説明

2以上の活性物質及び少なくとも一つの界面活性剤を有するエアロゾル用の医薬組成物

本発明は、少なくとも2以上の活性剤及び少なくとも一つの界面活性剤を含み、及び吸入又は鼻腔投与に適した、エアロゾルのための新規医薬製剤に関する。本発明は特に、高圧ガスとしてフルオロハイドロカーボン(HFA)を含んだ高圧ガスを含んだ投与エアロゾルのための医薬製剤に関しており、前記製剤は少なくとも2以上の活性剤の組み合わせを含み、少なくとも一つの活性剤は溶解した形態で存在し、他の少なくとも一つの活性剤は、少なくとも一つの界面活性剤と共に分散した粒子の形態で存在する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、少なくとも2以上の活性物質を、少なくとも一つの界面活性剤と共に有する、吸入又は鼻腔投与のための、エアロゾル用の新規医薬製剤に関する。
【0002】
(先行技術)
高圧ガスで噴霧される定投与量吸入器において、活性物質は、溶液又は懸濁液として処方して良い。圧倒的多数において、定投与量の吸入器用のエアロゾル製剤は、特に製剤が1より多い活性物質を含む場合には、懸濁液の形態で提供される。溶液製剤は、限定された範囲でのみ使用される。これらの場合において、製剤は、通常、たった1つの活性物質を含む。
通例、懸濁液における活性物質の化学的な安定性は、溶液よりも顕著により高い。更に、活性物質は溶液よりも懸濁液中でより濃縮され、これはより高い投与量が懸濁液形態で得られることを意味する。
懸濁液形態では、懸濁された粒子が時間と共に(例えば貯蔵において)堆積し、多かれ少なかれ安定な、より大きな塊又はより遊離した薄片を形成し、又は堆積物又は浮遊物を形成し、最悪の場合には、粒子の成長を示して、これにより製品の医薬品としての品質を深刻に損うことが、懸濁液製剤における主な欠点である。形成した粒子の大きさ又は粒子の成長速度は、液相の溶液の特徴により影響を受ける。従って、貯蔵の間の水分の浸透又は例えば共溶媒の添加による極性の意図的な増加は、特に懸濁した粒子が極性構造成分を有する場合、医薬最終製品の品質にひどい影響を有し得る。界面活性剤の添加によって、水分の有害な影響及び/又は粒子の成長の削減及び懸濁した粒子を長期に亘り懸濁液中に保持することができることより、懸濁液の物理的な安定を達成することが可能である。
【0003】
溶液製剤は、普通は、分離過程、例えば堆積又は綿状沈殿の粒子サイズの増加の問題により影響されない。しかしながら、この場合において、化学分解プロセスが深刻なリスクを与える。他の不利な点は、成分の限定した溶解性が、高い投与量の投与を妨げ得ることである。過去において具体的な適合性が証明された溶媒は、クロロフルオロカーボンTG11(トリクロロフルオロメタン)、TG12(ジクロロジフルオロメタン)及びTG114(ジクロロテトラフルオロエタン)を含む。共溶媒を添加することにより、成分の溶解性を増加することが可能である。更に、溶液製剤において、通常は、追加措置をとり、溶解した成分を化学的に安定化させなければならない。
これまでは、使用される高圧ガスは、CFC、例えば上記TG11であった。しかしながら、CFCはオゾン層の破壊を伴うことから、これらの製造及び使用は徐々に廃止されてきている。望まれるのは、オゾン層に対するダメージがより少ないが、完全に異なる溶液特性を有する、特別なフッ素化した炭化水素(HFA)を使用することにより、これらを置き換えることである。毒性プロフィール及び物理化学特性、例えば蒸気圧は、例えばどのHFAが定投与量エアロゾルに対して適切であるかを決定する。現在のところ最も見込みのある例は、TG134a(1,1,2,2-テトラフルオロエタン)及びTG227(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)である。
【0004】
吸入により治療するため、2以上の活性物質を含むエアロゾル製剤が望まれるであろう。活性物質は、溶液として均一に又は懸濁液として均一に必要な濃度で処方され、多くの場合個々の活性物質の達成できる濃度の化学安定性に関係する問題と関連づけられる。活性物質の一つが懸濁できず、又はこの種の懸濁製剤中で不安定である場合に、又は活性物質の一つが化学的に不安定である、又は溶液製剤中に溶解しないであろう場合、具体的にはHFAが高圧ガスとして使用される場合に主な問題が発生する。
従って、本発明の一つの目的は、上記不利な点を克服する、2以上の活性物質を少なくとも一つの界面活性剤と共に有する、定投与量エアロゾルのための製剤を開発することである。
【0005】
(本発明の詳細)
驚くべきことに、2以上の活性物質が、少なくとも一つの界面活性剤と共に、一の製剤中に併存して溶媒として及び懸濁液として処方でき、この製剤が向上した特性を有することが見出された。
本発明は、高圧ガスとしてフッ素化した炭化水素、具体的にはTG134a及び/又はTG227を有する安定なエアロゾル製剤の形態にある医薬製剤に関しており、この製剤は2以上の活性物質からなり、ここで活性物質の少なくとも一つは溶液として処方され、及び活性物質の少なくとも一つは懸濁液として処方され、更に製剤は少なくとも一つの界面活性剤を含み、製剤の特性を向上する。本発明による医薬製剤は、吸入による治療、具体的には口内、咽頭腔及び気道の病気、例えばぜんそくの病気及びCOPDの治療に対して使用される。
本発明は更に、本発明による医薬製剤を含んだ定投与量エアロゾルに関する。
【0006】
(発明の詳細な説明)
一態様において、2以上の活性物質と合わせた少なくとも一つの界面活性剤の医学的に有用な組み合わせは、吸入により又は鼻腔経路により投与するため使用される。
使用される薬剤的に活性である物質、物質の製剤又は物質の混合物は、いかなる吸入化合物、例えばEP1003478に開示するような吸入できる巨大分子であってもよい。好ましくは、吸入により摂取される物質、物質の製剤又は物質の混合物は、呼吸器の病気を治療するために使用される。
これに関連して特に好ましいのは、抗コリン作用薬、β様物質(betamimetic)、ステロイド、IV型ホスホジエステラーゼ阻害剤、LTD4-アンタゴニスト及びEGFR-キナーゼ阻害剤、抗アレルギー性物質、麦角アルカロイド誘導体、トリプタン、CGRPアンタゴニスト、V型ホスホジエステラーゼ阻害剤及びこの種の活性物質の組み合わせ、例えばβ様物質と抗コリン作用薬又はβ様物質と抗アレルギー性物質から選択される。組み合わせの場合において、少なくとも一つの活性物質は、化学的に結合した水を含む。抗コリン作用薬を含む活性物質は、単一製剤として、又は組み合わせた製剤の形態で好ましく使用される。
【0007】
以下は、活性成分又はその塩の具体例である:
使用される抗コリン作用薬は、好ましくは、チオトロピウムブロミド、オキシトロピウムブロミド、フルトロピウムブロミド、イプラトロピウムブロミド、グリコピロニウム塩、トロスピウムクロライド、トルテロジン、トロペノール2,2-ジフェニルプロピオネートメトブロミド、スコピン2,2-ジフェニルプロピオネートメトブロミド、スコピン2-フルオロ-2,2-ジフェニルアセテートメトブロミド、トロペノール2-フルオロ-2,2-ジフェニルアセテートメトブロミド、トロペノール3,3',4,4'-テトラフルオロベンジレートメトブロミド、スコピン3,3',4,4'-テトラフルオロベンジレートメトブロミド、トロペノール4,4'-ジフルオロベンジレートメトブロミド、スコピン4,4'-ジフルオロベンジレートメトブロミド、トロペノール3,3'-ジフルオロベンジレートメトブロミド、スコピン3,3'-ジフルオロベンジレーメトブロミド、トロペノール9-ヒドロキシ-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、トロペノール9-フルオロ-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、スコピン9-ヒドロキシ-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、スコピン9-フルオロ-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、トロペノール9-メチル-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、スコピン9-メチル-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、シクロプロピルトロピンベンジレートメトブロミド、2,2-ジフェニルプロピオネートシクロプロピルトロピンメトブロミド、シクロプロピルトロピン9-ヒドロキシ-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、シクロプロピルトロピンベンジレートメトブロミド、2,2-ジフェニルプロピオネートシクロプロピルトロピンメトブロミド、シクロプロピルトロピン9-ヒドロキシ-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、シクロプロピルトロピン9-メチル-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、シクロプロピルトロピン9-メチル-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、シクロプロピルトロピン9-ヒドロキシ-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、メチルシクロプロピルトロピン4,4'-ジフルオロベンジレートメトブロミド、トロペノール9-ヒドロキシ-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、スコピン9-ヒドロキシ-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、トロペノール9-メチル-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、スコピン9-メチル-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、トロペノール9-エチル-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、トロペノール9-ジフルオロメチル-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド及びスコピン9-ヒドロキシメチル-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、任意でこれらのラセミ体、エナンチオマー又はジアステレオマーの形態、及び任意でこれらの溶媒和物及び/又は水和物の形態から好ましく選択される。
【0008】
使用しても良いβ様物質は、アルブテロール、バンブテロール、ビトルテロール、ブロキサテロール、カルブテロール、クレンブテロール、フェノテロール、ホルモテロール、ヘキソプレナリン、イブテロール、インダカテロール、イソエタリン、イソプレナリン、レボサルブタモール、マブテロール、メルアドリン、メタプロテレノール、オルシプレナリン、ピルブテロール、プロカテロール、レプロテロール、リミテロール、リトドリン、サルメテロール、サルメファモール、ソテレノット(soterenot)、スルホンテロール、チアラミド、テルブタリン、トルブテロール、CHF-1035、HOKU-81、KUL-1248、3-(4-{6-[2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル-フェニル)-エチルアミノ]-ヘキシルオキシ}-ブチル)-ベンゼンスルホンアミド、5-[2-(5,6-ジエチル-インダン-2-イルアミノ)-1-ヒドロキシ-エチル]-8-ヒドロキシ-1H-キノリン-2-オン、4-ヒドロキシ-7-[2-{[2-{[3-(2-フェニルエトキシ)プロピル]-スルホニル}エチル]-アミノ}エチル]-2(3H)-ベンゾチアゾロン、1-(2-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-2-[4-(1-ベンズイミダゾリル)-2-メチル-2-ブチルアミノ]エタノール、1-[3-(4-メトキシベンジル-アミノ)-4-ヒドロキシフェニル]-2-[4-(1-ベンズイミダゾリル)-2-メチル-2-ブチルアミノ]エタノール、1-[2H-5-ヒドロキシ-3-オキソ-4H-1,4-ベンゾオキサジン-8-イル]-2-[3-(4-N,N-ジメチルアミノフェニル)-2メチル-2-プロピルアミノ]エタノール、1-[2H-5-ヒドロキシ-3-オキソ-4H-1,4-ベンゾオキサジン-8-イル]-2-[3-(4-メトキシフェニル)-2-メチル-2-プロピルアミノ]エタノール、1-[2H-5-ヒドロキシ-3-オキソ-4H-1,4-ベンゾオキサジン-8-イル]-2-[3-(4-n-ブチルオキシフェニル)-2-メチル-2-プロピルアミノ]エタノール、1-[2H-5-ヒドロキシ-3-オキソ-4H-1,4-ベンゾオキサジン-8-イル]-2-{4-[3-(4-メトキシフェニル)-1,2,4-トリアゾール-3-イル]-2-メチル-2-ブチルアミノ}エタノール、5-ヒドロキシ-8-(1-ヒドロキシ-2-イソプロピルアミノブチル)-2H-1,4-ベンゾオキサジン-3-(4H)-オン、1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチルフェニル)-2-tert-ブチルアミノ)エタノール及び1-(4-エトキシカルボニルアミノ-3-シアノ-5-フルオロフェニル)-2-(tert-ブチルアミノ)エタノール、任意でこれらのラセミ体、エナンチオマー又はジアステレオマーの形態、及び任意でこれらの医薬品として許容される酸付加塩、溶媒和物及び/又は水和物の形態から好ましく選択される。
【0009】
使用して良いステロイドは、プレドニゾロン、プレドニゾン、ブチキソコルトプロピオネート(butixocortpropionate)、RPR-106541、フルニソリド、ベクロメタゾン、トリアムシノロン、ブデソニド、フルチカゾン、モメタゾン、シクレゾニド、ロフレポニド、ST-126、デキサメタゾン、(S)-フルオロメチル6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオネート、(S)-(2-オキソ-テトラヒドロ-フラン-3S-イル)6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-プロピロニルオキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオネート及びエチプレドノール-ジクロロアセテート(BNP-166)、任意でこれらのラセミ体、エナンチオマー又はジアステレオマーの形態、及び任意でこれらの塩及び誘導体、これらの溶媒和物及び/又は水和物の形態から好ましく選択される。
使用しても良いPDE IV阻害剤は、エンプロフィリン、セオフィリン、ロフルミラスト、アリフロ(シロミラスト)、CP-325,366、BY343、D-4396(Sch-351591)、AWD-12-281(GW-842470)、N-(3,5-ジクロロ-1-オキソ-ピリジン-4-イル)-4-ジフルオロメトキシ-3-シクロプロピルメトキシベンズアミド、NCS-613、プマフェンチン、(-)p-[(4aR*,10bS*)-9-エトキシ-1,2,3,4,4a,10b-ヘキサヒドロ-8-メトキシ-2-メチルベンゾ[s][1,6]ナフチリジン-6-イル]-N,N-ジイソプロピルベンズアミド、(R)-(+)-1-(4-ブロモベンジル)-4-[(3-シクロペンチルオキシ)-4-メトキシフェニル]-2-ピロリドン、3-(シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-(4-N'-[N-2-シアノ-S-メチル-イソチオウレイド]ベンジル)-2-ピロリドン、シス[4-シアノ-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)シクロヘキサン-1-カルボン酸]、2-カルボメトキシ-4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オン、シス[4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オール]、(R)-(+)-エチル[4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)ピロリジン-2-イリデン]アセテート、(S)-(-)-エチル[4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)ピロリジン-2-イリデン]アセテート、CDP840、Bay-198004、D-4418、PD-168787、T-440、T-2585、アロフィリン、アチゾラム、V-11294A、Cl-1018、CDC-801、CDC-3052、D-22888、YM-58997、Z-15370、9-シクロペンチル-5,6-ジヒドロ-7-エチル-3-(2-チエニル)-9H-ピラゾロ[3,4-c]-1,2,,4-トリアゾロ[4,3-a]ピリジン及び9-シクロペンチル-5,6-ジヒドロ-7-エチル-3-(tert-ブチル)-9H-ピラゾロ[3,4-c]-1,2,4-トリアゾロ[4,3-a]ピリジン、任意でこれらのラセミ体、エナンチオマー又はジアステレオマーの形態、及び任意でこれらの医薬品として許容される酸付加塩、溶媒和物及び/又は水和物の形態から好ましく選択される。
【0010】
使用して良いLTD4-アンタゴニストは、モンテルカスト、1-(((R)-(3-(2-(6,7-ジフルオロ-2-キノリニル)エテニル)フェニル)-3-(2-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)フェニル)チオ)メチルシクロプロパン-酢酸、1-(((1(R)-3(3-(2-(2,3-ジクロロチエノ[3,2-b]ピリジン-5-イル)-(E)-エテニル)フェニル)-3-(2-(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニル)プロピル)チオ)-メチル)シクロプロパン-酢酸、プランルカスト、ザフィルカスト、[2-[[2-(4-tert-ブチル-2-チアゾリル)-5-ベンゾフラニル]オキシメチル]フェニル]酢酸、MCC-847(ZD-3523)、MN-001、MEN-91507(LM-1507)、VUF-5078、VUF-K-8707及びL-733321、任意でこれらのラセミ体、エナンチオマー又はジアステレオマーの形態、任意でこれらの医薬品として許容される酸付加塩の形態、及び任意でこれらの塩の形態及び誘導体、これらの溶媒和物及び/又は水和物の形態から好ましく選択される。
【0011】
使用しても良いEGFR-キナーゼ阻害剤は、セツキシマブ、トラスツズマブ、ABX-EGF、Mab ICR-62、4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(モルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロプロピルメトキシ-キナゾリン、4-[(R)-(1-フェニル-エチル)アミノ]-6-{[4-(モルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロペンチルオキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-((R)-6-メチル-2-オキソ-モルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[2-((S)-6-メチル-2-オキソ-モルホリン-4-イル)-エトキシ]-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-({4-[N-(2-メトキシ-エチル)-N-メチル-アミノ]-1-オキソ-2-ブテン-1-イル}アミノ)-7-シクロプロピルメトキシ-キナゾリン、4-[(R)-(1-フェニル-エチル)アミノ]-6-({4-[N-(テトラヒドロピラン-4-イル)-N-メチル-アミノ]-1-オキソ-2-ブテン-1-イル}アミノ)-7-シクロプロピルメトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-({4-[N-(2-メトキシ-エチル)-N-メチル-アミノ]-1-オキソ-2-ブテン-1-イル}アミノ)-7-シクロペンチルオキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(R)-(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、4-[(3-エチニル-フェニル)アミノ]-6,7-ビス-(2-メトキシ-エトキシ)-キナゾリン、4-[(R)-(1-フェニル-エチル)アミノ]-6-(4-ヒドロキシ-フェニル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン、3-シアノ-4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-エトキシ-キノリン、4-[(R)-(1-フェニル-エチル)アミノ]-6-{[4-((R)-6-メチル-2-オキソ-モルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(モルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、4-[(3-エチニル-フェニル)アミノ]-6-{[4-(5,5-ジメチル-2-オキソ-モルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{2-[4-(2-オキソ-モルホリン-4-イル)-ピペリジン-1-イル]-エトキシ}-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(トランス-4-アミノ-シクロヘキサン-1-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(トランス-4-メタンスルホニルアミノ-シクロヘキサン-1-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(テトラヒドロピラン-3-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{1-[(1-モルホリン-4-イル)カルボニル]-ピペリジン-4-イルオキシ}-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(ピペリジン-3-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[1-(2-アセチルアミノ-エチル)-ピペリジン-4-イルオキシ]-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(テトラヒドロピラン-4-イルオキシ)-7-エトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{トランス-4-[(モルホリン-4-イル)カルボニルアミノ]-シクロヘキサン-1-イルオキシ}-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{1-[(ピペリジン-1-イル)カルボニル]-ピペリジン-4-イルオキシ}-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(シス-4-{N-[(モルホリン-4-イル)カルボニル]-N-メチル-アミノ}-シクロヘキサン-1-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(トランス-4-エタンスルホニルアミノ-シクロヘキサン-1-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(1-メタンスルホニル-ピペリジン-4-イルオキシ)-7-(2-メトキシ-エトキシ)-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[1-(2-メトキシ-アセチル)-ピペリジン-4-イルオキシ]-7-(2-メトキシ-エトキシ)-キナゾリン、4-[(3-エチニル-フェニル)アミノ]-6-(テトラヒドロピラン-4-イルオキシ]-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(シス-4-{N-[(ピペリジン-1-イル)カルボニル]-N-メチル-アミノ}-シクロヘキサン-1-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{シス-4-[(モルホリン-4-イル)カルボニルアミノ]-シクロヘキサン-1-イルオキシ}-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{1-[2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル]-ピペリジン-4-イルオキシ}-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-エチニル-フェニル)アミノ]-6-(1-アセチル-ピペリジン-4-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-エチニル-フェニル)アミノ]-6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-エチニル-フェニル)アミノ]-6-(1-メタンスルホニル-ピペリジン-4-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルオキシ)-7-(2-メトキシ-エトキシ)-キナゾリン、4-[(3-エチニル-フェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニル]-ピペリジン-4-イルオキシ}-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{1-[(N-メチル-N-2-メトキシエチル-アミノ)カルボニル]-ピペリジン-4-イルオキシ}-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(1-エチル-ピペリジン-4-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[シス-4-(N-メタンスルホニル-N-メチル-アミノ)-シクロヘキサン-1-イルオキシ]-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[シス-4-(N-アセチル-N-メチル-アミノ)-シクロヘキサン-1-イルオキシ]-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(トランス-4-メチルアミノ-シクロヘキサン-1-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[トランス-4-(N-メタンスルホニル-N-メチル-アミノ)-シクロヘキサン-1-イルオキシ]-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(トランス-4-ジメチルアミノ-シクロヘキサン-1-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(トランス-4-{N-[(モルホリン-4-イル)カルボニル]-N-メチル-アミノ}-シクロヘキサン-1-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-[2-(2,2-ジメチル-6-オキソ-モルホリン-4-イル)-エトキシ]-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(1-メタンスルホニル-ピペリジン-4-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(1-シアノ-ピペリジン-4-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリン、及び4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{1-[(2-メトキシエチル)カルボニル]-ピペリジン-4-イルオキシ}-7-メトキシ-キナゾリン、任意でこれらのラセミ体、エナンチオマー又はジアステレオマーの形態、任意でこれらの医薬品として許容される酸付加塩の形態、これらの溶媒和物及び/又は水和物から好ましく選択される。
【0012】
化合物を形成する医薬品として許容される酸を用いた酸付加塩は、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、ハイドロスルフェート(hydrosulphate)、ハイドロホスフェート(hydrophosphate)、ハイドロメタンスルホネート(hydromethanesulphonate)、ハイドロニトレート(hydronitrate)、ハイドロマレエート(hydromaleate)、ハイドロアセテート(hydroacetate)、ハイドロベンゾエート(hydrobenzoate)、ハイドロシトレート(hydrocutrate)、ハイドロフマレート(hydrofumarate)、ハイドロタルトレート(hydrotartrate)、ハイドロオキサラート(hydroxalate)、ハイドロサクシネート(hydrosuccinate)、ハイドロベンゾエート(hydrobenzoate)及びハイドロ-p-トルエンスルフェート(hydro-p-sulphate)、好ましくは塩酸塩、臭化水素酸塩、ハイドロスルフェート、ハイドロホスフェート、ハイドロフマレート及びハイドロメタンスルホネートから選択される塩を意味する。
抗アレルギー性物質の例は、二ナトリウムクロモグリケート、ネドクロミルである。
麦角アルカロイドの例は、ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミンである。
吸入のための適切な物質の例は、薬物、薬物製剤及び上記活性物質を含んだ混合物、及びこれらの塩及びエステル、及びこれら活性物質、塩及びエステルの組み合わせを含む。
【0013】
本発明による製剤において、上記活性物質のどちらが溶液として処方され、及びどちらが懸濁液として処方されるかは、活性物質の具体的な組み合わせに起因し、及び溶液及び懸濁実験により比較的迅速に決定できる。
好ましい態様において、以下の活性物質の1以上を懸濁する:ブデソニド、クロモグリシックアシッド(cromoglycic acid)、ネドクロミル、レプロテロール及び/又はサルブタモール(アルブテロール)又はこれら化合物から誘導されるエステル、塩及び/又は溶媒和物、並びに以下の物質の1以上を溶解する:ベクロメタゾン、フェノテロール、イプラトロピウムブロミド、オルシプレナリン及び/又はオキシトロピウムブロミド、N-[[2,2-ジメチル-4-(2-オキソ-2H-ピリジン-1-イル)-6-トリフルオロメチル-2H-1-ベンゾピラン-3-イル]メチル]-N-ヒドロキシ-アセトアミド、又はこれら化合物から誘導するエステル、塩及び/又は溶媒和物。2つの異なる活性物質を含む態様が好ましい。
好ましくは、医薬製剤は、以下から選択される活性物質の組み合わせを含む:ベクロメタゾン、ブデソニド、クロモグリシックアシッド、フェノテロール、フルニソリド、フルチカゾン、イプラトロピウム、ネドクロミル、オルシプレナリン、オキシトロピウムブロミド、レプロテロール、サルブタモール、サルメテロール(アルブテロール)、テルブタリン、N-[[2,2-ジメチル-4-(2-オキソ-2H-ピリジン-1-イル)-6-トリフルオロメチル-2H-1-ベンゾピラン-3-イル]メチル]-N-ヒドロキシ-アセトアミド、これらのエステル、塩及び/又は溶媒和物。
【0014】
医薬製剤の特に好ましい態様は、溶解したイプラトロピウムブロミドモノハイドレートを、特に懸濁した活性物質としてのサルブタモールスルフェート(アルブテロールスルフェート)と組み合わせて含む。
全ての態様において、活性物質は、治療効量で使用され、すなわちうまく治療できる量で使用される。活性物質の濃度及びスプレージェットに対して供給される容積を調整して、1又はほんのいくつかのスプレージェットが、問題となる活性物質の医学的に必要とされ又は要求される量を供給する。
一態様は、懸濁した粒子が界面活性剤の添加により達成される製剤に関する。これは、非常に長期間、例えば貯蔵の間でさえ、粒子径が医薬品として安定かつ許容される状態を維持すると言う利点を有する。最大20μmの粒子径が好ましく、一方で、5から15μmの粒子径がより好ましく、最も好ましくは10μmを超えない。これら粒子径の利点は、粒子が肺の中に深く浸透するのに十分小さいが、交換した空気と共に再度はき出されない程度に小さいことである。
【0015】
適切な界面活性剤は、親油性炭化水素基及び1以上の機能的な親水性基(群)を有する、医薬品として許容される全ての物質を含む。特に適切なのは、C5-20-脂肪アルコール、C5-20-脂肪酸、C5-20-脂肪酸エステル、レクチン、グリセリド、プロピレングリコールエステル、ポリオキシエチレン、ポリソルベート、ソルビタンエステル及び/又はカルボハイドレートである。C5-20-脂肪酸、プロピレングリコールジエステル及び/又はトリグリセリド及び/又はC5-20-脂肪酸のソルビタンが好ましく、一方でC5-20-脂肪酸のナトリウム又はカリウム塩、オレイン酸及びソルビタンモノ-、ジ-又はトリオレエート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ポリオキシエチレングリセロールエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、アルキルポリグリコシド、塩化ベンザルコニウム及び/又はセチルピリジニウムクロライドが特に好ましい。
最も特に好ましくは、ポリビニルピロリドンK25(ポビドン25(登録商標))、ポリオキシエチレン-20-ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレングリセロールトリオレエート又はこれら界面活性剤の組み合わせである。本発明により特に好ましいのは、ポリオキシエチレン-20-ソルビタンモノラウレート及びポリオキシエチレングリセロールトリオレエートであり、これらはブランド名Tween(登録商標)20及びTagat(登録商標)TOVの元で市場に置かれ及び入手可能である。
【0016】
界面活性剤は、好ましくは、本発明による製剤において、0.001から5%(m/m)、特に好ましくは0.01から3%(m/m)の濃度で存在する。
本発明の特に好ましい態様において、上記界面活性剤の1以上、好ましくはこれらの内一つが、0.02から0.2%(m/m)、好ましくは0.05から0.15%(m/m)、特に0.1%(m/m)の濃度で存在する。
本発明の好ましい他の態様において、上記界面活性剤の1以上、好ましくはこれらの内一つが、0.3から2.5%(m/m)、好ましくは0.4から2%(m/m)、より好ましくは0.5から1.5%(m/m)、さらに好ましくは0.75から1.25%(m/m)、特に1.0%(m/m)の濃度で存在する。
前記界面活性剤のさらなる利点は、これらがバルブ滑剤(valve lubricant)としても使用できることである。従って、1態様は、前記界面活性剤が、バルブ滑剤として添加される製剤に関する。
【0017】
他の態様において、溶解する活性物質(群)の溶解性は、共溶媒の添加により増加する。これは、溶解する活性物質(群)をより高い濃度で処方できる利点を有する。共溶媒の添加は、上記不利な点の一つが懸濁した活性物質の粒子に起こる、臨界の極性の限界を超えることがあってはならない。
適切な共溶媒は、医薬品として許容されるアルコール、例えばエタノール、エステル又は水又はこれらの混合物である;エタノールが好ましい。製剤の全体量に基づいた共溶媒の濃度は、0.0001から50%(m/m)、好ましくは0.01から25%(m/m)であってよい。好ましい態様において、共溶媒の濃度は、1から20%(m/m)、好ましくは5から15%(m/m)である。最も特に好ましくは、共溶媒の濃度が8から12%(m/m)、特に10%(m/m)である、本発明によるこれら製剤である。
本発明の範囲内で定義される濃度は、常に、製剤全体の質量に基づいた質量%(%m/m)である。
【0018】
他の態様において、他の通常の高圧ガスが、HFA高圧ガスに添加される。このように添加した高圧ガスは、他のフッ素化した炭化水素は別として、飽和した低級炭化水素、例えばプロパン、ブタン、イソブタン又はペンタンであって良く、混合物を薬物動態学的に安全にする。
一態様において、安定化剤を製剤に添加して、長期間、例えば貯蔵の間でさえ、活性物質の医薬品の安定性に有利に影響する。本発明との関係で、用語安定化剤は、個々の成分、特に活性物質だけでなく、他の添加剤、例えば第二の反応又は分解の結果としての物質に対する化学的な変化を防ぎ又は遅らせることにより、医薬製剤の耐久力及び耐用年数を延長し、又は生物学的なコンタミを防ぐ物質を言う。この場合において、好ましい安定化剤は、液相のpH値に影響するもの、例えば酸及び/又はこれらの塩である。特に適切な酸は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、アスコルビン酸、クエン酸及びこれらの塩である。適切な殺菌剤、防かび剤等の例は、塩化ベンザルコニウム及びエチレンジアミンテトラアセテートを含む。クエン酸が最も好ましい。上記安定化剤の濃度は、好ましくは0.0001から0.02%(m/m)、好ましくは0.0005から0.01%(m/m)の範囲である。本発明による特に好ましい製剤は、0.001から0.008%(m/m)の濃度で上記安定化剤を含み、一方で、0.002から0.006%(m/m)特に約0.004%(m/m)の含有量が、本発明により特に重要である。
【0019】
特に好ましい態様は、懸濁したサルブタモールスルフェート(アルブテロールスルフェート)、溶解したイプラトロピウムブロミド、共溶媒としてのエタノール及び安定化剤としてのクエン酸を含む。本発明により特に好ましい製剤は、0.1から0.3%(m/m)、特に好ましくは0.15から0.25%(m/m)、より好ましくは0.18から0.22%(m/m)の濃度で活性物資サルブタモールスルフェートを含む。本発明によるこれら特に好ましい製剤は、好ましくは0.02から0.05%(m/m)、特に好ましくは0.03から0.04%(m/m)の濃度でイプラトロピウムブロミドモノハイドレートを含む。上記二つの活性物質、サルブタモールスルフェート及びイプラトロピウムブロミドモノハイドレートの濃度比率が、5:1から6:1、特に好ましくは5.5:1から5.9:1の範囲にある、本発明によるこれら組成物が特に好ましい。二つの活性物質サルブタモールスルフェート及びイプラトロピウムブロミドモノハイドレートの濃度比率が、5.60:1から5.85:1、特に5.70:1から5.80:1の範囲にある本発明の組成物が特に好ましい。
【0020】
全ての態様において、製剤は、定投与量エアロゾルのための適切な金属容器に移される:金属容器は適切な絞り弁で密封される。適切な金属容器の例は、17mlの呼び容積を有する、Presspart Manufacturing Ltd., Blackburn UKにより製造されたステンレス鋼ワンピース缶(DIN1.4539)を含む。適切な絞り弁は、例えばBespak Europe Ltd., King's Lynn, UKにより製造されたBK357又はBK361を含む。
本発明による定投与量エアロゾルは、好ましくは、以下の群から選択される活性物質の組み合わせを含む医薬製剤を含む:ベクロメタゾン、ブデゾニド、クロモグリシックアシッド、フェノテロール、フルニソリド、フルチカゾン、イプラトロピウム、ネドクロミルオルシプレナリン、オキシトロピウムブロミド、レプロテロール、サルブタモール、サルメテロール(アルブテロール)、テルブタリン、N-[[2,2-ジメチル-4-(2-オキソ-2H-ピリジン-1-イル)-6-トリフルオロメチル-2H-1-ベンゾピラン-3-イル]メチル]-N-ヒドロキシ-アセトアミド、これらのエステル、塩及び/又は溶媒和物。
最も特に好ましくは、本発明による定投与量エアロゾルは、活性物質サルブタモールスルフェート(アルブテロールスルフェート)及びイプラトロピウムブロミドモノハイドレートの混合物を含んだ医薬製剤を含む。
【0021】
実施例
実施例1:
【表1】

【0022】
実施例2:
【表2】

【0023】
実施例3:
【表3】

【0024】
実施例4:
【表4】

【0025】
実施例5:
【表5】

【0026】
実施例6:
【表6】

【0027】
実施例7:
【表7】

【0028】
実施例8:
【表8】

【0029】
実施例9:
【表9】

【0030】
実施例10:
【表10】

【0031】
実施例11:
【表11】

【0032】
実施例12:
【表12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧ガスとしてフッ素化した炭化水素(HFA)を有する高圧ガスで噴霧される定投与量エアロゾル用の医薬製剤であって、2以上の活性物質の組み合わせを含み、そのうち少なくとも一つの活性物質が溶解した形態で存在し、さらにすくなくともひとつの他の活性物質が少なくとも一つの界面活性剤と共に懸濁された粒子の形態で存在する医薬製剤。
【請求項2】
活性物質の組み合わせが二つの活性物質からなる、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
高圧ガスがTG134a及び/又はTG227である、請求項1又は2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
製剤が共溶媒を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項5】
共溶媒が、1以上の医薬品として許容されるアルコール、医薬品として許容されるエステル、水又はこれらの混合物を含む、請求項4に記載の医薬製剤。
【請求項6】
共溶媒がエタノールである、請求項4に記載の医薬製剤。
【請求項7】
共溶媒が、製剤の全体量に基づいて、0.0001から50%(m/m)の濃度で存在する、請求項4から6のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項8】
共溶媒が、製剤の全体量に基づいて、5から15%(m/m)、好ましくは8から12%(m/m)の濃度で存在する、請求項7に記載の医薬製剤。
【請求項9】
製剤が安定化剤で安定化される、請求項1から8のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項10】
安定化剤が、1以上の酸(群)及び/又はその塩(群)を含む、請求項9に記載の医薬製剤。
【請求項11】
安定化剤又は安定化剤群が、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、アスコルビン酸、クエン酸、塩化ベンザルコニウム及び/又はエチレンジアミンテトラアセテート及び/又はこれらの塩を含む、請求項9に記載の医薬製剤。
【請求項12】
安定化剤がクエン酸である、請求項9に記載の医薬製剤。
【請求項13】
安定化剤が、製剤の全体量に基づいて、0.0001から0.02%(m/m)、好ましくは0.0005から0.01%(m/m)の濃度で存在する、請求項9から12のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項14】
安定化剤が、製剤の全体量に基づいて、0.0001から0.008%(m/m)、好ましくは0.002から0.006%(m/m)の濃度で存在する、請求項13に記載の医薬製剤。
【請求項15】
製剤が、少なくとも一つの界面活性剤を含む、請求項1から14のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項16】
界面活性剤が、C5-20-脂肪酸のナトリウム若しくはカリウム塩、オレイン酸、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ポリオキシエチレングリセロールエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、アルキルポリグリコシド、塩化ベンザルコニウム及び/又はセチルピリジニウムクロライド又はこれら界面活性剤の組み合わせである、請求項15に記載の医薬製剤。
【請求項17】
界面活性剤が、ポリビニルピロリドンK25、ポリオキシエチレン-20-ソルビタンモノラウレート又はポリオキシエチレングリセロールトリオレエート又はこれら界面活性剤の組み合わせである、請求項15に記載の医薬製剤。
【請求項18】
界面活性剤が、0.001から5%(m/m)、好ましくは0.01から3%(m/m)の濃度で存在する、請求項15から17のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項19】
界面活性剤が、0.02から0.2%(m/m)、好ましくは0.05から0.15%(m/m)の濃度で存在する、請求項18に記載の医薬製剤。
【請求項20】
界面活性剤が、0.3から2.5%(m/m)、好ましくは0.4から2%(m/m)、特に好ましくは0.5から1.5%(m/m)、より好ましくは0.75から1.25%(m/m)の濃度で存在する、請求項18に記載の医薬製剤。
【請求項21】
活性物質の組み合わせが、抗コリン作用薬、β様物質、ステロイド、IV型ホスホジエステラーゼ阻害剤、LTD4-アンタゴニスト、EGFR-キナーゼ阻害剤、抗アレルギー性物質、麦角アルカロイド誘導体、トリプタン、CGRPアンタゴニスト及びV型ホスホジエステラーゼ阻害剤から選択される1以上の活性物質を含む、請求項1から20のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項22】
活性物質の組み合わせが、ベクロメタゾン、ブデソニド、クロモグリシックアシッド、フェノテロール、フルニソリド、フルチカゾン、イプラトロピウム、ネドクロミルオルシプレナリン、オキシトロピウムブロミド、レプロテロール、サルブタモール、サルメテロール(アルブテロール)、テルブタリン、N-[[2,2-ジメチル-4-(2-オキソ-2H-ピリジン-1-イル)-6-トリフルオロメチル-2H-1-ベンゾピラン-3-イル]メチル]-N-ヒドロキシ-アセトアミド、これらのエステル、塩及び/又は溶媒和物を含む、請求項1から21のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項23】
サルブタモールスルフェート(アルブテロールスルフェート)及びイプラトロピウムブロミドモノハイドレートの活性物質の組み合わせを含む、請求項1から22のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項24】
請求項1から23のいずれか1項に記載する医薬製剤を含んだ定投与量エアロゾル。

【公表番号】特表2009−526012(P2009−526012A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553744(P2008−553744)
【出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【国際出願番号】PCT/EP2007/051095
【国際公開番号】WO2007/090822
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(503137975)ベーリンガー インゲルハイム ファルマ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト (129)
【Fターム(参考)】