説明

ウエハ拡張装置

【課題】保持部材によりウエハシートを引き伸ばし、ウエハを拡張する装置において、ウエハサイズが変更に応じてウエハのθ方向回転機構構成部材を変更する必要が無く、交換部品の少数化が可能なウエハ拡張装置を提供する。
【解決手段】ウエハシートを、環状部材に当接させた状態で反対の方向へ引っ張ることでウエハシートを引き伸ばしてウエハを拡張させるウエハ拡張装置において、ベース部材32と、ベース部材に回転自在に設けられ、上記環状部材を着脱可能に支持する支持部材33と、ウエハシートを保持する保持部材34,35と、保持部材を移動させる移動手段と、保持部材を回転させる回転手段とを備えるとともに、移動手段により保持部材を移動させて、ウエハシートを環状部材30の当接部に当接させて引っ張り、ウエハを拡張させ、該ウエハを拡張させた状態で回転手段により保持部材を回転させて、環状部材と共にウエハシートを回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイシングされウエハシートに貼り付けられたウエハを拡張させるための装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ウエハをダイシングしてチップ(電子部品)を形成し、チップを一枚ずつ取り出して、ボンディングツールで吸着し、ボンディング位置へ移動して基板にボンディングする半導体製造装置において、チップとなるダイシングされたウエハは、周囲部がウエハリングに保持されて引っ張られた状態のウエハシートに貼り付けられている。
【0003】
従来より、特許文献1に示されるように、このウエハの貼り付けられたウエハシートの周囲を拡張装置の環状部材の頂部である当接部(特許文献1では支持部)に押しつけ、ウエハリングが下方へ引き下げられることで、ウエハシートが引き伸ばされ、ウエハを拡張させる装置が存在した。この装置によりダイシングされ貼り付けられているウエハであるチップは、隣接するチップとの間に間隔が空けられ、分割されていた。チップが分割されると、下方から突き上げられるとともに上方より吸着されてウエハシートから取り出され、ボンディング工程へと移行していた。
【0004】
上記のようなウエハ拡張装置では、通常、拡張装置自体をX−Yテーブルに設置して水平方向に移動可能とするとともに、拡張されたチップをθ方向へ回転可能とすることにより、突き上げ取り出しの際に位置合わせができるよう構成されている。特に、θ方向への回転機構は、特許文献1に記載されているように、ウエハシート(特許文献1では粘着シート)を引き伸ばすための環状部材(特許文献1では支持部)を回転させるのが一般的であった。
【0005】
しかし、拡張させるウエハのサイズが変わった場合には、上記環状部材を交換する必要がある。このため特許文献2に示すように、環状部材(特許文献2ではテーブル部材)を回転させるための転動支持部材や当接ガイド、従動ギアを備えたガイドリングを交換することで対応していた。従って、特許文献2記載の手段では、転動支持部材や当接ガイド、従動ギアといったθ方向の回転機構を構成する部材を、交換するガイドリングの数だけ準備しなければならず、コスト高であるとともに、ガイドリングの交換時や保管の際に、回転機構の構成部材を破損することがないよう注意を払う必要があった。
【0006】
【特許文献1】特許第3212003号特許公報
【特許文献2】特開2005ー268274号公開特許公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、保持部材の引っ張りによりウエハシートを引き伸ばし、ウエハを拡張するとともに、ウエハシートの環状部材の当接部への押圧力を用いて、保持部材、ウエハシート、環状部材を共に回転させる拡張手段とすることにより、環状部材自体の回転駆動機構を設けることなく、拡張されたチップのθ方向の回転を可能とし、環状部材の交換を容易とするとともに、交換部品の少数化を図ろうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、上記課題を解決するため、ウエハが貼着されて周囲がウエハリングに保持されたウエハシートを、環状部材の当接部に当接させた状態で、環状部材の当接部と反対の方向に引っ張ることで、ウエハシートを引き伸ばしてウエハを拡張させるウエハ拡張装置に次の手段を採用する。
第1に、ベース部材と、ベース部材に回転自在に設けられ、上記環状部材を着脱可能に支持する支持部材と、ウエハシートを保持する保持部材と、保持部材を移動させる移動手段と、保持部材を回転させる回転手段とを備える。
第2に、移動手段により保持部材を移動させて、ウエハシートを環状部材の当接部に当接させて引っ張り、ウエハを拡張させ、該ウエハを拡張させた状態で回転手段により保持部材を回転させて、環状部材と共にウエハシートを回転させることを特徴とする。
【0009】
第2の発明は、第1の発明における回転手段と移動手段に次の手段を付加したものである。すなわち、回転手段は、保持部材を取り付ける環状の取付部材を介して保持部材を回転させ、移動手段は、取付部材を回転自在に支持する環状の引っ張り部材を介して、保持部材を移動させるものとする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、ウエハシートを環状部材の当接部の反対の方向に引っ張ってウエハを拡張させる拡張手段により、ウエハシートを環状部材の当接部に押圧させた状態で、保持部材をウエハシートと共に回転させるものであるので、環状部材に回転駆動機構を設けることなく、拡張されたチップのθ方向の回転を可能とし、環状部材の交換を容易とするとともに、交換部品の少数化を図ることが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に従って、実施例と共に本発明の実施の形態について説明する。図1は、ボンディング装置1の全体を示す概略平面図で、図2は動作説明図である。本実施例におけるボンディング装置1は、ウエハシート11に貼り付けられたウエハを分割して形成されたチップ2を、順次基板となるウエハ基板4へボンディングする装置である。実施例におけるウエハ基板4は8インチウエハ基板が用いられている。
【0012】
ボンディング装置1は、図1に示されるように、ウエハリング供給部5とチップ供給部6と中継ステージ7とボンディング部8と図示されていない基板側ウエハ供給部とによりなる。ウエハリング供給部5は、リングフレームの内側に貼り付けられた粘着性を有するウエハシート11上面に多数に分割された薄型ICチップが貼り付けられたウエハリング3が上下に多数収納されたマガジン13を有し、ウエハ搬送装置9によりウエハリング3をマガジン13より取り出し、該ウエハリング3をチップ供給部6のウエハ拡張装置10へ搬送する。
【0013】
チップ供給部6は、図1に示されるようにウエハステージともなるウエハ拡張装置10と、該ウエハ拡張装置10をX軸方向及びY軸方向へ移動させ位置決めを行うための拡張装置移動機構と、図1及び図2に示されるウエハシート11上のチップ2を一個ずつ供給するためチップ2を突き上げる突き上げ部材25を有する突上装置15と、チップ2を吸着保持可能なピックアップノズル12と、ピックアップノズル12をチップ供給部6のピックアップ位置と中継ステージ7の間で移動させるピックアップノズル移動装置14と、ピックアップノズル12により取り上げようとするチップ2の位置を検出する第1のカメラ16を有している。
【0014】
ウエハ拡張装置10は、ウエハが貼着されて周囲がウエハリング3に保持されたウエハシート11を、環状部材30の当接部31に当接させた状態で、ウエハリング3を該当接部31より下方(当接部31の反対の方向)へ引っ張ることでウエハシート11を引き伸ばし、ウエハシート11に貼られたダイシングされたウエハであるチップ2を分割する装置である。
【0015】
ウエハ拡張装置10の具体的構成について説明する。ボンディング装置1自体に固定されているベース部材32には、図4乃至図6に示されるように、支持部材33が、ガイドホイール39により回転自在に装着されている。ガイドホイール39は、制限のない回転自在で、図5では左右の2カ所に表れているが、所望複数個設けられている。該支持部材33は、環状部材30を支持可能なリング状の部材であり、図3のA−A線部分の断面説明図である図4に示されるように支持部材33上に、ウエハの大きさに対応した環状部材30が着脱可能に載置して支持されている。従って、後述する取付部材36から保持部材34,35を取り外し、環状部材30を置き換えるのみでウエハサイズの変更に対応できるものである。図4は、大きめのウエハ対応環状部材30を用いた場合であり、小さめのウエハ対応環状部材30を用いた例を図9に示した。
【0016】
環状部材30の上方で外側には、ウエハシート11(具体的にはウエハリング3)を収容して保持している保持部材34,35が取り付けられている。該保持部材34,35は、図3の平面説明図に示されるような中央部空部としたリング状のもので、保持部材34,35の間に挿入され収容保持されたウエハシート11と一緒に回転するとともに、ウエハシート11を環状部材30の当接部31より反対の方向に引っ張ってウエハを拡張させる拡張手段の一部となっている。
【0017】
拡張手段は、環状部材30の外側に配置された上下の保持部材34,35を取り付ける環状の取付部材36と、該取付部材36を回転自在に支持する環状の昇降部材37と、取付部材36を回転させる回転機構40と、ウエハシート11を環状部材30の当接部31から反対の方向に引っ張るための昇降部材37の移動手段である昇降機構38とを備えている。該昇降部材37が本発明における引っ張り部材に相応する。尚、取付部材36の外周には回転機構40からの回転力の伝達を受けるギア部47が形成されている。
【0018】
ウエハ拡張装置10では、取付部材36が、ガイドホイール39と同様のガイドホイール49により、昇降部材37に回転自在に支持され、かつ、昇降部材37と一体に昇降可能とされている。従って、取付部材36が昇降部材37により下降することにより、後にも記載するが、保持部材34,35が下方に引き下げられ、これによりウエハリング3が引き下げられ、環状部材30の当接部31に押圧されて、ウエハシート11は引き伸ばされ、ウエハシート11に貼り付けられていたチップ2は分割される。
保持部材34,35で保持したウエハシート11を、環状部材30の当接部31に当接させて下方に引っ張って、環状部材30の当接部31に押圧させた状態でも、環状部材30は、支持部材33に回転自在にされているため、保持部材34,35で保持されたウエハシート11と環状部材30とは、共に回転可能である。
更に、環状部材30を支持部材33に載置し、ウエハシート11を介して押圧するため、環状部材30は、支持部材33に押しつけられ、回転方向にずれることなくウエハシート11と環状部材30は一体的に回転する。
【0019】
これによりウエハシート11も回転し、ウエハシート11上のチップ2のθ方向の位置決めを行う。実施例でのウエハ拡張装置10の位置決めのための別設の拡張装置移動機構は、X軸方向(チップ2の搬送方向と同方向)及びY軸方向(X軸と直交する方向)のみであり、θ方向(回転方向)の位置決め移動機構(回転機構)は、上記のようにウエハ拡張装置10自体で行われる。すなわち、保持部材34,35を昇降部材37で引き下げることで、ウエハリング3を引き下げてウエハシート11を環状部材30の当接部31に押しつけて回転させるで行われる。尚、ピックアップノズル移動装置14は、Z軸移動機構(昇降機構)とX軸移動機構(チップ2の搬送方向)を有している。
【0020】
保持部材34,35によりウエハリング3を下方に引き下げ、ウエハシート11を引き伸ばすためのウエハ拡張装置10の昇降機構38は、昇降用モータ41、該モータ41により回転させられるリンクギア42、リンクギア42の4カ所に噛合するナット43、ナット43の回転により昇降するねじ44とで構成されており、該ねじ44の上端付近に昇降部材37が取り付けられている。昇降用モータ41の回転力によりねじ44を昇降し、昇降部材37を昇降させる。該昇降部材37の昇降により昇降部材37により支持されている取付部材36を介して保持部材34,35を昇降させている。
【0021】
他方、引き伸ばされ環状部材30の当接部31に押圧させたウエハシート11を、保持部材34,35を共に回転させるウエハ拡張装置10の回転機構40は、θ回転モータ45、該モータ45により回転させられる回転伝達シャフト46、回転伝達シャフト46上方に取り付けられるギア48、該ギア48により回転させられる取付部材36のギア部47とにより構成されており、θ回転モータの回転力により取付部材36のギア部47を回転させている。尚、回転伝達シャフト46は、図8に示されるように回転を伝達しつつ、昇降部材37の昇降に応じ伸縮するスプライン軸部50を有するものとして構成される。
【0022】
中継ステージ7には、チップ2を載置可能なチップ載置テーブル17及び不良チップの回収装置29が形成されており、中継ステージ7をY軸方向(図1中上下方向)へと移動させる中継ステージ移動装置18と、第2のカメラ19を備えている。中継ステージ7のチップ載置テーブル17には、位置合わせのためのθ軸駆動機構を有すると共に、図示されていない吸引装置と接続されたチップ吸着部が形成されており、ピックアップノズル12により載置されたチップ2の下面を吸着して保持する。
【0023】
中継ステージ7のチップ載置テーブル17の位置は、ピックアップノズル12によりチップ2が載置される載置位置Aと、ボンディングツール21によりチップ2が取り上げられる取上位置Bとで、異なる位置に設定されている。具体的には図2に示されるように、ピックアップノズル12及びボンディングツール21の移動方向(X軸方向)と直交する方向(Y軸方向)に、ピックアップノズル12及びボンディングツール21の走行ライン(移動路)を干渉しない程度に離れた位置に載置位置A及び取上位置Bが設定される。尚、中継ステージ7には、チップ載置テーブル17に隣接して、不良チップの回収装置29が設けられている。
【0024】
このように設定することにより、ピックアップノズル12が載置位置Aに、ボンディングツール21が取上位置Bに同時に位置するように移動しても衝突することがない。尚、図2中Aが載置位置であって、Bが取上位置である。該中継ステージ7は、中継ステージ移動装置18により、往復移動可能とされている。その範囲は、チップ載置テーブル17の位置が、載置位置Aと取上位置Bの間で往復移動する範囲である。実施例での中継ステージ7のこの移動はY軸方向への移動によっているが、回転によって行ってもよい。
【0025】
尚、中継ステージ7の上方には、第2のカメラ19が固定して設置されている。実施例では第2のカメラ19は、中継ステージ7のチップ載置テーブル17の移動範囲で、取上位置Bの上方に設置される。すなわち、ピックアップノズル12によりチップ2が載置される載置位置Aと、ボンディングツール21によりチップ2が取り上げられる取上位置Bとの間であればよい。
【0026】
第2のカメラ19は、ボンディングツール21にチップ2を受け渡す前に、該チップ2の画像認識を行い、画像認識に基づきチップ2の外観検査や受渡時での位置の補正を行う。この受渡時での位置の補正は、ボンディングツール21に対して相対的にチップ2をX軸方向、Y軸方向及びθ軸方向に移動させればよいが、実施例では、中継ステージ移動装置18によるY軸方向への移動、及びチップ載置テーブルのθ軸駆動機構によるθ軸方向の移動と、ボンディングツール移動装置22によるX軸方向への移動によっている。
【0027】
ボンディング部8は、ウエハ基板4を載置するボンディングステージ20と、チップ2を吸着保持すると共にウエハ基板4に加熱圧着によりボンディングするボンディングツール21と、ボンディングツール21を中継ステージ7とボンディングステージ20の間で移動させるボンディングツール移動装置22と、第3のカメラ23を備えている。
【0028】
ボンディングステージ20には、位置合わせのためのX軸駆動テーブル26、Y軸駆動テーブル27及びθ軸駆動テーブル28が備わっている。ボンディングツール移動装置22は、中継ステージ7とボンディングステージ20間の移動のためのX軸駆動機構と、チップ取上動作、チップ回収動作、ボンディング動作のためのZ軸駆動機構(昇降機構)を有している。
【0029】
ボンディングツール21は、下端面が矩形でチップ2を吸着保持可能になっており、中継ステージ7のチップ載置テーブル17からチップ2を取り上げる際に、チップ2上面に付けられたアライメントマークを隠さないように取り上げるようになっている。第3のカメラ23は、ボンディングツール21のZ軸駆動機構とは別のZ軸駆動機構を有している。第3のカメラ23は、チップ認識の高さと基板認識の高さを調整するため上下動する。ウエハ基板4にチップ2をボンディングした後の認識には、チップ2が薄い場合には、チップ2の厚さの半分の距離上昇した高さでチップ2及びウエハ基板4のマークを観察することによって行う。チップ2が厚いときには別々にマークを観察することになる。ボンディングツール移動装置22によるボンディングツール21の移動路は、上述したピックアップノズル移動装置14によるピックアップノズル12の移動路より奥側に平行に設けられている。
【0030】
以下、実施例のボンディング装置1の動作について説明する。まず、ウエハリング供給部5よりウエハリング3が、ウエハ搬送装置9により取り出され、搬送され、チップ供給部6のウエハ拡張装置10の保持部材34,35の間に挿入される。ウエハ拡張装置10では、保持部材34,35が昇降部材37により下方に引き下げられ、これによりウエハリング3が引き下げられ、環状部材30の当接部31によりウエハシート11は引き伸ばされ、ウエハシート11に貼り付けられていたチップ2は分割される。
【0031】
このようにしてウエハシート11からの取り出し対象チップ2が、分割されると、対象チップ2が、第1のカメラ16の下方になるように移動する。他方、ボンディングステージ20には、基板側ウエハ供給部から取り出されたウエハ基板4が載置され、ボンディングステージ20により、取り出し対象チップ2がボンディングされる位置で第3のカメラ23の下方になるよう移動している。
【0032】
取り出し対象のチップ2は、ウエハ拡張装置10の回転機構40の動作により、チップ2のθ方向の位置合わせをし、第1のカメラ16により画像検査された後、ピックアップノズル12が、ピックアップノズル移動装置14により対象チップ2の上方に移動して、下降し、チップ2を吸着する。ピックアップノズル12がチップ2を吸着した状態で、突上装置15がチップ2を上方へ突き上げると共に、突き上げ高さに応じてピックアップノズル12が上昇する。そして、突上装置15よりウエハシート11による粘着力が弱められた後、ピックアップノズル12が上昇することによりチップ2は完全にウエハシート11から剥離される。その後、ピックアップノズル12は、中継ステージ7のチップ載置テーブル17の上方へ移動し、下降し、チップ2をチップ載置テーブル17に載置する。
【0033】
中継ステージ7は、中継ステージ移動装置18により、チップ載置テーブル17をピックアップノズル12によるチップ2の載置位置AからY軸方向の異なる位置(この位置を取上位置Bという)に移動する。この取上位置Bで第2のカメラ19によりチップ載置テーブル17上のチップ2の画像検査を行う。従って、取上位置Bは撮影位置ともなる。撮影位置では第2のカメラによりチップ2を撮影し、外観検査をするとともに位置を認識する。その後、チップ2の相対位置を補正し、チップ2が良品か否か判断する。
【0034】
他方、ボンディングツール21は、ボンディングツール移動装置22により取上位置B上方に移動し、下降して、取上位置Bに載置されているチップ2を吸着保持し、上昇し、チップ2が不良品であるならば中継ステージ移動装置18によりボンディングツール21に吸着保持されたチップ2の直下に回収装置29がY軸方向に移動して排出する。チップ2が良品であるならばボンディングツール21でチップを吸着保持したまま、ボンディング位置、すなわち、ボンディングステージ20上方に移動する。このときピックアップノズル12は、ウエハ拡張装置10側に移動し、次のチップ2のピックアップ動作に入っている。
【0035】
その後、ボンディングツール21はウエハ基板4上のボンディング位置に移動して、所定の設定高さまで下降し、第3のカメラ23によりチップ2上面のマーク及びウエハ基板4上面のマークを順に画像認識して、ボンディングステージ20によりチップ2とウエハ基板4が位置合わせされた後、チップ2をウエハ基板4に加熱圧着してボンディングを行う。このとき中継ステージ7はY軸方向に移動し、チップ載置テーブル17は載置位置Aへ移動している。一つのチップ2のボンディング終了後、次のボンディングのためにボンディングツール21は、上昇し中継ステージ7へと戻る。この動作を繰り返すことにより、ウエハ基板4に所定のチップ2の搭載が完了すると、該ウエハ基板4は次の工程へと移送される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施例にかかるボンディング装置の全体を示す概略平面図
【図2】ボンディング装置の動作を示す説明図
【図3】ウエハ拡張装置の平面図
【図4】ウエハ拡張装置のA−A線断面説明図
【図5】ウエハ拡張装置のC−C線断面説明図
【図6】支持部材の取付状態を示す説明図
【図7】昇降機構を示すE−E線断面説明図
【図8】回転機構を示すD−D線断面説明図
【図9】小径ウエハ用の環状部材を用いた場合のウエハ拡張装置のA−A線断面説明図
【符号の説明】
【0037】
1......ボンディング装置
2......チップ
3......ウエハリング
4......ウエハ基板
5......ウエハリング供給部
6......チップ供給部
7......中継ステージ
8......ボンディング部
9......ウエハ搬送装置
10.....ウエハ拡張装置
11.....ウエハシート
12.....ピックアップノズル
13.....マガジン
14.....ピックアップノズル移動装置
15.....突き上げ装置
16.....第1のカメラ
17......チップ載置テーブル
18.....中継ステージ移動装置
19.....第2のカメラ
20.....ボンディングステージ
21......ボンディングツール
22.....ボンディングツール移動装置
23......第3のカメラ
25.....突き上げ部材
26.....X軸駆動テーブル
27.....Y軸駆動テーブル
28.....θ軸駆動テーブル
29.....回収装置
30.....環状部材
31.....当接部
32.....ベース部材
33.....支持部材
34,35.....保持部材
36.....取付部材
37.....昇降部材
38.....昇降機構
39,49....ガイドホイール
40.....回転機構
41.....昇降モータ
42.....リンクギア
43.....ナット
44.....ねじ
45.....θ回転モータ
46.....回転伝達シャフト
47.....ギア部
48.....ギア
50.....スプライン軸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハが貼着されて周囲がウエハリングに保持されたウエハシートを、環状部材の当接部に当接させた状態で、環状部材の当接部と反対の方向に引っ張ることでウエハシートを引き伸ばしてウエハを拡張させるウエハ拡張装置において、
ベース部材と、
ベース部材に回転自在に設けられ、上記環状部材を着脱可能に支持する支持部材と、
ウエハシートを保持する保持部材と、保持部材を移動させる移動手段と、保持部材を回転させる回転手段とを備え、移動手段により保持部材を移動させて、ウエハシートを環状部材の当接部に当接させて引っ張り、ウエハを拡張させ、該ウエハを拡張させた状態で回転手段により保持部材を回転させて、環状部材と共にウエハシートを回転させることを特徴とするウエハ拡張装置。
【請求項2】
回転手段は、保持部材を取り付ける環状の取付部材を介して保持部材を回転させ、移動手段は、取付部材を回転自在に支持する環状の引っ張り部材を介して、保持部材を移動させることを特徴とする請求項1記載のウエハ拡張装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−242834(P2007−242834A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−62258(P2006−62258)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】