説明

電解めっき装置及び電解めっき方法

【課題】銅と同等以上の抵抗率の導電層(シード層)を有した基板に対して、より均一な膜厚で、全面に亘って膜質の良好なめっき膜を成膜できるようにする。
【解決手段】基板保持部で保持した基板表面の周縁部に当接して該周縁部をシールするシール材90と、基板保持部で保持した基板の表面に形成した導電層に接触して通電させるカソード接点88と、内部にめっき液に浸漬させるアノード98を収納し、基板保持部で保持した基板と対向する開口端部に多孔質構造体110を配置してめっき液室100を区画形成したハウジング94を有し、めっき液室100は仕切り板150で複数の部屋154a,154bに仕切られ、アノード98は複数に分割された分割アノード98a,98bから構成されて、各分割アノード98a,98bはめっき液室100の各部屋154a,154bの内部に独立しためっき電流が流せるように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウエハ等の基板の表面(被めっき面)に形成された微細配線パターンに銅等の金属を埋込んで埋込み配線を形成するのに使用される電解めっき装置及び電解めっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体基板上に配線回路を形成するための金属材料として、アルミニウムまたはアルミニウム合金に代えて、電気抵抗率が低くエレクトロマイグレーション耐性が高い銅を用いる動きが顕著になっている。この種の銅配線は、基板の表面に設けた配線用凹部の内部に銅を埋込むことによって一般に形成される。この銅配線を形成する方法としては、CVD、スパッタリング及びめっきといった手法があるが、いずれにしても、基板のほぼ全表面に銅を成膜し、化学的機械的研磨(CMP)により不要の銅を除去するようにしている。
【0003】
図22は、この種の銅配線基板Wの製造例を工程順に示す。先ず、図22(a)に示すように、半導体素子を形成した半導体基材1上の導電層1aの上にSiOやLow−K材からなる絶縁膜(層間絶縁膜)2を堆積し、絶縁膜2の内部に、リソグラフィ・エッチング技術により、配線用凹部としてのコンタクトホール3とトレンチ4を形成する。そして、その上にTaN等からなるバリア層5、更にその上に電解めっきの給電層としてシード層7を形成する。
【0004】
そして、図22(b)に示すように、基板Wの表面に銅めっきを施すことで、コンタクトホール3及びトレンチ4内に銅を充填するとともに、絶縁膜2上に銅膜6を堆積する。その後、化学的機械的研磨(CMP)により、絶縁膜2上の銅膜6、シード層7及びバリア層5を除去して、コンタクトホール3及びトレンチ4内に充填させた銅膜6の表面と絶縁膜2の表面とをほぼ同一平面にする。これにより、図22(c)に示すように、絶縁膜2の内部に銅膜6からなる配線を形成する。
【0005】
基板の表面の電解めっきを施すには、図23に示すように、基板Wの表面に形成したシード層7等の導電層の外周部にカソード接点200を接触させ、基板Wと該基板Wに対向する位置に配置したアノード202との間にめっき液204を満たす。そして、カソード接点200とアノード202との間に電源206によりめっき電流を流すことで、基板Wの導電層上にめっき膜を成膜する。
【0006】
LSI用の半導体ウエハや液晶基板は、年々大面積となる傾向にあり、それに伴う弊害も生じてきた。つまり、大面積の基板Wの場合、基板Wの外周近傍のカソード接点200から基板Wの中央までのシード層7等の導電層の電気抵抗(シート抵抗)が大きくなり、基板Wの面内で電位差が生じて、各部のめっき速度に差が生じてしまう。図23は、代表的な電解めっきの等価回路を示しており、回路中には、以下のような抵抗成分が存在する。
R1:電源206とアノード202との間の電源線抵抗及び各種接触抵抗
R2:アノード202における分極抵抗
R3:めっき液204の抵抗
R4:カソード接点200における分極抵抗
R5:導電層の抵抗(シート抵抗)
R6:カソード接点200と電源206との間の電源線抵抗及び各種接触抵抗
【0007】
図23から明らかなように、導電層の抵抗R5が他の電気抵抗R1〜R4及びR6に比して大きくなると、この抵抗R5の両端に生じる電位差が大きくなり、それに伴ってめっき電流に差が生じる。このため、カソード接点200から遠い位置ではめっき膜の成長速度が低下する。導電層の膜厚が薄いと抵抗R5が更に大きくなって、この現象が顕著に表れてしまう。この現象は、ターミナルエフェクトと呼ばれ、基板Wの面内で電流密度が異なることを意味し、めっき膜の特性自体(めっき膜の抵抗率、純度、埋込特性など)が面内で均一とならない。
【0008】
以上の問題を回避する方法として、導電層の厚さを厚くしたり、導電層の電気導電率を大きくしたりすることが考えられる。しかしながら、基板は、めっき以外の製造工程でも様々な制約を受けるばかりでなく、例えば微細パターン上にスパッタ法で厚い導電層を形成すると、パターン内部にボイドが発生し易くなってしまう。このため、容易に導電層の厚みを厚くしたり、導電層の膜種を変更したりすることはできない。
【0009】
この欠点を防止するため、発明者は、図24に示すように、アノード202と基板Wの間に、めっき液204の電気伝導率よりも小さい電気伝導率の高抵抗構造体208を配置することを提案した。このように構成すると、図24に示すような等価回路となり、図23に示す等価回路に比べて、高抵抗構造体208による抵抗Rpが追加される。このため、高抵抗構造体208による抵抗Rpが大きな値になると、(R2+R3+Rp+R4)/(R2+R3+Rp+R4+R5)は1に近づき、抵抗R5、即ち導電層の抵抗成分(シート抵抗)の影響を受けにくくなる。
【0010】
出願人は、アノードとして、任意の形状に分割された分割アノードを用いることを提案した(特許文献1参照)。また、基板入槽時に、基板の表面(導電層)とアノードとの間に、基板の表面(導電層)に対する平均陰極電流密度で1〜30mA/cmとなるような電圧を印加することも提案した(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2005−213610号公報
【特許文献2】特開2004−218080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、近年の半導体装置の更なる微細化に伴って、半導体ウエハ等の基板の表面に形成されるシード層等の導電層の膜厚が益々薄くなってきており、それとともに、導電層の電気抵抗(シート抵抗)も益々増加する傾向にある。このため、アノードとして分割アノードを使用したとしても、基板の表面に、全面に亘って膜厚が均一なめっき膜を形成することが困難になってきている。特に、65nmノードの現世代にあっては、十分な膜厚の面内均一性を有するめっき膜を形成できたとしても、45nmノードの次世代、更には32nmノードの次々世代と進むにつれて、基板の表面に形成されるめっき膜の膜厚のばらつきが大きくなって、十分な膜厚の面内均一性を有するめっき膜を形成することが困難となると考えられる。
【0012】
更に、シード層の薄膜化に対応するため、シード層を、例えばルテニウムとすると、基板自体の抵抗は一層大きくなる。また、シード層の高抵抗化により、従来使用していた電流レシピでは良好な膜質を得られない問題も発生している。
【0013】
本発明は上記事情に鑑みて為されたもので、銅と同等以上の抵抗率の導電層(シード層)を有した基板に対して、より均一な膜厚で、全面に亘って膜質の良好なめっき膜を成膜できるようにした電解めっき装置及び電解めっき方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の発明は、基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部で保持した基板表面の周縁部に当接して該周縁部をシールするシール材と、前記基板保持部で保持した基板の表面に形成した導電層に接触して通電させるカソード接点と、内部にめっき液に浸漬させるアノードを収納し、前記基板保持部で保持した基板と対向する開口端部に多孔質構造体を配置してめっき液室を区画形成したハウジングを有し、仕切り板と前記多孔質構造体で前記めっき液室が仕切られており、前記アノードは複数に分割された分割アノードから構成されて、各分割アノードは前記めっき液室の各部屋の内部に独立しためっき電流が流せるように配置されていることを特徴とする電解めっき装置である。
【0015】
これにより、例えば、基板上に初期めっき膜を形成する一定期間だけ、中央部側に位置する分割アノードの電流密度をその周辺より高め、基板外周部にめっき電流が集中することを防止して基板の中央部側にもめっき電流が流れるようにし、これによって、より高いシート抵抗をもつ基板に対しても、基板表面のシート抵抗による電流密度の面内差を小さくして、より均一な膜厚のめっき膜を確実に形成することができる。これは、ターミナルエフェクトに対して効果的なため、より均一な膜厚のめっき膜を得ることができる。しかも、各分割アノードのそれぞれの電場が互いに干渉してしまうことを防止して、分割アノードを用いた効果が薄れてしまうことを防止することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、前記多孔質構造体と前記仕切り板と間、及び/または前記仕切り板と前記ハウジングとの間にシールリングが介在されていることを特徴とする請求項1記載の電解めっき装置である。
これにより、多孔質構造体と仕切り板と間、及び/または仕切り板とハウジングとの間をシールリングでシールして、めっき液を通して電流が漏れてしまうことを確実に防止することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、前記アノードは、同心円状に分割された分割アノードから構成され、中央に位置する分割アノードは円板状で、前記仕切り板は、円筒状に形成され、内方に位置する分割アノードの周囲を包囲するように配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の電解めっき装置である。
これにより、電場が分散されることを防止し、中央に位置する円板状の分割アノードに対面する基板の中央部に特化した電流を流すことができるようにして、導電層のシート抵抗の影響を緩和しつつ、基板の中央部にめっきが付き易くすることができる。アノードは、溶解アノードと不溶解アノードのどちらでもよい。
【0018】
請求項4に記載の発明は、前記円板状の分割アノードの直径、及び該円板状の分割アノードの周囲を包囲するように配置された前記仕切り板の内径は、基板の直径の2/3以下であることを特徴とする請求項3記載の電解めっき装置である。
例えば、直径が300mmのウエハの表面にめっき膜を成膜する場合、中央に位置する円板状の分割アノードの直径、及び円板状の分割アノードの周囲を包囲する仕切り板の内径は、いずれも200mm以下で、60mm以上であることが好ましい。
【0019】
前記各分割アノードと前記多孔質構造体との距離は、10mm以内に設定されていることが好ましい。
各分割アノードは多孔質構造体にできる限り近づけることによって、基板の中央部に特化した電流を流すことが容易となる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、前記導電層は、少なくともCu、Ru、Ta、TaN、W、WNC、WC、Pt、ITO、Ti、TiWのいずれかを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電解めっき装置である。
このような導電層は、銅と同等以上の抵抗率を持ち、通常では銅よりも均一なめっきを行うことが難しい。
【0021】
請求項6に記載の発明は、カソード接点を接触させた基板の導電層と該基板の導電層に対面する位置に同心状に複数に分割されて配置させた分割アノードとの間にめっき液を満たし、前記めっき液中に多孔質構造体を配置し、めっき初期に、前記カソード接点と中央部に位置する分割アノードとの間に、前記カソード接点と他の分割アノードとの間よりも高い電流密度の電流を流すことを特徴とする電解めっき方法である。
これにより、ターミナルエフェクトに対してより効果的なめっきを行って、より膜厚の均一なめっき膜を成膜することができる。
めっき初期に、前記カソード接点と中央部に位置する分割アノードとの間に流す電流は、前記基板の導電層に対する平均陰極電流密度で40mA/cm以上で、60mA/cm以下あることが好ましい。
【0022】
前記めっき初期は、めっき開始後、例えば5000msec以内、好ましくは、めっきを開始してから0〜3000msec経過するまでの間である。
めっき初期の時間に幅を持たせることにより、種々の微細電気回路パターンに対して優れた埋め込み性を得ることができる。めっき開始後、5000msec以内に、基板の導電層に対する平均陰極電流密度が40mA/cm以上の電流を複数回流すようにしても良い。基板がめっき液に対してホットエントリーでもコールドエントリーでも適用できる。
【0023】
請求項7に記載の発明は、めっき初期以降に、前記カソード接点と前記中央部に位置する分割アノードとの間に、めっき初期よりも低い電流を流すことを特徴とする請求項6記載の電解めっき方法である。
【0024】
めっき初期に、カソード接点と中央部に位置する分割アノードとの間に高い電流密度の電流を流し、続いて該第1の電流よりも低い(通常の)第2の電流を流すことにより、基板の全面に亘り膜厚の均一なめっき膜を形成することができ、また接点から距離のある基板中心部までも細かい結晶粒子のめっき膜を成膜して、光沢のある膜質の良いめっき膜を全面に亘って成膜することができる。これ以降は、めっき初期の電流密度より高い電流を流しても問題はない。
【0025】
請求項8に記載の発明は、前記めっき初期に、前記カソード接点と前記他の分割アノードとの間に電流を流さないことを特徴とする請求項6または7記載の電解めっき方法である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、アノードを複数に分割した分割アノードで構成し、各分割アノードに、それぞれ互いに絶縁した状態で、異なる電流を流すことで、より良好な面内均一性を持っためっき膜を成膜することができる。また、成膜初期の電流密度を、例えば40mA/cm以上と高くすることで、銅と同等以上の抵抗率の導電層を保有した基板に光沢のある良好な膜質を持っためっきを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。この例は、図22に示すように、銅と同等以上の抵抗率を持つ、例えばCu、Ru、Ta、TaN、W、WNC、WC、Pt、ITO、Ti、TiWのいずれかを有するシード層(導電層)7を有する半導体ウエハ等の基板の表面に電解銅めっきを施して、基板表面に設けた微細な配線用凹部に銅を埋込んで銅からなる配線を形成するようにした例を示している。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態の電解めっき装置を備えた基板処理装置の全体配置図を示す。図1に示すように、この基板処理装置には、同一設備内に位置して、内部に複数の基板Wを収納する2基のロード・アンロード部10と、電解めっき処理及びその付帯処理を行う2基の電解めっき装置12と、ロード・アンロード部10と電解めっき装置12との間で基板Wの受渡しを行う搬送ロボット14と、めっき液タンク16を有するめっき液供給設備18が備えられている。
【0029】
電解めっき装置12には、図2に示すように、めっき処理及びその付帯処理を行う基板処理部20が備えられ、この基板処理部20に隣接して、めっき液を溜めるめっき液トレー22が配置されている。また、回転軸24を中心に揺動する揺動アーム26の先端に保持されて基板処理部20とめっき液トレー22との間を移動する電極ヘッド28を有する電極アーム部30が備えられている。更に、基板処理部20の側方に位置して、プレコート・回収アーム32と、純水やイオン水等の薬液、または気体等を基板に向けて噴射する固定ノズル34が配置されている。この実施の形態にあっては、3個の固定ノズル34が備えられ、その内の1個を純水の供給用に用いている。
【0030】
基板処理部20には、図3に示すように、表面(被めっき面)を上向きにして基板Wを保持する基板保持部36と、この基板保持部36の上方に該基板保持部36の周縁部を囲繞するように配置されたカソード部38が備えられている。更に、基板保持部36の周囲を囲繞して処理中に用いる各種薬液の飛散を防止する有底略円筒状の飛散防止カップ40が、エアシリンダ(図示せず)を介して上下動自在に配置されている。
【0031】
ここで、基板保持部36は、エアシリンダ44によって、下方の基板受渡し位置Aと、上方のめっき位置Bと、これらの中間の前処理・洗浄位置Cとの間を昇降し、図示しない回転モータ及びベルトを介して、任意の加速度及び速度でカソード部38と一体に回転するように構成されている。この基板受渡し位置Aに対向して、電解めっき装置12のフレーム側面の搬送ロボット14側には、基板搬出入口(図示せず)が設けられ、また基板保持部36がめっき位置Bまで上昇した時に、基板保持部36で保持された基板Wの周縁部に下記のカソード部38のシール材90とカソード接点88が当接する。飛散防止カップ40は、その上端が基板搬出入口下方に位置し、図3に仮想線で示すように、上昇した時に基板搬出入口を塞いでカソード部38の上方に達する。
【0032】
めっき液トレー22は、めっき処理を実施していない時に、電極アーム部30の下記の多孔質構造体110及びアノード98をめっき液で湿潤させるためのもので、この多孔質構造体110が収容できる大きさに設定され、図示しないめっき液供給口とめっき液排水口を有している。また、フォトセンサがめっき液トレー22に取付けられており、めっき液トレー22内のめっき液の満水、即ちオーバーフローと排水の検出が可能になっている。
電極アーム部30は、図示しないサーボモータからなる上下動モータとボールねじを介して上下動し、旋回モータを介して、めっき液トレー22と基板処理部20との間を電極ヘッド28が移動するように旋回(揺動)する。
【0033】
プレコート・回収アーム32は、図4に示すように、上下方向に延びる支持軸58の上端に連結されて、ロータリアクチュエータ60を介して旋回(揺動)し、エアシリンダ(図示せず)を介して上下動するよう構成されている。このプレコート・回収アーム32には、その自由端側にプレコート液吐出用のプレコートノズル64が、基端側にめっき液回収用のめっき液回収ノズル66がそれぞれ保持されている。そして、プレコートノズル64は、例えばエアシリンダによって駆動するシリンジに接続されて、プレコート液がプレコートノズル64から間欠的に吐出される。また、めっき液回収ノズル66は、例えばシリンダポンプまたはアスピレータに接続されて、基板上のめっき液がめっき液回収ノズル66から吸引される。
【0034】
基板保持部36は、図5乃至図7に示すように、円板状の基板ステージ68を備え、この基板ステージ68の周縁部の円周方向に沿った6カ所に、上面に基板Wを水平に載置して保持する支持腕70が立設されている。この支持腕70の1つの上端には、基板Wの端面に当接して位置決めする位置決め板72が固着され、この位置決め板72を固着した支持腕70に対向する支持腕70の上端には、基板Wの端面に当接し回動して基板Wを位置決め板72側に押付ける押付け片74が回動自在に支承されている。また、他の4個の支持腕70の上端には、回動して基板Wをこの上方から下方に押付けるチャック爪76が回動自在に支承されている。
【0035】
ここで、押付け片74及びチャック爪76の下端は、コイルばね78を介して下方に付勢した押圧棒80の上端に連結されて、この押圧棒80の下動に伴って押付け片74及びチャック爪76が内方に回動して閉じるようになっており、基板ステージ68の下方には、押圧棒80に下面に当接してこれを上方に押上げる支持板82が配置されている。
【0036】
これにより、基板保持部36が図3に示す基板受渡し位置Aに位置する時、押圧棒80は支持板82に当接し上方に押上げられて、押付け片74及びチャック爪76が外方に回動して開き、基板ステージ68を上昇させると、押圧棒80がコイルばね78の弾性力で下降して、押付け片74及びチャック爪76が内方に回転して閉じる。
【0037】
カソード部38は、図8及び図9に示すように、支持板82(図7等参照)の周縁部に立設した支柱84の上端に固着した環状の枠体86と、この枠体86の下面に内方に突出させて取付けた、この例では6分割されたカソード接点88と、このカソード接点88の上方を覆うように枠体86の上面に取付けた環状のシール材90とを有している。シール材90は、その内周縁部が内方に向け下方に傾斜し、かつ徐々に薄肉となって、内周端部が下方に垂下するように構成されている。
【0038】
これにより、図3に示すように、基板保持部36がめっき位置Bまで上昇した時に、この基板保持部36で保持した基板Wの周縁部にカソード接点88が押付けられて通電し、同時にシール材90の内周端部が基板Wの周縁部上面に圧接し、ここを水密的にシールして、基板Wの上面(被めっき面)に供給されためっき液が基板Wの端部から染み出すのを防止するとともに、めっき液がカソード接点88を汚染することを防止する。
なお、この実施の形態において、カソード部38は、上下動不能で基板保持部36と一体に回転するようになっているが、上下動自在で、下降した時にシール材90が基板Wの被めっき面に圧接するように構成してもよい。
【0039】
前記電極アーム部30の電極ヘッド28は、図10及び図11に示すように、揺動アーム26の自由端にボールベアリング92を介して連結したハウジング94と、このハウジング94の下端開口部を塞ぐように配置された多孔質構造体110とを有している。すなわち、ハウジング94は、下方に開口した有底カップ状に形成され、この下部内周面には、凹状部94aが、多孔質構造体110の上部には、この凹状部94aに嵌合するフランジ部110aがそれぞれ設けられ、このフランジ部110aを凹状部94aに嵌入することで、ハウジング94に多孔質構造体110が保持されている。これによって、ハウジング94の内部に中空のめっき液室100が区画形成されている。
【0040】
このめっき液室100は、円筒状の絶縁材からなる仕切り板150で、同心状の2つの部屋152a,152bに仕切られている。そして、仕切り板150の上端面とハウジング94の天井壁下面との間、及び仕切り板150の下端面と多孔質構造体110の上面との間には、ゴムまたはテフロン(登録商標)等のシールリング154a,154bが介装されている。これによって、各部屋152a,152b内にめっき液で満たしても、このめっき液を介して、一方の部屋152aから他方の部屋152bに電流が流れるのを防止して、各部屋152a,152bが電気的に互いに絶縁されるようになっている。
【0041】
多孔質構造体110は、圧力損失(室温下、厚さ14mmの多孔質構造体に対して、窒素ガスを線速度0.01m/secで通気した場合)が500kPa以上、好ましくは1000kPa以上、更に好ましくは1500kPa以上、または見掛気孔率(JIS R 2205の規定による)が19%以下、好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下で、抵抗率が1.0×10Ω・cm以上の炭化ケイ素、表面を酸化処理した炭化ケイ素、アルミナまたはポリプロピレンやポリエチレンの焼結体等のプラスチック、またはそれらの組合せから構成されている。多孔質構造体110の厚みは、一般的には1〜20mm程度で、5〜20mm程度であることが好ましく、8〜15mm程度であることが更に好ましい。
【0042】
この例では、多孔質構造体110として、圧力損失が1500kPa、または見掛気孔率が10%で、抵抗率が1.0×10Ω・cmの炭化ケイ素(SiC)製のものが使用されている。そして、この多孔質構造体110の内部にめっき液を含有させることで、つまり多孔質構造体110自体は絶縁体であるが、この内部にめっき液を複雑に入り込ませ、厚さ方向にかなり長い経路を辿らせることで、めっき液の電気伝導率より小さい電気伝導率を有するように構成されている。
【0043】
このように、圧力損失が500kPa以上、好ましくは1000kPa以上、更に好ましくは1500kPa以上、または見掛気孔率が19%以下、好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下で、抵抗率が1.0×10Ω・cm以上の炭化ケイ素製等の多孔質構造体110をめっき液室100内に配置し、この多孔質構造体110によって大きな抵抗を発生させることで、たとえ大面積で、表面に薄く電気抵抗が大きなシード層7(図22参照)が形成された基板であっても、シード層7の抵抗の影響を無視できる程度となし、基板Wの表面の電気抵抗による電流密度の面内差を小さくして、めっき膜の面内均一性を向上させることができる。
【0044】
前記めっき液室100内には、多孔質構造体110の上方に位置して、内部に上下に貫通する多数の通孔98cを有するアノード98が配置されている。このアノード98は、同心状に分割された、中央部の円板状アノード98aと周辺部のリング状アノード98bの2つの分割アノードから構成されている。そして、この円板状アノード(分割アノード)98aは、めっき液室100の中央に位置する部屋152a内に配置され、リング状アノード(分割アノード)98bは、めっき液室100の周囲に位置する部屋152b内に配置されている。
【0045】
なお、この例では、めっき液室100を同心状に2つの部屋152a,152bに区分し、同心状に2つに分割した分割アノード98a,98bを各部屋152a,152bにそれぞれ配置した例を示しているが、めっき液室100を同心状に3つ以上の部屋に区分し、同心状に3つ以上に分割した分割アノードを各部屋にそれぞれ配置してもよい。まためっき液室100を任意の形状の部屋に区分し、任意の形状に分割した分割アノードを各部屋に配置するようにしてもよい。
【0046】
ここに、この円板状アノード98aの直径、及び仕切り板150の内径は、それぞれ基板Wの直径の2/3以下で1/5以上の、例えば直径300mmのウエハの表面にめっき膜を形成する場合には、200mm以下で60mm以上であることが好ましい。これにより、電場が分散されることを防止し、中央に位置する円板状アノード98aに対面する基板の中央部に特化した電流を流すことができるようにして、導電層(シード層7)のシート抵抗の影響を緩和しつつ、基板の中央部にめっきが付き易くすることができる。
【0047】
これによって、この例では、仕切り板150の下端に取付けられたシールリング154bと多孔質構造体110の表面が、基板Wの直径の2/3以下で1/5以上の、例えば直径300mmのウエハの表面にめっき膜を形成する場合には、200mm以下で60mm以上の円に沿って互いに接触するようになっている。なお、仕切り板150の内径と円板状アノード98aの外径は、必ずしも一致しなくてもよいことは勿論である。
【0048】
また、各分割アノード98a,98bと多孔質構造体110との距離は、10mm以内であることが好ましい。このように、各分割アノード98a,98bを多孔質構造体110にできる限り近づけることによって、例えば基板の中央部に特化した電流を流すことが容易となる。
【0049】
そして、ハウジング94には、めっき液室100の各部屋152a,152bの内部のめっき液を吸引して排出するめっき液排出口103a,103bが設けられ、このめっき液排出口103a,103bは、めっき液供給設備18(図1参照)から延びるめっき液排出管106に接続されている。更に、ハウジング94の周壁内部には、アノード98及び多孔質構造体110の側方に位置して上下に貫通するめっき液注入部104が設けられている。このめっき液注入部104は、この例では、下端をノズル形状としたチューブで構成され、めっき液供給設備18(図1参照)から延びるめっき液供給管102に接続されている。
【0050】
このめっき液注入部104は、基板保持部36がめっき位置B(図3参照)にある時に、基板保持部36で保持した基板Wと多孔質構造体110の隙間が、例えば0.5〜3mm程度となるまで電極ヘッド28を下降させ、この状態で、アノード98及び多孔質構造体110の側方から、基板Wと多孔質構造体110との間の領域にめっき液を注入するためのもので、シール材90と多孔質構造体110に挟まれた領域で下端のノズル部が開口するようになっている。また、多孔質構造体110の外周部には、ここを電気的にシールドするゴム製のシールドリング112が装着されている。
【0051】
このめっき液注入時には、めっき液注入部104から注入されためっき液は、基板Wの表面に沿って一方向に流れ、このめっき液の流れによって、基板Wと多孔質構造体110との間の領域の空気が外方に押し出されて外部に排出され、この領域がめっき液注入部104から注入された新鮮で組成が調整されためっき液で満たされて、基板Wとシール材90で区画された領域に溜められる。
【0052】
このように、アノード98及び多孔質構造体110の側方から、基板Wと多孔質構造体110との間の領域にめっき液を注入することにより、多孔質構造体110の内部に、絶縁体からなる電解液供給チューブ等の電界分布を乱す要因となるものを設けることなく、めっき液の液張りを行うことができる。これによって、特に大面積の基板であっても、基板の表面全面に亘る電界分布をより均一にするとともに、めっき液を注入する際に、多孔質構造体110で保持しためっき液が多孔質構造体110から漏れてしまうことを防止して、基板保持部36で保持した基板Wと多孔質構造体110が対向する領域内に新鮮で組成が調整されためっき液を供給することができる。
【0053】
ここで、この電解めっき装置12にあっては、液張り時に反応が起こり、この反応による影響によって、例えばめっき膜の埋込みが不能となったり、めっき膜の特性が部分的に変化したりすることがあり、これを防止するためには、めっき液を0.1〜10m/secの線速度で注入し、例えば300mmのウエハにあっては、5秒以内に液張り完了することが望ましい。めっき液注入部104として、このような要求に満たすような任意の形状のものを使用することが好ましい。
ここで、アノード98は、スライムの生成を抑制するため、含有量が0.03〜0.05%のリンを含む銅(含リン銅)で構成されているが、不溶解の不溶性アノードを使用するようにしてもよい。
【0054】
この例では、円板状アノード(分割アノード)98aは、第1めっき電源114aの陽極に、カソード接点88は第1めっき電源114aの陰極にそれぞれ電気的に接続され、リング状アノード(分割アノード)98bは、第2めっき電源114bの陽極に、カソード接点88は第2めっき電源114bの陰極にそれぞれ電気的に接続されるようになっている。これにより、円板状アノード98aとカソード接点88との間、つまり基板Wの表面に形成したシード層(導電層)7(図22参照)の中央部を流れる電流と、リング状アノード98bとカソード接点88との間、つまり基板Wの表面に形成したシード層(導電層)7(図22参照)の周辺部を流れる電流とを個別に調整できるようになっている。
【0055】
なお、共通のめっき電源を使用して、円板状アノード98aとカソード接点88との間を流れる電流と、リング状アノード98bとカソード接点88との間を流れる電流とを個別に調整するようにしてもよい。
【0056】
そして、基板保持部36がめっき位置B(図3参照)にある時に、基板保持部36で保持した基板Wと多孔質構造体110との隙間が、例えば0.5〜3mm程度となるまで電極ヘッド28を下降させる。この状態で、基板Wと多孔質構造体110との領域にめっき液注入部104からめっき液を注入してめっき液で満たし、このめっき液を基板Wとシール材90で区画された領域に溜めてめっき処理を行う。
【0057】
次に、この実施の形態の電解めっき装置12を備えた基板処理装置の操作について説明する。
先ず、ロード・アンロード部10からめっき処理前の基板Wを搬送ロボット14で取出し、表面(被めっき面)を上向きにした状態で、フレームの側面に設けられた基板搬出入口から一方の電解めっき装置12の内部に搬送する。この時、基板保持部36は、下方の基板受渡し位置Aにあり、搬送ロボット14は、そのハンドが基板ステージ68の真上に到達した後に、ハンドを下降させることで、基板Wを支持腕70上に載置する。そして、搬送ロボット14のハンドを、前記基板搬出入口を通って退去させる。
【0058】
搬送ロボット14のハンドの退去が完了した後、飛散防止カップ40を上昇させ、同時に基板受渡し位置Aにあった基板保持部36を前処理・洗浄位置Cに上昇させる。この時、この上昇に伴って、支持腕70上に載置された基板は、位置決め板72と押付け片74で位置決めされ、チャック爪76で確実に把持される。
【0059】
一方、電極アーム部30の電極ヘッド28は、この時点ではめっき液トレー22上の通常位置にあって、多孔質構造体110またはアノード98がめっき液トレー22内に位置しており、この状態で、飛散防止カップ40の上昇と同時に、めっき液トレー22及び電極ヘッド28にめっき液の供給を開始する。そして、基板のめっき工程に移るまで、新しいめっき液を供給し、併せてめっき液排出管106を通じためっき液の吸引を行って、多孔質構造体110に含まれるめっき液の交換と泡抜きを行う。なお、飛散防止カップ40の上昇が完了すると、フレーム側面の基板搬出入口は飛散防止カップ40で塞がれて閉じ、フレーム内外の雰囲気が遮断状態となる。
【0060】
飛散防止カップ40が上昇するとプレコート処理に移る。即ち、基板Wを受取った基板保持部36を回転させ、待避位置にあったプレコート・回収アーム32を基板と対峙する位置へ移動させる。そして、基板保持部36の回転速度が設定値に到達したところで、プレコート・回収アーム32の先端に設けられたプレコートノズル64から、例えば界面活性剤からなるプレコート液を基板の表面(被めっき面)に間欠的に吐出する。この時、基板保持部36が回転しているため、プレコート液は基板Wの表面の全面に行き渡る。次に、プレコート・回収アーム32を待避位置へ戻し、基板保持部36の回転速度を増して、遠心力により基板Wの被めっき面のプレコート液を振り切って乾燥させる。
【0061】
プレコート完了後にめっき処理に移る。先ず、基板保持部36を、この回転を停止、若しくは回転速度をめっき時速度まで低下させた状態で、めっきを施すめっき位置Bまで上昇させる。すると、基板Wの周縁部は、カソード接点88に接触して通電可能な状態となり、同時に基板Wの周縁部上面にシール材90が圧接して、基板Wの周縁部が水密的にシールされる。
【0062】
一方、搬入された基板Wのプレコート処理が完了したという信号に基づいて、電極アーム部30をめっき液トレー22上方からめっき処理を施す位置の上方に電極ヘッド28が位置するように水平方向に旋回させ、しかる後、電極ヘッド28をカソード部38に向かって下降させる。この時、多孔質構造体110を基板Wの表面に接触することなく、0.5mm〜3mm程度に近接した位置とする。そして、めっき液注入部104から基板Wと多孔質構造体110との間の領域にめっき液を注入して該領域をめっき液で満たす。
【0063】
この状態で、図13に示すように、めっき初期(t〜t)にあっては、カソード接点88と中央部に位置する円板状アノード98aとの間に、基板の中央部の導電層(シード層7)に対する平均陰極電極密度がAとなるように、めっき電源114aから第1の電流を流し、カソード接点88と外周部に位置するリング状アノード98bとの間には、基板の外周部の導電層(シード層7)に対する平均陰極電極密度がAとなるように、めっき電源114bから第1の電流を流す。この時、基板中央部における平均陰極電極密度がAの方が、基板外周部における平均陰極電極密度がAより高く(A>A)なるようにする。
【0064】
これにより、基板外周部にめっき電流が集中することを防止して基板の中央部側にもめっき電流が流れるようにし、これによって、より高いシート抵抗をもつ基板に対しても、基板表面のシート抵抗による電流密度の面内差を小さくして、より均一な膜厚のめっき膜を確実に形成することができる。しかも、分割アノード98a,98bの間に仕切り板150を配置し、この仕切り板150の上端面とハウジング94の天井壁下面との間、及び仕切り板150の下端面と多孔質構造体110の上面との間にゴムまたはテフロン(登録商標)等のシールリング154a,154bを介装してシールすることで、各分割アノード98a,98bのそれぞれの電場がめっき液を通して互いに干渉してしまうことを防止して、分割アノード98a,98bを用いた効果が薄れてしまうことを防止することができる。
【0065】
そして、めっき中期(t〜t)にあっては、カソード接点88と中央部に位置する円板状アノード98aとの間に、基板の中央部の導電層(シード層7)に対する平均陰極電極密度がA(=A)となるように、めっき電源114aから第2の電流を流し、カソード接点88と外周部に位置するリング状アノード98bとの間には、基板の外周部の導電層(シード層7)に対する平均陰極電極密度が引き続きAとなるようにめっき電源114bから第2の電流を流す。これによって、基板の全面にほぼ均一のめっき速度でめっき膜を成膜する。
【0066】
めっき後期(t〜t)にあっては、カソード接点88と中央部に位置する円板状アノード98aとの間、及びカソード接点88と外周部に位置するリング状アノード98bとの間に、基板の導電層(シード層7)に対する平均陰極電極密度が共にA(>A=A)となるように、めっき電源114a,114bから第2の電流より高い第3の電流を流す。これによって、基板の全面に、ほぼ均一なより早いめっき速度でめっき膜を成膜する。
【0067】
これにより、図14に示すように、めっき初期に基板の表面に均一な膜厚のめっき膜を成膜し、めっき中期から後期にかけて、めっき膜を膜厚が均一なまま、均一なめっき速度で成長させて、表面が均一な、目標の膜厚を持っためっき膜を得ることができる。
【0068】
ここで、めっき初期(t〜t)に、基板の中央部の導電層(シード層7)に対する平均陰極電極密度Aが、40mA/cm以上で60mA/cm以下(60>A>40(mA/cm))とるように、カソード接点88と中央部に位置する円板状アノード98aとの間に高い第1の電流を流し、めっき中期(t〜t)に、基板の中央部の導電層(シード層7)に対する平均陰極電極密度Aが、40mA/cm以下の、例えば10mA/cm(A=10mA/cm)となるように、第1の電流より低い第2の電流を流すことが好ましい。
【0069】
これにより、カソード接点88から距離のある基板中心部までも細かい結晶粒子のめっき膜を成膜して、光沢のある膜質の良いめっき膜を基板の全面に亘って成膜することができる。これ以降のめっき後期(t〜t)にあっては、めっき初期の電流密度より高い電流を流しても問題はない。
【0070】
めっき初期(t〜t)は、例えば、めっき開始後5000msec以内、好ましくは、めっきを開始した後、0〜3000msec経過するまでの間である。このように、めっき初期の時間に幅を持たせることにより、種々の微細電気回路パターンに対して優れた埋め込み性を得ることができる。めっき開始後5000msec以内、好ましくは、めっきを開始した後、0〜3000msec経過するまでの間に、基板の導電層に対する平均陰極電流密度が40mA/cm以上で60mA/cm以下の電流を複数回流すようにしても良い。
【0071】
この例では、基板Wと多孔質構造体110との間の領域にめっき液を注入して該領域をめっき液で満たした後に、カソード接点88とアノード98との間に電圧を印加してめっきを開始する、いわゆるコールドエントリーを採用しているが、カソード接点88とアノード98との間に電圧を印加しながら、基板Wと多孔質構造体110との間の領域にめっき液を注入してめっきを開始する、いわゆるホットエントリーを採用しても良い。また、めっき初期に、カソード接点88と周辺部に位置するリング状アノード(分割アノード)98bとの間に電流を流さないようにしてよい。
【0072】
めっき処理が完了すると、電極アーム部30を上昇させ旋回させてめっき液トレー22上方へ戻し、通常位置へ下降させる。次に、プレコート・回収アーム32を待避位置から基板Wに対峙する位置へ移動させて下降させ、めっき液回収ノズル66から基板W上のめっき液の残液を回収する。この残液の回収が終了した後、プレコート・回収アーム32を待避位置へ戻し、基板めっき面のリンスのために、純水用の固定ノズル34から基板Wの中央部に純水を吐出し、同時に基板保持部36をスピードを増して回転させて基板Wの表面のめっき液を純水に置換する。このように、基板Wのリンスを行うことで、基板保持部36をめっき位置Bから下降させる際に、めっき液が跳ねて、カソード部38のカソード接点88が汚染されることが防止される。
【0073】
リンス終了後に水洗工程に入る。即ち、基板保持部36をめっき位置Bから前処理・洗浄位置Cへ下降させ、純水用の固定ノズル34から純水を供給しつつ基板保持部36及びカソード部38を回転させて水洗を実施する。この時、カソード部38に直接供給した純水、又は基板Wの面から飛散した純水によってシール材90及びカソード接点88も基板Wと同時に洗浄することができる。
【0074】
水洗完了後にドライ工程に入る。即ち、固定ノズル34からの純水の供給を停止し、更に基板保持部36及びカソード部38の回転スピードを増して、遠心力により基板表面の純水を振り切って乾燥させる。併せて、シール材90及びカソード接点88も乾燥される。ドライ工程が完了すると基板保持部36及びカソード部38の回転を停止させ、基板保持部36を基板受渡し位置Aまで下降させる。すると、チャック爪76による基板Wの把持が解かれ、基板Wは、支持腕70の上面に載置された状態となる。これと同時に、飛散防止カップ40も下降させる。
【0075】
以上でめっき処理及びそれに付帯する前処理や洗浄・乾燥工程の全て工程を終了し、搬送ロボット14は、そのハンドを基板搬出入口から基板Wの下方に挿入し、そのまま上昇させることで、基板保持部36から処理後の基板Wを受取る。そして、搬送ロボット14は、この基板保持部36から受取った処理後の基板Wをロード・アンロード部10に戻す。
【0076】
なお、上記の例では、多孔質構造体110として、圧力損失が1500kPa、または見掛気孔率が10%で、抵抗率が1.0×10Ω・cmの炭化ケイ素製のものを使用した例を示しているが、圧力損失が500kPa以上、好ましくは1000kPa以上、更に好ましくは1500kPa以上、または見掛気孔率が19%以下、好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下で、抵抗率が、好ましくは1.0×10Ω・cm以上に調整した炭化ケイ素等の任意のもの、または、かさ比重及び吸水率の少なくとも一つを調整した任意のものを使用し、カソード接点88とアノード98との間に電圧を印加して、めっきを行うようにしてもよい。これにより、基板の表面における電場の状態が所望の状態になるようにして、電解めっき等の電解処理を行って、基板の表面の電解処理による処理状態を目的とする処理状態とすることができる。
【0077】
また、多孔質構造体110として、内部をめっき液(電解液)で満たした状態での上下両面間における多孔質構造体110の全体の電気抵抗値A(Ω)が基板Wの表面のシード層(導電層)7のシート抵抗(電気抵抗)値B(Ω/□)に対して0.02倍以上(A/B≧0.02)に調整したものを使用してもよい。
【0078】
図15は、カソード接点88とアノード98との間に流すめっき電流とめっき時間の他の関係を示すグラフである。
つまり、めっき初期(t〜t)にあっては、カソード接点88と中央部に位置する円板状アノード98aとの間に、基板の中央部の導電層(シード層7)に対する平均陰極電極密度がAとなるように、めっき電源114aから第1の電流を流し、カソード接点88と外周部に位置するリング状アノード98bとの間には電流を流さない。
【0079】
そして、めっき中期から後期(t〜t)にあっては、カソード接点88と中央部に位置する円板状アノード98aとの間に、基板の中央部の導電層(シード層7)に対する平均陰極電極密度がA(<A)となるように、めっき電源114aから第1の電流より低い第2の電流を流す。同時に、カソード接点88と外周部に位置するリング状アノード98bとの間には、基板の外周部の導電層(シード層7)に対する平均陰極電極密度がA(A<A<A)なるように、めっき電源114bから、めっき初期(t〜t)にカソード接点88と中央部に位置する円板状アノード98aとの間に流す第1の電流より低く、かつめっき中期から後期(t〜t)にカソード接点88と中央部に位置する円板状アノード98aとの間に流す第2の電流より高い電流を流す。
【0080】
これによって、めっき初期に、基板の周縁部にめっき膜が成膜されるのを極力防止しつつ、基板の中央部にもめっき膜が成膜し、めっき中期から後期にかけては、基板の中央部と周辺部に成膜されるめっき膜のめっき速度が等しくなり、より面内均一性の優れためっき膜を成膜することができる。
【0081】
なお、前述と同様に、めっき初期(t〜t)に、基板の中央部の導電層(シード層7)に対する平均陰極電極密度Aが、40mA/cm以上60mA/cm以下(60>A>40(mA/cm))とるように、カソード接点88と中央部に位置する円板状アノード98aとの間に高い第1の電流を流すことが好ましい。また、めっき初期(t〜t)は、例えば、めっき開始後5000msec以内、好ましくは、めっきを開始した後、0〜3000msec経過するまでの間である。
【0082】
直径が150mmの円板状カソード98aを使用し、図15に示す条件(レシピ)で、300mmウエハに成膜した、シード層としてのルテニウム膜(導電層)の表面に銅膜を成膜した時のウエハ(基板)位置と銅膜の膜厚との関係を図16に実線で示す。なお、図16において、参考のため、通常の条件、つまり分割カソードを使用することなく、一枚板からなるカソードとルテニウム膜とを互いに対峙させ、めっき液の存在下で、カソードとルテニウム膜との間に一定電流を所定時間流して該ルテニウム膜の表面に銅膜を成膜した時のウエハ位置と銅膜の膜厚との関係を波線で示している。
【0083】
この図16から、300mmウエハのルテニウム膜の表面に、通常の条件で銅めっきを行うと、ターミナルエフェクトによって、周縁部の膜厚が中央部の膜厚より厚い銅膜が成膜されるが、この例によれば、面内均一性の高い銅膜を成膜できることが判る。
【0084】
直径が150mmの円板状カソード98aを使用し、300mmウエハに成膜した、シード層としてのルテニウム膜(導電層)の表面に、カソード接点88と外周部に位置するリング状アノード98bとの間にはめっき電流を流すことなく、カソード接点88と中央部に位置する円板状アノード98aとの間にのみめっき電流を流して初期銅めっきを行った時のウエハ(基板)位置と銅膜の膜厚の関係を図17に(●)で示す。なお、参考として、仕切り板150の上端面とハウジング94の天井壁下面との間、及び仕切り板150の下端面と多孔質構造体110の上面との間のシールリング154a,154bを除いて、上記と同様に初期銅めっきを行った時のウエハ(基板)位置と銅膜の膜厚の関係を図17に(×)で示している。
【0085】
この図17から、仕切り板150の上端面とハウジング94の天井壁下面との間、及び仕切り板150の下端面と多孔質構造体110の上面との間にシールリング154a,154bを介在させ、仕切り板150の上端面とハウジング94の天井壁下面との間、及び仕切り板150の下端面と多孔質構造体110の上面との間をシールリング154a,154bでシールしてめっき液の流通を確実に阻止することにより、初期めっきで基板の中央部に選択的に銅膜を成膜でき、これによって、分割アノード98a,98bを用いた効果を最大限に発揮させ得ることが判る。
【0086】
なお、例えば仕切り板150の上端面をハウジング94の天井壁下面に、仕切り板150の下端面と多孔質構造体110の上面にそれぞれ圧接させて、仕切り板150の上端面とハウジング94の天井壁下面との間、及び仕切り板150の下端面と多孔質構造体110の上面との間をシールできる場合には、シールリングは必ずしも必要ではないことは勿論である。
【0087】
図18は、他の電解めっき装置の電極ヘッド及び基板保持部で保持した基板を概略的に示す電解めっき時における断面図である。この図18に示す電解めっき装置と、前述の図2乃至図12に示す電解めっき装置12と異なる点は、めっき液室100内に仕切り板150を設けることなく、めっき液室100の内部に、円板状のアノード98を配置し、更に、アノード98とカソード接点88との間に、めっき電源114からめっき電圧を印加するとともに、めっき液室100内のめっき液をめっき液排出口103から外部に排出するようにした点にある。その他の構成は、前述の図2乃至図12に示す電解めっき装置12とほぼ同様である。
【0088】
この図18に示す電解めっき装置を使用して、図19(a)に示すように、めっき初期から中期(t〜t10)に、基板の導電層(シード層7)に対する平均陰極電極密度A10が、通常の、例えば10mA/cm(A10=10mA/cm)とるように、めっき後期(t10〜t11)には、基板の導電層(シード層7)に対する平均陰極電極密度A11が、めっき初期から中期の平均陰極電極密度A10よりも高く(A11>A10)なるように、カソード接点88とアノード98との間にめっき電流を流して、ルテニウム膜からなるシード層7の表面にめっきを行った。この時、図20(a)に示すように、ルテニウム膜の表面に成膜されためっき膜の周縁部に曇り(Haze)Hが見られた。
【0089】
これに対して、図19(b)に示すように、めっき初期(t〜t)に、基板の導電層(シード層7)に対する平均陰極電極密度A12が、通常の、例えば10mA/cmより高い、例えば40mA/cm(A12≧40mA/cm)となり、めっき中期から後期(t〜t11)に、通常のめっき電流となるようにカソード接点88とアノード98との間にめっき電流を流して、ルテニウム膜からなるシード層7の表面にめっきを行った。この時、図20(b)に示すように、ルテニウム膜の表面に成膜されためっき膜の周縁部に曇り(Haze)は見られず、全面に亘る光沢面が得られたことが確かめられている。
【0090】
めっき初期(t〜t)は、例えば、めっき開始後5000msec以内である。めっき開始後、5000msec以内に、基板の導電層に対する平均陰極電流密度が40mA/cm以上の電流を複数回流すようにしても良い。
【0091】
図21は、本発明の他の実施の形態の電解めっき装置を示す。この電解めっき装置は、上方に開口し内部にめっき液600を保持する円筒状のハウジング(めっき槽)602と、表面を下向きにして半導体ウエハ等の基板Wを着脱自在に保持して該基板Wをハウジング602の上端開口部を塞ぐ位置に配置する回転自在な基板保持部604とを有している。この例にあっては、基板Wは、基板保持部604に設けたカソード接点(図示せず)に接触して通電し、シール材(図示せず)で周縁部をシールされた状態で基板保持部604に保持される。
【0092】
ハウジング602の上端開口部には、多孔質構造体632が配置され、これによって、ハウジング602の内部にめっき液室650が区画形成されている。めっき液室650は、円筒状の絶縁材からなる仕切り板652で、同心状の2つの部屋654a,654bに仕切られている。そして、仕切り板652の下端面とハウジング602の底壁上面との間、及び仕切り板652の上端面と多孔質構造体632の下面との間には、ゴムまたはテフロン(登録商標)等のシールリング656a,656bが介装されている。なお、ハウジング602と仕切り板652は、一体となっていても良い。
【0093】
めっき液室650内には、多孔質構造体632の下方に位置して、アノード606が水平に配置されている。このアノード606は、同心状に分割された、中央部の円板状アノード606aと周辺部のリング状アノード606bの2つの分割アノードから構成されている。そして、この円板状アノード(分割アノード)606aは、めっき液室650の中央に位置する部屋654a内に配置され、リング状アノード(分割アノード)606bは、めっき液室650の周囲に位置する部屋654b内に配置されている。このアノード606は、例えば銅の板あるいは、銅の球の集合体よりなる。
【0094】
円板状アノード(分割アノード)606aは、第1めっき電源658aの陽極に、リング状アノード(分割アノード)606bは、第2めっき電源658bの陽極にそれぞれ電気的に接続され、これらのめっき電源658a,658bの陰極は、基板保持部604に設けたカソード接点(図示せず)にそれぞれ電気的に接続されるようになっている。
【0095】
ハウジング602の底部は、内部にポンプ608を設置し、2つに分岐してめっき液室650の各部屋654a,654bにめっき液600を供給するめっき液供給管610a,610bにそれぞれ接続されている。ハウジング602の外側には、めっき液受け612が配置されている。更に、このめっき液受け612内に流入しためっき液は、めっき液戻り管614からポンプ608に戻されるようになっている。
【0096】
これにより、ハウジング602の上部に基板Wを基板保持部604で下向きに保持して配置して回転させ、各分割アノード606a,606bと基板Wの導電層(シード層7)の間に所定の電圧を印加しつつ、ポンプ608を駆動してめっき液600をハウジング602内に導入することで、各分割アノード606a,606bと基板Wの導電層(シード層)の間にめっき電流を流して、基板Wの下面にめっき膜を形成するようにしている。この時、ハウジング602をオーバーフローしためっき液600は、めっき液受け612で回収されて循環する。
この例にあっても、前述と同様な制御を行うことで、基板の表面に均一な膜厚のめっき膜を成膜することができる。
【0097】
これまで本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。例えば、本発明は、300mmのウエハのみではなく、次世代のウエハにも対応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の実施の形態の電解めっき装置を備えた基板処理装置の全体を示す平面図である。
【図2】図1に示す電解めっき装置の平面図である。
【図3】図1に示す電解めっき装置の基板保持部及びカソード部の拡大断面図である。
【図4】図1に示す電解めっき装置のプレコート・回収アームを示す正面図である。
【図5】図1に示す電解めっき装置の基板保持部の平面図である。
【図6】図5のB−B線断面図である。
【図7】図5のC−C線断面図である。
【図8】図1に示す電解めっき装置のカソード部の平面図である。
【図9】図8のD−D線断面図である。
【図10】図1に示す電解めっき装置の電極アーム部の平面図である。
【図11】図1に示す電解めっき装置の電極ヘッド及び基板保持部で保持した基板を概略的に示す電解めっき時における断面図である。
【図12】図1に示す電解めっき装置のアノードを示す平面図である。
【図13】図1に示す電解めっき装置において、カソード接点とアノードとの間に流すめっき電流とめっき時間の関係を示すグラフである。
【図14】図13に示すめっき電流を流した時にめっき膜が成長する様子を模式的に示すグラフである。
【図15】図1に示す電解めっき装置において、カソード接点とアノードとの間に流すめっき電流とめっき時間の他の関係を示すグラフである。
【図16】図15に示す条件(レシピ)でルテニウム膜(導電層)の表面に銅膜を成膜した時のウエハ(基板)位置と銅膜の膜厚との関係を実線で、通常の電解めっきでルテニウム膜(導電層)の表面に銅膜を成膜した時のウエハ(基板)位置と銅膜の膜厚との関係を波線でそれぞれ示すグラフである。
【図17】図1に示す電解めっき装置でルテニウム膜(導電層)の表面に初期銅めっきを行った時のウエハ(基板)位置と銅膜の膜厚の関係を(●)で、図1に示す電解めっき装置からはシールリングの除いた装置でルテニウム膜(導電層)の表面に初期銅めっきを行った時のウエハ(基板)位置と銅膜の膜厚の関係を(×)でそれぞれ示すグラフである。
【図18】他の電解めっき装置の電極ヘッド及び基板保持部で保持した基板を概略的に示す電解めっき時における断面図である。
【図19】図18に示す電解めっき装置において、めっき初期に高電流を流して電解めっきを行った場合(a)と、めっき初期に高電流を流さないで電解めっきを行った場合(b)における、めっき時間とめっき電流の関係を示すグラフである。
【図20】図18に示す電解めっき装置において、めっき初期に高電流を流して電解めっきを行った場合(a)と、めっき初期に高電流を流さないで電解めっきを行った場合(b)における、めっき膜の表面を模式的に示す図である。
【図21】本発明の他の実施の形態の電解めっき装置を示す概要図である。
【図22】めっき処理によって銅配線を形成する例を工程順に示す図である。
【図23】従来の電解めっき装置を示す図である。
【図24】本発明に用いられる電解めっき装置の基本構成を示す図である。
【符号の説明】
【0099】
6 銅膜
7 シード層(導電層)
10 ロード・アンロード部
12 電解めっき装置
20 基板処理部
26 揺動アーム
28 電極ヘッド
36,604 基板保持部
38 カソード部
40 飛散防止カップ
68 基板ステージ
70 支持腕
86 枠体
88 カソード接点
90 シール材
94,602 ハウジング
98,606 アノード
98a,606a 円板状アノード(分割アノード)
98b,606b リング状アノード(分割アノード)
100,650 めっき液室
102 めっき液供給管
103a,103b めっき液排出口
104 めっき液注入部
106 めっき液排出管
110,632 多孔質構造体
112 シールドリング
114a,114b,658a,658b 電源
150,652 仕切り板
152a,152b,654a,654b 部屋
154a,154b,656a,656b シールリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部で保持した基板表面の周縁部に当接して該周縁部をシールするシール材と、
前記基板保持部で保持した基板の表面に形成した導電層に接触して通電させるカソード接点と、
内部にめっき液に浸漬させるアノードを収納し、前記基板保持部で保持した基板と対向する開口端部に多孔質構造体を配置してめっき液室を区画形成したハウジングを有し、
仕切り板と前記多孔質構造体で前記めっき液室が仕切られており、前記アノードは複数に分割された分割アノードから構成されて、各分割アノードは前記めっき液室の各部屋の内部に独立しためっき電流が流せるように配置されていることを特徴とする電解めっき装置。
【請求項2】
前記多孔質構造体と前記仕切り板と間、及び/または前記仕切り板と前記ハウジングとの間にシールリングが介在されていることを特徴とする請求項1記載の電解めっき装置。
【請求項3】
前記アノードは、同心円状に分割された分割アノードから構成され、中央に位置する分割アノードは円板状で、前記仕切り板は、円筒状に形成され、内方に位置する分割アノードの周囲を包囲するように配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の電解めっき装置。
【請求項4】
前記円板状の分割アノードの直径、及び該円板状の分割アノードの周囲を包囲するように配置された前記仕切り板の内径は、基板の直径の2/3以下であることを特徴とする請求項3記載の電解めっき装置。
【請求項5】
前記導電層は、少なくともCu、Ru、Ta、TaN、W、WNC、WC、Pt、ITO、Ti、TiWのいずれかを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電解めっき装置。
【請求項6】
カソード接点を接触させた基板の導電層と該基板の導電層に対面する位置に同心状に複数に分割されて配置させた分割アノードとの間にめっき液を満たし、
前記めっき液中に多孔質構造体を配置し、
めっき初期に、前記カソード接点と中央部に位置する分割アノードとの間に、前記カソード接点と他の分割アノードとの間よりも高い電流密度の電流を流すことを特徴とする電解めっき方法。
【請求項7】
めっき初期以降に、前記カソード接点と前記中央部に位置する分割アノードとの間に、めっき初期よりも低い電流を流すことを特徴とする請求項6記載の電解めっき方法。
【請求項8】
前記めっき初期に、前記カソード接点と前記他の分割アノードとの間に電流を流さないことを特徴とする請求項6または7記載の電解めっき方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2007−254882(P2007−254882A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−33221(P2007−33221)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】