説明

3次元形状測定装置、3次元形状測定付加装置および3次元形状測定方法

【課題】被測定物の視認性や人の作業効率に影響を与えることなく、高精度かつ確実に被測定物の3次元形状を導出する。
【解決手段】3次元形状測定装置110は、被測定物102に投光する投光源150と、被測定物で反射された反射光を受光し投影像を形成する受光素子160と、2値化された制御信号を生成する信号生成部170と、被測定物に照明光を照射する照明装置120を制御信号が第1状態を示す間消灯する照明制御部162と、制御信号が第1状態を示す間に、受光素子に投影像を形成させる投影像形成制御部172と、受光素子で形成された投影像に基づいて被測定物の3次元形状を導出する3次元形状導出部176とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定物に光を投光したときの反射光を用いて被測定物の3次元形状を測定する3次元形状測定装置、3次元形状測定付加装置および3次元形状測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
簡易な構成で測定精度が高い3次元形状の測定装置として光切断法による3次元形状測定装置が従来から知られている。かかる光切断法による3次元形状測定装置では、まず、測定対象である被測定物に、スリット形状の光であるスリット光を照射し、被測定物の反射光を投影した投影像を形成する。そして、3次元形状測定装置は、投影像に出現した、スリット光の反射光である光切断像の3次元空間の位置(3次元位置)を特定することで被測定物の3次元形状を導出する。
【0003】
3次元形状の測定時において、被測定物には、上述した測定のためのスリット光の他に、人が測定作業を行うための照明光も照射される。すると、照明光も被測定物で反射され背景光(環境光)として上述のスリット光の反射光に重畳されるため、3次元形状測定装置では、形成された投影像からスリット光の反射光による光切断像のみを抽出することが困難になり、3次元形状の測定精度が低下する。特に近年では、人の作業効率や安全性の向上を図るため照明光の強度がより強くなる傾向にあり、光切断像の抽出は困難になりつつある。
【0004】
そこで、1の被測定物の反射光を異なる2つの方向に設けられた受光素子で受光し、2つの投影像のうち有効な測定結果が得られない一方の投影像を他方で補間して被測定物の3次元形状を測定する技術が知られている(例えば、特許文献1)。また、投光の有無に応じて投影像を2回取得し、投光有りの投影像から投光無しの投影像を減算して背景光を排除する技術も提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−223809号公報
【特許文献2】特開2009−19884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1の技術では、同一の部分に対して異なるタイミングで形成された2つの投影像のうち、有効な測定結果が得られない投影像を排除しているので、測定精度を高めることができる。しかし、かかる技術は、照明光の反射光の影響が比較的少ない投影像を採用しているに過ぎず、例えば、照明光の反射光の強度が時間に拘わらず一様に強い場合には良好な結果を得ることができなかった。また、投影像の投影処理や選択処理が増えるとそれに伴って計算処理負荷が高くなり、コストが高くなることもあった。さらに、特許文献2の技術では、投光有りの投影像と投光無しの投影像との取得タイミングが異なるため、被測定物やその背景が移動または変形している場合や、照明光の反射光の強度が変化する場合に背景光を正確に排除することができず誤差が生じてしまう。
【0007】
また、照明光の反射光の影響を削減するため、3次元形状測定装置や被測定物が設置される部屋の照明を完全に消灯して暗室化することも考えられる。しかし、暗室内では被測定物の視認性や人の作業効率が著しく低下するのみならず、暗室への被測定物の出し入れすら困難になる。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み、被測定物の視認性や人の作業効率に影響を与えることなく、高精度かつ確実に被測定物の3次元形状を導出することが可能な、3次元形状測定装置、3次元形状測定付加装置および3次元形状測定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の3次元形状測定装置は、被測定物に投光する投光源と、被測定物で反射された反射光を受光し投影像を形成する受光素子と、2値化された制御信号を生成する信号生成部と、被測定物に照明光を照射する照明装置を制御信号が第1状態を示す間消灯する照明制御部と、制御信号が第1状態を示す間に、受光素子に投影像を形成させる投影像形成制御部と、受光素子で形成された投影像に基づいて被測定物の3次元形状を導出する3次元形状導出部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
3次元形状導出部は、受光素子で形成された投影像の受光量が所定の閾値以上であるか否かに基づいて被測定物の3次元形状を導出してもよい。
【0011】
照明制御部は、照明光の単位時間の発光量を、全時間に対する照明装置を消灯する時間の占有率を相殺する分だけ大きく設定してもよい。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の3次元形状測定付加装置は、被測定物に投光する投光源と、被測定物で反射された反射光を受光し投影像を形成する受光素子と、受光素子で形成された投影像に基づいて被測定物の3次元形状を導出する3次元形状導出部とを有する3次元形状測定装置に付加する3次元形状測定付加装置であって、2値化された制御信号を生成する信号生成部と、被測定物に照明光を照射する照明装置を制御信号が第1状態を示す間消灯する照明制御部と、制御信号が第1状態を示す間に、受光素子に投影像を形成させる投影像形成制御部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の他の3次元形状測定装置は、被測定物に投光する投光源と、被測定物で反射された反射光を受光する受光素子と、2値化された制御信号を生成する信号生成部と、被測定物に照明光を照射する照明装置を制御信号が第1状態を示す間消灯する照明制御部と、制御信号が第1状態を示す間に、投光源に投光させ、受光素子にその反射光を受光させる投影像形成制御部と、投光源の投光時点と受光素子の受光時点との差分時間に基づいて被測定物の3次元形状を導出する3次元形状導出部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の3次元形状測定方法は、被測定物に投光する投光源と、被測定物で反射された反射光を受光し投影像を形成する受光素子とを含む3次元形状測定装置を用いて3次元形状の測定を行う3次元形状測定方法であって、2値化された制御信号を生成し、制御信号が第1状態を示す間、被測定物に照明光を照射する照明装置を消灯すると共に受光素子で投影像を形成し、制御信号が第2状態を示す間、照明装置を点灯すると共に受光素子の投影像の形成を停止し、受光素子で形成された投影像に基づいて被測定物の3次元形状を導出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被測定物の視認性や人の作業効率に影響を与えることなく、高精度かつ確実に被測定物の3次元形状を導出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】3次元形状測定システムの概略的な接続関係を示した説明図である。
【図2】3次元形状測定装置の概略的な構成を説明するための説明図である。
【図3】3次元形状導出部による3次元形状の導出を説明するための説明図である。
【図4】被測定物上の任意の点の3次元位置の導出を説明した説明図である。
【図5】照明装置の消灯タイミングと受光素子に投影像を形成させるタイミングを説明するためのタイムチャートである。
【図6】受光量の絶対値を利用した3次元形状測定装置を例示した説明図である。
【図7】3次元形状測定付加装置の概略的な構成を示す構成図である。
【図8】3次元形状測定方法の全体的な流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0018】
被測定物の特に表面の3次元形状を測定するには、被測定物の表面における任意の複数の点の3次元位置(または3次元座標)を導出しなければならない。ここでは、そのような被測定物の表面における点の3次元位置を、例えば、三角測量法を応用して求める。三角測量法は、三角形の1辺の長さと、その端部における2の夾角または端部で交わる他の2辺の長さのいずれか一方が分かれば他方も求められ、その2辺の交点の位置が特定できる測定方法である。
【0019】
ここでは、このような三角測量法を用いた3次元形状の測定方法の一例として光切断法を挙げ、被測定物の視認性や人の作業効率に影響を与えることなく、高精度かつ確実に被測定物の3次元形状を導出する3次元形状測定システム100を提案し、その後、具体的な3次元形状測定方法を詳述する。
【0020】
(3次元形状測定システム100)
図1は、3次元形状測定システム100の概略的な接続関係を示した説明図である。3次元形状測定システム100は、3次元形状測定装置110と、照明装置120とを含んで構成される。
【0021】
3次元形状測定装置110は、被測定物102にスリット光を投光し、被測定物102の反射光により投影像112を形成して、投影像112に出現した光切断像114の3次元位置を特定する。また、3次元形状測定装置110では、このようなスリット光を、図1中白抜き矢印で示したように、スリット光(スリットの)の長手方向と垂直となる方向に推移し、投影像112を被測定物102全体に関して順次形成することで、被測定物102の表面全体の3次元形状を導出する。当該3次元形状測定装置110の設置場所は特に限定されない。
【0022】
照明装置120は、人が測定作業や各種作業を行うため、被測定物102を含む作業領域を照射する。かかる照明装置120としては、点灯と消灯とを比較的高速に切換可能な光源を用いる。ここでは、その典型例として、高速応答、低消費電力、長寿命等の理由で近年広く利用されている白色LED(Light Emitting Diode)照明を用いる。照明装置120の設置位置は、室内の天井としてもよいし、被測定物102近辺の任意の位置としてもよく、数にも制限はない。また、被測定物102が比較的小さい場合、光を遮蔽し暗室化した箱内に被測定物102を配置し、照明装置120がその箱内のみを照射するとしてもよい。
【0023】
また、照明装置120に電力を供給する駆動電源122は、照明装置120の高速切換を実現するため、供給電力を高速に開閉することが可能な電源である。例えば、照明装置120として上記の白色LED照明を採用した場合、駆動電源122として、商用電源を変圧、整流および平滑化した直流電力や定電圧の蓄電池による直流電力を用い、ゲート隔離型バイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)やパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等の半導体電力制御素子を通じて、その直流電力を高速に開閉する。ここで、照明装置120が複数設けられている場合、照明装置120の駆動電源122も複数準備し、共通のゲート信号によって上記の半導体電力制御素子を制御して複数の照明装置120の点灯と消灯のタイミングを同期させる。また、照明装置120がLED照明以外であっても、既存の駆動電源の構成や電力供給方式を変更することで、照明装置120の点灯と消灯とを高速に切り換えることができる。
【0024】
3次元形状測定システム100では、照明装置120が照射される下で、3次元形状測定装置110により被測定物102の3次元形状を測定する。以下、3次元形状測定装置110の詳細な構成を説明する。
【0025】
(3次元形状測定装置110)
図2は、3次元形状測定装置110の概略的な構成を説明するための説明図である。3次元形状測定装置110は、投光源150と、第1光学系152と、投光源推移部154と、第2光学系156と、電子シャッタ158と、受光素子160と、照明制御部162と、保持部164と、中央制御部166とを含んで構成される。ここでは説明の便宜のため省略するが、投光源150、第1光学系152、投光源推移部154、第2光学系156、電子シャッタ158、受光素子160等は3次元形状測定装置110のハウジングに固定されている。
【0026】
投光源150は、例えば、レーザダイオード等で構成され、被測定物102にレーザ光を投光(出射)する。ここで、レーザ光の投光タイミングは、連続的または間欠的とすることができる。例えば、後述する受光素子160に投影像112を形成させるタイミングに合わせてレーザ光を間欠的に出射し、その出射時間を短縮することで、無駄な消費電力を削減し、発光量を高めることができる。
【0027】
第1光学系152は、例えば、シリンドリカルレンズで構成され、投光源150から出射されたレーザ光を扇状に放射したスリット光を形成する。ここでは、レーザ光を拡散することでスリット光を形成しているが、レーザ光のスポット光を走査することでスリット光を形成することもできる。
【0028】
投光源推移部154は、動力源168を通じて、第1光学系152によって形成されたスリット光を、図2中白抜き矢印で示したように、スリット光の長手方向と垂直となる方向に推移させる。例えば、投光源150と第1光学系152とを一体的に形成してギア(図示せず)に固定し、動力源168により駆動されるピニオン(図示せず)をギアにかみ合わせてスリット光を推移させたり、スリット光をミラー(図示せず)で反射し、ミラーを動力源168で回転させることによりスリット光を推移させるように構成する。こうして、被測定物102全体に順次スリット光を当てることができる。
【0029】
第2光学系156は、1枚のレンズまたは複数のレンズを組み合わせて構成され、スリット光が被測定物102表面で反射した反射光(反射像)を受光素子160に結像させる。かかる第2光学系156にレーザ光と同じ波長の光のみを透過するフィルタを設けることで他の波長の光を減衰し、レーザ光の抽出精度を高めることもできる。
【0030】
電子シャッタ158は、第2光学系156を透過した反射光の受光素子160への導光状態(透過状態または非透過状態)を制御する。本実施形態では、後述する照明制御部162が照明装置120を点灯させている間、電子シャッタ158を非透過状態にし、照明装置120を消灯させている間のみ透過状態とする。このように電子シャッタ158の透過時間を制限することで、照明装置120の照明光による被測定物102の反射光の影響を削減することができる。
【0031】
受光素子160は、CCD(Charge Coupled Device)や消費電力の少ないCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等による2次元光電変換素子で構成され、電子シャッタ158が透過状態となっている間、被測定物102の表面で生じる反射光を光電変換した電荷を蓄積する。かかる電荷の蓄積は、例えば、受光素子160の画素単位で行われ、画素全体で2次元の投影像112を形成する。本実施形態では、理解を容易にするため、電子シャッタ158の透過状態と非透過状態という表現を用いることとする。電子シャッタ158の透過状態とは、受光素子160において光電変換した電荷の蓄積が行われる状態のことであり、電子シャッタ158の透過状態において受光された光は、受光素子160において投影像112の形成に寄与する。反対に、電子シャッタ158の非透過状態とは、受光素子160において光電変換した電荷の蓄積が行われていない状態のことであり、電子シャッタ158の非透過状態において受光された光は、受光素子160において投影像112の形成に寄与しない。このようにして形成された被測定物102の投影像112によって、後述する3次元形状導出部は、受光素子160に入射した反射光の受光角を把握することができ、その受光角と投光源150の投光角とを用いて3次元形状を導出する。ここで、反射光は、正確には、被測定物102表面における散乱光の一部であるが、説明の便宜上、単に反射光の表現を用いることとする。
【0032】
本実施形態では、照明制御部162が照明装置120を点灯させている間、電子シャッタ158が非透過状態となるので、受光素子160で照明光の反射光を受光することなく、照明装置120を消灯させている間のみ電子シャッタ158が透過状態となるので、投光源150による反射光のみを受光できる。したがって、照明光の反射光を排除できるので、高精度かつ確実に被測定物102の3次元形状を導出することが可能となる。
【0033】
照明制御部162は、後述する信号生成部によって生成される2値化された制御信号が第1状態を示す間、照明装置120を消灯する。例えば、制御信号が、50Hzの周波数であり、継続時間1msecの第1状態と19msecの第2状態を交互に繰り返す場合、照明制御部162は、制御信号が第2状態を示す間は照明装置120を点灯し、20msec毎に1回、第1状態である1msecの間だけ照明装置120を消灯する。ここでは、照明装置120を消灯する時間が点灯する時間に比べて非常に短いので、照明装置120の消灯が意識されることもなく、相対的に十分な点灯時間を確保できることとなり、被測定物102の視認性や人の作業効率に影響を及ぼすことがない。
【0034】
また、照明装置120の点灯や消灯に遅延を伴う場合、照明装置120の消灯時間を確保するため、照明制御部162は、制御信号が第2状態から第1状態に反転する時点より遅延時間分早く照明装置120の消灯を開始してもよい。こうすることで、制御信号が第1状態を示している間、照明装置120を完全に消灯することができる。
【0035】
本実施形態では、被測定物102の視認性や人の作業効率に影響を与えることなく、被測定物102の3次元形状を導出することを目的としている。そこで、照明制御部162は、照明装置120の点灯状態を比較的長時間確保することで、被測定物102の視認性や人の作業効率を維持し、また、被測定物102の3次元形状を測定するため、被測定物102の視認性や人の作業効率に影響を与えない範囲で照明装置120を短時間だけ消灯する。
【0036】
ここで、照明制御部162は、照明装置120の照明光の単位時間の発光量を、照明装置120を消灯する時間と点灯する時間を合わせた全時間に対する照明装置120を消灯する時間の占有率(比率)を相殺する分だけ大きく設定することができる。例えば、上述した50Hz(周期20msec)で1msecだけ照明装置120を消灯する場合、占有率(照明装置120が消灯する時間/全時間)は、1/20となり、単純に消灯を繰り返すと発光量は(1−1/20)=19/20に減衰してしまう。そこで、照明制御部162は、消灯の影響を相殺すべく、その発光量を20/19倍に増幅するように設定する。こうして、照明装置120を消灯せず連続して点灯した場合と等しい発光量を確保することができ、被測定物102の視認性や人の作業効率への影響を最低限に抑えることが可能となる。
【0037】
保持部164は、半導体メモリ、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成され、後述する記憶制御部174の制御指令に基づいて、中央制御部166から送信された1または複数の投影像112を保持する。
【0038】
中央制御部166は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路により、3次元形状測定装置110全体を管理および制御する。また、本実施形態において、中央制御部166は、信号生成部170と、投影像形成制御部172と、記憶制御部174と、3次元形状導出部176としても機能する。
【0039】
信号生成部170は、第1状態と第2状態とに2値化され、第1状態の占有時間が第2状態の占有時間より短い矩形状の制御信号を生成する。具体的に、信号生成部170は、上述したような周期的な制御信号を生成する場合、図示しないタイマおよびカウンタに周波数および第1状態を継続する継続時間を設定し、1ショットの矩形インパルスの制御信号を生成する場合、図示しないタイマに第2状態から第1状態への反転時刻を設定して制御信号を生成する。また、このような周期的な制御信号や1ショットの制御信号に限らず、規則的または不規則に変化する様々な矩形信号を制御信号とすることができる。ここでは、タイマやカウンタを設定し、ハードウェアで制御信号を生成する例を挙げているが、ソフトウェア割り込みを利用して中央制御部166内で制御信号を生成することもできる。また、制御信号の第1状態と第2状態とは離散信号のハイレベルとローレベル(正論理)に対応するが、ローレベルとハイレベル(負論理)に対応していてもよい。
【0040】
信号生成部170が周期的な制御信号を生成する場合、その時間配分は大凡以下のようにして定めることができる。まず、投光源150の光の強度と被測定物102との距離に応じ、受光素子160において被測定物102の反射光による投影像112を形成するのに必要な時間が決まり、それが制御信号の第1状態の継続時間となる。また、照明装置120の消灯が被測定物102の視認性や人の作業効率に影響を与えない範囲で、投影像112を十分な回数取得できるように周波数が決定される。
【0041】
したがって、投光源150の光の強度を強くできれば、その分、第1状態の継続時間も短くでき、ひいては投影像112の単位時間当たりの取得回数を増やし、測定完了までの総時間を短縮することも可能となる。このとき、信号生成部170は、電子シャッタ158の反応速度や照明装置120の切換による遅延時間等も踏まえて制御信号を生成してもよい。
【0042】
投影像形成制御部172は、制御信号が第1状態を示す間に、受光素子160に投影像112を形成させる。ここでは、電子シャッタ158の導光状態を制御して受光素子160の投影像112を形成させる例を挙げて説明するが、かかる場合に限られず、投影像形成制御部172は、受光素子160に蓄積された電荷のリセット信号によって電荷の蓄積開始タイミングを制御する等、様々な方法で受光素子160に投影像112を形成させるタイミングを制御することができる。
【0043】
このようにして生成された制御信号を通じて、照明装置120の消灯タイミングと受光素子160に投影像112を形成させるタイミングとを同期させる。
【0044】
また、受光素子160に投影像112を形成させるタイミングが予め定まっている場合、その投影像112を形成させるタイミングを提供する手段が信号生成部170に相当する。したがって、投影像形成制御部172は、信号生成部170から提供される制御信号としての、予め定められた投影像112を形成させるタイミングを受け、受光素子160に投影像112を形成させることとなる。また、照明制御部162は、その投影像112を形成させるタイミング(制御信号)で照明装置120を消灯させる。
【0045】
さらに、その逆のパターンとして、照明装置120の消灯タイミングが予め定まっている場合、その照明装置120の消灯タイミングを提供する手段が信号生成部170に相当する。したがって、照明制御部162は、信号生成部170から提供される制御信号としての予め定められた照明装置120の消灯タイミングを受け、照明装置120を消灯することとなる。また、投影像形成制御部172は、その照明装置120の消灯タイミング(制御信号)で受光素子160に投影像112を形成させる。
【0046】
本実施形態の目的は、照明装置120の点灯と受光素子160の投影像112の形成とを時間方向において排他的に実行することである。したがって、信号生成部170は、かかる目的を達成できれば、様々な他のタイミングを基準に制御信号を形成するこができる。
【0047】
このとき、受光素子160に投影像112を形成させるタイミングに合わせて、投光源150にレーザ光を間欠的に出射させてもよい。このように投光源150の出射時間を削減することで、上述したように、無駄な消費電力を削減し、発光量を高めることができる。この場合、投光源150の駆動電源にも制御信号が提供され、投光源150は、電子シャッタ158が非透過状態となっている間、投光を止め、電子シャッタ158が透過状態となるタイミングで投光を開始する。
【0048】
また、受光素子160が投影像112を形成し始めるのに遅延を伴う場合、電荷の蓄積時間を確保すべく、その遅延時間分、制御信号が第2状態から第1状態に反転する時点より早く電子シャッタ158を透過状態とすることもできる。
【0049】
記憶制御部174は、制御信号が第1状態から第2状態に反転した後、すなわち、投影像形成制御部172が電子シャッタ158を非透過状態とした後で、受光素子160に蓄積された投影像112を読み出し、そのときの投光源150の投光角と関連付けて順次保持部164に記憶する。
【0050】
3次元形状導出部176は、被測定物102全体に渡る光切断像114を取得すべく、予め定められた回数分、投影像112が形成されると、保持部164に保持された複数の投影像112に基づいて被測定物102の3次元形状を導出する。具体的に、3次元形状導出部176は、受光素子160で形成された投影像112の各画素における受光量(受光強度)が所定の閾値以上であるか否かに基づいて光切断像114のみを抽出し、その光切断像114の投影像112に対する相対的位置から、光切断像114上の点の3次元位置を求め、被測定物102の3次元形状を導出する。
【0051】
図3は、3次元形状導出部176による3次元形状の導出を説明するための説明図である。受光素子160で形成された複数の投影像112のうち、例えば、スリット光の投光角が図1の状態であった場合の任意の投影像112が図3(a)のようになったと仮定する。投影像112には、被測定物102におけるスリット光の反射光である光切断像114が投影される。このとき投影像112内の、光切断像114の長手方向と垂直の方向の任意のライン116における各画素の受光量は、図3(b)のようになる。図3(b)は、横軸がライン116の画素に相当する位置であり、縦軸がその画素毎の受光量を示している。
【0052】
従来では、スリット光の反射光に照明装置120の照明光による反射光が重畳されていたので、受光量の分布は、図3(c)のようになっていた。かかる図3(c)の分布では、光切断像114に相当する画素A(図3(a)参照)において、スリット光の反射光が照明光の反射光に加算され、相対的に受光量が高くなるが、照明光の反射光の受光量は事前には予測困難であり、照明光の反射光の受光量が揺動して不規則となることもあるので、その位置を判別するための閾値を一意に設定できず、スリット光の反射光のみを抽出するのは困難であった。本実施形態では、図3(b)の如く、投影像112の形成において照明光の反射光を排除しているので、スリット光の光切断像114のみが受光分布として現れ、測定者は、その光切断像114の受光量を想定することができる。したがって、例えば、図3(b)の如く、想定される受光量の半分の位置に閾値を設定することで、3次元形状測定装置110は、確実かつ容易に光切断像114のみを抽出することができ、高精度で3次元形状を測定することが可能となる。続いて、抽出された光切断像114から3次元位置を導出する流れを説明する。
【0053】
図4は、被測定物102上の任意の点の3次元位置の導出を説明した説明図である。例えば、図4(a)の投影像112の光切断像114上における任意の点Aを対象とすると、3次元形状導出部176は、投影像112に基づいて、点AのY軸方向(図4中右側に示す)の座標Y、および、点Aに相当する被測定物102の点と受光素子160とを結ぶ線分と、受光素子160と投光源150とを結ぶ線分とが為す夾角である受光角θを導出できる。また、投影像112には、投光源150の投光角(スリット光が当たっている点と投光源150とを結ぶ線分と、受光素子160と投光源150とを結ぶ線分とが為す夾角)θも関連付けられて保持されている。したがって、受光素子160と投光源150との距離Lが予め把握されていれば、点Aは、図4(b)のように、1辺(距離L)とその端部の夾角(受光角θ、投光角θ)が特定された三角形の頂点となり、3次元形状導出部176は、三角測量法に基づき、計算またはテーブルを参照することによって、X軸方向の座標XおよびZ軸方向の座標Zを導出することが可能となる。こうして点Aに関する3次元位置として座標(X、Y、Z)が求まる。このように、光切断法では、受光素子160で形成された投影像112と、投光源150と受光素子160との相対位置とに基づいて、被測定物102の3次元形状を求めることができる。
【0054】
このとき被測定物102と受光素子160とを結ぶ線分と、被測定物102と投光源150とを結ぶ線分とが為す夾角は、180°未満の任意の角度をとることができる。かかる夾角は、大きいほど、3次元形状の導出精度を高めることができるが、光切断像114が被測定物102の突出構造に隠れて取得できなかったり、光切断像114の幅を十分確保できなくなったりするので、ここでは上記夾角を約60°としている。
【0055】
本実施形態は、投影像112を形成する段階に工夫が凝らされ、1の投光角に対して複数の投影像を生成したり、その複数の投影像を選択や合成したりする付加的な処理が無いので、3次元形状導出部176の計算処理負荷が増大することもない。
【0056】
(測定タイミング)
以上説明した3次元形状測定装置110における測定タイミングを具体的に示す。
【0057】
図5は、照明装置120の消灯タイミングと受光素子160に投影像112を形成させるタイミングを説明するためのタイムチャートである。特に図5(a)は3次元形状を導出するまでの全体的なタイミングを、図5(b)はその測定中の投光源150が任意の投光角にある場合の1回の投影像112の読み出しタイミングを示している。
【0058】
3次元形状の測定において、信号生成部170が図5(a)および(b)に示すような2値化された制御信号を生成すると、照明制御部162は、制御信号が第2状態を示す間、照明装置120を点灯し、第1状態を示す間、照明装置120を消灯する。また、投影像形成制御部172は、制御信号が第2状態を示している間、電子シャッタ158を非透過状態にし、制御信号が第2状態から第1状態に反転する直前に受光素子160の光の蓄積をリセットし、制御信号が第1状態を示している間、透過状態にして受光素子160に反射光を導光する。こうして、受光素子160は、電子シャッタ158が透過状態となっている間のみ光を蓄積する。
【0059】
ここでは、制御信号が第1状態を示している間、照明装置120は消灯しているので、電子シャッタ158が導光する反射光にはスリット光の反射光しか含まれておらず、受光素子160では、図3(b)のように光切断像114と他の部分とで受光量の差が鮮明になる投影像112が蓄積される。また、本実施形態では、このような投影像112を、受光素子160による1回の投影で取得するので、被測定物102やその背景が移動または変形している場合や、照明光の反射光の強度が変化する場合であっても、光切断像114を高精度かつ確実に抽出することが可能となる。
【0060】
そして、制御信号が第1状態から第2状態に反転すると、記憶制御部174は、受光素子160で蓄積された電荷による投影像112を読み出し、スリット光の投光角と関連付けて保持部164に保持する。予定された回数、投影像112を形成し、被測定物102全体に渡る光切断像114を取得すると、3次元形状導出部176は、保持部164に保持された複数の投影像112に基づいて被測定物102の3次元形状を導出する。また、3次元形状導出部176は、被測定物102全体に渡る光切断像114の取得の完了を待たずに、取得された光切断像114に基づいて、随時、被測定物102の3次元形状を導出することもできる。
【0061】
ここでは、照明装置120の消灯と、電子シャッタ158の透過状態とを同時に変化させる例を挙げて説明したが、本実施形態は、かかる場合に限られず、照明装置120の点灯状態と電子シャッタ158の透過状態とが時間軸で排他的になればよく、例えば、照明装置120が消灯した後、反射光が安定するのを待って電子シャッタ158を透過状態にしてもよい。
【0062】
また、ここでは、電子シャッタ158の透過状態と、受光素子160の投影像112の形成とが同時に行われると仮定しているが、これも同時に行われる場合に限られず、電子シャッタ158の透過状態中に受光素子160が投影像112を形成すればよく、電子シャッタ158が非透過状態から透過状態に完全に移行するのを待って受光素子160の投影像112の形成を開始してもよい。また、電子シャッタ158の代わりに機械式シャッタを用いる場合、機械式シャッタが完全に開口するには時間を要するため、その遅延時間分受光素子160の投影像形成開始時点を遅らせるか機械式シャッタの開口時点を早めることで対応してもよい。このように機械式シャッタを用いる場合、開閉を伴うシャッタの代わりに、回転体にスリットを設け、回転体の回転に伴ってスリットの間のみ透過状態となる機構を利用してもよい。
【0063】
また、照明装置120の消灯時間、電子シャッタ158を透過状態とする時間、および、受光素子160で投影像112を形成する時間を1msecとして説明したが、投光源150と、被測定物102との距離に応じてその時間を随時変更してもよい。例えば、投光源150および受光素子160と被測定物102との距離が離れている場合、被測定物102に到達する光量も少なく、受光素子160で受光する反射光の光量も弱まる。したがって、投影像形成制御部172は、電子シャッタ158を透過状態にする時間を長くし、受光素子160で光を蓄積する時間を増やして、測定に必要な受光量を確保する。さらに、同一の被測定物102においても、投光源150や受光素子160との距離が異なる場合、それに合わせて距離が短いところは短時間だけ透過状態にし、距離が長いところは長時間、透過状態とすることもできる。
【0064】
(投光パターンによる他の3次元形状計測装置)
上述した実施形態では、理解を容易にするため、被測定物102にレーザ光を投光したときの反射光を用いて被測定物102の3次元形状を測定する3次元形状測定装置として、光切断法による3次元形状測定装置110を説明した。しかし、本実施形態の3次元形状測定装置は、光切断法に限らず、照明光の反射光が不利に働く点で共通する様々な光の投光パターンを用いた測定方法、例えば、スポット法、繰り返しパターン法、符号化パターン法(空間コード化法)、モアレ法等にも適用することができる。
【0065】
スポット法は、光切断法におけるスリット光をスポット光に置き換えたものであり、1つの投影像について1の点の3次元位置を特定することができる。繰り返しパターン法では、光切断法におけるスリット光を規則的に並べてマルチスリット光としたり、正方形や円を規則的に並べて投光パターンを形成したり、市松模様のような規則的な投光パターンを用いたりして、反射光により3次元形状を特定する。符号化パターン法では、被測定物102を含む測定空間の各点を2進数コードで符号化し、その符号に合わせて明暗のピッチを倍々に変化させたパターン光を投光して、投影像の少ない形成回数(空間の分離数をnとするとlogn以上の整数)で3次元形状を特定している。モアレ法は、被測定物102と投光源150との間に格子マスクを配置し、かかる格子を通った光がなす明暗のパターンが、受光素子160による投影像にモアレ縞を形成し、このモアレ縞によって3次元形状を特定することができる。
【0066】
(光時間差による3次元形状計測装置)
さらに本実施形態は、上述した反射光の有無を判断し三角測量法を用いて3次元形状を導出する3次元形状測定に限らず、光レーザ法(光時間差法)のような光時間差を用いた3次元形状測定にも適用できる。具体的に、光レーザ法では、上述した三角測量法と異なり、投光源150と受光素子160とを極力近づけ、投光源150の出射方向と受光素子160の入射方向とが略同軸に配置される。そして、光レーザ法では、投光源150から光を出射し、受光素子160が反射光を入射した際にその光の出射から入射までの時間(飛行時間)を測定し、測定した時間に光速を乗じることにより、投光源150から被測定物102までの距離と被測定物102から受光素子160までの距離の和を求め、その和の半分を被測定物102の距離とすることで、3次元形状を特定することができる。
【0067】
このとき、反射光の受光時点を特定する上で、照明光の反射光をレーザ光の反射光と誤認してしまうと、被測定物102の正確な距離を導出できない。そこで、本実施形態では、反射光が入射するタイミングで照明装置120を消灯する。具体的に、投影像形成制御部172は、制御信号が第1状態を示す間に、投光源150に投光させ、受光素子160にその反射光を受光させる。このとき投影像形成制御部172は、投光源150が投光を開始してから受光素子160が受光を完了するまでの所定時間に渡って、電子シャッタ158を継続して透過状態とする。また、照明制御部162は、制御信号が第1状態を示す間、照明装置120を消灯する。そして、3次元形状導出部176は、投光源150の投光時点と受光素子の受光時点との差分時間に基づいて被測定物102の3次元形状を導出する。ここでは、照明光の反射光が削減されるので、レーザ光の反射光の受光時点を正確に特定でき、被測定物102の正確な距離を測定できる。また、光の飛行時間は短いので照明装置120の消灯が被測定物102の視認性や人の作業効率に影響を及ぼすこともない。
【0068】
(さらに他の3次元形状測定装置)
また、上述した光切断法による3次元形状測定装置110では、投影像112の光量を閾値と比較することで、光切断像114を抽出したが、それに限らず、3次元形状導出部176は、受光素子160で形成された投影像112の受光量の絶対値や波長に基づいて被測定物102の3次元形状を導出することもできる。
【0069】
図6は、受光量の絶対値を利用した3次元形状測定装置190を例示した説明図である。図6(a)に示すように、3次元形状測定装置190は、上述した3次元形状測定装置110と実質的に同じ構成を有し、第1光学系192がシリンドリカルレンズではあるものの、光の遮光度が段階的に異なる点で3次元形状測定装置110と相違する。したがって、第1光学系192を通過したレーザ光は、図6(a)に示すように、光量の異なる複数のスリット光となり、被測定物102の表面に投光する。このとき、投影像112には図6(b)のように異なる受光量による縞模様が形成される。したがって、投影像112の任意のライン116における各画素の受光量は、図6(c)のようになる。図6(c)は、図3(b)同様、横軸がライン116の画素に相当する位置であり、縦軸がその画素毎の受光量を示している。
【0070】
本実施形態では、投影像112の形成において照明光の反射光を排除しているので、図6(c)の如く、スリット光の反射光のみが段階的な受光分布として現れ、その受光量の段階的な受光分布から、光量の異なる複数のスリット光が被測定物102のいずれに当たっているかを、閾値1〜4と比較することで容易に特定できる。また、当該3次元形状測定装置190の場合、1回分の投影像112で複数のスリット光に関して測定することができるので、測定に費やす総時間を短縮することも可能となる。図6では、理解を容易にするためスリット光の光量を4段階で示したが、投光源150の発光量と受光素子160における受光量の検出精度に応じて、それ以上のスリット光を形成できるのは言うまでもない。
【0071】
また、被測定物102に投光される光量のみならず、被測定物102に投光される光の波長が異なる場合であっても、本実施形態では、照明光の反射光が影響しないので、各波長を受光素子160において高精度で抽出することができ、高精度な3次元形状の計測が可能となる。
【0072】
(3次元形状測定付加装置200)
上述した実施形態では、新たに3次元形状測定装置110を形成する例を挙げたが、既存の3次元形状測定装置10に付加的に本実施形態を適用することもできる。
【0073】
図7は、3次元形状測定付加装置200の概略的な構成を示す構成図である。3次元形状測定付加装置200は、パーソナルコンピュータ等の計算機や組み込み用のボードコンピュータで構成され、照明制御部162と、中央制御部202における信号生成部170と、投影像形成制御部172とを含んで構成される。かかる照明制御部162と、信号生成部170と、投影像形成制御部172とは、3次元形状測定装置110の構成要素と実質的に機能が同一なので同一の符号を付して重複説明を省略する。
【0074】
信号生成部170は、例えば、3次元形状測定付加装置200としてのパーソナルコンピュータのタイマおよびカウンタを用いて動作し、3次元形状測定装置110同様、第1状態と第2状態とに2値化され、第1状態の占有時間が第2状態の占有時間より短い制御信号を生成する。そして、照明制御部162は、信号生成部170が生成した制御信号が第1状態を示す間、照明装置120を消灯する。また、投影像形成制御部172は、制御信号が第1状態を示す間に、例えば、電子シャッタ158等を制御して、既存の3次元形状測定装置10の受光素子160に投影像112を形成させる。また、信号生成部170は、3次元形状測定装置110同様、既存の3次元形状測定装置10において、受光素子160に投影像112を形成させるタイミングが予め定まっている場合、その投影像112を形成させるタイミングを提供する手段に相当する信号生成部170から投影像112を形成させるタイミング(制御信号)を受けて、照明制御部162は、その投影像112を形成させるタイミングで照明装置120を消灯させる。
【0075】
このような3次元形状測定付加装置200を既存の3次元形状測定装置10に接続することで、被測定物102の視認性や人の作業効率に影響を与えることなく、高精度かつ確実に被測定物102の3次元形状を導出することが可能となる。
【0076】
(3次元形状測定方法)
また、被測定物102に光を投光したときの反射光による投影像112に基づいて被測定物102の3次元形状を測定する3次元形状測定方法も提供される。以下、このような3次元形状測定方法を詳細に説明する。
【0077】
図8は、3次元形状測定方法の全体的な流れを示したフローチャートである。図8に示すように、3次元形状測定装置110の信号生成部170は、2値化された制御信号を生成する(S200)。
【0078】
そして、照明制御部162および投影像形成制御部172は、制御信号が第1状態を示しているか否か判定し(S202)、第1状態を示していれば(S202におけるYES)、照明制御部162は、被測定物102に照明光を照射する照明装置120を消灯し(S204)、投影像形成制御部172は、受光素子160で投影像112を形成する(S206)。また、制御信号が第1状態を示していなければ、すなわち、第2状態を示していれば(S202におけるNO)、照明制御部162は、照明装置120を点灯し(S208)、投影像形成制御部172は、受光素子160での投影像112の形成を停止する(S210)。
【0079】
そして、すべての投影像112を取得したか否か判断され(S212)、まだ投影像112を取得してない投光角が残っていれば(S212におけるNO)、制御信号生成ステップS200からを繰り返す。予定された回数、投影像112を形成し、被測定物102全体の光切断像を取得すると、投影像112がすべて取得されたと判断され(S212におけるYES)、3次元形状導出部176は、受光素子で形成された投影像112に基づいて被測定物102の3次元形状を導出する(S214)。
【0080】
こうして、3次元形状測定方法においても、被測定物102の視認性や人の作業効率に影響を与えることなく、高精度かつ確実に被測定物102の3次元形状を導出することが可能となる。
【0081】
上述した、3次元形状測定装置110、190の技術的思想に基づく構成要素やその説明は、3次元形状測定付加装置200や3次元形状測定方法にも適用可能である。
【0082】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0083】
なお、本明細書の3次元形状測定方法における各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、被測定物に光を投光したときの反射光を用いて被測定物の3次元形状を測定する3次元形状測定装置、3次元形状測定付加装置および3次元形状測定方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0085】
10、110、190 …3次元形状測定装置
102 …被測定物
112 …投影像
120 …照明装置
150 …投光源
160 …受光素子
162 …照明制御部
170 …信号生成部
172 …投影像形成制御部
176 …3次元形状導出部
200 …3次元形状測定付加装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物に投光する投光源と、
前記被測定物で反射された反射光を受光し投影像を形成する受光素子と、
2値化された制御信号を生成する信号生成部と、
前記被測定物に照明光を照射する照明装置を前記制御信号が第1状態を示す間消灯する照明制御部と、
前記制御信号が第1状態を示す間に、前記受光素子に投影像を形成させる投影像形成制御部と、
前記受光素子で形成された投影像に基づいて前記被測定物の3次元形状を導出する3次元形状導出部と、
を備えることを特徴とする3次元形状測定装置。
【請求項2】
前記3次元形状導出部は、前記受光素子で形成された投影像の受光量が所定の閾値以上であるか否かに基づいて前記被測定物の3次元形状を導出することを特徴とする請求項1に記載の3次元形状測定装置。
【請求項3】
前記照明制御部は、前記照明光の単位時間の発光量を、全時間に対する前記照明装置を消灯する時間の占有率を相殺する分だけ大きく設定することを特徴とする請求項1または2に記載の3次元形状測定装置。
【請求項4】
被測定物に投光する投光源と、該被測定物で反射された反射光を受光し投影像を形成する受光素子と、該受光素子で形成された投影像に基づいて該被測定物の3次元形状を導出する3次元形状導出部とを有する3次元形状測定装置に付加する3次元形状測定付加装置であって、
2値化された制御信号を生成する信号生成部と、
前記被測定物に照明光を照射する照明装置を前記制御信号が第1状態を示す間消灯する照明制御部と、
前記制御信号が第1状態を示す間に、前記受光素子に投影像を形成させる投影像形成制御部と、
を備えることを特徴とする3次元形状測定付加装置。
【請求項5】
被測定物に投光する投光源と、
前記被測定物で反射された反射光を受光する受光素子と、
2値化された制御信号を生成する信号生成部と、
前記被測定物に照明光を照射する照明装置を前記制御信号が第1状態を示す間消灯する照明制御部と、
前記制御信号が第1状態を示す間に、前記投光源に投光させ、前記受光素子にその反射光を受光させる投影像形成制御部と、
前記投光源の投光時点と前記受光素子の受光時点との差分時間に基づいて前記被測定物の3次元形状を導出する3次元形状導出部と、
を備えることを特徴とする3次元形状測定装置。
【請求項6】
被測定物に投光する投光源と、該被測定物で反射された反射光を受光し投影像を形成する受光素子とを含む3次元形状測定装置を用いて3次元形状の測定を行う3次元形状測定方法であって、
2値化された制御信号を生成し、
前記制御信号が第1状態を示す間、前記被測定物に照明光を照射する照明装置を消灯すると共に前記受光素子で投影像を形成し、該制御信号が第2状態を示す間、該照明装置を点灯すると共に該受光素子の投影像の形成を停止し、
前記受光素子で形成された投影像に基づいて前記被測定物の3次元形状を導出することを特徴とする3次元形状測定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−226850(P2011−226850A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95048(P2010−95048)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】