説明

ウエザストリップの成形方法とその成形用金型

【課題】押出成形により成形した押出成形部の端部に型成形により型成形部を成形するに際して、押出成形部の端部の見栄えを良好に成形するウエザストリップの成形方法およびその成形方法に使用する成形用金型を提供する。
【解決手段】成形用金型20には押出成形部の端部を挟持する挟持部20bと、型成形部を形成するキャビティー20cを設ける。挟持部20bは押出成形部の端部に当接する挟持コア23、24、25を有し、挟持コアの少なくとも一部は熱伝導性の低い材料で形成し、押出成形部の端部を挟持部で挟持した後、キャビティーに型成形部を構成するゴム材料を射出又は注入しその後ゴムを架橋させて成形するウエザストリップの成形方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出成形により成形したウエザストリップの押出成形部の端部に、型成形により型成形部を成形するウエザストリップの成形方法およびその成形方法に使用する成形用金型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のドアと車体開口部周縁との間のシールは、ドアの外周部に設けられたドアフレームの外周に取付けられるドアウエザストリップ及び/または、車体開口部周縁のフランジに取付けられるオープニングウエザストリップによりなされる。なお、ドアガラスとドアとの間のシールは、ドアフレームの内周のチャンネルに取付けられるガラスランによってなされる。
【0003】
図9に示すように、ドアウエザストリップ110は、ドアフレームの形状に沿って形成され、ドアフレームの上辺部と縦辺部に取付けられる部分である押出成形により直線状に形成された押出成形部117、117と、ドアフレームのコーナー部に沿って取付けられる部分である型成形により形成された型成形部116から構成される。
押出成形部117、117は、ドアフレームに取付けられる取付基部111、111と取付基部111、111から一体的に形成され車体開口部周縁に当接してシールする中空シール部112、112から構成される。
型成形部116の端部の断面形状はそれぞれ接続する押出成形部117,117の断面形状と同様に形成される。
【0004】
型成形部116の成形は、図10〜図12に示すように、成形用金型120の上型121と下型122等の間に形成されたキャビティー120cに成形材料を注入して行う。型成形部116を成形するときは、成形と同時に押出成形部117、117と型成形部116を一体的に加硫接着あるいは溶着するために、押出成形部117、117の端部をを成形用金型の挟持部120bで挟持する(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。このとき、キャビティー120cに注入される成形材料の圧力により、押出成形部117、117が成形用金型120から抜けないように強く挟持する必要がある。
【0005】
この押出成形部117、117の端部の挟持は、図10〜図14に示すように、成形用金型120の挿入コア部分127が一体形成された中子129及び第1挟持コア123、第2挟持コア124、第3挟持コア125と第4挟持コア126により押出成形部117の端部の外面を四方から押圧して行っている。図11は、成形用金型120において、縦辺部位の押出成形部117の長手方向に対して直角の方向での断面を示すものである。
【0006】
図12は、成形用金型120の挟持部120bにおいて、押出成形部117の長手方向に沿った方向での断面を示すものである。押出成形部117は、成形用金型120の挟持部120bに挟持され、キャビティー120cに型成形部116の成形材料が注入又は射出される。押出成形部117の中空シール部112の内部には挿入コア部分127が挿入され、押出成形部117の端部を押圧するときに内面から支持している。
【0007】
押圧部分の拡大断面を図13に示す。キャビティー120cには成形材料である未加硫のゴム材料が注入又は射出される。このときに、スポンジゴム製の押出成形部117の端部が挟持部120bから抜けないように、挿入コア部分127の外周には凸部127bが形成されている。このため、押出成形部117の端部は圧縮されることとなる。
【0008】
型成形部116を形成するときに、成形材料はゴムであるため、加硫用に成形用金型120は加熱されている。押出成形部117はすでに加硫されているため、成形用金型120の熱により溶融することはないが、挟持された押出成形部117の端部は、図14に示すように圧縮されたまま熱により形状が固定されて凹部117bが生じる。この場合に、押出成形部117の内面ばかりでなく、外面も内面に引かれて凹部117cが生じる。このため、ドアウエザストリップ110の押出成形部117の端部の見栄えが低下する不具合が生じる。
【0009】
押出成形部117の端部の圧縮量を減らせば、熱による凹部117b、117cの深さは小さくなるが、端部の挟持力が低下して、型成形部116の成形材料の圧力により成形用金型120から抜けやすくなる。
【特許文献1】特公平4−9645号公報
【特許文献2】特公平7−49203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このため、本発明は押出成形により成形したウエザストリップの押出成形部の端部に型成形により型成形部を成形するに際して、押出成形部の端部の見栄えを良好に成形するウエザストリップの成形方法およびその成形方法に使用する成形用金型を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、押出成形により成形した押出成形部の端部に、型成形により型成形部を一体的に成形するウエザストリップの成形方法において、
型成型の成形型に押出成形部の端部を挟持する挟持部と、型成形部を形成するためのキャビティーを設け、挟持部は押出成形部の端部に当接する挟持コアを有し、挟持コアの少なくとも一部は熱伝導性の低い材料で形成し、
押出成形部の端部を挟持部で挟持した後、キャビティーに型成形部を構成するゴム材料を射出又は注入し、その後ゴムを架橋させて成形するウエザストリップの成形方法である。
【0012】
請求項1の本発明では、成形用金型に押出成形部の端部を挟持する挟持部と、型成形部を形成するキャビティーを設け、挟持部は押出成形部の端部に当接する挟持コアを有し、挟持コアの少なくとも一部は熱伝導性の低い材料で形成した。このため、押出成形部の端部に成形用金型の熱が伝わることが少なく、端部の熱くせ付けによる表面に残る凹み量を少なくすることができる。したがって、押出成形部の端部の見栄えを良好にすることができる。
押出成形部の端部を挟持部で挟持した後、キャビティーに型成形部を構成するゴム材料を射出又は注入し成形するため、押出成形部が成形用金型からずれたり抜けたりすることがなく、確実に押出成形部と型成形部を接続することができる。
【0013】
請求項2の本発明は、押出成形部は中空シール部を有し、成形型の挟持部は、中空シール部に挿入される熱伝導性の低い材料で形成された挿入コアと、中空シール部の外面を挟持する挟持コアから形成され、押出成形部の中空シール部と連続する型成形部の中空シール部の成型にあたって、挿入コアと挟持コアで押出成形部の中空シール部の外面を押圧して挟持した後に、挿入コアと一体的に形成された中子が配置されている成形型のキャビティーに型成形部を構成するゴム材料を射出又は注入し、その後ゴムを架橋させて成形するウエザストリップ成形方法である。
【0014】
請求項2の本発明では、押出成形部は中空シール部を有し、成形型の挟持部は、中空シール部に挿入される熱伝導性の低い材料で形成された挿入コアと、中空シール部の外面を挟持する挟持コアから形成される。
このため、押出成形部の中空シール部の端部を型成形部の中空シール部を形成するキャビティーの端部に連続的に位置させることができ、押出成型部の中空シール部を確実に挟持することができる。
押出成型部の中空シール部は、挿入コアと挟持コアで中空シール部の外面を押圧して挟持した後に、キャビティーに型成形部を構成するゴム材料を射出又は注入する。このため、押出成形部が成形用金型からずれたり抜けたりすることがなく、押出成形部と型成形部の中空シール部を一致させて、確実に押出成形部と型成形部を接続することができる。また、押出成型部の中空シール部の表面に残る凹み量を少なくすることができる。
【0015】
請求項3の本発明は、押出成形部はシールリップ部を有し、成形型にはシールリップ部の両面に当接し挟持する挟持コアを有し、挟持コアが熱伝導性の低い材料で形成されたウエザストリップの成形方法である。
【0016】
請求項3の本発明では、ウエザストリップの押出成形部はシールリップ部を有し、上記成形型には上記シールリップ部の両面に当接し挟持する挟持コアを有し、挟持コアが熱伝導性の低い材料で形成されたため、押出成形部の端部のシールリップ部の表面に成形用金型から熱が伝導される量を少なくすることができ、シールリップ部の表面の凹み量を少なくすることができ、押出成形部のシールリップ部の見栄えを良好にすることができる。
【0017】
請求項4の本発明は、押出成形部の端部を0.1mm〜その厚みの1/2厚さまで圧縮して挟持する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のウエザストリップの成形方法。
【0018】
請求項4の本発明では、押出成形部の端部を0.1mm〜その厚みの1/2の厚さまで圧縮して挟持するため、端部を確実に挟持することができ、キャビティーに型成形部を構成するゴム材料を射出又は注入しても押出成形部が成形用金型からずれたり抜けたりすることがない。また、押出成型部の端部の圧縮部分には熱伝導性の低い材料からなる挟持コアの一部が配置されているので大きく圧縮しても熱が伝わらず、当該圧縮部分が凹みとして残るようなことがない。
【0019】
請求項5の発明は、押出成形により成形したウエザストリップの押出成形部の端部に型成形により型成形部を一体的に成形するためのウエザストリップ成形用金型において、
成形用金型は、押出成形部の端部を挟持する挟持部と型成形部を形成するためのキャビティーを有し、挟持部は押出成形部の端部に当接する挟持コアを有し、挟持コアの少なくとも一部は熱伝導性の低い材料で形成されたことを特徴とするウエザストリップ成形用金型である。
【0020】
請求項5の本発明では、成形用金型は、押出成形部の端部を挟持する挟持部と型成形部を形成するキャビティーを有するため、キャビティーに型成形部を構成するゴム材料を射出又は注入しても押出成形部が成形用金型からずれたり抜けたりすることがなく、押出成形部の端部に連続して一体的に型成形部を形成することができる。
挟持部は押出成形部の端部に当接する挟持コアを有し、挟持コアの少なくとも一部は熱伝導性の低い材料で形成されたため、押出成形部の端部に成形用金型からの熱が伝わることが少なく、端部の表面の凹み量をほとんど無くすことができる。したがって、押出成形部の端部の見栄えを良好にすることができる。
【0021】
請求項6の本発明は、ウエザストリップの押出成形部は中空シール部を有し、成形用金型の挟持部は中空シール部に挿入される挿入コアと、中空シール部の外面を押圧して挟持する挟持コアから形成され、挿入コアが熱伝導性の低い材料で形成されたウエザストリップ成形用金型である。
【0022】
請求項6の本発明では、ウエザストリップの押出成形部は中空シール部を有し、成形用金型の挟持部は中空シール部に挿入される挿入コアと、中空シール部の外面を押圧して挟持する挟持コアから形成され、挿入コアが熱伝導性の低い材料で形成されたウエザストリップ成形用金型である。このため、押出成形部の中空シール部の端部を型成形部の中空シール部を形成するキャビティーの端部に連続的に位置させることができ、中空シール部の内面と外面を中空コアと挟持コアで確実に挟持して、型成形部を構成する材料を射出又は注入しても押出成形部が成形金型からずれたり抜けたりすることがなく、確実に押出成形部と型成形部を接続することができる。
中空コアが熱伝導性の低い材料で形成されたため、押出成形部の中空シール部の内面に成形金型の熱が伝わることが少なく、端部の表面の凹み量を少なくすることができる。したがって、押出成形部の端部の見栄えを良好にすることができる。
【0023】
請求項7の本発明は、ウエザストリップの押出成形部はシールリップ部を有し、成型用金型の挟持部は、シールリップ部の外面と内面を押圧して挟持する挟持コアから形成され、挟持コアの少なくとも押圧面が熱伝導性の低い材料で形成されたウエザストリップ成形用金型である。
【0024】
請求項7の本発明では、ウエザストリップの押出成形部はシールリップ部を有し、成型用金型の挟持部は、シールリップ部の外面と内面を押圧して挟持する挟持コアから形成され、挟持コアの少なくとも押圧面が熱伝導性の低い材料で形成されたウエザストリップ成形用金型である。このため、ウエザストリップの端部のシールリップ部の表面の凹み量を少なくすることができ、押出成形部端部のシールリップ部の見栄えを良好にすることができる。
【0025】
請求項8の本発明は、シールリップ部を挟持する挟持コアは、コアが熱伝導性の低い材料で形成されたウエザストリップ成形用金型である。
【0026】
請求項8の本発明では、シールリップ部を挟持する挟持コアは、コアが熱伝導性の低い材料で形成された請求項7に記載のウエザストリップ成形用金型である。このため、シールリップ部の表面と裏面の両方の凹み量を少なくすることができ、押出成形部端部のシールリップ部の見栄えを良好にすることができる。
【0027】
請求項9の本発明は、挟持コアと成形金型本体との間に断熱空間又は、断熱材を設けたウエザストリップ成形用金型である。
【0028】
請求項9の本発明では、挟持コアと成形金型本体との間に断熱空間又は、断熱材を設けたウエザストリップ成形用金型である。このため、成形金型本体の熱を挟持コアに伝えることが少なく、押出成形部の端部に熱が伝わることが少なくなり、端部の表面の凹み量を少なくすることができ、押出成形部の端部の見栄えを良好にすることができる。
【0029】
請求項10の本発明は、熱伝導性の低い材料は、耐熱性合成樹脂もしくは耐熱性ゴムである請求項5乃至請求項9のいずれかに記載のウエザストリップ成形用金型。
【0030】
請求項10の本発明は、熱伝導性の低い材料は、耐熱性合成樹脂もしくは耐熱性ゴムであるウエザストリップ成形用金型である。このため、金属と比べて熱伝導性が低く、押出成形部の端部の表面に成形金型から熱が伝導される量を少なくすることができるとともに、金型を軽くすることができ、取り扱いが容易となり、成形作業の効率を上げることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、成形用金型の挟持部が押出成形部の端部に当接する挟持コアを有し、挟持コアの少なくとも一部は熱伝導性の低い材料で形成したため、押出成形部の端部に成形用金型からの熱が伝わることが少なく、押出成形部の端部の表面の凹みをほとんど無くすことができ、押出成形部の端部の見栄えを良好にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の実施の形態を図1〜図8に基づき説明する。
図1は、本発明の実施の形態のドアウエザストリップ10のコーナー部を成形する成形用金型20において、ドアウエザストリップ10の縦辺に接するコーナー部の端部の長手方向に直角の方向での断面図である。図2は、同様にドアウエザストリップ10の端部の長手方向に平行な方向での断面図である。
図3は、ドアウエザストリップ10のコーナー部を車内方向から見た斜視図であり、図4は同様にコーナー部を車外方向から見た斜視図である。
図5は、成形用金型20のキャビティ20C内に配置された中子29の配置を示す部分平面図である。図6は、ドアウエザストリップ10を形成する成形用金型20ドアウエザストリップ10の端部の上辺に接するコーナー部の長手方向に直角の方向での断面図である。
【0033】
図7は本発明の他の実施の形態であって、ガラスラン50を成形する成形用金型30のガラスラン50のコーナー部の端部の長手方向に直角の方向での断面図である。
図8は本発明のさらに他の実施の形態であって、オープニングトリムウエザストリップ60を成形する成形用金型40のオープニングトリムウエザストリップ60のコーナー部の長手方向に直角の方向での断面図である。
【0034】
本発明について、ドアウエザストリップ10の製造方法とその成形用金型20についてまず説明する。ガラスラン50とオープニングトリムウエザストリップ60の製造方法とその成形用金型30、40については後に説明する。
本発明により製造するドアウエザストリップ10は、図3及び図4に示すように、押出成形で成形した押出成形部17、17と成形用金型20を用いて型成形で成形した型成形部16から構成されている。押出成形部17、17は、ドアの上辺に取付けられる部分と縦辺に取付けられる部分の2種類があり、それぞれ断面形状が異なっている。この2本の押出成形部17、17のそれぞれの端部とドアフレームのコーナー部に取付けられる型成形部16が一体的に接続されている。
【0035】
まず、ドアフレームの縦辺に取付けられる押出成形部17と接続する型成形部16の部分の製造方法と成形用金型20について説明し、上辺に取付けられる押出成形部17と型成形部16との接続部分については後述する。
【0036】
ドアフレームの縦辺に取付けられる押出成形部17は、図3、図4に示すように、ドアフレームに取付けられる取付基部11と車体の車体開口部周縁に当接してシールする中空シール部12とから構成されている。
取付基部11は、中空状の取付基部中空部13がその中央部付近に設けられている。このため、ドアウエザストリップ10の重量を低減することができるとともに、取付基部11の柔軟性を向上させることができる。取付基部11から一体的に断面が楕円形の中空シール部12が形成されている。このため中空シール部12が車体開口部周縁と当接し容易に変形して、ドアとの間をシールすることができる。
【0037】
型成形部16は、押出成形部17と連続する部分の断面形状が押出成形部17と同様の断面形状を有し、取付基部11と中空シール部12を有している。取付基部11のコーナーの中央付近には後述する成形用金型20の中子29を取出すために、中子取出孔15が形成されている。型成形部16の中空シール部12と押出成形部17の中空シール部12はその端面が接続し中空部が連続している。なお、中子29は型成形部16の中空シール部12の中空状を形成するためのものであり、図5に示すように中子保持板29aによって支持されている。そして、この中子保持板29aによって、上記中子取出孔15が形成される。
【0038】
成形用金型20は、基本的には図1に示すように、上型21、下型22及び中子29から構成される。
中子29は、図5に示すように、上型21と下型22の間に形成されたキャビティー20c内に設置される。中子29の両端には、押出成形部17の中空シール部12内に挿入される挿入コア27が取付けられている。
【0039】
さらに図5に示すように成形用金型20は、型成形部16を成形するキャビティー20cと押出成形部17の端部を挟持する挟持部20bを有している。成形用金型20の挟持部20bにおいて、図1に示すように上型21は、上型本体21bと押出成形部17を挟持する第1挟持コア23から構成され、下型22は、下型本体22bと押出成形部17を挟持する第2挟持コア24、第3挟持コア25と第4挟持コア26とから構成される。
【0040】
第1挟持コア23、第2挟持コア24、第3挟持コア25、と挿入コア27は、熱伝導率の低い材料例えば、耐熱性合成樹脂、耐熱性合成ゴムで形成されている。第4挟持コア26は、成形用金型20の他の部分を構成する材料例えば、鋼材などの金属で形成する。
なお、第1挟持コア23、第2挟持コア24、第3挟持コア25のみ熱伝導率の低い材料で形成されてもよく、また、挿入コア27のみ熱伝導率の低い材料で形成されてもよい。
【0041】
成形用金型20の挟持部20bのコアの少なくとも一部を熱伝導性の低い材料で形成すると、挟持部20bで挟持する押出成形部17の端部に、型成形部16を一体的に成形するときに成形用金型20が加熱されるが、この成形用金型20の熱が伝わることが少なく、端部の表面に残る凹み量を少なくすることができる。したがって、押出成形部17の端部の見栄えを良好にすることができる。
第4挟持コア26は、押出成形部17の取付基部11の裏面を挟持するため、表面に凹部が生じても見栄えに影響することがないため、成形用金型20の他の部分を構成する材料で形成することができる。
【0042】
熱伝導率の低い材料は、耐熱性の合成樹脂又は合成ゴムで形成することができる。耐熱性の合成樹脂としては、例えば、ポリフッ化エチレン(PTFE)、ポリフロロアルコキシレン(PFA)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリベンゾイミダドール(PBI)等を使用することができる。
耐熱性の合成ゴムとしては、フッ素ゴム、シリコンゴム等を使用することができる。なお、上記の耐熱性の合成樹脂又は合成ゴムは、ソリッド材でも良いが独立発泡させたスポンジ材を用いた方がより好ましい。
【0043】
第1挟持コア23は成形用金型20の上型21の本体21bとの間に断熱空間28が設けられている。このため、第1挟持コア23は、上型21の本体21bとは隅部のみで接触しており、上型21からの熱が伝わりにくくなっている。このため、第1挟持コア23が熱伝導率の低い材料で形成されていることと相まって、第1挟持コア23の押出成形部17の端部を挟持している面に熱が伝わりにくく、押出成形部17の端部の表面の凹み量を少なくすることができる。
【0044】
第2挟持コア24と第3挟持コア25においても同様に、成形用金型20の下型22の本体との間に断熱空間28がそれぞれ設けられている。このため第1挟持コア2 3と同様に、押出成形部17の端部を挟持している面に熱が伝わりにくく、押出成形部17の端部の表面に残る凹み量を少なくすることができる。
なお、断熱空間28に空間の替わりにセラミック等の断熱材を設けても、同様に押出成形部17の端部を挟持している面に熱が伝わりにくくすることができる。
【0045】
次に、型成形部16の製造方法について説明する。
まず、所定寸法に切断されたドアウエザストリップ10の押出成形部17の端部を成形用金型20の中子29の先端の挿入コア27に挿入する。さらに、後述する上辺の押出成形部17を中子29の他方の先端の挿入コア27に挿入する。そのとき、押出成形部17の中空シール部12と取付基部11の取付基部中空部13にそれぞれ挿入コア27と中子突出部29bを挿入する。そして、図5に示すように、成形用金型20の下型22のキャビティー20cの中に中子29を配置する。
【0046】
その後、成形用金型20の上型21を閉じると、成形用金型20は、キャビティー20cを形成するとともに、縦辺と上辺の押出成形部17、17の端部を挟持部20b、20bが挟持する。
そして、キャビティー20c内に型成形部16を形成する材料を射出又は注入する。材料がゴムの場合は、成形用金型20を加熱してゴムを加硫し、必要な場合は発泡させる。この加硫と発泡時に型成形部16と押出成形部17、17の端部がその熱で接着することができ、型成形部16と押出成形部17、17を一体に形成することができる。
【0047】
このとき、上記のように、挟持部20bの第1挟持コア23、第2挟持コア24、第3挟持コア25が熱伝導性の低い材料で形成及び/又は中子29の挿入コア27が熱伝導性の低い材料で形成されているため、挟持された押出成形部17の端部の表面に熱が伝わりにくく、その結果、表面に残された凹み量を少なくすることができる。したがって、押出成形部17の端部の見栄えを良好にすることができる。
【0048】
次に、ドアフレームの上辺に取付けられる押出成形部17と型成形部16との接続部分について説明する。
ドアフレームの上辺に取付けられる押出成形部17は、図3、図4に示すように、ドアフレームに取付けられる取付基部11と取付基部11から車内側に形成され車体の車体開口部周縁に当接してシールする中空シール部12と、取付基部11から車外側に形成され車体の車体開口部周縁に当接してシールするシールリップ部14とから構成されている。
取付基部11からシールリップ部14が形成されている点が、ドアフレームの縦辺に取付けられる押出成形部17と異なる。
【0049】
型成形部16の押出成形部17と連続する部分は、断面形状が押出成形部17と同様の断面形状を有し、取付基部11、中空シール部12とシールリップ部14を有している。
図6に示すように、取付基部11と中空シール部12を形成する成形用金型20の挿入コア27と第3挟持コア25の構造は同様である。シールリップ部14を挟持する成形用金型20の挟持部20bは、第1挟持コア23と第2挟持コア24の部分であり、熱伝導性の低い第1挟持コア23と第2挟持コア24の両方の面で挟持されるため、シールリップ部14の表面に残る凹み量を少なくすることができる。したがって、シールリップ部14の見栄えを良好にすることができる。
【0050】
次に、ガラスラン50のコーナー部を成形する製造方法と成形用金型30について図7に基づき説明する。ガラスラン50は、ドアウエザストリップ10と同様に、押出成形で成形する押出成形部と成形用金型30を用いて型成形で成形する型成形部から構成されている。
ガラスラン50の押出成形部は、断面コ字形の車外側側壁51、車内側側壁52と、車外側側壁51と車内側側壁52とを接続する底壁53とから構成される断面コ字形のガラスラン本体と、車外側側壁51と車内側側壁52のそれぞれの先端からガラスラン本体の内部に向けて斜めに延設される車外側シールリップ54と車内側シールリップ55と、車外側側壁51と車内側側壁52のそれぞれの先端から外側に車外側側壁51と車内側側壁52にそれぞれ略平行に延設される車外側カバーリップ56と車内側カバーリップ57とから形成されている。
【0051】
ガラスラン50の型成形部が押出成形部と連続する部分は、断面形状が押出成形部と同様の断面形状を有し、断面コ字形の車外側側壁51、車内側側壁52と、車外側側壁51と車内側側壁52とを接続する底壁53とから構成される断面コ字形のガラスラン本体と、車外側シールリップ54と車内側シールリップ55、車外側カバーリップ56と車内側カバーリップ57とを有している。
【0052】
その成形用金型30は、図7に示すように、基本的には上型31、下型32、中板36及び中子、37から構成されている。
中板36は、ガラスラン50の押出成形部の端部において、車外側側壁51と車外側カバーリップ56の間の空間と、車内側側壁52と車内側カバーリップ57の間の空間に挿入される。中子37は、ガラスラン本体の内部に挿入される。ガラスラン50の押出成形部の端部の挟持においては、第1挟持コア33、第2挟持コア34と第3挟持コア35によりガラスラン50の表面が挟持され、中板36と中子37によりガラスラン50の内面と背面が挟持される。
【0053】
第1挟持コア33、第2挟持コア34と第3挟持コア35はいずれも熱伝導性の低い材料で形成されているため、ガラスラン50へ熱が伝わることを少なくすることができ、ガラスラン50の車外側シールリップ54、車内側シールリップ55、車外側カバーリップ56と車内側カバーリップ57の表面の表面に残る凹み量を少なくすることができる。したがって、その見栄えを良好にすることができる。さらに、中板36と中子37の一部をいずれも熱伝導性の低い材料で形成すると、より一層表面に残る凹み量を減らすことができる。
また、第1挟持コア33、第2挟持コア34と第3挟持コア35が成形用金型30の上型31と下型32の本体と接する部分に断熱空間38が形成されているため、より一層、成形用金型30の上型31と下型32から第1挟持コア33、第2挟持コア34と第3挟持コア35に熱が伝わることを最小限にすることができる。
【0054】
次に、オープニングトリムウエザストリップ60のコーナー部を成形する製造方法と成形用金型40について説明する。オープニングトリムウエザストリップ60は、ドアウエザストリップ10と同様に、押出成形部と成形用金型40で成形する型成形部とから構成されている。
【0055】
オープニングトリムウエザストリップ60の押出成形部は、断面U字形のトリム部61と、トリム部61の側面に形成された中空シール部62と、トリム部61の上面に形成されたカバーリップ部63から構成されている。
オープニングトリムウエザストリップ60の型成形部の押出成形部と連続する部分は、断面形状が押出成形部と同様の断面形状を有し断面U字形のトリム部61と、中空シール部62と、カバーリップ部63から構成されている。
【0056】
その成形用金型40は、図8に示すように、上型41、下型42及び挿入コア部分47を備えた中子49から構成される。第1挟持コア43、第2挟持コア44及び第3挟持コア45と挿入コア部分47は、熱伝導性の低い合成樹脂で形成されている。
オープニングトリムウエザストリップ60の押出成形部の端部において、挿入コア部分47は、オープニングトリムウエザストリップ60の中空シール部62の内部に挿入される。中空シール部62の外面は第1挟持コア43と第2挟持コア44で挟持される。
【0057】
カバーリップ部63は、第2挟持コア44と第3挟持コア45により挟持されている。
第1挟持コア43、第2挟持コア44と第3挟持コア45及び挿入コア部分47は、いずれも熱伝導性の低い材料で形成されているため、オープニングトリムウエザストリップ60の中空シール部62とカバーリップ部63へ熱が伝わることを少なくすることができ、オープニングトリムウエザストリップ60の中空シール部62とカバーリップ部63の表面に残る凹み量を少なくすることができる。したがって、その見栄えを良好にすることができる。
【0058】
なお、ドアウエザストリップ10、ガラスラン50及びオープニングトリムウエザストリップ60の成形材料は、合成ゴムが使用され、例えば合成ゴムでは、EPDMゴム等が使用される。柔軟性を向上させるためにこれらの材料を発泡させてスポンジ材として使用することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態であるドアウエザストリップのコーナー部を成形する成形用金型において、ドアウエザストリップの縦辺に接するコーナー部の長手方向に直角の方向での断面図である。
【図2】本発明の実施の形態であるドアウエザストリップのコーナー部を成形する成形用金型において、ドアウエザストリップの上辺に接するコーナー部の長手方向に平行な方向での断面図である。
【図3】本発明の実施の形態で製造されたドアウエザストリップのコーナー部の車内方向から見た斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態で製造されたドアウエザストリップのコーナー部の車外方向から見た斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態であるドアウエザストリップのコーナー部を成形する成形用金型の中子の配置を示す部分平面図である。
【図6】本発明の実施の形態であるドアウエザストリップのコーナー部を形成する成形用金型のドアウエザストリップの上辺に接するコーナー部の長手方向に直角の方向での断面図である。
【図7】本発明の実施の形態であるガラスランのコーナー部を成形する成形用金型のガラスランの長手方向に直角の方向での断面図である。
【図8】本発明の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップのコーナー部を成形する成形用金型のオープニングトリムウエザストリップの長手方向に直角の方向での断面図である。
【図9】従来の方法で製造したドアウエザストリップの斜視図である。
【図10】従来のドアウエザストリップを成形する成形用金型のドアウエザストリップのコーナー部の長手方向に直角の方向での断面図である。
【図11】従来の他のドアウエザストリップを成形する成形用金型のドアウエザストリップのコーナー部の長手方向に直角の方向での断面図である。
【図12】従来の他のドアウエザストリップを成形する成形用金型のドアウエザストリップの長手方向に平行な方向での断面図である。
【図13】図12のドアウエザストリップの端部を挟持する部分の拡大断面図である。
【図14】従来のドアウエザストリップの端部の挟持部分の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0060】
10 ドアウエザストリップ
11 取付基部
12 中空シール部
14 シールリップ部
16 型成形部
17 押出成形部
20、30,40 成形用金型
23、33、43 第1挟持コア
24,34,44 第2挟持コア
25、35、45 第3挟持コア
28、38、48 断熱空間
27、47 挿入コア
29、37,49 中子
50 ガラスラン
60 オープニングトリムウエザストリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出成形により成形した押出成形部の端部に、型成形により型成形部を一体的に成形するウエザストリップの成形方法において、
上記型成形の成形型に上記押出成形部の端部を挟持する挟持部と、型成形部を形成するためのキャビティーを設け、上記挟持部は上記押出成形部の端部に当接する挟持コアを有し、該挟持コアの少なくとも一部は熱伝導性の低い材料で形成し、
上記押出成形部の端部を上記挟持部で挟持した後、上記キャビティーに上記型成形部を構成するゴム材料を射出又は注入し、その後ゴムを架橋させて成形するウエザストリップの成形方法。
【請求項2】
上記押出成形部は中空シール部を有し、上記成形型の上記挟持部は、上記中空シール部に挿入される熱伝導性の低い材料で形成された挿入コアと、上記中空シール部の外面を挟持する挟持コアから形成され、上記押出成形部の中空シール部と連続する型成形部の中空シール部の成形にあたって、上記挿入コアと上記挟持コアで上記押出成形部の中空シール部の外面を押圧して挟持した後に、上記挿入コアと一体的に形成された中子が配置されている上記成形型のキャビティーに上記型成形部を構成するゴム材料を射出又は注入し、その後ゴムを架橋させて成形する請求項1に記載のウエザストリップ成形方法。
【請求項3】
上記押出成形部はシールリップ部を有し、上記成形型には上記シールリップ部の両面に当接し挟持する挟持コアを有し、該挟持コアが熱伝導性の低い材料で形成された請求項1に記載のウエザストリップの成形方法。
【請求項4】
上記押出成形部の端部を0.1mm〜その厚みの1/2の厚さまで圧縮して挟持する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のウエザストリップの成形方法。
【請求項5】
押出成形により成形したウエザストリップの押出成形部の端部に型成形により型成形部を一体的に成形するためのウエザストリップ成形用金型において、
該成形用金型は、上記押出成形部の端部を挟持する挟持部と型成形部を形成するためのキャビティーを有し、上記挟持部は上記押出成形部の端部に当接する挟持コアを有し、該挟持コアの少なくとも一部は熱伝導性の低い材料で形成されたことを特徴とするウエザストリップ成形用金型。
【請求項6】
上記ウエザストリップの押出成形部は中空シール部を有し、上記成形用金型の挟持部は上記中空シール部に挿入される挿入コアと、上記中空シール部の外面を押圧して挟持する挟持コアから形成され、上記挿入コアが熱伝導性の低い材料で形成された請求項5に記載のウエザストリップ成形用金型。
【請求項7】
上記ウエザストリップの押出成形部はシールリップ部を有し、上記成型用金型の挟持部は、上記シールリップ部の外面と内面を押圧して挟持する挟持コアから形成され、上記挟持コアの少なくとも押圧面が熱伝導性の低い材料で形成された請求項5に記載のウエザストリップ成形用金型。
【請求項8】
上記シールリップ部を挟持する上記挟持コアは、コアが熱伝導性の低い材料で形成された請求項7に記載のウエザストリップ成形用金型。
【請求項9】
上記挟持コアと上記成形金型本体との間に断熱空間又は、断熱材を設けた請求項5乃至請求項8のいずれかに記載のウエザストリップ成形用金型。
【請求項10】
上記熱伝導性の低い材料は、耐熱性合成樹脂もしくは耐熱性ゴムである請求項5乃至請求項9のいずれかに記載のウエザストリップ成形用金型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−6700(P2008−6700A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−179323(P2006−179323)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】