FPDモジュール組立装置
【課題】FPDモジュール組立装置において、表示パネル基板の搭載部材にACFを貼り付ける際に、気泡の発生を抑制し、ACFの接着特性を改善する。
【解決手段】テープ上に形成された搭載部材を打ち抜いて、ACFにより表示パネル基板の周縁部に搭載して、FPDモジュールを製造するFPDモジュール組立装置で、仮圧着工程において、上刃と下刃とで挟み込み、加熱・加圧することにより、搭載部材にACFを貼り付ける際に、上刃の搭載部材に接する面に、例えば、シリコンゴムなどの弾性体からなる保護材を、下刃のACFの下面に接する面に同じくシリコンゴムなどの弾性体からなる緩衝材を設ける。上刃の保護材、下刃の緩衝材は、例えば、それぞれにはめ込まれたT型パッドとして形成する。
【解決手段】テープ上に形成された搭載部材を打ち抜いて、ACFにより表示パネル基板の周縁部に搭載して、FPDモジュールを製造するFPDモジュール組立装置で、仮圧着工程において、上刃と下刃とで挟み込み、加熱・加圧することにより、搭載部材にACFを貼り付ける際に、上刃の搭載部材に接する面に、例えば、シリコンゴムなどの弾性体からなる保護材を、下刃のACFの下面に接する面に同じくシリコンゴムなどの弾性体からなる緩衝材を設ける。上刃の保護材、下刃の緩衝材は、例えば、それぞれにはめ込まれたT型パッドとして形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FPDモジュール組立装置に係り、液晶やプラズマなどのFPD(Flat Panel Display)の表示パネル基板の周縁部に、COFなどの搭載部材をACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電フィルム)により接着するときに、接着特性をよくするFPDモジュール組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
FPDモジュール組立装置は、液晶(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)、プラズマなどのFPDの表示パネル基板(表示セル基板)に、複数の処理作業を順次おこなうことにより、表示パネル基板の周縁部に、COF(Chip on film)、FPC(Flexible Printed Circuit),PCB(Printed Circuit Board)などの電子部品を接続する。この実装には、ACFと呼ばれる接着剤に導電粒子が練り込まれたフィルム状の異方性導電部材が用いられ、このACFを介して表示パネル基板とCOFなどの搭載部材、また、COFなどの搭載部材とPCBを接続している
以下の説明で「搭載部材」と称する電子部品は、その詳細形状や部材の厚さの差異などで、TCP(Tape Carrier Package)と呼称されたり、TABと呼称されたり、COFと呼称されたりする。これらTCPやTABやCOFは、スプロケット穴を有する長尺のポリイミドフィルムに配線を施したFPCに、ICチップを搭載し、FPCを切り出して構成されたものであり、実装する上での差異はない。また、パネルの設計によってはICチップなしのFPCのみを実装する場合もある。FPDの実装組立工程においては、これらの部品に実質上の差異はない。
【0003】
以下、図9および図10を用いてFPDモジュールについて簡単に説明する。
図9は、FPDモジュールの各部の構成を示す図である。
図10は、搭載部材の詳細を示す図である。
【0004】
FPDモジュール9は、図9に示されるように、表示パネル基板1の周縁部に、複数の搭載部材2および搭載部材3をACF層8aにより接続するとともに、一部の搭載部材2にPCB基板6をACF層8aにより接続して構成されている。搭載部材2および搭載部材3は、扁平な長方形のポリイミドフィルムに銅箔による印刷回路(図示せず)を施したFPC4に、ICチップ5を搭載してなる電子部品である(搭載部材2:図10(a),(b)、搭載部材3:図10(c),(d))。ICチップ5は、FPC4のほぼ中央に実装されている。FPC4の下面には、印刷回路が設けられており、長手方向の両側(二つの長辺)に接続端子7が設けられている。
【0005】
例えば、特許文献1では、搭載部材(TAB2)の側に、ACF(粘着テープ27の切断片27a)を貼り付けして、その後で、表示パネルと搭載部材を接続する例が開示されている。この特許文献1によれば、粘着テープ27の切断片27a上にTABの切断片を配置して、加熱圧着することによって、TAB2の端子に切断片27aを貼り付ける。その後、切断片27aの上に載せられたTAB2を表示パネルの上に搬送して、加熱圧着して表示パネル上にTAB2を固定する。
【0006】
また、特許文献2には、搭載部材(TAB2)とACFを固定する際に、上刃(圧着刃671)と下刃(下受け672)により挟み込んで、加熱・加圧することが開示されている(図7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−26830号公報
【特許文献2】特開2011−197461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献2のように、搭載部材の端子にACFを貼り付ける場合、上刃と下刃により、加熱と同時に加圧する手段を用いて圧着している。
【0009】
ところが、搭載部材の端子部と搭載部材基材は段差があり、貼付後のACFとCOFの間に気泡が発生する。気泡は、ACF貼付時のめくれにつながり、ACFの接着特性を著しく悪化させるという問題点があった。
【0010】
また、上刃と下刃で圧着して加圧するときに、テープ状のACFの台紙であるセパレータから、ACFの粘着する部分がはみ出て、下刃に付着するという問題点があった。
【0011】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、その目的は、搭載部材にACFを貼り付ける際に、下刃へのACFの付着を防止し、かつ、気泡の発生を抑制して、ACFの接着特性を改善することのできるFPDモジュール組立装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の課題を解決するFPDモジュール組立装置は、仮圧着ユニットに関するものであり、テープ上に形成された搭載部材を打ち抜き、ACFテープから切断されたACFにより表示パネル基板の周縁部に搭載して、FPDモジュールを製造するFPDモジュール組立装置であり、仮圧着工程で、打ち抜いた搭載部材にACFを搭載することを前提とする装置である。このFPDモジュール組立装置では、打ち抜いた搭載部材にACF層を搭載するときには、搬送ヘッドにより、打ち抜いた搭載部材を対応したACFの上に搬送し、上刃と下刃とで搭載部材とACF層とを挟み込み、加熱・加圧することにより、搭載部材をACFに貼り付けて搭載することにより仮圧着をおこなう。そして、上刃の搭載部材に接する面に、例えば、シリコンゴムなどの弾性体からなる保護材を、下刃のACFの下面に接する面に、同じくシリコンゴムなどの弾性体からなる緩衝材を設けたものである。
【0013】
上刃の保護材、または、下刃の緩衝材は、例えば、それぞれにはめ込まれたT型パッドとして形成する。
【0014】
また、保護シートで、上刃、下刃をそれぞれ覆って、上刃の保護材、下刃の緩衝材の役割を担わさせてもよい。
【0015】
下刃の緩衝材の厚みは、ACF貼付位置精度と気泡の状態から500μm〜1500μmmの範囲として装備する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、、搭載部材にACFを貼り付ける際に、下刃へのACFの付着を防止し、かつ、気泡の発生を抑制して、ACFの接着特性を改善することのできるFPDモジュール組立装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】FPDパネルの実装組立ライン全体の構成図である。
【図2】仮圧着ユニットの搭載部材を供給する部分と、搭載部材にACFを貼り付けて、搬出する部分の構成を特に詳しく示した図である((a):平面図、(b):側面図)。
【図3】ACF貼付部の側面図である。
【図4】ACF貼付部の要部を拡大した図である((a):側面図、(b):(a)のA−A線に沿う断面図)。
【図5】従来技術に係る圧着ヘッドの構造について説明する。
【図6】搭載部材2に、従来技術に係る圧着ヘッドによりACFを貼り付けた状態を説明する図である。
【図7A】本発明の一実施形態に係る圧着ヘッドの構造について説明する図である(T型パッド)。
【図7B】本発明の一実施形態に係る圧着ヘッドの構造について説明する図である(C型パッド)。
【図7C】本発明の一実施形態に係る圧着ヘッドの構造について説明する図である(保護シート)。
【図8】下刃の緩衝材の厚みと、ACFの貼付精度、気泡の発生数の関係を示すグラフである。
【図9】FPDモジュールの各部の構成を示す図である。
【図10】搭載部材の詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る一実施形態を、図1ないし図8を用いて説明する。
先ず、図1を用いて本発明の一実施形態に係るFPDモジュール組立装置からなるFPDパネルの実装組立ライン全体の構成について説明する。
図1は、FPDパネルの実装組立ライン全体の構成図である。
図2は、仮圧着ユニットの搭載部材を供給する部分と、搭載部材にACFを貼り付けて、搬出する部分の構成を特に詳しく示した図である((a):平面図、(b):側面図)。
【0019】
FPDパネルの実装組立ラインは、図1に示されるように、受け入れユニット100、3方向から搭載部材2を仮圧着をおこなう仮圧着ユニット200、3方向から本圧着をおこなう本圧着ユニット300、PCB接続ユニット400、および、搬出ユニット500から構成される。
【0020】
受け入れユニット100、仮圧着ユニット200、本圧着ユニット300、PCB接続ユニット400、および、搬出ユニット500の各々のユニットには、各々フレーム103、203、303、403、および、503を有しており、その操作面側には、各々搬送レール101、201、301、401、および、501が設けられ、互いに連結してある。そして、各搬送レールの上には、各々搬送ステージ102、202、302、402、および、502があり、当該ユニットの作業位置から、次のユニットの作業位置まで表示パネル基板1を搬送する。最後の搬出ユニット500には、別途表示パネル基板1を受け取る装置が設けられるが、ここでは省略する。
【0021】
仮圧着ユニット200は、仮圧着の作業時に、表示パネル基板1の作業辺を載せて吸着させることによって平坦化をおこなうソース側の基準バー204、および、ゲート側の基準バー205を有しており、基準バー204,205と図示しない後端支えとで作業中に搬送ステージ102に頼ることなく表示パネル基板1を安定して保持することができる。また、ソース側の搭載部280のほかに、左右にゲート側の搭載部290を有しており、3方向からそれぞれの搭載部材2を同時に搭載可能である。
【0022】
仮圧着ユニット200では、図2(b)に示されるように、例えば、ソース側に搭載する搭載部材2は、長尺のリボン状フィルムのTABテープ232として、リール223に巻きつけて供給され、リール送り機構221により規定ピッチで送り出され、打ち抜き機構224により個別の搭載部材2に打ち抜かれる。この後、搭載部材2は、TAB反転部225にて表裏反転をおこない、TAB搬送部226によって、搬送ヘッド229により保持する。搭載部材2は、搬送ヘッド229に保持され、予め位置検出カメラ227によって算出された位置データにより位置補正をおこなった後に、図2(a)に示されるように、搭載位置から回転移動をした後に、ACF貼付部230に渡される。ACF貼付部230では、ACFテープ8のセパレータ8bをはがしたACF層8aが搭載部材2の両辺に貼り付けられる。なお、このACFテープ8の詳細な構造と、ACF貼付部230の搭載部材2への貼り付けは、後に詳説する。ACF層8aが貼り付けられた搭載部材2は、TAB排出部228によって、ソース側の搭載部280、および、ゲート側の搭載部290へ受け渡される。そして、ACF層8aが貼り付けられた搭載部材2は、表示パネル基板1の所定位置に仮圧着される。仮圧着は、表示パネル基板1に、本圧着の前に、図示しない搭載ヘッドによって、本圧着よりも低温低圧で加熱・加圧して搭載する工程である。
【0023】
仮圧着が終了した表示パネル基板1は、次に図1に示した本圧着ユニット300に送られる。本圧着ユニット300には、ソース側の本圧着部320のほかに、左右にゲート側の本圧着部330を有しており、3方向からそれぞれの搭載部材2を同時に本圧着可能である。本圧着は、仮圧着で搭載されたACF層8aが貼り付けられた搭載部材2を、図示しない搭載ヘッドによって、高温・高圧で加熱・加圧して、表示パネル基板1と搭載部材2とを圧着して、それらの電気的な導通を完全に確保する工程である。
【0024】
この後、PCB接続ユニット400においてPCB基板6が接続される。PCB接続ユニット400は、本圧着ユニット300と同様の構成で、背面にPCB供給部420を2セット設けた構造であり、PCBトレイ430からPCB移載部440により取り出されたPCB基板6は、基準バー404におかれた表示パネル基板1の搭載部材2のPCB側のACF層8aに重ねられ、本圧着がおこなわれる。当然ながら、PCB側のACF層8aは仮圧着ユニット200で貼付済みであるので、PCB接続ユニット400には、ACFテープ8の貼付機構は不要である。
【0025】
PCB基板6の接続が終わった表示パネル基板1は、搬送ステージ402により搬出ユニット500に搬出される。
【0026】
次に、図3および図4を用いてACF貼付部230の構造と動作の詳細について説明する。
図3は、ACF貼付部の側面図である。
図4は、ACF貼付部の要部を拡大した図である((a):側面図、(b):(a)のA−A線に沿う断面図)。
【0027】
供給リール233は、図示しない送り出しモータにより送り出し長さと速度を制御されつつACFテープ8を送り出す。
【0028】
ACFテープ8は、ガイドローラ235により方向を規制され、ACFステージ250の上の定位置に送り出される。ACFステージ250は、表面を平滑に仕上げたステンレス製の部材であり、また、ACFステージ250にはヒータが内蔵されているが、ACFのはみ出しが発生しない温度40℃〜60℃で使用する。
【0029】
ここで、ACFテープ8は、図4(a)下部に示されるように、導電粒子を含み粘着層が形成されたACF層8aと、テープ収容時に、ACF層8aがお互い付着してしまうのを防止するためのセパレータ8bからなっている。
【0030】
ACFテープ8は、ACFステージ250上に送られる前に、ACF層8aがカットステージ239上でカッターユニット269によって搭載部材2に貼り付けるための適当な長さに切断され、カッターユニット269がACF層8aの一部を除去することにより、図4(b)に示されるように、中抜き部269bが作られる。これにより、搭載部材2にACF層8aを貼り付けするときに、互いに付着してしまうのを防止する。ACF層8aがカッターユニット269で切断されても、セパレータ8bは、切断されず、テープとしてつながった状態である。
【0031】
次に、ACFステージ250上に、ACF層8aを上に向けて延伸されたACFテープ8の上に、搬送ヘッド229により搭載部材2が搬送され、ACFテープ8の上に押し当てられる。ここで、搬送ヘッド229は、搭載部材2を真空保持するための吸着孔を有している。この後、搬送ヘッド229は真空保持するための吸着孔を大気開放し、搭載部材2はACF層8a上に軽微な付着力にて仮固定される。
【0032】
そして、搬送ヘッド229から開放された搭載部材2は、移動クランプ237の送りと、これに同期して供給リール233から送り出されるACFテープ8により1ピッチ分送り出されて下刃251へ搬送される。
【0033】
ACFテープ8は、移動クランプ237と固定クランプ236により交互にセパレータ8bの掴み換えをおこなって、移動クランプ237を往復動作させることにより所定の位置へ移動させられる。すなわち、テープを送り出すときには、固定クランプが開放され、移動クランプ237は、セパレータ8bを掴んで下方に移動する。次に、移動クランプ237の復帰時には、固定クランプがセパレータ8bを掴み、移動クランプ237は、セパレータ8bを開放して、上方に移動し、固定クランプのすぐ下まで移動する。
【0034】
このとき、剥離ピン267は、ガイドピン266と共に下刃251の方向へ次の中抜き部269bの所まで移動させる。ここで、セパレータ8bを押し下げるので、ACFテープ8のACF層8aとセパレータ8bは、互いに剥離される力が働いている。
【0035】
下刃251の上には圧着ヘッド260の上刃261が配置されており、上刃261と下刃251で挟み込み、加熱・加圧することにより、搭載部材2の下面に、ACF層8aを貼り付ける。なお、圧着ヘッド260とこの工程の詳細については、後に説明する。
【0036】
また、下刃251は、ACFステージ250と同様な構成であるが、通常、上刃261がヒータを有しているので、ヒータ内蔵の有無は問わない。
【0037】
このようにして、搭載部材2の左右の両側(図4(b)、図10(b)参照、図10(c)のように図9のゲート側に使用する場合には片側)にACF層8aを貼り付けられた搭載部材2は、TAB排出部228の排出ヘッド268により、図1に示した搭載部280,290に渡される
そして、この後、セパレータ8bは、回収リール238へ図示しない巻き取りモータにより、巻き取り長さと速度を制御されつつ巻き取り回収される。
【0038】
次に、図5ないし図8を用いて圧着ヘッド260の構造と、搭載部材2へのACFの貼り付け処理について詳細に説明する。
図5は、従来技術に係る圧着ヘッドの構造について説明する。
図6は、搭載部材2に、従来技術に係る圧着ヘッドによりACFを貼り付けた状態を説明する図である。
図7A乃至図7Cは、本発明の一実施形態に係る圧着ヘッドの構造について説明する図である。
図8は、下刃の緩衝材の厚みと、ACFの貼付精度、気泡の発生数の関係を示すグラフである。
【0039】
先ず、図5および図6により、従来技術に係る圧着ヘッド260の構造と、その問題点を説明する。
【0040】
従来技術に係る圧着ヘッド260は、図5に示されるように、上刃261、ヒータ263を内蔵するヒータブロック262、断熱材264および保持ブロック265にて構成される。
【0041】
保持ブロック265は、図示しない昇降手段に接続され、断熱材264よりアームと下側のヒータブロック262等を支える部分である。ヒータブロック262には、ヒータが内蔵されており、上刃を加熱する。断熱材264は、加熱時に、ヒータブロック262から保持ブロック265に余分な熱が伝わらないようにするための部材である。ヒータブロック262には、図面の右端の先端部分で、下刃251の上方に上刃261が取り付けられている。
【0042】
既に、図3、図4に示したように、下刃251上に搬送されたACF層8aが貼り付けられた搭載部材2に対して、表面で、例えば、70℃〜90℃に加熱すると共に、ACF層8aにかかる面圧が2MPaの加圧となるように圧着ヘッド260の上刃261は、下向きに押し下げられる。このときのACF層8aと搭載部材2の表面温度、加圧力は、使用するACFの特性に応じて適宜設定するものとする。このようにして、加熱下で加圧された搭載部材2は、ACF層8aが貼り付けられることになる。
【0043】
ところが、図6に示されるように、ACF層8aと搭載部材2を貼り付けるときに、気泡10が発生するという問題点があった。この気泡10のために、ACF層8aと搭載部材2がはがれやすくなり、ひいては、接続不良を引き起こす原因ともなっていた。
【0044】
そこで、本実施形態では、以下に説明するように、上刃261に保護材、下刃251に緩衝材を設ける。上刃261の保護材、下刃251の緩衝材には、熱伝達しやすく、弾性のあるシリコンゴム系の部材を用いる。この保護材と緩衝材が、加圧時のクッションとなるため、気泡の発生を抑制することができ、ACF層8aの搭載部材2への接着特性を向上させることができる。また、上刃261には、従来搭載部材2とACF層8aとを加熱下で加圧する際に、搭載部材2からはみ出た部分のACF層8aの粘着材が上刃261な付着するという可能性があったが、上刃261のシリコンゴム系の部材による保護材は、粘着材が付着しにくいので、それを防止できるという効果もある。
【0045】
また、上刃261に保護材を装着していることに加えて、下刃251に緩衝材を取り付けているため、上刃261と下刃251での圧着時に、押し広げられたACF層8aの粘着材が下刃251に直接付着するのを防止することができる
例えば、図7Aに示されるように、上刃261の保護材として、上刃261の先端に溝を形成して、それにはめ込むように、T型のパッド241aを設け、下刃251の緩衝材として、下刃251の先端に溝を形成して、それにはめ込むように、T型のパッド241bを設けるようにする。この場合、上刃と下刃の両者が緩衝作用を持つため、気泡発生を抑制する効果は大きい。
【0046】
また、例えば、図7Bに示されるように、上刃261の保護材として、上刃261の先端を覆い囲うように、C型のパッド240aを設け、下刃251の緩衝材として、下刃251の先端を覆い囲うように、C型のパッド240bを設けるようにする。
【0047】
さらに、図7Cに示されるように、上刃261の保護材として、上刃261の先端を保護シート242aで覆うようにし、下刃251の緩衝材として、下刃251の先端を保護シート242bで覆うようにする。この場合は、保護シート242a、保護シート242bは、リール機構などにより、定期的に送られるようにしてもよいし、半固定にしておき、一定期間したときに、手動で取り外せるようにしてもよい。
【0048】
上記の上刃261の保護材と、下刃251の緩衝材のタイプは、様々に組み合わせて適用してもよい。
【0049】
ここで、最適な上刃261の保護材と、下刃251の緩衝材の厚みの設計について説明する。
【0050】
図8は、下刃の緩衝材の厚みと、ACFの貼付精度、気泡の発生数の関係を示したものであり、横軸601に緩衝材の厚みを取り、縦軸602にACFの貼付け精度、縦軸603に気泡の発生数を取り、曲線604が、緩衝材の厚みとACFの貼付け精度の関係を表し、曲線605が、緩衝材の厚みと気泡の発生数の関係を表している。
【0051】
曲線604から分かるように、緩衝材の厚みが増すほど、ACFの貼付けの位置精度が悪くなる。このときのACFの貼付け精度の許容範囲は、矢印606で示される範囲である。一方、曲線605から分かるように、緩衝材の厚みが増すほど、気泡の発生数が減り、厚みが薄いほど、気泡の発生数は、増加する。このときの気泡の発生数の許容範囲は、矢印607で示される範囲である。
【0052】
したがって、緩衝材の厚みで、ACFの貼付けの位置精度を保ち、気泡を発生させるために適正な範囲は、矢印606と矢印607の交わりである矢印608で表される部分である。発明者の測定によれば、これは、500μm〜1500μmであった。
【符号の説明】
【0053】
1…表示パネル基板、2…搭載部材(ソース側)、3…搭載部材(ゲート側)、4…FPC、5…ICチップ、6…PCB基板、7…接続端子、8…ACFテープ、8a…ACF層、8b…セパレータ、9…FPDモジュール、10…気泡、
100…受け入れユニット、101…搬送レール、102…搬送ステージ、103…フレーム、
200…仮圧着ユニット、201…搬送レール、202…搬送ステージ、203…フレーム、204…ソース側基準バー、205…ゲート側基準バー、220…TAB供給部、230…ACF貼付部、232…TABテープ、280…ソース側搭載部、290…ゲート側搭載部、
300…本圧着ユニット、301…搬送レール、302…搬送ステージ、303…フレーム、304…ソース側基準バー、305…ゲート側基準バー、320…ソース側本圧着部、330…ゲート側本圧着部、
400…PCB接続ユニット、401…搬送レール、402…搬送ステージ、403…フレーム、404…基準バー、420…PCB供給部、430…PCBトレイ、440…PCB移載部、450…PCB圧着部、
500…排出ユニット、501…搬送レール、502…搬送ステージ、503…フレーム、
221…リール送り機構、223…リール、224…打抜き機構、225…TAB反転部、226…TAB搬送部、227…位置検出カメラ、228…TAB排出部、229…搬送ヘッド、
233…供給リール、235…ガイドローラ、236…固定クランプ、237…移動クランプ、238…回収リール、239…カットステージ、250…ACFステージ、251…下刃、260…圧着ヘッド、261…上刃、262…ヒータブロック、263…ヒータ、264…断熱材、265…保持ブロック、266…ガイドピン、267…剥離ピン、268…TAB排出ヘッド、269…カッターユニット、269b…中抜き部、
240a,240b…C型パッド、241a,241b…T型パッド、242a,2432b…保護シート、
601…保護材、緩衝材の厚み、602…ACFの貼付け精度、603…気泡の発生数、604…曲線(保護材、緩衝材の厚みとACFの貼付け精度の関係)、605…曲線(保護材、緩衝材の厚みと気泡の発生数の関係)、606…矢印(ACFの貼付け精度の許容範囲)、607…矢印(気泡の発生数の許容範囲)、608…矢印(適正範囲)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、FPDモジュール組立装置に係り、液晶やプラズマなどのFPD(Flat Panel Display)の表示パネル基板の周縁部に、COFなどの搭載部材をACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電フィルム)により接着するときに、接着特性をよくするFPDモジュール組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
FPDモジュール組立装置は、液晶(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)、プラズマなどのFPDの表示パネル基板(表示セル基板)に、複数の処理作業を順次おこなうことにより、表示パネル基板の周縁部に、COF(Chip on film)、FPC(Flexible Printed Circuit),PCB(Printed Circuit Board)などの電子部品を接続する。この実装には、ACFと呼ばれる接着剤に導電粒子が練り込まれたフィルム状の異方性導電部材が用いられ、このACFを介して表示パネル基板とCOFなどの搭載部材、また、COFなどの搭載部材とPCBを接続している
以下の説明で「搭載部材」と称する電子部品は、その詳細形状や部材の厚さの差異などで、TCP(Tape Carrier Package)と呼称されたり、TABと呼称されたり、COFと呼称されたりする。これらTCPやTABやCOFは、スプロケット穴を有する長尺のポリイミドフィルムに配線を施したFPCに、ICチップを搭載し、FPCを切り出して構成されたものであり、実装する上での差異はない。また、パネルの設計によってはICチップなしのFPCのみを実装する場合もある。FPDの実装組立工程においては、これらの部品に実質上の差異はない。
【0003】
以下、図9および図10を用いてFPDモジュールについて簡単に説明する。
図9は、FPDモジュールの各部の構成を示す図である。
図10は、搭載部材の詳細を示す図である。
【0004】
FPDモジュール9は、図9に示されるように、表示パネル基板1の周縁部に、複数の搭載部材2および搭載部材3をACF層8aにより接続するとともに、一部の搭載部材2にPCB基板6をACF層8aにより接続して構成されている。搭載部材2および搭載部材3は、扁平な長方形のポリイミドフィルムに銅箔による印刷回路(図示せず)を施したFPC4に、ICチップ5を搭載してなる電子部品である(搭載部材2:図10(a),(b)、搭載部材3:図10(c),(d))。ICチップ5は、FPC4のほぼ中央に実装されている。FPC4の下面には、印刷回路が設けられており、長手方向の両側(二つの長辺)に接続端子7が設けられている。
【0005】
例えば、特許文献1では、搭載部材(TAB2)の側に、ACF(粘着テープ27の切断片27a)を貼り付けして、その後で、表示パネルと搭載部材を接続する例が開示されている。この特許文献1によれば、粘着テープ27の切断片27a上にTABの切断片を配置して、加熱圧着することによって、TAB2の端子に切断片27aを貼り付ける。その後、切断片27aの上に載せられたTAB2を表示パネルの上に搬送して、加熱圧着して表示パネル上にTAB2を固定する。
【0006】
また、特許文献2には、搭載部材(TAB2)とACFを固定する際に、上刃(圧着刃671)と下刃(下受け672)により挟み込んで、加熱・加圧することが開示されている(図7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−26830号公報
【特許文献2】特開2011−197461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献2のように、搭載部材の端子にACFを貼り付ける場合、上刃と下刃により、加熱と同時に加圧する手段を用いて圧着している。
【0009】
ところが、搭載部材の端子部と搭載部材基材は段差があり、貼付後のACFとCOFの間に気泡が発生する。気泡は、ACF貼付時のめくれにつながり、ACFの接着特性を著しく悪化させるという問題点があった。
【0010】
また、上刃と下刃で圧着して加圧するときに、テープ状のACFの台紙であるセパレータから、ACFの粘着する部分がはみ出て、下刃に付着するという問題点があった。
【0011】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、その目的は、搭載部材にACFを貼り付ける際に、下刃へのACFの付着を防止し、かつ、気泡の発生を抑制して、ACFの接着特性を改善することのできるFPDモジュール組立装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の課題を解決するFPDモジュール組立装置は、仮圧着ユニットに関するものであり、テープ上に形成された搭載部材を打ち抜き、ACFテープから切断されたACFにより表示パネル基板の周縁部に搭載して、FPDモジュールを製造するFPDモジュール組立装置であり、仮圧着工程で、打ち抜いた搭載部材にACFを搭載することを前提とする装置である。このFPDモジュール組立装置では、打ち抜いた搭載部材にACF層を搭載するときには、搬送ヘッドにより、打ち抜いた搭載部材を対応したACFの上に搬送し、上刃と下刃とで搭載部材とACF層とを挟み込み、加熱・加圧することにより、搭載部材をACFに貼り付けて搭載することにより仮圧着をおこなう。そして、上刃の搭載部材に接する面に、例えば、シリコンゴムなどの弾性体からなる保護材を、下刃のACFの下面に接する面に、同じくシリコンゴムなどの弾性体からなる緩衝材を設けたものである。
【0013】
上刃の保護材、または、下刃の緩衝材は、例えば、それぞれにはめ込まれたT型パッドとして形成する。
【0014】
また、保護シートで、上刃、下刃をそれぞれ覆って、上刃の保護材、下刃の緩衝材の役割を担わさせてもよい。
【0015】
下刃の緩衝材の厚みは、ACF貼付位置精度と気泡の状態から500μm〜1500μmmの範囲として装備する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、、搭載部材にACFを貼り付ける際に、下刃へのACFの付着を防止し、かつ、気泡の発生を抑制して、ACFの接着特性を改善することのできるFPDモジュール組立装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】FPDパネルの実装組立ライン全体の構成図である。
【図2】仮圧着ユニットの搭載部材を供給する部分と、搭載部材にACFを貼り付けて、搬出する部分の構成を特に詳しく示した図である((a):平面図、(b):側面図)。
【図3】ACF貼付部の側面図である。
【図4】ACF貼付部の要部を拡大した図である((a):側面図、(b):(a)のA−A線に沿う断面図)。
【図5】従来技術に係る圧着ヘッドの構造について説明する。
【図6】搭載部材2に、従来技術に係る圧着ヘッドによりACFを貼り付けた状態を説明する図である。
【図7A】本発明の一実施形態に係る圧着ヘッドの構造について説明する図である(T型パッド)。
【図7B】本発明の一実施形態に係る圧着ヘッドの構造について説明する図である(C型パッド)。
【図7C】本発明の一実施形態に係る圧着ヘッドの構造について説明する図である(保護シート)。
【図8】下刃の緩衝材の厚みと、ACFの貼付精度、気泡の発生数の関係を示すグラフである。
【図9】FPDモジュールの各部の構成を示す図である。
【図10】搭載部材の詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る一実施形態を、図1ないし図8を用いて説明する。
先ず、図1を用いて本発明の一実施形態に係るFPDモジュール組立装置からなるFPDパネルの実装組立ライン全体の構成について説明する。
図1は、FPDパネルの実装組立ライン全体の構成図である。
図2は、仮圧着ユニットの搭載部材を供給する部分と、搭載部材にACFを貼り付けて、搬出する部分の構成を特に詳しく示した図である((a):平面図、(b):側面図)。
【0019】
FPDパネルの実装組立ラインは、図1に示されるように、受け入れユニット100、3方向から搭載部材2を仮圧着をおこなう仮圧着ユニット200、3方向から本圧着をおこなう本圧着ユニット300、PCB接続ユニット400、および、搬出ユニット500から構成される。
【0020】
受け入れユニット100、仮圧着ユニット200、本圧着ユニット300、PCB接続ユニット400、および、搬出ユニット500の各々のユニットには、各々フレーム103、203、303、403、および、503を有しており、その操作面側には、各々搬送レール101、201、301、401、および、501が設けられ、互いに連結してある。そして、各搬送レールの上には、各々搬送ステージ102、202、302、402、および、502があり、当該ユニットの作業位置から、次のユニットの作業位置まで表示パネル基板1を搬送する。最後の搬出ユニット500には、別途表示パネル基板1を受け取る装置が設けられるが、ここでは省略する。
【0021】
仮圧着ユニット200は、仮圧着の作業時に、表示パネル基板1の作業辺を載せて吸着させることによって平坦化をおこなうソース側の基準バー204、および、ゲート側の基準バー205を有しており、基準バー204,205と図示しない後端支えとで作業中に搬送ステージ102に頼ることなく表示パネル基板1を安定して保持することができる。また、ソース側の搭載部280のほかに、左右にゲート側の搭載部290を有しており、3方向からそれぞれの搭載部材2を同時に搭載可能である。
【0022】
仮圧着ユニット200では、図2(b)に示されるように、例えば、ソース側に搭載する搭載部材2は、長尺のリボン状フィルムのTABテープ232として、リール223に巻きつけて供給され、リール送り機構221により規定ピッチで送り出され、打ち抜き機構224により個別の搭載部材2に打ち抜かれる。この後、搭載部材2は、TAB反転部225にて表裏反転をおこない、TAB搬送部226によって、搬送ヘッド229により保持する。搭載部材2は、搬送ヘッド229に保持され、予め位置検出カメラ227によって算出された位置データにより位置補正をおこなった後に、図2(a)に示されるように、搭載位置から回転移動をした後に、ACF貼付部230に渡される。ACF貼付部230では、ACFテープ8のセパレータ8bをはがしたACF層8aが搭載部材2の両辺に貼り付けられる。なお、このACFテープ8の詳細な構造と、ACF貼付部230の搭載部材2への貼り付けは、後に詳説する。ACF層8aが貼り付けられた搭載部材2は、TAB排出部228によって、ソース側の搭載部280、および、ゲート側の搭載部290へ受け渡される。そして、ACF層8aが貼り付けられた搭載部材2は、表示パネル基板1の所定位置に仮圧着される。仮圧着は、表示パネル基板1に、本圧着の前に、図示しない搭載ヘッドによって、本圧着よりも低温低圧で加熱・加圧して搭載する工程である。
【0023】
仮圧着が終了した表示パネル基板1は、次に図1に示した本圧着ユニット300に送られる。本圧着ユニット300には、ソース側の本圧着部320のほかに、左右にゲート側の本圧着部330を有しており、3方向からそれぞれの搭載部材2を同時に本圧着可能である。本圧着は、仮圧着で搭載されたACF層8aが貼り付けられた搭載部材2を、図示しない搭載ヘッドによって、高温・高圧で加熱・加圧して、表示パネル基板1と搭載部材2とを圧着して、それらの電気的な導通を完全に確保する工程である。
【0024】
この後、PCB接続ユニット400においてPCB基板6が接続される。PCB接続ユニット400は、本圧着ユニット300と同様の構成で、背面にPCB供給部420を2セット設けた構造であり、PCBトレイ430からPCB移載部440により取り出されたPCB基板6は、基準バー404におかれた表示パネル基板1の搭載部材2のPCB側のACF層8aに重ねられ、本圧着がおこなわれる。当然ながら、PCB側のACF層8aは仮圧着ユニット200で貼付済みであるので、PCB接続ユニット400には、ACFテープ8の貼付機構は不要である。
【0025】
PCB基板6の接続が終わった表示パネル基板1は、搬送ステージ402により搬出ユニット500に搬出される。
【0026】
次に、図3および図4を用いてACF貼付部230の構造と動作の詳細について説明する。
図3は、ACF貼付部の側面図である。
図4は、ACF貼付部の要部を拡大した図である((a):側面図、(b):(a)のA−A線に沿う断面図)。
【0027】
供給リール233は、図示しない送り出しモータにより送り出し長さと速度を制御されつつACFテープ8を送り出す。
【0028】
ACFテープ8は、ガイドローラ235により方向を規制され、ACFステージ250の上の定位置に送り出される。ACFステージ250は、表面を平滑に仕上げたステンレス製の部材であり、また、ACFステージ250にはヒータが内蔵されているが、ACFのはみ出しが発生しない温度40℃〜60℃で使用する。
【0029】
ここで、ACFテープ8は、図4(a)下部に示されるように、導電粒子を含み粘着層が形成されたACF層8aと、テープ収容時に、ACF層8aがお互い付着してしまうのを防止するためのセパレータ8bからなっている。
【0030】
ACFテープ8は、ACFステージ250上に送られる前に、ACF層8aがカットステージ239上でカッターユニット269によって搭載部材2に貼り付けるための適当な長さに切断され、カッターユニット269がACF層8aの一部を除去することにより、図4(b)に示されるように、中抜き部269bが作られる。これにより、搭載部材2にACF層8aを貼り付けするときに、互いに付着してしまうのを防止する。ACF層8aがカッターユニット269で切断されても、セパレータ8bは、切断されず、テープとしてつながった状態である。
【0031】
次に、ACFステージ250上に、ACF層8aを上に向けて延伸されたACFテープ8の上に、搬送ヘッド229により搭載部材2が搬送され、ACFテープ8の上に押し当てられる。ここで、搬送ヘッド229は、搭載部材2を真空保持するための吸着孔を有している。この後、搬送ヘッド229は真空保持するための吸着孔を大気開放し、搭載部材2はACF層8a上に軽微な付着力にて仮固定される。
【0032】
そして、搬送ヘッド229から開放された搭載部材2は、移動クランプ237の送りと、これに同期して供給リール233から送り出されるACFテープ8により1ピッチ分送り出されて下刃251へ搬送される。
【0033】
ACFテープ8は、移動クランプ237と固定クランプ236により交互にセパレータ8bの掴み換えをおこなって、移動クランプ237を往復動作させることにより所定の位置へ移動させられる。すなわち、テープを送り出すときには、固定クランプが開放され、移動クランプ237は、セパレータ8bを掴んで下方に移動する。次に、移動クランプ237の復帰時には、固定クランプがセパレータ8bを掴み、移動クランプ237は、セパレータ8bを開放して、上方に移動し、固定クランプのすぐ下まで移動する。
【0034】
このとき、剥離ピン267は、ガイドピン266と共に下刃251の方向へ次の中抜き部269bの所まで移動させる。ここで、セパレータ8bを押し下げるので、ACFテープ8のACF層8aとセパレータ8bは、互いに剥離される力が働いている。
【0035】
下刃251の上には圧着ヘッド260の上刃261が配置されており、上刃261と下刃251で挟み込み、加熱・加圧することにより、搭載部材2の下面に、ACF層8aを貼り付ける。なお、圧着ヘッド260とこの工程の詳細については、後に説明する。
【0036】
また、下刃251は、ACFステージ250と同様な構成であるが、通常、上刃261がヒータを有しているので、ヒータ内蔵の有無は問わない。
【0037】
このようにして、搭載部材2の左右の両側(図4(b)、図10(b)参照、図10(c)のように図9のゲート側に使用する場合には片側)にACF層8aを貼り付けられた搭載部材2は、TAB排出部228の排出ヘッド268により、図1に示した搭載部280,290に渡される
そして、この後、セパレータ8bは、回収リール238へ図示しない巻き取りモータにより、巻き取り長さと速度を制御されつつ巻き取り回収される。
【0038】
次に、図5ないし図8を用いて圧着ヘッド260の構造と、搭載部材2へのACFの貼り付け処理について詳細に説明する。
図5は、従来技術に係る圧着ヘッドの構造について説明する。
図6は、搭載部材2に、従来技術に係る圧着ヘッドによりACFを貼り付けた状態を説明する図である。
図7A乃至図7Cは、本発明の一実施形態に係る圧着ヘッドの構造について説明する図である。
図8は、下刃の緩衝材の厚みと、ACFの貼付精度、気泡の発生数の関係を示すグラフである。
【0039】
先ず、図5および図6により、従来技術に係る圧着ヘッド260の構造と、その問題点を説明する。
【0040】
従来技術に係る圧着ヘッド260は、図5に示されるように、上刃261、ヒータ263を内蔵するヒータブロック262、断熱材264および保持ブロック265にて構成される。
【0041】
保持ブロック265は、図示しない昇降手段に接続され、断熱材264よりアームと下側のヒータブロック262等を支える部分である。ヒータブロック262には、ヒータが内蔵されており、上刃を加熱する。断熱材264は、加熱時に、ヒータブロック262から保持ブロック265に余分な熱が伝わらないようにするための部材である。ヒータブロック262には、図面の右端の先端部分で、下刃251の上方に上刃261が取り付けられている。
【0042】
既に、図3、図4に示したように、下刃251上に搬送されたACF層8aが貼り付けられた搭載部材2に対して、表面で、例えば、70℃〜90℃に加熱すると共に、ACF層8aにかかる面圧が2MPaの加圧となるように圧着ヘッド260の上刃261は、下向きに押し下げられる。このときのACF層8aと搭載部材2の表面温度、加圧力は、使用するACFの特性に応じて適宜設定するものとする。このようにして、加熱下で加圧された搭載部材2は、ACF層8aが貼り付けられることになる。
【0043】
ところが、図6に示されるように、ACF層8aと搭載部材2を貼り付けるときに、気泡10が発生するという問題点があった。この気泡10のために、ACF層8aと搭載部材2がはがれやすくなり、ひいては、接続不良を引き起こす原因ともなっていた。
【0044】
そこで、本実施形態では、以下に説明するように、上刃261に保護材、下刃251に緩衝材を設ける。上刃261の保護材、下刃251の緩衝材には、熱伝達しやすく、弾性のあるシリコンゴム系の部材を用いる。この保護材と緩衝材が、加圧時のクッションとなるため、気泡の発生を抑制することができ、ACF層8aの搭載部材2への接着特性を向上させることができる。また、上刃261には、従来搭載部材2とACF層8aとを加熱下で加圧する際に、搭載部材2からはみ出た部分のACF層8aの粘着材が上刃261な付着するという可能性があったが、上刃261のシリコンゴム系の部材による保護材は、粘着材が付着しにくいので、それを防止できるという効果もある。
【0045】
また、上刃261に保護材を装着していることに加えて、下刃251に緩衝材を取り付けているため、上刃261と下刃251での圧着時に、押し広げられたACF層8aの粘着材が下刃251に直接付着するのを防止することができる
例えば、図7Aに示されるように、上刃261の保護材として、上刃261の先端に溝を形成して、それにはめ込むように、T型のパッド241aを設け、下刃251の緩衝材として、下刃251の先端に溝を形成して、それにはめ込むように、T型のパッド241bを設けるようにする。この場合、上刃と下刃の両者が緩衝作用を持つため、気泡発生を抑制する効果は大きい。
【0046】
また、例えば、図7Bに示されるように、上刃261の保護材として、上刃261の先端を覆い囲うように、C型のパッド240aを設け、下刃251の緩衝材として、下刃251の先端を覆い囲うように、C型のパッド240bを設けるようにする。
【0047】
さらに、図7Cに示されるように、上刃261の保護材として、上刃261の先端を保護シート242aで覆うようにし、下刃251の緩衝材として、下刃251の先端を保護シート242bで覆うようにする。この場合は、保護シート242a、保護シート242bは、リール機構などにより、定期的に送られるようにしてもよいし、半固定にしておき、一定期間したときに、手動で取り外せるようにしてもよい。
【0048】
上記の上刃261の保護材と、下刃251の緩衝材のタイプは、様々に組み合わせて適用してもよい。
【0049】
ここで、最適な上刃261の保護材と、下刃251の緩衝材の厚みの設計について説明する。
【0050】
図8は、下刃の緩衝材の厚みと、ACFの貼付精度、気泡の発生数の関係を示したものであり、横軸601に緩衝材の厚みを取り、縦軸602にACFの貼付け精度、縦軸603に気泡の発生数を取り、曲線604が、緩衝材の厚みとACFの貼付け精度の関係を表し、曲線605が、緩衝材の厚みと気泡の発生数の関係を表している。
【0051】
曲線604から分かるように、緩衝材の厚みが増すほど、ACFの貼付けの位置精度が悪くなる。このときのACFの貼付け精度の許容範囲は、矢印606で示される範囲である。一方、曲線605から分かるように、緩衝材の厚みが増すほど、気泡の発生数が減り、厚みが薄いほど、気泡の発生数は、増加する。このときの気泡の発生数の許容範囲は、矢印607で示される範囲である。
【0052】
したがって、緩衝材の厚みで、ACFの貼付けの位置精度を保ち、気泡を発生させるために適正な範囲は、矢印606と矢印607の交わりである矢印608で表される部分である。発明者の測定によれば、これは、500μm〜1500μmであった。
【符号の説明】
【0053】
1…表示パネル基板、2…搭載部材(ソース側)、3…搭載部材(ゲート側)、4…FPC、5…ICチップ、6…PCB基板、7…接続端子、8…ACFテープ、8a…ACF層、8b…セパレータ、9…FPDモジュール、10…気泡、
100…受け入れユニット、101…搬送レール、102…搬送ステージ、103…フレーム、
200…仮圧着ユニット、201…搬送レール、202…搬送ステージ、203…フレーム、204…ソース側基準バー、205…ゲート側基準バー、220…TAB供給部、230…ACF貼付部、232…TABテープ、280…ソース側搭載部、290…ゲート側搭載部、
300…本圧着ユニット、301…搬送レール、302…搬送ステージ、303…フレーム、304…ソース側基準バー、305…ゲート側基準バー、320…ソース側本圧着部、330…ゲート側本圧着部、
400…PCB接続ユニット、401…搬送レール、402…搬送ステージ、403…フレーム、404…基準バー、420…PCB供給部、430…PCBトレイ、440…PCB移載部、450…PCB圧着部、
500…排出ユニット、501…搬送レール、502…搬送ステージ、503…フレーム、
221…リール送り機構、223…リール、224…打抜き機構、225…TAB反転部、226…TAB搬送部、227…位置検出カメラ、228…TAB排出部、229…搬送ヘッド、
233…供給リール、235…ガイドローラ、236…固定クランプ、237…移動クランプ、238…回収リール、239…カットステージ、250…ACFステージ、251…下刃、260…圧着ヘッド、261…上刃、262…ヒータブロック、263…ヒータ、264…断熱材、265…保持ブロック、266…ガイドピン、267…剥離ピン、268…TAB排出ヘッド、269…カッターユニット、269b…中抜き部、
240a,240b…C型パッド、241a,241b…T型パッド、242a,2432b…保護シート、
601…保護材、緩衝材の厚み、602…ACFの貼付け精度、603…気泡の発生数、604…曲線(保護材、緩衝材の厚みとACFの貼付け精度の関係)、605…曲線(保護材、緩衝材の厚みと気泡の発生数の関係)、606…矢印(ACFの貼付け精度の許容範囲)、607…矢印(気泡の発生数の許容範囲)、608…矢印(適正範囲)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ACF(Anisotropic Conductive Film)により表示パネル基板の周縁部に搭載して、FPD(Flat Panel Display)モジュールを製造するFPDモジュール組立装置であって、
供給リールからACFが積層されたACFテープを供給する供給手段と、
前記搭載部材の前記ACFを貼り付ける領域に対応して、前記ACFテープに積層されている前記ACFを切断する切断手段と、
搬送ヘッドと、
上刃を備える圧着部と、
下刃とを有し、
前記搬送ヘッドにより、前記搭載部材を前記切断手段で切断した前記ACFテープに積層されたACF上に搬送し、
前記上刃と前記下刃とで、前記搭載部材と前記ACFとを挟み込み、前記上刃と前記下刃とで挟み込んだときに前記上刃と前記下刃が互いに接する面によって圧着して、加熱・加圧することにより、前記搭載部材を前記ACFに貼り付けて搭載し、前記ACFが貼り付けられた前記搭載部材を前記表示パネル基板に仮圧着するFPDモジュール組立装置において、
前記上刃の前記搭載部材に接する面に弾性体からなる保護材を設け、
前記下刃の前記ACFの下面に接する面に弾性体からなる緩衝材を設けたことを特徴とするFPDモジュール組立装置。
【請求項2】
前記保護材または前記緩衝材の少なくとも一方が、前記上刃または前記下刃の互いに接する面にはめ込まれるT型パッドであることを特徴とする請求項1記載のFPDモジュール組立装置。
【請求項3】
前記保護材または前記緩衝材の少なくとも一方が、前記上刃または前記下刃の互いに接する面を囲うようにして形成されたC型パッドであることを特徴とする請求項1記載のFPDモジュール組立装置。
【請求項4】
前記保護材または前記緩衝材の少なくとも一方が、前記上刃または前記下刃を覆うようにして形成された保護シートであることを特徴とする請求項1記載のFPDモジュール組立装置。
【請求項1】
ACF(Anisotropic Conductive Film)により表示パネル基板の周縁部に搭載して、FPD(Flat Panel Display)モジュールを製造するFPDモジュール組立装置であって、
供給リールからACFが積層されたACFテープを供給する供給手段と、
前記搭載部材の前記ACFを貼り付ける領域に対応して、前記ACFテープに積層されている前記ACFを切断する切断手段と、
搬送ヘッドと、
上刃を備える圧着部と、
下刃とを有し、
前記搬送ヘッドにより、前記搭載部材を前記切断手段で切断した前記ACFテープに積層されたACF上に搬送し、
前記上刃と前記下刃とで、前記搭載部材と前記ACFとを挟み込み、前記上刃と前記下刃とで挟み込んだときに前記上刃と前記下刃が互いに接する面によって圧着して、加熱・加圧することにより、前記搭載部材を前記ACFに貼り付けて搭載し、前記ACFが貼り付けられた前記搭載部材を前記表示パネル基板に仮圧着するFPDモジュール組立装置において、
前記上刃の前記搭載部材に接する面に弾性体からなる保護材を設け、
前記下刃の前記ACFの下面に接する面に弾性体からなる緩衝材を設けたことを特徴とするFPDモジュール組立装置。
【請求項2】
前記保護材または前記緩衝材の少なくとも一方が、前記上刃または前記下刃の互いに接する面にはめ込まれるT型パッドであることを特徴とする請求項1記載のFPDモジュール組立装置。
【請求項3】
前記保護材または前記緩衝材の少なくとも一方が、前記上刃または前記下刃の互いに接する面を囲うようにして形成されたC型パッドであることを特徴とする請求項1記載のFPDモジュール組立装置。
【請求項4】
前記保護材または前記緩衝材の少なくとも一方が、前記上刃または前記下刃を覆うようにして形成された保護シートであることを特徴とする請求項1記載のFPDモジュール組立装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−92569(P2013−92569A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233095(P2011−233095)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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