説明

電気接続部品

【課題】汎用性に優れた電気接続部品を提供する。
【解決手段】電気接続部品100等は、積層方向Xと直交する側面から露出した導電パターン部120の端面120Aを、電極604、614に接触させることによって電極間を電気的に接続する。そして、電極604、614のピッチPが微細な微細配線であっても、導電パターン部120のピッチを狭く(微細に)設定することで、微細配線間を電気的に接続可能である。また、電気接続部品100の側面に、例えば、IC70や受動部品80等の電子部品を実装することができる。更に、電気接続部品100等の内部に微細で複雑な回路を形成することができる。したがって、汎用性に優れた電気接続部品100とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極間を電気的に接続する電気接続部品に関する。
【背景技術】
【0002】
二つのプリント基板の配線(電極)間を電気的に導通させる場合(電気的に接続する場合)、図21に示すように、一方のプリント基板10に機械接触式のコネクタ30を実装し、他方のプリント基板20をコネクタ30に挿し込み、プリント基板10とプリント基板20とを電気的に接続する方法が簡便で一般的とされている。
【0003】
一方、図22に示すプリント基板12のように、L/S〜数um〜数10umの超微細配線の配線電極11の接続には、微小な金属粒子(導電粒子)41(図19参照)を含有する異方性導電性フィルム(ACF)40や異方導電性ペースト(ACP)(図示略)などを用いることができる。
【0004】
なお、図23(A)に示すように、ACF40(及びACP)は、熱硬化性樹脂42に導電性を持つ微細な金属粒子41を混ぜ合わせたものである。
【0005】
具体的には、図22及び図23(B)に示すように、一方のプリント基板12の配線電極11と他方のプリント基板22の配線電極21と間にACF40(又はACP)を挟み、セラミックスなどによって作成されたツールにより一様に加熱しながら加圧することにより、配線電極11、21に当接する部位にACF40内に分散している金属粒子41が接触することによって、導電経路が形成される。
【0006】
一方、隣接する配線電極11間及び隣接する配線電極21間は絶縁され、すなわち対抗する電極の存在する縦方向(図の上下方向、つまり配線電極11と配線電極21との間)には導電性が確保され、横方向(図の水平方向。つまり、隣接する配線電極11、隣接する配線電極21)には絶縁性が確保され、隣接する電極の間隔が狭い微細配線であっても、適切な導電粒子径と適切な導電粒子間の距離が確保されることで、隣接する電極間の短絡(ショート)を起こさずに電気的に接続できる。
【0007】
また、特許文献1には、プリント基板の配線パターンから延長され且つプリント基板の縁部から突出した延長端子部が、電子部品とプリント基板との間で撓み変形した状態で、電子部品の接続電極に接続される電子部品の接続構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−329536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、図21に示すような機械接触式のコネクタ30は、図21(A)に示すように、プリント基板20をプリント基板10に対して垂直に接続する構成や、図21(B)に示すコネクタ32のようにプリント基板20をプリント基板10に対して平行に接続する構成が一般的とされている。しかし、図22(C)に示すコネクタ34のように、プリント基板10に対してプリント基板20が斜めに接続する構成(任意の角度)で接続を行なうことも可能である。よって、接続するプリント基板10、20に曲げや撓みによる応力などの負荷が殆どかかることがないので、信頼性の高い電気接続が可能とされている。
【0010】
しかし、このような機械接触式のコネクタ30、32、34は、各種公差や製造精度などを考慮すると、L/S〜数um〜数10umレベルの超微細な配線に対応できるようなコネクタを作成することは困難であり、機械接触式のコネクタを用いて微細配線間を電気的に接続することは極めて難しい。また、大きな実装スペース(例えば実装エリアだけで5mm×15mm等)を確保する必要があり、大きな実装スペースを確保できない場合には、このような機械接触式コネクタでプリント基板同士を接続することができない。
【0011】
一方、図22に示すような、異方性導電性フィルム(ACF)40や異方性導電性ペースト(ACP)(図示略)は、微細配線の電気的接続が可能である。また、実装スペース上の制約もコネクタ30、32、34(図21参照)よりは少ない。
【0012】
しかし、ACF40(及びACP)は、隣接する電極間のショートを防ぐために金属粒子41間の距離をある程度大きく確保せざるを得ない。したがって、図23(C)に示すように、高い接続信頼性を確保するためには、長手方向(配線方向)に多くの接続点を確保する必要がある。つまり、長手方向(配線方向)に対して、十分に長い接続長Qを確保する必要がある(図24(B)も参照)。
【0013】
更に、図24のように、プリント基板12に対しての任意の角度、例えば90°に接続するためには、フレキシブル基板(FPC)25を用いて、一旦平行面同士で接続した後(図22参照)、矢印Jで示すようにフレキシブル基板25を折り曲げる必要がある。しかし、このように微細配線が形成されたフレキシブル基板25を折り曲げると、微細配線が断線する懸念があり、配線の信頼性を著しく低下させることになりかねない(なお、微細な配線を持たない一般的なフレキシブル基板であれば、曲げることによる断線の可能性は小さい。)。
【0014】
更に、曲率半径(折り曲げ半径)を小さくする必要がある場合(例えば半径R=0.5mmなど)、更に断線する可能性が高くなる。
【0015】
また、このようにフレキシブル基板25を折り曲げる際は、図24(B)に示すように、配線方向の接続長Q(図23(C)も参照)に加え、はみだし量T及び曲率半径分Rが必要となる。つまり、T+R(+Q)の距離が必要となり、それだけデバイスの空間を無駄に消費することとなってしまう。
【0016】
更に、図21に示す機械式のコネクタ30、32、34は、上面や側面などにICや受動部品などを搭載したりすることは困難である。つまり、コネクタ30、32、34自身が占有する領域を、プリント基板同士を電気的接続する以外に活用することは困難である。同様に、ACF(図22、図23、図24)もプリント基板同士の電気的接続以外に活用することは困難である。
【0017】
このように、従来の機械接触式のコネクタ30、32、34(図21)、ACF(図22、図23、図24)及びACP(図示略)は、超微細配線を持つ配線基板同士を曲げることなく任意の角度で実装することができない。よって、制約条件が少なく適用範囲が広い、高い信頼性を確保しつつ空間利用効率を大幅に向上させることのできる汎用性に優れた電気接続部品が求められている。
【0018】
本発明は、上記を考慮し、高い信頼性を確保しつつ空間利用効率を大幅に向上させることができる汎用性に優れた電気接続部品を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
請求項1の発明は、導電体で構成された導電パターン部と絶縁体で構成された絶縁部とで構成された層を有する積層構造とされ、前記導電パターン部の端面が、積層方向と交差する側面に一箇所又は複数箇所露出し、露出した前記導電パターン部の端面が、複数の接続部の電極に接触する。
【0020】
請求項1の発明では、積層方向と交差する側面から露出した導電パターン部の端面を接続部の電極に接触させることによって、複数の接続部が電気的に接続される。
【0021】
そして、接続部の電極のピッチが微細な微細配線であっても、導電パターン部の積層方向のピッチを狭く(微細に)設定することで、微細配線間を電気的に接続可能である。したがって、様々な電極ピッチに対応可能である。また、側面に、例えば、ICや受動部品等の電子部品を実装することができる。よって、3次元的空間利用効率を高めることができる。
【0022】
したがって、高い信頼性を確保しつつ空間利用効率を大幅に向上させることができる汎用性に優れた電気接続部品とされる。
【0023】
なお、「ピッチ」とは、各接続部における各電極の配列方向の中心位置の間隔を指す。
【0024】
請求項2の発明は、連続した二層に前記導電パターン部が形成されると共に、前記連続した二層間で前記導電パターン部が接触している請求項1に記載の電気接続部品。
【0025】
請求項2の発明では積層方向にも導通路を形成することで、電気接続部品の微細で複雑な回路を形成することができる。したがって、様々な接続部の配置に対応可能であり、更に汎用性に優れた電気接続部品とされる。
【0026】
請求項3の発明は、積層方向と交差する複数の前記側面の前記導電パターン部の端面に前記接続部の電極が接触する請求項1又は請求項2に記載の電気接続部品。
【0027】
請求項3の発明では、電気接続部品の異なる側面間で複数の接続部を電気的に接続する。
【0028】
よって、例えば、一方の接続部に対して他方の接続部が斜めに配置されている(斜めに配置する必要がある)場合、電気接続部品の形状を、一方の接続部の電極が接触する一方の側面に対して、他方の接続部の電極が接触する他の側面が斜めに配置された形状とすることで、容易に接続部間を電気的に接続することができる。
【0029】
或いは、電気接続部品の異なる側面夫々に、接続部を電気的に接続することで、容易に複数の接続部を電気的に接続することができる(電気接続部を配線ターミナルとして機能させることができる)。
【0030】
また、例えば、一方の接続部と他方の接続部との間隔が大きく開いている場合は、電気接続部品の形状を、一方の側面と他方の側面とが大きく離れた形状とすることで、容易に接続部間を電気的に接続することができる。
【0031】
したがって、接続部間の様々な配置関係に対応可能な汎用性に優れた電気接続部品とされる。
【0032】
また、接続部を備える基板等を折り曲げたり変形させたりすること無く、任意の角度で電気的接続を得ることができる。つまり、基板等に曲げや撓みによる応力などの負荷が殆どかかることがないので、信頼性の高い電気接続が可能とされている。よって、仮に微細配線であっても信頼性の高い電気的接続となる。
【0033】
請求項4の発明は、積層方向と交差する前記側面から露出した前記導電パターン部の端面から突出するバンプが設けられ、前記バンプが前記電極に接触する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電気接続部品。
【0034】
請求項4の発明では、電気接続部品の側面から露出する導電パターン部の端面から突出するバンプが電極に接触するので、電気的接続部品と電極との電気的な接続の信頼性が向上する。
【0035】
請求項5の発明は、積層方向から交差する複数の前記側面のうち、いずれか一つの前記側面から露出した前記導電パターン部の端面にメッキ電極を接触させて、他の前記側面から露出した前記導電パターン部の端面にメッキを形成し、形成された前記メッキを前記バンプとする請求項4に記載の電気接続部品。
【0036】
請求項5の発明では、いずれか一つの側面から露出した導電パターン部の端面にメッキ電極を接触させて、他の側面から露出した導電パターン部の端面にメッキを形成しバンプとすることで、容易にバンプが形成される。
【0037】
請求項6の発明は、複数の前記接続部のうち、最も狭い電極幅を持つ前記接続部の電極幅をLs、最も狭い電極隙間を持つ前記接続部の電極隙間をSsとし、積層方向に前記導電パターン部の端面と前記絶縁部との端面とが交互に露出する部位における前記導電パターン部の層厚をte、前記絶縁部の層厚をtiとすると、Ls>ti、且つ、Ss>teの関係に設定する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電気接続部品。
【0038】
請求項6の発明では、電極の幅(配列)方向の中心位置が一致するように接続部同士の位置を合わせれば、電気接続部品は配列方向(積層方向)の位置がどのように位置であっても、隣り合う電極と短絡(ショート)することなく、電気接続部品の導電パターン部の端面と電極とが接触する。
【0039】
つまり、接続部間を電気的に接続する際の、電気接続部品の積層方向(電極の配列方向)の位置合わせが不要となる。よって、作業効率が向上する。
【0040】
請求項7の発明は、前記側面に、複数の前記導電パターン部の端面間を電気的に接続したパッドが設けられている。
【0041】
請求項7の発明では、側面に設けられた複数の導電パターン部の端面間を電気的に接続したパッドを利用して、例えば、ICや受動部品等の電子部品を容易に実装することができる。
【発明の効果】
【0042】
請求項1に記載の発明によれば、高い信頼性を確保しつつ空間利用効率を大幅に向上させることができる汎用性に優れた電気接続部品を得ることができる。
【0043】
請求項2に記載の発明によれば、積層方向にも複数の接続部が電気的に接続することが可能であるので、様々な接続部(電極)間の配置(位置)関係に対応可能な優れた汎用性を有する電気接続部品を得ることできる。
【0044】
請求項3に記載の発明によれば、様々な接続部(電極)間の配置(位置)関係に対応可能な優れた汎用性を有する電気接続部品を得ることできる。
【0045】
請求項4に記載の発明によれば、バンプが設けられていない構成と比較し、電気的な接続の信頼性が向上する。
【0046】
請求項5に記載の発明によれば、側面から露出した導電パターン部の端面に、メッキで構成されたバンプを容易に形成することができる。
【0047】
請求項6に記載の発明によれば、電気接続部品の積層方向(電極の配列方向)の位置合わせを不要とすることができる。
【0048】
請求項7に記載の発明によれば、ICや受動部品等を側面に容易に実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】(A)は、(B)に示す本発明の実施形態に係る四角柱形状の電気接続部品の構造を説明するための分解斜視図であり、(B)は本発明の実施形態に係る四角柱形状の電気接続部品の斜視図であり、(C)は本発明の実施形態に係る三角柱形状の電気接続部品を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る四角柱形状の電気接続部品の積層方向に沿った断面図である。
【図3】(A)は、積層パターン部が異なる電気接続部品を示す図2に対応する断面図であり、(B)は(A)とも積層パターン部が異なる電気接続部品を示す図2に対応する断面図である。
【図4】絶縁部が形成されていない構成の電気接続部品の製造方法の概要を(A)から(B)へと順番に説明する説明図であり、(C)は絶縁部が形成されていない構成の電気接続部品の変形を示す説明図である。
【図5】(A)は、バンプを形成する前の電気接続部品(部品本体)を模式的に示す側面図であり、(B)は、電気接続部品(部品本体)の側面から露出する導電パターン部の端面にメッキ(バンプ)を形成する様子を模式的に説明する説明図である。
【図6】電気接続部品(部品本体)の導電パターン部の端面にメッキ(バンプ)を形成する工程を(A)から(E)へと順番に示す工程図である。
【図7】(A)は、一方のプリント基板と、該一方のプリント基板に対して垂直に配置された状態の他方のプリント基板と、を本発明の実施形態に係る四角柱形状の電気接続部品で電気的に接続した斜視図であり、(B)は(A)のB−B線に沿った断面図である。
【図8】プリント基板の配線部とプリント基板の配線部とに、四角柱形状の電気接続部品を接着させる部品実装装置を模式的に示す図である。
【図9】(A)はプリント基板の配線部とプリント基板の配線部とに、三角柱形状の電気接続部品を接着させる部品実装装置を模式的に示す図であり、(B)は、三角柱形状の電気接続部品を接着させた状態を示す斜視図であり、(C)はICを実装する様子を示す斜視図である。
【図10】部品実装装置の概要を示すと共に、プリント基板の接続工程を(A)から(B)へと示す図である。
【図11】(A)は電気接続部品に四つのプリント基板を接続させた状態を模式的に示す斜視図であり、(B)は(A)とは異なる配置でプリント基板を接続させた状態を模式的に示す斜視図である。
【図12】(A)は、プリント基板に複数の電子部品を実装した状態を示す斜視図であり(B)は本発明の実施形態に係る電気接続部品を用いて小さなプリント基板に複数の電子部品を実装した状態を示す斜視図である。
【図13】プリント基板が大きな段差で隔てられている場合のプリント基板間の電気的接続を模式的に説明する図であり、(A)は従来のワイヤーボンディングで電気的に接続した斜視図であり、(B)は本発明の実施形態に係る四角柱形状の電気接続部品を用いて電気的に接続した斜視図であり、(C)は本発明の実施形態に係る断面L字状の電気接続部品を用いて電気的に接続した斜視図である。
【図14】電極の電極幅、電極隙間、及びピッチが同じであるプリント基板同士を電気接続部品で電気的に接続した状態を示す模式図である。
【図15】電極の電極幅及び電極隙間が異なるがピッチが同じであるプリント基板を電気接続部品で電気的に接続した状態を示す模式図である。
【図16】(A)は電極幅Lよりも絶縁部の層厚tiが狭く、電極隙間Sよりも導電パターン部の層厚teが狭い電気接続部品を説明するための説明図であり(B)は(A)の電気接続部品を用いて、電極の電極幅、電極隙間、及びピッチが同じであるプリント基板同士を電気接続部品で電気的に接続した状態を示す模式図である。
【図17】(A)は、絶縁部の層厚ti及び導電パターン部の層厚teが狭い電気接続部品を用いて、電極の電極幅、電極隙間、及びピッチが同じであるプリント基板同士を電気接続部品で電気的に接続した状態を示す模式図であり、(B)は導通に寄与している導電パターン部を説明するための説明図である。
【図18】図17に示す電気接続部品を用いて、電極の電極幅及び電極隙間が異なるがピッチが同じであるプリント基板を電気的に接続した状態を示す模式図である。
【図19】電子接続部品の側面にパッドを形成した図である。
【図20】本発明の実施形態に係る電気接続部品の製造工程を(A)から(L)へと順番に示す工程図である。
【図21】一方のプリント基板と他方のプリント基板とを従来のコネクタで電気的に接続する方法を説明するための斜視図であって、(A)は、他方のプリント基板を一方のプリント基板に対して垂直に接続する場合の斜視図であり、(B)は、他方のプリント基板を一方のプリント基板に対して平行に接続する場合の斜視図であり、(C)は、他方のプリント基板を一方のプリント基板に対して斜めに接続する場合の斜視図である、
【図22】異方性導電性フィルムで微細配線を接続する方法を説明する斜視図である。
【図23】(A)異方性導電性フィルムを模式的に示す模式図であり、(B)は異方性導電性フィルムで電気的に接続された状態を模式的に示す正面図であり、(C)は異方性導電性フィルムで電気的に接続された状態を模式的に示す斜視図である。
【図24】(A)プリント基板とフレキシブル基板とを異方性導電性フィルムで接続した状態を模式的に示す斜視図であり、(B)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1〜図20を用いて、本発明の実施形態に係る電気接続部品について説明する。
【0051】
まず、電気接続部品(コネクタ)100の構造について、図1、図2、及び図3を用いて説明する。図1(A)は、(B)に示す四角柱形状の電気接続部品100の構造を説明するための分解斜視図(説明図)であり、(B)は四角柱形状の電気接続部品100の斜視図であり、(C)は三角柱形状の電気接続部品101を示す斜視図である。図2は、積層方向に沿った(図1(B)のD−D線)に沿った断面図である。図3(A)は、積層パターン部が異なる電気接続部品105を示す図2に対応する断面図であり、図3(B)は(A)とも積層パターン部が異なる電気接続部品107を示す図2に対応する断面図である。
【0052】
図1(A)と図1(B)とに示すように、電気接続部品100は、導電パターン部120が形成された薄膜状の層110が積層された積層構造とされている。言い換えると、導電パターン部120と導電パターン部120以外の部位を構成する絶縁部125とで各層110が形成されている。図1(B)に示すように、積層後の電気接続部品100は、積層方向Xを軸方向とする四角柱とされている(各層110の層厚は等しい)。
【0053】
導電パターン部120の端面120Aは、電気接続部品100の積層方向Xと交差(直交)する側面から露出している。
【0054】
また、図2に示すように、導電パターン部120の一部は、連続する層110で接触するように形成されている。よって、導電パターン部120の一部は、積層方向Xにも導通されている。つまり、積層方向にも導通路を形成することで、電気接続部品100の内部に微細で複雑な回路が形成されている。
【0055】
なお、積層方向Xの両端の層は、導電パターン部120が形成された層110でない、例えば、導電パターン部120が形成されていない絶縁部125のみの絶縁層108や導電層(全面が導電パターン部)で構成されていてもよい(片端が導電層で一方が絶縁層であってもよいし、導電パターン部120が形成された層110であってもよい)。なお、層110間に絶縁層108が配置されていてもよい。
【0056】
更に、図3(A)に示す電気接続部品105のように、層110と絶縁層108とが交互に配置されていてもよい。或いは、層110と絶縁層108とが交互に配置されている部位があってもよい(一部のみ交互に配置されている構成)。
【0057】
また、図3(B)に示す電気接続部品107ように、導電パターン部120の上に絶縁部125が形成された層109が積層されていてもよい。
【0058】
更に、図示は省略するが、層109と層110と絶縁層108とが積層されていてもよい。
【0059】
また図5(B)に示すように、導電パターン部120の積層方向と直交(交差)する端面120Aに、バンプ122が形成されていてもよい(詳細は後述する)。
【0060】
また、四角柱以外の多角形柱(積層方向と直交する断面が多角形)であってもよい。例えば、図1(C)に示す電気接続部品101のように、三角形柱であってもよい。或いは、五角柱形状や六角柱形状であってもよい(図示略)。更に、図13(C)に示すように、一部が凹んだ形状(図13(C)は、積層方向Xと直交する断面がL字状の柱形状)の多角形であってもよい。
【0061】
更に、角部にC面取りやR面取りがなされていてもよい。また、一部の側面(辺)が円弧状(例えば、扇型や半円形状)であってもよい。但し、導電パターン部120の端面120Aと電極との接触面積を確保することを考慮すると、積層方向Xと直交する側面には、少なくとも平面が一つ以上形成されていることが望ましい。
【0062】
本実施形態においては、各層110の層厚は、約1μmとされている。なお、最先端のセラミックコンデンサ技術などのマスクスクリーン技術では、誘電体の層厚及び導電パターン部(導電パターン部)の層厚は、1μm以下が実現されている。したがって、本実施形態の電気接続部品100、101においても、各層110(導電パターン部120)の層厚を1μm程度とすることは、現在の技術で十分に可能である。
【0063】
また、インクジェット技術を用いることによっても、実現が可能である。なお、このインクジェット技術を用いた具体的な製造方法については後述する。
【0064】
絶縁層108及び絶縁部125の材料としては、絶縁性樹脂であるポリイミド等樹脂等、セラミックスであれば、アルミナ、チタニアなどの酸化物セラミックススラリー等、絶縁性があり薄膜化可能な材料であればよい。
【0065】
導電パターン部120を構成する導電体の材料としては、金、銀、パラジウム、銅、ニッケル、アルミニウムなど金属のほか、導電性があり薄膜化可能な材料であればよい。
【0066】
さて、図4(A)と図(B)は、絶縁部125が形成されていない構成の電気接続部品の製造方法の概要を(A)から(B)へと順番に説明する説明図であり、(C)は絶縁部125が形成されていない構成の電気接続部品の変形を示す説明図である。
【0067】
図4(A)と図4(B)とに示すように、絶縁層108に導電パターン部120のみを形成したものを積層し絶縁部125を形成していない場合、多重積層(例えば、1000層)を行うと導電パターン部120がある部位と無い部位とで厚みが異なるため、図4(C)に示すように、大きく変形してしまうことがあり、好ましくない。
【0068】
よって、図2と図3(A)に示すように、導電パターン部120と同じ高さの絶縁部125や図3(B)に示すように導電パターン部120よりも高い絶縁部125で埋めることで、層厚が一定となり、図4(C)のような変形が防止される。
【0069】
つぎに、電気接続部品100、105、107の製造方法について、接続部品100を代表して説明する。なお、ここで説明する製造方法以外の製造方法で製造してもよい。
【0070】
電気接続部品100は、インクジェットやスクリーン印刷などによって導電液(導電インク)で直接、初期基板(絶縁層108もしくは導電層)上に導電パターン部120を形成し、導電パターン部120以外の部分を絶縁液(絶縁インク)で埋めることで作成することができる。
【0071】
よって、つぎに、インクジェット技術を用いた電気接続部品100の製造方法について、図20を用いて説明する。
【0072】
図20は、インクジェット技術を用いた製造方法の製造工程を(A)から(L)へと順番に図示した工程図である。また、(A)〜(H)の右図は部分断面図であり、(A)〜(E)左図は上方から見た斜視図である。なお、この左図は(F)〜(H)では省略している。また、初期基板に絶縁層108を選択した場合を示す。
【0073】
図20(A)に示すように、両端の絶縁層108(図1参照)となるPET,PI,PENなどで構成された薄膜状の絶縁性シート(フィルム)209に、図20(B)に示すように、図示が省略された液滴吐出ヘッド(インクジェット記録ヘッド)を走査しながら導電液(導電インク)を吐出して、図20(C)に示すように、乾燥させることによって導電パターン部120を形成する。
【0074】
つぎに、図20(D)に示すように、導電パターン部120以外の部位を埋めるように絶縁液(絶縁インク)Fを吐出して、図20(F)に示すように乾燥させることによって、絶縁部125を形成する。
【0075】
そして、図20(A)〜図20(D)を繰り返し、積層体505(図20(K)−1,図20(K)−2を参照)を作成する。
【0076】
なお、このとき導電パターン部120を各層110(図1参照)で導通させる場合(図2参照)、図20(G)と図20(H)に示すように、導電パターン部120同士が重なるように形成する。なお、図20(H)のZ部分が、導電パターン部120同士が重なった部分である。
【0077】
また、導電パターン部120を形成しない層を形成する場合は、図20(A)の絶縁シート209を貼り合わせるか絶縁液Fで全面を塗布して絶縁層を形成すればよい。
【0078】
また、導電パターン部120と絶縁部125の層厚は、吐出する液滴量と液滴吐出ヘッド(インクジェット記録ヘッド)の走査速度などを調整することで制御することができる。
【0079】
そして、図20(K)−1に示すように、円形回転刃(ダイシングブレード)230を用いたダイシングによって所望の形状(電気接続部品100の場合は四角柱形状)に切断し、図20(L)に示すように、四角柱形状の電気接続部品100(図中の「部品本体99」については後述する)を作成する。
【0080】
なお、図20(K)−2に示すように、カッター232を用いたナイフカットによって所望の形状に切断し、電気接続部品100を作成してもよい。
【0081】
なお、上記以外、例えばスクリーン印刷技術を用いて、電気接続部品100を作成してもよい。
【0082】
なお、前述したように、絶縁部125の材料及び導電パターン部120の材料は、特に限定されないが、絶縁部125と導電パターン部120との材料との組み合わせには考慮すべき場合がある。例えばセラミックスの場合は、導電パターン部120と絶縁部125の同時焼成が前提となるため、例えば導電性材料に銀を採用する際は銀の融点910℃以下で焼成できるガラス系のLTCC用低温焼成型の絶縁材料を選択する必要がある等である。
【0083】
また、液滴吐出ヘッド(インクジェット記録ヘッド)で作成を行なう場合は、液滴記録ヘッド(インクジェット記録ヘッド)で吐出可能な特性や物性(例えば粘度等)の液体(インク)である必要がある。
【0084】
更に、図19に示すように、電気接続部品100の側面に、複数の導電パターン部120の端面120Aを覆うように導電液(導電インク)でパッド121、123、127を形成してもよい。なお、このパッド121、123、127は、複雑な配線構造を実現させるため、或いは、IC70や受動部品80(図7参照)などの電子部品を実装する場合に利用することができる。
【0085】
さて、図5(A)に示すように、所望の形状に切り出された電気接続部品100は、積層方向Xと直交する側面100Aに凹凸がない平面とされている。しかし、実装を行なう場合、導電パターン部120の端面120Aにバンプ(突起)を設けることによって、より高い接続信頼性を確保することができる(実装についての詳細は後述する)。なお、バンプ122は形成されていなくてもよい。
【0086】
よって、つぎに、電解メッキによって、電気接続部品100の側面100Aから露出した導電パターン部120の端面120Aにバンプ(突起)を設ける製造方法について、図5と図6とを用いて説明する。なお、つぎに説明するバンプの形成方法(製造方法)は一例であって、他の方法で形成してもよい。また、バンプが形成されていない状態の電気接続部品100を、便宜上、「部品本体99」とする。
【0087】
図5(A)は、電気接続部品100にバンプ122を形成する前の部品本体99を模式的に示す側面図である。図5(B)は、電気接続部品100(部品本体99)の側面100Aから露出する導電パターン部120の端面120Aにメッキ(バンプ122)を形成する様子を模式的に説明する説明図である。図6は、部品本体99の導電パターン部120の端面120Aにメッキ(バンプ122)を形成する工程を(A)から(E)へと順番に示す工程図である。なお、図5(B)と後述する図7(B)以外の図では、バンプ122を省略して図示している。また、判りやすくするため導電パターン部120は、層状に記載している。
【0088】
図5(A)に示すように、ダイシングやナイフカットによって切り出された部品本体99に、図5(B)に示すように、部品本体99の側面100Bにメッキ電極400を接触させ、側面100Aから露出した絶縁部125の端面には形成せずに、導電パターン部120の端面120Aのみに電解メッキを施し成長させることよって、端面120Aから突出する突起部、すなわち、バンプ122を形成している。
【0089】
なお、バンプ(メッキ)122を形成する際に取り付けるメッキ電極400の電極面402は、絶縁部125と導電パターン部120の積層ピッチよりも小さな表面粗さとすることで、確実に導電パターン部120に接触する。また、平面よりも比較的粗い(凹凸のある)面である方が、より確実に導電パターン部120の端面120Aに接触し、且つ接触圧も確保されるので、望ましい。
【0090】
具体的な製造方法は、図6(A)に示すように、メッキ電極400の電極面402にバンプ形成前の部品本体99を接着剤420で固定する。なお、接着剤420は、リペア可能な防水性を有するシリコーン等で構成されている。また、図6(B)に示すように、メッキ電極400には、複数の部品本体99を予め定められた(所定の)間隔をあけて並べ、固定する。
【0091】
図6(C)に示すように、部品本体99が固定されたメッキ電極400をメッキ槽500のメッキ液520の中に漬ける。そして、カソード512とアノード510との間に通電させる。絶縁部125の端面には電極メッキが形成されないので、導電パターン部120の端面120Aのみに電解メッキが成長し、端面120Aから突出するバンプ122が形成される(図5(B)参照)。
【0092】
図6(D)に示すように、メッキ槽500から取り出し、メッキ電極400から接着剤420と一緒に電気接続部品100を外し、図6(E)に示すように、アセトン等の洗浄剤で洗浄して接着剤420を取り除き、バンプ(メッキ)122(図5(B)参照)が形成された電気接続部品100が完成する(図1(B)参照)。
【0093】
つぎに、電気接続部品100を用いて複数の基板の配線間を電気的に接続する方法について図7と図14とを用いて説明する。
【0094】
図7(A)は、一方のプリント基板600と、該一方のプリント基板600に対して垂直に配置された状態のプリント基板610と、を電気接続部品100で電気的に接続し、且つ側面にIC70や受動部品(抵抗器、コンデンサ、コイル、発振子等)80等の電子部品を実装した状態の斜視図である。また、図7(B)は(A)のB−B線に沿った断面図である。図14はプリント基板同士を電気接続部品100で電気的に接続した状態を示す模式図である。
【0095】
図7(A)に示すように、一方のプリント基板600には、複数の電極604が配列された配線部602が形成されている。同様に他方のプリント基板610には、複数の電極604が配列された配線部612が形成されている。なお、配列方向と積層方向Xとは同じ方向である。
【0096】
図7(B)に示すように、プリント基板600の各電極604の配列方向の幅である電極幅LはL1とされ、隣接する電極604との隙間である電極隙間SはS1とされている。そして、電極604の幅方向(配列方向)の中心位置をGとし、この中心位置Gの間隔がピッチPはP1とされている(図14も参照)。
【0097】
なお、プリント基板610の配線部612も、電極幅L=L1、電極隙間S=S1、ピッチP=P1であり、同じとされている(図14参照)。
【0098】
また、電気接続部品100の絶縁部125の層厚(積層方向の幅)tiはti1、導電パターン部120の層厚(積層方向の幅)te=te1とする。なお、本実施形態では、各層110の層厚は等しいので、絶縁部125の層厚(積層方向の幅)ti1と導電パターン部の層厚(積層方向の幅)te1とは等しい(ti=te)。そして、L1=te1(L=te)、S1=ti1(S=ti1)となっている。つまり、L1=te1=S1=ti1となっている。
【0099】
そして、図7(A)と図7(B)とに示すように、非導電性樹脂(NCP〔Non conductive Paste〕)480(図7(B)参照)で、プリント基板600の配線部602に電気接続部品100の側面100Aを接着し、図7(A)に示すように、プリント基板610の配線部612に電気接続部品100の側面100Cを接着する。
【0100】
このとき、プリント基板600の配線部602の電極604の中心位置G、プリント基板610の配線部612の電極614の中心位置G、及び電気接続部品100の導電パターン部120の中心位置Gを一致させるように位置決めして接着することで、プリント基板600の配線部602(電極604)とプリント基板610の配線部612(電極614)とが電気接続部品100によって電気的に接続される(図14も参照)。
【0101】
なお、プリント基板600に対してプリント基板610を斜め、例えば60°に配置される場合は、電気接続部品100の側面100Aと側面100Cとの角度を60°とすることで容易に対応できる。
【0102】
また、電気接続部品100の側面100DにはIC70が実装され、側面100Bには受動部品80が実装されている。
【0103】
なお、プリント基板600、610以外の基板、例えば、フレキシブルケーブル(フレキシブル基板)を、電気接続部品100を用いて電気的に接続することもできる。
【0104】
また、電気接続部品100がプリント基板610を支持する必要がない場合は、電気接続部品100の側面100A,100C(接着面積)を狭くすることができる。つまり、実装スペースが小さくてすむ。
【0105】
逆に、電気接続部品100の側面100A,100C(接着面積)を広くすることで、プリント基板610を電気接続部品100で支持する構造、或いはプリント基板610を支持する構造部材の一つとすることもできる。
【0106】
つぎに、プリント基板600の配線部602とプリント基板610の配線部612とに電気接続部品100を接着させる方法についての一例を、図8を用いて説明する。図8は、プリント基板600の配線602とプリント基板610の配線部612とに電気接続部品100を接着させる部品実装装置460を模式的に示す図である。
【0107】
まず、部品実装装置460の概要について説明する。
【0108】
図8に示すように、部品実装装置460は、上部に上側が開口側とされたV字溝492を備える底盤490と、治具470と、を備えている。
【0109】
治具470の先端のヘッド部471には、下側が開口側とされた(逆)V字溝472が形成されている。また、ヘッド部471の内部は、吸引室474が形成されている。V字溝472の側面には、吸引室474に連通する複数の貫通孔476が形成されている。吸引室474は、図示が省略されている吸引ポンプ(吸引手段)が接続されている。よって、V字溝472に電気接続部品100を吸着し保持させることができるように構成されている。更に、ヘッド部471は、図示が省略されているセラミックヒータ等の加熱手段によって加熱されるように構成されている。
【0110】
つぎに、この部品実装装置460を用いたプリント基板600の配線602とプリント基板610の配線部612とに電気接続部品100を接着させる方法を説明する。
【0111】
まず、部品実装装置460の底盤490のV字溝472にプリント基板600とプリント基板610とをセットする。
【0112】
つぎに、プリント基板600とプリント基板610との接続部位(配線602、612)に、非導電性樹脂(NCP〔Non conductive Paste〕)480を塗布する。
【0113】
治具470の先端のヘッド部471のV字溝472に、電気接続部品100を吸着し保持させる。そして、ヘッド部471を下降させ、プリント基板600とプリント基板610との接続部位にヘッド部471を加熱しながら押圧する。
【0114】
これにより、非導電性樹脂480で、プリント基板600の配線部602とプリント基板610の配線部612とに、電気接続部品100が接着される(図7(B)参照)。
【0115】
なお、非導電性樹脂480は、電極604、614にも塗布されるが、押圧することによって、電極604、614と電気接続部品100の導電パターン部120の端面120A(又はバンプ122)との間から非導電性樹脂480が押し出される。よって、電極604、614と電気接続部品100の導電パターン部120の端面120Aとの間が接触不良となることはない。
【0116】
なお、プリント基板600とプリント基板610との配置角度に応じて、底盤490のV字溝492の角度を変えればよい。
【0117】
そして、この後、電気接続部品100の側面100DにIC70を実装し、側面100Bに受動部品80を実装する。なお、リフローやフリップチップボンディング技術などを用いることによって、電気接続部品100にIC70や受動部品80を実装することができる。
【0118】
また、電気接続部品の形状に応じて治具の先端のヘッド部を構成すればよい。例えば、図1(C)のような三角柱状の電気接続部品101の場合は、図9(A)と図9(B)とに示すように、部品実装装置461の治具475のヘッド部479のように先端面477を平面とし、この先端面477に電気接続部品101を吸着させる構成とすればよい。
【0119】
なお、この場合、図9(C)に示すように、プリント基板600とプリント基板610とを接続し且つ装着した状態で、側面にIC70等を実装することができる。
【0120】
なお、これまで説明したように、プリント基板600とプリント基板610とを電気接続部品100で接続したのち、電気接続部品100にIC70や受動部品80を実装したが、これに限定されない。先に電気接続部品100にIC70や受動部品80を実装したのち、プリント基板600及びプリント基板610を接続してもよい。よってつぎに、電気接続部品100にIC70や受動部品80を実装したのち、プリント基板600とプリント基板610とを接続する方法の一例を説明する。
【0121】
まず、部品実装装置560の概要について図10を用いて説明する。図10は、部品実装装置560の概要を示すと共にプリント基板の接続工程を(A)から(B)へと示す図である。
【0122】
図10に示すように、部品実装装置560は底盤590と、治具570(図10(B)参照)と、を備えている。
【0123】
底盤590の上部側には側面594、596を有する山形状(逆V字形状)部593が形成され且つ、山形状部593の上端部には上側が開口側とされたV字溝592が形成されている。また、底盤590のV溝592の側壁には、IC70や受動部品80が収まる大きさの穴595、596が形成されている。
【0124】
治具570の先端のヘッド部571には、下側が開口側とされた(逆)V字溝572が形成されている。更に、ヘッド部571は、図示が省略されているセラミックヒータ等の加熱手段によって加熱されるように構成されている。
【0125】
図10(A)に示すように、電気接続部品100にIC70や受動部品80を、リフローやフリップチップボンディング技術などを用いて実装する。
【0126】
底盤590のV字溝592の側壁に形成された穴595、593にIC70や受動部品80が収まるように電気接続部品100をV字溝592に装着する。
【0127】
図10(B)に示すように、この図では省略した非導電性樹脂(NCP〔Non conductive Paste〕)を電気接続部品100を塗布したのち、プリント基板600とプリント基板610とを所定の位置に配置し、上部から治具570のヘッド部571を用いてプリント基板600、610を加熱し、接着させる。
【0128】
なお、これまで説明した図8〜図10の部品実装装置460、461、560は一例であって、他の装置や工法で電気接続部品とプリント基板とを接着してもよい。
【0129】
また、これまでは、プリント基板600とプリント基板610との二つのプリント基板とを電気接続部品100で電気的に接続したが、3つ以上のプリント基板を一つの電気接続部品100で接続することも可能である。言い換えると、電気接続部品100を、接続ターミナルとして使用することができる(電気接続部品100を接続ターミナルとして機能させることができる)。
【0130】
また、例えば、図11(A)に示すように、電気接続部品100の側面100Aにプリント基板702とプリント基板704とを接続し、側面100Bにプリント基板706とプリント基板708とを接続させてもよい。
【0131】
或いは、図11(B)に示すように、電気接続部品100の側面100Aにプリント基板702とプリント基板704とを接続し、側面100Cにプリント基板706を接続し、側面100Bにプリント基板708を接続させてもよい。
【0132】
更に、図12(A)に示すように、プリント基板750に複数の電子部品760、762、764、766、768を実装する場合、広い面積が必要となる。
【0133】
これに対して、図12(B)に示すように、電気接続部品105は、導電パターン部120を電子部品760、762、764、766、768が実装可能な複雑な回路構成となっている。なお、電気接続部品107は、積層方向Xの両側面に導電パターン部120が形成されている。そして、小型のプリント基板752に電子部品760、762、764、766、768を実装した電気接続部品105(例えば、ハイブリットICのように)を実装することで、基板面積を狭くすることができる(図12(A)と図12(B)を比較参照)。
【0134】
また、図13(A)のようにプリント基板800とプリント基板810とが大きな段差に隔てられている場合、プリント基板800の接続部802の電極804と、プリント基板810の接続部812の電極814と、をワイヤ−ボンディング820等で接続することが一般的である。
【0135】
これに対して、本発明が適用された電気接続部品100を用いると、図13(B)に示すように、上側のプリント基板811の下面に接続部812の電極814を設ける構成とし、プリント基板800の接続部802とプリント基板811の接続部812との間に電気接続部品100を挿し込むことで、信頼性の高い電気接続が行なえる。つまり、設計の自由度が大きく広がる。
【0136】
更に、図13(C)に示すように、積層方向Xと直交する断面がL字状の電気接続部品107とすることで、図13(A)のようにプリント基板800の上面に接続部802(電極804)がある構成であっても電気的に接続することができる。
【0137】
ここで、上記では、導電パターン部120の端面120Aと絶縁部125の端面125Aとが交互に露出する部位において、図7(B)及び図14に示すように、プリント基板600とプリント基板610とでは、電極幅L、電極隙間S、ピッチPは同じとされている。また、電気接続部品100の絶縁部125(層110)の層厚tiと電極隙間Sとが同じとされ、導電パターン部120の層厚teと電極隙間Sとが同じとされていた。しかし、これに限定されない。
【0138】
よってつぎに、これらが一致しない構成についての例を説明する。なお、本実施形態では、各層110の層厚は等しいので、絶縁部125の層厚(積層方向の幅)tiと導電パターン部125の層厚(積層方向の幅)teとは等しい(ti=te)。
【0139】
図15は、プリント基板601の配線部603の電極613の配列方向の幅である電極幅LはL2とされ、隣接する電極613の隙間である電極隙間SはS2とされている。そして、L2>L1,S2>S1とされている、但し、ピッチPはP1で同じとされている。
【0140】
図15に示ように、このような構成であっても、電気接続部品100でプリント基板601の配線部603の電極613とプリント基板610の配線部612の電極614とを接続することができる。
【0141】
また、図16(A)に示すように、電気接続部品200は、S1>te2、且つ、L1>ti2の関係に設定されている(この設定には各種公差が考慮されている)。このように設定された電気接続部品200を用いると、プリント基板600とプリント基板610との電極ピッチが一致し且つ電極の中心位置Gが一致するように位置が合わされていると、図16(B)に示すように、電気接続部品200の積層方向(配列方向)Xがどの位置であっても、プリント基板600とプリント基板610とが、隣接する電極604同士及び電極614同士でショート(短絡)することなく、電気的に接続される。つまり、電気接続部品200の積層方向(配列方向)Xの位置決めが不要とされる。
【0142】
しかし、S1とte2、及び、L1とti2とが、近い数値の場合、図16(B)に示す120mと120nとのように、接続幅が大きく異なり、その結果、接続抵抗にばらつきが生じてしまう可能性がある。
【0143】
そこで、図17に示す電気接続部品210のように、S1よりもte2を格段に小さくし(格段に幅狭とし)、且つ、L1よりもti2を格段に小さくすると(幅狭とすると)、接続幅のばらつきが抑制され、その結果、接続抵抗のばらつきが抑制される。なお、図17(B)は接続に寄与している導電パターン部120に網点をかけ判りやすく示している(接続に寄与していない導電パターン部120は白抜き、絶縁部125は斜線)。
【0144】
なお、図18に示すように、プリント基板601とプリント基板610との組み合わせであっても、プリント基板601とプリント基板610との電極幅Lのいずれか狭い方の電極幅Ls、本実施形態の場合はLs=L1よりも、絶縁部125(層110)の層厚ti2の方を幅狭とし(Ls>ti)、プリント基板601とプリント基板610との電極隙間Sのいずれか狭い方の電極隙間Ss、本実施形態の場合はSs=S2よりも、導電パターン部120の層厚te2の方を幅狭とすることで(Ss>te)、電気接続部品200の積層方向(配列方向)Sがどの位置であっても、プリント基板601とプリント基板610とが、隣接する電極613同士及び電極614同士でショート(短絡)することなく、プリント基板601とプリント基板610とが電気的に接続される。つまり、電気接続部品210の積層方向(配列方向)Sの位置決めが不要とされる。
【0145】
三つ以上のプリント基板を接続する場合は、最も狭い電極幅を持つ配線部を持つプリント基板の電極幅をLs、最も狭い電極隙間(隣接する電極と隙間)を持つ配線部を持つプリント基板の電極隙間をSsとし、電気接続部品の積層方向における導電パターン部の層厚をte、絶縁部の層厚をtiとすると、
Ls>ti、且つ、Ss>te
の関係に設定すればよい(この設定には各種公差が考慮されている)。
【0146】
つぎに本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0147】
これまで説明したように、本発明の実施形態にかかる電気接続部品100、101、200、210等は、積層方向Xと直交(交差)する側面から露出した導電パターン部120の端面120Aを、電極604、613、614に接触させることによって電極間を電気的に接続する。
【0148】
そして、電極604、613、614のピッチPが微細な微細配線であっても、導電パターン部120のピッチを狭く(微細に)設定することで、微細配線間を電気的に接続可能である。
【0149】
また、電気接続部品100等の側面に、例えば、IC70や受動部品80等の電子部品を実装することができる。よって、3次元的空間利用効率を高めることができる。
【0150】
更に、電気接続部品100等の内部に微細で複雑な回路を形成することができる。
【0151】
したがって、汎用性に優れた電気接続部品とされる。
【0152】
また、例えば、一方のプリント基板600に対して他方のプリント基板610が角度を持って配置されている場合、上記実施形態では、図7に示すように90°に配置されている場合、電気接続部品100、101、200、210の側面間の角度を90°とすることで、容易に接続部間を電気的に接続することができる。
【0153】
更に、図11に示すように、電気接続部品100の異なる側面夫々にプリント基板702、704、706、708を電気的に接続することができる(接続ターミナルとして機能させることができる)。
【0154】
また、図12に示すように、プリント基板750に電気接続部品107を実装し、この電気接続部品107の異なる側面夫々に電子部品760、762、764、766、768の実装することで、プリント基板750の面積を小さくすることができる。
【0155】
また、図13に示すように、プリント基板810、811が、プリント基板800に対して、大きな段差で隔てられている場合であっても、四角柱形状の電気接続部品100や断面L字状の電気接続部品107を用いて電気的に接続することができる。
【0156】
このように、プリント基板を折り曲げたり変形させたりすること無く任意の角度で電気的接続を得ることができる。つまり、基板等に曲げや撓みによる応力などの負荷が殆どかかることがないので、信頼性の高い電気接続が可能とされる。よって、仮に微細配線であっても信頼性の高い電気的接続となる。
【0157】
更に、導電パターン部120の端面120Aと絶縁部125の端面125Aとが交互に露出する部位において、最も狭い電極幅をLs、最も狭い電極隙間をSsとし、導電パターン部120の層厚をte、絶縁部125(層110)の層厚をtiとすると、Ss>te、且つ、Ls>tiの関係に設定することで、電極の幅(配列)方向の中心位置Gが一致するようにプリント基板の位置を合わせれば、電気接続部品200、210は、配列方向(積層方向)Xの位置がどの位置であっても、隣り合う電極と短絡(ショート)することなく、電気的に接続することができる。つまり、電気接続部品200、210の配列方向(積層方向)Xの位置合わせが不要となる。よって、作業効率が向上する(図16、図17、図18を参照)。
【符号の説明】
【0158】
99 部品本体
100 電気接続部品
101 電気接続部品
100A 側面
100B 側面
100C 側面
100D 側面
107 電気接続部品
110 層
120 導電パターン部
120A 導電パターン部の端面
121 パッド
122 バンプ
123 パッド
125 絶縁部
127 パッド
200 電気接続部品
210 電気接続部品
602 配線部(接続部)
603 配線部(接続部)
604 電極
612 配線部(接続部)
613 電極
614 電極
802 接続部
804 電極
812 接続部
814 電極
P ピッチ
X 積層方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電体で構成された導電パターン部と絶縁体で構成された絶縁部とで構成された層を有する積層構造とされ、
前記導電パターン部の端面が、積層方向と交差する側面に一箇所又は複数箇所露出し、
露出した前記導電パターン部の端面が、複数の接続部の電極に接触する電気接続部品。
【請求項2】
連続した二層に前記導電パターン部が形成されると共に、前記連続した二層間で前記導電パターン部が接触している請求項1に記載の電気接続部品。
【請求項3】
積層方向と交差する複数の前記側面の前記導電パターン部の端面に前記接続部の電極が接触する請求項1又は請求項2に記載の電気接続部品。
【請求項4】
積層方向と交差する前記側面から露出した前記導電パターン部の端面から突出するバンプが設けられ、前記バンプが前記電極に接触する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電気接続部品。
【請求項5】
積層方向から交差する複数の前記側面のうち、いずれか一つの前記側面から露出した前記導電パターン部の端面にメッキ電極を接触させて、他の前記側面から露出した前記導電パターン部の端面にメッキを形成し、形成された前記メッキを前記バンプとする請求項4に記載の電気接続部品。
【請求項6】
前記導電パターン部の端面と前記絶縁部の端面とが交互に露出する部位において
複数の前記接続部のうち、最も狭い電極幅を持つ前記接続部の電極幅をLs、最も狭い電極隙間を持つ前記接続部の電極隙間をSsとし、
積層方向に前記導電パターン部の端面と前記絶縁部との端面とが交互に露出する部位における前記導電パターン部の層厚をte、前記絶縁部の層厚をtiとすると、
Ls>ti、且つ、Ss>te
の関係に設定する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電気接続部品。
【請求項7】
前記側面に、複数の前記導電パターン部の端面間を電気的に接続したパッドが設けられている請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電気接続部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−211997(P2010−211997A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54904(P2009−54904)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】