールボンダー131を用いて接合させるようになる。
【0010】
銅箔回路パターン110aとICチップ140の金バンプ141を接合させるとき、ツールボンダー131の温度が350℃〜450℃の高温であることによって、図9に示すように、ポリイミド系樹脂層120のうちで銅箔回路パターン110aの下側に配置された第1ポリイミド系樹脂層が柔軟になり、銅箔回路パターン110aがポリイミド系樹脂層120側に埋め込まれてしまうという問題点がある。
【0011】
さらに、第1ポリイミド系樹脂層は、熱膨張率20×10−6/K以上であり、銅箔と相違する。これにより、前述した高温条件においては、熱膨張による銅箔とポリイミド系樹脂層のうちの第1ポリイミド系樹脂層との間の高温接着力が低下するという問題点もある。
【特許文献1】特開平8−250860号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明は、高温で金属層とポリイミド系樹脂層との間の高温接着力の低下を防ぐことができる上に、高温条件で金属積層板とICチップを接合させるときに回路パターンが埋め込まれることを防ぎ、製造が容易かつ製造コストを節減できる金属積層板およびこの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明に係る一実施形態は、金属層と、1つ以上のポリイミド系樹脂層とを含み、前記ポリイミド系樹脂層は、400℃で弾性率が70Mpa以上であることを特徴とする金属積層板を提供する。
【0014】
前記金属層は、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、銀、パラジウム、クロム、モリブデン、およびタングステンとこれらの合金のうちのいずれか1つで形成されても良い。
【0015】
前記ポリイミド系樹脂層は、PMDA(ピロメリト酸二無水物)、BPDA(3,3’,4,4’−ビフエニルテトラカルボン酸二無水物)、BTDA(3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物)、ODPA(4,4’−オキシジフタル酸無水物)、BPADA(4,4’−(4,4’−イソプロピルビフェノキシ)ビフタル酸無水物)、6FDA(2,2’−ビス−(3,4−ジカルボキシルフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物)、およびTMEG(エチレングリコールビス(無水トリメリット酸))からなる群から選択される1種以上の二無水物、およびp−PDA(p−フェニレンジアミン)、m−PDA(m−フェニレンジアミン)、4,4’−ODA(4,4’−オキシジアニリン)、3,4’−ODA(3,4’−オキシジアニリン)、BAPP(2,2−ビス(4−[4−アミノフェノキシ]−フェニル)プロパン)、TPE−R(1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン)、m−BAPS(2,2−ビス(4−[3−アミノフェノキシ]フェニル)スルフォン)、HAB(3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル)、およびDABA(4,4’−ジアミノベンズアニリド)からなる群から選択される1種以上のジアミンを混合して製造されるポリイミド前駆体溶液によって形成されても良い。
【0016】
前記ポリイミド系樹脂層は、前記金属層上に積層される第1ポリイミド系樹脂層と、前記第1ポリイミド系樹脂層上に積層される第2ポリイミド系樹脂層とを含んでも良い。
【0017】
前記ポリイミド系樹脂層が第1および第2ポリイミド系樹脂層で構成される場合に、金属層上に積層される第1ポリイミド系樹脂層は、金属層にポリイミド系樹脂層を接着させる接着層の役割と、金属積層板の主な物性を示すベース層の役割とのすべてを行う。また、第1ポリイミド系樹脂層上に積層される第2ポリイミド系樹脂層は、金属層のエッチング工程後にポリイミド系樹脂層に発生し得るカールを補正する役割を行うようになる。カールは、金属積層板製品そのものに発生する場合もあるし、金属積層板の金属層をエッチングした後にポリイミド系樹脂層に発生する場合もある。金属積層板製品そのものに発生するカールを無くすためには、ポリイミド系樹脂層の平均的な熱膨張率(CTE)が金属層の熱膨張率と同一にならなければならない。また、金属層をエッチングした後にポリイミド系樹脂層に発生するエッチングカールを無くすためには、金属層をエッチングした後、ポリイミド系樹脂層との間の力の均衡が合わなければならない。金属積層板の場合、カールを合わせなければ、チップボンディング作業およびACF(Anisotropic Conductive Film)のを用いたパネルOLB(Outer Lead Bonding)工程作業を実行し難くなってしまう。
【0018】
ここで、前記第1ポリイミド系樹脂層は、前記第1および第2ポリイミド系樹脂層を含む前記ポリイミド系樹脂層の全体の厚さの80%以上を占めることが好ましい。
【0019】
一例として、前記第1ポリイミド系樹脂層の厚さは30μm〜40μmであり、より好ましくは32μm〜38μmである。
【0020】
前記第1および第2ポリイミド系樹脂層を含む全体ポリイミド系樹脂層は、熱膨張率が20ppm/K以下である。
【0021】
この場合、第1ポリイミド系樹脂層と第2ポリイミド系樹脂層とを含む全体ポリイミド系樹脂層の熱膨張率は20ppm/K以下であり、このような全体ポリイミド系樹脂層は、400℃の高温で測定した弾性率が70Mpa以上であっても良く、このように、400℃の高温で弾性率が70Mpa以上である上に、400℃を超える高温でも弾性率が70Mpa以上であることは言うまでもない。ここで、弾性率(Modulus of Elasticity)と熱膨張率(CTE)について説明する。弾性率は力による伸びを示す尺度であり、熱膨張率は熱による伸びを示す尺度であって、弾性率と熱膨張率との間には負の勾配を有する直線関係が成立する。
【0022】
一方、前記第1および第2ポリイミド系樹脂層を含むポリイミド系樹脂層において、第1ポリイミド系樹脂層の熱膨張率は20ppm/K以下、および/または第2ポリイミド系樹脂層の熱膨張率は20ppm/Kを超えても良い。
【0023】
ここで、ポリイミド系樹脂層が前記金属層上に積層されるとともに熱膨張率が20ppm/K以下である第1ポリイミド系樹脂層と、前記第1ポリイミド系樹脂層上に積層されるとともに熱膨張率が20ppm/Kを超える第2ポリイミド系樹脂層とを含む場合に、前記第1および第2ポリイミド系樹脂層を含む全体ポリイミド系樹脂層は、熱膨張率が20ppm/K以下であっても良い。
【0024】
また、ポリイミド系樹脂層が前記金属層上に積層されるとともに熱膨張率が20ppm/K以下である第1ポリイミド系樹脂層と、前記第1ポリイミド系樹脂層上に積層されるとともに熱膨張率が20ppm/K以下である第2ポリイミド系樹脂層と、前記第2ポリイミド系樹脂層上に積層されるとともに熱膨張率が20ppm/K以上である第3ポリイミド系樹脂層とを含んでも良い。
【0025】
この場合、前記第1ないし第3ポリイミド系樹脂層を含む全体ポリイミド系樹脂層は、熱膨張率が20ppm/K以下であっても良い。
【0026】
前記ポリイミド系樹脂層が第1ないし第3ポリイミド系樹脂層で構成される場合に、金属層上に積層される第1ポリイミド系樹脂層は、金属層にポリイミド系樹脂層を接着させる接着層の役割をし、第1ポリイミド系樹脂層上に積層される第2ポリイミド系樹脂層は、金属積層板の主な物性を示すベース層の役割をし、第2ポリイミド系樹脂層上に積層される第3ポリイミド系樹脂層は、金属層のエッチング工程後に発生するカールを補正する役割をするようになる。
【0027】
本発明の他の一実施形態は、本発明に係る金属積層板にICチップ(Integrated Circuit Chip)を接合して形成されることを特徴とするフレキシブルプリント回路基板を提供する。
【0028】
本発明のさらに他の一実施形態は、本発明に係る金属積層板の金属層をエッチングして回路パターンとして形成する段階;b)前記金属積層板の回路パターンを鍍金する段階;c)前記鍍金された回路パターンが形成された金属積層板をステージ(Stage)上に配置する段階;d)バンプ(Bump)が形成されたICチップをツールボンダー(Tool bonder)に装着する段階;e)前記ICチップが装着されたツールボンダーを移送させ、前記ICチップのバンプと前記金属積層板の回路パターンが相互対向するように、前記金属積層板の上側に前記ICチップを位置させる段階;およびf)前記ICチップが装着されたツールボンダーを前記ステージ上に配置された金属積層板に向かって加圧し、前記ICチップのバンプと前記金属積層板の回路パターンを接合する段階;を含むことを特徴とするフレキシブルプリント回路基板の製造方法を提供する。
【0029】
前記a)段階では、前記金属積層板の金属層をエッチングして回路パターンとしてパターニングするようになり、このように形成された回路パターンのピッチ(回路パターンのラインとラインとの間の間隔)は、25μm〜38μmであっても良い。
【0030】
前記b)段階では、スズ(Sn)および金(Au)のうちから選択された1種以上の金属で鍍金しても良い。前記b)段階において、前記金属積層板の回路パターン上にスズおよび金のうちから選択された1種以上の金属で鍍金するときは、0.2μm〜0.3μmの厚さで鍍金するのが好ましい。
【0031】
前記c)段階において、前記ステージの温度は、30℃〜200℃であっても良い。ここで、ステージの作業温度が30℃〜200℃と広範囲であるのは、ICチップのバンプと金属積層板の回路パターンとの接合位置を合わせるためである。すなわち、金属積層板の回路パターンが配列される部分であるTD(Transverse Direction)方向の熱膨張率を調整することで、ICチップのバンプの位置と合わせるためである。
【0032】
前記d)段階において、前記ICチップのバンプは、金で鍍金された金バンプであっても良い。
【0033】
前記d)段階において、前記ツールボンダーの温度は、350℃〜450℃であっても良い。
【0034】
前記f)段階において、前記ICチップが装着されたツールボンダーを前記ステージ上に配置された金属積層板に向かって加圧するときは、6kgf〜14kgfの圧力で加圧しても良い。
【0035】
前記f)段階において、前記ICチップが装着されたツールボンダーを前記ステージ上に配置された金属積層板に向かって加圧するときは、0.2秒〜1秒間加圧しても良い。
【0036】
前述したICチップ接合工程後には、IL(Inner Lead)ピールオフ(peel off)テストを通じて、前記ICチップのバンプと前記金属積層板の回路パターンとが適切に接合されたのかを確認することができる。図6は、前記ICチップのバンプと前記金属積層板の回路パターンが適切に接合した前記テストの合格状態を示した図であり、図7は、前記ICチップのバンプと前記金属積層板の回路パターンとの接合不良を示した図である。
【0037】
本発明のさらに他の一実施形態は、金属層上にポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥および硬化させ、400℃で弾性率が70Mpa以上であるポリイミド系樹脂層を形成することを特徴とする金属積層板の製造方法を提供する。本実施形態では、前述した実施状態において金属積層板について説明した内容がすべて適用される。
【0038】
前記ポリイミド系樹脂層を形成する段階は、前記金属層上に第1ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥および硬化させて第1ポリイミド系樹脂層を形成する段階、及び前記第1ポリイミド系樹脂層上に第2ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥および硬化させて第2ポリイミド系樹脂層を形成する段階を含んでも良い。
【0039】
ここで、前記第1および第2ポリイミド系樹脂層を含む全体ポリイミド系樹脂層は、熱膨張係数が20ppm/K以下であっても良い。
【0040】
前記ポリイミド系樹脂層を形成する段階は、前記金属層上に第1ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥させて第1乾燥樹脂層を形成する段階;前記第1乾燥樹脂層上に第2ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥させて第2乾燥樹脂層を形成する段階;及び前記第1及び第2乾燥樹脂層を硬化させて、第1及び第2ポリイミド系樹脂層を形成する段階;を含んでも良い。
【0041】
ここで、前記第1および第2ポリイミド系樹脂層を含む全体ポリイミド系樹脂層は、熱膨張係数が20ppm/K以下であっても良い。
【0042】
前記第1及び第2ポリイミド系樹脂層を含むポリイミド系樹脂層において、前記金属層上に第1ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥および硬化させて熱膨張係数が20ppm/K以下である第1ポリイミド系樹脂層を形成し、前記第1ポリイミド系樹脂層上に第2ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥および硬化させて第2ポリイミド系樹脂層を形成しても良い。このとき、前記第2ポリイミド系樹脂層の熱膨張係数は20ppm/Kを超えるように形成しても良い。
【0043】
前記ポリイミド系樹脂層を形成する段階は、前記金属層上に第1ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥させて第1乾燥樹脂層を形成する段階;前記第1乾燥樹脂層上に第2ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥させて第2乾燥樹脂層を形成する段階;及び前記第1乾燥樹脂層及び前記第2乾燥樹脂層を硬化させて、熱膨張係数が20ppm/K以下である第1ポリイミド系樹脂層及び第2ポリイミド系樹脂層を形成する段階;を含んでも良い。このとき、前記第2ポリイミド系樹脂層の熱膨張係数は20ppm/Kを超えるように形成しても良い。
【0044】
前記金属層上に第1ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥および硬化させて熱膨張係数が20ppm/K以下である第1ポリイミド系樹脂層を形成し、前記第1ポリイミド系樹脂層上に第2ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥および硬化させて熱膨張係数が20ppm/Kを超える第2ポリイミド系樹脂層を形成して、第1および第2ポリイミド系樹脂層を含むポリイミド系樹脂層を形成した場合、前記第1及び第2ポリイミド系樹脂層を含む全体ポリイミド系樹脂層は、熱膨張係数が20ppm/K以下であっても良い。
【0045】
前記ポリイミド系樹脂層を形成する段階は、前記金属層上に第1ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥させて第1乾燥樹脂層を形成する段階;前記第1乾燥樹脂層上に第2ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥させて第2乾燥樹脂層を形成する段階;及び前記第1乾燥樹脂層及び前記第2乾燥樹脂層を硬化させて、熱膨張係数が20ppm/K以下である第1ポリイミド系樹脂層及び熱膨張係数が20ppm/Kを超える第2ポリイミド系樹脂層を形成する段階;を含んでも良い。ここで、前記第1および第2ポリイミド系樹脂層を含む全体ポリイミド系樹脂層は、熱膨張係数が20ppm/K以下であっても良い。
【0046】
前記ポリイミド系樹脂層を形成する段階は、前記金属層上に第1ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥および硬化させて熱膨張係数が20ppm/K以下である第1ポリイミド系樹脂層を形成する段階;前記第1ポリイミド系樹脂層上に第2ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥および硬化させて熱膨張係数が20ppm/K以下である第2ポリイミド系樹脂層を形成する段階;及び前記第2ポリイミド系樹脂層上に第3ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥および硬化させて熱膨張係数が20ppm/K以上である第3ポリイミド系樹脂層を形成する段階;を含み、前記第1ないし第3ポリイミド系樹脂層を含むポリイミド系樹脂層を形成しても良い。
【0047】
ここで、前記第1ないし第3ポリイミド系樹脂層を含む全体ポリイミド系樹脂層は、熱膨張係数が20ppm/K以下であっても良い。
【0048】
前記ポリイミド系樹脂層を形成する段階は、前記金属層上に第1ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥させて第1乾燥樹脂層を形成する段階;前記第1乾燥樹脂層上に第2ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥させて第2乾燥樹脂層を形成する段階;前記第2乾燥樹脂層上に第3ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥させて第3乾燥樹脂層を形成する段階;及び前記第1ないし第3乾燥樹脂層を硬化させて、熱膨張係数が20ppm/K以下である第1ポリイミド系樹脂層、熱膨張係数が20ppm/K以下である第2ポリイミド系樹脂層、及び熱膨張係数が20ppm/K以上である第3ポリイミド系樹脂層を形成する段階;を含んでも良い。ここで、前記第1ないし第3ポリイミド系樹脂層を含む全体ポリイミド系樹脂層は、熱膨張係数が20ppm/K以下であっても良い。
【発明の効果】
【0049】
以上で説明したように、本発明によれば、400℃の高温で弾性率が70Mpa以上であることにより、高温条件で金属積層板とICチップを接合させるときに、回路パターンの崩れを防げるようになる。
【0050】
また、本発明において、金属層の真上に熱膨張率が20ppm/K以下であるポリイミド系樹脂層が積層される場合には、金属層とポリイミド系樹脂層との間の高温接着力を向上させることができるようになる。
【0051】
さらに、本発明において、金属積層板のポリイミド系樹脂層が2層で構成される場合には、3層で構成される場合よりもその構造が簡素化され、製造が容易で生産性の向上が可能である上に製造費用を節減させることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下、添付の図面を参照して、本発明について詳細に説明する。
本発明に係る金属積層板の一例として、銅張積層板は、図1に示すように、金属層である銅箔層10と、銅箔層10の上に積層されたポリイミド系樹脂層20とを含む。
【0053】
ここで、金属層の一例として、銅(Cu)を材料とする銅箔層10を説明したが、これに限定されることはなく、金属層は、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、銀、パラジウム、クロム、モリブデンおよびタングステンまたはこれらの合金など多様な金属での形成が可能である。
【0054】
ポリイミド系樹脂層20は、銅箔層10上に積層された第1ポリイミド系樹脂層21と、第1ポリイミド系樹脂層21上に積層された第2ポリイミド系樹脂層22とを含む。第1および第2ポリイミド系樹脂層21、22を含むポリイミド系樹脂層20は、400℃の高温で弾性率が70Mpa以上である。ここで、温度条件を400℃と記載したが、400℃を超える高温でも弾性率が70Mpa以上であることは言うまでもない。一方、図1において、ポリイミド系樹脂層20は、第1および第2ポリイミド系樹脂層21、22で構成されているが、他の一例として、図2に示すように、ポリイミド系樹脂層20aは、第1ないし第3ポリイミド系樹脂層21a、22a、23aで構成されることもできる。
【0055】
ここで、第1および第2ポリイミド系樹脂層21、22は、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなど、その構造にイミド結合を有する樹脂である。
【0056】
第1ポリイミド系樹脂層21は高耐熱性であって、熱膨張率が20ppm/K以下である。
【0057】
第1ポリイミド系樹脂層21は、ポリイミド系樹脂層20の縦断面による全体厚さに対して、80%以上を占めるように形成されることが好ましい。80%未満の厚さで銅箔層10上に形成されれば、銅箔層10がエッチングされた後、ポリイミド系樹脂層20にカールが発生する恐れがある。銅箔層10をエッチングした後にポリイミド系樹脂層21、22にカールが発生することを防ぐためには、ポリイミド系樹脂層21、22間の熱膨張率と弾性率を考慮する必要がある。銅箔層10のエッチング時に銅箔が剥がれた後に、ポリイミド系樹脂層21、22間の熱膨張率と厚さによる弾性率差によってポリイミド系樹脂層21、22間の力の均衡が合わなければ、カールが発生するようになるためである。
【0058】
これにより、一例として、第1ポリイミド系樹脂層21の厚さは30μm〜40μmであることができ、より好ましくは32μm〜38μmであることができる。
【0059】
第2ポリイミド系樹脂層22は、熱膨張率が20ppm/Kを超える高熱膨張性を有しており、第1ポリイミド系樹脂層21の上側に形成され、銅箔層10のエッチング工程後にポリイミド系樹脂層20に発生し得るカールを補正する役割をする。第1ポリイミド系樹脂層21の場合は、熱膨張率が20ppm/K以下であるため、銅箔層10の熱膨張率と類似した特性を有しているが、銅箔層10と全体ポリイミド系樹脂層20の間の厚さと弾性率を考慮するとき、銅箔層10の弾性率は全体ポリイミド系樹脂層20よりも約10倍以上の弾性率を有している。ここで、カールの発生を防ぐためには、銅箔層10上にポリイミド系樹脂層20を積層した後、銅箔層10とポリイミド系樹脂層20の間の力の均衡が合わなければならない。したがって、銅箔層10の厚さとポリイミド系樹脂層20間の厚さの比率が弾性率の差と類似するように形成される必要がある。もし、厚さの比率が類似して形成されない場合には、第2ポリイミド系樹脂層22の熱膨張率を大きく構成して厚さを調整することによって、銅箔層10側にポリイミド系樹脂層20が曲がるカールを調整できるようになる。
【0060】
以下、このような構成を有する銅張積層板の製造方法について説明する。
【0061】
銅張積層板の製造方法は、第1ポリイミド系樹脂層21を形成するためのポリイミド前駆体溶液を銅箔層10に塗布および乾燥する段階と、その上に第2ポリイミド系樹脂層22を形成するためのポリイミド前駆体溶液を塗布および乾燥する段階と、硬化温度まで昇温させて塗布されたポリイミド前駆体溶液を硬化させる硬化段階とを含む。
【0062】
塗布段階で用いられるポリイミド前駆体溶液は、有機溶媒に二無水物とジアミンを混合したワニス形態で製造される。さらに、塗布段階では、ダイコーター(die coater)、コンマコーター(comma coater)、リバースコンマコーター(reverse comma coater)およびグラビアコーター(gravure coater)などの使用も可能であるし、この他にも一般的にコーティングに用いられる技術の使用も可能であることは言うまでもない。
【0063】
本発明では、ポリイミド前駆体溶液を製造するときに、二無水物とジアミンの混合比または二無水物間またはジアミン間の混合比を調節したり、選択される二無水物およびジアミンの種類を調節したりすることで、所望する熱膨張率のポリイミド系樹脂を得ることができる。
【0064】
二無水物としては、PMDA(ピロメリト酸二無水物)、BPDA(3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)、BTDA(3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物)、ODPA(4,4’−オキシジフタル酸無水物)、BPADA(4,4’−(4,4’−イソプロピルビフェノキシ)ビフタル酸無水物)、6FDA(2,2’−ビス−(3,4−ジカルボキシルフェニル)ヘキサフルオプロパン酸二無水物)、およびTMEG(エチレングリコールビス(無水トリメリット酸)から成る群から選択される1種以上が用いられる。
【0065】
ジアミンとしては、p−PDA(p−フェニレンジアミン)、m−PDA(m−フェニレンジアミン)、4,4’−ODA(4,4’−オキシジアニリン)、3,4’−ODA(3,4’−オキシジアニリン)、BAPP(2,2−ビス(4−[4−アミノフェノキシ]−フェニル)プロパン)、TPE−R(1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン)、m−BAPS(2,2−ビス(4−[3−アミノフェノキシ]フェニル)スルフォン)、HAB(3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル)、およびDABA(4,4’−ジアミノベンズアニリド)から成る群から選択される1種以上が用いられる。
【0066】
これ以外にも、二無水物やジアミンまたは他の化合物を少量添加し得ることは言うまでもない。
【0067】
有機溶媒としては、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、シクロヘキサン、アセトニトリルおよびこれらの混合物から成る群から選択して用いられるが、これに限定されることはない。
【0068】
塗布や硬化を容易にするため、またはその他の物性を向上させるために、消泡剤、ゲル化防止剤、および硬化促進剤などのような添加剤をさらに追加することもできる。
【0069】
乾燥段階では、アーチ型オーブンやフローティング型オーブン(floating type oven)などを用いて約100℃〜350℃、より好ましくは約140℃〜250℃温度で乾燥させ、硬化段階では350℃まで昇温して硬化させるようになるが、このとき、ポリイミド前駆体溶液の硬化(イミド化)が進行するようになる。
【0070】
以下、実施例1〜実施例6を用いて、銅張積層板の製造方法について具体的に説明するが、本発明がこれに限定されることはない。
【0071】
[合成例1]
−第2ポリイミド系樹脂層を形成するためのポリイミド前駆体溶液の合成−
N−メチルピロリドン 162mlにp−PDA 2.65gと4,4’−ODA 3.95gを入れて溶解させた後、BPDA 13.32gを添加して24時間撹拌して重合させた。このとき、重合温度は5℃とする。重合した溶液を350℃まで昇温させ、厚さが40μmとなるフィルムを製造した。
このフィルムを10℃/分の速度で昇温させながらTMAを用いて熱膨張率を測定した結果、100℃〜200℃の温度範囲で平均熱膨張率は28ppm/Kであった。
【0072】
[合成例2〜6]
−第1ポリイミド系樹脂層を形成するためのポリイミド前駆体溶液の合成
下記表1のように、二無水物およびジアミンを用い、合成例1と同じ方法で、第1ポリイミド系樹脂層を形成するためのポリイミド前駆体溶液を製造した。
【0073】
【表1】

【0074】
[実施例1]
15μmの厚さを有する銅箔層10(日本三井銅箔NA−VLP)に合成例2で製造したポリイミド前駆体溶液を塗布し、硬化後、各ポリイミド系樹脂層の厚さを下記表2および表3に示されているようにした。その後、140℃で乾燥させ、これに接するように合成例1で製造したポリイミド前駆体溶液を同じ方法で塗布した後に乾燥し、温度を350℃まで上げて硬化させた。さらに、全体ポリイミド系樹脂層20の熱膨張率も測定した(表6参照)。また、高温接着力を測定するために、150℃、168hr間熱処理した後、常温で万能引張機を用いて銅箔層10とポリイミド系樹脂層20との間の接着力を測定した(表2参照)。さらに、動的機械分析装置(Dynamic Mechanical Analyzer)を用いて1分当り5℃/minの速度で昇温した後、400℃で全体ポリイミド系樹脂層20の弾性率を測定した(表3参照)。
【0075】
[実施例2〜4]
下記表2および表3のポリイミド前駆体溶液を用い、実施例1と同じ方法で銅張積層板を製作した後、全体ポリイミド系樹脂層20の熱膨張率を測定した(表6参照)。さらに、銅箔層10とポリイミド系樹脂層20と間の高温接着力およびポリイミド系樹脂層20の弾性率も測定した(表2および表3参照)。
【表2】

【0076】
【表3】

【0077】
[実施例5〜6]
下記表4および表5のポリイミド前駆体溶液を用いて3層で構成されたポリイミド系樹脂層を形成したことを除いては、実施例1と同じ方法で銅張積層板を製作した後、3層21a、22a、23aで構成されたポリイミド系樹脂層20aの熱膨張率を測定した(表6参照)。また、銅箔層10とポリイミド系樹脂層20aの間の高温接着力および3層21a、22a、23aで構成されたポリイミド系樹脂層20aの弾性率を測定した(表4および表5参照)。
【0078】
【表4】

【0079】
【表5】

【0080】
【表6】

【0081】
[比較例1]
銅箔に合成例2で製造したポリイミド前駆体溶液を厚さが30μmとなるように塗布した。その後、140℃で乾燥させ、これに接するように合成例1で製造したポリイミド前駆体溶液を同じ方法で厚さが10μmとなるように塗布した後に乾燥し、温度を350℃まで上げてその薄膜を硬化させた。このとき、硬化されたポリイミド系樹脂層の高温接着力は1000g/cmであり、400℃での弾性率は65Mpaであった。
【0082】
[比較例2]
銅箔に合成例6で製造したポリイミド前駆体溶液を厚さが5μmとなるように塗布した。その後、合成例2で製造したポリイミド前駆体溶液を同じ方法で厚さが33μmとなるように塗布した後に乾燥した。その後、合成例1で製造したポリイミド前駆体溶液を同じ方法で2μmとなるように塗布した後に乾燥し、温度を350℃まで上げてその薄膜を硬化させた後、3層銅箔積層板を製作した。このとき、硬化されたポリイミドの高温接着力は500g/cmであり、400℃での弾性率は5Mpaであった。
このような比較例1および2の高温接着力と弾性率を整理して、表7および図8に示した。
【0083】
【表7】

【0084】
【表8】

【0085】
一方、前述した実施例1〜6および比較例1〜2に係る銅張積層板の金属層をエッチングして銅箔回路パターンとして形成した後、図3および図4に示された方法によって、ステージ30の温度30℃〜200℃、ツールボンダー31の温度350℃〜450℃、および加圧条件6〜14kgfでステージ30とツールボンダー31を用い、実施例1〜6および比較例1〜2に係る銅張積層板に金バンプが形成されたICチップを実装した。このとき、ポリイミド系樹脂層上に形成された銅箔回路パターンが崩れるかどうかを確認した。
【0086】
【表9】

【0087】
表9、図4および図5に示されるように、本発明の実施例1〜6に係る銅張積層板の銅箔回路パターン10aとICチップ40の金バンプ41を接合する場合には、本発明の実施例1〜6に係るポリイミド系樹脂層20、20aに形成された銅箔回路パターン10aは崩れなかった。しかし、比較例1〜2に係る銅張積層板の場合には、従来技術を示した図9と同じ結果が現われた。すなわち、比較例1〜2に係る銅張積層板の場合には、銅箔回路パターンがポリイミド系樹脂層側に埋め込まれながら崩れるという結果が現われた。
【0088】
ICチップ140のボンディング時にツールボンダー131の温度が高いためポリイミド系樹脂層120が柔軟になり、ツールボンダー131の加圧力によって押されて銅箔回路パターン110aが崩れた従来および比較例1〜2とは異なり、本発明によれば、400℃の高温または400℃を超える高温でも弾性率が70Mpa以上であることにより、銅箔回路パターン10aの崩れを防ぐことができるようになる。
【0089】
また、高温で接着力が低下する従来および比較例1〜2とは異なり、本発明によれば、銅箔層の真上に熱膨張率が20ppm/K以下であるポリイミド系樹脂層が積層される場合には、銅箔層とポリイミド系樹脂層との間の高温接着力が向上することを確認することができる。
【0090】
さらに、本発明に係る金属積層板のポリイミド系樹脂層が2層で構成される場合には、3層で構成される場合よりも構造が簡素化され、製造が容易であるため生産性が向上する上に製造費用を節減させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】銅箔層と第1および第2ポリイミド系樹脂層を含む本発明に係る銅張積層板の断面図である、
【図2】銅箔層と第1ないし第3ポリイミド系樹脂層を含む本発明に係る銅張積層板の断面図である。
【図3】本発明の銅張積層板とICチップの接合工程図である。
【図4】本発明の銅張積層板とICチップの接合工程図である。
【図5】本発明の銅張積層板とICチップの接合断面写真である。
【図6】銅張積層板とICチップの接合工程後、ILピールオフテスト(Inner Lead peel off)の結果、合格である場合を示した図である。
【図7】銅張積層板とICチップの接合工程後、ILピールオフテストの結果、不合格である場合を示した図である。
【図8】従来の銅張積層板とICチップの接合工程図である。
【図9】従来の銅張積層板とICチップの接合工程図である。
【符号の説明】
【0092】
10: 銅箔層
10a:銅箔回路パターン
20:ポリイミド系樹脂層
21: 第1ポリイミド系樹脂層
22: 第2ポリイミド系樹脂層
30:ステージ(Stage)
31:ツールボンダー(Tool bonder)
40:ICチップ(Integrated Circuit Chip)
41: Auバンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属層と、
1つ以上のポリイミド系樹脂層とを含み、
前記ポリイミド系樹脂層は、400℃で弾性率が70Mpa以上であることを特徴とする金属積層板。
【請求項2】
前記ポリイミド系樹脂層は、前記金属層上に積層される第1ポリイミド系樹脂層、および前記第1ポリイミド系樹脂層上に積層される第2ポリイミド系樹脂層を含み、
前記第1および第2ポリイミド系樹脂層を含む前記ポリイミド系樹脂層は、熱膨張率が20ppm/K以下であることを特徴とする請求項1に記載の金属積層板。
【請求項3】
前記ポリイミド系樹脂層は、前記金属層上に積層される第1ポリイミド系樹脂層、および前記第1ポリイミド系樹脂層上に積層される第2ポリイミド系樹脂層を含み、
前記第1ポリイミド系樹脂層の熱膨張率は、20ppm/K以下であることを特徴とする請求項1に記載の金属積層板。
【請求項4】
前記第2ポリイミド系樹脂層の熱膨張率は、20ppm/Kを超えることを特徴とする請求項3に記載の金属積層板。
【請求項5】
前記ポリイミド系樹脂層は、前記金属層上に積層されるとともに熱膨張率が20ppm/K以下である第1ポリイミド系樹脂層、および前記第1ポリイミド系樹脂層上に積層されるとともに熱膨張率が20ppm/Kを超える第2ポリイミド系樹脂層を含み、
前記第1および第2ポリイミド系樹脂層を含む前記ポリイミド系樹脂層は、熱膨張率が20ppm/K以下であることを特徴とする請求項1に記載の金属積層板。
【請求項6】
前記ポリイミド系樹脂層は、前記金属層上に積層されるとともに熱膨張率が20ppm/K以下である第1ポリイミド系樹脂層、前記第1ポリイミド系樹脂層上に積層されるとともに熱膨張率が20ppm/K以下である第2ポリイミド系樹脂層、および前記第2ポリイミド系樹脂層上に積層されるとともに熱膨張率が20ppm/Kを超える第3ポリイミド系樹脂層を含むことを特徴とする請求項1に記載の金属積層板。
【請求項7】
前記第1ないし第3ポリイミド系樹脂層を含む前記ポリイミド系樹脂層は、熱膨張率が20ppm/K以下であることを特徴とする請求項6に記載の金属積層板。
【請求項8】
前記第1ポリイミド系樹脂層は、前記第1および第2ポリイミド系樹脂層を含む前記ポリイミド系樹脂層の全体厚さの80%以上を占めることを特徴とする請求項2に記載の金属積層板。
【請求項9】
前記第1ポリイミド系樹脂層の厚さは、30μm〜40μmであることを特徴とする請求項2に記載の金属積層板。
【請求項10】
前記ポリイミド系樹脂層は、
PMDA(ピロメリト酸二無水物)、BPDA(3,3’,4,4’−ビフエニルテトラカルボン酸二無水物)、BTDA(3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物)、ODPA(4,4’−オキシジフタル酸無水物)、BPADA(4,4’−(4,4’−イソプロピルビフェノキシ)ビフタル酸無水物)、6FDA(2,2’−ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物)、およびTMEG(エチレングリコールビス(無水トリメリット酸))から成る群から選択される1種以上の二無水物、および
p−PDA(p−フェニレンジアミン)、m−PDA(m−フェニレンジアミン)、4,4’−ODA(4,4’−オキシジアニリン)、3,4’−ODA(3,4’−オキシジアニリン)、BAPP(2,2−ビス(4−[4−アミノフェノキシ]−フェニル)プロパン)、TPE−R(1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン)、m−BAPS(2,2−ビス(4−[3−アミノフェノキシ]フェニル)スルフォン)、HAB(3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル)、およびDABA(4,4’−ジアミノベンズアニリド)から成る群から選択される1種以上のジアミン、
を混合して製造されるポリイミド前駆体溶液によって形成されることを特徴とする請求項1に記載の金属積層板。
【請求項11】
前記金属層は、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、銀、パラジウム、クロム、モリブデンおよびタングステンとこれらの合金のうちのいずれか1つで形成されることを特徴とする請求項1に記載の金属積層板。
【請求項12】
請求項1に係る金属積層板にICチップを接合して形成されることを特徴とするフレキシブルプリント回路基板。
【請求項13】
a)請求項1に係る金属積層板の金属層をエッチングして回路パターンとして形成する段階;
b)前記金属積層板の回路パターンを鍍金する段階;
c)前記鍍金された回路パターンが形成された金属積層板をステージ上に配置する段階;
d)バンプが形成されたICチップをツールボンダーに装着する段階;
e)前記ICチップが装着されたツールボンダーを移送させ、前記ICチップのバンプと前記金属積層板の回路パターンとが相互対向するように、前記金属積層板の上側に前記ICチップを位置させる段階;および
f)前記ICチップが装着されたツールボンダーを前記ステージ上に配置された金属積層板に向かって加圧し、前記ICチップのバンプと前記金属積層板の回路パターンとを接合する段階;
を含むことを特徴とするフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
【請求項14】
前記b)段階において、スズおよび金のうちから選択された1種以上の金属で鍍金することを特徴とする請求項13に記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
【請求項15】
前記c)段階において、前記ステージの温度は、30℃〜200℃であることを特徴とする請求項13に記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
【請求項16】
前記d)段階において、前記ICチップのバンプは、金で鍍金された金バンプであることを特徴とする請求項13に記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
【請求項17】
前記d)段階において、前記ツールボンダーの温度は、350℃〜450℃であることを特徴とする請求項13に記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
【請求項18】
前記f)段階において、前記ICチップが装着されたツールボンダーを前記ステージ上に配置された金属積層板に向かって加圧するとき、6kgf〜14kgfの圧力で加圧することを特徴とする請求項13に記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
【請求項19】
前記f)段階において、前記ICチップが装着されたツールボンダーを前記ステージ上に配置された金属積層板に向かって加圧するとき、0.2秒〜1秒間加圧することを特徴とする請求項13に記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
【請求項20】
金属層上にポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥および硬化させ、400℃で弾性率が70Mpa以上であるポリイミド系樹脂層を形成することを特徴とする金属積層板の製造方法。
【請求項21】
前記ポリイミド系樹脂層を形成する段階は、
前記金属層上に第1ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥および硬化させて第1ポリイミド系樹脂層を形成する段階;及び
前記第1ポリイミド系樹脂層上に第2ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥および硬化させて第2ポリイミド系樹脂層を形成する段階;
を含み、
前記第1および第2ポリイミド系樹脂層を含む前記ポリイミド系樹脂層は、熱膨張係数が20ppm/K以下であることを特徴とする請求項20に記載の金属積層板の製造方法。
【請求項22】
前記ポリイミド系樹脂層を形成する段階は、
前記金属層上に第1ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥させて第1乾燥樹脂層を形成する段階;
前記第1乾燥樹脂層上に第2ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥させて第2乾燥樹脂層を形成する段階;及び
前記第1及び第2乾燥樹脂層を硬化させて、第1及び第2ポリイミド系樹脂層を形成する段階;
を含み、
前記第1および第2ポリイミド系樹脂層を含む前記ポリイミド系樹脂層は、熱膨張係数が20ppm/K以下であることを特徴とする請求項20に記載の金属積層板の製造方法。
【請求項23】
前記ポリイミド系樹脂層を形成する段階は、
前記金属層上に第1ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥および硬化させて熱膨張係数が20ppm/K以下である第1ポリイミド系樹脂層を形成する段階;及び
前記第1ポリイミド系樹脂層上に第2ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥および硬化させて第2ポリイミド系樹脂層を形成する段階;
を含み、
前記ポリイミド系樹脂層は、前記第1及び第2ポリイミド系樹脂層を含むことを特徴とする請求項20に記載の金属積層板の製造方法。
【請求項24】
前記第2ポリイミド系樹脂層の熱膨張係数は、20ppm/Kを超えることを特徴とする請求項23に記載の金属積層板の製造方法。
【請求項25】
前記ポリイミド系樹脂層を形成する段階は、
前記金属層上に第1ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥させて第1乾燥樹脂層を形成する段階;
前記第1乾燥樹脂層上に第2ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥させて第2乾燥樹脂層を形成する段階;及び
前記第1乾燥樹脂層及び前記第2乾燥樹脂層を硬化させて、熱膨張係数が20ppm/K以下である第1ポリイミド系樹脂層及び第2ポリイミド系樹脂層を形成する段階;
を含み、
前記ポリイミド系樹脂層は、前記第1及び第2ポリイミド系樹脂層を含むことを特徴とする請求項20に記載の金属積層板の製造方法。
【請求項26】
前記第2ポリイミド系樹脂層の熱膨張係数は、20ppm/Kを超えることを特徴とする請求項25に記載の金属積層板の製造方法。
【請求項27】
前記ポリイミド系樹脂層を形成する段階は、
前記金属層上に第1ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥および硬化させて熱膨張係数が20ppm/K以下である第1ポリイミド系樹脂層を形成する段階;及び
前記第1ポリイミド系樹脂層上に第2ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥および硬化させて熱膨張係数が20ppm/Kを超える第2ポリイミド系樹脂層を形成する段階;
を含み、
前記第1および第2ポリイミド系樹脂層を含む前記ポリイミド系樹脂層は、熱膨張係数が20ppm/K以下であることを特徴とする請求項20に記載の金属積層板の製造方法。
【請求項28】
前記ポリイミド系樹脂層を形成する段階は、
前記金属層上に第1ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥させて第1乾燥樹脂層を形成する段階;
前記第1乾燥樹脂層上に第2ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥させて第2乾燥樹脂層を形成する段階;及び
前記第1乾燥樹脂層及び前記第2乾燥樹脂層を硬化させて、熱膨張係数が20ppm/K以下である第1ポリイミド系樹脂層及び熱膨張係数が20ppm/Kを超える第2ポリイミド系樹脂層を形成する段階;
を含み、
前記第1および第2ポリイミド系樹脂層を含む前記ポリイミド系樹脂層は、熱膨張係数が20ppm/K以下であることを特徴とする請求項20に記載の金属積層板の製造方法。
【請求項29】
前記ポリイミド系樹脂層を形成する段階は、
前記金属層上に第1ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥および硬化させて熱膨張係数が20ppm/K以下である第1ポリイミド系樹脂層を形成する段階;
前記第1ポリイミド系樹脂層上に第2ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥および硬化させて熱膨張係数が20ppm/K以下である第2ポリイミド系樹脂層を形成する段階;及び
前記第2ポリイミド系樹脂層上に第3ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥および硬化させて熱膨張係数が20ppm/K以上である第3ポリイミド系樹脂層を形成する段階;
を含み、
前記ポリイミド系樹脂層は、前記第1ないし第3ポリイミド系樹脂層を含むことを特徴とする請求項20に記載の金属積層板の製造方法。
【請求項30】
前記第1ないし第3ポリイミド系樹脂層を含む前記ポリイミド系樹脂層は、熱膨張率が20ppm/K以下であることを特徴とする請求項29に記載の金属積層板の製造方法。
【請求項31】
前記ポリイミド系樹脂層を形成する段階は、
前記金属層上に第1ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥させて第1乾燥樹脂層を形成する段階;
前記第1乾燥樹脂層上に第2ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥させて第2乾燥樹脂層を形成する段階;
前記第2乾燥樹脂層上に第3ポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥させて第3乾燥樹脂層を形成する段階;及び
前記第1ないし第3乾燥樹脂層を硬化させて、熱膨張係数が20ppm/K以下である第1ポリイミド系樹脂層、熱膨張係数が20ppm/K以下である第2ポリイミド系樹脂層、及び熱膨張係数が20ppm/K以上である第3ポリイミド系樹脂層を形成する段階;
を含み、
前記ポリイミド系樹脂層は、前記第1ないし第3ポリイミド系樹脂層を含むことを特徴とする請求項20に記載の金属積層板の製造方法。
【請求項32】
前記第1ないし第3ポリイミド系樹脂層を含む前記ポリイミド系樹脂層は、熱膨張率が20ppm/K以下であることを特徴とする請求項31に記載の金属積層板の製造方法。
【請求項33】
前記第1ポリイミド系樹脂層は、前記第1および第2ポリイミド系樹脂層を含む前記ポリイミド系樹脂層の全体厚さの80%以上を占めるように形成されることを特徴とする請求項21に記載の金属積層板の製造方法。
【請求項34】
前記第1ポリイミド系樹脂層は、30μm〜40μmの厚さを有するように形成されることを特徴とする請求項21に記載の金属積層板の製造方法。
【請求項35】
前記ポリイミド系樹脂層は、
PMDA(ピロメリト酸二無水物)、BPDA(3,3’,4,4’−ビフエニルテトラカルボン酸二無水物)、BTDA(3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物)、ODPA(4,4’−オキシジフタル酸無水物)、BPADA(4,4’−(4,4’−イソプロピルビフェノキシ)ビフタル無水物)、6FDA(2,2’−ビス−(3、4−ジカルボキシルフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物)、およびTMEG(エチレングリコールビス(無水トリメリット酸))から成る群から選択される1種以上の二無水物、および
p−PDA(p−フェニレンジアミン)、m−PDA(m−フェニレンジアミン)、4,4’−ODA(4,4’−オキシジアニリン)、3,4’−ODA(3,4’−オキシジアニリン)、BAPP(2,2−ビス(4−[4−アミノフェノキシ]−フェニル)プロパン)、TPE−R(1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン)、m−BAPS(2,2−ビス(4−[3−アミノフェノキシ]フェニル)スルフォン)、HAB(3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル)、およびDABA(4,4’−ジアミノベンズアニリド)から成る群から選択される1種以上のジアミン、
を混合して製造されるポリイミド前駆体溶液によって形成することを特徴とする請求項20に記載の金属積層板の製造方法。
【請求項36】
前記金属層は、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、銀、パラジウム、クロム、モリブデンおよびタングステンとこれらの合金のうちのいずれか1つで形成することを特徴とする請求項20に記載の金属積層板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−528933(P2009−528933A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558194(P2008−558194)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【国際出願番号】PCT/KR2007/001101
【国際公開番号】WO2007/102691
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】