説明

電子部品内蔵モジュール用層間絶縁シート、電子部品内蔵モジュール及び電子部品内蔵モジュールの製造方法

【課題】内蔵する電子部品を所定の厚みで埋没できる電子部品内蔵モジュール用層間絶縁シート、電子部品内蔵モジュール及び電子部品内蔵モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】電子部品内蔵モジュール用層間絶縁シートは、常温以上樹脂粘度上昇開始温度以下の温度範囲内で電子部品の周囲を埋没させ、かつ電子部品内蔵モジュール内の層間絶縁をする工程に使用される樹脂シートであって、樹脂シートは、未硬化の熱硬化性樹脂からなり、常温にて固形で、電子部品を埋没する温度にて粘度が300Pa・s以上1000Pa・s以下、電子部品を埋没する温度から熱硬化性樹脂が粘度上昇を開始する樹脂粘度上昇開始温度までの粘度変化率が20%以下、である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を内蔵する電子部品内蔵モジュール用層間絶縁シート、電子部品内蔵モジュール及び電子部品内蔵モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、回路基板は、高密度化が進んでいる。配線を高密度で配置できる基板として、電子部品を内蔵する電子部品実装が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、基板上に第1の未硬化樹脂層を形成する工程と、前記第1の未硬化樹脂層上に電子部品を配置する工程と、前記電子部品を被覆する第2の未硬化樹脂層を形成する工程と、熱処理することにより、前記第1及び第2の未硬化樹脂層を硬化させて、前記電子部品が埋設された絶縁層を得る工程とを有することを特徴とする電子部品実装構造の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−322769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電子部品を被覆する第2の未硬化樹脂層は、一般的にシート状に成型した未硬化の熱硬化性樹脂からなるシート材を、対応する基板に貼り付けて熱プレス等にて熱処理することで形成しているが、この熱硬化性樹脂の樹脂流動性が悪いと内蔵する電子部品の周囲の狭い隙間に充填することができず、ボイドの発生等の不具合を生じるおそれがある。また逆に熱硬化性樹脂の流動性が良すぎると、基板の面内で樹脂流動にばらつきが生じやすく、又は基板端部で樹脂の流れ出しが生じ、第2の未硬化樹脂層が所定の厚みとならないおそれがある。このため、電子部品が所定の厚みで埋設(埋没)できなくなり、厚み方向で接続される基板配線と電子部品との導通が不安定となるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、内蔵する電子部品を所定の厚みで埋設できる電子部品内蔵モジュール用層間絶縁シート、電子部品内蔵モジュール及び電子部品内蔵モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために電子部品内蔵モジュール用層間絶縁シートは、常温以上樹脂粘度上昇開始温度以下の温度範囲内で電子部品の周囲を埋没させ、かつ電子部品内蔵モジュール内の層間絶縁をする工程に使用される樹脂シートであって、前記樹脂シートは、未硬化の熱硬化性樹脂からなり、常温にて固形で、前記電子部品を埋没する温度にて粘度が300Pa・s以上1000Pa・s以下、前記電子部品を埋没する温度から前記熱硬化性樹脂が粘度上昇を開始する前記樹脂粘度上昇開始温度までの粘度変化率が20%以下、であることを特徴とする。
【0008】
これにより、電子部品の周囲を埋没させるために、ラミネート又は熱プレス等により熱と圧力を加えた場合に、電子部品の周囲に樹脂を充填するのに十分な流動性を確保するとともに、樹脂が流れすぎて周囲に流れ出すおそれを低減できる。その結果、電子部品内蔵モジュールが内蔵する電子部品上側(配線層と接続される側)の絶縁層の厚みを所定の厚みとすることができる。また、電子部品内蔵モジュールの配線と電子部品との導通が安定する。なお、粘度上昇開始温度とは一定昇温にて粘度の温度変化を測定した際に、温度上昇による粘度低下から粘度上昇に切り替わった温度を指し、最も低い粘度より10%以上粘度が上昇した温度である。
【0009】
本発明の望ましい態様として、前記電子部品の周囲を埋没させる温度は、80℃以上120℃以下の範囲であって、前記粘度上昇開始温度は100℃以上150℃以下の温度範囲内であることが好ましい。これにより、常温付近では固形状態の第2樹脂となる樹脂シートも、埋没工程では溶融状態となり、電子部品を安定して第2樹脂に埋没することができる。
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために電子部品内蔵モジュール用層間絶縁シートは、80℃以上120℃以下の温度範囲内で電子部品の周囲を埋没させ、かつ電子部品内蔵モジュール内の層間絶縁をする工程に使用される樹脂シートであって、前記樹脂シートは、未硬化の熱硬化性樹脂からなり、常温にて固形で、前記電子部品を埋没する温度にて粘度が300Pa・s以上1000Pa・s以下の範囲内であり、90℃での粘度と120℃での粘度の粘度変化率が20%以下であることを特徴とする。
【0011】
これにより、電子部品の周囲を埋没させるために、ラミネート又は熱プレス等により熱と圧力を加えた場合に、電子部品の周囲に樹脂を充填するのに十分な流動性を確保するとともに、樹脂が流れすぎて周囲に流れ出すおそれを低減できる。その結果、電子部品内蔵モジュールが内蔵する電子部品上側(配線層と接続される側)の絶縁層の厚みを所定の厚みとすることができる。また、電子部品内蔵モジュールの配線と電子部品との導通が安定する。
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために電子部品内蔵モジュール用層間絶縁シートは、電子部品の周囲を埋没させ、かつ電子部品内蔵モジュール内の層間絶縁をする樹脂を含む層間絶縁シートであって、前記樹脂は、エポキシ樹脂と、前記エポキシ樹脂の質量を100として1質量%以上20質量%以下含まれ、粘度が10Pa・s以上1000Pa・s以下かつ分子量が100以上500以下の低分子成分の材料と、前記エポキシ樹脂の質量を100として1質量%以上20質量%以下含まれ、分子量が10000以上100000以下の高分子成分の材料と、を含むことを特徴とする。
【0013】
これにより、未硬化状態の樹脂が昇温した場合、樹脂の粘度が300Pa・s以上1000Pa・s以下となる粘度範囲を形成できる。例えば、電子部品を埋没する所定の温度まで昇温しても所定の粘度範囲に収めることができる。また、電子部品を埋没する温度から粘度上昇開始温度までの粘度変化率も20%以内に抑えることができる。このため、電子部品の周囲を埋没させるために、ラミネート又は熱プレス等により熱と圧力を加えた場合、電子部品の周囲に樹脂を充填するのに十分な流動性を確保するとともに、樹脂が流れすぎて周囲に流れ出すおそれを低減できる。その結果、電子部品内蔵モジュールが内蔵する電子部品上側(配線層と接続される側)の絶縁層の厚みを所定の厚みとすることができる。また、電子部品内蔵モジュールの配線と電子部品との導通が安定する。
【0014】
本発明の望ましい態様として、前記低分子成分の材料がエポキシ基を2つ以上含み、エポキシ当量が50g/eq以上300g/eq以下であることが好ましい。これにより、硬化時の架橋密度を高く保つことができるのでガラス転移温度が低下しすぎない。その結果、熱に対して安定した電子部品内蔵モジュールを製造できる。
【0015】
本発明の望ましい態様として、前記樹脂は、フィラーを含むことが好ましい。これにより、樹脂の充填を改善し、所望の線膨張係数をえることができる。その結果、電子部品内蔵モジュールの反りのおそれを低減できる。また、内蔵する電子部品との応力の発生を抑えることができるので、樹脂と電子部品との剥離等の不具合を防止することができる。
【0016】
本発明の望ましい態様として、前記高分子成分の材料は、前記エポキシ樹脂が含む分子構造と同じ分子構造を含むことが好ましい。これにより、同じ分子構造の分子骨格を含むので高分子成分の材料がエポキシ樹脂に相溶しやすくなる。また、エポキシ樹脂に相溶可能であれば、直鎖が広がった状態となりエポキシ樹脂に対して偏析するおそれを低減できる。その結果、高分子成分の材料により、樹脂の昇温時に粘度の低下を抑制する効果を得られる。
【0017】
本発明の望ましい態様として、前記低分子成分の材料は、エポキシ基を2以上含みかつエステル基を5個以上含むことが好ましい。これにより、樹脂をシート状にした場合、例えば150℃、3時間乾燥したときの質量減少を1%以内に抑えることができる。
【0018】
本発明の望ましい態様として、前記低分子成分の材料は、エポキシ基を2以上含みかつエステル基及び3級アミンを含むことが好ましい。これにより、樹脂をシート状にした場合、例えば150℃、3時間乾燥したときの質量減少を1%以内に抑えることができる。
【0019】
本発明の望ましい態様として、前記低分子成分の材料は、全塩素量が低分子成分の材料全体の1質量%以下であることが好ましい。これにより、配線層間の電気絶縁信頼性を確保できる。
【0020】
本発明の望ましい態様として、配線パターンと、前記配線パターンと電気的に接続する電子部品と、を有し、前記電子部品内蔵モジュール用層間絶縁シートの樹脂により電子部品が埋没される電子部品内蔵モジュールであることが好ましい。樹脂が昇温した場合、樹脂の粘度が300Pa・s以上1000Pa・s以下となる粘度範囲を形成できる。このため、電子部品の周囲を埋没させるために熱と圧力が加わったとしても、樹脂が周囲に過度に流れ出すおそれを低減できる。その結果、電子部品内蔵モジュールが内蔵する電子部品をボイド等の欠陥がなく、かつ電子部品上側(配線層と接続される側)の絶縁層の厚みを所定の厚みとすることができる。したがって、その後電子部品上部の絶縁層部分をレーザ、およびウエットブラスト、プラズマエッチングなど任意の方法で開口し、電子部品電極と配線層を銅めっきなど任意の方法で接続する際に、開口距離が安定する。その結果、電子部品内蔵モジュールの配線と電子部品との導通が安定する。
【0021】
本発明の望ましい態様として、前記電子部品は複数であり、前記樹脂に複数の電子部品が埋没することが好ましい。搭載される電子部品同士の間隔が例えば1mm以下となるような高密度な電子部品モジュールの場合、複数の電子部品間の埋め込み後の電極上の樹脂厚みのばらつきは、そのまま配線と電子部品間の導通の安定性に影響する。また、電子部品同士の間隔が狭い電子部品内蔵モジュールほど、電子部品間の空間が狭くなり、充填不良が起こりやすくなる。しかしながら、本発明によれば、前記樹脂は狭い電子部品同士の間隔でも安定して充填できる。
【0022】
本発明の望ましい態様として、前記配線パターンと前記電子部品との間に前記樹脂が介在することが好ましい。これにより、前記配線パターンと前記電子部品との間に前記樹脂をレーザ、およびウエットブラスト、プラズマエッチングなど任意の方法で開口し、電子部品電極と配線層を銅めっきなど任意の方法で接続する際に、開口距離が安定する。その結果、電子部品内蔵モジュールの配線と電子部品との導通が安定する。また、電子部品を例えば、100個以上搭載しても開口距離が安定しているため、接続部開口の不具合が少なく、安定して低コストで高密度な電子部品内蔵モジュールを製造できる。
【0023】
上述した課題を解決し、目的を達成するために電子部品内蔵モジュールの製造方法は、第1樹脂上に電子部品を搭載する工程と、熱硬化後第2樹脂となる未硬化の熱硬化性樹脂からなる樹脂シートにより前記電子部品を埋没する工程と、前記電子部品を埋没した前記第2樹脂を加熱硬化する工程と、を含み、前記電子部品を埋没する工程は、前記未硬化の第2樹脂の粘度が300Pa・s以上1000Pa・s以下となる温度まで前記第2樹脂を昇温し、電子部品を埋め込むことを特徴とする。
【0024】
これにより、電子部品を埋没する温度での樹脂粘度が1000Pa・s以下となることで、第2樹脂の高い流動性を確保でき、高密度に配置された電子部品間の空間もボイドなどの隙間なく充填することができる。また、同時に300Pa・s以上の粘度を確保することで、第2樹脂が過度に流出するおそれを低減し、内蔵する電子部品を所定の厚みで覆われた状態で埋没できる。その結果、電子部品内蔵モジュールの配線と電子部品との導通が安定する。
【0025】
本発明の望ましい態様として、前記電子部品を埋没する工程は、前記第2樹脂を昇温し、80℃以上120℃以下の温度とすることが好ましい。これにより、常温付近では固形状態の第2樹脂となる樹脂シートも、埋没工程では溶融状態となり、電子部品を安定して第2樹脂に埋没することができる。
【0026】
本発明の望ましい態様として、前記第2樹脂は、部品埋没を行う温度から粘度上昇開始温度までの粘度変化率が20%以下であることが好ましい。これにより、高温側と低温側との粘度差を低減できる。その結果、電子部品を埋没後、第2樹脂を加熱もしくは加熱加圧によって硬化させる工程へと工程が移っても、電子部品内蔵モジュール面内の樹脂の厚みの変化を低減することができる。その結果、電子部品内蔵モジュールの配線と電子部品との導通が安定する。ここで、粘度上昇開始温度は一定昇温にて粘度の温度変化を測定した際に、温度上昇による粘度低下から粘度上昇に切り替わった温度を指し、最も低い粘度より10%以上粘度が上昇した温度とする。部品埋没後、部品埋没部と非埋没部の凹凸を低減するため、部品埋没温度以上でのホットプレス等による平坦化工程を行ってもよい。この場合は高温側と低温側の粘度差が少ないことにより、電子部品内蔵モジュール面内の樹脂の厚みの変化をより低減することができる。
【0027】
本発明の望ましい態様として、前記電子部品を埋没した前記第2樹脂を加熱硬化する工程は、硬化開始温度を超えて前記第2樹脂を昇温することが好ましい。これにより、第2樹脂は、より短時間で電子部品の固定ができる。ここで硬化開始温度とは、一定昇温にて加熱時に粘度が10000Pa・s以上に上昇する温度である。また、前記高温領域での樹脂粘度変化が少ないことにより、この工程での樹脂流れ出しも抑制でき、この工程後の第2樹脂の厚みばらつきも低減できる。
【0028】
本発明の望ましい態様として、前記第2樹脂は、常温において固形の未硬化の樹脂シート状に加工されたものを使用して形成されることが好ましい。この第2樹脂を含む層間絶縁シートは常温ではいわゆるタック性がなく、基板上に静置されただけでは粘着性を発揮しないことが望ましい。このことにより、貼り付け前の常温において空気を抱き込むおそれを低減できる。その結果、真空ラミネータ等での樹脂シート貼り付け時のボイドの発生が低減される。
【0029】
本発明の望ましい態様として、前記電子部品を埋没する工程は、真空ラミネータを用いて前記樹脂シートを昇温加圧することが好ましい。これにより、真空ラミネータは樹脂シートの取り扱いが容易で、電子部品内蔵モジュールの製造コストを低減できる。また、真空ラミネータは昇温速度にばらつきなく、基板内の全ての領域で安定して電子部品の埋没を行うことができる。
【0030】
本発明の望ましい態様として、前記電子部品は複数であり、前記電子部品を埋没する工程は、前記第2樹脂に複数の電子部品を埋没することが好ましい。これにより、電子部品を複数内蔵できる。例えば、複数の電子部品が搭載される面積は、電子部品内蔵モジュールのボード基板の面積に対して占める割合を20%から60%の高密度で配置することができる。ここで、電子部品の搭載面積を上げることで、より小型の電子部品内蔵モジュールを作製できる。また、複数機能の電子部品を電子部品内蔵モジュールに搭載すれば、電子部品内蔵モジュールの高機能化が可能となる。より高密度に電子部品を配置するほど、埋没時に樹脂シートに要求される粘度範囲は狭くなるが、粘度制御が容易であるので、安定した樹脂厚みで電子部品の埋没が可能となる。このため、電子部品と配線との導通を安定的に確保することができる。これにより、製造される電子部品内蔵モジュールは、微細な接続端子を有する電子部品を多数内蔵する場合に適する。
【発明の効果】
【0031】
本発明の電子部品内蔵モジュール用層間絶縁シート、電子部品内蔵モジュール及び電子部品内蔵モジュールの製造方法によれば、内蔵する電子部品の位置精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本実施形態に係る電子部品内蔵モジュールの断面図である。
【図2】図2は、図1に示す電子部品内蔵モジュールのII−II線断面斜視図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る電子部品内蔵モジュールを構成する第2樹脂となる未硬化の樹脂シートの温度−粘度特性を示す説明図である。
【図4−1】図4−1は、本実施形態に係る電子部品内蔵モジュールを構成する第2樹脂の平坦化時の状態を説明する説明図である。
【図4−2】図4−2は、本実施形態に係る電子部品内蔵モジュールを構成する第2樹脂の加熱硬化時の状態を説明する説明図である。
【図5】図5は、電子部品内蔵モジュールの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【図6−1】図6−1は、本実施形態に係る電子部品内蔵モジュールの製造方法の説明図である。
【図6−2】図6−2は、本実施形態に係る電子部品内蔵モジュールの製造方法の説明図である。
【図6−3】図6−3は、本実施形態に係る電子部品内蔵モジュールの製造方法の説明図である。
【図6−4】図6−4は、本実施形態に係る電子部品内蔵モジュールの製造方法の説明図である。
【図6−5】図6−5は、本実施形態に係る電子部品内蔵モジュールの製造方法の説明図である。
【図6−6】図6−6は、本実施形態に係る電子部品内蔵モジュールの製造方法の説明図である。
【図6−7】図6−7は、本実施形態に係る電子部品内蔵モジュールの製造方法の説明図である。
【図6−8】図6−8は、本実施形態に係る電子部品内蔵モジュールの製造方法の説明図である。
【図7】図7は、流出率測定を示す説明図である。
【図8】図8は、厚み精度評価の一例である。
【図9】図9は、厚み精度評価の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0034】
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係る電子部品内蔵モジュールの断面図である。また、図2は、図1に示す電子部品内蔵モジュールのII−II線断面斜視図である。図1に示すように、電子部品内蔵モジュール10は、第1配線層32と、第2配線層33と、第3配線層31と、電子部品50と、第1樹脂22と、第2樹脂23と、基材21と、を有する。なお、電子部品内蔵モジュール10は、第1配線層32と、第2配線層33との間に、電子部品接続部材34と、層間接続部材36と、電子部品50と、第1樹脂22と、第2樹脂23とが配置されている。また、電子部品50は、第2配線層33側に電極51を含んでいる。電極51は、電子部品接続部材34を介して第2配線層33と接続している。
【0035】
第1配線層32と、第2配線層33と、第3配線層31と、電子部品接続部材34と、層間接続部材36とは、種々の導電体(例えば、金属)で形成することができる。導電体の材料は、特に制限されず、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ステンレス鋼(SUS材)等の金属導電材料が挙げられる。また、これらのなかでは、導電率やコストの観点から銅(Cu)を用いることが好ましい。第1配線層32と、第2配線層33と、第3配線層31とは、回路に合わせた配線パターンとなっている。電子部品接続部材34と、層間接続部材36とは、回路に合わせて、電子部品50、第1配線層32、第2配線層33のいずれか同士を電気的に導通できる配線である。
【0036】
第1配線層32は、基材21の第2配線層33側の面に形成されている。基材21は、薄い板状の部材である。第3配線層31は、第1配線層32が配線されている基材21の面とは反対側の面に配置されている配線パターンである。第1配線層32は、第3配線層と基材21を貫通した内部層間接続部材(不図示)の配線パターンで接続されていてもよい。また、第2配線層33上に、他の基材を積層し、他の基材を介して反対面に他の配線層が配置してもよい。配線層と基材とは相互に積み上げられることにより多層配線を形成し、本実施形態では、上下に配線層が何層あってもよい。
【0037】
電子部品50は、IC、コンデンサ、ダイオード等の電子部品であり、第1配線層32と第2配線層33との間に配置されている。電子部品50は、第1樹脂22と、第2樹脂23とで電子部品50の外周が囲われている。また、電子部品50は、第2配線層33側には、電極51が設けられている。電極51は、電子部品50と第2配線層33とを導通させる。
【0038】
第1樹脂22は、第1配線層32又は基材21と対向する面と、第2樹脂23と対向する面の2つの面に配置されている。第1樹脂22は、第1配線層32に対して密着している。第1樹脂22は、フィルム貼り付けもしくは塗布など任意の方法で平滑に形成可能なものであれば特に制限されず使用可能であり、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等、種々の樹脂を用いることができる。より具体的には、エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シリコン変形エポキシ樹脂等の材料が挙げられ、これらは、単独で又は複数組み合わせて使用することができ、電気特性、機械特性、吸水性、リフロー耐性等の観点から、適宜選択して用いることができる。また、第1樹脂22はその要求特性に合わせて、任意のフィラーや触媒などの添加剤、高分子成分等を含んでもよい。また、第1樹脂22は後述する第2樹脂23と同一の組成もしくは類似の組成の樹脂でもよい。
【0039】
図3は、本実施形態に係る電子部品内蔵モジュールを構成する第2樹脂となる硬化前の樹脂シートの温度−粘度特性を示す説明図である。図4−1は、本実施形態に係る電子部品内蔵モジュールを構成する第2樹脂の平坦化時の状態を説明する説明図である。図4−2は、本実施形態に係る電子部品内蔵モジュールを構成する第2樹脂の加熱硬化時の状態を説明する説明図である。電子部品内蔵モジュール10は、図1に示す電子部品50上の第2樹脂23の厚みt2を一定とすることが好ましい。これにより、電子部品接続部材34となる接続孔(ビア)をレーザやブラスト、プラズマエッチングなど所定の方法で掘削して形成する際に、その加工に必要距離(深さ)が一定となり、安定してビア形成できる。その結果、加工したビアをめっきなどの手法にて電極51と第2配線層33を安定して接続することができ、電子部品接続部材34と第2配線層33との導通が確実に確保できるからである。
【0040】
後述するように、第2樹脂23の層間絶縁シートが電子部品50を覆い、埋没させるには、熱処理をして第2樹脂23に電子部品50が埋め込まれる。まず、比較例として第2樹脂23が図3に示すグラフG2の粘度と温度との関係となっている場合を説明する。図3に示すグラフG2のように、比較例の第2樹脂23が埋没時の熱処理で粘度が100Pa・s近傍迄下がり、かつ150℃以上の硬化温度で大きく硬化する挙動を示す場合、例えば、真空ラミネータを用いて90℃の温度、0.5MPaの圧力で樹脂シートを電子部品が配置された基板上に貼り付けた後、図4−1に示すように、第2樹脂23を平坦とするためにホットプレス62で、第2樹脂23を含む層間絶縁シート23Aを電子部品50へ押圧する方向(矢印Z方向)に加熱、加圧する。この方向は、電子部品内蔵モジュールの厚み方向でもある。このとき、ホットプレス62により、例えば110℃の温度及び1.5MPaの圧力で第2樹脂23の層間絶縁シート23Aを平坦に加工する工程を追加しても、図3に示すグラフG2の挙動を示す第2樹脂23は粘度が低くなりすぎるため、図4−1に示すように電子部品内蔵モジュール10の周辺23Rへ第2樹脂23が矢印U方向に流れ出すおそれがある。また、その後の工程にて樹脂を硬化するために図4−2に示すように、真空熱プレス63による加熱・加圧を行うことで、160℃から190℃まで昇温され、電子部品内蔵モジュール10は、周辺23Rへ第2樹脂23が矢印U方向によりいっそう流れ出したまま硬化し、第2樹脂23が所定の厚みとならないおそれがある。
【0041】
本実施形態の第2樹脂23は、図3に示すグラフG1のように、埋没時の熱処理温度近辺で粘度が300Pa・s以上1000Pa・s以下となり、さらに昇温しても粘度がほとんど低下せず、150℃以上の温度で硬化のため増粘する挙動を示す。このため、第2樹脂23は電子部品を真空ラミネータで埋め込む80℃以上100℃以下の温度領域では、1000Pa・s以下の粘度となり、高密度に搭載された電子部品間の狭い隙間内を十分に充填することができる。また、この温度領域での最も低い粘度を粘度300Pa・s以上確保することによって、例えば、図4−1に示す第2樹脂23の層間絶縁シート23Aをホットプレス62により平坦に加工する工程を追加しても、電子部品が埋め込まれるが電子部品内蔵モジュール10の周辺23Rへ第2樹脂23が矢印U方向に流れ出すおそれを低減できる。
【0042】
図3に示すグラフG1には、粘度上昇開始温度Vと、硬化開始温度Hとが示されている。ここで、粘度上昇開始温度Vとは一定昇温にて粘度の温度変化を測定した際に、温度上昇による粘度低下から粘度上昇に切り替わった温度を指し、最も低い粘度より10%以上粘度が上昇した温度とする。図3では、粘度上昇開始温度Vは130℃近傍となることが分かる。また、硬化開始温度Hは、ここで硬化開始温度とは、一定昇温にて加熱時に粘度が10000Pa・s以上に上昇する温度とする。なお、昇温速度は、例えば、5℃/分である。
【0043】
本実施形態の第2樹脂23は、図3に示すグラフG1のように、90℃以上120℃以下の温度範囲で粘度の低下率が20%以下となることが好ましい。例えば、粘度が高温になるほど低下する場合、電子部品埋没工程や平坦化工程以降の真空熱プレス63等による加熱加圧処理による第2樹脂23の硬化工程時にも図4−2に示すような電子部品内蔵モジュール10の周辺23Rへ第2樹脂23が矢印U方向に流れ出すおそれが生じる。本実施の形態の第2樹脂23は、90℃以上の温度、例えば90℃以上120℃以下の温度範囲で粘度の低下率が20%以下となる。このため、第2樹脂23が硬化する際に電子部品内蔵モジュール10の周辺23Rへ第2樹脂23が矢印U方向に流れ出すおそれを低減できる。
【0044】
また、電子部品内蔵モジュール10を複数含むボード基板(集合基板)の大きさを150mm×150mm以上として製造コストを低減しようとする場合を想定する。樹脂粘度制御が十分でなく、樹脂が流れすぎてしまう場合、ボード基板の中心では樹脂の逃げ場(動ける空間)がないため樹脂流れが生じず、樹脂厚みは変化しないが、ボード周辺部では樹脂は基板外側に流れてしまい、樹脂厚みが薄くなるおそれがある。この傾向は集合基板の大きさが大きくなるほど顕著になる。本実施形態の電子部品内蔵モジュール10では、上述した樹脂の流れすぎが生じてしまうおそれを低減できる。これにより、図1に示す電子部品50上の第2樹脂23の厚みt2がばらつき、ボード基板の場所による接続抵抗のばらつきとなるおそれを低減できる。
【0045】
また、本実施形態の電子部品内蔵モジュール10の小型化・高機能化のためには、端子(電極)間距離が狭ピッチの電子部品を内蔵することが要求される。このとき対応が必要な電極51、51のピッチ間隔は、例えば120μm以下となる。電極ピッチが狭くなるにしたがって、加工位置精度や電子部品搭載精度、隣の電子部品接続部材34との距離の点から電子部品接続部材34の径も小さくする必要がある。さらに、電子部品接続部材34の積層方向の長さ(電子部品接続距離)も、接続用の穴加工性や導通用の金属形成(めっきなど)の観点から短くする必要性も生じる。また、電子部品接続距離の精度の要求値も厳しくなり、±10μm以下であることが必要となる。より好ましくは、電子部品接続距離の精度が±7μm以下である。本実施形態の電子部品内蔵モジュール10では、薄い第2樹脂23により電子部品50を埋没しても、図1に示す第2樹脂23の厚みt2を一定とすることができる。また、上述した要求値を満足することができる。これにより、電子部品接続部材34の接続抵抗のばらつきとなるおそれを低減できる。
【0046】
本実施形態の電子部品内蔵モジュール10は、第2樹脂23となる未硬化の樹脂シート(層間絶縁シート)が90℃以下の低温部分でも1000Pa・s以下の粘度を確保できる。これにより、高い樹脂流動性を維持できるため、図2に示すように、電子部品50を複数埋没できる。例えば、電子部品内蔵モジュール10の高密度化のために、複数の電子部品50が搭載される面積が電子部品内蔵モジュール10のボード基板の面積に対して占める割合を20%から60%と高密度にした場合にでも十分な充填性を確保できる。
【0047】
また、複数機能の電子部品を電子部品内蔵モジュールに搭載すれば、電子部品内蔵モジュールの高機能化が可能となる。より高密度に電子部品を配置するほど、埋没時に樹脂シートに要求される粘度範囲は狭くなるが、本実施形態の電子部品内蔵モジュールは、温度に対する粘度制御が容易であるので、安定した樹脂厚みで電子部品の埋没が可能となる。このため、電子部品と配線との導通を安定的に確保することができる。これにより、製造される電子部品内蔵モジュールは、微細な電子部品を多数内蔵する場合に適する。
【0048】
ここで、第2樹脂23は、シート状又はフィルム状に成型可能なものであれば特に制限されず使用可能であり、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等、種々の樹脂を用いることができる。より好ましくは、第2樹脂23は、エポキシ樹脂、低分子成分の材料、高分子成分の材料、硬化剤、触媒、フィラーを含むことができる。より、具体的には、エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シリコン変形エポキシ樹脂等の材料が挙げられ、これらは、単独で又は複数組み合わせて使用することができ、電気特性、機械特性、吸水性、リフロー耐性等の観点から、適宜選択して用いることができる。
【0049】
エポキシ樹脂は、シート加工後のハンドリングを良くするため、上述した材料の中で固形と液状の2種類以上を組み合わせて、形成することが好ましい。エポキシ樹脂は、例えば、液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂と、固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂とを組み合わせて形成される。また、他の例として、エポキシ樹脂は、液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂と、固形のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂とを組み合わせて形成される。また、他の例として、エポキシ樹脂は、液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂と、固形のナフタレン型エポキシ樹脂とを組み合わせて形成される。
【0050】
低分子成分の材料は、粘度が室温(常温)にて1000Pa・s以下であれば特に限定されない。低分子成分の材料の粘度が1000Pa・s以下である場合、電子部品50が第2樹脂23に埋没される温度範囲(90℃以下)の粘度を大きく下げ、気泡、ボイド等を低減できる。低分子成分の材料は、エポキシ基を2官能基以上を含み、エポキシ当量が500g/eq以下であることが好ましい。これにより、硬化後の材料強度を確保し、またガラス転移温度の低下を抑えることができる。低分子成分の材料は、分子量が100以上500以下であって、エポキシ当量が50g/eq以上300g/eq以下であると、粘度及び物性の観点でより好ましい。
【0051】
また、低分子成分の材料は、エステル結合又は3級アミン構造、もしくはエステル結合及び3級アミンを含むことがさらに好ましい。これにより、揮発性を低く抑えることができる。低分子成分の材料は、エポキシ基を2以上含みかつエステル基を5個以上含むことが好ましい。これにより、シート状にした場合、例えば150℃、3時間乾燥したときの質量減少を1%以内に抑えることができる。また、低分子成分の材料は、エポキシ基を2以上含みかつエステル基及び3級アミンを含むことが好ましい。これにより、シート状にした場合、例えば150℃、3時間乾燥したときの質量減少を1%以内に抑えることができる。その結果、質量減少を1%以内とすることによって、第2樹脂23の製造工程中での物性の変化を抑制し、装置への揮発物の付着も低減できる。
【0052】
また、低分子成分の材料は、全塩素(Cl)量が低分子成分の材料全体の1質量%以下、好ましくは低分子成分の材料全体の0.3質量%以下であることが好ましい。これにより、イオン性不純物に起因するマイグレーションの発生などを抑制でき、配線層間の電気絶縁信頼性を確保できる。
【0053】
高分子成分の材料は、エポキシ樹脂に相溶可能な材料であれば、特に限定されない。エポキシ樹脂に相溶可能であれば、樹脂配合物中で高分子成分は直鎖が広がった状態となり温度上昇時の粘度低下を十分に抑制できる。また、高分子成分がエポキシ樹脂に対して偏析するおそれも低減できる。このため、温度が上昇しても粘度が下がりすぎないようにすることができる。高分子成分の材料は、エポキシ樹脂との相溶性を確保するために、使用するエポキシ樹脂が含む分子構造と同じ構造を含むことがより好ましい。例えば、エポキシ樹脂中にビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む場合には、フェノキシ樹脂を高分子成分として添加するのが望ましい。
【0054】
硬化剤は、フェノール樹脂又はアミン系硬化剤等の一般的に電子材料用途で使用されるエポキシ樹脂と反応する材料であれば特に限定されない。例えば、第2樹脂23は、硬化剤としてシアノグアニジンを含んでもよい。これにより、硬化するガラス転移温度(Tg)、低温安定、硬化速度の特性を調整することができる。例えば、シアノグアニジンは、エポキシ樹脂のエポキシ当量に対して0.4当量から1.0当量含んでいることが好ましい。
【0055】
第2樹脂23は、触媒としてトリフェニルフォスフィン、テトラフェニルフォスフィン等の有機リン化合物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾ−ル、2−フェニル−4−メチルイミダゾ−ル、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾ−ル等のイミダゾール系触媒を選択できる。
【0056】
第2樹脂23としては、エポキシ樹脂に、添加剤として適宜のフィラーを加えてもよい。なお、フィラーとしては、特に制限されないが、例えば、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸アルミウイスカ、チタン酸カリウム繊維、硫酸バリウム、アルミナ、ガラスフレーク、窒化タンタル、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、又は、マグネシウム、ケイ素、チタン、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム、ジルコニウム、錫、ネオジウム、サマリウム、アルミニウム、ビスマス、鉛、ランタン、リチウム及びタンタルのうち少なくとも1種の金属を含む金属酸化物粉末等が挙げられ、樹脂母材料と同様、これらも、単独で又は複数組み合わせて使用することができ、また、電気特性、機械特性、吸水性、リフロー耐性等の観点から、適宜選択して用いることができる。第2樹脂23としては、充填性、機械特性(線膨張係数)等の観点から、シリカ又は溶融シリカがより好ましい。また、上述したフィラーの表面はシランカップリング剤等で表面処理されていることが望ましい。
【0057】
第2樹脂23としては、フィラーを含む樹脂全体の質量を100としてフィラー添加量が30質量%以上80質量%以下であることが好ましい。また、充填によるボイドの低減、または電子部品との線膨張の違いによる応力や、反り等を低減する面から第2樹脂23としては、フィラーを含む樹脂全体の質量を100としてフィラー添加量が70質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
【0058】
第2樹脂23は、分子量が100以上500以下の低分子成分の材料がエポキシ樹脂の質量を100として1質量%以上20質量%以下含まれ、分子量が10000以上100000以下の高分子成分の材料がエポキシ樹脂の質量を100として1質量%以上20質量%以下含まれる。これにより、図3に示す、G1のグラフの温度と粘度との関係を示す特性をえることができる。
【0059】
ここで、電子部品内蔵モジュール10は、層間接続部材36が電子部品50の配置されていない領域に形成されている。電子部品内蔵モジュール10は、層間接続部材36の位置を組み合わせて配置することで、電子部品50と、第1配線層32と、第2配線層33とを任意の組み合わせで導通させることができる。本実施形態の電子部品内蔵モジュール10は、基本的に以上のような構成である。
【0060】
なお、電子部品内蔵モジュール10は、最終製品に組み込まれて、回路として使用される場合は、例えば、第2配線層33と、第3配線層31と、が、他の電子部品と接続し、電流(電気信号)が流されることで使用される。また、電子部品内蔵モジュール10は、複数の基板が連結された状態で、最終製品に組み込まれる前に、切断されて、個別の基板として使用される場合もある。
【0061】
なお、電子部品内蔵モジュール10は、第1樹脂22の厚みと第2樹脂23との厚みの合計が、電子部品50の厚みよりも厚くなる。また、図2に示すように、電子部品内蔵モジュール10は、基板面内の複数箇所に電子部品50を内蔵できる。これにより、電子部品50の載置箇所を増やすことができる。このため、電子部品50の電子部品内蔵モジュール10あたりの密度を増やすことができる。その結果、回路が高密度となり、回路全体が省スペースで、低背となる。
【0062】
また、本実施形態では、反りに対してよりよい効果を得ることができるため、基材21を一方の面側に配置したが、これに限定されず、両方の面に基材21を配置してもよい。配線層を3つ設けた構成としたが、これに限定されず、少なくとも1つの配線層があればよい。
【0063】
次に、電子部品内蔵モジュール10の製造方法について説明する。ここで、図5は、電子部品内蔵モジュールの製造方法の一例を示すフローチャートである。図6−1から図6−8は、本実施形態に係る電子部品内蔵モジュールの製造方法の説明図である。なお、電子部品内蔵モジュール10は、マニピュレータ、樹脂硬化機能、半導体プロセス機能、レーザ照射処理、エッチング処理等、種々の機能を備える製造装置により製造することができる。なお、製造装置は、複数の装置に分離されていてもよい。また、各装置間の搬送や、部品の設置は、作業者が行ってもよい。
【0064】
図5のフローチャートに沿って電子部品内蔵モジュール10の製造方法について説明する。ここで、図1から図3及び図6−1から図6−8を参照する。まず、製造装置は、準備工程を行う(手順S31)。ここで、準備工程として、製造装置は、図6−1に示すように、露光、現像、エッチング等の処理を施して第1配線層32及び第3配線層31の配線パターンを形成し、基材21と共に第1配線層32及び第3配線層31を形成する。
【0065】
次に、製造装置は、図6−2に示すように、第1樹脂22を含む層間絶縁シート22Aを準備する。上述したように、層間絶縁シート22Aは、常温(25℃)においてシート状である。
【0066】
第1樹脂22は、電子部品の搭載・固定化が可能でシート状又はフィルム状に成型可能な樹脂であれば特に制限されず使用可能である。好ましくはエポキシ樹脂、硬化剤、触媒、フィラーなどを含んだ熱硬化性樹脂配合物が選択される。また、第1樹脂22は第2樹脂23と同じ組成もしくは類似の組成の樹脂配合物とすれば、埋没される電子部品50の上下層で物性差が生じることなく、剥離や反りの発生が低減される。
【0067】
次に、製造装置は、図6−2に示すように、第1配線層32上に上述した層間絶縁シートを第1配線層32に、常圧ラミネータまたは真空ラミネータを用いて一定時間、加圧することで、両者を密着させた状態とする層間絶縁シート貼り付け工程を行う(手順S32)。
【0068】
次に、製造装置は、電子部品を搭載する電子部品搭載工程を行う(手順S33)。具体的には、製造装置は、図6−3に示すように第1樹脂22に電子部品を搭載(載置)する。例えば、図2に示すように、電子部品50は、第1樹脂22上に多数配置される。また、電子部品50は、第1樹脂22の樹脂表面22aに搭載される。
【0069】
部品搭載温度は、40℃以上90℃以下が好ましい。第1樹脂22がタック性を発現し、搭載する電子部品50の仮固着ができるからである。部品搭載温度は、50℃以上80℃以下がより好ましい。第1樹脂22が常温では全くタック性がない材料であっても部品搭載温度では十分なタック性を発現し、確実に電子部品50を固定すると共に、層間絶縁シートの表面が一定で電子部品50の沈み込みのおそれを低減できるからである。
【0070】
次に、製造装置は、電子部品を搭載した状態で第1の加熱工程を行う(手順S34)。第1の加熱工程では、第1樹脂22が硬化又は半硬化し、電子部品50が第1樹脂22の表面に固着する。第1の加熱工程での加熱温度は、140℃以上160℃以下とすることが好ましい。
【0071】
次に、製造装置は、電子部品埋め込みシート貼り付け工程を行う(手順S35)。製造装置は、図6−4に示すように、第2樹脂23を含む電子部品埋め込み用の層間絶縁シート23Aを用意する。例えば、層間絶縁シート23Aは、常温において固形状態であって、フィルム状のシート材である。ここで固形とは、定まった形・体積をもち変形しにくい状態である。第2樹脂23は、シート状又はフィルム状に成型可能な樹脂であれば特に制限されず使用可能である。より好ましくは、第2樹脂23は、エポキシ樹脂、低分子成分の材料、高分子成分の材料、硬化剤、触媒、フィラーを含むことができる。より、具体的には、エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シリコン変形エポキシ樹脂等の材料が挙げられ、これらは、単独で又は複数組み合わせて使用することができ、電気特性、機械特性、吸水性、リフロー耐性等の観点から、適宜選択して用いることができる。
【0072】
エポキシ樹脂は、シート加工後のハンドリングを良くするため、上述した材料の中で固形と液状の2種類以上を組み合わせて、形成することが好ましい。エポキシ樹脂は、例えば、液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂と、固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂とを組み合わせて形成される。また、他の例として、エポキシ樹脂は、液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂と、固形のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂とを組み合わせて形成される。また、他の例として、エポキシ樹脂は、液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂と、固形のナフタレン型エポキシ樹脂とを組み合わせて形成される。
【0073】
低分子成分の材料は、常温での粘度が1000Pa・s以下である液状の樹脂であれば特に限定されない。低分子成分の材料の常温での粘度が1000Pa・s以下である場合、電子部品50が第2樹脂23に埋没される温度領域での粘度が下がり、電子部品埋め込み時に発生する気泡、ボイド等を低減できる。低分子成分の材料は、エポキシ基を2官能基以上含むことが好ましい。低分子成分の材料は、エポキシ当量が500g/eq以下であることが好ましい。また、低分子成分の材料がエポキシ基を2つ以上含み、エポキシ当量が50g/eq以上300g/eq以下であることがより好ましい。これにより、硬化時の架橋密度を高く保つことができるのでガラス転移温度が低下しすぎない。
【0074】
また、低分子成分の材料は、エステル結合又は3級アミン構造、もしくはエステル結合及び3級アミン構造を含むことがさらに好ましい。これにより、揮発性を低く抑えることができる。低分子成分の材料は、エポキシ基を2以上含みかつエステル基を5個以上含むことが好ましい。これにより、シート状にした場合、例えば150℃、3時間乾燥したときの質量減少を1%以内に抑えることができる。また、低分子成分の材料は、エポキシ基を2以上含みかつエステル基及び3級アミンを含むことが好ましい。これにより、シート状にした場合、例えば150℃、3時間乾燥したときの質量減少を1%以内に抑えることができる。その結果、質量減少を1%以内とすることによって、第2樹脂23の製造工程中での物性の変化を抑え、装置への揮発物の付着も低減できる。
【0075】
また、低分子成分の材料は、全塩素(Cl)量が低分子成分の材料全体の1質量%以下、好ましくは低分子成分の材料全体の0.3質量%以下であることが好ましい。これにより、イオン性不純物に起因するマイグレーションの発生などを抑制でき、配線層間の電気絶縁信頼性を確保できる。
【0076】
高分子成分の材料は、粘度がエポキシ樹脂に相溶可能な材料であれば、特に限定されない。エポキシ樹脂に相溶可能であれば、樹脂配合物中で高分子成分の材料の直鎖が広がった状態となり温度上昇時の粘度低下を十分に抑制できる。また、高分子成分がエポキシ樹脂に対して偏析するおそれも低減できる。高分子成分の材料は、上記エポキシ樹脂との相溶性を確保するために、使用するエポキシ樹脂が含む構造と同じ種類の分子構造を含むことがより好ましい。例えば、エポキシ樹脂中にビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む場合には、フェノキシ樹脂を高分子成分として添加するのが望ましい。
【0077】
硬化剤は、フェノール樹脂又はアミン系硬化剤等の一般的に電子材料用途で使用されるエポキシ樹脂と反応する材料であれば特に限定されない。例えば、第2樹脂23は、硬化剤としてシアノグアニジンを含んでもよい。これにより、硬化するガラス転移温度(Tg)、低温安定、硬化速度の特性を調整することができる。例えば、シアノグアニジンは、エポキシ樹脂のエポキシ当量に対して0.4当量から1.0当量含んでいることが好ましい。
【0078】
第2樹脂23は、触媒としてトリフェニルフォスフィン、テトラフェニルフォスフィン等の有機リン化合物を選択できる。また、第2樹脂23は、触媒として2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾ−ル、2−フェニル−4−メチルイミダゾ−ル、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾ−ル等のイミダゾール系触媒を選択できる。
【0079】
第2樹脂23としては、エポキシ樹脂に、添加剤として適宜のフィラーを加えてもよい。なお、フィラーとしては、特に制限されないが、例えば、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸アルミウイスカ、チタン酸カリウム繊維、硫酸バリウム、アルミナ、ガラスフレーク、窒化タンタル、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、又は、マグネシウム、ケイ素、チタン、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム、ジルコニウム、錫、ネオジウム、サマリウム、アルミニウム、ビスマス、鉛、ランタン、リチウム及びタンタルのうち少なくとも1種の金属を含む金属酸化物粉末等が挙げられ、樹脂母材料と同様、これらも、単独で又は複数組み合わせて使用することができ、また、電気特性、機械特性、吸水性、リフロー耐性等の観点から、適宜選択して用いることができる。第2樹脂23としては、充填性、機械特性(線膨張係数)等の観点から、シリカ又は溶融シリカがより好ましい。また、上述したフィラーの表面はシランカップリング剤等で表面処理されていることが望ましい。
【0080】
第2樹脂23としては、フィラーを含む樹脂全体の質量を100としてフィラー添加量が30質量%以上80質量%以下することが好ましい。また、充填によるボイドの低減、または電子部品との線膨張の違いによる応力や、反り等を低減することから、第2樹脂23としては、フィラーを含む樹脂全体の質量を100としてフィラー添加量が70質量%以上80質量%以下とすることがより好ましい。
【0081】
第2樹脂23は、エポキシ樹脂と、エポキシ当量が50g/eqから300g/eq又は分子量が100から500の低分子成分の材料がエポキシ樹脂の質量を100として1質量%から20質量%と、分子量が10000から100000の高分子成分の材料がエポキシ樹脂の質量を100として1質量%から20質量%と、を含む。これにより、図3に示す、G1のグラフの温度と粘度との関係を示す特性をえることができる。
【0082】
層間絶縁シート23Aは、未硬化の第2樹脂23として上述したエポキシ樹脂、低分子成分の材料、高分子成分の材料、硬化剤、触媒、フィラーを原料樹脂とし、分散して作製することが好ましい。分散は、エポキシ樹脂、低分子成分の材料、高分子成分の材料、硬化剤、触媒、フィラーを含む組成物を例えばN,N−ジメチルホルムアミド、1−メトキシ−2−プロパノール又は2−ブタノン等の溶媒に溶解させて行う。溶媒は、樹脂成分を溶解できれば特に限定されない。また、上述した溶媒の1種または2種以上を溶媒としてもよい。2種以上の混合溶媒とすると、乾燥速度を調整することができる。また、フィラーが樹脂に分散するように、ボールミル又はディスパーミルにより、分散することが好ましい。
【0083】
層間絶縁シート23Aの原料樹脂は、第2樹脂23が例えばポリエチレンテレフタレート等のベース上に所定の厚みになるように塗布される。塗布された第2樹脂23は、熱風又は赤外線の乾燥炉により上述した溶媒が蒸発させられる。塗布は、ドクターブレード法、スリッド法、ダイコーダ、リップコータなど所定のシート厚み及び精度となるように適宜選択された方法により行われる。
【0084】
以上により、層間絶縁シート23Aは、図3のグラフG1に示すような埋没時の熱処理で粘度が300Pa・sから1000Pa・sとなり、150℃以上の硬化温度で大きく硬化する挙動を示す。また、第2樹脂23を含む層間絶縁シート23Aは、常温(25℃)において固形でフィルム状の層間絶縁シートであることが好ましい。これにより、常温において、シート状の層間絶縁シートの取り回しが容易となり、不用意な変形を伴うおそれを低減できる。常温においてシート状であるとは、第2樹脂23がタック性(粘着性)を発現していない状態をいう。
【0085】
層間絶縁シート23Aは、常温以上樹脂粘度上昇開始温度以下の温度範囲内で電子部品の周囲を埋没させ、かつ電子部品内蔵モジュール内の層間絶縁をする工程に使用される樹脂シートであって、前記樹脂シートは、未硬化の熱硬化性樹脂からなり、常温にて固形で、前記電子部品を埋没する温度にて粘度が300Pa・s以上1000Pa・s以下、前記電子部品を埋没する温度から前記熱硬化性樹脂が粘度上昇を開始する前記樹脂粘度上昇開始温度までの粘度変化率が20%以下、であることが好ましい。あるいは、層間絶縁シート23Aは、80℃以上120℃以下の温度範囲内で電子部品の周囲を埋没させ、かつ電子部品内蔵モジュール内の層間絶縁をする工程に使用される樹脂シートであって、前記樹脂シートは、未硬化の熱硬化性樹脂からなり、常温にて固形で、前記電子部品を埋没する温度にて粘度が300Pa・s以上1000Pa・s以下の範囲内であり、90℃での粘度と120℃での粘度の粘度変化率が20%以下であることが好ましい。
【0086】
電子部品埋め込みシート貼り付け工程(手順S35)は、図6−5に示す真空ラミネータ61により行われる。まず、図6−5に示すように、電子部品50上を含む所定位置に層間絶縁シート23Aが重ね合わされる。常温においてシート状であるので、層間絶縁シート23Aが重ね合わされただけではタック性がなく、常温において空気を抱き込むおそれを低減できる。これにより、電子部品埋め込みシート貼り付け工程において、ボイドの発生が低減される。層間絶縁シート23Aの基板への貼り付けは真空ラミネータ61を用いて行う。真空ラミネータ61は、ゴム板又はゴム状のバルーンで構成される真空ラミネータ部材61Aと及び61Bで、電子部品50と層間絶縁シート23Aとを内包するようにし、真空下、80℃以上100℃以下の温度範囲で0.5MPaの圧力を30秒間等方的に加えることで実施する。真空ラミネータは樹脂シートの取り扱いが容易で、電子部品内蔵モジュールの製造コストを低減できる。また、真空ラミネータは昇温速度にばらつきなく、基板内の全ての領域で安定して電子部品の埋没を行うことができる。これにより、電子部品50は、第2樹脂23に覆われ埋没される。この埋没工程で加温する温度は120℃以下であることが好ましい。好ましくは、埋没温度が80℃以上100℃以下であることが好ましい。埋没温度が80℃以上であれば、常温では固形である第2樹脂23の粘度を、複数の電子部品50間に作られた狭い空間も十分に充填することができる粘度まで下げることができる。すなわち、埋め込み温度が80℃以上であれば、粘度を図3のグラフG1に示す300Pa・s以上1000Pa・s以下とすることができる。なお、図3の粘度上昇開始温度Vは100℃以上150℃以下の温度範囲であることが好ましい。
【0087】
また、図6−5に示すように、電子部品50の有無により、第2樹脂23の樹脂表面23aに凹凸が生じるため、第1樹脂22と反対側の第2樹脂23の樹脂表面23aを平坦とする必要がある。製造装置は、図6−6に示すホットプレス62により90℃以上120℃以下の温度、1.5MPaの圧力で矢印Z方向に第2樹脂23を60秒間プレスし平坦化を行う。層間絶縁シート23Aの貼り付け工程および平坦化工程を含む電子部品の埋没工程を120℃以下とすれば、次工程で加温する硬化温度と埋没温度との間に間隔を確保でき、埋没工程中に硬化進行による粘度上昇が生じ、埋め込み状態がばらつくことを抑制できる。なお、この工程では第2樹脂23は、電子部品50がずれない程度に保持できればよく、完全に硬化させる必要はない。
【0088】
次に、製造装置は、第2樹脂23を加熱硬化する第2の加熱工程を行う(手順S36)。第2の加熱工程では、例えば、真空熱プレス63を用いる。図6−7に示すように160℃から190℃で、第2樹脂23を数MPaの圧力で矢印Z方向に押圧し、平坦としながら第2樹脂23を硬化させる。第2樹脂23となる樹脂シート23Aは、部品埋没を行う温度から粘度上昇が開始する粘度上昇開始温度までの粘度変化率が20%以下であることが好ましい。これにより、高温側と低温側との粘度差を低減できる。その結果、電子部品を埋没後、第2樹脂を加熱もしくは加熱加圧によって硬化させる工程へと工程が移っても、電子部品内蔵モジュール面内の樹脂の厚みの変化を低減することができる。その結果、電子部品内蔵モジュールの配線と電子部品との導通が安定する。また、加熱硬化する温度は硬化開始温度(粘度が10000Pa・s以上に上昇する温度)よりも高いことが好ましい。これにより、短時間で樹脂を硬化させることが可能となる。なお、本実施形態では、図6−7に示すように第2樹脂23上面に第2配線層33を貼り付けた後、第2樹脂23を加熱、加圧することで、硬化させる。これにより、製造装置は、図6−8に示すように、電子部品50が第2樹脂23によって埋まっており、かつ、第2配線層33が配置された基板を形成することができる。
【0089】
製造装置は、第2配線層33に露光、現像、エッチング等により、配線パターンを形成する配線パターン形成工程を行う(手順S37)。製造装置は、所定位置にビアを形成する。ここで、ビアは、第1樹脂22又は第2樹脂23を貫通する穴、第2配線層33から、電子部品50の電極51まで届く穴、又は第2配線層33から、第1配線層32の金属部分まで届く穴等である。また、ビアは、レーザ加工やブラスト加工により形成することができる。
【0090】
製造装置は、ビアを形成したら、導電ペーストの埋め込み又は、めっき処理を行い、形成したビアに金属を充填する。なお、めっき処理は、無電解めっきを行った後、電解めっきを行っても、無電解めっきのみを行ってもよい。これにより、図1に示すように、電子部品接続部材34と、層間接続部材36とが形成される。その後、製造装置は、第2配線層33をパターニングすることで、図1に示すように、配線を形成する。このように、金属の一部を除去することで、配線パターンとなる。なお、パターニングの方法は特に限定されず、例えば、通常の配線形成プロセス(レジスト形成、露光、エッチング、マスク除去)によって行っても、レーザ加工やブラスト加工によって行ってもよい。
【0091】
本実施形態の電子部品内蔵モジュール用層間絶縁シート、電子部品内蔵モジュール及び電子部品内蔵モジュールの製造方法によれば、電子部品をボイドなく埋没させることができるとともに、内蔵する電子部品とそれに接続する配線の接続安定性が向上し、歩留まりや接続信頼性の高くすることができる。
【0092】
(評価1)
以下、評価例及び比較例を用いて評価1について説明する。ここで、図1に示す電子部品内蔵モジュール10の評価例及び比較例を下記表1の組成に示す材料を用いて作成した。
【0093】
【表1】

【0094】
ここで、表1に示すエポキシ樹脂Aは、下記化学式1に示すビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用した。エポキシ樹脂Aは、平均分子量370、エポキシ当量185g/eqである。また、表1に示すエポキシ樹脂Bは、下記化学式1に示すビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用した。エポキシ樹脂Bは、平均分子量470、エポキシ当量475g/eqである。
【0095】
【化1】

【0096】
また、表1に示すエポキシ樹脂Cは、下記化学式2に示すジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製HP7200HH)を使用した。
【0097】
【化2】

【0098】
また、表1に示す硬化剤は、下記化学式3に示すシアノグアニジン(三菱化学社製DICY7)を使用した。
【0099】
【化3】

【0100】
また、表1に示す硬化触媒は、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾ−ル(四国化成製C11Z−CN)を使用した。
【0101】
また、フィラーは、評価例1、評価例2及び比較例1のいずれも電機化学工業製FB−1SDXを使用した。フィラーは、シート総質量の75質量%としている。また、フィラーは、信越シリコン製シランカップリング剤KMB573により表面処理されている。
【0102】
また、表1に示す配合で、評価例1から評価例5及び比較例1から比較例2の組成の材料を各々用意した。第1溶媒である関東化学製のN,N−ジメチルホルムアミドと、第2溶媒である純正化学製の1−メトキシ−2−プロパノールとを1:1で混合し、混合溶媒とした。評価例1から評価例5及び比較例1から比較例2の組成の材料を各々用意した混合溶媒で溶解し、ボールミルで分散した。十分フィラーが分散した後、ドクターブレード法によって、ポリエチレンテレフタレート等のベース上に所定の厚みになるように、評価例1から評価例5及び比較例1から比較例2の組成の材料を各々塗布し、乾燥炉により120℃で10分間乾燥させた。
【0103】
ここで、比較例2は、試料に偏析がみられ、表1の備考欄に示したように分散されなかった。比較例2は、高分子成分の材料が日本合成化学製SP−160を用いている。主骨格がポリエステルであり、エポキシ樹脂A及びエポキシ樹脂Cと構造が似ていないことから相溶できずに偏析が生じたと考えられる。以後、評価例1から評価例5及び比較例1を評価する。
【0104】
(評価例及び比較例の粘度測定)
評価装置は、HAAKE製RheoStress6000を用いて測定を行った。測定モードは、CD−AutoStrain、周波数は、1Hz、押し加重Fnは、0.5Nである。評価したセンサは、HAAKE製PP20(コンプレート直径20mm)であった。評価した評価例1から評価例5及び比較例1から比較例2の各々の層間絶縁シートの厚みは0.4mm以上0.5mm以下とした。評価装置の昇温条件を5℃/minで、50℃から180℃の温度範囲を測定した。測定結果は、90℃及び120℃の粘度(Pa・s)を表1に示した。
【0105】
表1に示すように、評価例1から評価例5は、90℃及び120℃において粘度が300Pa・sから1000Pa・sの範囲となった。比較例1は、90℃及び120℃において粘度が1000Pa・sを超えている。評価例1から評価例5は、低分子成分の材料の分子量が100以上500以下の範囲である。これにより、90℃及び120℃において粘度を低下させることができたと考えられる。これに対して、比較例1は、高分子成分の材料、エポキシ樹脂A及びエポキシ樹脂C、硬化剤、硬化触媒が評価例1から評価例5と同じである。比較例1は低分子成分の材料の分子量が100から500の範囲である。また、比較例1に使用した低分子成分は、25℃の粘度が3000となっている。
【0106】
(評価例のガラス転移温度の測定)
評価例1及び評価例2に対してガラス転移温度の測定を行った。評価装置は、SII製DMS6100を用いて測定を行った。測定モードは引っ張りで、周波数は、1Hz、昇温条件は、5℃/minである。測定結果を表1に示す。
【0107】
表1に示すように、評価例1のガラス転移温度(Tg)は、160℃であり、評価例2のガラス転移温度(Tg)は、200℃である。評価例1の方が評価例2よりガラス転移温度(Tg)が低くなっている。これは、評価例1の低分子成分の材料がエポキシ当量260g/eqであり、評価例2の低分子成分の材料がエポキシ当量100g/eqであることに起因すると考えられる。電子部品内蔵モジュールは、耐熱を要求されることがあり、例えば150℃以上のガラス転移温度(Tg)があることが望ましい。評価例1のガラス転移温度は、この基準からすると課題はない。そこで、低分子成分の材料は、エポキシ当量が50g/eqから300g/eqであると、電子部品内蔵モジュールの耐熱の観点で望ましい。
【0108】
(評価例の揮発性評価)
評価例1から評価例5に対して、揮発による質量変化の測定を行った。評価例1から評価例5を各々100mm×100mm×0.07mm(縦×横×厚み)のシートに加工し、12μmの厚みの銅箔上にラミネートした。これらの評価例1から評価例5のシートの質量を測定しW1とした。乾燥機内に評価例1から評価例5のシートを入れ、同一の条件で150℃、3時間加熱した。その後、デシケータ内で評価例1から評価例5のシートを室温まで冷却した。その後、評価例1から評価例5のシートの質量を測定しW2とした。次に、質量減少量として、(W1−W2)/W1×100%の計算式に沿って計算した。表1の備考欄に計算結果を示す。
【0109】
表1に示すように、評価例1及び評価例2は、質量減少を1%以下に抑えることができていた。これに対して評価例3から評価例5は、質量減少を1%以下に抑えることができていなかった。評価例1は、低分子成分の材料は、エポキシ基を2以上含みかつエステル基を5個以上含む。評価例2は、エポキシ基を2以上含みかつエステル基及び3級アミンを含む。これらにより、評価例1及び評価例2は、質量減少を1%以下に抑えることができると考えられる。なお、製造装置の付着物をメンテナンス等により除去すれば、評価例3から評価例5も電子部品内蔵モジュールとして好適である。
【0110】
(評価例及び比較例の埋め込み性評価)
評価例1から評価例5及び比較例1に対して、埋め込み性評価を行った。電子部品内蔵モジュールの基板サイズを300mm×300mmとし、電子部品内蔵モジュールの基板の基板中央より測定エリアサイズとして、260mm×260mmの範囲でベアチップ状のICを676個均等に搭載した。電子部品であるベアチップ状のICをダイボンダー装置で上述した第1樹脂の層間絶縁シートに載置し、評価例1から評価例5及び比較例1の樹脂を含むシート状の層間絶縁シート(厚さ0.1mm)を重ね合わせた。ベアチップ状ICは、3.5mm×3.5mm×0.1mm(縦×横×厚み)とした。測定ピッチは、10mm×10mm間隔(測定エリア内26行×26列)とした。真空ラミネータによる加熱、加圧を温度90℃、圧力0.5MPa、30秒間で行い、評価例1から評価例5及び比較例1の樹脂を含むシート状の層間絶縁シートにてベアチップ状ICを埋め込んだ。その後、ホットプレスにより、温度120℃、圧力1.5MPa、60秒間の条件で、層間絶縁シートの表面を平滑にした。その後、光学顕微鏡を用いて目視でボイドの有無を確認し、ボイドが発生している評価例1から評価例5及び比較例1のいずれかを×とした。ボイドが発生していない評価例1から評価例5及び比較例1のいずれかを○とした。評価結果を埋め込み性として表1に示す。
【0111】
表1に示すように、評価例1から評価例5は、ボイドがなく評価は○であった。比較例1は、ボイドの発生が認められ、評価は×であった。上述したように、比較例1は、低分子成分の材料の90℃及び120℃での粘度が1000Pa・sを越えており、90℃及び120℃での粘度が低下しないことが、ボイドの発生に起因していると考えられる。
【0112】
(評価例及び比較例の流出率評価)
評価例1から評価例5及び比較例1に対して、流出率の測定を行った。図7は、流出率測定を示す説明図である。評価例1から評価例5及び比較例1を各々100mm×100mm×0.06mm(縦×横×厚み)のシートに加工し、100mm×100mm×50μm(縦×横×厚み)のポリエチレンテレフタレート基体を片面に残した状態で、図7に示す流出測定試料81とした。評価例1から評価例5及び比較例1の流出測定試料81をホットプレス装置にて、圧力2MPa、温度170℃、30minの条件で加圧、加温した。図7に示すように、100mm×100mmのポリエチレンテレフタレート基体の流出測定試料81からはみ出した樹脂の流出領域82の面積を求めた。流出率は、はみ出した樹脂の面積/(100mm×100mm)×100%として算出した。流出率の評価は、流出率が20%以内の流出測定試料81を○と評価した。流出率の評価は、流出率が20%を超える流出測定試料81を△と評価した。また、流出率の評価は、流出率が25%を超える流出測定試料81を×と評価した。評価結果を表1に示す。表1に示すように、評価例1から評価例5及び比較例1は、評価が○であった。
【0113】
(評価2)
以下、評価例及び比較例を用いて評価2について説明する。ここで、図1に示す電子部品内蔵モジュール10の評価例及び比較例を下記表2の組成に示す材料を用いて作成した。
【0114】
【表2】

【0115】
ここで、表2に示すエポキシ樹脂A、エポキシ樹脂B、エポキシ樹脂C、硬化剤、硬化触媒は、いずれも上述した表1に示すエポキシ樹脂A、エポキシ樹脂B、エポキシ樹脂C、硬化剤、硬化触媒と同じであり、詳細な説明を省略する。また、フィラーは、評価1と同じ電機化学工業製FB−1SDXを使用した。このフィラーは溶融シリカであり、フィラーは、75質量%含んでいる。また、フィラーは、信越シリコン製KMB573により表面処理されている。
【0116】
表2に示すように、評価例6〜9及び比較例3〜6は、低分子成分の材料及び高分子成分の材料が同じである。評価例6〜9及び比較例3〜6は、エポキシ樹脂がエポキシ樹脂Aとエポキシ樹脂Bとが60対40の質量比で含んでいる。評価例6〜9及び比較例3〜6は、硬化剤及び硬化触媒のエポキシ樹脂を100とした場合の質量%が同じである。但し、比較例3は、高分子成分の材料を含まない。また、比較例5は、低分子成分の材料を含まない。評価例6〜8及び比較例3〜6は、エポキシ樹脂を100とした場合の低分子成分の材料と高分子成分の材料の質量比率が異なっている。なお、表2の備考欄に示すように、比較例6は、常温でタック性があった。評価例6〜8及び比較例3〜5は、常温でシート状とでき、タック性はなかった。
【0117】
上述した評価1と同様に、評価例6〜9及び比較例3〜6に対して、粘度測定、埋め込み性評価、流出率評価を行った。測定結果、及び評価結果を表2に示す。
【0118】
表2に示すように、評価例6〜9は、エポキシ樹脂と、エポキシ当量が50g/eqから300g/eq又は分子量が100から500の低分子成分の材料がエポキシ樹脂の質量を100として1質量%から20質量%と、分子量が10000から100000の高分子成分の材料がエポキシ樹脂の質量を100として1質量%から20質量%と、を含む。これにより、90℃又は120℃における粘度が300Pa・sから1000Pa・sとなる。温度90℃から温度120℃への粘度の変化率は、評価例6〜9のいずれもが20%以下である。その結果、埋め込み性評価及び流出率評価は、評価例6〜9のいずれもが○である。
【0119】
表2に示すように、比較例3は、120℃での粘度が55Pa・sであり、粘度変化率が−82.8%であった。また、流出率の評価は、比較例3が×である。比較例3は、高分子成分の材料を含まないため、粘度が下がりすぎてしまい流出率が大きくなったと考えられる。また、比較例5は、90℃の粘度が1000Pa・sを超えている。また埋め込み性の評価は、比較例5が×である。これは、比較例5が低分子成分の材料を含まないため、粘度を下げることができず、埋め込み性を向上できなかったと考えられる。また、比較例4は、分子量が10000以上100000以下の高分子成分の材料がエポキシ樹脂の質量を100として30質量%となっている。高分子成分の材料がエポキシ樹脂の質量を100として20質量%を超えると、90℃及び120℃の粘度が2000Pa・sを超えてしまい、低分子成分の材料の粘度を下げる作用を相殺してしまうと考えられる。比較例6は、分子量が100以上500以下の低分子成分の材料がエポキシ樹脂の質量を100として30質量%となっている。低分子成分の材料がエポキシ樹脂の質量を100として20質量%を超えると、90℃及び120℃の粘度が300Pa・sを下回る。この結果、常温において比較例6の樹脂はタック性が発現し、埋め込み性の評価が×となっている。
【0120】
(評価例及び比較例の厚み精度評価)
次に、評価例6、7、8、9、比較例3、6の厚み精度評価を行った。電子部品内蔵モジュールの基板サイズを300mm×300mmとし、電子部品内蔵モジュールの基板の基板中央より測定サイズとして、260mm×260mmの範囲でベアチップ状のICを676個均等に搭載した。電子部品であるベアチップ状のICをダイボンダー装置で上述した第1樹脂の層間絶縁シートに載置し、評価例6、7、8、9、比較例3、6の樹脂を含むシート状の層間絶縁シート(厚さ0.1mm)を重ね合わせた。ベアチップ状ICは、3.5mm×3.5mm×0.1mm(縦×横×厚み)とした。測定ピッチは、10mm×10mm間隔(測定エリア内26行×26列)とした。ベアチップ搭載基板は埋め込み前にあらかじめベアチップ上までの厚みを測定しておいた。真空ラミネータによって90℃−0.5MPaにて加熱・加圧することにより、評価例6、7、8、9、比較例3、6の樹脂を含むシート状の層間絶縁シートをベアチップ状ICの周囲に埋め込んだ。その後、ホットプレスにより、温度120℃、圧力2MPaの条件で、平坦化を行った。さらに、真空熱プレスによる加熱・加圧を行い、電子部品内蔵モジュールを170℃、30分で硬化した。埋め込み後の基板厚を測定し、あらかじめ測定しておいたベアチップ上までの厚みを差し引くことで、上述した図1に示す電子部品50であるベアチップ状IC上の第2樹脂23の厚みt2を測定した。厚み精度評価は、測定エリア内の厚み精度が3σで7μm以下の場合、評価を○とした。厚み精度評価は、測定エリア内の厚み精度が3σで7μmを超える場合、評価を△とした。厚み精度評価は、測定エリア内の厚み精度が3σで10μmを超える場合、評価を×とした。評価結果を表2に示す。
【0121】
表2に示すように、厚み精度評価は、評価例6、7、8、9のいずれもが○であった。また、厚み精度評価は、比較例6が△であった。また、厚み精度評価は、比較例3が×であった。図8及び図9は、厚み精度評価の一例である。図8は、評価例7の面内厚み分布を示す。図9は、比較例3の面内厚み分布を示す。図8に示す評価例7は、面内厚み分布がほぼ21μm〜24μmである。これに対し、図9に示す比較例3の面内厚み分布は、周辺で6μm〜9μmであり、中心で18μmから21μmである。図9からも比較例3の流出率が高いことが分かる。
【0122】
上述した第2樹脂23を含む層間絶縁シートは、電子部品内蔵モジュールに適用した例を用いて説明したが、第2樹脂23を含む層間絶縁シートは、電子部品の封止にも適用できる。
【符号の説明】
【0123】
10 電子部品内蔵モジュール
21 基材
22 第1樹脂
22a 樹脂表面
23 第2樹脂
31 第3配線層
32 第1配線層
33 第2配線層
34 電子部品接続部材
36 層間接続部材
50 電子部品
51 電極
61 真空ラミネータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
常温以上樹脂粘度上昇開始温度以下の温度範囲内で電子部品の周囲を埋没させ、かつ電子部品内蔵モジュール内の層間絶縁をする工程に使用される樹脂シートであって、
前記樹脂シートは、未硬化の熱硬化性樹脂からなり、常温にて固形で、前記電子部品を埋没する温度にて粘度が300Pa・s以上1000Pa・s以下、前記電子部品を埋没する温度から前記熱硬化性樹脂が粘度上昇を開始する前記樹脂粘度上昇開始温度までの粘度変化率が20%以下、
であることを特徴とする電子部品内蔵モジュール用層間絶縁シート。
【請求項2】
前記電子部品の周囲を埋没させる温度は、80℃以上120℃以下の範囲であって、前記粘度上昇開始温度は100℃以上150℃以下の温度範囲である請求項1に記載の電子部品内蔵モジュール用層間絶縁シート。
【請求項3】
80℃以上120℃以下の温度範囲内で電子部品の周囲を埋没させ、かつ電子部品内蔵モジュール内の層間絶縁をする工程に使用される樹脂シートであって、
前記樹脂シートは、未硬化の熱硬化性樹脂からなり、常温にて固形で、前記電子部品を埋没する温度にて粘度が300Pa・s以上1000Pa・s以下の範囲内であり、90℃での粘度と120℃での粘度の粘度変化率が20%以下であることを特徴とする電子部品内蔵モジュール用層間絶縁シート。
【請求項4】
電子部品の周囲を埋没させ、かつ電子部品内蔵モジュール内の層間絶縁をする樹脂を含む層間絶縁シートであって、
前記樹脂は、エポキシ樹脂と、
前記エポキシ樹脂の質量を100として1質量%以上20質量%以下含まれ、粘度が10Pa・s以上1000Pa・s以下かつ分子量が100以上500以下の低分子成分の材料と、
前記エポキシ樹脂の質量を100として1質量%以上20質量%以下含まれ、分子量が10000以上100000以下の高分子成分の材料と、
を含むことを特徴とする電子部品内蔵モジュール用層間絶縁シート。
【請求項5】
前記低分子成分の材料がエポキシ基を2つ以上含み、エポキシ当量が50g/eq以上300g/eq以下である請求項4に記載の電子部品内蔵モジュール用層間絶縁シート。
【請求項6】
前記樹脂は、フィラーを含む請求項4又は5に記載の電子部品内蔵モジュール用層間絶縁シート。
【請求項7】
前記高分子成分の材料は、前記エポキシ樹脂が含む分子構造と同じ分子構造を含む請求項4から6のいずれか1項に記載の電子部品内蔵モジュール用層間絶縁シート。
【請求項8】
前記低分子成分の材料は、エポキシ基を2以上含みかつエステル基を5個以上含む請求項4から7のいずれか1項に記載の電子部品内蔵モジュール用層間絶縁シート。
【請求項9】
前記低分子成分の材料は、エポキシ基を2以上含みかつエステル基及び3級アミンを含む請求項4から7のいずれか1項に記載の電子部品内蔵モジュール用層間絶縁シート。
【請求項10】
前記低分子成分の材料は、全塩素量が低分子成分全体の1質量%以下である請求項4から9のいずれか1項に記載の電子部品内蔵モジュール用層間絶縁シート。
【請求項11】
配線パターンと、
前記配線パターンと電気的に接続する電子部品と、を有し、
請求項1から10のいずれか1項に記載の前記電子部品内蔵モジュール用層間絶縁シートの樹脂により電子部品が埋没される電子部品内蔵モジュール。
【請求項12】
前記電子部品は複数であり、前記樹脂に複数の電子部品が埋没する請求項11に記載の電子部品内蔵モジュール。
【請求項13】
前記配線パターンと前記電子部品との間に前記樹脂が介在する請求項11又は12に記載の電子部品内蔵モジュール。
【請求項14】
第1樹脂上に電子部品を搭載する工程と、
熱硬化後第2樹脂となる未硬化の熱硬化性樹脂からなる樹脂シートにより前記電子部品を埋没する工程と、
前記電子部品を埋没した前記第2樹脂を加熱硬化する工程と、を含み、
前記電子部品を埋没する工程は、前記第2樹脂の粘度が300Pa・s以上1000Pa・s以下となる温度まで前記第2樹脂を昇温し、電子部品を埋め込むことを特徴とする電子部品内蔵モジュールの製造方法。
【請求項15】
前記電子部品を埋没する工程は、前記第2樹脂を昇温し、80℃以上120℃以下の温度とする請求項14に記載の電子部品内蔵モジュールの製造方法。
【請求項16】
前記第2樹脂は、部品埋没を行う温度から粘度上昇開始温度までの粘度変化率が20%以下である請求項14又は15に記載の電子部品内蔵モジュールの製造方法。
【請求項17】
前記電子部品を埋没した前記第2樹脂を加熱硬化する工程は、硬化開始温度を超えて前記第2樹脂を昇温し、前記第2樹脂の硬さを硬くする請求項14から16のいずれか1項に記載の電子部品内蔵モジュールの製造方法。
【請求項18】
前記第2樹脂は、常温にて固形の未硬化の樹脂シート状に加工されたものを使用して形成される請求項14から17のいずれか1項に記載の電子部品内蔵モジュールの製造方法。
【請求項19】
前記電子部品を埋没する工程は、真空ラミネータを用いて前記樹脂シートを昇温加圧する請求項14から18のいずれか1項に記載の電子部品内蔵モジュールの製造方法。
【請求項20】
前記電子部品は複数であり、前記電子部品を搭載する工程は、前記第2樹脂に複数の電子部品を埋没する請求項14から19のいずれか1項に記載の電子部品内蔵モジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図6−4】
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【図6−5】
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【図6−6】
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【図6−7】
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【図6−8】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−169501(P2012−169501A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30223(P2011−30223)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】