説明

電気自動車の車両構造

【課題】電気自動車の車両構造において、重心を低くし、且つ、ヨー慣性モーメントを低減させるとともに、車両前部の空間のデザイン自由度を向上させる。
【解決手段】エンジン10を、フロントシート54と車両前後方向に関し略同じ位置になるようにフロアパネル50の下方に配置する。ジェネレータ14を、フロアパネル50の下方に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンと該エンジンによって駆動可能な発電機と少なくとも該発電機からの発電電力が供給されて充電されるバッテリと該バッテリから電力が供給されて駆動輪を駆動させるモータとを備えている電気自動車の車両構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジンと、このエンジンによって駆動可能な発電機と、少なくとも発電機からの発電電力が供給されて充電されるバッテリと、このバッテリから電力が供給されて駆動輪を駆動させるモータとを備えている電気自動車が従来技術として知られている。
【0003】
特許文献1のものでは、エンジンルームにおいて、エンジンの近傍に電気モータを配置するとともに、後席の下に電気モータの電力供給源としてのバッテリを配置し、運転席と助手席との下方で且つ床下に燃料タンクを配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−51943号公報(図10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電気自動車として、近距離走行時に、外部電力が供給されて充電されたバッテリの電力を、モータに供給して駆動輪を駆動させる一方、遠距離走行時に、エンジンによって発電機を駆動してその発電電力をバッテリに供給して充電して、その充電されたバッテリの電力をモータに供給して駆動輪を駆動させるプラグインハイブリッド車が知られている。このプラグインハイブリッド車では、上述の如く、エンジンを駆動するのは、基本的に、遠距離走行時のみであるため、エンジンを小型化することが可能である。
【0006】
ここで、電気自動車、特に、エンジンが小型化したプラグインハイブリッド車において、エンジンや発電機の配置を工夫して、重心を低くし、且つ、ヨー慣性モーメントを低減させるとともに、車両前部の空間(例えば、ダッシュパネルによって車室と仕切られた、ダッシュパネルの車両前方空間)をトランクルームとして使用可能にするなど、車両前部の空間のデザイン自由度を向上させたい。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エンジンと該エンジンによって駆動可能な発電機と少なくとも該発電機からの発電電力が供給されて充電されるバッテリと該バッテリから電力が供給されて駆動輪を駆動させるモータとを備えている電気自動車の車両構造において、重心を低くし、且つ、ヨー慣性モーメントを低減させるとともに、車両前部の空間のデザイン自由度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、エンジンと該エンジンによって駆動可能な発電機と少なくとも該発電機からの発電電力が供給されて充電されるバッテリと該バッテリから電力が供給されて駆動輪を駆動させるモータとを備えている電気自動車の車両構造であって、上記エンジンは、フロアパネル上に設けられたシートと車両前後方向に関し略同じ位置になるように上記フロアパネルの下方に配置されており、上記発電機は、上記フロアパネルの下方に配置されていることを特徴とするものである。
【0009】
これによれば、エンジンを、フロアパネル上に設けられたシートと車両前後方向に関し略同じ位置になるようにフロアパネルの下方に配置しているので、比較的重量のあるエンジンが車両の前後方向中央部に配置されることになり、重心を低くするとともに、ヨー慣性モーメントを低減させることができる。
【0010】
また、エンジン及び発電機をフロアパネルの下方に配置しているので、エンジン及び発電機が車両前部の空間外に配置されることになり、車両前部の空間をトランクルームとして使用可能になるなど、車両前部の空間のデザイン自由度を向上させることができる。
【0011】
以上により、重心を低くし、且つ、ヨー慣性モーメントを低減させるとともに、車両前部の空間のデザイン自由度を向上させることができる。
【0012】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記エンジンは、上記フロアパネルの車幅方向中央部の下方に配置されていることを特徴とするものである。
【0013】
これによれば、エンジンをフロアパネルの車幅方向中央部の下方に配置しているので、比較的重量のあるエンジンが車両の車幅方向中央部に配置されることになり、重量や走行、操縦などの安定性を向上させることができる。
【0014】
第3の発明は、上記第1又は2の発明において、上記エンジンは、上記フロアパネルの上記シートに対応する部分に上方に膨出するように形成された膨出部内に配置されていることを特徴とするものである。
【0015】
これによれば、エンジンを、フロアパネルのシートに対応する部分に上方に膨出するように形成された膨出部内に配置しているので、シートの下方空間を有効利用することができる。
【0016】
第4の発明は、上記第1〜3のいずれかの発明において、上記発電機は、上記エンジンの車幅方向一方側に配置されていることを特徴とするものである。
【0017】
これによれば、発電機をエンジンの車幅方向一方側に配置しているので、エンジン及び発電機を近接配置することが可能になる。
【0018】
第5の発明は、上記第1〜4のいずれか1つの発明において、上記エンジン及び上記発電機よりも車両前方において、少なくとも一部が、上記フロアパネルの下方におけるダッシュパネルよりも車両後方に位置するように配置された上記エンジン用の燃料タンクをさらに備えていることを特徴とするものである。
【0019】
エンジンが小型化したプラグインハイブリッド車では、エンジン用の燃料タンクを小型化することが可能である。そして、燃料タンクを小型化した場合、本発明のように、燃料タンクを、エンジン及び発電機よりも車両前方において、少なくとも一部が、フロアパネルの下方におけるダッシュパネルよりも車両後方に位置するように配置することができる。
【0020】
第6の発明は、上記第5の発明において、上記燃料タンクは、上記ダッシュパネルの車両前方に車幅方向に延びるように設けられたダッシュクロスメンバの下方において該ダッシュクロスメンバに支持されていることを特徴とするものである。
【0021】
これによれば、燃料タンクを、ダッシュパネルの車両前方に車幅方向に延びるように設けられたダッシュクロスメンバの下方において該ダッシュクロスメンバに支持しているので、既存のダッシュクロスメンバによって燃料タンクを支持することができ、部材点数が増加するのを抑制することができる。
【0022】
第7の発明は、上記第1〜6のいずれか1つの発明において、上記フロアパネルの上記シートに対応する部分は、その車両前方側の部分が後方側の部分よりも上面の高さが高くなるように形成されており、上記エンジンは、その駆動軸が、上下方向を向き且つ上記フロアパネルの上記シートに対応する部分における車両前方側の部分の下方に位置するように配置されており、上記発電機は、その回転軸が上下方向に向くように配置されていることを特徴とするものである。
【0023】
これによれば、フロアパネルのシートに対応する部分を、その車両前方側の部分が後方側の部分よりも上面の高さが高くなるように形成しているので、そのシートがフロントシートである場合、上面の高さが比較的低い、フロアパネルのシートに対応する部分における車両後方側の部分によって、リアシートに着座した乗員の足元スペースを確保することができる。
【0024】
第8の発明は、上記第1〜7のいずれか1つの発明において、上記エンジン及び上記発電機は、サブフレームに取り付けられており、上記エンジン及び上記発電機が取り付けられた上記サブフレームは、上記フロアパネルの下方に車両前後方向に延びるように設けられた左右のサイドフレームに取り付けられていることを特徴とするものである。
【0025】
これによれば、エンジン及び発電機が取り付けられたサブフレームを、フロアパネルの下方に車両前後方向に延びるように設けられた左右のサイドフレームに取り付けているので、オフセット前面衝突時に一方のサイドフレームに加わった衝撃荷重をサブフレームを介して他方のサイドフレームに伝達することができ、オフセット前面衝突時にその衝撃荷重を分散させることができる。
【0026】
第9の発明は、上記第1〜8のいずれか1つの発明において、上記エンジンは、フロアパネル上に設けられたフロントシートと車両前後方向に関し略同じ位置に配置されており、上記バッテリは、上記フロントシートの車両後方において上記フロアパネル上に設けられたリアシートの下方に配置されていることを特徴とするものである。
【0027】
燃料タンクを、該燃料タンクが通常配置されるリアシートの下方以外の部分に配置した場合、本発明のように、バッテリをリアシートの下方に配置することができる。
【0028】
第10の発明は、上記第9の発明において、上記バッテリは、その車両前方において車幅方向に延びるように設けられた第1クロスメンバと、上記バッテリの車両後方において車幅方向に延びるように設けられた第2クロスメンバとに支持されていることを特徴とするものである。
【0029】
これによれば、バッテリを、その車両前方において車幅方向に延びるように設けられた第1クロスメンバと、バッテリの車両後方において車幅方向に延びるように設けられた第2クロスメンバとに支持しているので、比較的高剛性の第1及び第2クロスメンバによってバッテリを安定支持することができる。
【0030】
第11の発明は、エンジンと該エンジンによって駆動可能な発電機と少なくとも該発電機からの発電電力が供給されて充電されるバッテリと該バッテリから電力が供給されて駆動輪を駆動させるモータとを備えている電気自動車の車両構造であって、上記エンジンは、車両の前後方向中央部においてフロアパネルの下方に配置されており、上記発電機は、上記フロアパネルの下方に配置されていることを特徴とするものである。
【0031】
これによれば、エンジンを、車両の前後方向中央部においてフロアパネルの下方に配置しているので、比較的重量のあるエンジンが車両の前後方向中央部に配置されることになり、重心を低くするとともに、ヨー慣性モーメントを低減させることができる。
【0032】
また、エンジン及び発電機をフロアパネルの下方に配置しているので、エンジン及び発電機が車両前部の空間外に配置されることになり、車両前部の空間をトランクルームとして使用可能になるなど、車両前部の空間のデザイン自由度を向上させることができる。
【0033】
以上により、重心を低くし、且つ、ヨー慣性モーメントを低減させるとともに、車両前部の空間のデザイン自由度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、エンジンを、フロアパネル上に設けられたシートと車両前後方向に関し略同じ位置になるようにフロアパネルの下方に配置しているので、比較的重量のあるエンジンが車両の前後方向中央部に配置されることになり、重心を低くするとともに、ヨー慣性モーメントを低減させることができ、また、エンジン及び発電機をフロアパネルの下方に配置しているので、エンジン及び発電機が車両前部の空間外に配置されることになり、車両前部の空間をトランクルームとして使用可能になるなど、車両前部の空間のデザイン自由度を向上させることができ、以上により、重心を低くし、且つ、ヨー慣性モーメントを低減させるとともに、車両前部の空間のデザイン自由度を向上させることができる。
【0035】
別の発明によれば、エンジンを、車両の前後方向中央部においてフロアパネルの下方に配置しているので、比較的重量のあるエンジンが車両の前後方向中央部に配置されることになり、重心を低くするとともに、ヨー慣性モーメントを低減させることができ、また、エンジン及び発電機をフロアパネルの下方に配置しているので、エンジン及び発電機が車両前部の空間外に配置されることになり、車両前部の空間をトランクルームとして使用可能になるなど、車両前部の空間のデザイン自由度を向上させることができ、以上により、重心を低くし、且つ、ヨー慣性モーメントを低減させるとともに、車両前部の空間のデザイン自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係る電気自動車の駆動系を模式的に示すブロック図である。
【図2】電気自動車の全体構造を示す概略側面図である。
【図3】電気自動車の全体構造を示す概略平面図である。
【図4】フロアトンネルの構造を示す概略斜視図である。
【図5】バッテリのNo.3及びNo.4クロスメンバへの支持構造を示す概略底面図である。
【図6】燃料タンクのダッシュクロスメンバへの支持構造を示す概略正面図である。
【図7】燃料タンクのダッシュクロスメンバへの支持構造を示す概略側面図である。
【図8】図3のVIII−VIII線矢視断面図である。
【図9】図3のIX−IX線矢視断面図である。
【図10】図3のX−X線矢視断面図である。
【図11】エンジン及びジェネレータのサブフレームへの取付構造を示す概略分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0038】
−電気自動車の駆動系の構成−
図1は、エンジン搭載の電気自動車の駆動系を模式的に示すブロック図であり、この電気自動車(以下、車両とも言う)1は、近距離走行時(例えば50km以下の走行時)には、家庭用電源など外部電源からの外部電力が供給されて充電されたバッテリ12の電力を、モータ16に供給して駆動輪を駆動させる一方、遠距離走行時には、エンジン10によってジェネレータ(発電機)14を駆動してその発電電力をバッテリ12に供給して充電して、その充電されたバッテリ12の電力をモータ16に供給して駆動輪を駆動させるプラグインハイブリッド車である。このプラグインハイブリッド車は、上述の如く、エンジン10及びモータ16を動力源として備え、このエンジン10は発電にのみ使用して、車両1が動くための動力は全てモータ16に頼っているシリーズ式ハイブリッド車である。
【0039】
上記エンジン10は、1気筒(以下、シリンダとも言う)の小型レシプロエンジンである。このレシプロエンジンでは、該エンジン用の燃料タンク18から供給される燃料(例えばガソリン)を燃焼室で燃焼させて得られたエネルギーでシリンダ内部のピストンを上下させ、それをコンロッドとクランク軸10a(駆動軸。図2等に図示)によって回転運動に置き換えるようになっている。また、上記気筒には、吸気通路(吸気管)20(図2等に図示)及び排気通路(排気管)22(図3等に図示)が連通している。吸気通路20には、吸入空気中の異物やホコリを除去するためにフィルタを用いたエアクリーナ20aが設けられている。排気通路22には、排気ガス中のHCやCO、NOなどの有害成分を浄化するために三元触媒を用いた排気浄化装置22aが設けられているとともに、この排気浄化装置22aの下流側には、排気ガスの爆発音のエネルギーの圧力変動を打ち消し、吸収させて音を静かにするマフラー22bが設けられている。そして、エンジン10は、バッテリ12の残量が少なくなったとき(例えばバッテリ12の充電率SOCが30%以下になったとき)に自動運転されるようになっている。尚、上述の如く、エンジン10が小型化したため、燃料タンク18やエアクリーナ20aなども小型化している。
【0040】
上記バッテリ12は、大容量化した大型・高性能のものであって、ジェネレータ14及びモータ16にそれぞれ、インバータ24を介して接続されていて、ジェネレータ14からの発電電力及びモータ16からの回生電力が供給されて充電される。そして、バッテリ12は、その電力をモータ16に供給して駆動させる。また、バッテリ12は、車両1の非使用時には、外部電源からの外部電力が供給・充電可能になっている。
【0041】
上記ジェネレータ14は、その回転軸(入力軸)14a(図2等に図示)がエンジン10のクランク軸10aに連結されていて、エンジン10によって駆動可能になっている。
【0042】
上記モータ16は、左後輪用モータ16a(図2等に図示)と右後輪用モータ16b(図3に図示)とからなる。左後輪用モータ16aは、その回転軸(出力軸)が上記駆動輪としての左後輪26にファイナルギヤ30及び駆動軸(ドライブシャフト)32を介して連結されていて、バッテリ12及び/又はジェネレータ14から電力が供給されて左後輪26を駆動させる。右後輪用モータ16bは、その回転軸が上記駆動輪としての右後輪28にファイナルギヤ30及び駆動軸32を介して連結されていて、バッテリ12及び/又はジェネレータ14から電力が供給されて右後輪28を駆動させる。ファイナルギヤ30は、モータ16a,16bの回転速度を最終的に減速して該モータ16a,16bの動力を後輪26,28に伝達する。
【0043】
上記インバータ24は、交流電力を直流電力に変換するAC−DCコンバータ(発電機14用のインバータ)24aと直流電力を交流電力に変換するDC−ACコンバータ(モータ16用のインバータ)24bとが一体化してなるものであって、バッテリ12、ジェネレータ14及びモータ16相互間の電力の授受及び変換を行う。具体的には、バッテリ12をジェネレータ14からの電力で充電するときには、ジェネレータ14からの交流電力をAC−DCコンバータ24aによって直流電力に変換してバッテリ12に供給する。また、バッテリ12の電力をモータ16に供給するときには、バッテリ12からの直流電力をDC−ACコンバータ24bによって交流電力に変換してモータ16に供給する。さらに、ジェネレータ14からの電力をモータ16に供給するときには、ジェネレータ14からの交流電力をAC−DCコンバータ24aによって直流電力に変換した後、その直流電力をDC−ACコンバータ24bによって交流電力に変換してモータ16に供給する。
【0044】
−電気自動車の全体構造−
以下、電気自動車1の全体構造について説明する。図2は、電気自動車の全体構造を示す概略側面図、図3は、電気自動車の全体構造を示す概略平面図、図4は、フロアトンネルの構造を示す概略斜視図、図5は、バッテリのNo.3及びNo.4クロスメンバへの支持構造を示す概略底面図、図6は、燃料タンクのダッシュクロスメンバへの支持構造を示す概略正面図、図7は、燃料タンクのダッシュクロスメンバへの支持構造を示す概略側面図、図8は、図3のVIII−VIII線矢視断面図、図9は、図3のIX−IX線矢視断面図、図10は、図3のX−X線矢視断面図、図11は、エンジン及びジェネレータのサブフレームへの取付構造を示す概略分解斜視図である。尚、これらの図では、図を見易くするため、部材の図示省略や簡略化などを適宜行っている。
【0045】
まず、車体構造について説明する。
【0046】
車両1前部には、ダッシュパネル40によって車室42と仕切られた、該ダッシュパネル40の車両前方空間(車両1前部の空間)としてのトランクルーム44が設けられている。このトラックルーム44の後部左方には、スペアタイヤSが収容されている。
【0047】
トランクルーム44の車幅方向両側には、左右のフロントサイドフレーム46,48が車両前後方向に延びるようにそれぞれ配置されている。これらのフロントサイドフレーム46,48は、ダッシュパネル40の車両前方において車両前後方向に延びる第1水平部46a,48aと、この第1水平部46a,48aの後端から後述するダッシュロア40aの傾斜壁部40dの前面に沿うように斜め下後方に延びる傾斜部46b,48bと、この傾斜部46b,48bの後端から車室42の底面を形成するフロアパネル50の下面に沿うように車両後方に延びる第2水平部46c,48cとを有している。
【0048】
上記ダッシュパネル40は、フロアパネル50の前端から上方に起立し、車幅方向に延びるダッシュロア40aと、このダッシュロア40の上端から上方に延びるダッシュアッパ40bとを有している。ダッシュロア40aは、上下方向に延びる縦壁部40cと、この縦壁部40cの下端から斜め下後方に延びてフロアパネル50の前端に連結する傾斜壁部40dとを有している。縦壁部40cの下端部の前面には、車幅方向に延びてフロントサイドフレーム46,48の第1水平部46a,48aの各後端部に連結されるダッシュクロスメンバ40eが設けられている。ダッシュアッパ40bには、フードとフロントウインドシールドとの間において上方に向かって開口するカウルパネル52が車幅方向に延びるように設けられている。
【0049】
上記フロアパネル50の前部上には、運転席54aと助手席54bとが車幅方向に間隔を開けて並んでなるフロントシート54が設けられている。フロアパネル50の車幅方向両側には、車室42の横(ドアの下)において左右のサイドシル56,58が車両前後方向に延びるようにそれぞれ配置されている。これらのサイドシル56,58は、その前端がフロントサイドフレーム46,48の傾斜部46b,48b及び第2水平部46c,48cの接続部に車幅方向に延びる連結部材60,60を介して連結されている。
【0050】
フロアパネル50の下面には、各サイドシル56,58の車幅方向内方において左右のBフレーム62,64(請求項8の「サイドフレーム」に相当)が車両前後方向に延びるようにそれぞれ設けられている。これらのBフレーム62,64は、フロアパネル50の剛性を向上させるものであって、その前端がフロントサイドフレーム46,48の第2水平部46c,48cの後端に連結されているとともに、その前端部がサイドシル56,58の前端部に車幅方向に延びる前方連結部材66,66を介して連結されている一方、その後端部がサイドシル56,58の後端部に車幅方向に延びる後方連結部材68,68を介して連結されている。また、Bフレーム62,64は、後述するフロアトンネル50aの中央トンネル部50c内においてその側壁部50e内面に沿って延びている。
【0051】
フロアパネル50の車幅方向中央部には、フロアトンネル50aが上方に膨出(隆起)するように断面略台形状に形成されている。このフロアトンネル50aは、各Bフレーム62,64の間においてダッシュロア40aから車室42内を車両後方に延びる前方トンネル部50bと、この前方トンネル部50bの後端から車室42内を車両後方に延び、該前方トンネル部50bよりも車幅方向長さが長い中央トンネル部50c(膨出部)と、各Bフレーム62,64の間において中央トンネル部50cの車幅方向中央部の後端から車室42内を車両後方に延びて後述するキックアップ部50iに達し、前方トンネル部50bと車幅方向長さが略同じである後方トンネル部50dとからなる。前方トンネル部50bの前部は、その上壁部50f上面が略水平に延びるように形成されている一方、後部は、車両後方に行くに従って上壁部50f上面の高さが高くなるように形成されている。中央トンネル部50cは、フロアパネル50のフロントシート54に対応する部分に、車幅方向に関しては運転席54aの車幅方向中央部の位置から助手席54bの車幅方向中央部の位置に亘って、車両前後方向に関してはBフレーム62,64の前端位置から後端位置に亘って設けられている。中央トンネル部50cは、その車両前方側の部分が後方側の部分よりも上壁部50g上面の高さが高くなるように形成されている。後方トンネル部50dは、車両後方に行くに従って上壁部50h上面の高さが低くなるように形成されている。そして、前方トンネル部50b、中央トンネル部50c及び後方トンネル部50dは、その上壁部50f〜50h上面が連続面になるように形成されている。
【0052】
フロアパネル50の車両前後方向中央部の車両後方寄りには、キックアップ部50iが上方に立ち上がるように形成されており、このキックアップ部50iの上端から車両後方に延びるようにリアフロアパネル50jが形成されている。このリアフロアパネル50jの前部上には、ベンチタイプのリアシート70が設けられている。また、リアフロアパネル50jのリアシート70の車両後方には、荷室フロア50kが形成されている。つまり、この荷室フロア50kが、リアフロアパネル50jの後部を構成している。
【0053】
リアフロアパネル50jの車幅方向両端部の下面には、左右のリアサイドフレーム72,74が車両前後方向に延びるようにそれぞれ設けられている。これらのリアサイドフレーム72,74は、車両後方に行くに従って上方に傾斜する傾斜部72a,74aと、この傾斜部72a,74aの後端から車両後方に延びる水平部72b,74bとを有している。傾斜部72a,74aは、その前端がサイドシル56,58の後端に連結されている。
【0054】
上記キックアップ部50eの後面には、リアフロアパネル50fの前端部の下方において車幅方向に延びてリアサイドフレーム72,74の各前端部に連結されるNo.3クロスメンバ76(第1クロスメンバ)が設けられている。上記リアフロアパネル50jの車両前後方向中央部の下面には、No.3クロスメンバ76の車両後方において車幅方向に延びてリアサイドフレーム72,74の各車両前後方向中央部(各リアサイドフレーム72,74における傾斜部72a,74a及び水平部72b,74bの接続部)に連結されるNo.4クロスメンバ78(第2クロスメンバ)が設けられている。このNo.4クロスメンバ78の下面は、No.3クロスメンバ76の下面よりも高さが高い。
【0055】
上記後輪26,28には、左右のトレーリングアーム80a,80bをクロスビーム80cと呼ばれる梁で繋いだ形式のトーションビーム式サスペンション80が採用されている。クロスビーム80cは、車両側面視で後輪26,28の中心にある車輪軸よりも車両前方で且つ該後輪26,28の前端よりも車両後方に位置するように、リアフロアパネル50jの車両前後方向中央部の下方(No.4クロスメンバ78の下方)に車幅方向に延びるように配置されている。つまり、このクロスビーム80cは、左右の後輪26,28を連結する、サスペンション80の一部を構成する連結部材を構成している。
【0056】
次に、エンジン10やジェネレータ14などの配置構造について説明する。
【0057】
上記エンジン10は、フロントシート54と車両前後方向に関し略同じ位置(本実施形態では、フロアパネル50の下方における運転席54a及び助手席54bの間)になり且つクランク軸10aが上下方向に延びるようにフロアパネル50の車幅方向中央部の下方に配置されている。つまり、エンジン10は、車両1の前後方向中央部においてフロアパネル50の下方に設けられている。詳細には、エンジン10は、フロアトンネル50aの幅広の中央トンネル部50c内の車幅方向中央部に、シリンダヘッド側が車両後方を、吸気側が車両右方を向き且つクランク軸10aが該中央トンネル部50cの高床の車両前方側の部分に位置するように配置されている。
【0058】
上記バッテリ12は、リアフロアパネル50jの前部の下方に配置されている。つまり、バッテリ12は、リアシート70の下方に設けられている。また、バッテリ12は、その車両前方近傍に設けられたNo.3クロスメンバ76と、該バッテリ12の車両後方に設けられたNo.4クロスメンバ78とに支持されている。具体的には、バッテリ12は、No.3クロスメンバ76の下面とNo.4クロスメンバ78の下面との間に車幅方向に間隔を開けて架設された2つの帯状部材82,82によって下方支持されている。
【0059】
上記ジェネレータ14は、フロアパネル50の下方におけるエンジン10前部の車両左方に回転軸14aが、上下方向に延び且つエンジン10のクランク軸10aと車幅方向に並ぶように該エンジン10と近接配置されている。つまり、ジェネレータ14は、フロアトンネル50aの中央トンネル部50c内にエンジン10と車幅方向に並んで設けられている。ジェネレータ14の回転軸14aは、エンジン10のクランク軸10aにギヤ34を介して並列連結されている。このギヤ34は、エンジン10及びジェネレータ14の上面側に配置されている。そして、ジェネレータ14は、エンジン10の前部左方に一体的に結合され、これにより、エンジン10及びジェネレータ14は、アセンブリーになっている。
【0060】
上記左後輪用モータ16aは、ファイナルギヤ30と一体的に結合されていて、荷室フロア50kの前部左方の下方に回転軸が車幅方向に延びるように配置されている。上記右後輪用モータ16bは、ファイナルギヤ30と一体的に結合されていて、荷室フロア50kの前部右方の下方に回転軸が車幅方向に延びるように配置されている。つまり、左後輪用モータ16a及び右後輪用モータ16bは、クロスビーム80cよりも車両後方において車幅方向に並んで配設されている。
【0061】
上記燃料タンク18は、エンジン10及びジェネレータ14よりも車両前方において、後部がフロアパネル50の下方におけるダッシュパネル40よりも車両後方に位置するように配置されている。つまり、燃料タンク18は、その後部が前方トンネル部50b内に設けられている。また、燃料タンク18は、ダッシュクロスメンバ40eの下方において該ダッシュクロスメンバ40eに支持されている。具体的には、燃料タンク18は、その前部がダッシュクロスメンバ40eの車幅方向中央部に吊り下げられた略U字状の帯状部材84によって抱え込まれて支持されている一方、その後部がBフレーム62,64の各前端部の間に架設された略平板状の帯状部材86によって下方支持されている。また、燃料タンク18の給油管18aは、該燃料タンク18の前端部から車両右方に延びており、その給油口18bは、右フロントフェンダーに開口している。
【0062】
上記吸気通路20は、エンジン10からフロアトンネル50a内を通ってカウルパネル52に達しており、その吸気口20bは、該カウルパネル52に車外側に向かって開口している。詳細には、吸気通路20は、エンジン10の後部右方から車両右方に延びて後述するサブフレーム90の右側方フレーム90bの車両左方位置に達した後、車両左前方に延びてエンジン10及び燃料タンク18の間の位置に達し、その後、燃料タンク18と前方トンネル部50bの上壁部50fとの間を通って車両前方に延びてダッシュパネル40の車両前方位置に達している。次に、吸気通路20は、ダッシュパネル40の車両前方を通って(ダッシュパネル40の前面に沿って)右斜め上に延びてカウルパネル52に達している。そして、吸気通路20は、カウルパネル52内に取り込まれた外気をエンジン10内に取り入れる。上記エアクリーナ20aは、フロアパネル50の下方におけるエンジン10後部の車両右方に配置されている。
【0063】
上記排気通路22は、フロアパネル50の下方においてエンジン10から車両後方に延びている。詳細には、排気通路22は、エンジン10の後部左方から中央トンネル部50c内を通って車両右方に湾曲して該中央トンネル部50c内の車幅方向中央位置に達した後、サブフレーム90の後方フレーム90dの上方及び後方トンネル部50d内を通って車両後方に延びてバッテリ12の下方位置に達し、その後、車両右方に延びてインバータ24の下方位置に達している。次に、排気通路22は、車両後方に延びて右後輪28の駆動軸32の車両後方位置に達した後、車両左方に延びて左後輪26の駆動軸32の車両後方位置に達し、その後、車両後方に延びている。上記排気浄化装置22aは、フロアパネル50の下方におけるサブフレーム90の後方フレーム90dとバッテリ12との間に配置されている。上記マフラー22bは、荷室フロア50kの後部の下方における右後輪用モータ16bの車両後方に配置されている。上記インバータ24は、リアフロアパネル50jの前部左方の下方におけるバッテリ12の車両右方に該バッテリ12と近接配置されている。
【0064】
以上のように、エンジン10、ジェネレータ14及び燃料タンク18からなる発電ユニットは車両1中央部に、バッテリ12、モータ16及びインバータ24からなる電気駆動ユニットは車両1後部に分割配置されている。これにより、ハーネスや配管を簡素化することができるとともに、車両1の重量配分を適正化することができる。
【0065】
また、エンジン10及びジェネレータ14は、平面視で略矩形枠状のサブフレーム90に取り付けられている。以下、この取付の詳細について説明する。
【0066】
サブフレーム90は、車両前後方向に延びる左右の側方フレーム90a,90bと、車幅方向に延びて側方フレーム90a,90bの各前端部に結合される前方フレーム90cと、この前方フレーム90cの車両後方において前方フレーム90cと平行に延びて側方フレーム90a,90bの各後端部に結合される後方フレーム90dとを有している。側方フレーム90a,90b及び前方フレーム90cは、一体となっている。側方フレーム90a,90bは、その後端部の上面が下方に窪んでおり、この窪み部の上面には、後方フレーム90dが締結部材90eによって締結固定されている。側方フレーム90a,90bは、Bフレーム62,64と長さが略同じである。前方及び後方フレーム90c,90dは、その長さがBフレーム62,64間の間隔と略同じである。サブフレーム90は、その四隅部のうち車両前方側の2つの隅部が該サブフレーム90の内方に張り出しており、この左右の張り出し部90f,90gが略三角形状になるように形成されている。
【0067】
そして、一体的に結合されたエンジン10及びジェネレータ14は、該エンジン10の前部右方に設けられたブラケット10b及びマウントラバー92を介して右張り出し部90gの上面に、該エンジン10の後部右方に設けられたブラケット10c及びマウントラバー92を介して後方フレーム90dの右部の上面に、該ジェネレータ14の車両左前方側に設けられたブラケット14b及びマウントラバー92を介して左張り出し部90fの上面に弾性支持されている。
【0068】
また、エンジン10及びジェネレータ14が取り付けられたサブフレーム90は、Bフレーム62,64の下面に取り付けられている。つまり、エンジン10及びジェネレータ14をサブフレーム90に取り付けた後、エンジン10及びジェネレータ14を取り付けたサブフレーム90をBフレーム62,64に取り付けている。詳細には、サブフレーム90は、その側方フレーム90a,90bがそれぞれBフレーム62,64に沿うように、四隅部のうち車両前方側の2つの隅部がそれぞれBフレーム62,64の前端部の下面に、車両後方側の2つ隅部がそれぞれBフレーム62,64の後端部の下面に締結部材94によって締結固定されている。このように、エンジン10及びジェネレータ14を取り付けたサブフレーム90をBフレーム62,64に取り付けることにより、エンジン10及びジェネレータ14は、上述の如く、フロアトンネル50aの中央トンネル部50c内に配置される。また、前方及び後方フレーム90c,90dは、車両1側突時にその衝撃荷重を受ける部材として機能する。つまり、前方及び後方フレーム90c,90dは、車体のクロスメンバを兼ねる。
【0069】
以上のように、エンジン10やジェネレータ14などは、車体に取付支持されている。
【0070】
−効果−
以上により、本実施形態によれば、エンジン10を、フロアパネル50上に設けられたフロントシート54と車両前後方向に関し略同じ位置(即ち、車両1の前後方向中央部においてフロアパネル50の下方)になるようにフロアパネル50の下方に配置しているので、比較的重量のあるエンジン10が車両1の前後方向中央部に配置されることになり、重心を低くするとともに、ヨー慣性モーメントを低減させることができる。
【0071】
また、エンジン10及びジェネレータ14をフロアパネル50の下方に配置しているので、エンジン10及びジェネレータ14が車両1前部の空間外に配置されることになり、本実施形態のように、車両1前部の空間をトランクルーム44として使用可能になるなど、車両1前部の空間のデザイン自由度を向上させることができる。
【0072】
以上により、重心を低くし、且つ、ヨー慣性モーメントを低減させるとともに、車両1前部の空間のデザイン自由度を向上させることができる。
【0073】
また、エンジン10をフロアパネル50の車幅方向中央部の下方に配置しているので、比較的重量のあるエンジン10が車両1の車幅方向中央部に配置されることになり、重量や走行、操縦などの安定性を向上させることができる。
【0074】
さらに、エンジン10を、フロアパネル50のフロントシート54に対応する部分に上方に膨出するように形成された中央トンネル部50c内に配置しているので、フロントシート54の下方空間を有効利用することができる。
【0075】
さらにまた、ジェネレータ14をエンジン10の車幅方向一方側に配置しているので、本実施形態のように、エンジン10及びジェネレータ14を近接配置することが可能になる。
【0076】
また、エンジン10が小型化したプラグインハイブリッド車では、エンジン10用の燃料タンク18を小型化することが可能である。そして、本実施形態のように、燃料タンク18を小型化した場合、燃料タンク18を、エンジン10及びジェネレータ14よりも車両前方において、一部が、フロアパネル50の下方におけるダッシュパネル40よりも車両後方に位置するように配置することができる。
【0077】
さらに、燃料タンク18を、ダッシュパネル40の車両前方に車幅方向に延びるように設けられたダッシュクロスメンバ40eの下方において該ダッシュクロスメンバ40eに支持しているので、既存のダッシュクロスメンバ40eによって燃料タンク18を支持することができ、部材点数が増加するのを抑制することができる。
【0078】
さらにまた、フロアパネル50のフロントシート54に対応する部分(即ち、中央トンネル部50c)を、その車両前方側の部分が後方側の部分よりも上面の高さが高くなるように形成しているので、上面の高さが比較的低い、フロアパネル50のフロントシート54に対応する部分における車両後方側の部分によって、リアシート70に着座した乗員の足元スペースを確保することができる。
【0079】
また、エンジン10及びジェネレータ14が取り付けられたサブフレーム90を、フロアパネル50の下方に車両前後方向に延びるように設けられた左右のBフレーム62,64に取り付けているので、オフセット前面衝突時に一方のBフレーム62(又は64)に加わった衝撃荷重をサブフレーム90を介して他方のサイドフレーム64(又は62)に伝達することができ、オフセット前面衝突時にその衝撃荷重を分散させることができる。
【0080】
さらに、燃料タンク18を、該燃料タンク18が通常配置されるリアシート70の下方以外の部分に配置しているので、バッテリ12をリアシート70の下方に配置することができる。
【0081】
さらにまた、バッテリ12を、その車両前方において車幅方向に延びるように設けられたNo.3クロスメンバ76と、バッテリ12の車両後方において車幅方向に延びるように設けられたNo.4クロスメンバ78とに支持しているので、比較的高剛性のNo.3及びNo.4クロスメンバ76,78によってバッテリ12を安定支持することができる。
【0082】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、燃料タンク18は、その後部がフロアパネル50の下方におけるダッシュパネル40よりも車両後方に位置するように配置されているが、少なくとも一部がフロアパネル50の下方におけるダッシュパネル40よりも車両後方に位置するように配置されればよく、例えば、全部がフロアパネル50の下方におけるダッシュパネル40よりも車両後方に位置するように配置されてもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、バッテリ12は、フロアパネル50の下方で且つリアシート70の下方に配置されているが、これに限らず、例えば、フロアパネル50の上方で且つリアシート70の下方に配置されてもよい。
【0084】
さらに、上記実施形態では、エンジン10は、1気筒のレシプロエンジンであるが、これに限らず、例えば、2気筒のレシプロエンジンであってもよく、また、1ローターのロータリーエンジンであってもよい。このロータリーエンジンは、駆動軸としてエキセントリックシャフトを有している。
【0085】
さらにまた、上記実施形態では、エンジン10のクランク軸10aとジェネレータ14の回転軸14aとをギヤ34を介して連結しているが、これに限らず、例えば、チェーンやベルトなどを介して連結してもよい。
【0086】
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0087】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上説明したように、本発明にかかる電気自動車の車両構造は、重心を低くし、且つ、ヨー慣性モーメントを低減させるとともに、車両前部の空間のデザイン自由度を向上させることが必要な用途等に適用できる。
【符号の説明】
【0089】
1 電気自動車
10 エンジン
10a クランク軸(駆動軸)
12 バッテリ
14 ジェネレータ(発電機)
14a 回転軸
18 燃料タンク
40 ダッシュパネル
40e ダッシュクロスメンバ
50 フロアパネル
50a フロアトンネル
50c 中央トンネル部(膨出部)
54 フロントシート
62,64 Bフレーム(サイドフレーム)
70 リアシート
76 No.3クロスメンバ(第1クロスメンバ)
78 No.4クロスメンバ(第2クロスメンバ)
90 サブフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと該エンジンによって駆動可能な発電機と少なくとも該発電機からの発電電力が供給されて充電されるバッテリと該バッテリから電力が供給されて駆動輪を駆動させるモータとを備えている電気自動車の車両構造であって、
上記エンジンは、フロアパネル上に設けられたシートと車両前後方向に関し略同じ位置になるように上記フロアパネルの下方に配置されており、
上記発電機は、上記フロアパネルの下方に配置されていることを特徴とする電気自動車の車両構造。
【請求項2】
請求項1記載の電気自動車の車両構造において、
上記エンジンは、上記フロアパネルの車幅方向中央部の下方に配置されていることを特徴とする電気自動車の車両構造。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電気自動車の車両構造において、
上記エンジンは、上記フロアパネルの上記シートに対応する部分に上方に膨出するように形成された膨出部内に配置されていることを特徴とする電気自動車の車両構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の電気自動車の車両構造において、
上記発電機は、上記エンジンの車幅方向一方側に配置されていることを特徴とする電気自動車の車両構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の電気自動車の車両構造において、
上記エンジン及び上記発電機よりも車両前方において、少なくとも一部が、上記フロアパネルの下方におけるダッシュパネルよりも車両後方に位置するように配置された上記エンジン用の燃料タンクをさらに備えていることを特徴とする電気自動車の車両構造。
【請求項6】
請求項5記載の電気自動車の車両構造において、
上記燃料タンクは、上記ダッシュパネルの車両前方に車幅方向に延びるように設けられたダッシュクロスメンバの下方において該ダッシュクロスメンバに支持されていることを特徴とする電気自動車の車両構造。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の電気自動車の車両構造において、
上記フロアパネルの上記シートに対応する部分は、その車両前方側の部分が後方側の部分よりも上面の高さが高くなるように形成されており、
上記エンジンは、その駆動軸が、上下方向を向き且つ上記フロアパネルの上記シートに対応する部分における車両前方側の部分の下方に位置するように配置されており、
上記発電機は、その回転軸が上下方向に向くように配置されていることを特徴とする電気自動車の車両構造。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の電気自動車の車両構造において、
上記エンジン及び上記発電機は、サブフレームに取り付けられており、
上記エンジン及び上記発電機が取り付けられた上記サブフレームは、上記フロアパネルの下方に車両前後方向に延びるように設けられた左右のサイドフレームに取り付けられていることを特徴とする電気自動車の車両構造。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の電気自動車の車両構造において、
上記エンジンは、上記フロアパネル上に設けられたフロントシートと車両前後方向に関し略同じ位置に配置されており、
上記バッテリは、上記フロントシートの車両後方において上記フロアパネル上に設けられたリアシートの下方に配置されていることを特徴とする電気自動車の車両構造。
【請求項10】
請求項9記載の電気自動車の車両構造において、
上記バッテリは、その車両前方において車幅方向に延びるように設けられた第1クロスメンバと、上記バッテリの車両後方において車幅方向に延びるように設けられた第2クロスメンバとに支持されていることを特徴とする電気自動車の車両構造。
【請求項11】
エンジンと該エンジンによって駆動可能な発電機と少なくとも該発電機からの発電電力が供給されて充電されるバッテリと該バッテリから電力が供給されて駆動輪を駆動させるモータとを備えている電気自動車の車両構造であって、
上記エンジンは、車両の前後方向中央部においてフロアパネルの下方に配置されており、
上記発電機は、上記フロアパネルの下方に配置されていることを特徴とする電気自動車の車両構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−143826(P2011−143826A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6267(P2010−6267)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】