電源装置
【課題】半導体冷却ユニットを容易に取り付けおよび取り外しすることができ、組立性の向上した電源装置を提供する。
【解決手段】電源装置は、装着開口を有する筐体12と、筐体内に配設された制御部と、半導体素子20とこの半導体素を冷却する冷却装置とを有し、装着開口を通して筐体に取付けられた半導体冷却ユニット26と、半導体冷却ユニットと筐体を連結する連結機構と、を備えている。連結機構は、筐体内に固定された本体側連結コネクタ54と、半導体冷却ユニットに固定され装着開口を通して本体側連結コネクタに脱着可能に連結されたユニット側連結コネクタ52と、を有している。
【解決手段】電源装置は、装着開口を有する筐体12と、筐体内に配設された制御部と、半導体素子20とこの半導体素を冷却する冷却装置とを有し、装着開口を通して筐体に取付けられた半導体冷却ユニット26と、半導体冷却ユニットと筐体を連結する連結機構と、を備えている。連結機構は、筐体内に固定された本体側連結コネクタ54と、半導体冷却ユニットに固定され装着開口を通して本体側連結コネクタに脱着可能に連結されたユニット側連結コネクタ52と、を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置、補助電源等の複数の電子部品を備えた鉄道車両用の電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、鉄道車両には、モーター駆動に使われる電力を供給する駆動電力変換装置、および空調や照明向けの3相交流電源を生成する補助電源装置のような電源装置が設置されている。このような電源装置には、半導体スイッチング素子を使用したインバータ装置が適用されている。スイッチング素子によるインバータ装置の電力変換効率は、従来の変換方式と比べると非常に高いが、スイッチングによる損失が発生するため、この損失を熱エネルギーとして外部に逃がす必要がある。このため、半導体スイッチング素子と冷却器を一体とした半導体冷却ユニットを設け、熱排出を行う電力変換装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
半導体冷却ユニットは、板状の受熱ブロックと、受熱ブロックから延出したヒートパイプと、ヒートパイプの周囲に取付けられた複数の放熱フィンと、を有している。半導体スイッチング素子は、受熱ブロックの表面上に取付けられている。半導体スイッチング素子で発生した熱は、受熱ブロックに伝わり、この熱により、ヒートパイプ内の冷媒が加熱されて蒸発し、放熱フィン側で大気に熱放散して凝縮する。
【0004】
上記のような半導体素子と冷却器を一体にした半導体冷却ユニットを装置本体に取り付ける場合、そのユニットの重量と外形から、リフター・クレーンなど、重量物を上昇下降可能な機械を使用して半導体冷却ユニットを適正な位置へ移動した後、複数本のボルトで装置本体に固定している。また、半導体素子と高圧電気回路(以下、主回路と称する)はユニット内側から導体、電線を通じ、端子台を経由して装置本体と繋がっている。同様に低圧回路(以下、制御回路)は小型コネクタなどを通じて繋がっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−121847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のようなリフター・クレーンを使用しながらの状態での半導体冷却ユニットを変換装置の本体に取付け固定する作業は、非常に面倒であるとともに難しい。例えば、半導体冷却ユニットと装置本体との正確な位置合せが難しく、また、クレーン操作者とユニットの取付け者が異なるため、他ユニットの取付け作業に比べて危険が多い。ユニット制御回路と装置側制御回路との接続作業は、装置の反対側から装置内部を通して行われるため、狭い装置内でボルトを設置し工具を動かすスペースが必要であり、作業性が悪い。これを解消するために、作業スペースを広く設定した場合には、装置の大型化を招く原因となる。鉄道車両の車体床下に電力変換装置を艤装した状態で半導体冷却ユニットを装置本体から取り外す必要が場合、半導体冷却ユニットの近辺に装置固定用の吊耳、車体側から梁・レール、その他フレーム、配管などが突出していることから、ユニット取付け部ボルトの作業スペースを十分確保することが難しい。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、半導体冷却ユニットを容易に取り付けおよび取り外しすることができ、組立性の向上した電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様に係る電源装置は、装着開口を有する筐体と、前記筐体内に配設された制御部と、半導体素子とこの半導体素を冷却する冷却装置とを有し、前記装着開口を通して前記筐体に取付けられた半導体冷却ユニットと、前記半導体冷却ユニットと前記筐体を連結する連結機構と、を備え、前記連結機構は、前記筐体内に固定された本体側連結コネクタと、前記半導体冷却ユニットに固定され前記装着開口を通して前記本体側連結コネクタに脱着可能に連結されたユニット側連結コネクタと、を有している。
【発明の効果】
【0009】
上記構成によれば、半導体冷却ユニットを容易に取り付けおよび取り外しすることができ、組立性の向上した電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置の外観を示す斜視図。
【図2】図2は、前記電力変換装置の平面図。
【図3】図3は、図1の線A−Aに沿った前記電力変換装置の断面図。
【図4】図4は、前記電力変換装置の筐体と半導体冷却ユニットとを分解して示す側面図。
【図5】図5は、前記電力変換装置の筐体と半導体冷却ユニットとを分解して示す斜視図。
【図6】図6は、前記電極変換装置の連結機構を示す側面図。
【図7】図7は、前記連結機構のユニット側連結コネクタを示す側面図。
【図8】図8は、前記連結機構のユニット側連結コネクタを示す斜視図。
【図9】図9は、図8とは異なる動作状態における前記連結機構のユニット側連結コネクタを示す斜視図。
【図10】図10は、前記半導体冷却ユニットの連結工程を示す前記電力変換装置の斜視図。
【図11】図11は、前記連結機構の連結状態を一部破断して示す平面図。
【図12】図12は、第2の実施形態に係る電力変換装置の筐体と半導体冷却ユニットとを分解して示す斜視図。
【図13】図13は、第2の実施形態に係る電力変換装置のユニット側連結コネクタを示す側面図および背面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1、図2、図3は、電源装置として、第1の実施形態に係る電力変換装置を示す斜視図、平面図、および断面図である。図1ないし図3に示すように、電力変換装置10は、矩形箱状の筺体12を備え、この筺体内に、後述する種々の電子部品および冷却装置が配設されている。筺体12は、その上壁が鉄道車両14の床と対向した状態で、床下に取付けられている。
【0012】
電力変換装置10は、直流電力を交流電力に変換して電動機、空調装置等に供給するインバータ回路16、インバータ回路の電力半導体素子にスイッチング信号を送受信する制御部18、その他、検出器、電源部等を備え、これらは、筺体12内に配設されている。
【0013】
インバータ回路16は、複数の電力用半導体素子20、例えば、IGBT(insulated gate bipolar transistor)と、図示しないダイオード、電力用半導体素子のサージ電圧を抑制するコンデンサ22、および電力用半導体素子のオン・オフ信号を出力する複数のゲート基板アンプ24等を備えている。
【0014】
電力変換装置10は、半導体素子20およびこれらを冷却する冷却装置を有する半導体冷却ユニット26を備えている。図3に示すように、冷却ユニット26の冷却装置は、矩形状のベースフレーム27と、このベースフレームに支持された複数の冷却ブロック30と冷却ブロックの熱を放熱する放熱部32とを有している。各冷却ブロック30は、アルミニウム等の伝熱性の高い材料で板状に形成され、設置面を有している。冷却ブロック30の設置面上に、インバータ回路16の複数の電力用半導体素子20が熱伝導グリース等を介して取り付けられている。
【0015】
冷却装置の放熱部32は、冷却ブロック30から延出した複数のヒートパイプ34と、ヒートパイプ34に取り付けられた複数の放熱フィン36とを備えている。各ヒートパイプ34の端部は、冷却ブロック30内に埋め込まれている。各ヒートパイプ34の延出部分は、冷却ブロック30から外側に、かつ、水平方向に対して所定角度だけ上方に傾斜して延びている。複数のヒートパイプ34は、例えば、鉛直方向に所定の間隔を置いて平行に並んで設けられている。各ヒートパイプ34内には、冷媒、例えば、純水が封入されている。冷媒の沸騰(気化)、凝縮(液化)の変化により熱輸送される。
【0016】
複数のヒートパイプ34には、その長手方向に所定の間隔にて複数の放熱フィン36が嵌着されている。各放熱フィン36は、例えば、矩形板状に形成され、鉛直方向に沿って延びている。飛石などによる放熱フィン36の損傷を防止するため、ベースフレーム27には、放熱フィン36を覆う保護カバー40が取付けられている。保護カバー40には、走行風の通風性向上及び放熱向上の為、多数の吹き抜け穴が設けられている。
【0017】
上記構成の半導体冷却ユニット26は、後述する連結機構により、本体側、つまり、筐体12側に連結されている。半導体冷却ユニット26は、筐体12の前壁12aから一部、つまり、放熱部32が外側に突出した状態で、筐体12に取付けられている。
【0018】
図4および図5に示すように、筐体12の前壁12aのほぼ中央部に、矩形状の装着開口42が形成されている。装着開口42の周囲には、ゴム等で形成された矩形枠状の防水パッキン44が設けられ、前壁12aに固定されている。また、前壁12aには4つの支持ブラケット46が固定および立設され、装着開口42の各角部の外側にそれぞれ配置されている。
【0019】
電力変換装置10は、半導体冷却ユニット26を筐体12側に機械的および電気的に連結する連結機構50を備えている。図3ないし図5に示すように、連結機構50は、半導体冷却ユニット26に設けられた複数、例えば、4つのユニット側連結コネクタ52、および、筐体12内に固定配置され、それぞれ対応するユニット側連結コネクタ52と連結する4つの本体側連結コネクタ54を備えている。
【0020】
4つのユニット側連結コネクタ52は、半導体冷却ユニット26のベースフレーム27の4つの角部にそれぞれ固定されている。図6および図7に示すように、各ユニット側連結コネクタ52は、ベースフレーム27に固定され筐体12内に向かって突出するほぼ角柱形状のコネクタベース56aと、このコネクタベース56aから筐体12内に向かって突出するフック(ユニット側フック)58aとを有している。フック58aは、その延出端に突没可能に設けられた係合爪60aを有している。係合爪60aは、フック58a内に設けられた図示しない弾性部材、例えば、バネ等により、突出位置に付勢され保持されている。フック58aは、コネクタベース56aに対する突出長さを調整可能に設けられている。そして、コネクタベース56aに、フック58aの突出長さを調整する調整ネジ61aが設けられている。
【0021】
コネクタベース56aには、後述する本体側連結コネクタ54のフック58bが挿入および嵌合される係合孔62aが形成されている。この係合孔62aは、フック58bとほぼ同一形状に形成されている。係合孔62aは連結コネクタを連結する際の位置決め用のガイド孔としても機能する。また、電気的接続も併せて行う場合、フック58aの係合爪60aおよび係合孔62aの爪対応部分にそれぞれスリットあるいは突起を形成し、これらを電力用半導体素子20等に電気的に導通する導電部66a、68aとしてもよい。フック58aの導電部66a、係合孔62aの導電部68aはスリットあるいは突起のいずれでもよいが、それぞれ相手方の本体側連結コネクタ54の係合孔およびフックの導電部と嵌合する関係、つまり、相手方の導電部が突起の場合は、スリット、また、相手方の導電部がスリットの場合は突起に形成されている。
【0022】
図6ないし図9に示すように、コネクタベース56aには操作レバー64aが回動自在に取付けられ、この操作レバー64aは、図示しない伝達機構を介して、係合爪60aに接続されている。そして、操作レバー64aを図8に示す装着位置から図9に示す解除位置へ回動することにより、係合爪60aをフック58a内に潜没させ、連結コネクタ間の連結を解除可能とすることができる。
【0023】
一方、図3、図4、図6に示すように、4つの本体側連結コネクタ54は、筐体12内において、ユニット側連結コネクタ52と連結可能な対応位置に固定されている。4つの本体側連結コネクタ54は、それぞれユニット側連結コネクタ52と同一構造を有し、ユニット側連結コネクタ52と対象に形成されている。
【0024】
各本体側連結コネクタ54は、筐体12内の支持体に固定され装着開口42に向かって延びるほぼ角柱形状のコネクタベース56bと、このコネクタベース56bから筐体12内に向かって突出するフック(本体側フック)58bとを有している。フック58bは、その延出端に突没可能に設けられた係合爪60bを有している。係合爪60bは、フック58b内に設けられた図示しない弾性部材、例えば、バネ等により、突出位置に付勢され保持されている。フック58bは、コネクタベース56bに対する突出長さを調整可能に設けられている。そして、コネクタベース56bに、フック58bの突出長さを調整する調整ネジ61bが設けられている。
【0025】
コネクタベース56bには、ユニット側連結コネクタ52のフック58aが挿入および嵌合される係合孔62bが形成されている。この係合孔62bは、フック58aとほぼ同一形状に形成されている。係合孔62bは連結コネクタを連結する際の位置決め用のガイド孔としても機能する。また、電気的接続も併せて行う場合、フック58bの係合爪60baおよび係合孔62bの爪対応部分にそれぞれスリットあるいは突起を形成し、これらを電力用半導体素子20等に電気的に導通する導電部としてもよい。
【0026】
コネクタベース56bには操作レバー64bが回動自在に取付けられ、この操作レバー64bは、図示しない伝達機構を介して、係合爪60bに接続されている。そして、操作レバー64bを装着位置から解除位置へ回動することにより、係合爪60bをフック58b内に潜没させ、連結コネクタ間の連結を解除可能とすることができる。
【0027】
上記のように構成された半導体冷却ユニット26を筐体12に装着および連結する場合、図4および図10に示すように、半導体冷却ユニット26をクレーン・リフトと吊り上げ、あるいは、昇降台車70上に載置した後、筐体12の装着開口42と対向する所定位置に移動し、位置合わせする。この際、電力用半導体素子20側が装着開口42を向き、また、4つのユニット側連結コネクタ52がそれぞれ対応する本体側連結コネクタ54と整列、対向するように、半導体冷却ユニット26を位置決めする。また、ユニット側連結コネクタ52の操作レバー64aおよび本体側連結コネクタ54の操作レバー64bをそれぞれ装着位置に設定しておく。
【0028】
続いて、半導体冷却ユニット26を筐体12に向かって押し込み、ベースフレーム27の筐体12の装着開口42に周囲に、つまり、防水パッキン44に押し当てるとともに、4つのユニット側連結コネクタ52を対応する本体側連結コネクタ54にそれぞれ連結する。すなわち、図11に示すように、ユニット側連結コネクタ52のフック58aを対応する本体側連結コネクタ54の係合孔62bに挿入嵌合し、同時に、本体側連結コネクタ54のフック58bを対応するユニット側連結コネクタ52の係合孔62aに挿入嵌合する。これにより、半導体冷却ユニット26は、連結機構50によって筐体12に機械的に連結され、ベースフレーム27が防水パッキン44を介して筐体12に密着した状態で筐体12に固定される。同時に、ユニット側連結コネクタ52の導通部66a、68aが本体側連結コネクタ54の導通部68b、66bと係合および導通し、半導体冷却ユニット26が筐体12内の機器に電気的に接続される。なお、連結の際、筐体12のブラケット46は、半導体冷却ユニット26をガイドおよび位置決めし、また、ユニット側連結コネクタ52の係合孔62aおよび本体側連結コネクタ54の係合孔62bは、コネクタ間の連結をガイドする。これにより、連結作業を容易に行うことが可能となる。
【0029】
連結後、必要に応じて連結コネクタの微調整を調整ネジ61a、61bにより行う。調整ネジ61a、61bを閉めるあるいは緩めることにより、ユニット側連結コネクタ52のフック58aあるいは本体側連結コネクタ54のフック58bを挿抜方向に移動させ、連結コネクタ同士の連結状態を調整する。ユニット側および本体側連結コネクタは、最終的に、半導体冷却ユニット26が筐体12の取付け面に均一の力で押さえられるように、調整ネジ61a、61bにて調整するが、取付け途中での動き、誤差は、ゴム等の衝撃吸収材で形成された防水パッキン44により吸収することができる。
【0030】
また、半導体冷却ユニット26を筐体12から取りはず場合には、ユニット側連結コネクタ52の操作レバー64aおよび本体側連結コネクタ54の操作レバー64bをそれぞれ解除位置に設定した後、半導体冷却ユニット26を筐体12から引き抜く。これにより、ユニット側連結コネクタ52と本体側連結コネクタ54との間の連結が解除され、半導体冷却ユニット26が取外される。なお、この場合、ユニット側連結コネクタ52の操作レバー64aのみ解除位置に設定した状態でも、半導体冷却ユニット26を取外すことが可能である。
【0031】
以上のように構成された電力変換装置によれば、半導体冷却ユニット26を装置本体、つまり、筐体12に容易に取り付けおよび取り外しすることができ、組立性の向上した電源装置を得ることができる。すなわち、半導体冷却ユニット26を押し込むだけで筐体に機械的、電気的に連結することができ、ボルト止め作業、配線接続作業等を省略し、組立て作業工数の低減、簡素化を図ることができる。これにより、半導体冷却ユニットのボルト止めあるいは配線接続等のための作業スペースを筐体内に確保する必要がなく、その分、装置全体の小型化を図ることが可能となる。また、半導体冷却ユニット26を正確な位置に取付けることができ、半導体冷却ユニットを防水パッキンに均一の力で当接させ、防水、防塵効果を上げることが可能となる。以上のことから、取付け工具なしで半導体冷却ユニットの脱着が可能なり、また、ユニットと装置本体との間でのインターフェースの改善を図ることができる。これにより、主に高さ方向での装置小型化、作業簡略化による工数の削減を図ることが可能となる。
【0032】
なお、ユニット側連結コネクタおよび本体側連結コネクタを通じて制御(低圧)回路の接続を行う場合、ユニット側の導電部66a、68a、本体側の導電部のスリットあるいは突起の数を増やし、多芯コネクタの役目を持つようにしてもよい。この場合も、前記の通り、嵌合するユニット側の導電部、本体側の導電部の組みのスリット/突起は、全て互い違いとする。
【0033】
次に、この発明の第2の実施形態に係る電力変換装置について説明する。
図12は、第2の実施形態に係る電力変換装置の筐体12および半導体冷却ユニット26を分解して示している。本実施形態によれば、半導体冷却ユニット26は、主回路に接続されたユニット側主回路コネクタ72aを有し、筐体12内には、このコネクタ72aに対応する本体側主回路コネクタ72bが固定配置されている。ユニット側主回路コネクタ72aは、ベースフレーム27に固定され筐体12側に突出し、その高さは、ユニット側連結コネクタ52の位置に合わせて、つまり、ユニット側連結コネクタ52の連結と同時に、本体側の主回路コネクタ72aと連結できる高さに形成されている。本体側主回路コネクタ72bは、ユニット側主回路コネクタ72aと整列する位置に、かつ、筐体12の装着開口42に向かって設けられている。電力変換装置の他の構成は、前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0034】
本実施形態に係る電力変換装置によれば、半導体冷却ユニット26を連結機構50によって筐体12に機械的に連結すると同時に、ユニット側主回路コネクタ72aと本体側主回路コネクタ72bとが連結し、半導体冷却ユニット26の主回路を、装置本体の主回路および制御回路に接続される。これにより、半導体冷却ユニットの機械的な接続と、主回路、制御回路の接続の取付け、取外しが連動して行え、組立て性の一層の向上を図ることができる。
【0035】
図13に示す第3の実施形態のように、ユニット側連結コネクタ52および本体側連結コネクタ54の少なくとも一方に、操作レバー64aを図示の連結位置にロックするロックキー74を設けてもよい。このようなロックキー74を設けることにより、鍵を使用した場合のみ、連結コネクタの取り外し作業が行える構造とする。この場合、電力変換装置の取り扱いを許可された者以外には、半導体冷却ユニットの脱着作業、並びに装置内(高圧部分)にアクセスできなくなる。これにより、不慣れな作用者による脱着作業あるいは不用意な脱着作業を防止することができる。
【0036】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要
旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示され
ている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実
施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実
施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0037】
例えば、上述した各実施形態において、半導体素子としてIGBTを用いた構成としたが、他の種類のトランジスタやサイリスタなどを用いた構成としてもよい。この発明に係る電源装置は、電力変換装置に限らず、補助電源装置等の他の電源装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
10…電力変換装置、12…筺体、12a…前壁、14…鉄道車両、
16…インバータ回路、18…制御部、20…電力半導体素子、22…コンデンサ、
26…半導体冷却ユニット、27…支持フレーム、50…連結機構、
52…ユニット側連結コネクタ、54…本体側連結コネクタ、
56a、56b…コネクタベース、58a、58b…フック、
60a、69b…係合爪、62a、62b…係合孔、61a、61b…調整ネジ、
64a、64b…操作レバー、72a…ユニット側主回路コネクタ、
72b…本体側主回路コネクタ、74…ロックキー
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置、補助電源等の複数の電子部品を備えた鉄道車両用の電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、鉄道車両には、モーター駆動に使われる電力を供給する駆動電力変換装置、および空調や照明向けの3相交流電源を生成する補助電源装置のような電源装置が設置されている。このような電源装置には、半導体スイッチング素子を使用したインバータ装置が適用されている。スイッチング素子によるインバータ装置の電力変換効率は、従来の変換方式と比べると非常に高いが、スイッチングによる損失が発生するため、この損失を熱エネルギーとして外部に逃がす必要がある。このため、半導体スイッチング素子と冷却器を一体とした半導体冷却ユニットを設け、熱排出を行う電力変換装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
半導体冷却ユニットは、板状の受熱ブロックと、受熱ブロックから延出したヒートパイプと、ヒートパイプの周囲に取付けられた複数の放熱フィンと、を有している。半導体スイッチング素子は、受熱ブロックの表面上に取付けられている。半導体スイッチング素子で発生した熱は、受熱ブロックに伝わり、この熱により、ヒートパイプ内の冷媒が加熱されて蒸発し、放熱フィン側で大気に熱放散して凝縮する。
【0004】
上記のような半導体素子と冷却器を一体にした半導体冷却ユニットを装置本体に取り付ける場合、そのユニットの重量と外形から、リフター・クレーンなど、重量物を上昇下降可能な機械を使用して半導体冷却ユニットを適正な位置へ移動した後、複数本のボルトで装置本体に固定している。また、半導体素子と高圧電気回路(以下、主回路と称する)はユニット内側から導体、電線を通じ、端子台を経由して装置本体と繋がっている。同様に低圧回路(以下、制御回路)は小型コネクタなどを通じて繋がっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−121847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のようなリフター・クレーンを使用しながらの状態での半導体冷却ユニットを変換装置の本体に取付け固定する作業は、非常に面倒であるとともに難しい。例えば、半導体冷却ユニットと装置本体との正確な位置合せが難しく、また、クレーン操作者とユニットの取付け者が異なるため、他ユニットの取付け作業に比べて危険が多い。ユニット制御回路と装置側制御回路との接続作業は、装置の反対側から装置内部を通して行われるため、狭い装置内でボルトを設置し工具を動かすスペースが必要であり、作業性が悪い。これを解消するために、作業スペースを広く設定した場合には、装置の大型化を招く原因となる。鉄道車両の車体床下に電力変換装置を艤装した状態で半導体冷却ユニットを装置本体から取り外す必要が場合、半導体冷却ユニットの近辺に装置固定用の吊耳、車体側から梁・レール、その他フレーム、配管などが突出していることから、ユニット取付け部ボルトの作業スペースを十分確保することが難しい。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、半導体冷却ユニットを容易に取り付けおよび取り外しすることができ、組立性の向上した電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様に係る電源装置は、装着開口を有する筐体と、前記筐体内に配設された制御部と、半導体素子とこの半導体素を冷却する冷却装置とを有し、前記装着開口を通して前記筐体に取付けられた半導体冷却ユニットと、前記半導体冷却ユニットと前記筐体を連結する連結機構と、を備え、前記連結機構は、前記筐体内に固定された本体側連結コネクタと、前記半導体冷却ユニットに固定され前記装着開口を通して前記本体側連結コネクタに脱着可能に連結されたユニット側連結コネクタと、を有している。
【発明の効果】
【0009】
上記構成によれば、半導体冷却ユニットを容易に取り付けおよび取り外しすることができ、組立性の向上した電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置の外観を示す斜視図。
【図2】図2は、前記電力変換装置の平面図。
【図3】図3は、図1の線A−Aに沿った前記電力変換装置の断面図。
【図4】図4は、前記電力変換装置の筐体と半導体冷却ユニットとを分解して示す側面図。
【図5】図5は、前記電力変換装置の筐体と半導体冷却ユニットとを分解して示す斜視図。
【図6】図6は、前記電極変換装置の連結機構を示す側面図。
【図7】図7は、前記連結機構のユニット側連結コネクタを示す側面図。
【図8】図8は、前記連結機構のユニット側連結コネクタを示す斜視図。
【図9】図9は、図8とは異なる動作状態における前記連結機構のユニット側連結コネクタを示す斜視図。
【図10】図10は、前記半導体冷却ユニットの連結工程を示す前記電力変換装置の斜視図。
【図11】図11は、前記連結機構の連結状態を一部破断して示す平面図。
【図12】図12は、第2の実施形態に係る電力変換装置の筐体と半導体冷却ユニットとを分解して示す斜視図。
【図13】図13は、第2の実施形態に係る電力変換装置のユニット側連結コネクタを示す側面図および背面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1、図2、図3は、電源装置として、第1の実施形態に係る電力変換装置を示す斜視図、平面図、および断面図である。図1ないし図3に示すように、電力変換装置10は、矩形箱状の筺体12を備え、この筺体内に、後述する種々の電子部品および冷却装置が配設されている。筺体12は、その上壁が鉄道車両14の床と対向した状態で、床下に取付けられている。
【0012】
電力変換装置10は、直流電力を交流電力に変換して電動機、空調装置等に供給するインバータ回路16、インバータ回路の電力半導体素子にスイッチング信号を送受信する制御部18、その他、検出器、電源部等を備え、これらは、筺体12内に配設されている。
【0013】
インバータ回路16は、複数の電力用半導体素子20、例えば、IGBT(insulated gate bipolar transistor)と、図示しないダイオード、電力用半導体素子のサージ電圧を抑制するコンデンサ22、および電力用半導体素子のオン・オフ信号を出力する複数のゲート基板アンプ24等を備えている。
【0014】
電力変換装置10は、半導体素子20およびこれらを冷却する冷却装置を有する半導体冷却ユニット26を備えている。図3に示すように、冷却ユニット26の冷却装置は、矩形状のベースフレーム27と、このベースフレームに支持された複数の冷却ブロック30と冷却ブロックの熱を放熱する放熱部32とを有している。各冷却ブロック30は、アルミニウム等の伝熱性の高い材料で板状に形成され、設置面を有している。冷却ブロック30の設置面上に、インバータ回路16の複数の電力用半導体素子20が熱伝導グリース等を介して取り付けられている。
【0015】
冷却装置の放熱部32は、冷却ブロック30から延出した複数のヒートパイプ34と、ヒートパイプ34に取り付けられた複数の放熱フィン36とを備えている。各ヒートパイプ34の端部は、冷却ブロック30内に埋め込まれている。各ヒートパイプ34の延出部分は、冷却ブロック30から外側に、かつ、水平方向に対して所定角度だけ上方に傾斜して延びている。複数のヒートパイプ34は、例えば、鉛直方向に所定の間隔を置いて平行に並んで設けられている。各ヒートパイプ34内には、冷媒、例えば、純水が封入されている。冷媒の沸騰(気化)、凝縮(液化)の変化により熱輸送される。
【0016】
複数のヒートパイプ34には、その長手方向に所定の間隔にて複数の放熱フィン36が嵌着されている。各放熱フィン36は、例えば、矩形板状に形成され、鉛直方向に沿って延びている。飛石などによる放熱フィン36の損傷を防止するため、ベースフレーム27には、放熱フィン36を覆う保護カバー40が取付けられている。保護カバー40には、走行風の通風性向上及び放熱向上の為、多数の吹き抜け穴が設けられている。
【0017】
上記構成の半導体冷却ユニット26は、後述する連結機構により、本体側、つまり、筐体12側に連結されている。半導体冷却ユニット26は、筐体12の前壁12aから一部、つまり、放熱部32が外側に突出した状態で、筐体12に取付けられている。
【0018】
図4および図5に示すように、筐体12の前壁12aのほぼ中央部に、矩形状の装着開口42が形成されている。装着開口42の周囲には、ゴム等で形成された矩形枠状の防水パッキン44が設けられ、前壁12aに固定されている。また、前壁12aには4つの支持ブラケット46が固定および立設され、装着開口42の各角部の外側にそれぞれ配置されている。
【0019】
電力変換装置10は、半導体冷却ユニット26を筐体12側に機械的および電気的に連結する連結機構50を備えている。図3ないし図5に示すように、連結機構50は、半導体冷却ユニット26に設けられた複数、例えば、4つのユニット側連結コネクタ52、および、筐体12内に固定配置され、それぞれ対応するユニット側連結コネクタ52と連結する4つの本体側連結コネクタ54を備えている。
【0020】
4つのユニット側連結コネクタ52は、半導体冷却ユニット26のベースフレーム27の4つの角部にそれぞれ固定されている。図6および図7に示すように、各ユニット側連結コネクタ52は、ベースフレーム27に固定され筐体12内に向かって突出するほぼ角柱形状のコネクタベース56aと、このコネクタベース56aから筐体12内に向かって突出するフック(ユニット側フック)58aとを有している。フック58aは、その延出端に突没可能に設けられた係合爪60aを有している。係合爪60aは、フック58a内に設けられた図示しない弾性部材、例えば、バネ等により、突出位置に付勢され保持されている。フック58aは、コネクタベース56aに対する突出長さを調整可能に設けられている。そして、コネクタベース56aに、フック58aの突出長さを調整する調整ネジ61aが設けられている。
【0021】
コネクタベース56aには、後述する本体側連結コネクタ54のフック58bが挿入および嵌合される係合孔62aが形成されている。この係合孔62aは、フック58bとほぼ同一形状に形成されている。係合孔62aは連結コネクタを連結する際の位置決め用のガイド孔としても機能する。また、電気的接続も併せて行う場合、フック58aの係合爪60aおよび係合孔62aの爪対応部分にそれぞれスリットあるいは突起を形成し、これらを電力用半導体素子20等に電気的に導通する導電部66a、68aとしてもよい。フック58aの導電部66a、係合孔62aの導電部68aはスリットあるいは突起のいずれでもよいが、それぞれ相手方の本体側連結コネクタ54の係合孔およびフックの導電部と嵌合する関係、つまり、相手方の導電部が突起の場合は、スリット、また、相手方の導電部がスリットの場合は突起に形成されている。
【0022】
図6ないし図9に示すように、コネクタベース56aには操作レバー64aが回動自在に取付けられ、この操作レバー64aは、図示しない伝達機構を介して、係合爪60aに接続されている。そして、操作レバー64aを図8に示す装着位置から図9に示す解除位置へ回動することにより、係合爪60aをフック58a内に潜没させ、連結コネクタ間の連結を解除可能とすることができる。
【0023】
一方、図3、図4、図6に示すように、4つの本体側連結コネクタ54は、筐体12内において、ユニット側連結コネクタ52と連結可能な対応位置に固定されている。4つの本体側連結コネクタ54は、それぞれユニット側連結コネクタ52と同一構造を有し、ユニット側連結コネクタ52と対象に形成されている。
【0024】
各本体側連結コネクタ54は、筐体12内の支持体に固定され装着開口42に向かって延びるほぼ角柱形状のコネクタベース56bと、このコネクタベース56bから筐体12内に向かって突出するフック(本体側フック)58bとを有している。フック58bは、その延出端に突没可能に設けられた係合爪60bを有している。係合爪60bは、フック58b内に設けられた図示しない弾性部材、例えば、バネ等により、突出位置に付勢され保持されている。フック58bは、コネクタベース56bに対する突出長さを調整可能に設けられている。そして、コネクタベース56bに、フック58bの突出長さを調整する調整ネジ61bが設けられている。
【0025】
コネクタベース56bには、ユニット側連結コネクタ52のフック58aが挿入および嵌合される係合孔62bが形成されている。この係合孔62bは、フック58aとほぼ同一形状に形成されている。係合孔62bは連結コネクタを連結する際の位置決め用のガイド孔としても機能する。また、電気的接続も併せて行う場合、フック58bの係合爪60baおよび係合孔62bの爪対応部分にそれぞれスリットあるいは突起を形成し、これらを電力用半導体素子20等に電気的に導通する導電部としてもよい。
【0026】
コネクタベース56bには操作レバー64bが回動自在に取付けられ、この操作レバー64bは、図示しない伝達機構を介して、係合爪60bに接続されている。そして、操作レバー64bを装着位置から解除位置へ回動することにより、係合爪60bをフック58b内に潜没させ、連結コネクタ間の連結を解除可能とすることができる。
【0027】
上記のように構成された半導体冷却ユニット26を筐体12に装着および連結する場合、図4および図10に示すように、半導体冷却ユニット26をクレーン・リフトと吊り上げ、あるいは、昇降台車70上に載置した後、筐体12の装着開口42と対向する所定位置に移動し、位置合わせする。この際、電力用半導体素子20側が装着開口42を向き、また、4つのユニット側連結コネクタ52がそれぞれ対応する本体側連結コネクタ54と整列、対向するように、半導体冷却ユニット26を位置決めする。また、ユニット側連結コネクタ52の操作レバー64aおよび本体側連結コネクタ54の操作レバー64bをそれぞれ装着位置に設定しておく。
【0028】
続いて、半導体冷却ユニット26を筐体12に向かって押し込み、ベースフレーム27の筐体12の装着開口42に周囲に、つまり、防水パッキン44に押し当てるとともに、4つのユニット側連結コネクタ52を対応する本体側連結コネクタ54にそれぞれ連結する。すなわち、図11に示すように、ユニット側連結コネクタ52のフック58aを対応する本体側連結コネクタ54の係合孔62bに挿入嵌合し、同時に、本体側連結コネクタ54のフック58bを対応するユニット側連結コネクタ52の係合孔62aに挿入嵌合する。これにより、半導体冷却ユニット26は、連結機構50によって筐体12に機械的に連結され、ベースフレーム27が防水パッキン44を介して筐体12に密着した状態で筐体12に固定される。同時に、ユニット側連結コネクタ52の導通部66a、68aが本体側連結コネクタ54の導通部68b、66bと係合および導通し、半導体冷却ユニット26が筐体12内の機器に電気的に接続される。なお、連結の際、筐体12のブラケット46は、半導体冷却ユニット26をガイドおよび位置決めし、また、ユニット側連結コネクタ52の係合孔62aおよび本体側連結コネクタ54の係合孔62bは、コネクタ間の連結をガイドする。これにより、連結作業を容易に行うことが可能となる。
【0029】
連結後、必要に応じて連結コネクタの微調整を調整ネジ61a、61bにより行う。調整ネジ61a、61bを閉めるあるいは緩めることにより、ユニット側連結コネクタ52のフック58aあるいは本体側連結コネクタ54のフック58bを挿抜方向に移動させ、連結コネクタ同士の連結状態を調整する。ユニット側および本体側連結コネクタは、最終的に、半導体冷却ユニット26が筐体12の取付け面に均一の力で押さえられるように、調整ネジ61a、61bにて調整するが、取付け途中での動き、誤差は、ゴム等の衝撃吸収材で形成された防水パッキン44により吸収することができる。
【0030】
また、半導体冷却ユニット26を筐体12から取りはず場合には、ユニット側連結コネクタ52の操作レバー64aおよび本体側連結コネクタ54の操作レバー64bをそれぞれ解除位置に設定した後、半導体冷却ユニット26を筐体12から引き抜く。これにより、ユニット側連結コネクタ52と本体側連結コネクタ54との間の連結が解除され、半導体冷却ユニット26が取外される。なお、この場合、ユニット側連結コネクタ52の操作レバー64aのみ解除位置に設定した状態でも、半導体冷却ユニット26を取外すことが可能である。
【0031】
以上のように構成された電力変換装置によれば、半導体冷却ユニット26を装置本体、つまり、筐体12に容易に取り付けおよび取り外しすることができ、組立性の向上した電源装置を得ることができる。すなわち、半導体冷却ユニット26を押し込むだけで筐体に機械的、電気的に連結することができ、ボルト止め作業、配線接続作業等を省略し、組立て作業工数の低減、簡素化を図ることができる。これにより、半導体冷却ユニットのボルト止めあるいは配線接続等のための作業スペースを筐体内に確保する必要がなく、その分、装置全体の小型化を図ることが可能となる。また、半導体冷却ユニット26を正確な位置に取付けることができ、半導体冷却ユニットを防水パッキンに均一の力で当接させ、防水、防塵効果を上げることが可能となる。以上のことから、取付け工具なしで半導体冷却ユニットの脱着が可能なり、また、ユニットと装置本体との間でのインターフェースの改善を図ることができる。これにより、主に高さ方向での装置小型化、作業簡略化による工数の削減を図ることが可能となる。
【0032】
なお、ユニット側連結コネクタおよび本体側連結コネクタを通じて制御(低圧)回路の接続を行う場合、ユニット側の導電部66a、68a、本体側の導電部のスリットあるいは突起の数を増やし、多芯コネクタの役目を持つようにしてもよい。この場合も、前記の通り、嵌合するユニット側の導電部、本体側の導電部の組みのスリット/突起は、全て互い違いとする。
【0033】
次に、この発明の第2の実施形態に係る電力変換装置について説明する。
図12は、第2の実施形態に係る電力変換装置の筐体12および半導体冷却ユニット26を分解して示している。本実施形態によれば、半導体冷却ユニット26は、主回路に接続されたユニット側主回路コネクタ72aを有し、筐体12内には、このコネクタ72aに対応する本体側主回路コネクタ72bが固定配置されている。ユニット側主回路コネクタ72aは、ベースフレーム27に固定され筐体12側に突出し、その高さは、ユニット側連結コネクタ52の位置に合わせて、つまり、ユニット側連結コネクタ52の連結と同時に、本体側の主回路コネクタ72aと連結できる高さに形成されている。本体側主回路コネクタ72bは、ユニット側主回路コネクタ72aと整列する位置に、かつ、筐体12の装着開口42に向かって設けられている。電力変換装置の他の構成は、前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0034】
本実施形態に係る電力変換装置によれば、半導体冷却ユニット26を連結機構50によって筐体12に機械的に連結すると同時に、ユニット側主回路コネクタ72aと本体側主回路コネクタ72bとが連結し、半導体冷却ユニット26の主回路を、装置本体の主回路および制御回路に接続される。これにより、半導体冷却ユニットの機械的な接続と、主回路、制御回路の接続の取付け、取外しが連動して行え、組立て性の一層の向上を図ることができる。
【0035】
図13に示す第3の実施形態のように、ユニット側連結コネクタ52および本体側連結コネクタ54の少なくとも一方に、操作レバー64aを図示の連結位置にロックするロックキー74を設けてもよい。このようなロックキー74を設けることにより、鍵を使用した場合のみ、連結コネクタの取り外し作業が行える構造とする。この場合、電力変換装置の取り扱いを許可された者以外には、半導体冷却ユニットの脱着作業、並びに装置内(高圧部分)にアクセスできなくなる。これにより、不慣れな作用者による脱着作業あるいは不用意な脱着作業を防止することができる。
【0036】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要
旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示され
ている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実
施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実
施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0037】
例えば、上述した各実施形態において、半導体素子としてIGBTを用いた構成としたが、他の種類のトランジスタやサイリスタなどを用いた構成としてもよい。この発明に係る電源装置は、電力変換装置に限らず、補助電源装置等の他の電源装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
10…電力変換装置、12…筺体、12a…前壁、14…鉄道車両、
16…インバータ回路、18…制御部、20…電力半導体素子、22…コンデンサ、
26…半導体冷却ユニット、27…支持フレーム、50…連結機構、
52…ユニット側連結コネクタ、54…本体側連結コネクタ、
56a、56b…コネクタベース、58a、58b…フック、
60a、69b…係合爪、62a、62b…係合孔、61a、61b…調整ネジ、
64a、64b…操作レバー、72a…ユニット側主回路コネクタ、
72b…本体側主回路コネクタ、74…ロックキー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着開口を有する筐体と、
前記筐体内に配設された制御部と、
半導体素子とこの半導体素を冷却する冷却装置とを有し、前記装着開口を通して前記筐体に取付けられた半導体冷却ユニットと、
前記半導体冷却ユニットと前記筐体を連結する連結機構と、を備え、
前記連結機構は、前記筐体内に固定された本体側連結コネクタと、前記半導体冷却ユニットに固定され前記装着開口を通して前記本体側連結コネクタに脱着可能に連結されたユニット側連結コネクタと、を有している電源装置。
【請求項2】
前記本体側連結コネクタは、前記ユニット側連結コネクタと係合する本体側フックを有し、前記ユニット本体側連結コネクタは、前記本体側連結コネクタと係合するユニット側フックを有し、前記本体側連結コネクタおよびユニット側連結コネクタは、互いに機械的に連結されている請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記本体側連結コネクタは、前記ユニット側フックが挿入され、連結をガイドする係合孔を有し、前記ユニット本体側連結コネクタは、前記本体側フックが挿入され、連結をガイドする係合孔を有している請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記本体側連結コネクタは、前記筐体内の機器に電気的に導通した導電部を有し、前記ユニット本体側連結コネクタは、前記半導体素子に電気的に導通する導電部を有し、前記本体側連結コネクタおよびユニット側連結コネクタは、前記導電部により互いに電気的に連結されている請求項1又は2に記載の電源装置。
【請求項5】
前記連結機構は、前記筐体内に固定され前記筐体内の機器に電気的に接続された本体側回路コネクタと、前記半導体冷却ユニットに固定され前記半導体素子に電気的に接続されたユニット側回路コネクタと、を有し、前記本体側回路コネクタとユニット側回路コネクタとは脱着可能に連結されている請求項1に記載の電源装置。
【請求項6】
前記ユニット側連結コネクタは、前記ユニット側フックの連結を解除する操作レバーを有している請求項1に記載の電源装置。
【請求項7】
前記ユニット側連結コネクタは、前記操作レバーの操作をロックするロックキーを有している請求項6に記載の電源装置。
【請求項8】
前記筐体に取り付けられ前記装着開口の周囲に位置する環状のパッキンを有し、前記半導体冷却ユニットは、前記パッキンに気密に圧接した支持フレームを有している請求項1に記載の電源装置。
【請求項1】
装着開口を有する筐体と、
前記筐体内に配設された制御部と、
半導体素子とこの半導体素を冷却する冷却装置とを有し、前記装着開口を通して前記筐体に取付けられた半導体冷却ユニットと、
前記半導体冷却ユニットと前記筐体を連結する連結機構と、を備え、
前記連結機構は、前記筐体内に固定された本体側連結コネクタと、前記半導体冷却ユニットに固定され前記装着開口を通して前記本体側連結コネクタに脱着可能に連結されたユニット側連結コネクタと、を有している電源装置。
【請求項2】
前記本体側連結コネクタは、前記ユニット側連結コネクタと係合する本体側フックを有し、前記ユニット本体側連結コネクタは、前記本体側連結コネクタと係合するユニット側フックを有し、前記本体側連結コネクタおよびユニット側連結コネクタは、互いに機械的に連結されている請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記本体側連結コネクタは、前記ユニット側フックが挿入され、連結をガイドする係合孔を有し、前記ユニット本体側連結コネクタは、前記本体側フックが挿入され、連結をガイドする係合孔を有している請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記本体側連結コネクタは、前記筐体内の機器に電気的に導通した導電部を有し、前記ユニット本体側連結コネクタは、前記半導体素子に電気的に導通する導電部を有し、前記本体側連結コネクタおよびユニット側連結コネクタは、前記導電部により互いに電気的に連結されている請求項1又は2に記載の電源装置。
【請求項5】
前記連結機構は、前記筐体内に固定され前記筐体内の機器に電気的に接続された本体側回路コネクタと、前記半導体冷却ユニットに固定され前記半導体素子に電気的に接続されたユニット側回路コネクタと、を有し、前記本体側回路コネクタとユニット側回路コネクタとは脱着可能に連結されている請求項1に記載の電源装置。
【請求項6】
前記ユニット側連結コネクタは、前記ユニット側フックの連結を解除する操作レバーを有している請求項1に記載の電源装置。
【請求項7】
前記ユニット側連結コネクタは、前記操作レバーの操作をロックするロックキーを有している請求項6に記載の電源装置。
【請求項8】
前記筐体に取り付けられ前記装着開口の周囲に位置する環状のパッキンを有し、前記半導体冷却ユニットは、前記パッキンに気密に圧接した支持フレームを有している請求項1に記載の電源装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−166969(P2011−166969A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28106(P2010−28106)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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