説明

Low−K誘電機能インプリンティング材料

実質的に平坦な回路において、導体が約3.0未満の誘電率をもつ無機材料によって分離される。その誘電体層は、放射硬化性組成物の最初は平坦な表面をインプリントすることによって導体のトレンチおよび/またはバイアスを定めるステップを含むプロセスにおいて形成される。インプリンティング用の型は、好ましくは、インプリント型が配置された状態で組成物がUV硬化されるようにUV透明性である。硬化性組成物は、有機修飾ケイ酸塩化合物と二次分解性有機化合物を含み、後者は、有機化合物が後で分解されてポリケイ酸塩のマトリックスを生成するときにナノスケールの細孔を形成する。その細孔は、別のやり方では密な二酸化ケイ素の有効誘電率を低下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(連邦委託研究開発に関するステートメント)
米国政府は、本発明における振込み済み実施権と連邦基準局(NIST)ATP Awardによって裁定された70NANB4H3012が提供する穏当な条件に基づき限定的付帯状況において他人に認可するよう本発明の所有者に要求する権利を有する。
【0002】
本発明は、集積回路を組立てる方法または材料に関し、詳細には、低誘電率を有する基板上に集積回路を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロエレクトロニクス工業においては、多レベル集積回路デバイス、例えば、メモリや論理チップ中の回路密度を高め、よって、それらの性能を向上させ且つそれらのコストを低減したいという絶えざる要求がある。この目標を達成するためには、チップ上の最小細部サイズ、例えば、回路の線幅を減ずることも望ましく、且つまた、挿入された誘電体材料の誘電率を減らして漏話や容量結合を増大させずに回路の配線のより密なスペーシングを可能にすることも望ましい。さらに、入出力回路を含む、集積回路デバイスの配線のバックエンド(BEOL)領域に利用されているような誘電体材料の誘電率を減らして、デバイスに必要な駆動電流と電力の消費量を減少させたいという要求もある。
【0004】
集積回路において最も一般的に使用される誘電体材料は、約4.0の誘電率を有する二酸化ケイ素である。二酸化ケイ素は、現行の半導体デバイスの大部分を形成するのに用いられる平面シリコンウェーハの表面上で容易に成長させ又形成させることができる。二酸化ケイ素は、半導体製造に関連した処理操作や熱サイクリングに耐えるのに必要な機械的且つ熱的諸特性を有する。しかしながら、将来の集積回路デバイスに向く誘電体材料は、現行の二酸化ケイ素によって提示されるより低い誘電率(例えば、<3.0)を示すことが望まれる。無機材料は、約3より低い誘電率に対して固有の限界を有する故、比較的低い誘電率を得るために幾つかのタイプの代替材料が開発されている。これらの多数の代替材料は有機ポリマーであり、これは、少なくとも部分的にフッ素化されると、約3未満の誘電率とすることができる。しかしながら、適切な有機ポリマーの開発や、それらの堆積とパターン化は、顕著な課題を提起する。有機材料の選択または精選は、しばしば、金属被覆または半導体組立のような、プロセスの他の局面において比較的高い温度処理の必要性によって制限される。代替材料の別のタイプは、比較的低い有効誘電率を得られるように分散された微小空隙または細孔をもつ無機材料である。そのような材料を開発する努力は、大抵、文献に記述されている(例えば、非特許文献1参照)。さらに、(i)基板、(ii)その基板上に配置された金属の回路配線、(iii)その回路配線上に配置された誘電体材料から成る集積回路デバイスを形成するプロセスも教示されている(例えば、特許文献1参照)。その誘電体材料は多孔質の有機修飾ポリシリカを含む。
【0005】
多孔質の無機材料は、他の誘電体材料同様、本来は、比較的高い処理温度に耐えることができるとはいえ、パターン化プロセスの複雑さに起因して余分の課題が持ち上がる。リソグラフィの技術がデバイスの微小組立に採用されることが多い。慣習的に、フォトリソグラフィは、誘電体材料の部分をそれが基板上に堆積された後で決めまたは除去するのに用いられてきた(例えば、非特許文献2参照)。一例として微小回路組立を用いて、フォトレジスト材料が、平面基板上の堆積後に誘電体材料に塗布される。次に、レジスト層が選択的に放射のフォームに合わせて露光される。露光ツールとマスクは、しばしば、所望の選択露光に作用するように使用される。レジストのパターンは、誘電体層が後段の「現像ステップ」を経るときに形成される。現像後に残っているレジストの領域は、それらが覆っている誘電体と基板を保護する。レジストがそこから除去されている場所は、パターンを基板表面へ移す様々な付帯(例えば、リフトオフ)または減少(例えば、エッチング)処理に掛けられる。しかしながら、フォトリソグラフィは、微小回路における線幅や細部サイズを縮小するために比較的短い波長源とより複雑な光学系の利用を要求するという固有のサイズ限界を有する。
【0006】
従って、米国特許第5,895,263号のプロセスにおいては、low−K誘電体層が最初に形成されなければならず、次いで、導体材料の堆積以前にパターン化されなければならない。要求される複数の処理ステップは、処理時間を固有的に増大させて、その結果、コストが比較的アップし且つ製品の歩留りが一般的に減少することになる。
【0007】
さらに、線幅と導体間の間隔である、回路細部のサイズを縮小させることが望まれるので、代替無機材料は、これらの細部のサイズの一部分である細孔サイズでの堆積ができなければならない。
【0008】
【特許文献1】1999年4月20付けで発行された、米国特許第5,895,263号明細書(Carter等)
【非特許文献1】J.H.Golden,C.J.Hawker and P.S.Ho,“Designing Porous low−K Dielectrics,” Semiconductor International,May 2001
【非特許文献2】S.Wolf et al.,Silicon Processing for the VLSI Era, Volume 1 ― Process Technology,(1986),pp.407−413
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それ故、本発明の第一の目的は、導電線および/またはバイアス間に低誘電率の材料を含む集積回路の組立ての改善された方法を提供することにある。
【0010】
本発明の別の目的は、平面基板の上にパターン化された低誘電率の無機材料を最少の数の処理ステップで堆積させるプロセスを提供することにある。
【0011】
本発明のさらに別の目的は、パターン化された低誘電率の無機材料を堆積させるための強靭な繰返し可能なプロセスを提供することにある。
【0012】
その他の目的および利点は以下の開示から明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明において、前述の目的は、マイクロ回路特徴細部に対応するレリーフ(浮彫り)画像を実質的に平坦な基板上で成型するのにインプリント(刻印)リソグラフィを活用することによって達成される。インプリント成型プロセスは、後で多孔質の低誘電率無機材料に変換される重合性樹脂組成物を活用する。
【0014】
レリーフ画像を形成する方法は、少なくとも、実質的に平坦な基板を重合性液体組成物で覆い、その後、その重合性液体組成物をそこにレリーフ構造が形成されている型と接触させて重合性液体組成物が型のレリーフ構造を実質的に満たすようにし、基板上で液体組成物を重合させ且つ凝固された高分子材料をそこから形成する条件にその重合性液体組成物を曝し、固体の高分子材料から型を分離して型のレリーフ構造のレプリカが凝固された高分子材料に形成されるようにするステップを含む。重合性組成物は、好ましくは、ポロゲン(porogen)として知られている分解性有機成分を含むUV硬化性の有機の修飾ケイ酸塩である。細孔は、重合された有機の修飾ケイ酸塩を無機材料に変換する後段の処理中、有機ポロゲンが分解する際にそのまま残る。
【0015】
UV硬化は、好ましくは、UVに透明性の型を通して実行されるので、インプリンティングのための強靭なプロセスを達成するという別の目的は、有機修飾ケイ酸塩、分解性有機化合物、フルオロ界面活性剤を含むUV硬化性の重合性液体を使ってインプリント成型ツールからの硬化組成物の剥離を改善するステップを含む。
【0016】
本発明の他の目的は、UV硬化性有機修飾ケイ酸塩、分解性有機化合物、溶媒を含む組成物を供給し、ついで、その組成物を基板上にスピンコーティングし、溶媒を除去し、残存組成物で回路パターンをインプリントし、残存組成物をUV硬化させ、組成物を加熱して有機修飾ケイ酸塩を縮合し且つ分解性高分子を分解して多孔質のパターン化誘電体層を形成するようにし、そして多孔質の誘電体材料で形成されたパターン内に金属導体を堆積させるステップを含む。
【0017】
本発明の上記およびその他の目的、効果、特徴、利点は、添付図面と関連して採用されたその実施形態についての下記記述からさらに明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1〜図8を参照して、ここでは類似参照番号は様々な図面において類似成分を指すが、ここで全体を100として表された、低誘電率を有する新規の且つ改良された回路が示されている。
【0019】
レリーフパターンを形成するインプリンティングの方法は、2002年1月1日付けのWilson、等に対する米国特許第6,334,960号に教示されている。
【0020】
本発明において、重合性材料は、化学線放射に曝されると架橋または反応して型の形状を複製する非液体材料を形成する有機官能基を有する修飾ケイ酸塩である。硬化または重合された修飾ケイ酸塩は、その後、型から取出した後、そこでの有機官能基の熱分解で無機ケイ酸塩に変換される。重合性材料は、また、分解すると無機ケイ酸塩に細孔または空隙を形成する、1つ以上の成分を含む。図7および図8にさらに詳細に示されているように、細孔形成材料は、重合性材料上で混合され、溶解されまたは分散された個別成分であるか、または有機修飾ケイ酸塩に化学結合される。型を複製する固体への重合性液体の変換後、ケイ酸塩と細孔形成材料に結合された有機基を分解すると同時に、無機ケイ酸塩への変換を実質的に完了するのに1つ以上のステップが使われる。この場合、水は、Si−O−Si連鎖を形成してシリコンに結合された残留水酸基から縮合される。当該プロセスは、ケイ酸塩のネットワークが分解性細孔形成材料の周りに形成して、ナノメートル規模の空隙または細孔を残すようなやり方で実施される。重合性液体組成物は、また、好ましい実施形態に関連して後にさらに記述されるように、希釈剤と、限定するものではないが、触媒や光開始剤のような、重合性液体に採用されたその他の材料も含む。
【0021】
本発明の方法に用いられる型は、限定するものではないが、水晶、シリコン、有機ポリマー、シロキサンポリマー、ホウケイ酸ガラス、フルオロカーボンポリマー、金属や、上記の組合せのような種々の在来材料から形成される。好ましくは、当該材料は、型がUV透明性でありその型によって覆われた重合性液体組成物を外部放射源に曝すことを可能にするように選択される。従って、水晶の型が最も好ましいものである。固体の高分子材料からの型の剥離を容易にするために、当該型は、表面改質剤で処理される。採用される表面改質剤は、当分野で知られているようなものを含む。表面改質剤の一例は、フルオロカーボンシリル化剤である。これらの表面改質剤または剥離材料は、例えば、プラズマ源、パリレン堆積プロセスの類型のような化学蒸着法(CVD)、または溶液からの堆積を含む処理により塗布される。
【0022】
これより、本発明の好ましい実施形態が示されている添付図面に合わせて本発明の方法を詳細に記述する。図1は、本発明の方法を実施するための逐次シーケンスにおける第一ステップを説明するもので、これは、基板10の上にlow−k誘電体材料と回路パターンを堆積させるステップである。図1に示されたように、UV透明性の型30は、型30の底面31と基板10の間にギャップ40が形成されるように基板10の近くに置かれる。型30は、好ましくは約0.1〜約10、より好ましくは約0.5〜約2の範囲にあるアスペクト比を有するナノスケールのレリーフ構造がそこに形成されている。詳細には、当該型のレリーフ構造は、典型的には、複数の突出部41から構成され、それらの各ペアがそれら間に溝43を形成する。突出部41と溝43の幅w1と深さd1は、約10nm〜約5,000ミクロンである。しかしながら、理解されるべきは、突出部41と溝43は実質的に任意の細部特徴に対応し得るということである。
【0023】
図2を参照して説明すると、重合性液体組成物は、好ましくは、それが効率的な方法で溝43を満たして基板10上に組成物50の接触層を形成できるような低粘度を有する。例えば、組成物50の粘度は、25℃において約0.01センチポアズ(cps)〜約100 cpsの範囲にあり、より好ましく、この温度で約0.01 cps〜約5 cpsの範囲にあることである。組成物50を堆積させるための例示的技術は、組成物50の1つ以上の間隔をもたせたばらばらの液滴(図示せず)を基板10上に堆積させる方法を採用する。典型的に、当該液滴(図示せず)は、組成物50の液滴(図示せず)が吸収されて、型30との相互作用、例えば、機械的接触、電気的接触、等によって基板10上に連続した層を形成するときにガスの捕捉を最小にするパターンに配列される。例示的実施形態においては、組成物50の液滴(図示せず)が基板10の上に配置される。型30と液滴(図示せず)間の接触が首尾よく行われる。それに応じて、組成物50が基板10の上に連続した層を形成する。型30と組成物50間の接触が行われる以前に型30と基板10および液滴(図示せず)の両方との間で決まる、基板10の領域を、例えば、5ポンド/平方インチ(psi)で流されたヘリウムガスでパージするのが望ましい。例示的パージ技術は、「SINGLE PHASE FLUID IMPRNT LITHOGRAPHY METHOD」のタイトルの、2003年10月2日にファイルされた米国特許出願no.10/677,639に開示されている。
【0024】
あるいは、重合性液体が、最初に、例えば、スピンコーティング技術を用いて、実質的に均一な液体層として基板10の上に堆積される。その後、型30が図2に示されたのと同じ近さで置かれる。そのような場合、当該液体は前述の低粘度を有する必要はないが、当該液体の粘度は約200,000 cPs未満であるべきである。
【0025】
さらに、下に記述されるように、好ましいオリゴマーより高い分子量を有する種々の架橋可能有機ポリケイ酸塩を使用するのが好まれる限り、その混合物は、不活性希釈剤として溶媒を含む。当該溶媒は、特定の細孔形成材料および(後のより好ましい実施形態に記述された)フルオロ界面活性剤を溶解するかまたは平面基板上でのスピンコーティングに十分供される低レベルまでその粘度を簡単に低下させることができるように選択される。スピンコーティング後、その溶媒は、例えば、約100℃で約1時間にわたる真空または熱蒸発によって除去される。その後、溶媒を含まない、平坦化液体は、そこに型を接触させることにより直接インプリントされる。
【0026】
本発明のデバイスに向く適切な基板は、ケイ素、二酸化ケイ素、ガラス、窒化ケイ素、セラミックス、アルミニウム、銅、ガリウムのヒ化物を含む。その他の適切な基板は、当業者に知られるであろう。多層集積回路デバイスにおいて、絶縁され、平坦化された回路配線の下地層も基板として機能し得る。
【0027】
次に図2を参照する。重合性液体組成物50は、その後、その液体を重合するのに十分な条件に曝される。好ましくは、重合性液体組成物50は、その液体組成物を重合し且つ図3に60で表された凝固ポリマー材料を形成するのに十分な放射に曝される。より詳細には、重合性液体組成物は、例えば、熱またはその他の放射形のような液体を重合させるためのその他の手段も採用されるが、紫外光線に曝される。理解すべきは、いくつかの実施形態において、この場合、露光が基板を通して行なわれる、UV透明性材料を使用することが、およびさらに別の実施形態では、UV不透明な型の使用が望ましいかも知れないということである。
【0028】
液体組成物の重合を開始させる方法の選択は、当業者に周知であり、そして、典型的には、望まれる具体的な用途に依存する。一般的に言えば、有機修飾ポリケイ酸塩は、ケイ素、炭素、酸素、水素原子を含むオリゴマーまたはポリマーの化合物である。本発明の方法に使用できる重合性(または架橋可能)材料は、しばしば、それ自体ポリマーまたはオリゴマーの形で提供される種々のケイ素含有材料を含む。適切な有機ポリケイ酸塩は、(i)シルセスキオキサン(silsesquioxanes)、(ii)部分的に縮合されたアルコキシシラン(例えば、約500〜20,000の数平均分子量を有する制御加水分解テトラエトキシシランによって部分的に縮合されたもの)、(iii)組成RSiO3およびR2SiO2、ここでRは有機の置換基、を有する有機性修飾ケイ酸塩および(iv)組成SiOR4を有する部分的に縮合されたオルトケイ酸塩を含む。シルセスキオキサンは、タイプRSiO1.5、ここでRは有機の構成要素、のポリマーケイ酸塩材料である。ケイ素含有材料は、好ましくは、重合性液体組成物の重量に基づいて約10パーセントを上回る量で、およびより好ましくは、約20wt%を上回る量で元素ケイ素を含む。
【0029】
ケイ素含有の重合性材料は、また、非限定例として、エポキシ基、ケトン基、アセチル基、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、上記の組合せを含む変形由来の1つ以上のペンダント官能基を含む。何らかの理論に束縛されることを望まないが、適切な重合性液体組成物は、限定するものではないが、酸触媒、遊離基重合、カチオン重合、または2+2光環状付加、等のような様々な反応メカニズムに従って反応すると思われる。
【0030】
有機ポリケイ酸塩の最も好ましい形は、比較的低分子量であるが、分子当り2つ以上のペンダントと反応性官能基を主に有するものである。そのような有機性修飾ケイ酸塩は、商標「ORMOCER」タイプの樹脂で市販されておりそしてMicro Resist Technology GmbH(Berlin,Germany)から入手可能である。典型的に、これらの材料は、有機性修飾シラン、特に、図7に示された分子710,720、730、740の混合物のような、アルキルトリアルコキシシラン、の制御加水分解や縮合によって形成される。種720 R−−Si(OX)3、従来のアルコキシド前躯体、に関する非限定例として、Xは、例えば、CH3、CH2H5、CH3H7、CH4H9を表している。Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、アリール、フェニル、(Rが−(OX)である)アルコキシのような任意の有機フラグメントである。分子730においては、Wは、好ましくは、アリールまたはフェニルである。タイプ710,720、730、740の分子の比率は、可能な結果として生ずる生成物種の分子量、架橋とガラス転移温度に影響するよう変更される。トリアルコキシシランの有効部分は、より好ましくは、種710におけるように、反応性官能基を有し、ここで、Rは、今度は、メタクリレート基で終結する。あるいは、Rは、例えば種740のように、エポキシド基で終結する。正しく認識されるべきは、Rは、また、メタクリレート、アクリレート、ビニル、エポキシド、等においても終結して、UV光線や適切な光開始剤および/または触媒で活性化される架橋可能官能性を与えるということである。710および740のいずれかについては、Zは、任意に、H、CH3、CH2H5、CH3H7、C4H9または細孔形成材料P2またはP3である。ここで用いられるとき、用語「ORMOCER」は、上記の材料並びに、時々、商標ORMACOREおよびORMACLADと呼ばれる、その他の有機性修飾セラミックスを含む。留意されるべきは、組成物のある部分に関して、低めの誘電率以外の諸特性を与えるべく混合金属酸化物の材料を生成することが望まれる限り、Siは、代替的に、Ti、Zr、またはAlでよいということである。
【0031】
縮合反応700で、前述のトリアルコキシシラン反応物は、1つ以上の反応性官能基をもつ種々のタイプの架橋ネットワークを形成する。従って、初期縮合反応が起こると、−OX基が除去され、その結果、750として示された包括的構造を有するSi−O−結合ネットワークが形成される。ネットワーク750のケイ酸塩部分が、縮合反応700において形成されたその他の種に関して卵型として図式的に示される。初期反応の正確な組成と比率に依存して、縮合重合反応700は、熱的にまたは光活性化放射に曝されると適切な光開始剤および/または触媒で相互に架橋される1つ以上のメタクリレート、アクリレート、ビニル、エポキシド、等を有する種々の種を生成する。RまたはZが交互にポロゲンであるとき、上記縮合反応において指定されたP2またはP3は、ポロゲンペンダント基をSi−O−結合ネットワーク750へ、755のように結合する。P3は、追加ペンダントのメタクリレート、アクリレート、ビニル、エポキシド、等の架橋できるペンダント官能基を有する構造と分子を含むことが意図される。従って、P2とP3は、細孔サイズと分布を変更または最適化する、オリゴマーまたはポリマーでよい。例えば、トリメトキシシリルノルボルネン(trimethoxysilyl norbornene:TMSNB)およびトリエトキシシリルノルボルネン(TESNB)ポリマー(Promerus,Brecksville,OH)が前述の化学的に結合されたポロゲンとして用いられてきた。このことは、「Chemically Bonded Porogens in Methylsilisesquioxane,I.Structure and Bonding」、Journal of the Electrochemical Society,149(12)F161−F170(2002)においてPadovani、等によって記述されている。あるいは、P1またはP2は、重合成液体の粘度を最小にするために好まれたポリヒドロキシル終結または分枝されたヒドロキシル終結種をもつ種々の分子量のポリ(カプロラクトン)またはその他のポリオール類でよい。
【0032】
従って、反応700は、中でも、種741になり、これは、エポキシドのペンダント基をもつSi−O−結合ネットワーク750を有し、一方、その他の生成物は、メタクリレートのペンダント基をもつSi−O−結合ネットワーク750を有する種744を含む。対照的に、代替として、種742は、エポキシドとメタクリレートのペンダント基をもつSi−O−結合ネットワーク750を有し、一方、種743は、2つのメタクリレートペンダント基をもつSi−O−結合ネットワーク750を有する。反応700の別の生成物は、エポキシド、メタクリレート、細孔形成ペンダント基をもつSi−O−結合ネットワーク750を有する種755である、P2。種760では、Si−O−結合ネットワーク750は、ペンダントエポキシドとメタクリレートの両方および細孔形成ペンダント基を有し、P3、ここで、P3は、結合されるかまたはそこからぶら下がっている、メタクリレートである、第三のペンダント反応性基を有する。
【0033】
図8は、液体810または815の重合中とその後の多孔質誘電体材料835または840への変換中に起こる化学反応を示す。反応700の結果を以って開始して、重合性液体として適する2つ以上のペンダント反応性基をもつSi−O−結合ネットワーク750を含む実質的な数の化合物をもたらす。理解すべきは、ポロゲン、P1は、重合性液体中に相分離されているかまたは溶解されている単純混合物として存在し得るということである。ポロゲンが相分離される場合、それは、3〜50nm規模の粒径をもつ安定なエマルションであるべきである。当該混合物は、841、エポキシドおよび2つのメタクリレートのペンダント基をもつSi−O−結合ネットワーク750のような、その他の種を含み得る。代替種860において、2つのメタクリレート基はSi−O−結合ネットワーク750からぶら下がっており、加えて、ポロゲン基、P3は、エポキシド基がそこからぶら下がっている。種861において、エポキシド基、メタクリレート基とポロゲンは、Si−O−結合ネットワーク750からぶら下がっている。従って、重合性液体は、ペンダント反応性基とポロゲン材料がその液体中に結合され、溶解されまたは分散されているSi−O−結合ネットワーク750を含む。
【0034】
好ましくは、型が配置された状態で液体が光活性化放射に曝される、後段の重合ステップ815は、固体の架橋樹脂880になる。従って、その混合物がエポキシド基を含む場合、望ましいのは、架橋されたネットワークの完全な硬化が単一段で達成されるように酸を作り出す光開始剤を含み、その結果、型が迅速に除去されそして他のデバイスまたは基板の一部をインプリントするのに使用される。
【0035】
あるいは、光開始剤に依存して、後段の架橋反応810が、最初に、メタクリレート基を介して起こる。これは、粘度を高めるかまたは最終熱硬化処理820の前に有機ケイ酸塩前駆体を部分的に架橋することを望むなら好ましいかも知れない。これは、残留エポキシド基をどれも架橋し、また、三次元の架橋ネットワーク880を有する固体材料を形成する。光活性化放射への最初の露光後にエポキシド基が存在するとき、硬化操作は、ソフトベークと呼ばれる操作を80−120℃間で5分以下の間行い、続いて、約120−240℃の間の高めの温度の硬化を約3時間未満の間行う、多ステップで達成される。
【0036】
図4における多孔質ケイ酸塩70を形成するべく、有機修飾ケイ酸塩を分解させる最終ステップは、好ましくは、当該材料を窒素雰囲気中で約1時間の間約425−450℃まで加熱する条件下で行う。しかしながら、分解処理条件は、また、有機修飾ケイ酸塩に比較するとポロゲンの分解速度の微分温度依存に依存して、複数ステップで実施してもよい。しかしながら、ポロゲンの有機的分解と除去が、最終多孔質誘電体材料890に導く1−段プロセス835であるか、または2ステップで行われるかどうかに関わらず、基本的に同一の反応化学作用は、ケイ素上の有機基ペンダントが分解されるときにステップ830で生ずる。有機修飾ケイ酸塩は、部分的縮合重合700の結果として幾つかのヒドロキシル基を含む。ヒドロキシル基は、図8においてSi−OHで表される。高めの温度での最終ステップ840において、水が隣接のSi−OH基から凝縮され、実質的に無機シリカのネットワークを形成する。同時に、相分解されるポロゲンP1、P2またはP3が分解し、好ましくは、約3〜30nmまたは細部特徴サイズw1とd1の約10分の1の直径を有する、ナノスケールの細孔を形成する。
【0037】
図3に戻って説明すると、上述の硬化または重合処理815または810/820が完了すると、型30が除去されて、基板10の上に堆積された凝固したポリマー材料を後に残す。パターン化された有機ケイ酸塩のコーティングは、平坦部62で囲まれた溝61を有する。図4で示されたように反応835または840のいずれかに続いて、得られるパターン化ポリマー材料60は、これも細孔41が均一に分散された状態で、平坦部72で囲まれた溝71を有する、実質的に無機の多孔質誘電体のコーティング70に変換される。
【0038】
本発明の別の特徴は、回路配線の上および/または回路配線の間と基板上に配置される誘電体材料を形成するステップである。多レベル集積回路デバイスにおいて、誘電体材料は、しばしば、回路配線の次の層のリソグラフ形成のための基板として機能するよう平坦化される。誘電体材料は、多孔質の有機ポリケイ酸塩を含む。
【0039】
図5を参照して、本発明の集積回路を形成するプロセスの次のステップにおいて、金属化膜80がパターン化誘電体層70の上へ堆積される。好ましい金属化材料は、適切な回路配線をもたらすよう選択され、従って、銅、タングステン、アルミニウム、ケイ化物、金、銀、またはそれらの合金のような、金属化導電体材料を含む。当該金属は、化学蒸着法(CVD)、プラズマ強化CVD、電着性(electro)と非電着性(electroless)堆積、スパッタリング、等のような当分野で周知の技術によってパターン化誘電体層の上へ適切に堆積される。任意に、回路配線は、ニッケル、タンタルまたはクロムの層のような金属化ライナーまたは障壁または付着層(例えば、SiN、TiN)のような、その他の層によって被覆されてもよい。
【0040】
図6を参照して、本プロセスの最終ステップは、金属で充填された溝91の頂上面が、大部分、パターン化誘電体層72の頂上面と水平にして、集積回路デバイス100になるように余分の金属化材料の除去(例えば、金属化膜80を平坦化すること)を含む。デバイス100は、一般に、基板10、金属化回路配線90、誘電体材料70を含む。平坦化は、化学的/機械的研磨技術または選択湿式または乾式エッチングを利用して達成される。適切な化学的/機械的研磨技術は、当業者に知られるであろう。デバイス100において、相互に連結された回路配線90は、デバイスに電気信号を分配し、且つデバイスへ電力を入力し、デバイスからの信号を出力させるように機能する。適切な集積回路デバイスは、一般に、多層の回路配線を含み、これは垂直の金属化スタッド(図に示されていない)によって相互に連結される。
【0041】
より好ましい実施形態において、重合性組成物は、インプリント型またはツールの解放特性や性能寿命を改善するためにフルオロ界面活性剤を含む。現在好まれるフルオロ界面活性剤は、商標NOVEC FC−4432を付して3M Performance Materials Division(St.Paul,MN)Fluorosurfactantによって販売された非イオン性ポリマーのフッ素化合物界面活性剤である。代替フルオロ界面活性剤は、DuPont Corporation(Wilmington,DE)から入手可能な、ZONYL FSO−100を含む。
【0042】
好ましい重合性液体組成物において、Si−に対する分解性ポリマー(ポロゲン)のパーセントまたは割合は、所望の誘電率と誘電体層に要求される最終的な機械的強度と耐久性に依存して、約10〜40容積%の、そしてより好ましくは、20〜30%の細孔容積を生ずるよう選択され、ナノスケールの細孔に関してさえ、全多孔度を増大させることで強度と耐久度が減少することが理解される。ポロゲン成分は、好ましくは、当該組成物の約10〜50wt%から構成される。加えて、有機修飾ケイ酸塩が少なくとも約10wt%のケイ素を含むなら望ましい。より好ましくは、有機修飾ケイ酸塩は、約50,000を下回る分子量を有する。そのような条件下で、重合性液体組成物は、好ましくは、約200,000 cPsを下回る粘度を有する。
実例1
【0043】
本発明の重合性液体に向く好ましい組成物の理論的例として、79.5g ORMOCER b59 UV硬化性有機修飾ケイ酸塩、ポロゲンとしての20g TONE 0301、さらに0.5g FC4432フルオロ界面活性剤が合わせて混合される。ORMOCER b59は、適切な光開始剤と予め混合されて製造元から入手できるので、上記組成物は、365nmを含む波長のUV放射に曝されるとき上述されたようなインプリント成型に使用することができる。「TONE」0310は、比較的低融点を有するポリ(カプロラクトン)ポリオール(CAS Reg.No.37625−56−2)であり且つ約900の数平均分子量と、187.0のヒドロキシル数(mg KOH/g)をもつ三官能性(3− OH基/分子)であり、DowChemical Company(Midland,MI)から入手できる。過度の実験を経ずに適当であると思われるその他のポリカプロラクトンはCAPA 3031を含み、これは、Solvay Caprolactones(Warrington,Cheshire,United Kingdom)から入手可能である。
【0044】
本発明のプロセスは、細孔生成プロセスに先立つ型の微小レリーフの存在が比較的大きい細孔の核形成と成長の傾向を最小にする故、最小細孔サイズの達成を可能にするものと期待される。
【0045】
正しく理解されるべきは、当業者は、本発明の方法がエンドユーザの具体的なニーズに従って最適に機能するように基板、型、重合性液体組成物、表面修飾剤、その他の任意の材料を選択し得るということである。
【0046】
本発明が好ましい実施形態と関連して記述されてきたが、本発明の範囲を説明された特定の形に限定しようとするつもりはなく、むしろ、添付クレームによって明らかになる本発明の精神と範囲内にあり得るような変更、修正、および相当物を含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】低誘電率材料をインプリントするプロセスにおける最初のステップとして、基板に対して型を示す略断面正面図である。
【図2】低誘電率材料をインプリントするプロセスにおける次のステップとして、型と基板の間の重合性液体の堆積を示す略断面正面図である。
【図3】低誘電率材料をインプリントするプロセスにおける後ステップで、型の除去後に基板上に配置された重合液を示す略断面正面図である。
【図4】低誘電率材料をインプリントするプロセスにおける後ステップで、多孔質誘電体材料への変換後に基板上に配置された重合材料を示す略断面正面図である。
【図5】回路を形成するプロセスにおける後ステップで、多孔質誘電体材料上に堆積された電導性材料を示す略断面正面図である。
【図6】先のステップで、堆積された電導性材料を平坦化することによって形成された回路を示す略断面正面図である。
【図7】重合性液体を形成するのに任意に用いられる様々な有機性修飾ケイ酸塩を作り出すための代替方法の略図解である。
【図8】図2、3および4において液体の重合およびそれに続く多孔質誘電体材料への変換中に生ずる化学反応の略図解である。
【符号の説明】
【0048】
10 基板、30 UV透明性の型、41 突出部、43 溝、50 組成物、70 パターン化誘電体層、80 金属化膜、100 集積回路デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路を形成するプロセスにおいて、
a)i)UV硬化性有機修飾ケイ酸塩と
ii)分解性有機化合物とを含むインプリント用組成物を生成するステップと、
b)型を使って残留組成物に回路パターンをインプリントするステップと、
c)残留するインプリントされた組成物をUV硬化させるステップと、
d)インプリント型を除去するステップと、
e)有機修飾ケイ酸塩を縮合させ且つ分解性化合物を分解させるべく前記組成物を加熱して多孔質のパターン化誘電体層を形成するステップと
を有することを特徴とするプロセス。
【請求項2】
前記型がUV透明性であり且つUV硬化性露光が前記型を通して行われることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
UV露光が基板を通して行われることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
インプリント用組成物が溶媒を含み且つ
a)前記組成物を基板上にスピンコーティングし、
b)前記組成物に回路パターンをインプリントする処理に先立って、前記溶媒を除去する
ステップを含むことを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
インプリント用組成物がさらにフルオロ界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記の分解性有機化合物がポリカプロラクトンであることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記の分解性有機化合物が前記のUV硬化性有機修飾ケイ酸塩に化学的に結合されることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
物質の組成物であって、
a)UV硬化性有機修飾ケイ酸塩と、
b)分解性有機化合物とを含み、
c)前記化合物の粘度が約200,000 cps未満であること
を特徴とする物質の組成。
【請求項9】
さらに、フルオロ界面活性剤を含むことを特徴とする請求項8に記載の物質の組成。
【請求項10】
前記の分解性有機化合物がポリカプロラクトンであることを特徴とする請求項9に記載の物質の組成。
【請求項11】
前記の分解性有機化合物が前記のUV硬化性有機修飾ケイ酸塩に化学的に結合されることを特徴とする請求項9に記載の物質の組成。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−517480(P2008−517480A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537939(P2007−537939)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/037063
【国際公開番号】WO2006/044690
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(503193362)モレキュラー・インプリンツ・インコーポレーテッド (94)
【Fターム(参考)】