説明

電気光学装置、投射型表示装置、電気光学装置の製造方法

【課題】画素電極表面でのヒロックの発生を防止することのできる電気光学装置、該電気光学装置を用いた投射型表示装置、および当該電気光学装置の製造方法を提供すること。
【課題手段】電気光学装置100の素子基板10においては、画素電極9aを形成するための反射性導電膜と、絶縁保護膜17を形成するためのシリコン酸化膜をこの順に成膜した後、反射性導電膜およびシリコン酸化膜を同時にパターニングして反射性の画素電極9aと絶縁保護膜17とを同一工程でパターニングし、しかる後に、絶縁保護膜17の上層側にシリコン酸化膜からなる平坦化絶縁膜18を形成する。従って、絶縁保護膜17は、画素電極9aと同一パターン形状をもって画素電極9aに重なっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射性画素電極が形成された素子基板を備えた電気光学装置、当該液晶装置を備えた投射型表示装置、および電気光学装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ表示装置等の電気光学装置では、基板本体の一方面側に画素トランジスター、層間絶縁膜、画素電極がこの順に設けられた素子基板が用いられている。例えば、電気光学装置のうち、反射型の液晶装置に用いられる素子基板は、基板本体の一方面側に画素トランジスター、層間絶縁膜、反射性の画素電極、配向膜がこの順に設けられた構成になっている(特許文献1参照)。
【0003】
また、液晶装置において、配向膜としてシリコン酸化膜等の斜方蒸着膜が用いられる場合、反射性の画素電極を島状に形成した後、画素電極の表面にシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等からなる絶縁膜が平坦化絶縁膜として形成されることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−139862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、島状に形成した反射性の画素電極の上層側に平坦化絶縁膜を形成するにあたって、平坦化絶縁膜を成膜する際等の熱が原因で、画素電極に大きな熱応力が発生すると、画素電極の表面にヒロック等の欠陥が発生し、画素電極表面の平滑度が低下するという問題点がある。例えば、反射性の画素電極をアルミニウム膜により形成し、平坦化絶縁膜をノンドープシリコン酸化膜により形成すると、アルミニウム膜の熱膨張係数(23.1×10-6/℃)と、ノンドープシリコン酸化膜の熱膨張係数(0.5×10-6/℃)との差が大きいため、画素電極に大きな熱応力が発生する。その結果、画素電極の表面にヒロック等の欠陥が発生して画素電極表面の平滑度が低下し、画素電極の反射率が低下してしまう。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、画素電極表面でのヒロックの発生を防止することのできる電気光学装置、該電気光学装置を用いた投射型表示装置、および当該電気光学装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願発明者は、鋭意検討した結果、島状に形成した反射性の画素電極の上層側に平坦化絶縁膜を形成すると、画素電極では、中央部に発生した熱応力と端部に発生した熱応力との差が大きいため、画素電極の表面にヒロック等の欠陥が発生し、画素電極の表面が変形してしまう。これに対して、反射性の画素電極を形成するための反射性導電膜を成膜した後、反射性導電膜の上層に平坦化絶縁膜を形成した場合には、熱応力に起因するヒロック等が発生し難いという新たな知見を得、かかる知見に基づいて、本発明に到達したのである。
【0008】
すなわち、本発明に係る電気光学装置は、素子基板用の基板本体の一方面側に設けられた画素トランジスターと、前記基板本体の前記一方面側に前記画素トランジスターに対応して設けられた反射性の画素電極と、該画素電極と同一パターン形状をもって当該画素電極に対して前記基板本体が位置する側とは反対側に積層された透光性の絶縁保護膜と、該絶縁保護膜に対して前記基板本体が位置する側とは反対側に設けられ、前記画素電極に重なる部分の表面と、隣り合う前記画素電極の間に形成されている部分の表面とが連続した平坦面を形成している透光性の平坦化絶縁膜と、を有していることを特徴とする。本発明における「同一パターン形状」とは同一工程でパターニング形成された結果、同一形状に形成されていることを意味する。従って、絶縁保護膜の端部や画素電極の端部にサイドエッチングに起因する多少の形状の違いがあっても、「同一パターン形状」に含まれる。
【0009】
また、本発明に係る電気光学装置の製造方法では、素子基板用の基板本体の一方面側に画素トランジスターおよび層間絶縁膜を形成した後、当該層間絶縁膜に対して前記基板本体が位置する側とは反対側に反射性導電膜を形成する反射性導電膜形成工程と、前記反射性導電膜に対して前記基板本体が位置する側とは反対側に透光性の第1絶縁膜を形成する第1絶縁膜形成工程と、前記第1絶縁膜および前記反射性導電膜を同一工程でパターニングして前記画素トランジスターに対応する反射性の画素電極、および該画素電極と同一パターン形状をもって当該画素電極に積層された透光性の絶縁保護膜を同一工程で形成するパターニング工程と、前記絶縁保護膜に対して前記基板本体が位置する側とは反対側に透光性の第2絶縁膜を形成する第2絶縁膜形成工程と、当該第2絶縁膜の表面を平坦化して平坦化絶縁膜とする平坦化工程と、を有していることを特徴とする。
【0010】
本発明では、画素電極形成用の反射性導電膜、および絶縁保護膜形成用の第1絶縁膜をこの順に成膜した後、反射性導電膜および第1絶縁膜を同一工程でパターニングして反射性の画素電極と絶縁保護膜とを同一工程で形成し、しかる後に、絶縁保護膜の上層側(基板本体が位置する側とは反対側)に平坦化絶縁膜を形成する。すなわち、第1絶縁膜を形成する際、画素電極は未だ島状にパターニングされていない。従って、絶縁保護膜を構成する第1絶縁膜と、画素電極を構成する反射性導電膜材料とにおいて熱膨張係数の差が大きく、熱応力が発生する場合でも、反射性導電膜内には一様に熱応力が発生する。よって、熱応力の分布に起因する画素電極表面の変形は発生しない。また、平坦化絶縁膜(第2絶縁膜)を形成する際、画素電極は既に島状にパターニングされているが、画素電極表面に形成されている絶縁保護膜がキャップ膜として機能する。このため、平坦化絶縁膜を構成する第2絶縁膜と、画素電極を構成する材料の熱膨張係数との差が大きく、画素電極に大きな熱応力が発生しても、キャップ膜としての絶縁保護膜が画素電極表面の変形を抑制する。従って、画素電極の表面には、熱応力に起因するヒロック等の欠陥が発生し難いので、画素電極の表面の平滑度が低下し難い。それ故、表面の反射率が高い画素電極を得ることができる。
【0011】
本発明は、前記絶縁保護膜において、少なくとも前記画素電極に接する層が、シリコン酸化膜からなる場合に適用すると効果的である。反射性の画素電極をアルミニウム膜等の金属膜により形成し、画素電極に接する最下層をノンドープシリコン酸化膜により形成すると、アルミニウム膜の熱膨張係数(23.1×10-6/℃)と、ノンドープシリコン酸化膜の熱膨張係数(0.5×10-6/℃)との差が大きい。このため、島状に形成したアルミニウム膜(反射性の画素電極)の上層側に絶縁膜(ノンドープシリコン酸化膜)を積層すると、アルミニウム膜に大きな熱応力が発生し、島状のアルミニウム膜内に熱応力分布が発生するが、本発明によれば、反射性の画素電極の上層にシリコン酸化膜を積層した場合でも、画素電極に熱応力分布が発生しない。
【0012】
本発明において、前記絶縁保護膜は、少なくとも表層がリンおよびボロンのうちの少なくとも一方がドープされたドープトシリコン酸化膜からなり、前記平坦化絶縁膜は、リンおよびボロンのいずれもがドープされていないノンドープシリコン酸化膜からなることが好ましい。ドープトシリコン酸化膜はの熱膨張係数は2〜4×10-6/℃程度であり、リンおよびボロンのいずれもがドープされていないノンドープシリコン酸化膜に比して、画素電極を構成する材料との熱膨張係数の差が小さい。その為、熱膨張係数の差による熱応力が小さくなるという利点がある。また、ドープトシリコン酸化膜は、水分を吸着しやすいため、ドープトシリコン酸化膜から液晶層に水分が放出される可能があるが、ドープトシリコン酸化膜(絶縁保護膜)の表面にノンドープシリコン酸化膜(平坦化絶縁膜)を積層すれば、かかる水分の放出を防止できるという利点がある。
【0013】
本発明において、前記平坦化絶縁膜は、少なくとも表層がリンおよびボロンのうちの少なくとも一方がドープされたドープトシリコン酸化膜からなり、前記平坦化絶縁膜に対して前記基板本体が位置する側とは反対側には、リンおよびボロンのいずれもがドープされていないノンドープシリコン酸化膜が積層されていることが好ましい。ドープトシリコン酸化膜は、水分を吸着しやすいため、ドープトシリコン酸化膜から液晶層に水分が放出される可能があるが、ドープトシリコン酸化膜(平坦化絶縁膜)の表面にノンドープシリコン酸化膜を積層すれば、かかる水分の放出を防止できるという利点がある。
【0014】
本発明において、前記絶縁保護膜は、前記画素電極に対して前記基板本体が位置する側とは反対側に積層された第1絶縁保護膜と、該第1絶縁保護膜より大きな熱膨張係数をもって当該第1絶縁保護膜に対して前記基板本体が位置する側とは反対側に積層された第2絶縁保護膜と、を備えていることが好ましい。かかる構成によれば、第1絶縁保護膜を上下から熱膨張係数が大きな層(画素電極(反射性導電膜)および第2絶縁保護膜)の間に挟んだ構造となる。従って、画素電極と第1絶縁保護膜との熱膨張係数の差に起因する熱応力と、第1絶縁保護膜と第2絶縁保護膜との熱膨張係数の差に起因する熱応力とが打ち消されるので、熱応力に起因するヒロック等の欠陥が画素電極の表面に発生するのを防止することができる。
【0015】
本発明において、前記第1絶縁保護膜は、前記第2絶縁保護膜に比して屈折率が小さいことが好ましい。例えば、前記第1絶縁保護膜は、リンおよびボロンのいずれもがドープされていないノンドープシリコン酸化膜からなり、前記第2絶縁保護膜は、窒素を含有するシリコン化合物、または金属酸化膜であることが好ましい。かかる構成によれば、第1絶縁保護膜および第2絶縁保護膜を増反射膜として機能させることができる。
【0016】
本発明において、前記平坦化絶縁膜は、前記絶縁保護膜よりも大きな熱膨張係数をもって当該絶縁保護膜に対して前記基板本体が位置する側とは反対側に積層された第1平坦化絶縁膜と、該第1平坦化絶縁膜より小さな熱膨張係数をもって当該第1平坦化絶縁膜に対して前記基板本体が位置する側とは反対側に積層された第2平坦化絶縁膜と、を備えていることが好ましい。かかる構成によれば、画素電極から第2平坦化絶縁膜までの熱膨張係数は、大(画素電極)、小(絶縁保護膜)、大(第1平坦化絶縁膜)、小(第2平坦化絶縁膜)という関係になる。従って、各界面の熱膨張係数の差に起因する熱応力が打ち消されるので、熱応力に起因するヒロック等の欠陥が画素電極の表面に発生するのを防止することができる。
【0017】
本発明において、前記絶縁保護膜は、前記第1平坦化絶縁膜に比して屈折率が小さいことが好ましい。例えば、前記絶縁保護膜は、リンおよびボロンのいずれもがドープされていないノンドープシリコン酸化膜からなり、前記第1平坦化絶縁膜は、窒素を含有するシリコン化合物、または金属酸化膜であることが好ましい。かかる構成によれば、絶縁保護膜及び第1平坦化絶縁膜を増反射膜として機能させることができる。
【0018】
本発明において電気光学装置を液晶装置として構成する場合、前記基板本体の前記一方面側に対向配置された対向基板と、前記基板本体と前記対向基板との間に保持された液晶層と、を有し、前記基板本体の最表面には配向膜が設けられることになる。
【0019】
本発明において、前記配向膜は無機配向膜であることが好ましい。かかる構成によれば、有機配向膜と違ってラビング処理を行う必要がないので、ラビング処理に起因するコストの増大や配向特性のばらつき等が発生しない。
【0020】
本発明に係る電気光学装置が液晶装置であって、かかる液晶装置をライトバルブとして投射型表示装置では、前記電気光学装置に供給される光を出射する光源部と、前記電気光学装置によって変調された光を投射する投射光学系と、が設けられることになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を適用した電気光学装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した電気光学装置に用いた液晶パネルの説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の画素の説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る電気光学装置の画素の断面図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る電気光学装置の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係る電気光学装置の画素の断面図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係る電気光学装置の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図10】本発明の実施の形態4に係る電気光学装置の画素の断面図である。
【図11】本発明の実施の形態4に係る電気光学装置の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図12】本発明を適用した電気光学装置(反射型液晶装置)を用いた投射型表示装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。また、画素トランジスターとして用いた電界効果型トランジスターは、流れる電流の方向が反転するに伴ってソースとドレインとが入れ替わるが、以下の説明では、便宜上、画素電極が接続されている側をドレインとし、データ線が接続されている側をソースとして説明する。また、素子基板の構成を説明するにあたって、素子基板の基板本体が位置する側を下層側とし、素子基板の基板本体が位置する側とは反対側を上層側として説明する。
【0023】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明を適用した電気光学装置の電気的構成を示すブロック図である。図1において、本形態の電気光学装置100は、反射型の液晶装置であり、TN(Twisted Nematic)モードやVA(Vertical Alignment)モードの反射型の液晶パネル100pを有している。液晶パネル100pは、その中央領域に複数の画素100aがマトリクス状に配列された画素領域10a(画像表示領域)を備えている。液晶パネル100pにおいて、後述する素子基板10(図2等を参照)では、画素領域10aの内側で複数本のデータ線6aおよび複数本の走査線3aが縦横に延びており、それらの交点に対応する位置に画素100aが構成されている。複数の画素100aの各々には、電界効果型トランジスターからなる画素トランジスター30、および後述する画素電極9aが形成されている。画素トランジスター30のソースにはデータ線6aが電気的に接続され、画素トランジスター30のゲートには走査線3aが電気的に接続され、画素トランジスター30のドレインには、画素電極9aが電気的に接続されている。
【0024】
素子基板10において、画素領域10aより外周側には走査線駆動回路104やデータ線駆動回路101が設けられている。データ線駆動回路101は各データ線6aに電気的に接続しており、画像処理回路から供給される画像信号を各データ線6aに順次供給する。走査線駆動回路104は、各走査線3aに電気的に接続しており、走査信号を各走査線3aに順次供給する。
【0025】
各画素100aにおいて、画素電極9aは、後述する対向基板20(図2等を参照)に形成された共通電極と液晶層を介して対向し、液晶容量50aを構成している。また、各画素100aには、液晶容量50aで保持される画像信号の変動を防ぐために、液晶容量50aと並列に保持容量55が付加されている。本形態では、保持容量55を構成するために、複数の画素100aに跨って走査線3aと並行して延びた容量線5bが形成されている。本形態において、容量線5bは、共通電位Vcomが印加された共通電位線5cに導通している。
【0026】
(液晶パネル100pおよび素子基板10の構成)
図2は、本発明を適用した電気光学装置100に用いた液晶パネル100pの説明図であり、図2(a)、(b)は各々、本発明を適用した電気光学装置100の液晶パネル100pを各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのH−H′断面図である。図2(a)、(b)に示すように、液晶パネル100pでは、素子基板10と対向基板20とが所定の隙間を介してシール材107によって貼り合わされており、シール材107は対向基板20の外縁に沿うように枠状に設けられている。シール材107は、光硬化樹脂や熱硬化性樹脂等からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー、あるいはガラスビーズ等のギャップ材が配合されている。
【0027】
かかる構成の液晶パネル100pにおいて、素子基板10および対向基板20はいずれも四角形であり、液晶パネル100pの略中央には、図1を参照して説明した画素領域10aが四角形の領域として設けられている。かかる形状に対応して、シール材107も略四角形に設けられ、シール材107の内周縁と画素領域10aの外周縁との間には、略四角形の周辺領域10bが額縁状に設けられている。素子基板10において、画素領域10aの外側では、素子基板10の一辺に沿ってデータ線駆動回路101および複数の端子102が形成されており、この一辺に隣接する他の辺に沿って走査線駆動回路104が形成されている。なお、端子102には、フレキシブル配線基板(図示せず)が接続されており、素子基板10には、フレキシブル配線基板を介して各種電位や各種信号が入力される。
【0028】
詳しくは後述するが、素子基板10の一方面側において、画素領域10aには、図1を参照して説明した画素トランジスター30、および画素トランジスター30に対応して設けられた画素電極9aがマトリクス状に形成されており、かかる画素電極9aの上層側には配向膜16が形成されている。なお、素子基板10の一方面側において、周辺領域10bには、画素電極9aと同時形成されたダミー画素電極9bが形成されている。ダミー画素電極9bについては、ダミーの画素トランジスターと電気的に接続された構成、ダミーの画素トランジスターが設けられずに配線に直接、電気的に接続された構成、あるいは電位が印加されていないフロート状態にある構成が採用される。かかるダミー画素電極9bは、素子基板10において配向膜16が形成される面を研磨により平坦化する際、画素領域10aと周辺領域10bとの高さ位置を揃え、配向膜16が形成される面を平坦面にするのに寄与する。また、ダミー画素電極9bを所定の電位に設定すれば、画素領域10aの外周側端部での液晶分子の配向の乱れを防止することができる。
【0029】
対向基板20において素子基板10と対向する一方面側には共通電極21が形成されており、共通電極21の上層には配向膜26が形成されている。共通電極21は、対向基板20の略全面あるいは複数の帯状電極として複数の画素100aに跨って形成されている。また、対向基板20において素子基板10と対向する一方面側には、共通電極21の下層側に遮光層108が形成されている。本形態において、遮光層108は、画素領域10aの外周縁に沿って延在する額縁状に形成されている。ここで、遮光層108の外周縁は、シール材107の内周縁との間に隙間を隔てた位置にあり、遮光層108とシール材107とは重なっていない。なお、対向基板20において、遮光層108は、隣り合う画素電極9aにより挟まれた領域と重なる領域等にも形成されることがある。
【0030】
このように構成した液晶パネル100pにおいて、素子基板10には、シール材107より外側において対向基板20の角部分と重なる領域に、素子基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための基板間導通部109が形成されている。かかる基板間導通部109には、導電粒子を含んだ基板間導通材109aが配置されており、対向基板20の共通電極21は、基板間導通材109aおよび後述する基板間導通用電極を介して、素子基板10側に電気的に接続されている。このため、共通電極21は、素子基板10の側から共通電位Vcomが印加されている。シール材107は、略同一の幅寸法をもって対向基板20の外周縁に沿って設けられている。このため、シール材107は、略四角形である。但し、シール材107は、対向基板20の角部分と重なる領域では基板間導通部109を避けて内側を通るように設けられており、シール材107の角部分は略円弧状である。
【0031】
かかる構成の電気光学装置100において、本形態では、共通電極21を透光性導電膜により形成し、画素電極9aを反射性導電膜により形成してある。このため、本形態の電気光学装置100では、対向基板20側から入射した光は、素子基板10側で反射して対向基板20側から出射される間に変調されて画像を表示する。
【0032】
電気光学装置100は、モバイルコンピューター、携帯電話機等といった電子機器のカラー表示装置として用いることができ、この場合、対向基板20には、カラーフィルター(図示せず)や保護膜が形成される。また、電気光学装置100では、使用する液晶層50の種類や、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板等が液晶パネル100pに対して所定の向きに配置される。さらに、電気光学装置100は、後述する投射型表示装置(液晶プロジェクター)において、RGB用のライトバルブとして用いることができる。この場合、RGB用の各電気光学装置100の各々には、RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が投射光として各々入射されることになるので、カラーフィルターは形成されない。
【0033】
以下、本形態の電気光学装置100では、液晶層50として、誘電異方性が負のネマチック液晶化合物を用いれられ、液晶パネル100pがVAモード用に構成されている場合を中心に説明する。
【0034】
(画素の具体的構成)
図3は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置100の画素の説明図であり、図3(a)、(b)は各々、本発明を適用した電気光学装置100に用いた素子基板10において隣り合う画素の平面図、および図3(a)のF−F′線に相当する位置で電気光学装置100を切断したときの断面図である。なお、図3(a)では、半導体層1aは細くて短い点線で示し、走査線3aは太い実線で示し、データ線6aおよびそれと同時形成された薄膜は一点鎖線で示し、容量線5bは二点鎖線で示し、画素電極9aは太くて長い破線で示し、下電極層4aは細い実線で示してある。
【0035】
図3(a)に示すように、素子基板10上には、複数の画素100aの各々に矩形状の画素電極9aが形成されており、各画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6aおよび走査線3aが形成されている。データ線6aおよび走査線3aは各々、直線的に延びており、データ線6aと走査線3aとが交差する領域に画素トランジスター30が形成されている。素子基板10上には、走査線3aと重なるように容量線5bが形成されている。本形態において、容量線5bは、走査線3aと重なるように直線的に延びた主線部分と、データ線6aと走査線3aとの交差部分でデータ線6aに重なるように延びた副線部分とを備えている。
【0036】
図3(a)、(b)に示すように、素子基板10は、石英基板、ガラス基板、シリコン基板等の基板本体10wの液晶層50側の表面(一方面側)に形成された画素電極9a、画素スイッチング用の画素トランジスター30、および配向膜16を主体として構成されており、対向基板20は、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体20w、その液晶層50側の表面(一方面側)に形成された共通電極21、および配向膜26を主体として構成されている。
【0037】
素子基板10において、複数の画素100aの各々には、半導体層1aを備えた画素トランジスター30が形成されている。半導体層1aは、走査線3aの一部からなるゲート電極3cに対してゲート絶縁層2を介して対向するチャネル領域1gと、ソース領域1bと、ドレイン領域1cとを備えており、ソース領域1bおよびドレイン領域1cは各々、低濃度領域および高濃度領域を備えている。半導体層1aは、例えば、基板本体10w上に、シリコン酸化膜等からなる下地絶縁膜12上に形成された多結晶シリコン膜等によって構成され、ゲート絶縁層2は、CVD法等により形成されたシリコン酸化膜やシリコン窒化膜からなる。また、ゲート絶縁層2は、半導体層1aを熱酸化してなるシリコン酸化膜と、CVD法等により形成されたシリコン酸化膜やシリコン窒化膜との2層構造を有する場合もある。走査線3aには、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、あるいは金属膜が用いられる。
【0038】
走査線3aの上層側にはシリコン酸化膜等からなる第1層間絶縁膜41が形成されており、第1層間絶縁膜41の上層には下電極層4aが形成されている。下電極層4aは、走査線3aとデータ線6aとの交差する位置を基点として走査線3aおよびデータ線6aに沿って延出する略L字型に形成されている。下電極層4aは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、あるいは金属膜等からなり、コンタクトホール7cを介してドレイン領域1cに電気的に接続されている。
【0039】
下電極層4aの上層側には、シリコン窒化膜等からなる誘電体層42が形成されている。誘電体層42の上層側には、誘電体層42を介して下電極層4aと対向するように容量線5b(上電極層)が形成され、かかる容量線5b、誘電体層42および下電極層4aによって、保持容量55が形成されている。容量線5bは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、あるいは金属膜等からなる。ここで、下電極層4a、誘電体層42および容量線5b(上電極層)は、画素トランジスター30の上層側に形成され、画素トランジスター30に対して平面視で重なっている。このため、保持容量55は、画素トランジスター30の上層側に形成され、少なくとも画素トランジスター30に対して平面視で重なっている。
【0040】
容量線5bの上層側には、シリコン酸化膜等からなる第2層間絶縁膜43が形成され、第2層間絶縁膜43の上層にはデータ線6aおよびドレイン電極6bが形成されている。データ線6aはコンタクトホール7aを介してソース領域1bに電気的に接続している。ドレイン電極6bはコンタクトホール7bを介して下電極層4aに電気的に接続し、下電極層4aを介してドレイン領域1cに電気的に接続している。データ線6aおよびドレイン電極6bは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、あるいは金属膜等からなる。
【0041】
(画素電極9aや平坦化絶縁膜等の構成)
データ線6aおよびドレイン電極6bの上層側には、シリコン酸化膜等からなる第3層間絶縁膜44が形成されている。第3層間絶縁膜44には、ドレイン電極6bへ通じるコンタクトホール7dが形成されている。第3層間絶縁膜44の上層には、アルミニウム膜等の反射性導電膜からなる画素電極9aが形成されており、画素電極9aは、コンタクトホール7dを介してドレイン電極6bに電気的に接続されている。本形態において、第3層間絶縁膜44の表面は平坦面になっている。なお、第3層間絶縁膜44の表面には、図2(b)を参照して説明したダミー画素電極9b(図3には図示せず)が形成されており、かかるダミー画素電極9bは、画素電極9aと同時形成された反射性導電膜からなる。
【0042】
本形態において、画素電極9aとしては、アルミニウム膜の単層膜、チタン窒化膜(下層側)およびアルミニウム膜(上層側)が積層された積層膜、チタン膜(下層側)およびアルミニウム膜(上層側)が積層された積層膜等が用いられている。かかる画素電極9aのうち、アルミニウム膜の下層側にチタン窒化膜やチタン膜を形成すれば、画素電極9aの下面側での反射を防止でき、迷光の発生を防止できるという利点や、アルミニウム膜表面が平滑となり、アルミニウム膜の反射率が向上するという利点がある。
【0043】
画素電極9aの表面には配向膜16が形成されている。配向膜16は、ポリイミド等の樹脂膜、あるいはシリコン酸化膜等の斜方蒸着膜からなる。本形態において、配向膜16は、SiOX(x<2)、SiO2、TiO2、MgO、Al23、In23、Sb23、Ta25等の斜方蒸着膜からなる無機配向膜(垂直配向膜)であり、配向膜16と画素電極9aとの層間には、透光性の平坦化絶縁膜18が形成されている。かかる平坦化絶縁膜18は、隣り合う画素電極9aの間に形成された凹部9eや、画素電極9aにおいてコンタクトホール7dに起因して形成された凹部9fを埋めている。また、平坦化絶縁膜18の表面は平坦面になっており、隣り合う画素電極9aの間(凹部9e)に形成されている部分の表面と、画素電極9aと重なる部分の表面とは連続した平坦面を形成している。このため、平坦面上に斜方蒸着を行って配向膜16を形成することができるので、配向膜16を構成する斜方蒸着膜を好適に形成することができる。本形態では、平坦化絶縁膜18として、シリコン酸化膜の単層膜が用いられ、厚さ方向の全体がシリコン酸化膜からなる。
【0044】
また、本形態では、画素電極9aと平坦化絶縁膜18との間には、透光性の絶縁保護膜17が形成されている。本形態において、絶縁保護膜17は、画素電極9aと同時にパターニング形成された層であり、画素電極9aと同一のパターン形状をもって画素電極9aに重なっている。
【0045】
本形態では、絶縁保護膜17として、シリコン酸化膜の単層膜が用いられ、厚さ方向の全体がシリコン酸化膜からなる。従って、絶縁保護膜17は、画素電極9aと接する最下層がシリコン酸化膜からなる。
【0046】
このような平坦化絶縁膜18および絶縁保護膜17に用いられるシリコン酸化膜としては、リンおよびボロンのいずれもがドープされていないノンドープシリコン酸化膜(NSG膜)を用いることができる。また、平坦化絶縁膜18および絶縁保護膜17に用いられるシリコン酸化膜としては、リンがドープされたリンドープトシリコン酸化膜(PSG膜)、ボロンがドープされたボロンドープトシリコン酸化膜(BSG膜)、ボロンおよびリンがドープされたボロン・リンドープトシリコン酸化膜(BPSG膜)等、リンおよびボロンのうちの少なくとも一方がドープされたドープトシリコン酸化膜を用いることができる。
【0047】
ここで、画素電極9aを構成する材料の熱膨張係数は以下のレベル
アルミニウム膜の熱膨張係数=23.1×10-6/℃
チタン窒化膜の熱膨張係数=9.3×10-6/℃
チタン膜の熱膨張係数=11.0×10-6/℃
である。これに対して、平坦化絶縁膜18および絶縁保護膜17に用いられるシリコン酸化膜(ドープトシリコン酸化膜およびノンドープシリコン酸化膜)の熱膨張係数は、以下のレベル
ドープトシリコン酸化膜170=2〜4×10-6/℃
ノンドープシリコン酸化膜の熱膨張係数=0.5×10-6/℃
であり、画素電極9aを構成する材料の熱膨張係数との差が大きい。但し、本形態では、図4を参照して後述する製造方法を採用しているため、画素電極9aと絶縁保護膜17との間や、画素電極9aと平坦化絶縁膜18との間に大きな熱膨張係数の差があっても、画素電極9aの表面には、熱応力に起因するヒロック等の欠陥が発生し難い。
【0048】
(対向基板20等の構成)
対向基板20では、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体20wの液晶層50側の表面(素子基板10に対向する側の面)に、ITO膜等の透光性導電膜からなる共通電極21が形成されており、かかる共通電極21を覆うように配向膜26が形成されている。配向膜26は、配向膜16と同様、ポリイミド等の樹脂膜、あるいはシリコン酸化膜等の斜方蒸着膜からなる。本形態において、配向膜26は、SiOX(x<2)、SiO2、TiO2、MgO、Al23、In23、Sb23、Ta25等の斜方蒸着膜からなる無機配向膜(垂直配向膜)であり、配向膜26と共通電極21との層間にシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等の保護膜27が形成されている。保護膜27は、表面が平坦面になっており、かかる平坦面上に配向膜26が形成されている。かかる配向膜16、26は、液晶層50に用いた誘電異方性が負のネマチック液晶化合物を垂直配向させ、液晶パネル100pは、ノーマリブラックのVAモードとして動作する。
【0049】
なお、図1および図2を参照して説明したデータ線駆動回路101および走査線駆動回路104には、Nチャネル型の駆動用トランジスターとPチャネル型の駆動用トランジスターとを備えた相補型トランジスター回路等が構成されている。ここで、駆動用トランジスターは、画素トランジスター30の製造工程の一部を利用して形成されたものである。このため、素子基板10においてデータ線駆動回路101および走査線駆動回路104が形成されている領域も、図3(b)に示す断面構成と略同様な断面構成を有している。
【0050】
(電気光学装置100の製造方法)
図4および図5は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置100の製造方法の要部を示す工程断面図である。本形態の電気光学装置100を製造するにあたって、素子基板10の製造方法では、図4(a)に示すように、画素トランジスター30、保持容量55、データ線6a、第3層間絶縁膜44等を形成した後、第3層間絶縁膜44にコンタクトホール7dを形成する。
【0051】
次に、図4(a)に示すように、第3層間絶縁膜44の上層に画素電極9aを形成するための反射性導電膜9をスパッタ法等により形成する(反射性導電膜形成工程)。本形態では、反射性導電膜として、アルミニウム膜の単層膜、チタン窒化膜(下層側)およびアルミニウム膜(上層側)が積層された積層膜、チタン膜(下層側)およびアルミニウム膜(上層側)が積層された積層膜等を形成する。
【0052】
次に、図4(b)に示すように、反射性導電膜9上に透光性の第1絶縁膜17sを形成する(第1絶縁膜形成工程)。本形態では、第1絶縁膜17sとして、ノンドープシリコン酸化膜やドープトシリコン酸化膜等のシリコン酸化膜を形成する。第1絶縁膜17sとして、ノンドープシリコン酸化膜(NSG膜)を形成する際に、例えば、減圧CVD法を採用する場合、成膜温度は、例えば、650〜750℃であり、使用する原料ガスは、Si(OC254等である。また、第1絶縁膜17sとして、ノンドープシリコン酸化膜を形成する際に、例えば、プラズマCVD法を採用する場合、成膜温度は、例えば、250〜450℃であり、使用する原料ガスは、SiH4、N2O等である。また、第1絶縁膜17sとして、ドープトシリコン酸化膜を形成する場合、例えば、常圧CVD法を利用でき、かかる常圧CVD法での成膜温度は、例えば、350〜450℃である。なお、第1絶縁膜17sとして、リンドープトシリコン酸化膜(PSG膜)を形成する場合、使用する原料ガスは、SiH4、PH3、O3等であり、ボロンドープトシリコン酸化膜(BSG膜)を形成する場合、使用する原料ガスは、SiH4、B26、O3等であり、ボロン・リンドープトシリコン酸化膜(BPSG膜)を形成する場合、使用する原料ガスは、SiH4、B26、PH3、O3等である。
【0053】
次に、図4(c)、(d)に示すパターニング工程において、第1絶縁膜17sおよび反射性導電膜9を同一工程でパターニングして画素トランジスター30に対応する反射性の画素電極9aと、画素電極9aと同一パターン形状をもって画素電極9aの上層に積層された透光性の絶縁保護膜17とを同一工程で形成する。具体的には、図4(c)に示すように、第1絶縁膜17sの上層にレジストマスク17wを形成した後、図4(d)に示すように、レジストマスク17wの開口部から第1絶縁膜17sおよび反射性導電膜9にエッチングを行い、その後、レジストマスク17wを除去する。その結果、画素電極9aと絶縁保護膜17とが同時にパターニング形成される。かかるエッチングとしては、ドライエッチングおよびウエットエッチングを利用できるが、本形態では、ドライエッチングを利用する。
【0054】
次に、図5(a)に示すように、絶縁保護膜17の上層側に透光性の第2絶縁膜18sを形成し、隣り合う画素電極9aの間に形成された凹部9eや、画素電極9aにおいてコンタクトホール7dに起因して形成された凹部9fを埋める(第2絶縁膜形成工程)。本形態では、第2絶縁膜18sとして、ノンドープシリコン酸化膜やドープトシリコン酸化膜等シリコン酸化膜を形成する。
【0055】
次に、図5(b)に示すように、第2絶縁膜18sの表面を平坦化して平坦化絶縁膜18を形成する(平坦化工程)。その際、絶縁保護膜17の表面が露出しない程度に第2絶縁膜18s(平坦化絶縁膜18)を残す。その結果、平坦化絶縁膜18では、隣り合う画素電極9aの間(凹部9e)に形成されている部分の表面と、画素電極9aと重なる部分の表面とは連続した平坦面を形成することになる。かかる平坦化工程では、化学機械研磨を利用でき、化学機械研磨では、研磨液に含まれる化学成分の作用と、研磨剤と素子基板10との相対移動によって、高速で平滑な研磨面を得ることができる。より具体的には、研磨装置において、不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂等からなる研磨布(パッド)を貼り付けた定盤と、素子基板10を保持するホルダーとを相対回転させながら、研磨を行なう。その際、例えば、平均粒径が0.01〜20μmの酸化セリウム粒子、分散剤としてのアクリル酸エステル誘導体、および水を含む研磨剤を研磨布と素子基板10との間に供給する。
【0056】
このようにして平坦化絶縁膜18を形成した後は、図5には図示しない外部接続端子等を形成したのち、平坦化絶縁膜18の表面に斜方蒸着を行い、図3に示すように配向膜16を形成する。
【0057】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の電気光学装置100においては、画素電極9aを形成するための反射性導電膜9と、絶縁保護膜17を形成するための第1絶縁膜17sをこの順に成膜した後、反射性導電膜9および第1絶縁膜17sを同時にパターニングして反射性の画素電極9aと絶縁保護膜17とを同一工程でパターニングし、しかる後に、絶縁保護膜17の上層側に平坦化絶縁膜18を形成する。すなわち、第1絶縁膜17sを形成する際、画素電極9aは未だ島状にパターニングされていない。従って、絶縁保護膜17に用いられるシリコン酸化膜と、画素電極9aを構成する材料の熱膨張係数との差が大きく、熱応力が発生する場合でも、反射性導電膜9内には一様に熱応力が発生する。よって、熱応力の分布に起因する画素電極表面の変形は発生しない。また、平坦化絶縁膜18(第2絶縁膜18s)を形成する際、画素電極9aは既に島状にパターニングされているが、画素電極9a表面に形成されている絶縁保護膜17がキャップ膜として機能する。このため、平坦化絶縁膜18に用いるシリコン酸化膜と、画素電極9aを構成する材料の熱膨張係数との差が大きく、熱応力が発生しても、キャップ膜としての絶縁保護膜17が画素電極9a表面の変形を抑制する。従って、画素電極9aの表面には、ヒロック等の欠陥が発生し難いので、画素電極9aの表面の平滑度が低下し難い。それ故、表面の反射率が高い画素電極9aを得ることができる。
【0058】
[実施の形態1の好適な構成]
上記実施の形態1では、絶縁保護膜17および平坦化絶縁膜18として、ノンドープシリコン酸化膜やドープトシリコン酸化膜等のシリコン酸化膜を用いたが、絶縁保護膜17および平坦化絶縁膜18について以下の構成
絶縁保護膜17=ドープトシリコン酸化膜
平坦化絶縁膜18=ノンドープシリコン酸化膜
を採用することが好ましい。ドープトシリコン酸化膜の熱膨張係数(2〜4×10-6/℃)は、ノンドープシリコン酸化膜の熱膨張係数(0.5×10-6/℃)等に比して、画素電極9aを構成するアルミニウム膜の熱膨張係数(23.1×10-6/℃)との差が小さい。このため、加熱した状態で第1絶縁膜17sを成膜しても、ドープトシリコン酸化膜であれば、ノンドープシリコン酸化膜に比して、反射性導電膜9(画素電極9a)に熱応力が発生し難い。但し、ドープトシリコン酸化膜は、水分を吸着しやすいため、ドープトシリコン酸化膜から水分が放出されると、かかる水分が液晶層50に侵入する可能性がある。従って、ドープトシリコン酸化膜からなる絶縁保護膜17の上層にノンドープシリコン酸化膜からなる平坦化絶縁膜18を積層すれば、かかる水分の放出をノンドープシリコン酸化膜(平坦化絶縁膜18)によって防止することができる。
【0059】
また、本形態では、平坦化絶縁膜18がノンドープシリコン酸化膜であれば、平坦化絶縁膜18を形成する際、ノンドープシリコン酸化膜の表面を研磨することになり、ドープトシリコン酸化膜の表面を研磨する必要がない。このため、研磨装置がリンやボロンで汚染されることを防止することができる。
【0060】
[実施の形態2]
図6は、本発明の実施の形態2に係る電気光学装置100の画素の断面図である。図7は、本発明の実施の形態2に係る電気光学装置100の製造方法の要部を示す工程断面図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には、同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0061】
図6に示すように、本形態の電気光学装置100に用いた素子基板10でも、実施の形態1と同様、画素電極9aとしては、アルミニウム膜の単層膜、チタン窒化膜(下層側)およびアルミニウム膜(上層側)が積層された積層膜、チタン膜(下層側)およびアルミニウム膜(上層側)が積層された積層膜等が用いられている。また、画素電極9aの表面には、実施の形態1と同様、シリコン酸化膜からなる透光性の絶縁保護膜17、およびシリコン酸化膜からなる透光性の平坦化絶縁膜18が形成されている。絶縁保護膜17は、画素電極9aを形成するための反射性導電膜および絶縁膜(第1絶縁膜)をこの順に成膜した後、画素電極9aと同一工程でパターニング形成されてなる。このため、絶縁保護膜17は、画素電極9aと同一のパターン形状をもって画素電極9aと重なっている。
【0062】
本形態において、絶縁保護膜17および平坦化絶縁膜18について以下の構成
絶縁保護膜17=シリコン酸化膜
平坦化絶縁膜18=ドープトシリコン酸化膜
が採用されている。すなわち、平坦化絶縁膜18は、厚さ方向の全体がドープトシリコン酸化膜からなるため、平坦化絶縁膜18の最表層は、ドープトシリコン酸化膜からなる。かかる平坦化絶縁膜18(ドープトシリコン膜)は、隣り合う画素電極9aの間に形成された凹部9eや、画素電極9aにおいてコンタクトホール7dに起因して形成された凹部9fを埋めている。また、平坦化絶縁膜18は、隣り合う画素電極9aの間(凹部9e)に形成されている部分の表面と、画素電極9aと重なる部分の表面とは連続した平坦面を形成している。
【0063】
また、本形態において、平坦化絶縁膜18の上層にノンドープシリコン酸化膜19が積層されている。
【0064】
かかる構成の電気光学装置100を製造するには、図7(a)に示すように、図4および図5を参照して実施の形態1で説明した方法と同様に平坦化絶縁膜18を形成した後、CVD法により、ドープトシリコン酸化膜からなる平坦化絶縁膜18の上層にノンドープシリコン酸化膜19を積層する。
【0065】
このように、本形態でも、実施の形態1と同様、画素電極9aを形成するための反射性導電膜、および絶縁保護膜17を形成するための第1絶縁膜をこの順に成膜した後、画素電極9aと絶縁保護膜17とを同時にパターニング形成する。このため、絶縁保護膜17に用いられるシリコン酸化膜と、画素電極9aを構成する材料の熱膨張係数との差が大きい場合でも、画素電極9aには、熱応力分布に起因するヒロック等の欠陥が発生し難い等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0066】
また、本形態では、平坦化絶縁膜18として段差被覆性に優れたドープトシリコン酸化膜を用いたため、隣り合う画素電極9aの間に形成された凹部9eや、画素電極9aにおいてコンタクトホール7dに起因して形成された凹部9fを確実に埋めることができる。
【0067】
ここで、平坦化絶縁膜18に用いたドープトシリコン酸化膜は、水分を吸着しやすいため、ドープトシリコン酸化膜から放出された水分が液晶層50に侵入する可能性があるが、本形態では、ドープトシリコン酸化膜からなる平坦化絶縁膜18の上層にノンドープシリコン酸化膜19が積層されているので、かかる水分の放出をノンドープシリコン酸化膜19によって防止することができる。
【0068】
[実施の形態3]
図8は、本発明の実施の形態3に係る電気光学装置100の画素の断面図である。図9は、本発明の実施の形態3に係る電気光学装置100の製造方法の要部を示す工程断面図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には、同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0069】
図8に示すように、本形態の電気光学装置100に用いた素子基板10でも、実施の形態1と同様、画素電極9aとしては、アルミニウム膜の単層膜、チタン窒化膜(下層側)およびアルミニウム膜(上層側)が積層された積層膜、チタン膜(下層側)およびアルミニウム膜(上層側)が積層された積層膜等が用いられている。また、画素電極9aの表面には、実施の形態1と同様、透光性の絶縁保護膜17、および透光性の平坦化絶縁膜18が形成されている。絶縁保護膜17は、画素電極9aを形成するための反射性導電膜および絶縁膜(第1絶縁膜)をこの順に成膜した後、画素電極9aと同時にパターニング形成されてなる。このため、絶縁保護膜17は、画素電極9aと同一のパターン形状をもって画素電極9aと重なっている。
【0070】
ここで、絶縁保護膜17は、画素電極9aの上層に積層された第1絶縁保護膜171と、第1絶縁保護膜171の上層に積層された第2絶縁保護膜172との2層構造になっている。また、本形態において、第2絶縁保護膜172は、第1絶縁保護膜171より大きな熱膨張係数を有しており、第1絶縁保護膜171は、第2絶縁保護膜172に比して屈折率が小さい。例えば、絶縁保護膜17および平坦化絶縁膜18について以下の構成
絶縁保護膜17
第1絶縁保護膜171=ノンドープシリコン酸化膜
第2絶縁保護膜172=窒素を含有するシリコン化合物、または金属酸化膜
平坦化絶縁膜18=ノンドープシリコン酸化膜
熱膨張係数
第1絶縁保護膜171<第2絶縁保護膜172>平坦化絶縁膜18
屈折率
第1絶縁保護膜171<第2絶縁保護膜172>平坦化絶縁膜18
が採用されており、絶縁保護膜17において画素電極9aと接する最下層(第1絶縁保護膜171)は、シリコン酸化膜(ノンドープシリコン酸化膜)からなる。かかるノンドープシリコン酸化膜は、熱膨張係数が0.5×10-6/℃であり、屈折率は1.45である。第2絶縁保護膜172は、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、シリコン窒酸化膜等、窒素を含有するシリコン化合物、またはチタン酸化膜、マグネシウム酸化膜、ニオブ酸化膜等の金属酸化膜からなる。かかる材料のうち、例えば、シリコン窒化膜は、熱膨張係数が3.0×10-6/℃であり、屈折率は2.05である。チタン酸化膜は、熱膨張係数が9.0×10-6/℃であり、屈折率は2.10である。
【0071】
かかる構成の電気光学装置100を製造するには、図9(a)に示す画素電極形成工程において、図4および図5を参照して実施の形態1で説明した方法と同様に、画素電極9aを形成するための反射性導電膜9を形成した後(反射性導電膜形成工程)、図9(b)、(c)に示すように、第1絶縁膜17sを形成する第1絶縁膜形成工程を行う。本形態では、第1絶縁膜形成工程においては、図9(b)に示す第1絶縁保護膜形成工程において、CVD法により、ノンドープシリコン酸化膜からなる第1絶縁保護膜171を形成した後、図9(c)に示す第2絶縁保護膜形成工程において、CVD法等により、シリコン窒化膜等のシリコン化合物や、チタン酸化膜等の金属酸化膜からなる第2絶縁保護膜172を形成する。
【0072】
次に、図9(d)に示すパターニング工程においては、第1絶縁膜17sの上層にレジストマスク17wを形成した後、レジストマスク17wの開口部から第1絶縁膜17s(第1絶縁保護膜171および第2絶縁保護膜172)および反射性導電膜9にエッチングを行い、図8を参照して説明したように、第1絶縁保護膜171および第2絶縁保護膜172からなる絶縁保護膜17と、画素電極9aとを同時にパターニング形成する。しかる後には、実施の形態1と同様、平坦化絶縁膜18および配向膜16を順次形成する。
【0073】
このように、本形態でも、実施の形態1と同様、画素電極9aを形成するための反射性導電膜、および絶縁保護膜17を形成するための第1絶縁膜17sをこの順に成膜した後、画素電極9aと絶縁保護膜17とを同時にパターニング形成する。このため、絶縁保護膜17において画素電極9aに接する第1絶縁保護膜171(ノンドープシリコン酸化膜)と、画素電極9aを構成する材料の熱膨張係数との差が大きく、熱応力が発生する場合でも、画素電極9aには、熱応力分布に起因するヒロック等の欠陥が発生し難い等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0074】
また、本形態では、画素電極9aおよび絶縁保護膜17の熱膨張係数は、以下の関係
画素電極9a>第1絶縁保護膜171<第2絶縁保護膜172
になっており、第1絶縁保護膜171を上下から熱膨張係数が大きな層(画素電極9a(反射性導電膜9)および第2絶縁保護膜172)の間に挟んだ構造となる。従って、画素電極9aと第1絶縁保護膜171との熱膨張係数の差に起因する熱応力と、第1絶縁保護膜171と第2絶縁保護膜172との熱膨張係数の差に起因する熱応力とが打ち消される。このため、画素電極9aに応力が加わりにくい。
【0075】
また、本形態では、絶縁保護膜17(第1絶縁保護膜171および第2絶縁保護膜172)、および平坦化絶縁膜18の屈折率は、以下の関係
第1絶縁保護膜171<第2絶縁保護膜172>平坦化絶縁膜18
になっている。このため、絶縁保護膜17(第1絶縁保護膜171および第2絶縁保護膜172)を、増反射膜として機能させることができる。従って、画素電極9aでの反射率を高めることができる。絶縁保護膜17による増反射効果を効率的に得る為に、平坦化絶縁膜18の屈折率と、その上に形成される配向膜及び液晶層の屈折率は近いことが好ましい。
【0076】
また、本形態では、平坦化絶縁膜18がノンドープシリコン酸化膜であるため、ドープトシリコン酸化膜の表面を研磨した場合と違って、研磨装置がリンやボロンで汚染されることを防止することができる。
【0077】
[実施の形態4]
図10は、本発明の実施の形態4に係る電気光学装置100の画素の断面図である。図11は、本発明の実施の形態4に係る電気光学装置100の製造方法の要部を示す工程断面図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には、同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0078】
図10に示すように、本形態の電気光学装置100に用いた素子基板10でも、実施の形態1と同様、画素電極9aとしては、アルミニウム膜の単層膜、チタン窒化膜(下層側)およびアルミニウム膜(上層側)が積層された積層膜、チタン膜(下層側)およびアルミニウム膜(上層側)が積層された積層膜等が用いられている。また、画素電極9aの表面には、実施の形態1と同様、透光性の絶縁保護膜17、および透光性の平坦化絶縁膜18が形成されている。絶縁保護膜17は、画素電極9aを形成するための反射性導電膜および第1絶縁膜をこの順に成膜した後、画素電極9aと同時にパターニング形成されてなる。このため、絶縁保護膜17は、画素電極9aと同一のパターン形状をもって画素電極9aと重なっている。
【0079】
ここで、平坦化絶縁膜18は、絶縁保護膜17の上層に積層された第1平坦化絶縁膜181と、第1平坦化絶縁膜181の上層に積層された第2平坦化絶縁膜182の2層構造になっている。第1平坦化絶縁膜181の表面は平坦化されておらず、下層側の凹部9e、9fに起因する凹凸が形成されている。これに対して、第2平坦化絶縁膜182の表面は平坦化されており、隣り合う画素電極9aの間(凹部9e)に形成されている部分の表面と、画素電極9aと重なる部分の表面とは連続した平坦面を形成している。
【0080】
また、本形態において、第1平坦化絶縁膜181は、絶縁保護膜17より大きな熱膨張係数を有しており、絶縁保護膜17は、第1平坦化絶縁膜181に比して屈折率が小さい。例えば、絶縁保護膜17および平坦化絶縁膜18について以下の構成
絶縁保護膜17=ノンドープシリコン酸化膜
平坦化絶縁膜18
第1平坦化絶縁膜181=窒素を含有するシリコン化合物、または金属酸化膜
第2平坦化絶縁膜182=ノンドープシリコン酸化膜
熱膨張係数
絶縁保護膜17<第1平坦化絶縁膜181>第2平坦化絶縁膜182
屈折率
絶縁保護膜17<第1平坦化絶縁膜181>第2平坦化絶縁膜182
が採用されている。すなわち、絶縁保護膜17および第2平坦化絶縁膜182は、ノンドープシリコン酸化膜からなり、かかるノンドープシリコン酸化膜は、熱膨張係数が0.5×10-6/℃であり、屈折率は1.45である。第1平坦化絶縁膜181は、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、シリコン窒酸化膜等、窒素を含有するシリコン化合物、またはチタン酸化膜、マグネシウム酸化膜、ニオブ酸化膜等の金属酸化膜からなる。かかる材料のうち、例えば、シリコン窒化膜は、熱膨張係数が3.0×10-6/℃であり、屈折率は2.05である。チタン酸化膜は、熱膨張係数が9.0×10-6/℃であり、屈折率は2.10である。
【0081】
かかる構成の電気光学装置100を製造するには、図11(a)に示すように、図4および図5を参照して実施の形態1で説明した方法と同様に、画素電極9aおよび絶縁保護膜17を同時にパターニング形成した後、図11(a)、(b)に示す第2絶縁膜形成工程において、平坦化絶縁膜18を形成するための第2絶縁膜18sを形成する第2絶縁膜形成工程を行う。本形態では、図11(a)に示す第1平坦化絶縁膜形成工程において、CVD法により、シリコン窒化膜等のシリコン化合物や、チタン酸化膜等の金属酸化膜からなる第1平坦化絶縁膜181を形成した後、図11(b)に示す第2平坦化絶縁膜形成工程において、CVD法等により、ノンドープシリコン酸化膜からなる第2平坦化絶縁膜182を形成する。
【0082】
次に、図11(c)に示す平坦化工程においては、第2絶縁膜18sの表面(第2平坦化絶縁膜182の表面)を化学機械研磨等の方法により平坦化して平坦化絶縁膜18を形成する(平坦化絶縁膜形成工程)。その際、絶縁保護膜17の表面が露出しない程度に第2絶縁膜18s(平坦化絶縁膜18)を残す。その後、配向膜16を形成する。
【0083】
このように、本形態でも、実施の形態1と同様、画素電極9aを形成するための反射性導電膜、および絶縁保護膜17を形成するための第1絶縁膜をこの順に成膜した後、画素電極9aと絶縁保護膜17とを同時にパターニング形成する。このため、絶縁保護膜17と、画素電極9aを構成する材料の熱膨張係数との差が大きい場合でも、画素電極9aには、熱応力分布に起因するヒロック等の欠陥が発生しない等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0084】
また、本形態では、画素電極9a、絶縁保護膜17、および平坦化絶縁膜18の熱膨張係数は、以下の関係
画素電極9a>絶縁保護膜17<第1平坦化絶縁膜181>第2平坦化絶縁膜182
になっている。従って、各界面における熱膨張係数の差に起因する熱応力が打ち消される。このため、画素電極9aに応力が加わりにくい。
【0085】
また、本形態では、絶縁保護膜17および平坦化絶縁膜18(第1平坦化絶縁膜181および第2平坦化絶縁膜182)の屈折率は、以下の関係
絶縁保護膜17<第1平坦化絶縁膜181>第2平坦化絶縁膜182
になっている。このため、絶縁保護膜17と第1平坦化絶縁膜181を、増反射膜として機能させることができる。従って、画素電極9aでの反射率を高めることができる。絶縁保護膜17と第1平坦化絶縁膜181による増反射効果を効率的に得る為に、第2平坦化絶縁膜182の屈折率と、その上に形成される配向膜及び液晶層の屈折率は近いことが好ましい。
【0086】
[実施の形態4の変形例]
上記実施の形態4では、第1平坦化絶縁膜181の表面については研磨せずに、第2平坦化絶縁膜182の表面のみを研磨したが、第1平坦化絶縁膜181の表面、および第2平坦化絶縁膜182の表面の双方を研磨してもよい。
【0087】
[他の電気光学装置への適用例]
上記実施の形態では、電気光学装置100の素子基板10として、反射型の液晶装置の素子基板10に本発明を適用したが、有機エレクトロルミネッセンス表示装置やプラズマ表示装置等、他の電気光学装置の素子基板に本発明を適用してもよい。
【0088】
[電子機器への搭載例]
上述した実施形態に係る電気光学装置100を適用した電子機器について説明する。図12は、本発明を適用した電気光学装置100(反射型液晶装置)を用いた投射型表示装置の概略構成図である。
【0089】
図12に示す投射型表示装置1000において、光源部890は、システム光軸Lに沿って光源810、インテグレーターレンズ820および偏光変換素子830が配置された偏光照明装置800を有している。また、光源部890は、システム光軸Lに沿って、偏光照明装置800から出射されたS偏光光束をS偏光光束反射面841により反射させる偏光ビームスプリッター840と、偏光ビームスプリッター840のS偏光光束反射面841から反射された光のうち、青色光(B)の成分を分離するダイクロイックミラー842と、青色光が分離された後の光束のうち、赤色光(R)の成分を反射させて分離するダイクロイックミラー843とを有している。
【0090】
また、投射型表示装置1000は、各色光が入射する3つの反射型の電気光学装置100(反射型の液晶装置100R、100G、100B)を備えており、光源部890は、3つの電気光学装置100(液晶装置100R、100G、100B)に所定の色光を供給する。
【0091】
かかる投射型表示装置1000においては、3つの液晶装置100R、100G、100Bにて変調された光をダイクロイックミラー842、843、および偏光ビームスプリッター840にて合成した後、この合成光を投射光学系850によってスクリーン860等の被投射部材に投射する。
【0092】
(他の投射型表示装置)
なお、投射型表示装置については、光源部として、各色の光を出射するLED光源等を用い、かかるLED光源から出射された色光を各々、別の液晶装置に供給するように構成してもよい。
【0093】
(他の電子機器)
本発明を適用した電気光学装置100については、上記の電子機器の他にも、携帯電話機、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)、デジタルカメラ、液晶テレビ、カーナビゲーション装置、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等の電子機器において直視型表示装置として用いてもよい。
【符号の説明】
【0094】
9a・・画素電極、9e、9f・・凹部、10・・素子基板、16・・配向膜、17・・絶縁保護膜、17s・・絶縁保護膜形成用の第1絶縁膜、18・・平坦化絶縁膜、18s・・平坦化絶縁膜形成用の第2絶縁膜、19・・ノンドープシリコン膜、20・・対向基板、21・・共通電極、50・・液晶層、100・・電気光学装置、171・・第1絶縁保護膜、172・・第2絶縁保護膜、181・・第1平坦化絶縁膜、182・・第2平坦化絶縁膜、1000・・投射型表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子基板用の基板本体の一方面側に設けられた画素トランジスターと、
前記基板本体の前記一方面側に前記画素トランジスターに対応して設けられた反射性の画素電極と、
該画素電極と同一パターン形状をもって当該画素電極に対して前記基板本体が位置する側とは反対側に積層された透光性の絶縁保護膜と、
該絶縁保護膜に対して前記基板本体が位置する側とは反対側に設けられ、前記画素電極に重なる部分の表面と、隣り合う前記画素電極の間に形成されている部分の表面とが連続した平坦面を形成している透光性の平坦化絶縁膜と、
を有していることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記絶縁保護膜は、少なくとも前記画素電極に接する層が、シリコン酸化膜からなることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記絶縁保護膜は、少なくとも表層がリンおよびボロンのうちの少なくとも一方がドープされたドープトシリコン酸化膜からなり、
前記平坦化絶縁膜は、リンおよびボロンのいずれもがドープされていないノンドープシリコン酸化膜からなることを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記平坦化絶縁膜は、少なくとも表層がリンおよびボロンのうちの少なくとも一方がドープされたドープトシリコン酸化膜からなり、
前記平坦化絶縁膜に対して前記基板本体が位置する側とは反対側には、リンおよびボロンのいずれもがドープされていないノンドープシリコン酸化膜が積層されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記絶縁保護膜は、前記画素電極に対して前記基板本体が位置する側とは反対側に積層された第1絶縁保護膜と、該第1絶縁保護膜より大きな熱膨張係数をもって当該第1絶縁保護膜に対して前記基板本体が位置する側とは反対側に積層された第2絶縁保護膜と、を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記第1絶縁保護膜は、前記第2絶縁保護膜に比して屈折率が小さいことを特徴とする請求項5に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記第1絶縁保護膜は、リンおよびボロンのいずれもがドープされていないノンドープシリコン酸化膜からなり、
前記第2絶縁保護膜は、窒素を含有するシリコン化合物、または金属酸化膜であることを特徴とする請求項5に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記平坦化絶縁膜は、前記絶縁保護膜よりも大きな熱膨張係数をもって当該絶縁保護膜に対して前記基板本体が位置する側とは反対側に積層された第1平坦化絶縁膜と、該第1平坦化絶縁膜より小さな熱膨張係数をもって当該第1平坦化絶縁膜に対して前記基板本体が位置する側とは反対側に積層された第2平坦化絶縁膜と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項9】
前記絶縁保護膜は、前記第1平坦化絶縁膜に比して屈折率が小さいことを特徴とする請求項8に記載の電気光学装置。
【請求項10】
前記絶縁保護膜は、リンおよびボロンのいずれもがドープされていないノンドープシリコン酸化膜からなり、
前記第1平坦化絶縁膜は、窒素を含有するシリコン化合物、または金属酸化膜であることを特徴とする請求項9に記載の電気光学装置。
【請求項11】
前記基板本体の前記一方面側に対向配置された対向基板と、
前記基板本体と前記対向基板との間に保持された液晶層と、
を有し、
前記基板本体の最表面には配向膜が設けられていることを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項12】
前記配向膜は無機配向膜であることを特徴とする請求項11に記載の電気光学装置。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか一項に記載の電気光学装置を備えた投射型表示装置であって、
前記電気光学装置に供給される光を出射する光源部と、
前記電気光学装置によって変調された光を投射する投射光学系と、
を有していることを特徴とする投射型表示装置。
【請求項14】
素子基板用の基板本体の一方面側に画素トランジスターおよび層間絶縁膜を形成した後、
当該層間絶縁膜に対して前記基板本体が位置する側とは反対側に反射性導電膜を形成する反射性導電膜形成工程と、
前記反射性導電膜に対して前記基板本体が位置する側とは反対側に透光性の第1絶縁膜を形成する第1絶縁膜形成工程と、
前記第1絶縁膜および前記反射性導電膜を同一工程でパターニングして前記画素トランジスターに対応する反射性の画素電極、および該画素電極と同一パターン形状をもって当該画素電極に積層された透光性の絶縁保護膜を同一工程で形成するパターニング工程と、
前記絶縁保護膜に対して前記基板本体が位置する側とは反対側に透光性の第2絶縁膜を形成する第2絶縁膜形成工程と、
当該第2絶縁膜の表面を平坦化して平坦化絶縁膜とする平坦化工程と、
を有していることを特徴とする電気光学装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−108168(P2012−108168A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254586(P2010−254586)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】