説明

GPR105活性のアンタゴニストとしての置換2−ナフトエ酸

構造式Iの置換2−ナフトエ酸は、GPR105タンパク質の生物活性のアンタゴニストとして効果的である。それらは、糖尿病、特に2型糖尿病、インシュリン抵抗性、高血糖症、脂質障害、肥満症、アテローム性動脈硬化症及びメタボリックシンドロームに関連する病状のような、この受容体の拮抗作用に応答する障害の治療、抑制又は予防に有用である。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPR105タンパク質の生物活性のアンタゴニストである、置換2−ナフトエ酸、並びにGPR105タンパク質により介在される病状又は疾患の抑制、予防及び/又は治療するためのこのような化合物の使用に関する。本発明の化合物は、糖尿病、特に2型糖尿病、高血糖症、インシュリン抵抗性、脂質障害、肥満症、アテローム性動脈硬化症、及びメタボリックシンドロームに関連する他の病状の治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
メタボリックシンドロームは、肥満症、脂質異常症及び高血糖症を含む障害である。メタボリックシンドロームは世界中にまん延している。この症候群の病態生理学は、中央に分布した肥満症、高比重リポタンパク質の減少、トリグリセリドの増加、血圧の上昇及び高血糖に起因している。メタボリックシンドロームを患っている人々は、2型糖尿病、冠動脈性心疾患及び動脈壁における血小板蓄積に関連する他の疾患(例えば、脳卒中及び末梢血管疾患)の発現の危険が上昇している。2つの前向きなヨーロッパの研究において、メタボリックシンドロームは、循環器病及び死亡率の増加の予測の判断材料であった(Isomaa et al.,“Cardiovascular Morbidity and Mortality Associated With the Metabolic Syndrome,”Diabetes Care 24:683−689,2001;Lakka et al.,“The Metabolic Syndrome and Total and Cardiovascular Disease Mortality in Middle Aged Men,”JAMA 288:2709−2716,2002)。
【0003】
メタボリックシンドロームの最も重要な基礎的な原因は肥満症である。GPR105タンパク質の発現が、体重増加及び2型糖尿病の発症に関連していることが、米国特許出願公開第2007/0092913号(2007年4月26日公開)に開示されている。更に、マウスにおけるGPR105の発現のアンチセンス阻害が、高脂肪食餌に応答したマウスの体重増加を減少させることが証明されている。マウスは、低レベルのインシュリンをも有し、これはマウスにおけるインシュリン抵抗性のレベルの低下を示す。従って、GPR105は、2型糖尿病及び/又は肥満症を抑制、予防又は治療するか、若しくはメタボリックシンドロームに関連する少なくとも1種の症状を改善する薬剤の潜在的標的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、肥満症及び糖尿病、特に2型糖尿病を抑制、予防又は治療し、メタボリックシンドロームに関連する症状を改善するのに有用なGPR105アンタゴニストとしての新規なクラスの置換ベータ−ナフトエ酸を提供する。
【0005】
発明の要旨
本発明は、構造式I:
【0006】
【化1】

の置換2−ナフトエ酸に関する。
【0007】
これらの置換2−ナフトエ酸は、GPR105の生物活性のアンタゴニストとして有効である。従って、それらは、糖尿病、特に2型糖尿病、高血糖症、インシュリン抵抗性、脂質障害、肥満症、アテローム性動脈硬化症、及びメタボリックシンドロームに関連する他の病状のような、この受容体の拮抗作用に応答する疾患の治療、抑制又は予防に有用である。
【0008】
本発明は、本発明の化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物にも関する。
【0009】
本発明は、本発明の化合物及び医薬組成物を投与することにより、治療、抑制又は予防を必要とする患者において、GPR105タンパク質の拮抗作用に応答する障害、疾患又は病状を治療、抑制又は予防する方法にも関する。
【0010】
本発明は、本発明の化合物及び医薬組成物を投与することにより、糖尿病、特に2型糖尿病、インシュリン抵抗性、肥満症、脂質障害、アテローム性動脈硬化症、及びメタボリックシンドロームに関連する他の病状を治療、抑制又は予防する方法にも関する。
【0011】
本発明は、本発明の化合物を、肥満症を治療するのに有用であることが知られている1種以上の薬剤の治療的有効量と併用して投与することにより、前記病状を治療、抑制又は予防する方法にも関する。
【0012】
本発明は、本発明の化合物を、2型糖尿病を治療するのに有用であることが知られている1種以上の薬剤の治療的有効量と併用して投与することにより、前記病状を治療、抑制又は予防する方法にも関する。
【0013】
本発明は、本発明の化合物を、アテローム性動脈硬化症を治療するのに有用であることが知られている1種以上の薬剤の治療的有効量と併用して投与することにより、前記病状を治療、抑制又は予防する方法にも関する。
【0014】
本発明は、本発明の化合物を、脂質障害を治療するのに有用であることが知られている1種以上の薬剤の治療的有効量と併用して投与することにより、前記病状を治療、抑制又は予防する方法にも関する。
【0015】
本発明は、本発明の化合物を、メタボリックシンドロームに関連する病状を治療するのに有用であることが知られている1種以上の薬剤の治療的有効量と併用して投与することにより、前記病状を治療する方法にも関する。
【0016】
発明の詳細な記載
本発明は、構造式I:
【0017】
【化2】

[式中、Rは、
水素、
3−6シクロアルキル、
ベンジル、及び
1−6アルキルであって、該アルキルは、ヒドロキシ、アミノ、C1−4アルキルアミノ、ジ−(C1−4アルキル)アミノ、アミノカルボニル、C1−4アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−4アルキル)アミノカルボニル、C1−4アルキルカルボニルオキシ、C1−4アルキルオキシ又は1〜5個のフッ素で置換されていてもよい、からなる群から選択され;
は水素、フッ素又はヒドロキシであり;
は:
−(CHアリール、
−(CHヘテロアリール、
−OCH−アリール、
−OCH−ヘテロアリール、
−(S)CH−アリール、
−(S)CH−ヘテロアリール、
−CHO−アリール、
−CHO−ヘテロアリール、
−CH(S)−アリール、及び
−CH(S)−ヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、R中の任意のメチレン(CH)炭素原子は、独立して、フッ素、ヒドロキシ及び1〜3個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよく;又は2個の置換基は、同一のメチレン(CH)基上にある場合、それらが結合する炭素原子と一緒になってシクロプロピル基を形成し;ここで、アリール及びヘテロアリールは、独立して、
ハロゲン、
シアノ、
ニトロ、
1−6アルコキシであって、該アルコキシは、独立して、フッ素、ヒドロキシ及びC1−3アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよく、
1−6アルキルであって、該アルキルは、独立して、フッ素、ヒドロキシ及びC1−3アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよく、
2−6アルケニルであって、該アルケニルは、独立して、フッ素、ヒドロキシ及びC1−3アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよく、
(CH−アリール、
(CH−ヘテロアリール、
(CH−ヘテロシクリル、
(CH−C3−6シクロアルキル、
(CH−OR
(CH−CO
(CH−N(R
(CH−CON(R
(CH−OCON(R
(CH−SON(R
(CH−SON(R)C(O)R
(CH−C(O)N(R)SO10
(CH−S(O)10
(CH−NR11SO10
(CH−NR11CON(R
(CH−NR11COR、及び
(CH−NR11CO10、からなる群から選択される1〜3個のR置換基で置換されていてもよく;ここで、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、トリフルオロメチル及びC1−4アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;R中の任意のメチレン(CH)炭素原子は、独立して、フッ素、ヒドロキシ及び1〜3個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよく;又は2個の置換基は、同一のメチレン(CH)基上にある場合、それらが結合する炭素原子と一緒になってシクロプロピル基を形成し;
、R、R及びRは、独立して:
水素、
ハロゲン、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキル、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルコキシ、及び
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルチオ、からなる群から選択され;
は:
−(CH−アリール、
−(CH−ヘテロアリール、
−OCH−アリール、
−OCH−ヘテロアリール、
−(S)CH−アリール、
−(S)CH−ヘテロアリール、
−CHO−アリール、
−CHO−ヘテロアリール、
−CH(S)−アリール、及び
−CH(S)−ヘテロアリールからなる群から選択され;ここで、R中の任意のメチレン(CH)炭素原子は、独立して、フッ素、ヒドロキシ及び1〜3個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよく;又は2個の置換基は、同一のメチレン(CH)基上にある場合、それらが結合する炭素原子と一緒になってシクロプロピル基を形成し、
ここで、アリール及びヘテロアリールは独立して:
ハロゲン、
シアノ、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキル、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルコキシ、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルチオ、及び
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルスルホニルからなる群から選択される1〜3個のR置換基で置換されていてもよく;
各Rは、独立して:
水素、
1−6アルキル、
(CH−アリール、
(CH−ヘテロアリール、及び
(CH3−6シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、(CH中の任意の個々のメチレン(CH)炭素原子は、独立して、フッ素、ヒドロキシ、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよく、ここで、アルキル及びアルコキシは1〜5個のフッ素で置換されていてもよく;又は2個の置換基は、同一のメチレン(CH)基上にある場合、それらが結合する炭素原子と一緒になってシクロプロピル基を形成し;ここで、アルキル、アリール、ヘテロアリール及びシクロアルキルは、独立して、ハロゲン、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;又は2つのR基は、それが結合する窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンから選択されるヘテロシクリル環を形成し、ここで前記ヘテロシクリル環は、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、ここでアルキル及びアルコキシは1〜5個のフッ素で置換されていてもよく;
各R10は、独立してC1−6アルキルであり、ここで、アルキルは、独立して、フッ素及びヒドロキシから選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよく;
11は水素又はR10であり;
各nは独立して0〜3の整数であり;
各mは独立して0〜2の整数であり;そして
各rは0〜2の整数である]の化合物及び薬学的に許容されるその塩に関する。
【0018】
本発明の化合物の一実施態様においては、R及びRは、それぞれ独立してアリール又はヘテロアリールであり、ここでRは1〜3個の前記で定義したR置換基で置換されていてもよく、Rは1〜3個の前記で定義したR置換基で置換されていてもよい。この実施態様の一クラスにおいては、Rは、それぞれが1〜3個の前記で定義したR置換基で置換されていてもよいフェニル又はチエニルである。このクラスの一サブクラスにおいては、Rは、1〜2個の前記で定義したR置換基で置換されていてもよい3−チエニルである。この実施態様の第2のクラスにおいては、Rは、それぞれが1〜3個の前記で定義したR置換基で置換されていてもよいフェニル又はピリジルである。
【0019】
本発明の化合物の第2の実施態様においては、Rは、1〜3個の前記で定義したR置換基で置換されていてもよいアリール又はヘテロアリールであり;Rは、−OCH−アリール又は−OCH−ヘテロアリールであり、該アリール及びヘテロアリールは、1〜3個の前記で定義したR置換基で置換されていてもよい。この実施態様の一クラスにおいては、Rは、1〜3個の前記で定義したR置換基で置換されていてもよいフェニル又はチエニルであり;Rは、−OCH−フェニル又は−OCH−ピリジルであり、該フェニル及びピリジルは、1〜3個の前記で定義したR置換基で置換されていてもよい。このクラスの一サブクラスにおいては、Rは1〜2個の前記で定義したR置換基で置換されていてもよい3−チエニルである。
【0020】
本発明の第3の実施態様においては、Rは、アリール又はヘテロアリールであり、該Rは1〜3個の前記で定義したR置換で置換されていてもよく;Rは、−OCH−アリール又は−OCH−ヘテロアリールであり、該アリール及びヘテロアリールは1〜3個の前記で定義したR置換基で置換されていてもよい。この実施態様の一クラスにおいては、Rは、1〜3個の前記で定義したR置換基で置換されていてもよいフェニルであり;Rは、−OCH−フェニル又は−OCH−ピリジルであり、該フェニル及びピリジルは、1〜3個の前記で定義したR置換基で置換されていてもよい。
【0021】
本発明の第4の実施態様においては、Rは、−OCH−アリール又は−OCH−ヘテロアリールであり、該アリール及びヘテロアリールは1〜3個の前記で定義したR置換基で置換されていてもよく;Rは、−OCH−アリール又は−OCH−ヘテロアリールであり、該アリール及びヘテロアリールは、1〜3個の前記で定義したR置換基で置換されていてもよい。この実施態様の一クラスにおいては、Rは、−OCH−フェニル又は−OCH−ピリジルであり、該フェニル及びピリジルは1〜3個の前記で定義したR置換基で置換されていてもよく;Rは、−OCH−フェニルであり、該フェニルは1〜3個の前記で定義したR置換基で置換されていてもよい。
【0022】
本発明の第5の実施態様においては、Rはフッ素又は水素である。この実施態様の一クラスにおいては、R、R、R及びRはそれぞれ水素である。
【0023】
本発明の第6の実施態様においては、Rは水素である。この実施態様の一クラスにおいては、Rはフッ素又は水素であり、R、R、R及びRはそれぞれ水素である。
【0024】
第7の実施態様においては、Rは:
ハロゲン、
1〜3個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルキル、
1〜3個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルコキシ、及び
1〜3個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルキルチオからなる群から選択される。
【0025】
本発明の化合物の第8の実施態様においては、Rは:
1〜3個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルコキシ、
−CO
−S(O)10
−C(O)R
【0026】
【化3】

【0027】
ヘテロシクリル、及び
ヘテロアリールからなる群から選択され、
及びR10は前記で定義した通りであり、R及びRは、それぞれ独立して水素又はメチルであり、メチルは1〜3個のフッ素で置換されていてもよい。
【0028】
この実施態様の一クラスにおいては、Rは、水素又は1〜3個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルキルである。
【0029】
この実施態様の第2のクラスにおいては、Rは:
【0030】
【化4】

からなる群から選択される。
【0031】
このクラスの一サブクラスにおいては、Rは:
【0032】
【化5】

からなる群から選択される。
【0033】
この実施態様の第3のクラスにおいては、Rは、ヘテロアリール又はヘテロシクリルであり、それぞれが、独立してハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、トリフルオロメチル及びC1−4アルコキシから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい。このクラスの一サブクラスにおいては、Rは、ピペリジニル、テトラゾール又はトリアゾールであり、それぞれがハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、トリフルオロメチル又はC1−4アルコキシで一置換されていてもよい。
【0034】
本発明の第9の実施態様においては、Rは、パラ位において前記で定義したR置換基で一置換されたフェニルである。
【0035】
本発明の第10の実施態様においては、R
【0036】
【化6】

であり、ここで、チエニル基は前記で定義したRで一置換されている。
【0037】
本発明の化合物の第11の実施態様においては、Rは、パラ位において前記で定義したR置換基で一置換されたフェニルである。
【0038】
本発明の化合物の第12の実施態様においては、Rは、−OCH−フェニルであり、ここでフェニルは、2及び6位において、それぞれ独立して前記で定義したR置換基で置換されているか、フェニルが、2、4及び6位において、それぞれ独立して前記で定義したR置換基で置換されている。
【0039】
本明細書で用いられる場合、以下の定義が適用される。
「アルキル」並びにアルコキシ及びアルカノイルのような接頭辞「アルカ(alk)」を有する他の置換基は、炭素鎖を特に定義しない限り、直鎖又は分岐鎖、並びにそれらの組み合わせである炭素鎖を意味する。アルキル基の具体例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−及びtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル等が含まれる。
【0040】
「シクロアルキル」は、特定の数の炭素原子を有する、1個以上の環を含む飽和炭化水素;一般式C2n(nは環内の炭素原子の数に対応する整数である)を有する単環の化合物を意味する。シクロアルキルの具体例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が含まれる。シクロアルキル基は、特に記載しない限りは一般的に単環である。シクロアルキル基は、特に記載しない限りは飽和である。
【0041】
「アルケニル」なる用語は、鎖中のどこかに、炭素−炭素二重結合を有する特定の数の炭素原子の炭化水素を意味する。アルケニル基の具体例には、エテニル、1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル等が含まれる。
【0042】
「アルコキシ」なる用語は、特定の数の炭素原子(例えば、C1−6アルコキシ)又はこの範囲内の任意の数の直鎖又は分岐鎖アルコキシド[すなわち、メトキシ(MeO−)、エトキシ、イソプロポキシ等]を意味する。
【0043】
「アルキルチオ」なる用語は、特定の数の炭素原子(例えば、C1−6アルキルチオ)又はこの範囲内の任意の数の直鎖又は分岐鎖アルキルスルフィド[すなわち、メチルチオ(MeS−)、エチルチオ、イソプロピルチオ等]を意味する。
【0044】
「アルキルアミノ」なる用語は、特定の数の炭素原子(例えば、C1−6アルキルアミノ)又はこの範囲内の任意の数の直鎖又は分岐鎖アルキルアミン[すなわち、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノ、t−ブチルアミノ等]を意味する。
【0045】
「アルキルスルホニル」なる用語は、特定の数の炭素原子(例えば、C1−6アルキルスルホニル)又はこの範囲内の任意の数の直鎖又は分岐鎖アルキルスルホン[すなわち、メチルスルホニル(MeSO−)、エチルスルホニル、イソプロピルスルホニル等]を意味する。
【0046】
「アルキルスルフィニル」なる用語は、特定の数の炭素原子(例えば、C1−6アルキルスルフィニル)又はこの範囲内の任意の数の直鎖又は分岐鎖アルキルスルホキシド[すなわち、メチルスルフィニル(MeSO−)、エチルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル等]を意味する。
【0047】
「アルキルオキシカルボニル」なる用語は、特定の数の炭素原子(例えば、C1−6アルキルオキシカルボニル)又はこの範囲内の任意の数の本発明のカルボン酸誘導体の直鎖又は分岐鎖エステル[すなわち、メチルオキシカルボニル(MeOCO−)、エチルオキシカルボニル又はブチルオキシカルボニル等]を意味する。
【0048】
「アリール」は、炭素環原子を含む、単環式又は多環式芳香族環構造を意味する。好ましいアリールは、単環式又は二環式の6〜10員環芳香族環構造である。フェニル及びナフチルが好ましいアリールである。最も好ましいアリールはフェニルである。
【0049】
「ヘテロシクリル」は、O、S及びNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子、更にイオウの酸化形態、すなわちSO及びSOを含む、飽和又は不飽和の非芳香族環又は環構造を意味する。ヘテロシクリルの具体例には、テトラヒドロフラン(THF)、ジヒドロフラン、1,4−ジオキサン、オキサシクロブタン(オキセタン)、チアシクロブタン(チエタン)、アザシクロブタン(アゼチジン)、モルホリン、1,4−ジチアン、ピペラジン、ピペリジン、1,3−ジオキソラン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピロリン、ピロリジン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、オキサチオラン、ジチオラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジチアン、オキサチアン、チオモルホリン、2−オキソピペリジン−1−イル、2−オキソピロリジン−1−イル、2−オキソアゼチジン−1−イル、1,2,4−オキサジアジン−5(6H)−オン−3−イル等が含まれる。
【0050】
「ヘテロアリール」は、O、S及びNから選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む、芳香族又は部分芳香族ヘテロシクリル環を意味する。従って、ヘテロアリールには、アリール、シクロアルキル及び芳香族でないヘテロシクリル環等の他の種類の環と縮合したヘテロアリールが含まれる。ヘテロアリール基の具体例には、ピロリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、N−オキソ−ピリジニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル(特に、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル及び1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、インドリニル、ピリダジニル、インダゾリル、イソインドリル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、ベンゾジオキソリル、キノキサリニル、プリニル、フラザニル、イソベンジルフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノリニル、インドリル、イソキノリル、ジベンゾフラニル、1,3−ベンゾジオキソリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリミジニル、[1,2,4−トリアゾロ][4,3−a]ピリジニル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジニル、[1,2,4−トリアゾロ][1,5−a]ピリジニル、2−オキソ−1,3−ベンゾキサゾリル、4−オキソ−3H−キナゾリニル、3−オキソ−[1,2,4]−トリアゾロ[4,3−a]−2H−ピリジニル、5−オキソ−[1,2,4]−4H−オキサジアゾリル、2−オキソ−[1,3,4]−3H−オキサジアゾリル、2−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾリル、3−オキソ−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾリル、2,1,3−ベンゾキサジアゾリル等が含まれる。ヘテロシクリル及びヘテロアリール基については、3〜15個の原子を含み、1〜3個の環を形成する環及び環構造が含まれる。このようなヘテロアリール基に結合する原子は、原子価の規則により許容され得る炭素原子又は窒素のいずれかであり、例えば、ピラゾール−1−イル及びイミダゾール−1−イルである。
【0051】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。
【0052】
光学異性体−ジアステレオマー−幾何異性体−互変異性体
構造式Iの化合物は、1個以上の不斉中心を含んでいてもよく、従って、ラセミ化合物及びラセミ混合物、単一の鏡像異性体、ジアステレオマー混合物及び個々のジアステレオマーとして存在し得る。本発明は、構造式Iの化合物のこのような全ての異性体形態を含むことを意味する。
【0053】
式Iの化合物は、例えば、適切な溶媒、例えばメタノール又は酢酸エチル又はそれらの混合物からの分別結晶化又は光学活性固定相を用いたキラルクロマトグラフィーによって個々のジアステレオマーに分離することができる。絶対的立体化学は、必要であれば、既知の絶対配置の不斉中心を含む試薬を用いて誘導体化される、結晶生成物又は結晶性中間体のX−線結晶学によって決定することができる。
【0054】
また、一般構造式Iの化合物の任意の立体異性体は、既知の絶対配置の光学的に純粋な出発原料又は試薬を用いて、立体特異的な合成により製造することができる。
【0055】
所望であれば、個々の光学異性体を分離するように、化合物のラセミ混合物を分離することができる。分離は、化合物のラセミ混合物を鏡像異性的に純粋な化合物とカップリングしてジアステレオマー混合物を生成し、分別結晶化又はクロマトグラフィー等の標準的な方法により個々のジアステレオマーを分離する等の、当該技術分野において周知の方法により実施することができる。カップリング反応は、しばしば光学異性的に純粋な酸又は塩基を用いた塩の形成である。次いで、加えられたキラルな残基の切断により、ジアステレオマー誘導体を純粋な鏡像異性体に変換する。化合物のラセミ混合物は、また、当該技術分野において周知なキラル固定相を用いたクロマトグラフィー法によっても直接分離することができる。
【0056】
本明細書に開示された化合物のいくつかはオレフィン二重結合を含んでおり、特に示さない限りはE及びZ幾何異性体を含むことを意味する。
【0057】
本明細書に開示された化合物のいくつかは、1個以上の二重結合シフトに付随して起こる水素の異なる結合点を有する互変異性体として存在し得る。例えば、ケトン及びそのエノール体はケト−エノール互変異性体である。個々の互変異性体及びその混合物は、本発明の化合物に含まれる。
【0058】
塩:
本明細書で用いられる場合、本発明の化合物への言及は、薬学的に許容される塩、並びにそれらが、フリーの化合物又は薬学的に許容される塩への前駆体として用いられるか、又は他の合成操作において用いられる場合には、薬学的に許容されない塩をも含むことが理解されるであろう。
【0059】
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩の形態で投与することができる。「薬学的に許容される塩」なる用語は、無機又は有機塩基、並びに無機又は有機酸を含む、薬学的に許容される非毒性の塩基又は酸から製造される塩を意味する。「薬学的に許容される塩」なる用語に包含される塩基性化合物の塩は、一般的にフリーの塩基と適切な有機又は無機酸とを反応させることにより調製される、本発明の化合物の非毒性の塩を意味する。本発明の塩基性化合物の代表的な塩には、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、ジヒドロクロライド、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート、ヘキシルレゾルシネート、ヒドラバミン、ヒドロブロマイド、ヒドロクロライド、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオネート、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシレート、メチルブロマイド、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムコ酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート、トシレート、トリエチオダイド及び吉草酸塩が含まれるが、これらに限定されない。更に、本発明の化合物が酸性部分を有する場合、適切な薬学的に許容される塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛等を含む、無機塩基から誘導される塩が含まれるが、これらに限定されない。特に好ましくは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩である。薬学的に許容される有機の非毒性塩基から誘導される塩には、一級、二級及び三級アミンの塩、環状アミン、並びに塩基イオン交換樹脂の塩が含まれ、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等である。
【0060】
また、本発明の化合物中にカルボン酸(−COOH)又はアルコール基が存在する場合、メチル、エチル、ジメチルアミノ−カルボニルメチル又はピバロイルオキシメチルのようなカルボン酸誘導体又はO−アセチル、O−ピバロイル、O−ベンゾイル及びO−アミノアシルのようなアルコールのアシル誘導体の、薬学的に許容され置換されてもよい低級アルキルエステルを用いることができる。含まれるものは、持続性放出又はプロドラッグ製剤として用いられる、可溶性又は加水分解特性を修飾することが当該技術分野において知られているエステル及びアシル基である。
【0061】
本発明の化合物の溶媒和物、特に水和物も同様に本発明に含まれる。
【0062】
投与及び投与量範囲
任意の適切な投与経路を用いて、哺乳動物、特にヒトに本発明の化合物の有効用量を提供することができる。例えば、経口、直腸内、局所、非経口、眼球、肺、経鼻等を用いることができる。剤形には、錠剤、トローチ剤、分散剤、懸濁剤、液剤、カプセル、クリーム剤、軟膏、エアロゾル剤等が含まれる。好ましくは、本発明の化合物は経口的に投与される。
【0063】
GPR105受容体活性の拮抗作用を必要とする病状の治療又は予防においては、適切な投与量レベルは、一般的に1日に約0.01〜500mg/動物の体重1kgであり、1回又は複数回の投与で投与することができる。好ましくは、投与量レベルは、1日あたり約0.1〜約250mg/kgであり;更に好ましくは、1日あたり約0.5〜約100mg/kgである。適切な投与量レベルは、1日あたり約0.01〜250mg/kg、1日あたり約0.05〜100mg/kg又は1日あたり約0.1〜50mg/kgであってもよい。この範囲内で、投与量は1日あたり0.05〜0.5、0.5〜5又は5〜50mg/kgであってもよい。経口投与については、治療すべき患者に対する症状の調整のために、組成物は好ましくは、活性成分1.0〜1000mg、特に活性成分1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0及び1000.0mgを含む錠剤の形態で提供される。化合物は、1日に1〜4回、好ましくは1日に1又は2回の投薬計画で投与することができる。
【0064】
2型糖尿病、高血糖症、高トリグリセリド血症、肥満症又は本発明の化合物を必要とする他の疾患を治療又は予防する場合、一般的に満足な結果は、本発明の化合物を、1日に約0.1mg〜100mg/動物の体重1kg、好ましくは単一投与又は1日に2〜6回に分けて、又は徐放形態で投与する場合に得られる。最も大きな動物について、合計1日用量は約0.5mg〜約1000mgであり、好ましくは約1mg〜約100mgである。70kgの成人のヒトの場合、合計1日用量は一般に約5mg〜約350mgである。この投与計画は、最適な治療反応を提供するために調整されてもよい。
【0065】
しかし、任意の特定の患者に対する具体的な投与レベル及び投与頻度は、使用される具体的な化合物の活性、この化合物の代謝安定性及び作用の長さ、年齢、体重、全身の健康状態、性、食事、投与の様式及び時間、排泄率、薬の組み合わせ、特定の病状の重症度、並びに治療を受ける宿主を含む、種々の因子に依存することが理解されるであろう。
【0066】
医薬組成物:
本発明の他の態様は、式Iの化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。医薬組成物中の「組成物」なる用語は、有効成分と、担体を構成する不活性成分(薬学的に許容される賦形剤)とを含む製品、並びに、2種以上の成分の組み合わせ、複合化又は凝集、若しくは1種類又は複数の成分の解離、若しくは1種類又は複数の成分の他の種類の反応又は相互作用から直接又は間接に得られる製品を含む。従って、本発明の医薬組成物は、式Iの化合物、追加の有効成分及び薬学的に許容される賦形剤を混合することによって製造される組成物を包含する。
【0067】
任意の適切な投与経路を用いて、哺乳動物、特にヒトに本発明の化合物の有効用量を提供することができる。例えば、経口、舌下、直腸内、局所、非経口、眼球、肺、経鼻等を用いることができる。剤形には、錠剤、トローチ剤、分散剤、懸濁剤、液剤、カプセル、クリーム剤、軟膏、エアロゾル剤等が含まれる。
【0068】
本発明の医薬組成物は、活性成分として式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩を含み、また、薬学的に許容される担体、場合により他の治療薬を含む。「薬学的に許容される塩」なる用語は、無機塩基又は酸、並びに有機塩基又は酸を含む、薬学的に許容される非毒性の塩基又は酸から製造される塩を意味する。
【0069】
組成物には、経口投与、舌下投与、直腸投与、局所投与、非経口投与(皮下注射、筋肉内注射及び静脈注射を含む)、眼内投与(眼科用)、経肺投与(エアロゾル吸入)又は経鼻投与のために適した組成物が含まれるが、任意の所定のケースにおける最も適切な経路は、治療される病状の性質及び重症度、並びに活性成分の性質に依存するであろう。それらは、単位投与形態中に都合よく存在しており、薬学の分野において周知の任意の方法により製造される。
【0070】
吸入による投与のためには、本発明の化合物を加圧パック又はネブライザーからエアロゾルスプレーの形態で、送達するのが好都合である。化合物は、製剤化され得る粉末としても送達することができ、粉末組成物は、吹送粉末吸入装置を用いて吸入され得る。好ましい吸入剤送達システムは、炭化フッ素又は炭化水素等の適切な噴射剤中の式Iの化合物の懸濁液又は溶液として配合し得る計測量吸入(MDI)エアロゾル、又は、追加の賦形剤を使用し、又は使用しないで式Iの化合物の乾燥粉末として配合し得る乾燥粉末吸入(DPI)エアロゾルである。
【0071】
式Iの化合物の適当な局所用配合物には、経皮デバイス、エアロゾル、クリーム、軟膏、ローション、散布用粉末等が含まれる。
【0072】
実際の使用においては、式Iの化合物を有効成分として慣用の医薬配合技術に従って医薬担体と均質に混合する。担体は、投与に望ましい製剤の形態に応じた多様な形態、例えば、経口又は非経口(静脈内を含む)の形態を有し得る。経口剤形の組成物を調製するためには常用の医薬媒体のいずれかを用いればよく、例えば懸濁液、エリキシル剤及び溶液等の経口液体製剤の場合には、水、グリコール、油、アルコール、芳香剤、保存剤、着色剤等を使用し、例えば粉末、カプセル及び錠剤等の経口固体製剤の場合には、デンプン、糖類、微結晶性セルロース、稀釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等の担体を用いる。固体経口製剤は液体製剤よりも好ましい。投与が容易であるという理由で、錠剤及びカプセル剤が最も有利な剤形単位であり、この場合には、明らかに固体医薬担体が使用される。所望の場合には、標準的な水性又は非水性技術によって錠剤をコーティングしてもよい。
【0073】
前記に挙げた常用の剤形以外に、式Iの化合物を米国特許第3,845,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;第3,630,200号及び第4,008,719号に記載されているような調節放出手段及び/又は送達装置によって投与してもよい。
【0074】
経口投与に適した本発明の医薬組成物は、所定量の有効成分を各々が含有しているカプセル、カシェ剤又は錠剤等の不連続単位として、散剤又は顆粒剤として、又は水性液体、非水液体、水中油型エマルション又は油中水型エマルション中の溶液又は懸濁液として存在し得る。このような組成物は、任意の製薬方法によって調製し得るが、すべての方法が1種又は複数の必要成分を構成する担体に有効成分を混合する段階を含む。一般に、組成物は、有効成分を液体担体又は微砕固体担体又は双方の担体と均一及び均質に混合し、次いで、必要な場合には、製品を所望の外見に成型することによって調製される。例えば、錠剤は、場合によっては1種又は複数の補助成分と共に圧縮又は成型することによって調製し得る。圧縮錠剤は、場合によっては結合剤、滑沢剤、不活性稀釈剤、表面活性剤又は分散剤と混合した粉末又は顆粒等の自由流動性形態の有効成分を適当な機械で圧縮することによって調製し得る。成型錠剤は、不活性液体稀釈剤で湿潤させた本発明の粉末状化合物の混合物を適当な機械で成型することによって調製し得る。望ましくは、各錠剤は約1mg〜約500mgの活性成分を含み、各カシェ剤又はカプセルは約1〜約500mgの活性成分を含む。
【0075】
有用性及び併用療法
本発明の化合物は、メタボリックシンドロームに関連する病状及び疾患;肥満症;アテローム性動脈硬化症のような循環器病;糖尿病、特に2型糖尿病;インシュリン抵抗性、癌、神経疾患及び肝脂肪変性の抑制、予防及び治療に有用である。本発明の化合物は、更に、他の薬剤と組み合わせて、前記疾患、障害及び病状の予防又は治療方法に有用である。
【0076】
本発明の化合物は、式Iの化合物又は他の薬剤が有用性を有する疾患又は病状の治療、予防、鎮静又は改善において1種以上の他の薬剤と併用して用いることができ、同時の薬剤の組み合わせは、それぞれの薬剤単独の場合よりも安全であり、又はより効果的である。このような他の薬剤は、それらが通常に用いられる投与経路及び量で、式Iの化合物と同時又は連続的に投与することができる。式Iの化合物を1種以上の他の薬剤と同時に用いる場合、このような他の薬剤及び式Iの化合物を含む単一の投与形態における医薬組成物が好ましい。しかし、併用療法には、式Iの化合物と1種以上の他の薬剤とを異なる重複するスケジュールで投与する療法も含まれる。1種以上の他の活性成分を併用して用いる場合、本発明の化合物及び他の活性成分は、それぞれを単独で用いる場合よりも低い濃度で用い得ることも意図される。従って、本発明の医薬組成物には、式Iの化合物に加え、1種以上の他の活性成分を含む組成物が含まれる。
【0077】
別々に投与されるか、同一の医薬組成物内で投与されるかのいずれかで、本発明の化合物と組み合わせて投与することのできる他の活性成分には、
(a)他のジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)阻害剤;
(b)(i)グリタゾン(例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾン、バラグリタゾン等)のようなPPARγアゴニスト、並びにムラグリタザル、ナベグリタザル、テサグリタザル及びTAK−559のようなPPARα/γ二重アゴニスト、フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート及びベザフィブラート)のようなPPARαアゴニスト及びWO 02/060388、WO 02/08188、WO 2004/019869、WO 2004/020409、WO 2004/020408及びWO 2004/066963に開示されたような選択的PPARγモジュレータ(SPPARγM’s)を含むPPARリガンド;(ii)メトホルミン及びフェノホルミンのようなビグアニド、及び(iii)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤、を含むインシュリンセンシタイザー;
(c)インシュリン又はインシュリン模倣薬;
(d)スルホニル尿素、並びにトルブタミド、グリブリド、グリピジド、グリメピリド、ナテグリニド及びレパグリニド等のメグリチニド類のようなインシュリン分泌促進剤;
(e)α−グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース及びミグリトール等):
(f)WO 97/16442;WO 98/04528、WO 98/21957;WO 98/22108;WO 98/22109;WO 99/01423、WO 00/39088及びWO 00/69810;WO 2004/050039及びWO 2004/069158に開示された化合物のような、グルカゴン受容体アンタゴニスト;
(g)GLP−1、GLP−1類似体又は模倣薬、並びにエキセンジン−4(エクセナチド)、リラグルチド(NN−2211)、CJC−1131、LY−307161、並びにWO 00/42026及びWO 00/59887に開示された化合物のようなGLP−1受容体アゴニスト;
(h)WO 00/58360に開示されている化合物のようなGIP及びGIP模倣薬、並びにGIP受容体アゴニスト;
(i)PACAP、PACAP模倣薬及びWO 01/23420に開示されているようなPACAP受容体アゴニスト;
(j)(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン及びロスバスタチン並びに他のスタチン類)、(ii)金属イオン封鎖剤(コレスチラミン、コレスチポール及び架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はそれらの塩、(iv)フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート及びベザフィブラート)のようなPPARαアゴニスト、(v)ナベグリタザル及びムラグリタザルのようなPPARα/γ二重アゴニスト、(vi)ベータ−シトステロール及びエゼチミブのようなコレステロール吸収阻害剤、(vii)アバシミブのようなアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、並びに(viii)プロブコールのような抗酸化剤、のようなコレステロール低下薬;
(k)WO 97/28149に開示された化合物のようなPPARδアゴニスト;
(l)フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オーリスタット、神経ペプチドY又はYアンタゴニスト、CB1受容体インバースアゴニスト及びアンタゴニスト、βアドレナリン作動性受容体アゴニスト、メラノコルチン−受容体アゴニスト、特にメラノコルチン−4受容体アゴニスト、グレリンアンタゴニスト、ボンベシン受容体アゴニスト(ボンベシン受容体サブタイプ−3アゴニスト)、コレシストキニン1(CCK−1)受容体アゴニスト及びメラニン凝集ホルモン(MCH)受容体アンタゴニストのような抗肥満薬;
(m)回腸型胆汁酸トランスポーター阻害剤;
(n)アスピリン、非ストロイド性抗炎症剤(NSAIDs)、グルココルチコイド、アズルフィジン及び選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤のような炎症状態に用いられることを意図する薬剤;
(o)ACE阻害剤(エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル、キナプリル、タンドラプリル)、A−II受容体遮断薬(ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、テルミサルタン及びエプロサルタン)、ベータ遮断薬及びカルシウムチャンネル遮断薬のような降圧剤;
(p)WO 03/015774;WO 04/076420及びWO 04/081001に開示された化合物のようなグルコキナーゼ活性化剤(GKAs);
(q)米国特許第6,730,690号;WO 03/104207及びWO 04/058741に開示された化合物のような、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼI型の阻害剤;
(r)トルセトラピブのような、コレステリルエステル転移タンパク質(CETP)の阻害剤;
(s)米国特許第6,054,587号;第6,110,903号;第6,284,748号;第6,399,782号及び第6,489,476号に開示された化合物のような、フルクトース1,6−ビスホスファターゼの阻害剤、が含まれるが、これらに限定されない。
【0078】
構造式Iの化合物と併用することのできるジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤には、米国特許第6,699,871号;WO 02/076450(2002年10月3日);WO 03/004498(2003年1月16日);WO 03/004496(2003年1月16日);EP 1 258 476(2002年11月20日);WO 02/083128(2002年10月24日);WO 02/062764(2002年8月15日);WO 03/000250(2003年1月3日);WO 03/002530(2003年1月9日);WO 03/002531(2003年1月9日);WO 03/002553(2003年1月9日);WO 03/002593(2003年1月9日);WO 03/000180(2003年1月3日);WO 03/082817(2003年10月9日);WO 03/000181(2003年1月3日);WO 04/007468(2004年1月22日);WO 04/032836(2004年4月24日);WO 04/037169(2004年5月6日)及びWO 04/043940(2004年5月27日)に開示されているものが含まれる。特定のDPP−IV阻害剤化合物には、イソロイシンチアゾリジド(P32/98);NVP−DPP−728;ビルダグリプチン(LAF237);P93/01及びサキサグリプチン(BMS477118)が含まれる。
【0079】
構造式Iの化合物と併用することのできる抗肥満化合物には、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オーリスタット、神経ペプチドY又はYアンタゴニスト、カンナビノイドCB1受容体アンタゴニスト又はインバースアゴニスト、メラノコルチン受容体アゴニスト、特にメラノコルチン−4受容体アゴニスト、グレリンアンタゴニスト、ボンベシン受容体アゴニスト及びメラニン凝集ホルモン(MCH)受容体アンタゴニストが含まれる。構造式Iの化合物と併用することのできる抗肥満化合物の概説については、S.Chaki et al.,“Recent advances in feeding suppressing agents:potential therapeutic strategy for the treatment of obesity,”Expert Opin.Ther.Patents,11:1677−1692(2001);D.Spanswick and K.Lee,“Emerging antiobesity drugs,”Expert Opin.Emerging Drugs,8:217−237(2003)及びJ.A.Fernandez−Lopez,et al.,“Pharmacological Approaches for the Treatment of Obesity,”Drugs,62:915−944(2002)を参照されたい。
【0080】
構造式Iの化合物と併用することのできる神経ペプチドY5アンタゴニストには、米国特許第6,335,345号(2002年1月1日)及びWO 01/14376(2001年3月1日)に開示された化合物及びGW 59884A;GW 569180A;LY366377及びCGP−71683Aに同定された特定の化合物が含まれる。
【0081】
式Iの化合物と併用することのできるカンナビノイドCB1受容体アンタゴニストには、PCT国際公開WO 03/007887;リモナバントのような米国特許第5,624,941号;SLV−319のようなPCT国際公開WO 02/076949;米国特許第6,028,084号;PCT国際公開WO 98/41519;PCT国際公開WO 00/10968;PCT国際公開WO 99/02499;米国特許第5,532,237号;米国特許第5,292,736号;PCT国際公開WO 05/000809;PCT国際公開WO 03/086288;PCT国際公開WO 03/087037;PCT国際公開WO 04/048317;PCT国際公開WO 03/007887;PCT国際公開WO 03/063781;PCT国際公開WO 03/075660;PCT国際公開WO 03/077847;PCT国際公開WO 03/082190;PCT国際公開WO 03/082191;PCT国際公開WO 03/087037;PCT国際公開WO 03/086288;PCT国際公開WO 04/012671;PCT国際公開WO 04/029204;PCT国際公開WO 04/040040;PCT国際公開WO 01/64632;PCT国際公開WO 01/64633及びPCT国際公開WO 01/64634に開示されるものが含まれる。
【0082】
本発明において有用なメラノコルチン−4受容体(MC4R)アゴニストには、全体として本明細書に参考文献として組み入れられる、米国特許第6,294,534号、米国特許第6,350,760号、第6,376,509号、第6,410,548号、第6,458,790号、米国特許第6,472,398号、米国特許第5837521号、米国特許第6699873号;全体として本明細書に参考文献として組み入れられる、米国特許出願公開第2002/0004512号、第2002/0019523号、第2002/0137664号、第2003/0236262号、第2003/0225060号、第2003/0092732号、第2003/109556号、第2002/0177151号、第2002/187932号、第2003/0113263号及びWO 99/64002、WO 00/74679、WO 02/15909、WO 01/70708、WO 01/70337、WO 01/91752、WO 02/068387、WO 02/068388、WO 02/067869、WO 03/007949、WO 2004/024720、WO 2004/089307、WO 2004/078716、WO 2004/078717、WO 2004/037797、WO 01/58891、WO 02/070511、WO 02/079146、WO 03/009847、WO 03/057671、WO 03/068738、WO 03/092690、WO 02/059095、WO 02/059107、WO 02/059108、WO 02/059117、WO 02/085925、WO 03/004480、WO 03/009850、WO 03/013571、WO 03/031410、WO 03/053927、WO 03/061660、WO 03/066597、WO 03/094918、WO 03/099818、WO 04/037797、WO 04/048345、WO 02/018327、WO 02/080896、WO 02/081443、WO 03/066587、WO 03/066597、WO 03/099818、WO 02/062766、WO 03/000663、WO 03/000666、WO 03/003977、WO 03/040107、WO 03/040117、WO 03/040118、WO 03/013509、WO 03/057671、WO 02/079753、WO 02//092566、WO 03/−093234、WO 03/095474及びWO 03/104761に開示されるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0083】
糖尿病の治療のためのグルコキナーゼ(GKAs)の安全かつ効果的な活性化因子の潜在的な有用性は、J.Grimsbyら“Allosteric Activators of Glucokinase: Potential Role in Diabetes Therapy,”Science,301:370−373(2003)において議論されている。
【0084】
併用療法の特定の一態様は、構造式Iの化合物及びHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の治療に有効な量を患者に投与することを含む、治療を必要とするほ乳類患者における、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症及び脂質異常症からなる群から選択される病状の治療方法に関する。
【0085】
特に、この併用療法の態様は、治療を必要とするほ乳類患者における、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症及び脂質異常症からなる群から選択される病状の治療方法であって、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤が、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン及びロスバスタチンからなる群から選択されるスタチンである方法に関する。
【0086】
本発明の他の態様においては、構造式Iの化合物及びHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の治療に有効な量を治療を必要とするほ乳類患者に投与することを含む、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症、脂質異常症及びこのような病状の後遺症からなる群から選択される病状の発現の危険性を減少する方法が開示される。
【0087】
本発明の他の態様においては、構造式Iの化合物及びHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の治療に有効な量をほ乳類患者に投与することを含む、治療を必要とするヒト患者における、アテローム性動脈硬化症の発現の遅延又は発現の危険性を減少する方法が開示される。
【0088】
特に、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤が、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン及びロスバスタチンからなる群から選択されるスタチンである、治療を必要とするヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症の発現の遅延又は発現の危険性を減少する方法が開示される。
【0089】
本発明の他の態様においては、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤がスタチンであり、更にコレステロール吸収阻害剤を投与することを含む、治療を必要とするヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症の発現の遅延又は発現の危険性を減少する方法が開示される。
【0090】
特に、本発明の他の態様においては、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤がスタチンであり、コレステロール吸収阻害剤がエゼチミブである、治療を必要とするヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症の発現の遅延又は発現の危険性を減少する方法が開示される。
【0091】
本発明の他の態様においては、
(1)構造式Iの化合物;
(2)(a)ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−4)阻害剤;
(b)(i)グリタゾン(トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾン、バラグリタゾン等)のようなPPARγアゴニスト、並びに、ムラグリタザル、ナベグリタザル、ガリダ、TAK−559のようなPPARα/γ二重アゴニスト、フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート及びベザフィブラート)のようなPPARαアゴニスト、及びWO 02/060388、WO 02/08188、WO 2004/019869、WO 2004/020409、WO 2004/020408及びWO 2004/066963に開示されたような選択的PPARγモジュレータ(SPPARγM’s)を含むPPARリガンド;(ii)メトホルミン及びフェノホルミンのようなビグアニド、並びに(iii)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤、を含むインシュリンセンシタイザー;
(c)インシュリン又はインシュリン模倣薬;
(d)スルホニル尿素、並びにトルブタミド、グリブリド、グリピジド、グリメピリド及びナテグリニド及びレパグリニドのようなメグリチニド類のようなインシュリン分泌促進剤;
(e)α−グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース及びミグリトール等):
(f)WO 98/04528、WO 99/01423、WO 00/39088及びWO 00/69810に開示された化合物のような、グルカゴン受容体アンタゴニスト;
(g)GLP−1、GLP−1類似体又は模倣薬、並びにエキセンジン−4(エクセナチド)、リラグルチド(NN−2211)、CJC−1131、LY−307161、並びにWO 00/42026及びWO 00/59887に開示された化合物のようなGLP−1受容体アゴニスト;
(h)WO 00/58360に開示されている化合物のようなGIP及びGIP模倣薬、並びにGIP受容体アゴニスト;
(i)PACAP、PACAP模倣薬及びWO 01/23420に開示されている化合物のようなPACAP受容体アゴニスト;
(j)(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン及びロスバスタチン及び他のスタチン類)、(ii)金属イオン封鎖剤(コレスチラミン、コレスチポール及び架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はそれらの塩、(iv)フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート及びベザフィブラート)のようなPPARαアゴニスト、(v)ナベグリタザル及びムラグリタザルのようなPPARα/γ二重アゴニスト、(vi)β−シトステロール及びエゼチミブのようなコレステロール吸収阻害剤、(vii)アバシミブのようなアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、並びに(viii)プロブコールのような抗酸化剤、のようなコレステロール低下薬;
(k)WO 97/28149に開示された化合物のようなPPARδアゴニスト;
(l)フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オーリスタット、神経ペプチドY又はYアンタゴニスト、CB1受容体インバースアゴニスト及びアンタゴニスト、βアドレナリン作動性受容体アゴニスト、メラノコルチン−受容体アゴニスト、特にメラノコルチン−4受容体アゴニスト、グレリンアンタゴニスト、ボンベシン受容体アゴニスト(ボンベシン受容体サブタイプ−3アゴニスト等)、メラニン凝集ホルモン(MCH)受容体アンタゴニスト及びミクロソームトリグリセリド転移タンパク質の阻害剤のような抗肥満薬;
(m)回腸型胆汁酸トランスポーター阻害剤;
(n)アスピリン、非ストロイド性抗炎症剤(NSAIDs)、グルココルチコイド、アズルフィジン及び選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤のような炎症状態に用いられることを意図する薬剤;
(o)例えば、ACE阻害剤(エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル、キナプリル及びタンドラプリル等)、A−II受容体遮断薬(ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、テルミサルタン及びエプロサルタン等)、ベータ遮断薬及びカルシウムチャンネル遮断薬のような降圧剤;
(p)WO 03/015774;WO 04/076420及びWO 04/081001に開示された化合物のようなグルコキナーゼ活性化剤(GKAs);
(q)米国特許第6,730,690号;WO 03/104207及びWO 04/058741に開示された化合物のような、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼI型の阻害剤;
(r)トルセトラピブのようなコレステリルエステル輸送タンパク質(CETP)の阻害剤、並びにWO 06/014413及びWO 06/014357に開示された構造;
(s)米国特許第6,054,587号;第6,110,903号;第6,284,748号;第6,399,782号及び第6,489,476号に開示された化合物のような、フルクトース1,6−ビスホスファターゼの阻害剤;
(t)アセチルCoAカルボキシラーゼ−1及び/又は−2阻害剤;
(u)AMPK活性剤;
(v)SCD1阻害剤及び
(w)ナトリウム−グルコース共輸送体(SGLT−2)の阻害剤、からなる群から選択される1種以上の化合物;並びに
(3)薬学的に許容される担体、を含む医薬組成物が開示される。
【0092】
本発明の化合物が、1種以上の他の薬剤と同時に用いられる場合、本発明の化合物に加えてこのような他の薬剤を含む医薬組成物が好ましい。従って、本発明の医薬組成物には、本発明の化合物に加え、1種以上の他の活性成分を含むものも含まれる。
【0093】
第二の活性成分に対する本発明の化合物の重量比は変えることができ、それぞれの成分の有効投与量に依存するであろう。一般に、それぞれの有効濃度が用いられる。従って、例えば、本発明の化合物を他の薬剤と併用する場合、他の薬剤に対する本発明の化合物の重量比は約1000:1〜約1:1000であり、好ましくは約200:1〜約1:200である。本発明の化合物及び他の活性成分の併用は、一般に前記範囲内であるが、各ケースにおいて、それぞれの活性成分の有効濃度を用いるべきである。
【0094】
本発明の化合物及び他の活性成分は、このような併用において、別個に、又は一緒に投与することができる。更に、一成分の投与は、他の薬剤の投与の前、同時又は後であってもよい。
【0095】
生物活性の測定のためのアッセイ
A.セル結合アッセイ
チンパンジーのGPR105タンパク質及びキメラGタンパク質Gqi5を発現する、安定なHEKクローン細胞系を開発した。キメラGqi5は、Gq(カルシウム)経路を通してGPR105のカップリングを強化し、カルシウム結合蛍光染料及びFLIPR(蛍光画像プレートリーダー、MDS Sciex)を用いてカルシウムシグナル伝達を測定することを可能にする。384穴のポリ−D−リシンをコーティングしたプレート上、10%ウシ胎児血清(FBS)を含む、25μLのダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM)中に、12,500個のHEK/GPR105/Gqi5発現細胞を播種した。細胞を、37℃及び5%COで一晩インキュベートし、単層を形成させた。次の日に、30μLの無洗蛍光色素を細胞の単層に加え、プレートを37℃、5%COで60分間インキュベートした。アコースティックディスペンディング(acoustic dispending)(Echo(登録商標),Labcyte)を用いて、250nLの100%DMSO中の化合物を細胞/色素インキュベーションに加えた。化合物の室温における20分間のインキュベーション後に、20mM Hepesを含むハンクの緩衝化食塩溶液(HBSS)中の62.5μLのUDP−グルコースアゴニスト(EC80における)を細胞に加えた。Ca2+シグナル伝達はFLIPRによって測定された。アンタゴニストによるCa2+シグナル伝達の阻害割合の定量は、最大蛍光シグナル検出を用いて計算した。構造式(I)の化合物についてのIC50は以下のようにして計算した:
a.)基礎=細胞+DMSO+バッファーのインキュベーション;
b.)EC80=DMSOの細胞+カルシウム遊離の最大刺激の80%を達成するアゴニストのインキュベーション;
c.)化合物=細胞+DMSO中のアンタゴニスト+EC80アゴニストのインキュベーション;
d.)FLIPRを用いた、蛍光(RFU相対蛍光単位)によりモニターするカルシウムの遊離;
e.)阻害の割合は、式(1−(化合物試料−基礎)/(EC80−基礎))×100に従って計算された。
f.)各濃度における阻害の割合をプロットし、4パラメータロジスティックフィット(Four parameter Logistic Fit)により曲線を描き、IC50は、阻害の割合=50%である阻害化合物の投与量である。
【0096】
構造式Iの化合物、特に実施例1〜37の化合物は、1マイクロモル(μM)未満、通常は100ナノモル(nM)未満の阻害定数IC50を示す。チンパンジーのGPR105タンパク質に対する本発明の化合物の代表的な阻害IC50を表1に示す。
【0097】
【表1−1】

【0098】
【表1−2】

【0099】
【表1−3】

【0100】
【表1−4】

【0101】
【表1−5】

【0102】
【表1−6】

【0103】
【表1−7】

【0104】
【表1−8】

【0105】
【表1−9】

【0106】
【表1−10】

【0107】
B.食餌性肥満[DIO]マウスのプロトコール
a.DIO[eDIO]の確立
6週齢のC57B1/6マウスに、60:20:20kcal割合の脂肪、炭水化物及びタンパク質からなる、高脂肪食[Research Diets D12492]を与える。少なくとも20週齢のマウス[高脂肪食で14週間]を実験に用いる。化合物処理の1週間前に、マウスに試験用媒体を経口的に投与し、投薬手段に順応させる[模擬投与]。次いで、試験化合物又は媒体を、1日に1回又は2回、2週間、経口的に投与する。マウスのサテライト群の体重、摂食量及び血漿化合物濃度を、試験の間、規則的な間隔で測定する。この例において確立された肥満状態からの体重減少が標的となる終点である。試験の終わりにおいて、血漿インシュリン、レプチン、アジポネクチン濃度、血漿グルコース、血中脂質プロフィール、白血球数及び組織内の化合物濃度等の追加終点を必要に応じて測定する。
【0108】
b.DIO[gDIO]の増殖
プロトコールは、模擬投与に続く化合物処理が、同じ時に高脂肪食を供給された6〜7週齢における若いマウスに与えられることを除き、eDIOマウスについて用いられたものと同じである。このケースにおいては、体重増加の予防を測定する。必要に応じて前述したような終末点を得る。
【0109】
構造式(I)の化合物の合成方法
構造式Iの化合物は、適切な材料を用いて、以下のスキーム及び実施例の方法に従って製造することができ、以下の具体的な実施例によって更に説明する。しかし、実施例に説明される化合物は、本発明として考慮される唯一の種のみを形成するものとして解釈されない。実施例は、更に本発明の化合物の製造の詳細を説明する。当業者は、種々の保護基、並びに以下の製造方法の条件及び工程の公知の変形が、これらの化合物を製造するために使用できることを容易に理解するであろう。ボロン酸又はボロン酸塩のような化学試薬が市販されていない時はいつでも、このような化学試薬は、文献に開示された多数の方法の1つに従って容易に製造することができることも理解される。特に示さない限り、全ての温度は摂氏である。質量スペクトル(MS)は、エレクトロスプレイイオン−質量分析(ESMS)又は大気圧化学イオン化質量スペクトル(APCI)のいずれかにより測定した。「従来通りに乾燥」は、無水硫酸ナトリウム又は無水硫酸マグネシウムを用いた有機溶液の乾燥を意味する。
【0110】
【化7】

【0111】
方法A(スキーム1):
エチル7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(1)[J. Org. Chem.,1996,61,4894−4912に開示されたようにして調製]を、PdCl−dppfのような触媒を用いて、適切な置換アリール又はヘテロアリールボロン酸と反応させ、エチル7−アリール−又は7−ヘテロアリール−4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(2)を得る。次いで、このフェノール性中間体を、炭酸カリウムのような塩基の存在下で適切な置換ハロゲン化ベンジルと反応させ、中間体3を得る。また、このフェノール性中間体を、1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン及びトリアルキルホスフィンの存在下で適切な置換ベンジルアルコールと反応させ(光延条件)、中間体3を得ることができる。テトラヒドロフラン及びメタノールの混合物中、水酸化ナトリウム又は水酸化リチウム水溶液を用いた、エステル3の加水分解により最終生成物4を得る。
【0112】
【化8】

【0113】
方法B(スキーム2):
エチル7−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(5)を、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(TfO)及びピリジンと反応させ、トリフラート中間体6を得、これを、PdCl−dppfのような触媒の存在下、適切な置換アリール−又はヘテロアリールボロン酸と結合させ、エチル7−ベンジルオキシ−4−アリール−又は4−ヘテロアリール−2−ナフトエ酸誘導体7を得る。パラジウム炭素のようなパラジウム触媒の存在下、水素化分解によりベンジル基を除去し、フェノール性中間体8を得、これを、方法Aのように適切な置換ハロゲン化ベンジルと反応させ、中間体9を得る。次いで、水酸化ナトリウム又は水酸化リチウムを用いて、エステル9を方法Aに記載したように加水分解し、最終生成物10を得る。この方法は、反応容器としてスクリュートップ試験管、アルキル化のためにトリグライム中の炭酸カリウム、加水分解のために水酸化リチウム、中和のためにギ酸及び遠心蒸発を用いるコンビナトリアル法(スキーム3に例示されるような)に容易に適応し、粗生成物を得ることもでき、これは、質量検出分取用LC/MSを用いて精製される。
【0114】
【化9】

【0115】
【化10】

【0116】
方法C(スキーム4):
フェノール性中間体2をTfO及びピリジンと反応させ、トリフラート中間体11を得、これは、適切な置換アリール−又はヘテロアリールボロン酸とPdCl−dppfとクロスカップリングし、エステル13に変換することができ、又は、PdCl−dppfの存在下、ビス(ピナコラート)ジボランを用いてボロン酸塩12に変換することができる。12の13への変換は、方法Aに記載したように実施される。次いで、エステル13を、水酸化ナトリウム又は水酸化リチウムを用いて方法Aに記載したように加水分解し、最終生成物14を得る。
【0117】
【化11】

【0118】
方法D(スキーム5):
フェノール性中間体1を、熱クロロベンゼンのような溶媒中、N−フルオロピリジニウムトリフラートと反応させ、3−フルオロ中間体15を得る。15の19への変換は、方法Cに記載した方法と同様の方法で実施される。フルオロ誘導体19を、更に熱DMSO中、水酸化リチウムと反応させ、フェノール性誘導体20を得ることができる。
【0119】
【化12】

【0120】
方法E(スキーム6):
エチル7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(1)を、方法Aにおけるようにして、適切な置換ハロゲン化ベンジルと反応させ、臭化物中間体21を得、次いで、これを方法Cにおけるようにして、ビス(ピナコラート)ジボラン及びPdCl−dppfのような触媒で処理し、ボロン酸塩中間体22を得る。メタノール中における22の過酸化水素による処理により、7−ヒドロキシナフトエ酸誘導体23を得、次いで、これを方法Aに記載したのと同様の順序で24に変換する。水酸化ナトリウム又は水酸化リチウムを用いた加水分解により、最終生成物25を得る。
【0121】
【化13】

【0122】
方法F(スキーム7):
スキーム7に示す3−工程順序で、3−(ベンジルオキシ)−ベンズアルデヒド(26)から調製したエチル7−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(5)を、TfO及び塩基で処理し、中間体6を得、これを適切な置換アリール−又はヘテロアリールボロン酸とPdCl−dppfのような触媒とカップリングさせ、中間体7を得る。中間体7を、四臭化炭素及びアルコールと、又は1−プロパンチオール及び塩化アルミニウムで処理し、8を得、これを更に処理して、スキーム7に示す最終生成物14を得る。この方法及び中間体8は、反応容器としてスクリュートップ試験管、中和のためにギ酸及び遠心蒸発を用いるコンビナトリアル調製法(スキーム8に例示されるような)に容易に適応し、粗生成物を得ることもでき、これは、質量検出分取用LC/MSを用いて精製される。
【0123】
【化14】

【0124】
方法G(スキーム8):
4−フルオロ−3−メトキシ−ベンズアルデヒド(38)をDMF中、ナトリウムチオメトキシドで処理し、チオエーテル誘導体39を得る。リチウムN,N−ジイソプロピルアミド(LDA)のような塩基を用いて、tert−ブチル3−エトキシカルボニル−3−(ホスホノジエチル)プロピオネート[Heterocyclic Commun.,9:587−592(2003)に開示されたようにして調製]により39を縮合し、次いでtert−ブチルエステル基を切断し、酸中間体41を得る。酢酸ナトリウム及び無水酢酸の存在下、41を環化し、次いで炭酸カリウムで処理し、42を得る。42の4−アリールナフトエ酸中間体44への変換は、方法Aに記載した方法に従って実施する。メチルエーテル44の切断は、アルカンチオール及び塩化アルミニウムを用いて実施され、フェノール性中間体45を得、これは、方法Aに記載した条件を用いて最終生成物48に変換される。また、47を、タングステンナトリウム及び相間移動剤の存在下、過酸化水素のような酸化剤で処理し、スルフィニル及びスルホニル誘導体49及び50を得る。49及び50の最終的なカルボン酸51及び52への変換は、方法Aに記載の方法に従って実施される。
【0125】
【化15−1】

【0126】
【化15−2】

【0127】
方法H(スキーム9):
エチル7−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸5を、SEMCl及び塩基で処理し、C−4におけるヒドロキシ基を保護する。C−7におけるフェノールを、水素及びパラジウム炭素を用いた触媒的水素化により再生し、中間体53を得、これを、方法Aと同様の方法で適切な置換ハロゲン化ベンジルでアルキル化し、中間体54を得る。方法Bと同様の方法を用いて、中間体54を最終生成物55又は56に変換する。
【0128】
この方法は、反応容器としてスクリュートップ試験管、カップリングのためにパラジウム−テトラキス(トリフェニルホスフィン)、加水分解のために水酸化リチウム、中和のためにギ酸及び遠心蒸発を用いるコンビナトリアル法(スキーム10に例示されるような)に容易に適応し、粗生成物を得ることもでき、これは、質量検出分取用LC/MSを用いて精製される。
【0129】
【化16】

【0130】
【化17】

【0131】
方法I(スキーム11):
4−{4−[1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−イル]フェニル}−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸57のような酸を用いて、標準的なカルボン酸プロドラッグを調製することができ、これを、2−クロロN,N−ジメチルアセトアミド及び塩基で処理してカルボン酸を保護し58を得る。TFAを用いて遊離のアミンを再生する。メタンスルホン酸塩59は、ジオキサンのような溶媒中、化学量論量のメタンスルホン酸を用いて製造することができる。
【0132】
【化18】

【0133】
実施例1
4−{4−[(1R)−2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル]フェニル}−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸
【0134】
【化19】

【0135】
工程1:
エチル7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(443mg、1.5mmol)、4−(トリフルオロメチル)ベンゼンボロン酸(313mg、1.650mmol)、DMF(4mL)及び2M炭酸ナトリウム(2.25mL、4.50mmol)の懸濁液を脱気し、PdCl(dppf)(21.95mg、0.030mmol)を加えた。混合物を85℃で3時間加熱した。混合物を冷却し、EAで希釈し、水に注ぎ入れた。EAで2回抽出し、一緒にしたEA層を通常の方法で乾燥した。溶媒を除去し、残渣を得、これを、EA:ヘキサン(1:3)で溶出するSiOのショートパッドを通してエチル4−ヒドロキシ−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸を得た。MS:M−H(−ESI)=359.1.
【0136】
工程2:
−78℃で、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.269mL、1.594mmol)を、工程1からのフェノール(430mg、1.386mmol)及びピリジン(0.168mL、2.079mmol)のCHCl(7mL)中の懸濁液に加えた。混合物を室温まで加温し、3時間撹拌した。次いで、CHClで希釈し、10% NaHCO水溶液、1N HCl、食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥した。揮発性成分を除去し、残渣をヘキサンで粉砕し、エチル7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−2−ナフトエ酸を得、これは、更に精製することなく次の工程で用いた。H NMR(500MHz,アセトン−d):δ9(1H,d),8.85−8.9(1H,s),8.65−8.7(1H,s),8.5−8.55(1H,s),8.1(3H,m),7.9(2H,d),4.5(2H,q),1.5(12H,s),1.45(3H,t)ppm;MS:M−トリフラート(−ESI)=359.0
【0137】
工程3:1−(4−ブロモフェニル)−2,2−ジフルオロエタノン
1,4−ジブロモベンゼン(86.4g、366mmol)のテトラヒドロフラン(800mL)中の冷却した(−78℃)撹拌溶液に、n−ブチルリチウム(228mL、ヘキサン中1.6M、366mmol)を加えた。混合物を−78℃で30分間撹拌し、エチルジフルオロアセテート(50g、402mmol)を2分間かけて加えた。混合物を−78℃で1時間撹拌した。1N塩酸(250mL)で反応物の反応を停止し、室温にした。メチルtert−ブチルエーテル(250mL)を加え、層を分離した。有機層を食塩水(100mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮した。残渣を減圧下で蒸留し、ジフルオロケトンを白色のガラス状固体として得、これを次の工程で用いた。
【0138】
工程4:(1R)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2−ジフルオロエタノール
工程3で調製したケトン(2.35g、10mmoles)及び市販のR−アルピンボラン(Alpine Borane)(3.1g、12mmol)を、一緒に室温で混合し、ガスが発生させながら4日間撹拌した。反応物を0℃まで冷却し、アセトアルデヒド(168μL、3mmol)を加えた。槽を取り除き、室温で撹拌を30分間続けた。ジエチルエーテル(20mL)、次いでエタノールアミン(725μL、12mmol)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。ろ過により沈殿を取り除き、ペンタンで洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(90%ヘキサン:10%酢酸エチル〜70%ヘキサン:30%酢酸エチル)により精製し、所望の物質を無色の油状物質として得た。H NMR(500MHz,アセトン−d):δ7.6(2H,d),7.45(2H,d),5.8−6.1(1H,m),5.4(1H,d),4.85−5.0(1H,m)ppm.
【0139】
工程5:(1R)−2,2−ジフルオロ−1−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキソボロラン−2−イル)フェニル]エタノール
工程4からの臭化物(8g、33.7mmol)、酢酸カリウム(9.94g、101mmol)及びビス(ピナコラート)ジボラン(10.28g、40.5mmol)のDMF中の混合物を10分間脱気し、PdCl(dppf)(1.235g、1.687mmol)を加えた。次いで、混合物を85℃で3時間撹拌した。混合物を冷却し、水及びEtOを加え、混合物をセライトのパッドでろ過した。ろ液をジエチルエーテルで3回抽出した。一緒にした有機画分を、水、次いで食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を、EtOAc/ヘキサン(20%)で溶出するSilicycle(登録商標)230〜400メッシュを用いたコンビフラッシュによるクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を得、これは、更に精製することなく次の工程で用いた。H NMR(500MHz,アセトン−d):δ7.8(2H,d),7.5(2H,d),5.8−6.1(1H,m),5.3(1H,d),4.85−4.95(1H,m),1.35(12H,s)ppm.
【0140】
工程6:
工程2からのトリフラート(570mg、1.158mmol)、(1R)−2,2−ジフルオロ−1−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキソボロラン−2−イル)フェニル]エタノール(428mg、1.505mmol)、DMF(6mL)及び2M NaCO(1.736mL、3.47mmol)の混合物を脱気し、PdCl(dppf)−CHCl(47.3mg、0.058mmol)を加えた。混合物を85℃で3時間加熱した。混合物を冷却し、EAで希釈し、NaHCO水溶液及び食塩水で洗浄した。有機層を従来通りに乾燥し、揮発性成分を除去した。残渣を、溶離液としてEA:H(1:5〜1:3)を用いるSiOによるクロマトグラフィーに付し、エチル4−{4−[(1R)−2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル]フェニル}−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸を得た。
【0141】
工程7:
工程6からのエステル(380mg、0.759mmol)、2N LiOH(1.139mL、2.278mmol)、THF(3mL)及びMeOH(1mL)の混合物を室温で16時間撹拌した。ほとんどの溶媒を除去し、水、次いでEAを加えた。混合物を1N HClを用いてpH約4まで酸性化し、EAで2回抽出した。一緒にしたEA層を食塩水で洗浄し、乾燥した。残渣をMTBE/ヘキサンで粉砕し、4−{4−[(1R)−2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル]フェニル}−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸を得た。H NMR(500MHz,アセトン−d):δ8.85(1H,s),8.65(1H,s),8.05−8.15(5H,m),7.9(2H,d),7.75(2H,d),7.65(2H,d),5.9−6.25(1H,m),5.4(1H,OH),5.0−5.1(1H,m)ppm.
MS:M−H(−ESI)=471.0;[α]25=−14.2°(c=1,CDCOCD).
【0142】
実施例2
4−[5−(メチルスルホニル)−3−チエニル]−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸
【0143】
【化20】

【0144】
工程1:
−70℃で、n−ブチルリチウム(1198μL、3.15mmol)を、2,4−ジブロモチオフェン(726mg、3mmol)のEtO(7500μL)中の混合物に加え、混合物を10分間撹拌した。次いで、ジメチルジスルフィド(320μL、3.60mmol)のEtO中の溶液(2mL)を滴下して加えた。混合物を−70℃で15分間撹拌し、次いで、0℃で1時間加温した。混合物に、希釈したNHCl水溶液を加え、MTBEで2回抽出し、従来通りに乾燥し、減圧下で溶媒を除去した。残渣をEA(15mL)に溶解し、0℃まで冷却した。テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(50.9mg、0.150mmol)、タングステンナトリウム二水和物(49.5mg、0.150mmol)、次いで、30%過酸化水素(657μL、7.50mmol)を加えた。混合物を5℃で一晩撹拌した。次いで、混合物をEAで希釈し、希釈したNaHSO水溶液、NaHCOで洗浄し、従来通りに乾燥した。残渣を、溶離液として1:3 EA:Hを用いるSiOによるクロマトグラフィーにより精製し、4−ブロモ−2−メチルスルホニル−チオフェンを得た。H NMR(500MHz,アセトン−d):δ8.05(1H,s),7.8(1H,s),3.35(3H,s)ppm.
【0145】
工程2:
ビス(ピナコラート)ジボラン(133mg、0.525mmol)、4−ブロモ−2−メチルスルホニル−チオフェン及び酢酸カリウム(147mg、1.500mmol)のDMF中の脱気した懸濁液(3mL)に、PdCl(dppf)−CHCl付加物(20.42mg、0.025mmol)を加えた。混合物を85〜95℃で3時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、実施例1、工程2からのエチル7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−2−ナフトエ酸(246mg、0.5mmol)、次いで2M NaCO(0.750mL、1.500mmol)を加えた。混合物を再度脱気し、3時間、85℃まで加温した。混合物を冷却し、EAで希釈し、飽和NaHCO水溶液、1N HCl、食塩水で洗浄し、乾燥した。溶媒を蒸発させた後、残渣を1:2 EA:Hで溶出するSiOのショートパッドを通し、エチル4−[5−(メチルスルホニル)−3−チエニル]−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸を得た。
【0146】
工程3:
THF(2mL)及びMeOH(1mL)中、工程2からのエステル(129mg、0.256mmol)に、2N LiOH(0.384mL、0.767mmol)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。減圧下における蒸発によりほとんどの溶媒を除去し、残渣を水で希釈した。1N HClで酸性化し、EA(少量のTHFを用いる)で2回抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、従来通りに乾燥した。残渣をEtOで粉砕し、ろ過し、乾燥し、4−[5−(メチルスルホニル)−3−チエニル]−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸を得た。MS:M+H(+ESI)=475.1.
【0147】
実施例3
4−[4−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル]−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸
【0148】
【化21】

【0149】
工程1:
実施例1、工程2において調製した、エチル7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−2−ナフトエ酸(394mg、0.8mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(223mg、0.880mmol)、ジオキサン(5ml)及び酢酸カリウム(236mg、2.400mmol)の懸濁液を脱気し、PdCl(dppf)−CHCl 付加物(16.33mg、0.020mmol)を加えた。混合物を85℃で4時間加熱した。混合物を冷却し、減圧下でほとんどのジオキサンを除去した。残渣を、1:6 EA:Hで溶出するシリカゲルによるショートパッドにより精製し、エチル4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸を得た。MS:M+H(+ESI)=471.1
【0150】
工程2:
工程1において調製したエチル4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸(384mg、0.817mmol)、1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン(227mg、0.898mmol)、NaCO(1.225mL、2.450mmol)及びDMF(5mL)の混合物を脱気した。PdCl(dppf)−CHCl 付加物(33.3mg、0.041mmol)を加え、混合物を85℃で4時間加熱した。混合物を冷却し、EAで希釈し、希釈したNaHCO水溶液に注ぎ入れた。EAで2回抽出し、有機層を通常の方法で乾燥した。粗生成物をTHF(5mL)及びメタノール(2mL)に溶解し、0℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(30.9mg、0.817mmol)を加え、混合物を室温で一晩反応させた。混合物を水に注ぎ入れ、EAで2回抽出し、食塩水で洗浄し、乾燥した。残渣を、溶離液としてEA:H(1:5)を用いるSiOによるクロマトグラフィーに付し、エチル4−[4−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル]−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸を得た。
【0151】
工程3:
工程2からのエステル(277mg、0.534mmol)及び2N LiOH(0.534mL、1.069mmol)のTHF(4mL)及びMeOH(1mL)中の混合物を、室温で一晩撹拌した。減圧下における蒸発によりほとんどの溶媒を除去し、残渣を水で希釈した。1N HClを用いて酸性化し、EAで2回抽出した。一緒にした有機層を従来通りに乾燥した。残渣を、溶離液としてEA:H:酢酸(1:2:0.01)を用いるSiOによるクロマトグラフィーに付し、4−[4−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル]−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸を得た。MS:M−H(−ESI)=489.0.
【0152】
実施例4
4−{4−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル]フェニル}−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸
【0153】
【化22】

【0154】
及び4−{4−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル]フェニル}−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸
【0155】
【化23】

【0156】
実施例3に記載した4−[4−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)フェニル]−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸のラセミ混合物を、キラルHPLC(Chiralpak AD、20% iPrOH/ヘキサン+0.25%ギ酸、1mL/分)により分離し、4−{4−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル]フェニル}−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸(保持時間9.74分)[MS:M−H(−ESI)=489.0]及び4−{4−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル]フェニル}−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸(保持時間7.32分)を得た。MS:[M−H(−ESI)=489.0].
【0157】
実施例5
4−[4−(メチルスルフィニル)フェニル]−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸
【0158】
【化24】

【0159】
工程1:
1−ブロモ−4−(メチルスルフィニル)ベンゼン(5.48g、25mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(6.98g、27.5mmol)、ジオキサン(100mL)、酢酸カリウム(7.36g、75mmol)の懸濁液を脱気し、PdCl(dppf)−CHCl付加物(0.204g、0.250mmol)を加えた。混合物を85℃で4時間加熱した。混合物を冷却し、減圧下における蒸発によりほとんどの溶媒を除去した。残渣を、2:1のEA:Hにより溶出するSiOのショートパッドを通し、2−(4−ブロモフェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランを得た。H NMR(500MHz,アセトン−d):δ7.9(2H,d),7.7(2H,d),2.75(3H,s),1.4(12H,s)ppm.
【0160】
工程2:
実施例1、工程2からのエチル7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−2−ナフトエ酸(320mg、0.65mmol)、工程1からのホウ酸塩(190mg、0.715mmol)、DMF(8mL)及びNaCO(0.975mL、1.950mmol)の懸濁液を脱気した。PdCl(dppf)−CHCl付加物(53.1mg、0.065mmol)を加え、混合物を85℃で4時間加熱した。混合物を冷却し、希釈したNHCl水溶液に注ぎ入れた。混合物をEAで2回抽出し、一緒にした有機層を通常の方法で乾燥した。蒸発からの残渣を、2:1のEA:ヘキサンで溶出するSiOのショートパッドに通し、エチル4−[4−(メチルスルフィニル)フェニル]−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸を得た。H NMR(500MHz,アセトン−d):δ8.85(1H,s),8.65(1H,s),8.15(2H,d),8.0−8.1(3H,m),7.9−8.0(4H,m),7.8(2H,d),4.45−4.5(2H,q),2.85(3H,s),1.45(3H,t)ppm.
【0161】
工程3:
工程2からのエステル(205mg、0.425mmol)、2N LiOH(0.637mL、1.275mmol)のTHF(3mL)及びMeOH(1mL)中の混合物を、室温で一晩撹拌した。ほとんどの溶媒を除去し、残渣を水で希釈した。1N HClを用いて酸性化し、EAで2回抽出し、従来通りに乾燥した。溶媒を除去した後、残渣をMTBEで粉砕し、4−[4−(メチルスルフィニル)フェニル]−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸を得た。MS:M−H(−ESI)=453.1.
実施例6
4−{4−[(1R)−2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル]フェニル}−7−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−ナフトエ酸
【0162】
【化25】

【0163】
工程1:
エチル7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(5.90g、20mmol)、4−(メチルチオ)ベンゼンボロン酸(4.03g、24.00mmol)、DMF(100mL)及びNaCO(30.0mL、60.0mmol)の懸濁液を脱気し、次いで、PdCl(dppf)(0.732g、1.000mmol)を加えた。混合物を75℃で3時間撹拌した。混合物を冷却し、EAで希釈し、希釈したNHOHに注ぎ入れた。 EAで2回抽出し、一緒にした有機抽出物を従来通りに乾燥した。溶媒を除去することにより、残渣を得、これをMTBEで粉砕し、エチル4−ヒドロキシ−7−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−ナフトエ酸を得た。H NMR(500MHz,アセトン−d):δ9.4(1H,s),8.4(1H,d),8.3(1H,s),8.25(1H,s),7.95(1H,d),7.8(2H,d),7.5(1H,s),7.4(2H,d),4.4(2H,q),2.6(3H,s),1.4(3H,t)ppm.
【0164】
工程2:
−78℃で、工程1からのフェノール(502mg、1.483mmol)、EtN(0.310mL、2.225mmol)及びDMAP(9.06mg、0.074mmol)の1,2−ジクロロエタン(10mL)及びDMF(2mL)中の混合物に、N−フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(583mg、1.632mmol)をCHCl溶液(5mL)として加えた。混合物を室温まで加温し、2時間撹拌した。混合物をCHClで希釈し、NHCl水溶液に注ぎ入れ、2回抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、通常の方法で乾燥した。残渣を、1:5のEA:Hで溶出するSiOのショートパッドに通し、エチル7−[4−(メチルチオ)フェニル]−4−{[(トリフルオロメチル)− スルホニル]オキシ}−2−ナフトエ酸を得、これは更に精製することなく次の工程で用いた。H NMR(500MHz,アセトン−d):δ8.9(1H,d),8.6(1H,s),8.2−8.35(2H,d),8.1(1H,s),7.9(1H,s),7.5(2H,d),4.5(2H,q),2.6(3H,s),1.45(3H,t)ppm.
【0165】
工程3:
エチル7−[4−(メチルチオ)フェニル]−4−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−2−ナフトエ酸(235mg、0.5mmol)、(1R)−2,2−ジフルオロ−1−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]エタノール(284mg、1.000mmol)、2M NaCO(0.750mL、1.500mmol)及びDMF(4mL)の脱気した懸濁液に、PdCl(dppf)(36.6mg、0.050mmol)を加え、混合物を80℃で4時間反応させた。混合物を冷却し、EAで希釈した。混合物をEAで2回抽出し、一緒にした有機層を1N HCl、食塩水で洗浄し、通常の方法で乾燥した。蒸発後、残渣を、溶離液として1:3のEA:Hを用いるSiOによるクロマトグラフィーに付し、エチル4−{4−[(1R)−2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル]フェニル}−7−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−ナフトエ酸を得た。H NMR(500MHz,アセトン−d):δ8.75(1H,s),8.5(1H,s),8.0(2H,m),7.85(2H,d),7.75(2H,d),7.6(2H,d),7.45(2H,d),6.1(1H,m),5.45(1H,OH),5.05(1H,m),4.45(2H,m),2.6(3H,s),1.45(3H,t)ppm.
【0166】
工程4:
工程3からのエステル(100mg、0.209mmol)のTHF(3mL)及びMeOH(1mL)中の溶液に2N NaOH(0.418mL、0.836mmol)を加え、反応物を80℃で2時間加温した。混合物を冷却し、減圧下における蒸発によりほとんどの溶媒を除去した。残渣を水で希釈し、1N HClを用いてpH約3まで酸性化し、EAで2回抽出した。溶媒の乾燥及び除去後、残渣をMTBEで粉砕し、得られた固体をろ過し、乾燥し、4−{4−[(1R)−2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル]フェニル}−7−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−ナフトエ酸を得た。MS:M−H(−ESI)=449.0.
【0167】
実施例7
4−{4−[(1R)−2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル]フェニル}−7−(4−フルオロフェニル)−2−ナフトエ酸
【0168】
【化26】

【0169】
工程1:
4−フルオロベンゼンボロン酸を用いた以外は、実施例1、工程1のようにして中間体フェノールを調製し、エチル7−(4−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を得た。H NMR(500MHz,アセトン−d):δ9.45(1H,OH),8.4(1H,d),8.25−8.35(2H,d),7.85−8.0(3H,m),7.55(1H,s),7.3(2H,m),4.4(2H,m),1.4(3H,m)ppm.
【0170】
工程2:
前記フェノールを用いた以外は、実施例1、工程2のようにして中間体トリフラートを調製し、エチル7−(4−フルオロフェニル)−4−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−2−ナフトエ酸を得、これは更に精製することなく工程3において用いた。
【0171】
工程3:
工程2からのトリフラート(332mg、0.75mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(200mg、0.788mmol)及び酢酸カリウム(221mg、2.250mmol)のDMF(5mL)中の脱気した混合物にPdCl(dppf)−CHCl付加物(30.6mg,0.038mmol)を加えた。混合物を85℃で2時間加熱し、次いで冷却した。2M NaCO水溶液(1.125mL、2.250mmol)及び(1R)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2−ジフルオロエタノール(178mg、0.750mmol)のDMF(1mL)中の溶液を加えた。混合物を再度脱気し、PdCl(dppf)−CHCl付加物を加えた。混合物を85℃で3時間加熱した。混合物を冷却し、水で希釈し、EAで2回抽出した。一緒にした有機層をNaHCO水溶液、食塩水で洗浄し、従来通りに乾燥した。溶媒の除去後、残渣を、1:10のEA:トルエンで溶出するSiOに通し、生成物を得、溶離液として1:5のEA:Hを用いるSiOによるクロマトグラフィーに再度付し、エチル4−{4−[(1R)−2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル]フェニル}−7−(4−フルオロフェニル)−2−ナフトエ酸を得た。MS:M+H(+ESI)=451.0.
【0172】
工程4:
工程3からのエステル(176mg、0.391mmol)のTHF(3mL)及びMeOH(1mL)中の溶液に2N LiOH(0.977mL、1.954mmol)を加えた。混合物を75℃で3時間加温した。混合物を冷却し、ほとんどの溶媒を除去した。残渣を水で希釈し、1N HClを用いて酸性化し、EAで2回抽出した。一緒にした有機層を従来通りに乾燥し、蒸発後の残渣をEtOで粉砕し、4−{4−[(1R)−2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル]フェニル}−7−(4−フルオロフェニル)−2−ナフトエ酸を得た。H NMR(500MHz,アセトン−d):δ8.8(1H,s),8.5(1H,s),7.9−8.1(5H,m),7.75(2H,d),7.6(2H,d),7.3(2H,m),6.1(1H,m),5.45(1H,OH),5.05(1H,m)ppm;MS:M−H(−ESI)=412.1.
【0173】
実施例8
4−[5−(メチルスルホニル)−3−チエニル]−7−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−2−ナフトエ酸
【0174】
【化27】

【0175】
工程1:
4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼンボロン酸及びエチル7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を用いた以外は、実施例6、工程1のようにして第一の中間体を調製し、中間体フェノールを得た。このフェノールを、実施例6、工程2のようにしてトリフルオロメタンスルホネート誘導体に変換した。H NMR(CDCl):δ8.72(s,1H),8.26−8.20(m,2H),8.07(s,1H),8.02−7.98(m,1H),7.76(d,2H),7.40(d,2H),7.29(s,2H),4.51(q,2H),1.50(t,3H)ppm.
【0176】
工程2:
実施例7、工程3のようにして、トリフラートを4−ブロモ−2−メチルスルホニル−チオフェン(実施例2、工程1)とカップリングし、エチル4−[5−(メチルスルホニル)−3−チエニル]−7−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−2−ナフトエ酸を得た。H NMR(500MHz,アセトン−d):δ8.8(1H,s),8.55(1H,s),8.25(1H,s),8.15(1H,d),8.0−8.15(5H,m),7.55(2H,d),4.5(2H,m),3.4(3H,s),1.45(3H,t)ppm.
【0177】
工程3:
THF(4mL)及びMeOH(1mL)中、工程2からのエステル(183mg、0.352mmol)に2N LiOH(0.527mL、1.055mmol)を加えた。混合物を70℃で2時間撹拌した。混合物を冷却し、ほとんどの溶媒を除去し、残渣を水で希釈した。1N HClを用いてpH約3まで酸性化し、EAで2回抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、従来通りに乾燥した。溶媒除去後、残渣をMTBEで粉砕し、4−[5−(メチルスルホニル)−3−チエニル]−7−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−2−ナフトエ酸を得た。MS:M−H(−ESI)=491.2.
【0178】
実施例9
4−[5−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)−3−チエニル]−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸
【0179】
【化28】

【0180】
工程1:
1−(4−ブロモ−2−チエニル)−2,2−ジフルオロエタノール
−78℃で、2,4−ジブロモチオフェン(5mL、44.2mmol)のジエチルエーテル(85mL)中の撹拌混合物にn−ブチルリチウム(2.50M、18.58mL、46.4mmol)を加え、混合物を−78℃で10分間撹拌した。次いで、−78℃で、この混合物を、EtO(25mL)中のエチルジフルオロアセテート(4.64mL、46.4mmol)に加え、得られた混合物をこの温度で1時間撹拌した。混合物を室温まで加温し、塩酸(1M)を加え、混合物をジエチルエーテル(50mL)で2回抽出した。一緒にした有機画分を食塩水(50mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ろ過し、減圧下で溶媒を蒸発させ、1−(4−ブロモ−2−チエニル)−2,2−ジフルオロエタノンを黄色の油状物質として得、これは更に精製することなく次の工程で用いた。MS:M−H(−ESI)=238.8,240.8.
【0181】
工程2:
0℃で、1−(4−ブロモ−2−チエニル)−2,2−ジフルオロエタノン(4.16g、17.26mmol)のメタノール中の撹拌混合物に水素化ホウ素ナトリウム(0.718g、18.98mmol)を加え、混合物を0℃で30分間撹拌した。混合物をEtOで希釈し、塩酸(1M、25mL)を加えた。水層をジエチルエーテル(75mL)で2回抽出した。一緒にした有機画分を飽和食塩水溶液(50mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ろ過し、減圧下で溶媒を蒸発させた。残渣を、EtOAc/ヘキサン(0〜30%)で溶出するシリカゲル(120g)によるカラムクロマトグラフィーにより精製し、1−(4−ブロモ−2−チエニル)−2,2−ジフルオロエタノールを無色の固体として得た。H NMR(500MHz,アセトン−d):δ7.55(d,1H),7.14(s,1H),6.01(td,1H),5.82(d,1H),5.24−5.16(m,1H)ppm.
【0182】
工程3:
工程2からの1−(4−ブロモ−2−チエニル)−2,2−ジフルオロエタノール(131mg、0.539mmol)、酢酸カリウム(132mg、1.346mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(148mg、0.583mmol)のDMF(3.5mL)中の混合物を脱気し、PdCl(dppf)・CHCl(17mg、0.023mmol)を加えた。混合物を85℃で2時間加熱した。混合物を冷却し、実施例1、工程2からのエチル7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−2−ナフトエ酸(221mg、0.449mmol)、次いで2M炭酸ナトリウム(0.785mL、1.571mmol)を加えた。混合物を再度脱気し、PdCl(dppf)・CHCl(17mg、0.023mmol)を加え、混合物を85℃で2時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、EtO及び水で希釈し、固体をろ過により除去した。水層をEtOAcで抽出し、一緒にした有機画分を水で3回、次いで食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ろ過し、減圧下で溶媒を蒸発させた。残渣を、EtOAc/ヘキサン(0〜50%)で溶出するシリカゲル(40g)によるクロマトグラフィーに付し、エチル4−[5−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)−3−チエニル]−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸を無色の固体として得た。MS:M+H(+ESI)=507.2.
【0183】
工程4:
エチル4−[5−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)−3−チエニル]−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸(150mg、0.296mmol)のメタノール:THF(1:1、0.6mL)中の撹拌混合物に4M水酸化リチウム溶液(296μL、1.185mmol)を加え、混合物を室温で4時間撹拌した。この混合物をEtOAcで希釈し、塩酸(1M、3mL)を加え、混合物を酢酸エチル(2mL)で2回抽出した。一緒にした有機画分を飽和食塩水溶液(3mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ろ過し、減圧下で溶媒を蒸発させた。残渣を、1%AcOHを含むEtOAc/ヘキサン(0〜50%)で溶出するシリカゲル(12g)によるカラムクロマトグラフィーにより精製し、4−[5−(2,2−ジフルオロ−1−ヒドロキシエチル)−3−チエニル]−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸を無色の固体として得た。MS:M−H(−ESI)=476.9.
【0184】
実施例10
4−(3−チエニル)−7−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−2−ナフトエ酸
【0185】
【化29】

【0186】
工程1:
エチル7−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−4−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−2−ナフトエ酸(300mg、0.590mmol)、3−チオフェンボロン酸(91mg、0.708mmol)及び2M炭酸ナトリウム(885μL、1.770mmol)のDMF(4mL)中の懸濁液を脱気し、PdCl(dppf)・CHCl(22.36mg、0.031mmol)を加えた。混合物を80℃まで加熱し、3時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、EtO及び水で希釈し、ろ過により固体を除去した。水層をEtOAcで抽出し、一緒にした有機画分を水で3回、次いで食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ろ過し、減圧下で溶媒を蒸発させた。残渣を、EtOAc/ヘキサン(0〜45%)で溶出するシリカゲル(40g)によるクロマトグラフィーに付し、エチル4−(3−チエニル)−7−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−2−ナフトエ酸を黄色っぽい固体として得た。MS:M+H(+ESI)=443.0.
【0187】
工程2:
実施例9、工程4に記載したようにして加水分解を行い、4−(3−チエニル)−7−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−2−ナフトエ酸を得た。MS:M−H(−ESI)=412.9.
【0188】
実施例11
3−フルオロ−4−(3−チエニル)−7−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−2−ナフトエ酸
【0189】
【化30】

【0190】
工程1:
エチル7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(3.51g、11.89mmol)のクロロベンゼン(60mL)中の撹拌混合物に、N−フルオロピリジニウムトリフラート(3.53g、14.27mmol)を加え、混合物を還流温度で一晩撹拌した。混合物を冷却し、EtOAcで希釈し、HCl、炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ろ過し、減圧下で溶媒を蒸発させた。残渣を、EtOAc/ヘキサン(20〜40%)で溶出するシリカゲルによるカラムに2回通し、エチル7−ブロモ−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸をオレンジ色の固体として得た。MS:M−H(−ESI)=310.9,312.9.
【0191】
工程2:
エチル7−ブロモ−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(230mg、0.720mmol)、4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼンボロン酸、2M NaCO(1.08mL、2.16mmol)及びDMF(3.6mL)の懸濁液を脱気し、PdCl(dppf)−CHCl(29.4mg、0.036mmol)を加えた。混合物を80℃で45分間加熱した。混合物を冷却し、エチルエーテルで希釈し、水に注ぎ入れ、エチルエーテルで2回抽出した。有機層を水で2回、次いで食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ろ過し、減圧下で溶媒を蒸発させた。残渣を、EtOAc/ヘキサン(0〜60%)で溶出するシリカゲルCombiFlash Silicycle 40gによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、エチル3−フルオロ−4−ヒドロキシ−7−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−2−ナフトエ酸を黄色の固体として得た。MS:M+H(+ESI)=395.1);M−H(−ESI)=393.1.
【0192】
工程3:
エチル3−フルオロ−4−ヒドロキシ−7−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−2−ナフトエ酸(202mg、0.512mmol)及びピリジン(62.1μL、0.768mmol)のジクロロメタン中の撹拌冷却(0℃)混合物に、トリフリック無水物(100μL、0.589mmol)を加え、混合物を0℃で2時間撹拌した。混合物を冷却し、ジクロロメタン(20mL)で希釈し、食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ろ過し、減圧下で溶媒を蒸発させた。残渣を、EtOAc/ヘキサン(0〜25%)で溶出するシリカゲルCombiFlash Silicycle 40gによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、エチル3−フルオロ−7−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−4−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−2−ナフトエ酸を無色の固体として得た。H NMR(500MHz,アセトン−d):δ8.88(m,1H),8.66(s,1H),8.35(m,1H),8.22(m,1H),8.06(m,2H),7.56(m,2H),4.51(m,2H),1.46(m,3H)ppm.
【0193】
工程4:
前記工程3からのトリフラートを用い、実施例9、工程4のようにして加水分解した以外は、実施例10、工程1と同じ反応順序を用いることにより、3−フルオロ−4−(3−チエニル)−7−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−2−ナフトエ酸を調製した。MS:M−H(−ESI)=489.0.
【0194】
実施例12
7−[(2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−4−[(2−メトキシベンジル)オキシ]−2−ナフトエ酸
【0195】
【化31】

【0196】
工程1:
エチル7−(ベンジルオキシ)−4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(2.0g、6.2mmol)、2−(トリメチルシリル)エトキシメチルクロライド(SEMクロライド)(1.21mL)及びKCO(1.52g)を含む混合物を、アセトニトリル(50mL)中、55℃で1.5時間加熱した。次いで、EtOAcを加え、ろ過により固体を除去した。ろ液を濃縮し、残渣を、2.5%EtOAc/トルエンで溶出するシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーに付し、エチル7−(ベンジルオキシ)−4−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メトキシ}−2−ナフトエ酸を黄色っぽい油状物質として得た。
【0197】
工程2:
工程1の生成物(9.3g、20.6mmol)をエタノール(90mL)及びEtOAc(45mL)に溶解した。次いで、10% Pd/C(930mg)を加え、水素雰囲気下、混合物を一晩撹拌した。セライトを通したろ過により触媒を除去した。ろ液の蒸発により、エチル7−ヒドロキシ−4−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メトキシ}−2−ナフトエ酸を得、これは更に精製することなく次の工程で用いた。
【0198】
工程3:
工程2の生成物(7.33g、19.3mmol)、2,6−ジメチルベンジルクロライド(3.28g)、KCO(3.2g)及びBuNI(0.7g)を含む混合物を、アセトニトリル(100mL)中、55℃で2時間加熱した。次いで、EtOAcを加え、ろ過により固体を除去した。ろ液を濃縮し、残渣をEtOAcで再溶解し、NHCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥した。トルエンで溶出するシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、ジメチルベンジルエーテルを黄色っぽい油状物質として得た。
【0199】
工程4:
工程3の生成物(7.82g、16.3mmol)及び四臭化炭素(1.35g)の2−プロパノール中の溶液を還流温度で3時間加熱した。次いで、溶媒を蒸発させ、残渣をトルエン(50mL)で粉砕し、エチル7−[(2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を白色固体として得た。
【0200】
工程5:
工程4の生成物(0.12g、0.34mmol)、1−(クロロメチル)−2−メトキシベンゼン(0.059g、0.38mmol)、ヨウ化テトラメチルアンモニウム(0.013mg、0.034mmol)及び炭酸カリウム(0.052g、0.38mmol)のアセトン中の溶液を還流温度で5時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、EAで希釈し、NHCl水溶液で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、ろ過し、溶媒を除去した。ヘキサン:トルエン(4:1)で溶出するシリカゲルによるクロマトグラフィーにより、エチル7−[(2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−4−[(2−メトキシベンジル)オキシ]−2−ナフトエ酸を得た。
【0201】
工程6:
工程5の生成物(88mg)のTHF(1mL)及びMeOH(1mL)中の溶液に、2N水酸化ナトリウム(0.187mL、0.37mmol)を加えた。反応混合物を55℃で5時間加熱した。室温まで冷却した後、溶液をEAで希釈し、10%HClにより反応を停止した。有機層を分離し、MgSOで乾燥し、減圧下における蒸発により溶媒を除去した。粗生成物を2:1 ヘキサン/EtOで粉砕し、7−[(2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−4−[(2−メトキシベンジル)オキシ]−2−ナフトエ酸を得た。MS:M−H(−ESI)=441.3.
【0202】
実施例13
7−[(2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸
【0203】
【化32】

【0204】
工程1:
実施例1、工程2のようにして、実施例12、工程4からの中間体、エチル7−[(2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を、TfO及びピリジンで処理し、エチル7−[(2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−4−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−2−ナフトエ酸を得た。H NMR(500MHz,アセトン−d):δ8.7(1H,s),8.1(1H,d),7.95(2H,d),7.6(1H,s),7.1−7.3(3H,m),5.4(2H,s),4.45−4.55(2H,q),2.45(6H,s),1.4−1.5(3H,t)ppm.
【0205】
工程2:
チオフェン−3−ボロン酸を用いた以外は、実施例10、工程1及び2に記載した方法を用いて標題の化合物を調製し、7−[(2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸を得た。MS:M−H(−ESI)=386.8.
【0206】
実施例14
7−[(2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−4−(4−ホルミルフェニル)−2−ナフトエ酸
【0207】
【化33】

【0208】
磁気撹拌器を備えたスクリュートップ試験管に、4−(ホルミル)ベンゼンボロン酸(7.5mg、0.050mmol)を加えた。次いで、エチル7−[(2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−4−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−2−ナフトエ酸(20mg、0.041mmol)を含むジメトキシエタン(2mL)の溶液を、次いで、炭酸ナトリウム(2.0M溶液を62μL、0.124mmol)を加えた。撹拌しながら溶液に窒素ガスを吹き込み、次いで、Pd(PPh(4.8mg、0.004mmol)を加えた。試験管に窒素をパージし、蓋で密封した。反応物を90℃で16時間加熱した。冷却後、10:1のアセトニトリル:EtNの混合物を用いて、シリカゲルの小さいプラグを通してろ過し、次いで、ろ液を濃縮した。前記混合物からの試験管中に撹拌棒を入れ、以下のようにして調製した溶液2.3mL(LiOH:HOの0.65mmol)(125mLの三角フラスコに、LiOH:HO(1.12g、26.7mmol)、次いで、テトラヒドロフラン39mL、メタノール29mL及び水29mLを、LiOHが完全に溶解するまで撹拌しながら加えた)を加えた。反応物を室温で24時間撹拌した。以下のようにして調製した溶液1mL(1.3mmolのギ酸)(別個の125mLの三角フラスコ内で、ギ酸2mL(52.1mmol)をTHF40mLに加えた。)により反応を停止した。反応物を10分間撹拌し、遠心分離を用いて溶媒を蒸発させた。粗反応混合物をDMSO1mLに溶解し、質量検出分取用LC/MSを用いて精製した。生成物である、7−[(2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−4−(4−ホルミルフェニル)−2−ナフトエ酸を、灰色がかった白色の固体として分離した。MS:M−H(−ESI)=409.27.
【0209】
実施例15
7−[(2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−4−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ナフトエ酸
【0210】
【化34】

【0211】
4−ヒドロキシベンゼンボロン酸(6.9mg、0.050mmol)を用いた以外は、実施例14に記載した方法を用いて標題の化合物を調製し、7−[(2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−4−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ナフトエ酸を得た。MS:M−H(−ESI)=397.22.
【0212】
実施例16
4−(4−カルボキシフェニル)−7−[(2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−2−ナフトエ酸
【0213】
【化35】

【0214】
[4−(メトキシカルボニル)ベンゼン]ボロン酸(9.0mg、0.050mmol)を用い、それに続き、得られたメチルエステルをけん化した以外は、実施例14に記載した方法を用いて標題の化合物を調製し、4−(4−カルボキシフェニル)−7−[(2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−2−ナフトエ酸を得た。MS:M−H(−ESI)=425.26.
【0215】
実施例17
7−[(2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−4−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸
【0216】
【化36】

【0217】
[4−(ヒドロキシメチル)ベンゼン]ボロン酸(7.6mg、0.050mmol)を用いた以外は、実施例14に記載した方法を用いて標題の化合物を調製し、7−[(2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−4−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸を得た。MS:M−H(−ESI)=411.26.
【0218】
実施例18
4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−7−[(2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−2−ナフトエ酸
【0219】
【化37】

【0220】
(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)ボロン酸(8.3mg、0.050mmol)を用いた以外は、実施例14に記載した方法を用いて標題の化合物を調製し、4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−7−[(2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−2−ナフトエ酸を得た。M−H(−ESI)=425.23.
【0221】
実施例19
7−{[2−メチル−5−(トリフルオロメチル)ベンジル]オキシ}−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸
【0222】
【化38】

【0223】
攪拌棒を取り付けたスクリュートップ試験管に、2−メチル−5−(トリフルオロメチル)ベンジルクロライド(42.0mg、0.201mmol)、次いでエチル7−ヒドロキシ−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸(40mg、0.134mmol)のトリグライム溶液1mLを加えた。次いで、炭酸カリウム(37.1mg、0.268mmol)を加え、反応チューブを通して窒素をバブリングした後に、反応を撹拌できるよう設定した。反応物を48時間攪拌した。試験管に、テトラエチレンペンタミン51μL(50.7mg、0.268mmol)を加え、過剰の塩化ベンジルと反応させ、反応物を3時間攪拌した。次いで、以下の溶液(125mLの三角フラスコに、LiOH:HO(1.12g、26.7mmol)、次いで、テトラヒドロフラン39mL、メタノール29mL及び水29mLを加えた)4.6mL(1.3mmolのLiOH:HO)を加えた。混合物を、全てのLiOHが溶解するまで攪拌した。反応物を室温で24時間攪拌し、次いで、以下の溶液〔別個の125mLの三角フラスコ内で、ギ酸2mL(52.1mmol)をTHF40mLに加えた。〕2mL(ギ酸2.6mmol)を用いて反応を停止した。混合物を10分間攪拌反応し、遠心分離蒸発を用いて濃縮した。粗反応混合物をDMSO 1mLで希釈し、質量検出分取用LC/MSを用いて精製した。生成物である、7−{[2−メチル−5−(トリフルオロメチル)ベンジル]オキシ}−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸は、灰色がかった白色固体として得られた。MS:M−H(−ESI)=441.19.
【0224】
実施例20
7−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸
【0225】
【化39】

【0226】
2,6−ジクロロベンジルブロマイド(48.3mg、0.201mmol)を用いた以外は、実施例19に記載した方法を用いて標題の化合物を調製し、7−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸を得た。MS:M−H(−ESI)=427.08.
【0227】
実施例21
7−[(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)メトキシ]−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸
【0228】
【化40】

【0229】
工程1:4−(ブロモメチル)−3,5−ジクロロピリジン
0℃で、(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)メタノール(1.3g、7.3mmol)、トリフェニルホスフィン(2.30g、8.76mmol)、イミダゾール(600mg、8.76mmol)の溶媒18mL(アセトニトリル7mL及びジエチルエーテル11mL)中の懸濁液に、臭素(450μL、8.76mmol)を加え、溶液を0℃で30分間攪拌した。次いで、メタ重亜硫酸ナトリウムを用いて反応物の反応を停止し、水層をエーテル(50mL)で3回洗浄した。次いで、一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を蒸発させ、粗油を得、冷却による結晶化により、4−(ブロモメチル)−3,5−ジクロロピリジンを黄色の固体として得た。H NMR(500MHz,アセトン−d):δ8.60(s,2H),4.78(s,2H)ppm.
【0230】
工程2:
4−(ブロモメチル)−3,5−ジクロロピリジン(48.5mg、0.201mmol)を用いた以外は、実施例19に記載した方法を用いて標題の化合物を調製し、7−[(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)メトキシ]−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸を得た。MS:M−H(−ESI)=428.10.
【0231】
実施例22
7−{[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ベンジル]オキシ}−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸
【0232】
【化41】

【0233】
2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ベンジルブロマイド(55.0mg、0.201mmol)を用いた以外は、実施例19に記載した方法を用いて標題の化合物を調製し、7−{[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ベンジル]オキシ}−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸を得た。MS:M−H(−ESI)=461.11.
【0234】
実施例23
7−[(2−クロロ−6−フルオロベンジル)オキシ]−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸
【0235】
【化42】

【0236】
2−クロロ−6−フルオロベンジルブロマイド(44.9mg、0.201mmol)を用いた以外は、実施例19に記載した方法を用いて標題の化合物を調製し、7−[(2−クロロ−6−フルオロベンジル)オキシ]−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸を得た。MS:M−H(−ESI)=411.12.
【0237】
実施例24
4−(3−チエニル)−7−[(2,4,6−トリフルオロベンジル)オキシ]−2−ナフトエ酸
【0238】
【化43】

【0239】
2,4,6−トリフルオロベンジルブロマイド(45.3mg、0.201mmol)を用いた以外は、実施例19に記載した方法を用いて標題の化合物を調製し、4−(3−チエニル)−7−[(2,4,6−トリフルオロベンジル)オキシ]−2−ナフトエ酸を得た。MS:M−H(−ESI)=413.15.
【0240】
実施例25
7−[(2,6−ジフルオロベンジル)オキシ]−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸
【0241】
【化44】

【0242】
2,6−ジフルオロベンジルブロマイド(41.6mg、0.201mmol)を用いた以外は、実施例19に記載した方法を用いて標題の化合物を調製し、7−[(2,6−ジフルオロベンジル)オキシ]−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸を得た。MS:M−H(−ESI)=395.16.
【0243】
実施例26
7−[(6−クロロ−2−フルオロ−3−メチルベンジル)オキシ]−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸
【0244】
【化45】

【0245】
6−クロロ−2−フルオロ−3−メチルベンジルブロマイド(47.8mg、0.201mmol)を用いた以外は実施例19に記載した方法を用いて標題の化合物を調製し、7−[(6−クロロ−2−フルオロ−3−メチルベンジル)オキシ]−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸を得た。MS:M−H(−ESI)=425.16.
【0246】
実施例27
7−[(2−ブロモ−6−クロロベンジル)オキシ]−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸
【0247】
【化46】

【0248】
2−ブロモ−6−クロロベンジルブロマイド(57.2mg、0.201mmol)を用いた以外は実施例19に記載した方法を用いて標題の化合物を調製し、7−[(2−ブロモ−6−クロロベンジル)オキシ]−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸を得た。MS:M−H(−ESI)=473.05.
【0249】
実施例28
7−[(2,6−ジブロモベンジル)オキシ]−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸
【0250】
【化47】

【0251】
工程1:2,6−ジブロモベンジルブロマイド
この化合物は、Tetrahedron Lett.,47:4361−4364 (2006)におけるA.van den Hoogenband, et al.に従って調製した。
【0252】
工程2:
2,6−ジブロモベンジルブロマイド(66.1mg、0.201mmol)を用いた以外は、実施例19に記載した方法を用いて標題の化合物を調製し、7−[(2,6−ジブロモベンジル)オキシ]−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸を得た。MS:M−H(−ESI)=517.01.
【0253】
実施例29
4−(ベンジルオキシ)−7−[(2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−2−ナフトエ酸
【0254】
【化48】

【0255】
臭化ベンジルを用いた以外は、実施例12に記載した方法を用いて標題の化合物を調製し、4−(ベンジルオキシ)−7−[(2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−2−ナフトエ酸を得た。MS:M−H(−ESI)=411.0.
【0256】
実施例30
4−(4−アセチルフェニル)−7−[(2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−2−ナフトエ酸
【0257】
【化49】

【0258】
チオフェン−3−ボロン酸に代え、4−アセチルベンゼンボロン酸を用いた以外は、実施例13に記載した方法に従って標題の化合物を調製し、4−(4−アセチルフェニル)−7−[(2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−2−ナフトエ酸を得た。MS:M−H(−ESI)=423.0.
【0259】
実施例31
7−[(2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−4−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−2−ナフトエ酸
【0260】
【化50】

【0261】
チオフェン−3−ボロン酸に代え、4−(メチルスルホニル)ベンゼンボロン酸を用いた以外は、実施例13に記載した方法に従って標題の化合物を調製し、7−[(2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−4−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−2−ナフトエ酸を得た。MS:M−H(−ESI)=459.0.
【0262】
実施例32
7−[(2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−4−[4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル]−2−ナフトエ酸
【0263】
【化51】

【0264】
工程1:
0℃で、4−アセチルベンゼンボロン酸(5g、5mmol)のジエチルエーテル中の懸濁液に、2M塩化メチルマグネシウム(60mL、180mmol)を加えた。混合物を室温で30分間撹拌し、3N HClを加えることにより反応を停止した。生成物をEAで抽出し、有機層を従来通りに乾燥した。溶媒の除去後、残渣を、溶離液としてアセトン:トルエン:酢酸(30:70:1)を用いるSiOによるクロマトグラフィーに付し、ボロン酸を得、これは更に精製することなく工程2において用いた。1H NMR(500MHz,アセトン−d):δ7.8(2H,d),7.5(2H,d),1.5(6H,s)ppm.
【0265】
工程2:
チオフェン−3−ボロン酸に代え、工程1からのベンゼンボロン酸を用いた以外は、実施例30の方法に従って標題の化合物を調製し、7−[(2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−4−[4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル]−2−ナフトエ酸を得た。MS:M−H(−ESI)=439.0.
【0266】
実施例33
7−[(4−フルオロ−2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸
【0267】
【化52】

【0268】
工程1:
0℃で、THF(236mL)中、ジイソプロピルアミン(16.23mL、114mmol)にnBuLi(44.6mL、112mmol)を加えた。混合物を0℃で15分間撹拌した。次いで、4−tert−ブチル1−エチル2−(ジエトキシホスホリル)スクシネート(38.9g、115mmol)のTHF(3mL)中の溶液を加え、0℃で15分間撹拌し、次いで、3−(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(23.69g、112mmol)のTHF(3mL)中の溶液を加えた。混合物を室温まで加温し、一晩撹拌した。混合物を食塩水で希釈し、EtOAcで抽出し、食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣を、8%EtOAc/ヘキサンで溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーに付し、4−tert−ブチル1−エチル(2E)−2−[3−(ベンジルオキシ)ベンジリデン]スクシネートを無色の油状物質として得た。
【0269】
工程2:
0℃で、ジクロロメタン(452mL)中、4−tert−ブチル1−エチル(2E)−2−[3−(ベンジルオキシ)ベンジリデン]スクシネート(22.6g、57.0mmol)に、トリフルオロ酢酸(110mL、1425mmol)を加えた。混合物を0℃で6時間撹拌した。0℃において減圧下で溶媒を蒸発させ、ヘキサンと2回共蒸発させ、(3E)−4−[3−(ベンジルオキシ)フェニル]−3−(エトキシカルボニル)ブタ−3−エノイン酸を得た。
【0270】
工程3:
(3E)−4−[3−(ベンジルオキシ)フェニル]−3−(エトキシカルボニル)ブタ−3−エノイン酸(82g、241mmol)に、無水酢酸(1268mL)及び酢酸ナトリウム(19.84g、242mmol)を加えた。混合物を70℃で30分間加熱した。減圧下で溶媒を蒸発させた。エタノール(1268mL)及び炭酸カリウム(66.6g、482mmol)を加えた。混合物を70℃で3時間、次いで80℃で4時間加熱した。混合物を1N HClを用いて酸性化し、エーテルで3回抽出した。一緒にした有機抽出物を食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮し、トルエンと共蒸発した。フラッシュシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、エチル7−(ベンジルオキシ)−4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を得た。
【0271】
工程4:
氷/水浴中、エチル7−(ベンジルオキシ)−4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(15g、46.5mmol)のCHCl(212mL)中の懸濁液に、ピリジン(5.65mL、69.8mmol)及びTfO(9.59mL、56.8mmol)を加えた。混合物を氷温で1時間撹拌した。飽和NHClを加え、混合物をEtOAcで抽出した。混合物をNaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮し、エチル7−(ベンジルオキシ)−4−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−2−ナフトエ酸を得た。
【0272】
工程5:
エチル7−(ベンジルオキシ)−4−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−2−ナフトエ酸(21.13g、46.5mmol)に、ジオキサン(224mL)、水(9mL)、チオフェン−3−ボロン酸(7.26g、56.7mmol)、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル(0.978g、2.79mmol)、リン酸三カリウム(12.24g、57.7mmol)及び酢酸パラジウム(II)(0.522g、2.325mmol)を加えた。混合物を、10分間脱気し(Nバブリング)、次いで、80℃で1時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、EtOAcで抽出した。EA層を飽和NHClで2回洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過した。溶液を、EtOAcで溶出するシリカゲルの小さいパッドを通してろ過した。溶媒を蒸発させ、残渣をDMSO(10mL)、THF(40mL)及びトルエンに溶解した。移動相としてトルエンを用いてシリカゲルでろ過し、溶媒の蒸発後、残渣をエーテルで一晩粉砕した。固体をろ過し、乾燥し、エチル7−(ベンジルオキシ)−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸を灰色の固体として得た。
【0273】
工程6:
氷/水浴中、CHCl(51.5mL)中、エチル7−(ベンジルオキシ)−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸(2g、5.15mmol)に、三臭化ホウ素を1M CHCl溶液(7.72mL、7.72mmol)として加えた。混合物を氷浴中で45分間撹拌し、次いで氷/飽和NaHCOに注ぎ入れた。EtOAcで抽出し、食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。溶媒の蒸発後、残渣をエーテルで一晩粉砕し、エチル7−ヒドロキシ−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸を得た。
【0274】
工程7:
室温で、エチル7−ヒドロキシ−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸(150mg、0.503mmol)及び2,6−ジメチル−4−フルオロベンジルブロマイド(142mg、0.654mmol)のアセトニトリル(15mL)の撹拌溶液に炭酸カリウム(104mg、0.754mmol)を一度に加えた。得られた混合物を60℃で一晩撹拌し、酢酸エチルで希釈し、シリカゲルパッドを通してろ過し、濃縮した。残渣をTHF10mL及びMeOH10mLの混合物に再溶解し、溶液を2N NaOH 5mLと、50℃で2時間処理した。塩酸を加えることにより反応を完了させ、酢酸エチルで抽出し、NaSOで乾燥し、濃縮した。残渣をジエチルエーテルで粉砕し、固体をろ過し、乾燥し、所望の7−[(4−フルオロ−2,6−ジメチルベンジル)オキシ]−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸を白色固体として得た。MS:M−H(−ESI)=405.0.
【0275】
実施例34
4−フェニル−7−[(2,3,6−トリクロロベンジル)オキシ]−2−ナフトエ酸
【0276】
【化53】

【0277】
室温で、メチル7−ヒドロキシ−4−フェニル−2−ナフトエ酸(400mg、1.437mmol;J.Med.Chem.39,1996,3951)及び2,3,6−トリクロロベンジルブロマイド(473mg、1.725mmol)のアセトニトリル(25mL)中の撹拌溶液に、炭酸カリウム(238mg、1.725mmol)を一度に加えた。混合物を70℃で4時間撹拌した。ろ過及び蒸発により反応を処理した。次いで、残渣をMeOH15mL及びTHF15mLに溶解し、溶液を、NaOH(10N) 2mLと、60℃で2時間処理した。2.2M HPO 10mLで酸性化し、EtOAcで抽出した。有機層を従来通りに乾燥し、濃縮した。溶媒の除去後、残渣をエーテルで粉砕し、固体をろ過し、乾燥し、4−フェニル−7−[(2,3,6−トリクロロベンジル)オキシ]−2−ナフトエ酸を白色固体として得た。MS:M−H(−ESI)=455.0.
【0278】
実施例35
4−(3−チエニル)−7−[(2,3,6−トリクロロベンジル)オキシ]−2−ナフトエ酸
【0279】
【化54】

【0280】
室温で、エチル7−ヒドロキシ−4−(3−チエニル)−2−ナフトエ酸(150mg、0.503mmol)及び2,3,6−トリクロロベンジルブロマイド(179mg、0.654mmol)のアセトニトリル(15mL)中の撹拌溶液に、炭酸カリウム(104mg、0.754mmol)を一度に加えた。得られた混合物を60℃で一晩撹拌した。酢酸エチルで希釈し、シリカゲルパッドを通してろ過し、濃縮した。溶媒の除去後、残渣を、THF10mL及びMeOH10mLの混合物に再溶解し、溶液を、2N NaOH5mLと、50℃で2時間処理した。塩酸を加えることにより反応を処理し、酢酸エチルで抽出し、NaSOで乾燥し、濃縮した。残渣をジエチルエーテルで粉砕し、得られた固体をろ過し、乾燥し、所望の4−(3−チエニル)−7−[(2,3,6−トリクロロベンジル)オキシ]−2−ナフトエ酸を白色固体として得た。MS:M−H(−ESI)=462.8.
【0281】
実施例36
4−(4−イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−2−イル−フェニル)−7−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−ナフトエ酸
【0282】
【化55】

【0283】
実施例3、工程1からのエチル4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸(50mg、0.106mmol)、PdCl(dppf)−CHCl付加物(8.68mg、10.63μmol)、2−(4−ブロモ−フェニル)−イミダゾ[1,2−a]ピリミジン(43.7mg、0.159mmol)の混合物に、減圧下、DMF(2mL)及び2M炭酸カリウム(0.159mL、0.319mmol)を加えた。混合物を窒素雰囲気下、90℃で3時間撹拌した。水を加えることにより反応を処理し、酢酸エチルで抽出し、NaSOで乾燥し、濃縮した。溶媒を蒸発させ、残渣を、コンビフラッシュ(0〜100%EtOAc/ヘキサン)クロマトグラフィーにより精製し、所望のエステルを得た。このエステルをTHF1mL及びMeOH1mLに溶解し、2N KOH 1mLと室温で3時間処理した。クエン酸水溶液を加えることにより反応を処理し、酢酸エチルで抽出し、NaSOで乾燥し、濃縮した。残渣を、コンビフラッシュクロマトグラフィー(0〜30%溶媒A/DCM、溶媒Aは濃アンモニア及びMeOHの混合物(1:4)である)により精製し、所望の4−(4−イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−2−イル−フェニル)−7−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−ナフトエ酸を固体として得た。MS:M+H(+ESI)=510.0.
【0284】
実施例37
4−[4−(4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−フェニル]−7−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−ナフトエ酸
【0285】
【化56】

【0286】
実施例3、工程1からのエチル4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸(50mg、0.106mmol)、PdCl(dppf)−CHCl付加物(8.68mg、10.63μmol)、3−(4−ブロモフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール(35.7mg、0.159mmol)の混合物に、減圧下、DMF(2mL)及び炭酸カリウム(0.159mL、0.319mmol)を加えた。混合物を窒素雰囲気下、90℃で3時間撹拌した。水を加えることにより反応を処理し、酢酸エチルで抽出し、NaSOで乾燥し、濃縮した。残渣を、コンビフラッシュクロマトグラフィー(0〜100%EtOAc/ヘキサン)により精製し、所望の中間体エステルを得た。このエステルをTHF2mL及びMeOH1mLに溶解し、2N KOH 1mLと室温で3時間処理した。クエン酸水溶液を加えることにより反応を処理し、酢酸エチルで抽出し、NaSOで乾燥し、濃縮した。残渣を、コンビフラッシュクロマトグラフィー(0〜30%溶媒A/DCM、溶媒Aは濃アンモニア及びMeOHの混合物(1:4)である)により精製し、所望の4−[4−(4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−フェニル]−7−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−ナフトエ酸を固体として得た。MS:M+H(+ESI)=460.0及びM−H(−ESI)=458.0.
【0287】
実施例38
4−[4−(4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)フェニル]−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸
【0288】
【化57】

【0289】
工程1:
実施例3、工程1からのエチル4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸(470mg、1mmol)、PdCl(dppf)−CHCl付加物(82mg、0.1mmol)、4−(4−ブロモフェニル)−4−ピペリジノール(384mg、1.5mmol)の混合物に、減圧下、DMF(10mL)及び2M炭酸カリウム(1.5mL、3mmol)を加えた。混合物を窒素雰囲気下、95℃で3.5時間撹拌した。水を加えることにより反応を停止した。酢酸エチル及びジエチルエーテルで抽出し、一緒にした抽出物をセライトによりろ過し、NaSOで乾燥し、濃縮した。残渣を、濃NHOH水溶液、メタノール及びジクロロメタン(1:9:90)の混合物を用いるSiOによるクロマトグラフィーにより精製し、所望の中間体エステルを得た。1H NMR(500MHz,メタノール−d):δ8.71(s,1H),8.40(s,1H),8.04−7.94(m,4H),7.91(d,1H),7.81(d,2H),7.72(d,2H),7.53(d,2H),4.46(q,2H),3.38(d,2H),3.20(d,2H),2.26(td,2H),1.96(d,2H),1.46(t,3H).
【0290】
工程2:
工程1からのエステルをTHF7.2mL、MeOH3.6mLに溶解し、2N LiOH 1.35mLと55℃で3時間処理した。減圧下でほとんどの溶媒を除去し、希釈したHCl水溶液を約5のpHになるまで慎重に加えて懸濁液を得、酢酸エチル、THF及び食塩水を加えた。希釈したHCl水溶液を更に加え、混合物を更に少し酸性pHにした。混合物をEAで抽出した。一緒にした抽出物をNaSOで乾燥し、Phenomenex Max−RPカラム(100×21)による逆相クロマトグラフィーを用い、ギ酸0.6%を含む水中の20%〜50%アセトニトリルの勾配を用いて25mL/分の流速で7.5分間溶出して精製した。4.6分で溶出する生成物を集め、減圧下で溶媒を除去し、標題の化合物を得た。H NMR(500MHz,アセトン−d):δ8.65(s,1H),8.54(s,1H),8.37(s,1H),8.08−8.02(m,3H),7.94−7.83(m,4H),7.66(d,2H),7.52(d,2H),3.25(d,4H),2.37(s,2H),1.81(d,2H).
MS:M+H(+ESI)=492.1.
【0291】
実施例39
4−(4−{3−カルボキシ−6−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−ナフチル}フェニル)ピペリジニウムメタンスルホネート
【0292】
【化58】

【0293】
工程1:
実施例3、工程1において調製したエチル4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸(6g、12.76mmol)、4−(4−ブロモフェニル)ピペリジン(3.68g、15.31mmol)及びPdCl(dppf)(0.467g、0.638mmol)のジオキサン(42mL)及び2M炭酸ナトリウム(19.14mL、38.3mmol)中の混合物を、脱気した(真空−Nサイクル)。混合物を85℃まで加熱し、2時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、EtOAcで希釈し、ろ過した。水層をEtOAcで抽出し、一緒にした有機画分を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で溶媒を蒸発させた。残渣を、MeOH/DCM(0〜20%、5%NEtを混合)で溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、エチル4−(4−ピペリジン−4−イルフェニル)−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸を茶色の固体として得た。MS:M+H(+ESI)=504.2.
【0294】
工程2:
エチル4−(4−ピペリジン−4−イルフェニル)−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸(3.82g、7.59mmol)のテトラヒドロフラン(25mL)中の撹拌混合物にメタンスルホン酸(0.493mL、7.59mmol)を加え、混合物を0℃で5分間撹拌した。沈殿した固体をろ過し、空気乾燥し、EtOH/ヘキサン(80:20)で粉砕した。ろ過により固体を集め、空気乾燥し、4−(4−{3−(エトキシカルボニル)−6−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−ナフチル}フェニル)ピペリジニウムメタンスルホネートを無色の固体として得た。MS:M+H(+ESI)=504.2.
【0295】
工程3:
BOCO(2.55g、11.67mmol)及びトリエチルアミン(1.627mL、11.67mmol)を、4−(4−{3−(エトキシカルボニル)−6−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−ナフチル}フェニル)ピペリジニウムメタンスルホネート(2.8g、4.67mmol)のメタノール(8mL)中の、撹拌、冷却(0℃)混合物に加え、混合物を室温で45分間撹拌した。シリカゲルを加え、減圧下で揮発性成分を除去した。残渣を、EtOAc/ヘキサン(0〜50%)で溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、tert−ブチル4−(4−{3−(エトキシカルボニル)−6−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−ナフチル}フェニル)ピペリジン−1−カルボキシレートを無色の固体として得た。MS:M+Na(+ESI)=626.2.
【0296】
工程4:
tert−ブチル4−(4−{3−(エトキシカルボニル)−6−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−ナフチル}フェニル)ピペリジン−1−カルボキシレート(2.76g、4.57mmol)のTHF:MeOH:DMSO(24mL、1:1:1)中の撹拌混合物に4M水酸化リチウム溶液(8mL、32.0mmol)を加え、混合物を80℃で18時間撹拌した。酸性pH(<2)までHClを加え、溶液をEtOAcで抽出した。有機画分を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣を、EtOAc/ヘキサン(0〜10%、次いで、10〜50%からは1%AcOHを含む)で溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、4−{4−[1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−イル]フェニル}−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸を無色の固体として得た。MS:M−H(−ESI)=574.2.
【0297】
工程5:
4−{4−[1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−イル]フェニル}−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ナフトエ酸(2.9g、5.04mmol)のジクロロメタン中の撹拌混合物にTFA(3.88mL、50.4mmol)を加え、混合物を室温で90分間撹拌した。次いで、減圧下で揮発性成分を除去し、残りのTFAをヘプタン及びトルエンと共沸した。残渣(TFA塩)をDCMに懸濁し、メタンスルホン酸(MsOH)(0.35mL、5.39mmol)を加えた。最初の固体は溶解するが、他の1種は急速に沈殿した(MsOH塩)。この混合物を更に1時間撹拌し、次いで減圧下で揮発性成分を除去し、TFAをトルエンで共沸した。固体をジオキサン/DCM 1/2(30mL)中で2回洗浄し、水に溶解し、凍結乾燥して4−(4−{3−カルボキシ−6−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−ナフチル}フェニル)ピペリジニウムメタンスルホネートを無色の固体として得た。H NMR(400MHz,メタノール−d):δ8.78(s,1H),8.46(s,1H),8.07−7.93(m,5H),7.84(d,2H),7.54(q,4H),3.60(d,2H),3.24(t,2H),3.09(t,1H),2.74(s,3H),2.24(d,2H),2.05(q,2H).MS:M+H(+ESI)476.2;M−H(−ESI)474.1.
【0298】
医薬組成物の実施例
本発明の化合物の経口用組成物の特定の実施態様として、実施例の任意の1種の50mgの化合物を、十分に微粉化された乳糖を用いて製剤化し、総量580〜590mgが満たされた、サイズOの硬ゼラチンカプセルを提供する。
【0299】
本発明の化合物の経口用組成物の第二の特定の実施態様として、実施例の任意の1種の100mgの化合物、微結晶性セルロース(124mg)、クロスカルメロースナトリウム(8mg)及び未製粉の無水二塩基性リン酸カルシウム(124mg)をブレンダー中で十分に混合し、次いで、ステアリン酸マグネシウム(4mg)及びステアリルフマル酸ナトリウム(12mg)をブレンダーに加え、混合し、混合物を、直接圧縮のための回転式錠剤圧縮機に移す。得られた錠剤を、味を遮蔽するために、場合により、Opadry(登録商標)IIを用いてフィルムコーティングする。
【0300】
本発明を、特定の実施態様を参照して開示及び説明したが、当業者は、種々の変更、修正及び置換を本発明の趣旨及び範囲を逸脱せずになし得ることを理解するであろう。例えば、前記に記載の好ましい投与量以外の有効な投与量を、特定の病状について治療されるヒトの反応性における変化の結果として適用することができる。同様に、観察される薬理学的反応は、選択される特定の活性化合物、薬学的担体が存在するかどうか、製剤のタイプ及び用いられる投与方法により、及び依存して変化し得、結果におけるこのような予想される変形又は相違は、本発明の目的及び実施に従って意図される。従って、本発明は、以下の請求の範囲によってのみ限定され、このような請求の範囲は、妥当である限り広く解釈されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式I:
【化1】

[式中、Rは、
水素、
3−6シクロアルキル、
ベンジル、及び
1−6アルキルであって、該アルキルは、ヒドロキシ、アミノ、C1−4アルキルアミノ、ジ−(C1−4アルキル)アミノ、アミノカルボニル、C1−4アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−4アルキル)アミノカルボニル、C1−4アルキルカルボニルオキシ、C1−4アルキルオキシ又は1〜5個のフッ素で置換されていてもよく、からなる群から選択され;
は水素、フッ素又はヒドロキシであり;
は:
−(CHアリール、
−(CHヘテロアリール、
−OCH−アリール、
−OCH−ヘテロアリール、
−(S)CH−アリール、
−(S)CH−ヘテロアリール、
−CHO−アリール、
−CHO−ヘテロアリール、
−CH(S)−アリール、及び
−CH(S)−ヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、R中の任意のメチレン(CH)炭素原子は、独立して、フッ素、ヒドロキシ及び1〜3個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよく;又は2個の置換基は同一のメチレン(CH)基上にある場合、それらが結合する炭素原子と一緒になってシクロプロピル基を形成し;ここで、アリール及びヘテロアリールは、独立して、
ハロゲン、
シアノ、
ニトロ、
1−6アルコキシであって、該アルコキシは、独立して、フッ素、ヒドロキシ及びC1−3アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよく、
1−6アルキルであって、該アルキルは、独立して、フッ素、ヒドロキシ及びC1−3アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよく、
2−6アルケニルであって、該アルケニルは、独立して、フッ素、ヒドロキシ及びC1−3アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよく、
(CH−アリール、
(CH−ヘテロアリール、
(CH−ヘテロシクリル、
(CH−C3−6シクロアルキル、
(CH−OR
(CH−CO
(CH−N(R
(CH−CON(R
(CH−OCON(R
(CH−SON(R
(CH−SON(R)C(O)R
(CH−C(O)N(R)SO10
(CH−S(O)10
(CH−NR11SO10
(CH−NR11CON(R
(CH−NR11COR、及び
(CH−NR11CO10、からなる群から選択される1〜3個のR置換基で置換されていてもよく;ここで、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、トリフルオロメチル及びC1−4アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;R中の任意のメチレン(CH)炭素原子は、独立して、フッ素、ヒドロキシ及び1〜3個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよく;又は2個の置換基は同一のメチレン(CH)基上にある場合、それらが結合する炭素原子と一緒になってシクロプロピル基を形成し;
、R、R及びRは、独立して:
水素、
ハロゲン、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキル、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルコキシ、及び
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルチオ、からなる群から選択され;
は:
−(CH−アリール、
−(CH−ヘテロアリール、
−OCH−アリール、
−OCH−ヘテロアリール、
−(S)CH−アリール、
−(S)CH−ヘテロアリール、
−CHO−アリール、
−CHO−ヘテロアリール、
−CH(S)−アリール、及び
−CH(S)−ヘテロアリール、からなる群から選択され;ここで、R中の任意のメチレン(CH)炭素原子は、独立して、フッ素、ヒドロキシ及び1〜3個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよく;又は2個の置換基は同一のメチレン(CH)基上にある場合、それらが結合する炭素原子と一緒になってシクロプロピル基を形成し、
ここでアリール及びヘテロアリールは、独立して:
ハロゲン、
シアノ、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキル、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルコキシ、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルチオ、及び
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルスルホニルからなる群から選択される1〜3個のR置換基で置換されていてもよく;
各Rは、独立して:
水素、
1−6アルキル、
(CH−アリール、
(CH−ヘテロアリール、及び
(CH3−6シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、(CH中の任意の個々のメチレン(CH)炭素原子は、独立して、フッ素、ヒドロキシ、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよく、ここで、アルキル及びアルコキシは1〜5個のフッ素で置換されていてもよく;又は2個の置換基は同一のメチレン(CH)基上にある場合、それらが結合する炭素原子と一緒になってシクロプロピル基を形成し;ここで、アルキル、アリール、ヘテロアリール及びシクロアルキルは、独立して、ハロゲン、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;又は2つのR基は、それが結合する窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンから選択されるヘテロシクリル環を形成し、ここで、前記ヘテロシクリル環は、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、アルキル及びアルコキシは1〜5個のフッ素で置換されていてもよく;
各R10は、独立してC1−6アルキルであり、ここで、アルキルは、独立して、フッ素及びヒドロキシから選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよく;
11は水素又はR10であり;
各nは独立して0〜3の整数であり;
各mは独立して0〜2の整数であり;そして
各rは0〜2の整数である]の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
及びRが、それぞれ独立してアリール又はヘテロアリールであり、ここでRは1〜3個のR置換基で置換されていてもよく、そしてRは1〜3個のR置換基で置換されていてもよい、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が、それぞれが1〜3個のR置換基で置換されていてもよいフェニル又はチエニルである、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
が、1〜2個のR置換基で置換されていてもよい3−チエニルである、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
が、それぞれが1〜3個のR置換基で置換されていてもよいフェニル又はピリジルである、請求項2記載の化合物。
【請求項6】
がアリール又はヘテロアリールであり、該アリール及びヘテロアリールは1〜3個のR置換基で置換されていてもよく;そしてRが、−OCH−アリール又は−OCH−ヘテロアリールであり、該アリール及びヘテロアリールは1〜3個のR置換基で置換されていてもよい、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
が、フェニル又はチエニルであり、該フェニル及びチエニルは1〜3個のR置換基で置換されていてもよく;そしてRが、−OCH−フェニル又は−OCH−ピリジルであり、該フェニル及びピリジルは1〜3個のR置換基で置換されていてもよい、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
が1〜2個のR置換基で置換されていてもよい3−チエニルである、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
が、アリール又はヘテロアリールであり、ここでアリール及びヘテロアリールは1〜3個のR置換で置換されていてもよく;そしてRが、−OCH−アリール又は−OCH−ヘテロアリールであり、該アリール及びヘテロアリールは1〜3個のR置換基で置換されていてもよい、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
が、1〜3個のR置換基で置換されていてもよいフェニルであり;そしてRが、−OCH−フェニル又は−OCH−ピリジルであり、ここでフェニル及びピリジルは1〜3個のR置換基で置換されていてもよい、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
が、−OCH−アリール又は−OCH−ヘテロアリールであり、ここでアリール及びヘテロアリールは1〜3個のR置換基で置換されていてもよく;そしてRが、−OCH−アリール又は−OCH−ヘテロアリールであり、ここでアリール及びヘテロアリールは1〜3個の前記R置換基で置換されていてもよい、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
が、−OCH−フェニル又は−OCH−ピリジルであり、ここでフェニル及びピリジルは1〜3個のR置換基で置換されていてもよく;そしてRが、−OCH−フェニルであり、ここでフェニルは1〜3個のR置換基で置換されていてもよい、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
がフッ素又は水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
が水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項15】
がフッ素又は水素であり、そしてR、R、R及びRがそれぞれ水素である、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
が:
ハロゲン、
1〜3個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルキル、
1〜3個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルコキシ、及び
1〜3個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルキルチオからなる群から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項17】
が:
1〜3個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルコキシ、
−CO
−S(O)10
−C(O)R
【化2】

ヘテロシクリル、及び
ヘテロアリールからなる群から選択され、そして
及びRが、それぞれ独立して水素又はメチルであり、ここでメチルが1〜3個のフッ素で置換されていてもよい、請求項1記載の化合物。
【請求項18】
が:
【化3】

からなる群から選択される、請求項17記載の化合物。
【請求項19】
が、ヘテロアリール又はヘテロシクリルであり、ここでヘテロアリール及びヘテロシクリルは、独立してハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、トリフルオロメチル及びC1−4アルコキシから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい、請求項17記載の化合物。
【請求項20】
が、パラ位でR置換基で一置換されたフェニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項21】
が、パラ位でR置換基で一置換されたフェニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項22】
請求項1記載の化合物を、薬学的に許容される担体と併用して含む医薬組成物。
【請求項23】
治療を必要とする哺乳動物において、GPR105タンパク質の拮抗作用に応答する障害、病状又は疾患を治療するための、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項24】
前記障害、病状又は疾患が、2型糖尿病、インシュリン抵抗性、高血糖症、脂質障害、肥満症及びメタボリックシンドロームに関連する病状からなる群から選択される、請求項23記載の使用。
【請求項25】
治療を必要とする哺乳動物において、2型糖尿病、インシュリン抵抗性、高血糖症、脂質障害、肥満症及びメタボリックシンドロームに関連する病状を治療する薬剤の製造のための請求項1記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2011−505389(P2011−505389A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536298(P2010−536298)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【国際出願番号】PCT/CA2008/002105
【国際公開番号】WO2009/070873
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(305042057)メルク フロスト カナダ リミテツド (99)
【Fターム(参考)】