説明

NF−κBの阻害剤

本発明は、癌、炎症、自己免疫疾患、糖尿病および糖尿病合併症、感染、心血管疾患および虚血性再灌流障害の処置のための式(1)および(2)の化合物、およびその製薬学的に許容され得る塩に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、癌、炎症、自己免疫疾患、糖尿病および糖尿病合併症、感染、心血管疾患および虚血性再灌流障害の処置のための式(1)および(2)
【0002】
【化1】

【0003】
の化合物、およびその製薬学的に許容され得る塩に関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
NF−κB(活性化B細胞の核内因子κ−軽鎖エンハンサー)は、p65(RelA)、c−Rel、RelB、p50(NF−κB1)およびp52(NF−κB2)のヘテロ−またはホモ−二量体からなる転写因子のファミリーである(非特許文献1)。NF−κBの古典的な、すなわち正規経路(canonical pathway)では、種々の細胞膜レセプターの刺激がIκB(インヒビタータンパク質)のリン酸化、ユビキチン化およびプロテアソーム分解を導き、これが転写を開始するp65/50ヘテロ二量体の核内移行をもたらす。この正規経路はIκBβキナーゼ、26Sプロテアソームまたはp65のDNAへの結合により効果的に遮断することができる。別の、すなわち非正規経路は、阻害的なアンキリン含有タンパク質NF−κB2/p100のタンパク質分解を介して調節されてp52を放出し、これが典型的にはRelBと二量体化する。さらにp52/c−Relおよびp52/p65を活性化する「ハイブリッド」経路が存在する。非正規または「ハイブリッド」経路は、IκBβキナーゼまたはプロテアソーム阻害剤に感受性ではない。これらの経路は、RelBまたはc−RelのDNAへの結合と拮抗することにより最も効果的に阻害される。正規および非正規経路は、特有の遺伝子群の活性化を介して特異的な疾患の様々な局面と関連している。すなわち異なる疾患状況の下で正規または非正規経路のいずれか、または双方の選択的阻害は、元にある疾患状態を改善するために最も効果的な取り組みになると考えられる。
【0005】
NF−κB活性化は、癌、AIDS、糖尿病、心血管疾患、自己免疫疾患、ウイルス複製、敗血症性ショック、神経変性障害、毛細管拡張性運動失調(AT)、関節炎、喘息、炎症性腸疾患、および他の炎症状態、アテローム硬化症、心臓疾患、喘息、異化障害、1および2型糖尿病、老化、皮膚疾患、腎疾患、消化管疾患、膵炎、神経病理学的疾患、肺疾患、慢性閉塞性肺疾患、敗血症および無呼吸を含む広い様々な疾患と結び付けられた。NF−κBの活性化は多くのヒト疾患に影響している。
【0006】
例えばグラム陰性細菌のリポ多糖(LPS)によるNF−κBの活性化は、NF−κB
が多くのサイトカインおよび修飾酵素の転写を過剰に活性化し、これらの長期発現が心臓および肝臓のような生命維持に必須な臓器の機能に負の影響を及ぼす恐れがあるため、敗血症ショックの発症に寄与する可能性がある(非特許文献2;非特許文献3)。
【0007】
さらに慢性のアルツハイマー病では、アミロイドβペプチドが反応性の酸素中間体の生産を生じ、そしてNF−κB部位を介する遺伝子発現を間接的に活性化する(非特許文献4)。
【0008】
骨の破壊的糜爛または骨溶解は、関節リウマチ(RA)、歯周病および人工関節周囲の骨溶解のような炎症状態の主な合併症である。RAは約1.0%の米国の成人に影響を及ぼしている自己免疫疾患であり、その女性対男性の比は2.5対1である(非特許文献5)。その顕著な特徴は主な病状を引き起こす進行性の関節破壊である。歯周病は高い有病率であり、そして世界人口の90%までもが罹患している可能性がある。これは成人が歯を失う主原因であることはよく知られている(非特許文献6)。その有病率にもかかわらず、歯周の骨の侵食が起こるメカニズムはほとんど知られていないが、口中に存在する病原性微生物に対する宿主の反応がこのプロセスを誘発するようである。人工関節周囲の骨溶解は、固定が無くなるまで、外因性インプラントデバイスの回りの慢性の骨吸収により生じ、これは磨耗粉粒子に対する先天性の免疫応答の結果と考えられ(非特許文献7)、後天性免疫系の成分によることはほとんどない(非特許文献8)。
【0009】
これらの状態は明確な原因により開始され、そして択一的経路により進行するが、このような疾患の病理学的プロセスにおける重要な共通因子(1もしくは複数)は、炎症した組織のNF−κB経路の恒常的(constitutive)活性化により駆動される炎症性(proinflammatory)サイトカインの過剰生産である。これらの状態で見られる骨の糜爛は、骨粗鬆症のようなホルモンにより調節される全身性の骨の病気とは異なり、ほとんど炎症した組織に局在している。このような疾患に多く見られるこれらの炎症した組織も、炎症誘発性サイトカイン、すなわちTNF−α、IL−1およびIL−6を生産し、これらは次に破骨細胞分化のシグナル伝達および骨再吸収活性に関与する。このように炎症性の骨溶解は、炎症している組織中で強化された破骨細胞の漸増およびNF−κBが駆動する炎症誘発性サイトカインにより刺激された活性化の産物である。
【0010】
炎症性腸疾患(IBD)は、胃腸管が関与する多くの慢性的な再発性炎症障害を包含する。IBDの2つの最も多い病状であるクローン病および潰瘍性大腸炎は、独特な組織病理学的および免疫応答により識別することができる(非特許文献9;非特許文献10)。現行の処置の限られた効力および潜在的な副作用により、患者および医師はこれらの疾患の慢性的に再発する炎症的性質を管理するための新しい処置を切望している。
【0011】
クローン病および潰瘍性大腸炎になる厳密な原因は未知のままであるが、それらは一般に正常な管腔の微生物叢に対する粘膜免疫系の不適切な持続的活性化の結果と考えられている(非特許文献11)。その結果、存在するマクロファージ、樹状細胞およびT細胞は活性化され、そして主にNF−κB依存的ケモカインおよびサイトカインを分泌し始める。重要な炎症誘発性メディエーターのNF−κB媒介型過剰生産は、ヒトIBDおよび大腸炎の動物モデルの双方の開始および進行に寄与する(非特許文献12;非特許文献13)。特にIBD患者のマクロファージは、インターロイキン(IL)1、IL6および腫瘍壊死因子(TNFα)の生産増大を伴う高レベルのNF−κBのDNA結合活性を現す(非特許文献12)。さらにNF−κBはTヘルパー細胞1(Th1)およびTヘルパー細胞2(Th2)サイトカインの活性化に極めて重大な役割を果たし、これら双方が炎症を促進し、かつ維持するために必要である(非特許文献14)。IBDでNF−κBが果たす中心的役割から、この経路を標的とする処置を開発するために徹底的な努力がなされた。
【0012】
NF−κBは、胸部、卵巣、結腸、膵臓、甲状腺、前立腺、肺、頭および首、膀胱および皮膚の腫瘍に由来する多くの癌由来細胞株で恒常的に発現することが示された(非特許文献15)。これはまたB細胞リンパ腫、ホジキン病、T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、多発性ミエローマ、慢性リンパ性白血病、および急性骨髄性白血病についても見られた。NF−κBは防御応答の一部として正常な炎症の鍵となるメディエーターであるが、慢性炎症は癌、糖尿病および上に挙げた他の疾患の宿主を導く可能性がある。発癌プロセス、血管形成、侵襲、および腫瘍細胞の転移に重要な役割を媒介する数種の炎症誘発性遺伝子産物が同定された。中でもこれら遺伝子産物は、TNFおよびそのスーパーファミリーのメンバー、IL−1α、IL−1β、IL−6、IL−8、IL−18、ケモカイン、MMP−9、VEGF、COX−2および5−LOXである。これらすべての遺伝子の発現は、転写因子NF−κBにより主に調節されており、これはほとんどの腫瘍中で恒常的に活性であり、そして発癌物質(例えば喫煙)、腫瘍プロモーター、発癌性ウイルスタンパク質(HIV−tat、KHSV、EBV−LMP1、HTLV1−tax、HPV、HCVおよびHBV)、化学療法剤、およびガンマ線照射により誘導される(非特許文献16)。これらの考察はNF−κBを抑制する抗炎症剤が癌の防止および処置の両方に潜在能力を有するはずであることを意味している。
【0013】
インフルエンザウイルスタンパク質のヘモアグルチニンもNF−κBを活性化し、そしてこの活性化がサイトカインのウイルス誘導およびインフルエンザに関連する症状の幾つかに寄与する可能性がある(非特許文献17;非特許文献18)。
【0014】
アテローム硬化症に関連する低密度リポタンパク質からの酸化脂質がNF−κBを活性化し、これは次いで炎症性サイトカインのような他の遺伝子を活性化する(非特許文献19)。さらにアテローム硬化症に罹り易いマウスは、アテローム発生の食事を与えた場合に、脂質の過酸化産物の蓄積、炎症遺伝子の誘導およびNF−κB転写因子の活性化に関連する大動脈のアテローム硬化性損傷の形成に対する罹病性により、NF−κBの活性化を現す(非特許文献19)。アテローム硬化性に対する別の重要な要因は、NF−κBの活性化を介して血管平滑筋細胞の増殖を刺激するトロンビンである(非特許文献20)。IκBリプレッサータンパク質(IκBα)の短縮形は、イオン化照射に対する過敏性の原因となることが示され、そして恒常的レベルのNF−κB活性化を有する毛細管拡張性運動失調(AT)細胞においてDNA合成の調節が欠損している(非特許文献21)。このAT細胞に由来するIκBαの突然変異は、NF−κB経路の恒常的活性化を生じるリプレッサータンパク質を不活性化することが示された。これらすべての知見を鑑みて、NF−κBの異常な活性化または発現は明らかに広範な様々な病状と関連している。
【0015】
HIV−1の感染およびライフサイクルは、ヒト単核細胞中でNF−κB経路と強くつながっている。ウイルス感染は、T細胞の過剰刺激および最終的消耗(これはAIDSの特徴である)を生じるNF−κBの活性化を導く(非特許文献22を参照されたい)。例えばHIV−1の重要な受容体であるCCR5の発現は、NF−κBにより調節される(非特許文献23)。CCR5プロモーターの欠失分析では、3’−遠位NF−κB/AP−1部位の喪失が転写を>95%まで下げることを示した(非特許文献23)。これらの研究は、NF−κBの恒常的リプレッションがCCR5−受容体のメッセージに劇的な低下を引き起こすことを示唆している。HIV−1の侵入動力学(entry kinetics)は、標的T細胞表面上で発現したCCR5レベルにより影響を受けるので(非特許文献24;非特許文献25;非特許文献26)、CCR5のダウンモジュレーティング(down modulating)は、ウイルスリザーバを生む感染細胞のプールの拡大を妨げる(constrain)ことができる。CXCR4発現もNF−κBにより影響を受けると報告され(非特許文献27)、NF−κB阻害剤が後期感染中に現れるX4−向性の単離物に対して等しく効果的であることを示唆している。NF−κBは組み込ま
れたDNA−プロ−ウイルスの転写に必要である(非特許文献28;非特許文献29;非特許文献30;非特許文献31;非特許文献32;非特許文献33;非特許文献34)。実際に、NF−κB活性化の欠損で、感染した患者からウイルスを排除するための主要な障害である潜伏性ウイルスを宿す細胞群の生成が導かれる(非特許文献35)。
【0016】
NF−κBは炎症刺激に応答して150以上の標的遺伝子の発現を促進する。これらの遺伝子にはインターロイキン−1、−2、−6および腫瘍壊死因子受容体(TNF−R)(これらの受容体はアポトーシスを媒介し、そして炎症の調節物質として機能する)、ならびにイムノレセプター、細胞接着分子、およびシクロオキシゲナーゼ−IIおよび誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)のような酵素をコードする遺伝子がある(非特許文献36:非特許文献37)。またNF−κBはHCVおよびHIV−1のようなウイルス感染に関連する疾患の進行に重要な役割を果たす。
【0017】
NF−κBのファミリーのメンバーには、RelA/p65、RelB、c−Rel、p50/p105(NF−κB1)、およびp52/p100(NF−κB2)を含む(非特許文献38:非特許文献39:非特許文献40)。Relファミリーのメンバーは、NF−κBに調節される遺伝子のプロモータードメイン内に位置するシス−結合要素に明確な特異性を持つホモダイマーもしくはヘテロダイマーのいずれかとして機能する(非特許文献41:非特許文献42:非特許文献43)。RelA/p65およびp50ヘテロダイマーからなる古典的なNF−κBは、NF−κBの最もよく研究された形態である(非特許文献44:非特許文献38およびその中の文献)。細胞刺激の前に、古典的なNF−κBはIκBα阻害剤タンパク質に結合した不活性複合体として細胞質に存在する。細菌のリポ多糖、炎症性サイトカイン、またはHIV−1 Vprタンパク質のようなNF−κBインデューサーは、IκB−キナーゼ複合体(IKK)(これはIκBαをリン酸化する)を活性化することにより活性なNF−κBを細胞質の複合体から放出する(非特許文献45:非特許文献46:非特許文献47:非特許文献48:非特許文献49)。IκBのリン酸化は引き続きそれをユビキチン化し、そして26Sプロテオソームにより分解するしるしをつける。遊離のNF−κB二量体は核に移行し、ここでそれらはそれらの標的遺伝子の転写を刺激する。
【0018】
ラセミ型のデヒドロキシメチルエポキシキノマイシン(DHMEQ)の分子設計は、アミコラトプシス(Amycolatopsis)から単離された抗生物質であるエポキシキノマイシンCに基づいた(非特許文献50)。DHMEQはラセミ体として2,5−ジメトキシアニリンから5段階で合成された。キラルカラムでのエナンチオマーの分割で、(+)および(−)の両エナンチオマーが生じた。(−)エナンチオマーは、NF−κBの阻害に(+)エナンチオマーよりも有力であることが示された(非特許文献51)。DHMEQはNF−κBの核への移行を特異的に阻害することが示された(非特許文献52)。具体的にDHMEQはp65および他のRel相同的タンパク質の特異的システイン残基を1:1の化学的量論比で共有的に修飾する(非特許文献53)。NF−κB阻害剤として、DHMEQは様々な動物の疾患モデルで徹底的に研究され、そして広い範囲の効力が証明され、それらには充実性腫瘍、血液悪性疾患、関節炎、腸虚血およびアテローム硬化症の処置を含む(非特許文献54)。このようにDHMEQは癌および炎症の処置に有用となり得る(非特許文献55)。
【0019】
【化2】

【0020】
NF−κBの活性化が上記のような多くの悪性疾患に果たす役割の観点から、有効な低分子NF−κB阻害剤の必要性が依然として存在している。
【0021】
NF−κB成分、p65(RelA)、RelBおよびc−RelのDNAへの結合を直接阻害する幾つかの系列の低分子阻害剤が見いだされた。その結果、これらの化合物がNF−κBの正規および非正規経路の両方を遮断できる。二重阻害は、正規経路のみに影響するIκBβキナーゼ阻害剤とは異なる。この化合物の効力は、多発性硬化症および関節リウマチの動物モデルで試験され、そして結果を本明細書に記載する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】Dejardin E., The alternative NF-kappaB pathway from biochemistry to biology: pitfalls and promises for future drug development. Biochem. Pharmacol. 72:1161-1179 (2006)
【非特許文献2】Arcaroli J, Silva E, Maloney JP, He Q, Svetkauskaite D, Murphy JR, Abraham E., Variant IRAK-1 haplotype is associated with increased nuclear factor-kappaB activation and worse outcomes in sepsis. Am J Respir Crit Care Med 173(12): 1335-1341,(2006)
【非特許文献3】Niu J, Azfer A, Kolattukudy PE., Protection against lipopolysaccharide-induced myocardial dysfunction in mice by cardiac-specific expression of soluble Fas. J Mol Cell Cardiol 44(1): 160-169,(2008)
【非特許文献4】Giri RK, Rajagopal V, Shahi S, Zlokovic BV, Kalra VK., Mechanism of amyloid peptide induced CCR5 expression in monocytes and its inhibition by siRNA for Egr-1. Am J Physiol Cell Physiol 289(2): C264-276,(2005)
【非特許文献5】Lawrence RC, Helmick CG, Arnett FC, Deyo RA, Felson DT, Giannini EH, Heyse SP, Hirsch R, Hochberg MC, Hunder GG, Liang MH, Pillemer SR, Steen VD, Wolfe F.,Estimates of the prevalence of arthritis and selected musculoskeletal disorders in the United States. Arthritis Rheum 41(5): 778-799,(1998)
【非特許文献6】Pihlstrom BL, Michalowicz BS, Johnson NW., Periodontal diseases. Lancet 366(9499): 1809-1820,(2005)
【非特許文献7】Harris WH., The problem is osteolysis. Clin Orthop Relat Res(311): 46-53, (1995)
【非特許文献8】Goldring SR, Jasty M, Roelke MS, Rourke CM, Bringhurst FR, Harris WH., Formation of a synovial-like membrane at the bone-cement interface. Its role in bone resorption and implant loosening after total hip replacement. Arthritis Rheum 29(7): 836-842,(1986)
【非特許文献9】Atreya I, Atreya R, Neurath MF., NF-kappaB in inflammatory bowel disease. J Intern Med 263(6): 591-596,(2008)
【非特許文献10】Bouma G, Strober W., The immunological and genetic basis of inflammatory bowel disease. Nat Rev Immunol 3(7): 521-533,(2003)
【非特許文献11】Tilg H, Moschen AR, Kaser A, Pines A, Dotan I., Gut, inflammation and osteoporosis: basic and clinical concepts. Gut 57(5): 684-694,(2008)
【非特許文献12】Neurath MF, Fuss I, Schurmann G, Pettersson S, Arnold K, Muller-Lobeck H, Strober W, Herfarth C, Buschenfelde KH., Cytokine gene transcription by NF-kappa B family members in patients with inflammatory bowel disease. Ann N Y Acad Sci 859: 149-159, (1998)
【非特許文献13】Wirtz S, Neurath MF., Mouse models of inflammatory bowel disease. Adv Drug Deliv Rev 59(11): 1073-1083, (2007)
【非特許文献14】Barnes PJ., Nuclear factor-kappa B. Int J Biochem Cell Biol 29(6): 867-870, (1997)
【非特許文献15】Calzado MA, Bacher S, Schmitz ML., NF-kappaB inhibitors for the treatment of inflammatory diseases and cancer. Curr Med Chem 14(3): 367-376, (2007)
【非特許文献16】Aggarwal BB, Shishodia S, Sandur SK, Pandey MK, Sethi G., Inflammation and cancer: how hot is the link? Biochem Pharmacol 72(11): 1605-1621, (2006)
【非特許文献17】Flory E, Kunz M, Scheller C, Jassoy C, Stauber R, Rapp UR, Ludwig S., Influenza virus-induced NF-kappaB-dependent gene expression is mediated by overexpression of viral proteins and involves oxidative radicals and activation of IkappaB kinase. J Biol Chem 275(12): 8307-8314, (2000)
【非特許文献18】Pahl HL, Baeuerle PA., Expression of influenza virus hemagglutinin activates transcription factor NF-kappa B. J Virol 69(3): 1480-1484,(1995)
【非特許文献19】Liao F, Andalibi A, Qiao JH, Allayee H, Fogelman AM, Lusis AJ., Genetic evidence for a common pathway mediating oxidative stress, inflammatory gene induction, and aortic fatty streak formation in mice. J Clin Invest 94(2): 877-884, (1994)
【非特許文献20】Maruyama I, Shigeta K, Miyahara H, Nakajima T, Shin H, Ide S, Kitajima I.,Thrombin activates NF-kappa B through thrombin receptor and results in proliferation of vascular smooth muscle cells: role of thrombin in atherosclerosis and restenosis. Ann N Y Acad Sci 811: 429-436, (1997)
【非特許文献21】Jung M, Zhang Y, Lee S, Dritschilo A., Correction of radiation sensitivity in ataxia telangiectasia cells by a truncated I kappa B-alpha. Science 268(5217): 1619-1621, (1995)
【非特許文献22】Argyropoulos C, Mouzaki A., Immunosuppressive drugs in HIV disease. Curr Top Med Chem 6(16): 1769-1789, (2006)
【非特許文献23】Liu R, Zhao X, Gurney TA, Landau NR., Functional analysis of the proximal CCR5 promoter. AIDS Res Hum Retroviruses 14(17): 1509-1519, (1998)
【非特許文献24】Ketas TJ, Kuhmann SE, Palmer A, Zurita J, He W, Ahuja SK, Klasse PJ, Moore JP., Cell surface expression of CCR5 and other host factors influence the inhibition of HIV-1 infection of human lymphocytes by CCR5 ligands. Virology 364(2):281-90, (2007)
【非特許文献25】Platt EJ, Wehrly K, Kuhmann SE, Chesebro B, Kabat D., Effects of CCR5 and CD4 cell surface concentrations on infections by macrophagetropic isolates of human immunodeficiency virus type 1. J Virol 72(4): 2855-2864, (1998)
【非特許文献26】Reeves JD, Gallo SA, Ahmad N, Miamidian JL, Harvey PE, Sharron M, Pohlmann S, Sfakianos JN, Derdeyn CA, Blumenthal R, Hunter E, Doms RW.,Sensitivity of HIV-1 to entry inhibitors correlates with envelope/coreceptor affinity, receptor density, and fusion kinetics. Proc Natl Acad Sci U S A 99(25): 16249-16254,(2002)
【非特許文献27】Helbig G, Christopherson KW, 2nd, Bhat-Nakshatri P, Kumar S, Kishimoto H, Miller KD, Broxmeyer HE, Nakshatri H., NF-kappaB promotes breast cancer cell migration and metastasis by inducing the expression of the chemokine receptor CXCR4. J Biol Chem 278(24): 21631-21638,(2003)
【非特許文献28】Baba M., Recent status of HIV-1 gene expression inhibitors. Antiviral Res 71(2-3): 301-306, (2006)
【非特許文献29】Iordanskiy S, Iordanskaya T, Quivy V, Van Lint C, Bukrinsky M., B-oligomer of pertussis toxin inhibits HIV-1 LTR-driven transcription through suppression of NF-kappaB p65 subunit activity. Virology 302(1): 195-206, (2002)
【非特許文献30】Mukerjee R, Sawaya BE, Khalili K, Amini S., Association of p65 and C/EBPbeta with HIV-1 LTR modulates transcription of the viral promoter. J Cell Biochem 100(5):1210-6, (2006)
【非特許文献31】Palmieri C, Trimboli F, Puca A, Fiume G, Scala G, Quinto I.,Inhibition of HIV-1 replication in primary human monocytes by the IkappaB-alphaS32/36A repressor of NF-kappaB. Retrovirology 1(1): 45,(2004)
【非特許文献32】Rizzi C, Alfano M, Bugatti A, Camozzi M, Poli G, Rusnati M., Inhibition of intra- and extra-cellular Tat function and HIV expression by pertussis toxin B-oligomer. Eur J Immunol 34(2): 530-536, (2004)
【非特許文献33】Sui Z, Sniderhan LF, Fan S, Kazmierczak K, Reisinger E, Kovacs AD, Potash MJ, Dewhurst S, Gelbard HA, Maggirwar SB., Human immunodeficiency virus-encoded Tat activates glycogen synthase kinase-3beta to antagonize nuclear factor-kappaB survival pathway in neurons. Eur J Neurosci 23(10): 2623-2634, (2006)
【非特許文献34】Williams SA, Kwon H, Chen LF, Greene WC., Sustained Induction of NF-{kappa} B Is Required for Efficient Expression of Latent HIV-1. J Virol 81(11):6043-56, (2007)
【非特許文献35】Williams SA, Chen LF, Kwon H, Ruiz-Jarabo CM, Verdin E, Greene WC., NF-kappaB p50 promotes HIV latency through HDAC recruitment and repression of transcriptional initiation. Embo J 25(1): 139-149, (2006)
【非特許文献36】Karin M., Nuclear factor-kappaB in cancer development and progression. Nature 441(7092): 431-436, (2006)
【非特許文献37】Tergaonkar V., NFkappaB pathway: a good signaling paradigm and therapeutic target. Int J Biochem Cell Biol 38(10): 1647-1653, (2006)
【非特許文献38】Hayden MS, Ghosh S., Signaling to NF-kappaB. Genes Dev 18(18): 2195-2224, (2004)
【非特許文献39】Hayden MS, West AP, Ghosh S., NF-kappaB and the immune response. Oncogene 25(51): 6758-6780, (2006a)
【非特許文献40】Hayden MS, West AP, Ghosh S., SnapShot: NF-kappaB Signaling Pathways. Cell 127(6): 1286-1287, (2006b)
【非特許文献41】Bosisio D, Marazzi I, Agresti A, Shimizu N, Bianchi ME, Natoli G., A hyper-dynamic equilibrium between promoter-bound and nucleoplasmic dimers controls NF-kappaB-dependent gene activity. Embo J 25(4): 798-810, (2006)
【非特許文献42】Natoli G, Saccani S, Bosisio D, Marazzi I., Interactions of NF-kappaB with chromatin: the art of being at the right place at the right time. Nat Immunol 6(5): 439-445, (2005)
【非特許文献43】Saccani S, Marazzi I, Beg AA, Natoli G., Degradation of promoter-bound p65/RelA is essential for the prompt termination of the nuclear factor kappaB response. J Exp Med 200(1): 107-113, (2004)
【非特許文献44】Burstein E, Duckett CS., Dying for NF-kappaB? Control of cell death by transcriptional regulation of the apoptotic machinery. Curr Opin Cell Biol 15(6): 732-737, (2003)
【非特許文献45】Greten FR, Karin M., The IKK/NF-kappaB activation pathway-a target for prevention and treatment of cancer. Cancer Lett 206(2): 193-199, (2004)
【非特許文献46】Hacker H, Karin M., Regulation and function of IKK and IKK-related kinases. Sci STKE 2006(357): re13, (2006)
【非特許文献47】Israel A., The IKK complex: an integrator of all signals that activate NF-kappaB? Trends Cell Biol 10(4): 129-133, (2000)
【非特許文献48】Karin M., How NF-kappaB is activated: the role of the IkappaB kinase (IKK) complex. Oncogene 18(49): 6867-6874, (1999)
【非特許文献49】Scheidereit C., IkappaB kinase complexes: gateways to NF-kappaB activation and transcription. Oncogene 25(51): 6685-6705, (2006)
【非特許文献50】Chaicharoenpong C, Kato K, Umezawa K., Synthesis and structure-activity relationship of dehydroxymethylepoxyquinomicin analogues as inhibitors of NF-kappaB functions. Bioorg Med Chem 10(12): 3933-3999, (2002)
【非特許文献51】Umezawa K,Suzuki Y, Sugiyama C, Ohno O., Preparation and biological activities of optically active dehydroxymethylepoxyquinomicin, a novel NF-kB inhibitor. Tetrahedron 60:7061-7066,(2004)
【非特許文献52】Ariga A, Namekawa J-i, Matsumoto N, Inoue J-i, Umezawa K., Inhibition of tumor necrosis factor0alpha-induced nuclear translocation and activation of NF-kappaB by dehydroxymethylepoxyquinomicin. J. Biol. Chem. 277(27): 24625-24630, (2002)
【非特許文献53】Yamamoto M, Horie R, Takeiri M, Kozawa I, Umezawa K., Inactivation of NF-kappaB components by covalent binding of (-)-dehydroxymethylepoxyquinomicin to specific cysteine residues. J. Med Chem 51(8):5780-5788, (2008)
【非特許文献54】Watanabe et al.,2006
【非特許文献55】Takeuich T, Umezawa K, To-E S, Matsumoto N, Sawa T, Yoshioka T, Agata N, Hirano S-i, Isshiki K., Salicylamide deratives. US Patent 6,566,394 B1, (2003)
【非特許文献56】Cheng Y, Prusoff WH., Relationship between the inhibition constant (K1) and the concentration of inhibitor which causes 50 per cent inhibition (I50) of an enzymatic reaction Biochem. Pharmacol.22:3099-3108, (1973)
【非特許文献57】Barbie DA, Tamayo P, Boehm JS et al., Systematic RNA interference reveals that oncogenic KRAS-driven cancers require TBK1. Nature 462(7269): 108-112, (2009)
【非特許文献58】Meylan E, Dooley AL, Feldser DM et al., Requirement for NF-kappaB signalling in a mouse model of lung adenocarcinoma. Nature 462(7269):104-107, (2009)
【非特許文献59】Gregersen PK, Amos CL, Lee At et al., REL, encoding a member of the NF-kappaB family of transcription factors, is a newly defined risk locus for rheumatoid arthritis. Nat Genet 41(7): 820-823, (2009)
【非特許文献60】Suzuki Y, Sugiyama C, Ohno O, Umezawa K., Preparation and biological activities of optically active dehydroxymethylepoxyquinomicin, a novel NF-kB inhibitor. Tetrahedron 60:7061-7066, (2004)
【発明の概要】
【0023】
発明の要約
本発明の一観点は、 式(1)または式(2)
【0024】
【化3】

【0025】
の構造を有する化合物またはその製薬学的に許容され得る塩に関し、式中、HETは飽和もしくは不飽和の単−もしくは多−環の炭素環であり、ここで1もしくは複数の環の炭素原子がN、S、PもしくはOで置き換えられ;
各Rは独立して水素;CF;場合によりシアノ、ハロ、ニトロ、ヒドロキシル、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−OH、(C1−C6)アルコキシ、COR、NRまたはNHCO(C1−C6)アルキル)で置換されてもよいフェニル;シアノ;ハロ;ニトロ;ヒドロキシル;(C1−C6)アルキル;(C1−C6)アルキル−OH;(C1−C6)アルコキシ;(C1−C6)チオアルコキシ;フェノキシ;COR;NR;NHCO(C1−C6)アルキル;SO(C1−C6)アルキル;またはSONRであり;
はH、R、COR、CONHR、COOR、CHOCOR、P(O)(OH)、P(O)(O(C1−C6)アルキル)、P(O)(OCH2OCO(C1−C6)アルキル)、P(O)(OH)(OCH2OCO(C1−C6)アルキル)、P(O)(OH)(OC1−C6)アルキル)、P(O)(OH)(C1−C6)アルキル)、あるいはP(O)(OH)、P(O)(O(C1−C6)アルキル)、P(O)(OCHOCO(C1−C6)アルキル)、P(O)(OH)(OCHOCO(C1−C6)アルキル)、P(O)(OH)(OC1−C6)アルキル)またはP(O)(OH)(C1−C6)アルキル)の無機塩、またはグリコシル(ヘミアセタール形の炭水化物のヒドロキシル基の除去から生じる基)であり、
ここでRはC1−C6アルキル、トリフルオロメチル、(C3−C6)シクロアルキル、シクロヘキシルメチルまたはフェニルであり、ここでフェニルはフッ素、塩素、臭素、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、(C1−C4)アルキル,(C1−C4)アルコキシおよびフェニルメチルから選択される0〜4個の基で置換され、ここでフェニルメチルはフェニル環で、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、(C1−C4)アルキル,(C1−C4)アルコキシ、2−、3−もしくは4−ピリジニルおよび2−、4−もしくは5−ピリミジニルから選択される0〜4個の基で置換される。
【0026】
は独立してヒドロキシル、(C1−C6)アルコキシ、フェノキシまたは−NRである。
【0027】
各RおよびRは独立して水素、(C1−C6)アルキルまたは(C3−C6)シクロアルキルである。
【0028】
n=0−3。
【0029】
HETについてはOR基とアミド部分との間にオルトの関係が存在する(すなわちORおよびC(=O)NH官能基はHET環上の隣接原子に結合している)。
【0030】
また本発明の一観点は、式(1)または式(2)の化合物、またはその製薬学的に許容され得る塩、および製薬学的に許容され得る担体を含んでなる製薬学的組成物に関する。
【0031】
また本発明の一観点は、さらに癌、炎症、自己免疫疾患、糖尿病および糖尿病合併症、感染、心血管疾患および虚血性再灌流障害を処置する方法に関し、この方法はそのような処置が必要なヒトのような哺乳動物に治療に有効な量の式(1)または式(2)の化合物、またはそれらの製薬学的に許容され得る塩を投与することを含んでなる。
【0032】
さらに本発明の一観点は、ヒトのような哺乳動物のNF−κB経路を介して直接的または間接的に遺伝子発現およびシグナル伝達を阻害する方法に関し、この方法はそのような処置が必要な哺乳動物に治療に有効な量の式(1)または式(2)の化合物、またはそれらの製薬学的に許容され得る塩を投与することを含んでなる。
【0033】
詳細な説明
定義
本発明を記載するために使用する用語は、本明細書中で以下の意味を有する。本発明の化合物および中間体は、IUPAC(International Union for
Pure and Applied Chemistry)またはCAS(Chemical Abstracts Service)のいずれかの命名法に従い名付けることができる。
【0034】
本明細書中、種々の炭化水素含有部分の炭素原子含量は、その部分の炭素原子の最少および最大数を示す接頭辞により示すことができ、例えば接頭辞(Ca−Cb)アルキルは、整数“a”から“b”までの炭素原子を含むアルキル部分を指す。すなわち例えば(C1−C6)アルキルは1〜6個の炭素原子を含むアルキル基を指す。用語「アルキル」は、水素原子置換基のみを含む炭素原子の直鎖もしくは分枝鎖を現し、ここで炭素鎖は場合により1もしくは複数の二重もしくは三重結合、または二重結合および三重結合の組み合わせを含んでもよい。アルキル基の例には限定するわけではいが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、プロペニル、プロピニル、ヘキサジエニル等がある。
【0035】
用語「アルコキシ」は、直鎖もしくは分枝鎖の一価の飽和脂肪族鎖炭素原子鎖であり、ここで炭素原子の1つが酸素原子に置き換えられている。アルコキシ基の例には、限定するわけではいがメトキシ、エトキシおよびイソプロポキシがある。
【0036】
用語「シクロアルキル」は、飽和および場合により不飽和の単環式もしくは二環式配列の脂肪族鎖を指す。シクロアルキル基の例には、限定するわけではいが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキセニルである。シクロアルキル基は、場合によりベンゼンのような芳香族炭化水素と縮合してインダニル等の縮合シクロアルキル基を形成することができる。
【0037】
用語「ハロ」は、クロロ、ブロモ、フルオロまたはヨードを指す。
【0038】
用語「置換された」とは、分子上の水素原子と異なる原子もしくは分子との交換を指す。水素原子と置き換わる原子もしくは分子を「置換基」と言う。
【0039】
用語「HET」は、飽和もしくは不飽和の単もしくは多環の炭素環を指し、ここで1もしくは複数の環の炭素原子がN,S,PまたはOで置き換えられる。用語「HET」は完全な飽和および不飽和環系、ならびに部分的に不飽和の環系を包含し、それらには複素環のすべての可能な異性体形を含むことを意図する(例えば、ピロリルには1H−ピロリル
および2H−ピロリルを含む)。HETが単環式(例えば4−、5−もしくは6−員環)または二環式(例えば5/6、5/5、6/6系)の飽和複素環である例には、限定するわけではいが、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、テトラヒドロチエニル、ジヒドロオキサゾリル、ピペリジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ジオキサニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル等がある。HETが単環式、二環式もしくは三環式の部分飽和複素環である例には、限定するわけではいが、ピロリニル、イミダゾリニル、ピラゾリニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、1,3−ベンゾジオキソラニル、2,3ジヒドロ−l,4−ベンゾジオキシニル、インドリニル等がある。HETが単環式、二環式もしくは三環式の芳香族複素環の例には、限定するわけではいが、ピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キノリジニル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、プテリジニル、ピロロピリジニル、チエノピリジニル、フラノピリジニル、イソチアゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、イソキサゾロピリジニル、オキサゾロピリジニル、ピラゾロピリジニル、イミダゾピリジニル、ピロロピラジニル、チエノピラジニル、フラノピラジニル、イソチアゾロピラジニル、チアゾロピラジニル、イソキサゾロピラジニル、オキサゾロピラジニル、ピラゾロピラジニル、イミダゾピラジニル、ピロロピリミジニル、チエノピリミジニル、フラノピリミジニル、イソチアゾピリミジニル、チアゾロピリミジニル、イソキサゾロピリミジニル、オキサゾロピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、イミダゾピリミジニル、ピロロピリダジニル、チエノピリダジニル、フラノピリダジニル、イソチアゾロピリダジニル、チアゾロピリダジニル、イソキサゾロピリダジニル、オキサゾロピリダジニル、ピラゾロピリダジニル、イミダゾピリダジニル、オキサジアゾロピリジニル、チアジアゾロピリジニル、トリアゾロピリジニル、オキサジアゾロピラジニル、チアジアゾロピラジニル、トリアゾロピラジニル、オキサジアゾロピリミジニル、チアジアゾロピリミジニル、トリアゾロピリミジニル、オキサジアゾロピリダジニル、チアジアゾロピリダジニル、トリアゾロピリダジニル、イソキサゾロトリアジニル、イソチアゾロトリアジニル、ピラゾロトリアジニル、オキサゾロトリアジニル、チアゾロトリアジニル、イミダゾトリアジニル、オキサジアゾロトリアジニル、チアジアゾロトリアジニル、トリアゾロトリアジニル、カルバゾリル等がある。
【0040】
「治療に有効な量」という句は、(i)特定の疾患、状態または障害を処置または防止する、(ii)特定の疾患、状態または障害の1もしくは複数の症状を弱め、改善し、または排除する、あるいは(iii)特定の疾患、状態の1もしくは複数の症状の発生を防止または遅らせる化合物の量を指す。
【0041】
「製薬学的に許容され得る」とは、示した担体、賦形剤、希釈剤、補形剤(1もしくは複数)および/または塩が一般に化学的かつ/または物理的に製剤を構成する他の成分と適合性があり、しかもその受容体と生理学的に適合性があることを示す。
【0042】
用語「哺乳動物」は、分類学上哺乳動物のクラスのメンバーである個々の動物に関する。哺乳動物の例には、限定するわけではいが、ヒト、イヌ、ネコ、ウマおよび畜牛を含む。本発明では、好適な哺乳動物はヒトである。
【0043】
ラセミ化合物の2−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシ
クロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)キノリン−3−カルボキサミドは本明細書で実施例2に記載され、そして本明細書を通して実施例2の化合物と呼ぶ。
【0044】
例示の態様では、本発明の化合物は式(3)に示す構造および立体化学を有する。
【0045】
【化4】

【0046】
この化合物は、当業者に周知の方法によりそれらのエナンチオマーに分割することができる。例には例えば結晶化により分離できるジアステレオマー塩の形成;例えば結晶化、ガス−液体もしくは液体クロマトグラフィーにより分離できるジアステレオマー誘導体もしくは錯体の形成;エナンチオマー特異的試薬、例えば酵素的エステル化を用いた1つのエナンチオマーの選択的反応;またはキラルな環境での例えばキラルな支持体上で、例えば結合したキラルなリガンドを含むシリカ、あるいはキラルな溶媒の存在下でのガス−液体もしくは液体クロマトグラフィーを含む。所望の立体異性体が上記の例示的分離手順の1つにより別の化学的物体に転換される場合、所望のエナンチオマー形を遊離するためにはさらなる工程が必要であると考えられる。あるいは特異的な立体異性体は、光学的に活性な出発材料を使用することにより、光学的に活性な試薬、基質、触媒または溶媒を使用した不斉合成により、あるいは1方の立体異性体をもう一方の立体異性体に不斉変換により転換することにより、合成することができる。
【0047】
化合物が1もしくは複数のさらなるステレオジェン中心を含む場合、当業者は本明細書で具体的に説明し、そして検討する化合物のすべてのジアステレオマーおよびジアステレオマー混合物が本発明の範囲に入ると理解するだろう。これらのジアステレオマーは当業者に周知な方法、例えば結晶化、ガス−液体もしくは液体クロマトグラフィーにより単離することができる。あるいは合成過程の中間体はラセミ混合物として存在することができ、そして当業者に周知な方法による分離、例えば結晶化により分離できるジアステレオマー塩の形成;例えば結晶化、ガス−液体もしくは液体クロマトグラフィーにより分離できるジアステレオマー誘導体もしくは錯体の形成;エナンチオマー特異的試薬、例えば酵素的エステル化を用いた1つのエナンチオマーの選択的反応;またはキラルな環境での例えばキラルな支持体上で、例えば結合したキラルなリガンドを含むシリカまたはキラルな溶媒の存在下でのガス−液体もしくは液体クロマトグラフィーにかけられる。所望の立体異性体が上記の例示的分離手法の1つにより別の化学的物体に転換される場合、所望のエナンチオマー形を遊離するためにはさらなる工程が必要であると考えられる。あるいは特異的な立体異性体は、光学的に活性な出発材料を使用することにより、例えば光学的に活性な試薬、基質、触媒または溶媒を使用した不斉合成により、あるいは1方の立体異性体をもう一方の立体異性体に不斉変換により転換することにより、合成することができる。これらの方法は“Chiral Drugs”,Cynthia A.Challener(Editor),Wiley,2002または“Chiral Drug Separation”by Bingyunh Li and Donald T.Haynia
in“Encyclopedia of Chemical Processing”
by Sunggyu Lee and Lee Lee(Editors),CRC Press,2005のようなテキストにさらに詳細に記載されている。
【0048】
本発明の化合物およびその塩は、非溶媒化形態ならびに水、エタノール等のような製薬学的に許容され得る溶媒での溶媒化形態で存在できる。
【0049】
式(1)および式(2)の選択した化合物、およびそれらの塩および溶媒和物は、1より多くの結晶形で存在することができる。式(1)および式(2)により表される化合物の多形は本発明の一部を形成し、そして異なる条件下で式(1)および式(2)の化合物の結晶化により調製することができる。例には再結晶化のために異なる溶媒または溶媒混合物の使用;異なる温度での結晶化;および結晶化中、大変急速から大変遅い冷却の範囲の様々な冷却様式を含む。また多形は式(1)または式(2)の化合物を加熱または融解し、続いて漸次または急速冷却により得ることができる。多形の存在は、例えば固体状態のNMR分光法、IR分光法、示差操作熱量測定、粉末X線回折または他の類似技術により測定することができる。
【0050】
また本発明は、同位体で標識した化合物を含み、これは式(1)および(2)により記載される化合物と同一であるが、1もしくは複数の原子が通常、自然に見いだされる原子質量もしくは質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子により置き換えられている。本発明の化合物に取り込むことができる同位体の例には、それぞれH,H,13C,14C,15N,18O,17O,35S,36Cl,125I,129Iおよび18Fのような水素、炭素、窒素、酸素、硫黄およびフッ素の同位体を含む。前記同位体および/または他の原子の他の同位体を含む本発明の化合物および化合物の製薬学的に許容され得る塩は、本発明の範囲内にある。特定の同位体で標識した本発明の化合物、例えばH(ジューテリウム)のような同位体が取り込まれた化合物は、より高い代謝的安定性から治療上の利点、例えばインビボ半減期の上昇、または必要な投薬用量の減少を提供することができ、したがって幾つかの状況で好適となり得る。同位体で標識した本発明の式(1)および(2)の化合物、その塩および溶媒和物は一般に、同位体で標識していない試薬を容易に入手できる同位体で標識された試薬に代えて、以下のスキームおよび/または実施例に開示する手順を行うことにより調製することができる。
【0051】
本発明の化合物と関連して本明細書で使用する製薬学的に許容され得る塩には、該化合物の製薬学的に許容され得る無機および有機塩を含む。これらの塩は、化合物の最終的単離および精製中にその場で、あるいは化合物を適切な有機もしくは無機酸と別個に反応させ、そしてそのように形成された塩を単離することにより調製できる。代表的な塩には限定するわけではないが臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、蓚酸塩、ベシル酸塩、カンシル酸塩、パルミチン酸塩、マロン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリル酸塩、リンゴ酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トシル酸塩、ギ酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩およびラウリルスルホン酸塩等がある。また本発明の化合物は、有機および無機塩基から形成される製薬学的に許容され得る金属およびアミンカチオンとの塩を形成するために反応させることもできる。用語「製薬学的に許容され得る金属カチオン」とは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、亜鉛等から誘導される正に荷電した金属イオンを包含する。用語「製薬学的に許容され得るアミンカチオン」とは、そのようなカチオンを形成するために十分強力なアンモニアおよび有機窒素性塩基から誘導される正に荷電したイオンを包含する。本発明の化合物の製薬学的に許容され得る非毒性塩基付加塩に有用な塩基は、当業者によりその限界が容易に理解されるクラスを形成する(例えばBerge,et al.,“Pharmaceutical Salts,”J.Pharm.Sci.,66:1
−19(1977)を参照にされたい)。
【0052】
さらに本発明は、式(I)の化合物のプロドラッグを含む。式(I)の化合物のプロドラッグは、アミノ、ヒドロキシまたはカルボキシ基のような化合物の官能基質を用いて、通例の様式で形成することができる。用語「プロドラッグ」は、インビボで変換されて式(I)または式(II)の化合物、またはこの化合物の製薬学的に許容され得る塩または溶媒和物を生じる化合物を指す。変換は種々のメカニズムにより、例えば血中での加水分解を介して起こり得る。プロドラッグの使用に関する検討は、T.Higuchi and W.Stella,“Pro−drugs as Novel Delivery Systems,”Vol.14 of the A.C.S.Symposium Series,およびin Bioreversible Carriers in Drug Design,ed.Edward B.Roche,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987により提供される。例えば本発明の化合物がアルコール官能基を含む場合、プロドラッグはアルコール基中の水素原子をCORのような基で置き換えることにより形成されてエステルプロドラッグを提供することができ;CONHRで置き換えてカルバメートプロドラッグを提供することができ;COORで置き換えてカルボネートプロドラッグを提供することができ;CHOCORで置き換えてアルキルカルボニルオキシメチルプロドラッグを提供することができ;P(O)(OH)で置き換えてリン酸塩プロドラッグを提供することができ;P(O)(O(C1−C6)アルキル)で置き換えてリン酸塩プロドラッグを提供することができ;P(O)(OCH2OCO(C1−C6)アルキル)で置き換えてリン酸塩プロドラッグを提供することができ;P(O)(OH)(OCH2OCO(C1−C6)アルキル)で置き換えてリン酸塩プロドラッグを提供することができ;P(O)(OH)(OC1−C6)アルキル)で置き換えてリン酸塩プロドラッグを提供することができ;P(O)(OH)(C1−C6)アルキル)で置き換えてリン酸塩プロドラッグを提供することができ、ならびにリン酸塩およびリン酸塩プロドラッグの対応する無機塩、またはグリコシル(ヘミアセタール形の炭水化物のヒドロキシル基の除去から生じる基)を提供することができ、ここでRはC1−C6アルキル、トリフルオロメチル、シクロプロピル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、フェニル、フェニル(フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルコキシ、フェニルメチルで置換されている)、フェニルメチル(フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルコキシ、2−,3−,もしくは−4−ピリジニル、2−,−4−,もしくは5−ピリミジニルで置換されている)を提供することができる。
【0053】
NF−κB活性化の「下流」の事象の標的とすること、p65、RelBおよびc−RelのDNAエンハンサー配列への結合を防ぐこと、および転写の活性化に注目が集まった。この取り組みは正規および非正規経路の両方を種々の化合物を一緒に、または別々に用いてモジュレートすることを可能とする。加えて、「下流」のNF−κB阻害剤は、多くの「上流」のNF−κB阻害剤で観察される副作用を回避することができる。Relファミリーの新規かつ独占的(propietary)NF−κB阻害剤を同定するための薬物スクリーニングの規範が確立された。適切なリード分子を同定するために3つの平行した取り組みがなされた:(1)p65の結晶構造を使用した5,000,000化合物のイン−シリコ(in−silico)スクリーニング、(2)細胞に基づくスクリーニングを使用して、多様化された化合物ライブラリーの広い高処理量スクリーニング、および(3)p65の既存の阻害剤を改善するための修飾。既知のp65アンタゴニスト、例えば天然物質のパルテノライド(pathenolide)および合成分子デヒドロキシメチルエポキシキノマイシン(DHMEQ)と比較して、本発明の化合物はp65(RelA)に対する効力に有意な改善を示す(図7を参照にされたい)。
【0054】
DHMEQまたはパルテノライドとは異なり、本発明の化合物はRelB(図8参照)およびc−Relも阻害することが見いだされた(表1)。すなわち化合物は正規および非正規経路の二重阻害剤、ならびに単一阻害剤である。
【0055】
一般に本発明の化合物は、反応スキーム1および2に概略する一般的合成法により調製され、ここでスキーム中に示される“R”は以下に示す部分であり
【0056】
【化5】

【0057】
そしてHETは本明細書に記載する通りである。
【0058】
反応スキーム1に関して、化合物2〜5は公開されている文献の手順に従い調製することができる(例えばTaylor et al.,Synthesis 1998,775を参照にされたい)。2,5−ジメトキシアニリン1を、ジ−tert−ブチルジカーボネート(BocO)およびトリエチルアミンを用いてメタノールまたはテトラヒドロフラン中で0℃から室温までの範囲の温度で処理することにより、保護されたアニリン誘導体2が得られた。ビス(アセトキシヨード)ベンゼンを用いてメタノール中、0℃での酸化によりケタール3が得られた。モノエポキシ化は、30%水性過酸化水素および水性水酸化ナトリウムもしくは炭酸カリウムのような塩基を使用して、水性テトラヒドロフラン中、0℃から室温の範囲の温度で行い4を生じた。Boc基の選択的除去は、4/1のジクロロメタン/トリフルオロ酢酸混合物を用いて、0℃から室温の範囲の温度で行い遊離アミン5が得られた。別法として、この脱保護は三弗化ホウ素−ジエチルエーテル錯体および活性化モレキュラーシーブを、ジクロロメタンのような溶媒中で室温で使用することにより達成することができる。次いでアミン5は酸クロライド(RCl)と、リチウムtert−ブトキシド(LiOBu)のような塩基を無水テトラヒドロフランのような溶媒中で−78℃で使用してカップリングさせることによりケタール6が得られた。種々の酸クロライド(RCl)は対応するカルボン酸からストレート(neat)の塩化チオニル中で還流することにより調製された。ケタール6は、トリフルオロ酢酸のような酸性媒質中、ジクロロメタンのような溶媒中で0℃から室温の範囲の温度で脱保護することによりジケトン7が得られた。7の位置選択的還元は、わずかに過剰な穏やかな還元剤、例えばトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH(OAc))をメタノールのような溶媒中で0℃から室温の範囲の温度で処理することにより達成された。
【0059】
反応スキーム2において別の合成経路を表す。2,5−ジメトキシアニリン1を酸クロライド(RCl)およびピリジンのような塩基で、無水テトラヒドロフランのような溶媒中で0℃から室温の範囲の温度で処理して10が得られた。ビス(アセトキシヨード)ベンゼンを用いて、メタノール中0℃で酸化してケタール11が得られた。6を得るためのモノエポキシ化は、30%水性過酸化水素および水性水酸化ナトリウムのような塩基を使用して0℃から室温の範囲の温度で達成された。ケタール6は、トリフルオロ酢酸のような酸性媒質中、ジクロロメタンのような溶媒中で0℃から室温の範囲の温度で脱保護する
ことによりジケトン7が得られた。8を提供するための7の位置選択的還元は、わずかに過剰な穏やかな還元剤、例えばトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH(OAc))をメタノールのような溶媒中で0℃から室温の範囲の温度で処理することにより達成された。
【0060】
反応スキーム(2)に表す一般式(7)のジケトン中間体も、NF−κB阻害剤として有意な活性を現すことが見いだされた。すなわち本明細書に記載する一般式(2)のジケトンは本発明の一部と考える。
【0061】
【化6】

【0062】
【化7】

【0063】
本発明の製薬学的組成物は、治療に有効な量の式(1)の化合物、またはその製薬学的に許容され得る塩、および製薬学的に許容され得る担体、賦形剤、希釈剤または補形剤を含んでなる。本発明の好適な製薬学的組成物は治療に有効な量の式(2)の化合物、また
はその製薬学的に許容され得る塩、および製薬学的に許容され得る担体、賦形剤、希釈剤または補形剤を含んでなる。本発明の化合物および製薬学的に許容され得る担体、賦形剤または希釈剤を合わせることにより形成された製薬学的組成物は、次いで錠剤、粉剤、ロゼンジ、シロップ、注入用溶剤等のような様々な剤形で容易に投与される。これらの製薬学的組成物は所望により香料、結合剤、補形剤等のような追加成分を含むことができる。
【0064】
このように経口投与の目的で、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウムおよび/またはリン酸カルシウムのような種々の補形剤を含有する錠剤は、澱粉、アルギン酸および/または特定の珪酸塩複合体(complex silicates)のような種々の崩壊剤と一緒に、ポリビニルピロリドン、シュクロース、ゼラチンおよび/またはアカシアなどの結合剤と共に使用することができる。さらにステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクのような潤滑剤もしばしば製剤する目的に有用である。また類似の種類の固体組成物は、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル中の充填剤として使用することができる。この目的に好適な材料には、ラクトースまたは乳糖および高分子量ポリエチレングリコールがある。経口投与にエリキシル剤の水性懸濁液が望まれる場合、その中の活性な製薬学的製剤は種々の風味の甘味料、着色物質もしくは色素、および所望により乳化剤もしくは懸濁剤を、希釈剤、例えば水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンおよび/またはそれらの混合物と共に合わせることができる。
【0065】
非経口投与には、ゴマまたは落花生油、水性プロピレングリコール、または滅菌水溶液中の本発明の化合物もしくは組成物の溶液を使用できる。そのような水溶液は必要に応じて適切に緩衝化され、そして液体の希釈物が最初に十分な生理食塩水またはグルコースで等張性とされる。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内投与に特に適している。これに関連して、使用する滅菌水性媒質は当業者に知られている標準的技術によりすべて容易に入手可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図面は記載する本発明の具体的態様を表し、ゆえに具体的説明のみを目的とする。したがって図面は本発明の範囲を限定することを意図していない。
【図1】2種のNF−κB依存的レポーター遺伝子、ルシフェラーゼ(A)および緑色蛍光タンパク質(GFP)(B)の実施例1の化合物によるHEK−293細胞中での濃度依存的発現阻害を表す。
【図2】実施例1の化合物はhPBMCに対して細胞傷害効果をほとんどもたないことを示す。ヒト末梢血単核細胞(hPBMC)は実施例1もしくはDHMEQで処理され、そして生存可能な細胞の割合を薬剤処理から24時間後に評価した。グラフは3回の反復実験の平均±標準偏差を表す。
【図3】実施例1の化合物が、hPBMC中で可溶性IL−2Rα、NF−κB調節型サイトカインのNF−κB依存的発現に及ぼす効果を表す。グラフは2回の独立した実験の平均である。
【図4】実施例1の化合物が乳癌細胞中で炎症性サイトカイン、IL−6(A)およびIL−8(B)の分泌を用量依存的様式で阻害する能力を表す。具体的にはAおよびBは、実施例1の化合物が、20ng/mL TNF−αで刺激したMDA−MB−231細胞からIL−6およびIL−8の分泌に及ぼす効果を表す。細胞を示した濃度の実施例1の化合物で2時間処理し、次にTNF−αを加え、そして4時間インキュベーションを続行した。
【図5】実施例1の化合物が、LPSで刺激したマウスマクロファージ細胞中で炎症性サイトカイン、IL−6およびPGEの分泌を用量依存的様式で阻害する能力を表す。具体的にはAおよびBは、実施例1の化合物が、1μg/mLのLPSで刺激したRAW264.7細胞から可溶性PGEおよびIL−6の分泌に及ぼす効果を表す。細胞を示した濃度の化合物1で2時間処理し、次にLPSを加え、そして4時間インキュベーションを続行した。
【図6】実施例1の化合物が、RelA/p65の細胞質から核への移行を用量依存的様式で遮断する能力を表す。具体的には実施例1の化合物は、細胞の細胞質に活性化RelA/p65の蓄積を引き起こす。Hek293細胞を、DHMEQまたは実施例1の化合物(示すように)で、TNFα(20ng/ml)と共に30分間処理した。インキュベーション後、細胞を抗−p65抗体(C−20)抗体(Santa Cruz Biotechnology,サンタクルズ,カリフォルニア州)で免疫染色し、そして核をDapiでカウンター染色した。像はAE31倒立顕微鏡を使用して、エピフルオレッセンス(epifluorescence)イルミネーター(Motic,Xiamen,中国)およびProgRes C3カメラ(JENOPTIK,イェーナ,ドイツ)を用いて撮った。p65および対応する核の個々の像は、最後の図にまとめた。対照処理細胞(DMSOのみ)は、TNFα刺激でp65の核内蓄積を示す。TNFαにより誘導されたp65の核内蓄積は、1〜12μMの実施例1の化合物で有意に遮断されたが、DHMEQには同じ効果を得るためにより高濃度が必要であった。
【図7】実施例2の化合物はp65(RelA)のDNAへの結合を、正規経路でDHMEQおよびパルテノライドよりも強く阻害することを示す。
【図8】実施例2の化合物はRelBのDNAへの結合を、非正規経路で阻害するが(IC50〜2μM)、DHMEQおよびパルテノライドは阻害しない(IC50>20μM)ことを示す。
【図9】実施例2の化合物は、異種移植マウスでボルデゾミブ(PS−341)のようにRPMI8226腫瘍増殖を減少させたことを示す。PS−341(1mg/kg iv日 1,4/週 x 4週)も実施例2の化合物(15mg/kg ip QDx21)処置のいずれもこの実験では賦形剤処置に比べて統計的に有意な腫瘍の増殖阻害を達成しなかった(P>0.10)。
【図10】実施例2の化合物は、エタネルセプトのような抗炎症効力をコラーゲン誘導型の関節リウマチ(CIA)のマウスモデルで現したことを示す。実施例2の化合物(15mg/kg s.c.qd21−35)およびエタネルセプト(50μg/マウス ip qd21−35)処置群は、両方とも統計的に有意な抗炎症効果を達成した(賦形剤処置群に比べてP<0.05)。
【図11】実施例2の化合物(10μMで)はヒトP450およびhERGと相互作用しない(<50%阻害)ことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0067】
実施例の態様では、製薬学的調製物は単位剤形である。そのような形態では、調製物は適切な量の有効成分を含有する単位用量に分割されている。単位剤形は包装された調製物であることができ、例えば包装された錠剤、カプセルおよびバイアルもしくはアンプル中の粉末であることができる。また単位剤形はカプセル、カシェーまたは錠剤自体であることもでき、あるいは適切な数の任意のこのような包装形態であることができる。
【0068】
特定量の有効成分を含む種々の製薬学的組成物の調製法は、当業者に知られている。例
えば製薬学的組成物の調製法については、引用により全部、本明細書に編入するRemington:The Science and Practice of Pharmacy,Lippincott,Williams & Wilkins,21st ed.(2005)を参照にされたい。
【0069】
本発明の一つの態様では、本発明の化合物を少なくとも1種の追加の治療薬と合わせることができる。
【実施例1】
【0070】
(±)−2−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)ニコチンアミド(8a)の調製。
【0071】
A.tert−ブチル2,5−ジメトキシフェニルカルバメート(2)の調製
氷浴中の2,5−ジメトキシアニリン1(50g,326ミリモル)の溶液(1LのMeOH中)に、不活性窒素雰囲気下でトリエチルアミン(55mL,397ミリモル)、続いてBocO(78g,359ミリモル)(150mLのメタノール中)を滴下様式で加えた。反応混合物を一晩撹拌した。薄層クロマトグラフィーにより不完全と判断された後、さらにBocO(22g,69ミリモル)およびトリエチルアミン(55mL,397ミリモル)を加え、そしてこの溶液を3日間撹拌した。メタノールを除去し、そして残渣を酢酸エチルに溶解し、これを希釈塩酸(2x)およびブラインですすいだ後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、続いて濾過し、そして溶媒を蒸発させて50g(61%)のtert−ブチル 2,5−ジメトキシフェニルカルバメート(2)を茶色い油として得た。H NMRは文献で報告された値と一致した(Synthesis 1998,775)。
【0072】
B.tert−ブチル 6,6−ジメトキシ−3−オキソシクロヘキサ−1,4−ジエニルカルバメート(3)の調製
化合物2(29g,115ミリモル)のメタノール性溶液(700mL)を氷浴中で冷却した後、さらにビス(アセトキシヨード)ベンゼン(62g,194ミリモル)を30分間にわたり6回に分けて加えた。溶液を氷浴中で2時間撹拌し、次いで室温とし、そして一晩撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(1.5L)で希釈し、そして水、希釈塩酸およびブラインですすいだ。水性相を酢酸エチルで1回逆抽出し、そして有機相を合わせた後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、続いて濾過し、そして溶媒を蒸発させた。生じた液体は、ヘプタン中の酢酸エチルの勾配(0〜2%)を使用してシリカゲルで精製して、6.9g(21%)(3)を黄−オレンジ色の固体を得た。材料はH NMRにより十分に純粋(約95%)であり、これは文献で報告された値と一致した(Synthesis
1998,775)。
【0073】
C.tert−ブチル 2,2−ジメトキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イルカルバメート(4)の調製
テトラヒドロフラン(93mL)中の化合物3(3.4g,12.7モル)を、氷浴中で冷却した。この撹拌溶液に、滴下様式で過酸化水素(30%水性,22mL)および水性水酸化ナトリウム(1M,61mL)を、2つの別個の添加漏斗をクライゼンアダプターを利用して使用して直列で加えた。反応混合物は氷浴中で30分間、次いで室温で5時間撹拌した。フラスコを氷浴中で冷却し、そして過酸化物を二酸化マンガンで慎重にクエンチした。混合物をシリカゲルの小ベット上で濾過し、続いてシリカゲルを酢酸エチルですすいだ後、混合物をブラインで洗浄した。有機物を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして蒸発させた。生じた油をペンタンで処理してオフホワイト色の固体を沈殿させ、溶媒を蒸発させた後、2g(56%)の化合物(4)を得た。H NMRは混合物中に20%の出発材料を示し、これは次の段階で容易に除去された(TFAで処理)。生
成物のH NMRは文献で報告された値と一致した(Synthesis 1998,775)。
【0074】
D.4−アミノ−5,5−ジメトキシ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−2−オン(5)の調製
化合物4(300mg,1.1ミリモル)の溶液(6mLの無水ジクロロメタン中)を、氷浴中で不活性窒素雰囲気下で撹拌した。この溶液にトリフルオロ酢酸(1.5mL)を滴下し、そして溶液を室温とし、3時間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにより完全と判断された後、溶媒を蒸発させ、そして残渣を酢酸エチルに溶解した。固体の重炭酸ナトリウム(2g)を慎重に加え、そして溶液を10分間撹拌した。塩を濾過し、そして酢酸エチルですすいだ後、溶媒を蒸発させた。粗化合物はヘプタン中の酢酸エチルの勾配(0〜100%)を使用してシリカゲルで精製した。100%酢酸エチルで溶出した生成物は、178mg(91%)の化合物(5)を与えた。生成物のH NMRは文献で報告された値と一致した(Synthesis 1998,775)。
【0075】
E.N−(2,2−ジメトキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−2−ヒドロキシニコチンアミド(6a)の調製
2−ヒドロキシコニチン酸(112mg,0.81ミリモル)および塩化チオニル(650mL,8.9ミリモル)の混合物を30分間、加熱還流した。室温に冷却した後、過剰な塩化チオニルを真空下で除去し、そして生じた酸クロライドを不活性な窒素雰囲気下で保存した。別に無水テトラヒドロフラン(4mL)中にアミン5(100mg,0.54ミリモル)を含有するフラスコを不活性な窒素雰囲気下で−78℃に冷却し、その後リチウムtert−ブトキシド(1Mのテトラヒドロフラン中、540mL,0.54ミリモル)を滴下した。この溶液を30分間撹拌した後、粗2−ヒドロキシニコチノイルクロライド(1mLのテトラヒドロフラン中)を滴下した。反応混合物を−78℃で30分間撹拌し、次いで室温に温め、そして1時間撹拌した。液体クロマトグラフィー−質量分析(LC−MS)では、所望の、および過アシル化生成物の両方が示された。次いで反応混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和塩化アンモニウム次いでブラインですすぎ、そして水性相を酢酸エチルで逆抽出し、続いてブラインで洗浄した。合わせた有機物を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過し、そして溶媒を蒸発させて169mgの粗材料を得た。ヘプタン中の酢酸エチルの勾配(50〜100%)を使用してシリカゲルでのクロマトグラフィーで、生成物と出発材料の56mgの混合物、所望の生成物と過アシル化生成物の56mgの混合物、および31mgの主に過アシル化生成物が得られた(粗収率:99%)。所望の生成物/過アシル化材料の56mgの混合物をメタノール(1.4mL)および水(200mL)に溶解した後、炭酸カリウム(9mg,〜1当量)を加えた。反応物は室温で2時間撹拌した後、薄層クロマトグラフィーにより完全であると判断された。溶液を酢酸エチルで希釈し、そしてブラインで洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして溶媒を蒸発させて50mgの化合物6aを得た。この生成物の構造は
NMRにより確認された。NMR(CDCl):δ12.10(br.s,1H),10.60(br.s,1H),8.62(m,IH),7.55(m,1H),7.25(m,1H),6.60(m,1H),3.85(m,1H),3.70(s,3H),3.50(m,1H),3.40(s,3H)ppm.
【0076】
F.N−(2,5−ジオキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−2−ヒドロキシニコチンアミド(7a)の調製
無水ジクロロメタン(2mL)中の6a(50mg,0.16ミリモル)溶液に、ゆっくりとトリフルオロ酢酸(0.5mL)を室温で加えた。一晩撹拌した後、LC−MSは27%の出発材料が残っていることを示した。さらにトリフルオロ酢酸(0.5mL)を加え、そして反応混合物をさらに24時間撹拌し、この時点で完了と判断された。溶液を氷浴中で冷却し、そしてさらにジクロロメタン(10mL)で希釈した後、飽和重炭酸ナ
トリウム溶液を撹拌している混合物がアルカリ性になるまでゆっくりと加えた。次いで混合物を分配し、そして有機溶媒を取り出し、そしてブラインですすいだ。水性層を酢酸エチルで2回抽出し、そして有機層をブラインで洗浄した。すべての有機物をプールし、そして無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過し、そして溶媒を蒸発させて7aを明黄色の固体として得た(30mg,71%)。LC−MSは80%純度を示し、そしてこの材料をさらに精製せずに次の工程で使用した。
【0077】
G.(±)−2−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)ニコチンアミド(8a)の調製
0℃に冷却したメタノール(4mL)中の化合物7a(30mg,0.092ミリモル,80%純度)溶液に、不活性窒素雰囲気下でトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(30mg,0.142ミリモル)を1回で加えた。この溶液をこの温度で15分間撹拌した後、室温とした。さらに45分間撹拌した後、反応はTLCにより完了したと判断された。メタノールを約2mL容量まで蒸発させ、そしてフラスコを氷浴中で10分間冷却した。次いで沈殿を濾過し、そしてメタノールですすいだ(2 x 3mL)。高吸引下で乾燥した後、10mg(42%収率)の化合物8aが淡黄色の固体として単離された。この純度はHPLCにより95%であった(Restek Pinnacle II カラム、C18,5μ,250 x 4.6mm;移動相:水中5% アセトニトリルで5分、次いで20分間にわたり水中5〜100%のアセトニトリル;流速:1.5mL/分;検出器:316nm(VWD)。生成物の構造はH NMRにより確認した。NMR(DMSO−d):δ12.70(br.s,1H),12.50(br.s,1H),8.35(m,IH),7.85(m,IH),6.90(m,IH),6.55(m,2H),4.80(m,1H),3.80(m,1H),3.40(m,1H)ppm.
【実施例2】
【0078】
(±)−2−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)キノリン−3−カルボキサミド(8b)。
【0079】
実施例1の方法を使用するが、工程Eの2−ヒドロキシキノリン−3−カルボン酸を2−ヒドロキシニコチン酸に代えて使用して、2−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)キノリン−3−カルボキサミドを調製した。
【0080】
A.N−(2,2−ジメトキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−2−ヒドロキシキノリン−3−カルボキサミド(6b)の調製
2−ヒドロキシキノリン−3−カルボン酸(528mg,2.8ミリモル)を含む乾燥丸底フラスコに、塩化チオニル(4mL,57ミリモル)を加えた。混合物を20分間、加熱還流した後、塩化チオニルをロータリーエバポレーターで蒸発させた。別のフラスコで、アミン5(430mg,2.3ミリモル)を無水テトラヒドロフラン(17mL)に溶解し、そして不活性な窒素雰囲気下で−78℃に冷却した。冷却したアミン溶液に、リチウムtert−ブトキシド(1Mのテトラヒドロフラン中;3mL,3ミリモル)を加え、続いて15分間撹拌した。次いで酸クロライドをテトラヒドロフラン(12mL)中で懸濁し、そして冷却アミン溶液に直接加えた。反応混合物を一晩撹拌し、その間に室温になった。次いで反応物を酢酸エチルで希釈し、ブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮して550mgの粗物質を得、これは10%のO−アロイル化生成物を含んだ(LC−MSにより定めたように)。固体は25mgの炭酸カリウムを含有する8/1のメタノール/水(9mL)中で1時間撹拌し、その後、酢酸エチルで希釈し、そして飽和重炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄した。酢酸エチルを無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、そして濃縮して少量のエステルを含む固体を得た。次いで生成物は小さいシリカプラグで精製し、95/5のジクロロメタン/酢酸エチ
ルで溶出して、530mgの淡黄色の固体(64%収率)を得た。生成物の構造はH NMRにより確認した。NMR(CDCl):δ12.30(br.s,1H),10.60(br.s,1H),9.00(m,IH),7.80(m,IH),7.65(m,IH),7.40(m,2H),5.60(m,1H),3.85(m,1H),3.70(s,3H),3.50(m,1H),3.40(s,3H)ppm.
【0081】
B.N−(2,5−ジオキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−2−ヒドロキシキノリン−3−カルボキサミド(7b)の調製
N−(2,2−ジメトキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−2−ヒドロキシキノリン−3−カルボキサミド(65mg,0.18ミリモル)を含有するフラスコに、トリフルオロ酢酸(15mL)を1回で加えた。溶液を3時間撹拌した後、反応をLC−MSにより判断した。トリフルオロ酢酸を真空下で除去し、そして生成物を窒素ガスで乾燥して57mg(100%)の表題生成物を得、これは約15%の副産物を含み、これは加水分解生成物であることが示唆された(アミドおよびエポキシドの両位置で;M 204)。この固体をさらに特性決定または精製することなく次の工程に使用した。
【0082】
C.(±)−2−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)キノリン−3−カルボキサミド(8b)の調製
上記で得た化合物を、2/1のテトラヒドロフラン/メタノール混合物(36mL)に溶解し、そして0℃に冷却した。次いでトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを一回で加え、そして反応を室温とした。30分間撹拌した後、反応はLC−MSにより完了したと判断した。次いで溶媒を蒸発させ、そしてメタノール(5mL)を加えた。混合物を簡単に超音波処理し、そして氷浴中で15分間冷却した。次いで固体を濾過し、そしてメタノールですすぎ(2 x 2mL)、集め、高真空下で乾燥させて18mg(78%)の生成物を得た。純度はHPLCにより94%であった(Restek Pinnacle
II カラム,C18,5μ,150 x 4.6mm;移動相:水中5%アセトニトリルで5分間(0.1% TFA)、次いで20分間にわたり水中5〜100%のアセトニトリル(0.1% トリフルオロ酢酸);流速:1.5mL/分;検出器:316nm(VWD))。生成物構造はH NMRにより確認した。NMR(DMSO−d):δ12.70(br.s,1H),12.50(br.s,1H),9.00(m,IH),8.00(m,IH),7.75(m,IH),7.40(m,1H),7.30(m,1H),6.85(m,1H),6.65(m,1H),4.90(m,1H),3.80(m,1H),3.40(m,1H)ppm.
【実施例3】
【0083】
(±)−3−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)ピコリンアミド。H NMR.NMR(DMSO−d):δ 11.20(br.s,1H),10.70(br.s,1H),8.20(m,1H),7.60(m,1H),7.50(m,1H),6.90(m,1H),6.80(m,1H),4.90(m,1H),3.85(m,1H),3.45(m,1H)ppm.
【実施例4】
【0084】
(±)−4−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−ニコチンアミド。H NMR.NMR(DMSO−d):δ 12.90(br.s,1H),8.50(m,1H),7.80(m,1H),6.90(m,1H),6.45(m,2H),4.75(m,1H),3.80(m,1H),3.40(m,1H)ppm.
【実施例5】
【0085】
(±)−6−クロロ−4−ヒドロキシ−キノリン−3−カルボン酸−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−アミド。H NMR.NMR(DMSO−d):δ13.1(br.s,1H),12.50(br.s,1H),8.90(m,1H),8.20(m,1H),7.80(m,1H),7.75(m,1H),6.90(m,1H),6.60(m,1H),4.80(m,1H),3.80(m,1H),3.40(m,1H)ppm.
【実施例6】
【0086】
(±)−4−ヒドロキシ−8−トリフルオロメチル−キノリン−3−カルボン酸−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−アミド。H NMR.NMR(DMSO−d):δ 12.30(br.s,1H),8.75(m,1H),8.60(m,1H),8.25(m,1H),7.70(m,1H),6.90(m,1H),6.60(m,1H),4.80(m,1H),3.80(m,1H),3.40(m,1H)ppm.
【実施例7】
【0087】
(±)−5−クロロ−2−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−ニコチンアミド。H NMR.NMR(DMSO−d):δ 13.10(br.s,1H),12.65(br.s,1H),8.25(m,1H),8.20(m,1H),8.05(m,1H),6.90(m,1H),6.55(m,1H),4.80(m,1H),3.80(m,1H),3.40(m,1H)ppm.
【実施例8】
【0088】
(±)−4−ヒドロキシ−2−フェニルピリミジン−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−en−3−イル)−アミド。H NMR.NMR(DMSO−d):δ 13.70(br.s,1H),12.00(br.s,1H),8.75(m,1H),8.20(m,2H),7.50(m,3H),6.90(m,1H),6.60(m,1H),4.80(m,1H),3.80(m,1H),3.40(m,1H)ppm.
【実施例9】
【0089】
(±)−3−ヒドロキシ−キノキサリン−2−カルボン酸(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−アミド。
NMR.NMR(DMSO−d):δ 13.00(br.s,1H),7.90(m,1H),7.70(m,1H),7.40(m,2H),6.90(m,1H),6.60(m,1H),4.80(m,1H),3.80(m,1H),3.40(m,1H)ppm.
【実施例10】
【0090】
(±)−2−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−6−メチル−ニコチンアミド。H NMR.NMR(DMSO−d):δ 12.60(br.s,1H),12.20(s,1H),8.25(m,1H),6.90(m,1H),6.60(m,1H),6.40(m,1H),4.80(m,1H),3.80(m,1H),3.40(m,1H),2.35(s,3H)ppm.
【実施例11】
【0091】
(±)−4−ヒドロキシ−2−ピペリジン−1−イル−ピリミジン−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−アミド。H NMR.NMR(DMSO−d):8.50(m,1H),6.80(m,1H),6.50(m,1H),4.75(m,1H),3.85(m,1H),3.80(m,4H),3.40(m,1H),1.6(m,6H)ppm.
【実施例12】
【0092】
(±)−3−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)ピコリンアミド,メシレート。H NMR
NMR(DMSO−d):δ 10.60(br.s,1H),8.30(m,1H),7.60(m,1H),7.50(m,1H),6.90(m,1H),5.00(m,1H),3.80(m,1H),3.40(m,1H),3.20(m,1H),2.20(s,3H)ppm.
【実施例13】
【0093】
(±)−3−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)ピコリンアミドトリフルオロアセテート。H NMR.NMR(DMSO−d):δ 11.10(br.s,1H),10.60(br.s),8.30(m,1H),7.60(m,1H),7.50(m,1H),6.90(m,1H),6.80(m,1H),3.80(m,1H),3.40(m,1H)ppm.
【実施例14】
【0094】
(±)−3−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)ピコリンアミド トシレート。H NMR.NMR(DMSO−d):δ 10.60(br.s,1H),8.20(m,1H),7.60(m,1H),7.50(m,1H),7.40(m,2H),7.10(m,2H),6.80(m,1H),4.80(m,1H),3.80(m,1H),3.40(m,1H),2.2(s,3H)ppm.
【実施例15】
【0095】
(±)−3−ヒドロキシ−キノリン−2−カルボン酸−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−アミド。H NMR.NMR(DMSO−d):δ 10.90(br.s,1H),10.80(br.s,1H),7.90(m,3H),7.60(m,2H),6.90(m,1H),6.80(m,1H),4.90(m,1H),3.80(m,1H),3.40(m,1H)ppm.
【実施例16】
【0096】
(±)−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−2−メトキシ−ニコチンアミド. H NMR.NMR(DMSO−d):δ 10.70(br.s,1H),8.40(m,1H),8.35(m,1H),7.20(m,1H),6.90(m,1H),6.80(m,1H),4.80(m,1H),4.05(s,3H),3.80(m,1H),3.40(m,1H)ppm.
【実施例17】
【0097】
(±)−3−ヒドロキシ−キノリン−2−カルボン酸−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−アミド メシレート。H NMR.NMR(DMSO−d):δ 10.90(br.s,1H),
10.80(br.s,1H),7.90(m,3H),7.60(m,2H),6.90(m,1H),4.80(m,1H),3.80(m,1H),3.40(m,1H),2.30(s,3H)ppm.
【実施例18】
【0098】
(±)−3−ヒドロキシ−キノリン−2−カルボン酸−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−アミドトリフルオロアセテート。H NMR.NMR(DMSO−d):δ 10.90(br.s,1H),10.80(br.s,1H),7.90(m,3H),7.60(m,2H),6.90(m,1H),6.80(m,1H)4.90(m,1H),3.90(m,1H),3.50(m,1H)ppm.
【実施例19】
【0099】
(±)−3−ヒドロキシ−キノリン−2−カルボン酸−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−アミド トシレート。H NMR.NMR(DMSO−d):δ 10.90(br.s,1H),10.80(br.s,1H),7.90(m,3H),7.60(m,2H),7.40(m,2H),7.1(m,2H),6.80(m,1H)4.90(m,1H),3.90(m,1H),3.50(m,1H),2.2(s,3H)ppm.
【実施例20】
【0100】
(±)−3−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−アミド。H NMR.NMR(DMSO−d):δ 10.60(br.s,1H),8.30(m,1H),7.80(m,1H),7.65(m,1H),7.00(m,IH),5.70(m,1H),4.90(m,1H),4.00(s,3H),3.90(m,1H),3.40(m,1H)ppm.
【実施例21】
【0101】
(±)−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−2−メトキシ−ニコチンアミドトリフルオロアセテート。H NMR.NMR(DMSO−d):δ 10.70(br.s,1H),8.40(m,1H),8.35(m,1H),7.20(m,1H),6.90(m,IH),6.80(m,1H),4.80(m,1H),4.05(s,3H),3.80(m,1H),3.40(m,1H)ppm.
【実施例22】
【0102】
(±)−3−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−アミド トリフルオロアセテート。H NMR.NMR(DMSO−d):δ 10.40(br.s,1H),8.30(m,1H),7.80(m,1H),7.65(m,1H),6.80(m,IH),4.90(m,1H),3.90(s,3H),3.80(m,1H),3.40(m,1H)ppm.
【実施例23】
【0103】
(±)−2−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−6−トリフルオロメチル−ニコチンアミド。H NMR.NMR(DMSO−d):δ 11.80(br.s,1H),8.50(m,1H),7.20(m,1H),6.90(m,1H),6.80(m,1H),4.80(m,1H),3.80(m,1H),3.40(m,1H)ppm.
【実施例24】
【0104】
(±)−4−ヒドロキシ−2−メチル−ピリミジン−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−アミド。H NMR.NMR(DMSO−d):δ 13.40(br.s,1H),11.80(br.s,1H),8.60(s,1H),6.90(m,IH),6.60(m,1H),4.80(m,1H),3.80(m,1H),3.40(m,1H)ppm.
【実施例25】
【0105】
(±)−2−メトキシ−キノリン−3−カルボン酸(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−アミド。H NMR.NMR(DMSO−d):δ 10.80(br.s,1H),9.00(m,1H),8.10(m,1H),7.80(m,2H),7.50(m,IH),6.90(m,2H),4.90(m,1H),4.20(s,3H),3.90(m,1H),3.40(m,1H)ppm.
【実施例26】
【0106】
(±)−3−メトキシ−ピラジン−2−カルボン酸(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−アミド. H NMR.NMR(DMSO−d):δ 10.30(br.s,1H),8.60(s,1H),8.35(m,1H),6.80(m,IH),6.70(m,1H),4.80(m,1H),4.00(s,3H),3.80(m,1H),3.40(m,1H)ppm.
【実施例27】
【0107】
(±)−1−クロロ−4−ヒドロキシ−イソキノリン−3−カルボン酸(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−アミド。H NMR.NMR(DMSO−d):δ 12.30(br.s,1H),10.30(br.s,1H),8.40(m,2H),8.10(m,2H),6.90(m,1H),6.80(m,1H),4.80(m,1H),3.80(m,1H),3.40(m,1H)ppm.
【実施例28】
【0108】
(±)−N−(2,5−ジオキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−2−ヒドロキシキノリン−3−カルボキサミド。H NMR.NMR(DMSO−d):δ 12.60(br.s,1H),10.30(br.s,1H),9.00(m,1H),8.00(m,1H),7.70(m,1H),7.5(m,2H),7.30(m,1H),4.20(m,1H),3.90(m,1H)ppm.
【実施例29】
【0109】
(±)−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−8−メトキシキノリン−7−カルボキサミド。H NMR.NMR(DMSO−d):δ 11.10(br.s,1H),9.10(s,1H),8.50(m,1H),8.05(m,1H),7.70(m,1H),6.90(m,1H),6.80(m,1H),4.90(m,1H),4.35(s,3H),3.80(m,1H),3.40(m,1H)ppm.
【実施例30】
【0110】
(±)−N−(2,5−ジオキソ−7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−2−メトキシ−ニコチンアミド。H NMR.NMR(DMSO−d):δ 10.60(br.s,1H),8.50(m,1H),8.30(m,1H),7.40(m,1H),7.20(m,IH),4.20(m,1H),4.10(s,3H),3.95(m,1H)ppm.
【実施例31】
【0111】
(±)−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−3−メトキシキノリン−2−カルボキサミド。H NMR.NMR(DMSO−d):δ 10.60(br.s,1H),8.05(s,1H),8.00(m,2H),7.60(m,2H),6.80(m,1H),6.60(m,1H),4.80(m,1H),3.80(m,1H),3.40(m,1H)ppm.
【実施例32】
【0112】
(±)−N−(2,5−ジオキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−8−メトキシキノリン−7−カルボキサミド。H NMR.NMR(DMSO−d):δ 11.20(br.s,1H),9.00(s,1H),8.50(m,1H),8.10(m,1H),7.90(m,1H),7.70(m,1H),7.40(m,1H),4.40(s,3H),4.20(m,1H),4.00(m,1H)ppm.
【実施例33】
【0113】
(±)−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−8−メトキシキノリン−7−カルボキサミドトリフルオロアセテート。H NMR.NMR(DMSO−d):δ 11.20(br.s,1H),9.00(s,1H),8.50(m,1H),8.10(m,1H),7.90(m,1H),7.70(m,1H),7.00(m,1H),4.90(s,3H),3.90(m,1H)ppm.
【実施例34】
【0114】
(±)−N−(2,5−ジオキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−3−ヒドロキシイソニコチンアミド。H NMR.NMR(DMSO−d):δ 8.30(s,1H),8.00(m,1H),7.40(m,1H),4.20(s,1H),4.00(m,1H)ppm.
【実施例35】
【0115】
(±)−N−(2,5−ジオキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−2−メトキシキノリン−3−カルボキサミド。H NMR.NMR(DMSO−d):δ 11.00(br.s,1H),9.00(s,1H),7.90(m,2H),7.75(m,2H),7.50(m,1H),4.40(s,3H),4.00(s,1H),3.90(m,1H)ppm.
【実施例36】
【0116】
(±)−2−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−6−メトキシキノリン−3−カルボキサミド.H NMR.NMR(DMSO−d):δ12.50(br.s,1H),8.90(m,IH),7.50(m,IH),7.40(m,2H),6.90(m,1H),6.60(m,1H),4.90(m,1H),3.80(m,4H),3.40(m,1H)ppm.
【実施例37】
【0117】
(±)−6−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−5−カルボキサミド。実施例1の方法を採用するが、工程Eで6−ヒドロキシベンゾ[d]オキサゾール−5−カルボン酸を2−ヒドロキシニコチン酸の代わりに使用して、(±)−6−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−5−カルボキサミドを調製することができる。
【実施例38】
【0118】
(±)−6−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)ベンゾ[d]チアゾール−5−カルボキサミド。実施例1の方法を採用するが、工程Eで6−ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール−5−カルボン酸を2−ヒドロキシニコチン酸の代わりに使用して、(±)−6−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)ベンゾ[d]チアゾール−5−カルボキサミドを調製することができる。
【実施例39】
【0119】
(±)−3−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)ピペリジン−2−カルボキサミド。実施例1の方法を採用するが、工程Eで3−ヒドロキシピペリジン−2−カルボン酸を2−ヒドロキシニコチン酸の代わりに使用して、(±)−3−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)ピペリジン−2−カルボキサミドを調製することができる。
【実施例40】
【0120】
(±)−3−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)ピラジン−2−カルボキサミド。実施例1の方法を採用するが、工程Eで3−ヒドロキシピラジン−2−カルボン酸を2−ヒドロキシニコチン酸の代わりに使用して、(±)−3−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)ピラジン−2−カルボキサミドを調製するこことができる。
【実施例41】
【0121】
(±)−5−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)ピリミジン−4−カルボキサミド。実施例1の方法を採用するが、工程Eで5−ヒドロキシピリミジン−4−カルボン酸を2−ヒドロキシニコチン酸の代わりに使用して、(±)−5−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)ピリミジン−4−カルボキサミドを調製することができる。
【実施例42】
【0122】
(±)−2−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド。実施例1の方法を採用するが、工程Eで2−ヒドロキシ−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸を2−ヒドロキシニコチン酸の代わりに使用して、(±)−2−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミドを調製することができる

【実施例43】
【0123】
(±)−7−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド。実施例1の方法を採用するが、工程Eで7−ヒドロキシ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸を2−ヒドロキシニコチン酸の代わりに使用して、(±)−7−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミドを調製することができる。
【実施例44】
【0124】
(±)−4−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)ピリダジン−3−カルボキサミド。実施例1の方法を採用するが、工程Eで4−ヒドロキシ−ピリダジン−3−カルボン酸を2−ヒドロキシニコチン酸の代わりに使用して、(±)−4−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)ピリダジン−3−カルボキサミドを調製することができる。
【実施例45】
【0125】
(±)−4−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド。実施例1の方法を採用するが、工程Eで4−ヒドロキシ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸を2−ヒドロキシニコチン酸の代わりに使用して、(±)−4−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミドを調製することができる。
【実施例46】
【0126】
4−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)フラン−3−カルボキサミド。実施例1の方法を採用するが、工程Eで4−ヒドロキシフラン−3−カルボン酸を2−ヒドロキシニコチン酸の代わりに使用して、4−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)フラン−3−カルボキサミドを調製することができる。
【実施例47】
【0127】
(±)−4−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)チオフェン−3−カルボキサミド。実施例1の方法を採用するが、工程Eで4−ヒドロキシチオフェン−3−カルボン酸を2−ヒドロキシニコチン酸の代わりに使用して、(±)−4−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)チオフェン−3−カルボキサミドを調製することができる。
【実施例48】
【0128】
(±)−3−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)イソチアゾール−4−カルボキサミド。実施例1の方法を採用するが、工程Eで3−ヒドロキシイソチアゾール−4−カルボン酸を2−ヒドロキシニコチン酸の代わりに使用して、(±)−3−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)イソチアゾール−4−カルボキサミドを調製することができる。
【実施例49】
【0129】
(±)−3−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)イソキサゾール−4−カルボキサミド。実施例1の方法を採用するが、工程Eで3−ヒドロキシイソキサゾール−4−カルボン酸を2−ヒドロキシニコチン酸の代わりに使用して、(±)−3−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)イソキサゾール−4−カルボキサミドを調製することができる。
【実施例50】
【0130】
(±)−6−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−1H−インドール−5−カルボキサミド。実施例1の方法を採用するが、工程Eで6−ヒドロキシ−1H−インドール−5−カルボン酸を2−ヒドロキシニコチン酸の代わりに使用して、(±)−6−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−1H−インドール−5−カルボキサミドを調製することができる。
【実施例51】
【0131】
(±)−6−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5−カルボキサミド。実施例1の方法を採用するが、工程Eで6−ヒドロキシ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5−カルボン酸を2−ヒドロキシニコチン酸の代わりに使用して、(±)−6−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5−カルボキサミドを調製することができる。
【実施例52】
【0132】
(±)−2−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)モルホリン−3−カルボキサミド。実施例1の方法を採用するが、工程Eで2−ヒドロキシモルホリン−3−カルボン酸を2−ヒドロキシニコチン酸の代わりに使用して、(±)−2−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−エン−3−イル)モルホリン−3−カルボキサミドを調製することができる。
【0133】
実施例1の化合物による細胞内でのNF−κBの阻害 2つのレポーター細胞アッセイを使用して、実施例1の化合物がNF−κBが駆動する転写を阻害する能力を測定した。第1アッセイは、3つのNF−κBプロモーター要素を含む安定に組み込まれたpNF−κB−lucレポータープラスミドを用いた293−細胞に基づくアッセイであった。第2のアッセイは、4つのNF−κBプロモーター要素を含む安定に組み込まれたpTRH1−NF−κB−dscGFPレポーターを用いた293−細胞に基づくアッセイであった。細胞を0、0.2、1、10、20および40μMの実施例1の化合物で2時間処理し、次いで20ng/mlのTNF−αで18時間誘導した。誘導後、発光または蛍光を、Beckman−Coulter 2300プレートリーダーを使用して定量した。図1AおよびBはそれぞれ発光および蛍光データから作成した用量応答曲線を示す。実施例1の化合物は、ルシフェラーゼ遺伝子の発現を用量依存的様式で阻害することが観察され、16.2±1.1μMのIC50中央値(50%の阻害濃度)であった。また実施例1の化合物は、緑色蛍光タンパク質遺伝子の発現も用量依存的様式で阻害し、6.2±0.5μMのIC50中央値であった。これらの値は3回の独立した実験±標準誤差から作成した中央値を表す。対照として、0.5% DMSO処理および未処理細胞と比較して、実施例1の担体がルシフェラーゼの発現またはアッセイの読み取りに影響を及ぼさないこ
とが確認された。DMSO処理群でのアッセイからの出力にわずかな減少があったが、統計的に有意ではなかった。対照の結果として、薬剤処理したサンプルにおける活性の低下をDMSO処理サンプルと比較した。
【0134】
実施例1の化合物の細胞傷害プロファイル 実施例1の化合物の細胞傷害性は、ヒト末梢血単核細胞(hPBMCs)について測定された。図2を参照にされたい。活性アッセイの場合のように、hPBMCsを0、0.2、1、10、20および40μMの実施例1の化合物で2時間処理し、次いで20ng/mlのTNF−αで48時間誘導した。生存可能細胞数は、CellTiter−Glo発光細胞生存能アッセイ(Promega(cat # G7573))を使用して測定した。代表的な実験を図2に示す。グラフが示すように、実施例1の化合物を用いてこれらの細胞に対して検出できる毒性は、試験した40μMまでほとんどなかった。対照的に、DHMEQは40μMで60%より高い細胞増殖の阻害を現した。0.5%のDMSOで処理した細胞は、未処理hPBMCsに比べて検出できる細胞傷害効果を示さなかった。選択性指数(selectivity index:細胞傷害性CC50対阻害性IC50の比)を実施例1の化合物に割り当てる。上記阻害および毒性実験で得られた結果に基づき、実施例1の化合物はDHMEQに比べてより高い選択性を現した(すなわちより高い活性およびより低い細胞傷害性)。
【0135】
可溶性IL−2RαはNF−κBにより転写的に調節される 図3はsIL−2Rαの血清レベルが実施例1で処理した細胞により影響され得ることを示す。ヒトPBMCsを0、0.2、1、10、20および40μMの実施例1の化合物で処理すると同時にPHA−Pで活性化した。細胞をさらに3日間培養し、そして培地をマーカーの評価のために回収した。図3はsIL−2RαがPHA−Pの活性化により有意に誘導されたことを示す。さらにグラフでは、sIL−2Rαが実施例1の化合物の添加に用量依存的様式で影響され、10μMの実施例1の化合物で統計的に有意な効果が生じたことを示す。
【0136】
実施例1の化合物によるIL−6およびIL−8分泌の阻害 過去数年にわたり、乳癌に関する徹底的な研究で、HER2、エストロゲンレセプター(ER)の過剰発現、およびp53、BRCA1およびBRCA2を含む遺伝子の突然変異が、核内因子κBを含む複数の脈管形成性アポトーシス促進レギュレーターの誘導を介して乳癌の発症および進行に重要な役割を果たすという認識に至った。NF−κBはしばしば、乳癌、膀胱癌、前立腺癌および黒色腫で恒常的に活性化される。多くの研究でNF−κBの恒常的活性化が乳癌細胞株のホルモン非依存的増殖の進行に貢献することが示された。
【0137】
NF−κBシグナル伝達経路は、IL−6およびIL−8を恒常的に分泌することが示されたMDA−MB−231細胞で恒常的に活性化される一方、TNF−αの添加がさらにこの分泌を加速する(図4AおよびBを参照にされたい)。この実施例1の化合物は、MDA−MB−231からの恒常的なIL−6およびIL−8分泌を用量依存的様式で阻害することが観察された。たとえ細胞がTNF−α(20ng/mL)で刺激された場合でも、20μMの実施例1の化合物はこれらの細胞からIL−6およびIL−8の分泌を完全に阻害した(図4AおよびBを参照)。
【0138】
マクロファージは免疫反応、アレルギーおよび炎症に重要な役割を果たす。過剰なマクロファージの活性化は、充実性腫瘍、糖尿病、およびアルツハイマー病およびパーキンソン病のような神経疾患を増す。ゆえに過剰なマクロファージの活性を抑制することはこれらの疾患に化学療法として有用となるはずである。細胞培養実験には、マウス細胞株RAW264.7がマクロファージのモデルとしてしばしば使用される。微生物およびリポ多糖(LPS)のようなその生産物に反応して、マクロファージはインターロイキン(IL)−1、IL−2、IL−6、IL−8、IL−10、IL−12、および腫瘍壊死因子(TNF)−αを含む様々な炎症性サイトカインを、核内因子NF−κBの活性化を介し
て分泌し、ならびにNF−κB−依存的誘導型NO合成酵素(iNOS)およびシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)を発現する。NF−κBは細胞外シグナルにより主にマクロファージ内の様々なToll−様受容体を介して活性化される。免疫系による微生物感染の検出および応答は、Toll−様受容体(TLR)と呼ばれるパターン認識受容体のファミリーに依存する。これらの受容体は、グラム陽性および陰性細菌、DNAおよびRNAウイルス、菌・カビ、および原生動物に由来する分子を含む病原体に関連する分子パターン(PAMP)を認識するように進化的に保存されており、そしてそれらはかなりの標的特異性を表す。TLR4はグラム陰性細菌のLPSに対する効果的な宿主細胞応答に重要である。
【0139】
LPS刺激はプロスタグランジンE2の原因である酵素COX−2の発現を誘導する。実施例1の化合物での前処理は、6〜12時間で発現の強い阻害を生じた。このLPSが誘導するCOX−2発現の減少は、図5Aに示すように、下流のPGE合成の減少により示されるように用量依存的であった。
【0140】
炎症性サイトカインIL−6は、図5Bに示すように実施例1の化合物により用量依存的様式で阻害された。この阻害はMDA−MB−231乳癌細胞株におけるIL−6の阻害と合致する。
【0141】
RelA/p65の免疫染色 実施例1の化合物は細胞の細胞質内に活性化RelA/p65の蓄積を引き起こす。Hek293細胞をDHMEQまたは実施例1の化合物(示すような)でTNFα(20ng/ml)と共に30分間処理した。インキュベーション後、細胞を抗−p65抗体(C−20)抗体(Santa Cruz Biotechnology,サンタクルズ,カリフォルニア州)で免疫染色し、そして核はDapiを用いてカウンター染色した。像はAE31倒立顕微鏡を使用してエピフルオレッセンスイルミネーター(Motic,厦門,中国)およびProgRes C3 カメラ(JENOPTIK,イェーナ,ドイツ)を用いて撮影した。p65および対応する核の個々の像は、図面の最後にまとめた。対照処理細胞(DMSOのみ)は、TNFα刺激でp65の核内蓄積を現した。TNFαにより誘導されるp65の核内蓄積は、1〜12μMの実施例1の化合物により有意に遮断され、一方、DHMEQは同じ効果を達成するためにより高い濃度を要した。図6を参照にされたい。
【0142】
Trans AM NF−κBファミリーDNA結合ELISA 薬剤化合物に暴露した活性化核抽出物または精製組換えNF−κBタンパク質からのNF−κBヘテロ二量体またはホモ二量体サブユニットの結合活性を、Trans AM NF−κBファミリー結合ELISA(Active Motif)により評価した。TNFα活性化HelaまたはRaji細胞(Active Motif)由来の3〜5μgの核抽出物、または20ngの精製組換えタンパク質(Active Motifからp65およびp50、Santa Cruzからのp52)を、室温で1時間、DTTを含まない完全溶解バッファー(Complete Lysis buffer)で希釈した20μLの薬剤化合物とインキュベーションした。次いで処理したサンプルを、NF−κBコンセンサスオリゴヌクレオチドでプレコートしたマイクロプレートウェル中の30μLの完全結合バッファー(Complete Binding Buffer:DTTを含む)に移した。対照には、溶解バッファーを含有するが抽出物もしくは組換えタンパク質を含まない非特異的結合(NSB)ウェル(バックグラウンド用)、DMSOのみで処理した核抽出物または組換えタンパク質(最大の結合用)、および抽出物/タンパク質に競合物として20pmoleの遊離野生型NF−κBオリゴヌクレオチド、または特異性を証明するための対照として20pmoleの遊離変異体NF−κBオリゴヌクレオチドを加えたウェルを含んだ。プレートを室温で1時間、ゆっくりと振盪しながらインキュベーションし、そして200μLの1x洗浄バッファーで3回洗浄した。プレートに結合したNF−κB p6
5、p50、p52、RelBまたはc−Relサブユニットは、そのサブユニットに特異的な100μLの1次抗体(1:1000に1x抗体バッファーで希釈)で検出した。プレートを室温で1時間インキュベーションし、次いで200μLの1x洗浄バッファーで3回洗浄した。次に100μLのHRP結合ヤギ抗−ウサギ抗体(1:1,000に1x抗体バッファーで希釈)を各ウェルに加えた。プレートを室温で1時間インキュベーションし、次いで200μLの1x洗浄バッファーで4回洗浄した。100μLの室温発色溶液を各ウェルに加えた。反応物は媒質が暗青色に発色するまで2〜10分間現像し(使用した抽出物のロットまたは組換えタンパク質のロットのサブユニット活性に依存する)、次いで反応は100μLの停止溶液で止めて黄色い色を生じた。吸収は450nmでBecton−Dickinson DTX 880 Multimode Detectorを使用して記録し、620nmの参照波長値を引いた。図7および8は実施例2、DHMEQおよびパルテノライドのRelAおよびRelBのNF−κB部位への阻害効果を具体的に説明する。
【0143】
実施例1および2の化合物に加えて、表1は他の化合物が1)NF−κBが駆動するルシフェラーゼおよびGFPのHEK293細胞中での発現、2)Il−6およびPGE2のRAW264細胞からの放出、3)および3)RelA、RelB、c−Rel、p50およびp52のNF−κB部位への結合を阻害するそれらの活性について列挙する。
【0144】
【表1】

【0145】
一連のインビトロ実験において、本発明のNF−κB阻害剤は、サイトカインの放出および広いスペクトルの癌細胞株の増殖を防いだ。これらの化合物は、チトクロームP450の活性を阻害せず、またはhERGチャンネルを遮断しなかった。数種の化合物が齧歯類の疾患モデルで効力試験について評価された。我々は初めに、正規および非正規経路の両方で恒常的活性化の高い発生率を有する多発性骨髄腫において、この化合物のインビボ効力を得ようとした。ヒトRPMI8226多発性骨髄腫の異種移植片モデルでは、実施例2の化合物は、この適応症の最も重要な治療となると認められているPS−341(ボルテゾミブ、Velcade(商標))と同じレベルの腫瘍増殖の減少を達成した(図9を参照にされたい)。さらに実施例2の化合物は、PS−341よりもよく忍容(tolerated)された。しかし統計的分析では、PS−341も実施例2の処置も統計的
に有意な腫瘍増殖阻害を達成しないことが明らかとなった(P>0.05)。
【0146】
ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ−1(PARP−1)の阻害またはp65(RelA)のダウンレギュレーションは、癌細胞株に対する照射(IR)−誘導型の細胞傷害性を増強することができる。この実験では、新規な低分子p65(RelA)阻害剤が、野生型のマウス胚性繊維芽細胞(MEFs)またはPARP−1−/−またはp65−/−MEFsで放射線増感剤として評価された。クローン原性生存率アッセイ(clonogenic survival assay)において、p65−/− MEFsはp65+/+ MEFsよりもIRに対して2倍以上感度が高いことが見いだされ、これはNF−κBの活性化が放射線耐性を付与することを示す。実施例2の化合物(1.4μM、非細胞傷害用量)とのインキュベーションで、p65+/+MEFsを放射線増感した(IR単独での2.3Gyに比べて、IR+実施例2の化合物で1.5GyのLD50値)。実施例2の化合物はp65−/− MEFsの放射線増感に更なる効果はなく、これは実施例2の化合物の薬理学的効果がp65を介して媒介されることを示す。同様の放射線増感効果は、p65−/− MEFsではなくp65+/+ MEFsでp65の発現レベルをダウンレギュレートする(>95%まで)RNA干渉技術により観察された。次いで実施例2の化合物を、PARP−1+/+またはPARP−1−/− MEFsで試験した。実施例2の化合物(1.4μM)処理またはp65のsiRNAダウンレギュレーションのいずれかがPARP−1+/+の放射線感受性を上げたが、IRに対してPARP−1−/− MEFsは上げず、PARP−1はNF−κB経路の活性化の上流にあることを示唆している。MEFsでは実施例2の化合物またはp65siRNAによるNF−κBの阻害も確認された。NF−κB−依存的ルシフェラーゼ発現は、p65+/+
MEFsで10GyのIR後に2.5−倍まで増加した。実施例2の化合物またはp65 siRNAの処理で、ルシフェラーゼ遺伝子の転写は有意に減少した。同様に、IRはp65+/+ MEFsの核抽出物NF−κBのDNA結合活性を2倍まで増加し、これはこれらの細胞中で実施例2の化合物のインキュベーションまたはp65 siRNA処理のいずれかで有意に減少した。このp65阻害剤は、以前にPARP−1阻害剤が可能であることが示されたようにインビトロでの放射線活性を増強できることを証明した。放射線増感剤として実施例2の化合物の潜在的有用性を完全に調査するためは、さらにインビボの実験が必要である。
【0147】
実験の別の目的は、酵素および放射性リガンド結合アッセイで、実施例2の化合物の活性を評価することであった。この実験で採用した方法は、信頼性および再現性を最大にするために科学文献から適合させた。参照標準は、得られた結果の有効性を確実にするために、各アッセイに絶対不可欠として行った。提示する場合、IC50値はMathIQea(ID Business Solutions Ltd.,英国)を使用して、非線形最小二乗法回帰分析(non−linear,least squares regression analysis)により決定した。阻害定数(K3/4)が提示される場合、K3/4値は試験化合物の観察されたIC50、このアッセイに使用した放射性リガンド濃度、およびリガンドのKに関する歴史的値(実験的に得られた値)を使用して、Cheng and Prusoff(非特許文献56)の式を使用して算出した。提示される場合、競合的結合曲線の傾斜を定めるHill係数(n1/2)はMathIQeaを使用して算出した。1.0からかなり異なるHill係数は、結合置換が単一結合部位で質量作用の法則には従わないことを示唆する可能性がある。IC50、K3/4および/またはn1/2データが平均の標準誤差(SEM)無しに提示される場合、データは定量的になるためには不十分である。必要に応じて、個々の応答がこの報告に対して補遺に提示される。結果は、50%より高い阻害は無かったので、予想されるIC50および/またはK3/4値無しで図11に示す。
【0148】
RNA干渉スクリーニングでは、NF−κBの正規および非正規経路でp53およびr
as突然変異が合成致死性になると確認された(非特許文献57:非特許文献58)。NF−κB部位に対してRelA(p65)、RelBおよびc−relの結合と拮抗する阻害剤を合成し、そしてこのように正規および非正規経路の両方を阻害する。1つのそのような例示化合物である実施例2の化合物は、野生型およびp65−/−マウスの胚性繊維芽細胞(MEFs)で放射線増感剤として評価され、そしてp53欠失およびKRAS(G13D)変異体乳癌細胞株、MDA−MB−231で放射線増感剤および化学療法剤として評価された。クローン原性生存率アッセイで、照射(IR)に対してp65−/−
MEFsはp65+/+ MEFsよりも2倍以上感受性が高いことが分かり、これはNF−κBの活性化が放射線耐性を付与することを示す。実施例2の化合物(1.4μM、非細胞傷害濃度)とのインキュベーションで、p65+/+ MEFsは放射線増感された(IR単独での2.3Gyに比べて、IR+実施例2の化合物で1.5GyのLD50値)。実施例2の化合物はp65−/− MEFsの放射線増感には効果はなく、これは実施例2の化合物の放射線増感効果がp65を介して媒介されることを示した。同様の放射線増感効果は、RNA干渉技術を使用することにより、p65−/− MEFsではなくp65+/+ MEFsでp65の発現レベルを95%より高くダウンレギュレートすることが観察された。MEFsで実施例2の化合物またはp65siRNAによるNF−κBの阻害も確認された。NF−κB−依存的ルシフェラーゼ発現は、p65+/+ MEFsで10 GyのIR後に2.5−倍まで増加した。実施例2の化合物またはp65 siRNAの処理で、ルシフェラーゼ発現は有意に減少した。同様に、IRはp65+/+ MEFsの核抽出物NF−κBのDNA結合活性を2倍まで増加し、この増加はこれらの細胞中で実施例2の化合物のインキュベーションまたはp65 siRNA処理のいずれかで有意に減少した。
【0149】
実施例2の化合物は、恒常的にNF−κBが活性化されているMDA−MB−231乳癌細胞でも実験した。最初に実施例2の化合物を単剤として乳癌細胞の増殖について試験した。実施例2の化合物に対する重要な細胞傷害性効果は、MDA−MB−231細胞に対して0.4μMのLD50値で観察された。次いで実施例2の化合物の相乗的効果が、これら細胞で照射を用いて試験された。0.2μMの実施例2の化合物とのインキュベーションで、1.5倍まで照射効果を有意に強化することが観察された(IRのみについての2.55Gyと比較して、IR+実施例2の化合物については1.66Gy IRのLD50値)。これらの記載された実験は、NF−κBのRel阻害剤が正規経路の遮断を介して放射能を強化できることを示す。またこれは、p53およびKRAS突然変異を持つ腫瘍細胞を、恐らく正規および非正規経路の両方の遮断を介して選択的に殺すことができる。
【0150】
最近の関節リウマチの全ゲノムに関する実験で、この疾患の新たに同定されたリスク因子としてc−RelをコードするREL座が同定された(非特許文献59)。c−RelはNF−κBの正規および非正規経路の両方を媒介するNF−κBファミリーの転写因子の一員である。c−Relが欠失した遺伝子を持つマウスは、コラーゲンが誘導する関節炎に耐性である。c−Rel、RelAおよびRelBのNF−κB部位への結合を遮断する低分子量阻害剤が合成された。実施例2の化合物の抗炎症活性、コラーゲン誘導型関節炎のマウスモデルで、NF−κBの正規および非正規経路の両方の二重阻害剤。TNFαブロッカーであるエタネルセプトを用いた実施例2の化合物の効果を、関節リウマチモデルで比較した。オスDBAマウスの尾にウシCII型コラーゲンを1日および21日に注射することにより関節炎を発症させた。動物群(n=10)を、1)偽操作、2)賦形剤(DMSO),、3)エタネルセプト(50μg/マウス、i.p.21日〜35日毎日)、4)実施例2の化合物(15mg/kg、s.c.21日〜35日毎日)、5)実施例2の化合物(15mg/kg、i.p.21日〜35日毎日)、6)実施例2の化合物(50mg/kg、i.p.21日〜35日毎日)で処置した。関節炎指数スコアにより評価した時、実施例2の化合物の処置は、マウス後足の紅斑および浮腫を有意に減少し
、これはエタネルセプトの処置に匹敵した(図10)。エタネルセプトおよび実施例2の化合物の両方とも足の浮腫を減少させた(P<0.01対賦形剤群)。体重の減少における有意差は、実験したすべてのマウスで観察されなかった。35日目の関節の組織学的評価で、実施例2の化合物またはエタネルセプトを用いて処置したマウスの炎症に有意な減少が明らかとなった。ミエロペルオキシダーゼ活性の測定は、同時に実施例2の化合物またはエタネルセプト処置による顆粒球リソゾーム特異的酵素の減少を示した。結論として我々は、NF−κBのRel阻害剤がマウスの炎症性関節炎の発症を防ぐことができるということを証明した。マウスの関節リウマチモデルにおいて、実施例2の化合物の抗炎症活性は、エタネルセプトの活性に匹敵した。実施例2の化合物の効力は、マウスに良く忍容される用量で達成された。
【0151】
本発明のNF−κB阻害剤は、大腸炎の動物モデルで抗炎症剤として、充実性腫瘍の放射線処置の放射線増感剤として、単独または種々の認可された癌薬剤と組み合わせた化学療法剤として試験されているところである。正規および非正規経路の二重阻害剤、および正規経路の単独阻害剤の両方が特性決定されているところである。
【0152】
さらに記載することなく、当業者はこれまでの記載および具体的実施例を使用して、本発明の化合物を作成および使用し、そして特許請求する方法を実施することができる。本発明は様々な具体的材料、手法および実施例を参照にして本明細書に記載され、そして具体的に説明されたが、本発明はその目的のために選択された材料および手法の特定の組み合わせに限定されないことを理解されたい。当業者には想定されるようなそのような詳細の多くの変更を包含することができる。本出願全体を通して引用するすべての特許、特許出願および他の文献は、それら全部を参照により本明細書に編入する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)または式(2)
【化1】

[式中、
HETは飽和もしくは不飽和の単−もしくは多−環の炭素環であり、ここで1もしくは複数の環の炭素原子がN、S、PもしくはOで置き換えられ;
各Rは独立して水素;CF;場合によりシアノ、ハロ、ニトロ、ヒドロキシル、(C1−C6)アルキル,(C1−C6)アルキル−OH,(C1−C6)アルコキシ,COR,NRまたはNHCO(C1−C6)アルキル)で置換されてもよいフェニル;シアノ;ハロ;ニトロ;ヒドロキシル;(C1−C6)アルキル;(C1−C6)アルキル−OH;(C1−C6)アルコキシ;(C1−C6)チオアルコキシ;フェノキシ;COR;NR;NHCO(C1−C6)アルキル;SO(C1−C6)アルキル;またはSONRであり;
はH、R、COR、CONHR、COOR、CHOCOR、P(O)(OH)、P(O)(O(C1−C6)アルキル)、P(O)(OCHOCO(C1−C6)アルキル)、P(O)(OH)(OCHOCO(C1−C6)アルキル)、P(O)(OH)(OC1−C6)アルキル)またはP(O)(OH)(C1−C6)アルキル)、あるいはP(O)(OH)、P(O)(O(C1−C6)アルキル)、P(O)(OCHOCO(C1−C6)アルキル)、P(O)(OH)(OCHOCO(C1−C6)アルキル)、P(O)(OH)(OC1−C6)アルキル)またはP(O)(OH)(C1−C6)アルキル)のグリコシルもしくは無機塩であり;
はC1−C6アルキル、トリフルオロメチル、(C3−C6)シクロアルキル、シクロヘキシルメチルまたはフェニルであり、ここでフェニルはフッ素、塩素、臭素、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、(C1−C4)アルキル,(C1−C4)アルコキシおよびフェニルメチルから選択される0〜4個の基で置換され、ここでフェニルメチルはフェニル環で、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、(C1−C4)アルキル,(C1−C4)アルコキシ、2−、3−もしくは4−ピリジニルおよび2−、4−もしくは5−ピリミジニルから選択される0〜4個の基で置換され;
は独立してヒドロキシル、(C1−C6)アルコキシ、フェノキシまたは−NRであり;
各RおよびRは独立して水素、(C1−C6)アルキルまたは(C3−C6)シクロアルキルであり;そして
n=0−3、
ここでHETについてはOR基とアミド部分との間にオルトの関係が存在する]
の化合物またはその製薬学的塩。
【請求項2】
=Hである請求項1の化合物。
【請求項3】
HETがピリジルであり、そしてn=0である請求項1または2の化合物。
【請求項4】
式(3)
【化2】

[式中、R、R、R、R、R、Rおよびnは請求項1に定義した通りである]
の構造を有する請求項1の化合物、またはその製薬学的に許容され得る塩。
【請求項5】
=Hである請求項4の化合物。
【請求項6】
請求項1に記載の式(1)または式(2)の化合物、またはその製薬学的に許容され得る塩と製薬学的に有効な希釈剤または担体とを組み合わせて含んでなる製薬学的組成物。
【請求項7】
請求項4に記載の式(3)の化合物、またはその製薬学的に許容され得る塩と製薬学的に有効な希釈剤または担体とを組み合わせて含んでなる製薬学的組成物。
【請求項8】
NF−κBの活性化の阻害に関連する哺乳動物の疾患を処置する方法であって、処置が必要な哺乳動物に有効量の請求項1に記載の式(1)または式(2)の化合物またはそれらの製薬学的に許容され得る塩を投与することを含んでなる上記方法。
【請求項9】
疾患が癌、炎症、自己免疫疾患、糖尿病および糖尿病合併症、感染、心血管疾患および虚血性再灌流障害からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項10】
NF−κBの活性化の阻害と関連する哺乳動物の疾患を処置する方法であって、処置が必要な哺乳動物に有効量の請求項4に記載の式(3)の化合物、またはその製薬学的に許容され得る塩を投与することを含んでなる上記方法。
【請求項11】
疾患が癌、炎症、自己免疫疾患、糖尿病および糖尿病合併症、感染、心血管疾患および虚血性再灌流障害からなる群から選択される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
疾患が癌である請求項9または11の方法。
【請求項13】
疾患が糖尿病である請求項9または11の方法。

【図2】
image rotate

image rotate

image rotate

【図11】
image rotate

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2012−521998(P2012−521998A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502229(P2012−502229)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/028610
【国際公開番号】WO2010/111460
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(511233669)プロフエクタス・バイオサイエンシズ・インコーポレーテツド (2)
【Fターム(参考)】