説明

非定形型抗精神病薬と、GABA調節薬及び/又は抗痙攣薬の治療上の組合せ

本発明は、非定形型抗精神病薬とGABA調節薬、ベンゾジアゼピン、及び/又は抗痙攣薬の組合せ、そうした組合せを含むキット、そうした組合せを含む医薬組成物、及び治療抵抗性不安障害、精神病性障害又は精神病、或いは気分障害又は気分病を患う患者を治療するためにそうした組合せを使用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジペラシドン、そのプロドラッグ、又はジプラシドン若しくは該プロドラッグの医薬として許容される塩と、GABA調節薬、そのプロドラッグ、又はGABA調節薬若しくは該プロドラッグの医薬として許容される塩、或いは抗痙攣薬、そのプロドラッグ、又は抗痙攣薬若しくは該プロドラッグの医薬として許容される抗痙攣薬、及び/又はベンゾジアゼピン、そのプロドラッグ、又はベンゾジアゼピン若しくは該プロドラッグの医薬として許容される塩との組合せを含む医薬組成物、そうした組合せを含むキット、並びにヒトを含む患者であって、治療抵抗性不安症、精神病性障害又は精神病、或いは気分障害又は気分病を患う患者を治療するためのそうした組合せを使用する方法に関する。本発明はまた、ジプラシドン、そのプロドラッグ、又は医薬として許容されるジプラシドンの塩と、GABA調節薬、そのプロドラッグ、又はGABA調節薬若しくは該プロドラッグの医薬として許容される塩との相加的及び相乗的組合わせに関し、それにより当該相加的及び相乗的組合せは、治療抵抗性不安症、精神病性障害又は精神病、及び/又は気分障害又は気分病を患うヒトを含む患者の治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
統合失調症は、現実との接触を失うこと(精神病)、幻覚(妄覚)、妄想(誤った信念)、異常思考、感情抑揚欠失、意欲低下、及び仕事阻害及び社会生活機能阻害により特徴付けられる一般的かつ重大な精神障害である。
【0003】
非定形型精神病薬は、10年前まで、治療の主力であった慣用の抗精神病薬を超えるいくらかの臨床利益を提供する。非定形型薬剤の多くの臨床利益の基礎を成す主たるメカニズムは、錐体外路系の副作用(EPS)から抗精神病効果を分離する能力である。伝統的抗精神病薬を超える目立った利益は、陰性症状及び認知性症状の大幅な改善、良好な抗うつ効果及び気分安定効果、パーキンソン症候群の副作用及び遅発性ジスキネジーの危険性の低下、並びに難治性又は治療抵抗性の患者における効力の増大を含む。
【0004】
非定形型精神病薬及び慣用の精神病薬の臨床プロファイルは、それらの異なる薬理プロファイルの点で理解できる。慣用の抗精神病薬は、ドーパミン(D2)受容体のアンタゴニストである。非定形型抗精神病薬はまた、D2アンタゴニストの性質を有するが、これらの受容体への異なる結合キネティクスを有し、そして他の受容体、特に5−HT2A、5−HT2C、及び5-HT1Dにおける活性を有する(Schmidt B et al.、Soc. Neurosci. Abstr. 24:2177、1998)。
【0005】
非定形型抗精神病薬の類は、クロザピン(クロザピル(商標))、リペルシドン(リスパーダール(商標))、オランザピン(ジプレキサ(商標)), クエチアピン(セロクエル(商標))、アリピプラゾール(アビリファイ(商標))、及びジプラシドン(ゲオドン(geodon)(商標))を含む。ジプラシドンは、非定形型抗精神病薬であり、統合失調症の治療におけるその効力は、短期間及び長期間の研究の両方を含む大規模の臨床試験プログラムにおいて試験された。ジプラシドンは、統合失調症又は精神病性障害の治療に向けられており、そして種々の気分障害、精神医学的障害、及び重度の人格障害で広く使用される。
【0006】
本明細書中に援用された同一出願人による米国特許第4,831,031号、第4,883,795号、第6,245,766号、及び第6,126,373号のそれぞれにより、ジプラシドンが治療抵抗性不安障害、精神病性障害、及び気分障害の治療において有用性を有することが開示された。
【0007】
本明細書中に使用される「ジプラシドン」という用語は、他に記載がない限り、ジプラシドン化合物の遊離塩基及び全ての医薬として許容されるその塩を包含する。
【0008】
GABAは、患者の中枢神経系(CNS)における主要な阻害性神経伝達物質である。GABA受容体は、CNSニューロンの60〜80%において見つけられる。GABA受容体のアロステリック促進は、幾つかの異なった部位で生じ;該部位に結合する化合物は、鎮静剤及び抗不安薬として使用される。
【0009】
GABA調節薬が癲癇、ハンチントン舞踏病、脳虚血、パーキンソン病、遅発性ジスキネジア、及び痙縮などの中枢神経系疾患の抗発作治療において有用であることが開示された。GABAアゴニストはまた、有用な抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬であると開示されてきた。
【0010】
本明細書中に援用される同一出願人による米国特許第4,024,175号は、GABA調節薬が、治療抵抗性不安症、精神病性障害及び精神病、並びに気分障害及び気分病の治療において有用性を有することを開示する。
【0011】
当該技術分野に周知であるGABA調節薬は、ムシモール、プロガビド、リルゾール、バクロフェン、ガバペンチン(ニューロチン(商標))、ビガバトリン、バルプロ酸、(デパケン(商標)、デパコート(商標))、チアガビン(ガビトリル(商標))、ラモトリギン(ラミクタール(商標))、プレガバリン、トピラマート(トパマックス(商標))、及びアナログ、誘導体、プロドラッグ、並びにこれらのGABA調節薬の医薬として許容される塩を含む。
【0012】
ベンゾジアゼピンは、広範囲の疾患に関して、数十年間使用されてきた。ベンゾジアゼピンの主要な既知の効果は、抗痙攣性、筋肉弛緩、鎮静、催眠、抗不安、及び抗精神病性の作用である。ベンゾジアゼピン薬剤の効果の基礎を成すメカニズムは、知られていないが、CNSのGABA系に関すると信じられている。
【0013】
抗不安又は抗精神病性の効果のいずれかが所望される場合、ベンゾジアゼピンの鎮静及び催眠効果がベンゾジアゼピンの高用量の使用を禁止するか、又はそれにもかかわらずそうした高用量が治療の妥当な効果を得るために必要である場合、患者を入院させることを必要とするということが問題となることが多い。障害又は病気、例えば不安症に対して使用される用量でさえ、ベンゾジアゼピンの鎮静効果は不都合でありうる。
【0014】
DSM-IVによると、全般性不安障害は、少なくとも6ヶ月の間、多くの出来事及び活動についての持続性かつ過剰な不安及び心配が起こる日が起こらない日より多いことにより特徴づけられる。不安障害は、米国において最も一般的な精神疾患の形態であり、年間1900万人以上の成人に影響を与えている。不安障害の治療は、選択的セロトニン再吸収阻害剤(SSRIs)、ブスピロン、ベンラファキシン、及びベンゾジアゼピンを含む。不安に対して有用性を有する治療剤として調べられた定形型及び非定形型抗精神病薬は、より耐えられる副作用プロファイル及び遅発性ジスキネジアの発生の低下を示した。ジプラシドンのセロトニン作動性性質は、ジプラシドンを不安障害の治療に有用なものとした。
【0015】
ベンゾジアゼピン及び抗うつ薬で報告された完全寛解の割合が低いことは、そのままであり、それによりこの慢性疾患における能力及び苦痛を低減する代わりの増強戦略を正当化する。
【0016】
心的外傷後ストレス症候群(PTSD)は、重大でありしばしば慢性となる精神疾患である。PTSDは、米国おいて約10%の生涯人口有病率を有し、精神病障害の中で最も普及しているものとなる。最も一般的な外傷性ストレス要因は、レイプ、家庭内暴力、幼児虐待、暴行、事故、及び災害である。PTSDは、3つのクラスター、侵入性、回避性、及び覚醒性のクラスターの症状により特徴付けられる。侵入性症状のクラスター(フラッシュバック、悪夢、侵入性想起症状、外傷を思い起こすものに対する肉体的及び精神的覚醒)は、PTSD固有なものと考えられ、そして他の精神医学的状態のいずれにおいても見られない。DSM-IVの不安障害として分類されるが、PTSDは、患者のおおよそ半数において精神病の症状を付随する。治療は、選択的セロトニン再吸収阻害剤(SSRIs)、例えばセルトラリン、GABA調節薬、及びベンゾジアゼピンを含む。精神病症状は、抗精神病薬での追加治療として治療される。それゆえ、組合せ製品は、患者人口において有用性を有するであろう。
【0017】
気分障害は、情動障害としても知られており、異種性、典型的には単極性(うつ病性)及び双極性(躁鬱性)障害、気分変調性障害、及び気分循環性障害を含む再発性の疾病であって、広汎性気分障害、精神運動性機能不全、及び植物性症状(Vegitative symptom)により特徴付けられる疾病である。気分障害は、一生の中で20%の女性及び12%の男性に影響を与えうる。気分障害は、精神障害の最も広く行き渡っているものであり、精神病の通院患者の65%ほどを占め、そして非精神医療の場において見られる患者全ての10%を占める(The Merck Manual, 第17版、Merck & Co. 1999, p. 1526)。
【0018】
気分障害の標準であるリチウムは、約50%の応答割合しか持たず、そして副作用を付随する。抗痙攣薬は、気分障害において気分安定剤として使用されており、そして双極性障害における使用に適応される。例えば、一日あたり500〜2000mgの用量のバルプロ酸及び誘導体、例えばジバルプロックス・ナトリウム、又はカルバマゼピンは、限られた効力を示した。抗精神病薬はまた、当該患者人口において臨床的に使用される。抗痙攣病薬及び非定形型抗精神病薬を含む組合せ製品は、当該患者の治療において有意な有用性を有するであろう。
【0019】
精神疾患は、全ての患者が同じ治療投薬計画に対して同様に反応しないという点で、特に治療することが難しい。患者は複数の薬剤治療を必要とすることが多い。治療されていない人及び有効な治療を必要とする治療抵抗性の患者が多く存在する。
【0020】
患者の服薬無視の問題が、これを悪化させている。例えば、精神疾患を患う患者のかなりの数が、服薬を全く又は一部しか守らないと、通常考えられている。服薬遵守の低さは、再発を引き起こし、それにより開始時の治療を通して達成された利益の全てを無効にしうる。
【0021】
幾つかの治療薬剤を組み合わせることによる投薬計画の単純化は、より厳格なスケジュールから生じる患者の服薬無視の機会を低減する。治療抵抗性不安症、精神病性障害及び精神病、及び気分障害の治療のための非定形型抗精神病薬の有効性を利用する医薬組成物及び医薬キットへの必要性が存在する。
【発明の開示】
【0022】
本発明は、治療抵抗性不安症、精神病性障害及び精神病性症状、並びに気分障害及び気分病の治療のためのジプラシドンと、GABA調節薬、抗痙攣薬、及びベンゾジアゼピンの新規の医薬組合せにおける欠点を低減又は克服する組成物に関する。
【0023】
本発明は、非定形型精神病薬を、GABA調節薬、抗痙攣薬、又はベンゾジアゼピンと供に使用する医薬組成物、治療方法、及びキットに関する。
【0024】
本発明に従うと、本発明の医薬の組合せが、少ない副作用で相加的及び相乗的効果を提供でき、そして抗うつ薬、鎮静剤、及び気分安定剤、例えばリチウムなどの併用する向精神病薬の使用量の低下を提供できるということが驚くべきことに発見された。
【0025】
1の態様に従って、本発明は、非定形型抗精神病薬と、GABA調節薬、又は抗痙攣薬又はベンゾジアゼピンとの組合せを提供する。本発明において使用されうる非定形型抗精神病薬は、オラナザピン(olanazapine)、クロザピン、リスペリドン、セルチンドール、クエチアピン、アリピプラゾール、アミスルプリド、及びジプラシドンを含む。一般的に、医薬の組合せ及びジプラシドンを第一治療薬として使用する治療方法が好ましい。
【0026】
本発明のさらなる特徴は、抗不安、抗精神病、及び気分安定効果を提供するために必要とされる非定形型抗精神病薬の量の低減方法であって、本発明に記載される治療有効量の薬剤の組合せで患者を処置することを含む前記方法である。
【0027】
そうした薬剤の組合せの使用が、使用される非定形型抗精神病薬の効果を亢進し、そしてそれゆえ使用される抗精神病薬の量を低減を許容し、そしてそれゆえ薬物に関連する毒性及び副作用のよりよい調節を許容する。
【0028】
本発明は、神経精神障害の従来の治療方法に対する有利な点を提供する。例えば、本発明の治療方法において、非定形型抗精神病薬は、ベンゾジアゼピンの特有の鎮静及び催眠効果を妨げる。本発明の他の特徴及び有利な点は、以下の詳細な記載及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
発明の詳細な記載
本発明は、ある量のジプラシドン、そのプロドラッグ、又はジプラシドン若しくは該プロドラッグの医薬として許容される塩と;ある量のGABA調節薬、抗痙攣薬、及び/又はベンゾジアゼピン、それらのプロドラッグ、又は該GABA調節薬、抗痙攣薬、若しくはベンゾジアゼピンの医薬として許容される塩;並びに医薬として許容される溶媒、担体、又は希釈剤を含む医薬組成物に関する。
【0030】
本発明はまた、治療抵抗性不安障害の治療に有用であるジプラシドンとGABA調節薬、気分障害又は精神病性生涯の治療に有用であるジプラシドンと抗痙攣薬、治療抵抗性不安症及び/又は精神病性障害又は精神病の治療において有効なジプラシドンとベンゾジアゼピンを含む治療方法及び医薬組成物に関する。
【0031】
本発明はまた、治療抵抗性不安障害の治療に有用であるジプラシドンとGABA調節薬を含む治療方法及び医薬組成物にもに関する。
【0032】
本発明は、精神病性障害若しくは病気、又は治療抵抗性不安性障害の治療に有用であるジプラシドンとベンゾジアゼピンを含む治療方法及び医薬組成物にさらに関する。
【0033】
本発明は、気分障害又は気分病、精神病性障害又は精神病、或いは精神病性症状の治療に有用なジプラシドンと抗痙攣薬を含む治療方法及び医薬組成物にさらに関する。
【0034】
本発明はまた、患者において治療効果を達成するためのキットであって、第一ユニット投与形態中のある量のジプラシドン、そのプロドラッグ、又は該ジプラシドンの医薬として許容される塩、及び医薬として許容される溶媒、担体、又は希釈剤;並びに第二ユニット投与形態中のある量のGABA調節薬又は抗痙攣薬又はベンゾジアゼピン、それらのプロドラッグ、又は該GABA調節薬、抗痙攣薬、又はベンゾジアゼピンの医薬として許容される塩、及び医薬として許容される溶媒、担体、又は希釈剤、並びに容器を含むキットに関する。
【0035】
本発明は、治療を必要とする患者の治療方法であって、当該患者に
ある量の第一薬剤、ここで第一薬剤はジプラシドン、そのプロドラッグ、又はジプラシドンの医薬として許容される塩である、及び
ある量の第二化合物、ここで第二化合物はGABA調節薬、抗痙攣薬、又はベンゾジアゼピン、それらのプロドラッグ、又は該GABA調節薬、抗痙攣薬、又はベンゾジアゼピンの医薬として許容される塩である
を投与することを含む方法に関する。
【0036】
本発明は、治療を必要とする患者の治療方法であって、該患者に、
ある量の第一化合物、ここで該第一化合物は、ジプラシドン、そのプロドラッグ、又はジプラシドン若しくは該プロドラッグの医薬として許容される塩である、及び
ある量の第二化合物、ここで該第二化合物は、GABA調節薬、抗痙攣薬、又はベンゾジアゼピン、それらのプロドラッグ、或いは該GABA調節薬、抗痙攣薬、若しくはベンゾジアゼピン、又は該プロドラッグの医薬として許容される塩である
を投与することを含み、ここで該第一化合物及び該第二化合物が、場合により各々及び独立して医薬として許容される溶媒、担体、又は希釈剤と供に投与される方法に関する。
【0037】
本発明はまた、治療を必要とする患者の治療方法であって、
a)ある量の第一化合物、ここで第一化合物は、ジプラシドン、ジプラシドンの医薬として許容される塩、ジプラシドンのプロドラッグ、又はジプラシドン・プロドラッグの医薬として許容される塩である;及び
b)ある量の第二化合物、ここで該第二化合物は、GABA調節薬、抗痙攣薬、ベンゾジアゼピン、それらのプロドラッグ、或いはGABA調節薬、抗痙攣薬、若しくはベンゾジアゼピン、又は該プロドラッグの医薬として許容される塩;並びに、
場合により医薬として許容される溶媒、担体、又は希釈剤
を含む医薬組成物を患者に投与することを含む方法に関する。
【0038】
本発明の方法は、治療抵抗性不安症の治療処置を含む。本発明の方法により治療されうる治療抵抗性不安症は、とりわけ、治療抵抗性強迫性障害又は治療抵抗性外傷後ストレス障害を含む。
【0039】
本発明の方法は、精神病性障害又は精神病の治療処置を含む。本発明の方法により治療されうる精神病性障害は、とりわけ、統合失調症、統合失調症様障害、分裂感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害を含む。
【0040】
本発明の方法は、気分障害又は気分病の治療処置を含む。気分障害は、単極性(うつ病)および双極性(躁鬱病)障害を含む異種の病気群であって、広汎性気分障害、精神運動性機能不全、及び植物性症状により特徴付けられる病気群である。うつ病及び躁病が情動性の中心的構成要素である一方で、不安症及び興奮性も同等に一般的であり、以前の公式名である「情動性障害」が継続して広く使用されることを説明している。
【0041】
本発明の組合せ、医薬組成物、方法、及びキットにおいて使用される好ましいGABA調節薬は、ムシモール、プロガビド、リルゾール、バクロフェン、ガバペンチン(ニューロチン(商標))、ビガバトリン、バルプロ酸、チアガビン(ガビトリル(商標))、ラモトリギン(ラミクタール(商標))、プレガバリン、フェニトイン(ディランチン(商標))、カルバマゼピン(テグレトール(商標))、トピラマート(トパマックス(商標))、それらのプロドラッグ、及びGABA調節薬及び該プロドラッグの医薬として許容される塩を含む。
【0042】
本発明の組合せ、医薬組成物、方法、及びキットにおいて使用するためのより好ましいGABA調節薬は、ガバペンチン、チアガビン、ラモトリギン、トピラマート、プレガバリン、それらのプロドラッグ、及びGABA調節薬及び該プロドラッグの医薬として許容される塩を含む。
【0043】
本発明の組合せ、医薬組成物、方法、及びキットに使用するための特に好ましいGABA調節薬は、プレガバリン、そのプロドラッグ、又はプレガバリン若しくはそのプロドラッグの医薬として許容される塩である。
【0044】
本発明の組合せ、医薬組成物、方法、及びキットに使用するための特に好ましい他のGABA調節薬は、ガバペンチン(ニューロチン(商標))、そのプロドラッグ、又はガバペンチン(ニューロチン(商標))若しくは該プロドラッグの医薬として許容される塩である。
【0045】
本発明の組合せ、医薬組成物、方法、及びキットに使用するための好ましい抗痙攣薬は、ヒダントイン、例えばフェニトイン(ジランチン(商標))、メフェニトイン (メサントイン(商標)) ;スクシンイミド、例えばエトサクシミド (ザロチン(商標))、オキサゾリジンジオン、例えばトリメタジオン (トリジオン(商標)), カルバマゼピン (テグラトール(商標))、プリミドン(マイソリン(商標))、バルプロ酸 (デパコート(商標))、これらのプロドラッグ、該抗痙攣薬及び該プロドラッグの医薬として許容される塩を含む。
【0046】
本発明の組合せ、医薬組成物、方法、及びキットに使用するためのより好ましい抗痙攣薬は、フェニトイン及びバルプロ酸、そのプロドラッグ、及び該抗痙攣薬及び該プロドラッグの医薬として許容される塩を含む。
【0047】
本発明の組合せ、医薬組成物、方法、及びキットに使用するための特に好ましい抗痙攣薬は、バルプロ酸であり、そのプロドラッグ、又はバルプロ酸若しくはそのプロドラッグの医薬として許容される塩である。
【0048】
本発明の組合せ、医薬組成物、方法、及びキットに使用するための別の特に好ましい抗痙攣薬は、フェニトイン、そのプロドラッグ、又はフェニトイン若しくは該プロドラッグの医薬として許容される塩である。
【0049】
本発明の組合せ、医薬組成物、方法、及びキットに使用するための好ましいベンゾジアゼピンは、以下の:アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼペート、ジアゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、テマゼパム、及びオキサゼパム、それらのプロドラッグ、並びにベンゾジアゼピン及び該プロドラッグの医薬として許容される塩を含む。
【0050】
本発明の組合せ、医薬組成物、方法、及びキットにおいて使用するためのより好ましいベンゾジアゼピンは、クロナゼパム、ジアゼパム、及びロラゼパム、それらのプロドラッグ、及び抗痙攣薬及びそのプロドラッグの医薬として許容される塩を含む。
【0051】
本発明の組合せ、医薬組成物、方法、及びキットにおいて使用するための特に好ましいベンゾジアゼピンは、クロナゼパム、そのプロドラッグ、又はクロナゼパム若しくは該プロドラッグの医薬として許容される塩である。
【0052】
本発明の組合せ、医薬組成物、方法、及びキットにおいて使用するための、別の特に好ましいベンゾジアゼピンは、ロラゼパム、そのプロドラッグ、又はロラゼパム又は該プロドラッグの医薬として許容される塩である。
【0053】
本発明の組合せは、少なくとも2個の活性成分:ジプラシドン、そのプロドラッグ、又は医薬として許容される塩と、GABA調節薬、そのプロドラッグ、又はGABA調節薬の医薬として許容される塩;或いはジプラシドン、そのプロドラッグ、又は医薬として許容される塩と、抗痙攣薬、そのプロドラッグ、又は抗痙攣薬若しくは該プロドラッグの医薬として許容される塩;或いはジプラシドン、プロドラッグ、又は医薬として許容される塩と、ベンゾジアゼピン、そのプロドラッグ、又はベンゾジアゼピンの医薬として許容される塩を含む。本発明の組合せは、医薬として許容される溶媒、担体、又は希釈剤を含む。
【0054】
当該組合せは、同じ抗精神病薬の効果を達成する一方で、投与される非定形型抗精神病薬の投与量の低下を許容する相乗的作用をもたらす。非定形型抗精神病薬の用量が、約25〜90%、例えば約40〜80%、そして典型的には約50〜70%低減されうる。必要とされる抗精神病薬の量の低下は、与えられる第二治療薬の量に左右されるであろう。
【0055】
第一及び第二治療薬の用量の選択は、患者の障害又は病気に付随する病徴の低減又は寛解により判定した際に、患者に苦痛を軽減をもたらすことができる量である。周知のとおり、各成分の用量は、選択された特定化合物の強力さ、投与形式、患者の年齢及び体重、治療される病気の重篤度などの幾つかの因子に左右される。これは、当業者の技術の範囲内であると考えられ、そして最適用量を決定するために各成分に関する既存文献を参照することができる。完成させるために必要な範囲について、組成物の成分の合成及び用量は、本明細書中に載せられた特許又はPhysicians' Desk Reference、 第57版、Thompson, 2003 に記載される通りであり、これらの文献は、本明細書中に援用される。好ましくは、ジプラシドンが活性成分として選ばれるとき、1日あたりの用量は、約5mg〜約460mgを含む。より好ましくは、第一成分の各用量は、約20mg〜約320mgのジプラシドンを含み、そしてさらに好ましくは、各用量は、約20mg〜約160mgのジプラシドンを含む。小児用量は、より少なくてもよい。この投与形態は、例えば1回又は2回の経口投与において投与される一日あたりの総用量を許容する。
【0056】
非定形型抗精神病薬、GABA調節薬、抗痙攣薬、及びベンゾジアゼピンの投与の概要、並びに好ましい用量は、本明細書中に提供される。 この一覧表は、完全であることを意図せず、単に本発明の所望の組合せのいずれかについての指針である。
【0057】
オランザピン:約0.25〜約100mg、1回/日;好ましくは、約1〜約30mg、1回/日;そしてより好ましくは約1〜約25mg、1回/日;
クロザピン:1日あたり約12.5〜約900mg;好ましくは、1日あたり約150〜約450mg;
リスペリドン:1日あたり約0.25〜約16mg;好ましくは1日あたり約2〜8mg;
セルチンドール:1日あたり約0.0001〜約1.0mg/kg;
クエチアピン:1日1回又は分割量で約1.0〜約40mg/kg;
アセナピン:一回用量又は分割用量として与えられる総量で1日あたり約0.005〜約60mg、
カルバマゼピン:約200〜約1200mg/日;好ましくは約400mg/日;
バルプロ酸:約250〜約2500mg/日;好ましくは1000mg/日;
ラモトリギン:約50〜約600mg/日、1〜2回の投与;好ましくは約200〜400mg;最も好ましくは約200mg;
ガバペンチン:約300〜約3600mg/日、2〜3分割量;好ましくは300〜約1800mg/日;最も好ましくは約900mg/日;
チアガビン:約2〜約56mg/日、2〜4分割量;好ましくは約32〜約56mg/日;最も好ましくは約56mg/日;
トピラマート:約200〜約600mg/日、2回の分割量;最も好ましくは約400mg/日。
以下の表はさらなる用量範囲を提供する。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
より一般的な用語では、上記指針の精神に従った第一及び第二成分の化合物の投与量を選択することにより、本発明の薬剤の組合せを作り出した。
【0061】
本発明の非定形型抗精神病薬は、統合失調症、双極性障害、および痴呆の治療に有用である。
【0062】
本発明に従って使用される現在好ましい非定形型抗精神病薬は、ジプラシドンである。 ジプラシドン(5−[2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)ピペラジン−1−イル]エチル]−6−クロロインドリン−2−オン・ヒドロクロリド水和物)は、ベンズイソチアゾリル・ピペラジン型非定形型抗精神病薬であって、5−HT1A受容体アゴニスト並びにセロトニン及びノルエピネフリン再吸収阻害剤としてin vitro活性を有する非定形型抗精神病薬である(例えば、米国特許第4,831,031号を参照のこと)。シナプス後5−HT1A受容体は、うつ病及び不安障害に関与した(NM Barnes, T Sharp, 38 Neuropharmacology 1083-152,1999)。食事と供に取られるジプラシドンの経口生物利用能は、およそ60%であり、半減期はおよそ6〜7時間であり、そしてタンパク質結合は、過剰である。
【0063】
ジプラシドンは、統合失調症及び統合失調性気分障害、再発性統合失調症、統合失調症における認知障害、分裂感情障害に付随する感情性及び不安性症状、及び双極性障害を患う患者の治療に有効である。該薬剤は、安全で有効な非定形型抗精神病薬と考えられている(Charles Caley & Chandra Cooper, 36 Ann. Pharmacother. 839-51,2002)。
【0064】
本発明は、精神病及び精神病状態の治療に有用であり、この治療は、ジプラシドンの投与により亢進される。こうして、本発明は、例えば米国特許第6,245,766号;第6,245,765号;第6,387,904号;第5,312,925号;第4,831,031号;及び1999年3月17日に発行された欧州EP 0901789号などにおいてジプラシドンの使用が示唆される適用を有する。これらの文献は、本明細書中に援用される。
【0065】
使用されうる他の非定形型抗精神病薬は、非限定的に:オランザピン、2−メチル−4−(4−メチル−1−ピペラジニル)−10H−チエノ[2,3−b][1,5]ベンゾジアゼピンを含み、該化合物は、既知の化合物であり、そして米国特許第5,229,382号において、統合失調症、統合失調症様障害、急性躁病、軽度不安症、及び精神病の治療に有用であると記載される。米国特許第5,229,382号は、その全てを本明細書中に援用される。
【0066】
クロザピン、8−クロロ−11−(4−メチル−1−ピペラジニル)−5H−ジベンゾ [b,e][1,4]ジアゼピンは、米国特許第3,539,573号に記載され、当該文献はその全てを本明細書中に援用される。統合失調症の治療における臨床効果が記載される(Hanes, et al., Psychopharmacol. Bull., 24,62 (1988));
リスペリドン、3−[2−[4−(6−フルオロ−1,2−ベンズイソキサゾール−3−イル)ピペリジノ]エチル]−2−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−4H−ピリド−[1,2−a]ピリミジン−4−オン、及び精神病の治療における該リスペリドンの使用が、米国特許第4,804,663号において記載された。該文献はその全てを本明細書中に援用される;
セルチンドール、1−[2−[4−[5−クロロ−1−(4−フルオロフェニル)−1 H−インドール−3−イル]−1−ピペリジニル]エチル]イミダゾリジン−2−オンは、米国特許第4,710,500号において記載される。統合失調症の治療におけるセルチンドールの使用は、米国特許第5,112,838号及び5,238,945号に記載される。米国特許第4,710,500号;第5,112,838号;及び第5,238,945号は、その全てを本明細書中に援用される;
【0067】
クエチアピン、5−[2−(4−ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピン−11−イル−1−ピペラジニル)エトキシ]エタノール、及び統合失調症の治療における有用性を示すアッセイにおける活性が、米国特許第4,879,288号において記載され、当該文献は、その全てを本明細書中に援用される。クエチアピンは、典型的にその(E)−2−ブテンジオエート(2:1)塩として投与される;
アリピプラゾール、7−{4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]−ブトキシ}−3−4−ジヒドロカルボスチリル又は7−{4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]−ブトキシ}−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノンは、統合失調症の治療に使用される非定形型抗精神病薬であり、そして米国特許第4,734,416号及び米国特許第5,006,528号において記載される。当該文献は、その全てを本明細書中に援用される;
アミスルプリドは、米国特許第4,401,822号に記載される;
アセナピン、トランス−5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンズ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロール。アセナピンの製法及び使用は、米国特許第4,145,434号及び第5,763,476号に記載され、当該文献は、その全てを本明細書中に援用される。
【0068】
好ましい組合せは、ジプラシドンとGABA調節薬との組合せである。説明及び添付の特許請求の範囲において記載される「GABA」という用語は、「γ−アミノ酪酸」という用語と同義である。これらの用語は、説明及び添付の特許請求の範囲を通して、同義的に使用される。
【0069】
本明細書中に使用される「GABA調節薬」という用語は、神経伝達物質GABAに構造的に関連しているが、GABA受容体と相互作用しない化合物(例えば、ガバペンチン)又はGABA受容体と相互作用する化合物、或いは代謝的にGABA又はGABAアゴニストに変換される化合物;或いはGABAの取り込み若しくは分解阻害剤である化合物;或いはGABA受容体サブタイプ選択的アンタゴニスト及び/又はアゴニストである化合物を指す。この定義は、医薬として許容される塩、プロドラッグ、又は該プロドラッグの医薬として許容される塩を含む。
【0070】
本明細書中での使用に適したGABA調節薬は、非限定的に、ムシモール、プロガビド、リルゾール、バクロフェン、ガバペンチン(ニューロチン(商標))、ビガバトリン、チアガビン(ガビトリル(商標))、ラモトリギン(ラミクタール(商標))、プレガバリン、トピラメート(トパマックス(商標))、それらのプロドラッグ、又は該GABA調節薬又は該プロドラッグの医薬として許容される塩を含む。本開示の範囲において、他のGABAアゴニストがまた、本発明の組合せ、医薬組成物、方法、及びキットにおいて有用であるということが当業者により理解されるであろう。
【0071】
本明細書中に開示されるGABA調節薬は、当業者に周知である方法により製造される。特異的に、それぞれ本明細書中に援用される以下の特許及び特許出願は、本発明の組合せ、医薬組成物、方法、及びキットにおいて使用されうるGABA調節薬を例示し、そしてこれらのGABA調節薬の製造方法について言及する:米国特許第3,242,190号(特に、ムシモール)米国特許第4,094,992号(特に、プロガビド);米国特許第4,370,338号(特に、リルゾール);米国特許第3,471,548号(特に、バクロフェン);米国特許第4,024,175号(特に、ガバペンチン)米国特許第3,960,927号(特に、ビガバトリン);米国特許第5,010,090号(特に、チアギャビン);米国特許第4,602,017号(特に、ラモトリギン);米国特許第6,028,214号(特に、プレガバリン);及び米国特許第4,513,006号(特に、トピラメート)。
【0072】
ガバペンチン、1-(アミノメチル) シクロヘキサン酢酸は、癲癇を患う成人における二次性全般化を伴う及び伴わない部分的な癲癇の治療における付属的治療として示唆された抗痙攣薬である。ギャバペプチン及びその使用方法は、米国特許第4,024,175号及び第4,087,544号に記載され、本明細書中にその全てを援用される。
【0073】
本発明の医薬組成物、方法、及びキットにおいて使用される特定のGABA調節薬は、遊離カルボン酸又は遊離アミン基を、化学構造の一部として含む。こうして、本発明は、これらのカルボン酸又はアミン基の医薬として許容される塩を含む。
【0074】
医薬における使用のために、医薬として許容される塩は、本発明に記載される化合物の製造において有用であってもよい。本発明の化合物の適切な医薬として許容される塩は、酸添加塩を含み、酸添加塩は、例えば本発明に記載される化合物の溶液を、医薬として許容される酸、例えば塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、又はリン酸の溶液と混合することにより形成されてもよい。さらに、本発明の化合物が、酸性部分を有する場合、適切な医薬として許容される該化合物の塩は、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム又はカリウム塩を含んでもよく:アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム又はマグネシウム塩;及び適切な有機リガンドで形成された塩、例えば四級アンモニウム塩を含んでもよい。
【0075】
本発明において有用なGABA調節薬が少なくとも1の不斉中心を有する場合、該GABA調節薬は、従ってエナンチオマーとして存在してもよい。本発明に記載される化合物が、2以上の不斉中心を有する場合、該化合物は、さらにジアステレオ異性体として存在してもよい。いずれかの割合において、その異性体及び混合体の全てが本発明の特許請求の範囲の中に包含されるということは理解されるべきである。ギャバペプチンは、EP340677において記載される結晶1水和物の形態であるか、又はWO03031391において記載された無水結晶形態であってもよい。当該文献は、本明細書中に援用される。
【0076】
「医薬として許容される塩」という表現は、医薬として許容される酸添加塩及び医薬として許容されるカチオン性塩の両方を含む。「医薬として許容されるカチオン性の塩」という表現は、非限定的にアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム及びカリウム)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム及びマグネシウム)、アルミニウム塩、アンモニウム塩、並びに有機アミン、例えばベンザチン(N,N’−ジベンジルエチレンジアミン)、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、ベネタミン(N−ベンジルフェネチルアミン)、ジエチルアミン、ピペラジン、トロメタミン(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)、及びプロカインなどとの塩を定義することを意図される。「医薬として許容される酸添加塩」という表現は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、酢酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩(メシレート)、及びp-トルエンスルホン酸塩(トシレート)などの塩を非限定的に定義することを意図される。
【0077】
遊離カルボン酸を含むGABA調節薬の医薬として許容されるカチオン性の塩は、GABA調節薬を通常1当量の適切な塩基と共溶媒中で反応することにより、容易に製造されてもよい。典型的な塩基は、水酸化ナトリウム、ナトリウム・メトキシド、ナトリウム・エトキシド、水素化ナトリウム、カリウムメトキシド、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ベンザチン、コリン、ジエタノールアミン、ピペラジン、及びトロメタミンである。該塩は、乾燥するまで濃縮することにより、又は非溶媒を添加することにより単離される。多くの場合、塩は、所望のカチオン性の塩が沈殿する溶媒(例えば酢酸エチル)を使用して、酸溶液を異なるカチオン(例えば、エチルへキサン酸ナトリウム又はエチルへキサン酸カリウム、オレイン酸マグネシウム)の塩溶液と混合することにより、好ましくは調製されるか、又はそうでなければ濃縮及び/又は非溶媒を加えることにより単離されうる。
【0078】
遊離アミン基を含むGABA調節薬の医薬として許容される酸添加塩は、GABA調節薬の遊離塩基形態を、適切な酸と反応することにより容易に調製されうる。塩が、一塩基酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸)、二塩基酸の水素形態(例えば、硫酸水素、コハク酸)、又は三塩基酸の二水素形態(例えば、リン酸二水素、クエン酸)の塩である場合、少なくとも1モル当量及び通常過剰モル量の酸が使用される。しかしながら、硫酸、ヘミコハク酸、リン酸水素又はリン酸などの塩が所望される場合、適切かつ正確な化学的に当量な酸が、一般的に使用されるであろう。遊離塩基及び酸は、所望の塩が沈殿する共溶媒の中で通常混合されるか、又はそうでなければ濃縮及び/又は非溶媒を加えることにより単離されうる。
【0079】
本明細書中で開示される抗痙攣薬は、当業者に周知である方法により製造される。特異的に、本明細書中に援用される下記の特許及び特許出願の各々が、本発明の組合せ、医薬組成物、方法、及びキットにおいて使用されうる抗痙攣薬を例示し、そしてこれらの抗痙攣薬を製造する方法に関する。
第二成分として考えられる抗痙攣薬は、非限定的にフェニトイン、カルバマゼピン、バルプロ酸、ラモトリギン、及びトピラマートを含む。
【0080】
カルバマゼピン、5H−ジベンズ[b,f]アゼピン−5−カルボキサミドは、三叉神経痛用に市販される抗痙攣薬及び鎮痛薬である;米国特許第2,948,718号(その全てを本明細書中に援用される)は、カルバマゼピン及びその使用方法を開示する;
【0081】
フェニトイン、5,5−ジフェニル−2,4−イミダゾリジンジオンは、周知の抗痙攣薬である;米国特許第2,409,654号は、フェニトイン及びその使用方法を開示する;該文献はその全てを本明細書中に援用する:
【0082】
バルプロ酸、2-プロピルペンタン酸又はジスプロピル酢酸は、消化管においてバルプロ酸・イオンに解離する周知の抗癲癇薬である;種々の医薬として許容される塩が、米国特許第4,699,927号において開示される。バロプロ酸は、Carraz et al., Therapie, 1965,20, 419)に開示される通りに製造される。該文献は、その全てを本明細書中に援用される。
【0083】
ラモトリギン、6−(2,3−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリジン−3,5−ジアミンは、癲癇持ちの成人における部分的発作の治療における付属的治療として適用される抗癲癇薬である。ラモトリギン及びその使用は、米国特許第4,486,354号で開示され、該文献は、その全てを本明細書中に援用される。
【0084】
そしてトピラメート、2,3:4,5−ジ−O−(1−イソプロピリジン)−3−D−フルクトピラノース・スルファメートは、二次性全般化を伴うか又は伴わない難治性部分発作の治療に適用された抗癲癇薬であり、そして米国特許第4,513,006号において開示される。該文献は、その全てを本明細書中に援用される。
【0085】
ベンゾジアゼピンは、抗不安薬として使用され、そして不安が目立った特徴である精神障害において使用される。例えば、ベンゾジアゼピン+典型的抗精神病薬(ハロペリドールIM5〜10mg+ロラゼパム1〜2mgであることが多い)での組合せ治療が、一般的に使用される。しかしながら、当該組合せは、耐えがたい副作用、特に慣用の抗精神病薬に伴う急性ジストニア及びベンゾジアゼピンに伴う過度の鎮静作用を付随しうる。また、ある医師は、中毒に付随する興奮性のため、ベンゾジアゼピンを避ける。
【0086】
ベンゾジアゼピンはまた、過度の鎮静、錯乱、脱抑制、運動失調、及び嘔吐、呼吸抑制、無症候性頻呼吸症、及び頻脈を伴う(J. Modell, J Clin Psychopharmacol. 6: 385-387, 1986)。本発明に従って、非定形型抗精神病薬が、ジアゼピンの典型的な鎮静及び催眠効果に対抗するということが驚くべきことに発見された。
【0087】
こうして、本発明の原理に従って、非定形型抗精神病薬、例えばジプラシドンをベンゾジアゼピンで治療された患者に投与することによって、効果を得るために高用量が必要とされる場合、鎮静及び催眠効果に対抗するために、患者の日常生活を不可能にすることなくベンゾジアゼピンの有効量を使用することが可能である。
【0088】
本内容においては、「ベンゾジアゼピン」又は「ベンゾジアゼピン類」は、ベンゾジアゼピン並びにその誘導体であって、医薬参考書、例えばErnst Mutschler, Arzheimitteiwirkungen, Lehrbuch der Pharmaceutical makologie and Toxikologie, Aug. 5, 1986, Wissenschaftliche Verlagsgasellschaft mbk, Stuttgartにおいてベンゾジアゼピンとして通常分類される誘導体を指し、例えばジアゼパム、クロラゼペート二カリウム、クロラゼペート、クロルジアザピド(chroldiazapide)、メダゼパム、フルラゼパム、クロブサム、クロナゼパム、ニトラゼパム、フルニトラゼパム、アスタゾラム(astazolam)、ブロマゼパム、アルプラゾラム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、オキサゼパム、テマゼパム、ブロチゾラム、トリアゾラム、クロルジアゼパム(chroldiazepam)、ハラゼパム、又はプラゼパムを含む。本明細書中に定義されるとき、ベンゾジアゼピンという用語はまた、ベンゾジアゼピン受容体サブタイプ化合物、並びに医薬として許容されるベンゾジアゼピンの塩、ベンゾジアゼピンのプロドラッグ、及びベンゾジアゼピン・プロドラッグの医薬として許容される塩を指す。
【0089】
幾つかのジアゼピンは、それらの鎮静又は催眠効果について使用される;これらのベンゾジアゼピンは、典型的に短い半減期を有する。他のベンゾジアゼピンは、鎮静又は催眠効果が、不所望であるかベンゾジアゼピンの副作用とさえ考えられる他の効果について使用される。これらのベンゾジアゼピンは、例えば、ジアゼパム、クロラゼペート二カリウム、クロラゼペート、クロルジアザピド、メダゼパム、クロブサム、クロナゼパム、エスタゾラム、ブロマゼパム、アルプラゾラム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、オキサゼパム、ブロチゾラム、クロルジアゼパム、ハラゼパム、又はプラゼパムである。
【0090】
ベンゾジアゼピンで治療される疾患は、ベンゾジアゼピンの多くの効果のため、広範囲の疾患から構成される。ベンゾジアゼピンの鎮静又は催眠効果が不所望である疾患は、本発明の原理が特に重要である疾患に関連する疾患である。特に、以下の疾患:治療抵抗性不安症、精神病性障害又は精神病、精神病性症状の治療は、本発明の薬剤の組合せにより達成される。これらの疾患は、本発明の原理に従ってベンゾジアゼピンと非定形型抗精神病の両方の使用から利益を得うる。なぜなら、これらの疾患は、ベンゾジアゼピン治療の利益を得るためには、ベンゾジアゼピンの高用量を必要とすることが知られているからである。しかしながら、高用量は一方で、ベンゾジアゼピン治療と一緒に行われる非定形型抗精神病薬の投与が行われない場合、鎮静及び催眠効果のため上記重篤な不利益を招く。
【0091】
精神病性障害又は精神病、例えば統合失調症、分裂性感情障害、統合失調症様障害、及び統合失調症型人格障害は、ベンゾチアゼピン治療 、例えばクロナゼパムでの治療が重要である病気である。本発明に従って、これらの病気は、ベンゾジアゼピンと組合せて非定形型抗精神病薬で治療されうる。
【0092】
非定形型抗精神病薬は、ベンゾジアゼピンと同時に投与されうるし、キット製品中の別々の投与形態として投与されうるし、又は非定形型抗精神病薬とベンゾジアゼピンの両方を含む1の混合投与形態として投与され得る。
ジプラシドンとGABA調節薬、又はジプラシドンとベンゾジアゼピンを含む本発明の医薬組成物の効果は、当該技術分野に周知である不安症の公知になった1以上のモデルを使用することにより試験されうる。ジプラシドンとベンゾジアゼピン、又はジプラシドンと抗痙攣薬を含む本発明の医薬組成物の効果は、当該技術分野に周知である精神病性障害又は精神病の公知になった1以上のモデルを使用することにより試験されうる。ジプラシドンと抗痙攣薬を含む本発明の医薬組成物の効果は、当該技術分野に周知である双極性障害などの気分障害の公知になった1以上のモデルを使用することにより試験されうる。
【0093】
ジプラシドンとGABA調節薬又はジプラシドンとベンゾジアゼピンを含む本発明の医薬組成物は、治療抵抗性不安障害の予防、発達の低減、又は回復に特に有用であり、そして強迫性障害又は心的外傷後ストレス障害の治療に特に有用である。当該効果は、例えば、臨床医が投与したPTSDスケール又はEyenck Personality Inventoryなどのマーカーを計測することによって示されうるし、そして臨床試験で示されてきた(MI Butterfield et al, 16 int'l Clin Psychopharmacol 197-203, 2001)。
【0094】
ジプラシドンと抗痙攣薬又はジプラシドンとベンゾジアゼピンを含む本発明の医薬組成物は、精神病性障害、精神病、又は精神病性症状の予防、発達の軽減、又は回復に特に有用であり、そしてそれゆえ特に統合失調症、統合失調症様障害、分裂性感情障害、又は妄想性障害の治療に特に有用である。このことは、例えば陽性陰性症状評価尺度(PANSS)及び陰性症状評価尺度(SANS)、又はBRPSスコア(Kay et al., Schizophrenia Bulletin 13: 261-276, 1987)を計測することにより示されるか、或いは種々の動物モデル、例えばPCP若しくはメタンフェタミン誘導性運動性試験又は条件付け忌避反応試験により示される。
【0095】
ジプラシドンと抗痙攣薬を含む医薬組成物は、気分障害の予防、発達の軽減、又は回復に特に有用であり、そしてそれゆえ双極性障害、双極性うつ病、又は単極性うつ病の治療において特に有用である。このことは、例えば症状像を計測することにより及び種々の動物モデル、例えば「マウス行動絶望試験(mouse behavioral despair test)」を使用することにより示すことができる。
【0096】
一般的に、本発明の組合せ、医薬組成物、方法及びキットにおいて使用されるジプラシドンは、一日あたり約20〜約460mg、好ましくは約40mg〜約200mg、及び最も好ましくは40mg〜160mgで、一回投与又は分割投与において治療有効量の第二治療薬と一緒に投与されるであろう。
【0097】
本明細書中で使用される「治療有効量」という用語は、医療処置のすべてに適用可能な妥当な利益/リスクで、非治療抵抗性不安障害、気分障害、及び精神病性障害若しくは病気を治療するための有効量の化合物を指す。
【0098】
いずれかの特定の患者に対する特異的な治療有効投与量レベルは、治療される障害及び当該障害の重篤度;使用される特異的化合物の活性;使用される特異的組成物;年齢を含む種々の因子に左右されるであろう。しかしながら、用量におけるいくらかの変動は、治療される対象の病気に左右されて必ず起こるであろう。投与責任者は、いずれの状況においても、個々の対象についての適切な投与量を決定するであろう。
【0099】
下記の用量及び、当該説明及び添付の特許請求の範囲においていたるところで記載される他の用量は、約65kg〜約70kgの体重を有する平均人対象用である。熟練した医師は、65kg〜70kgの範囲から外れる体重を有する対象に必要とされる用量を、対象の病歴に基づいて容易に決定することができるであろう。本明細書中、及び添付の特許請求の範囲に記載される全ての用量は、一日あたりの用量である。
【0100】
一般的に、本発明に従って、本発明の組合せ、医薬組成物、方法及びキットにおいて使用される上記GABA調節薬は、一回用量又は分割用量において一日あたり約4mg/kg(治療される対象の体重)〜約60mg/kg(治療される対象の体重)の用量で投与されるであろう。しかしながら、病気、年齢、並びに治療される対象における吸収、分配、代謝、及び排泄の医薬動態を変える可能性のある因子に左右されて、いくらかの用量の変動が必然的に生じるであろう。投与責任者は、いずれの状況においても、個々の対象に対する適切な用量を決定するであろう。特に、本発明のGABA調節薬として使用される場合、プレガバリンは、1日あたり約100mg〜約1500mg、そして好ましくは1日あたり約300mg〜約1200mgで投与され;ガバペンチンは、1日あたり約100mg〜約4000mg、そして好ましくは1日あたり約600mg〜約3600mgで投与されるであろう。
【0101】
一般的に本発明に従って、本発明の組合せ、医薬組成物、方法、及びキットにおいて使用される上記抗痙攣薬は、一回用量又は分割用量で1日あたり約1mg/kg(治療される対象の体重)〜10mg/kg(治療される対象の体重)の用量で投与されるであろう。しかしながら、用量におけるいくらかの変動は、治療を受ける対象の病気に依存して必然的に生じるであろう。いずれの状況においても投与責任者は、個々の患者に適した用量を決定するであろう。特に、本発明において抗痙攣薬として使用される場合、一日あたり約10mg〜約1500mg及び好ましくは一日あたり約50mg〜約1200mgで投与されるか、又は約10〜20mc/mlの範囲の血清レベルを達成するための用量で投与されであろう;バルプロ酸は、約1mg/kg/日〜約100mg/kg/日、及び好ましくは約5mg/kg/日〜約70mg/kg/日で投与されるであろう。
【0102】
一般的に、本発明に従って、本発明の組合せ、医薬組成物、方法、及びキットにおいて使用される上記ベンゾジアゼピンは、一回用量又は分割用量において約0.001mg〜約200mgの投与量で投与されるであろう。しかしながら、投与量におけるいくらかの変動は、病気、年齢、及び治療される対象の生理機能を変える医薬動態に左右されて必然的に生じるであろう。投与責任者は、いずれの状況においても、個々の患者に対して適切な投与量を決定するであろう。特に本発明のベンゾジアゼピンとして使用される場合、ジアゼパムは、一日あたり約1mg〜40mgで投与されるであろう;クロナゼパムは、約0.001mg/kg/日〜約1mg/kg/日、及びより好ましくは約0.01mg/kg/日〜約0.2mg/kg/日で投与されるであろう。
【0103】
正確な製剤、投与経路、及び用量は、患者の状態を考慮して個々の医師により選ばれうる。用量及び期間は、個々に調節されて、治療有効量を維持するために十分である活性成分の血漿レベルを提供するために個別に投与され得る。
活性GABA調節薬、抗痙攣薬、及びベンゾジアゼピンの遊離形態又は他の塩形態が本発明で使用されうるということは、当業者により認識されるであろう。特定のGABA調節薬、抗痙攣薬、又はベンゾジアゼピンの遊離塩基形態又は別の塩形態の別の形態の用量の計算は、関連する種の分子量に対する単純比をおこなうことにより容易に達成される。
【0104】
本発明の生成物は、中枢神経系の種々の疾患の治療及び/又は予防に有用である。そうした障害は、治療抵抗性不安障害、例えば、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害及び急性ストレス障害を含むストレス障害、及び全般性又は物質誘導性不安障害;神経症;うつ病又は双極性障害、例えば単発性又は再発性大うつ病、気分変調性障害、双極性障害I型及び双極性障害II型躁病、及び気分循環性障害を含む。
【0105】
本発明の生成物は、驚くべきことに、化合物のみの投与から予期されるより早く不安症からの軽減を提供する利益を有する。これらは、治療抵抗性障害に伴う合併症、例えば夭逝及び自殺を低減するのに有用である。
【0106】
「障害の治療方法」における「治療抵抗性」という用語は、そうした用語が適用される障害、又は該障害の1以上の症状の進行を逆行、軽減、又は阻害することを指す。例えば、幾つかの臨床試験において、DSM−IV診断で全般化不安障害の患者であって、SSRI、ブスピロン又はベンゾジアゼピンなどの第一選択抗不安薬の適切な試行(4〜8週間)の後に十分応答しなかった患者として定義される。本明細書中に使用されるとき、当該用語は、患者の状態に依存して当該障害を予防し、例えば当該障害又はそれに付随する症状の開始の予防し、並びに当該障害の重篤度又は開始前のその症状のいずれかを軽減し、或いは障害の再発を予防することを含む。
【0107】
本発明に従って治療されうる治療抵抗性不安障害の例は、非限定的に、治療-抵抗性-強迫性障害、治療抵抗性心的外傷後ストレス症候群、全般性又は物質誘導性不安障害;神経症及び恐喝性障害を含む。
【0108】
不安障害の異なる型及び亜型に付される意味は、DSM-IV-TRにおいて記載される通りであり、この内容は、本明細書中に援用される(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders"、第四版, 米国精神医学会、ワシントンDC, 2002, p. 429-484)。DSM-IVの不安障害として分類されているが、精神病性症状の患者の半数には、PTSDが付きものである。
【0109】
本発明に従って治療されうる精神病性障害の例は、非限定的に統合失調症、例えば偏執症、混乱、緊張、未分化型、後遺症型;統合失調症様障害;分裂感情障害、たとえば、妄想型又はうつ型;妄想性障害;短期精神病性障害;共有精神病性障害;一般的な病状のため生じる精神病性障害;物質誘導性精神病性障害、例えばアルコール、アンフェタミン、大麻、コカイン、幻覚剤、吸入剤、オピオイド、又はフェンシクリジン;パラノイド型の人格障害;統合失調症型の人格障害;他に規定のない精神病性障害を含む。
【0110】
精神病性障害の異なる型及び亜型に付される意味は、DSM-IV-TRにおいて記載される通りであり、この内容は、本明細書中に援用される(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders"、第四版, 米国精神医学会、ワシントンDC, 2002, p. 297-343)。
【0111】
本明細書中に使用される統合失調症は、少なくとも6ヶ月間続き、そして少なくとも1ヶ月の活動期症状 (つまり、以下:妄想、幻覚、解体型の発言、極めて解体的又は緊急型の行動、陰性症状の2(以上))を含む障害に関する(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders"、第四版, 米国精神医学会、ワシントンDC, 2002)。
【0112】
分裂性感情障害は、気分エピソード(mood episode)と統合失調症の症状の活動期が同時に現われ、そして少なくとも2週間の目立った気分症状を伴わない妄想又は幻覚が、その前に起こるか又は後に起こる障害として定義される(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders"、第四版, 米国精神医学会、ワシントンDC, 2002)。
【0113】
統合失調症様障害は、その期間(つまり、障害が1〜6ヶ月続く)及び機能の低下が存在するという要件がない点を除いて統合失調症と同等である症状により特徴付けられる障害として定義される(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders"、第四版, 米国精神医学会、ワシントンDC, 2002)。
【0114】
統合失調症型障害は、密接な人間関係を形成できないこと、常軌を逸した行動、及び軽度知覚異常により特徴付けられる社会性欠乏及び個人間欠乏の生涯パターンとして定義される。
【0115】
本発明におけるジプラシドンと抗痙攣薬又はジプラシドンとベンゾジアゼピンの組合せは、他の精神病、例えば妄想性障害;短期精神病性障害;共有精神病性障害;物質誘導性精神病性障害、例えばアルコール、アンフェタミン、大麻、コカイン、幻覚剤、吸入剤、オピオイド、又はフェンシクリジンにより誘導される精神病;パラノイド型の人格障害;統合失調症型の人格障害;他に規定のない精神病性障害を治療する為に使用されうる。
【0116】
本明細書中に使用される、例えば「統合失調症、又は統合失調症様障害又は分裂性感情障害の治療」は、該障害の1以上の症状(陽性、陰性、及び他の関連特徴)の治療、例えば妄想及び/又はそれに付随する幻覚の治療を含む。統合失調症及び統合失調症様障害並びに分裂感情障害の症状の他の例は、言語障害、感情抑揚欠失、失語症、性快感消失症、不相応な情動、不快(例えばうつ、不安、又は怒りの形態における)、及び認知機能障害のいくつかの兆候を含む。
【0117】
本明細書中に記載される妄想性障害は、統合失調症の活動期の他の症状を有さない少なくとも1ヶ月の奇抜ではない妄想により特徴付けられる(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, DSM-IV-TR, 第4版、米国精神医学会、ワシントン,DC, 2002)。
短期精神病性障害は、1日〜1ヶ月間続く障害である (Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, DSM-IV-TR、第4版、米国精神医学会、ワシントン,DC, 2002)。
【0118】
共有精神病性障害は、同じ程度のより長く続く妄想を患う第三者により影響されるある個人において妄想が存在することにより特徴付けられる。 (Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, DSM-IV-TR,第4版、米国精神医学会、ワシントン,DC, 2002)。
【0119】
一般的な医療状態のため生じる精神病性障害は、一般的な医療状態の直接的な生理学的結果であると判断される精神病性症状により特徴付けられる。(Diagnostic and Statistical Manual of Medical Disorders, DSM-IV-TR, 第4版, 米国精神医学会、 ワシントン,DC, 2002).
【0120】
他に特定されない精神病性障害は、DSM−IV‐TR(米国精神医学会、ワシントンDC、2002)に定義される特定の精神病性障害のいずれかについての判断基準に適しない精神病である。
【0121】
別の実施態様では、本発明において使用される化合物は、アルツハイマー型痴呆;物質誘導性幻覚症状;及び精神病性特長を有する大うつ病などの関連特徴として精神病性症状を伴って存在しうる他の障害を治療するために有用である。
【0122】
好ましい実施態様では、本明細書中で使用される化合物は、統合失調症、分裂性感情障害、統合失調症様障害、又は統合失調症型人格障害の治療に有用である。
ジプラシドンと抗痙攣薬の組合せは、「情動障害」と前に名づけられた気分障害を治療するのに有用でありうる。しかしながら、気分障害は、明確に線引きされた病気の群ではないが、気分障害は、単極性及び双極性うつ病、全般化障害、及びより特異的な不安障害、例えば広場恐怖、恐慌性障害、及び社会性恐怖症、強迫性障害、及び心的外傷後ストレス障害(PTSD)を含む。これらの病気の間には、かなり高いレベルの類似性及び併存疾患が存在する。
【0123】
気分障害の異なる型及び亜型に与えられた意味は、うつ病(「単極性うつ病」)及び双極性障害、全般化不安障害、及びより特異的な不安障害、例えば広場恐怖、恐慌性障害、及び社会性恐慌性障害、強迫性障害、及び心的外傷後ストレス障害(PTSD)のDSM-IV-TRに記載されるとおりであり、その内容は、本明細書中に援用される。 (Diagnostic and Statistical Manual of Medical disorders、第4版, 米国精神医学会., ワシントン,DC, 2002, p. 345-484).
【0124】
本明細書中に記載される「情動障害」という用語は、「気分障害」という用語と同義で使用され、そして第一の臨床症状として気分の変化により特徴付けられる障害、例えばうつ病を指す。
【0125】
「プロドラッグ」という表現は、薬の前駆体である化合物を指し、プロドラッグは、投与された後に化学的又は生理的プロセスを介してin vivoで当該薬を放出する(例えば、プロドラッグは、生理的pHにさらされた際、又は酵素作用を通して、所望される薬形態へと変換される)。
【0126】
本発明はその範囲の中に、ジプラシドン、GABA調節薬、ベンゾジアゼピン、又は抗痙攣薬のプロドラッグの使用を含む。一般的に、そうしたプロドラッグは、in vivoで容易に変換可能であるこれらの化合物の機能的誘導体であるであろう。適切なプロドラッグ誘導体の選択及び製造のための慣用方法は、例えば Design of Prodrugs、H. Bundgaard著、Elsevier、1985に記載され、そして当業者に周知の方法を使用して達成されうる。すべてのそうしたプロドラッグは、本発明の組合せ、医薬組成物、方法、及びキットの範囲内である。
【0127】
当該技術分野の通常の技術を有する化学者は、本発明の範囲内のある化合物が双性イオン形態で存在しうるということ、つまりある化合物が、アミノ部分及びカルボン酸部分を含むということを認識するであろう。ここで該アミノ部分及びカルボン酸部分は、溶液のpHに依存して遊離アミン及び遊離カルボン酸として存在するか、或いは該アミンがプロトン化されてアンモニウム・イオンを形成し、かつ該カルボン酸が脱プロトン化されてカルボキシル・イオンを形成する双性イオンとして存在しうる。全てのそうした双性イオンは、本発明中に含まれる。
【0128】
当該技術分野の通常技術を有する化学者は、本発明により考慮される医薬組合せが、異なる立体異性体で存在しうるということを認識するであろう。特異的立体異性体は、精神病をより好ましい効力又は安全プロファイルで精神病を治療する能力を示しうる。本発明は、各医薬組合せの活性成分の可能な立体異性体及び幾何異性体の全てを含み、そしてラセミ体化合物だけではなく、光学異性体も含む。互変異性体、つまり2つの異性体の間で平行が存在し、該異性体が互いに即座に平行状態になる互変異性体が可能である場合、本発明は全ての互変異性体を含むことを意図する。
【0129】
本発明の組合せは、治療抵抗性不安障害、精神病性障害、又は気分障害の治療のための標準方法、例えば、経口、非経口、経粘膜(例えば、舌下又は口腔投与)、局所的、経皮、経直腸、吸入(例えば、鼻又肺の深部への吸入)を介して投与されうる。非経口投与は、非限定的に静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、髄腔内、及び関節内、又は高圧力技術、例えばパウダープロジェクト(Powderject)を介した投与を含む。口腔投与では、慣用様式における錠剤又はロゼンジの形態で有りうる。例えば、経口投与のための錠剤及びカプセルは、慣用の賦形剤、例えば結合剤(例えば、シロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、デンプン糊、又はポリビニルピロリドン)、フィラー(例えば、ラクトース、糖、微結晶セルロース、トウモロコシ・スターチ、リン酸カルシウム、又はソルビトール)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、滑石、ポリエチレン・グリコール、又はシリカ)、崩壊剤(例えば、ポテト・スターチ又はグリコール酸ナトリウムスターチ)、又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)を含みうる。錠剤は当該技術分野に周知の方法に従って被膜されうる。
【0130】
そうした製剤は、例えば慣用の座剤基材、例えばカカオ・バター又は他のグリセリドを含む座剤として剤形されうる。吸入のための組成物は、典型的に溶液、懸濁液の形態であって、乾燥粉末として又は慣用の高圧ガス、例えばジクロロジフルオロメタン又はトリクロロフルオロメタンを使用して、エアロゾルの形態で提供されうる。典型的な局所的及び経皮製剤は、慣用の水性又は非水性溶媒、例えば点眼、クリーム、軟膏、ローション、及びペーストを含み、又は薬用の膏薬、パッチ、又は膜の形態である。
【0131】
さらに、本発明の組成物は、注射又は持続注入により非経口投与用に剤形されうる。注射用製剤は、懸濁液、溶液、又は油若しくは水性溶媒中の乳濁液形態であり、そして製剤、例えば懸濁液、安定剤、及び/又は分散剤を含みうる。或いは、活性成分は、使用前に適切な溶媒(例えば、滅菌パイロジェンフリー水)で構成するための粉末形態でありうる。
【0132】
本発明に従った組成物はまた、デポー製剤として剤形されうる。そうした長期間作用する製剤は、植え込み(例えば、皮下又は筋肉内)により投与されうるか、又は筋肉内注射により投与されうる。従って、本発明の化合物は、適切なポリマー又は疎水性物質(例えば、許容できる油中の懸濁液)、イオン交換レジン、又は難溶性可溶性誘導体(例えば、難溶性可溶塩)と剤形されうる。
【0133】
アリール-複素環の可溶化形態、例えばジプラシドン、医薬として許容されるその塩、又はそのプロドラッグ、又は医薬として許容されるそのプロドラッグの塩であって、即座の放出(又はそれを超えるレベル)に関わるものは、デポー製剤中に加工されうる。医薬キットは例えば、ジプラシドン、ジプラシドン塩又はそのプロドラッグ、又は医薬として許容されるジプラシドン・プロドラッグの塩であって、可溶化又は不溶化されうるもの;と粘度のある薬剤からなる構成液体溶媒を含む。ただし、ジプラシドン化合物が不溶化される場合、水性液体はさらに可溶化剤を含む。
【0134】
懸濁液形態中のジプラシドン・デポー製剤は、2002年10月25日に出願された米国特許出願第60/42195号に記載されており、そして本明細書中にその全てを援用される。ジプラシドンの新規の注射可能デポー製剤は、2002年10月25日に出願された米国特許出願第60/421473号に記載され、そして本明細書中にその全てを援用される。
【0135】
経口投与では、医薬組成物は溶液、懸濁液、錠剤、ピル、カプセル、粉末などの形態をとりうる。種々の賦形剤、例えばクエン酸ナトリウム塩、カルボン酸カルシウム、及びリン酸カルシウムなどを含む錠剤は、結合剤、例えばポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチン、及びアカシアと共に、種々の崩壊剤、例えばスターチ、及び好ましくはポテト又はタピオカスターチ、及びあるケイ酸塩複合体ともなって使用される。さらに、潤滑剤、例えば硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及び滑石などは、しばしば錠剤化目的にかなり有用であることが多い。類似の型の固体組成物はまた、ソフト及びハード充填ゼラチンカプセル中のフィラーとしても使用される。好ましくはこの文脈における好ましい物質はまた、ラクトース又は乳糖、並びに高分子量ポリエチレングリコールも含む。
【0136】
或いは、本発明の化合物は、水性又は油性懸濁液、溶液、乳濁液、シロップ、またはエリクシル剤などの経口液体製剤中に含められる。それ以上に、これらの化合物を含む製剤は、使用前に水又は他の適切な溶媒で構成される乾燥生成物として提示されうる。そうした液体製剤は、慣用の添加物、例えば懸濁剤、例えばソルビトール・シロップ、合成及び天然ガム、例えばトラガカント、アカシア、アルギン酸塩、デキストラン、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、メチルセルロース、ポリビニル-ピロリドン、又はゼラチン、グルコース/糖液、ゼラチン、ヒドロキシエチル・セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウム・ゲル、乳濁剤、例えばレシチン、モノオレイン酸ソルビタン、又はアカシア;非水性溶媒(非水性溶媒は、食用油を含む)、例えばアーモンド油、分留ココナッツ油、油エステル、プロピレン・グリコール、及びエチルアルコール;及び保存剤、例えばメチル又はプロピルp-ヒドロキシ安息香酸及びソルビン酸を含みうる。本発明の組成物が、経口投与又は注射による投与のために含まれうる液体形態は、水溶液、適切な味付きシロップ、水又は油懸濁液、及び食用油、例えば綿実油、ごま油、やし油、又はピーナッツ油との味付き懸濁液、並びにエリクシル剤及び類似の医薬溶媒を含む。
【0137】
水性懸濁液及び/又はエリクシルが、経口投与に所望される場合、本発明の化合物は、種々の甘味剤、香味剤、着色剤、乳濁剤、及び/又は懸濁剤、並びに水、エタノール、プロピレン・グリコール、グリセリン、及び種々のその組合せなどの希釈剤で混合されうる。水性懸濁液のための適切な希釈剤又は懸濁剤は、合成及び天然ガム、例えばトラガカント、アカシア、アルギネート、デキストラン、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、メチルセルロース、ポリビニル-ピロリドン、又はゼラチンなどを含む。
【0138】
本発明の組合せは、徐放性又は速放性製剤などの制御された放出製剤中で投与されうる。本発明の組合せのそうした制御された放出製剤は、当業者に周知の方法を使用して製造されてもよい。投与方法は、患者の病気及び要求を評価したのちに、医薬従事者又は他の当業者により決定されるであろう。
【0139】
本発明の医薬組成物は、速放性及び制御された放出特性の組み合わせからなりうる。そうした組成物は、活性成分の組合せの形態をとりうるし、その大きさの範囲は、ナノ粒子〜マイクロ粒子であり、又は異なる放出割合を有する複数のペレットの形態でありうる。本発明の錠剤又はカプセル組成物は、維持又は制御された放出形態の非定形型抗精神病薬及び、速放性形態における第二治療薬を含みうる。或いは、非定形型抗精神病薬は、速放性形態であうるし、そして第二治療薬は、維持又は制御された放出形態でありうる。
【0140】
本発明の組合せは、非経口形態でも投与されうる。非経口投与では、ゴマ油若しくはピーナッツ油中、又は水性プロピレン中の溶液が使用され、さらに対応の水溶性の塩の滅菌水溶液が使用されうる。そうした水溶液は、必要があれば適切に緩衝化され、そして該液体希釈剤は、まず十分な塩類又はグルコースで等張にされた。これらの水溶液は、特に静脈内、筋肉内、皮下、及び腹腔内注射用に特に適している。この関連では、使用される滅菌水性溶媒は、すべて当業者に周知の標準技術によって容易に得ることができる。
【0141】
ある量の活性成分を有する種々の医薬組成物の製造方法が、当業者に知られているか、又は本開示の範囲において明らかであろう。例えば、ペレットの製造は、Remington の: The Science and Practice of Pharmacy, Mack Publishing Company, Easton, Pa.、第19版(1995)に記載される延長された放出ペレットは、速放性ペレット被膜するか、又はマトリックス・システムを介することにより製造される。被膜は、例えば被膜パン又は液体ベッド被膜−乾燥機で行われてもよい。成形及びそれに続く球形化は、医薬ペレットの長く知られている製造方法である(J. W. Conine et al., Drug & Cosmetic Ind. 106,38-41 (1970))。しかしながら、ペレット化などの他の方法が使用されてもよい。粒子は、高速ミキサー顆粒機又はロータリー液体ベッド凝集機中で球形顆粒又はペレットを形成するように塊にされてもよい。これらの方法は、K. W. Olson and A. M. Mehta, Int. J. Pharm. Tech&. Prod. Mfr. 6 18-24,1985により記載される。ペレットはまた、湿った塊又は溶解物を押し出し、球形化すことにより製造されてもよい。例えば、C. Vervaet, L. Baert & J. P. Remon Int. J. Pharm. 116 (1995) 131-146に記載されるとおりである。使用される賦形剤は、典型的に形成性質を有する物質、例えば微結晶セルロース、マンニトールである。少量のポリマー性結合剤が一般的に加えられる。ドデシル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤はまた、より容易な成形を可能にするために取り込まれてもよい。
【0142】
本発明に記載の医薬組成物は、0.1%〜95%、好ましくは1%〜70%の本発明の治療剤を含みうる。いくつかの出来事では、投与される組成物又は製剤は、本発明に記載される多くの治療薬剤(単数又は複数)を、治療される対象の病気又は疾患を治療するために有効な量で含むであろう。
【0143】
本発明の2種の異なる化合物は、同時に又はいずれかの順番で連続的に共投与されうるか、又は上に記載されるように例えばジプラシドンとGABA調節薬、又はジプラシドンと抗痙攣薬、又はジプラシドンとベンゾジアゼピンを含む単一医薬組成物として共投与されうる。
【0144】
本発明は、本明細書中に記載される疾患/病気を、別々に投与されうる活性成分の組合せで治療することに関する態様を有するので、本発明は、キット形態において別々にされた医薬組成物を混合することにも関する。該キットは、別々にされた医薬組成物:ジプラシドンとGABA調節薬、そのプロドラッグ又は該GABA調節薬若しくはプロドラッグの医薬として許容される塩;或いはジプラシドンと抗痙攣薬、そのプロドラッグ、又は該GABA調節薬又はプロドラッグの医薬として許容される塩;ジプラシドンとベンゾジアゼピン、そのプロドラッグ又は該GABA調節薬若しくはプロドラッグの医薬として許容される塩を含む。該キットは、別々にされた組成物を含むコンテナ、例えば分割ボトル又は分割された金属薄片の包みを含む。典型的なキットは、別々の成分を投与するための指示を含む。キット形態は、別々にされた成分が特に異なる投与形態で投与される場合(例えば、経口投与と非経口投与)、異なる投与間隔で投与される場合、又は組合せにおける個々の成分の滴定が処方する医師により所望される場合、特に利点がある。
【0145】
そうしたキットの例は、いわゆるブリスター・パックである。ブリスター・パックは、パッケージ工業において周知であり、そして医薬単位用量形態(錠剤、カプセルなど)のパッケージングに広く使用されている。ブリスター・パックは、一般的に好ましくは透明なプラスチック材料のホイルでカバーされた比較的堅い材料のシートからなる。パッケージング・プロセスの間、凹部はプラスチック・ホイルに形成される。該凹部は、詰められる錠剤又はカプセルの大きさ及び形を有する。次に、錠剤又はカプセルは、凹部に配置され、そして比較的堅い材料のシートは、凹部が形成される方向からは反対であるホイルの面で、プラスチック・ホイルに対して密閉される。結果として、錠剤又はカプセルは、プラスチックホイルとシートとの間の凹部中に密封される。好ましくは、シートの強度は、錠剤又はカプセルが凹部上に手で圧力をかけ、それにより凹部の場所でシートに開口部が作られることによりブリスター・パックから取り出される強度である。錠剤又はカプセルを該開口部から取り出すことができる。
【0146】
例えば、錠剤又はカプセルの隣に数字の形で、キット上に記憶補助を与えることは望ましいかもしれない。これにより、該数字は治療計画の日にちと対応し、そのように特定された錠剤又はカプセルを摂取すべきである。そうした記憶補助の他の例は、カードに印刷されたカレンダーであり、例えば、以下:「第一週、月曜日、火曜日、・・・など・・・、第二週、月曜日、火曜日、・・・」などである。記憶補助の他の変形は、技術のある医師に明らかであるだろう。「1日量」は、1の錠剤又はカプセル、或いは一日で摂取されるいくつかのピル又はカプセルでありうる。また、ジプラシドンの1日量は、錠剤又はカプセルからなり、一方抗痙攣薬、ベンゾジアゼピン、又はGABA調節薬は、数個の錠剤又はカプセルからなりうるし、或いは逆も同様である。記憶補助は、このことを反映すべきである。
【0147】
本発明の別の特異的な実施態様では、意図された使用の順番で、1日量を一回で与えるように設計されたディスペンサーが提供される。好ましくは、該ディスペンサーは、投薬計画の遵守をさらに促進するために、記憶補助を備える。そうした記憶補助の例は、与えられた1日量の数を指し示す機械的計数機である。そうした記憶補助の別の例は、液晶画面又は音による注意喚起シグナルとつながれた電池式のマイクロチップメモリーであって、例えば前回の1日量が摂取されたこと及び/又は次の用量が摂取される時を知らせてくれるメモリーである。
【0148】
本発明の別の実施態様では、本発明の方法による患者において治療抵抗性不安障害の治療は、
ある量の第一治療薬、ここで該第一治療薬がジプラシドンである;
ある量の第二治療薬、ここで該第二治療薬がGABA調節薬、そのプロドラッグ、又は該GABA調節薬若しくは該プロドラッグの医薬として許容される塩である;並びに
ある量の第三治療薬、ここで該第三の治療薬がベンゾジアゼピン、そのプロドラッグ、又は該ベンゾジアゼピン若しくは該プロドラッグの医薬として許容される塩である、
を含む医薬組成物の三重の組合せを投与することを含みうる。
【0149】
本発明のさらに別の実施態様では対象における精神病性疾患又は精神病の治療では、本発明の方法は、
ある量の第一治療薬、ここで該第一治療薬はジプラシドンであり;
ある量の第二治療薬、ここで該第二治療薬はベンゾジアゼピン、そのプロドラッグ、又は該ベンゾジアゼピン若しくはプロドラッグの医薬として許容される塩であり;
ある量の第三治療薬、ここで該第三治療薬は、抗痙攣薬、そのプロドラッグ、又は該抗痙攣薬若しくはプロドラッグの医薬として許容される塩である
を含む医薬組成物の三重の組合せを投与することを含みうる。
【0150】
第一成分化合物として、単一の非定形型抗精神病薬の使用が好ましい一方で、必要があれば又は所望されれば、2以上の非定形型抗精神病薬の組合せが第一成分として使用されてもよいということが理解されるであろう。同様に、単一のGABA調節薬、抗痙攣薬、又はベンゾジアゼピンを第二成分化合物とし使用することが好ましい一方、必要があれば又は所望されれば、2以上のこれらの薬剤の組合せが第二成分として使用されてもよい。
【0151】
本発明の非定形型抗精神病薬は、単独で有用であるか、又は第二抗精神病薬、例えば非定形型抗精神病薬、例えばジプラシドン、メシレート、定形型抗精神病薬、例えばハロペリドール、又はドパミン系安定性抗精神病薬、例えばアリピラゾールとの組合せで有用である。加えて、本発明の組合せは、不安症のほかの治療薬、つまりSSRIs、又はブスピロン、或いは精神病性障害又は気分障害用の薬剤、つまりリチウム、三環系抗うつ薬との組合せで使用されてもよい。第二抗精神病薬が使用される場合、それらの両方が患者に相乗的効果の量で投与されることが好ましい。総量が、一日あたり約0.0001〜約1000mg/kg、より好ましくは一日あたり約0.01〜約100mg/kg、そして最も好ましくは一日あたり約0.1〜約60mg/kgの範囲であることが好ましい。
【0152】
本発明において有用な医薬組成物は、1又は両方の活性化合物を、医薬として許容される担体と組み合わせて含むであろう。好ましくは、これらの組成物は、経口、非経口、経鼻、舌下、又は直腸投与用又は吸入若しくは吸引投与用の錠剤、ピル、カプセル、粉末、顆粒、滅菌非経口溶液若しくは懸濁液、計量されたエアロゾル若しくは液体スプレー、ドロップ、アンプル、自己注射装置、又は座薬などの単位用量形態である。錠剤などの固体組成物の製造では、第一活性成分は、医薬担体、例えば慣用の錠剤化成分、例えば、コーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、滑石、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム又はガム、及び他の医薬として許容される希釈剤、例えば水と混合されて、本発明の化合物、又は医薬として許容されるその塩の均一混合を含む固体の処方前組成物を形成する。
【0153】
均一なものとして当該処方前組成物を指す場合、活性成分が、組成物中に均一に分散し、その結果該組成物が有効な単位投与形態、例えば錠剤、ピル、及びカプセルに容易に等しく分割されるということを意味する。該固体の処方前組成物は、次に0.1〜約2000mgの本発明に記載される各活性成分の各々を含む上記の単位投与量形態中に分割される。典型的な単位投与量形態は、1〜300mg、例えば、1、2、5、10、25、50、又は100mgの活性成分を含む。新規組成物の錠剤又はピルは、被膜されうるか、又はそうでなければ延長された作用の利点を与える投与形態を提供するために混合される。例えば、錠剤又はピルは、内部用量及び外部用量成分を含みうる。後者は、前者を包む形態である。2個の成分は、腸溶層により分離されうる。該層は、胃の中における溶解に抵抗するように働き、そして内部成分が十二指腸へ無傷で通過するか、又は放出を遅らせることを許容する。種々の物質は、そうした腸溶層又は被膜などに使用され、そうした物質は多くのポリマー酸及びポリマー酸とシェラック、セチル・アルコール、及び酢酸セルロースなどの物質との混合体を含む。
【0154】
組み合わせて投与される場合、単一又は分離した医薬組成物として、ジプラシドンとGABA調節薬、抗痙攣薬、又はベンゾジアゼピンは、所望の効果の徴候と合致する比で提示された。特に、ジプラシドン対GABA調節薬の重量比は、適切には0.001〜1と1000〜1の間、特に0.01〜1と100〜1の間である。
【0155】
医薬の組合せは、1日あたり6回まで、好ましくは1日あたり1〜4回、特に1日あたり2回、そして最も特異的に1日当たり1回の投薬計画に基づいて投与されうる。
【0156】
本明細書中で使用されるとき、「対象」という用語は、経済的に重要な動物、例えばウシ、ヒツジ、及びブタ動物、特に肉を生産する動物、並びにペット動物(例えばネコ及びイヌ)、スポーツ動物(例えば、ウマ)、動物園動物、及びヒトを含み、後者が最も好ましい。
【実施例】
【0157】
実施例1
医薬組成物は、医薬として許容される担体中でジプラシドンを、GABA調節薬と混合することにより製造され、該GABA調節薬は:(a)ガバペンチン、(b)プレガバリン、又は(c)ラモトリギンである。該組成物は、一日あたり約20mg〜約160mgジプラシドンと(a)約100〜400mgのガバペンチン;又は(b)1〜500mgプレガバリン;又は(c)2〜200mgラモトリギンのそれぞれの量をデリバリーするために、ジプラシドンとギャバペプチン、プレガバリン、又はラモトリギンの個別の量を含む。該組成物は、統合失調症の治療のために、一日あたり1回、一日あたり2回、一日あたり3回、又は一日あたり4回、投与されうる。
【0158】
本発明が、本明細書中に記載される特定の実施態様に限定されず、種々の変化及び改変が、添付のクレームにより定義される新しいコンセプトの精神及び範囲から逸脱することなく行われうるということは理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物において治療抵抗性不安障害、精神病性障害若しくは精神病、又は気分障害からなる群から選ばれる精神医学的状態の治療に使用するための医薬組成物であって、
(i) 非定形型抗精神病薬である第一治療薬、及び
(ii) GABA調節薬、抗痙攣薬、及びベンゾジアゼピンからなる群から選ばれる第二治療薬
を含み、ここで(i)及び(ii)の量が上記精神医学的状態の治療にともに有効である、前記医薬組成物。
【請求項2】
前記第一治療薬が、オランザピン、アリピプラゾール、クロザピン、リスペリドン、セルチンドール、クエチアピン、アミスルプリド、アセナピン、及びジプラシドン、或いは医薬として許容されるその塩若しくはプロドラッグ、又は該プロドラッグの医薬として許容される塩からなる群から選ばれ;そして前記第二治療薬が、ムシモール、プロガビド、リルゾール、バクロフェン、ガバペンチン、ビガバトリン、チアガビン、ラモトリギン、プレガバリン、トピラメート、ジアゼパム、ロラゼパム、クロナゼパム、オキサゼパム、クロラゼペート二カリウム、クロラゼペート、クロルジアゼポキシド、メディアゼパム(mediazepam)、フルラゼパム、クロブサム、ニトラゼパム、フルニトラゼパム、アスタゾラム、ブロマゼパム、アルプラゾラム、ロルメタゼパム、テマゼパム、ブロチゾラム、トリアゾラム、クロルジアゼパム、ハラゼパム、プラゼパム、バルプロエート、フェニトイン、カルバマゼピン、フェルバメート、レベチラセタム、ゾニサミド、メトスクシミド、オキシカルバゼピン、ネモトリジン(nemotrizine)、エトスクシミド、ネモトリジン、或いは医薬として許容されるその塩若しくはプロドラッグ、又は該プロドラッグの医薬として許容される塩からなる群から選ばれる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記第一治療薬が、ジプラシドン、そのプロドラッグ又は医薬として許容される塩、或いは該プロドラッグの医薬として許容される塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
治療抵抗性不安障害、精神病性障害又は精神病、或いは気分障害から選ばれる障害の治療を必要とする哺乳動物における、当該障害の治療方法であって、該動物に以下の:
i)非定形型抗精神病薬である第一治療薬の量;及び
ii)GABA調節薬、抗痙攣薬、及びベンゾジアゼピンからなる群から選ばれる第二治療薬の量
を投与することを含み、ここで(i)及び(ii)の量が、該障害を治療するのにともに有効である、前記方法。
【請求項5】
前記方法が、治療抵抗性強迫神経症、治療抵抗性急性ストレス障害、治療抵抗性全般性不安障害、治療抵抗性物質誘導性不安障害、及び特定不能の治療抵抗性不安障害からなる群から選ばれる治療抵抗性不安障害の治療のためのものである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、治療抵抗性統合失調症、治療抵抗性統合失調症様障害、治療抵抗性分裂感情障害、治療抵抗性妄想性障害、治療抵抗性短期精神病性障害、治療抵抗性共有精神病性障害、病状のため生じる治療抵抗性精神病性障害、及び特定不能の治療抵抗性精神病性障害からなる群から選ばれる精神病性障害又は精神病の治療のためのものである、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、単極性障害、双極性障害、気分変調性障害、及び気分循環性障害からなる群から選ばれる、気分障害又は気分病の治療のためのものである、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
治療されるべき苦痛が、精神病性障害又は精神病である、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
ベンゾジアゼピンである第三の治療薬の量をさらに含み、ここで(i)、(ii)及びベンゾジアゼピンの量がともに有効である、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記非定形型精神病薬が、ジプラシドンである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記非定形型精神病薬がジプラシドンであり、そして該ジプラシドンが、一日あたり約5mg〜約460mgの用量で投与される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記非定形型精神病薬がジプラシドンであり、そして該ジプラシドンが、一日あたり約20mg〜約200mgの用量で投与される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記非定形型抗精神病薬がジプラシドンであり、そして投与が経口投与である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記非定形型抗精神病薬がジプラシドンであり、そして該ジプラシドンが非経口的に投与される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記非定形型抗精神病薬が、アゼナピン又は医薬として許容されるその塩である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2006−528676(P2006−528676A)
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530635(P2006−530635)
【出願日】平成16年5月3日(2004.5.3)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001517
【国際公開番号】WO2004/100992
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】