説明

長物野菜の箱詰め装置

【課題】箱詰め装置における部品点数の削減とコンパクト化とを図る。
【解決手段】本願発明の箱詰め装置1は、上向き開放状の箱体Bが載置される載置台2と、前記箱体B内に移送される一段分の長物野菜Mを並列に載せる移載棚3とを少なくとも備える。前記移載棚3は、前記長物野菜Mの載る棚部17が前記箱体B内に向かう斜め下向きの傾斜姿勢となり得るように、前記載置台2の上方にある横軸19回りに回動可能な状態で、前記載置台2の上方に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えば大根、にんじん又はきゅうりといった長物野菜を、上向き開放状の箱体内に所定本数ずつ複数段詰めるための箱詰め装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の長物野菜を箱詰めする装置としては様々なものが提案されている。例えば特許文献1に開示された箱詰め装置は、移送下流側を下にする斜め下向きに傾動可能で且つ水平スライド可能に構成されたベルトコンベヤ式のスライド傾斜シャッタを備えている。この場合、所定本数の長物野菜が並列配置されたスライド傾斜シャッタを、移送下流側が下になる斜め下向きに傾斜動させることによって、フラップを外折りした状態で上向き開放状の段ボール箱内に、スライド傾斜シャッタの移送下流側を臨ませる。次いで、コンベヤベルトを周回させながらスライド傾斜シャッタを傾斜姿勢のままで後退動させることによって、スライド傾斜シャッタ上にある長物野菜が段ボール箱内に徐々に移送され収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−80007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来の構成では、スライド傾斜シャッタを傾斜動させる機構だけでなく、水平スライドさせる機構も備える必要があるため、スライド傾斜シャッタを複数の部材・機構で構成せざるを得ず、部品点数も多くなってコストが嵩むという問題があった。また、スライド傾斜シャッタの水平スライドを許容するスペースも確保しなければならないから、箱詰め装置の設置スペースが広くならざるを得ず、これに起因して箱詰め装置の設置場所が制約を受けるという問題もあった。
【0005】
そこで、本願発明は以上の問題点を解消した長物野菜の箱詰め装置を提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術的課題を解決するため、請求項1の発明は、箱体内に長物野菜を所定本数ずつ複数段詰めるための箱詰め装置であって、上向き開放状の前記箱体が載置される載置台と、前記箱体内に移送される一段分の長物野菜を並列に載せる移載棚とを少なくとも備えており、前記移載棚は、前記長物野菜の載る棚部が前記箱体内に向かう斜め下向きの傾斜姿勢となり得るように、前記載置台の上方にある横軸回りに回動可能な状態で、前記載置台の上方に配置されているというものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載した長物野菜の箱詰め装置において、前記移載棚の近傍で且つ前記移載棚の回動方向の一方側には、前記箱体の一側面部を厚み方向に挟み込むための側面押さえ部材を備えており、前記棚部上にある前記各長物野菜の長手方向は、平面視で前記移載棚の回動方向に沿わせており、前記棚部を斜め下向きの傾斜姿勢にした状態では、前記各長物野菜の長手一端側が前記側面押さえ部材に対峙するように設定されているというものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載した長物野菜の箱詰め装置において、前記載置台を昇降動させる昇降動手段を備えており、前記昇降動手段による前記載置台の上昇動によって、前記載置台上にある前記箱体の一側面部を前記側面押さえ部材にて厚み方向に挟み込むように構成されているというものである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1〜3のうちいずれかに記載した長物野菜の箱詰め装置において、前記載置台を旋回動させる旋回動手段を備えており、前記一段分の長物野菜を前記箱体内に移送する毎に、前記旋回動手段にて前記載置台を180°旋回させるように構成されているというものである。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1〜4のうちいずれかに記載した長物野菜の箱詰め装置において、前記移載棚の前記棚部は、平面視で前記箱体の上向き開口内に収まる大きさに設定されているというものである。
【発明の効果】
【0011】
本願発明は、箱体内に長物野菜を所定本数ずつ複数段詰めるための箱詰め装置であって、上向き開放状の前記箱体が載置される載置台と、前記箱体内に移送される一段分の長物野菜を並列に載せる移載棚とを少なくとも備えており、前記移載棚は、前記長物野菜の載る棚部が前記箱体内に向かう斜め下向きの傾斜姿勢となり得るように、前記載置台の上方にある横軸回りに回動可能な状態で、前記載置台の上方に配置されているものである。このため、長物野菜を前記箱体に移送するための前記移載棚の動作が横軸回りの回動(傾斜動)だけで済み、前記従来のように傾斜動と水平スライドとを組み合わせる必要がない。従って、前記従来に比べて前記移載棚の部品点数を少なくでき、製造コストを抑制できるという効果を奏する。
【0012】
また、前記移載棚とその回動支点である横軸とが共に前記載置台の上方に位置しているため、前記移載棚の設置スペースのために、前記箱詰め装置の占有面積を必要以上に大きくしなくて済む。従って、前記箱詰め装置をコンパクト化でき、前記箱詰め装置の設置場所の制約も少なくなるという効果を奏する。
【0013】
請求項2の発明によると、請求項1に記載した長物野菜の箱詰め装置において、前記移載棚の近傍で且つ前記移載棚の回動方向の一方側には、前記箱体の一側面部を厚み方向に挟み込むための側面押さえ部材を備えており、前記棚部上にある前記各長物野菜の長手方向は、平面視で前記移載棚の回動方向に沿わせており、前記棚部を斜め下向きの傾斜姿勢にした状態では、前記各長物野菜の長手一端側が前記側面押さえ部材に対峙するように設定されているから、前記移載棚から長物野菜を前記箱体に移送する際に、前記側面押さえ部材に前記各長物野菜の長手一端側を突き当てて、当該長手一端側を揃えた状態で前記各長物野菜を前記箱体内に収容できる。すなわち、前記側面押さえ部材が、前記移載棚に対する前記箱体の位置決め機能と、前記各長物野菜の長手一端側を揃えて前記箱体内に収容する機能とを兼ね備えることになり、簡単な構造でありながら、前記箱体内に長物野菜を姿勢よく収容できるという効果を奏する。
【0014】
請求項3の発明によると、請求項2に記載した長物野菜の箱詰め装置において、前記載置台を昇降動させる昇降動手段を備えており、前記昇降動手段による前記載置台の上昇動によって、前記載置台上にある前記箱体の一側面部を前記側面押さえ部材にて厚み方向に挟み込むように構成されているから、前記載置台側の上昇動だけで前記移載棚に対する位置合わせをスムーズに行えるという効果を奏する。
【0015】
請求項4の発明によると、請求項1〜3のうちいずれかに記載した長物野菜の箱詰め装置において、前記載置台を旋回動させる旋回動手段を備えており、前記一段分の長物野菜を前記箱体内に移送する毎に、前記旋回動手段にて前記載置台を180°旋回させるように構成されているから、長物野菜が例えば大根のように首部側が太く根先側が細い形状の場合に、前記長物野菜の向きを上下の段毎に互い違いに配置でき、前記箱体内に容積の無駄なく前記長物野菜を収容できるという効果を奏する。
【0016】
請求項5の発明によると、請求項1〜4のうちいずれかに記載した長物野菜の箱詰め装置において、前記移載棚の前記棚部は、平面視で前記箱体の上向き開口内に収まる大きさに設定されているので、箱詰め前後において、前記箱体における四側の開口縁部(フラップ)を折り曲げずに、前記棚部上にある前記各長物野菜を前記箱体内に移送でき、前記開口縁部の折り曲げ作業をなくして、箱詰め前に前記開口縁部の強度(いわゆる「こし」)を弱くするおそれを防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】箱詰め装置の概略平面図である。
【図2】箱詰め装置の概略側面図である。
【図3】搬送コンベヤ、スライドコンベヤ、移載棚及び載置台の関係を示す概略説明図である。
【図4】水平姿勢の移載棚に長物野菜を載せた状態を示す概略説明図である。
【図5】移載棚の上向き回動途次の状態を示す概略説明図である。
【図6】段ボール箱内に長物野菜を移送した状態を示す概略説明図である。
【図7】昇降用シリンダ及び旋回用シリンダの作用を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本願発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(1).箱詰め装置の概要
箱詰め装置1の概要について説明する。図1に示す箱詰め装置1は、箱体としての段ボール箱B内に、例えば大根、にんじん又はきゅうりといった長物野菜Mを所定本数ずつ複数段詰めるためのものであり、段ボール箱Bが載置される載置台2と、段ボール箱B内に移送される一段分(所定本数)の長物野菜Mを並列に載せる移載棚3とを少なくとも備えている。実施形態の箱詰め装置1は、鋼材やアルミ材製といった多数本の支柱及び横桟フレームにて骨組が構成された装置基枠4を備えている。載置台2は装置基枠4の下部側に配置され、移載棚3は装置基枠4のうち載置台2の上方に配置されている。
【0020】
箱詰め装置1における載置台2の近傍には、載置台2に空の段ボール箱Bを搬入する箱搬入コンベヤ5と、長物野菜Mを収容した段ボール箱Bを載置台2から後工程(例えば封函工程等)に搬出する箱搬出コンベヤ6とが配置されている。すなわち、箱詰め装置1は箱搬入コンベヤ5と箱搬出コンベヤ6との間に位置している。なお、段ボール箱Bは、箱詰め前後において四側のフラップF(開口縁部、蓋部といってもよい)を折り曲げずに上向き開放状の姿勢で搬送される。
【0021】
箱詰め装置1における移載棚3の近傍には、搬送方向と交差する方向の一方に根先側を向けた姿勢で並ぶ多数本の長物野菜Mを搬送する搬送コンベヤ7と、搬送コンベヤ7から受け継いだ一段分(所定本数)の長物野菜Mを搬送するスライドコンベヤ10とが配置されている。実施形態の搬送コンベヤ7は、長物野菜Mが搬入される第1コンベヤ8と、第1コンベヤ8の搬送下流側に位置して第1コンベヤ8からの長物野菜Mを移載棚3に搬出する第2コンベヤ9とにより構成されている。この場合、第1コンベヤ8としてチェン駆動式のローラコンベヤを採用し、第2コンベヤ9としてベルトコンベヤを採用している。
【0022】
搬送コンベヤ7(第1及び第2コンベヤ8,9)を支持するコンベヤ基枠11には、スライドコンベヤ10が移載棚3に向かう水平方向に進退動可能に支持されている。実施形態では、スライドコンベヤ10としてベルトコンベヤを採用している。スライドコンベヤ10の搬送上流側とコンベヤ基枠11との間には、スライドコンベヤ10を水平方向に進退動させる進退用アクチュエータとしての進退用シリンダ12が配置されている。つまり、スライドコンベヤ10及び進退用シリンダ12は、搬送コンベヤ7の下方に位置している。進退用シリンダ12におけるシリンダ側の端部はコンベヤ基枠11に固定され、ロッド側の端部はスライドコンベヤ10の側枠に固定された二股状アーム13に固定されている。実施形態のスライドコンベヤ10は、ベルト搬送動作と自身の後退動とを組み合わせることによって、搬送コンベヤ7から受け継いだ一段分(所定本数)の長物野菜Mを移載棚3に移送するように構成されている。
【0023】
第2コンベヤ9とスライドコンベヤ10との受け継ぎ部の近傍には、第2コンベヤ9からスライドコンベヤ10へ移送される長物野菜Mの通過本数を検出する長物野菜検出センサ14が配置されている。実施形態では、長物野菜検出センサ14として、例えば光(赤外線)、超音波又は静電容量型といった非接触式の近接センサを採用している。長物野菜検出センサ14の検出結果に基づき、コンベヤ基枠11に取り付けられた制御盤内の制御部(図示省略)が、搬送コンベヤ7の駆動・駆動停止動作、及びスライドコンベヤ10の進退動作を制御するように構成されている。長物野菜検出センサ14にて一段分(所定本数)の長物野菜Mの通過を検出した場合は、制御部からの指令情報にて、搬送コンベヤ7の駆動を一時的に停止させ、所定本数を超える余分な長物野菜Mをスライドコンベヤ10に移送するのを防止している。
【0024】
箱詰め装置1を構成する載置台2の下方には、載置台2を昇降動させる昇降動手段(昇降用アクチュエータ)としての昇降用シリンダ15と、載置台2を旋回動させる旋回動手段(旋回用アクチュエータ)としての複数ピストン形の旋回用シリンダ16とが配置されている。昇降用シリンダ15におけるシリンダ側の端部は装置基枠4の底部に固定され、ロッド側の端部は旋回用シリンダ16の下面に固定されている。旋回用シリンダ16におけるロッド側の端部は載置台2の下面に固定されている。この場合、昇降用シリンダ15は、載置台2を旋回用シリンダ16ごと、移載棚3の下面に対して昇降動させるように構成されている。旋回用シリンダ16は、一段分(所定本数)の長物野菜Mを載置台2上の段ボール箱B内に移送する毎に必要であれば、載置台2を180°旋回させるように構成されている。
【0025】
箱詰め装置1を構成する移載棚3は、長物野菜Mが載る棚部としてのフリーローラコンベヤ17を備えている。フリーローラコンベヤ17のうちスライドコンベヤ10の反対側に位置する側枠の中途部には、吊り下げアーム18の下端側が固定されている。吊り下げアーム18の上端側は装置基枠4の上方に設けられた横軸19に回動可能に枢着されている。つまり、フリーローラコンベヤ17は、吊り下げアーム18を介して横軸19回りに回動可能なブランコ状態で、載置台2の上方に吊り下げ配置されている。
【0026】
実施形態の横軸19は、スライドコンベヤ10の進退動方向Sに沿って延びている。従って、平面視において、移載棚3(フリーローラコンベヤ17)の横軸19回りの回動方向Rは、スライドコンベヤ10の進退動方向Sと交差する関係になっている。フリーローラコンベヤ17における各フリーローラ20の軸方向は、スライドコンベヤ10の進退動方向Sと平行な関係に設定されている。フリーローラコンベヤ17の上面側のうち吊り下げアーム18と反対側の領域は開放状態になっている。スライドコンベヤ10から一段分(所定本数)の長物野菜Mをフリーローラコンベヤ17に移送する際は、前述の開放側からスライドコンベヤ10がオーバーハング状に入り込むことになる。また、吊り下げアーム18は、スライドコンベヤ10からの移送の際に、一段分(所定本数)の長物野菜Mの整列状態が崩れてフリーローラコンベヤ17から落下しないように、長物野菜M群を受け止めて保持する役割も担っている。なお、フリーローラコンベヤ17上に移送された各長物野菜Mの長手方向は、スライドコンベヤ10の進退動方向Sと交差するため、平面視で移載棚3の回動方向Rに沿うことになる。
【0027】
吊り下げアーム18と装置基枠4との間には、移載棚3を横軸19回りに回動させる回動手段としての回動用シリンダ21が配置されている。装置基枠4において移載棚3の近傍で且つ移載棚3の回動方向Rの一方側に、回動用シリンダ21におけるシリンダ側の端部が上下回動可能に枢着されている。回動用シリンダ21におけるロッド側の端部は吊り下げアーム18に上下回動可能に枢着されている。フリーローラコンベヤ17は通常、水平姿勢を保持しているが、回動用シリンダ21にて横軸19を回動中心として上向き回動させた場合に、載置台2上の段ボール箱B内(上向き開口E)に向かう斜め下向きの傾斜姿勢になるように構成されている。
【0028】
装置基枠4において移載棚3の近傍で且つ移載棚3の回動方向Rの一方側には、回動用シリンダ21だけでなく、段ボール箱Bの一側面部(移載棚3の回動方向Rの一方側に位置する側面部)を厚み方向に挟み込むための側面押さえ部材22が配置されている。実施形態の側面押さえ部材22は、一対の金属板23の上部側を重ね合わせ固定して、下向き開口く字状に形成したものである。この場合、昇降用シリンダ15にて載置台2を上昇動させて、載置台2上にある段ボール箱Bの一側面部を両金属板23の間に入り込ませることによって、側面押さえ部材22にて段ボール箱Bの一側面部が厚み方向に挟み込まれた状態になり、段ボール箱Bが位置決めされることになる。両金属板23の下部側は、段ボール箱Bの一側面部が下方から入り込み案内され易いように、末広がりの下向き開口く字状になっている。また、フリーローラコンベヤ17を斜め下向きの傾斜姿勢にした状態では、フリーローラコンベヤ17上にある各長物野菜Mの長手一端側(実施形態では葉付きの首部側)が対峙するように設定されている。
【0029】
図3〜図6に示すように、フリーローラコンベヤ17(移載棚3)は、平面視で段ボール箱Bの上向き開口E内に収まる大きさに設定されている。また、フリーローラコンベヤ17(移載棚3)の描く回動軌跡Tが装置基枠4から外側にはみ出ないように、吊り下げアーム18の長さや横軸19の位置が設定されている。フリーローラコンベヤ17上にある一段分(所定本数)の長物野菜Mを段ボール箱B内に移送するに際しては、フリーローラコンベヤ17の描く回動軌跡Tの一部が段ボール箱Bの上向き開口Eに入り込む程度まで、昇降用シリンダ15にて載置台2を上昇させるように設定されている。
【0030】
(2).箱詰め装置を用いた箱詰め作業態様
次に、箱詰め装置1を用いた箱詰め作業態様の一例について説明する。まず、第1コンベヤ8に、長物野菜Mが搬送方向と交差する方向の一方に根先側を向けた姿勢で搬入される。第1コンベヤ8に搬入された長物野菜Mは、第2コンベヤ9を経由してスライドコンベヤ10に移送される。長物野菜Mがスライドコンベヤ10に移送される毎に、長物野菜検出センサ14にてその通過本数が検出される(カウントされる)。予め設定された箱詰め一段分の本数がカウントされると、搬送コンベヤ7(第1及び第2コンベヤ8,9)は一時的に停止する。
【0031】
スライドコンベヤ10は、フリーローラコンベヤ17上まで前進動した状態で、一段分(所定本数)の長物野菜Mを第2コンベヤ9から受け継ぐ。この場合、ベルト搬送にて先頭の長物野菜Mの胴部を吊り下げアーム18に当接させ、そのままベルト搬送動作を続行して順々に、所定本数の長物野菜Mを隣同士で密接するように並列に並べる。その後、スライドコンベヤ10は、ベルト搬送動作を続けながらベルト搬送速度と同程度の速度で後退動する。その結果、スライドコンベヤ10上にある一段分の長物野菜Mが、並列状態を維持したままで水平姿勢のフリーローラコンベヤ17上に移送される。ここで、各長物野菜Mにおける葉付きの首部側は側面押さえ部材22の方に向けられている。
【0032】
スライドコンベヤ10から一段分(所定本数)の長物野菜Mをフリーローラコンベヤ17に移送するまでに、載置台2上には、箱搬入コンベヤ5から上向き開放状の空の段ボール箱Bが移送される。次いで、昇降用シリンダ15が載置台2を上昇動させ、載置台2上にある段ボール箱Bの一側面部を両金属板23の間に入り込ませて(側面押さえ部材22にて段ボール箱Bの一側面部を厚み方向に挟み込んで)、移載棚3に対する段ボール箱2の位置を決める。
【0033】
フリーローラコンベヤ17上に一段分の長物野菜Mが並列に載せられると共に、段ボール箱Bの位置決めがなされた後は、回動用シリンダ21が伸長動して、移載棚3(フリーローラコンベヤ17)を横軸19回りに上向き回動させる。フリーローラコンベヤ17における斜め下向きの傾斜姿勢がきつくなるに連れて、一段分の長物野菜Mはそれぞれ、自重によってフリーローラコンベヤ17から滑り落ちる。この場合、各長物野菜Mにおける葉付きの首部側が、側面押さえ部材22のうち段ボール箱B内の金属板23に突き当たるため、一段分の長物野菜Mは、葉付きの首部側の位置を揃えた状態で徐々に根先側まで倒れ込むようにして、段ボール箱B内に収容されることになる。
【0034】
一段分の長物野菜Mが段ボール箱B内に収容されると、回動用シリンダ21が短縮動して、移載棚3(フリーローラコンベヤ17)を横軸19回りに下向き回動させ、フリーローラコンベヤ17を水平姿勢にまで戻す。これに併せて、段ボール箱Bの一側面部が側面押さえ部材22(両金属板23の間)から抜け出すまで、昇降用シリンダ15が載置台2を下降動させる。次いで、旋回用シリンダ16が載置台2を180°旋回させてから、二段目の長物野菜Mの移送に備えて、昇降用シリンダ15が載置台2を上昇動させ、移載棚3に対する段ボール箱Bの位置を決める。また、このときは、二段目の長物野菜Mを受け継ぐために、スライドコンベヤ10がフリーローラコンベヤ17上まで前進動して位置保持される。
【0035】
その後、予め設定された複数段分の長物野菜Mが段ボール箱B内に収容されると、昇降用シリンダ15が載置台2を下降動させ、箱詰め済の段ボール箱Bが載置台2から箱搬出コンベヤ6に移送される。そして、箱詰め済の段ボール箱Bが箱搬出コンベヤ6にて後工程(例えば封函工程等)に搬出されるのである。
【0036】
(3).まとめ
上記の記載並びに図1〜図7から明らかなように、本願発明は、箱体B内に長物野菜Mを所定本数ずつ複数段詰めるための箱詰め装置1であって、上向き開放状の前記箱体Bが載置される載置台2と、前記箱体B内に移送される一段分の長物野菜Mを並列に載せる移載棚3とを少なくとも備えており、前記移載棚3は、前記長物野菜Mの載る棚部17が前記箱体B内に向かう斜め下向きの傾斜姿勢となり得るように、前記載置台2の上方にある横軸19回りに回動可能な状態で、前記載置台2の上方に配置されているものである。このため、長物野菜Mを前記箱体Bに移送するための前記移載棚3の動作が横軸19回りの回動(傾斜動)だけで済み、前記従来のように傾斜動と水平スライドとを組み合わせる必要がない。従って、前記従来に比べて前記移載棚3の部品点数を少なくでき、製造コストを抑制できるという効果を奏する。
【0037】
また、前記移載棚3とその回動支点である前記横軸19とが共に前記載置台2の上方に位置しているため、前記移載棚3の設置スペースのために、前記箱詰め装置1の占有面積を必要以上に大きくしなくて済む。従って、前記箱詰め装置1をコンパクト化でき、前記箱詰め装置1の設置場所の制約も少なくなるという効果を奏する。
【0038】
上記の記載並びに図1〜図7から明らかなように、前記移載棚3の近傍で且つ前記移載棚3の回動方向Rの一方側には、前記箱体Bの一側面部を厚み方向に挟み込むための側面押さえ部材22を備えており、前記棚部17上にある前記各長物野菜Mの長手方向は、平面視で前記移載棚3の回動方向Rに沿わせており、前記棚部17を斜め下向きの傾斜姿勢にした状態では、前記各長物野菜Mの長手一端側が前記側面押さえ部材22に対峙するように設定されているから、前記移載棚3から長物野菜Mを前記箱体Bに移送する際に、前記側面押さえ部材22に前記各長物野菜Mの長手一端側を突き当てて、当該長手一端側を揃えた状態で前記各長物野菜Mを前記箱体B内に収容できる。すなわち、前記側面押さえ部材22が、前記移載棚3に対する前記箱体Bの位置決め機能と、前記各長物野菜Mの長手一端側を揃えて前記箱体B内に収容する機能とを兼ね備えることになり、簡単な構造でありながら、前記箱体B内に長物野菜Mを姿勢よく収容できるという効果を奏する。
【0039】
上記の記載並びに図1〜図7から明らかなように、前記載置台2を昇降動させる昇降動手段15を備えており、前記昇降動手段15による前記載置台2の上昇動によって、前記載置台2上にある前記箱体Bの一側面部を前記側面押さえ部材22にて厚み方向に挟み込むように構成されているから、前記載置台2側の上昇動だけで前記移載棚3に対する位置合わせをスムーズに行えるという効果を奏する。
【0040】
上記の記載並びに図1〜図7から明らかなように、前記載置台2を旋回動させる旋回動手段16を備えており、前記一段分の長物野菜Mを前記箱体B内に移送する毎に、前記旋回動手段16にて前記載置台2を180°旋回させるように構成されているから、長物野菜Mが例えば大根のように首部側が太く根先側が細い形状の場合に、前記長物野菜Mの向きを上下の段毎に互い違いに配置でき、前記箱体B内に容積の無駄なく前記長物野菜Mを収容できるという効果を奏する。
【0041】
上記の記載並びに図1〜図7から明らかなように、前記移載棚3の前記棚部17は、平面視で前記箱体Bの上向き開口E内に収まる大きさに設定されているので、箱詰め前後において、前記箱体Bにおける四側の開口縁部(フラップF)を折り曲げずに、前記棚部17上にある前記各長物野菜Mを前記箱体B内に移送でき、前記開口縁部の折り曲げ作業をなくして、箱詰め前に前記開口縁部の強度(いわゆる「こし」)を弱くするおそれを防止できるという効果を奏する。
【0042】
(4).その他
本願発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。例えば各アクチュエータはシリンダ以外に電動モータ等の様々な方式のものを採用して構わない。例えば移載棚3を電動モータにて横軸19回りに回動させる構造にしてもよい。旋回用シリンダ16による載置台2の旋回動作は、段ボール箱B内に無駄なく長物野菜Mを詰め込むための動作であり、長物野菜Mの種類によっては省略しても差し支えない。各コンベヤ5〜10,17の構造としては、ベルト式やローラ式等の様々な方式のものを採用できる。その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
B 段ボール箱
E 上向き開口
F フラップ
M 長物野菜
R 回動方向
S 進退動方向
1 箱詰め装置
2 載置台
3 移載棚
15 昇降用シリンダ(昇降動手段)
16 旋回用シリンダ(旋回動手段)
17 フリーローラコンベヤ(棚部)
19 横軸
21 回動用シリンダ(回動手段)
22 側面押さえ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体内に長物野菜を所定本数ずつ複数段詰めるための箱詰め装置であって、
上向き開放状の前記箱体が載置される載置台と、前記箱体内に移送される一段分の長物野菜を並列に載せる移載棚とを少なくとも備えており、前記移載棚は、前記長物野菜の載る棚部が前記箱体内に向かう斜め下向きの傾斜姿勢となり得るように、前記載置台の上方にある横軸回りに回動可能な状態で、前記載置台の上方に配置されている、
長物野菜の箱詰め装置。
【請求項2】
前記移載棚の近傍で且つ前記移載棚の回動方向の一方側には、前記箱体の一側面部を厚み方向に挟み込むための側面押さえ部材を備えており、前記棚部上にある前記各長物野菜の長手方向は、平面視で前記移載棚の回動方向に沿わせており、前記棚部を斜め下向きの傾斜姿勢にした状態では、前記各長物野菜の長手一端側が前記側面押さえ部材に対峙するように設定されている、
請求項1に記載した長物野菜の箱詰め装置。
【請求項3】
前記載置台を昇降動させる昇降動手段を備えており、前記昇降動手段による前記載置台の上昇動によって、前記載置台上にある前記箱体の一側面部を前記側面押さえ部材にて厚み方向に挟み込むように構成されている、
請求項2に記載した長物野菜の箱詰め装置。
【請求項4】
前記載置台を旋回動させる旋回動手段を備えており、前記一段分の長物野菜を前記箱体内に移送する毎に、前記旋回動手段にて前記載置台を180°旋回させるように構成されている、
請求項1〜3のうちいずれかに記載した長物野菜の箱詰め装置。
【請求項5】
前記移載棚の前記棚部は、平面視で前記箱体の上向き開口内に収まる大きさに設定されている、
請求項1〜4のうちいずれかに記載した長物野菜の箱詰め装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−102161(P2011−102161A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257080(P2009−257080)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】