説明

電子撮像装置

【課題】光路折り曲げ光学系からなり変倍機能を有するレンズ鏡筒を具備する電子撮像装置においてレンズ鏡筒の構造の単純化を図りつつ装置自体のさらなる小型化及び薄型化を実現し得る電子撮像装置を提供する。
【解決手段】最も被写体寄りに配置され同被写体からの光束を入射し透過させる第1の光学系21と、第1の光学系を透過する光束の光路を折り曲げる第2の光学系22と、第1の光学系及び第2の光学系を介して形成される被写体の光学像を受けて電気信号に変換する撮像素子23aとを具備する電子撮像装置において、変倍動作をおこなうのに際し第2の光学系を固定し第1の光学系と撮像素子とを光軸に沿って移動させることにより変倍動作をおこなうように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子撮像装置、詳しくは光路折り曲げ光学系からなり変倍機能を有する撮影光学系を備えた電子撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の光学レンズからなる撮影光学系によって結像される被写体像をCCD(Charge Coupled Device;電荷結合素子)等の撮像素子を利用して電気信号に光電変換し、これにより得られた電気的な画像信号をデジタルデータ等の画像データとして記録媒体等に記録し得るように構成されたデジタルカメラ等の電子撮像装置が広く普及している。
【0003】
従来の電子撮像装置において適用される撮影光学系は、上述したように複数の光学レンズからなるものである。これらの各光学レンズは、光軸に沿う方向にそれぞれを任意に移動させることによって、変倍動作(ズーム動作)や焦点調節動作(フォーカス動作)をおこなうことができるようになっている。
【0004】
そのために、上記撮影光学系を構成する各光学レンズは、それぞれが枠部材によって保持されている。これらの各枠部材は、カム結合等によって連繋させて、互いが協働するように形成される複数の枠部材やこれを駆動する駆動手段等によって、レンズ鏡筒が構成されている。
【0005】
このように、カム機構によって複数の枠部材などを各別に駆動させる形態の従来のレンズ鏡筒は、各枠部材等の形状自体が複雑なものになる傾向がある。したがって、これを用いて構成される電子撮像装置は、製造コストの低減化や装置自体の小型化を実現するのに限界がある。
【0006】
一方、近年における電子撮像装置においては、さらなる薄型化への要求が強く望まれている。そこで、装置自体の薄型化を実現する一手段として、例えば撮影光学系の光路中に反射鏡やプリズム等の反射部材を配設し、この反射部材を用いて光路を折り曲げて撮像素子の側へと導くように構成したものが、種々提案され、また実用化されている。このような光路折り曲げ光学系を採用した電子撮像装置においては、光学系の長さ方向の寸法を短縮することができるので、電子撮像装置の薄型化及び小型化を実現するのに有効な手段となっている。
【特許文献1】特開2003−107356号公報
【特許文献2】特開2003−302567号公報
【特許文献3】特開2004−102090号公報
【特許文献4】特開2004−170707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上述の各公報等に記載されている従来の技術手段によれば、例えば、変倍動作時に複数のレンズ群を連繋して光軸方向に移動させるための機構については、従来の電子撮像装置における光学系と同様の構成を採っている。したがって、その構造を単純化して構成することは困難であると考えられる。
【0008】
上述したように撮影光学系として光路折り曲げ光学系を採用した場合、電子撮像装置からレンズ群が繰り出されることはなくなるが、装置内で複数のレンズ群を変位させる必要があるため、装置全体の薄型化及び小型化を図ることが困難となる。
【0009】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、光路折り曲げ光学系からなり変倍機能を有するレンズ鏡筒を具備する電子撮像装置において、レンズ鏡筒の構造の単純化を図りつつ、装置自体のさらなる小型化及び薄型化を実現し得る電子撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明による電子撮像装置は、最も被写体寄りに配置され同被写体からの光束を入射し透過させる第1の光学系と、この第1の光学系を透過する光束の光路を折り曲げる第2の光学系と、上記第1の光学系及び上記第2の光学系を介して形成される被写体の光学像を受けて電気信号に変換する撮像素子とを具備する電子撮像装置において、変倍動作をおこなうのに際し、上記第2の光学系を固定し、上記第1の光学系と上記撮像素子とを光軸に沿って移動させることにより変倍動作をおこなうようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光路折り曲げ光学系からなり変倍機能を有するレンズ鏡筒を具備する電子撮像装置において、レンズ鏡筒の構造の単純化を図りつつ、装置自体のさらなる小型化及び薄型化を実現し得る電子撮像装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図示の本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態の電子撮像装置の概略的な外観を示す斜視図である。図2は、図1の電子撮像装置の概略的な内部構成を示すブロック構成図である。図3及び図4は、図1の電子撮像装置のレンズ鏡筒ユニットを取り出して示す縦断面図である。このうち、図3は当該レンズ鏡筒ユニットの沈胴状態を示している。また、図4は、当該レンズ鏡筒ユニットの撮影状態であって、短焦点位置に設定した状態を示している。図5は、図1の電子撮像装置において変倍動作を実行したときの撮影光学系及び撮像素子ユニットの作用を示す概念図である。図6は、図1の電子撮像装置において変倍動作を実行したときの撮影光学系及び撮像素子ユニットの作用を示し、図5の概念図を本実施形態に則して示す図である。
【0014】
本実施形態の電子撮像装置1における外観上の構成は、図1に示すようになっている。すなわち、本電子撮像装置1は、後述する各種の内部構成部材(図2参照)を覆い保護する外装部材10と、この外装部材10の前面の略中央部に進退自在に配設されるレンズ鏡筒12と、同外装部材10の前面側の所定の部位に設けられ被写体への照明光束を照射する閃光発光装置(図示せず)の閃光発光窓16と、同外装部材10の上面側に設けられる各種の操作部材(レリーズボタン13,変倍操作レバー14,動作モード切換ボタン15、電源オンオフボタン(図示せず)等)と、同外装部材10の背面側に設けられ液晶表示装置(LCD)等からなる表示装置(図示せず)等によって主に構成されている。
【0015】
上記レンズ鏡筒12は、複数の光学レンズからなり被写体の光学像を形成する撮影光学系12aと、この撮影光学系12aのそれぞれを保持する複数の枠部材(33,34)と、これら枠部材を撮影光学系12aの光軸O(図2参照)に沿う方向に進退させる複数の枠部材(31,32)等によって構成されている(詳細構成は後述する。図3及び図4参照)。
【0016】
撮影光学系12aは、図2に示すように本電子撮像装置1の前面側であって最も被写体寄りに配置され同被写体からの光束を入射し透過させる複数の光学レンズによって構成される第1の光学系である第1レンズ群21と、この第1レンズ群21の後方にあって上記第1レンズ群21を透過する光束の光路を折り曲げる第2の光学系22とによって構成されている。
【0017】
ここで、第2の光学系22は、上記第1レンズ群21の後方にあって光軸Oの同軸上に配置される第2レンズ群22aと、この第2レンズ群22aの後方に配置され撮影光学系12aの光軸O(図2参照)を折り曲げて光路の進行方向を変更する役目をする反射面を有する表面鏡である反射鏡22bを含んで構成されている。そして、第2レンズ群22aと反射鏡22bとの間にはシャッター機構26aが配置されている。なお、第1レンズ群21及び第2レンズ群22aに用いられる光学レンズの枚数は、本実施形態では、各々2枚ずつとしているが、これに限られるものではなく、必要に応じて単数または二枚以上であってもよい。
【0018】
反射鏡22bは、本電子撮像装置1が撮影状態にあるときには、第1レンズ群21及び第2レンズ群22aの光軸Oとの交差線上にあって、同光軸Oに対して角度略45度だけ傾けて配置されるようになっている。この状態にあるとき、反射鏡22bの反射面は、第1レンズ群21及び第2レンズ群22aを透過する入射光束を受け得るように被写体の側に向けて配置されている。これにより、第1レンズ群21及び第2レンズ群22aを透過してきた入射光束は、反射鏡22bによって所定の方向へ向けて反射されることで、その光路を角度略90度折り曲げられて、所望の方向、すなわち後述する撮像素子ユニット23の側へと導かれるようになっている。
【0019】
また、反射鏡22bは、本電子撮像装置1が非撮影状態にあるときには、第1レンズ群21及び第2レンズ群22aを透過する光束の光路外へと退避するように構成されている。そして、この反射鏡22bが退避した後に形成される空間には、第2レンズ群22aの少なくとも一部が収納されるようになっている(詳細は後述する。図3参照)。
【0020】
なお、本実施形態の電子撮像装置1における撮像素子ユニット23は、撮影光学系12aによって形成される被写体の光学像を受けて電気信号に変換する光電変換素子であって例えばCCD等からなる撮像素子23aと、この撮像素子23aの受光面を覆い保護する透明部材からなるカバーガラス23bと、このカバーガラス23bの前面に積層した形態で配設され被写体からの光束を透過させることによって、撮像素子23aの受光面へと入射する光束のうちから高周波成分を除去するローパスフィルター(LPF)23cとが一体となって形成されている。
【0021】
そして、この撮像素子ユニット23の受光面は、本電子撮像装置1の外装部材10の内部において、底面に平行となるように配設されている。したがって、本実施形態の電子撮像装置1が撮影状態にあるときには、同装置1の前面側にある被写体から入射する被写体光束は、第1レンズ群21及び第2レンズ群22aを透過した後、反射鏡22bによって所定方向に反射されることによって、その光路が折り曲げられて、本電子撮像装置1の底面側の撮像素子ユニット23の受光面へと導かれるようになっている。これにより、撮像素子ユニット23の撮像素子23aの受光面上には、被写体に対応する被写体像が形成されるようになっている。
【0022】
一方、上記電子撮像装置1の内部構成は、図2に示すようになっている。すなわち、本電子撮像装置1の内部には、本電子撮像装置1の電気的な回路や部品等を統括的に制御する制御回路20と、上記各種の操作部材(レリーズボタン13,変倍操作レバー14,動作モード切換ボタン15,電源オンオフボタン等。図1参照)に連動して各操作部材に応じた指示信号を発生させる各種スイッチ(第1(1st)レリーズスイッチ30b,第2(2nd)レリーズスイッチ30c,ズームスイッチ30a,モードスイッチ30d,電源オンオフスイッチ30e等)と、制御回路20の制御信号に基づいて上記撮影光学系12aの各レンズ群(21,22a)を必要に応じてそれぞれ駆動する第1群駆動部24a及び第2群駆動部24bからなる光学系駆動機構24と、反射鏡22bによって折り曲げられた後の光束の光軸O2(図3及び図4参照)に沿って移動自在に配設される撮像素子ユニット23と、制御回路20の制御信号に基づいて撮像素子ユニット23を変倍動作または焦点調節動作に連動させて移動させる撮像系駆動機構25と、制御回路20の制御信号に基づいてシャッター機構26aを駆動するシャッター駆動機構26と、制御回路20の制御信号に基づいて撮像素子ユニット23の駆動制御をおこなったり撮像素子ユニット23からの出力信号を受けて所定の画像信号処理をおこなう画像処理回路27と、この画像処理回路27からの出力信号を受けて記録媒体(図示せず)に記録するのに最適な形態の画像データを形成したり記録媒体に記録済みの画像データを読み込んで表示装置で表示するのに最適な画像信号に変換する画像記憶回路28と、同画像処理回路27からの出力信号を受けて対応する画像を表示装置(図示せず)表示部に表示する表示回路29等によって主に構成されている。
【0023】
さらに、電子撮像装置1の内部においては、撮影光学系12aを含むレンズ鏡筒12と、撮像素子ユニット23を保持する撮像素子ユニット保持枠43を含む撮像素子ユニット収納部41とによって構成されるレンズ鏡筒ユニット51が配設されている。
【0024】
以下の説明において、撮影光学系12aに入射する光軸を第1の光軸O1とし、反射鏡22bにより反射された後の光軸を第2の光軸O2とする。
【0025】
ここで、レンズ鏡筒ユニット51の構成について、図3及び図4を用いて以下に説明する。
【0026】
なお、図3はレンズ鏡筒12の沈胴状態を示し、第1レンズ群21及び第2の光学系22の一部である第2レンズ群22aと後述する各レンズ枠(回転枠,直進枠,1群枠)が収納位置にあり、反射鏡22bは光路から退避した退避位置にある。
【0027】
図4は、レンズ鏡筒12の撮影状態の一つである短焦点位置を示し、第1レンズ群21及び第2の光学系22の一部である第2レンズ群22aと後述する各レンズ枠(回転枠,直進枠,1群枠)が撮影位置にあり、反射鏡22bは光路に侵入した反射位置にある。
【0028】
レンズ鏡筒ユニット51を構成するレンズ鏡筒12は、最外周側に配設され略筒形状からなる固定枠31と、この固定枠31の内周側に設けられ略筒形状からなる回転枠32と、この回転枠32の内周側に設けられ略筒形状からなり第1レンズ群21を保持する1群枠33と、回転枠32の内周側に設けられ略筒形状からなり第2の光学系22の一部である第2レンズ群22a及びシャッター機構26a等を保持する直進枠34と、固定枠31の内部に配設され第2の光学系22の一部を構成する反射鏡22bを固定保持し所定の方向(図3及び図4において矢印R方向)に回動自在に配設されるミラー枠35等によって主に構成されている。
【0029】
固定枠31は、その内周面に、内周略全面に形成されるメスヘリコイド31aと、光軸O1に沿う方向に延設され円周方向に略等間隔に形成される三本の直進溝31bと、先端縁部近傍に形成される周溝31cとを有して形成されている。
【0030】
また、固定枠31の後端側の開口は蓋部材37によって遮蔽されている。蓋部材37は複数のネジ37aによって固定枠31の後端縁部に対してネジ固定されている。
【0031】
回転枠32の外周側の後端縁部近傍には、固定枠31のメスヘリコイド31aに螺合するオスヘリコイド32aが形成されている。これにより、固定枠31と回転枠32とはヘリコイド結合するようになっている。そして、回転枠32が所定の駆動手段によって回転駆動されると、同回転枠32は固定枠31に対して回転しながら光軸O1に沿う方向に進退するようになっている。
【0032】
そして、回転枠32が所定量だけ繰り出されると、回転枠32のオスヘリコイド32aは、固定枠31の周溝31cに係合するようになっている。この状態となった時には、回転枠32は、固定枠31に対して回転自在の状態を維持したまま、光軸O1に沿う方向への進退動作が規制されるようになっている。これにより、回転枠32は光軸O1に沿う方向についての移動が規制され固定状態にされるようになっている。
【0033】
さらに、回転枠32の内周面には、その後端縁部近傍に周溝32bと、円周方向に略等間隔に形成される三本の一群枠用カム溝32cが形成されている。
【0034】
直進枠34は、上述したように略筒形状からなる枠部材であって、その内周側に第2レンズ群22aを固定保持して構成されている。また、後端側にはシャッター機構26aが一体的に配設されており、このシャッター機構26aを覆い隠しつつ上記第2レンズ群22aを透過する光束を通過させ得る形状のシャッター蓋部材26bが配設されている。これにより、シャッター機構26aは、第2レンズ群22aと一体的に移動するようになっている。
【0035】
また、直進枠34の後端面には、光軸O1に沿う方向に向けて後方に突出するように押圧ピン34dが植設されている。
【0036】
そして、直進枠34の前端面には、上記第2レンズ群22aに入射される透過光束の光路幅を規制することで撮影のために不要となる光束が入射するのを規制する開口絞り34cが固設されている。
【0037】
この直進枠34は、その外周面の最後端縁部に円周方向に略等間隔となるように突設される直進キー34aと、この直進キー34aの近傍であって同直進キー34aより内側の部位に円周方向に略等間隔となるように突設される三本のバヨネット爪34bを有して形成されている。
【0038】
上記直進キー34aは、固定枠31の直進溝31bに係合するようになっている。したがって、これにより直進枠34は固定枠31に対する回転動作が規制されている。
【0039】
また、バヨネット爪34bは回転枠32の周溝32bに係合することで、回転枠32と直進枠34とはバヨネット結合するようになっている。したがって、これにより直進枠34は、回転枠32に対しては光軸O1周りに回転自在となっていると同時に、光軸O1方向には回転枠32と一体的に進退自在となっている。
【0040】
さらに、直進枠34の内周側には、光軸O1に沿う方向に延設され円周方向に略等間隔に形成される三本の直進溝34eが貫通して形成されている。
【0041】
1群枠33は、上述したように略筒形状からなる枠部材であって、その内周側に複数の光学レンズからなる第1レンズ群21が固定保持されている。この1群枠33の外周側の後端縁部近傍には、円周方向に略等間隔に三本のカムフォロワ33aが外周に向けて植設されている。これらのカムフォロワ33aは、上記直進枠34の直進溝34eを貫通して回転枠32の一群枠用カム溝32cに係合している。したがって、これにより1群枠33は、直進枠34に対しては回転が規制されると共に、回転枠32が回転するのに伴ってカムフォロワ33aが一群枠用カム溝32cに沿って移動することから、1群枠33は光軸O1に沿う方向に進退自在となっている。
【0042】
なお、本実施形態によれば、光学系駆動機構24のうち第1群レンズ駆動機構である第1群駆動部24aは、主に一群枠用カム溝32cとカムフォロワ33aとのカム機構により構成される。一方、光学系駆動機構24のうち第2群レンズ駆動機構である第2群駆動部24bは、主にメスヘリコイド31aとオスヘリコイド32aとのヘリコイド機構により構成される。しかしながら、第1群レンズ駆動機構及び第2群レンズ駆動機構は、これに限ることはなく、例えばカム機構、ヘリコイド機構や送りネジ機構などを適宜用いて、これらを組み合わせて構成することができる。
【0043】
一方、固定枠31の内部には、上述したように第2レンズ群22の一部を構成する反射鏡22bが固定保持されるミラー枠35が配設されている。このミラー枠35は、その一端部が所定の固定部材(図示せず)に固設される支軸35aに対して回動自在に軸支されている。そして、同ミラー枠35は付勢部材36によって図3及び図4において支軸35aを回転中心として矢印Rに沿う反時計方向に常に付勢されている。
【0044】
ミラー枠35に配設される反射鏡22bは、上記第2レンズ群22aの配置される方向に向けて、その反射面が配設されている。
【0045】
ミラー枠35は、本電子撮像装置1が非撮影状態にあるとき、すなわち図3に示す沈胴状態にあるときには、直進枠34に設けられる押圧ピン34dによって付勢部材36の付勢力に抗して後方に押圧された状態となる。このとき、ミラー枠35の反射鏡22bは、固定枠31の内部において、図3に示すように光軸O1及び光軸O2から退避した退避位置に配置されるようになっている。
【0046】
また、本電子撮像装置1が撮影状態にあるとき、すなわち図4に示す状態にあるときには、直進枠34が固定枠31に対して前進した位置に配置されることになる。このことから、ミラー枠35は、付勢部材36の付勢力によって前傾した所定の部位に配置されるようになっている。つまり、ミラー枠35の反射鏡22bは、上述したように光軸O1との交差線上にあって、同光軸O1に対して角度略45度だけ傾けて配置されるようになっている。この状態で反射鏡22bは、光軸O1,O2に沿った光路中に侵入した反射位置となる。
【0047】
固定枠31には、撮像素子ユニット収納部41が、光軸O1に直交する方向に延出されるように配置されている。この撮像素子ユニット収納部41は、例えば略円筒形状に形成される筒状部であって、その一端側の固定枠31との連設部位には、上記反射鏡22bにより反射された光束が通過する光路(光軸O2)となる貫通孔41cが形成されている。
【0048】
また、撮像素子ユニット収納部41の他端側の開口は、蓋部材42によって遮蔽されている。蓋部材42は複数のネジ42aによって撮像素子ユニット収納部41の他端縁部に対してネジ固定されている。
【0049】
撮像素子ユニット収納部41の内部には、撮像素子ユニット23が光軸O2に沿う方向(図3及び図4に示す矢印Y方向)に移動自在に配設されている。
【0050】
なお、撮像素子ユニット収納部41は、固定枠31と一体的に形成してもよいし、固定枠31とは別個の部材を同固定枠31に取付るように構成してもよい。そして、撮像素子ユニット収納部41は、光軸O1方向で固定枠31が占める寸法内に配置される。これにより、レンズ鏡筒ユニット51の光軸O1方向の寸法の増大を防ぐことができる。また、電子撮像装置1自体の厚さを薄くし、小型化することに寄与し得る。
【0051】
この撮像素子ユニット23の移動機構は、次のように構成されている。すなわち、撮像素子ユニット23は、撮像素子ユニット保持枠43によって保持されている。この撮像素子ユニット保持枠43の外周縁部には、第1支持腕43aと第2支持腕43cとが互いに対向する位置に形成されている。
【0052】
一方の第1支持腕43aには、光軸O2に沿う方向に貫通する貫通孔43bが穿設されている。また、第1支持腕43aの外周面上には、撮像系駆動機構25の一部を構成するナット25cが一体に配設されている。そして、貫通孔43bには、案内軸44が挿通している。この案内軸44は、当該撮像素子ユニット収納部41の内部であって、蓋部材42とこの蓋部材42に対向する固定部41aとの間において光軸O2に沿う方向に張架されている。そして、この案内軸44には、撮像素子ユニット保持枠43と蓋部材42との間の部位に伸長性の付勢部材であるコイル状バネ46が巻回されている。これにより、撮像素子ユニット保持枠43は、撮像素子ユニット収納部41の内部において反射鏡22bの配設される側に向けて常に付勢されている。また、このコイル状バネ46は、撮像素子ユニット保持枠43の光軸O2に沿う方向における移動ガタを取り除く役目をしている。
【0053】
そして、撮像素子ユニット保持枠43は、撮像系駆動機構25により、光軸O2方向に駆動される。すなわち、撮像素子ユニット保持枠43の第1支持腕43aには、上述したようにナット25cが一体に固設されている。このナット25cには、リードスクリュー25bが螺合している。このリードスクリュー25bは、ステッピングモータ25aの回転軸に一体に固設されている。この場合において、リードスクリュー25bは、撮像素子ユニット収納部41の内部における固定部に固設される固定台25dに対して回動自在に懸架されている。そして、このリードスクリュー25bに連設されるステッピングモータ25aは、固定台25dに固設されている。
【0054】
つまり、ステッピングモータ25aとリードスクリュー25bとナット25cと固定台25dとによって撮像系駆動機構25が構成されている。そして、この撮像系駆動機構25の駆動力が撮像素子ユニット保持枠43に伝達されるよう連結している。
【0055】
他方の第2支持腕43cには、回転止め溝43dが形成されている。この回転止め溝43dには、上述の案内軸44と同様の回転止め軸45が挿通している。すなわち、この回転止め軸45もまた、当該撮像素子ユニット収納部41の内部であって、蓋部材42とこの蓋部材42に対向する固定部41bとの間において光軸O2に沿う方向に、上述の案内軸44と略平行となるように張架されている。これにより、撮像素子ユニット保持枠43は、案内軸44を回転中心とする回動方向への回転規制がなされ、かつ光軸O2に沿う方向に対しては円滑に摺動し得るようになっている。
【0056】
このような構成によって、ステッピングモータ25aによる回転駆動力は、その回転軸に同軸に固設されるリードスクリュー25bを回転させる。すると、リードスクリュー25bの回転駆動力は、これに螺合するナット25cへと伝達される。これにより、ナット25cは、光軸O2に沿う方向に移動するようになっている。したがって、このとき、ナット25cが固設される撮像素子ユニット保持枠43は、回転止め軸45によって回転規制されつつ、光軸O2に沿う方向(矢印Y方向)へと案内軸44及び回転止め軸45に沿って移動するようになっている。
【0057】
以上のように構成される上記一実施形態の電子撮像装置1における作用を以下に説明する。
【0058】
本実施形態の電子撮像装置1のレンズ鏡筒12に保持される撮影光学系12aは、上述したように複数の光学レンズ等からなり、焦点距離を所定の範囲内で任意に変更し得る変倍動作(いわゆるズーミング)を自在におこなうことのできるように構成される変倍レンズ系である。
【0059】
また、非撮影時においては、レンズ鏡筒12を縮めた状態として撮影光学系12aを装置1の内部に格納する状態(沈胴状態というものとする)とするように構成している。
【0060】
一方、撮影時においては、沈胴状態からレンズ鏡筒12を所定の位置に伸長させた状態、つまり本レンズ鏡筒12において設定し得る最も短い焦点距離(最短焦点距離)を設定した状態(短焦点状態というものとする)から、同レンズ鏡筒12において設定し得る最長焦点距離に設定した状態(長焦点状態というものとする)までの所定の範囲内でレンズ鏡筒12を伸縮させることで変倍動作をおこなうことができるようになっている。
【0061】
なお、上述の短焦点状態とは、撮影光学系12aが短焦点位置にある状態であって、例えば広角位置(ワイド端位置)が設定されている状態を指すものとする。また、上述の長焦点状態とは、撮影光学系12aが長焦点位置にある状態であって、例えば望遠位置(テレ端位置)が設定されている状態を指すものとする。
【0062】
この場合において、一般的な電子撮像装置における撮影光学系は、図8に示すような動作がおこなわれる。すなわち、図8は、従来の電子撮像装置において変倍動作を実行したときの撮影光学系及び撮像素子ユニットの位置関係を示す概念図である。
【0063】
まず、図8(A)に示す沈胴状態から、所定の光学系駆動機構による駆動動作によって図8(B)に示す短焦点状態となるように撮影光学系112aの各レンズ群を移動させる。ここで、撮影光学系112aは、第1レンズ群121と第2レンズ群122とからなるものとしている。そして、この撮影光学系112aの光軸O上の所定の部位に撮像素子ユニット123が固設されている。
【0064】
図8(B)に示す短焦点状態においては、第1レンズ群121と第2レンズ群122との間隔がL1w、第2レンズ群122と撮像素子ユニット123の撮像面との光路間隔がL2wとなっている。
【0065】
次に、図8(B)に示す短焦点状態から図8(C)に示す長焦点状態となるように撮影光学系112aの各レンズ群を移動させる。すると、この長焦点状態においては、第1レンズ群121と第2レンズ群122との間隔がL1T、第2レンズ群122と撮像素子ユニット123の撮像面との光路間隔がL2Tとなっている。
【0066】
このように、従来の電子撮像装置においては、撮像素子ユニット123を固定して、撮影光学系112aを構成する各レンズ群(第1レンズ群121と第2レンズ群122)のそれぞれを移動させることで変倍動作が実行される。
【0067】
なお、各変倍状態における焦点調節動作においては、撮影光学系112aを構成する各レンズ群の例えば一部を駆動している。したがって、撮影光学系112aを保持するレンズ鏡筒は、変倍動作と焦点調節動作とに対応して各レンズ群を駆動することが可能な複雑な駆動機構が必要とされる。
【0068】
一方、本実施形態の電子撮像装置1においては、図5に示すような動作がおこなわれる。図5は、本実施形態の電子撮像装置において変倍動作を実行したときの撮影光学系及び撮像素子ユニットの位置関係を示す概念図である。
【0069】
まず、図5(A)に示す沈胴状態から、所定の光学系駆動機構による駆動動作によって図5(B)に示す短焦点状態となるように撮影光学系12aの各レンズ群を移動させる。ここで、撮影光学系12aは、第1レンズ群21と第2レンズ群22aとからなる。そして、この撮影光学系12aの光軸O2上の所定の部位に撮像素子ユニット23が配設されている。
【0070】
本実施形態においては、図5(B)に示す短焦点状態としたときに、第2レンズ群22aを固定し、第1レンズ群21と撮像素子ユニット23とを光軸O1,O2に沿う方向に移動自在としている。
【0071】
図5(B)に示す短焦点状態においては、第1レンズ群21と第2レンズ群22aとの間隔がL1w、第2レンズ群22aと撮像素子ユニット23の撮像面との光路間隔がL2wとなっている。このとき、光路間隔L1w,L2wのそれぞれは図8(B)に示す光路間隔L1w,L2wと同等である。
【0072】
次に、図5(B)に示す短焦点状態から図5(C)に示す長焦点状態となるように撮影光学系12aの各レンズ群を移動させる。この移動動作時には、第2レンズ群22aは上述したように固定状態としている。
【0073】
この図5(C)の長焦点状態においては、第1レンズ群21と第2レンズ群22aとの間隔がL1T、第2レンズ群22aと撮像素子23aの撮像面との光路間隔がL2Tとなっている。このとき、光路間隔L1T,L2Tのそれぞれは、図8(C)に示す光路間隔L1T,L2Tと同等である。
【0074】
なお、各変倍状態における焦点調節動作においては、撮像素子ユニット23を光軸O2に沿って変位させる構成としている。したがって、従来のものに比べてレンズ鏡筒の駆動機構を単純化して構成することができる。また、撮像素子ユニット23の変倍動作用の駆動機構と焦点調節用の駆動機構とを一つの駆動機構で実現することも容易である。
【0075】
本実施形態では、変倍動作時と焦点調節動作時において、撮像素子ユニット23を光軸O2方向に移動させているが、撮像素子23aのみを駆動するような構成としてもよい。
【0076】
また、第1レンズ群21の沈胴位置から最も繰り出した位置(本実施形態では短焦点位置)までの繰り出し量Zdは、図8(A)に示す繰り出し量Zd0に比べて小さくすることができる。これは、変倍動作時において少なくとも第2の光学系22の一部である第2レンズ群22aを固定し、この第2レンズ群22aに対し、第1レンズ群21を光軸O1方向に駆動し、第2レンズ群22aに対し撮像素子ユニット23を駆動しているためである。
【0077】
すなわち、図8に示す従来の形態では、第1レンズ群121の繰り出し量Zd0は、第2レンズ群122と撮像素子123との光路間隔の変化をも含んでしまう。これに対し、本実施形態によれば、第1レンズ群21の駆動量は、第2レンズ群22aと撮像素子ユニット23との光路間隔の変化量をほとんど含むことなく第1レンズ群21の繰り出し量Zdが設定されるためである。
【0078】
このように、本実施形態の電子撮像装置1では、レンズ群の繰り出し量が小さくできるので、レンズ鏡筒を構成する各レンズ枠の光軸O1方向の寸法を小さくすることができる。
【0079】
なお、本実施形態においては、撮像素子ユニット23を光軸O2に沿う方向に移動させるようにしている。しかし、撮像素子ユニット23を同方向へと移動させるための機構は、複数のレンズ群を相対的に移動させる機構に比べて単純な機構で実現できる。
【0080】
次に、本実施形態の電子撮像装置1において適用される撮影光学系12aを構成する各レンズ群の構成について、以下に説明する。
【0081】
本電子撮像装置1においては、撮影光学系12aとして変倍レンズ系を採用しているのは上述した通りである。この変倍レンズ系は、負の屈折力を持つ第1レンズ群21と、正の屈折力を持つ第2レンズ群22aとを物体側から順に配置してなる2群ズームレンズとして構成している。そして、変倍動作時には、第1レンズ群21を可動とし、第2レンズ群22aを固定としている。これによって、第1レンズ群21と第2レンズ群22aとの空気間隔を変化させて焦点距離を変更し得るようしている。また、第2レンズ群22aは、沈胴状態にある位置から撮影状態のうち短焦点(または長焦点)端に設定した位置までの間は可動としている。
【0082】
ここで、図6は、図1の電子撮像装置において変倍動作を実行したときの撮影光学系及び撮像素子の作用を示す図であって、図5の概念図を本実施形態に則して示している。
【0083】
図6(A)は、撮影光学系12a(変倍レンズ系)が電子撮像装置1の内部に格納されている状態、すなわち沈胴状態を示している。
【0084】
図6(B)は、撮影光学系12a(変倍レンズ系)の短焦点状態を示している。
【0085】
図6(C)は、撮影光学系12a(変倍レンズ系)により設定し得る中間の焦点距離が設定された状態を示している。なお、このときの状態を標準焦点位置にある状態、または中間状態(スタンダード位置)が設定されている標準(または中間)焦点状態というものとする。
【0086】
図6(D)は、撮影光学系12a(変倍レンズ系)の長焦点状態を示している。
【0087】
図6に示すように撮影光学系12aは、図6(A)の沈胴状態から図6(B)の短焦点状態となり、図6(C)の中間焦点状態を経て、図6(D)の長焦点状態となるに従って、第1レンズ群21と第2レンズ群22aとの間隔が狭くなるように移動する。
【0088】
このとき、正の第2レンズ群22aは、上述したように固定枠31(図3及び図4参照)に対して固定されている一方、第1レンズ群21は、第2レンズ群22aの入射側の光軸O1(図3及び図4参照)に沿って移動自在となっている。
【0089】
上述したように、第2レンズ群22aは、開口絞り34cと、正レンズ及び負レンズからなる複数の光学レンズと、シャッター機構26aと、変倍動作時には本電子撮像装置1の固定部材に対して固定状態とされる反射鏡22bを有しており、この反射鏡22bの反射面による反射作用によって、被写体からの入射光路を角度約90度だけ折り曲げて撮像素子ユニット23の側へと導くよう構成されている。
【0090】
ローパスフィルター23cとカバーガラス23bと撮像素子23aとが光軸O2(図3及び図4参照)上において、光束の入射側(物体側)から順に並べた形態で一体的に配置されている。
【0091】
そして、反射鏡22bによって反射した光束を受け得る位置に撮像素子ユニット23が光軸O2に沿う方向に移動し得るように配設される。この撮像素子ユニット23は、第1レンズ群21の移動によって設定される像面位置が移動するのに連動させて、その位置が決定されるようになっている。
【0092】
図6(A)の沈胴状態にあっては、反射鏡22b及びこれを保持するミラー枠35は、固定枠31の内部において、光軸O1及び光軸O2から退避した位置に格納された状態となっている。
【0093】
このとき、第2レンズ群22aの開口絞り34cや正レンズ及び負レンズからなる光学レンズと、シャッター機構26aとが一体となって収納されるようになっている。また、この状態(図3または図5(A)の状態)では、第1レンズ群21が第2レンズ群22aとの間隔を徐徐に狭めて本電子撮像装置1の内部に沈胴されるようになっている。
【0094】
一方、本実施形態における各レンズ群についての詳細を、さらに詳しく以下に説明する。
【0095】
第1レンズ群21は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズとを物体側から順に光軸O1に沿う方向に並べて配置して構成されている。また、第2レンズ群22aは、両凸正レンズと、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズとからなっている。
【0096】
非球面は、第1レンズ群21の負メニスカスレンズの像側の面と、第2レンズ群22aの全てのレンズ面との計5面に用いている。
【0097】
また、反射鏡22bは表面鏡を使用している。この反射鏡22bは、撮影状態とされたときには、その反射面が第2レンズ群22aの負レンズの射出面頂から射出側4mmの位置に配されて、光軸Oに対して角度45度の傾きを持って配置されるようになっている。
【0098】
また、第2レンズ群22aの正レンズの物体側に配される開口絞り34cは、その開口形状が固定の円形絞りに設定されている。そして、この開口絞り34cの軸状光束を決定するエッジ部分は、第2レンズ群22aの正レンズの面頂点よりも反射面側に位置する構成としている。
【0099】
このように構成することで、変倍動作に用いる第1レンズ群21の移動範囲をより大きくとることができるので、高変倍比化もしくは広角撮影時のカメラの薄型化に有利となる。
【0100】
また、沈同状態としたときにも、撮影光学系12aの光軸方向の寸法を小さくすることができるので、電子撮像装置1の厚さ方向(奥行方向)の薄型化に有利な構成となっている。
【0101】
なお、本実施形態の電子撮像装置1において、撮影動作時における光量調節は、第2レンズ群22aの負レンズの像側に配設される機械式のシャッター機構26aによっておこなうようにしている。
【0102】
これとは別に、このシャッター機構26aを用いずに、例えば撮像素子ユニット23によって撮影動作時の撮影時間を調節する方式を用いるようにしてもよい。このような構成とした場合には、シャッター機構26aの配置を省略することができるので、沈胴動作時における装置1の薄型化にはより有利な構成となる。
【0103】
また、本電子撮像装置1において、近距離物点に対する焦点調節動作(AF動作;フォーカシング)は、撮像素子ユニット23を反射鏡22bの反射面から遠ざかる方向に光軸O2に沿う方向へと移動させることによりおこなうことになる。または、第1レンズ群21を物体側に光軸O1に沿う方向に移動させるようにしてもよい。
【0104】
以下に、上記一実施形態の数値データを示す。この場合において、
f:全系焦点距離
No:Fナンバー
WE:広角端撮影時
ST:中間焦点距離撮影時
TE:望遠端撮影時
r1,r2,…:各レンズ面の曲率半径
d1,d2,…:各レンズ面間の光軸上間隔
nd1,nd2,…:各レンズのd線の屈折率
νd1,νd2,…:各レンズのアッベ数
である。なお、非球面形状は、光の進行方向を正とした光軸をxとし、この光軸と直交する方向をyとしたとき、下記の式にて表わすことができる。
【0105】
x=(y2/r)/[1+{1−(K+1)(y/r)21/2]+A4y4+A6y6+A8y8
この場合において、
r:近軸曲率半径
K:円錐係数
A4:4次の非球面係数
A6:6次の非球面係数
A8:8次の非球面係数
である。なお、シャッター位置、反射面位置は、数値データから省略している。
【0106】
r1= 54.1696 d1= 1.0000 nd1= 1.74320 νd1= 49.34
r2= 4.8359(非球面) d2= 1.6143
r3= 6.5785 d3= 1.6421 nd2= 1.84666 νd2= 23.78
r4= 9.7896 d4= (可変)
r5= ∞(絞り) d5= −0.3000
r6= 4.4880(非球面) d6= 2.0086 nd3=1.49700 νd3= 81.54
r7= −5.2355(非球面) d7= 0.6212 nd4=1.68893 νd4= 31.08
r8= −4.2761(非球面) d8= 2.5138
r9= −12.1262(非球面) d9= (可変)
r10= ∞ d10= 0.9600 nd5= 1.54771 νd5= 62.84
r11= ∞ d11= 0.6000
r12= ∞ d12= 0.5000 nd6= 1.51633 νd6=64.14
r13= ∞ d13= 0.5000
r14= ∞(像面)
非球面係数
第2面
K= −0.3732
A4= 1.1763 ×10-4
A6= 7.6055 ×10-6
A8= 0.0000
第6面
K= 0
A4= −4.8314 ×10-4
A6= −1.8704 ×10-5
A8= 0.0000
第7面
K= 0
A4= 5.4417 ×10-3
A6= −1.4828 ×10-4
A8= 0.0000
第8面
K= 0
A4= 8.7473 ×10-3
A6= −2.3686 ×10-4
A8= 0.0000
第9面
K= 0
A4= 3.8519 ×10-3
A6= 9.6677 ×10-5
A8= 0.0000
ズームデータ(∞)
WE ST TE
f(mm) 6.0150 11.9944 17.3441
NO 3.1115 4.1841 5.1487
d4 12.9832 4.1430 1.4000
d9 8.3569 13.0706 17.3669
このように構成される本実施形態の電子撮像装置1の作用は、以下の通りである。
【0107】
本電子撮像装置1の使用者は、本電子撮像装置1が電源がオフ状態(沈胴状態)にある時に各種の操作部材のうちの電源オンオフボタン(図示せず)を操作することによって電子撮像装置1を起動させる。これにより、本電子撮像装置1は、非撮影時の沈胴状態から撮影をおこなうことができる撮影準備状態に移行する。このときの作用は次の通りである。
【0108】
まず、本電子撮像装置1が電源オフ状態にあるときに、使用者は本電子撮像装置1の電源オンオフボタンのオン操作をおこなう。すると、この電源オンオフボタンに連動する電源オンオフスイッチ30e(図2参照)が作動して電源オン信号が発生し、この電源オン信号は制御回路20へと伝達される。これを受けて制御回路20は、本電子撮像装置1の各回路の初期化をおこなった後、光学系駆動機構24を駆動してレンズ鏡筒12(撮影光学系12a)を沈胴状態から撮影準備状態の初期位置である最短焦点位置へと移動させる。このときのレンズ鏡筒12等の動作は、次のようになる。
【0109】
すなわち、図3の状態において、光学系駆動機構24が駆動されると回転枠32が所定の方向(繰り出し方向)に回転する。この回転枠32のオスヘリコイド32aは、固定枠31のメスヘリコイド31aに噛合しているので、固定枠31に対して回転枠32は回転しながら光軸O1に沿う方向であって前方に向けて繰り出される。この回転枠32の繰出動作に伴って、直進枠34及び1群枠33も同方向へと移動する。このとき直進枠34は、回転枠32に対して光軸O1周りに回転自在となっていると同時に、光軸O1に沿う方向に対しては回転枠32と一体的に進退自在となっている。
【0110】
そして、直進枠34は、固定枠31に対する光軸O1まわりの回転が規制されているため、直進枠34は光軸O1まわりに回転することなく、回転枠32と共に光軸O1方向に繰り出される。
【0111】
回転枠32が所定量だけ繰り出されると、回転枠32のオスヘリコイド32aは、固定枠31の周溝31cに係合する。これにより、回転枠32は、固定枠31に対して回転自在の状態を維持したまま、光軸O1に沿う方向への進退動作が規制される。これにより、回転枠32は光軸O1に沿う方向についての移動が規制されて固定状態になる。
【0112】
したがって、回転枠32と光軸O1方向に一体的に変位する直進枠34の光軸O1方向の移動が制限される。そして、第2レンズ群22aは、直進枠34と共に収納位置から撮影位置へと繰り出される。
【0113】
一方、回転枠32の光軸O1まわりの回転に伴い、1群枠33は一群枠用カム溝32cとカムフォロワ33aとのカム結合の作用により光軸O1方向に繰り出され、第1レンズ群21が第2レンズ群22aと所定量離間した状態となり、例えば撮影光学系12aのワイド端に相当する状態となる。
【0114】
なお、この状態からさらに回転枠32を回転させると、回転枠32及び直進枠34は光軸O1方向に進退することなく、1群枠33が光軸O1方向に変位され第1レンズ群21と第2レンズ群22aとの間隔が変化し、変倍動作がおこなわれる。
【0115】
また、このときの回転枠32の繰出動作に伴って、押圧ピン34dによるミラー枠35の押圧は徐々に解除されることになる。したがって、ミラー枠35は、直進枠34が前方へと繰り出されるのに伴って、付勢部材36の付勢力によって支軸35aを回動中心とする図3及び図4において矢印R方向に沿う方向であって反時計方向へと回動する。そして、直進枠34の繰り出しが停止すると、ミラー枠35も所定の位置でその回動を停止し、反射位置となる。ミラー枠35は、この停止状態において、付勢部材36の付勢力によって一端部が押圧ピン34dに当接した状態となっている。これにより、ミラー枠35の回動方向への付勢が規制され、同ミラー枠35はその位置(図4に示す位置)に位置決めされている。このときのミラー枠35の反射鏡22bは、その略中央部が光軸O1及び光軸O2の交点近傍に配置され、かつ光軸O1及び光軸O2のそれぞれに対して角度45度傾いた状態に設定される。
【0116】
このようにして本電子撮像装置1は、撮影準備状態の初期位置である短焦点状態に設定される。
【0117】
この状態において、使用者は撮影動作に先立つ各種の設定、例えば所望する撮影モードの選択操作や、所望の撮影画面を設定するための変倍操作をおこなう。
【0118】
すなわち、使用者は、各種の操作部材のうち動作モード切換ボタン15を操作することによって、所望の動作モードへの切り換え設定をおこなう。この動作モード切換ボタン15が操作されると、これに連動するモードスイッチ30dが作動して、モード切り換え信号が発生し、このモード切り換え信号が制御回路20へと伝達される。これを受けて制御回路20は、所定の信号処理をおこなって入力されたモード切り換え信号に対応する動作モードへの切換制御動作を実行する。
【0119】
また、使用者が変倍操作レバー14を操作すると、これに連動するズームスイッチ30aが作動して、ズーム信号が発生し、このズーム信号が制御回路20へと伝達される。これを受けて制御回路20は、光学系駆動機構24の第1群駆動部24aと撮像系駆動機構25を介して1群枠33(第1レンズ群21)と撮像素子ユニット23の進退駆動制御をおこなう。これにより、撮影光学系12aは所望する焦点距離に設定される。
【0120】
このようにして、撮影のための各種設定が完了すると、次に使用者は撮影動作を実行する動作をおこなう。
【0121】
この場合において使用者は、レリーズボタン13の押圧操作をおこなう。レリーズボタン13が押されると、まず第1段の押圧操作によって第1レリーズスイッチ30bが作動して、1st.レリーズ信号が発生し、この1st.レリーズ信号は制御回路20へと伝達される。この1st.レリーズ信号は、例えば自動露出動作(AE動作)や自動焦点調節動作(AF動作)を開始させる指示信号である。
【0122】
これを受けて制御回路20は、画像処理回路27を制御してAE動作を実行したりAF動作の実行のための情報を取得すると同時に、これら取得した各種情報に基づいて撮像系駆動機構25を駆動制御してAF動作を実行する。また、第1レンズ群21を移動させることでAF動作をおこなうようにする場合には、ここで、光学系駆動機構24のうちの第1群駆動部24aを駆動制御する。
【0123】
続いてレリーズボタン13がさらに押されて、同ボタン13の第2段の押圧操作がなされると、第2レリーズスイッチ30cが作動して、2nd.レリーズ信号が発生し、この2nd.レリーズ信号は制御回路20へと伝達される。2nd.レリーズ信号は、画像を取得するための露出動作を開始させる指示信号である。これを受けて制御回路20は、画像処理回路27及びシャッター駆動機構26を制御して露出動作を実行する。これと共に、画像処理回路27は、取得した画像信号についての各種の処理、すなわち記録や表示のための信号処理を、画像記憶回路28及び表示回路29を制御して実行する。
【0124】
撮影動作を終了する場合には、使用者は電源オンオフボタンのオフ操作をおこなう。すると、この電源オンオフボタンに連動する電源オンオフスイッチ30e(図2参照)が作動して電源オフ信号が発生し、この電源オフ信号は制御回路20へと伝達される。これを受けて制御回路20は、光学系駆動機構24を駆動して、任意の焦点距離に設定されているレンズ鏡筒12(撮影光学系12a)を撮影準備状態の初期位置である最短焦点位置へと移動させた後、続いて沈胴状態へと移動させる。このときのレンズ鏡筒12等の動作は、次のようになる。
【0125】
すなわち、例えば図4の状態等、レンズ鏡筒12が任意の焦点距離に設定されている状態において、光学系駆動機構24が駆動されると回転枠32が所定の方向(繰り込み方向)に回転する。このとき、回転枠32のオスヘリコイド32aは、固定枠31の周溝31cに係合した状態にある。回転枠32が所定量だけ回転すると、オスヘリコイド32aと周溝31cとの係合が外れる。そして、オスヘリコイド32aは、固定枠31のメスヘリコイド31aに噛合する。そして、回転枠32が同方向に回転を続けると、同回転枠32は、固定枠31に対して回転しながら光軸O1に沿う方向であって後方に向けて繰り込まれる。この回転枠32の繰り込み動作に伴って、直進枠34及び1群枠33も同方向へと移動する。
【0126】
また、このときの回転枠32の繰り込み動作に伴って、押圧ピン34dはミラー枠35を後方へと押圧する。したがって、ミラー枠35は、回転枠32が後方へと繰り込まれるのに伴って、付勢部材36の付勢力に抗して支軸35aを回動中心とする図3及び図4において矢印R方向に沿う方向であって時計方向へと回動する。
【0127】
そして、回転枠32が所定量だけ繰り込まれて、同回転枠32の繰り込み動作が停止すると、ミラー枠35も所定の位置(図3の位置)でその回動を停止する。ミラー枠35は、この停止状態において、付勢部材36の付勢力によって一端部が押圧ピン34dに当接した状態となっている。これにより、ミラー枠35の回動方向への付勢が規制され、同ミラー枠35はその位置(図3に示す位置)に位置決めされる。このときのミラー枠35の反射鏡22bは、光軸O1及び光軸O2から退避した状態にある。このようにして本電子撮像装置1は沈胴状態に設定される。
【0128】
このとき、第1レンズ群21及び第2レンズ群22aは、固定枠31内に収納された収納位置となる。そして、少なくとも第2レンズ群22aは、反射鏡22bが光路外の退避位置へと移動したあとの空間に収納されるように構成されている。
【0129】
以上説明したように上記第1の実施形態によれば、撮影状態としたときには、第2の光学系22のうちの第2レンズ群22aを固定して、第1レンズ群21と撮像素子ユニット23とを光軸O1及びO2に沿って移動させることによって変倍動作をおこなうようにしたので、第1レンズ群21の進退動作をおこなわしめる機構を単純化することができる。したがって、電子撮像装置1自体の小型化及び薄型化を阻害することなく、電子撮像装置1におけるレンズ鏡筒ユニット51の構造を単純化することができる。
【0130】
また、沈胴状態としたときには、反射鏡22bを保持するミラー枠35を光軸O1及び光軸O2から退避させた位置に配置し、反射鏡22bを退避した後の空間に少なくとも第2レンズ群22aを収納するように構成している。これにより、従来の沈胴方式のものに比べて、電子撮像装置の内部空間を有効に利用することができる。したがって、電子撮像装置1自体の厚さ方向の寸法を薄型化することができる。
【0131】
また、撮影位置において第2レンズ群22aを固定し、この第2レンズ群22aに対し第1レンズ群21と撮像素子ユニット23を変位させて変倍動作をおこなうので、第1レンズ群21の繰り出し量を少なくすることができる。これにより、レンズ鏡筒の小型化、特に薄型化を図ることができる。
【0132】
さらに、撮像素子ユニット23を固定枠31の光軸O1方向の寸法内に配置しているので、撮像素子ユニット23を光軸O2方向に変位させる構成としても、レンズ鏡筒の光軸O1方向の寸法を増大させることがない。
【0133】
なお、上述の一実施形態の電子撮像装置1においては、第1レンズ群21及び第2レンズ群22aを透過する光束の光路を撮像素子23aのがわへと折り曲げる光路折り曲げ光学系を構成する手段として、反射面を有する表面鏡である反射鏡22bを用いている。しかし、このような形態に限ることはない。例えば、図7に示すように、上述の第1の実施形態における反射鏡22bに代えてプリズム22Abを採用することができる。
【0134】
図7は、本発明の一実施形態の電子撮像装置における撮影光学系の変形例を示し、変倍動作を実行したときの撮影光学系及び撮像素子の作用を示す概念図である。
【0135】
この場合において、図7(A)は撮影光学系12a(変倍レンズ系)の短焦点状態を示している。図7(B)は、撮影光学系12a(変倍レンズ系)の長焦点状態を示している。図7(C)は、撮影光学系12a(変倍レンズ系)が電子撮像装置1Aの内部に格納された状態、すなわち沈胴状態を示している。
【0136】
図7に示すように、この変形例の場合には、光学レンズ22Aaとプリズム22Abとによって第2の光学系である第2レンズ群22Aが形成されている。プリズム22Abの少なくとも一つの面は、光軸に対して回転対称となる曲面によって形成されている。
【0137】
また、光学レンズ22Aaの前面側には開口絞り34cが設けられている。そして、プリズム22Abの出射面のがわ、すなわちプリズム22Abと撮像素子23aとの間の部位にシャッター機構26aが配設されている。
【0138】
開口絞り34c及びシャッター機構26aを含む第2レンズ群22Aは、図7(A)及び図7(B)に示す撮影状態にあるとき、電子撮像装置1Aの内部において固定された状態となっている。
【0139】
この状態において、変倍動作や焦点調節動作が実行されるときには、第1レンズ群21と撮像素子ユニット23とが、それぞれ第1群駆動部(図示せず。図2の符号24a参照)や撮像系駆動機構(同。図2の符号25参照)によって駆動される。これにより、第1レンズ群21と撮像素子ユニット23とは光軸に沿う方向に移動制御される。
【0140】
一方、本電子撮像装置1Aが非撮影時の沈胴状態になると、図7(C)のようになる。このとき、本変形例のプリズム22Ab及びこれを含む第2の光学系である第2レンズ群22Aは、上述の一実施形態における反射鏡22bとは異なり、固定された状態を維持したまま、第1レンズ群21のみが繰り込み動作をおこなって沈胴し、本電子撮像装置1Aの内部に格納されるようになっている。その他の構成については、上述の一実施形態と略同様である。
【0141】
このように構成した上記変形例によれば、光路折り曲げ光学系を構成する手段としてプリズム22Abを採用し、これを含む第2の光学系である第2レンズ群22Aを電子撮像装置1Aの内部に固定配置している。したがって、この点においては、上述の一実施形態において退避自在に設けた反射鏡22bとは異なる。これによって、本変形例では、変倍動作時には第1レンズ群21と撮像素子ユニット23とが光軸方向に移動し、沈胴動作時には第1レンズ群21が光軸方向に移動するのみであるので、これらを駆動する駆動機構は、さらに簡素化して構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明の一実施形態の電子撮像装置の概略的な外観を示す斜視図。
【図2】図1の電子撮像装置の概略的な内部構成を示すブロック構成図。
【図3】図1の電子撮像装置のレンズ鏡筒ユニットを取り出して示す縦断面図であって沈胴状態を示す図。
【図4】図1の電子撮像装置のレンズ鏡筒ユニットを取り出して示す縦断面図であって撮影状態のうち短焦点位置に設定した状態を示す図。
【図5】図1の電子撮像装置において変倍動作を実行したときの撮影光学系及び撮像素子ユニットの作用を示す概念図。
【図6】図1の電子撮像装置において変倍動作を実行したときの撮影光学系及び撮像素子の作用を示し、図5の概念図を本実施形態に則して示す図。
【図7】本発明の一実施形態の電子撮像装置における撮影光学系の変形例を示し、変倍動作を実行したときの撮影光学系及び撮像素子の作用を示す概念図。
【図8】従来の電子撮像装置において変倍動作を実行したときの撮影光学系及び撮像素子ユニットの位置関係を示す概念図。
【符号の説明】
【0143】
1,1A……電子撮像装置
10……外装部材
12……レンズ鏡筒
12a,112a……撮影光学系
13……レリーズボタン
14……変倍操作レバー
15……動作モード切換ボタン
16……閃光発光窓
20……制御回路
21,121……第1レンズ群
22,22A,122……第2レンズ群
22a,22Aa……光学レンズ
22b……反射鏡
22Ab……プリズム
23,123……撮像素子ユニット
23a……撮像素子
23b……カバーガラス
23c……ローパスフィルター
24……光学系駆動機構
24a……第1群駆動部
24b……第2群駆動部
25……撮像系駆動機構
25a……ステッピングモータ
25b……リードスクリュー
25c……ナット
25d……固定台
26……シャッター駆動機構
26a……シャッター機構
26b……シャッター蓋部材
27……画像処理回路
28……画像記憶回路
29……表示回路
30a……ズームスイッチ
30b……第1(1st)レリーズスイッチ
30c……第2(2nd)レリーズスイッチ
30d……モードスイッチ
30e……電源オンオフスイッチ
31……固定枠
31a……メスヘリコイド
31b……直進溝
31c……周溝
32……回転枠
32a……オスヘリコイド
32b……周溝
32c……一群枠用カム溝
33……1群枠
33a……カムフォロワ
34……直進枠
34a……直進キー
34b……バヨネット爪
34c……開口絞り
34d……押圧ピン
34e……直進溝
35……ミラー枠
35a……支軸
36……付勢部材
37……蓋部材
37a……ネジ
41……撮像素子ユニット収納部
41a,41b……固定部材
41c……貫通孔
42……蓋部材
42a……ネジ
43……撮像素子ユニット保持枠
43a……第1支持腕
43b……貫通孔
43c……第2支持腕
43d……溝
44……案内軸
45……回転止め軸
46……コイル状バネ
51……レンズ鏡筒ユニット
代理人弁理士伊藤進

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最も被写体寄りに配置され同被写体からの光束を入射し透過させる第1の光学系と、この第1の光学系を透過する光束の光路を折り曲げる第2の光学系と、上記第1の光学系及び上記第2の光学系を介して形成される被写体の光学像を受けて電気信号に変換する撮像素子とを具備する電子撮像装置において、
変倍動作をおこなうのに際し、上記第2の光学系を固定し、上記第1の光学系と上記撮像素子とを光軸に沿って移動させることにより変倍動作をおこなうようにしたことを特徴とする電子撮像装置。
【請求項2】
上記第2の光学系は、前記光路を折り曲げる反射面を有する表面鏡を含んで構成されることを特徴とする請求項1に記載の電子撮像装置。
【請求項3】
上記表面鏡は光路外に退避自在に設けられ、上記表面鏡が退避した後の空間には上記第2の光学系の少なくとも一部が収納可能となっていることを特徴とする請求項2に記載の電子撮像装置。
【請求項4】
上記第2の光学系は、少なくとも収納位置と撮影位置との間で変位するレンズ群を有し、このレンズ群にはシャッター機構が一体的に配設されてなり、
上記シャッター機構は、上記レンズ群と共に移動自在に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の電子撮像装置。
【請求項5】
上記第2の光学系は、前記光路を折り曲げるプリズムを含んで構成されることを特徴とする請求項1に記載の電子撮像装置。
【請求項6】
上記プリズムの少なくとも一つの面は、光軸に対して回転対称となる曲面によって形成されていることを特徴とする請求項6に記載の電子撮像装置。
【請求項7】
上記プリズムと上記撮像素子との間の部位に前記シャッター機構が配置されていることを特徴とする請求項6に記載の電子撮像装置。
【請求項8】
上記第1の光学系及び上記第2の光学系の少なくとも一部を光軸に沿って移動させる光学系駆動機構と、上記撮像素子を光軸に沿って移動させる撮像系駆動機構と、を具備することを特徴とする請求項1に記載の電子撮像装置。
【請求項9】
焦点調節動作の際に、上記第1の光学系及び上記第2の光学系を固定し、上記撮像素子を光軸に沿って移動させることによって焦点調節動作がおこなわれるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電子撮像装置。
【請求項10】
最も物体側に位置する第1の光学系と、
上記第1の光学系の光路を折り曲げる第2の光学系と、
上記第2の光学系によって折り曲げられた後の光路上に配置される撮像素子と、
変倍動作のために上記第1の光学系と上記撮像素子とを駆動し、焦点調節動作のために上記撮像素子を駆動する駆動手段と、
を具備することを特徴とする電子撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−106071(P2006−106071A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−288657(P2004−288657)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】